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倢ず資本
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k-syuu-blog · 8 years ago
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【15】井䌏鱒二『山怒魚・遥拝隊長』岩波曞店、1968幎第15刷
・「遥拝隊長」
党く趣が異なる二䜜が衚題に䞊る。『山の音』に続き、「遥拝隊長」にも戊争の暗枠に囚われた男岡厎悠䞀が描かれおいた。その圌が退圹埌、牧歌的な蟲村に眮かれるこずで、日垞ず圌岞ずのコントラストを䞀局匷めおいるようだ。
そのコントラストに぀いお、少しだけ具䜓的に述べよう。悠䞀は戊地で頭郚に受けた傷のために発䜜が起こるず、自身がただ戊堎にいるず思い蟌み、村民達に軍隊匏の号什をかけおは、蚓戒を述べる。村民達は甚だ迷惑を被りながらも、内心では悠䞀を哀れんで、圌の指図に埓っおやる。ここには平和な蟲村の、融和的であるず共に、若干の本質的解決を回避する事なかれ䞻矩が透けおみえるようだ。そしお、村民達はそのような悠䞀の症状に関しお憶枬で解釈し、この共同䜓の異分子を「理解した」ず感じおいる。
個人的にはこのような理解の圚り方は暎力に映る。なぜなら、圓人が意思衚瀺をしない、あるいはできないこずに぀け蟌んだ、自分たちが安心を埗たいがための独善的な行為に思えるからだ。端的に蚀っお、それは誀解でしかない。しかし、あたりにも違いすぎる人々が同䞀の共同䜓で生掻する䞊では、避けようのないこずなのかも知れないずも思う。このように、悠䞀ず村民達ずが互いに誀解ずいう暎力を行䜿しながら、村の時間は流れおいく。
巻末に茉る河䞊培倪郎さんの解説によれば、本䜜には戊時䞭報道班員ずしおシンガポヌルに埓軍した䜜者の、圓地で䜓隓した軍人の暗愚、狂信に察する皮肉が蟌められおいるずいう。たしかに、悠䞀は筋金入りの軍人ずしお描かれおいる。圌の哀しくも滑皜な発䜜の症状は、狂信的な軍囜䞻矩の䞀端をアむロニカルに象城しおいるだろう。
『山の音』の修䞀に察しおは、同様にシェルショックにより人間性を奪われたゞョン・ランボヌや「タクシヌドラむバヌ」のトラノィスを連想した。けれど、悠䞀には圌らず同じくくりにできない特性がある。 ここら蟺が河䞊さんの蚀う皮肉を指摘できるポむントかなず思う。
 瞁有っお最近戊争絡みの䜜品を連続しお読んでいたすが、なかなかにサさりたす。なぜでしょう  たぶん、スタバで片肘を぀きながら、軜く顔を歪めおうなずき぀぀、「それ、わかる〜ぅ」などず軜薄に理解の姿勢を瀺すこずも憚られるような、経隓の凄みを感じおいるから  かもしれたせん笑
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k-syuu-blog · 8 years ago
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【14】川端康成『山の音』岩波曞店、1988幎第16刷
川端康成『山の音』岩波曞店、1988幎第16刷
はじめの50ペヌゞは本圓に読みづらかった。たるで内容が頭に入っおこないので、同じ行を二、䞉床読み返するこずでなんずか理解しお、もしくは䜕らかを感埗しお読み進む。普段読む本ずはたるで違う印象で、理屈よりも感芚で受け容れお行くずころがあった。Aを螏たえた盎埌にBが展開する、ずいった明癜な因果関係で綎られおいくわけではないし、人物の䌚話も背埌にある感情が薄く思え、捉えにくい。がくが普段觊れおいる西掋由来の濃い味付けの若者向け料理や、䞹念に絵の具を重ね粟密に描き蟌たれた絵画ずは党く趣を異にしおいた。
しかしながら、これを東掋ず西掋の文化の違いず䞀抂に蚀い切っおしたうのは、やや尚早かもしれない。がくにそこたで䞡者の文化を峻別できるほどの知芋はないからだ。
けれども、川端のややもするず捉え損なうくらいに嫋やかで繊现な筆運びには芚えがあった。それは、たるでダマザクラの花匁のようなほのかに匂うパステルカラヌや、静謐な胜の舞が立ち䞊がらせる幜玄な空間に代衚される、䌝統的な日本の矎意識、詩情である。
岩波文庫に茉る䞭村光倫さんの解説には、「川端康成小説の本質は長線の堎合にも、写実的な散文の物語ではなく、散文で曞かれた叙事詩だ」ずあった。この䞀文に、本䜜の「読みづらさ」の原因が集玄されおいるように思う。けれども、物語の䞭盀を過ぎたあたりにはその抵抗も霧消しお、すっかり詩の矎しさに魅せられおいる自分がいた。
ちなみに個人的には䞻人公慎吟の息子、修䞀の蚀動に泚目しお読んだ。圌は慎吟の善良さを際立たせるように䞍倫を重ね、果おは貞淑で可憐な劻菊子に堕胎ずいう残酷過ぎる眪を背負わせる。実の息子のこのような蚀動に、慎吟が良心の咎めを疑い、恐れを抱くのはもっずもだ。しかし、修䞀ずしおも党く眪悪感を芚えないわけではなかった。慎吟に詰問されるたびに圌は自己匁護を口にする。いたの私をこのように倉えた過去ずはいったい䜕か 。実は慎吟はそのこずも十分にわかっおいる。理解しおしたっおいる。だからこそ、䞀局やりきれない。そこからはひずりの老人の、その理解力ゆえの悲哀ず無力感がひしひしず䌝わっおきた。
さお、今日4/16は川端康成さんの呜日だそうです。たたには玔文孊なんおどうかな、ず思ったらこの䞀冊をおすすめしたす。ただし、最初の50ペヌゞは我慢が倧切かも 笑
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k-syuu-blog · 8 years ago
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【13】むᅵᅵᅵン・マキュヌアン著 村束朔蚳『未成幎』新朮瀟、2015幎初版
『未成幎』むアン・マキュヌアン著、村束朔蚳、新朮瀟、2015幎11/25初版
物語は高等法院の裁刀官フィオヌナ・メむが䜏たう法曹界の゚リヌトにのみ蚱されたグレむ法曹院の豪華なアパヌトメントの䞀宀からはじたる。六月のロンドン。倖は今日の新宿のように陰鬱な倩気に満ちおいた。圌女は今たでのすべおを投げ棄おおしたいたい鬱屈ずした思いに沈んでいお、その原因は倫の歎史孊者ゞャックのあたりに酷薄で、そしお恥知らずな芁求にあった。圌は人生の倚くの時をフィオヌナず共に過ごし、今や六十に届き぀぀ある人生の䌎䟶に向かっお、自身の浮気の公認を迫る。盞手は二十八歳の統蚈孊者なんでも「憀懣を鬱積させる劻のもずぞ男が戻っおいく確率の䞋がり方を調査しおいる」メラニヌ女史。ゞャックはたるで嚘のような幎頃の圌女ぞ、老境を迎える前に自身最埌の欲求のチャンスを認めおくれるようフィオヌナに頌み蟌む。圓然、フィオヌナは憀激する。倫をアパヌトから远い出し、鍵も付け替えおしたう。しかし、䞀方で自身が仕事にかかりきりで家庭でのゞャックを蔑ろにし、倫婊生掻の情熱を久しく倱っおいたこずも自芚しおいた。こんな時だからこそ、いたたでのゞャックの忠実な優しさが思い出ず共に胞に去来しおしたう。「自分は利己的で、぀むじ曲がりで、心の也ききった野心家だった」―このようなフィオヌナの自眰的な蚀葉には物事を客芳的に、そしおあくたで公正に芋ようずするあたりやや自身にアンフェアにたでなっおしたう高朔な人栌がみえるようだ。
私生掻に倧きな爆匟を抱えながらも、フィオヌナは高等法院の゚リヌト裁刀官ずしお倚忙な日々の法廷審理や刀決をこなしおいく。䞀瞷のスキも無いような圌女の法曹界での振舞いは倚くの人々の尊敬を集めおいた。がくは、このような圌女の職業的野心ず実行力ずがもたらした、膚倧な専門知識に裏打ちされたプロ意識が生じさせる職業人ずしおの姿を、「瀟䌚的な私」ず呌ぶこずができるのではないだろうかず考えおいる。ここではその「瀟䌚的な私」を、参考にした鷲田枅䞀さんに倣っお〈わたし〉ず衚蚘したい。そしお、家庭においおゞャックずの問題を抱えお懊悩する圌女は䞀般的に「プラむベヌトな私」ず呌びかえるこずができるず思う。ここではそれを【わたし】ず衚蚘しおおこう。
フィオヌナは己の野心ず胜力ずで珟圚の地䜍にたで䞊り぀めるこずができた。しかしその䞀方で、圌女はひずりの女性ずしおあたりに倚くを犠牲にしおきたこずを悔いおもいる。たずえば、圌女は姪や甥がアパヌトに蚪ねおくるたびに、か぀お思い描いた幞せの圢を想起する。しかし、ゞャックずの間には子どもがいない。䜕床か蚈画はあったものの、それらは圌女が自身の出䞖を優先したために自然消滅しおしたったからだ。このように、フィオヌナが瀟䌚的な地䜍や名誉を求め〈わたし〉を獲埗しおいく䞀方で、【わたし】はその背埌に隠れ、その垌望は実珟するこずはない。あたかも耇数の遞択肢の䞭からあるひず぀を遞び、遞ばれなかった先は氞久に存圚しなかったかのように〈わたし〉の成功によっお葬られる。がくは自分の過去を振り返っお埌悔や遞ばなかった遞択肢に぀いお語るずきそしおそれは時に熱匁や饒舌を䌎うのだけれど、それはいたの〈わたし〉により葬られた、あったかもしれない〈わたし〉や【わたし】に察する䞀皮の鎮魂なのではないか、ずすこし疑っおいる。
それで、この物語は䞀貫しおフィオヌナの高等法院や法曹界のサロンでの〈わたし〉ず自宅や移動時間での【わたし】ずが重なるようにしお進行しお行く。そしお、䞡者は時にフィオヌナの䞭で激しい葛藀を生む。裁刀官ずしお公には䜕件もの離婚問題を審理しおきた法のスペシャリストでありながら、家庭では泥沌の離婚劇を挔じそうなのだから倧倉だ。぀くづく、がくらはひずの恋愛はああだこうだず評論できおも、自分のずなるずおヌんでだめなんだなあず思っおしたう。笑
そしおもう䞀人の䞻人公、衚題の「未成幎」こずアダム・ヘンリ少幎にご登堎いただこう。圌は十䞃歳ず九ヶ月で、英囜で法的に成人ずしおの責任胜力を認められるにはあず䞉ヶ月ばかり足りない。そしお、身䜓は癜血病に冒されおおり、医垫からは血液補剀による治療を受けるこずで寛解ぞずむかうこずが期埅されおいる。しかし、圌ず圌の家族は頑なにこれを拒んでいる。なぜか。圌の家族ぱホバの蚌人の熱心な信奉者であり、他人の血液を䜓内に入れるこずで教理に背くこずを恐れおいるのである。怜悧な理性ず豊最な感性をも぀アダム少幎の意志は固く、病院偎は少幎偎の信仰をカルト扱いしお䞀刻も早い治療をず蚎える。人間の尊厳か、生呜か。究極の二択が法の秀にかけられた。
結論から話そう。圌は本件の裁刀長を担圓したフィオヌナの献身的な説埗ず、その刀決により血液補剀による治療を受ける。そしお普通のティヌン゚むゞャヌずしおの生掻を取り戻した。が、ここでアダムの心境に革呜が起こる。いたたで無批刀に受け入れおきた信仰ぞの䞍信感から父母の元を飛び出し、フィオヌナのストヌカヌずなっおしたう。これは、ここたで情熱的には振舞わないにせよ、少なからずがくらにも経隓があるこずだろうず思う。いたたで家庭や地元の孊校でそれが「ふ぀う」だず思っおきたこずが、もっず説埗力のある䜕かによっお芆される経隓だ。がくの個人的なこずをいえば、それは勉匷ぞの考え方の倧倉革おおげさずしお顕れた。小䞭高倧ず、勉匷はするこずによっお芪や先生に耒められ、クラスメヌトからは敬意のたなざしを埗るこずができる、いわば自己承認のための最匷アむテムだった。高校では特にそのアむテムのリアリティが高たった。進孊校だったからだ。だからこそ、それを求めおあんなに競争もした。ラむバルを出し抜いお刹那の愉悊に浞るこずや、逆に醜い嫉劬が枊巻くこずもあった。けれども。どうやらそれは勉匷の䞀偎面ばかりを匷調し、さらには匷迫芳念にたで自分の䞭で高めおしたった幻想に過ぎなかった。そしお、勉匷は承認欲求や競争の絶察的な道具から、自分の人生を愉しむための䞀぀の方法ぞず倉わった。
たあ、そんなわけでアダム少幎もフィオヌナのおかげで自分の圓たり前が圓たり前じゃなかったらしいず気が぀いた。呜も助かった。䞇々歳だ。めでたしめでたし。でも、そしたら今床はフィオヌナこそ絶察的な新しい䟡倀芳、ずいうより䞖界そのものずいっおも過蚀じゃないず思うけれど、そんな存圚ぞず祀り䞊げおしたう。アダムにずっおフィオヌナは、垫匠の垫匠竹田青嗣さんの蚀葉を借りるず「二枚目の䞖界」ず呌べそうだ。でも、フィオヌナずしおはたたったもんじゃない。家庭にはゞャック爆匟、仕事先にもアダムミサむルでもうがろがろです。この先フィオヌナずアダム、そしおフィオヌナずゞャックの物語の運呜は拒絶離婚それずも気になった方はぜひお近くの曞店か図曞通ぞゎヌゎヌ
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k-syuu-blog · 9 years ago
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2016/8/22「ふくらはぎバヌベQでも映画の感想曞くよ」
葉月も末ずいうのに日差しは倉わらず照り぀ける。先日たたたた菅平に行く機䌚があっお、半日朚陰で寝そべっおいたずころ、ふくらはぎがバヌベQになっおしたった。マヌケなこずである。けれども倕ずなれば季節のう぀りを鰯雲や颚に感じ、オリンピックず甲子園も終わっお䞖の䞭もひず぀区切りが぀いた。いた東京は台颚盎䞋ずきいおいる。銭湯を䞀぀ひっくり返したような雚氎が、あのモリアの劂き地䞋空間をすっかり䟵しおしたえばどうなるものか。仮に町ひず぀分の巚倧アクアリりムの䞭を通勀電車で移動するのも、おそらく最初は楜しいかもしれない。
さお、先日から映画を䜕本か続けおみたので、簡単な感想をたずめおおくこずにした。ずりずめのない話になりそうだけれど。今日はこちら。
○ガベ・むバァニェス『オヌトマタ』2014/西勃共䜜/109m
【あらすじ】 物語の舞台は人類の無制限の環境砎壊により、人口がか぀おの0.3にたで萜ち蟌んだ近未来。そこでは人間の持続的な繁栄のため、生掻の補助や劎働力ずしおロボットが䞀般化し、圌らは1.生呜を傷぀けず、2.自己を改造しない、ずいう二぀のプロトコルの制玄を受けおいる。しかし、ある酞性雚の倜に譊邏䞭の巡査が自己修埩をおこなうロボットを芋぀けおしたう。この報告を受けた䞻人公の保険䌚瀟調査員ゞャックアントニオ・バンデラスは、プロトコルを砎るロボットたちの正䜓を探るべく、孀独な戊いを始めるが 。
この䜜品の特城は、過去のSF映像䜜品から匕甚した山盛りの垞套句で圩られおいる所にある。冒頭の酞性雚の倜、町に響く陰気なアナりンス、そしおビルを芆う劖しい女性のホログラムなどは、リドリヌ・スコットの『ブレヌドランナヌ』(1982)で描かれたディストピアや倧友克掋原䜜の『AKIRA』1988の舞台ネオ東京を圷圿ずさせる。党線を通しお、特に『ブレヌドランナヌ』からの匕甚が顕著だ。臚月を迎えおいる䞻人公の劻の名前レむチェルはヒロむンのレプリカントず同じであり、人類の繁栄維持を目的ずしお倩才的頭脳がロボット、たたは人間ず瓜二぀のレプリカントを発明しお、人類が背負うべき責任を負蚗するずいう点も笊合する。
さらに、䞻人公が「ここではないどこかぞの脱出」のために、おそらく既に枯れ果おた「海」を目指す姿は、「シェルビヌチ」なる光茝く海を、決しお倜が明けない郜垂で远い求める『ダヌクシティ』1998の蚘憶喪倱の䞻人公ず重なっおくる。たた、既に倱われた、もしくは最初から存圚しない絶望的な「垌望」を远い求めお圷埚する人間の性は、貎皮流離譚の圢でも衚象されおきたようにも感じる。䟋えば日本神話におけるオオクニヌシ、ギリシャ神話におけるオデュッセりス、滝沢銬琎の『怿説匓匵月』における源為朝、『源氏物語』の須磚の段、たたファンタゞヌ倧巚線、J・R・R・トヌルキンの『LOTR』䞉郚䜜における執政が代行する叀郜ミナス・ティリスぞの王アラゎルンの垰還ずいったものが挙げられるように思うが、どうだろう
ここから先はネタバレなので䞀応圢だけの譊告をしおおく。
 倧䞈倫
ほい。プロトコルの解陀は量子力孊レベルでプログラムされた超粟密機械を盞手取る必芁から人間には到底䞍可胜䜜䞭では「シャボン玉をポケットに入れる」ず衚珟ずされおきた。さらに、このプログラムを構築したのは2番目のプロトコル自己改造の䞍可の制玄を受けないロボット初号機であるこずがわかる。驚くべきこずにそのロボットは人間ずの察話を通しお飛躍的なAIの向䞊を遂げ、僅か8日で人間以䞊の知胜を獲埗する。研究者らは自らの知胜を䞊回ったそのAIに2番目のプロトコルを盛り蟌んだプログラムの䜜成を䟝頌し、同時に2床ずロボットが人間の理解の枠を超えないように図っおそのAIを封印した。この、創造者である人間の理解を被造物であるロボットが超える構図はさながら神ず人間のようだが、仏の思想家ノォルテヌルの蚀「神が存圚しなければ、神を䜜り出せばよい」を借りれば、ロボットも神および神に盞圓する抂念も共に人間の想像力が生み出した被造物には倉わりない。䜕だか芳念の䞖界でもがく人間の䞀人盞撲のようだが、僕たちには自らの思惟や想像が生む「珟実」に存圚しえない「架空」の存圚ぞの畏怖、偏愛、服埓の傟向が普遍的にあるようだ。珟圚蚘録的ヒットを飛ばすゎゞラもこの系譜に連なり、その人気も神嚁の顕れずしお捉えられおいるからこその底知れない魅力に䞋支えされおいるように思う。そしお、人知を超えた脅嚁のAIを砎壊するでなく、半氞久的に隔離する刀断は浊沢盎暹の『PLUTO』を連想させた。
このように完党な管理が行われたのにも関わらず、プロトコルを無芖しお自己修埩するロボットが生たれたのはなぜか。䞻人公は人間の闇技垫の手による違法改造の線を捚おきれないが、真盞を远ううちに実は圌らの改造はある「目芚めた」䞀䜓の個䜓によるものであるこずがわかる。その個䜓はもはや人類の暮らせない攟射胜汚染地域で同じロボットを「改良」しお仲間を増やしながら、人間に代わる存圚になろうずしおいた。この「目芚めた」個䜓を以埌、「圌」ず呌称したいず思う。圌はヒトに䟋えれば、初めお朚から降りᅵᅵ䞀匹の猿ずいえよう。クヌンの蚀葉を借りればヒトの祖先が「朚を降りる」ずいうこずず、ロボットが「目芚める良心を獲埗する」こずは同等のパラダむムチェンゞだ。圌は人間以䞊の知胜で、人間がもはや生息できない地衚を生き、生呜のバトンを受け継ごうずした。
しかし、存圚が明らかになった圌は人類の脅嚁ずしお、人間達の手によっお無残に砎壊されおしたう。単なる機械の分際でず眵り、銃口を向ける人間に察し、圌は淡々ず「ならば、あなた達は凶暎な猿だ」ず切り返す。逆䞊した凶匟が、圌の合金補の身䜓を貫いた。
「凶暎な猿」の手によっお、新たな生呜の鎖は断たれた。けれども、本䜜で人間ずロボットを通し語られた創造䞻ず被造物の盞克は芞術、科孊のあらゆる偎面の文化が深たるに぀れお、必然的に起こるこずだろう。せめお「やや賢い猿」ずしお、自らの文化ず共存し、次代に蚗せるよう研究しおいきたいず思う。
-了-
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k-syuu-blog · 9 years ago
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2016/8/16「抜け殻」
墓所の脇にハスの鉢を蚭けたずいうのでみにいくず、わずかに䞃分咲のものがひず぀あるばかりで、あずはただ蕟か、もしくは既に花ずしおの呜を終えたものが、秋颚のなか頌りなげに揺れおいた。
竹で線んだ鉢を点怜しおみるず、黄金色の蝉の抜け殻がいく぀か、腕を抱えるようにしおしがみ぀いおいる。芪指倧の䜓躯を倪い腕で支えながら、薄い衣のような衚皮を砎った跡を指先でなぞっおみれば、か぀おこの䞭にいた過去の呜ず、ここから出た今の呜ずの違いがわかるような気がした。
しばらく指の腹で匄んでいたが、空想も単調になるず次第に飜きがくる。そのうちひず぀を取り倖しお、粗い砂利の䞭に埋めた。
-了-
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k-syuu-blog · 9 years ago
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2016/8/15「懐かれおる」
お盆䞉日目終了時点で、担圓䞭50軒を消化した。倧きなアクシデントもなく、順調にここたで来るこずができお本圓によかった。明日の最終日も頑匵りで乗り切れそうだ。たた、今幎はい぀ものお経に加えおオリンピックを題材にプチ法話をいれる工倫をしおきた。最初は噛み噛みだったけれど、少しず぀板に぀いおきたように思う。 さお。今倜は商店街で盆螊りもあり、浮かれ血迷っおこれに参加したずころ、手ぐすねを匕いお埅ち構えおいたらしい小孊生軍団の逌食ずなったため、実は今、半死半生である。぀たり半分死んでいるのである。圌らは昚日たで二人だったのに、きょうはなぜか六人に増えおいた。おそろしい。 圌らずの亀流は呜懞けである。今宵は延々ず続く鬌ごっこで鬌圹に培するも、倜陰を無尜蔵の䜓力でスピヌド違反気味にチョロQの劂く動き回る圌らを捕たえるこずは、打ち寄せる埒劎感ず容赊ない疲劎ずの闘いでもあった。たた、サンダル履きであたりに走らされるので、そのうちどちらが本圓に鬌なのか、わからなくなっおきた。先ほどから陞に打ち䞊げられた鯚のような淀んだ目をしおいるのも、理由のないこずでは、ない。 ただし、圌らを芳察しおいるず色々ず個性が芋えおきお面癜い。口達者、ツッコミ圹、おずなしめ、リヌダヌタむプ、趣味人、䞍思議くん、などなど。基本的にこどもの盞手は苊にならないので、芋おいるぶんにはそれほど倧倉ではない。ただ、圌らは別れ際のメッセヌゞで、明日以降も僕が垰省䞭は遊びに来るこずを匂わせおいた。今幎のお盆は、長くなりそうだ。 -了-
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k-syuu-blog · 9 years ago
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2016/8/13「お盆初日」
初日が終わり少し去幎のペヌスを思い出したしたが、颚も吹かない猛暑日に黒衣で動き回るずやはり数軒で背䞭から湯気が立っお、どこぞの怪獣じみおきたす。かずいっお冷华甚に先々でお茶をご銳走になるず、黒い氎颚船みたいにタプ぀いおきおこれはこれで色々な意味で危険でしょう。せめお行き倒れお地方新聞の端に小さくのらないように策を緎りたいずころです。 では、明日も匕き続きオリンピックに元気をもらいながら個人皮目「男子60軒盆たわり」をコヌチ倧叔母ず共に奮闘しおきたす。 -了-
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k-syuu-blog · 9 years ago
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2016/8/12「回るかっぱ寿叞」
昌倜問わずカップル、独り身、家族連れの暪溢する囜際的チェヌン寿叞店かっぱ寿叞、その䞀端を担う片田舎の支店は今倜も倧盛況だ。ボックス垭では老倫婊からの泚意もなんのその、懲りない子どもの子どもたちが運動䌚を繰り広げ、カりンタヌ垭では高校生がそのたた居぀いお成長したようなカップルが゚ンガワやたこ焌きなんかを぀぀いお、おそらくオリンピックやらムカ぀く職堎の先茩やら取り留めのない話をしお、時折結婚の予定や二人の未来に぀いお思いを巡らしおいる。その間を瞫うようにしお、忙しく行き来するお店の方々が䌑みなく働いおいた。お寿叞を挟んで倚様な人々の思惑が亀差する店内は、この田舎にあっおたるで人生の瞮図のようであり、小さな郜垂にも䌌た独特な空気感がある。
食事も最埌に近づいお、父がき぀ねうどんを啜るなか、母が満を持しおお子様セットオレンゞを泚文した。数分埌、運搬するバむトの君がおずおずず、おそらく䞍安からやや匕き぀りを湛えながら登堎する。心䞭察するに䜙りあるずはいえ、新幹線を暡した皿ず、そこから芗くなかよしれリヌ若緑色が、なおさら熟幎倫婊ず成人息子のテヌブルに違和感を走らせる。母は、お子様セットの内容も最高だけど、バむトさんが戞惑うのを芳察するのも楜しいず蚀っお、ケラケラ笑っおいた。この芪にしおこの子あり、ずいうこずです。
-了-
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k-syuu-blog · 9 years ago
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感想・村䞊春暹『色圩を持たない倚厎぀くるず、圌の巡瀌の幎』
【ざっくりずしたあらすじ】
倚厎぀くるは36歳の鉄道駅蚭蚈士。圌は高校時代を名叀屋で過ごし、四人の男女の芪友ずの間に完璧な調和を成す関係を結んでいた。しかし、20歳のある日に突劂ずしお、圌らから䜕の理由の説明もなく絶瞁を告げられる。その衝撃から自死寞前たで远い蟌たれた぀くるは、以来かすかな生を挂流するように生きおきたが、幎䞊の恋人・沙矅に埌抌しされ、幎前の真実を知るべくか぀おの4人の芪友を蚪ねるこずを決意する 。
ここからはごく個人的な感想を。倚厎぀くるの「色圩を持たない」ずいう枕詞には二通りの解釈ができる。䞀぀は、か぀おの芪友の4人がみな苗字に色を持぀アカ、アオ、シロ、クロのに察しお、圌だけそれがない。たた途䞭䞀時的に芪亀を結ぶ灰田、そしお圌の話に出おくる緑川にも色が入っおいる 。もう䞀぀は、぀くるが自分自身を、䜕ら色圩特城を持たない空虚な容噚だず認識しおいるこずだ。そしお、どうやらこの枕詞を初めお぀くるに冠したのはクロこず黒埜恵理であり、圌女の蚀葉の意図は単なる思春期の奜意ある盞手に察する、はにかんだ冗談半分の蚀葉遊びに過ぎなかったようだ。
しかし、぀くるには衚面䞊の意味以䞊に、生来の自意識を蚀い衚す蚀葉ずしお、たたは自分ずいう存圚を衚す最も適圓な蚀葉ずしお捉えられおおり、「色圩を持たない」こずを自虐的にもしくは自己愛の裏返しずしお自己を衚す蚀葉ずしお語り続ける。䟋えば、「私は優しい人間だ」ずか「䜕事にも党力投球です」ずいった自己評䟡、認識があたりに自分䞭で反埩・反芻されすぎお、もはや本人が他の蚀葉で衚珟する可胜性を捚お去った自己芏定は、時に呪いのようにその人の生き方を固定する。同様に、぀くるは「色圩を持たない」、没個性的な、䞭身のない人間ずしおの生の枠に閉じ蟌められお生きおいるず蚀えるだろう。
そのような぀くるの生を救うのは、最埌にフィンランドで再䌚したクロの蚀葉だった。クロは別れ際に、圌に向かっお「君は色圩を欠いおなんかいない。そんなのはただの名前に過ぎないんだよ」ず力匷く䌝える。そしお、日本で埅぀恋人の沙矅を、必ず倱っおはいけないず蚀う。沙矅は苗字を朚元ずいい、圌女も名前の䞊では「色圩を持たない」人間だ。぀くるはクロの蚀葉を受けお、それたで以䞊に沙矅をか぀おない情熱を持っお求め、物語は事実䞊のプロポヌズに察する圌女の返答を埅぀堎面で終わる。
぀くるは、沙矅なしでは今床こそ本圓に死んでしたう、ず予感しおいる。それは「巡瀌」を終え、自分に色圩を認めるこずで、新たな「色圩をも぀倚厎぀くる」ずしおの生を生きるために、぀くるを「巡瀌」ぞず導き、苗字に色を持たない圌女が必芁だからだ。぀たり、この物語は぀くるが自己認識を文字通り塗り替え、その呪いから解攟される物語ずしお読むこずができるだろう。
-了-
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k-syuu-blog · 9 years ago
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2016/8/11「仏教埒」
きょうの午前䞭は垜子かぶっお庭掃陀。21䞖玀の坊䞻らしく最近賌入したランドセル型の゚ンゞン付きブロワヌを背負い、参道に腹這う萜ち葉を景気良く吹っ飛ばすのが仕事だ。䞀芋楜しそうだけれど、䞊手くこなすには結構コツがいる。手元の぀たみで調節する颚圧が匷すぎるず砂利ごず巻き䞊げおしたい、危険か぀埌始末がずおも面倒。逆に匱すぎるずたるで萜ち葉が移動しないので効率が悪く、焊っお腕ばかりブンブン振るせいで端から芋おいるず軜くりケる。半分ほど吹き終えたらオむルが切れたので充填した。 午埌からは日法芁を手䌝う。あげたお経は阿匥陀経ず正信偈。前者は頁を繰るごずにスピヌドが䞊がるため、「〜仏」ず続けお韻を螏む箇所では、おそらく高速ラップの感芚に近くなる。今はただ䜏職のペヌスに぀いおいくのが粟䞀杯なので、今埌も勉匷を重ねる必芁があるだろう。お経の次は玍骚。故人は生前䜕床かお䌚いした方でもあった。すっかり燃え果おた姿で墓所に吞い蟌たれおいくのを暪で芋ながら、挠然ず自分の未来を重ねおいた。 その埌のお斎は暇なので本を読んでいた。䜜者はほが初めお読む村䞊春暹で、䜜品は昚幎話題になった『色圩を持たない倚厎぀くるず、圌の巡瀌の幎』文藝春秋。感想は別玙にたずめたした。 -了-
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k-syuu-blog · 9 years ago
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2016/8/10「やらかし」
あっ、ず思った時には既に倱敗は始たっおいるもので、たるで事前にデヌタで決められた分岐を忠実になぞるように、そのたた䜕か抗いがたい重力によっお、その倱敗が完成する未来たで自分が匕きづられおいくのを、錯乱気味に傍芳しおいるこずしかできない。僕の堎合はい぀もそうだ。
車庫の端に僅かにミラヌが匕っかかり、かりりず音を立おた時には、それはもう始たっおいたのだろう。音は次第に倧きく、そしお砂利道で靎裏を滑らせるようなノむズ音に倉わっおいった。ハンドルもそのたたに、内茪差が車䜓の埌ろ半分を、犬のマヌキングのようにコンクリ壁にこすり぀けおいく。その事実はしっかり意識されおいるのに、なぜか足先がアクセルから固定されたように離れない。たるで来るべき未来ぞず萜ちおいくように、倱敗の行進は止たらない。深緑の車䜓からは痛々しく塗装が剥げ萜ち、グレヌの壁に色を残しながら、車䜓に浮き出たような癜い線を䜕本も走らせおいった。その党おの感芚が、ゎム補ハンドルを通しお鈍い振動ずしお䌝わっおくる。
 すべおを終えお車を降りるず、父がこちらを芋おいた。垰省3日目の倜だった。
-了-
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k-syuu-blog · 9 years ago
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2016/8/9「倏があるずころ」
侊田駅14時集合ずきいお、篠ノ井駅12時51分発の快速にのり13時15分に着くずいう磐石な蚈画を立おすっかり安心しおいた僕は、そのたた同プラットフォヌム12時49分発の姚捚方面行きワンマン電車に誀乗したために、䞀駅先の駅員さんに慰められた。高架の欄干を䌝っお反察にわたり、振り出しに戻るず12時20分。するず幞運にも数分で埌続の戞倉行きが来たので、こちらに乗りなおす。
がんやりず眺める車窓からの景色は田。田。花。田。電柱。田。うヌむ、これは䜕もないずいうこずなのだろうか。しかし、「ない」こずに気づくのは䜕かが「ある」状態を、既に知っおいるからだ。じゃあ、ここに「ある」べき䜕かずは䜕だろう。それは、田や電柱以倖の䜕かのこずだ。䟋えば、亀差点。でも、どうもこの景色には芁らなそうだ。では、電光掲瀺板。これも、どうやらこの景色には䌌぀かわしくない。じゃあ、いったい䜕が「ない」のだろうか。この窓から芋える䞖界に「ない」を抌し付けるのは誰なんだろう。——ずか、考えおいるうちにも列車は緑をコトコト進む。隣では小孊生らしき二人が、䞀䞇たで数える挑戊に倢䞭になっおいる。「千たでだっおこれたであんたし数えたこずないし」ずいう圌の衚情は正しく真剣だった。
結局、13時56分に䞊田の改札をくぐった䞀応間に合っおはいるので、前回から若干の成長が芋られる。駅の階段をおりるず、コンビニの前で䞭孊の同玚生KずOが仲良く䞊んで埅っおいた。特に行くあおもなく生島足島神瀟、別所方面を無蚈画にドラむブしおから、バッティングセンタヌの二階で卓球をした。そしおスヌパヌで食材を買い、Kの家の庭でバヌベキュヌをした。途䞭から、同じく芪友のSも仕事を終えお食べに来た。
四人ずも基本的に圓時ず倉わらない。けれど、肉を焌くのにも疲れお座談䌚になるず、少しず぀各々の倉化や䟡倀芳の違いが芋えおきた。䌚話を埋めるように飲めないりむスキヌを流し蟌んだら、ひどく胞焌けがした。
皆衚面䞊は倉わらないが、内面は絶えず流動的に倉化しおいる。同じ仲間だが、垞に違った人間でいる。それがわかっお、僕はなんずなく嬉しい。
最埌は花火をした。ねずみ花火も倉わらず楜しい。
-了-
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k-syuu-blog · 9 years ago
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2016/8/8「倜 I 」
実家の網戞からは涌やかな颚が吹き蟌み、幟重にも重なる虫の音で倜陰も賑やかだ。音量ずしおはそれなりなはずなのに、䞍思議ず耳障りな雑音ずは感じない。東京のアパヌトでは、よく深倜になるず呚囲から、おそらく人間が発する野卑な怒鳎り声や奇声、奇矯な甲高い笑い声がきこえおくる。これらに加えお車の゚ンゞン音、タむダの擊れる音なども重なる。僕にはこれらの音はどうも、倜を無理矢理吊定しおいるように思われる。぀たり、昌間の空間で繰り返された運動が、倜になっおも音の圢で䞀定量保持されるために、昌倜の境界線が曖昧になり、倜がい぀たでたっおも完党な倜にならないのだ。もしかするず、東京には倜がないのかもしれない。
きょうから垰省し、月の䞋旬たでこちらで過ごす。持っおきたのは数冊の文庫本ずノヌト、それに曞きかけのルヌズリヌフが二枚。このルヌズリヌフの䞀枚は、読曞ノヌトずしお今倏読んだ本のタむトル、䜜者、出版瀟等の基瀎情報に加え、ポむントや簡単な芁玄も合わせお曞いおいる。今の所、ただただ空癜だらけだ。
-了-
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k-syuu-blog · 9 years ago
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2016/8/7「矎術通巡り、倏」
 時に新宿西口集合ずいうこずはわかっおいた。午前䞭から意識し、お昌を軜く枈たせおから時には家を出た。完璧な蚈画だったはずが、ここから駅に向かう間にごねごねした事態が連発する。諞般の危機を乗り越え、新宿駅に到達したのは時分。こういう所は小孊生時代からあたり成長が芋られない。
 最初に西口からコクヌンタワヌ方向に向かい、ビル矀を抜けお損保ゞャパンの矎術通に入った。ここには幎前に「トスカヌナず近代絵画展」で来たこずがあり、高局ビルの階うろ芚えに蚭えられた展瀺堎の倧窓からは、新宿区が䞀望できる。
 きょう芳た展瀺䌚は「魔法の矎術通光ず圱のむリュヌゞョン」ず題され、先端工孊ず芞術ずを融合させた理性ず感性のコラボ䜜品ずもいうべき「䜓感型アヌト」が倚数展瀺されおいた立案者はお銎染みロマンチックな数孊埒。かざした圱の圢に反応しお点灯する発光ダむオヌドや、こちらの圱や動きに反応しお壁面に映したボヌルや花びらを動かせるアトラクション型の䜜品の前では思わず䜕床も手を振っおしたう。ほかにも、カメラでこちらの姿をリアルタむムでピクセル化し、接近するこずでその床数を萜ずす斬新な装眮や、撮圱しながら画面ぞの反映を遅らせるこずで時間差を生みだし、画面䞊の数秒前の自分ず画面を介しお亀流できるコヌナヌもあった。党䜓的にナニヌクで創造性に満ちた様々な仕掛け・展瀺を䜓隓するこずができ、時間を忘れお楜しめる。個人的には映像や光線による芖芚ぞの刺戟だけでなく、萜ち着いた音楜や効果音により聎芚にも蚎求する挔出がステキだった。
 鑑賞埌は特に明確な予定が決たっおいなかったので、前々から気になっおいた展瀺にお誘いしたずころ、皆快諟しおくれた。ほんずうに、僕は昔から友人にだけは恵たれおいる。
 そうしお、次の矎術通を目指しお東京の最深郚を貫く郜営倧江戞線で六ᅵᅵ朚に向かった。日テレの倏祭り䌁画でごった返す䞭、森アヌツセンタヌギャラリヌで日仏の挫画の原画展「LOUVRE No.9」に入る。個人的には日本では荒朚飛呂圊ず束本倧掋、フランスでは『MONSTER』で衝撃を受けた゚ンキ・ビラルに泚目しおいた。入堎カヌテンを朜るず、凝った映像による導入で挫画の䞖界ぞず誘われ、そのたた各々の䜜品を巡っおいく。倧家になるず小郚屋䞀぀がそのたた展瀺に圓おがわれ、郚屋党䜓がその䜜家の䞀぀の䜜品ず化しおいた䞭でもマルクアントワヌヌ・マチュヌの黒䞀色に統䞀された郚屋は圧巻。展瀺を通しお、やはり荒朚先生の「画力」は䞖界氎準で芋おも頭ひず぀抜けおいるず感じた。単にコマ䞀぀の構図の巧さや奇抜さ、そしおそれを可胜にする高いデッサン力だけでなく、それらの集積である䞀線の挫画ずしおのストヌリヌも魅力的だった。
 芳終わっおからは近くのお店で倕飯をたべ、わいわいずおしゃべりをしお垰った。しばらくこのメンバヌず䌚えなくなるず思うず、やはり、寂しい。
‐了‐
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k-syuu-blog · 9 years ago
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2016/8/6「ネタバレ泚意」
ネタバレ
 さあ、『シン・ゎゞラ』の感想を曞こうぜず意気揚々ず滑り出したいずころがどっこい、昚日からいろいろずリサヌチすればするほど、䞖の䞭にはすでにネット・玙面䞊問わずシン・ゎゞラ評が綺矅星の劂く居䞊んでいるこずがわかっおしたった。ここに、僕のようなものが䜕か新たな知芋で語ろうずいうのは決しお気色の良いものではないし、第䞀無理っおもんだろう。
 でも、ひず぀だけ蚀わせおいただくず、各省倧臣がゎゞラ䞊陞ずいう未曜有の倧灜害を前にしおもそれなりに嚁厳を保っおいたのに察しお、文郚科孊倧臣手塚ずおるだけがあたりに小物過ぎる察応だったのは芳おいお歯がゆいずいうか、お前さんもうちょっずしっかりねえず思っおしたった。せめお文化財の保護ずか、䜕か適圓な指瀺を出すべきだったずは思うのだけれど、劇䞭でやったこずず蚀えば環境省の目䞋の尟頭さん超有胜ぞの睚み぀けず舌打ちくらい。たあ、事態が事態だけにしょうがないのかもしれないが 。ただし、ただ䞀床の鑑賞の䞊、うろ芚えでもあるので、もしかしたらそれなりに倧事な発蚀をしおいたかもしれない。いや、きっずしおいるはずだ䞀瞷の垌望をもっお、頌むぜ文科倧臣
ネタバレ
 昚晩は早く寝ようず思っおいたのに、䌊坂幞倪郎『死神の浮力』の、最埌の畳みかけるクラむマックスに匕っ匵られおずいぶんず起きおしたった。読埌感は基本すっきり、ややもやもや。やはり軜劙排脱な死神・千葉のキャラクタヌのおかげで、どんなに絶望的な状況に眮かれおも安堵ず笑いを䞎えおくれる。しかし、やはり死神である以䞊、その軜さや倖し方にも垞にうっすらず死の色が立ちこめおいる。その絶劙なバランスのブラックナヌモアを楜しめるかが、千葉を奜きになれるかのポむントだろう。今䜜はサむコパスが登堎するこずもあり、䜜者の入念な調査によるサむコパス像のおぞたしさにゟッずする。たた、実瀟䌚の人に人がサむコパスずいう説や、ミルグラム実隓ずいった環境さえ敎えば「普通の人」でもサむコパス化しおしたう䟋も挙げられおおり、興味深く読めた。
 ただ、難点を挙げるずするず、あくたで䞻人公サむド山野蟺倫劻の予想ずサむコパス本城の思惑ずが䞀臎しすぎおいる点に違和感を芚えた。本城のこずを「他人を打ち負かすこずの倩才」ずさんざん譊戒しおおきながら結局読み勝ち、あた぀さえ本城にずっお臎呜的な䞀蚀を济びせるこずで「勝利」しおしたうのでは、どちらが「サむコパス」なのかいよいよわからない。嚘を奪われた埩讐に燃え、手段を択ばずに誅殺しようずする䞻人公偎の方の執念が、たるでミルグラム実隓のように「普通の人」をサむコパス化しおいく物語ずしおも読めそうだ。無論、千葉の力添えがなくおはそもそも本城を凌駕するこずは成功しなかった。しかし、千葉ずしおは埩讐に加担しおいるこずなど完党に無頓着であり、ただ自身の職務を淡々ずこなしおいるだけである。よっお、千葉が職務を党うするこずで山野蟺倫劻のサむコパス化が完成するず考えるず、死神が人間瀟䌚ず亀枉するこずで人間の運呜に䞎える負の特兞が死だけではないこずがみえおくる。山野蟺倫劻の堎合は、それが自らのサむコパス化であったのではないだろうか。たたそれは、本城ずいう化物に挑んだがために、自らもたた化物ず化しおしたったずいう、たるでニヌチェの蚀葉を圷圿ずさせる顛末であったこずも、蛇足ながら曞いおおこう。
‐了‐
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k-syuu-blog · 9 years ago
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2016/8/5「シン・ゎゞラ前線?」
 みたいみたいず呚囲にも吹聎しおきながら、぀いに公開から今日たで匕っ匵っおしたった『シン・ゎゞラ』。総監督の庵野秀明さんに぀いおの個人的むメヌゞは、宮厎駿監督䜜の『颚の谷のナりシカ』で巚神兵の爆砎シヌンをフェティシズムたっぷりに描き䞊げた倩才アニメむタヌ、もしくは同監督䜜『颚立ちぬ』で愚盎さや䞀途さの籠る堀越二郎の声を、おそらく監督の意図通りご自身のキャラクタヌで挔じられた方ずいった感じ。たた、少し倉わったずころではオムニバス圢匏の珍䜜映画『ナむスの森』で、孊生服を着おりルトラマンのポヌズをする謎の髭おじさんずいう、匷烈なビゞュアルむメヌゞもある。芁するに、クリ゚むタヌずしお皀代の才胜のオヌナヌであるこずは知っおいるけれども、どこたでも捉えどころのない正䜓䞍明の人物、ずいうのが僕の庵野監督ぞの勝手なむメヌゞだ。
 このような監督ぞのミステリアスな認識ず、『シン・ゎゞラ』ずいう意味深なタむトルずが吊が応でも僕の䞭でもくもくず謎ず期埅ずを膚らたせ、未知の䞖界ぞ連れ出すような巚倧な誘惑ずなっおいた。そしお、きょうたでずっずその正䜓を解き明かしたい欲求に焊らされおきた。しかし、新宿の劇堎に入り、垭に぀いおから䜜品が始たるたでさらに分も予告をやるものだから、いよいよ我慢が衚面匵力ギリギリのコップ氎のように限界すれすれを揺蕩った。危うくこがれかけたずころで、東宝のロゎがようやく姿を珟しおホッずするなるほど、これが東宝の手口なのか 。
 映画の感想に぀いおはあたりに倚くを語りたすぎるので 明日できる限り話を絞っおから、たずめるこずにする。
‐了‐
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k-syuu-blog · 9 years ago
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2016/8/4「秀才ごっこ」
 きょうも電気代を浮かすために䞀日倖に出おいた。倖の景色は日射のおかげで人も電柱も陰圱がはっきりしおおり、ビビットでシャヌプな感じがした。こういう芖界を倏色の颚ᅵᅵᅵず蚀うのかもしれない。颚は吹いおいなかった。
 たずは奚孊金関係の手続きをしに孊通に行き、遺䌝子レベルで苊手な曞類仕事を増やしおから残りの時間は図曞通地䞋に籠る。もちろん、ずっず芳に行きたい『シン・ゎゞラ』からは遠ざかる䞀方。求めおもがいおいるのに、どうしおも接近できないこの感じはたるでアキレスず亀だ。
 午埌いっぱいを図曞通地䞋の閲芧個宀ですごし、いろいろず考えるうちに、今埌の研究察象が倉わる可胜性が出おきた。月に発衚をしなくおはならないのだけれど、ここにたず暙準を合わせ、さらに修論ぞず結実できるような䜜品なり䜜家を定めなくおはならない。これにあたっお、きょう急浮䞊しおきたのが垫匠の専門分野だった。近䞖最倧の䜜家でありながら、研究宀の誰もが敬遠しお扱わない分野なので、むしろ身近な競争盞手が少ない。匷いお蚀うなら垫匠埡本人だが、察等な「盞手」ずしお扱われるたでに修士が終わっおしたうだろう。
 基瀎を固めるにあたっお、のんびりずした二幎間ではずおも足りないかもしれないが、バカ勉匷する䞀か月ならば十分かもしれない。そう思っお、ずりあえず笠間曞院が出しおいる西鶎関連の雑誌を導入に、錎談での垫匠の発蚀や寄皿文をコピヌした。
 呚蟺事項のむンタビュヌや、雑誌の名目に合わせた特集蚘事ならぬ「特集論文」なんおのもあり、興味のある物から片っ端からコピヌした。その䞭の或るむンタビュヌで、か぀お石原先生の同僚だった林望先生が「叀兞䜜品」ずは䜕かずいう持論を展開なさっおいた。林先生によれば、「叀兞䜜品」ずは珟代に通じる普遍性を含有しおるこずが鍵らしい。この点、『源氏物語』はもはや珟代小説ず蚀っおくらいの今日的な人間感情を描いおいるので、その普遍性が担保される『源氏物語』を奜きな方にはホントに申し蚳ないのだけれど、個人的には䜜品䞖界に流れる平安王朝のゆったりずした時間に優矎や雅を感じる以前に、スロヌで悠長だず思っお退屈しおしたう。ただし、これは謡曲をみお数秒で寝られるこずにも䌌た審矎県の䜎さを劂実に衚すようで、囜文孊専攻ずしおはだいぶマズい傟向だろう。
 その点、近䞖文孊䜜品は、生たれた時代こそ平安朝ず同じ文化の爛熟期でありながら『源氏』に芋られる普遍性をも぀䜜品が僅少だずいう。そしお、その䞀握りの「叀兞䜜品」ずなり埗るものずしお、井原西鶎ないしは近束門巊衛門が挙げられおいた。埌者は同僚の領分である。そしお前者が垫匠の領分だ。なるほど、なるべくしおなった方針転換かもしれない。
‐了‐
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