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kakkokuten · 4 years ago
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オデュッセウスの旅の全体が、『オデュッセイア』の全編が、ノスタルジーの旅と対になったアイデンティティの探求に率いられ進行する。(中略)アイデンティティもまた明らかに、シニフィアンの問題である。とはいえ、オデュッセウスのアイデンティティの探求は、彼がイタケーに戻ると、[本人だと認めてもらう]承認のプロセスへと変化する。そこでは、言葉やシニフィアン、その本来の意味と本来の意味よりもより本来的な隠喩としても意味も、その重要性が絶えず確かめられる。
Barbara Cassin著 馬場智一訳『ノスタルジー』p.33(花伝社, 2020)
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kakkokuten · 4 years ago
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彼が欲しているのは、年齢をもったペネロペイアである。永遠の若さではなく、過ぎ去っていく時間なのだ。たしかに、ノスタルジーは空間と時間を関連づける。とはいえ、ノスタルジーによって人は、いつかは死ぬ身の限られた人生を選び取り、この限られた人生の錨をある場所に下ろす。異郷での愛は、異郷にても、同一的なものへの欲望に屈する。カリュプソの至高の美よりも、永遠よりも、ノスタルジーは有限性を、oikade、つまり家を選ぶ。我が家に帰ること、それは、老い、死ぬという運命を共にすることである。
Barbara Cassin著 馬場智一訳『ノスタルジー』p.28(花伝社, 2020)
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kakkokuten · 4 years ago
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また、美における言語や概念は、はるかに積極的な役割を担っている。美の与える快は精神を活性化する。その状態においては、概念的な思惟がむしろ積極的に展開される。例えば、絵画に描かれた或る対象が何であるか分からないときには、むしろそれを解明しようとする。美は言語的な挑発である。しかも、描写対象を同定するだけに止まらず、われわれは言葉によって美に挑もうとする。すなわち、美は、われわれがそれを言葉によって捉えようと試みたくなるような魅力であり、かつ、どのような言葉もそれを捉えることができないがゆえに美なのである。
佐々木健一『美学辞典』p.13(2013, 東京大学出版会)
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kakkokuten · 4 years ago
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フランス人のものの考え方の基本は、対象から受けとめた感じを、一度すっかり分解した上で、ふたたびもっとも明晰なかたちで言語という道具を使って表現しようとする筋道にあたるのだという感じがします。
田辺保『フランス語はどんな言葉か』p.107 ( 講談社学術文庫, 1997 )
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kakkokuten · 4 years ago
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フランスの中学校・高等学校ににあたるリセ(lycée)のフランス語の時間には、一つの文章について、個々の語を完全にこまかく文法的な要素にときほぐし、分析させ、相互の関係を述べさせる「アナリーズ」という作業が課せられています。この練習によって、フランス語文章の構造をのこりなく理解し、つぎに道具としてこれを十分に利用できる用意をととのえておくわけです。
田辺保『フランス語とはどんな言葉か』p.107 (講談社学術文庫,1997)
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