kazushiyoshida

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Installation view 《Makeshift ーアラヨッティズムー》

武蔵野美術大学2号館1階 gFAL（Gallery of The Fine Art Laboratory）［東京］2024 主催：武蔵野美術大学油絵学科研究室

展示協力：山岸武文（Studio HaGaNeKo）

アラヨッティズムについて ｜ 吉田 和司

アラヨッティズムとは何でしょうか？ 物事を定義付けることで人に伝えやすくはなるが、なんとなくそれを拒む自分がいた。ただ「ズム」と付けたかっただけだと思う。 今回、写真で提示した物がその主軸であって、町中を歩く僕の目を呼ぶそれらが「アラヨット」というものらしい。３年間ほど撮り溜めた写真に写っている物は、誰かの工夫の影（そのものではない！） なのであるが、2000 枚くらいの写真を見返してみると、それらは或る方向に偏っていてバラバラではなかった。しかも最中においては、撮り続けるうちにその発見の純度も高まっていく気がした。次第に意味ができていくことに気付くと同時に、過去に自分が作った美術作品にも似た傾向があることにも気付いてきた。やはり「逃れられない」のだと思う。 例えば、X（Twitter）で、自分が「いいね」や「リ��スト」をした〈他の誰かが撮った写真〉にも、多少の違いはあっても似た傾向を感じるし、その逆もあるので共有ができる、ということか。Xで流れるトマソン的��像に僕自身がビクッとなることもよくある。共有できているのだと思う。 トマソンを引き合いに出した話しになることもあるけれども、「アラヨット」には、継続される物の類が写っていることが多かった。その時点での物（「アラヨット」） なのだ。時たま、「以前撮った写真」に写っている物が気になって、わざわざ見にいくことがある。変わっていないことも多々あるが、変化していたり、無くなっていることすらある。 私が好きでよく行く骨董市で買う物も然り、「アラヨット」はメジャーとは言い難いが、誰かが拾い上げないと無くなる。それは「アラヨット」だけではなく「ホラヨット」かもしれないし、「エイヤット」かもしれない。わりと身の回りにあるのです。

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L〜R）hammer 2018 / 金槌、釘

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L）knife 2016 / スコップ C）brush 2014 / 電気コード R）shovel 2014 / 電気コード

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L）shovel 2018 / ショベル R）shovel 2018 / ショベル、枝、鉄パイプ

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measure 2024 / 巻き尺各種

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ruler 2024 / 定規各種

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L）umbrella 2022 / 傘、布テープ R）umbrella 2024 / 傘、マスキングテープ、電気コード

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shift 2024 / 地図、紙、新聞紙、床板、写真

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（おそらく3個は存在する） 2017 / ペン、紙 / 300×310（mm）

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（いつ使うものかどうか分からない。いつか分かるかどうかも分からない） 2017 / ペン、紙 / 300×310（mm）

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（佇まいは何とかして保持したいものだ） 2017 / ペン、紙 / 300×310（mm）

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Time 2017 / ペン、紙 / 300×310（mm）

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（これのいったいどこをどう使いこなせというのか） 2017 / ペン、紙 / 300×310（mm）

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（自立した背もたれを助けてやらないと） 2017 / ペン、紙 / 300×310（mm）

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（形だけでは環境に適応できない） 2017 / ペン、紙 / 300×310（mm）

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（分け隔てなく対応することなどできない） 2017 / ペン、紙 / 300×310（mm）

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Installation view

《事物屋博物館》

いちはらアート×ミックス2017［千葉県］

主催：いちはらアート×ミックス実行委員会

｢事物屋博物館｣では、市原市内で「事物屋的アプローチを行っているモノ」のリサーチを行い、モノや写真およびそのレポートを展示。〈リサーチレポート〉

あわせて2016年に行った「分解・解体ワークショップ」の参加者作品の展示を行った。隣室の「吉田事物屋」では作品の展示・販売。

展示協力、ショーケース用照明デザイン・設計・製作：山岸武文（Studio HaGaNeKo） 写真：石川卓磨

時を巡る、いつか使えるもの、物の思考

ー「事物屋的視点」についてー

物事に起こる問題を解決しようとして、何かしらの道具が必要となった時、どうするか。 専用の道具など持っていない。「その場にあるもの」を組み合わせて、その問題をなんとか解決できたとしよう。その時作った道具とは？器用な人ならそれをまさにそれ専用の道具として、作り上げ、使用する。器用でない人でも、一時の道具として作り上げるだろう。

気になる点は、「その場にあるもの」をどう発見するかである。「その場にあるもの」は、なぜその場にあるのか？���際、問題解決に使用できそうな「その場にあるもの」は、そんなに都合よくその場にはない。

タイミングよく「その場にあるもの」を発見し、いつか使えるものにする為には、日頃捨てるゴミを、〈形、マテリアル、同じものがいくつあるか〉などの分類によって、来るべき時に備えて把握しておかねばならない。これらの条件をクリアして保管することができれば、ゴミのようなものも「その場にあるもの」となる。タイミングさえ逃さなければ、別の用途として日の目を見ることになる。

使えなくなったゴミのような部品や欠片は、やがて時を経て別の道具の部品として現れる。そう、彼らは時が来るまで待ち続けているのだ。そして過去から現在へやってきて、さらには、現在の道具を過去へ引きずり込む。時の流れは一方向だけではなく、途中に分岐があることを実感させるだろう。

吉田和司