Tumgik
ken5ma2mo10 · 6 years
Text
天使たち
三年ぶりにフルアルバムを作った。音楽を作るという事は非常に好きだし比較的得意だが、世間に「これが私の作った超かっこいいブルシットです」というレベルのモノを作るのは、しかもフルアルバムを作るのは、途轍もなく骨が折れる作業だ。かすかな断片やスケッチを元に世界を描く。世界を描いてそこに流れる音色をイメージする。音色のイメージを西洋の音階に起こしていく。先達のやり方を盗むために音源を聴きあさる。必要にかられ高いエフェクターを買う。金がなくなる。ただ、骨が折れるている状態というのがひっきりなしにタバコを吸い天井の隅を見ながら酒を飲み「あー」「うー」と音声を発しているだけなので、はたから見れば只の生活保護の白痴だろう。
自分の中にある訳の分からない何か。それと向き合ったり、それを更新するのは結構体力を使う事だがそいつを差し置いてヘラヘラしながら手先だけで作品を作る事はを俺はしない。というか出来ない。ロックンロールをするためにはそいつから目を逸らしてはいけない。その作業は狂気だとか才能とか深淵とかそういうオシャレで大それた事では無くて、心得や社訓の様なものだと思う。俺が俺をレペゼンするための根拠をつかむための。俺は訳の分からないものからこれを掬い上げて形にしたんだよ。俺はすごいんだよ。っていう。
祝福の言葉の後に出来た天使たちという作品がまた俺を行ったことのない場所に連れてってくれた。まだあったんだな。そして、きっともっともっとあるんだろう。そこへ行こうとする時間が1秒でも長く続くよう俺は祈り続けようと思う。訳の分からない何かと向き合い続けようと思う。さあ、踊ろう天使たち。
0 notes
ken5ma2mo10 · 6 years
Text
All my best memories come back clearly to me
不完全さを通して完全な何かを知ることは可能だ。俺は夢のような小さな可能性の話をしているわけではない。これはつまらない言葉の遊びなんかじゃなくて、事実だと思う。
俺の限界は、俺の本当の限界より先にやってくる。本当の限界が訪れる前に、俺はきっと駄目になる。そのことに気づいたのは、夜中に、カーペンターズの「イエスタデイ・ワンス・モア」を聴いていた時だった。あまりにも悲しくて美しい歌。カレンは何で死んだんだっけか。彼女の限界は、彼女の本当の限界の後にきたのかも知れないな。
0 notes
ken5ma2mo10 · 6 years
Text
雨が降る夜は
雨が降る夜は、いつもより大きな音で音楽を聴いた。寝るまでずっと。それでも近所迷惑にはならないと思い上がっていた。アントニーアンドザジョンストンズより、雨音の方が大きいぐらいだろと口で煙草のセロファンを千切った。いつも通り爪先を見つめて泣けばあっけなく朝になる。
0 notes
ken5ma2mo10 · 6 years
Text
雨を吸う髪が
雨を吸う髪がカールする。永遠に終わらないように思える夜がスイッチを切るように暗転する。目が覚めてやはり、あっさりと未来が実現する。無数の酒の空き缶、山盛りの吸い殻。薄っすら聞こえるワッツゴーインオン、ワッツゴーインオン。そうだな、俺も方法を考えなきゃならないな。この憂鬱と何とか楽しく遊ぶ方法を。
0 notes
ken5ma2mo10 · 6 years
Text
俺の記憶は映像でも音楽でもなく、ところどころ消えて読めなくなっている文字が大部分だった。何十年も書いてきた日記の。書くことの中で書くをせず、書くことの向こう側だかこちら側だかで書いてきた俺の字は、自分でも読めなかった。
どう答えていいかわからず、俺はそれらについて、最高だとか、最悪だとか関心がないとか言ったと思う。でも俺が言いたかったのはそんなことではなかった。本当に最悪だったのは、俺が言えなかったことだけが、いつまでも俺の中に残り、消えなかったことだ。
俺に言えないことを、俺は言おうと思う。何も残さず、すべてを消してしまおうと思う。それがしたいんだと、今は強くそう思う。
0 notes
ken5ma2mo10 · 6 years
Text
例えば、俺が今必要最低限の金しか持っていないのは、今の俺に必要最低限の金しか必要ないからだと思う。必要のないものを求めても、それが与えられることはない。
俺今まで自分の欲しかったもの、やりたかったこと、行きたかった場所、会いたかった人を、全部偶然見つけてきた。自分の欲しいものが自分でわかってない人は、それを手に入れることができないと村上龍は書いてた、論理的に考えれば真実だ、ただ俺の実感では違う、偶然何かを見つけて、それを手にした瞬間に、無意識の内に自分がそれを探し求めていたことに気づく、
何かを手にし、誰かと出会うことは、自分の内面を知ることにつながっていた。そこそこ長い間生きていて、俺はようやく、自分がどんなことが好きで、どんな場所で、誰と一緒にいたいのか、つまりは自分がどんな人間なのか、そう言った基本中の基本を知りつつある。知りつつあるが、まだ全然わからないことの方が多い。全く馬鹿げてる。
自分を知るということは、自分のやりたいことを知ることだと思うが、自分のやりたいことを事前に知ることは、馬鹿な俺には到底不可能で、やったり、やれるようになってから初めて、これがやりたかったんだ、こりゃいいや、などと間の抜けた感想を持つようになる。
俺はそういう、ある意味恵まれた、幸運な男で、それのお陰でなんとかこうやって生き延びてるわけで。つまり、俺が幸運なのは、俺に幸運が必要だからなのかもしれない。幸運がなければ何回も死んでいた。運なんか良くなくても充分以上にやっていける人が羨ましい。心の底からそう思う。
1 note · View note
ken5ma2mo10 · 7 years
Text
海の果てに行こうぜ
ずっと前、もう10年位前、当時唯一の頼りだった初期衝動をなくし、自分の音楽的才能を信じ切れなくなった俺が泣きついたのが彼だった。10代の頃愛聴していた、好きすぎて、真似をしすぎて、影響を受けた事を余り公表したくないくらいのギタリスト(髪を掻き上げ宙を仰ぐ仕草だって自然に彼から伝染したものだ)を当時俺を見かねたレーベルの人間が「話を聞いてこい」と紹介してくれた。「やるしかないよ、音楽を。あなたが必要と決めた練習ならそれはあなたを裏切らない。あなたが真剣に行う思考活動も真剣である程あなたを裏切らない。あなたがやる音楽において、誰かあなたを裏切る者がいるとすればそれは常にあなた自身だけだよ。音楽をする人には2種類いる。全うするヤツとしないヤツがいるってだけなのよ。」と彼は泥酔の隙間に一瞬冷めた目をして言った。その夜、俺は一つの決意をした。
そこからまた、かなり時間が経ち、半ば伝説化していた彼のバンドが再結成し、共演が決まり楽屋で「ご無沙汰しています」と挨拶をすると「久しぶり。あなたの様なロックスターと共演できて光栄です。」と握手を求められた。俺はその事が凄い嬉しかった。俺はやっと借りを一個返す事ができた。
そして一昨年、俺が死にかけて、病院から出る事ができず、大事なステージに立てないかもしれない。そもそも生死が危うい時に、いざとなったら代役を引き受けると言ってくれたのも彼だった。俺はかなり弱気になっていたが、「代役に彼を立てる可能性がある」とマネージャーに告げられて「それは死んでも嫌だ、たとえ翌日死んでもステージに立つ。病院脱走してでもだ。」とマネージャーに告げそこから驚異的に回復しステージに立つ事が出来た。俺が退院後彼に代役を引き受けてくれたの礼と無事ステージを全うした報告をメールすると返信に「何があってもあなたが弾くべきですし、あなたは何があっても弾くだろうと思ってたよ」と書いてあった。また借りが一つ出来てしまった。そしてその借りはもう返せないって事が決まってしまった。
また置いて行かれた。また先を越されてしまった。生き残るっていうのはそういう事なんだ。毎日それを選んでるはずなんだ。もういい加減、分かっているハズなんだけど、こんなに寂しい気持ちになるのにはいつまでたっても慣れそうにないよ。もっともっと聞きたい事があったんだ、あのギターで出してるとは思えないモジュレーションの事とか、M9の使いかたとか、ワーミーはやっぱり初代なのか、とか。まだまだ教えて欲しい事があったんだよ。本当に寂しくなるよ。
1 note · View note
ken5ma2mo10 · 7 years
Photo
Tumblr media
2017 9/17
0 notes
ken5ma2mo10 · 7 years
Photo
Tumblr media
欲しがらなくても、手に入れることができる。俺は自分が恵まれているとは思わない。恵まれていないとも思わない。秀でてるとも思わない。秀でてないとも思わない。余裕で普通だ。ただ余程のことが起きたというだけで、余裕で普通だ。 夢を見なくても、実現することはできる。なのにどうして、夢を見るのか。欲しがらなくても、手に入れることができる俺が、どうして欲しがるのだろう。やっとわかった事がある、俺は欲しいのではなく、欲しがりたい、夢を実現したいんじゃなくて夢を見ていたい、ってだけの話なんだってことが。 起きているときでも、その夢の情景が、幻のように蘇り、現実と二重写しになる。数年前の春に見たリアルな白日夢が、あまりにリアルだったもので、ずっと気になっていた。俺たちは車に乗っていた。お前と俺、運転席に誰か。助手席にもう1人誰か。 開けられた窓から初夏の風。助手席の誰かが振り返り、何か下らない冗談を言い、俺たちは笑う。木漏れ日の下を車は行く。そんな感じの幻で、前の席の2人は誰なのか、いつなのか、俺たちは何をしにどこへ行くのか、そういった事は全部曖昧だった。 正夢になってしまった夢を、それ以上繰り返し見ることはない。俺は夢の正夢化を望むのか。今はどうでもよくなった。ほんとに、誰が誰でもいいし、いつがいつでもいい。 既にもう、半年も前に、あの時点で俺たちは、一緒に車に乗り込んだのだし、あれから季節は冬から夏へ進んだのだし、何をしに、どこに向かっているのかは、着けばわかると思う。いつもそういうやり方でやってきた。じきに着くだろう。そこできっと、たぶんきっと、前席の2人と、後席の2人が、ペアになって踊るだけの話だ。 ところでだ。行こうとする奴らと、着こうとする奴ら、どちらが確実に行けるだろう?先に着くのはどっちだ?つーかその2組は、同じことをしようとしていると言えるか? 俺は行く。着くかどうかだけを気にするヤツたちが、誰も行こうとはしない場所へ。一握りの人間が行けた場所へ。
0 notes
ken5ma2mo10 · 7 years
Text
ペニシリン(バンド)
今にして気づいてみれば、俺の弾く悲劇的な曲の、もげるようなあの激しい演奏が、甘く幸せな日々をもたらしているのかもな。
才能がないので、書くのを我慢する、演奏を発表するのを控えるなどということを、俺やあいつはしない。我慢とは俺やあいつの才能に金を支払う奴らがすることだ。我慢して、払ってくれよ。我慢して、読んで、聴いてくれよ。つまりの所俺たちにはまったく才能がないわけではないのだと気付く。
じゃあだ、お前や俺が差し出せなかったものは何か。何が残ったのか。お前や俺が決して得ることのできなかったもの。それが心の中に残ったんだ。それと向き合え。もう照れてる場合じゃないんだ。
0 notes
ken5ma2mo10 · 7 years
Text
犬ウォーター
そんなに昔ではない何年か前の話だ。俺は金回りがとても悪くなったり、女に裏切られたり、仕事や自分の才能に行き詰まったり、胆のうに石(超音波を用いて粉砕した)が出来たりして生活や精神肉体が無茶苦茶だった。誰もが一度は考える事だろうけど「もういいかもしれないな。俺は良くやったと思う。これからは誰も俺の事を知らない海辺の街で頭髪を全部剃って入れ墨をいれて、有り金全てを酒に変えて、どこの誰でもないアル中になって旅館の下働きでもして生きていこうかな」というような事を考えながら脳みそが外れるまで酒を飲んで気絶していた。そういう時期、確かノイズ塗れのアルバムを作ってるその時だった。よく飲みにいくバーのママに「あなた絶対好きだと思うよ」と言われて渡されたのが心臓日記のセカンドだった。心臓日記のセカンドはその時の俺の孤独や憂鬱にぴったりとハマった。久々に、俺の心のもっとも柔らかい部分を、そもそも残っていたことも忘れていた柔らかい部分を、ぐにょぐにょかきまわされた。俺はこの本は良く知ってる何かに似てると思いながら読んでたんだけど、それはブコウスキーなのか、ヘミングウェイなのか、ミラーなのか、清水アリカなのか、その時俺にはよく分からなかったけど、今は分かる気がする。それは俺の人格形成の8割くらいを担ってるミッシェルの三枚目の歌詞やギターの音にそっくりなんだと思う。表面は乾いていて中が湿っていて「フラフラ咲いて カラカラ鳴いた 続いて行くんだろう」「大したものはないだろうという それでもいいとあの娘は笑う」って言葉に集約される泣き笑いをしてるような憂鬱にそっくりだった。俺は早く全部読みたくて浅草橋にあるビルの玄関で封筒に多めの金をいれてファーストとサードを買った。
誰かが笑い誰かが白ける軽口。惨めな独り善がり。漠とした苛立ち。飲めば極楽。愛。そういうあれこれ。吉田はそこから始める。っていうかそこからしか始まらない。多分に漏れず新作もそうだ。到底一流とは呼べないテクニック。視界の悪い車のフロントガラス、毛羽立った歯ブラシ、脂汗にまみれたスマートフォン、相変わらず爽快さのかけらもなく憂鬱と孤独をタイヤの様に引きずって強引に突き進んで行く。俺達は忘れてはいけない。ほとんど誰も知らない場所でナイフを研ぎ機会を伺ってるヤツがいる。俺達はそういうヤツがいる事を忘れてはいけない。ヤツはナイフ一本を使って未明の悪夢に忽然と現れては天使のごとく恩寵をもたらし、かと思えば、週末のガーデンパーティに忍び込んでローストビーフをかっさらってゆく。歓喜せよ!ハレルヤ!しかし同時に、気をつけろ。右側に。あるいは、左側に。そして、内側に。
今回俺は吉田の新しい本の表紙を作った。頼まれてないのに作った。表紙が出来たら中身を作らないといけないからだ。俺はよしだの新作を読みたかったから。多分俺が一番新作を待ってる読者だから。この本に低くも高くもない俺の知名度の力を貸して今までよりほんの少し多くの人、今までよりももっと面白い人に届けば本望だ。
1 note · View note
ken5ma2mo10 · 7 years
Text
さわやか
理解や共感が発生するのは頭の中だと思う。人が救われないのはハナから決まっている。当たり前だ。完璧な救済なんてありえない。だから俺はそのときどきによって少しずつ救済されるしかない。音楽が鳴り響くのはドーナツの輪ではなく、その何もない中心だ。理解や共感の上でしか成りたたないものは俺と相手との関係性を放棄している。理解や共感が鳴るのは俺の中心にすぎないからだ。俺のギターは拳銃で、俺の思考は弾丸だ。あいつらは俺が世界に向けて撃った流れ弾にあたった。でもあの時あいつらはは確かに俺になら打たれても構わないと思ったはずだ。ほとんどの人間は銃を持っていても撃たない。何かしゃべっていると思いこんだまま何かしゃべっている。俺はもうそういう奴の話を聞く事にとっくにウンザリしている。いいか俺は分からないまま何も理解しないまま弾を込めて銃を撃つ。俺はただ美しく羽をひろげた。羽は透明で、透きとおれば嬉しかった。
0 notes
ken5ma2mo10 · 7 years
Text
俺が音楽を演奏した。その音楽がお前が見つけた。その音楽がお前を俺の元に連れてきた。その音楽がお前にそういうダンスを踊らせたのだ。
0 notes
ken5ma2mo10 · 7 years
Text
最悪の気分だ
0 notes
ken5ma2mo10 · 8 years
Text
短い
仕事をしていても、何もしていなくても、アルコールが入っていなくても、入っていても、何をしていても、ずっと、ぐんぐん暴れだしそうになる自分の欲望の頭をなだめる様に、なでながらぼーっと何かを考えている、次の行動の為の何かを考える、次に自分をどう転がそうか考える。それは、明るい方向か、それとも暗い方向か、希望的かそうではないのか。どういう快楽に溺れるのか。
もう俺には次のでかい一発はこないのかもしれない。もう二度と会えない友達からの手紙にはそう書いてあった。悪いけどな俺は次のデカい一発が来るかどうかなんて考えもしない。ただ、次のデカイ一発が来る時のための準備を怠らず、てめえを転がしておく。その時間が一分一秒でも長く続けば俺はそれで良い。来るかどうかもわからない一発に備える。俺の欲望が王道で俺の欲望こそが普遍だ。そう言い張れる時間が一分一秒でも長く続けば俺はそれでいい。それに相応しい俺である時間が一分一秒でも続けばいい。その時間が終わるときが来れば、有り金全てを酒に変えて、狩猟免許を取得してショットガンでも買ってそれを口に咥えて頭をぶち抜けば良いだけの話だ
0 notes
ken5ma2mo10 · 8 years
Text
生活に疲れ果て、クマに囲まれて陥ち窪んだ目をしてる俺の歳くらいの男がノスタルジックな思いに駆られ、故郷の町を訪れる。ヤツは子供のころ、近くに住む女に渡そうと苦心して書き上げたが渡せなかったラブレターのことをふと思い出す。記憶を辿ってその手紙を隠しておいた場所を見つけ出し何十年かぶりにそれを開けてみる。中には、女性器を描いた稚拙な絵が入っているだけだった。 結局は音楽だ。音楽は俺の心を切り裂き、内面を限りない静けさで満たす。俺の外側では鳴っている音楽が、内側では逆に静けさに変わる。もちろんその反対が欲しくなることもある。でもそういうときは決まって俺の心は何を求めればいいのか、わからなくなった。
0 notes
ken5ma2mo10 · 8 years
Text
確か、それは高2の10月の事だ。ラルクやらhideやらのコピーバンドをやってたヒョロくてチャラくて後輩から人気があった軽音楽部の一個上が日頃からギターを担いでる俺を訪ねて来てこう言った。お前ギターやってるんだって?試しに何か弾いてみろよ。部室にアンプのもあるしさ。このチャンコロの集まりの前でか?俺は少しためらったけど、弾くことにした。音楽で自分を表現する。これはいい機会だと捉えた。俺は部室に出向き、ファズとディレイを繋いでフルテンにした。さあ俺と一緒にダンスだ。さあ行こう。死ぬほど踊らせてやる。今から演奏されるのはお前らが初めて耳にするノイズミュージックだ。ソニックユースを知ってるか?ノイバウンテンは?阿部薫は?高柳昌行は?アルバートアイラーは?あちら側へ突き抜ける事が出来た数少ない偉大な音楽家達だ。ピックを振り下ろす。ノイズに次ぐノイズノイズノイズ。で、俺の即興演奏が終わった。沈黙を、沈黙が埋めていく。唖然として俺を見る数人の、その沈黙に、さらに沈黙が、次々と、重なっていく。サンキュー、音楽がまた俺に、新しい世界を開いてくれたんだな。クスクス笑う声も、あざけりの視線も、消えた、完全にだ。30秒後、誰かが、恐らく多分いちばん臆病な1人が小さく「おお」と言った。他の数人のそれにつられて「おお」とか「うん」とか言ってた。
2 notes · View notes