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2017.11.3 ‘日本のJAZZ’ CLA-6 tracklist (moanyusky)
日本のJAZZがテーマということで、約1000枚ぐらいのレコードの中から、どれやろうな?と選出していったわけなのですが、今回はフュージョン(82年ぐらい)、クロスオーバー(77年から80年ぐらいまで)では無く(年代は勝手な解釈)、ジャンルが確立する前夜、70年代の日本のJAZZで起こっていた音が録音されている音源を中心に選盤していたわけなのでした。しかし、1000枚もあって日本のJAZZレコードがなんと20枚ぐらいしかなかったという散々な結果となりました。今回の国見小路CLA-6の経験から日本のJAZZへの愛が復活しましたので、まだまだ買っていこうと心に決めたCLA-6でした。
tawaki氏は100枚は日本のJAZZレコードを持っているようで、バラエティ豊かに選晩されていました。特にtawaki氏の選晩したTBM(Three Blind Mice)のマニアックな音源を聴き、レーベルのイメージが変わりましたし、日本音楽のアンダーグラウンドの底力を感じれた選晩でした。 今回はtawaki氏の同級生のJAZZディガー藤田さんと、奈良の八木にお住いの筋金入りのJAZZマニアの神田さんがゲストということもあって、本当に楽しみな夜でした。 お二人ともJAZZ愛が溢れており、音楽のお話に夢中になった夜となりました。 神田さんのお話と活動を聞き、僕自身の今後の活動の道しるべになったような夜でもありました。下記内容が選盤内容となります。
1.Isao Suzuki / Manha De Carnaval ( from LP ‘Black Orpheus’ 1976)
https://www.discogs.com/Isao-Suzuki-Trio-Black-Orpheus/release/3478334
今回のフライヤーデザインで使用しているネズミがトレードマークのTBMレー��ルを知るきっかけとなったレコード。 ベーシストの鈴木勲さんの作品。 録音が素晴らしく良いレコードです。 鈴木勲さんの多重録音も楽しめる作品。楽曲中に弾くベースライン、そしてメロディとなる部分も自分のウッドベースで弾いてしまっている名演奏。冒頭の弓で弾く、ベースの轟音から始まる物語は本当にクール。この演奏を聴いてしまうとまだまだこのレーベルにはやばい音源あるのでは無いかしらと、掘る者そそる、恐ろしいレコード。快作。
2.Stomu Yamashitas Red Buddha Theatre / What a Way to Live in Modern times ( from LP ‘The Man From The East’ 1973)
https://www.discogs.com/ja/Stomu-Yamashtas-Red-Buddha-Theatre-The-Soundtrack-From-The-Man-From-The-East/release/773277
打楽器演奏家、ツトムヤマシタさんの演劇のサントラ。 ヨーロッパで活動を行い、YMOより早い逆輸入ヒットを飾ったヤマシタさん。この後、ドイツのクラウスシュルツ、クラウトロックの面々と邂逅するなど、とても面白い活動を行なっているジャズ畑から世界に繰り出した先駆者。 ジャズや現代音楽、プログレッシブロック、ニューエイジミュージックと色々な顔を持つアーティストですが、実験心溢れる初期のサウンドトラックJAZZ作品を選晩しました。この作品は和の要素とジャズを混ぜこぜにした、早すぎたクロスオーバー?ミクスチャー?ミュージック。当時のアングラ演劇の匂い、JAシーザーなんかのミクスチャー加減と似てはいますが、ロックというより、JAZZの要素が濃ゆく出ているところヤマシタさんらしい作品。
3.Bingo Miki / Children At Play (from LP ‘Scandinavian Suite’ 1977)
https://www.discogs.com/ja/Bingo-Miki-Tatsuya-Takahashi-The-Tokyo-Union-Scandinavian-Suite/release/2572778
こちらはTBMの名作。アメリカのバークリー音楽大学を卒業している三木敏悟さんのデビューリーダー作、ビッグバンドジャズファンクの名作。 ハービハンコックのカメレオンを模した作品からビッグバンドファンクに落とし込むことによって、パクリの領域を最初の何分かで超えてしまい、全編オリジナリティ豊かに楽曲が羽ばたいています。素晴らしき編曲。演奏力が凄い。 特にゴダイゴのミッキー吉野のラリったシンセが最高。
4.Terumasa Hino / Aboriginal ( from LP ‘Double Rainbow’ 1981)
https://www.discogs.com/Terumasa-Hino-Double-Rainbow/master/290198
現在は体罰の人で有名なヒノテルのエレクトリックマイルスもびっくりしてしまうようなオリジナリティ溢れる作品。エレクトリックスとヒノテル流のマイルス節をミクスチャーさせ、民族音楽の領域まで行こうとしているところ、驚きを隠せない音の数々がこのレコードには刻まれています。 ダサいジャケにこんな音が入っているとは!!!と聴いた方は驚かれるはずです。 日本のレアグルーヴムーブメントでとりあげられる70年代のジャズファンク期の作品群、日本から遠く離れたUKアシッドジャズムーブメントでもとりあげられる80年代後半フュージョン期の作品群。 顔は変われど、音楽の品質が変わらない、音楽マニアに愛されるヒノテルの素晴らしさ、このレコードでも感じれると思います。 レコ箱探せば1000円もしない値段で買えます(笑)
5.Teruo Nakamura / Understanding ( from LP ‘Unicorn' 1973)
https://www.discogs.com/ja/Teruo-Nakamura-Unicorn/master/176266
TBMレーベルの音源は70年代当時から、録音、内容が素晴らしいということで、アメリカのジャズマニアがTBMのレコードを欲しがっていたと神田さんは言われていました。 その中でもレア盤になっている中村照夫のユニコーンからの選曲です。 僕が持っているレコードはUKのレーベルからの再発盤です。ジャケット、内容ともに素晴らしい作品です。原盤は激レアです。 6.Kazuhiko Takeda with Strings / Round Midnight ( from LP ‘The Good Life’ 1981 ) このレコードは今回の国見小路CLA-6のために出会ったようなレコードです。 僕のライフワークとなっているリサイクルショップ巡り。ある年からレコード屋より行くようになった市民のエサ箱で巡り合ったレコード。 奈良の天理出身のジャズギタリストの初リーダ作にして、ギター一本とオーケストラのバランスが素晴らしいオーケストラジャズの名作。 こちらも神田さんはご存知で、竹田さんのことを教えて下さいました。 日本のジャズのレジェンドギターリスト、現在80歳を過ぎても現役でやられているジャズマンです。息子さんも名ジャズドラマーのようですが、息子さんの方が先にお亡くなりになったようです。僕はグラントグリーンのユニークなギターサウンド(彼の癖)が好きなのですが、この竹田さんのギターも独自の癖が素晴らしい作品です。オーケストレーションの編曲は大野雄二もびっくりするぐらいの素晴らしさ。ギルエヴァンスの編曲の緊張感溢れるRound midnightも最高ですが、暖かいオーケストレーションと竹田さんのギターに抱かれた、今回選曲したバージョンも捨てがたいです。 80年代初頭の録音。しかもマルチチャンネルでは無い味わい豊かな音がビニールに刻み込まれています。
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2017.11.3 ‘日本のJAZZ’ CLA-6 tracklist (tawaki)
1. T. Honda+Mama T. / misty (from LP ‘misty' 1976 / trio records) https://www.discogs.com/.../T-Honda-Mama.../release/3905641 本田竹廣のピアノトリオがアメリカ人ヴォーカリストMama T.をフィーチャーし、横田基地内でおこなったライブ盤。米兵たちの盛り上がりが凄い。シンプル、パワフル、ソウルフルの三拍子揃った屈指の好盤。
2. 浅川マキ / 港町(from LP 'maki Ⅳ' 1974 / express) https://www.discogs.com/ja/浅川マキ-Maki-VI/release/1042789 ピアノに山下洋輔、ベースに稲葉国光、ドラムに森山威男、サックスに坂田明を従えたジャズ色濃厚なライヴ盤。山下洋輔作曲の「港町」は場末感あふれる名曲。歌詞はアフロアメリカンのラングストン・ヒューズ。ちなみにゲイリー・バーツの大名曲I've Known Riversもラングストン・ヒューズの詩を使っています。
3. Glenn Horiuchi / dream water (from LP 'next step' 1988 / asian improv records) https://www.discogs.com/.../Glenn.../release/3749422 日系三世ジャズピアニストのファーストアルバム。アメリカ在住アジア人の地位向上のために活動したアクティビストとしての側面もある人物。dreamwaterという曲は黒人女性のヴォーカルをフィーチャーしたバラード。最高のスピリチュアルジャズです。
4. Terumasa Hino Sextet / be and know (from LP ‘fuji’ 1972 / Victor) https://www.discogs.com/.../Terumasa-Hino.../release/3903629 リリース数の多い日野皓正ですが、本盤はメロディメイカーとしての資質を遺憾なく発揮したスピリチュアルジャズ盤。フリーの側面が強くなく、同時期の他のヒノテル音源に比べると聴きやすい。アメリカでは西海岸のジャズレーベルCatalystからリリースされています。本盤に収録された名曲be and knowは日野皓正クインテットの『LIVE!』(1973, three blind mice)でも聴けます。こちらは30分弱の長いライヴ演奏ですが、日本のJAZZの中で最も好きな曲のひとつです。
5. Sadao Watanabe / Mbali Africa ~ Encore:Tanzania E (from LP ‘mbali africa’ 1974 / cbs sony) https://www.discogs.com/.../Sadao.../release/3825776 渡辺貞夫がアフリカに傾倒している時のライヴ音源(郵便貯金ホール)。実際にアフリカ旅行をおこない、そこでインスパイアを受けて作った楽曲が収めらています。ピアノに本田竹廣、ベースに鈴木勲、岡沢章、ドラムに日野元彦、トランペットに日野皓正、ギターに渡辺香津美、パーカッションに冨樫雅彦という最強メンバー。ナベサダ流「俺のアフリカ」節が炸裂しています。
6. Kenji Mori Quartet / firebird part 1&2 (from LP ‘firebird’ 1977 / three blind mice) https://www.discogs.com/.../Kenji-Mori.../release/2953555 サックス、フルート奏者、森剣治の作品。ジャズというフォーマットにはまり切らない自由度の高いthree blind mice盤。表題曲のfirebirdは森剣治のリコーダー(縦笛)演奏が光るアフログルーヴ。
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2017.11.3(Fri)20:00〜23:30 国見小路CLA-6 @ bar suno
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2017.4.26 ‘国産電子音楽’ CLA-6 tracklist (tawaki)
1. YS / secret isle (from CD ‘perfumed garden’ 1994)
2. Tetsu Inoue / magnetic field (from CD 'ambiant otaku’ 1994)
3. Akio , Okihide / phoenix at desert (from CD ‘scratches’ 1995)
4. Sabi / plastic strains (from CD ‘hiiro’ 2004)
5. El Fog / out woods (from CD 'reverberate slowly’ 2007)
6. Toru Yamanaka / a boy is sleeping (from CD 'a boy is sleeping' 1997)
1. YSは大学のサークルの先輩でもあるサワサキヨシヒロの別名義。彼の作曲能力の高さを示す初期作品。sublimeからのリリース。2. Tetsu Inoueは主にアメリカで活動する電子音楽家。取り上げた音源は氏の作品の中でも特に抒情性の高いもの。3. Akio, Okihideもsublimeからのリリース。YSと並ぶ傑作アルバムからの1曲。柔らかいシンセのレイヤーで構築した見事な抱擁型テクノ。4. Sabiは友人の友人の友人。自身がjemapurと一緒に運営していたレーベルsaagの第2弾コンピから。5. ドイツ在住のビブラフォン奏者による音響ダブ。唯一無比のサウンドメーキング。6.かつて池田亮司と一緒にdumb typeの音楽を作っていた音楽家によるソロ作品。
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2017.4.26 ‘国産電子音楽’ CLA-6 tracklist (moanyusky)
1. Genseiichi / illegal(from CDR ‘blue works from 2010-2013’ 2013)
2. Rei Harakami / 閃光 inst(from 12‘閃光’ 2002)
3. Cheekbone / ワルツ(from CD ‘ちぐはぐ’ 2008)
4. Moanyusky / どこか遠くの島で(from CD ‘scapes album’ 2015)
5. 福島武司(武茶)/ Deep Loop I(from LP‘ディープループ’ 2014)
6. Nou(脳) / Bay Breeze(from CD‘sweet memorys’ 2009)
moanyuskyによる解説
1. Genseiichi / illegal(from CDR ‘blue works from 2010-2013’ 2013)
このCDRは私の作品scapes albumのミックスを担当してくれたgenseiichiがベルリンに旅立つ前に彼の名作blueという作品をミキシングし直した再リマスター版。今回、原盤と聴き比べていると明らかに音圧が上がっているように聴こえる。明らかに音が変わっている。 でもたぶん音圧を上げているだけでは無いと思う。無知な私は何がどうなっているかよくわからないが、内容は変わっていないのに響きが違うというわかりやすい出来事になんだか衝撃を受けてしまった。先日、他界したpan sonicのmika vainioの音源を聴いているうちにgenseiichiのこのリマスター盤を聴きたくなって、聴いてみた。冗談抜きで同一の音響空間で音がなっていることがよくわかり、今になってgenseiichiの恐ろしさを味わうこととなりました。この機会にこれを聴いたということ、これは何かの運命であり、これを冒頭に持っていくことが今最善の音ではないかと強く感じたのであります。
2. Rei Harakami / 閃光 inst(from 12‘閃光’ 2002)
tawaki氏と話している中で、国産の電子音楽といえば、やはりrei harakamiだろうと。意見が合ったわけですが、あえて外してくると感じていたので、ストレートにrei harakami作品を選んでみました。今回色々な曲を聴きこんだ中で、一番好きな曲かもしれないと感じたのでこの曲を選びました。 UAは好きですが、この曲はvocal無しのinstに限ります。 rei harakamiさんのいつもながらの音色の世界、飽きさせない展開が全体的に散りばめられたharakamiマナーな楽曲。 ある一定の集中を超えてしまった感が感じとれるレッドカーブの最後の2曲のアンビエント作品の世界をそのままポップスの中に落とし込んでしまったかのような楽曲にビビらされます。 いつかのライブでレッドカーブの楽曲を見事にダンスミュージックに変貌させフロアを沸かせていたrei harakamiの底力と言いますか、作曲家の意地のようなものを見てしまった時がありまして、その時の意地のような、ポップミュージックに対する挑戦と言いますか、自分はここにいますと力強く繊細に表明しているところに大きな意味を持つ楽曲だと感じます。 このシングル、実はプロモオンリーで12インチがきられていたというところにもとても愛おしさが増してしまう理由の一つであります。このレコードに出会ってしまったことにより、よりこの曲が好きになってしまったのです。この楽曲をかけたことでポールマッカートニーのお話になり、ポールを巡るtawaki vs nakamuraが勃発したのが最高の出来事となりました。
3. Cheekbone / ワルツ(from CD ‘ちぐはぐ’ 2008)
現在、京都在住の森内こういちさんによるソロユニットcheekboneのファースト。今でも交友があり、お世話になっている音楽家です。 昔、隣町に住んでいて、よくセッションや機材の売買などなど、よく遊んで頂きました。この作品、面白いと感じるところは曽我部恵一さんのRose recordからリリースされているというところですね。これまた違う友達が、私が好きそうな奈良在住の作家のアンビエント作品が曽我部恵一のRose recordからリリースされる!と一報頂きまして、題名がカタカナやひらがなばかりなので、変なのが出てきたと巷を騒がせていた記憶があります。とても繊細な作風にただのドローンやノイズ(垂れ流しは市民の音楽となるか!)では無く、作家性がよく感じとれる楽曲としての輝きも感じれる名作です。特に音響ロックやエレクトロニカなどの00年代前半のシンフォニックな流れの中、生まれ出たであろう時代のハーモニーが奏でられております。後半のシューゲイザーな展開に昇天するでしょう。マイブラはそないに簡単なものでは無く、アイコンでも無い。ノイズというのは色々な顔を持っているという事実を押し付けがましく無く、そこにある音として素直に提示されており、聴き手は無防備に音の洪水を受け取れる不思議な力を持った音楽となっています。 私はこの作品を聴くと当時奈良にあった、今はガレージになってしまったsampleというカフェのことを思い出しますし、森内さんの家の猫のことを想い出したりします。
4. Moanyusky / どこか遠くの島で(from CD ‘scapes album’ 2015)
自分の作品で恐縮なのですが、この曲を選びました。この楽曲は梅田にあるクラブNOONで月1で開催していたmole musicのみつきさんとhankyovainなどのメンバーで行っていたフューチャークラシックというパーティの中で生まれたメロドラマです。 奈良にあったアートギャラリーかつ、古着を売っていた夜猫という場所がありまして、そこでのグループ展の際に録音した初めての作品の中に入っていた楽曲となります。その楽曲を再リマスターしてファーストアルバムに入れました。マスタリングはgenseiichi。今回、この楽曲をかけたことによってCDが売れたのでとても嬉しく感じています。ありがとうございました。
5. 福島武司(武茶)/ Deep Loop I(from LP‘ディープループ’ 2014)
先日、ヨーロッパツアーも大盛況だった、武茶さんの実質上の最新作。長年音楽を聴いていると、テレパシーのようにこれ、ヤバイかもという音も聴いてもいないのに、その、なんというか、香り、匂いだけで感じとれることがあります。武茶さんのdeep loopは反応してしまいました。匂いがプンプンしました。 神戸にあるhangesha recordさんに武茶さんが長年大事に保管されていた過去の自身のレコード作品の在庫が一挙に入ったと一報頂きまして、次の日に神戸に行きdeep loopとともに全作品を購入しました。もちろん、過去のハウス作品も極上なのですが、それより何よりも最新作の音の深さにやられてしまったのです。最新作が一番良いという現実。私はとても凄いことだと感動したのです。現在、世界中で日本産のハウスミュージックが再評価を受け、コンピーレーションや編集版など、まぁ盛り上がっているわけで、武茶さんも国産ハウスの人気により掘り返されてしまったアーティストの1人という認識が一般的な解釈だとは思いますが、deep loopの音を聴くと、あのj dillaのドーナッツの尺感を思い出してしまいますし、dillaのドーナッツを初めて聴いた時にこりゃ現代音楽だなと衝撃を受けたあの感覚が戻ってきたことを今でも鮮明に覚えています。知り尽くされたスムースなコードとグリッチなビートとの絶妙な抜き差し、ミックス具合を聴いていると、こんな音楽誰も作っていないぞと!とても興奮します。ymoが数値かしたかったグルーヴを解体し、骨組みだけで構築されたクリックビートの上にシャーデやラリーハードが作り上げたウォーターベッドな音世界が肉付けをかますように骨を覆うわけです。馴染みが深いブラックミュージックが持つスモーキーでジャジーな世界をそのままに力強くなっています。ブラックミュージックが好きなリスナーにグルーヴって何なんだと問いかけているような音のメッセージが詰まっている音と感じます。テーリテムリッツさんやマークフェルさんとは違うアプローチでのハウスミュージックの形がdeep loopには詰まっているように感じるのです。プリンスが作ってしまったブラックミュージックの見せ方を音を通し崩していく。重要なのはそこには808や909のキックの音も無ければ、303やakaiが生み出すズレなどは存在しないということです。ハウスという定義���らの解放をグルーヴで行う。これはとても挑戦的な作品であり、問いかけだと強く感じるのです。
6. Nou(脳) / Bay Breeze(from CD‘sweet memories’ 2009)
NOUさんにお会いしたのはもう何年前になるのか、横浜を拠点に活動する音楽集団、pan pacific playaのパーティでライブをすることがあり、その時にお会いしました。 私の音出しの時にNOUさんがガンガンに踊ってくれていたので、とても声をかけやすく、scapes albumを作るきっかけを作ってくれた方であり、このsweet memoriesはscapes album クルーのテレパシーのような合言葉であり、このアルバムをお手本にし、アルバムが出来上がりました。 ほんの何時間か話しただけなのに一生響くようなお話をたくさんしてくれたNOUさん。NOUさんの家の前は米軍基地で、家から見る景色はアメリカの街並みが窓いっぱいに広がっており、日本側からその景色を見つめ、絶対に行けないアメリカをインスパイアにし曲を量産しているようで、毎日1曲作るということを決め曲を作っているというお話は衝撃的でした。ライブの時にビートが荒々しく数を増す瞬間に髪をとめていたクシを外し、長い髪を荒く揺らしていた姿忘れられません。NOUさんから、君の音楽は従姉妹のような音楽だからとても似ていると、一生自慢できるお言葉を頂きました。この言葉を糧に今も生きています。
今回身近なアーティストが多くをしめましたが、始まりはとても遠かったはずの電子ミュージックは時を経て、より市民の音楽となったことを感じて欲しかったのと、その国に住んでいる住人が国の文化や四季、時代を感じながらリスナーと国の距離感が出来るだけ近い音を感じてほしいという意図もありました。私はそこに国産性を感じるわけで、日本という国の中で起こったリアリティ、一瞬が永遠になる魔法こそが音楽だと強く信じていますので、自分の国で産み出されたその永遠はこれほどに色とりどりの輝きを放っているということを感じて欲しいなぁなんて思ったりもしていました。あなたの隣に住んでいる住人からこのような音楽が鳴っている可能性があるのです。
しかし、今回何が嬉しかったかというと、国見小路cla-6が出すグルーヴが生まれてきているなぁと感じれたことでした。 毎回集まる仲間とぶらっときたお客さんが音をbgmにbangする国見小路cla-6というグルーヴは自分自身にまだまだ色々と気付かせてくれます。 マシン親分が国産の電子音楽といえばやはり、ゲーム音楽で、マリオのゲームの中で繰り広げられている音こそが国産ファンクであり、そのファンクをいち早くディグしたのは日本人では無く、黒人たちだったという話しなどもうワクワクしました。 tawaki氏が当時よく聴いていたアメリカのヒップホップなどでマリオの音源なんかをサンプリングして楽曲を作ってるグループなどが出てきたりして、狂った方向に行ってしまったと当時はガックリきていたようなのですが、今マリオの音楽を聞き直した時に国産のファンクネスに気がついたようで、当時のアメリカのヒップホップの臭覚の凄さに今になって気がついたという話もとても興味深かったですね。 次回はどういうテーマでいくかは未定なのですが、早いうちにまたやりたいと感じました。
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2017.4.26(Wed)20:00〜23:30 国見小路CLA-6 @ bar suno
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2016.9.29 ‘record label now & then’ CLA-6 tracklist (moanyusky)
then / oz disc
1. 岸野雄一 / はいからはくち (from 7‘はいからはくち(はっぴいえんどかばあBoxより)’ 2002) 2. 大友良英 / 風をあつめて ( from CD ‘風街ろまん(はっぴいえんどかばあBoxより)’ 2002) 3. kato / 北の女の物語 ( from 7 ‘北の女の物語’ 2000) 4. 佐伯誠之助 / びんぼう ( from CD‘レアトラックス(はっぴいえんどかばあBoxより)’ 2002 ) 5. At Chaplin / 爪 ( from 7 ‘at chaplin’ ?) 6. Mimi(あらかじめ決められた恋人たちへ) – さよならアメリカ さよならニッポン ( from 7‘さよならアメリカ さよならニッポン(はっぴいえんどかばあBoxより)’ 2002
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2016.9.29 ‘record label now & then’ CLA-6 tracklist (moanyusky)
now / music from memory
http://www.musicfrommemory.com
1.Suso saiz / tierra media ( from LP ‘ODISEA’ 2016) 2.Gigi masin / fata morgana (from LP‘TALK TO THE SEA’ 2014) 3.Michal turtle / zoote pointe ( from LP ‘PHANTOM OF DREAMLAND’ 2016) 4.Vito ricci / cross-court get it ( from LP ‘I WAS CROSSING A BRIDGE’ 2015 ) 5.The system / find it your eyes ( from 12‘The system’ 2016 ) 6.Leon lowman / bumpin on sunset ( from LP‘LIQUID DIAMONDS’ 2013 )
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2016.9.29 ‘record label now & then’ CLA-6 tracklist (tawaki)
then / dorado
アシッドジャズが盛り上がりを見せた1991年にイギリスで設立されたレーベル。紳士をあしらったレーベルデザインが象徴するように、端正な音源を多数リリースしていました。
このレーベルの最盛期は1992年から1993年と短いものでした。1994年頃からはトリップホップやドラムンベースがシーンを席巻するのですが、doradoのレーベルカラーとこれらの新しいダンスミュージックはあまり相性が良くなかったようで。
一方、talking loudやmo'waxといったライバルは新たなブームに上手く乗っかり���ッグレーベルになって成長していったのでした。
「時流と距離を置く」というよりかは「時流が気になりながら、上手く対応しきれなかった」。そんな不器用加減がとても愛おしいレーベル。市場での価値はあまり高くないようですが、ここに挙げた作品は非常に高いクオリティを誇っています。
D*NOTEとOUTSIDEは永遠に語り継ぐべきdoradのツートップ。特にOUTSIDEは1990年代後半まで良作を作り続け、独自のスピリチュアル・ジャズ路線を追求していきました。1997年のdiscoveriesというアルバムはジャケットこそ醜悪ですが、内容は秀逸です。今なら中古で安くで手に入りますので、急いで入手することをオススメします。
1. Outside / from here to infinity (from CD ‘Discoveries’ 1997)
2. D*Note / scheme of things (from EP ‘Scheme Of Things’ 1992)
3. Sunship / the 13th key (from LP ‘Muthafuckin’ / The 13th Key’ 1992)
4. Outside / don’t know who i am (from LP ‘Sus?icious’ 1998)
5. Circle In The Round / devil of cruelty (from EP ‘Devil Of Cruelty’ 1992)
6. Outside / if you come with me (from EP ‘Movin' On’ 1993)
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2016.9.29 ‘record label now & then’ CLA-6 tracklist (tawaki)
now / rhythm section international
2014年に設立されたイギリスはペックハムのレーベル。レーベルを代表するアーティスト、Al Dobson Jr.の作品が象徴するように、ハウス〜ビートダウン〜ダウンテンポまで幅広く扱っています。
どの作品もテンションが低めで落ち着いた雰囲気。フロアだけでなく、ホームリスニングにも適しています。
統一感のある12インチレコードは、収集欲を喚起するに足るクールなデザインです。久しぶりにレーベル買いできるダンスミュージックレーベルです。
https://rhythmsection.wordpress.com
1. Al Dobson Jr. / commerce ( from LP ‘Rye Lane Volume Two & Three’ 2016)
2. Henry Wu / dubplate (from EP ‘Good Morning Peckham’ 2015)
3. Hidden Sphere / well well (from EP ‘Well Well’ 2016)
4. Chaos In The CBD / midnight in peckham (from EP ‘Midnight In Peckham’ 2015)
5. Al Dobson Jr. / commerce ( from LP ‘Rye Lane Volume One’ 2014)
6. Silent Jay × Jace XL / bris vegas (from EP ‘Sacrifice’ 2016)
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2016.9.29(Thu)20:00〜23:30 国見小路CLA-6 @ bar suno
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2016.5.30 'last song' CLA-6 tracklist (tawaki)
1. Takehiro Honda / secret love ( from LP 'This Is Honda' 1972)
2. Marlena Shaw / save the children & woman of the ghetto (from LP 'Live At Montreux' 1974)
3. De Vonne Armstrong And Group / you are the sunshine of my life (from LP 'Getting Together' 1973)
4. Galliano / better all the time & little one (from LP 'The Plot Thickens' 1994)
5. Mark Murphy Featuring Viva Brazil / outubro & bridges (from LP 'Brazil Song' 1984)
6. Shigeharu Mukai / hudson breeze (from LP 'Pleasure' 1980)
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2016.5.30 'last song' CLA-6 tracklist (moanyusky)
1. Lani Hall / vincent & where i may find him (from LP ‘Sun Down Lady’ 1972) 2. Susan Muscarella / welcome thoughts (from LP ‘Rain Flower’ 1979) 3. Duke Ellington / 蓮の花 (from LP ‘ビリーストレイホーンに捧ぐ’ 1968) 4. Francois De Roubaix / nervous break down & les Industricheurs font des enfants (from LP‘Les Plues Bells Musiques De Francois De Roubaix vol 3’ 1979) 5. 中谷美紀 / all this time (from CD ‘私生活’ 1999) 6. Ian O’brien / the quetion of love (from LP‘Gigantic Days’ 1999)
moanyuskyによる解説
1. Lani Hall / vincent & where i may find him (from LP ‘Sun Down Lady’ 1972)
今回の国見小路cla-6のジャケットにもなった作品でもあります。この作品はラストリゾートというパーティを行っていた大ボスがレコードを大量に貸してくれたことがありまして、その中に入っていた一枚となります。最初聴いた時の印象は、とても良質なブラジリアンソウル、フォークなどが良い塩梅でクロスオーバーしている作品でして、心地よい名作だなぁと感じるぐらいの作品でした。内容が素晴らしかったのでディグしようと軽い気持ちで思っていた作品。あれば買おうぐらいの気持ちでした。それから6年ぐらい��経って、このレコードとまた出会いました。大事に家に持って帰り、針を落としてみると、今も変わらず良質な音世界が広がっておりました。しかし、なんだか普通とは違う感情が混ざり合っていることに音を聴いているうちに感じ取ってしまったわけなのです。それが6年前との大きな違い、変化でした。
このアルバムは一曲目から最後まで、本当に素晴らしい楽曲ばかりで、彼女の歌声、バックの演奏、ソングライティング、すべてにおいて無敵状態のような、信じられないかもしれませんが、そんなレコードなのです。プロデュースがハーブ・アルパート。私は彼の作品、ビヨンドやローテーションという楽曲が大好きで、この作品と出会う前からよく聴いていました。プロデュース作品も何作か聴いており、そのどの作品よりも今回の作品は臭いがもう違うわけです。これはもしかして、彼と彼女の特別な想いが刻まれているのではないかなと思わせるような人間の温かさを感じる特殊な音世界でした。
今回この事をtawaki氏に説明をすると、ネットで調べてくださったようで、ハーブ・アルパートとラニ・ホールは1966年から1971年まで夫婦だったようなのです。これには本当に自分でもびっくりしたのですが、音を聴けばそれは一目瞭然だなと納得してしまったのです。もっと驚いたことに、この作品リリースが1972年なのですね。レコーディングは1年前ぐらいから行っていると考えると、この作品を録り終えたあと離婚しているということになります。自分が考えていた以上にさらにdeepな人の想いが詰まっていた作品だったわけなのです。2人の感情、見えるはずのない想いが、色あせず、黒いレコードに記録されており、針を落とすと鮮明に情景までもが見えてしまったということなのです。tawaki氏には「君は霊能者だから」と一言いわれましたが。焼きついていたのかもしれません。
本当に良い作品は良いソングライティングと録音技術だけでは生まれでない、そこに人の想いや悩み、数多くの演奏者、場所、国、色々なタイミングが重なり合ってこそ生まれ出るものなのだということを実感できた良い経験でした。こういう気づきがいつもあるので、国見小路cla-6は辞められません。彼は彼女の歌声、太陽のような人柄に恋をし、彼女は彼の才能と優しさに撃ち抜かれたのだと、ラストソング前二曲目からの展開を聴けば目に見えてきます。
2. Susan Muscarella / welcome thoughts (from LP ‘Rain Flower’ 1979)
ラストソングから始まる世界。今回の作品の主役となるアーティストは女性Jazz鍵盤奏者です。今作は彼女にとって最初で最後のレコードリリース作となります。彼女は、このソロ作品を出したあと、カリフォルニア大学バークレー校にてジャズアンアンブルのプログラムを監修する責任者に就任します。ソロ作品の出来栄えからの大抜擢があったこともこのレコードに入っている音を聴けばよくわかります。その後、彼女は自身のJazz音楽学校を設立し、開校します。現在でもこの学校は運営されており、プロのjazz manを目指す多くの生徒たちが育ち、巣立っています。
ライトに表現することがスムースと魂を音楽から抜くことに力を注いでいく時代に入っていく音楽業界とは反比例し、時代遅れなパワー溢れるソウルフュージョンが繰り広げられています。一曲目からアナログシンセが炸裂する、プログレクロスオーバージャズな展開に度肝を抜かれます。計算された作曲法の中にたくさんの音が散りばめられており、バップからクロスオーバージャズ、ブラジリアンな要素をさらりとプログレッシブなJazz組曲に仕上げているところに奥深さを感じます。品格のあるソングライディングの上にJazzの本来の姿jamのグルーヴを重視した泥臭さが音の強さを引き立てます。また彼女のピアノソロも秀作で、なんとも味わい深い響きを感じとれる好作品となっています。良い塩梅で鳴り響く軽快なリズムとピアノ演奏、フルートの音がスピードを加え、ドロドロのソウルとの距離を離します。人間臭さからの距離の取り方、バランス感覚は成熟した人間のなせる技であり、物事を冷静に見て判断し、導き出した答えは一段も二段も重厚な建築物のようにブレのない音を提示しています。
現在も学校を運営する彼女ですが、その始まりとなる音の塊はアーティストが一番大事にしないといけない「自分を信じること」を十分に伝える教科書のような作品であり、自分の表現を信じた彼女の勇姿がはっきりと聴き取れます。彼女の人生の大きな道筋を決めたソロ作品のラストソングは軽快さと喜びに溢れた始まりの歌となっているのです。それと同時に、とても冷静な名曲を最後にさらっと送り込んでくるところに、jazzの国アメリカの何層にも重なる重厚な歴史、強さを感じてしまうのです。
3. Duke Ellington / 蓮の花 (from LP ‘ビリーストレイホーンに捧ぐ’ 1968)
この作品はエリントンの右腕として、エリントンを支えてきた相棒「ビリーストレイホーン」が亡くなったことによりリリースされた追悼盤であります。2人で作り上げた作品群をすべて再録音して挑んだ作品なのですが、エリントンがストレイホーンを想う気持ちがよく伝わる曲がラストに入っているので、今回選びました。すべての録音が終わったあと、演奏者たちはおしゃべりを始めながら、楽器を片付けていると、エリントンは1人ピアノの前から離れようとしなかったようなのです。その様子を見たレコーディングエンジニアは、これは何かが始まると感じ取り、テープを切らず、まわし続けました。このエンジニアが感じ取ってとった行動こそがまさにJAZZではないでしょうか。
これはレコーディングとエリントンのインプロビゼーションの記録が聴ける、とても意味のある録音物なのです。エリントンはストレイホーンが好きだった「蓮の花」という曲を演奏し始めます。始めはとても繊細な音から、後半とても荒々しく音が響き渡り、周りがその音の響きに静まり返っていくのがよくわかります。エリントンが彼と色々な場所で音楽のマジックを分かち合ったことが音を聴けば聴くほどによくわかります。弾き終わったあと、エリントンは「この曲を弾くと、とても喜んだんだ」と一言言ったようなのです。大事な人とのラストソング。この奇跡を最後に持ってくるところにも愛を感じます。旋律に心揺さぶられるのです。
4. Francois De Roubaix / nervous break down & les Industricheurs font des enfants (from LP‘Les Plues Bells Musiques De Francois De Roubaix vol 3’ 1979)
フランソワドルーベというフランスの映画音楽の作家をご存知でしょうか。これまでに何回か編集盤がリリースされていますが、このバークレー社というレーベルから出た編集盤三部作は特別な意味を持つ三部作となります。彼は海をこよなく愛しており、音楽、海、生活、友達、人生、すべてを一色単にクロスオーバーさせ生きていた人間だったようです。彼はある日、海へ潜りに行き、いま現在も陸地に帰ってきていません。海の底で音を奏でてるに違いないと私は思っているのですが、彼が亡くなったとされてから1年後にバークレー社の編集盤の第1弾がリリースされます。そう、このバークレー社がリリースしたレコード三部作がドルーベの初編集盤となるのです。そしてドルーベのもっとも知られている代表作となります。
この作品は1年に1枚ペースでリリースされており、理由はわかりませんが、最後になる3枚目だけが、今もCD化はされていません。その最後の3枚目のラストソングを今回選出しました。この3枚目の編集盤の選曲を行ったのが、ジャンピエールペリッシェという男です。彼はドルーベ専門のレコーディングミキサーで友人でもあったようです。彼の選曲はドルーベがどういう男だったのかがよく表した世界となっています。3枚中、この3枚目が特に異質なドルーベを映し出しています。ソングライティングの部分では2枚目がベストです。この3枚目はシンセサイザーや民族楽器が実験的に鳴らされている音や即興性の強い楽曲が並んでおります。ドルーベはシンセサイザーの原型ともなったマシンと、ドルーベが世界中を旅して集めた民族楽器を組み合わせ、電子音楽とアコースティック楽器の融合を試み新しい世界を模索していました。8トラックのテープレコーダーのオーバーダブ処理を駆使し、ミュージックコンクレートのような、音の実験を試みながら海で感じた世界を表現しようと日々音楽と向き合っていました。
特におもしろいと感じるところは70年代にもかかわらず現代の私たちと同じ環境下(宅録(死語か?))で曲作りを行っていたということでしょうか。自分の部屋とスタジオで試してい���実験的な音世界はいつになっても輝きを失わないドルーベならではの世界となっていきます。そんな実験から生まれた音楽が映画音楽となっていたのですから、当時ドルーベの音楽に腰を抜かした音楽家は多かったのでしょう。そんな実験に付き合っていた、楽しんでいた友人の選曲なのです。最後の曲前からの展開がペリッシェが見てきた友人の姿だと感じます。ドルーベという男が見えてきます。Jazzのドラミングセッションをそのまま録音し、その上から色々な音色を即興で足していったような楽曲は、楽譜などは無く、音の実験をただ楽しんでいた末に出来上がった音のように感じます。しかしながら、フリージャズで感じとれるような緊張感と考えられた尺寸とドルーベ特有のソングライティングが気難しさを感じさせない、独自の楽曲となっています。そして、その後に続く最後のラストソングは、上記でも書いたように、民族楽器と生楽器、シンセサイザーが淡々と絡み合う曲で、メロディは上昇し、リヴァーブと共に消えるように終わっていきます。
ドルーベが大事にしていたであろう、自分が触れたことのない異国の音、最先端の音であったであろうシンセサイザーの音色、そして彼の強い眼差しのようなソングライティング。ラストソングを耳にすれば、ペリッシェがドルーベという男はこういう男だったんだ!と言っているように聴こえてならないのです。この最後の曲を聴けば、海へ潜って帰ってこなかった伝説の音楽家としてのドルーベではなく、素朴なドルーベ自身の姿を思い浮かべてしまうのでした。ペリッシェは深い愛を持って見守っていたことがよくわかります。フランスのアパルトマンでパンを焼き、そのパンを一口かじってもぐもぐしているドルーベと横に佇む静けさを私に感じさせてくれたラストソングでした。
5. 中谷美紀 / all this time (from CD ‘私生活’ 1999)
中谷美紀三部作の最終作。この後アルバムは出ているものの、リミックスやベスト盤が出ているのでこの作品が実質的に最後の作品となります。坂本龍一さんとの共作、最終章です。この作品は本当に面白い。教授に対して色々な意味で親近感を覚えてしまう作品です。
1994年、ニューヨークの空気を十分に吸いすぎたスウィートリベンジを世に出してから、坂本龍一さんの見方が世の中的に変化したと考えます。そのあとに出すスムーチ後の作品はより古典的かつクラシカルな作品群へと変化していきます。古典的な作品の中でも名作を生んでいく教授ですが(「1996」など)、それと並行してプロデュースワークを行っていたのがこの中谷美紀さんの作品群です。近代クラシック(ドビッシー、ラベル、サティなど)からの着想から得たソングライティングと現代的なテクノロジーとの融合、新しい音の実験を行っており、若き日の攻撃的な教授の姿を久々に見せてしまった意味のあるワークスとなっています。想いの種類は違えど、千のナイフやb2-unitぐらいに攻撃的かつ本気度が伝わってくる作品。
題名通り、中谷美紀の私生活を覗いているようなフィールドレコーディングも取り入れられた、教授からの世の男たちへのおすそ分け的要素満載の内容。これは教授の作品群の中でも音に籠めた想いの距離がとても近い作品で、「世界的な出来事」や「音楽」といった果てしない距離を持た題材では無く、とても距離の近い想いが音に出た(出てしまった)、最初で最後の人間臭いフォークソング的作品となっているのではないでしょうか。
99年といえば、「ケイゾク」という中谷美紀さん主演の代表作のドラマが始まる年となり、渡部篤郎さんと出会うきっかけとなるドラマとなります。色々な意味で最終章なわけです。いつものクラシカルな教授は影を潜め、荒々しくこれでもかと言わんばかりの細かいお仕事の数々を見せてくれています。一筋縄では行かない美しさが光ります。この作品を聴いていると、教授は彼女と一体になりたかったのではないかと感じるぐらいの音と歌声のシンクロ率の高い世界。教授の中の失われた女性性をものにしたいという強烈な欲望が見え隠れする快作。
矢野顕子さんとの共作「愛がなくちゃね」では教授の想いと矢野顕子さんの想い、ymoファミリー、その後も交友を持つイギリスのロックバンドjapanのメンバーたちがクルーヴを生み出し、独自の形で愛の形を表現していますが、この作品は教授1人の男としての美学で成り立たせたているところが重要だと深く感じています。こういうところで本気出てしまっているところをみると「坂本龍一」という遠い存在であったキャラクターが1人の男としてフォーカスされていく様を目の当たりにすると、なんとも親近感を感じてしまうのです。これほどに親近感たっぷりな教授が、間近で本気の音を出してくれているものですから、「本気やなぁー」と音を聴けば聴くほどに私は叫んでしまうのです。旋律が素晴らしく響いてくるほどに「教授もアホやなぁ」とアホアホマンの姿がより近く、よりリアルに感じれるわけなのです。師弟愛と男女の恋愛感が織りなす本気ゆえの人間臭さたっぷりなメロドラマ。シリアスな音が響けば響くほど、ダメ男が浮き彫りになりコメディとなる。これはまさに人間が織りなす芸術的ラストソングであります。竹村延和さんや半野喜弘さん参加されています。
6. Ian O’brien / the quetion of love (from LP‘Gigantic Days’ 1999)
この作品、UKという国がどれほどに豊かな音楽世界を持っているのかがよくわかる、アンダーグラウンドシーンからの当時の歓喜が録音された作品だと強く感じています。何層にも別れながら、各それぞれの音楽の良い要素が無理なく混ざり合い進化していく都市型音楽形態はお手本のような音楽の形であります。
私はイギリスの老舗レコードショップ、「オネストジョーンズ」へ行ったことがあるのですが、店に入ったとたん衝撃を受ける光景を目の当たりにしました。70歳を越えているようなシワシワ刺青の入ったおじいちゃんがダブのレコードを掘っていたと思えば、杖をついたおばあちゃんが店に入ってきて、コルトレーンのレコードは無いか?と大声で店員に言うわけなのです。私はその光景から衝撃を受けてしまったのでありました。音と人との距離感が日本とはまるで違うことを痛感したのです。
moodyman、Theo parrish、デトロイト勢の作品を続々リリースしていた当時乗りに乗っていたUKの重要レーベルPeace Frogからのリリース作品であります。それはすなわち流れの先端での出来事だという証明であり、UKのアンダーグラウンドシーン、クラブシーンにとって「JAZZ」が流れの先端で大事に愛されているという事実を見せつけてくれた重要な作品だとも感じます。エイフェックスツインの片割れでもあり、その後グローバルコミュニケーション名義での名作を生む、トム・ミドルトンのプロデュースというところが、当時のクラブアンダーグラウンドシーンが何層にも別れ進化をし、クロスオーバーしていたことがよくわかる一つの例となる音を鳴らします。レアグルーヴ文化からacid jazz、ジャイルス・ピーターソンのような良きプロフェッサーがアンダーグラウンドで活躍していたこと、そしてオネストジョーンズなどの古き良きレコードショップ、ソウルジャズレコードなど中堅のレコードショップがシーンと1つとなってカルチャーを支えてきたことにより、自然とダンスカルチャーとJazzの距離は消え去っていたのではないかと推測できます。
この頃、UKのダンスシーンでは面白い動きが始まっていました。忘れられていたフュージョンを要素に入れダンストラックを作っていた連中がシーンの中心に躍り出ます。フュージョンの要素、クロスオーバージャズ、デトロイトテクノ。音の性質だけではなく、歴史感までも無理なく、空いているピースにはめ込む洗練されたセンスはどこから生まれてくるのか、これはUKの音楽全体に言えることではないでしょうか。UKの音楽を聴くと、どの国よりも音とのコミュニケーションに歴史的な重みを感じてしまうのです。箱、店、公共機関、街、ラジオ、全てにおいて音楽に理解があり、いまだに形を無くしていない最古の魔法をどの国よりも忘れていない、大事にしてきた時間の違いが年輪の広がりを感じさせてくれる大きな理由の一つなのかもしれません。それはアンダーグラウンドでの先駆者たちの活動を見ればよくわかります。
先ほど話した、老舗のオネストジョーンズがリリースする作品群のクオリティや、ジャイルス・ピータソンの活動、ジョン・ピールのピールセッションなど、音楽と人との素晴らしい歴史、お話がこの国にはたくさんあります。これは名曲を流行りなど関係なくして大事に伝えていった結果の形ではないでしょうか。個人的に思うのですが、フュージョンをテーマに持ってくるところに音楽、Jazzへの愛が深いと感じます。イアン・オブライエンの楽曲を選んだ理由は、上記で説明したUKの街の風景そのものを真空パックしてしまったかのような音の輝き自分の居場所への愛が感じとれた録音となっているからでした。イアンもジャイルスがまわすフロアで日野皓正の「シティ・コネクション」を聴き踊っていたに違いありません。カーク・ディジョージオの作品では残念ながらその情景は写し出されませんでした。
90年代初頭、808STATEが世界デビューを果たした時にUK音楽が世界的にどのような立ち位置で見られていたのかが明確になった中で、ジョン・ピールなどの活動から正体が明らかになったUKの唯一のオリジナリティーと称されたエイフェックス・ツイン。その片割れであるグローバル・コミュニケーションが提示した独自のアンビエント哲学を身にまとったイアン・オブライエンのクロスオーバーフュージョンはUKのダンスカルチャーだけでは収まらない当時の全世界のダンスカルチャーを呑み込んでしまった説得力のある楽曲の勢いが感じとれます。時が鳴ったのです。人の生活と音楽の関係性が国の1つの人種レベルで語られているのではなく、もっと大きな国レベルで語られている、そういう国の中で生まれでた、ある一枚の作品。ラストソングはその時代の全世界の音楽の空気を封じ込めてしまった魔法のような鳴りが街の匂いとともに刷り込まれているのです。そんなラストソングなのです。
現在、日本在住のイアン・オブライエンさん。過去2回、自身が参加したパーティにゲストとして出演して頂き、その時にお話させていただく機会を頂きまして、その時もジャズと機材の話で盛り上がりました。とてもシャイでナイスガイな男でして、ジャズへの愛に溢れたアーティストさんでした。ですので、余計にイアンがフュージョンで踊る姿をリアルに想像出来たのでした。
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2016.5.30(Mon)21:00〜23:30 国見小路CLA-6 @ bar suno
https://www.facebook.com/BarSuno/
Theme : Last Song
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2016.2.23 ‘soul of electronica’ tracklist (moanyusky)
1. Funkstorung / test (from LP ‘Appetit for disctruction’ 2000)
2. Boards Of Canada / aquarius (from LP ‘music has the right to children’ 1998)
3. Opiate / try a balloon (from CD ‘objects for an ideal home’ 1999)
4. Aphex Twin / green calx (from LP ‘selected ambient works 85-92’ 1992)
5. Squarepusher / fry street (from CD ‘budakhan mindphone’ 1999)
6. Black Dog Productions / clan (from LP ‘bytes’ 1993 )
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2016.2.23 ‘soul of electronica’ tracklist (tawaki)
1. Fumble / passing (from 12EP ‘melo’ 2001)
2. Ulf Lohmann / untitled (because A3) (from 12EP ‘because’ 2001)
3. To Rococo Rot + D / as compasses go (from LP ‘trrd’ 1998)
4. Deadbeat / head over heels (from LP ’something borrowed, something blue’ 2004)
5. Jan Jelinek / they them, them their (from LP ‘loop-finding-jazz-records’ 2001) 2001)
6. Triosk meets Jan Jelinek / on the lake (from LP ‘1+3+1’ 2003)
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