lyric2notes - Tumblr blog

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昇華剤として、宛てる曲を探している。赦し難い激動は、赤子宛らのまま子守唄として融かしてしまえば、と憂い。そうして何とか指先ほどに丸め込めば、忙しなく液晶を駆り立てるオーバーワークで、また頭がイカれていく。目蕩みを擦って脱皮したがるのが俺の気勢で、スマホを伏せたら埃被った文庫本の山に手を伸ばすのが俺の虚勢だった。それでも、音に縛られ続けている限り、完全な逃避なんて完成しない。する筈も無い。波打つリングトーンが虚妄だと解りながら、必死にグリッチを重ねて耳を塞ぐ所業は、実に滑稽だろう。ぬるい。肌は温く、寝床も微温く、爪の垢分しか吐けなかった本音が、何よりぬるかった。低温火傷にはアレほど気を付けろ、と言ったのに。出来れば腐らせたくは無い、けれど、腐りかけが一番巧いのは常套句。寝起きの補正が無くたって、零す言葉はきっと、末期そのモノだ。

「 止めてくれ → ◯留めてくれ 」

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「あなたの隣でだけ、よく眠れる」

しか、きちんと眠れない

耳裏で情けなく垂れた、見たこともない寝癖は、不毛な夜の象徴であり、虚勢を張った後遺症でもあった。

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好きすぎたから愛せなかったんだ、なんて小綺麗、謳ってくれませんよう。確と宛てたフレーズを裏返したまま封をして、一度も耳を貸さず、随分と藻が生えた。反射的に取り払ってからは、四六時中「若しも」を泳がせては、悔恨の一報ばかりが尾を過る五里霧中。果て、さて謹言。明けまして背靡く夜もすがら。こんこんと積もる濃度五.二七%の純真は、今し方溶けては染まるモノですので。然すれば、地に固まる生殺し。今でもずっと、貰った言葉に救われては幾度と無く殺されてる。散々美化したフィクションに縋るよりか、数万倍マシだと見逃して欲しかった。今日と言う日まで必死に抱えた、数万字の真相に生かされたかった。半年ぶりに準えた音の感触は、思ったより悪く無い。阿保だと揶揄われても、気紛れだと宥められても、それでも。まろい夜長、冴えた朝靄に、寄り添って欲しい音は。

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牽牛花を贈りましょう

天つ河を航る、願よ叶えと、餞に

“不器用ね。ひと知れず怖気付く姿すら、愛しいよ”⠀ そう言って自ずと、惹き寄せられる明日をください。⠀

言霊ばかり遅れて呼応する。七夕なんか嫌いだ。

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拒絶だろうか、なんて知る由も無い。遠回しに突き離されたような予感にすら気付きたくなかった。聴かれない歌に価値など見い出せず、届かない言葉も、同様に。どうしようもなく、明け透けな本音。寄りによって今夜は喉の調子も良い。二割増しで顔色の乗った声風が、いとも儚く擦り抜ける。粋に気取ることも出来ず、それで居ていつものように黙りこくることも出来なかった。あまりに露骨過ぎる醜態に、走った虫唾が甲斐甲斐しい。但し、この心境に不本意と言う幕を降ろさずに、一体何が相応しいだろうか。「何も要らないよ、お前が側に居てさえくれたら。」誇らしげに語った無償の善意。その正体が、エゴと愛想ばかりが詰まった模造品だったことに、きっとお前は気付いてたんだね。磔にされた本音の逝き先は誰にも分からない。血も涙も、或いは懺悔の足しにすらならないだろう。ならせめて、俺はその頬に触れていたい。この唇に触れて欲しい。『臆病と臆病で、ダブってたって良いじゃん。』不器用でも、不器用なりに、気の済むまで抱き締めさせて。しれっと耳許に鼻歌を吹かせば、どんな反応が聞けるかな。そんな世界一恐ろしい夢を、自ら描こうとするから、やっぱり俺って生粋のマゾヒストなんだろうな。あ、嘘ウソ。俺は断じて、ね？

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深夜2時、布団を抜け出した。首に絡み付いた有線、粘り付く喉の渇き、いつの間に途切れた通話履歴。何れか一つでも、微睡みを奪うには十分なのに、ねえ。起き抜けは宛ら忙しない。そりゃ二度寝も不得意になるさ、蒸し暑い夜長に夢を希う趣味なんて、生憎俺には。続きを溶かすように、徐ろに口へと放り込んだ二粒の氷はヤケに甘かった。行き場を失った糖分、大方伝えそびれた残滓だろう。このまま呑み込んでどうする、腹の中までは見たくても見られないのに。況して起き抜けの表情なんて、死んでも覗かれたくないランキング3本指には下らない。不自然な甘さをガリ、ガリ、噛み砕く。扇風機の微々たる送風が、今は心地好い。にっくき奴の羽音は、探したら負けだ。舞台は整ってる。森羅万象が寝鎮まれば、今宵の幕開けは、俺こそが主役で居てもいいかしら。タイムリミットは、再び含んだ氷が溶けてしまうまで。

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梅雨も一入、熱っぽいすり抜ける風と鼻腔に残る酸の香り。いよいよ時季を盛り上げようと、劈くほどに降りしきる雨音は、窓ガラスを介して最も心地好い自然派ASMRに成り代わる。直接「おめでとう」を交わし合ったのは、ほんの数刻前。起床時間は変わらずだった。寝起きは素直、だなんて摺り込み済みの免罪符は波に攫われて、寝惚けたフリすら儘ならない。いいや、大方初めから惚ける気すら無かったんだろう。少しずつ俳優根性が馴染んできたと思ったのに。目も当て難い従順っぷりに焦燥が走り、咄嗟にタオルケットに包まった。あっつ。体熱ってどうやって逃すんだっけ。玄関先へ引き止めたままの確信犯に向けて、レベル7止まりの悪態を吐く。生憎、奴からすれば俺の舌は、何を語ろうと極上の甘さらしい。何れもこれも器用に絡め取って、あっという間に片手に収まる本音へと作り替えてしまう。読心術にでも精通してんのか、なんて疑問を一掃出来たのだって、実はつい最近のこと。朝の俺すらこてんぱんにされちゃ、格好も面子も付かないってのに。ニヒルな口許が得意気に微笑んだ、気がした。時刻はまだ、八時半前後。定時を過ぎれば、お誂え向きの平日が始まる。何だか一段と名残惜しかったのは、俗に言った記念日の昂りか。或いはやたら濃かった、昨夜の残り香か。刻一刻と迫る幕引き。ひと知れず舞台袖に用意した贈り物に、ギリギリまで色を塗り込める。微睡み半分で認めたから、キライな毒が混じってるかも。しょうが無いじゃん、凝り性なんだから。ご褒美には、溜め息よりも感嘆が欲しい。しっぺを受け負う役目は、翌朝の俺に。頼むよセコム。さ、雨も止んだ。ノープランで綴り始めた備忘録、露頭に迷う前に手渡そう。どうか二つ返事で、返品されませんように。今日だけ許された、禁断の五文字で封をして、やっぱり酷い出来。『早くしろって、お前がくれるってコトに意味があんだから。』寝惚け眼にすら、内心せっかちが滲んだ視線がイタい。嬉しい。愛おしい。禁断の果実が、またひとつ実る。お前に食べさせたいのに、返り討ちに遭うのは俺らしい。白雪姫も吃驚だろ。ああほら、また聴こえる。寄り添うような雨音と、上機嫌に弾む笑い声。数分後に後を追う、寝息。明日は揃って、寝不足確定の模様。腫れた瞼に、毒よりも甘い接吻を。

「ありがとう」の口移し、甘言

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告えない俺が、苦し紛れに拵えた小手先の詭弁術。使い物にならない口は、音の反響材として再利用しよう。鼻に抜けた音色、奇しくも甘苦い。大抵が誰に届くことも無いのだから、とびきり嬉々と弾んだってイイのに。何処か濁った上澄みで声が曇る。軽率に開かれるお通夜には、徒歩数分の駆け込み寺が欲しい。かつての青二才だった俺が、あんなに羨んで妬ましく焦がれた昇華方法も、今では取り分け一丁前。主張するだけタダ、なら掻き集めておこうか。独り善がりでも、貧乏性でもいっそ構わない。なけなしの3:01が、いつしかたった一人の鼓膜を疼かせる日が来ることを願って、ああ違う。一矢を突き刺すまでが、あなたに宛てたシナリオ。

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闇が満ちる、溟海で彷徨う

漣が今夜も、小刻みに押し寄せる。息を呑むごとに変化する波紋とは違って、一向に退き際のみえない波長が気掛かりだった。何れだけ掻き立てても、零しても、翌朝にはしんと鎮まりかえって、触れてみれば温かい。ある日、水面の向こう側と睨めっこした。またある日は、貪るように潮を呑み込んだ。鈍い痛みを科して夜闇を払った波浪は、やはり怯まない。砂混じりの破片、歪で真っ直ぐな煌めき。それがあまりにも眩しくて、頑なな世界へいつしか透過を許していたと気付いた。時は、満潮。赤く擦れた瞼は、醒めない夢を呪った。紅く染まった口許で、覚めない朝を願った。サヨナラと真夜中を彷徨えば、きっと直ぐ、水溶性のアイで満ちるから。