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2024年遊んだゲーム振り返り
2024年お疲れさまでした。
例年のごとく、一年で遊んだゲームの振り返りです。思い出せる限りで、EDまで到着している・ある程度遊び尽くしている作品をリストアップしています。 直接的なネタバレは避けるようにはしますが、その判別は私の基準のためご注意ください。(「物語を詳細に書き起こしてはいない」をネタバレ回避ぐらいに捉えています)
・未解決事件は終わらせないといけないから(1月)steam
レプリカ、リーガルダンジョン、The Wake、に続くSOMIさんの作品。過去三作よりものすごーーーーく遊びやすくて、主題もわかりやすく、フレンドリーに作られているなあ、という印象でした。実際大きな反響があって、色々な人が遊んでいるのを目にしました。とても嬉しい。 誰が・いつ喋ったものかもわからない証言の山を見比べて、話者・前後関係を明らかにしながら少女誘拐事件の真相を追いかける、テキスト主体のミステリーアドベンチャーです。二重三重にめぐらされたミスリードをくぐり抜け、物語を紐解いたときに残るやるせなさと温かさ。 スタッフロール後のあとがきとして表示されるのでまま引用しますが、「他人に理由なく優しくしたとき それまで存在しなかった物が 新たに作り出されて 人生のプロットが変わると信じながら 私はこのゲームを完成させた」の一文、これを過去三作のあとに出てきた作品として受け取った身として、深く息をつく思いでした。
・The Case of the Golden Idol(1月)steam
(かなりネタバレです) 穴埋めミステリーがもっと遊びたい! という動機で遊んだゲーム。不思議な力を持つ像を手にした人々が歴史上で巻き起こす、凄惨な事件の繰り返しを追っていくアドベンチャーです。たしか有志の方の日本語パッチを当てて遊んでいたはず。 遊びやすかったか、というと正直NOなのですが、金の像に魅了された人々が燃え上がらせてゆく火をハラハラしながら見守っていました。相続争い、カルトの関与、ゆくゆくは戦争にまで発展するそれらが突然、ひどくあっけない理由で終わってしまうところ、歴史だな~と笑っていたように思います。
・かがみの特殊少年更生施設(4月)web
これゲームかな……web上で遊びきれるものだからギリギリゲームの範疇でいいか……。 第四境界さんが提供するARG(代替現実ゲーム、現実とフィクションの境目を曖昧にするゲーム)のひとつで、「ゲーム」としてのガワはなく、web上に公開されているひとつのホームページに直接アクセスして触れる形を取っています。 一見ふつうの少年院のものとして公開されているそのページには、いくつかの不自然な点が。気にかかるワードをページ内の検索窓で調べていくと、職員用に秘匿された機密ページが引っかかってしまいます。こうしたワードを見つける→検索をする、のくり返しで、施設の隠した後ろ暗い秘密を暴いていくことになります。 この作品に触れる「私」はおおよそのゲームのように、プレイヤーとしての人格を別に取るものではありません。あくまで私であり、ただそのページにアクセスしているだけの部外者です。なにかを解決することもなければ、危害に晒されることもありません。ただ薄気味悪い内情があったことだけを能動的に知ってゆく体験、得がたいものでした。おもしろかった。 似た形式でサイレントヒルとのコラボサイトがあるようなので、そちらも遊んでみたいなあとおもいつつ、つつ、足踏みをしています。遊ぶカロリーが高い……。
・ユニコーンオーバーロード(4月)switch
今年!? 去年ぐらいの気持ちでいました。本当に面白かったです。 ヴァニラウェア発のSRPG。私はオーディンスフィアも十三機兵防衛圏も未プレイで、こちらの作品は初めて。 突如巻き起こった反乱により転覆したコルニア王国、反乱軍の将により再興された古代帝国、彼の手に落ちていく周囲の国々。母であるコルニア女王を城に残したまま落ち延びた王子アレインは、やがて解放軍を率い、祖国を取り戻す旅に出ることとなります。物語は王道も王道、主人公も良心の塊で、この時代に珍しく、心ゆくまでヒロイックなロールプレイをさせてくれる作品でした。 すばらしいのはなんといってもその自由度の高さ! 序盤の必須イベントを除いて、ほとんどのシナリオは順不同で進めることが可能です。それでいて推奨レベルである程度の導線を引いてくれるので、チャレンジを選ぶもよし、導かれるまま遊んでもよし、と快適にプレイすることができました。(ただ、その自由度と引き換えに、どうしてもメインストーリーの臨場感は薄れてしまうなあと思うところもあって……両立の難しさを感じました) ドラケンガルド王国でのサブシナリオ「岩山に薔薇よ咲け」がよかったな、と今でもしみじみ思いだします。残した者・残された者の気持ちが交錯する、今度こそはと気が逸る、彼らの後悔を掬い取る。名シナリオです。だばだば泣きました。
・Staffer Case(5月)、Staffer Reborn(6月)steam
作品としては別個ですし、システムも違うのですが、同じ世界観であり繋がりを持つもののため一緒に。 超能力者「ステッパー」の存在する世界、彼らを管理する街ロンドンが舞台。ステッパーらの起こす事件専門の警察部署に配属された新人捜査官ノートリックの物語です。 ゲームのジャンルはミステリーアドベンチャーで、証拠同士を突き合わせて疑問を解いていく形です。並外れた聴力で心臓の鼓動を聞き取り「嘘を聞き分ける」能力者、現場に残った見えざる証拠を見出す能力者、そして、ミステリーものでは掟やぶりであろうサイコメトラー。彼らの中で奮闘するノートリックにご期待ください。 操作性は……よい、とはいえず……テキスト送りや演出のテンポが遅くてせっかちプレイヤー(私)は歯噛みしながら読み進めていたのですが、Case2の展開が非常によくて、評価ががらりと変わった作品でした。悪いことは言わないのでネタバレを踏まないうちに遊んでください。Case2までは無料体験版があります。Case2以降もすさまじいのでひっくり返ってほしい。 Staffer Rebornのほうが短くて遊びやすく、一応独立はしているのでどっちを先に遊ぶか……なのですが、私個人はCaseの後をお勧めします。
・鏡のマジョリティア(8月)PC app
いわゆる架空言語翻訳ゲームーーただし読み取るのはカードゲームの専門用語だ!フリフリをコンコンしてもらおうか! 主人公はカードゲーム「魔女の布陣(マジョリティア)」が大好きな少年――ではなく、それを模したものの記憶が欠落してしまったアンドロイド。そんな彼には、マジョリティアに負けた瞬間に時間を巻き戻す能力が備わっていて……。 すなわちゲームの核は、用語の意味を掴みながら何度もやり直し、相手の出方を覚えて、それにカウンターを構える死に覚えシステムです。カードゲームの用語を読み解く特性上、「これは私」「これはあなた」のターンが不要になっているのが、この種のゲームでは本当に画期的! そのうえ、キャッチ―な読解ゲーム部分を前振りとしつつ、あるときゲーム性ががらりと変わる瞬間があって。たどり着いた瞬間に息を呑んだものでした。やれることが大きく広がってしまう。 物語にはいくらかのオタクノリがありつつも、基本的にはホビアニ(ホビーアニメ)の熱血テンション。テレビにかじりついて見つめていたころのことを思い出しました。おもしろかったです。
・Citizen Sleeper(9月)steam
辺境の宇宙ステーション「アーリンの瞳」に流れ着いた漂流者の視点で、そこに住む人々との交流を重ねてゆく物語。ステーションに跋扈するギャングたち、労働者を酷使する大企業――資本主義に圧迫された暮らしを送る人々。ステーションを揺るがす動乱に身を投じていくもよし、場末の小さなバーに力を貸すもよし、日に一度だけ振られる複数のダイスの目を行動リソースとして、様々なアクションを試みていくTRPGチックなゲームシステムとなっています。日本語ローカライズが丁寧で、UIもSEもたいへんに気持ちがいいので、文章を読んでいるだけで豪華なものを味わっている心地になりました。 はじめは行動回数も少なくて、生き延びることさえぎりぎり。他人を救ってなんかいられません。それでも懸命に住民と関わっていこうとする試みのあいだに、ステーションの内情や彼らの苦しみが明らかになってくる――こうして出会う誰もの力になりたくなってしまう。 体制をひっくり返そう!という壮大なドラマにも浸ることができたのですが、私個人としてはもっと小さな、必死に毎日を生きている人たちの物語に感じ入ることが多かったです。初めに出会ったのはひとりでバーを切り盛りするタラさんだったし、寡黙な料理人のエンフィスに口を開いてほしいと思ってしまった。 いっぱいに堪能して満足です。よい作品でした。
・レイトン教授と不思議の街(9月)SP
DSによるレイトン初期の三部作では最初も最初の作品。ほか二作は先に遊んでいるので、これが最後になりました(アロマさんが誰だったのかがやっとわかった……)。 三作ひっくるめて、ストーリーの点ではこれ���一番好きでした。劇的なものはなく、物語の終わらせ方にレイトンらしさがある。あの展開であればいくらでも壮大な展開にできたであろうところ、こう落ち着けてくるんだなあ、というバランス感に染み入りました。 ナゾは比較的とんち系のものが多かったな~という印象。私自身が手数の多いパズル系が苦手なのもあって、遊びやすかったなと思います。
・ゼルダの伝説 知恵のかりもの(10月)switch
これおもしろかったなあ。おもしろかった。 私がゼルダに入ったのは「夢をみる島」からだったので、そのリメイクが出たときにも驚いたのですが、そうした最新グラフィックで丁寧に整え直されたマップをいい意味で「破壊」して、縦横無尽に駆け回る姫様の姿に度肝を抜かれたのを覚えています。PVで木の上に飛び乗る光景が目に入った、その次の瞬間にはゲームを購入していました。 想定手順をぶち壊していく瞬間が一番楽しいんだよな~! を地で行く作品。こうしてクリアして欲しいんだろうなあ、は理解するとして、それをどうスキップしていこうかな? と考えているのが楽しかったです。遊ぶ人によって回答が違うのもわかっているので、配信者さんが遊んでいる動画を眺めていることも多かった作品でした。 物語にもちょうどよさがあって、今回のナビゲーターであるトリィとの触れ合いを経てのEDには涙が滲みました。よかった。
・Limbus Company(12月)steam・SP
ソシャゲ枠です。関連作にあたるLobotomy Corporation、Library of Luinaは既プレイだったこともあり、初めて遊んだのはリリースのその日ではあったのですが、手持ちぶさたになって離れていた時期があって――。久しぶりに手を付け、毎章毎章ストーリーでぼろ泣きして、すっかり元の場所に戻ってきたような形です。厳しいにもほどがある世界観で人間讃歌をやっている作品。 めいっぱい楽しむにはもちろん前二作を遊んでほしい、のですが、そちらも難易度が高いゲームではあるので、なかなか勧めづらい作品です。ここから入るでもおそらく問題はないので、気に入ったらぜひ前作も、と言わせてください。 ふんわりした感想になってしまった。現行のソシャゲなので……。
以上です。今年はこのほかにも謎解きキットを遊んだり、リアル脱出ゲーム(オフラインを含む)を遊んだりと、謎解きに触れることの多い一年でもありました。来年もたくさんゲームを遊びたい!
それで��、よいお年をお迎えください。一年間お疲れさまでした。
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アンソロ参加します
「父親の死体を捨てにいく」物語を集めた文芸アンソロジー、参加します。主宰の八束さんがハッシュタグ #家父長制アンソロ でX(Twitter)やFediverseから情報を発信していらっしゃるので、最新の情報はそちらより。 https://twitter.com/yatsukami/status/1723273661120213197

企画にお誘いいただいてメンバーの名前を聞いたときに、(アンソロジーは毎回そうなのですが)場違いでは……?? と思ったのですが、その中で私にお声がけいただいたことには意味があろう、ということで、僭越ながらお席をいただくことにしました。
web拍手のほうから「文フリでフライヤーを受け取った」とコメントくださった方もいらっしゃって、どこからお返事したものかと悩んでいたのですが、この場で。ありがとうございます。作品を上げることもなくなったサイトにまでお越しいただいて恐縮です。触れたことのないテーマで途方に暮れているものの、自分らしいものが書けたらと思っています。
いまはとにかく読んで、学びなおすところから。がんばります。
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2023年遊んだゲーム振り返り
2023年お疲れさまでした。 別記事にてアンソロジー参加のお知らせを書いています、よければそちらチェックをお願いします。
この記事は今年遊んだゲームの振り返りです。量が多かったので早めに書きました。途中で遊ばなくなった作品も少なくないので、EDまで到達した・一区切りつくところまでは遊んでいて、ある程度まとまった感想が書けそうなもののみ抜粋しています。
・PowerWash Simulator(2月)steam
一本めがこれか……。 たしかゲーム配信かなにかで遊んでいるのを見て、楽しそうだなあと買ったのがきっかけだったと思います。このころ仕事で荒んでいたのもあって、「とりあえず今日成し遂げたと思えるなにかが欲しい」という気持ちに沿ってくれたゲームでした。最後にクリアしたステージが公園か家、総プレイ時間は長くないはず。 ゲームへの集中は不要で、動画を見ながら~とか、音楽を聴きながら~とかで遊べるのがよかったです。エリアが広くなるほど洗い残しは許容されるようになるので、一箇所洗い終えた時の効果音がどんどん響いて気持ちがよかったのを覚えています。
・違う冬のぼくら(3月)steam
複数人プレイの作品、付き合ってくれる人を募集するところからなのでかなり敷居が高いんですが、ありがたいことに遊ぶことができました。2プレイヤーの視点で見えるもの・できることが違うパズルゲーム。生まれも育ちも違うふたりの子供が、自分たちを取り巻く環境に鬱屈し、市長像を爆破してやろう!と意気込んで山の中へ分けいっていくものの……。 二人で遊ぶ、話す・相談する、考える、ということに重きを置いていて、見えるものや触れるものが違うから伝えなくてはならなくて、というゲーム性。作者さんらしい世界観の謎や匂わせがあって、なんとなく推察できるようにもなっているのですが、私自身はそういった部分よりも、山の上に待ち受ける目標に対しての結末のあっけなさがよか��たなあと思います。
・パラノマサイト(4月)steam
おもしろかったなあ!という思い出が強くて、私にとってそのおもしろさはプレイ体験の驚きに端を発するものだったので、遊ぶ予定のある方にはなるべくネタバレがないように触れて欲しいなあと思います。少しでも気になる方はこの項を読み飛ばしてください。 お願いします。 いいですか。 続けますね。 和ホラー的なADVということだけ前情報で知って挑んだのですが、「胃能力バトルもの!?」と驚いたのが印象に残っています。まだ発売したばかりで、紹介記事もあまり芯を食った話をしていなかったころに触れられたのがよかったかもしれません。 最初の案内人のドッキリで笑ってしまったあとに、並垣くんとの対峙で「こういうゲームだよ」というのがわかるつくり(「CVがないのにどうしてボイス音量設定があるんだ?」という、思えば当たり前の気付き)。わざとらしくなく、けれどプレイヤーから理解できるように明かされたのが導線としてよかったな~と思いました。謎解きをおこなう作品において重要な、どこまでが許されるラインなのかの明示。これをきちんとやらないと作者の脳内当てゲームになるので……。作品におけるメタ要素を、物語を損ねない形でシステムと絡めて開示するのは製作者の腕だな〜と思いました。 一部の人物描写には思うところこそあるものの、全体きれいにまとまった、よいADVでした。こういう作品がどんどん出てきてほしいなあ。シリーズ作を作る土壌があるようなので期待しています。
・ファイアーエムブレム エンゲージ(4月)switch
今年の総プレイ時間はこれが最長だと思います。プレイ済み作品はifと風花雪月だけ、ほかの過去キャラクターはスマブラ等で名前を知っている程度、だったのですが十分楽しめました。過去作要素には個別ステージでちょっと触れたり、ステージの構造で匂わせたり、キャラクターの待遇を重ねたり、程度だったのがちょうどよい塩梅。それでいて、知っているシリーズだとステージの音楽アレンジがめちゃくちゃ良くて1ループまるまる聴き入ってしまいました。 色物だなあと思っていたエンゲージシステムにもすぐに慣れて、オーバーパワー気味のそれを使うこと前提で設計されていた難易度がよかったです。そう、戦闘がとにかくおもしろかった!連携システムが割合ダメージなのが肝だなあと思いました。これを「絆」と関連づけて、ラスボスがそれを断ち切ってくるパッシブを持っているのがシステムとしてきれいだったな~とも。 育成においても、指輪や職やスキルによる重みが強いので、キャラクターにある程度自由なビルドが許されているのがよかったです。魔術師向けキャラを肉弾戦系に育て上げるのもいいし、その逆もできる。手をかけてあげたぶんだけ目に見えて強くなるので、贔屓のしがいがあるのも嬉しいところ。推しのエーティエさんがアーマーを貫くアーチャーに育っていくのをにこにこ見つめていました。
・ファミレスを享受せよ(5月)ブラウザ
switch版発売おめでとうございます! 夜遅くに時間を用意して遊ぶのにぴったりのADVです。永遠のファミレスに閉じ込められてしまった主人公と、同じようにファミレスに暮らしてきた、境遇も様々な人々との語らい。操作は簡単で、話題を選んで人に話を振るだけ。それだけです。でもこの「他人に関わろうとする」「知ろうとする、時には嫌がられるだろう部分にすら踏み込んでいく」働きをする人だったから、主人公は主人公たり得たし、物語を動かしたのだなあ……。 ファミレスに留まる人々は、飽きることに飽きるほどに長い時間をそこで暮らしています。それぞれに通り過ぎてきた過去さえ、他人事のように語るものになってしまっている彼ら。ファミレスという空間にありながら、ひとりひとりが別の場所に腰を下ろして、隣人として過ごしている(だからこそ最終局面で同じテーブルを囲むあのシーンがかけがえのないものになる)。 調べられるところを調べる限り、裏側に設定はありそうで、けれど本質はそこにはないし、それを解決する作品でもない。あくまでも主軸を人々の語らいの中に置いている誠実さがよかったなあと思いました。言葉を尽くしても伝えられる気がしない。遊んでほしいです。よい作品でした。
・Pentiment(6月)steam
ヨーロッパの片田舎の街と修道院を舞台にしたサスペンスADVです。主人公はその地を訪れていた画家で、修道院で絵の仕事を任されていたところ。世話になっていた老人にかけられた殺人の疑いを晴らすため奔走します。 自分の生い立ちや大学での専攻を選ぶことで知識や能力の設定が可能で、人々への聞き込みや調査においてもこれらが大きく関わってきます。必要な情報が集まっていれば各所でのチェックが成功し、新たな情報につながっていく流れ。時間が限られているためすべてを明らかにすることはできず、それでも物語は進んでいく。きれいごとばかりでは嫌われるし、恩人への疑いを晴らせたとしても、それが本当に正しかったのかわからない。けれど不安のなか歩いていった先、遠い未来で、「あのときああしてよかった」という手応えが返ってくる充足感。贅沢なものを遊んだなあと満足した作品でした。 翻訳がちょっと不安なところこそありますが、音楽とアートワークがものすごくよかったです。BGMがふいに止まる礼拝堂を歩いていくと修道士の讃美歌が遠くから聴こえてくるだとか。印刷機が家にある一家だと、活版印刷のそれを模したモーションで台詞が表示されたりだとか。写本のようなUIも素敵でした。
・ゴーストトリック(7月)steam
リマスター版です。switchでも出ていたのですが、steamの方が直感的に遊びやすそうだったのでこちらで。タイトルだけは昔から聞いていて、遊ぶ人がみな絶賛していたので、遊びたいものの3DSかスマホかかあ……と渋っていて。リマスターが本当に嬉しかった!ですし、評判に違わぬ素晴らしい作品でした。 幽霊として目覚めた主人公は、自身が記憶を失っていることと、目の前でひとりの女性が命を奪われようとしていることに気づきます。刹那の時間に出会った謎の喋るランプに導かれるまま、自身に宿った力を用いて人々の死の運命を変えていく。すべては記憶を取り戻すために。 パラノマサイトの項でも書いたのですが、謎解きというのは設定の先出し、つまりプレイヤーとの間にルールを置くことが肝要で、ゴーストトリックはそれを物語でしっかりこなしている作品でした。本筋が進むにつれてとんでもない真相が明らかになっていくのですが、そのための前振りはきちんとされていて、「それってアリ!?」がないんです。思い返せば同じ例がすでに起こっている。それでいて伏線回収だけに終始せず、しっかり感情の起伏が作られている……。 こういう作品作りってしてもいいんだなあ、と元気をもらえる作品でした。おもしろかったです。
・The Cosmic Wheel Sisterhood(8月)steam
一昨年かな?に遊んだThe Red Strings Clubのデベロッパーの新作です。カヴン(共同体)から追放された占いの魔女フォルトゥーナが、復讐のために魔神を呼び出すものの、彼女の運命はその目論みとは異なるほうへ大きく変化し……。初めに打ち立てる「大切なもの」「代償」といった要素が、物語の進行とともに形を為していく、その瞬間瞬間に息を飲みました。 多くの魔女との関わりには手製のカードによる占いを行います。それは未来のものごとを的中させるだけのものではなく、出来事そのものを捻じ曲げてしまう、まさに魔法と呼ぶべきもの。矛先は未来だけでなく、過去にまで及びます。フォルトゥーナが導いたカードが、本当にあったことになる。 どんな要素をもたらすカードを作るかも、どのカードを答えとするかも自分で選べるけれど、なにより大事なひとつ、デッキからそれを選び取ることにだけは自分の意思が及びません。ランダムで選ばれた複数枚のカードから選択することだけ。このままならさがよかったですし、The Red Strings Clubと同じものを受け取るようで感じ入ってしまいました。たどり着くところが同じだとしても、そこにどう関わるのか、どんな選択をするのか、は自分で選ぶことになる。よかったなあ。
・バベル号ガイドブック(8月)steam
多くの登場人物の視点で物語を追う群像劇ADVです。バベル号と呼ばれる大規模な飛行船に乗って、人々はどこへゆこうとしているのか。 バタフライエフェクトを主軸としたゲーム性で、そのままでは達成されない目的のために、その場や過去の道具に少しだけ干渉して、人々の行動を変えていくことになります。ヒントの取得システムがパズル気味で、「ヒントを手に入れる」こと自体が楽しいつくりになっているのがよいアイデアでした。ADVでヒントを頼るの、場合によってはちょっと気が引けてしまうので……。 まったく違うところからスタートした人々の道が絡み合っていく。誰かが知らないうちにほかの誰かを助けている。群像劇の醍醐味をいっぱいに楽しむことのできる作品でした。グラフィックやUIの質感にゲームブックのような、シールをたくさん貼り付けるようなワクワク感があって、それも満足感が大きかったです。
・TUNIC(8月)switch
ゲームが好きな人は好きなんじゃないかな~という作品です。 主語が大きすぎました。RPGで家の裏やら滝の裏やらを調べたり、壺を全部割って歩いたり、ボスに続く道を引き当てる前に全部の横道を見て回らずに入られない人向け。この探索の楽しさは最後まで一貫していて、ちょっと進んだところから「ショトカ開通かな~?」と思って道を辿っていくものの、気付いてさえいれば最初から行けたじゃん!が明らかになる、そんなことばかり。して��られた感が悔しくて笑っていました。 物語には独自言語が用いられていて、それが説明書(ゲーム内で見られる)にも徹底されているのが特徴的なつくりの作品です。説明書のページを集めていくことが物語の目標。そのため、ゲームを進めることで触れられる新しいシステムについても「実は最初から使えるのだけれど、プレイヤーがやり方を知らなかっただけ」という形になっているのがおもしろいところ。初めから見えているのにゲーム終盤まで開かない宝箱、みたいな概念が大量にあります。だからこそ、まず触ってみて欲しい!作品です。 戦闘はソウルライクと称されるほどの難しさのため、私は早々に諦めて無敵モードで遊びました。普通に遊ぶとしんどそうだなあ……。
・Chants of Sennaar(9月)steam
これよかったです、本当に。本当によかった。 人々が喋る異言語の単語の意味を特定することで進めていくゲームで、それらを用いた謎解きがあったり、時にはその言葉を組み合わせて意図を伝えたり。喋る必要があるということはもちろん文法を把握する必要もあって、それも民族によって異なっています。たとえば複数形を表現したいとき、それそのものをひとつの単語としている民族がいたり、同じ単語を二つ並べる民族がいたり。なんとなくモデルになっていそうな言語こそあるものの、基本読み取れないので、どこで使われているのかを見て推測する必要が出てきます。 言葉を理解すべき複数の民族は、階層の分けられた塔の中に、交わることなく暮らしています。「同じ語意」であることを用いて単語を特定するシーンもあるのですが、ある民族が自分の民族を指して「兵士」と示すとき、別の民族は同じ相手を「蛮族」という意味のことばで示す、というような違いがものすごくよかったな~と思いました。翻訳はその意味までもをイコールで繋いでくれるわけではない。 こういったシステムが物語の目的にきちんとリンクして、ああ私はこのために言葉を覚えてきたのだ、と気付くラストシーンの美しさといったら! 本当によい体験でした。 音楽も画面もやっぱり良くて……墓地へと向かう道の途中、どこからか聞こえてくる楽の音にため息をつきました。OSTも買いましたが、これはゲームの中で聞いてこそだなあと思います。 リンクを貼っておきます。動画を見てください。音を、音楽を聴いてください。
youtube
・スイカゲーム(9月)switch
買いました………………。 流行りにはさっさと乗らないと自分の逆張り精神が顔を出すので、熱いうちにということで。遊んでみれば流行るのはわかるなあというか、配信映えするだろうなあという気付きがいくつもありました。実は適当にやっても(なんなら連打するだけでも)それなりのところまで行けるので、「もしかして私センスあるんじゃない?」と感じられるつくりが巧いし、いやらしい。かつ定石となる戦略がプレイヤーによって生まれやすいので、配信でコメントが盛り上がりやすい。そのくせ引きによる運要素がかなり大きいのでふとした拍子にうまくいく。 私自身はスイカ作ったり3000点取ったりのところで満足してやめました。安いのでちょっと遊んだだけで元取った感がある。とか言いつつプレイ時間を見たらきっちり十時間遊んでいたのでちょっと引きました。
・Scene Investigators(10月)steam
犯行現場を調査して事件の真相を探る調査・推理ADV。証拠だけでは全貌は完全には見えなくて、ある程度の推理が必要となってくるつくりです。とはいえ、チュートリアルこそその推理部分が多かったものの、本編はそこまでではなかった印象でした。 私はチャプター1までクリアして止まっているのですが、そのチャプター1の出来がよくて……。ひとつのチャプターが三つの調査に分かれていて、ひとつめでは見えてこなかった真相がふたつめ・三つめで見えるようになるため、最初に「こういう人物かな」と思っていた相手の見え方がどんどん変わっていくことになります。プレイヤーはその相手と直接話すわけではなくて、現場に残った痕跡だとか、別の人物が書いたメッセージから人間性を推し量るしかない。それで「知った気になっていた」プレイヤーを、最後の最後で本人の色濃い痕跡が裏切ってくる。チャプター1、三つめの現場を少し見て回った段階で、口を覆って動けなくなる経験をしました。 別のチャプターも早く遊びたい!よいゲームです。
・A Dance of Fire and Ice(12月)steam
年末はこれを遊んで過ごすだろう予感がしています。リズムを刻むだけのシンプルな音ゲー。よくあるレーンに流れてくるノーツを押すの形式ではなくて、レールを自動で進んでいく自機を追いかけてタイミングよくキーを押すシステムです。キーはいつどこを押しても反応するので、最初は右人差し指でエンターを叩いていたのですが、次第に押すときの負担が少ない矢印キーとなり、やがて両人差し指で文字部分を叩くようになりました。今後二本だけでやっていけるんだろうか……。 一度リズムを外すと(中間セーブがない限り)最初からのリトライなので、否が応にもリズムを覚える必要があります。とはいえたどり着いたところ+ちょっと部分までは好きな場所から練習できますし、そもそもリトライが早くて楽なのでストレスは無 無 くはないですが それは自分に対する怒りなので……楽しく遊んでいます。 この記事を書いているタイミングで12章終えて、北の島の二曲を終えたところ。三曲目で延々目隠し四分音符を叩かされる地獄にいます。やっていくぞ。
以上です。よく遊んだ!年々字数が増えていると噂です。 毎年ここだけ書く人間になっていますが、ご覧の方がいらっしゃれば、よいお年をお迎えください。一年間お疲れさまでした。
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2022年遊んだゲームふりかえり
2022年お疲れさまでした。
毎年これだけ略。恒例の今年遊んだゲームのまとめです。
・ 7 Days to End with You (1月)SP
なんらかのゲームの賞を取っていた気がします、めーちゃくちゃよかった! です! 名詞や数詞まわりはわりとさくさく埋められるんですが、どうしても形容詞や感嘆詞が全然埋まらない。相手が何を考えているのか、表情や素振りから感じ取ったとしても、それを自分の言葉、理解でしか表現できないもどかしさ。その果てに、私が彼女になにをしてやれるのか? どう決断するのか? 限られた言葉を丁寧に選ぶ、異言語コミュニケーションならではのストーリー。面白かったです。
・Pokémon LEGENDS アルセウス (1-2月)Switch
今振り返ると、ゲームとして面白かった!のはSVよりこっちかなあと思います。私はアクションがとことんど下手くそなんですが、それでも終盤あたりになれば煙玉投げて→きのみ投げておびき寄せて→背面取って→ボール投げて→一旦距離を離して→煙玉投げて→…の一連の動作が無心でできるようになりました。これに慣れてしまうと、いつものシリーズ作でわざわざ捕獲のために戦闘するのが面倒であることに気づいてしまう……。 システム面として、ちょっと強いポケモンを無理して捕まえてもズルになり過ぎない(けどきちんと達成感がある)調整がうまかったな〜という感覚があります。あと、長い距離の往復が発生して歩きがめんどくさいな! と思った瞬間に移動速度上昇乗り物を出してくるゲームづくりのうまさに唸らされました。さすが天下のゲーフリ。
・Baba Is You(2月)SP
ちょこっとだけ遊んで、クリアまではできていない気がします。ジャンルで言うとパズルなんですが、これは……どう話せば……。言語とオブジェクトを組み合わせたパズルで、ブロックとして配置されている文字を、意味が通じるように移動させることで、オブジェクトの作用を切り替えていくというか……。「壁」が「私(PC)」になったり、「飛ぶ」ものになったり、「触れると死ぬ」ものになったりするパズルです。「そんなのアリ!?」と手を叩いて笑うこと請け合い。
・マジョのシマ(3月)SP
探索アドベンチャーがやりたい!という飢えにあてられて遊んだもの。歩きが遅かったり時間進行が遅かったりヒントが弱くてしらみつぶしになりがちだったりで、システム的にはちょっと遊びにくいな……と思う部分が多かったんですが、独特な空気感とストーリーの手触りが良かったです。憎めない街の人たちとか、なぜそんなところに?と思ってしまう井戸のおじさんとか。
・HOTELブルーローズ(3月)PC
これはゲームなのか? と思うものの、謎解きがしたくて遊んだ作品です。リアル脱出ゲームの会社のオフラインゲーム。複数人の主人公の足取りを追って、ホテルに隠された秘密を暴いていくストーリーになっていて、ネタバレ配慮で何も言えないんですが、ヒントシステム等遊びやすい作りになっていて、画面もリッチで、贅沢な遊びを提供してもらったなあ……と言う感覚がありました。面白かったです。
・The Shrouded Isle(4月)PC
買ったのは大昔で、クリアできずじまいになっていたので、改めて遊んだ作品。経営シミュレーションは普段あまり遊ばないのですが、この作は運要素が強いかもと感じました。周回しつついい具合に悪徳持ちが配置されるのを祈って、あとはうまく調整して調整して調整して適度に一族郎党皆殺しにして。この画面とBGM、雰囲気作りがもうものすごーーく好きなんですね。よかった。
・VA-11 Hall-A(4月)PC
あっこれ今年かあ。サイバーパンクがやりたいぞで遊んだ記憶があります。色々な(本当に色々な)価値観の人が現れて、自分の思想をばら撒いて、そこに遠慮も呵責もない、まさに「掃き溜め」である場末のバーが舞台。その中で、それでも誠実であったことは必ず周りの人が見ているのだ、と信じられるストーリーが良かったです。本人が塞いでしまったときに、きちんと手を伸ばしてもらえる。翻訳もよかったなあ。
・Replica(6月) PC
ゲームシステムの珍しいものが遊びたいなあとこの頃考えていて、罪悪三部作の名前が目に止まったので、まずは一作目であるここから。他人のスマホを覗き見て、そこから国に争う意思のある人物であったかどうか情報を引き出していくつくり。情報を覗き見ていくうちに、あれこれって自分も割とまずい状況なんじゃないか……? と気づいていく、背徳感と恐怖感との板挟みがよかったです。
・Strange Horticulture(6月) PC
このころは日本語ローカライズがなくて、画像翻訳を駆使しながら英語で読んだんじゃよ(老人)。指定された植物を図鑑見て当てて提供して……と、やっていること自体はわりと単調なんですが、SEと画面演出が凄まじく良くて達成感があるつくり。攻略をちょっと覗いたところEDがべらぼうにあるようだったので、日本語版でまた遊びたいな……と思いつつ後回しになっています。
・Legal Dungeon(6月) PC
今年のトップはこれかディスコエリジウムだな〜!の作品。警察官である主人公が(あるいはそれを操作する私たちが)、警察組織での点数稼ぎと自身の正義感・倫理観との狭間で揺れ動きながら人々の罪に判断を下していく話。主人公が行うのはあくまで意見書の作成で、最終的な判断権は当然裁判所にあるので、その判決との差異が昇進に関わります。自身の昇進? いいえ、自分に関わる全ての人間の。 喋らない主人公とは感情移入のための容れ物である、という認識でいたのですが、主人公清崎蒼はこちらが気づかないうちにずっと遠くに立っているような人物。彼女にしっちゃかめっちゃかにされた経験が強く印象に残っている作品です。UIやゲームシステムとの物語の融和も素晴らしくて、まっすぐに走るとされる「光の列車」の表現が自分の中で意味を持ってしまった瞬間のあの感覚が忘れられない……。
・The Forgotten City(6月) PC
謎解きアドベンチャーがやりたい! が高じて苦手なWASD移動ものに手を出した作品。アクション苦手すぎて泣きました。でも面白かった! 主人公が迷い込んだのは遺跡��中の別空間、切り立った崖に囲まれた集落。そこは誰かが罪を犯した瞬間、住民の全員が金の像と化してしまう呪いがかけられた土地。主人公はその呪いが発動するたびタイムリープを行い、彼らとの出会いのそのときに引き戻されることになります。同じ日を繰り返しながら最適な行動を見つけ、やられたことをやり返し、ルールを掻い潜りながら脱出を目指す骨太なアドベンチャーです。 登場人物が多くて名前を覚えるのもやっとな状態から、少しずつできることが増えていく気持ちよさがたまらなかった作品でした。
・ディスコエリジウム(8月) PC
今年のトップはこれか略。これを「ストロングゼロ文学ゲー」とする紹介記事を読んで以降、ローカライズをず~っと待っていました。主人公のパラメータ(知力、体力…といったもの)を割り振ったうえで、そのパラメータに基づく各所のスキルチェック(ダイスロール)への成否によって物語が分岐していく、TRPGに近いシステムとなっています。この「TRPGっぽい」システムをゲームでやろうとしたときのテキスト量というのがとんでもなくて、分岐もすべてひっくるめるとハリー・ポッターの全巻ぶんに匹敵するとかどうとか。一度EDまでたどり着くだけでも恐ろしいほどの文章量があるので、文字に飲まれたい方はぜひ。 主人公は記憶喪失の刑事。刑事であることも忘れてしまって、二日酔いのパンツ一丁姿でホテルの一室に転がっているところからのスタートです。彼がどう振る舞うか――刑事らしく真面目に捜査を行うか、ダメ人間を貫くか、特定の思想に偏ってみるか、あるいはどっちつかずの中立派でい続けるか、すべてはプレイヤー次第。そのすべてのあり方に、ゲームはきちんと応えてくれます。 私はラスト近くのあるスキルチェックで大きな声を上げてしばらくうずくまりました。あのスキルチェックのために頑張ってきたのだ……。おすすめです。
・ ポケットモンスター バイオレット (11月)Switch
オープンワールド、それも三ルート制ということで、物語が薄味にならないか・それぞれの没入感が薄れてしまわないかを懸念していたんですが、すべて杞憂でした。剣盾でぐんぐんに上げてあったハードルを、きっちり越えてきたのがSVだったなあと思います。 どこにでも行ける、なににでもなれる、好きな自分でいられる、そんなメッセージを感じるようなシナリオだったな~というのを感じています。学校という場所で授業を受けることもできるし、自分だけの宝探しに夢中になってもいい。その学校の先生ひとつ取っても、強面な先生が自分へのレッテルと向き合ったり、言語コミュニケーションを教える立場の先生が口を開かないポケモンのあり方を肯定したり――。剣盾において「旧来の主人公」の似姿が託された人物がチャンピオン、最後の敵として立ちはだかったあと、こういった「自分の道を自分で選ぶ」物語が届けられることには意味を感じました。よかったなあSV……よかったなあ……。
・The House of Da Vinci(12月) PC
脱出ゲームをやるんだよ!!! という勢いで遊んだもの。望んだものを過不足なくお出しいた��いたのでたいへん満足しています。とにかくグラフィックと効果音が気持ちよくて、贅沢をしている感覚になりました。ヒントも親切だったのであまり詰まることも……なかったとは言えませんがほとんどなく……じっくり腰を据えて楽しむことができました。年末で時間ができるとパズルゲームを遊びたくなるなあ。
体力と気力の問題で、遊ぶゲームがほとんどsteamになっていく中、やっぱりポケモンは遊んでしまうなあ……ということを感じます。
自分の環境も色々と変わった一年ながら、なんとか元気に生きています。ここをご覧になっている方がいらっしゃるのかはわかりませんが、皆様、よいお年をお迎えください。一年間お疲れさまでした。
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2021年遊んだゲームふりかえり
2021年お疲れさまでした。
毎年これだけ書く人間にありつつありますが、あとで振り返りたいので残しておきます。一年で遊んだゲームの振り返りです。
The Red Strings Club(12月) PC
steamより。実はぎりぎり2020年に遊んだ作品なのですが、去年の記事に記録がなかったのでここで。カクテルで人の心に干渉することのできるバーテンダー・ドノヴァンと、彼のパートナーである凄腕ハッカー・ブランダイスの物語です。 「インプラント」と呼ばれる機器を体に埋め込むことで自身の感情を調整することが可能となった世界で、そのインプラントの開発会社が、鬱や攻撃的な感情を消し去る、全人類の強制アップデートを企てているという情報を掴んだ二人。それを阻止するため、バーに訪れる客から情報を集めていくことになるけれど。 世界観から分かるようにかなり思索的な試みに満ちた作品です。心を人為的に操ることは正しいのか、間違っているのか、または許されることなのか、許されざることなのか。自殺を止めるために感情制御を行うのは? あるいは人種差別に対しては? バーに転がり込んだアンドロイド、何人ものバーの客と交わすいくつもの対話によって分岐する物語の末に、しかし不可避のまま横たわっている(OPで描かれた)ブランダイスの死――。 EDで叩きつけられる選択肢で動けなくなってしまって、数分頭を抱えていたのを憶えています。先述の通りの内容なので好き嫌いは別れそうなのですが、このEDは、それらとは一つ距離を置いたところに、動かしがたいものとして存在している。ぜひ遊んで欲しい作品です。おすすめ。
Lobotomy Corporation(2-3月)PC
実は筋書き自体は前々から動画で知っていた作品でした。購入だけしたまま、自分ではクリアまでたどり着けずに放置してしまっていたというか。後述の「Library of Ruina」がこれの続編として作られているということを知り、ならば改めて遊びなおそう、と自力でクリアをしたのがこの時期にあたります。 エネルギー企業Lobotomy Corporationで、そのエネルギーの原料となるクリーチャー「アブノーマリティ」たちを管理するシミュレーションです。その合間に、管理人=プレイヤーを支える完璧なAI・アンジェラやこの企業で働く管理職「セフィラ」、企業そのものの成立に関わる真相が明らかにされていくこととなります。 基本的には死に覚えゲーで、まず初見では機嫌を損ねてしまうだろうアブノーマリティたちの管理方法を何度もリセットしながら明らかにしていくこととなります。一度管理方法を覚えたからといって安定した管理を許さない、いくつもの試練やイベントたち――実質のラスボスとなる管理日には、それまでノーデスかつ万全の状態で進めてきた職員たちすら大半を奪っていくような、凶悪な難易度が襲い掛かります。やり遂げたときの達成感はすさまじいものでした。 ゲーム内容とゲームのシステムがかみ合っている、ゲームの機能に設定からの裏付けのある作品が好きなのですが、このLCはまさにそれです。
Library of Ruina(1-4月) PC
ゲーム性ががらりと変わった、前述のLCと同世界観の続編。始めた時期自体はLCよりも先です。まだアーリーアクセス時だったので、毎週金曜日のストーリー更新を追い続けていた作品でした。週刊地獄というか……毎週「なんでそんなことするの?」と泣きながら進めていました。 人を文字通り本に変えてしまう図書館。その管理者である館長のため奔走する、図書館に迷い込んだフィクサー(便利屋)の男ローランの物語。彼の仕事は、図書館に招待される、何らかの目的を持った人々を「接待」=彼らとの戦闘を行い勝利する=命を奪って本に変えること。そうして積み上がった本の先に、館長の求める、この世の全てが記された「たったひとつの本」があると信じて――。 自らの野心や夢のため、あるいはこの図書館で本にされた仲間や恋人を取り戻すため、連日訪れる「ゲスト」たちを殺し続ける日々。「それはそれ、これはこれ」を信条とし、諦めきった態度で淡白に働くローランに、過去の因縁が否応なく手をかけてくる。終盤は呻き声をあげながら毎週の更新を待っていました。 ゲームとしてはカードゲームの戦略性とダイスの運を組み合わせたもので、ちょっと複雑ですが、慣れれば事故死が減らしやすい仕組み。LCよりは難易度が低いかと思います。前作で最大の敵として立ちふさがった人物が仲間になる展開もあり(その肩書通りにきちんと強い!)、ゲーム性も楽しい作品でした。人物の性格や戦闘スタイルが性能に表れているのが好き……。 おすすめの作品です。一緒に地獄を見ましょう。 Project Moon、新作も用意中とのことで、そちらも非常に楽しみにしています。スマホアプリということで戦々恐々としつつ。
サガフロンティア・リマスター(4-5月)Switch
(すみません、古い作品でもあるのでネタバレには配慮しません) お久しぶりですとしか言えない……サガフロ、自分を作ったゲームのうちの一つです。プレイ当時はアセルスやブルー編が好きだったのですが、今遊び直すとどの主人公たちもそれぞれ良さがあって、加えられたヒューズ編も元のストーリーを壊しすぎに昇華していて手を合わせてしまいました。とはいえヒューズ編はあくまで二次創作のようなものと捉えていますが……(面倒くさいプレイヤー) エミリア編が本当にいいんですよね。巨獣を追いかけて真相を知ってしまうルート、すなわちレン殺害ルートこそがトゥルーエンドだと思っています。今まで何も知らない馬鹿な女でしかなかったエミリアが、非日常であるグラディウスでの活動で(ルーファスに騙される経験まで含めて)自分の頭で考え、ものを知ろうとすることのできる人物に成長する。そうして最愛の青年の裏側を知り、撃ち抜いた上で、グラディウスに背を向けてもとの日常に戻っていく構成が美しい。ラストダンジョンがまた、何も知らないみたいにあっけらかんと晴れた空の下なんですよね……良すぎる……。ラスボスも何も知らない妖魔なんですけど……。教会で心の整理、決別の儀式として花嫁だけの結婚式を行うエミリアと、気の緩みを警戒するルーファスの様子も好き。良かったなあ。
レイトンブラザーズ・ミステリールーム(10月)SP
にわかに沸き上がった、バディものミステリが摂取したい! という欲望からまず手を付けたのがレイトンシリーズでした。なぜだろうな……。レイトンブラザーズはレイトンシリーズにおいては外伝的なストーリーです(私はこのとき初めて存在を知りました)。レイトンの息子にしてスコットランドヤードの事件分析官アルフェンディ・レイトンと、彼のもとで働くこととなった新人ルーシー・クレイラの物語。 ゲーム性はレイトンシリーズとはがらりと変わった、現場調査と証拠の提示による推理もの。ちょっとトリックが無理やりかな? と思うところはあったものの、おおむね楽しく遊んでいました。UXが優れていて、プレイに気持ちよさがあったのが大きかったなあと。 なによりアルフェンディとルーシーの信頼から来る仲のいい掛け合いが良かったです。誰を信じるか、どう証明するか、終盤きちんと成長したルーシーの姿にじんと来るものがありました。
レイトン教授 最後の時間旅行(10月)SP
これも引き続きでバディものミステリ欲です。バディものか? ちなみにレイトンシリーズで遊んだことがあるのは魔法の箱だけでした。 そのでかい都市は…じゃあ…どう作ったんだってばよ!? みたいな疑問が残るには残るのですが、全体振り回されっぱなしで楽しかったです。一部には説明がついて、でも「あれ? あの人は?」みたいなファンタジーの空気を漂わせていくのがレイトンの良さですね。終盤のカーチェイス(?)シーンにメインテーマがアレンジして使われる展開もよかった。こういうのに弱いんだ……。
There is No Game(12月)PC
このあたりからsteamです。にわかにsteamゲーがやりたい欲が生じてきたのと、人に流されがちなのとで、有名どころを遊んでいます。 「ここにゲームはないぞ!」という言葉と共に、プレイヤーがゲームを始めようとするのを拒んでくる「ゲーム」という開幕。あの手この手でゲームに干渉していくけれど、その中で、目覚めさせてはいけなかったノイズを呼び起こしてしまい――。 この作品、徹頭徹尾メタゲーなのですが、その中でエンタメに徹しているのが珍しいなあと感じました。メタ作品、向かい合う我々に対して何らかの問題提起(に見せかけたシーン)を含むことが多い印象で、There is No Gameにはそれがないのですよね。この話、steamの作品ページの一番上にあったnnさんという方のコメントがまさにその通りなので、私の感想よりそちらを読んでもらったほうが百倍いいんですが……。 「F2Pにされるのはゲームにとって最悪の地獄なんだ」でめちゃくちゃ笑ってすぐに悲しくなりました。そうだぞ。わかっているのか。なあ。
unpacking (12月)PC
これはリリースされたら遊びたいな~と思っていたもの。音とドット絵がものすごくて、贅沢なものを食べたような気持ちになります。 基本システムはシンプルです。画面に用意されているのは閑散とした部屋と、段ボールにしまい込まれたたくさんの道具たち。引っ越し直後を描いた空間に、段ボールから出てくるものをひとつひとつ、適切な場所を見定めながら置いていくだけ。同一人物の引っ越しの荷ほどきを何度も手伝っていく中で、彼女がどういった理由で引っ越しを行い、何を大事に思って、何を捨ててきたのかがうっすらとわかってくる。 ステージ設計が本当に絶妙な作品でした(ここからネタバレなので、未プレイであればぜひご自分でプレイしてほしいです)。彼氏との同棲で飾る場所のない賞状、破局後の帰省の際には表に出しておくことのできない彼との写真。失意に包まれていた彼女の数年後の引っ越しに見る、やがてパートナーと共に得るのであろう穏やかな生活の示唆。良い作品でした。
Moncage -箱庭ノ夢- (12月)PC
ウィンターセールで何か買いたいな! で買ったもの。steamのセールは積みがちなのでせめて一つでも崩すために手を付けて、深夜クリアまでぶっ通しで遊んでいました。 パズルゲームなのですが、これはどう説明したらいいのか……立方体の中に景色が映っていて、ある面と別の面の近しい形をしたオブジェクトを結び付けて相互作用を起こしていく、というか。うまく伝えられないので、これについてはムービーかなにかを見ていただくのがよさそうです。 ヒントシステムが秀逸で、ヒントが欲しいときだけ段階的に取得しつつ、どうしてもわからなければ最後に正解ムービーが直接流れる仕組み。これとは別に、動かせるオブジェクトだけをスペースキーで表示することも可能です。ヒント一個ならセーフセーフ、と自分のプライドのご機嫌を取りながら進めていける親切さ……私は何度もムービーを見てしまったんですが……。 この作品にも裏側に一人の男の半生を描き出している、のですが、正直に言うとパズルに必死で追いかけている余裕がない! のがちょっと残念。もう一周しようかな。 音もグラフィックも優しくて、冬に暖かい部屋でじっくりやるのにちょうどいい作品だなーと思いました。
今年は忙しかったのであまりゲームを遊んでいないかな? と思っていましたが、振り返ると本数自体は去年と遜色なかったですね。steamゲーが多かったおかげ。今はポケモンのダイパリメイクを遊んでいます。過去作ではこの世代だけ遊んでいなくて、ほとんど知識なしでの冒険を楽しんでいます。
今年も一年お世話になりました。なりました……?(特にそれらしい活動はしていないのですが……)ともあれ、よいお年をお迎えください。一年間お疲れさまでした。
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2020年遊んだゲームふりかえり
2020年お疲れ様でした。今年はアンソロジーに参加させていただいたきりかなと思います(当時ふりかえり日記を書きました)(というより今年はその件しか日記を書いていない気がします)ので、遊んできたゲームの振り返りでもしようかなと思います。長いです。
クッキークリッカー(2月)
初手クッキークリッカーってどういうことなんだ。2020年に書く内容ではない。 とはいえ令和二年に改めて遊ぶクッキークリッカーには学びがあって、ゲームで得られるおよそ全ての快楽が詰まっているのをひしひしと感じられました。作業の効率化と単純化、要するに強くなるほど楽できる、が実感できるつくりになっている。そのうち適度に放置ができるようになるので、「やれること」は山積みながらもそこに至るまでが苦痛にならない。手段と目的が同じ軸にある(つまりクッキーを増やすためにクッキーを増やさなければならない)のもソシャゲっぽいなあと感じるところでした。 改めてと言いながら、これクッキークリッカーを初めて遊んだ時にも同じことを言っていた気がします。進歩がない。だめだ。
ルーンファクトリー4(3月)
いやこれも2012年発売のゲームなんだわ……なんで……?? なんでもなにも、確か発売時に受験かなにかでものすごく忙しくて、気になっていたものの手を出せていなかったのをここで、という形でした。当時は「UIめっちゃ綺麗!!!」と思ったものですがさすがに令和二年に見ると、というところではあります。 内容は当時も高評価だったようにとっても楽しかった! ストーリーとサブイベントが盛りだくさんで、その発生頻度が運がらみなのが惜しくはあるものの、ボリュームには大満足でした。これもシステムがよくできていて、農業の中でもどんどんスキルレベルが上がっていくので、戦闘がきつくてもとにかく農業やら装備周りやらを頑張って整えさえすればどうにかなる作りになっているのが、アクション苦手にはよかったです。これは後述するサクナヒメ にも通じるところがあったりしますね。 ダグという男が本当にによくて……帝国に洗脳され、街の裏切り者として息を潜めてきた彼が、最後の最後でほだされていくのがたまらなかったです。人あたりが良さそうに見えて、好感度にあからさまにキャップがかかっているのがわかってしまうんですね。ED後にそれが解放されるおかげで、彼のプロポーズイベントだけ他のキャラクターが総出で助けになってくれるのがあったかすぎて本気で泣きました。 ずっと公式サイトに動きがなかったルーンファクトリー5も2021年発売決定!!!!!! 待ちます。
ライザのアトリエ(4月)
これものすごくよくて、なんなら知人の萌え語り文集に1000字の感想を寄稿したレベルなんですがここでは特に話をしていないですね。めちゃくちゃよかったです。はじめてのアトリエがこれでよかった。なにがよかったって、「システムによる主人公のものの見方とユーザーの視点の同期」「ストーリーに対する想定と実質とのレイヤー差」かなあと思うところです。 前者は特に今作が初めてのアトリエだったからこそ感じるところだったなと。ライザは平凡(というかど田舎)な島に住む農家の娘で、なんてことのない日々を過ごす少女。物語は彼女の前に錬金術師である旅人が現れるところから始まります。マップが複雑な作りになっていて、プレイヤーのわたしは最初ミニマップだけを見ている有様でした。それが「錬金術の素材採集」が可能になったおかげで、マップのオブジェクトへと視線を向けなければならなくなる。その瞬間、今までほとんど見えていなかった島の風景が視界に入って、その美しさに気付けるようになっているのが見事でした。 で、後者はこれ、ネタバレなので簡単に言いますが、「ライザの身体的な魅力で注目を集めた発売前」「田舎社会のリアルさでそこにギャップを生じさせた発売直後」のレイヤーの下に、もう一段、物語の終盤に明かされる「ならば、なぜこの島が閉鎖的な環境に置かれたのか?」の真実が潜んでいる構造が素晴らしかったです。これねえ……高橋弥七郎先生……これ……よかったです。前二段はどこまでマーケティングで意図したことなのかはわからないのですが。買ってください。よかった。
どうぶつの森(5-6月)
流行りに乗ることができた稀有な例です。 知人から誘われたので買ったんですが、普通にはまり込んでガッ!!! と遊んで流れるように飽きました。遊んでいる間は四六時中触っていて、毎日日課をこなして島を整えてカブ価を追って鈴蘭を咲かせて、と無限に時間を溶かしていたんですが、いつからかぱったり触らなくなりました。完成した島を一回更地にして新しく作り直そうとしていた頃だった気がします。 一旦見取り図を作って作り込んでみたりとか、いろんなRPGのマップをよく見て似た雰囲気にしてみたりとか、遊ぶ幅が広くて楽しかったなーと思います。上手な人の画像とか見てみたりなんかして。ぶつ森、小学生時代に流行に遅れて買ったら「もうみんな飽きてるよ」と笑われた経験があるのでちょっと感慨深いですね。嫌な思い出を掘り返すんじゃない……。
CardWirth(7-8月)
記録も記憶もないです。確かこのあたりで再燃したはず。三年前くらいにも一度遊んでいたことがあって、その頃はwinだったので苦はなかったのですが、今はmac環境なので……winの仮想環境を用意してあれこれして、といった遊び方をしました。 一から冒険者を用意し適当に進めていたものの、やはりシナリオをいくつも通っていくうちに���きめき設定が育つので、危険な遊びだなーと思いました。 昔から好きなシナリオは「アケロンの渡し」「ヒバリ村の救出劇」「Mimic」、今回好きになったのは「碧落飛翔」「旗を掲げよ風は碧なり」「往けよ旅人、口笛と共に」「黒い花の香」かなあと。ゲームという観点では「祈りは幻」が別軸ながら群を抜いて面白かったです、ザッピングシナリオがカードワースでできると思いませんでした。 気にかかって自分でもシナリオを作ってみよう〜と思って手を出したりもしているのですが、根気が続かないので一旦形にしては止め、あるいは形にする前に止め……で見せられるようなものが出来ずじまいでいます。
Return of the Obra Dinn(9月)
オブラ・ディン号の帰還。乗員のほとんどが死亡したまま海に浮かび続ける船に乗り込んだ保険会社の人間が、亡骸からその死の瞬間を垣間見ることのできる懐中時計を手に入れ、彼らの生死やその原因をひとりずつ解き明かしていくADVです。ADVなのかな。 最初数人のうちは仲たがいかなと思って調べていられるのですが、だんだん不穏な空気が漂ってきて、そういう話!? という驚きが生じること請け合い。手元には乗員全員の立場・出身が添えられた名簿だけが与えられていて、ほとんど顔もわからなくなっているような死体から個人を特定し、死んでいるのかどうか・死んだとしたら誰に・どのようにして殺されたのか、を当てはめていくゲーム。最初から確定できる乗員は稀で、ほとんどは同じ立場の人間を仮埋めして行ってようやく固められるようなものばかりです。 推理力もそうですが、なによりいくつもの死の再現シーンから、この時誰がどこで何をしているか? 何が起ころうとしているのか、あるいは何が起こった後なのか、を順序立てて見ていく根気強さが試されるゲームでした。私は恥ずかしながら行き詰まってちょっと答えを見ました……。面白かったです。
アークナイツ(9月から)
ソシャゲなのでここに一緒に並べるか迷ったのですが一応。遊んでます。 エクシアに惹かれて始めて、だんだん全員の顔と名前が一致してきたところ。前回の危機契約#1はヒィヒィ言いながらなんとか旧約18等級含め勲章の全取得を成し遂げることができました。 キャラクターたちはあくまでのっぴきならない事情でドクター(プレイヤー)と共闘しているだけなので、そこに好感が伴っていないことはままあるし、むしろ嫌われていそう、というキャラも普通にいるところが好きです。 ストーリーもどこまでいっても不穏で好きです。もとは中国のゲームなのでローカライズでちょっと気にかかる点はあるものの(言い回し、という点であって、通訳自体はとてもよくできています)、メインもイベントも満足。ゲームを始めて最初に触ったイベントが重いと名高い「ウルサスの子供たち」→「ウォルモンドの薄暮」だったのも良かったかもしれません。
世界樹の迷宮V(10月)
ずっと昔に買ったような買っていないようなだったゲームを今年遊びました。 序盤はバランス良さげなパーティー(フェンサー、ドラグーン、ハウンド、ウォーロック、ハーバリスト)で進めていたのですが、だんだん決定力の無さと時間のかかり方に焦れてきて、フェンサー3ハウンドハーバリストで紙装甲速攻チェインPTを組んで殲滅するようになりました。当たれば即壊滅なので回避に回避を重ねて殴りかかる形で。ラスボスもあまり苦労した記憶はなかったです。 ストーリーはものすごく薄味ではありましたが、世界樹の迷宮にそれを求めるものでもないのかなと。マッピングも戦闘も楽しかったですし、遊べて良かったです。
天穂のサクナヒメ(11月)
流行りものには乗れるときに乗っておけということで。 よく言われているように稲作には非常にこだわられていて、水の量や書く作業をする季節・タイミング・天気、肥料のバランス、いくつもの要素が関わっているので、何かを取れば何かが立たず……という面白さがあります。とはいえそういった要素はきちんとゲーム内で説明がされるようになっているので、知識があるに越したことはないですが、徐々に理解が追いついてくるものかなと思いました。 先述のルーンファクトリーもそうでしたが、この作品も米作りと戦闘が深く関わっています。いわゆるレベル上げにあたる要素がなく、主人公のステータスは稲作で収穫を行うたびに、その出来に応じて成長する形。なのでアクションの慣れがなくとも、稲作さえきちんと頑張ればゴリ押しでどうにかなるようにできています。わたしはアクションが大苦手なので助かりました。 ストーリー自体は王道も王道というか、貴種流離譚というか。偉大な両親のおかげで贅沢三昧で暮らしていた主人公サクナヒメが、自身の過失で人間を神々の都に通してしまい、彼らと一緒に都を追放され、鬼の棲む島での調査を命じられます。人間たちは当然鬼と戦うことはできません。自分しか頼れるもののいない状況で、サクナが成長していく姿を描く物語です。淡々と書きましたが数回ぼろ泣きしました。 ネタバレですがキャラクターの中では石丸が好きでした。悪役の立場ではあるのですが、サクナたちの許しを彼自身が受け入れられず、結局誰にも知られないまま一人で洞に入り、黄泉神に囲まれて殺されてしまいます。この、自分の歩いてきた道を否定することのできない頑なさが本当によくて膝を抱えました。
ということで。今は十二月から始めたライザのアトリエ2を遊んでいるところです。こうしてまとめてみると、2020年はコンシューマーゲームをたくさん遊べたみたいです。外出を控えることになった理由も理由なので良い年とも言い切れないのですが、新年はそれが落ち着いてくれればと。かつ引き続きいろんなゲームに触れていけたらと思います。
2020年、お世話になりました。今年もよろしくお願いいたします。
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八束さん主催の不幸な少女アンソロジー「シンデレラストーリーズ」、参加させていただきました。通販再開されているとのことですので、ぜひぜひよろしくお願いいたします。
試読 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13704176 通販 https://yatsukami.booth.pm/items/2367490
ということで、改めて宣伝とともに、今回はあとがきを。
本筋へのネタバレらしいネタバレはないと思うのですが、書いた経緯を含んでいるのでネタバレにあたるかもしれません。ご注意ください。
前置きとして。シンデレラという物語について、私はどうしても「意地悪な継母の連れ子たち」、つまり「シンデレラにはなれなかった女たち」あるいは「あらかじめ不幸ではなかった女たち」の方に目が向いてしまう性質でした。また、庇護者と被庇護者の関係でなにかを書きたいな~という気持ちが昔からあって(継続的にものを書いていた頃なので、本当に年単位で昔の話なのですが)、今回はいい機会なのでそれをやろう、というのが発端でした。
いじめ、あるいは庇護、自分より弱いもの(弱く見えるもの)に対してどう出るか、とか。継母や連れ子の仕打ちのなかった世界にシンデレラになる女は存在し得たのか、とか。じゃあ少女をシンデレラにしたものってなんだろう、というか。シンデレラストーリーというよりシンデレラについて考えていた話で、レギュレーション違反を起こしていないか心配ではあるのですが、少なくともお叱りを受けることはなかったのでホッとしています。
……色々と言いつつ、私自身はやっぱり百合が好きですし、女たちのことが大好きなので、今回も好きな女を書きましたし、書けたのではと思っています。いつものやつ、がやれたのは、やはり八束さんが取り仕切ってくださっていた安心感からに違いありません。
良い機会をくださった八束さん、ありがとうございます。執筆時の進捗確認・シンデレラストーリー関連ツイートの捕捉といったお気遣いに始まり、宣材の作成や宣伝、発行から発送にかけての手続きまで本当にお世話になりました。そして作者の皆様、作品執筆、大変お疲れ様でした。ほとんど顔を出さない参加者ですみません。カバーイラストを描き上げてくださったあるびのさん、カバー・本体のデザインを一挙にご担当くださった春也さん、見開き口絵(と予告)を作成くださったせんさん、皆様のおかげで素晴らしい冊子が出来上がっていることをひしひしと感じます。これだけ多方面の方の関わるアンソロジーに参加させていただけたこと、光栄でした。ありがとうございました。
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寄稿しました
八束さん主催、不幸な少女アンソロジー『シンデレラストーリーズ』
試読 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13704176 通販 https://yatsukami.booth.pm/items/2367490
短編を寄稿しました。現在は予約締め切りとのことですので、10/1以降の通販再開をお待ちいただければと思います。日記からご案内をするのも遅きに失した感はありますが、考えてみればあらすじめいたものをどこにも置いていなかったので、こういうものを書いたよー、というお話をします。
『揺籃のヴィオレタ』 田舎娘ヴィオラは、知恵遅れの義妹マリーの世話を焼きながら暮らしている。痩せこけた土地、諦めを目に宿した人々、掃き溜めめいた町コートイースト。灰色に煙った日々は、いつまでも続いていくはずだった。そのコートイーストの町に似つかわしくない来訪者が、彼女の前に現れるまでは。 「あたくしはね、この街に、娼婦の卵を探しにきたのよ」 女・キャサリンの導きにより、マリーの医療費を稼ぐため、都市ラインポートで娼婦となったヴィオラ。しかし一年が過ぎ、その費用が貯まろうという頃、ヴィオラのもとに資産家からの身請け話が舞い込んでくる。 ......いつだって、最後の最後で台無しにするのは自分の手なのだ。 ほどかれる過去と、大嘘つきの物語。
と、いう感じでひとつ。
久しぶりにものを書いた、とはいえ、かつて書きたかったものがこの機に乗じて書けたかなーというところです。
わたしの作はともあれ、寄稿されている作品どれも素晴らしいものですので、ぜひぜひお買い求めいただければなと思う限りです。何卒よろしくお願いいたします。
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2019年が終わります
管理人の顔をするのも違和感が出てくるようになったのですが、サイトを畳んでいるわけでもない以上、筋かと思いますので年末のご挨拶を。お久しぶりです。梶です。
梶つかさとしてのtwitterのアカウントも消してしまって、自分の人格をとどめているのも、このサイトと小説家になろうのアカウントぐらいになりました。新しく何かを書いてもおらず、過去に書いたものをなんとなく残しているのみの場所ではありますが、それでもどなたかがいらしてくださっているようで、いくつか拍手をいただいております。ありがとうございます。お応えできるわけでもなく恐縮です。
私自身のことをどこまでお話ししたかはもう覚えていないのですが、あれから結局転職をして、ようやく居場所が落ち着いたところです。自分の力不足を痛感する日々を送りつつも、以前に比べ、上司への不信感がない分だけ非常に気が楽になりました。キャリアプランなるものを思い描けているわけではありませんが、もうしばらくはこの場所で働くのだろうなと考えています。こちらの日記では幾度か仕事関連で不安定な様子をお見せしてしまっていたのですが、そういうわけで、今はなんとか大丈夫です、ということのみ。
近況。『ファイアーエムブレム風花雪月』を遊んでいます。前評判だけはかねがね伺いつつも手を出せずにいたのですが、最近時間ができたので。黒鷲の紅花、金鹿を終えて、今は青獅子の最序盤です。ゲームを始めたきっかけが「エーデルガルトを女主人公で落とせるらしい」だったのでわーーーーーーいと喜び勇んで飛び込んでいったのですが、見事に重傷を負ってしまいました。私はあと何回彼女を殺せばいいんですかね……。FEifと比べて一周のカロリーが高いので時間をかけつつですが、せめて全ルート終えるまでは走りきりたいなと思っています。
というわけでとりとめのない話などしましたが、無事生きてはおります、ということで。今年も一年お世話になりました。来年も、をお願いする立場にございませんので、新年のご挨拶は控えることになるかとは思います。みなさま、良いお年をお迎えください。
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寄稿作についての話
寄稿作という日本語が正しいのかはわかりませんが。
拍手のほうからご感想とともにご質問……ご確認? がありまして(ありがとうございます)、お返事不要とのことでしたので、こちらの日記の内容でお返事に替えさせていただこうかと思います。
有翼人アンソロに提出した「アンリエットに言伝」、もとはTwitter上で行っていた別の企画……お題を出し合ってwebページを作成する企画で、「ミス・マクレインの言伝」として作成したものが原案となります。三枚ずつお題の写真を選んで、その中から最低一枚以上の写真を用いた架空の小説掲載webページを作る、というものでした。中身はなくても構わないけれど、設定とあらすじだけは作成する決まりです。(この企画もずいぶん前のものなので、憶えている方がいらしたことにだいぶと驚いています……)。原案とは言いますが、当時想定していたものとはまったく違う中身となりましたので、名前まわりだけは引き継ぎつつも、題名から変更してあります。
お言葉を頂いて初めて、特に触れずじまいだったことを思い出しました。リメイク・焼き直しというよりは、使いまわしというのが正しいかもしれません。名前を考えるのにもカロリーがいるので……。お楽しみいただけますように。
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有翼人アンソロ参加しました
落山羊さん主宰の有翼人アンソロ「プテリュクス」に参加しました。
通販やってらっしゃるのでよろしくお願いします!!!https://fallingoat.booth.pm/items/1347107
ということでプテリュクスなのですが、去年の十二月に主宰さんたちと酒の席を囲んでいる中で、「書きませんか!?」と酒の勢いで誘われたので「書きます書きます」と酒の勢いで返事したのがきっかけでした。書き手が顔見知りばかりだったので安請け合いしてしまいましたが、以降「有翼人の登場」という約束事で延々頭を悩ませることになったのを憶えています。しまいには「拡大解釈OK」という落山さんの言葉に全力で甘えてなんとかものを書きました。
ということで寄稿作「アンリエットに言伝」、非常に難産ではありましたが、書きたいものは書けたように思っています。「本当に描きたいもの」の見つからない子供についての話。オンリーワンであることを求められるようになった時代とか、「自分が本当にやりたいこと」だとか、そういったしんどさの話です。奇しくも平成最後らしい作になったかと。よろしくお願いします。
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お返事
拍手ありがとうございます。続きからはメッセージ(2/23)へのお返事です。
「 アーシャと~」の方
アーシャへのお言葉、ありがとうございます。いくらか長さのある作品ではありますが、楽しんでいただけたのであれば幸いです。お立ち寄りくださりありがとうございました!
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なりたい自分の話
拍手へのお返事を書きながら(書きました、お心当たりのある方はひとつ前の投稿よりご覧ください)、ふと前に日記を書いたのがいつだったかと目をやって、四ヶ月が経ったことに愕然としました。あけましておめでとうございます。定型のごあいさつではありますが、今年も良い年になりますように。
他人に向けてものを書く、ということがあまりに久しぶりで、ここを近況報告に使っていたのだったか、あくまで日記の延長として書いていたのだったか、ほとんど忘れかけています。創作から離れてそろそろ二年、ひとつ前の日記からは四ヶ月。その間に何を為したということはなく、ゲームをしたり、仕事をしたり、で日々を過ごしてきました。しいて言えば職場環境が大きく変わって、そろそろ辞めようと考えているところです。ころころ転属するのもよろしくないとは考えつつも、こればかりはどうにもならないので。
関連して、十年後の自分像、というものを問われる機会が増えて、都度それらしい答えが返せずにまごついてしまっています。キャリアビジョン。十年前の自分を思い返してみても、十年先のことを考えられたためしがありませんでした。なりたいものも、やり遂げたいこともなく、ただ漠然と、まだ生きていればいいなあ程度のことしか考えておらずで。今はもう、十年後に楽しみにするようなことも別段なくなってしまったのですが。
十年後にもまだ同じことを言っていそうで、性根はどうしようもないなと諦めているところもあります。のらりくらりと生きていこうと思います。
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お返事
拍手ありがとうございます。何を作るわけでもないサイトになってしまいましたが、こうしてご好意をいただけること、大変ありがたく思っております。続きからはメッセージ(2/9)へのお返事です。期間が開いてしまい申し訳ありません。
織 様
メッセージありがとうございます。時間が経ってしまったため、もうこちらをご覧になっているか分からないのですが、お返事をさせてください。
冒頭の通り、動きのないサイトではありますが、なんらかのお役に立てているのであれば幸いです。織様のお過ごしになる夜が、少しでも心地の良いものになりますように。サイトまでお越しいただき、ありがとうございました。
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もぐら改装しました。
スマホから見たときの崩れがひどすぎたので、ざっと直してざっと整えました。目次の下部と文章ページでの飽きっぷりが激しいものの、見られればいい、程度で手を抜いています。文章ページ、htmlそのままでcssだけいじってどうにかならんかなと期待しましたがダメでした。文章移すの、もう、本当に、面倒くさいので、なるべくならやりたくないところです。めちゃくちゃなタグの使い方をしている三年前の自分に説教したい。三年前か……三年……。
仕事柄でドキュメントを読んだり調べ物をしたりが増えたおかげか、昔よりも技術的な文章を読むのが苦ではなくなっている気がしました。動けばいい、で適当に使っていた部分をもうちょっと正確に使えるようになれればと思います。もぐらは適当ですが。
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九月の話
日記を書いていませんでした。便りがないのはよい便りとも言いますが。はい。
九月はけっこう忙しめに働いていて、どうしようもない期日と仕事が下りてくる日と作業量の中で自分がどう働くべきかばかリ考えた気がします。先回りしてある程度予測のつく作業を終わらせておくとかなんとか。言うほどうまくは回らないけど。そんな感じでした。 小器用な自覚があって、これまではちょっと作業量が多いくらいならがんばればなんとかなってきたんですが、今回はそうもいかず。加え、ここ最近で、出力内容にこだわりすぎる悪癖が見つかってしまって頭を抱えています。いつまでに、どんなものを、どれぐらいの質で用意すべきか、まで決めてから動くと良いのかな。わかりません。 最近ちょっと(どころではなく)自分の会社に嫌気がさしてきたので、違うところに行こうかなとも考えています。
日常の話。親知らずを抜きました。 顎が痛い!!! と口の開かない二日くらいを半泣きで過ごしたのが七月頭くらいで、以降週一で歯医者に通っていたんですが、これまでずっとほかの虫歯の治療をしていました。というのも、患者=わたしの同意がないと抜けないので、麻酔に慣れる意味でも別のところから直していこうねーということで(初めての抜歯なので初日に竦んでしまったため)。 台風の前の日にようやく決意が固まって「親知らず抜きます」と伝えたら「えっ今」という顔をされましたが、簡単な抜歯だとのことでさっくり抜いてもらいました。上あご右奥、麻酔強めにかけてもらったので痛みは少なかったけれども、終始骨がみしみし鳴いていてめちゃめちゃ怖かったです。終わったとき全身が震えていました。抜歯三日後の今日、特に痛みがぶり返したりはしていないので安心しています。
来年用の手帳を買いました。今度はほぼ日のカズン(分冊)です。今年はずっとジブン手帳を使っていて、機能的な部分はおおむね気に入っていたのですが、なにぶん毎日日記をつけることに挑戦してみた結果スペースの小ささがとにかくきつくて。ジブン手帳は一日一ページとスペースが大きいため怖がっていた部分があったものの、なんだかんだジブン手帳で毎日の日記自体は付けられていたので、今度は挑戦してみようと思いきりました。 本体とカバーと、その上にかける透明のカバーと、でうん千円(万は行かないはず……)。使わないと損だなーと暗示をかけることで使いきる作戦に出ます。やるぞ。
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オクトラ
OCTOPATH TRAVELER 、遊んでいます。
オタク早口でオクトラを薦めていくための日記です。
ボーナスの使い道に迷っている云々ということを前回の日記で書いていたのを憶えています。その使い道がニンテンドースイッチとこれになりました。というのも夏の真ん中あたりで友人と食事をする機会があって、その翌日に友人宅に泊まりに行く流れになり、じゃあ遊び道具が欲しいね、ということでした。そのころの私は「RPGがしたい!(ソシャゲのボタンを延々クリックしながら)」と机を殴っていたところだったので、友人との会話がちょうどいい後押しになったのでした。
オクトパストラベラーについては何本か制作陣のコメンタリーが上がっていて、そこで「『あの頃』のゲームのわくわく感は、単に世界をドット絵で表現するだけでは味わえない(なぜならリアルなグラフィックを見慣れてしまった現代のわれわれは、もうドット絵だけでは世界の広がりを感じることができないから)」といったようなことが口にされています。それを画面で実際に見た際の説得力がすさまじかった。オクトパストラベラーを初めて遊んだのは友達の家にあるテレビを介して、だったのですが、ゲームを始めた瞬間に、ああスイッチは携帯機ではないのだと思い知らされることになりました。強くブラーのかかった視界、ちらつく雪がはじいた光、ちかちかと輝く金色の砂浜。移動のたびに焦点がずれて世界の見え方が変わる。街を、道を、ただ歩いているだけで没入感に浸ることができる。歩き回るだけのことが楽しいRPGを久しぶりに遊んだ気がします。
音楽の作りにも非常にこだわりを感じました。(多くの人が口にしていることではあるのですが)ボス戦前がその真骨頂であるように思います。オクトラには八人の主人公とそれぞれの物語があり、それに沿うように八つの「前奏」が存在します。この前奏というのが、主人公全員に共通するボスバトルBGMに違和感なくつながるように作られている。そのため、プレイヤーがどんなタイミングで戦闘前のテキストを読み進めても、前奏のBGMがボス戦BGMへとシームレスに繋がるようにできています。細かく言うと、
①ボスバトルの前のストーリー部分では前奏をループ
②ボス戦に突入したところで前奏部分をキリのいい地点まで流す
③前奏からボス戦BGMに繋がる
という形を取っています。最高の盛り上がりを保ったままで戦闘に持ち込めるということですね。初回、もしや主人公全員に専用のボス曲があるのかと勘違いしたほどです。仕組���に気付いたBGMオタクはむせび泣き、オクトパストラベラーの制作陣に深く頭を垂れました。ありがとう。ありがとう。
まだ長々喋りたいことがあるのですが(マップコマンドを使いこなせば武器屋に寄らなくて済むだとか、背伸びして適正レベルではない街まで足を延ばせるだとか、そもそもストーリーのこととか)眠くなってきたのでこの辺りにします。オクトパストラベラー、ニンテンドースイッチというハードの購入に踏み切った作品として後悔はありませんでした。
ストーリーをクリアしたところで、また感想でも書けたらと思います。主人公は友人の希望でサイラスです。強い杖を持たせてからというもの雑に強いので、二週目をやるとしてもスタメンから外れそうにないなと思っています。
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