mellifluous-99
mellifluous-99
甘美な膵臓
2 posts
Don't wanna be here? Send us removal request.
mellifluous-99 · 2 years ago
Text
盲愛
惨憺たる執念。かこつけて綴る、そして紡ぐ春。いつだって君のからだから忘却されることを恐れていたし、淘汰されることを嫌った。だから熱烈なアピールをした。君の喜怒哀楽を掌握しようとした。そうでなければ、僕に注目すらしてくれなかっただろう?そのうち訪れたであろう、取捨選択で切り捨てられたくなかったんだ。四捨五入すれば、彼の中で自分は必要な存在であると信じていたかった。そんな独り善がりなワガママは季節を巡るうち、心の奥底で行き場を失っていた。「熱烈な愛は時に誰かを傷つけることを、お前は学んだほうがいい。」旧友には現実を見ろと言わんばかりの怪訝そうな、否、我慢ならない様子でそう言ってきたものの、投げやりな返事をしながら、余計なお世話だと心の中で独り言ちた。僕の朽ちた姿を一生���めていてくれ。玉砕という言葉で正当化してくれ。この執着は自己満足だ。これが僕の美学だと胸を張って言うつもりはないが、既にのべつ幕なしに溢れる熱情こそ、僕の生きがいだから。彼が僕を救おうとしてくれていたとして、それはお節介にすぎない。ほら、君も僕と同じような愛で、同じような感情で、同じ希死念慮を同じ感覚で抱いていたのだろう?僕はわかってる。君の苦しみとか、全部汲み取ってやってるんだ。…怖い、って。安心しなよ、僕は君の味方だから。悲哀を垂れ流す五秒前、君の攣り上がった頬は恍惚を意味していたか、愛情を意味していたか。僕はいまいちその真意を読むことが出来なかった。
0 notes
mellifluous-99 · 2 years ago
Text
無題
意趣返しのつもりだった。三秒前のあの微かな優しさに、温もりを覚えた。残像のような思考回路に直通しない生ぬるい体温、この状況を理解させるにはまだ早い。…やわら、か。初キスの味はいちご味とか、レモン味とか、少女漫画で描写される青春のイロとはまた別の、その何倍も艶かしい音、感触。嫌いじゃ、ない。これ。未知の粘膜の擦れには到底及ばない快楽だとしても、今の俺には手一杯だった。お誂え向きのセリフ、唇を特別な部分だと認識して、その部分に侵食すること、その行為に��認を挟む丁重さ、それを拒まないことへの背徳感。「好意を履き違えていない」と己に言い聞かせる為の確認作業であって、段階であって、エロスであった。プラトニックを生身で感じた。欲深くなるのも無理はない。今はその優しさに付け上がる猶予が欲しい。…ねえ、「次はおまえのくちびる、貸して。」
0 notes