少女だった
多分恋だったのだと思います。
全然掴めない人でした。
肌の温かみだとか、詰まった息遣いだとか、ドラッグストアで買える安物の制汗剤の匂いだとか、ほとんど一年かけて脳が覚える程だったのに、全然本当の意味で「接触」ができない人でした。
背が高くて、指が細長くて、女性のような手の人でした。
「父親に楽器が出来る指だからやれって言われたけど、やんなかったな」
「8歳上の兄ちゃんがいたけど、物心つく前くらいに会わなくなった」
嘘か本当か分からないけど、そんなことを早朝まで話しながら寝転んでいた日を思い出して胸がツンとする。
「お互い会えなくなって、付き合ってる意味がないな、そろそろ別れなきゃなってなって岐阜まで会いに行って別れた。良い子だった。空気みたいだった。いるのが当たり前だった」
22には到底思えない思慮深さと腰の座り方と頭のキレ方をするこの男の人が、空気みたいに感じる女性ってなんなんだろうか。
手首にいつも嵌めている腕輪は関係があるのだろうか。
目が悪くて、薄く開いた視線でジロリとされるのがちょっと怖かった。
思い出せば彼はちょっとくらいは困っていたのかもしれない。今となってはどっちでもいいけれども。
多分恋だったのだと思います。
でも執着はありませんでした。
ただ人間としてどうやってこの人がこうなったのか、という事がここまで気になったのは久々でした。
伊坂幸太郎が好きなんだってきいて、買って読んでいます。
貴方が欲しいのではなく、貴方になりたいって思ったのが久々でした。
あの歯並びが良いキスも、首に纏った柑橘の匂いも、何もかも。
多分恋だったのだと思います。
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映画感想『スーサイド・スクワッド』
『史上最強の"悪カワ"ヒロインと10人の悪党たち』 柔らかな日差しがキッチンの窓から室内に降り注いでいる。 金髪にいくつものカーラーを巻いたうら若い一家の『主婦』が、およそ一歳になろうかという赤ん坊を抱いて幸せそうに出勤間際の夫を振り返った。 夫は優しげに口角を上げ、美しい妻と我が子に愛しげにキスをする。パリッとしたスーツ、申し分ない身だしなみ、端整で誠実そうな容貌。 おっと忘れちゃいけない!またまた優しげに微笑しながら、夫はベビーチェアに座らせられているもう1人のおチビさんにも愛しそうに「行ってきます」のキスをした。 明るい、暖かい。幸せな家庭、幸せな結婚、愛しい子供達、愛しい、愛しい夫!!ーーー 「ダーリンと結婚…」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー うーむ、ハーレイによるハーレイのための映画だなんていう口コミを至る所で聞きますが、まさにそんな映画でした。マッドラブでハーレイ達が映画監督するエピソードあるじゃないですか、まさにあれといった感じで。映画好き、コアなバットマンファン、アメコミファン、DCファンからしたら物凄く物足りないと思う筋書きだったとは思います。 でも、ジョーカーファン、ハーレイファン、ジョカハレわーいな人々にとっては、割りかし申し分ない面白さだったのではないかな。 9月に劇場に観にいった時もだったのですが、「一体…一体いつ夢オチだってバラすんだおい!!!どうすんだよ!!」なんて思いながら終始ハラハラしていました。 なんてったって、プリンちゃんが超優しい。 僕が知ってるジョーカーだったら、もっと鬱陶しそうにするよな…甘い!甘やかし過ぎてるぞ!みたいな… 『ハーレイが好き好き→ジョーカー鬱陶しそうにする→扱われ方が不憫なハーレイ→でも好きだから頑張っちゃうもんね!(DVの心理)』 みたいなテンプレ、 『ハーレイが他に行くと実はちょっと気になるジョーカー』 『扱いもぞんざい、なんだか今回は気にくわないぞ〜〜こんのプリ…クソピエロ!!!(臨界点突破』 みたいのがこいつらのテンプレだと思ってるからさ。 この映画、実を言うとハーレイだけでなく『共依存』の関係にジョーカーもなってる、みたいな雰囲気が新鮮でしたね。 ベッタベタのパパ顔する彼氏って感じ。 恋人ってより飼ってる猫を甘やかす感じではありますが…。 ハーレイ役のマーゴット・ロビーが可愛いのなんの…レトジョーカーは今までにないタイプの細マッチョなイケメンでした。 「女が好き好き言っちゃダメ、男に追いかけられるような女でいないと…」なんて思いながら可笑しなこのカップルを見守っていたわけですが、今作で報われたね! 個人的にハーリーン・クインゼル博士のお堅いシーンとかもっとあったら、ハーレイ・クインとのさらなるギャップを強調できたんじゃないかな…。 『オフィスラブは失敗する』はなかなかの金言だと思いますよ。 冒頭の幻覚結婚生活シーンが書きたかっただけなんだよね!! 以上2017年一作目の映画視聴感想でした。
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Seriously, look how beautiful he is!!
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