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トーナメント
決闘の日
サムライ記念日、宿直の夜
ころがるネッシー
あたたまるヨーグル
生命の、
かたまりのような処理場
味噌玉噴射口入り口公園前
この道の
はしばしに割りばし端と端ボンドごっこ
雪のなかを掘りすすめ
のぞきこむ
わかさぎ釣りをしに訪れたワイフ
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帰る日
せきばらい
かっこうつけて歩くひとのうしろから
いまいちばんにおおきなふろしきを
風がふいたらいちどにひろげて
かぶせてまるめてもっとちいさくして
おりたたんで片手におさまるくらいにして
ふとくてりっぱな ヤチダモの木にのぼり
親鳥たちがおきるまでのあいだに
さいごのあいさつをしたら
ポッケのなかから君をとりだして巣のなかにいれる
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忌引き
案内役のひとが
あっちこっちにちらばっていて
髪をしばったおんなのひとが
こっちにむかってなにかをはなしていて
わたしは
来年のいまごろには
はずかしかったことも
ぜんぶなんともなくなって
わからなかったことも
もっとたくさんおぼえられるようになっていて
アロエの森のいりぐちで
長靴をぬいだら
さかさまになったサルのもようの木があるところまで地図を描くしごとをする
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掘りかけの穴
だれにもみつからないようなところで
るすばんをしながら汗をかいていたら
あっちのしごとはどうなってると
むかえにくるひとの声がして
そういえばしばらくようすをみていなくて
掘りかけの穴をみに
返事をしてから身支度をはじめたおんなのひと
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トローチ
荒れ気味なてんきの日に
わざと出発をきめるひと
ことばじゃなくて
身振りでひきとめようとするひと
鉄のおもりを
からだにいっぱいむすんで
おなかのしたのところに
まるまったちいさいたいようをさわって
トローチをなめる
かわいたやまのうえから旗をふるおんなのひと
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拓く男
とんとんとろんと朝陽がながれ
かんかんからんとツリガネソウが
もうすぐそこまで
さっぱりわからない
あり合わせの小石、何百個?
服のスソをのばしてうけとめる
じっとりじとじとじめんがぬれて
どんどこざぶんとお祭りのうた
敵わない気概
さっぱりした瞳の色
敷き詰める、
石をならべてじゃり道をつくるひと
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帰り道
ぼさぼさの土まみれのあたま
だしたり
ひっこめたり
穴の空いたところから
とびだすフカフカの拳
烏カァで夜が明けて
しわしわのまぶたを開けたら
ふろしきを広げるように
ていねいなこころで
あせらない、あきらめない
つぶやく口笛のようにかよわいからだ
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別の国
コロッセウムのまんなかで
塩辛のおむすびたべているおまえ
箒みたいなおおきな筆で
ここにいる目印、どこからでも
小指の爪くらいのさかな
なんでこんなところにいる?
3秒ごとにウインクしている
砂まみれの時計の女神
今度こそ、今度こそきっと
ぽかんぽかん
空いた穴からすべり落ちる水銀
カレースプーンのこどものうた
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ムーンパイ
雷が落ちたあとの
しずかな黒い池の底に
沈められた
おおきなまるい円盤を
何日も
ついやしたこの日のために網をかける
sunset on my way home
ムーンパイを
誰にも見つからないうちに
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巡礼
ねばねばした
かんぴょうみたいなからだのおばけ
見よう見まねでおぼえたこの動きを
ほめてくれるひとは居なくて
あらん
わからん
ころげ落ちる、スソめくって
落ちてくるまぶた
目的の場所までは程遠く
3回目の冬を越して、
身を投げ出す動きのみで進むこの道のりを
憧れの
かみさまは見えなくたっておまえのなかに
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迎え
硬く絞った布
ちぎって口のなかにつめて
明るい陽はまだ高いところに
さらば
今この花は107歳くらいで
足らぬ、汗きる、
コーカサスの坂をくだり
そういえばと思いだしたように
drove my inner child
まにあわない、
心のアンバー
滲み落ちて舐めるために布を吐きだす
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かつての場所
ルーラン
もういけない海岸
きらきらにひかる
鱗と汗と
こころのなかの風景
コンクリートで埋められたトンネル
ゆびをこすりながら
しずかにさめていく遠くの歌
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しるべ
みどりのおかのまうえから
下のけしきをみおろすと
こゆびほどのおおきさの
ちいさな亀のこどものむれ
つやつやのこおらのうえに
甘露のつゆをひとつぶたらす
亀はたちまちのろくなり
いっぴき、またいっぴきと
あるくあしがぴたりととまり
みんなしっとりねむってしまった
わたしはそのときもうすでに
おかのうえよりはるかにたかい
お天道さまにつづくみちを
てをたたきながらしずかにすすむ
このたのしきさいごのたびじで
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つぶ
さらさらとした
しろごまを
川のとなりにながしても
うみにはたどりつかなくて
やまにもたどりつかなくて
さらさらとした
しろごまは
くろいよるの
よぞらのむこうにしか
たどりつかないのでした
あまのがわをながれるつぶと
ともだちになりたいだけ
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くらし
花の絵を描くひと
ひとつのページにひとつの花
うすい灰色の紙の図鑑
朝のじかんしか描かないひと
爪のかたちがきれいなひと
・
陶器でできたおおきなたぬきのおきものを
だいじにかかえているひと
仏壇にはいつもいよかんをおいて
風がつよいひはいっしょにねむる
今日あったことをはなすひと
・
木琴をたたくひと
そば畑のとなりでくらしている
家にはおおきな風景の絵があって
ひとりでごはんをたべている
木の下でしきものをひろげるひと
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こきゅう
かんそうしたおやまのなかに
立っていることがすきだ
かれてしまったような
いろの木をみるのがすきだ
こころのなかのいろが
そのまんまめのまえにひろがる
いつもよりもとても
いきがうまくできたひと
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