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013 pinkishのメイクセット
6歳の誕生日かクリスマスに親からプレゼントしてもらった。櫛がついたコンパクトミラーと、マニキュアと、カラーリップのセット。色はローズピンクとベビーピンクの2色展開。さらに本来はここにコケティッシュなデザインのピンク色のハンドバッグ、ブレスレットもセットになっているのだが、ハンドバッグの方はおそらくまだ実家のどこかに隠れている。
もらったとき、本当にうれしくて、使うのがもったいなくて、やはり大事に大事に机の奥にしまって、長い間保管していた。
先日、学習机をひとに譲ることになり、中身を整理していたときに不意に見つけて、思わず歓声をあげてしまった。
なんて可愛らしくて、背伸びした、いじらしいアイテムだろう!
すべてがピンク色で、女の子らしいあこがれに満ちている。
思春期以降にはつっぱってボーイッシュな色やデザインを好んだこともあったけど、当時幼稚園生か小学校に上がりたてのわたしは、まだまだ可愛い模範的な女児だったようだ。そういえば、幼稚園時代は、セーラームーンやお姫様の絵ばかり描いていた。
30年近くの時が流れ、今のわたしにはこんなガーリーでキュートすぎるピンクは似合わなくなってしまった。くすみレッドピンクや、スモーキーピンクが関の山か。けれど、いつかもっと年を取ったときには、うんと派手で可愛げのあるピンクの口紅をぐいっと引いたりしてもいいかもしれないな、とひそかに思っている。
心の中の少女よ、永遠なれ。
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012 北海道旅行のお土産
小学5年生の時、初めて学校を休んで、家族で北海道へ旅行へ行った。
飛行機に乗るのも多分初めてだった。怖すぎたのか、あまり覚えていない。新千歳空港で降りて、レンタカーを借りた。支笏湖の遊覧船、札幌の大通公園、羊ヶ丘のクラーク博士像、旭川のラーメン横丁、富良野のラベンダー畑……ずいぶんあちこち回った。子供の頃はあまり考えなかったが、これを3日か4日という短い行程で(しかも子連れで)こなしきったのはなかなかすごいことだ��思う。
これは旅行のお土産に、空港で買ってもらったと記憶している。あんなに遠くにいけることはこの先ないだろうと思い、包み紙まで全部大事に保管していたようだ。さすがに、30年近くの年月が経過し、マリモはだめになってしまっているけれど、ちょっとレトロささえ感じるコロンとした独特のガラス容���を手のひらに乗せれば、あの数日足らずの家族旅行の、非日常のワクワクと少しの不安感とを今も思い出すことができる。
支笏湖の、何メートルも下の湖底まで見渡せるほどの、澄み切った湖水の怖かったことや、初めて見るテレビ塔、羊ヶ丘で食べたジンギスカン、夜中に横丁の小さな傾きかけたラーメン屋で、父の味噌ラーメンを分けてもらったときのくすぐったい背徳感、ラベンダーの香り、どこまでも平たく続く道と、山が見えない風景(盆地生まれの私にとっては衝撃的だった)。
あれから時がたち、何度か仕事で北海道出張にも行ったことがある。飾る場所もないのに、どうしてもその都度、空港で小さなマリモ入りのガラス瓶を買ってしまう。
少女の頃のワクワクをまた思い出したくて…。
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013 pinkishのメイクセット
012 北海道旅行のお土産
011 日記の習慣
010 真珠のネックレスとイヤリング
009 ねこのくろすけ
008 歴代のリングたち
007 祖母の形見のブローチ
006 シルバーリング
005 緑のガラスのイヤリング
004 pick a jewel
003 倉敷ガラスの小鉢
002 モロゾフのプリンカップ
001 京都のハンドクラフトのガラスコップ
#monolog100
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011 日記の習慣
15歳の誕生日が来たら、日記をはじめよう。そう決めて以来、絶え間なく続いている習慣。ときには数か月単位で空白があくこともあるが、それが長続きの秘訣だろう。書けないときは書かない。
それ以前にも日記のようなものを書きつける癖はあった。小学校高学年ごろには専用のノートを用意して、書きたいことがあるときにだけ取り出していた。それは家にたまたまあったcampasノートで、おおむね悲しいこと、つらいこと、理不尽なことばかり書きつけていた。母にでも話せばいいような些末なことばかりだったが、学校のことは母を心配させる気がした。家庭内での出来事もあったし。(わたしは小さいころから、悲しい経験をうまく発散することができないたちだったらしい)。
15歳から23歳ごろまでは、罫線ノートやホリゾンタルのダイアリーを転用していた。学生時代はノートを束で持ち歩くのが日常だったから、一般的な日記帳ではなくノートを使うのが効率的だった。とにかく時間があったし、なんでも打ち明けられる話し相手に飢えていたので、1日に数ページ近く費やしてしまうこともざらであった。思春期を迎え、その日あったことだけではなく、好きな人への逡巡、憧憬も混じるようになる。悲しいこと、つらいことの話題も、相変わらず豊富だったが。
就職してからは、文章を書くまとまった時間も作りにくくなり、長い文章を延々と連ねるスタイルが維持できなくなってきたことから、毎日の枠が決まっているホリゾンタル形式の手帳を日記がわりに使うようになった。2014年のものを新調するタイミングで、さかざきちはるさんのsuicaペンギンダイアリーを手に入れ、大のお気に入りに。それ以来浮気することなく毎年愛用している。並べてみると毎年違う色をしていて、カラーパレットみたいに見えるのも良い。続ける楽しさがある。
2021年現在も飽くことなく続いている。最近では、もっぱら感情的なことよりも、何年何月何日に何があったのか、を明確に記すことを意識的に行っており、ようやく日記がひとつの��ーカイブとして稼働してきた実感を持っている。それは、過去と今しかなかった10代、20代のわたしを経て、未来を意識するようになったからなのだが。
この傾向が10年後、20年後���わたしに何らかの利益になることを願って、今夜もわたしはペンを執る。
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010 真珠のネックレスとイヤリング
二十歳になった時、両親から贈られた。わたしの持っている数少ない宝飾品の一つ。
包装紙は地元の百貨店のものだった。きちんとした宝飾品店で求めた品を贈られたのは生まれてはじめてで、あぁ大人に少しずつなっていくのだなあという感慨が湧いた。
中学校の同窓会があった成人式の夜、初めてこれを身に付けて外出した。緊張したけれど、とても誇らしかった。
かつてわたしを味噌っかす呼ばわりし脅かした級友たちは、まだたったの二十歳だったのに、すっかりマイルドヤンキー化していた。けばけばしい化粧、安っぽい派手な色のドレスで、キャバ嬢みたいになっている子もいた。県外の、雨と雪と曇天が似合うカルチェ・ラタンのような街で、国立といえども歴史ある大学に入り、知の薫風に日々吹かれ学んでいたわたしにとって、そんな彼らはもはやそれほど驚異的な存在ではなくなっていた。
少し背伸びしたまだ若いわたしを、この真珠たちは静かに飾ってくれて���守ってくれた。まるで、慎み深く知恵があり、信頼できる侍女のように。
真珠は決して目立つ宝石ではないが、落ち着いた色味と海の湿り気を感じさせる光沢は、わたしのクリーム色の肌にとてもよくなじむことを知った。ダイヤの女にはなれそうもないが、真珠の女にはたぶんなれるだろう。その予感が、どんなにかわたしを勇気づけ、未来に希望を持たせてくれたか知れない。
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009 ねこのくろすけ
4年ほど前に夫に買ってもらった黒猫のぬいぐるみ。
プティ・ルーというブランドの子で、左耳に各月の誕生石が入っている。
くろすけは8月生まれ。夫と同じだ。
わたしたちにしか見えないくろねこ「ねこのくろすけ」に柄が近かったので、そのままくろすけと名付けた。
この頃は遠距離の職場に通っていて、人間関係がうまくいかず仕事も行き詰っていたときで、わたしは毎日くろすけを通勤かばんに忍ばせて出勤していた。不安な時はいつも連れて歩いた。とおくに旅行に行くときも必ず連れて行って、ホテルのベッドサイドに座らせている。
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008 歴代のリングたち
右から、銀のリング(初代)、銀のリング(2代目)、婚約指輪。
初代と2代目は、どちらもハンドメイド作家さんから購入したもの。初代リングは楕円に歪んでしまっています…シルバーだからね。はめ続けていると、圧力がかかって歪んでしまうことがあるのです。
(購入した時、手書きのあたたかいメッセージをいただいたこともありました。感動して、わたしも返事を書いたりしたな…)
婚約指輪は、夫の勤務先の先輩が薦めてくれた地元の小さな宝飾店であつらえました。有名ブランド店ではないけど、とても親切でいいお店だったな。きちんとした、でも親しみのある態度が、とても気持ちよかった。
石も、台座も、いろいろ出してもらって選びました。ダイヤモンドも、スコープで覗いて一つ一つ確認したりして。でも台座はひとめぼれ。プラチナで出来ていて、わたしの好きなミル打ち模様がぐるりを取り巻いている。婚約指輪くらいは、「ザ・エンゲージリング!」な正統派の形がいいなと思っています。
(これらの指輪も、今回撮影するにあたり久しぶりに取り出して、丁寧に磨いてみました。銀はほんとうに、磨けばほれぼれするほどよく光ります。)
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007 祖母の形見のブローチ
祖母が亡くなった時、譲り受けたアンティークなブローチ。
帯どめにもなりそうなクラシカルなデザイン。
結婚式の時、ウェディングドレスに結わえる群青色のリボンの留め具に使いました。
結婚式、祖母に見せてあげたかったな…。
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006 シルバーリング
18の誕生日に父から贈られたもの。当時のわたしは指輪というものに強いあこがれを持っていた。恋人同士をつなぐ甘やかな鎖として。当然ながらそういう意味で欲しがっていたことを父が知るはずもなく、単なるアクセサリーの一つとして、雑貨屋で手に入れてくれた。
今の夫��ペアリングを持つまでの数年間、わたしを守ってくれた指輪だ。
素朴な柄で、凹凸もなく、毎日四六時中つけていても本当に違和感のないリング。エッジのミル打ちがクラシカルな印象を与えるところもお気に入り。
久しぶりに取り出したら銀が曇っていたので、よく磨き布で磨いたら、新品同様の輝きを取り戻した。
実はたびたび無くしかけているのだが、そのたびごとになんだかんだでわたしの手元に戻ってくる、ふしぎな力も持っている。
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005 緑のガラスのイヤリング
数年前に盛岡市内の雑貨屋さんで購入。本当はガラスではなく樹脂なのかもしれないが、小さすぎて判断できない。ただ、ふれあうと高い可愛い音が鳴る。
夫にねだって買ってもらった。ほんの千数百円でも、夫に買ってもらうととてもうれしい。そのこと自体が、品々に特別な意味と物語を付与してくれる。
意外にも、こういう緑色のイヤリングはめずらしいので、重宝している。
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004 pick a jewel
前にnadiffで見つけて気に入って購入。先っぽにいろんなものを付けられるのだが、公式のイメージ写真のようにくしゃくしゃした色紙とか小枝とかつけても、わたしがつけるとゴミをはさんでいるようにしか見えない…なぜ…。
いま先端についているのは、何年も前に鬼子母神の手作り市で購入したさとうまりさんのガラスのペンダントトップ。でこぼこ模様がついていて飴玉みたい。本当はきれいな真鍮と革で出来た紐のペンダントだったのだが、革が切れてしまった。
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003 倉敷ガラスの小鉢
新社会人時代、はじめてもらった夏休みで、倉敷を含む西日本巡りをした。
初めて社会に出た人間の多くがそうであるように、わたしは最初の半年で実社会に疲弊した。冷たくなる会社の人達の眼から逃れたかった。とにかく遠くに行きたかったのだ。
大きなトランクを抱えて、安宿を転々とする一週間の旅。京都では宿代が作れなくて、深夜営業の牛丼屋で夕食を済ませた後、そのまま夜明けまで岡山行きの始発を待った。車窓から見えた朝日の美しかったこと!
その日は倉敷の美観地区で、舟下りをしたり、せせらぎの岸に腰かけて有名な喫茶店「グレコ」をスケッチブックに描いたり、満ち足りた時間を過ごした。そしてふらりと入ったお土産屋さんで、わたしはこのうつくしい青いガラスと出会った。
この特徴的な青色は 小谷ブルーとも呼ばれる。わたしはこの青にすっかり惹かれてしまった。
北国の湖みたいな、冷たくて深いブルー。
大切に包んで持ち帰り、いろいろなものを盛って楽しんだっけ。バニラアイス、冷ややっこ、白玉… 何を盛ってもうつくしいけど、とりわけ白い色のものはよく映えた。よい品で孤独な暮らしを彩ることを覚え始めた頃だった。
あれから時がたち、わたしは転職し、結婚し、一つしかないこの器を使う機会は減ってしまった。しかし時々ひとりの休日には、独身時代のように、可愛く甘いものを盛りつけてみたりする。そしてそのたびに、あの満ち足りた、夏の一日の幸福な思い出がよみがえるのだ。
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002 モロゾフのプリンカップ
子供の頃から家にあり、ゼリーが入ったり茶わん蒸しが入ったりして出てきたプリンカップ。大人になってから、このカップが単なる「プリンの入れ物」だったこと、モロゾフショップで270円のプリンを買えばいくらでも手に入ることを知った。このカップは本当に気に入っていて、大学生のときはガラスコップの代わりに使用していたほど。今は、安価に同じものが揃うので、ペン立てにしている。職場にも家にもある。クリアカラーで中身がわかりやすいし、シンプルで何を入れてもさまになる。何百円も出してガラスのペン立てを買うより、ありもののガラスコップを代用するのが洒脱でかっこいいのだ。プリンもおいしいし。
なお、季節商品で出るゼリーのほうはプラスチックカップだが、頑丈だし姿がよくすんなりしていて量も適当なので、薬を飲むときのコップに代用している。
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001 京都のハンドクラフトのガラスコップ
25歳ごろに、京都のハンドクラフト市で購入したもの。
大原あたりにある、ガラス工芸家の養成所みたいなところが同じ形のグラスをいっぱい作って出店していた。全部ひとつずつ手に取って、これが一番しっくりきた。ソーダガラスなのでお湯は入れられない。これで、夏は手作りのシロップでソーダを飲む。
一緒に買った白い陶器のミニマグ(本当はアンティークの理科用品)は、冬にシロップのお湯割りを飲む用だ。
なお、下のタイルコースターは2121 design sight で数年後に購入したもの。原美術館にある常設作品のタイルに似ていて気に入った。濡れても絵になる。
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