morixxnit
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03-24
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〜2017.※ヘッダ→幻※
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morixxnit · 9 years ago
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×月×日_八草
あの女は言った。 もう兄貴には二度と会えないと。 幽霊となって未練が残ったあたしは兄貴に会いたい一心だった。 兄貴、兄貴、あにきあにきあにき。 八草、さみしい。なまえがおもいだせないの。おしえてほしいの。じゃないとわたしはずっとこのまましばられたまままちつづけないといけなくてそれではいけないきがするからあにきあにきあにきあにきあにきあにき あいたい どうしてあわせてくれないの あのおんな だれ?
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morixxnit · 9 years ago
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錨草の隠し子 遥か昔の平安時代、それは綺麗な黒髪と、闇夜にも光そうな鋭い黄金の眼光を持った男がいた。 ある女はその男に一目惚れし、愛し、腹を孕ませたという。 女は腹の中にいる男との子を、大事に大事に撫で、愛し、この世界に降り立つ日を楽しみにしていた。 そうして腹から生まれたのは、人とはかけ離れた形を持った『蛇』だった。 女は、それは酷く酷く嘆いた。 まさか愛していた人間が人ではなく、人に限りなく近い『蛇』だった事を。 人と妖との間に歪みがあったこの時代に、女の一族は妖を酷く嫌っていた。 だからこそ、その蛇の子が殺されるであろう事が容易に想像できた。 女は、男との子を抱え、夜の林を走った。 そうして女は、何処かに消えた。 錨草一族の人間である彼は、 僅かに蛇の血を受け継いでいる。
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morixxnit · 10 years ago
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×月×日_◾︎草
「一緒に死のう」 なんて。確かにずっと一緒に過ごしてきたし、どんな時も一緒で、離れることなんてまるでなかった、けどまさかこんな約束までしちゃうなんて。 「たとえ君が先に死んじゃったとしても、ううん、一緒に死んじゃったとしても、その次に生まれ変わって、また君と一緒にいたい。」 って、あんな瞳で言われたら、頷くことしかできない。まぁ、うん、実際にそれを言われて嬉しい自分もいたわけだけど。 ああ、照れ臭くてどうにかなってしまいそう!明日もどうせ会うのだから、同じことを言ってやるんだ。私も、あいつと来世も、その来世でも一緒にいたい! ……なんていったら、笑われちゃうかな?
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morixxnit · 10 years ago
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4月24日_??
さて、こうして中途半端に終わりを迎えた研究者である椿という青年と、被験体である樅という少女の繋がり。これをきっかけにまた別の人々の運命も大きく変わったみたいだ。 まぁ、そんな話は置いておいて。 簡単に言えば、彼ら二人の終わりが良いものになる可能性は「極僅か」だった。その極僅かの可能性に選ばれなく、…むしろ最悪に選ばれてしまった二人の運命。運悪く、悪い研究者に狙われてしまって、運悪く、無理矢理引き離され、挙句大切な樅の死体すら利用される羽目になってしまった。運悪く、ね。可哀想に。じゃあ彼はどうすればよかったんだろうね。…「出会わなければよかった」? まぁ、他に方法があったかもしれないけれど、それ自身、椿という青年は選ぼうとしなかっただろうね。「どんな結末でも、最後まで樅といる」。それが、彼の願いだからね。 きっと、先に居なくなってしまう事を先に体験した彼にとって、本当に置いていかれる者の気持ちを想像することは出来なかったのだろう。だから、彼は今、落としたくても落としきれない「樅」という存在を抱え込んでいる。 まぁ、それ以外にも君の体の存在で、また悪い研究者が悪事を働いているみたいだしね。 それすら知らない、椿がそれを知った時、ただでさえ今を保つのに必死な彼はどうなってしまうのだろうね?それを知られない状況で終わらせようと必死に戦ってる人たちは?どうなってしまうのだろう? そう、君に関わった人々が苦しんでいる。理不尽に作り上げられた、残酷になる一歩手前。 それを変えるのは…樅、君自身だ。 彼らを「救う」覚悟はできているのかい?
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morixxnit · 10 years ago
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4月24日_椿
樅が遺伝子学の研究者の元へ行ってからかれこれ一ヶ月が過ぎた。未だに実験結果の報告等を受けない。…遺伝子学の元へいこうにも、上司に止められる。一体どうなってるんだ。 強行突破したいところだけど、……姐さんとの約束もあるし、何より樅が怒りそうだから、ここは大人しく待つことにしている。まだ気が狂いそうになる時もあるけれど、大丈夫、樅は大丈夫。だから、間違った道には進まない。 大丈夫、樅の体も、きっと大丈夫だ。
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morixxnit · 10 years ago
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4月24日_シュタラ
樅に似た人を見たって、遺伝子学の人から聞いたから、まさかと思って見に行ったんだ。 奇跡なんて起こるはずはない、でも、もしかしたらがあるかもしれないって。 樅がいなくなった事実が、嘘に変わるかもしれないなんて、期待をして。 被験体の研究室の中に、確かに樅はいた。「久しぶり」って、いつものように笑いかけてきてくれた。 でも僕は、その声が気持ちが悪くて仕方がなかった。何処かできいた事のある、あの声に似ている気がして、冷や汗が止まらなかった。 そのとき、樅は僕に近づいて「父親に手を出すなんて悪い子だねぇ?」って言い放ったんだ。 そいつは、樅の「体」を被った、ラプトルだった。
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morixxnit · 10 years ago
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4月23日_シュタラ
あれから一ヶ月近くの日が過ぎたけれど、彼は相変わらずだった。 僕は、ラプトルがみんなを傷つけるのが許せなかった。 だから、ラプトルの器であるハグルマから無理やりラプトルのエルツを引き剥がす事を決めた。もう二度と、ラプトルが悪行をしないように。 ハグルマも、ラプトルのやり方にずっと疑問をもっていたみたいで、ハグルマにとって大きく負担のかかる実験、命を失うかもしれない実験でありながら、快く…いや、むしろやってほしいって、必死で訴えてくれた。 そうして始めた「ラプトルというネーロプッペのエルツを、ハグルマの体から引き剥がす」実験は、酷く、やつの笑いの絶えない、気味が悪い実験だった。 ラプトルを引き剥がす実験は成功した。 ハグルマも、生きている。 体を失ったラプトルがもう、何かをする事はない。 …本当は、もっと早くこうするべきだったんだ。僕が、ラプトルが父さんであるという理由で軽率に行いを許してしまったから。たとえ血は繋がっていても、どんな強引なやり方でも止めるべきだったのに。 …明日、ラプトルのエルツを破壊しよう。 もうこれ以上、ラプトルが何も出来ないように、強引にでも、終わらせないと。 それが、僕自身の罪の償いになるのならら。
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morixxnit · 10 years ago
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4月23日_柳
シュタラから連絡があって、あれから一ヶ月過ぎた。 突然、「椿と会ってくれないか」なんて。私と椿が姉弟でありながらもう三年も会っていない、そんな関係である理由もわかっていながらそんなことを言いだすものだから、それはもうとても驚いたわ。 暫くしてから博物館に顔を出してきた椿の目は、それはもう酷くて。 何があったかなんて、聞いちゃいけないような気がした私は、ただ「よく頑張ったわね」なんて、それだけしか声をかけられなかった。 博物館の中のカフェにいつたりして、武藤さんや館長さんともお話しして、その時に少し笑っていたけれど、時々辛そうな顔もしていた。 あとから、大事な人を亡くしたって。 「忘れてしまいたいくらい、いっそなかったことにしてしまいたいくらい苦しいし、抱えきれなくて気がおかしくなるのだけれど、絶対に忘れたくない」って。 俯きながらそう言っていた椿の声は、涙を堪えるのに必死だった。不思議なことに、なぜか、……なぜだろう。何処か見たことがあるような、気持ちになって。気がついたらわたしも涙をこぼしながら、「忘れたくなくても、間違ったことをしたらその子を傷つけることに変わりない」なんて、言ってた。 その時、椿は溢れそうな涙を抱えた目をこっちにむけてて。とっても焦ったの。 目を覚ましてくれたならばいいけれど、もう手遅れだったりしたら……。ううん、大丈夫。椿なら、大丈夫。ちゃんと自分の意思を持っているから。 とてもつらいことだけれど、彼はそれを理由に間違った道に進んで欲しくなかった。 どんな理由でも、どんなに辛くても、それが理由だからと、誰かを傷つけることは許されるとこではないから。 だから、お願い、椿。 どうか間違った道へ進まないで。
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morixxnit · 10 years ago
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3月18日_椿
樅が目の前で、俺を庇っていなくなった。 午前6時だったか。 不自然に倒れてきた、棚の下敷きになって。不自然に刺さった、鉄柱から溢れ出る血によって。 忘れてはならない事実だと、あの人が言った。だから、書いておけと。 でももう限界だ。 ごめん、樅、助けてやれなくて。 ごめん。
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morixxnit · 10 years ago
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3月18日午前5時48分、被験体「黒之木樅」が被験体研究室第3号室にて、実験開始前に突然倒れてきた棚の下敷きになった後、死亡。 死因は胸部、喉に刺さった鉄柱による出血多量である。 また、被験体は「ネーロプッペと人間の混合実験」の実験途中であるため、死亡後の身体的変化を見るため、遺体は遺伝子学研究所の「ラプトル」が管理することとなっている。
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morixxnit · 10 years ago
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3月18日_??
怖い夢をみたって、大好きなお兄ちゃんがいなくなった夢を見たとその少女は言った。倒れてきた棚の下敷きになり、血まみれになった彼を見て、絶望する周りの人々を置いて、ラプトルという研究員は大笑いしてたと。
全ては一人の少年と青年の絶望する顔をみたいという理由だった。 自分の息子であるシュタラという少年と、今の彼の配偶者である人物に、自分の大切な妻の「名前」を呼ばれたから「痛い目に合わせる」。それだけ、たったそれだけの理由。
たったそれだけの理由で、ラプトルはシュタラの友人である「椿」と、その椿の親愛なる友であり、かけがえのない妹のような存在である「樅」を自分の研究に使い、死まで追いこもうとしていた。「おまえの母親に関して、少しでも触れただけでどうなるか」を思い知らせるために。
樅も、最初は疑った。 自分に接する彼女は、あんなにも優しくていい人なのに、まさかそんなわけがないって。でも、どうにもラプトルを信用できなくて、彼女は試しに「お姉ちゃんは大好きな人はいるの?名前は?」と聞いたらしい。 ラプトルの答えが確信にかわった。 ラプトルは、笑って樅の首をそっと締めた。
3月18日午前5時。 椿は実験をされかけた樅を助けようとして、「偶然にも倒れてきた」棚の下敷きになり死んだ。
何としても樅はそれを止めたいと、何を言っても彼女は聞かない。「自分よりも他人」な彼女は、その優しさで人を助けようとしている。自分を傷つけて。 それが他人を傷つけるとも知らずに。
とめやしないのかって?とめやしないさ。 頑固な少女だから、何を言ってももう聞かないだろう。
ほら、早速彼女は夢で見た未来を変えようとしているみたいだ。
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morixxnit · 10 years ago
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2月10日_樅の日記
さいきん 少し 体が重い気がします。 なんとなく、もみの おともだちだった子と 同じ所にいくような そんな気がします。 このまま もみは 死ぬわけには いきません。椿の おにいちゃんを 1人には させません。 あのラプトルのお姉さんの計画を止めないと。 皆を、助けなきゃ。
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morixxnit · 10 years ago
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12月25日_樅の日記
今日は クリスマス でした 椿のおにいちゃんたちが わたしたち ひけんたいに プレゼントを 届けてくれました。 うさぎさんや みつあみのおねえさんも きてくれました。 みんな みんな しあわせそうでした。 もみも しあわせでした。 椿のおにいちゃんが 赤い きれい な羽織をくれました。もみが寒くないように、綺麗にきかざれるように、 って 羽織をかけてくれました。 もみは とっても 嬉しかったです。 ありがとうって おにいちゃんに 伝えたら おにいちゃんは 嬉しそうに 笑ってくれました。 とても 嬉しそうに 笑ってくれました。 もみは、それだけで 幸せで いっぱいでした。
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morixxnit · 10 years ago
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11月11日_樅の日記
今日は 椿のおにいちゃんの たんじょうび でした。 おにいちゃんは もみが 少しずつ ひけんたいとして 体が かわっていくことが 怖いと いいます。そのせいか、今日も おにいちゃんは 悲しそうにしていました。 もみの からだは シュタラの おにいちゃんと おそろいだって 笑ったら、椿のおにいちゃんは つよく つよく抱きしめてくれます。もみは おにいちゃんに だきしめられることが 好きです。 おにいちゃんに たんじょうび おめでとうと 伝えたら ありがとう、って 悲しそうに笑っていました。 七夕の日以来、おにいちゃんの笑顔は 寂しそうに なった気がします。 もみは すこし寂しいなって 思いました。
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morixxnit · 10 years ago
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9月×日_ラプトルの日記
シュタラ お前が彼女の名前を口にしていいだなんて誰が言った? 彼女はボクだけの ああ 汚い。 彼女が汚れてしまう。 許さない
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morixxnit · 10 years ago
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7月8日_ラプトルの日記
何ヶ月か前から樅という少女の実験をしているんだけど、結果がなかなか面白い。 実験の内容は、自分とシュタラの母星である「ネーロプッペ」の一族の体液を徐々に被験体に取り入れる、というもの。 今まで好奇心で何人かの被験体でやってみたんだけど、どれもこれも失敗ばかり。体に合わなくて異常を起こす。遺伝子とか細胞をいじってみてもダメ。人間とネーロプッペの間から生まれたハーフの血を入れてみてもダメ、ダメ、ダメ。結局最後は死んでしまう。 シュタラのやつが歪む顔が見られるっていう好奇心と、もしもの時のために始めた実験だけれども、なかなか上手くいかないものだなぁ…なんて、考えていたら。なんと、適合者がいたんだ! 樅という少女は、大人しくて素直な「いい子」だ。秘密にして欲しいことは約束と言えば秘密にしてくれるし、敵である僕ら研究者の心配までして、無理して笑ってる。まさに他人にとっては「いい子」の塊。でも、そういう子って本人にとって得はしないんだよねぇ。得してるって、自分自身すらも騙して、ずーっといい人であり続ける弱い人。そういう人は、早く世界から蹴り落とされる。残酷だよねぇ。 だからボクが実験をしたところで何も変わりはしないんだ。実験をして彼女が早く終を迎えたとしても、何も変わりはしない。だって、どの道早くなくなってしまう命なんだろう?しかも、誰かの役に立っているならいいじゃないか。それが彼女の本望なら、尚更。 さて、そろそろボクらネーロプッペの血に馴染んできた頃だ。少しずつ彼女をネーロプッペの体にしてあげなきゃだね。
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morixxnit · 10 years ago
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×月×日_シュタラの日記
梛は、東雲という研究者に出会って、一切変わらなかった口端をよく動かすようになった。 東雲は、梛という被験体に出会って、一切注ぐことのなかった優しさをよく注ぐようになった。 互いが互いに依存していて、支えあってて、手を繋いでいる二人は重い鎖で繋がれたみたいで、離れることなんて想像できなくて。だからこそ、壊れてしまった鎖によって二人が崩れることなんて考えられなかった。考えていたとしても二人なら大丈夫だろうって、勝手に、安易に、確信をしていた。 二人は本当に仲が良かった。 例えるなら…そう、沢山の人が言っている、まるで仲の良い兄妹のような。二人で他愛もない話をして、たまに冗談を言って茶化したり、互いを貶したり、でも笑っていて暖かい。喧嘩することもあったけれど、その度に妹が大好きな東雲という兄が、泣いて謝る…なんて、そんな仲直りをしてるような…。思い出すだけで、あの頃に��りたいって心の底から願う。 でも、二人は兄弟じゃない、ましてや被験体と研究者だ。互いが理想する「普通の生活」なんてする事が出来ないし、別れは早いし、…なにしろ残酷だ。それを分かって、でも二人は離れられなくて、ずっと繋がってて。 だから、壊れる覚悟をしていなかったのだろう。 梛は笑って、喜んで実験を受け入れた。実験をすると言えば自ら体を差し出す。彼女はそこまで狂っていた。 だからこそ、梛自身は限界が近づいていることに気がつかなかったんだろう。最後まで笑って、実験を受け入れ続け、彼女は笑い声をあげたまま、前触れも、東雲に別れの言葉もなく、命を落とした。 東雲は泣いて、悲しんで梛の死を拒んだ。死んだ彼女に「蘇生」を求め、多くの被験者を死に追い込んだ。彼は、梛という少女に狂うほど依存していた。 だからこそ、自分の犯し続けた罪に気がつかなかったんだろう。最後まで一人の生を求め、多くの被験者や一般人に死を与えた彼は、罪悪感や後悔にずっと纏われて、泣き喚きながら、謝罪の言葉をあげ続け、みんなの前で命を落とした。 僕は、「椿」という研究者として生まれた梛が、次は研究者として、愛していた被験者を失った東雲と同じ孤独を味わうんじゃないかって、怖くなった。だから、椿に真実を告げ、別れが残酷だってことも、覚悟がないなら樅とは離れろってことも、どれほど辛いかってことも、全部、伝えた。それでも彼は、樅と離れることをやめなかった。やめるどころか、今までに見たことない、鋭い目つきで僕を睨みながら、彼女から離れないことを、僕の前で誓った。 もう、手遅れだった。東雲と梛の時のように、椿は樅と、互いが互いに依存しあっていた。別れは、残酷なものだと決まってしまったようなものだった。それでも僕は、何とかして二人の別れを良いものにしたい。せめて、最悪を避けたい。誰がなんて言おうとも、止めたとしても、僕は……
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