narcopreticdreamer
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夢躯蛹
19 posts
夢と私は不可分に。いとしい夢の端切れ。忘れたくなく手放したい。言葉に託して置いておく。
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narcopreticdreamer · 3 months ago
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好きだったテーマパークがなくなるという連絡を受ける。
友達のSNSに、現場の写真が載っている。馬の石膏像は外され、豪華な玉の天井も解体され、柱を外された後の金属の跡だけが残っている。見事に動く仕掛けも失われていく。この辺りではいちばんの場所で、たくさんの人が訪れていたのに、収入も十分あったはずなのに、と言いかけて、もしかしたらそう思っているのは自分だけかもしれないと思��。
肩を落として家に帰り、門扉を開けると、二匹のの蝙蝠が不器用に飛んでいる。どちらも黒い毛がまばらの赤ん坊で(赤ん坊の蝙蝠が飛べるのかはわからないが、夢の中の私は『赤ん坊の蝙蝠が飛んでいる』と思った)、じゃれつきながら飛んで、地面に不時着したり、軒下でとまる場所を探したりしている。そのうちの一匹が私の二の腕にとまる。袖の上から、必死によじ登る小さな生き物の気配を感じる。驚かせないように息を殺しながら待っていると、蝙蝠は飛び立ってまたじゃれ始める。
ポストの中を確認した母が、『動物病院からだ。定期検診はどうですか、だって。うちのはもうだいぶ前に死んでしまったのにね』と言って、小さな犬の左前足を差し出す。乾いて少し縮んでいるけれど、爪や肉球や、茶色と白の毛が残っていて、愛犬を思い出す。どこかの国の、ウサギの足のお守りを思い出す。(よく考えたら怖いけど、夢の中では予防接種のように前脚を切って、そのうち生えそろうみたいな感覚だった。)
犬の死に目に会えなかった私は、大好きな犬が会いにきてくれたような気がして、その小さな前脚を愛おしく抱きしめる。
それを大切に持って家に入ると、父に責められる。そんなゴミは捨てろ、いつもゴミばかり大切にすると怒鳴る声がする。私はこの子の死に目に会えなかった、これくらいいいじゃないか、父は、犬がいったとき、私がいなかった時、遺骨も、毛束も、なんの形見も残してくれなかったじゃないかと反論する。父は怒って、その辺にあると玄関の棚をひっくり返すが、何も見つからない。私が散々探してなかったのに、今更何をと思いながら眺めている。そのうち父は探すのをやめる。諦めたのかと思ったら、あの時は大変だった、祖父(父にとっては父)と喧嘩していてそれどこじゃなかったとまた怒り始める。私はげんなりとした気持ちになる。
振り返ると犬がいる。尻尾を振って笑っている。鳴き声は下手くそで、お前、そんな声だったっけ?と私も笑いながら抱きしめる。そうか、ごめんな、私がちゃんと思い出せなくなってるんだと思いながら、私を迎えにきてくれたのかなあと呟く。
夫が犬の隣に立って、『こんなにあなたに愛されて、この子は幸せです』と言ってくれる。ああ、迎えにきてくれたわけではないんだな、まだ一緒には行けないんだなと思ったら、涙が出てきて目が覚めた。
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narcopreticdreamer · 3 months ago
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大きな池のそばにいた。人工の、公園にあるような池。遠くで何度も、水面に何かが落ちたような水音がする。いつかここで、入水自殺をした人がいるんだな、とぼんやりと私は思う。
砂利道を歩いていると、水たまりをつなげたような、小川になり損なったような浅い溝を見かける。歩いて行くには踏み越えて行かなくてはいけないけれど、歩けばそのまま濡れてしまいそうな気がする。
溝の上には細く土を盛った線がある。うまく踏めば濡れずに向こうに行けそうな気がするが、不吉な予感がして、その線を避けて溝を飛び越える。
振り返ると、『ここを踏め』と言わんばかりに、一本しかなかったはずの線が何本にも増えている。ああ、これは呼ばれているな、線を踏んだらまずかったと息を吐く。
追いかけてきた大切な友人に、「その前を踏むな」と声をかける。「うん、踏まないほうがいいだろうね」と、霊感の強い友人は頷く。大柄な友人は、私の言葉に頷いて、線を避けて水溜りをばしゃりと踏んでこちらに渡ってくる。彼の大きな靴が、泥水を踏むのを見て、何も言わずに私を信じてくれたことに安堵する。
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narcopreticdreamer · 4 months ago
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私は男の子だった。父親と、母親と、妹と、弟と、住宅街にある一軒家で暮らしている。いつも違和感があって、居心地の悪さを感じていた。
ある日、父親が人間ではなく、怪異であることに気づく。顔がぐにゃりの歪み、ブラックホールのような、人間の色をしたクラゲの裏側のような様相を見せる。怯えた自分は父親を刀で刺し殺し、首を落とす。
とんでもないことをしてしまったという震えと、怪異が父親としてそばにいた嫌悪感でぐちゃぐちゃになる。そこから逃げ出そうとするうちに、母親が現れる。母から、父親だけでなく、家族全員が、自分も含めて、あの怪異だと告げられる。
ショックを受けた自分は、父と同じ怪異の顔になった母親も斬り捨てて、家に火をつける。
防災カバンを背負って、妹と弟の手を引いて、家に火をつける。妹と弟はよくわからないまま、自分についてくる。
すぐに近所の悲鳴や、消防車のサイレンが聞こえてくる。どうか間に合わないで、死体も証拠も全部焼けて、自分たちが逃げたことにも気づかないでほしいと願う。
四つ辻で、真っ白な衣に身を包んだ男に出会う。自分は心当たりがないが、相手の方は自分を知っているようだ。彼に導かれて、見慣れた街の中を逃げる。
警察が追ってくる。ショッピングモールの駐車場の茂みに隠れる。背中側から見られても、絶対に見つからない。立ち去ったと思ってふと顔を上げた瞬間に、警官に見つかる。
あわてて狭い道を通り、工業地帯へ逃げる。橋の上から、下にある廃車の群れへ飛び降りる。人間ではない自分は、これくらいでは死なないという自覚がある。妹弟たちも、なんともなしについてくる。
古い工場の裏の、汚れた湖の辺りでぼんやり考える。これからどうしようか。妹たちは、自分が何か知っているのだろうか。不思議とお腹は空かない。隣にいる真っ白な男は、くすんだ背景の中で光るように美しい。こいつもやはり人間ではないのだろう。
皆を残して一人で逃げ道を探していると、30代くらいの女性に出会う。汚れた自分の姿を見て、声を掛けてくる。そのまま逃げようとするけれど、どうやら自分がしたことを知った上で話しかけているようだ。
なぜかほっとしてしまって、事情を包み隠さず話す。女が自分や妹たちに向ける強すぎる同情と、子どもへの憐れみに、近しく大切な子どもを亡くしたことがあるのかもしれないと感じた。女は、白い男にだけは警���心を示す。白い男は、社を無くした神様かもしれない。憑座を探して君についてきているかもしれない。そう言われてみれば、妙に自分に執着しているなと思う。
自分一人だったら別に構わないけれど、妹たちもいるのだったら、この女に匿われた方がいいかもしれないと振り返り、白い男が目を見開くのを見た。
高級なホテルにいる。何かの合宿に来ているようだ。明日は登山だというのに、鞄の中には余計な荷物が多い。さいわい、自分の家はそう遠くない。これを置いて、歩きやすい靴を持ってこようと考える。
間違えて持ってきてしまったトイレスリッパを返しに行く。
エントランスまで来て、ホテルが閉まる時間を確認しないといけないな、と気づく。荷物を下ろしてフロントで確認し、安心して戻ると、さっきまであった靴がない。
そのあたりのホームレスがやっている、フリーマーケットに声をかける。「ここにあった靴を見なかったか?持っていった奴がいても、返せとは言わないし、責めたりしない。」そう言うと、ひとりがいくつか荷物を見せてくれるが自分の靴は見当たらない。「何か見た?」と聞くと、首を振る。
仕方ない、どうせ余計な荷物だったのだからと諦めて、家のある方向に向かう。
地図アプリを見ると、進行方向にデパートがある。中を通ると、いろいろな店が入っているが、どうやら日本ではなく、漢字圏の地域のようだ。知らないけれど、聞き覚えのあるような言葉が飛び交っている。
デパートを出たところに、大きな森林公園がある。設立者が、整備された場所ではなく、自然を感じてほしいという理由で、最低限しか手を入れていないらしい。湖の周辺に道があり、巨木や蔓や、背の高い茂みがある。木の上には蜂の巣が見えていたり、ヤドリギの玉が見えている。奥の方には、カフェのようなスペースもあるようだ。ぐるっと一周だけ歩きながら、ふと恩師が前に紹介してくれた場所はここかもしれないな、と思う。
日が少し落ちてきて、あわてて公園を出る。少しのんびりしすぎたようだ。
デパートの中に戻り、家の方向に向かおうとするが、さっきとはかなり構造が違うように感じる。一度外に出ようと地図アプリを見ると、目的地自体には近づいているようだ。あと5分と表示されている。
建物を出ると、外は持つ真っ暗で、いつのまにか雨が降っている。どうして旅先に家があるのだろう、と思って目が覚めた。
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narcopreticdreamer · 5 months ago
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私はこの国の警察官だった。身長は高め。やる気と志は低い。なんとなく、流れでこの仕事をしている。
先輩は真面目で、この仕事に熱い思いがあった。先輩が、だんだん壊れていくのが見えた。
この仕事を辞める時は、資料は全て職場に残す。けれど、個人的な記録や録音データは、自分で持っておく分とは別に、信頼できる上司、信頼できる同僚、友人にそれぞれ渡すのが慣例になっていた。
先輩はうつっぽいところがある。いつもはあんなにしっかりしているのに、時々、妄想にしか聞こえないような支離滅裂なことを言っている。
そろそろ、先輩も仕事を辞めていくのだろうか。その時は、先輩の資料は誰に渡すのだろうか。
飛行機に乗っていた。
彼女は下ろして欲しいと頼むが、もう離陸してしまったと言う。彼女は落ち着き払っていて、では、空の上で、別の飛行機に移動すると笑ってどこかに通信を送る。
彼女を無理やり飛行機に乗せた女は、彼女の態度に動揺する。
やがて彼女は空の上で扉を開けて、ふうわりとした不思議な乗り物に乗った。やわらかい餃子の皮のような表面で、彼女の思いのままに動くその乗り物で、彼女は目的地を目指す。
海の上へ飛べば、少し近いけれど、もし落ちてしまったら迷惑をかけるなあ。
大陸の上を飛べば、遠回りではあるけれど、きっと人の目を集めることだろう。
そんなことをぼんやりと考えている。
一緒に乗っていたふたりの青年が、ここで一度降りようと提案する。そのあたりは海の上の小さな島国で、その橋に不時着する。潮の飛沫を感じる。
乗ってきた柔らかい生地を手繰り寄せて、3人で身を寄せ合って暖をとる。お腹が減ったという男のために、もう一人の男が、機体の一部からワイヤーを取って、海に投げ入れる。もうひとりの男は、岩場に生えたカメノテに似た貝のような生き物を集めている。一種類は数は少なく、捕まえようとすると奥に引っ込んでしまうけれど、身がぎっしりしていておいしい。もう一方は、薄いピンク色でたくさん生えているけれど、小骨が多く、生臭い。
釣り針にかかった猿のような生き物が、恨めしそうにこちらを見ている。
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narcopreticdreamer · 5 months ago
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風呂に入っている。上がって扉を閉めようとすると、猫の鳴き声が聞こえる。驚いて浴槽を見ると、まんまるの瞳の黒猫がこちらを見つめている。
抱き上げて、湯桶に湯を張り直し、中に入れて洗ってやると、湯が灰色に濁っていく。抱き上げて手のひらで毛皮が吸い込んだ水を落としてやる。タオルで拭いていくと心地良さそうにしているが、尻尾を拭いてやると明らかに不機嫌になって、「じぶんでやる」と言われたような気さえする。
もう1匹の三毛猫が浴室に入ってきてウロウロする。お前も入りたいかと声をかけるが、こちらはそれほど風呂が好きではなさそうだ。湯桶に湯を張っておき、黒猫のしっぽ以外を拭いてやっていると、三毛猫は自分で湯桶に入っている。
軽く洗ってやると、それは拒まずに大人しくしている。はて、私は猫を飼っていただろうかと思うと目が覚めた。
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narcopreticdreamer · 7 months ago
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珍しくコメディタッチの夢を見た。
夢の中の自分は高校生で、修学旅行先に向かっている。よく知らないけれど南の方にある島で、周囲はぐるっと歩いて回れるくらいの大きさだった。
飛行機の中でも僕はなんとなく憂鬱で、何せ一緒に回る友達もいないし、旅行にも興味がないし、1人でどう時間を潰そうか考えている。
手元にある地図や古い資料を見ると、島の中には浅い湖が連続していくつかあり、大体は歩いていけるけれど、ところどころ水深が20メートルあるような深い溝があるそうだ。
湖には浮羽という嘴と羽のある生き物が生息していて、島の昔話にもよく出てくるらしい。なんだかゆるいペンギンみたいなイラストだったな、と古典の教科書を思い出しながら地図を見る。
島に到着すると各自グループで、やれ南に行こう写真を撮ろう、どこそこで食事をしようと話をしながら他の生徒たちは散っていく。
この島、小さいくせに空港がふたつもある。国際線と国内線か……その間は大きなショッピングモールで繋がっていて、観光客で賑わっている。
なぜか旅行者に呼び止められて、国際線の空港へ向かう道を案内させられる。どうせすることもないしいいけれど、島の名物の、サンドイッチのような食べ物(焼いた白っぽい粉物の間に、野菜と豚肉がぎっしり挟まっていて、外側は薄い紙に巻かれている)か、麺類(これも同じような野菜と豚肉がたくさん載っている)でも食べながらモールの中をぶらぶらしようかと考えながら案内を終える。
ふと声がして気がつくと、同じクラスの小池くんがいる。小池くんはかわいい。髪は染めていなくてサラサラで、目はなんとなくアザラシっぽい。なんとかと言うアイドルに似ている気がする。誰にでも気さくで、男子ばかりのクラスの中でなんだか変な感じで人気だった。
隣にいるのはちょっと不良っぽい木村くんだ。背が高くて金髪で無口。怖い。小池くんと仲良くしたいと思っている同級生は間違いなく死ぬほどいるけど、木村くんが怖くて近づけない。木村くんは他校の女子に死ぬほどモテるらしい。羨ましい。
木村くんの反対側には別の男子がいる。名前は知らないし顔もよく覚えていない。小池くんと木村くんと一緒にいて平気なところを見ると、実はすごく肝が据わっているのかもしれない。羨ましい。
聞こえてくる小池くんの声はいつもより明るくて、ちょっとふざけたり下ネタを言い合ったりしながら、3人で人混みの中に消えていった。
僕は地図を見ながら、10時間が終わるまでどうしようかと考えていた。
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narcopreticdreamer · 7 months ago
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部室と倉庫。マネージャーの私は、顧問に鍵を預けられる。どうやら自分は野球部に所属しているようだ。鍵を閉めるたびに、忘れ物をしたという部員がやってきて、何度も開けては閉めてを繰り返す。
「もういい加減、自分でやってよ」
と、鍵を返そうとすると、部員たちはそそくさと帰っていく。呆れながら振り返ると、今度は女子のグループがある。
ひとりの女子が、笑いながら別の女子を部室に閉じ込めようとしているのを見て、怒って止めようとする。幸いなことに、他の女子たちも、閉じ込めようとする女子に対して、どうしたらいいかわからないような、悲しそうな、怒ったような顔をしている。
何故そんなことをするのか問いかけると、彼女はは?関係ないでしょと一瞬怒ったように悪態をついて、そのあとにやにやと笑い始める。
周りの女子たちが帰って行き、私と彼女の二人が残される。何度かやりとりをしているうちに、ふと彼女��薄い眉毛や、苛立った目つきの裏に、��覚えのある面影を感じる。
「あれ…もしかして、〇〇さん?〇〇クラスにいた」
彼女は一瞬目を丸くして、安心したような、幼い笑顔を浮かべた。
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narcopreticdreamer · 8 months ago
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イベントの運営をしている。ボールを投げるレクリエーションや、ジオラマを展示してあるブースを抜けて、私は数人のスタッフと古着のバザーを担当している。
古着はトラックの荷台いっぱいに積まれていて、それを下ろして並べていく。黒を基調にしたブティックが場所を貸してくれていて、バザーのコーナーと、本来の商品が混ざらないように気をつける。
並べ終わらないうちに、最初の客がやってくる。男性数人のグループで、冷やかしっぽい雰囲気があり、スタッフたちはやや緊張している。けれどそのうちの1人は、にこやかに古着のうちの1着を手に取る。
ベージュグレーの薄手のコートで、鳶コートのようなシルエットだ。裏地は紫でとても可愛い。ぜひこれを、と手に取った男性に、試着を勧める。少し躊躇って、袖を通すと、長身の男性にそのコートはとてもよく似合っているように見えた。けれど彼は、袖が少しキツイ気がすると言って買うのをやめてしまった。
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narcopreticdreamer · 8 months ago
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珈琲を淹れてもらうための列に並ぶ。大きなバットから、片手を軽く握るくらいの大きさのアルミボウルで茶色の塊を掬う。ごろごろしていて、ナッツ入りのチョコレートのような見た目のそれを、みんな珈琲豆と呼んでいる。
やっと自分の順番だ、と思った矢先、豆だけ選んで淹れた方が美味しくなる、と声をかけられる。眼鏡をかけた中年の男性だ。なんとなく信じられそうだな、と思って、最後尾なのをいいことに豆を選ぶ。もうバットの中はクズばかりで、なかなか豆は見つからない。
自転車で通勤しようとしていると、道端の畑の隅に、白いプラスチックの塊を見つける。自分はそれをキックボードだと思っている。なくなったと思ったから自転車を新しくしたのに、こんなところにあったのか。とはいえ、自転車ではこれを持っていけない。
氷の塊が溶け落ちる。テレビを見ながら友だちと話していると、父親から怒鳴られる。夜中まで話して、迷惑だと思わないのか。庭では親戚の男が、古いパソコンを使って何か作業をしている。画面は明滅していて、その脇にはノートやメモの束が山と積まれている。どちらかと言えば父親の怒鳴り声の方がうるさいと思う。隣を見ると友人はいない。確かに話していたけれど。電話だったろうか。テキストメッセージだったかもしれない。父親は、地球温暖化は陰謀だ、そんなものは存在しないし、ペンギンだ流氷だなんて撮影しにいっている連中は、その日どこに寄ろうか何を食べようかなんてことしか考えていないと唾を飛ばしている。どこでそんな考えにハマったんだろう。うんざりしながら今を離れようとしたところで目が覚めた。
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narcopreticdreamer · 2 years ago
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 研修で初めての施設に行く。ショッピングモールとフリースペースとホテルを混ぜたような近代的なビル。研修場は13階にある。9階までのエレベーター。上りの階段を探す。偶然乗り込んだエレベーターは下に向かっていく。いつまでたってもたどり着けない。
 ホテルのあたりで、先輩に会う。先輩と言っても、何度か顔を合わせただけで親しい交流はない。パーマを当てた黒髪と、すらりとした長身、ぶっきらぼうな物言いで、女性には人気だが自分は少し苦手に感じていた。確か今は、お笑い芸人をしているらしい。声をかけられたので事情を説明すると、近くにいるスタッフに声をかけて聞いてくれる。しかしホテルのスタッフなので、探している研修場のことはよくわからない。
 エレベーターの案内表示を見つけて、��り組んだ道を行く。先輩は何も言わずに、エレベーターまで見送ってくれる。意外といい人なのかもしれないし、こういうところがあるから女性にモテるのかもしれない。閉じる扉の向こうの先輩に手を振る。結局そのエレベーターは研修場には向かわず、建物の外にまで出てしまう。
 その後もいろいろあって、やっと研修場を見つける。約束の時間にはなんとか間に合ったようだ。友人とは離れて空いた席に座る。斜め前に座っている男性が漫画家だと周囲が噂している。好きな漫画だったので、サインをお願いすると快く応じてくれる。持っていたスケッチブックを渡すと、しばらく待つように言われる。研修の後、スケッチブックを返される。サインと一緒に添えられた絵や言葉が、想像と少し違って、本物かどうか少し疑う心が芽生えるが、気にしないことにして持っていた鞄に入れる。
 その日の夜、ふと鞄を開くとスケッチブックの後ろにクリアファイルが入っていることに気づく。中には漫画の原稿用紙が入っている。あの作品の続編だと気づいて、あわててファイルを閉じる。あの時間違って受け取ってしまったのだろうか?時間はすでに夜も遅い。とはいえなくしては困るもの、急いで探しているかもしれないと、出版社や窓口の電話に何度も電話をかける。
 漫画家の担当だという若い男と出会う。彼の運転するバイクに乗る。町は夜だというのに屋台がたくさん出ている。どうやら今日は祭りのようだ。
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narcopreticdreamer · 2 years ago
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山あいの美しい川。5人で挑戦するリレー。スタッフが鬼として追いかけてくる。挑戦者はバトンを繋ぎながらそれから逃げる。走ったり、泳いだり、舟を漕いだり。川は冷たく透き通っている。受付は古いコンテナを改造して作られている。無愛想なスタッフに声をかけてお金を払う。捕まったら何かよくないことがあるらしい。気味の悪さを感じながらスタート位置に着く。
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narcopreticdreamer · 2 years ago
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教室。カミソリを持って頭髪を剃っている。スキンヘッドも悪くないんじゃない?みたいな軽い気持ちで。少し後悔し始めている。友人たちは特に気にしていない。
死にたがりの恋人の手を引いて、街中を歩く。彼女の友人たちも一緒に歩いてくれる。目的もなくぶらぶらするのも悪くないと自分は思っている。たどり着いたのはメンタルクリニックで、彼女は『こういうところに私を連れてくるんだ』とがっかりした顔をしている。友人の心配も、恋人の落胆もわかって、気持ちが重い。
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narcopreticdreamer · 2 years ago
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 野球場。観客席からネットの上へ。落ちて傷んだ鳥の死骸を片付ける。雀や鴨、大型の猛禽、川蝉、果ては孔雀まで。雑紙を被せて掴んでは、裏山に放る。投げた先にも別の鳥が落ちているのを見つけて鬱屈とした気持ちになる。けれど、どさっと落ちた衝撃で、その鳥がばさりと飛び上がる。驚いて見つめると、ところどころ白く色褪せているものの、青く煌めく羽が美しい。自分の目の前の手すりに舞い降りたその鳥を、あたためたくて手を伸ばす。真っ黒な、つぶらな瞳をこちらに向けて、首をかしげるその鳥に、なぜか触れられないまま見つめている。
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narcopreticdreamer · 2 years ago
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 勧められた相手との結婚を承諾する。自分は結婚するつもりもなかったし、相手のこともよく知らないのに、うまく断ることもできない間に話が進んでいく。
 結婚式の準備が進んでいく。邸と山頂を気球のついたベンチで行ったり来たりする案には流石に反対した。
 ドレスを作るのは楽しかった。けれど相手の顔が思い浮かばないので似合うかどうかは分からない。水色のチュールをたっぷり使ったドレスだった。
 結婚式の会場は、地元の歴史のあるお屋敷だった。屋敷の周りはぐるりと湖に囲まれていて、飛び石を渡ってたどり着く。
 結婚式の直前になって、相手に好きな相手がいると知る。なんだか私はほっとして、婚約を解消しようと持ちかける。
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narcopreticdreamer · 2 years ago
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 よく知った曲が響いている。ピアノのそばに立っている綺麗な女性が不機嫌に私を呼ぶ。慌ててピアノの上にあった花束を手に取って、演奏者を追いかけようとすると、彼女が首を横に振る。そもそも白いワンピースを着た彼女とは違って、私は演奏会には不似合いな作業着を着ている。恥ずかしいような申し訳ないような気持ちになって、ピアノを片付け始める。折りたたみ式のそれは、どれも綺麗に嵌って閉じられるはずなのに、パーツを収める場所がわからない。なんとかして隙間に収めて畳むけれど、どうにも間違っているような気持ちが拭えない。
 なんとか挽回しなければと思って焦る私は、演奏会の帰りがけに行方不明者を多数出しているという不審な宗教団体の調査に訪れる。案内役の可愛らしいうさぎが案内してくれた自動扉の向こうは、狭い通路がまっすぐ奥に続いていて、両側には白い病室のような部屋が並んでいる。
「あなたのような人は生贄にぴったりです。前に収容した子は『低くて』、でもあなたと一緒ならちょうどいい」
屈託ない声出そう言ううさぎを不気味に思って、空いている部屋にこっそりと逃げ込む。部屋にはひとつだけ、洋式の便器があって、それには不釣り合いな赤ん坊が腰掛けている。危ないと慌てて抱き上げる。赤ん坊独特の柔らかさと、排泄物の不快な匂いを強く感じる。赤ん坊を安全なところに降ろして、部屋の外をこっそり覗くと、濃紫の着流しを着た細身の壮年男性が歩いている。日に焼けた浅黒い肌に似合わない涼やかな表情に心臓を鷲掴みにされる。彼はふとこちらに気づいて、着物の形に折った金色の折り紙を手渡してくる。こっそりと開いてみると、筆で書かれた文字が見える。けれどそれは私以外の誰かに宛てた手紙で、それにどうしようもなく落胆する。
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narcopreticdreamer · 2 years ago
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暗幕と権威のある部屋。等身大のチェスの駒。吸血鬼のような部屋の主。ガラスの表面に、押し付けられて逃げ惑う女の痕跡を見つける。部屋の主人が片手で彼女を持ち上げて、壁に押し付けたのではないかと確信に似た想像をする。ところが彼はあまりに魅力的で抗えない。逃げ出したのはあの部屋が見える崖の上。足元の隙間から洞窟へ降りる。黄土色の岩がちな壁面や足元は鬱蒼とした緑に覆われている。右手に絡んだ蜘蛛の巣を振り払おうとした拍子に、茂みの中に転がり落ちる。後頭部でぶぅんと翅の音が聞こえる。髪に蜂が絡んでいるようだ。潰してしまわないように、刺激して刺されないようにゆっくりと身体を起こそうとする。どんどん大きくなる羽音に耐えきれず大声で叫んだ。
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narcopreticdreamer · 8 years ago
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洞窟に足を踏み入れる。私は失った片身を探している。姿こそ違うが探し求めたその人がいる。美しい青白い男性が、地底の王のようにそこにいる。ふたみこと言葉を掛ける、あなたは私を覚えていない。その手から大きな白い箱が落とされる。不思議とゆっくりと落ちたそれが、布のようにほどけ、青白く光る金貨が波のように溢れ出る。昔話の天女のように、青白い膚に同じ色の衣をまとった人々が群がる。あなたが遠ざかる。こんなものいらない、あなたに会いたかっただけなのだ。こんなもの、お前たちにくれてやろう。 『啜れ』 と呟くと、白い影がぬめりと揺れて、金の波に群がってゆく。流れに逆らうように洞穴を後にした。その後に、地底に棲むおそろしい化け物の姿が描かれた壁画を目にする。私が見ていたのは、きっとこれだったのだ、あなたはもう私のものではないことに、胸を焼かれながら、私は荷車に揺れて旅立った。
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