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無題
こんにちは。聞こえますか。
こちらは金曜日の朝です。
それが本当に感じられるようになること
疑わないこと
そんな日がいつか来るのかもしれない。
たわごと。上の空。戯言。ひとりを分裂して
会話する。なんでもないネットワーク。
円卓会議。いつだって君たちは僕で
僕達はバラバラだ。みんな少し違う。
顔を突き合わせているけれど
直接的な発言をする者はいない。たぶん。
でも会話できることは僕達が
黒電話の電話線みたいにうねうね
繋がっているから。
撓んで歪んで縮んでのびて
くすんで鮮明になって微かに笑って
でもきっとそれは笑っていなくて。
何者なのか。誰なのか。
たまにちらつくレインコートの色は
いつだって黄色で、
いつだって濡れている。
そいつはぼくだ。カンパネルラ…。
ぼくがカンパネルラなのではないし
もしかしたらそうなのかもしれない、
そういう時もあったのかもしれない。
やさしいひとはカチューシャをそっと
微笑みとともにつけてくれた。
閉ざされた中でできるだけの夢想をして
一体何が、どういう意味があるのかと、
目的も何も、全くもって…ないといえば
(沈黙)
…
なんだっていいのさ。
うわの空。夢の中。ひとりごとに似たような
ものなのだから。
ねむい。寝よう。
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眠る
雨音をコップいっぱいにかき集めて
電子レンジで1分加熱したときの音
遠くでなる雷鳴を掃除機で吸ったときの音
8月の扉を閉めて鍵をかけたときの音
靴下を揃えてさようならを歌ったときの音
まばたきが肌に触れたときの音
湿った道路に涙が落っこちたときの音
雨に濡れた十字路に訪れる静寂
やさしく眠れますように
おやすみなさい
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雨の公園
雨の中で泣いている
心の中までぬかるんでぐちゃぐちゃだ
髪の毛もズックも
おおきな雨空の下で静かに濡れている
砂場に置き去りにされた砂団子も
滑り台の下で冷たく錆びた赤いスコップも
より目がちなぞうさんのじょうろも
小さな草っ原たちも
みんな静かに雨のなか
少しでいいから
誰にも邪魔されることなく
レインコートをぐしゃぐしゃに放り投げて
雨の中で眠りたい
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ぽつり回想
コメダのコーンスープ
豆菓子
お冷
代わる代わる口に運んだ
それは冷静になりたかったから
それは外部刺激を遮断したかったから
でもかなわなくて
いっぱいいっぱいになった
好きだったお菓子屋さん、そう言えば
潰れちゃってたな
たった一言で僕は打ちのめされる
僕の身体は熱かった
汗ばんで
涙ぐんで
結局お決まりの号泣
フリーズ
固まった
その後は返事をするでもなく
顔を上げるわけでもなく
ただひたすら
ナプキンに溢れたコーンスープを
スプーンでほじくって
三角形の穴を成形していた
分離
離人
憎しみ
めまぐるしくぐるぐる回って
誰の言葉にも応えず
もう
潰れてしまいそうだった
おしぼりで顔を覆って泣いた
黄緑色のハムちゃんの消しゴムが恋しいね
一息つきたい
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窓越しの月
あまねちゃんが起きている
窓辺に立って月を眺めている
あまねちゃんは窓の奥の月に
包丁を突き刺す
ぼくはいたたまれなくなって
その場で耳を塞ぐ
窓がギチギチきいきい鳴いている
あまねちゃんは月をずっと見ている
ぼくは埃っぽい空気を吸い上げて
涙とともにむせ返る
いつも眠っていたあまねちゃんは
どうして今起きているのだろう
ぼくは寂しい
ぼくは悲しい
ぼくはうれしい
ぼくはくるしい
だってあまねちゃんは怒っているようだから
あまねちゃんは確かに起きている
ぼくには届かない
扉の向こう
彼女の姿は
今日もまた
自分の目で確かめることはできなかった
だけど見えてくる断片には
彼女が窓の向こうのお月さまに
やいばを突き立てていること
ただそれだけ
みえたりみえなかったり
薄れたり現れたり
聞こえたり
見えないけれど見えるんだ
おやすみなさい
彼女はきっとまた眠りにつくだろう
ぼくにできることはただ
閉ざされた扉の前に佇むだけ
おやすみなさい
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眠れないから
力尽きた豆餅
くたくたに煮たタロイモ
吐き捨てられた最後のことば
滲んだ鮮血をプリズムに垂らした
涙が陽だまりにこぼれた
床の軋む音
プールに溺れた時のにおいが
顔中にへばりついて
息ができない
やさしいなみだ
何時間も塞いだ耳をそっと開くと
じんじん痛む
誰もいない昼下がりの公園に
くすぐられて
ジャングルジムにダイブ
おやすみなさい
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独り言
僕は丁寧に話したい
雨合羽から滴る雨粒放った 放っているこども
ぼく
ねえ
なにを
おもっているの
自問自答
たくされたびーず！
たくさんの、ぽっけはふたつ
泣きたいや
そしてわらうの
それは泣いていることに対してのぼくの反応
知っていますか
寝息がみえる
おとは
聞こえない
あめ
降っているからかな
………
おはよう
ぼくのまつげはねむち
きもちわるい
なにが
それは
そうだね
ぼくがいるとこ、
ためいきなんてまだ
覚えたことないよ
………
時計の針を戻して
カーテン閉め切って
眠っているのかな
近づけそうで近づけない
………
髪の毛をひっぱっていた
食べていた
僕は僕でした
洗いじわのついた白いシャツに
顔を埋めて
僕は顔を擦る
そのまま
溺れてしまいそう
………
またね
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