propell - Tumblr blog

[propell]

日々自分の至らなさに鬱屈としていたのだが、最近はもうどうでも良くなってしまったのか、己の凡人具合に取り立てて嫌悪感を抱くこともなくなった。完璧に過ごせる人間などいない、というか完璧な状態など存在する訳もないと、夏目漱石の処女作の主人公のように妙に達観している気持ちになる。毎日自分を責め続けるのは相当な苦痛であり、またそれも際限がないのでいつの間にか疲弊し精神的に参ってしまうものだ。

社会が推し量ろうとする高水準な人間というのはもしかしたらマジもんの虚像なのかもしれないと、プロパガンダにも近いメディア全般の意図を否定したくなる。雪の女王よろしく、ありのままで生きていくことを推奨される一方、安易にそれを享受できない日常の困難さを憂いたくもなるが、そうした悩みを抱えたところで解決できることもないので、結局惰性に陥り欲望を貪る毎日が垣間見える。

現時点で、作品を全く世に顕現できないことに苛立ちを感じる。俺は一体何者なのだろうか。何もしていないわけではないが、集中力がなかなか続かず、どうにもこうにも晒すだけの作品パワーが足りない。今は音楽制作に注力しているが、いかんせん自分の歌声に自信がなく、どう歌えばいいものかと終わらない試行錯誤が続いている。もっと歌がうまかったらこんなに苦労することもないのにとも思う。歌が上手いという事実だけで、出来上がるメロディーや歌唱表現の幅が段違いに広がるのではないか。何か一つ長けるということは、それだけで別の弱点を克服できる自らの免罪符として機能し、お守りとして胸にそっとしまうことができる代物なのだろう。

何でもできた方がいいとはよく言われるが、やはり何かしら尖っていた方が刺さりやすく影響を与えやすいというものだ。しかしながら狂ったように刀を叩く人も、一体何のために鍛え上げているのかを見失ってしまえば、村正のように人を切るだけの妖刀を作りかねない。 色々なことに挑戦してみては、当たり外れを体で感じる。正解もクソもない選択だからこそ、自ら選ぶ道程は揺るぎないものでありたい。緩急の激しさを受けながら、もう後ろに戻ることもないなと薄ら笑いを浮かべながら生きていこうと思う。

[propell]

戯言

白い画用紙を見たり、DAWの空白なトラック画面を眺めるたびに、何が作りたいんだ？という自問ばかりする。 事前に解答やひらめきがあるときは、そんな事気にしないけど。 どんな成果物にしろ、着手しているのにも関わらず形になりにくいというのは、作家の根本的な宿命なのか、それとも自分だけが抱えている虚像なのだろうか？

薄ぼんやりと、こういうものがいいな、ああいうものがいいな、という映像や音像はあるのだけれど、果たして形にすることを恐れている節がある。自分の自意識の問題だと思うが、「今更これをやっても、所詮は二番煎じである」という、オリジナルではない、ゼロイチではない、といった思考に縛られて身動きがとれないことが、私の一番のネックである。 途中まで作って、どっかで壁にぶつかって「あーこれどっかで聴いたことある」という事態に陥ってしまえば、ジレンマの末、丸めてゴミ箱に捨てる。 そんなこんなで、今まで大量に時間と労力を使ってしまったと途方に暮れる。そんな事を気にしても仕方がないのに。 「似ている」＝「パクリである」という図式がどこかにあって、それを嫌悪してしまう。パクリだなんだ、という言葉なんてこの世から消えてくれれば、どれだけ幸せに暮らせるだろうかと毎日祈願している。残念ながら、いいものはパクられるのだ！ でもよく考えれば、私という存在は唯一無二であって他の誰でもなく、さらに「似ている」＝「影響を受けている」ということも言えるわけで、どの作家にも共通する道程なのだから今更気に病む必要なんてない。 私は影響を受ける人物に対して「この人は理想的である」と肥大化させてしまう癖を持っているので、ルーツや指標みたいなものに振り回されすぎないようにしないとなと自戒する。すべてはバランスですね。やじろべぇみたいに生きていきたいな。自分の内側に入ったり、外側に出たり、その繰り返しだと思う。

結局、何を作ってもいい。自分が納得すればいいだけの話だし、自意識のハードルを下げていきたい。 そして継続的に作っていくというのは、作り手側の勝手だけど、相当大変で面倒な、思考と作業の繰り返しである。 特に、時代の求めているものも加味していれば、それは素晴らしいことで。どうせなら役に立つものを創りたい。 もっと作品作ります。もの作ってからこういう日記を書くべきだね。どこへ行けるだろうか。

[propell]

五輪

ようやくオリンピックが開催された。

いつもであれば、日本国が主催となる祭典はただならぬ熱気が渦巻いてみんなが観戦しよう！という気概になっているものだが、その熱気も鎮火されたような雰囲気になっている。もしかしたら、何処かしこで熱狂的に応援している人もいるのだろうが、そのような報道や会話を耳にしない。それ程までに、コロナウイルスにおける心理的な被害は尋常ではないのだろう。

わたしはそんなにスポーツ観戦をしない。高校まではスポーツをやっていた身なのにも関わらず、スポーツは観戦するものではなくプレイするものだと思っていたからだ。だから、オリンピックやW杯のような世界的なムーブメントも結果しか知らないような人間だ。今ではそれすら希薄である。こんなことを言うと、選手や運営陣の気持ちも知らず薄情な性格をしていると思われてしまうだろうが、別に敬意や尊敬がないわけではない。観点として、自分が主役でないということが熱狂的になれないという理由なだけだ。ブルーピリオドの中で八虎が物語の冒頭に、「この感動は誰のものだ？」ということを言っていたが、そこに全て代弁されるような気がする。誰かに感動を与えてもらうよりも、自分自身で感動を生み出していく方に自分の人生の重きがある。その感動は、比較すればあまりに小さいものかも知れないが、何かが上手くいった、上手くいかなかったということの方が、主体的で自分の人生を生きていると感じられる、のかも知れない。

今は少しだけテレビをつけて、サッカー男子の予選リーグを見ている。観客のいない、エールの響かない試合も少し見慣れてしまった。早く元の活気あふれた状態になることを祈る。スポーツバーに行って、友人と他愛のない話をしながら美味しい酒が飲めるようになりたいな。

作業の渦に戻る。

[propell]

ゴーストバスターズ

自分にできることはなんだろうかと常日頃考えている。己の能力の一部だけを切り取ってみれば、他の誰かに勝てる要素ではない。しかし、全体的に考えてみれば様々な要素を持っているはずなので、その化学反応をうまく利用すれば何か面白いことができるんじゃないかと考えている。

ここ１年間ずっと3Dの勉強をしてきたのだが、なかなかアートに使う力が残っていない。１年間マラソンを続けてきたせいか体調を大いに崩し、5月中はフラフラになっていた。色んなことを考えたり実行しようとした所為かも知れない。ましてや緊急事態宣言のおかげで飲食もまともにできないので、個人的に逃げ場もなくうんざりしている。あまりマイナスなことを書いても仕方がないのでやめておく。

最近、夜に散歩をするのだが、道端には色んな落とし物が散らばっている。特に驚いたのは、何やら髪の毛の束のような被り物が道のど真ん中でくたばっていたことだ。その日の強風のせいだったのだろうか、どこからか飛ばされてきたに違いない。持ち主は一体どんな気持ちでその飾りものを見届けたんだろうか。可哀想なので写真にも収めることはしなかった。落とし物には色んなストーリーがあって、そこに置き去りにされているんだろうなと少し色がついたような気がした。

[propell]