Tumgik
qimez0net · 1 year
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文章を書く、ということが自分にとってセラピーになっているとはわかりながらも、日常的に筆を取ることはなかった。今の時代筆を取る、なんて大仰な言い方はしない。ダサいけれど、率直に白状すると、パソコンの前に座ってキーボードを叩くことさえも億劫になり、結局適当な120文字を思いつきで連投することに甘んじていたことをまず恥じたい。
やっぱり、文章というのは時間を超えても、むしろ、時間を重ねたからこそ刺さってくるものだと思う。なんというか、昔の自分に背後から包丁を刺されたみたいな感覚。
だからこそ、文章を残す意味があると改めて思った、特に商業的な仕事をしていると「流れ」をとにかく感じる。全ては流れていくものなのだ、とそれが刹那的でもあり必然で良しとされる風潮に辟易してしまうんだと思う。あたしが天邪鬼だということを除いても。
自己批判をこれくらいにして、最近の出来事をできるだけ客観的に記録したいと思う。今年前半はひっきりなしに仕事をした。監督からディレクション、グラフィック、ステージデザインまで、毎年こんな感じだけど、半年でかなりグラデーションがついた。ありがたいことに6月に多摩日で2コマ講義することになったので、ここ数年の出来事を俯瞰してまとめて見るいい機会だと思う。まとめるのは苦手ではないはずだけど、億劫でずっとやっていなかったので締め切りがあるのはいいことだ。あとは、美術の展覧会に行けることが多くなった。これはかなり大きい。
とにかく、自分の作品を作らなくては、と心の中で焦りとも違う、何か別の感情がずっと渦巻いている。仕事ばかりになると、如何しても自分の奥底にあるテーマを掴みづらくなる。並行してできれば最高なんだけど、まだまだそれは難しいみたいで、大人になったという言葉を言い換えると仕事ができるようになった、なんじゃないかと思ってしまう。
学生の頃、とにかく自分に何もなくて怖かった、そんな気分とはまた違う焦燥感を今感じている。あの時感じていた絶望感、みたいなものって今と全く違うけれど、今でも、急に世界が終わってしまってもやっぱりいいと思える。なぜかと改めて言語化しようと試みているけれど、難しい。わかっているけど文字に起こしたくないような気持ちである。
今日は、相変わらず続いているMVやリリースの打ち合わせが2時から、毎回本当に大変なんだけど、アメリカ人とフランス人のトラックメイカー二人は、私にはもったいないくらいの才能がある二人だと思う。音楽を続けていきたい、なんて大仰な宣言がないまま、やっぱりやめられなくていたらなんだか楽しくて、時々大変、みたいなことになっていた。人生において、不思議な方向に舵が切られている瞬間を音楽で体感できるのはありがたいことだと、そういう気持ちが根底にあるからやめられないんだと思う。
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qimez0net · 2 years
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「物事は、少し不自由なくらいが良いんですよ。」と先生は言った。
彼女は焚き火のなかで、揺らめく光で、見えにくい文字たちを探しながら文章を読むのが好きだった。
時間にもお金にも、さして苦労していない彼女が「最適な空間で」 本を読むことは簡単なように見えたが、だからこそあえて読みにくい状況が好きなんだろう。と思っていた。
「文字をね、探しながら読むんです。真っ暗闇のなかでときどき火に照らされるくらいだから、すごく読みヅライんですけどね。速読もできないし。」
そう言いながら、次々とページをめくっていく先生が続けて言った。
「あとね、お酒を飲みながら読むのも良いですよ。」
先生はとても真面目な人だったが、こういうところはなんというか…アナーキーな精神の持ち主だった。
普段は創作物へのリスペクトを持て、とか自分の言葉で語れないのは小説家として失格だ、なんて偉そうに編集部や弟子へ言っているのに…。そんなふうになことを思いながら、先生はまた次々とページを捲っていく。
かたや私は、そんな先生を見つめるだけの存在、もとい、焚き火の火が消えないように見張っておくように駆り出された要員としてじっと座っていた。
軽井沢の6月は比較的涼しい。日本有数の避暑地であるこの場所には先生をはじめ、多くの芸術家たちがバケーションのために訪れていた。
ときどき、テレビで見たことあると人ともすれ違ったが、先生はそんなこと全く知らないようで、「今の人、髪の色がスゴかったね。しましま模様みたい。」などと言って、「先生、あれが今流行っているんですよ。」とわたしが返答する、みたいなのはしょっちゅうだった。その度に、あまりにも俗と離れているのになぜこの人の描く文章は人を惹きつけるのだろう。と疑問に思うのだった。
先生と私は、大学の研究室で出会った。出会った、というよりは、必然的に中間講評でたまたま私の担当になったのが彼女だったのだ。
否応なく、教授たちの主観的な感想が述べられていく中、自分の番が回ってきたところで担当教員である先生が開口一番、「君、良いね。文章が読みづらくて。」と言った。褒められているのか、貶されているのか分からなかったが、どうやら好意的に受け止められている、ということだけはわかった。
そして講評から数日経った後、「キミ、就職するの?」と聞かれて、絶賛モラトリアムコンテニューボタンを連打するつもりだった私は即答し「いえ、ヨーロッパへ行こうと思っているんです。」と言った。
先生は「へえ。」とだけ言い、少しの間を置いて、「じゃあ、卒業してから海外へ行くまでの間、うちの研究室にいれば?」と言った。
私は、なんで自分を気に入ってくれたのか、そもそも気に入られているのか?などと、2秒くらい感情を反芻した結果、「じゃあそうします。」���答えた。先生はニコリと笑い、じゃあ3月からは好きな時に研究室使っていいよ。何か頼みたいことがあればメールするから。と言った。
頼みたい事、というのだけが若干気になったが、芥川賞や直木賞を最年少受賞し、一時期はメディアにも最年少美人小説家誕生!などと騒がれた先生にとって、自分がなにかお手伝いできることなどあるのだろうか?と思っていた。もしあったとしても、小説家の卵にもなりきれていない自分にとっては何か彼女のもとで吸収出来ることがあれば、身の助けにもなるだろ。と浅はかかつ、楽観的な希望を持って彼女の研究室「深水研修室」の一員となったのだった。
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qimez0net · 3 years
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エゴ
わかりあえないと気付くことが
わかりあうことの第一歩であるように
答えがないということも
一つの答えなのだった
君が嫌いな人も
きっと誕生日ケーキの蝋燭を消したよ
君だけにはわかってほしいんだ
君だけにはわかってほしい…
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qimez0net · 3 years
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皆 正しさを探して彷徨っている
日々揺らいでいく空気のなかで
自分の正解を探すことさえむつかしい
どの空気を読むのが将来困りませんか
今日の正解が明日の間違いになっている
そんなこと誰も教えてくれなかったのに
気付かないほうが悪いと
後ろ指を刺されてからじゃもう遅い
誰もが
あのとき目を瞑ったやましさも
なりたい大人になれなかったことも
それでも幸せですと
肯定しなきゃ生きていけないんだろう
「正しい正しい正しい正解」
誰かこれが丸を貰える答えだと
10年後も50年後も
わるくち言われないように
教えてくれたらいいのに
でも
正しい正解を探している様が
どうも美しくみえる
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qimez0net · 3 years
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怖いから隠す
でも大体のことは
表裏一体です
じゃあ反対に生きてみても同じなのかも
でもやっぱり人間って可愛くていじらしい
なぜ愛し合いされるか知ってる?
不完全だからだよ
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qimez0net · 3 years
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日が落ちる
現実と夢の区別なんてどうでもいいよるが
何個もある人生を どれだけの人がおくれるという
思い出してみて
今では輝かない思い出
夢の中で空を飛べないのと同じくらいに踠いたこと
グレーやセピア色にはならないね だってZ世代だもん
でも鮮やかさだけはしっかり失っている
変わらないことを美しいという
愛が変わらないのがそんなに美しい?
じゃあ生まれた場所で咲きなさい
田舎でブルーカラーを纏って生きなさい
きっと輝かなかった思い出たちが
私を生かしてくれたんだね
夢との区別をつかない夜を増やそうと
細胞ががんばってくれた 何もない場所で
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qimez0net · 3 years
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ねぇ やっぱり朝の4時がすき
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qimez0net · 3 years
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流れに身を任せるって何もしないことでは無いよ
元々流れてない川に一人佇んでいるだけだったら
どうするの
でも人間ってふしぎ
どんな人を見たって
ある時は安心
ある時は恐怖
だからなんでもいいんだってね
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qimez0net · 3 years
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深夜12時を回るころ、
どうにもいたたまれなく 目だけは冴えて
何をしようにも 取り止めのない文章を書くしか能が無い ほんとうに脳がないような夜がある
詩はそういう時にだけかける気がする
つたえるうたと散文は大きく違うから 癒される
いつか誰かにURL を教えておかなきゃ 明日死んだら見つからないね
死んだ鳥 雨
6月はよく湿る
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qimez0net · 3 years
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くだらないと思えることは
自分を崇高な人間にしてくれる
むかし読んだ本 題名だけ覚えている人生
営み そんなことが馬鹿馬鹿しいと思えるのは
君が満たされているからだね
不自由ない生活
大人になったら 恋人ができたら 結婚したら
思い出したいの
何も知らなかったこと
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qimez0net · 5 years
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曖昧にしていくことが
自分の足元を揺るがすことだとは思っていなかった
なにもかも決めないままで繋いでいたら
いつか切れちゃいそうなことが逆にわたしを安心させた
だってなにも約束していない。わたしたちは
指切りげんまんすることが また 大人への入り口なのだろうか
それがどんなに脆くて儚いことか知っているはずの大人たちは また 子供みたいに約束を欲しがる 
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qimez0net · 5 years
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好きな人ができたくらいで人生が狂いはしない
君は自分で思っているよりもずっと自分の足でそこに立っている
どんな法を犯しても 自分のルールを従えて
満ち足りる生活を送っていくのでしょう
横目に流し見てゆく アペンド 聡明なそのめに
足りないものがあったんだろうか 満たされないものは
君に出会っても 世界は変わりはしなかった
地球を2km歩いただけで景色はこんなに変わるのに
身体を使おう むかつくくらいに自分の 苛立ちさえも隠せない身体を使って
一番合理的な方法だよ
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qimez0net · 5 years
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終わりのない物語を描いている 海底
聞こえはいいけど
結局どこへ向かうかも知らないまま 筆を進めているだけなのでしょう
わかってしまえば面白くない、なんて よく言ったものだ
責任がないままに 掃いて捨てた
透明になりやしない 一度言ってしまえば戻らない 韻も踏めない
透明に溶けてしまえしまえと 願うばかりで
本当は泥泥の中身も愛おしくて仕方ない癖に
張り付いた言葉が君を作っていくでしょう
それが本当じゃなくても構わない ハリボテさえも君になっていくでしょう
偽物を身につけた 安易なパースペクティヴを描いて 自分になった
一目見ればわかってしまうのに
今は見繕うのに必死なの
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qimez0net · 5 years
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フンワリさせなければもっとメレンゲにして
実体をなくす
大事なことは割ったからの中でかろうじて生きている
いつ中身が溶け出してもおかしくないような
ふんわりしなければいけない 条例
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qimez0net · 5 years
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作られた物語がかけない
擦りむいた傷を見ながら 本当に何が痛いのか わからない
愛を歌って
そんなものが共感されているとしたら
やっぱり人間なんだなあって失望して安心する
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qimez0net · 5 years
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キーボードを叩く指に
愛があるとかないとか
ばかばかしいね
そんなことを何度も繰り返して
スクリーンにあたたかさとか冷たさとかを貼り付けている
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qimez0net · 5 years
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たやすく隣人を愛せるなら
永遠も願ったりしないのだろう
染み付いてしまったオイルが取れないことを知っている
まるっと変えなくちゃ意味がない
それを味だと言ってしまえるのは傲慢な人間にゆるされた特権だね
白昼の影は自分に不相応に伸びる
添えられている言葉が自分を形作っているわけが無い
意識を持った瞬間 全てが演出なのに
こんなのが得意でそれを誇りに思うなんてどうかしてるよ
もっともっと身体の奥にあるものが好きだと思いながら
結局それさえも嫌っている
ふるまいだけ正しいことを
誰にもわからないと、共感を作りながら
ゆるされたい
赦されたい
ああかみさま
早くよるになったらいいのに
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