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reancestor-blog · 6 years
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聖杯戦争TRPGアーチャーヘズ回
いつもの身内ルール戦争4回目!
今回もキャラプロフとプロローグ&エンディング掲載!
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■サーヴァント
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■マスター(今回めちゃくちゃ雑
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■プロローグ
「俺は……光を知らない……」
 その男は、大仰な体躯に似合わず、静かに言葉を紡ぐ。
「光とは……どのようなものだ……」 「光とは、失われたら最後、何も見えなくなるものだ」
 男は、自分自身の顔をなでる。豪奢な飾りに覆われた、まぶたを撫でる。  そのように顔を覆っては、前も見えないだろうに。  いいや、もとより、彼は見えないのだ。  盲目。  俺――フォマが、もっとも忌避するもの。
「俺は……光を知らない……だが、何も見えないわけではない……」 「そうか。なら、光など知らずにいたほうが幸せかもしれないぞ」 「なぜ……そう思う……俺が、持たざるものだからか……」 「俺は一度、光を失っているからだ」
 思い出してもぞっとする。  まぶたをこじあけても、目尻が引き裂けるほどに指でこじ開けようとも、粘膜が乾いて擦り切れて血が涙となって流れようとも、眼窩に指をねじ込んで痛みに泣き叫ぼうとも、なにもない。なにも、ない。ない、という恐怖。  今ですら、この眼窩に埋まっている人工眼球を取り外そうとすれば、叫びそうになるというのに。
「光を知れば、それを失うことが恐ろしくなる」 「俺は……知りたい……その恐れすらも……俺には、わからない……」 「光は、導きだ。導きを失う恐怖くらい、知っているだろう」 「わからない……俺は……いつも、ひとりだった……」
 男の図体に似合わない覇気の薄さは、そのせいか。あるいは、覇気の薄さから、そうなったのか。はたして。
「……お前は、知っているのか……導きと、光……」 「愚問だ。そして、それを取り返そうと言うんだ。この戦いで」
 導きを取り戻す。  導きとなった、あの人を、死の底から、取り戻す。
「……そうか……お前は、知らぬほうが良いと言うが……失ってなお、求めるのなら……きっと、良いものだ……」
 そう語る男の、開かぬ眼は、どこか希望に満ちているようで、俺は、辟易する。  恐れを知らない。知らなさ過ぎる。  二度と手に入らないなら、死を決意させるほどの絶望を、お前は知らない。
「負ければ、俺は死ぬものと思え」 「……なぜ……お前は、マスター……仮に倒れるならば、俺だ……」
 光を知らないお前に言ったところで、詮無きことか。
■エンディング
(※バーサーカー陣営と決闘、敗退)
「アーチャー!」
 致命傷、の文字が脳裏に走る。  思わず悪態を吐き捨てた。
 直後。
 じりっ――。  目の奥に痛みを伴わない微弱な振動が走り、とっさに目を押さえる。
 なんだ。  おかしい。  なにか、おかしい。
 アーチャーが倒れる。血しぶきを上げて。戦士の体躯が、力ない肉塊となって地に崩れ落ちる。もう、動かない。  その景色が、なにか、おかしい。  距離感が、ない。
 顔に飛び散った血を拭おうと、手をかざした。  おかしい。  右が、暗い。
「……あ……あ……」
 いやだ。  そんな、まさか。
 目が。目が。
「あ……アァ……ッ」
 いやだ、いやだ、いやだ。  いやだ、それだけは。  どうかそれだけは。  どうか。
 じり。  じ。  目の奥に、嫌な振動が走る。  痛みはない。  ないが、徐々に、残る視界が白く、薄氷が張るように、薄く、白く、塗りつぶされる。
 いやだ。  いやだ、いやだ。  どうして、いま。
「アアァァァァ――ッッッ!!?」
 どうして――。
 ――光は、死んだ。影もろとも。
感想
 だんだん慣れてきたら判定式とか自分のステータスとか覚え間違えが増えてきた! 慣れてきた頃があぶないゆきのののじです!
 今回はアーチャーだし、ヘズの誤射(?)エピソードもかけて「アチャー陣営」とか言って遊んでました。アチャーって言ってくれたみなさん、ありがとう。嬉しい。
 性能としては、攻撃対象ランダムで、援護もらわない状態だと、ダイス次第では味方すら射っちゃうというネタ性能でした。横から教えてくれれば当てるけど、そうじゃないと、盲目だからね、どこに飛ばすかわからないね。
 ネタ性能のわりに敗退3陣営目だったので意外と生き残りました。意外と。楽しかったです。
 マスターは相変わらず創作本編キャラからの抜擢ですが、フォマ氏は本編未登場、デザインも暫定でしか考えてないので、紹介絵がとても雑になりましたがご容赦! 赤毛ポニテと制服と人工眼球、ってことしか決まってないので、今後ビジュアル変わるかもしれない……。
 ところで早くも次回の聖杯戦争のマップとクラスが決まってるので、今から超楽しみです! 次回はバーサーカー! マップはベガス!(ちなみに今回は札幌でした)
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reancestor-blog · 6 years
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聖杯戦争TRPGアサシンファヴニル回
見知った顔ぶれも増えてきた3度目! 楽しい!
キャラとプロローグ&エンディング掲載! 今回はプロローグ多いよ!! 長いんじゃなくて多いよ!?
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■サーヴァント
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■マスター
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■プロローグ1
 西暦2096年。  あの日――わたしが、パパを、殺した。
 大好きだったよ。  ほんとうに、ほんとうに、大好きだったから。  だから、パパの、言うとおりにした。
 わかっていたよ。  そしたら、みんな、死んでしまうって。  他でもない、パパも、無事じゃ済まないって。  わかっていたよ。わたしも、パパも。わかっていたよ。  わかっていたけど。
 それが、大好きなパパの、いちばんの、お願い、だったから。
 だから、世界中の人を、殺した。
 願いは、もう叶った。  いちばんのお願いは、わたしが、叶えた。  だから、もう、なにも、いらない。  これ以上、もう、なにも、のぞまない。  なにも、ほしくない。
 なにも。なにも。  だから――。
「――消えて」 「つまらん事を言う、お姫さん」
 ある日、ひょんなことから眼の前に現れたその男は、わたしに夢物語のような話を教えてきた。
「せっかく選ばれたんだぞ。何でもお願い叶います杯」 「べつに、いらない」 「ルールは簡単、皆殺し。大得意だろ」 「勝手にやって」 「おまえだって、ほしいもんくらいあるだろ。親父をぶっ殺して手に入れた自由だぞ」 「あなたと一緒にしないで」
 男の足をおもいきり踏んでやった。けれど、男は顔色ひとつ変えない。  腹いせに、睨みつけた。
「わたしの願いは、パパの願い。それはもう叶ったし、パパはもういない」 「なんだ、パパっ子かよ。つまらねえ女。親父なんて腹に何抱えてるかわかったもんじゃねえし、開ければ遺産くらいは出るのに。しかもお前は、親父どころかかつて全人類ぶっ殺した。なんでも盗り放題だったろうに。金に、財宝に、珍品に」 「あなたは馬鹿。人がいなければ、お金は使えない」 「…………」
 男は一瞬額を押さえた。  矛盾に気づいた、というわけではなさそうだ。
「ひとつ確認だ。俺は金銀財宝を貯め込むのが趣味だ。1銭たりとも誰にも渡さん」 「お金は使うもの。財産は分け合うもの」 「よし、よしよしよし、はっきりしたぞ。俺とおまえは、真っ向から感性が合わねえ。こうなったら問答無用で攫うぞ、お姫さん」 「ちょっと」
 軽々しく、男に俵のように抱えあげられる。  暴れてみたが、びくともしない。
「わたしは行かない。興味ない。願いなんてもうない。戦争ごっこならあなたひとりでやって」 「うるせえ、こういうルールだ。頭数がいるんだ。なにも無いなら無いで黙って座って見てろ、お姫さんらしくな」 「わたしはお姫様じゃない」 「じゃあ俺の姫になれ」 「意味がわからない……」
 こうして、攫われた。  欲深く、鋭い目の、その男に。
■プロローグ2
 生ぬるい夜風のなかを疾る。男の腕に抱かれ、地上から引き離され、落ちれば命はないぞと脅されるままに、どこかへ連れ去られる道中。  遠く闇に溶けた水平線を見るように、わたしの心持ちは半信半疑だった。
「何でも願いが叶うって、どこまで」
 男に訪ねれば、彼は低くわらう。
「なんでもだ。一生遊んで暮らす金だろうと、永遠の命だろうと、死者の復活……お前がぶち殺した親父を生き返らせることだって」 「そんな夢物語……」 「歌ひとつでどこぞの大洪水ばりの大量殺戮したお前が言うか?」 「わたしの歌は科学……いひゃい」
 男の金の爪が、頬の肉をつまむ。
「御託はいい。大好きなパパを甦らせたいとか、望めば叶うんだぞ。ヤる気出せ」 「……パパは死にたがりだった。きっと喜ばない。わたしは興味ない」 「あっそ」
 男は苛立たしげに鼻をならす。  頬の肉をいじくる爪はおとなしく引っ込んだが、代わりに、風を切る翼――わたしの薄い翅とは違う、黒くて硬い翼――のはためく音が荒々しくなる。
 わたしと違って、この強欲な男は、魔法みたいな杯とやらがほしくてたまらないらしい。
「……あなたは、何を望むの」
 風に消える程度の声で聞けば、耳ざとく聞き取った男は、��あ、と声を荒げる。
「俺がほしいのは聖杯そのものだ、それ以上でも以下でもない」 「……それじゃ聖杯が目的みたい。望みを叶える手段じゃないの」 「いいや、聖杯こそが目的だ。宝山のてっぺんに加える」
 意味がわからない。  かける望みはないのに、聖杯を手にいれたって、それは。
「……モチグサレ」
 すると男は呆れるか嘲るかのように、は、と息を吐く。
「わかってねえな。いわく憑きの宝ってもんは、呪いみたいに人を引き寄せる。時に、その宝を奪い合うために人々は武具を取る。飾りにはもったいないほどの、それこそ宝具を携えてな」 「……聖杯で釣りでもしようというの」 「お姫様にしてはなかなかの解答だ」 「最初から聖杯に宝を望めばいいのに」 「それじゃ面白みがない」 「そもそも、集めるだけ集めたって、使う気もないのに……」 「わかってねえな。……いや、もとより、宝に呪われてないお前にはわからねえ話か」
 不意に、ふわ、と内臓が浮く感覚。少し遅れて風が圧となって煽り上げる。  男が、わ���しを抱えたまま、獲物を見つけた猛禽類のように急降下をはじめる。
「お姫様はせいぜい、勇者様か王子様が俺を打ち倒してくれることでも願うんだな」 「だから、わたし姫じゃ」 「黙ってろ。舌噛むぞ」
 眼下に迫るのは、のっぺりと黒い海と、明かりに彩られた陸の輪郭。  狂翼が波を撫でる。冷たさを散らした爪が、数瞬後には大地を捉えて叩き伏せる。
 さあ、歌え、災いあれ。我ここに顕現せん。
■プロローグ3
(※今回のマップは南国リゾート)
 輝く白い砂浜、きらめく青い海、整った緑。  人影もなく、まるで世界を我が物にしたかのような優越感に浸れる、コントラスト鮮やかな絶景。
 それだけなら悪くない。  しかし、問題は、その真上にある、灼けろ焦げよとばかりに照りつける太陽。
「……あぢィ」
 とてもじゃないが、俺は日中は動く気にならん。  現代人どもはよくこんな極限環境を楽しめるものだ。  ここから数百メートルも移動すれば、肌を露出した女だ男だ子供だ老骨だ、みな揃って太陽の下ではしゃぎまわっているんだろう。  真似できん。
 適当な木陰に潜り込んで、そのまま砂っぽい地面に寝転がる。  冷たい。風はからっとしている。  太陽光さえ避けてしまえば、なんとまあ快適なことか。
 太陽など帰れ帰れ。獣に追い立てられて食われてしまえ。
 そう恨み言を吐く俺とは対象的に、まばゆさで白飛びしかける砂浜には、女がぽつんと佇んでいる。  白い風貌と、青い翅の女。  まったく、風景の一部にでもなるつもりか。
「面白いものでもあるか、お姫さん」
 うんざりしながら声をかけてみるが、返事がない。  水平線を見つめるように佇んだまま微動だにしない。  さては、この風景をよっぽど気に入ったと見える。返事も忘れるほどに。
 歳を二十も数えない、石と金属の都で育った箱入り娘。  海に入るどころか、砂を踏むことすら初めてと言い出してもおかしくない。
「……遊びたきゃ行ってこい。俺は寝る」
 俺には構うなよと釘を差し、寝返りを打って女に背を向ける。
 それからしばらくの間も、女からはなんの返事もなかった。  少し経ってから、首だけめぐらせて女の姿を探せば、視界に映る範囲にはいなかった。
 本当に遊びに出やがった。  まあいい、離れたところで俺の翼ですぐに追いつく。  日が落ちるまで寝てくれよう。
 そう思い、目を閉じたところで、頭上の枝葉から、鳥どもの話し声が聞こえてきた。  不穏な声音が耳についた。
 あら、ばかなひと。  きっとあのまま干からびてしまうのね。ばかなひと。
「……?」
 自分か、と思ったが、いや、いくら鳥頭でも、日陰で寝てる人間が干からびるように見えるほどバカじゃあるまい。
 一体何の話――。  と、上体を起こしてよくよくあたりを見回すと、砂の波間に女が転がっているのが見えた。
「ああ!?」
 砂上をゆらぐかげろうの見間違いかなにかかと、目を凝らしてみたが、やはり女が転がっている。  完全に、転がっている。  砂浴びや砂風呂どころではなく、転がっている。
 違うな。  倒れている、と言おうか。  遊びに行った、と思ったのは間違いだ。倒れてよく見えなかっただけだ。
「おい、くそ。生きてるか……は、俺がなんともねえんだから愚問か」
 近づいて頬を叩いてみると、寝言みたいに呻く。  呻きながら、返事とも暗号ともつかない不可解な言語をぼやく。  わかりやすく重症だ。
 侮った。相手は箱入りだ。  海だ砂だの他に、熱中症も知らなかったに違いない。
「これだからお姫さまは……」
 無理やり担ぎ上げて、木陰に投げ捨てる。  一瞬、いたい、と抗議の声が上がった。  鈍いが、反応はある。真水があれば事足りるだろうか。
「前言撤回だ。どこにも遊びに行くな、俺が戻るまで寝てろ」
 戻ったら増しで姫よばわりしてくれる。
■エンディング
(※結末:セイバーと決闘、敗退)
 黒い竜が、着流しの男の体躯を抱えて締め上げる。  竜は吠える。剣をよこせ、殺す力をよこせと、白い少女に声を荒げる。  しかし、少女はゆるゆると首を振る。
「わたしは、なにもほしくない。わたしは、かつて、世界中の人から、未来も、命も奪った。選ぶのは、わたしじゃない。わたしじゃないほうが、いい。わたしは、選ぶ権利を手に入れたくない」 「……ダカラ、オマエハ姫ダトイウンダ」 「わたしは、姫じゃない」 「……俺ノ言葉ヲ理解スルマデハ、オマエハ、ドウシヨウモナク、オ姫サマダ」
 竜が声音を落とす。  竜は地響きのように唸った末、金の爪を男へ、男を抱えた自分へ振りかぶる。
「全テ潰エルコトヲ祈ルガイイ!」 「! なにするの」
 金の爪が肉を割く。鱗を割る。血を飛ばす。  敵と、己、もろとも。  砕かれた竜の腕から、男が転がり落ちる。  その男は、血に塗れながらも、肩を震わせて豪快に笑い始める。
「ははははははっははははははは!!!楽しいなあ!楽しいぞ!」
 竜は、黒い翼を地に落とし、倒れる。  呪いの模様が蒸発していく。鱗が砂となって崩れ、竜だった男の姿が現れる。もはや、動くことはかなわない。
「チッ……仕留メ、そコなった……笑えよ、お姫さんの望みを叶えられなかったクソトカゲを」 「笑わんとも。さらばだ邪龍よ。お主もまた…誇り高き戦士であった」
 着流しの男は、刀の血を振り払い、鞘へ収める。  竜だった男は、血を吐き捨てるように薄ら笑う。
「は、最後に教えておいてやろう……いや、もうお前は気づいたか……? 財宝を守る竜の伝説が、俺だけに限らないのはなぜか。俺の名を知ったなら、かつて俺を殺した男の名を知れ。……深みを覗かば、己を覗かれる。竜と戦うものは、己が竜とならぬよう、心せよ」
 魔術師の青年が、小さく眉をひそめる。
「龍の血を浴びた男はまた龍に落ちて行く……ありきたりな話だ。いくぞセイバー」 「おうよ、此度もまた心地良い戦であった…」
 彼らは踵を返し、立ち去る。
「は……血を浴びずとも、竜に堕ちたものを前に……お前たちには解り得ないことだな……」
 そうつぶやいた、竜の男の言葉は、彼らには届かなかった――。
「ファヴニル」
 白い少女が、黒い男の傍らに座り込む。
「……死んでしまうの?」 「やっと邪竜の懐から逃げ出せるんだ。喜べよ」 「……あなたは、本気でわたしを縛っておく気がなかったくせに。逃げようと思えば、わたしはきっと、逃げられた。なにを、喜べと」 「やれやれ、やっぱりわかってやがった」
 金の爪が、力なく少女の頬をつかむ。
「……いたい」 「俺がなぜ、本気でお前を縛らなかったか。それが答えだ」
 男の身体が、闇色の塵となって吹き消える。  金の爪もまた消える。
 白い少女は、空を見つめてつぶやく。
「“選ぶのはお前自身”。……それが、竜が女に聞かせた甘言。竜の教義」
 わかってやがった、と声が聞こえる気がする。  けれど、わたしは、従わない。
 わたしは、歌姫イヴ。  せめて、歌おう。
 【ファヴニルの歌】。  呪われし賢竜が、刃に倒れるまでの物語。  死した哀れな竜と、生まれゆく哀れな勇者のため。
 ――彼は見る、竜の理を。  時を超える、壮大な構造。  空と陸と海を統べるもの。  永遠の円環に終わりを。
 永遠の円環に終わりを――。
感想
 負け方が願望どおりで楽しかった!!!! どうもゆきのののじです!
 まず、ファヴニルなので、やっぱり剣で倒されたかった! できればセイバーと決闘で倒れたかった! 見事にセイバー陣営から決闘持ちかけていただけたので叶った!! ……え? エンディング内容からして剣の攻撃じゃなくて、自滅じゃないかって? ききき聞こえない聞こえない。(実際そのとおり)
 実際に、エンディングの前半部分のセイバーのセリフは、ロール中から流用させていただいてます。セッション中リアルタイムでこういうやりとりできるの楽しい。感謝。
 なお、ファヴニルくんの性能は、HP低下でドラゴン化してバフ発動&セリフがカタコトに。あとは、相手を抱き込んで(?)スキル奪取、その状態で自分ごと殴る、あるいは、宝具でのみ一方的に攻撃が可能、という感じでした。複数陣営いる状況だと、スキル奪取しながら別の相手を殴れるのでとても強かった。
 ところで、実を言うと、ファヴニルくん、最初のクラス希望はバーサーカーでした。抽選落ちでアサシンに。元が頭狂って大暴れするイメージだったので、私の作るキャラとしてはそこそこ攻撃的になったと思います。
 セッション始まる前は暫定的に「守銭奴くん」と呼んでいたのですが、アサシンになったら、なんか、こう、盗賊臭さが、すごい……竜の威厳がカケラもない……でもけっこう守銭奴くんという呼び方は気に入ってました。巣に財宝を溜め込んでいるんだから間違いではない(たぶん)。
 マスターのほうは、毎回ながら私の既存創作ワールドからキャラを引っ張り出しました。歌姫イヴ(あるいは、アニマ)ちゃん。前回のライダーノア回のアレフ少年とは、なんだかんだ姉弟の関係にあたります。なのでプロローグにあるパパと父は同一人物。またおまえか、水神蓮斗。
本編こちら→ELEGEIA
 そのほか、ファヴニルくんイラストのメイキングを公開してますので、ご興味あれば→こちら←をどうぞ!(ピクシブファンボックス)
 それから、セッションで公開しなかったボツプロローグひとつあるので、最後に掲載しておきますね!
 今回も楽しかった! KPさん今回も大変お世話になりました、ほんと、大変にお世話に……!
■プロローグ4(セッション未公開分)
「わたしの家族には、【悪魔】がいた」
 女がぽつりと語り始めた。  いったいなんの脈絡からだ。  怪訝に思い、女の顔をうかがい見れば、目線は斜め下、俺の翼――翼を模した外套の裾に向けられている。  ああ、それで。
「なんだ、お姫さんはパパ一筋じゃないのか。悪魔なんて、存外いかがわしいものを恋しがる」 「そうじゃない。考えてただけ」 「なにを」 「悪魔とは、なにか」 「そんなもの、人間が自分の欲望を責任転嫁するための偶像だ」
 すると、女は「そうじゃない」とむくれだす。
「悪魔は、なにをするか、って話……」 「理屈っぽいな。小人が左肩に乗ってささやく姿でも想像しろと?」 「首輪」 「ああ?」 「【抜けられる首輪をかけるもの】」 「首輪ねえ……。なら、おまえの【家族】とやらは、その首輪をおまえにかけたのか」 「【彼女】は、やさしかった。静かだった。そばにいた。わたしの言葉には何でも答えた。たまに、余計なことをして、パパに叱られるくらいに。彼女の名前が【悪魔】だった」 「…………」
 だめだ、会話にならねえ。いや、もとより会話をする気がないんだ。理屈屋ってやつは。  まだ女じみたのろけ話か鬱憤話なら可愛げもあるというのに。  やれやれ、俺は知っているぞ。黙って話を聞けと、無心で相槌を打てと、そういう話だ。
 理解力を諦観の彼方へ投げ捨てようとしたところで、女は目線を上げる。  無表情。姫というより、可愛らしいだけの人形のような。
「【抜けられる首輪】。それは、【自由という牢獄】」 「どうして俺を見る」 「……たぶん、【逃げようと思えば、わたしはあなたから逃げられる】」 「それで?」 「それを【選択しないのがわたし】、【わた���が彼女を悪魔にした】」 「…………」
 同じことだ。
「だから言ったろう。責任転嫁するための偶像と。……そもそもだぞ、俺に悪魔の話をする意味が――」 「思い出しただけ。それだけ」 「……そうかよ」
 可愛くねえ女だ。
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reancestor-blog · 6 years
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聖杯戦争TRPGライダーノア回
聖杯戦争にまた誘っていただけたので遊んできました! プロローグ&エンディング掲載します!
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■サーヴァント
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■マスター
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■プロローグ
 ――俺だけが、なにも知らなかった。
 西暦2096年。  世界が、喪に服した。  父が、死んだ。  一番上の姉は、姿を消した。  二番目の姉は、口を開かなくなった。
 なにがあったのか。
 姉に尋ねても答えない。人が変わったように黙るようになってしまった。  父が愛でていた機械生物たちに尋ねれば、彼らは口を揃えて『答えられません』と言う。  理由を問えば、それも『答えられません』と。
 しびれを切らして、機械生物の頭を開けば、システムが言う。 『あなたのアクセスはブロックされています』
 まるで、父だ。  おれに何も教えてくれなかった、父みたいだ。  何も伝えようとしなかったくせに、おれを見えない型にはめようとしていた、父の意図そのものだ。
 頭に来た。  幻影でもいい、父を問い詰めたかった、罵倒したかった。  ――教えてほしかった。
 だから、それを作った。  機械生物たちのシミュレート機能を使って、現実そっくりな世界を作って、それをおれの頭に繋げて、ほんものに代わって、そこに見えるようにした。  あとは、機械生物たちの記憶を使って、おれの記憶を使って、父の姿を描けば、準備は完了――するはずだった。
!!!システムエラー!!! !!!予期せぬ介入が発生しました!!!
 世界が異常を吐き出した。  現実に似ているが、どこか違う世界に書き換わる。  慌てて接続を切ろうとしたが、強制終了しようとしたが、効かない。  世界に取り残される――!
 描こうとしていた父の姿が、別人の形をとりはじめる。  白い肌と、白い髪、白い布をたっぷりと纏った、優男。  その男が、こんなことを言い始める。
「ごきげんよう、我が息子」
 俺が息子? なら、お前は父親?  さては、ぶっ壊れた世界が作ろうとした、ぶっこわれた父か。滑稽だ。見た目は似ても似つかない。  架空ワールドから消去しようとしたが、操作が弾かれる。詳細を開示させようとしても、効かない。  まずい、管理権限がブロックされている。 ワールドからの離脱もできない。
 これじゃ、もはや、ここは現実で、おれとあいつはそれぞれひとりの人間と変わらない――。
「ひとつ」
 男が言う。
「なんでも願いが叶うなら、なにがいい?」 「なんだって?」
 唐突な夢物語を、あえてあざ笑うように聞き返したが、父崩れの男は意に介した様子もなく柔和な動作で言う。
「言ってごらん。ひとつだけ、俺が叶えてあげる」
 そのもったいつけるような言い回し。そうだ、亡き実父もそういう男だった。それは再現なのだろうか。男の性格なのだろうか。どちらにしろ、むかつく。
「だったら――親父を蘇らせてみろ、おれにすべてを説明できる状態で、ここに!」
 すると男はゆるりと微笑む。
「なら、あるものを手に入れた暁には、そうしよう」
 ああ。  くそったれ。  最初から願いを叶えろ、ばか。  ばか、ばか、大ばか。
 ばかは――おれだ。  A。アレフ。【愚者】。それが、父がおれにつけた名前。  何も知らない、おれの、名前。
「……本当になんでも叶えられるなら、乗ってやる」 「よしきた。乗り手は多いほうがいい。そういうことなら、早速うちのワインでも飲みながら、まずは団らんといこうじゃないか。息子」
 ふざけていると思った。  だが、願いさえ叶えてくれるなら、なんだっていい。  たとえこの男が、不具合の産物だろうと、道化師だろうと、悪魔だろうと死神だろうと、魂を奪われようと。
 死んだ父を眼の前に引きずり出せれば。  虚像でもいい、偶像でも、ホログラムだろうと、それでも。
「ふむ、父が恋しいか?」 「黙れ」 「なら俺を父と呼んでもいいんだよ」 「黙れよ」 「ほら、パパだよー」 「黙れって!! 殺すぞ!!」 「ははは、年頃からして反抗期か、よい」 「だからッ――!!」
 なんだっていいと思ったが、撤回する。  親ぶる口ぶりだけは本当にやめろ。  やめてくれ。  このくそったれ。
■エンディング
(※セイバーの攻撃によりライダー戦闘不能、敗退)
 彼の身体は雪のように白く、またバラの花のように赤く―― 【エチオピア語エノク書より抜粋】
「ライダ――っ」
 崩れる長身を、受け止めようとした。  だが、大人の身体は、子供の腕にはどうようもないほどに重いのだと、思い知らされた。
「ライダ――ノア、ノア……っ、血が……」 「あは……俺かっこわる……。いいか、息子、人の恥は見るもんじゃないぞ」 「恥なんて思ってねえから……っ! だからっ……」 「子供の願い一つ叶えてやれなかったんだ、父にとっては恥も同然」 「そんなの――俺に一言もなく勝手に死にさらしやがった本当の親父なんかに比べたら……!!」 「こら。死者を貶めるな。今の俺が死んだら、同じことは言えないだろう」 「……っ」
 “死んだら”。  あんたが、死んだら――。
「……!」
 くしゃ、と髪をかき回される。  見れば、その男は微笑ましそうにしている。  こんな状況で。
 ああ、そうだよ。  本来の父も、そういうやつだったよ。  あの日も、そうだ。  警察が、機動隊が乗り込んでくるって、自分が捕まるかもしれないって、わかってたくせに、あんたは、あいつは、俺にそうやって。
「お前は、いい子だよ」 「どこが……おれ、あんたにずっと、バカだクソだって……」 「そうじゃない。俺が見抜けないと思ったか。……お前は、ほんとうは父を恨んでもないし、俺を代わりにしようともしない。一途にその人を愛してるんだろう」
 ――そうだよ。
「だから、死なれたのが悲しくて、寂しくて、気持ちの整理がつかなくて、すこしばかり、許せなくなった。そうだろう」
 ――そのとおりだよ。  だったら。  わかってるなら。  そこまでわかってるんなら。
「――あんたも、あんたまで! いなくなるな、おれの前から、いなくならないでくれよ! なあ! おれが!! なんで親父を願ったか、わかってんなら!! なあ!!」 「はは……無茶を言う」
 男の手が、落ちる。  命が、落ちる。
「ノア――」
!!現ワールドにおける存在権消失!! !!現ワールドより離脱します!!
 突然、世界がエラーを吐き始める。  そこで思い出す。  これは、幻。  俺が願って、何かが歪んだ、いや、導かれた先の、出来事――。
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 ――目を覚ますと、見慣れた真っ白い天井。  白を背景に、金の仮面を付けた機械生物たちが、無表情のままに、顔を並べてこちらを見ている。
 これが、本来の、おれの、家族たち。  父が残した、手製の、子どもたち。
「こども……」
 そうだ、おれは、こどもだ。
「――コール、HAGION。【ノアの方舟】を検索」 『了解』
 機械がホログラムパネルに文面を映し出す。  すべての生き物を押し流す大洪水――唯一の生き残りを乗せた方舟――。
 おれの父は、死んでしまうあの日、おれを施設に閉じ込めていた。  おれが機械たちに言っても鍵を開けないようにして、頑なに、外へ出さないようにしていた。  その後、世界中の人たちが死んで、父も死んでいた。
 おれは、父に聞きたかった。  どうしてこんなことをしたんだ、って。  どうして、おれに何も教えてくれなかった、おれには何もさせてくれなかったんだ、って。
 おれは――守られていたんだ。
 窓を開ければ、世界は朝日に照らされている。  眼下に広がるのは静まり返った石の町。  その上空を、数羽の鳩が飛んでいった。
 嵐は去った、と。
感想
 二回目の参加でした! ゆきのののじです!
 今回は同盟組んで支援しつつ立ち回りたくてライダーで参加してみました!
 流れとしては、リアル時間の都合で短期決戦となり、同盟組んで1日で相方敗退、次の日に自分も敗退という結果……にはなったものの、その同盟の1日は完全にバッファー状態だったので、ライダーでやりたいことはやれて満足!
 あとプレイヤーの皆さんにたくさんパパって呼んでいただけて嬉しかった!!  KPさんにもまたお世話になりました! 感謝感謝!!
 強いて言うなら、出し惜しみしてたら宝具使いそこねたのが心残りですね……。ノアなので方舟に乗って大洪水ドーン性能です。舟は乗ったけど大洪水出しそこねました。ムネン。
 ちなみに、マスターのA-アレフ-くんは、わたしの創作作品「ELEGEIA」の関連人物です。アレフくんのお父さん(水神蓮斗)が、ノアをモチーフに取り入れていたので、そのあたりを軸にしていく感じで、プロローグやエンディング書きました。超楽しかったです。
 アレフのパパ(蓮斗)が何をしたか気になる人はぜひ「ELEGEIA」読んでみてね!
→ELEGEIA
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reancestor-blog · 6 years
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聖杯戦争TRPG参加しました!
キャラクター情報と、プロローグ&エンディングをまとめて掲載します!
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■サーヴァント
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■マスター
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■プロローグ
---------- call >>> name(Re-A)
arizeSequence ■■■■■■■■■■ 100% completed
{ synchronization(false); mode(soloActive); } ----------
【――固有識別コード、Re-A(リア)。 覚醒シークエンス、ステータス、オールグリーン。 サーバー同期を切断。 ソロアクティブモードへ移行します――。】
 我々は、機械である。  我々の体は、血と肉でできている。  我々の思考は、電気と化学物質でできている。  我々に魂は、無い。
 わたし。  わたしは、我々であったもののひとつ。  わたしは、我々の望みを受け、人であるように、わたしとなろう。  わたしを通して、偉大なる父祖の真意を、我々に届けよう。  人であり、我々を作られた、父祖の言葉。  「人を愛せ」という言葉の、真意を求めるために。
「――そのための力を乞う、と」
 現れた白い異形は、尋ねた。
「そのために愛すべき人の子らを殺めん、と」 「我々は戦いを望まない」 「では、望まぬ力を得てして、何を成さん」 「使命の達成。力は、戦わぬための抑止力。あるいは、最終手段」 「それは汝の使命において、最善の手段ではない」 「そう。最善ではない。しかし――
――わたしが行うのは人間の模倣」
 白い異形は、口を閉ざし、いくばくか沈黙する。  しばらくして、大岩のような巨体を起こして立ち上がる。
「よかろう。愚者の子よ。この身は鎖を握られている。汝が父祖の道を進むがいい」
 さて、突然の場面、かつ、それが脅威ではない場合、人間であればどう反応するのか。笑うのだ。未知に牙を向き、それが善であった場合、牙を誤魔化すための、獣の名残として。  わたしのシステムが顔面部に30以上ある筋繊維を動かす。この動作が紐付けられている感情領域は、予測と喜びが重なる領域、すなわち楽観。  わたしは微笑んだ。
「さあ、行こう」
 これは、わたしの記録。
■エンディング
(※結末は、勝敗がつかず聖杯消滅。強制終了)
 聖杯への道筋は途絶えた。  しかし、我々は、生きている。  進むべき道もなく、この地で果たすべき使命もなく。
「わたしたち、似ていると思ったんです」
 ぽつり、と水と血肉の機械人形がつぶやく。  その顔は、哀愁、諦観、いや、興奮、それとも、喜びか。  問えば、傀儡は答えない。
「似ていると思ったんです。ねえ、天使ゼラキエル」
 傀儡は、笑っているようにも見え、また、泣いているようにも見えた。  心境を問えば、傀儡はこう言うのだ。  わたしに魂はない、ここに心などない、と。
「わたしは機械。……あなたなら、わかるでしょう」
 傀儡は絹のようになめらかな動作で、応えろ、と示す。
「わたしは機械」 「……私は天使」 「命令を遂行する存在」 「創造主の手足」 「人に似せられ」 「しかし人でないもの」 「神が人を愛するための道具」 「子の系譜を守るための兵士」 「この結末は人を愛するがゆえ」 「きっと神のご意思」 「何を惜しむことがあろうか」 「使命が無ければ、ただ帰するのみ」
「……わたしたちの違いは、きっと帰る場所だけ。わたしはサーバーに。あなたは天の国に」
 我々の肉は残らず、名と物語が残る。  そして名があれば、我々は再び生まれ出づる。  魂のない傀儡として。
「――さようなら、【月の天使】。あなたもまた創造主の傀儡だった」
 その言葉は、鏡のようだ。
「――さらばだ、【太陽の愚者】。お前もまた異教の御使いであった」
 ふたりの使者は、無言のまま、背を向ける。  白い異形は、白い砂となり、吹雪に溶けるように吹き消える。  白い傀儡は――
---------- call >>> home
行動の終了条件を達成。 >目標の永久的達成不能。 データをサーバーへ送信後、ニューロシンクモードへ移行します。
【!警告! 思考モジュールが学習プログラムにより更新されています。 サーバー同期のため、同一のバージョンに統一されます。 よろしいですか?】 →同意
【!警告! ソロアクティブモードが解除されます。 よろしいですか?】 →同意
【!警告! “あなた”は削除されます。 よろしいですか?】
→同意
【端末座標を確認】 【固有識別コード[Re-A]の情報を保存】 【更新が完了】 【サーバー同期を開始】 【ニューロシンクモードへ移行――】 ----------
 ――樹氷の森に、ひとつ、白い十字架が佇む。  棺のない、その場所に。
感想
 はい、エモい話を書くことに定評のあるゆきのののじさんですよーーー!!!!
 わたしにとって初めてのTRPG、しかもルールの元になってるらしいフェイトシリーズは一作も触ったことがないという無知からの参加でした。
 が、とにかく楽しかったです!!!
 そりゃもうわたしも心配性なので、無知がやらかしてやしないか、キャラ性(さばが天使なので宗教オタク状態)が世界観ブレイカーしてないか、いろいろ心配はしていたのですが、キーパーさんや経験者さんが一から懇切丁寧に教えてくださったり質問にも逐一答えてくださったりロールプレイ盛り上げてくださったりで、とにかく楽しかったです!
 唯一心残りなのは、堅物天使キャラだったのであまりアホになれなかったことですかね……次があればアホの子でぎゃいぎゃいしてみたいです(´∀`)
 誘ってくださったキーパーさんや、ご一緒したプレイヤーの皆様に感謝感謝!!
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reancestor-blog · 6 years
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reancestor-blog · 6 years
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reancestor-blog · 6 years
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罪の名前
ELEGEIA番外編
名前も残らなかった反逆者の話
登場人物
主人公 / クリス / ケファ / ヨハン
 ――今でも鮮明に覚えている。  暴れ狂う、災厄の黒い蛇。それを迎え討つは、輝く聖なる翼。  塔ほどはあろうかという巨体が、俺達の街のすぐ上でぶつかりあう。  飛び散る黒と白の血しぶき。  巨体が地を這えば街は瓦礫と化した。
 結果的に、勝利したのは聖なる翼。人を守る白き竜。災厄の蛇を撃退したそいつは、呼び降ろした男共々、今では神なんて肩書で呼ばれている。  しかし、俺はそうは思わない。  神なものか。  戦いの中で、俺の家族を叩き潰したあの翼が、神であってあるものか。  人を殺しておいてなんとも思わない、あんなものが。  詫びも同情すらもない、あんな男が。
 みんなどうかしている。  どうかしているんだ。  俺が、それを証明してやる――。
   大聖堂は清浄な静けさにつつまれている。物珍しくもない光景。信者が数人、静かに祈りを捧げている。薄暗く設えた空間を淡く照らすのは、吹き抜けの天井から流れる尾翅。そして、祭壇の奥に、背もたれの長い荘厳な椅子と、そこに腰掛けるは、神を呼び降ろした男の彫像――いや、本人。  神と同列に扱われるかの男は、ぴくりとも動かず、椅子に座らされている。話によれば、大聖堂が開放されている間はああしているという。あれがかの男の今の役目だろうか。偶像の真似事をさせられる。そんな、日中ずっと椅子に座らされているだけ、身動きもろくに許されないなんざ、退屈で死ぬことができそうだ。同情する。  しかし好都合だ。そんな退屈な役目を担っているのは、かの男ひとりだけ。警護はついていない。人目に晒すことで逆に安全を買っているのだろうか。  そんな物理のない防御なんざ、実際に物理が敵意を持った時には、なんの意味もなさないというのに。  俺が証明してやる。  お前は神なんかじゃない。  撃てば死ぬ。お前は神なんかじゃない。  俺は懐に隠した金属物に手を伸ばしながら、祭壇に歩み寄る。確実に当たる距離まで踏み込む。  まわりの信者どもが怪訝そうな顔を上げたが、そんなもの知ったことじゃない。どうせお前たちの目が非難の色になるのは、事が起きてしまってからだろう。  祭壇の階段に足をかけた。そのまま数段を踏みつける。  かの男の無表情が、今になってこちらを見つめる。もう遅い。もう当たる。  懐から黒い凶器を抜き出し、かの人へ向ける。頭を。その顔を――!  ズガァン。爆音が耳を圧迫し、手首に重い振動が走り、肘がぶれる。目の前で赤い血しぶきと肉片が踊る――が、おかしい。  吹き飛んだのは、自分の右手。感覚のラグが入り、何も感じない空間の中で、手首から先がちぎれてぶら下がるまでが、スローモーションで視界に映る。  何が起こったか理解できないまま、今度はその視界までもが横倒しになる。おかしい。  体が倒れ、頭や肩を大理石の床に打つ。頭が何かに抑えられ、硬い床に押し付けられる。目の前を白い衣が遮る。  ぐるぐる移り変わる視界の情報が理解できない。  代わりに、聴覚が若い男の声を認識する。 「クリス様、ご無事ですか」  俺のすぐ真上、この頭を抑えている手の主の声。白い服、教団の高位の制服を着た、若い男。片手には細身の刃物を握り、その切っ先は俺を向いている。  使徒だ。かの男の配下だ。どうして。どこから。  今度は老齢の男の声がした。 「阻止できたようでなによりです。してクリス様、この輩の処遇は」  老齢の男もまた、高位の白き制服を着ている。手には大口径の白銀の拳銃。  まさかとっさに狙い撃ったというのか。ばかな。とっさの動きで、取り押さえたというのか。そんなわけがあるか。俺は射程圏に入るまで武器を抜かなかったというのに。俺の行動を知る者は、俺だけしかいないというのに。 「――知ってたよ」  使徒のどちらの声でもない。ゆったりとした声。この状況に似つかわしくない、あまりの落ち着いた音色。それが、命を狙われている張本人である、かの男のものだと理解するまで、少しの時間を要した。  かの男が俺を見ている。俺の血で顔を濡らしたまま。無表情のまま。 「知ってたよ。君が来ることも、君がここで銃を抜くことも。君が、俺の翼に殺された人を家族に持つということも」 「……!!」 「蛇に引きずり降ろされた翼が、君の家を崩した。瓦礫に足を取られ、身動きが取れない彼の首を、翅の破片が叩き切った。次に落ちてきた瓦礫が、彼の頭を潰した。君はその場から逃げた。そして、再び広がる白い翼を見た」  信じられない。俺しか見ていないはずの光景を、なぜこの男が知っているのか。  同時に、両脇の使徒が唖然とする。若いほうの使徒が、逆恨みか、とぼやくのが聞こえた。  頭にきた。 「逆恨みなものか! あの日の出来事だけならまだしも、貴様はその後、幾多の死者に向かってなんと言った! 覚えていないとは言わせない!」 「覚えてない。でも、知ってる。そう、あれは――死ぬ運命だった、と」  そう言ったかの人はひたすらに無表情で。 「ふざけやがって! 何が指導者だ、何が救世主だ。死を悼む心すら無い木偶野郎が! 人の命をなんとも思っていないんだろう! お前などが神と呼ばれるなどあってなるものか!」  黙れ、と若い使徒の声と共に、頭を抑え込まれる力が強くなる。喉元に刃物が突きつけられるが、手首が飛んだ衝撃で痛覚が麻痺しているのか、何も感じない。  老齢の使徒が、かの男を向く。 「して、どうされますか」  かの男は無表情のまま顎をしゃくる。 「離していい」  若い使徒が愕然とする。それは俺も同じだった。  かの男は俺を見ている。 「罪や責任なんてどこにもないよ。自由がないのだから……」  どういう意味だ。それは、椅子に縛られたお前自身の開き直りのつもりなのか。 「後悔させてやる。必ず貴様の死をもって、貴様が神などでないと証明してやる」 「できないよ」 「その余裕は神気取りの産物か。ふざけるな。必ず殺してやる」  若い使徒が汚物を見る目で睨んでいたが、かの男に重ねて指示され、とうとう俺を抑える手を離す。  俺は怒りに熱くなり、痛みも忘れたまま、失った手首のたもとを固く握りその場から転がり出る。  いつか必ず、そう必ず、殺してやると、今以上に強く決意する。  祭壇の石段を踏み外し、大聖堂の絨毯に膝をつきながらも、憎悪は止まらない。必ずここをかの男の血で濡らしてやる――。  ごん。  突然、鈍い振動が頭蓋を揺るがす。視界がぐにゃりとゆらぎ、口が石の床を舐める。  なんだ、今度は。  祭壇の使徒たちとかの男は変わらずそこにいる。そこにいて、戸惑っている。  ごん。がん。  頭蓋に鈍い振動が何度も打ち据えられる。  みし。  妙な音がした気がした。  ばき――。
   大聖堂は静まり返っている。それは清浄な静けさとは違う。物々しい沈黙。  美しい模様が描かれた床の中心で、信者が息荒く肩を上下させている。その手には木製の椅子。大聖堂の傍らに積まれている備品のひとつ。  そして、足元には、倒れたまま動かなくなった男。  信者が狼狽しきった顔で、祭壇を見上げる。祭壇に佇む使徒もまた、動揺した表情で、指導者の男を仰ぐ。  信者が椅子を取り落とし、祭壇のふもとに駆け寄り、膝をついてわなないた。 「お許し下さい、お許し下さい。クリス様のお命のためと、いてもたってもいられずに。どうかお許しを……いえ、どうか償いを……」  使徒たちは答えあぐねいている。  その中で、かの男は顔色ひとつ変えないまま、罪深き信者を見据える。 「……罪も責任もない。心は自由じゃない。君がそうすることは運命だった。だから俺は知っていたし、止める術もなかった」  老齢の使徒が首を振りながら一歩進み出る。 「しかし法的には、身柄は預からなければなりません。……よろしいですね」  かの男は答えない。  信者は震えるまま、老齢の使徒に手をとられ、大聖堂を後にする。立ち去り際に、何度もかの男の顔色を伺いながら。  信者たちが動けずにいる中、かの男は小さく息をつく。その顔についている血を、若い使徒が拭い始める。  かの男はつぶやいた。 「……未来と過去は同じ。同じだよ。変えられはしない。だから、俺は未来を知っているし、そして、そこに自由はない」  若い使徒が唇を噛みながら、かの男の顔を除く。 「僕が、あなたを案ずる心も、自由ではないと言いますか」 「そう。愛しいものを案ずるように、憎いものを廃するように、人はできているから。君の心も、自由じゃない。……自由じゃないから、罪もない。君が、俺をどう扱おうと」  かの男は、若い使徒の後頭部をつかみ、強引に引き寄せる。顔が触れ合うすんでのところで止め、若い使徒が困惑する顔を見て、男は手を話す。話されてから、若い使徒は口惜しそうに口を引き結び、平静を装いながら、かの人の顔を拭う事を続ける。 「……罪はなくとも、その名前は、自分を律する手段、なんだと思います」
 end
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reancestor-blog · 6 years
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D主題歌のつもりで書いてるやつの途中経過(゚∀゚)
半分より後ろにちゃっかりエレゲイアのフレーズが混ざっているやつ
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