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紺の果て、白い嘘
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名前のない時間に、匂いと光と沈黙を残して。
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room-25s-blog · 2 months ago
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甘さと執着。
何もそんなに目細めて睨まんでもええやん。怒りに滲んだ睫の陰、震える唇、喉の奥の熱。
本間は、甘え方も泣き(鳴き)方も全部、俺に教えて欲しいんやろ。ああ、愛しゅうてしゃあない。
帰れ、鬱陶しい、二度と来んな――
あんたの言葉はいつも棘混じりやけど、その唇から紡がれる言葉の奥にある寂しさまでは誤魔化されへん。ええよ、噛みついても。逃げても。せやけど俺は、何度でもここに戻ってくる。あんたが夜ごと、ソファの端で小さく丸まって、俺の気配を待っとる限りは。…強く虚勢張ってる風に見せてるつもりなんやろけど、本間は甘えたがりやろ。誰にも懐かん猫が、一度爪を引っ込めてしまえば、もう他の手には戻られへんのも、知ってる。あんたを手離す気だけは最初から、これっぽっちもないんよなあ。今夜も、隣で眠りにつく。触れへんよ。今日はな。けどあんた、もう本間は知ってるやろ。
…俺の腕ん中が、一番あったかいって。
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room-25s-blog · 2 months ago
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まだ何も確かじゃない頃の匂い。
最初に君のこと、「好きやな」って思ったとき、ほんまは、別に理由とかあらへんかってん。ただ、靴音が遠ざかってく後ろ姿とか、グラスを持つ手の指とか、誰にも見せんような顔で笑う瞬間とか、そういうなんでもないとこに、静かに沈んでいっただけ。…多分、君は覚えてへんやろなあ。初めて「またね」って言うた夜、こっちは内心ちょっと震えてたんやで。君の「またね」が、次を意味してるんか、それとももう言葉の癖みたいなもんか、全然わからんかったから。阿呆やろ。それでも、部屋に帰って白いブランケットにくるまったら、どこからか無花果みたいな匂いがした。あれはたぶん、君がくれた最初の予感やったんかもしれん。
…そう、静かで、少しだけ期待の匂いが混ざる夜のこと。
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