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博晴の方なんだけど。 気持ちはわかる、という気持ち(笑) どちらかというと私は、付き合ってないのにあの距離感なのが萌えると思うほうですが。
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「飛仙」
傍迷惑な丸薬の話。
天足丸という仙薬なんだそうである。その名の通り飲むと飛べる。が、出来損ないなのでふわふわと浮かぶだけ…。問題はこの薬を女性が飲むと大変なことになってしまうということ。 そんな薬を落とすなと言いたいが、まぁ落とし物は仕方がないし、得体の知れない薬を拾って飲むような好奇心の強い兼家がいなければ、事はここまで紛糾しなかった。しかし兼家が薬を人にわけたのも親切心からである。自分が飲んでよく効いたから。 そう、入っていた丸薬のほとんどは万能薬で、何か効きそう!という兼家の直感は当たっていたわけである。だがその中に天足丸が混ざっていた。ここである。効能がまったく違うのに見分けがつかないほどそっくりな薬を、なぜ一つの袋に入れておくのか。別にしておけ。ついでに「飲むな」とか書いておけ。
でもこの飛仙、憎めない。とにかく悪意は微塵もないし、なんとか事をおさめようと必死である。晴明になんとかしてもらおうという他力本願100%ではあるのだが、この人ふわふわ浮く以外に何にもできないみたいだし、晴明なんでもできるしね。
天足丸を飲んでしまった姫には本当に災難でした。 詳しいことは告げずに治ったとだけ伝えろと晴明がいうのももっともで、あんなものが自分の体に入っていたと知ったら平静でいられないだろう。衣を全て脱がせると言われて最初は難色を示していた父親だが、体中に呪文を書くのを邪魔しないでくれて本当によかった。一箇所でも漏れていたら大変なことでしたよ…。
ところで、晴明は一人のときは簀子で一人で飲んでるんですね。博雅と知り合う前はいつもそんな感じだったのかなと思うと何かこう… 博雅が一人で笛を吹きに行くのと同じでこれも大切な時間だろうけど、やっぱり博雅には足繁く通ってほしいと思ってしまう。
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「呼ぶ声の」
桜の樹の下に、屍体になりきれない屍体が埋められていたという話。
晴明と博雅の眼差しの違いについて。 このシリーズは時系列がふわっとしているから、最新話(カタリ爺)とこの話の間にどれくらい時間がたっているのかわからないが、博雅にまっすぐな目でみられて困っている晴明、最新話でもやっぱりどうしていいかわからないでいる。永遠に博雅の目に弱いんじゃないかと思う。 「むしめづる姫」で、腹の中まで見透かすような目で依頼人をびびらせていた晴明が博雅の視線に弱い、という構図はとても、とても楽しいが、表情も視線もコントロールできる晴明だから、他意も思惑もない博雅の目によけいに弱いのか、とも思う。
それにしても、この二人の会話って、どうもたまに駆け引きめくのよな…。
琵琶が上手だったばかりに妖しに縁を結ばれてしまった伊成氏、ちょっと博雅と似ている気がする。夜に一人で琵琶を弾きに出かけて妖しに返事をしてしまうとか、博雅でもありそうじゃないですか。 でも博雅ではないので晴明は余裕です。 博雅と晴明が調べにきた夜、伊成家の家人は複雑な心境だったのではないだろうか。どんどん窶れてゆく主人が心配で博雅に相談をしたのである。それで晴明を連れてきてくれたのはいいけど、几帳の陰で見ていただけで何もせずに帰ってしまう… もちろん如才なく説明したこととは思う。まちがっても博雅に言ったみたいに、もう一晩くらい放っておいてももっと痩せるだけで命に別条はないです、なんてことは言わなかっただろうけど、それでも家人にしてみれば、え、放置?このまま放置なの?って感じだったのでは。まぁ翌日には解決したからよかったけど。
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「むしめづる姫」
露子姫が式を手に入れる話。 あるいは道満が式を手に入れ損なう話。あの結果を予想してた気もするけど。 博雅の笛が流れるなかで赤蚕蠱が孵り、月明かりのなかで羽を広げてゆく様子は幻想的でした。
露子姫初登場。観察と研究をこよなく愛する自然科学の徒。 生き生きとして魅力的だが、父親の実之は、普通の姫のようにして早く結婚してほしいので気が気でない。だからって道満に相談に行くか?とは思うが、娘のことが(これ以上)噂になっても困るので、宮中と関わりのない相手を選んだんでしょうね。道満にしてみれば鴨葱。退屈しのぎに蠱毒など勧めてみる。
実之、相当思い詰めていたようで、実行してしまうんですね蠱毒を…。どうも娘のことをわかっていない。不気味な珍しい烏毛虫を見たら露子姫の研究者魂に火がついてしまうことを予測していなかった。 困り果てて晴明のところに相談に来るも、蠱毒のことは黙っておきたい。晴明のほうでは、絵を一目見て大体のことを察しているので、全部話せ、と圧力をかける。露子父には悪いが、このやりとりが楽しかった。 何か隠していないかと聞かれて動揺する実之。無言で見やる晴明。動揺しつつも突っぱねる実之。晴明も、従三位の実之を嘘つき呼ばわりするわけにもいかないので、
「失礼いたしました。何かお忘れになっていることはございませんか。そのお忘れになっていることを思い出していただけませんか」
さっさと吐け、とまた実之を見やる。腹の中まで覗き込もうとするような眼だそうである。で、圧倒された実之が思い出したというと、「それはようございました」と微笑む。時々思うけど、怖いひとですよね...
今ひとつ娘のことを理解しきれない実之だが、露子のほうでは父の行動を読んでおり、晴明を訪ねて来る。このとき晴明は薬草を詰んでいて、珍しく日常が垣間見えて嬉しい。「野原のような」晴明の庭を好きだという露子姫は、晴明と気が合いそうである。
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二次作品では出会いというと幼馴染AUとかになりがちで、それも楽しいけど、私の好きな二次作家さんは、博雅が晴明の屋敷の前で雨宿りしていたのがきっかけという話を書いていて(x)とても素敵。
晴博の出会いって、映画やドラマでは博雅が晴明に依頼があって訪ねるのがきっかけってことが多いけど、原作版の出会いもいつか読めたら…と願っている。
それとは別に、これは絶対書かれないとは思うんだけど、気があってお酒を飲む仲でも呪の話なんかはしていなかった「玄象〜」以前の晴明が、「蟇」でちょっと試すような真似をしつつ自分の世界に博雅を引き込んでゆくに至る、その心境の変化というか流れを読んでみたい。雲のようなつかみどころのない主人公なので、書かれないのはわかってるんだけど。
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晴博の出会いって、映画やドラマでは博雅が晴明に依頼があって訪ねるのがきっかけってことが多いけど、原作版の出会いもいつか読めたら…と願っている。
それとは別に、これは絶対書かれないとは思うんだけど、気があってお酒を飲む仲でも呪の話なんかはしていなかった「玄象〜」以前の晴明が、「蟇」でちょっと試すような真似をしつつ自分の世界に博雅を引き込んでゆくに至る、その心境の変化というか流れを読んでみたい。雲のようなつかみどころのない主人公なので、書かれないのはわかってるんだけど。
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「首」
保憲が面倒を押しつけに来る話。
保憲氏初登場。シリーズ中、最も派手な登場の仕方ではないだろうか。 晴明のところに来るのに趣向をこらしたと言っているので、訪ねてきたのは久しぶりな模様。 なんでもすぐ面倒になってしまうらしい保憲氏、実に屈託なく、自分がいま関わっている怪異を晴明に押しつけようとする。 実はこの人の陽気さと屈託のなさを見て初めて、晴博ってそれほど陽気じゃない…と気づいた。別に暗いわけでもないが、二人でお酒を飲んでいても、しっとりしんみりした感じ。 保憲が来るといってから、話を聞いている最中も、ずっと晴明が苦笑しているの��おもしろい。 もっとも、首に取り憑かれて死相が出てしまった気の毒な為成氏は、最初は晴明に相談しようと陰陽寮に行ったのである。でも凄腕の陰陽師は博雅と遊びに行っていました。
「博雅殿と一緒に、蝉丸殿の琵琶を聴きながら、酒(ささ)など飲んでおりました」
360度どこから見ても休暇で、それは保憲も「ちぇ」って言う。 この休暇の話がどう決まったのか知りたいですね。蝉丸さんに誘われたのかなぁ。
ところでこの話、博雅の感性って独特だよなと思わせる話でもございました。 秋の鮎にしみじみとして罪悪感さえ感じていながら上手く骨が取れたと喜んでいたり、首だけの霊の哀れな姿を、あさましいがあれが人の本質かと思うと愛しいといったり。 でも、最後は笛で浄化してくれる。 笛の音が自分の身体の中を通って天地に溶けててゆくようだと晴明は感じている。救われてますよね。
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New Releases
Hiya All (。◕‿◕。) Today I'm here to share this month releases with everyone! First up we have chapter 4 of Kuroki Kemono to Yoru no Hana by Maruta Zaaru. Next is the first chapter of one of our newer project pickups Midori no Kaze ni Kimi wo Hiraku by Aoi Aki. We also have chapter 1 of Yoki Himo to Yoki Kainushi by Michiru Sonoo. Plus we have another great chapter of Noppiki Naranu by Kofude for everyone so please enjoy chapter 4. Kuroki Kemono to Yoru no Hana Chapter Ch 4: (Media Fire) (MEGA) Midori Ch 1: (Media Fire) (MEGA) Yoki Himo to Yoki Kainush Ch 1: (Media Fire) (MEGA) Noppiki Naranu Ch 4: (Media Fire) (MEGA) To round all of out amazing releases out we have another story from the Onmyouji novels by Yumemakura Baku. In this chapter, it's the height of summer, and Hiromasa wants to know if there's anything anyone can do about the drought plaguing the capital.
The Blood Sucker .ePUB: (Media Fire) (MEGA) The Blood Sucker .PDF: (Media Fire) (MEGA) Enjoy the new releases and Happy Reading~! Also I wanted to many give thanks and appreciation to everyone who's been sending messages about how much they been enjoying Noppiki Naranu. I'm so happy so many people love the story and characters so much. Seeing new messages showing love to our projects always brighten my day. (˶ᵔ ᵕ ᵔ˶)
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「怪蛇」
あやしい山分けの話。
文月の雨の午後。最近のあやしい出来事について語る博雅。 蛇が出るというのである。 博雅の話の持っていき方ってちょっとおもしろくて、この蛇の話も「あちらこちらに出るのだよ」と長閑なような調子だが、実際は人の体から——身動きもできないほど腫れた背中などから出てきている。困っているところにあやしげな風体の老人がやってきて、文字通り叩き出すようにして袋いっぱいの蛇を持って帰るという寸法である。まぁ道満なんですが。
道満が出てくると、晴明が「〜ませぬ」系の物言いをしてくれるのでこちらのテンションが上がります。
「来ぬか」 「行けませぬ」
博雅を連れて道満の住処までやってきても、蛇(というか蛟)がいっぱいで近づけない。 道満は晴明が来ることを見越してうようよ放していたのだろうし、晴明のほうでは孔雀明王の像を準備している。 百匹を超えるようだった蛟が元の2匹の木の像に戻り、ここまでは普通の仕事のように見えたのだが。
この術者の人たちの、珍しくて強力な式神を手に入れようとする情熱は何なんだろう。晴明なんて、色々集めてそうなわりに大抵のことは自分でやってるじゃん、という気もするのだが。 何をどうしたものやら、孔雀明王の像は何の力もないただの木に戻ってしまい、憑いていた蛟は今や一匹ずつ道満と晴明のものである。 人体から蛇の出る怪異が、流れるように術者二人の悪巧みの話になっている。
神妙な顔で相談を聞きながら手にいれる算段をしていたのかと思うとね…。見るからにうさんくさい道満よりもたちが悪いですね。 そうして手に入れた蛟を撫でながら闇の中で微笑する晴明の妖しさ。たまにこういう貌を見せる。もう、見せても博雅が離れていかないと確信していると思う。
晴明の(むしろ本人が)妖しいコレクション:孔雀明王の像に憑いていた蛟。
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「生成り姫」
シリーズ初の長編。 短編「鉄輪」が元になっているので鬼になった女から晴明が男を守るという大筋が踏襲されてはいるが、この守られる男がなかなかに酷いので、トリコロサレロという気持ちにならんでもない… 「鉄輪」では心変わりしただけでここまで酷くなかったのだが。 まぁこの話のメインは博雅と徳子姫の方で、博雅の十二年越しの淡い恋が悲劇に終わってしまう悲しいお話であり、作者の博雅愛が爆発したような話でもあり、博雅が晴明にお前が妖物でも味方だと再度念を押し、返歌のように晴明が、もし博雅が鬼になっても味方だと告げて泣かせる深いやり取りの話でもあった。
いつもと違う媒体で連載されたこともあり、晴明と博雅の人物紹介が丁寧にされていて嬉しい。 私は晴明の、僧侶相手に「仏という存在もまた、一種の呪ではありませんか」と言ってのけるようなところが好きだ。そういう晴明の明晰さや何気に一石三鳥を手にするようなところ、博雅がいかに天に愛された音楽家で、でもそのために周囲からちょっと浮いてしまい、宮廷では鎧を来ているような気がすると感じていることなどなど。 でもやっぱり、二人がどのように知り合って親しくなったのかには触れられていない(いつかは書いていただきたい)。十二年前にはまだ知り合っていなかったのだろうと推測はできるが。
十二年前。 博雅と徳子姫の逢瀬とも呼べないような関わりは、橋のたもとで笛を吹く博雅と車の中でそれを聞く姫という形だった。それが三月ほども続き、最後の夜に御簾をあげて月を眺める彼女の美しさが印象的で、これは博雅も忘れられないだろうと思わせる。 夢のような音楽のような。美しいがどこか現実を離れた、笛と琵琶を介した関係。博雅の特別な耳に彼女の声と琵琶の音が深く響いたのだろう。
「ほんに、よい笛でござりましたなぁ」
だが名を聞くこともできなかった相手である。もしも再会しなかったら、博雅は彼女のことも琵琶の音色も忘れることはなかっただろうけれど、思い出でしかなかったことと思う。三月の間に文でも渡していれば…と思わなくもないが、あの時間がずっと続くと思っていたというのも、再会して、十二年の歳月を彼女の上に見てなおさら愛しく思うというのも、博雅らしいとしかいえない。そういう人だから最後に彼女を救えたのだろう。
今回、晴明にとっては難しい仕事になってしまった。両手を縛られてどうにかしろと言われているようなものだろう。男を守るだけなら呪詛を返せばすむが、そうすると徳子が無事にはすまない。博雅は、なんとかならないかと無茶なことをいう。これは博雅、無意識に晴明に甘えているなあと思う。 でも晴明は、「すまぬ博雅」っていうんですよね… 生成りになってしまった徳子姫と博雅のやりとりを、どんな気持ちで見ていたのだろうと思う。 なにしろ博雅が鬼に腕を噛まれている。それを黙って見守っていなければならない。 当然ながらすごい緊張感だっただろうし、いざとなったら調伏する覚悟だっただろうけど、プロの自分とは違う博雅の対応に思うところもあったのではないか。 冒頭に、百鬼夜行に行き合った少年時代の晴明が、鬼が牛を喰らう様を冷静に眺めて師匠に舌を巻かせた様子が書かれていたけれど、その能力も冷静さもそのままに、けれどずいぶん遠くへきた感じがする。 晴明が、自分も道満も同じで、違うのは自分には博雅がいることだというのも肯けるが、これを自分でいうのもすごいなと思う。博雅がいなかったら晴明は道満のようになってしまうというのは作者も公言しているところだが、本人がそれを自覚しているというのはまた別の話なので。
なんとなく感想が書きづらかったのはやはり悲しい話だったからだろうか。最後の空蝉の件がなければまだしも…と思う。自分勝手にほしがった男から不幸にされたとしか思えないし、ずっと罪悪感を抱えていたであろう舎人も気の毒でしかたがない。 奪われて傷ついた徳子姫の琵琶が修復されて博雅の手に渡り、最終的に彼女の元に戻ったのがせめてもの救いに思える。
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平成映画の二人は声出して笑うけど、原作ではそういう場面はごく稀。原作を忠実に映像化したらどんな風だろう。毎回20分ぐらいで淡々と進む感じだろうか。簀子ワールドの会話だけがどんどん濃くなっていく...
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「晴明、道満と覆物の中身を占うこと」
晴明と道満が方術比べをする話。 宮廷というところは、なぜこうも人を競わせたがるのか。 コロッセオのようなものか。殺し合いさせないだけマシか。
側で気を揉んでいる博雅が気の毒だったが、術比べの場面はとにかく愉しい。 術比べだと思っているのは見物人だけで、本人たちにしてみればパフォーマンスを見せていたわけですが。
「我らの術で楽しませてやったのだ。安い安い……」
裏で通じてはいても細かい打合せなんかはしていなかったはずで、その割に息があっている。やっぱりこの二人似てるのかな、と思うと私は少々複雑です。 道満は憎めないしおもしろいキャラクターだけど、晴明にはあまり「あちら側」には近づいてほしくない気持ちがある。博雅がいなかったら晴明は道満のようになってしまう、と作者も公言しているし。 でも力が拮抗してるから愉しいんでしょうね。遠慮しなくていいし。晴明は自分からは仕掛けないですけどね。
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オール讀物の陰陽師、珍しく前後編。番外編ぽかったけど前号にも載ってたし、思ってたより早く新刊出るかも?
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「髑髏譚」
力を持ってしまったモノを暇にさせると碌なことがないという話。 でも蔵に眠ってるものが力を持ってしまったなんてわからないですからね…
季節の移り変わりにしみじみとして、なぜか法華経を唱える髑髏の話を始める博雅。 相談されている件について晴明が考えあぐねていると、博雅がヒントになるようなことを言ってくれる、ということがこの二人にはよく起こるのだが、今回も博雅のおかげで髑髏と話す方法を思いつく晴明・・・って思いついて実行できるのは晴明ならではだが、何も知らずに心に浮かんだことを話しているだけで助けになってしまうのは博雅ならではである。
今回の相談者たちは本当に恐ろしい目にあっていたので、二人の相性のよさが人助けになってよかった。
即席の舌で髑髏と会話する晴明に、なんとなく猫と会話する姿を想像してみたり。 「おまえ、陰陽師だな」と言われて何も答えず微笑むだけの場面が好き。(晴明って自分から「陰陽師」と名乗ったことあったろうか?)
※晴明の妙なものコレクション:割れた壺
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「手をひく人」
嵐の夜の話。
昼から酒を飲んでいる二人。瑠璃の杯で飲んでいます。夏。 晴明の指が細い描写はよく出てくるけど、妖を抑えるときは凄い力だと「黒川主」にあった。腕力よりも力の入れ方なのかなと思う。 その「黒川主」で出てきた忠輔(よく鮎をくれる人)の知人夫婦が怪異に遭っているというので二人で訪ねてゆくわけだが、仕事の早い晴明は早々に身代わりの人形を作り、あとは酒を飲んで待つのであった。 ・・・少々飲みすぎではないかと思う。
執拗に夫婦を連れてゆこうとするあやかしに人形を渡してごまかし、後を追う晴明だが、外はもう嵐。晴明は夜目がきくけど博雅は暗闇では何も見えないわけで、ここで博雅を連れて行く理由はなんだろう、と初読時は不思議に思いましたが、たぶん理由などないんだろう。無意識に自分と博雅をセットで考えているだけで。自分と博雅は対になっている呪だなんていう人だから。 晴明の狩衣をつかんで歩いている博雅を想像すると可愛いが、実際はかなり怖いと思う。方向も何もわからず、川の音がごうごうと響いている闇の中である。 晴明は橋の名前から見当をつけていたようだが、「流されてしまいまする」の意味がわかってみると、恐ろしくも気の毒。博雅は妖しの夫婦を実直だと評していたが、どちらかというと、存在意義が「橋を流さない事」になってしまったのではなかろうか。
夜の海はなんとなく怖いものだが、夜の川も同じだろう。一瞬の稲光に現れた光景が迫力。
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「漢神道士」
夜桜を見ながら酒を飲む話。
今回の依頼人はけっこう気の毒で、夢のなかで焼けた柱に抱きつかされて起きたら火脹れができているという…。他にも、酒に未練のある道士やら蛇やら、色々と出てはくるのですが。 でも今回は夜桜。 晴明の屋敷の桜の下で、美しい敷物を敷いて酒を飲む二人。周囲にも二人の上にも花びらが舞い落ちて、博雅はその花の降る様を「おまえのようではないか」なんていう。晴明の才はこの桜のように自然にこぼれてきて、いくらこぼれ出ても減ったように見えない、晴明のなかに無尽蔵に花を咲かせる桜があるようだと。 ・・・・・・ 友人の才をこれほど美しくたとえるものだろうか。晴明の恐れられるほどの能力が、博雅の目には美しいものとして映っているのかと思うと感慨深い。
気の毒な依頼人の為輔は博雅の知り合いで、故意ではないにしろ蛇に火箸を突き刺したりしたせいで恐ろしい目に。その矛先が博雅にむいてしまい、こうなったら今夜中におさめてしまわないと——と急ぐ晴明。 いやその前は急ぐ気なかったのかよとやや思いつつも、為輔の話から酒でなんとかなりそうだと判断した晴明は、さすがの洞察力というべきか、自分も酒飲みだからなのか。ラストはいい感じで、道士の百二十年の酒への妄執が満たされてゆく様子にしみじみとする。
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