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#ギャルに優しいオタク君
seieifsetsuna · 2 months
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littleeyesofpallas · 4 months
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Gal ni yasashii Otaku-kun[ギャルに優しいオタク君]
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dvdhappycom · 3 years
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リアルエロゲシチュエーション! THE ANIMATION (加工あり) - 無料動画付き(サンプル動画)
リアルエロゲシチュエーション! THE ANIMATION (加工あり) - 無料動画付き(サンプル動画) スタジオ: ピンクパイナップル シリーズ: リアルエロゲシチュエーション! 更新日: 2021/03/23 時間: 60分 女優: クラスメイトの『宮之上環奈』に恋をした忍。しかし彼女はオタクが苦手らしく、忍は脱オタを決心する。-それから一年後、彼のもとに1通の手紙が届く。「放課後、教室で待ってます」手紙の差出人は忍が恋する相手……環奈だった。が、教室に向かった彼を待っていたのは-校内で大人気のギャル系女子『天咲彩愛』だった。とまどう忍に「何かに夢中になっている君の姿に、一目惚れしたの」と愛の告白をする彩愛。彼女は好きな忍のままでいてもらうために脱オタを阻止すると言い出した。彩愛の告白を聞き、環奈や幼なじみの『里神ゆり』までも積極的になっていき…!その日から彼のリアエロな日常が始まるのであった-! 女子校生 巨乳 アニメ DVD・DVD販売のDVDハッピー DVD・DVD販売のDVDハッピーは、DVDを大量に扱っています。一律$1.95 懐かしいDVDから最新のものまで豊富な品揃えで販売しています。
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besidethebag · 7 years
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ヘルシーボーイズ 健康優良新鮮少年 chapter2 つながる過去と未来
登場人物
狂四郎 主人公の一人B4区出身 健康優良新鮮少年の若きリーダーとして 正義感が強く, 強いものに巻かれることを最も嫌う。 ジンに恋をした結果, 政府との関係が近づいたことに困惑するが, 本当は自由でありたいことを願う。 貿易商の両親の元に生まれ,  何不自由なく恵まれた環境に育つ。 鍵っ子ライフが続いた為, 好き勝手, 自由奔放な少年時代を過ごさせてくれた両親を尊敬してやまない。 歴史が変わり, 両親が生きている, この新しい未来に満足し, 幼馴染の達郎と共に夜な夜な エアーバイクで自由奔放に街を流すことに生きがいを感じているが, 達郎が政府見習いになり 一緒の時間を過ごせないことや ,大人の階段を登る達郎の背中を眺め, 寂しさを感じるも そばにいるジンに夢中で愛に生き, 友情にも熱い少年。 裏切り者の大瀧に対して最初は塩対応であったが, 政府の作戦だったという事実を知り 徐々に誤解が解けていく。 憎めないアホ過ぎる大瀧がいることで少年心を忘れないでいられることに感謝している。 今ではジンへののろけを大瀧に話してしまう間柄になった。 本編の一応, 主人公(笑)
趣味 バイク
ジン 過去から舞い降りた, 未来を変える救世主。 狂四郎達により絶対絶命を逃れ,彼女が生存したことで未来は変わり, 新しい20XX年のネオトーキョーのヒロインとして狂四郎達と行動を共にする。 過去の記憶は書き換えられ交通事故に遭い両親を無くし, 里親の軍曹に育てられたとする造られた記憶に沿って 現在は未来生活を送っている。 しかし, “心の底では一体自分は何者なのか?” その探究心は止まることなく,突然 iphoneで過去の歴史を調べ出し, 没頭してしまう日々。 通称(アイホンカチャカチャ) 現在, 軍曹のコネクションで国立図書館に勤務。 近頃は第六感の超能力に目覚め始め,困惑し始める。 助けてくれた狂四郎に恋心が生まれるが, 何か心の中に引っかかるものを感じている。 その引っかかる何か?に自分自身が向き合ってから, 正式に狂四郎へ愛を捧げたいと密かに思っている。
趣味 読書
達郎 狂四郎と幼なじみ。 ”親切をすると自分に幸運が返ってくる” という逸話を家族代々受け継いでいて, 自分自身もそう日々願って行動している為, たまにお節介と言われて傷付いてしまうガラスのハートの男子。 大瀧の裏切り行為に傷つくも, 軍曹が仕掛けた作戦だったことを知り, 次第に理解していく。 国の為には手段を選ばぬ軍曹の男気な姿勢に惚れ,現在は未来を変えた一人として政府の役人見習いで入隊。 軍曹の元で暗躍する。
趣味 親切
大瀧 過去の20XX年では ハニートラップの罠に引っかかり仲間を売ってしまうが, それは政府が仕組んだ作戦だった事実を徐々に仲間に理解され, 絆が深まっていく。 本人は裏切ったつもりは全くなく, 「だって, 目の前にかわい子ちゃんがいたらお前だって行くだろーよ?」が口癖。
IQが200 overだが不摂生な生活スタイルにより, 脳と体がついていかない障害を持つ不器用な男子。 天才ゆえに変態, ペンタゴンにハッキングしてプログラムを絵文字で埋尽くしたり, シリーをハッキングしてエロティックな言葉を言わせたり, イタズラ多数。 伝説的お騒がせハッキング歴を持つ,  アンダーグラウンドレジスタンスの界隈でも一番変わったレジェンドハッカー, ポーキンヘッズとは彼のこと。。(まだメンバーは知らない)
趣味 大食いと90年代情報集めと女子。自称トップオタク。憎めないアホ。
軍曹 政府役員であること以外は情報なく,ジンの里親として, 達郎の上司として狂四郎達と接触する。
健康優良新鮮少年 #What’s the sign about geek sign…..?
狂四郎と大瀧はいつもの様にエアーバイクで街を徘徊していた。 モーターのコイルが徐々に温まっていく。 新しくバイクに導入した”フラックス・キャパシター”を早く試したくて仕方のない狂四郎は, アクセルを握りスピードメーターは時速110kmをマーク。 後部座席の大瀧は悲鳴を上げ, 「おい! 狂四郎, 頼むから時空間移動をするなら一人でやってくれよ(涙)俺はまだ失敗して身体がバラバラになるなんてことはしたくないんだアアア」 すると狂四郎はアクセルを緩め,焦る大瀧にゆっくりと喋り始めた。
「いいか?フラックス・キャパシターは130kmで作動し, 目的の時空空間を可能にした軍部の最新秘密兵器さ, わかるか?俺達健康優良新鮮少年だけが持つ特別な代物なのさ,これを手に入れるのにどんだけあのおっさん(軍曹)の言うこと聞いた事か解るか?それに達郎が今必死で役人仕事をしてるお陰でもあるんだ。 俺達の信頼をグーンとアップしたって意味さ,そんな代物をありがたく試さない手はないのだ。 お解かりになるかな?我輩は健康優良新鮮少年であるw オタクの大瀧くんよw だからさーあラッキーと思って試そうぜw」
バイクはB4区エリアを抜け, B3区に入ろうとしていた。
ここはヘルシーボーイズの縄張りではなく、敵対するアンヘルシーバッドボーイズ(不健康不良少年)のシマ(縄張り), このシマの頭(ボス)Zは,編み込んだカラフルなヘアースタイルと強面の顔を持つ男。 旧型チョッパーエアーバイクを乗り回し, 粗悪なビタミン興奮剤”キャットピス”を放り込んでは夜な夜な犯罪行為を繰り返す社会悪。 組織化したアンヘル(アンヘルシーバッドボーイズ)は一方的な嫉妬心で, ヘルシーボーイズからB4区地区を奪おうとしている。 狂四郎と大瀧は日が暮れると現れるアンヘルの存在を十分承知していたので, 夕暮れに差し掛かるまでにB3地区を抜けて B2区の国立図書館に勤務するジンを迎えに行こうとしていた。 しかし,今回はそうもいかなかった。 Zの仲間達はヘルシーボーイズの存在を確認するとすぐさまZに報告し, B3地区とB2地区の通行ゲートを封鎖。 瓦礫に覆われたゲートの片隅には狂四郎達が現れるのを待ち構える兵隊がいる。キャットピスを口に放り込み, ガリガリと音を立てながら。 その様子をまだヘルシーボーイズは気づかない。ゲートに近づくヘルシーボーイズ。 Zは待ちきれずアクセルを吹かし, 狂四郎達の前に興奮気味の様子で現れ, 叫んだ。
「ウォウウォウウォウ,トゥナイト,これはこれは, B4区の平和ボケした犬のしもべのクソ野郎。狂四郎とおまけのオタクじゃね〜かW お前ら弱小ヘルシーボーイズが俺様のシマでなにしてやがる!おしっこ漏らす前にそのバイクをよこしなW お前じゃ大きすぎるだろーよ, 早く降りろ!てくてく歩いて平和な街に帰りやがれってんだ, ヘヘヘ, それかここでスクラップになるか?どーする健康優良新鮮少年さんたちよー」
Zは編み込んだ髪を揺らしながら皮肉たっぷりに狂四郎達を威嚇する。 兵隊は狂四郎と大瀧の二人を囲み, 絶体絶命なヘルシーボーイズ達。 しかし狂四郎は焦りをまったく見せない。 それどころか久々に感じるスリルに興奮し, 目を輝かせ, Zに聞こえるように大瀧にこう伝えた。
「大瀧, 見てみろよW あのブスW 似合わないブレイズに時代遅れのバイク。あんなでかっこいいとでも思っちゃてるわけ? HAHA! まわりに踊らされてあんなことしてさー, 粗悪なビタミン剤の副作用か?ダッサ! 低脳でダサくてしかもブス。 せっかくのビンテージバイクも勿体ないね〜W 豚に真珠ってこういうことかW まさかさあー, あのイキってるブスって俺達のパクリ”アンヘルマザファッッキンボーイズ”じゃねーよなW やべーな, もしそうだったら, お仕置きしてやんなきゃなあ〜!なあ, ひき肉にしてやろーかW」
Zはズタズタに引き裂かれたプライドに怒り, アクセルを吹かしてこう言い返す。 「ウッセーんだよ,てめーらこそ!リアルじゃねーんだよ! いい子ちゃんぶって犬に媚び売って, そんなバイク手に入れやがって! まじスタイルもネーな, そんなんストリートじゃねーんだよ! 今度こそてめーらの最後だ!おい!いくぞーオメーラ!あいつらにリアル教えてやんな!!!」 Zは兵隊に命令し, 狂四郎達に襲いかかった。 しかし狂四郎はアクセル全開でZに突進。 衝突する手前でジャックナイフをかまし, Zの顔すれすれでガンを飛ばしてこう言った。 「はあ?お前さー, リアルとか言っちゃってるけど, 現実と妄想の区別もつかねー, 単細胞なオメーに言われる筋合いはニャーだよ!ペッ」 狂四郎の吐いた唾がZの頬にかかる。狂四郎はすぐさまバイクを切り返し, ゲートを通過する。 まさか突進してくるとは思わなかったZは突然の緊張で失禁してしまったようだ。 兵隊達もお漏らししたボスにどう接してよいか解らず, 硬直したままだ。 その頃, Z達から数キロ離れた場所でゆっくりとアクセルを戻す狂四郎。 大瀧は少し遊び足りなかった様で狂四郎の肩を叩き, 「おい! 狂四郎戻ろうぜ! あのブス俺のことオタクなんて言いやがったんだ! あいつわかってないねーW 俺が誰かをW だからさあ, 俺にもお仕置きさせてクリームW 実は今日新しい武器を仕込んだんだ, 試したくてさW 見せてやるからちょっと降りよーぜ。」 エアーバイクを停車し, 降りた二人。 大瀧はうれしそうに緑のバックパックから金属のボール状の物と警棒を取り出す。 「これはELECTRIC THUNDER BOMBと言ってさ, ハッカー仲間のIRAK達が昔, 電脳警察を煙に巻く時に使った電子破壊装置さ。 これを作動すると半径10mの電子機器を麻痺させる効果があるんだ。青い光が出て綺麗だぞW これをZ達の円陣に投げ込めば奴等のエアーバイクはお釈迦になるって事さW それとこれこれ, タラーン。 」 警棒の様な赤いスティックを取り出す大瀧。真ん中に金色のボタンがついている。 見た目は昔話に出てくる西遊記の如意棒の様だが。 「これはなーエレクトリックライトスティックていうんだ。先端から青い光(電子破壊装置)がついていて, しかも伸縮可能。 孫悟空も真っ青のサイクーなやつだW。 実は今, 軍の装備に採用されるか検討中で, どう機能するか, 密かに研究を進めているやつなんだよW だからちょっと気になってお借りしてきたんだW。」 狂四郎はスティックを握り, くるくる孫悟空のように舞い始める。 大瀧はエアーバイクのサウンドポートにUSBカードを投入。 2000年代の名曲ファレル ウイリアムスのcan i have it like thatをPlay。 サウンドシステムから響くベースライン。PVかの様なラインダンスのように二人は踊り始め, バトルフォーメーションを組み始めた。 「この曲が流れてる間に奴らを落とすぜ, どうだ狂四郎?サイクーだろ?。」 二人のバトルフォーメーションはカンフー映画顔負け。流れる水の様に完璧。 バク転, 側転, アクロバディックな動きはまるで忍者。蝶の様に舞い蜂の様に刺す。 「さあ, イメトレも完璧だ! よ~し行くぞ!!」
エアーバイクのアクセル全開で爆走する二人。 夕日が差し掛かる頃, ドラム缶に火を炊いてアンヘルシーボーイズ(アンヘル)はヘイタートークで盛り上がっていた。 「Zさん, 今度奴らが来たらめちゃくちゃにしてやりましょう!! だからそんなに落ちこまないでくださいよ, あんな奴らストリートでもネース。 まじリアルでもなんでもないっすよ。でも俺らはこうやってストリートにいつもいるじゃねースカ。 はいどうぞ。これ, いっちゃってください。 ブルーな気持ちもぶっ飛びますよ。」 兵隊は猫目の錠剤をZの手のひらいっぱいに差し出す。 Zはラムネのようにボリボリ噛み始めた。 みるみるZの瞳孔はビカビカに開き, 口の中の錠剤をウイスキーで一気に流し込み, 興奮絶頂で叫び始めた。 「オメーラ, いいが? 奴らは次で終しめーだ!! バリバリ気合入れて行くぞゴラ! ポケットのピス全部かっこんで行くぞゴラ! 今夜はパーティーだ! バイクも奴らもすべて燃やしちまいな。」 大きな歓声が上がり, 燃え盛るドラム缶から妖艶な煙が立ち込めてきた。 遠くからエアーバイクの爆音が聞こえる, 狂四郎達の登場だ。 爆音に気づいたアンヘル達は, ヘルシーボーイズが逃げられないように横一列で突進してきた。 「狂四郎, バイクを止めてくれ! こいつをお見舞いするぜ! 」 大瀧はバッグからエレクトリックボムを取り出し, 突進してくる兵隊達にボムを投げた。 兵隊達の頭上にボムが届く瞬間, 辺りは青い閃光に包まれた。 「ウワアア〜!! バイクがあああ!!! ひゃああ!!! 」 まるで殺虫剤を浴びた虫が力尽きて落ちていくように, 兵隊達も地面に落ちてゆく。 「これ! すげーな, 大瀧。まるでキンチョールだぜW さあ, 降りてZの野郎にお仕置きだ!!」 地上に下りた二人。エアーバイクから爆音でファレルのイントロが流れ始めた。 「レディース&ジェントルメン………」 ぶっといベースラインと共に二人は突進する。イメトレよりもダイナミックな動きで次々と兵隊をなぎ倒す。 ダンスをするように, 完璧に曲に合わせて二人は舞う。2バースのサビに入る頃には, 相手はZともう一人だけになっていた。 仲間が一瞬にして倒された事態に怯えるZ。 腹に隠したパチモノのブラスターガンで二人を威嚇し, ポケットに入った全てのキャットピスを口に放り込み, 嚙み砕く瞳は恐怖で涙に溢れている。 「おおお前ら, 一体なんなんだ。俺達のシマで何がしたいんだ。仲間をよくも, 卑怯だぞ! そんな武器を使いやがって, うううううぶっ殺してやる!!」 Zの銃口が二人に向けられると, 狂四郎は怒りに満ちた声でシャウトした。 「ヨタヨタジャンキーになめられてたまるかよ, 俺達ア健康優良新鮮少年だぜ。」 その瞬間に, スティックでガンを払いのけ,腰が抜けたZに近づく大瀧。 「お前さーあ? 本当にアホだろW  おい? 返事しろよブス! おい! 髪燃やされんのと歯を全部抜かれんのどっちか選べ!!」 大瀧はサイコ状態に入っていた。心配した狂四郎は, 大瀧をなだめるように 「大瀧, こんなブスほっといて行こーぜ。オマワリが来る前に。」 大瀧はブーツの裏でZの顔を踏みつけ, 卑劣な表情で言った。 「ブス, よかったな, 俺の相棒が優しいからさ。お前は生き延びれたんだ, いいかブス,これだけは覚えとけ! こんな世の中にリアルじゃねーとか? スタイルねーとか? ストリートじゃねーとか?  ねーんだよ! てめーは見た目で判断したズボラなダサ坊なんだよ。お前が知らないだけで, 俺は世界で知られた存在なわけ!だから, お前みたいなダサい奴は普段は相手にしねーの。 ただお前が俺達, 健康優良新鮮少年をバカにしたようなチームを組んだからムカついてんだよ! いますぐお前のダサいチームを解散しろ。さもなければお前を茹でダコにするからな!」 Zは大瀧の脅しに震え, 約束を交わした。 腰の抜けたZを後にし, 二人はジンが待つ国立図書館へエアーバイクを走らせる。 興奮がとまらない大瀧は, 上機嫌で雄叫びをあげ騒ぎ出す。 「サイクーだな! 狂四郎! あいつのびびった顔見たかよWあれ見たらもっとイジめたくなったぜWパチモン野郎共! またシメにいこーな?」 一方呆れた声で狂四郎は大瀧に, 「お前〜, ちょっとは落ち着けよ。俺は無駄な戦いはしたくねーんだ。 それにたいして強くもない相手に俺は興奮しない。だからもう奴らは相手にしねーよ。行くならお前一人で行けよな。ただし, ヘルシーボーイズだとか粋がったこといたらぶっ飛ばすよ。」 大瀧にお灸を据えた狂四郎。 大瀧も声をトーンダウンして 「ああ, 確かに弱い相手なんてクソ面白くねーしなW しかもダサいからさ, 本当はそんなに乗り気じゃないぜW 狂四郎ちゃ〜ん, だからオッコしないでくれよ〜お。代わりに今度ギャルでも探しに行こーよ〜。」 調子の良い大瀧に呆れ顔の狂四郎, 2人が乗るバイクは国立図書館に到着。予定より1時間以上も遅刻し, ジンは少し怒っている様子。 それを察した二人は,ニコニコ顔でジンに近づき, 「プリンセス, お待たせして申し訳ございません。私共のバイクが途中故障してしまいまして…..」 しかし嘘はすぐにバレてしまった。 ジンは大きな声で 「あんた達! B3区で喧嘩したでしょ? 叔父様がニュースなってるって, 私に怒って電話してきたんだから。もーいい加減にして!!」 総勢20人相手に勝利した2人も, 女子から叱られては謝ることしかできずに, ジンに許しが欲しくて土下座する始末。 「さーせん!! 自分らこんなことになるなんて思いもせず, バカな行動とってすいません。二度とこんなことはしませんのでお許しくだせー 嬢王様!!」 ジンの足にしがみつく二人。しかし, ジンは二人をすぐに払いのけて, 「ちょっと!キモいんだけど, もーいい, お腹すいた!! なんか食べたい! 狂四郎, あんた今日はおごりなさいよね」 許しを得た二人は顔を合わせニンマリ。しかしその姿をジンにバレてしまい, 「何笑ってんの? ねー 大瀧くん, 悪いけど待ちくたびれてアタシ疲れてるからさー今日は狂四郎のバイクに乗って帰りたいの。 だからさあ〜 私のバイクを家まで乗っていって駐車場に止めて置いていってくれない? もし事故ったりでもしたら, 絶対許さないわよ!」 大瀧は即答で 「オフコース!プリンセス。もちろんでございます!! わたくし大瀧, 全力でその任務遂行いたします!! お許しいただきありがとうございます。」 その調子の良さに救われて,ジンの強張った表情も徐々に落ち着きを見せる。 狂四郎もここぞとばかりにご機嫌をとるべく, ジンの手を取り愛の言葉を伝える。 「プリンセスジン,君は今日もとても美しいね!!俺さっきさ, 絶体絶命の危機を乗り越えたばかりでクタクタだった。でも君の姿を見たら元気が出たよ, これって愛だろ?愛。愛って本当に素晴らしいね, 愛してるよ, マイプリンセス♡」 ジンは照れた様子で 「も〜お, わかったからあ〜早くご飯連れてってよお〜」 ご機嫌がなおり始め, 大瀧はジンの通勤用エアースクーターに乗り, ジンは狂四郎の後ろに乗った。 ゆっくりと2台のバイクが空に上昇し, テールライトは光るビルの谷間に吸い込まれるように消えていく。
翌日, 爆睡中の狂四郎は何度も鳴り響く電話に渋々起き上がる。 テレビ電話の相手は大瀧だ。 「もしもし, なんだよ,眠いんだよ…今日は何もないはずだろ?」 予定以外の連絡に軽く逆ギレの狂四郎。しかし電話の先の大瀧は明るい様子で 「おはー!狂四郎寝てたの? わりーわりー ,てかさー俺からのメール見た?」 iPhoneを確認すると大瀧から10件以上の着信メールがあった。 「わーり〜寝てた, 今見るわ。あれ, これ懐かしいじゃん。 ウエマツに侵入した時, みんなで刷ったプリントジャケットじゃん? これどうしたんだよ?」
過去に飛び立つ以前のジャケットを見て思い出す狂四郎に, 大瀧は張り切った様子でこう伝えた。 「だよだよ! 懐かしいだろ? 俺とお前と達郎の溝ができたあの事件のW てのは冗談でさ, さっき達郎が届けてくれたんだよ! 俺も懐かしくてさー それで俺様はひらめき気づいたんだよ! もしかしてウエマツにまだシルクスクリーンがあるんじゃねーか?っていう。」 過去のことを覚えている大瀧に狂四郎は驚いた。その時の記憶は軍によって大瀧の記憶から消されているはずだったからだ。 「お前なんで覚えているんだよ, その時のことを。。俺と達郎と軍曹以外は知らないはずだぞ….」 驚いた様子で尋ねる狂四郎。しかし大瀧は自信満々に, 「バーカ, この天才ハッカーの俺様があんな記憶抹消装置の光で記憶が飛ぶかってんだW わざと記憶が飛んだふりして最後まであの光を見ていなかったのさ。俺だって, あの装置の存在は知っていたぜ。でもまさか自分がやられるなんて思ってもいなかったけどよ。あとな, 達郎からジンのことを聞いたぜ。辛いよな プリンセス。 お前, あんなかわいこちゃん泣かしたら俺が許さないからな!! もちろんジンにはあのことは内緒にしてあるから 勘ぐらなくても大丈夫よ〜ん, 狂四郎ちゃん!」 過去の秘密を知った大瀧のことに驚きが隠せずにいるも,仲間のことを想ってくれた大瀧の優しさに触れた狂四郎は嬉しさでいっぱいの声で 「お前〜優しいとこあるじゃーん! さすが仲間だな!! サイクーだぜ!」 二人の絆は深まり, 電話越しの大瀧も嬉しそうに用件を伝える。 「それはそれなんだがな, ウエマツの話に戻すとだな, まだあったんだよ!!シルクスクリーンが! しかも大量にさW でも引き取り人不明なんだ, 謎だろW 店の人も困ってたらしくてさー。達郎に頼んで俺達が預かることになったんだ, 政府の管理代表として。でもよ, 俺達だろW 壊したりでもしたら大変だからさ, 必要な分だけ毎回取りに行くことにしたんだ。 んでんで今俺が着ているTシャツが今回のデザインだよーん」 狂四郎は画面越しの大瀧のTシャツを見て驚いた。 「これ!こないだのバトルでお前がプレイしたあの曲のレーベルロゴそっくりじゃねーか!! なんだよ! これ! すげーな! 俺にもくれよ! 」 狂四郎はHBに続き, 新しいヘルシーボーイズのロゴに大興奮しガンポーズ(bang bang)
繋がる過去と未来に興奮を隠せないヘルシーボーイズ。 彼らの求める答えは自分自身の心の中 “IN MY MIND” にあるのかもしれない。
To be continued
⚠︎本文の無断転載複写を禁ずる
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maborice · 5 years
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ぼくとダンガンロンパ1:chapter2
※一応書くがネタバレ。僕は本当に8年前のゲームの何を警戒しているんだ……? 表題通りchapter2の話をする。
 僕が1話で得た教訓から、このゲームを続けるモチベーションは大きく分けて3つある。 ひとつは、舞園さやかちゃんのその後、真意や裏事情を確認すること。 もうひとつは、最初に立てた第一印象からキャラクターたちがどのような結末を迎えるのか確認すること。 そして最後のひとつは、舞園さやかちゃんの次点で僕の気を引くキャラクター、不二咲千尋(一発変換してくれるGoogleIMEくんは優秀)の行く末を見届けることである。 もう既に今回の記事がどういうオチになるのか目に見えていると思うがどうせここまで来たのなら読んでいってほしい。
 本題に入る前にいくつか前回の記事に関して話すことがあって、まず第一に舞園さやかちゃんの苗字を思いっきり誤字っていたことに後から気付いた。死んでお詫びする。あとギャルがいきなり退場したことに関してネットで顔しか見た記憶ないのはそういうことかーいとか書くつもりだったのがさやかちゃんの話をするうちに着地点が迷子になって気付いたらすっ飛ばしてた。最後にUIが狂ってると書いたが狂ってるのは僕の環境だったことが判明した。もとがPSPであることを考えると妥当な配置であると言える。
 というわけでchapter2である。いきなり本命がいなくなってしまったので既に消化試合の様相を呈しているが、逆転裁判だって2話でいきなり綾里千尋さんが死ぬしそのあとだってあの手この手で登場してくれたんだからさやかちゃんだってこの後出番がないわけがない! ……ん? 千尋? 2話で死ぬ? とはいえ、僕が不二咲千尋に注目したのは別に逆転裁判の登場人物と名前が被っているからではない。セーラー服を着てデフォルトが困惑顔でついでに口が開いているキャラクターは半分以上が男、という歪んだ統計の結果である。
 僕はこの手の女装男子(作中では男の娘と言われていたが線引きに自信が無いのでその点に異議を唱えるのはやめておく)に強いエモを感じるタイプの人間で、何故かというと秘密を隠しているキャラクターはそれだけで魅力がグッと引き締まり、その振る舞いに強い説得力を持つようになるからだ。 秘密を隠していると言えばそれはこのゲームのすべての登場人物に当てはまり、本心を覆い隠すという意味では舞園さやかちゃんがその最たる例のようなものでそれは勿論非常に魅力的な要素だが、「自分の根本的な属性を偽る」という点でこの手の、とくに目的ではなく手段として女装を用いるキャラクターはまた違う魅力を発揮する。それが、「最初からボタンの掛け違った人間関係が構築される」という点である。 「偽った自分」と最初に対面した相手が初手から違ったプロトコルのコミュニケーションを選び、正しくないグループの人間としてカウントされ、最初に目指したはずの未来からどんどん遠ざかってしまう。そうして積みあがったツケは自らの心の限界か、それとも周囲からの違和感の蓄積か、何らかの手段で払わされることになり、そこで初めて本当の自分で勝負することになる。その全ての虚しさに僕の心は打ち震えさせられる。二次元の話と言えどあんまり性別差を強調した話をすると警察が飛んでくる気がするがそれは別のところで話をしてもらおう。 とにかく、僕はこういう一つの嘘からどんどん嘘が積みあがっていって最初に躱そうとした問題よりはるかに大きな問題が後からやってくることになるキャラクターが大好きなのだ。まあ、別に女装してなくても条件に該当するような属性を持つ登場人物は他にもいてその大体は好物だが。
 chapter1の間は不二咲千尋も特に変わった様子を見せず(僕が見落としている、自由時間に話しかけると分かる、等の可能性は考えられるが)、chapter2に入ったあたりで大きく風向きが変わることになる。 なんと会話に登場する機会が大幅に増加したのである。しかも「女子からの誘いを断る」「強さに憧れを見せる」「男の約束に惹かれる」「いつか強くなって秘密を打ち明ける」などと数え役満みたいな振る舞いをはじめ、完全にそういうことだ、という疑惑を深めていくのであった。その一方でこの手のお話のお約束である「スポットの当たったやつは死ぬ」の条件をドンドンドンドン満たして行っており、内心でハラハラしながら自由時間に突入する(この前後で行われたサウナ対決のことはプレイ時に日を跨いだこともあって完全に意識の外に放り出されており、それが後に困った事態を引き起こすことになる)。
 さて、自由時間であるが、本命がいきなり消えたのでこちらも消化試合である。どうも全員分の会話を見たければゲームを周回することが前提の量あるらしいので、不二咲千尋ら一定以上楽しめる会話が見込めるメンバーは後に回して、パッと見イロモノに見えるメンバーから先に会話を埋めることにした。2週目をプレイしたときは最初に野球部の会話を埋めないといけないという事実にややげんなり(僕は典型的なナードなので彼のような人間とはゲームの中ですら会話するのが億劫)するが、それはそれとしてパッと見でイロモノ枠に見えるのはオタク、腐女子、成人(chapter2までプレイしたにも関わらず彼のパーソナリティは3ダブということ以外何も分からない、情報量がモノクマと大差ないんだが?)、そして大神さくらあたりであろう。 僕は大神さくらちゃんとコミュニケーションをとることに決めた。決してイロモノ度が一番高いと言いたいわけではなく、「超高校級」という一言で整合性をぶん投げているこのゲームの中でもひときわ輝くその異彩を放つ風格と、達観したキャラクター性を理解することがこの世界を僕が咀嚼する上で重要だと思ったからである。初手で死んだ奴ですら現実離れしたコントロールを披露するこのゲームを常人が理解できるかどうかは全く自信が無いが……。
 自由時間を全て費やして彼女の下へ通いつめ、手持ちのアイテムが食品(カップラーメンとかポテチとか渡したら絶対怒るだろ……)と武器(絶対素手以外邪道とか言うだろ……)と石しかなかったのでひたすら軽石(こんにゃくにしか見えない)を渡し続け、稽古をつけてもらったり茶をしばいたりしながら彼女のエピソードを進めていく。1話の時点で薄々思っていたがパロディめっちゃ多いなこのゲーム! 計4回のエピソードを見ても結局のところ彼女の底は見えなかったが、話を聞いてくれないとちょっと怒っちゃったり、精神面の鍛錬に重要性を見出していない(苗木くんに言われてかろうじて納得する程度)あたり、ああなんだ普通(?)の高校生なんだなあ、と思えて楽しいエピソードだった。エピソード中というより本編シナリオ中の行動への感想になるが、武にしか興味がない、という風に一見見えても情に厚かったり協力する姿勢を積極的に見せてくれたり、不二咲千尋の体を「我が行こう」と確認してひっくり返るあの下りは彼女の頼もしさ、優しさ、ほんのちょっぴりのスパイスとしての可愛さ(失礼)が一度に味わえて美味しいイベントであった。そもそも不二咲千尋をトレーニングに誘ってるのが既にかわいい。なんやかんやで結構好きなんだけど彼女の顔を思い出そうとするとブロリーしか出てこないのはなんでだろう。 なお、結局彼女の通信簿に星はつかなかった模様。やっぱりあの星エピソードコンプの星じゃねえかあああァァァァァアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 順番が前後するが、僕が彼女のエピソードをチョイスした理由は地味にもう一つあって、「最初からコミュニケート相手に選ぶプレイヤーが少なそうだから得られるスキルが強そう」という下心丸出しな理由なのだが、実際にコミュニケーションが進んで「明鏡止水」やら「丹田呼吸法」やらクッソ強そうな名前のスキルをもらうと否が応でもテンションが上がるというもの(さやかちゃんからもらった『美声』はラップバトルで機能するものとあってイマイチ実感できなかった。というより僕はラップバトルを2回やった今でもルールを把握していない)で、どれどれ……とスキルを確認してみると無事ひっくり返った。
めっちゃ有能じゃん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
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……照準の……ブレが……なくなる? あのクソエイムにブチ切れ台パンかまさなくてよくなる? 最っ高じゃん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!さくらちゃん有能!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 一生ついていきま……それは無理。
 1話の頃は影薄くてただのビッグマウスという印象しかなかった石田彰もここに来て本格参戦、こういうタイプのキャラはどうしても第一印象であまり良くない印象を持ってしまう性格をしていて、その後好きになれるかどうかは今後の展開次第なんだけどこのゲームの場合はのちのちお仕置きするときに偽りのカタルシスを高めるために散々憎まれ口を叩かせている可能性が否定出来ないのであんまりヘイトを高めていくような感情移入は望ましくないね。 帝王学を叩き込まれて社会を裏から操る存在を自称する割に苗木くんにライバル心メラメラなのが可愛いと思います。大丈夫か? 君の戦う存在は多分もっと強大だぞ?
 この時点でのキャラクターへの感想はこんな感じ。
オタク:親友とは言わんがコメディリリーフとしてしぶとく生き残るんじゃないかな……。 腐女子:臭い連呼される女子キャラはある意味貴重なんじゃないかな……。 風紀委員:ぼちぼちこいつがバカだということに気付き始めてきた。風紀委員であって秀才ではないもんね。 リーゼント:不良キャラの常である怖そうに見えて男気溢れるいいヤツ路線を発揮し始めてきたがバカそうなやつが1話で死んだことを考えると怪しいんじゃねえかな……。 水泳部:数少ない常識人ポジに収まり始めている、意外と生き残るか? 御曹司:こいつが終盤ボスになるかこのchapterで無残に死ぬかはこのゲームのキャラクターの扱い方を知る上で重要な要素になるだろう。 成人:パーソナリティが不明 不二咲千尋:死なないで……どうか……。 縦ロール:御曹司と比べるとやや協力的に見えるがたいていこういうヤツのほうが手強いんだよなあ。怪しすぎて味方サイドにはカウントできないが果たして。 大神さくら:彼女が犯人サイドに立つことがあったら地味に結構なショック受けると思う。なんやかんや好き。 ギリギリちゃん:こいつの正体さては超高校級の天才とか探偵とかとにかく頭いいポジションだろ。 
 ……目をそらし続けるのも限界はいつか訪れる。既に分割して書けば良かったと激しく後悔しているが、下手に分割して文量格差が出来るとそれはそれで寂しいのでようやく捜査パートに入ろう。 そう、捜査パート。つまり事件発生後。確信と共に女子更衣室へ踏み込む御曹司を見ながら(こいつ絶対むっつりスケベ扱いされてるな)と謎の評価を下しながらそこで見た光景。
 はい、死んでました。不二咲千尋。
推しのワンツーフィニッシュは思ったよりこたえたらしく、しばらくの間無言でゲームを進める僕の耳には通話口から流れる含み笑いの声が響いていた。 さて、これでこのゲームでも被���者は基本スポットの当たった奴から死ぬ、という法則はある程度適用されるのだろう。問題は犯人の方で、逆転裁判と同じく「最初の容疑者は犯人ではない」の法則は適用されると考えてもよいだろうが、この場合の最初の容疑者は誰だろう。死体の状況から伺えるジェノサイダー翔(サイバー亮の親戚か?)か、突然しゃしゃり出てきた御曹司のどちらかと考えるのが自然だろう。どうせジェノサイダーは突然豹変要素が出てきた腐女子なんだろうし。
 本当は捜査パートでも各キャラクターの反応をいちいち拾っていくべきなんだろうが、難易度イジワルではそれが許されない。総当たりすると時間がかかりすぎるのである程度効率的な操作をしないと時間が消滅するのだ。それに集中するあまり途中で出てきたReアクションを奇麗にスルーして奇声をあげたりしながら、さっくりと証拠を回収していく。死んでから「そういえば付き合い悪かったねあの子」と言われるところに最高のエモを覚えながらもタイムアップ、裁判に突入。1話を後から振り返って思ったがこのゲームは決定的な証拠を苗木くんが手に入れることは出来ないようになっている節を感じるのできっとオタクの手に入れたアイテムでまた話がこじれるんだろう。あとオタクの居た場所が場所なので完全に更衣室で拾ったのだと勘違いしており(勝手に)話がややこしくなるのであった。御曹司の同時行動も完全に苗木くんにミスディレクションさせるためだけにわざわざ同行して丁度いいタイミングを見計らって別れて後はこっそり観察してたのかと思うとほほえましい。
 さて、この裁判開始時に得られた情報と妄想から、焦点は以下の通り。
・不二咲千尋の性別
・模倣されたジェノサイダー
・更衣室の男女の交換(2話連続で部屋入れ替えトリックというのはどうなんだろう)
・学生証(前述のとおりサウナイベントを忘れていたせいで悲惨なことになった)
である。これらが明らかになっていく順番によって真犯人が誰なのか、という話に変化していくだろう(この辺はとりあえず裁判してしまえという逆転裁判プレイヤーの諸症状の一つである)。 結果的にジェノサイダー→性別→部屋→学生証の順で話が進み無事真犯人が判明するわけだが、サウナイベントを忘却していた僕は推理がかなり迷走していて辛いプレイとなった。
 さくらちゃんのおかげでエイム力の向上した苗木くんにご満悦……と思ったら新たに現れたノイズとかいうシステムに絶叫し、腐女子の人表も裏も演技うめーなーと思ったらそのあたりでようやく沢城みゆきだったことに気付き、「ジェノサイダーが不二咲千尋を殺さなかった理由は?」の問いに意識の中で既に不二咲千尋が男性だったので「正解無いじゃん!!!!」と取り乱したりしながらもジェノサイダーの模倣犯が御曹司であることを看破(演技のはずなんだけど取り乱した演技うまいっすね御曹司)、そのまま話題は不二咲千尋の性別と犯行現場の話に入っていく(このあたりになるとノイズでも発言でも場を荒らしまくるジェノサイダーの発言が基本全員からシカトされてるのが笑える)。さくらちゃんが不二咲千尋に触れるくだりは前述のとおり素のさくらちゃんが垣間見える良い場面だったし、ジェノサイダーの「殺しときゃよかったチクショウ!」が楽しそうでよかった。
 このあたりになると裁判中でもちょいちょい示唆された通り(御曹司犯人じゃないな……?)という疑惑が広がり始めるのだが、サウナイベントを忘れていたせいで犯人候補が頭から消滅した僕は内心めちゃくちゃ焦ったりしていた。「犯人は男」のあたりで証拠を見直してようやくリーゼントが男の約束をしていたり地味に目立っていたのを思い出したぐらいだ。 というか性別問題にも部屋入れ替えにも気付いてなかった御曹司大丈夫か?
 それはともかく、その後の進行によって御曹司が犯人ではない、という流れになり、今までまるっきり問題にされていなかった被害者の生前の行動に話が行くのである。縦ロールの「不二咲……くん」の言い方が可愛い。 ここでちょっとしたトラブルがあって、1度目は「まだ証拠がある」という意味で、2度目は「ジャージの色はまだ話してない」という意味で「セレスの証言」を2回連続で使用することになるのだが、「逆転裁判では2回連続で同じ証拠を突き付けることはほぼない」という感覚に慣れ切った僕は思い込みから推理が暴走、はじめてのゲームオーバーを拝む羽目になってしまった。逆転裁判と違うところは突き付ける部分以外の会話も読んでないと「証拠品の全容が明かされていない」という逆転裁判ではあまりなかった(弁護士から見て。検事サイドは使いまくってくる)状況が作られたときに対応できないところ、というのを思い知った。よくログ読んだらさくらちゃんの「ジャージは数種類ある」に誰も反応してなかったね。
 結局、この後ギリギリちゃんの話題誘導によってリーゼントが言わなくていいことを口走ってしまい、そのまま男子更衣室にいたこと、学生証の壊し方を知っていることが芋づる式にばれ、風紀委員の必死のフォローも虚しく観念してしまうのである(御曹司お前、「更衣室から出ていくリーゼントを見た」ってそれだけかよ。証拠能力低っ)。後付の感情なんだろうけど、せめて秘密がバレないように、とした更衣室の入替、学生証の破壊というその余計な行動は非常に綺麗だ。せめて、という状況にしたのはお前だ、というやるせなさも含めて、彼のやり場のない感情がよく伝わってくる。
始まるリーゼントの述懐。ようは「兄貴の死の真相がバレたらチームへの求心力が無くなり、仮に脱出しても居場所がなくなる(一部推測)(そもそも普通に警察沙汰レベルの事故起こしてんじゃねーかと思うが暴走族にそれを言っても仕方ないだろう)」というものだったわけで、彼は元いた自分の所属、属性を希望ヶ峰学園で新たに生まれた親友や、これから親友になるかもしれなかった関係より優先してしまったということになる。
 これが非常に美味しい! 自分の強さを誇示しておきながら、その実前に進むことを恐れ(もちろん兄の存在は彼にとってそれこそ呪いのように大きな十字架としてのしかかっていただろうし、公表されれば確実に大事件である)、新たな友人よりも昔の集団を選び変化を拒んでしまったリーゼントは、自分の弱さを自覚し、前に進むために新たな仲間たちに秘密を打ち明ける決意をした不二咲千尋に嫉妬してしまうのである。美味しい……。 庇護する対象として「男の約束」を交わしたはずの相手は、自分よりずっと先にいることを思い知らされたリーゼントの胸中はどうであっただろうか。強いつもりになっていただけの自分を頼ってくれた不二咲千尋に感じたものは本当に嫉妬だけだったのだろうか。考えなかったわけではないだろう。もしかしたら族の連中も今までの功績でたとえ真相がそうであれ自分をリーダーと認めてくれるかもしれないと。ここで出会った新たな友人たちが助けてくれるかもしれないと。ぐるぐると回る思考の中で、最後に彼が信じられなかったのは自分自身だったのだろう。
 事が起こってから何度も後悔したことだろう。いざ裁判が始まってみれば新しい親友はあんなにも自分のことを庇ってくれるではないか。けれども時は戻らない。少しでも不二咲千尋に詫びるための余計な行為が引き金となって疑惑が決定的となり、ついには観念した彼の胸中を思うとメシウマが止まらない。 こうして、不二咲千尋は自らの嘘を精算することで、誰かの逆上を呼び、ひとつの事件を引き起こし、二人の命を失う結果となった。不二咲千尋は間違っていたのだろうか? そんなはずはない。秘密を持った人間がその秘密を明かす、その瞬間に再構築される関係こそが最もエモいのだから。今回はそれが殺人事件という展開を呼び起こしただけだ。不二咲千尋の生き方は何より美しかった。そう思う。
 ……頼むから舞園さやかちゃんか不二咲千尋のどっちかでいいから帰ってきてくれ……。
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ムービーギャラリーが虚しすぎるんです。
 全体のストーリーラインとしては、真犯人が後ろめたさと贖罪の気持ちから取った行動が結果的に余計な行動となって犯行が明らかになる展開は非常に良く纏まっていてスッキリ出来たと思う。冷酷になりきれずに取ってしまった行動が結果的に自らの破滅を呼ぶ、というのはこの作品の中で統一したテーマとなっていきそうなので今後も注目していきたい。その点野球部って全く考察することなくてすげーよな。 で、ここで一つ気になるのが、リーゼントは「ギリギリちゃんの誘導尋問」と「サウナに学生証を投げ込む行為」が決定的な証拠(正確には決定的な証拠ではないのだが、このゲームは逆転裁判と違って客観的に決定的な証拠が生まれ得ないので仕方ない)となって無事裁判でクロ判定されたわけだが、もし「ギリギリちゃんが口を挟まず」「サウナの学生証が発見されていなかったら」リーゼントを犯人とするのは御曹司の「現場から出ていくリーゼントを見た(しかも男女のどっちかが判別できる場所で見れていない)」という証言だけになってしまう。この状態だといくら御曹司が口八丁を重ねても風紀委員は確実にリーゼントに味方するだろうし、水泳部あたりは情に流されそうだし、ジェノサイダーは「どうせなら正統派イケメンが処刑されたほうが萌える」とか言い出しそうだし御曹司負けてたんじゃないの……? とずっと思ってる。不二咲千尋の性別にも更衣室入れ替えにも気付いてなかったようだし実は結構ポンコツなのかこいつ? と思うと裁判終了後にデカい顔して堂々と宣戦布告した挙げ句自分も一部分っていなかったトリックの解明で「危険すべき相手がわかった」とか言っちゃうその神経も許せようものである。
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煽り耐性低いところもかわいい。
 ようやく最後の話題までたどり着いたのだが、chapter2の最後のシーンで「彼女が口火を切ってくれたおかげで殺し合いが始まった」の彼女ってもしかして舞園さやかちゃんを指してるわけじゃないんじゃないですか? よく考えたら部屋のプレートを入れ替えたのも野球部にお誘いの手紙書いたのもさやかちゃんだとは確定してないですよね? つまり舞園さやかちゃんを殺した真の黒幕がいるんですよ。これはきっと彼女の真相が明らかになっていく展開ですねえ、間違いない。そうに決まっているんだ(それだとさやかちゃんが包丁を持ち出した事実に説明がつけられない現実から目をそらしながら)。
次回から分割します。
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sandacsakurai · 7 years
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「トリプルブッキング」本編
リレー小説「トリプル・ブッキング」
1=サクライ
「日曜なのに早いねえ」 寝ぼすけのふたりが起きてきた。 この家では母も妹も極端に朝に弱いから、朝食を作るのも朝のコーヒーを入れるのもぼくの仕事だ。 「兄ちゃん、卵焼きはもっと甘くしてっていつも言ってるのに」 「まろん、まがまま言わないの。お兄ちゃんが、お昼ご飯には美味しい卵焼きを出してくれるから」 「いや、わるいけど今日は出かけるんだ」 「えー、うっそ極度のインドアのあんた/お兄ちゃんがぁあ?」 ふたり揃って、こいつらは…。 今日は中学からの女友達の杏南(あんな)の相談を聞く約束になっている。どうも恋バナらしい。 あの杏南がなぁ…。
2=オッセルヴァンツァ 本当は行きたくないのだが。杏南に逆らうと後が怖いので、仕方なく集合場所である駅の改札口で杏南を待っていた。 「あ、いたいた~」 「おはよう、遅かったね」 「北口で待ち合わせって言ったのに、何で南口にいるのよ!」 「あっ…ゴメン!忘れてた」 「相変わらず間が抜けてるわね、昔っから変わってない」 「これでも気をつけている方なんだけどな…」 この彼女がぼくの幼馴染の杏南、小学生の頃からの付き合いである。 腐れ縁ってやつだ。 「もう、気をつけてよね。ほらもう、じゃあ行くよ」 杏南に手を引かれて、ぼくはその場から離れて行った。
3=ウニ太郎 杏南の白い指先が赤いストローを弄る。その先端が勝ち気に喋る小さな唇に吸い込まれ、ちゅる、と鳴らされてから離される。 やけに光るリップグロスに気づき、目のやり場に困ったぼくは喫茶店の窓の外を行き交う人々を見遣った。
「それでじゅりちゃんに誘われて赤高の男とカラオケ行ったの」 「はーん」 赤高、通称赤坂高校。ぼくたちの通う青嵐(せいらん)高校より数段偏差値の高い高校だ。 「ちょっと! ちゃんと聞いてよ」 「おっと。悪いわるい」 「あ、そうだ。じゅりちゃんも今日来るって」 「え? そうなのか?」
バタバタと店のドアが開く音。嫌な予感がする。 「ユウト~!!!!」 俺の名前を呼ぶ声に振り替えるとそこには美貌の巨乳・褐色・ピンク髪・スーパー転校生。 「呼ばれて飛び出てジュリアちゃんだぁヨ♡ ユウト!!アンナ!  こにゃにゃちわネ♡」 「神山!!」 「じゅりちゃんおはよ~」
神山ジュリア。先月来日した、俺の宿敵だ。
4=サクライ 「便所」 それだけ言って席を立つ。ジュリアはまたどこの言語かわからないことを言っている。多分意味は「いってらっしゃい」だ。 じゅり語を解読するに、カラオケで赤校の3年生(俺たちは2年生だ)と二時間程歌ったあと一番背の高い男と杏南はエスケープしたそうで、じゅり曰く「お似合い」だったそうだ。 「悠斗」 杏南に呼び止められビクっとなる。 「驚きすぎよ」杏南が笑う。 「大丈夫、悠斗?じゅりちゃんってほら、…じゅりちゃんだから」 「大丈夫だけど、ってかおまえがつれてきたんだろ?」 「まぁね」 けたけたと笑う杏南が、ふっと真顔になって続けた。 「今日の3時から付き合ってくれる?」 「え?まあ夕方まで付き合うつもりできたけど」 「そうじゃなくて」 きょとん、としていると杏南がクスッと笑った。 「ふたりっきりで」 「ああ、わかった」 「ありがと」と残して杏南はまた店からエスケープする。実をいうとわかってなかった。 「ちょっとまて、それまで神山の相手をさせとくつもか~!?」 杏南を追って駆け出したら、女の子にぶつかった。 「あっすみません」 おとしたハンカチを拾い手渡してから気付いた。知り合いだった。 彼女はー…
5=オッセルヴァンツァ うちの学校で知らない人は居ない、長身で綺麗な顔立ちをした彼女は2年の「桜 舞」、生徒会副会長を務めている。 別に生徒会役員だから有名になった訳ではない。百戦錬磨の兵士の様な彼女のあの眼がそうさせたのである。 そして付いた異名は『「ブライニクル」死の氷柱』だ。 「………」 「…あの、大丈夫ですか?」 「ああ…大丈夫だ」 そう言うと副会長さんは逃げる様に奥の席に進んで行った。 後で夜道歩いてたら後ろから刺さしてきたりしないよね?ね? 狼狽えていると後ろから神山が声をかけてきた。 「そんなに震えてどうしたノ?視◯プレイでイったのカ?」 「なんでそう繋がるんだよ。絶頂なんかしていないし、ぼくにそんな性癖は無い!」 全く、周りの目とか気にしろよ、只でさえ目立つ見た目なんだし。大体なんでぼくが一々ツッコむ羽目になっー 「あー!マイちゃんだーこにゃにゃちわー♡」 …忙しい奴であった。 「あぁジュリアか、奇遇だな」 「マイちゃんもティータイム?ジュリアもネー」 どうやら2人は仲が良いらしい。神山が転入してきてまだ1ヶ月も経たないのにあの副会長と友達になるとは、神山ジュリア恐ろしい娘…! そんな事を思っているうちに、どうやら2人はぼくの存在を忘れ、会話に夢中になっているようだ。 杏南との約束があるし、面倒ごとに巻き込まれたくない。それにトイレにもまだ行っていないからぼくの膀胱は限界に近い。ぼくは気付かれないようにコッソリ抜け出そうとすると。 「あっ マイちゃんにユウトを紹介しておくネ!」 逃すものかと話題の矛先をぼくに向けてきた。ジュリアめ、こんな時に限って…
6=ウニ太郎 「桜さん……ですよね?」 着席し、生唾をゴクリと嚥下したぼくは先陣を切った。アイスコーヒーのグラスの結露とぼくの冷や汗がシンクロしている。 「ああ。私を知っているのか」 「モチロンロンだぁネ! ユウト、女のチチとケツ目で追うイズ大変なご趣味ヨ♪」 「は? 貴様、この私を常日頃から視姦していると言うのか?」 ギロリと睨まれた眼差しはまさに死の氷柱。 「神山やめてくれ! 誤解ですよ!!」 「ぱっくりゴカイチョウ〜!? 破廉恥ネ♡」 「本当にそんなことないですって……桜さん、コイツの言うこと信じないでよ!? ぼくは本当に桜さんのこと、普通に尊敬してただけだから!!!」 「ふむ……」 (あっ、ノリでタメ口を聞いてしまった!) 元気に騒ぐ騒ぐジュリアの淡いピンク色の巻き毛を指で弄びながら、副会長が緩やかに目を伏せた。これはまずい。 「すみません!!!!! 乗せられて粗野な言葉遣いを」 「いや、良いのだ」 慌てたぼくの言葉を副会長が遮る。 「えっ?」 「お前、なかなか見込みがあるな。友人関係にある訳でもないこの私に親しげに話しかける奴はめったに居ないぞ」 「はあ……」 「オー! ユウトラッキーね! マイちゃんの見込みバチコン外れないヨ。マイ、ジュリアと同じ事思うネ♡ウィアフレェンド♡♡♡」 ジュリアのノリでどうにか切り抜けられそうだ。桜に抱きつきながらジュリアがこちらにウィンクをする。いかんせん圧が強い。 「なあ悠人、お前、私と共に生徒会に入らないか?」 思わずぶっとコーヒーを吹いた。 「な、なんですと!?」 「お前の瞳には他の誰にもない何かがあるようだ。ぜひ私と青嵐高校の明日を作り上げようじゃないか」 「急に困りますよ! ぼく、なんの取り柄もない帰宅部ですよ? 桜さんにそこまで言ってもらう価値なんてありません」 「私の言うこと、聞けるだろう? 」 突如半身を乗り出した桜さんがぼくの顎を手でなぞり、頬に鋭い爪を食い込ませる。呆気に取られたぼくは思わず学園の誰も彼もに恐れられるその瞳を間近に見据えてしまった。 「な? お願いだ」 「桜さん……」その瞳の奥に一瞬、春の陽射しが煌めく。
「ひゅ〜〜〜〜〜〜!♡!♡!♡!♡!♡!♡!♡ ソームーディ♡♡♡見せつけてくれんじゃねェカ!!!」 「あっ! すみません!!」 ジュリアの一言で我に帰る。あれ? 今日のぼく、ジュリアに救われてないか? 「いいんだよ悠斗。じゃあ今日から生徒会役員としてよろしく頼む」 「困りますよ! とりあえず保留にさせてください」 「そうか……」 どことなくシュンとしたような桜さんには申し訳ないが、こちらは頭が爆発しそうだ。一旦間を置く必要がある。杏南との約束もあるのだ。 「とにかく、とりあえず今日は失礼します! ジュリアもまたな!」 「オッケ〜♡アンナによろよろ♡♡」
千円札を卓に置いて店を出る。待ち合わせに遅れそうだ。急がねばならない。 そういえば、ジュリアはどうして杏南との約束を知っていたのだろうか。とにかくまあ後で考えよう。ぼくはスマホを取り出し、杏南に電話をかけた。
「マイ、ユウトとすっかり仲良しね♪」 「ふふ」 「どしたネ?」 「私の言うことに従わなかった人間は久しぶりだ。まったく本当に、面白い男だよ……」 桜舞はジュリアに毛先を三つ編みにされながら、ひとりごちるように呟いたのであった。
7=サクライ 「ごめん待たせちゃって」 駆け足で駆け寄ると、杏南が無言で腕時計を指差すジェスチャーをする。 「まだ三十分前」 「えっ、そんなはずは…」 腕時計が一時間ズレてる。ぼくが真顔になった瞬間杏南がゲラゲラ笑い始める。 どうにも遊ばれてる気がする。昔からそうだ。だから苦手なのだ。 「まさか、おまえが隙をみて時計進めたとか…」 「なに?被害妄想?悲しいなー、独り者はー」 とは言うが杏南のことだ。分かったものじゃない。 …ところで、それなら杏南は30分前からなにを 「ほら、待ちぼうけで足が棒なんだからどっか入ろう!」 杏南に引っ張られ思考が遮られた。
そう赤校の先輩のことを聞かないといけないんだ。ぼくとしても長い付き合いの杏南が浮いた話を持ち出して気が気じゃない。ぼくの周りにそういう話は聞かないだけに、詳しく聞いておかないと。 しかし結論からいってその件は流れた。「ブライニクル(死の氷柱)」の再登場によって。 「桜さん!?なんでここに・・。てかなんで三つ編み?」 「うむ。君が財布を忘れていたからな。届けにきた」 「え!?うそっ!?すみませんわざわざッ!」 「うそだ。君にもう少し説得の余地がないかと思ってな。・・気配を消してつけてきた」 「そこはウソをつき通してくださいよ!マジで怖いんですからッ。夜道歩けなくなるじゃないですか!!」 ふと杏南が、らしくもなく張りつめているのに気付いた。 「桜…マイ」 「ジュリアが『アンナによろよろ』とか言ってたからまさかとは思ったが…本当に史歩杏南とはな」 「なに?あんたまだ根に持ってるわけ?」 「あたりまえだ。おまえのせいで父がどうなったか」 なにやらふたりには因縁があるらしい。杏南…一体何したんだ…。 「政治アナリストとかいってるから少し意見と質問しただけじゃないの」 「だまれ。あの日父はショックで寝込んでしまったんだ。人前で女子中学生に論破されてあんな恥をかかされたのは初めてだったのだ」 …はい? 「は、メンタル弱すぎるんじゃないの?そんなんで恨まれちゃ敵わないんだけど?」 「あの父の姿…。あんな父は見たことがなかった。あれから連日下痢で一週間で5㌔も痩せてしまった…!」 お父さん弱すぎませ��か!? 「父を励まそうと当日に私が振る舞った手作りのシーフードカレーも全て流れてしまったと思うと私は悔しくてたまらない…!!」 それ貴方の手料理で腹壊しただけじゃねえか!!! 「とにかく私は、史歩杏南!貴様を許さないからなッ!!」 「ふん、いつでも相手してあげるから下痢のお父様でも便秘のお母様でもつれてきなさい!」 なんだこの馬鹿馬鹿しい戦争は…。 瞬間、鳴り響く着信音。 「もしもし、…神山!?なんでぼくの番号を…」 「それどころじゃないョユウウト!アンナとマイは超・・仲悪いンだってヨ!!タイヘンだヨ!二人は天敵だヨ!ライバルだヨ!ゴルゴ13だヨ!スペースコブラなんだヨ!!」 遅いよ神山。もう呆然真っ最中だよ。どっちがゴルゴでどっちがコブラなのか、今は聞かないでおくよ。ジュリア、きっと君はルパン三世だ。 「とにかく今からダッシユで行くから二人が会わないようヨロシク頼ムよ!」 「ちょ、ちょっとまて行くったって!」 「新宿二丁目のホテル街で待るヨロシな!」 「なんでそんな待ち合わせ場所なんだァ!!!」
まったくなんて日だ。ここまで女達に振り回されてばかりだ。 電話を切るとメールが来ていた。…桜舞…? いつのまにか桜舞がいなくなっている。 「あれ、桜さんは?」杏南に気いてみる。 「電話してる間に帰ったよ」 杏南はまだ少しふくれている。
あの人、会ってから数時間で何回再会しにくるんだ…。 メールを確認して戦慄した。そこには、 脅迫文。いますぐ所定の場所に来ないとSNSに拡散すると…。…僕の知られたくない唯一の秘密、な…なんで桜舞がこのことを…!!というかメルアドどうやって知ったんだ!ぼくの個人情報は回覧板にでも挟まって回ってるのか!!?
「どうしたの?」 首を傾げる杏南に平謝りしながら桜舞を追う。 杏南はさっき以上にふくれている。でも今は桜舞が優先だ。ジュリアが二丁目に着くのは彼女の足なら30分はかかるだろう。そして杏南はきっと何分もここで待っていて40分の時点でぷつんといく。あとが怖い。マジで怖い。とにかくまずは桜舞。そして神山ジュリア、最後に史歩杏南だ。本当に何という日だ。日に一回あれば厄日だっていう事件に三つも巻き込まれる。これじゃまるで……トリp…、 ぼくは余計な思考を投げ捨てて、目の前で子どもに愛想を売るササカマボコのゆるキャラを助走をつけ一気に飛び越えると、桜舞の元へ急いだ。
(第一部完…的な)
P.S.長くなっちゃいましたがキャラも出そろって一端まとめるという意味でも少し広く書いてしまいました。おおさめください。 それと現在劇中で登場した設定、状況をキャラ設定にまとめたので確認ください。サクライ
8=オッセルヴァンツァ
走って5分程で桜舞の元へたどり着いた。曲がり角で待っていてくれればいいのにと思う気持ちを抑えて、息を切らしながらも、ぼくは早速本題に入った。
「何が望みなんです?生徒会に入るのはまだ保留ですよ」「その話もいいが、今は違う。」「じゃあ、杏南の事ですか?」「見込み通り感はいいようだ。そうだ、ソイツの弱味…弱点を知りたい」「そんなのコッチが知りたいですよ」「何も知らないか、じゃあ君にはもう用は無い。消えてもらおうか…」「わっわかりました!探ってきますよ!わかったら直ぐ教えますから!!」「フフ、期待しているぞ」そう言って舞さんは小悪魔風にウィンクをして立ち去って行った。そのウィンク小悪魔どころか魔王クラスですよと言いかけてしまった、危ない危ない。魔王と契約してしまったが、弱味を握っても杏南にバレれたりしたらどうなることか、想像もしたくも無い。もう逃げ道は無いのである、不安やトラブルに悩まされない、そんな生活がぼくの社会に対する姿勢であり目標だったのにぃぃぃぃッ!!ぼくの平穏な日々よ…Arrivederci!!次はジュリアだ、携帯の時間を見ると意外と時間を消費していて、待ち合わせまで5分を切っていた。「クソ!なんて日だッ!」ぼくは例のホテル街に全力で走っていった。
9=ウニ太郎
「ハーイ♡」
ラブホテルの石段に腰掛けたジュリアがパッと顔を上げる。時間からすれば十分の遅刻だ。ぼくは息を切らし膝に手をついた。 「ごめん遅れた……」はたから見ればなかなかに無様だろう。 「いいのヨ〜」 「なんでラブホ街……?」 「ん〜……レッツメイクラヴ?」 「はは、冗談きついな」 「ヒドイヨ〜!!!!!」 ラブホテル前でシナを作る彼女は官能的なのだろう。初めて見たときは黒人ギャル的見た目に慄くばかりだったが、彼女はどちらかというとニャンニャンとすり寄ってくるタイプだった。それが童貞には厳しいところではあるけれど、ここ数ヶ月でぼくは彼女の扱いが上手くなったような気がする。 「あ、マイちゃんとアンナ! セーフか?」 「ああっ!!」 全然セーフではない。来なれないラブホ街の空気に飲まれている場合ではないのだ。 「聞いてくれよ! 大変なんだ」 「あっちゃっちゃネ」
「という訳なんだよ」 ぼくは一息に状況を説明した。ジュリアは真剣にうなづいている。 「アンナの弱味……ランジェリーがソーシンプル?」 「それを伝えてどうするって言うんだよ! というか男のぼくにそれをバラすなよ」 「オー、女のコの秘密口滑りやらかしたネ! 切腹あるヨ!」 「ああうん……」 「そうネ〜、ユウトはどうしたいの」 ジュリアの碧眼がぐっと焦点を合わせにくる。ぼくはたじろいでしまう。 「ぼくは……杏南とも舞さんとももめたくない……………」 「オー…………ジャパニーズ男のコ……」 「ごめん……」 流石に自分のことなかれ主義が恥ずかしい。しかし他にどうすればいいというんだ。 「ま、ジュリアにおまかせヨ!」 「待ってました!!」 ジュリアに頼ることにもう既に抵抗はない。ありがとうジュリア。女性は素晴らしい。
その後ジュリアはぼくに怒涛のアドバイスをくれた。要約すると、とりあえず桜舞には嘘ではない程度の小さな杏南の秘密を教えること。例えばギザ10集めてる事とか。杏南には桜舞との間に何が起きたかをそれとなく聞き、2人と仲良くすること。 それで大きく何かを変えられる訳では無いが、とりあえずの時間稼ぎにはなりそうだった。その先みんな仲良くなればいいネ〜と言って、ジュリアは微笑んだ。
「ジュリア、感謝してるよ。本当にありがとう」 「ウン!」 「じゃあ行かなきゃ」 「どこ行く?」 「杏南に会うんだ」 「………」 「どうした?」 黒いキメの��かい手がぼくの服の裾を掴んだ。 「アンナ、マイちゃん、イイナ………」 「え?」 「ユウト、ジュリアのことは興味ナイ? アリガト〜でオシマイ?」 「え?」 「ジュリア、もっと仲よくなりたいヨ」 「うんうん! とりあえず急ぐから、またな!」ぼくは時計に気を取られ、焦っていた。 バチン!!! 頬に衝撃が走る。なんだ? 「……ごめんネ」 ジュリアが呟く。ぼくは彼女にビンタを張られたのだ。 「ん…? うん……?」 「ゴメン」 そう言って彼女は走り出した。ぼくはポツンとラブホ街に取り残された。周囲の通行人が眉をひそめる。あ、これはやらかしたか? 初めてそう気づくも、ジュリアはもう去った後だ。とにかく杏南に、杏南に会いに行かねば。 気づいてはいたが、なにか大変なことになってきている。軽くパニックを起こしている自分に気づくが、とりあえずは待ち合わせに向け、ぼくも走り出した。神様、助けてくれ。
10=サクライ
「私が神だ」
「あんた誰」
「助けを求めただろう」
突然ホームレスのジーさんに話しかけられた。
「いや結構です」
「そうか。気が変わったらココに連絡をしろ」
LINEのIDを渡された。
とにかく杏南の所へ急がなくては。時間はギリギリ。全力疾走で元の場所に急ぐ。
しかし約束の場所に杏南はいない。そんな馬鹿な。あの杏南がたとえ口約束でも約束を破るはずない。長い付き合いだ。それは確信している。ただならぬ事態を察して、近くでタップダンスしているやくざに話かけた。
「ここにいたダサいTシャツの女の子、知りませんか?」
「おお、悠斗か。おめえのオヤジさん…市ノ瀬の叔父貴は元気かい?あと何年でシャバに出られるんじゃあ?」
「もう脱獄しちゃいましたよ。大きな声では言えないけど今度連絡先教えますね。・それで女の子は」
「おう頼むわ!…でもそれがなぁ。さっきそこの角にシャベルカーが突っ込む事故があってな。女の子が一人、救急車で運ばれたんじゃぁ…」
「!!」
ー杏南ッ!
…思えば杏南との出会いはお笑いだった。高学年にもなって特撮ヒーローが大好きだと隠していたぼくは、ヒーローショーのチケットを鞄からこぼしオタクバレしてしまった。おわった、と青ざめたぼくを救ったのが杏南だった。「それ中々手に入らない奴じゃん!」彼女もオタクだった。杏南は夢中になってそのヒーロー『抜刀戦士カタナ』の素晴らしさを皆に説きはじめた。その日、杏南によってぼくの人生のルートが変更された。必死で自分の趣味を隠していたぼくは、それらをオープンに皆に晒して、更に皆の流行にも興味を絶やさないその姿に憧れた。ぼくはいつしかコンプレックスから苦手意識を持っていたが…、ぼくは杏南のように生きたかった・・・・・・
手術室の前にうずくまり、ぼくは震えた。震えながら祈った。そして後悔した。
なぜ今日、ちゃんと杏南の話を聞いてやらなかったんだろう・・・・・・
今にも壊れそうなぼくの前に、あの女が現れた。
カツ、カツと音をたて廊下の真ん中をゆっくり近づいてくる。
戦士のようなその冷たい眼光。
その冷たい眼より、さらに冷えきってしまったぼくの眼を彼女に向ける。
死の氷柱・・・
ブライニクル・・・
・・・桜舞がぼくを見下ろしていた。
11=オッセルヴァンツァ
「腕の良いと噂のフリーランスの女医に切らせた。まだ油断ならない状態だが、アイツなら大丈夫だろう。」 「何で名医じゃなくて、フリーの医者なんですか?」 「私は人の本質や性格を見抜くのが得意でな。それに、杏南に死なれては困るからな」 「舞さん、やったぱり杏南のこと …」 「奴には精神的に屈辱を与えて屈服させてやる、その為にもココで死なれては困る。」 杏南を助けようとしてくれたが、やっぱり2人の仲は悪い様だ。 どうしたものかな…。 「ところで。杏南の弱点、見つけたか?」 「こんな時にそれですか?まあ…確か昔あったような…」 「ん?幼少期によくある男女の無邪気なちちくりあいで、杏南の性感帯を見つけたとか?」 「確か小学一年の時に、プロレスごっこしてる時に乳首を押したら…て何言わせるんですか!?」 「成る程、乳首が性感帯か。情報提供感謝する」 まずい、杏南に知られたらまずい! 「ぜっ、絶対にバラさないでくださいよ!?」 そう言うと舞は何処からかローションボトルを取り出し、口に塗りはじめた。口を滑らす気満々だ。 ボクは突っ込む気力が無くなってしまった。
《その時、不幸が起きた》
病院の床が地響きを始めたのである。 地震だ… それもかなり大きい。 とっさにボクは舞さんを庇う様に覆い被さった。 それと同時に建物の照明が消えた。 杏南に繋がっている生命維持装置が止まる、まずい。 大抵の病院は予備電源があるが、揺れが収まってもなかなか復旧しない。 「今日は病院の予備発電機の点検日だ、まさか日が重なるとは…」 彼女の言葉に絶望した、直ぐにでも復旧しないと杏南の命が危ない。 その時不意にあのホームレスのLINE IDを思い出した。 これを読んでる君は理解してもらえないだろうが、藁にもすがる思いでメッセージを送った。要するに大人の都合だ。
12=ウニ太郎
スマホの画面を睨みながら老人とのやりとりが始まった。と思った。いつの間にかぼくの目の前に彼は立っていた。
「若き青き君よ、今何を思うのかね?」 「わっ!! いつの間に!」 「動ずるでない」 「んなこと言ったって」 「心の目で見、心の耳で聴くのじゃ」 老人は口ひげを弄びながらにんまりとする。 「えぇ……」 「はい深呼吸深呼吸」パン! しみと血管の目立つ手のひらがぼくの眼前で打ち付けられた。 「鼻から吸って〜」 その瞬間、気が遠のく。 「口から限界まで吐くのじゃ。繰り返すぞい。はい吸って〜!」 老人の指示に逆らえない。小刻みに脳が震える。しかし、逆らいたいとも思わないのだ。どこかでもう1人の自分が何やってんだ! と突っ込みを入れるがいまのぼくは急激なトランスの快感に震えながら目の前の声に従っている。
深呼吸を重ね、何分、何時間、いや一瞬。どれほどの時が経ったのだろうか。
「もうええかね」 遠く、近く、深いところから優しい声が聞こえる。 いつのまにかぼくは柔らかな椅子に深く座っている。そこは安全で、心地よい。 「見回してみんしゃい。心の瞳を開けるはずだぞい」 すっと目をあげれば、周りにはあまたの星。暗闇の中、白や黄色、赤いチカチカとした光���粒が縦横無尽に飛び回っていた。 「宇宙………」 ぼくは随分ぼーっとしている。 「そうじゃ。ここはお前の心の宇宙。どうしようもなくなったら、たまには戻ってみんしゃい」 「ぼくは、杏南を……助けて、舞さんと、そう、仲直りさせる…………」 「焦るな焦るな。ここでの一切の時は現実世界に鑑賞しない」 「ジュリアの話、も、聞くんだ…ちゃんと」 「それがおぬしの望みか」 ぼくはゆっくり首を縦に振った。 「ほな!」老人が今度は指を鳴らした。杏南、舞、ジュリア。宇宙の中に、憎らしくも愛しい3人の女の子が浮かびあがる。全員どう考えても自立できない体制でストップモーションを貫いている。 「この真面目そうな女が杏南じゃな」 驚いた表情で固まる杏奈のスカートを老人がピラリとめくる。 「水色や」 「ほへ…………」水色か、としか感じない。これが悟り(?)の境地か。 「これは事故に遭う直前の杏南や。この次の瞬間には彼女の意識は消失する」 「…じゃあ杏南は痛くなかった?」 「多分な。次は桜舞か。神経質な感じがするのぉ」 桜舞は腕を組み、しかめっ面でよそを睨んでいる。肘に打ち付けていたであろう左手の人差し指が宙を指している。 「なんや、ライバル言うても心配しておったんじゃな。『焦り』を感じるぞい。次はなんじゃ、ケトウか」 「ジュリア……」 「発育ええのお。走っておるじゃろ。おおよそ事故の知らせを聞いて病院に向かっている所だな」 「というか……ここはどこ?」 酷い離人感に負けずに言葉を紡ぎ出す。 「言ったじゃろ。ここはお前の宇宙じゃ。望んで、そうじゃな、瞑想やら薬やらキメればいつだってここに来れるぞい」 「でも…杏南は事故にあって、舞さんは拗れてるし、ジュリアも怒らせちゃった」 「そうだな。事実は変わらない。しかしワイは伝説のホームレス。電子端末がなくても脳内にLINEできるぞい。もしも望むなら、ちょっとは時間を戻せるぞい」 「ほんとぉ?」 「半日や。それが限度じゃ」 12時間前といえば、朝、家を出た頃合いだ。 「ありがとうございます………」 ぼくは何故か涙をこぼしている。 「ただ、それには条件がある。この術は力を使う。3人のうち、2人の恋心をワイが貰うぞい」 「恋?」 「アホかお前、全員押せばヤレる状態じゃぞ。これだから童貞は」 「恋……」 「なにもワイに惚れさせようってんじゃない。パワーに変換して時間をちょっと戻すだけじゃ。余ったパワーでまた、世界を救うとでもするかね。恋心は無限大の力を秘めておるからの」 ぼくはぼんやりして、でも現実世界はいろいろヤバくて、しかも得体の知れない老人に大変な女どもの恋心までリークされてぐちゃぐちゃだった。それでも何故か安心感と、また現実でうまくやろうという希望が漲ってきているのを感じた。 「ええか?」 「はい! 」 「ほな行くで〜。一人だけ、女を念じて目を閉じるんじゃ。しっかり『選択』するんやぞ」 「本当に、ありがとうございます」 「人生は自由自在じゃ。また別ルートを選びたくなったら口説き落とせばええんじゃ。ほな、少年よ、また会おう!!」 「アイアイ・サー!」 ぼくの心から、無限の希望が湧きだすのが感じられた。ぼくはちょっと考えて、愛しい彼女のことを思い浮かべた。瞳を閉じると彼女の優しい笑顔が脳裏に浮かんだ。身体が回転する。気持ちいい。 「追伸じゃ! みんなええ子や。女の子らとも、巡り会う全ての人とも仲良くするんやで〜〜!!!!」 遠い上の方から老人の優しい声とカラカラした笑い声が聞こえた。 ぼくはもう迷わない。全ての選択は今に繋がるのだ。ぼくは今、今に辿り着く。
「起きろクソ兄貴!!!!!」 「おはまろん」 なんで爽やかな目覚め。さあ、今、1番会いたいあの子に会いに行こう。
《あなたは誰を選びますか?》
13=サクライ
意識は戻ったがまだ朦朧としていた。 どうも二日酔いのような感覚だ。飲んだことないけど。 「ほら食え兄貴。激辛の卵焼きだ」 「はい」と言って箸をつける。おかしいな。なにかおかしい。 「お兄ちゃんは今日、杏南ちゃんとデートなのよ」 「杏南さんってあの幼稚園のころから兄貴とイチャついてる娘でしょ」 やっぱり、なにかおかしい。
「あらめずらしい。ちゃんと南口にいる。あんたのことだから北口を先に見てきたのに」 杏南は相変わらず辛辣だ。いややっぱりちょっとおかしいか。 「じゃあ行くよ!」 「まって。行きたい所があるんだけど、ぼくの方に付き合ってくれない?」 杏南はまったく予想外という風に、きょとんとする。 でもすぐに「いいよ!」と笑顔になった。そして小声で「じゅりちゃんに謝っとかないと」と加えた。でもぼくは聞き流した。もっと気になることがあった。
「それで赤校のやつとはどうなったんだ?」 「なんでそれ知ってるの?」 電車の中で突然切り出した。色々と段階を踏むべきとは思ったが、そのままぶつけることにした。そうしたかった。思うままに感情をぶつけても、彼女は受け取ってくれるという確信がぼくにはあった。 「まあさ、それを今日聞いてもらおうと思ったんだけどさ」 「どんな奴だったんだ」 「まあ、いい人だったよ。背高いし、歳上だけあって悠斗よりオトナだし、赤高だし」でた辛辣。 「でもさ。あんまグイグイ来るから白けちゃって。会ったその日に二人っきりのデートってのもちょっと趣味じゃないのにどんどん人気のない所行くし。だから失礼のない程度につっぱねて帰ってきちゃった」 「じゃあ特になにもなかったんだ」 ぼくは無意識に安堵の顔を見せる。 「まあね。でも色々考えちゃってさ。あたし、もう17よ?色々知っときたい気持ちだって少しはあるし。いつまでも振り返らない朴念仁をいつまでも待ってる気もないんだから」 「…?どういう意味かわからないな。…それが相談したかったことか?」 「まあね!でももういいわ。なんか迷いは消えた気がする」 杏南はぼくの目の前で、男の名前の連絡先を削除した。きっと赤高の男だろう。 「思えばあたし、待ってたことなんてなかった。朴念仁は手強いけど途中で投げ出すなんてあたしらしくないもの。あたしのやり方で最後までやり切ってみせるわ。別の相手追いかけるのはそれからでいい」 「よくわからないけど、解決したみたいだね。いつもの杏南の顔になった。応援してるよ。頑張って」 「あんたも頑張んのよ」 「えぇ…」相変わらず怖い幼なじみだ。 と、車窓に鎌倉の海が見えた。 「もうすぐ極楽寺駅だ」 「どうしてここに来たかったの?」 「なんとなく。父がいたころの思い出があるから」 「ふうん、思い出の場所か」 「ごめんね、急に付き合わせちゃって」 「ううん、悪くない」 「なにが?」 「ほら、海きれいだよ」 本当だ。彼女と一緒に見られてよかった。本当に。
「久しぶりだな!餓鬼!」 極楽寺で待ってたのは髭面で黒尽くめの男。 「あ、杏南のお父さん!?」 「そうだ!そしてお前の父親に無実の罪を着せた極悪極道、宅彩度組(ダークサイド組)組長にして暗黒面に堕ちた極道、史歩穴筋だ!」 「な、なんだって!衝撃の真実を2行で説明しやがって!なんのつもりだ!」 「衝撃の真実?甘いな!本当の衝撃はここからさ!おまえは俺が捨てた倅を市ノ瀬…つまりおまえの親父が育てた子…。俺はお前の父親だ!!!!つまりお前達は実の兄弟!市ノ瀬悠斗と史歩杏南は双子なんだ!!!!」 「なんですってー!」 「なんでそんな複雑な設定を最終回で持ち出すんだ!」 「最終回?甘いな!本当の前途多難はここからさ!本当の戦いはここから始めるのだ!まだ100話は続けるぞ!」 「ふざけんな!俺はもう嫌だ!!」 「トラベルデートなんかせずにトリプルブッキングしとけばよかったな!じゃあな息子よ!杏南は頂いていくぞ!諸々の問題と向き合ってから追ってこい!!」 「いやだぁぁぁあああ!!!!!」 最低の日曜日はまだ終わってくれそうにない。いや終わってくれよ。               完  つづく
13=オッセルヴァンツァ
-ボクは時間を遡った-
あの神様の力によって…
-ボクは時間を遡った-
みんなと隔たりなく友達になるために
-ボクは時間を遡った-
…………………。 ………。 …。
ボクは朝食を作りながら考えた。 どうすれば皆無事に過ごし、杏南と舞さんの関係を修復し、ボクとジュリアとの壁を取り払うか。 後者の場合はボクの苦手意識を克服し、接し方を変えればいいだろう。
問題は前者だ。
くだらないと言えばくだらない原因で関係が悪くなっている、これをどうやって和解させるかが重要だ。 杏南はプライドが高く意地っ張りだ、そして舞さんは目的の為ならば手段は選ばない。
厄介にも程がある
お互い絶対に引く事は無いだろう、どうするか。 「お兄ちゃん!卵焼き焦げてる!」 「あっ、しまった」 「お兄ちゃんどうしたの、焦がすなんて珍しい」 「ははは、ちょっと考え事をな」 「なになに?お悩み相談ならこのマロンちゃんにお任せあれ!」 「いや、いいよ」 「ガーン!冷たい」 「はいはい、作り直すから席に着きなさい」 時間は巻き戻っただけだ、どこかの選択を少し変えれば未来は変わるのだ。 この世の全ては連鎖反応によって成り立っている。 そうと決まれば、ボクは急いで朝食を済ませ、駆け足で杏南との待ち合わせ場所に向かった。
「…遅い」 「ごめん」 息を切らしながらボクは杏南に言った。
杏南に連れられ、ボクは近くの喫茶店に入った。 あの時死んでしまった杏南がこうして生きているのは不思議な気持ちだ。 それよりもここからが問題だ、杏南と舞さんの仲を良くし、ジュリアとの隔たりを無くす。チャンスは一度きり。おそらくこれが最後である。 「悠斗、何考え込んでいるの。話聞いてる?」 「あ、ごめん。聞いていなかった」 「ムカッ」 ムカッて口に出して言う人初めて見た、そしてあざとい。 「悠斗はどうなの、恋人とか作らないの?」 内心ドキッとした。 「うーん、恋人か…あまり考えた事ないなぁ、楽しそうだけど」 「ふーん、彼女作る気はあるんだ」 「作る気って、まぁできるならそうしたいけど。」 「じゃあさ、私と付き合ってみる?」 「は?今何て?」 「だからさ、私と付き合ってみないかって言ってるの。」 お前は何を言っているんだ、また杏南はボクをからかう気なんだな。昔からそうだった。 「またそんな事言って、ボクをからかっているんだろ」 「ためしてみる?」 いたずらに微笑む杏南。 やめてくれ、うっかり惚れそうになる。 「ちょっとトイレ」 このままでは杏南にいいようにされるので戦略的撤退を決めた。 トイレに入ろうとすると長身の女性とぶつかった。 「あっ、すいません…て、舞さん!」 「初対面でその反応は感心しないな。君、青嵐の生徒か。」 「はい、そうです。」 「…ん〜…」 彼女は唸りながら考え込んだ。 舞さんは人の性格などの内面を見抜ける特殊能力とも言える特技があるのだ。 噂では生徒会役員の大半が舞さんが選抜しているらしい、軍隊でも作るのだろうか。 「フフフ…」 「な、何ですか?」 「いや、興味深いと思ってな。」 何やら企んでるような顔をしている。 そうこうしているとあの転校生が現れた。 「マイちゃ〜ん!おまたネ〜」 「げ、ジュリア」 「ユウト酷〜い、でも何でユウトとマイちゃんが一緒に居るネ。モシカシテ付き合ってるのカナ〜?」 「おいジュリア、舞さんに失礼だろ」 「そうか?私は付き合ってみるのも面白そうだが」 「え、舞さん?」 この人も何を言っているんだ? 「ヒュ〜、マイちゃん大胆〜」 あーめんどくさい事になってきたぞ そしてさらに面倒な事になった。 「悠斗、いつまでトイレに居るつもり…桜舞…」 「…杏南」 すっかり忘れてた、まずい空気になった。 「なんであんたが居るのよ」 「お前はこのフルール・ド・ラパンのオーナーでもないのに偉そうだな杏南、私がどこにいようと勝手だろう」 「マイちゃんアンナストップ、ストーップ!ジュリア2人が喧嘩するところ見たくないネ!」 「……。」 「………。」 しばらくの沈黙が訪れたが、みんな気づいて。他のお客さんがこっち観てるよ〜。 「あのー、お客様。他のお客様のご迷惑になるので…」 ほら、店員さんが来ちゃったよ。 出禁になったらどうするのさ。 「もういい、私帰るわ。悠斗、会計よろしくね」 え?ボク持ちなの?杏南さん結構注文しましたよね?手持ち足りるかな。 なんて思ってるうちに杏南は姿を消していた。 「はぁ、全くくだらないことで喧嘩なんて子供ですか」 「くだらないとはなんだ貴様、あいつは私の父を侮辱したのだぞ。それに貴様には関係ないことだろう?何故首を突っ込む」 「関係ありますよ、ボクには」 「ほう…では聞こうか、どんな関係があるのかを」 「それは…」 「2人ともー、ジュリアの事を忘れてないー?」 ジュリアが不機嫌そうに頬を膨らませている、リスかよ可愛いな。 「そんな事はないぞジュリア」 「マイちゃん…///」 ジュリアをそっと抱きしめる舞さん。 えっ?なに?2人はそんな関係なの?聞いてませんよ? 「どうだジュリア、久々に今夜は一緒に…」 「お取り込み中すいませんが、ボクの話を聞いてくれますか?」 これ以上はまずいので話を戻す事にした。 「ああ、すまない。ジュリア、先に私の家に行っててくれ、続きはその時に…///」 「うん先に待ってるネ♡」 うわぁ…この2人マジだ…まあいいや 「待たせたな、では話を戻そう。貴様に私とジュリアにどんな関係があるのかを」 「舞さんと杏南でしょうに、ジュリアは舞さんと杏南が喧嘩しているのが嫌なんですよ。それはボクも同じ気持ちです。みんなで仲良く平穏に過ごしたいんですよボクは。」 「それは知っている。杏南がキチンとした謝罪をしたら私は許すつもりでいる。だがアイツはその素ぶりを見せるどころか敵意を剥き出しにしている。それが気に入らない」 「確かに、杏南は意地を貼ることがありますからね」 「もっと謙虚で気遣いができれば、良き人間になれるのに勿体ない女だ」 杏南をいくら説得しても絶対に謝罪に応じないだろう、だったら他の手を考えなくては、だったら… 「舞さん、ボクを生徒会役員に入れようと思ってますよね?」 「!?何故わかった、一言もそのような発言はしていないのに…ふふ、やはり君は興味深いな」 「生徒会に入る代わりに1つ条件があります」 「何だ?言ってみろ、話しぐらいなら聞くぞ」 「杏南を許してやって下さい」 「ほう、その条件は高くつくぞ?」 「わかっています、それでもお願いします」 「君のその執念、気に入った。いいだろう、条件を受け入れよう」 「本当ですか!?ありがとうございます!!」 「では今から君は私の専属執事だ」 「へ?」 「高くつくと言っただろ?今からお前は私のモノだ、文句は無いよな?」 新しい玩具を見つけたかのようなサディスティックに笑う舞さん。何だろうこの気持ち、嫌いじゃない 「沈黙は了承と受け取る、では今から私の家に来い」 「え?確かジュリアも居るんですよね?さ…3Pだなんていきなりすぎますし、第1未経験ですし…」 「ゲーム機は複数台用意すれば良いし、オンラインプレイだから人数はあまり関係無い。操作方法と立ち回りは私とジュリアが教えるから心配するな」 「え?ゲーム?」 「ん?ゲームだぞ?何だと思ったんだ?」 「い…いや、あの、その…」 「もしかして、やましいことを想像していたのか?」 慌てるボクの顔をゲス顔で覗き込む舞さん、く…/// 「まあいい早く向かうぞ、時間は有限だ。あ、先ずは会計を済ませなければな」
実に奇妙で長い一日になったが、何はともあれ以前よりはいい結果にはなった。 しかし2人がプレイしているゲームがアーマード・コアって… でもゲームのおかげでジュリアとも仲良くなれた。 舞さんが杏南と喧嘩する事もなくなったが、今度は舞さんがボクを誑かしているとか言いがかりをつけ始めたが、約束通りに舞さんは穏便に話を済ませてくれたし、多少は関係が良くなっている。 それと、生徒会での仕事はいろんな意味で疲れるたが、それはまた別のお話。
-END-
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seieifsetsuna · 3 months
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seieifsetsuna · 3 months
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