Tumgik
#130kmやったん?みたいな驚き顔のめいめい
oka-akina · 1 year
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20220108
 8日朝、夫の父が急に亡くなり、急いで夫の実家に駆けつけた。この日は午後から読書会の予定だった。わたしは少し早めに起きて本を復習し、印象に残ったところや話したいことなどをメモにまとめていた。ショーン・フェイ「トランスジェンダー問題」。それから文フリ京都のおしながきを作った。イベント前におしながきを作るのは久しぶりで、ギリギリ入稿の新刊がないとこういう準備もできるなと思った。部屋が寒かったので熱い紅茶を啜っていた。  7時半すぎ、夫が慌てたようすで起き出してきて、「おふくろから電話で、親父がなんか倒れたみたいだから行ってくる」と言った。それわたしも行ったほうがいいかなとたずねたら夫は首を傾げ、「いいよ、だって予定あるだろ…」とぼそぼそ言った。そしてつけくわえるみたいに「なんかおふくろが、お父さん死んじゃってるかもって言って…」と言い、ばたばたと顔を洗い始めた。「なんかおふくろもパニック状態で要領を得ない」、ごほんと少し咳をする。夫は混乱すると咽せる。これはほんとにやばそうだなと思った。ともかく行こうよ、一緒に行くよとわたしは言った。何もなかったら何もなかったねでいいんだからと言ったら、夫もそうだよなと納得した。それでわたしも支度をした。このときはまだわからなくて、わたしは付箋でいっぱいの「トランスジェンダー問題」を一応リュックに入れた。  夫は弟二人に電話し、わたしに言ったのと同じことを言った。上の弟はすぐ電話に出なかった。その間に義母とふたたび電話がつながった。「ともかく今からすぐ行くから」と夫が言う。「お父さん亡くなっちゃったのよ」と義母の声が聞こえてきた。「わかんない、亡くなっちゃってたの」「ゆっくりでいいから気をつけて来て」、そういういくつかの言葉の後半が涙声になっていて、ああほんとに亡くなったのだと思った。おととしに亡くなった美少女さんのことを思い出した。  下着と靴下など、泊まれる支度をし、ちょっと迷ったがMacBookもかばんに入れた。夫の実家はWi-Fiがないので持って行ってもワープロだよなとは思った。お湯を沸かして小さい水筒に紅茶を入れた。こういうときは何を着たらいいのだろうと思った。黒いスキニーパンツにカーキのスウェットを着た。眉毛を描いた。上の弟と電話がつながり、「聞いた、死んじゃったんでしょ」と言った。死んじゃったという語が初めて出てきたと思った。ちょうど名古屋駅にいてすぐのぞみに乗れるから、9時20分に東京駅に着くと弟は言った。  夫は車を飛ばした。メーターがずっと129km、130kmを指していた。晴れていて道は空いていた。車のスピーカーに夫のスマホがBluetoothで接続され、イエモンの「アバンギャルドでいこうよ」が流れた。そのままイエモンを流したまま走り、わたしたちはほとんどしゃべらなかった。  明日は前にいた会社の同期と集まる予定になっていたけどこれはもう欠席だろうなと思った。レンタルルームを借りたポットラックパーティー。わたし以外みんな子ども連れで来るというから、子のいないわたしはやや気の進まない会で、誘われたときからずっと仮病しようかなと思っていた。いや行けない口実をいくつも考えてはいたけども、子がいないから気まずかったんだろうなと思われるのがいやで、やけに気合を入れて準備していた。近所のビストロでチョコレートのテリーヌを予約していたし、爪もマットの黒をきれいに塗った。夫のお父さんが亡くなってという言い方は、誰々が危篤でといったいかにもなずる休みの方便そのままのような言い方だ。
 9時前。夫の実家に着いたら先に伯父が来ていた。義母の兄。五人きょうだいの長男。コロナ禍になってから親戚の集まりをしていなかったので久しぶりに会った。あたりは静かで、家の中も静かだったが、いま警察が来ていて二階で検死していると義母と伯父が言った。家で死ぬと変死扱いになるという何かで読んだ話を思い出した。  なにがなんだか…と義母が言い、まだ二階には上がれないそうで、茶を飲んで待った。夫がやかんを沸かそうとしたがIHの使い方がよくわからないのかうろうろしていた。壁際に伯父の手提げがぽつんと置いてあり、信三郎帆布の手提げだった。  朝起きたらお父さんが動かなくてと義母が言い、まず兄(伯父)に電話をかけたのだと言った。伯父は以前消防隊員だったからだろうと思った。わたしたちはマスクをしたまましゃべった。正月はいつも通りだったし、5日に病院行ったときは今度検査入院しましょうというだけでまさかこんなことになるとは、咳やリウマチはきつそうだったがだからってと義母は言い、おとといは自転車に乗って自分で酒を買いに行ったのだと言った。  何度か警察官の人が二階からおりてきて、本部から臨場が来ますのでとか、午前中のうちに検死の先生が来ますとか説明し、フィクションの中で幾度も見かけた語だなと思った。2時間ドラマや警察小説のようだと思った。そして物盗りの犯行ではないことを証明しますとかお父さんの指先の欠損はこれはいつのものですかとか、いろんな人が五月雨式にいろんなことを尋ねるのでよくわからなかった。警察の人たちは黒いパーカーに黒いワークパンツで、むしろ泥棒のようないでたちだった。  まず兄に電話したんですと義母が言い、それから着替えて119番通報をしたんですと言ったら、それはなぜですかと何度も聞かれた。先に着替えたのはなぜですか。疑うわけではなく形式的なことなのだろうがいろんな人からそういう質問をされ、べつに調書もメモもとらない。あとから来た三人組の人が義父の財布や通帳の場所を尋ね、写真を撮り、その人たちは何か書類を書いていた。お医者さんが到着し、この人は白衣を着ていたのですぐ医者だとわかった。  11時過ぎになって警察の人たちがみんな帰り、やっと義父と対面できた。布団の中で寝ているみたいに見えた。でもすっかり白い顔になっていて、ああ亡くなっているとどう見てもわかった。帰り際に警察の人が死因など話したが、いつも通っている病院ではない初見の先生がみてくれたからこれは持病との関連はわからないものだとのことで、ようするに心臓が止まっていますということしかわからなかった。わからないけども急に亡くなった。こたつに足を入れながら夫が「これは最後まで泣けないかもしれない」とつぶやいた。  伯父が帰ったのと入れ違いに弟たちが来た。途中で合流できたのだと言った。上の弟はものすごくおしゃれなスーツを着ていた。二人はすぐに二階に上がり、父親と対面し、大きな声で泣いた。弟たちが泣いたので義母もやっと泣いた。
 家で亡くなったので死体検案書になるという。さっきのお医者さんのクリニックに取りに行くことになり、お金もそこで払うという。  葬儀をどうしようとなり、祖父母のお墓のある霊園で葬儀ができるようで、夫が電話した。ご遺体は霊安室で預かれますと言われ、そうしますとなったが、1時間ちょっとですぐ来てくれるとのことでかえって慌てた。ドライアイスで寝かせておくこともできますがとは言われたが、兄弟三人と義母で話しあい、お願いすることになった。  弟たちがスーパーでお茶やお弁当やおにぎりを買って来てくれて、わたしは鮭とひじきなどの弁当をもらい、ごはんはせりの混ぜご飯だった。七草の残りだろうと思った。近所の人たちが挨拶に来てくれて、みんな泣いていた。義母もまた泣いた。  そうしていたら霊園の人が来た。二階の部屋から階段を下りて車へ、遺体は布の担架で運ぶことになり、白い布で包んだ。顔が布に包まれるとき弟たちが泣いた。階段を下ろす際、弟たちが手伝った。夫はドアを開けたり物をどかしたりしていた。夫は亡くなった父親の体にまだ触れていない。わたしは少し歯痒く思ったし声もかけてしまったが、夫なりの混乱やきつさがあるのだろうとのみこんだ。車に乗せるときさっきのご近所さんも見守ってくれた。道の奥でどこかの小さい子どもたちが遊んでいるのが小さく見えた。
 みんな霊園に向かうことになり、夫とわたしはクリニックに寄り検案書をもらってから向かうことになった。何かクリアファイルみたいなものあるかと夫が言った。検案書はあちこちに提出するからコピーを取るし、今後こういう書類が増えるだろうと言った。わたしのリュックには松屋のおまけでもらったすみっコぐらしのファイルしかなくて、すみっコぐらしだとふざけてるかなと言った。おれはすみっコぐらしはべつにふざけてないと思うと夫が言った。病院でもらおうよとわたしは言った。5万も払うんだからクリアファイルくらいもらったっていいでしょと言った。死亡確認書ではなくて検案書だから5万円かかる。さっき金額をきいて驚いた。5万円、急に用意できなかったらどうなるんだろう。  クリニックはお休みの日で、わたしたちのために鍵を開けておいてくれたようでスリッパがきれいに揃えてあった。検案書を受け取るとき、これ何かクリアファイルみたいなものに入れてもらってもいいですかと、さも今思いついたみたいに言ってみた。そうしたら快く新しいクリアファイルの束をひとつ開けてくれた。
ーーーーーーー こういう日記はいくらでも書けそうに思います。隙間をみて書き留めていますがどんどん長くなっていく。でもこれでも取りこぼしたことや書きそびれたことがたくさんある。 谷川俊太郎の「父の死」という詩のようだなと思います。「世間知ラズ」収録。だったかな。いま夫の実家なので確かめられない。検索したら、詩の全文と感想を載せているブログに行き合いました。 https://blog.goo.ne.jp/shokeimoji2005/e/59c19002d057011a087ebed81cc3f018
「人が死んで、そのことを悲しんでいるのにおもしろいという感想をもつのは不謹慎かもしれないけれど、おもしろい。興味をそそられる。」「そのおかしさを全部読み終わると、何か、こころが落ち着いている。そうか、そうなんだ。これを全部受け入れるということが、ひとりの死を受け止めることなんだ、とわかる。」ああ本当にそうだなあと思います。
亡くなったのはわたしの親ではなく夫の親だからか、悲しいとか落ち込むといった感じではなく、なんとも冷淡なようですが今のこの状況丸ごとをじっと観察している…という感じです。参加者。亡くなった人の親族という立場に参加している人。夫の実家に来るとわたしはいつもホームステイの子という感じですが、義父の死においてもそういう感じです。 なのでわたしはかなりいつも通りのテンションなんですが、そして相続とか遺産整理の仕事をやっていたので正直イキイキしてしまっているふしもあるくらいなんですが、リプライやDMなどでお声かけてくださった方ありがとうございます。
葬儀は金曜日の予定で、しばらく夫の実家に泊まることになりました。今日の昼、ともかくWi-Fiをどうにかしようよと夫と話しあい、ポケットWi-Fiをレンタルしてきました。Wi-Fiにつながったら不思議なほどほっとしました。Wi-Fiの扇型のマークを見ると元気が出てくる。と書くとなんだかばかみたいですが、ほんとにそうなんだよな…。
日曜日の文フリ京都は参加できそうです。またあとでお知らせを書きますが、おそらく当日朝に新幹線で向かうことになりそうです。すごく無理をして参加するというわけではないですのでご心配なさらず…。葬儀などは終わっている日程で、楽しみにしていたイベントに予定通り出かけた方が気持ち的にいいかなあという感じです。 ただ当初の予定では土曜の夜から2泊するつもりだったのですが、それはさすがに難しいかなという感じ(土曜まで夫の実家にいるので)。日曜の夜は泊まるかな。体力的にラクというのもありますし、一人でバタッと寝る時間があった方がよさそうな気がする。わたしも夫も。 ふだんほぼ意識していないし、わたしの生活や認識はそうではないのですが、それとはべつのところでわたしの立ち位置は「長男の嫁」なんだなあと驚いています。とはいえまだ「驚く」レベルの他人事感ですね。
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acchali · 6 years
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200Miles
群馬県を中心に活動するサイクリングコミュニティCycleClub.jp(ccjp)は、関東圏から多くの参加者を集めるクラブライドを活動の中心に、前橋シクロクロスをはじめとしたイベントを何度も成功させ、自転車のまちを標榜する前橋市との信頼関係を築くなど、地元の自転車仲間という枠組みを超えた存在感を示している。そんな彼らが過去2年で2度クローズドで開催した200miles、320km/4300mUPというビッグライドのことは友人であり同じくRaphaアンバサダーを務めるccjpの中心人物の1人、Tkeyから話は聞いていた。僕は自身の最高距離も平坦基調で260km程度が一度あるぐらいで長距離走にも別段興味はなく、半笑いで彼に「自転車好っきゃな〜」と賛辞を送るに過ぎなかったのだけど。聞くところによると、満を持してということかはわからないが、その200milesをオープンなイベントとして開催するという。4人を1チームとして群馬県は前橋からスタートし、平坦を東へ栃木県小山市まで進んだところで北上、日光いろは坂・中禅寺湖を経て、国道日本3位の標高である金精峠の2024mをピークとし、群馬の沼田へ下り、中之条・東吾妻とアップダウンを繰り返し前橋へと戻ってくる320km、獲得標高4300mの道のり。朝3:30のスタートで、完走が認められるのは夜22:00まで。という話を聞いた頃には、なぜか僕も走る流れになっていた。長距離走が自分の関心外だったこともあり、特に走りたかった訳でも無いけど、なりゆきでそうなったら走らない理由は無い。運命が選んだんだ、と静かに受け入れた。走ることが決まったら、それはそれで楽しみだと感じていた。結局は「自転車好っきゃな〜」ということである。 そうこうして決まったチームは、Rapha Japanのヒロ、Onyourmark MAGAZINEのユフタ(もちろんこのライドも記事にしている)、RaphaCyclingClub(RCC)の東京チャプターを牽引する落合さん、そして僕という4人で、ヒロとユフタはCANYON Japanから新作のグラベルバイクGRAILを借り受けていて、オンロードでのインプレッションするという事になっていた。落合さんもまたCANYONライダーだという。チーム3人がCANYONで参加するのなら僕もということで、CANYON Japanのご厚意でハイエンドのカーボンディスクロードUltimate CF SLXを借り受けた。彼らが持つテストバイクのパーツを利用して市販のアッセンブルより軽く仕上げてもらったこのディスクロードは、油圧ディスクにeTapとまさに最先端の装備。僕のクロモリバイクとは対極の価値観で生まれたスーパースポーツは、ディスクブレーキで驚きの7kgちょうどという軽さで、このビッグライドを少しは楽にしてくれそうだった。結果として、このバイクは僕を強く支えてくれることになる。そうしてチーム全員がCANYONにまたがり、Raphaの新作カーゴビブショーツとテクニカルTシャツをチームキットとして身にまとい、プロモーション臭をそこはかとなく漂わせつつ、我らがCANYON//シャカヶ岳チームは準備万端で5月4日午前3時35分にスタートしたのだった。この時には知る由もないが、この日、北関東圏の一部を襲った異常気象は、ちょうどそこを走っていた僕たちを雨、雷、霰、雹、吹雪、氷点下の気温と、気まぐれに様々なカード(もちろん晴れも)でもって翻弄した。最初の試練はスタートしてたったの30分後に天気予報で伝えなかった雨として現れる。未だ明けぬ宵闇の中で弱まることのない雨脚は、徐々に僕たちを削っていくが、とにかく前へ前へとペダルを回していく。ジャケットを雨予報ではなかったけど2000mからのダウンヒルの防寒と万が一の雨に備えてお守り的にRaphaのClassic Rain Jacket IIをチョイスしたのは幸いだった。これもこの日、僕を強く支えてくれることになる。 別のチームと出会って抜いたり抜かれたり、トレインを組んだりして走り続けると、やがて空は白み始めるが、雨雲は厚くなり雷を呼び込み、真夏の夕立のように様相を変えた。最初の平坦路で長い休憩を取る予定は無かったが、雨宿りに入ったコンビニで足留めをくらってしまう。既に全身は水浴びをしたようにぐっしょりと濡れていて、靴にも水が溜まっているような状態だが、ジャケットのおかげで胴がドライなのはありがたい。しかしまだ平坦を70km程度しか走っていない。先はまだまだ長く、ダウンヒル向けの装備が既に濡れていて、窓の外はさながらスコール。これからの旅の困難さに眩暈を覚えていた僕の横で、仲間たちはインスタントラーメンを食べながら晴れたらすぐ乾くだろうと笑っていた。 雨脚が弱まってきたところでリスタート。小雨になったとはいえ雨が降っている状態で自転車を漕ぎ出すなんて、税金を支払いに金融機関に行くぐらいに完全なる億劫でしかないが、日光方面に向かうにつれ、雨は止み雲はちぎれ、太陽が控えめに顔を出してきた。しかし先程のスコールは相当な雨量を広範囲にもたらしたようで、どこまでも路面はウェット。水捌けの良くない路肩は浅い川のような状態。前走者や自身の跳ね上げる飛沫で、体感としては雨の中を走っているのと変わらず、タフな状況はまったく変わらない。既に僕の意識と身体は切り離され、ただペダルを回し続ける機械としての自己を認識することで、かろうじてこのストレスフルな状態に耐え、歩みを進めていたのだが、北へと進路をとる頃には徐々に登り勾配を感じることになる。前半の100kmに及ぶ平坦区間が終わろうとしていた。 日光のコンビニで休憩していた他チームの友人と談笑すると疲れも少しは和らぐが、135km地点のここからピークの金精峠まで50kmほど登り続けることになる。いよいよ山岳コースか、と静かに気合を入れて走り出したのだが、見上げると、僕たちの進む道の先には黒々とした雲がかかっている。山頂は全く見えない。誰も何も言わないが、あれはどうみても雨雲、むしろ今日これまで雨を降らせてきた雲よりもどす黒く、嫌な予感しかしないが、雨が降っていないとそこそこ暖かく、このあたりは例のスコールが降っていなかったようで路面も乾いており、久しぶりにストレスを感じずにペダルを回すことができるので、僕は意識的に無意識を操作して前方の暗雲を消し去ることにした。そうして淡々と登り続けると、すぐに日光東照宮を超え、いろは坂へとさしかかる。チームメイトは皆ジャケットを脱ぎTシャツ姿だ。思えば、この日ここだけがチーム4人が揃ってチームキットを見せることができたタイミングだった。とても短い時間だったが、かっこいいと思った。本当はずっとTシャツ姿でいるつもりだったんだけど。 連休中ということもあり、車もとても多いが、いろは坂は2車線の一方通行で交通量が多くても比較的登りやすい。とにかく負荷をかけずに淡々と。それなりにヒルクライム的な気持ちよさを感じていたところ、ふと顔に水滴がかかると、僕が操作した無意識はあるべき場所へと立ち戻り、残された意識はすぐさま状況を判断する。気づけば周りは真っ暗だ。見上げていたあの悪意すら感じる色の雲に飛び込んだ格好だ。すぐに雨脚は強くなる。せっかくなんとなく乾いてきたウェアやシューズがまた濡れるのかとうんざりしていると、早々に本降りになりそうで慌ててレインジャケットを着る。チームキットのTシャツはまたおあずけだ。 15分後、山頂あたりで雨脚は弱まった。他チームも山頂に設けられた駐車場で休憩をしている。苦しそうな顔、色んな感情が混ざった無表情、伏し目がちで立つ姿、様々に入り交じっているが、そこに笑顔はない。そりゃそうだ。気まぐれに降った、たった15分程度の強い雨でまた濡れ鼠にされ、残りは150km以上ある。あんな短時間に強く降るならせめて僕たちが居ないタイミングでやってくれという話で、ここでヘラヘラしてるヤツなんてネジが一本飛んだと表現されるような人間だ。幸い、チームメイトもそれなりに渋い表情をしているし、僕もそうだ。思いっきり渋い顔をしてやった。皆無言だが、その表情から様々な感情を吐露している。誰も口を開かない。ここで弱音を吐く意味が無いことは皆理解していたし、何を言おうが今ここにいるのは自分の判断で、天候なんて誰の所為でもない。誰も何も言えないから、一様に無言で、吐息で毒を吐き、表情で文句をたれる。それぐらいは許してくれ。 ここは頂上に見えるのだか、ここから下るわけではなく、標高1,250mあたりの中禅寺湖を横目に少しばかりの平坦を走り、いよいよ本日のピーク金精峠へと向かう。この後はコンビニ的なものはしばらくないと言うので、中禅寺湖のほとりにあった小さな商店で補給をすることにした。気まぐれな天気はここで晴れ間を見せ、雨の中でカップラーメンやおにぎりを食べるなんてバカバカしいことにはならなかったが、身体は冷えている。僕は身体の中から暖めるイメージでカップヌードルのカレーと豚キムチ丼を選択した。少しでも暖かいところへと日が当たるところで皆で座って食事をするが、弱音のようなものは出てこない。僕たちにとって暖かい食事と太陽というのは太古の昔からいつだってそういうものだ。 腹が満たされ、太陽に暖められると、なんとなく走り出そうという気持ちになるのだから不思議なものだ。さっきまで努めて渋い顔をしていたというのに、冗談なんか言って笑い合えるようにもなったりする。ここはちょうど半分ぐらいの地点。思ったよりも身体に疲労はなく、このまま天気が良ければと空を見上げるが、太陽は厚い雲の切れ目から顔を出しているだけであり、山岳というのもあってどうにも楽観的ではいられない。むしろ厚く複雑な形をした雲が浮かぶ空はもう一雨ぐらい持ってきそうに見えてしまう。それはまるで、お気に入りのシャツにいつの間にか付けてしまった染みのように、僕の心には気づいたら不安がこびり付いていて、指でなぞっては、もう取れないことを確認するような作業だ。そんなネガティブな気持ちと休憩明けの重い脚で中禅寺湖のほとりを進むのだが、路面は乾いておりストレスなくペダルを回すことができる。そうそう、これこれ。このまま後半戦を進めていこうよ、と心の染みに向かってつぶやいてみるが返事は聞こえない。高地の気温は低く、乾ききらず湿ったままの靴は足先を冷やす。香辛料をもってしても足先までは温まらないし、むしろ体温もいまいち上がらないが、いよいよ本日の最高点の金精峠へのヒルクライムがスタートする。分かれ道を右へ進路をとると、すぐに勾配が強くなった。ゴールを探し空を仰ぐように見上げるとただ真っ白な雲の中へと道は続いていくのだった。 ところで、さきほどから小さくヘルメットやカーボンフレームを叩く音がしていて、それは金精峠を登るにつれて降ってくる雹とも霰ともつかないものが僕を打ち付ける音だ。マイペースで登ろうと序盤でチームからあえて遅れたが、この天候に心はバキバキに折られている。サイコンが示すパワーの表示は150W程度だ。軽量級の僕とは言え、こんな省エネルギーで登れるわけはなく、その歩みは亀のように遅い。僕はふたたびペダルを回し続ける機械と成り果て、一切の感情を持たずに登り続ける。そうだ、僕がいま、こんな天候でこの峠を超えていることに意味なんてないし、ただWahooのサイクルコンピュータが塗ったルートをトレースしているだけで、むしろ僕はサイクルコンピュータの一部で、パワーメーターが示す値の通りに僕の脚が回っている。それは僕の脚が150Wの出力をしているのではない。パワーメーターが150Wと僕に指定しているのだ。電子機器に支配されたサイクリストはいつのまにかパワーメーターに乗っ取られ主従関係が逆転していることに気づかず、今日もこうしてディスプレイに示された値を視覚から入力し、それを自らの脚で出力しているだけに過ぎない。 という状況に至るまで感���を身体から切り離したところで、ピークの金精トンネルが見えてきた。チームメイトが雹とも霰ともつかないものから逃れるようにトンネルの入り口にいるのが見えると、感情が一気に戻ってくる。待たせてごめん。さっきまでパワーメーターに乗っ取られていたんだ、とは言わなかったが、お互いにこの苦しいヒルクライムをクリアしたことを称え合い顔が綻ぶ。やはり孤独はだめだ。仲間がいればパワーメーターに乗っ取られることなんてなかった。さぁ、このトンネルをくぐればあとは30kmにも及ぶダウンヒルで、ご褒美的に一気に210km地点まで気持ちよくワープできるのだ。この下りこそディスクロードの本領を発揮するところ。いつもより安全に気持ちよくダウンヒルを楽しめるだろう。そう思いリスタートした。前方のトンネルの出口が近づくにつれ、僕たちは違和感を覚えだす。色がおかしい、あまりにも白いのだ。その色に「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」なんて昭和初期の小説の冒頭が思い浮かぶが、彼は列車に乗っていたはずで、僕たちは自転車だ。このトンネルを抜けた先に美しい物語の始まりはなく、地獄のダウンヒルが待ち受けているだけだった。 トンネルの出口からその雪国とやらにつっこむと、完全に吹雪で気温はマイナス2度を指している。ニーウォーマーもなく、ペラペラのグローブはすぐに氷結した。少しでも体温が上がるかとペダルを回すが、膝に電気のような痺れが走ったので止めておいた。ここで選択を誤ると、とんでもない故障をしてしまいそうな気がする。指先も足先も痺れるような痛みがあるが、油圧ブレーキはこの極限状態でも優秀で、安全なスピードをキープすることができる。すぐに山小屋が見えてきたので退避する。もう限界だ、これ以上どうして下ればいいというのか。まだ山頂から3kmしか下っていない。時間にしても5分も経っていないと思う。ずぶ濡れの身体がガタガタと震え、手足の痺れと痛みが取れることがない。チームメイトが暖かいコーヒーを買ってきてくれ、山小屋の方がストーブを付けてくれたので、なんとか震えは収まってくる。 寒さ耐性というのは個人差があり、僕は昔から冬に痩せて夏に太る体質が示すように、寒さが苦手で暑さが得意である。こういう極限状態を経験するまでは寒さも暑さも趣味嗜好かと思っていたが、低体温症になった経験もあり、どうやらそういうことのようだ。以前にシクロクロスのレース会場で低体温症になり救護された時と比べると、レインジャケットを着ていることによって胴が濡れていないことで相当に冷えは軽減できているように思えた。先が見えない状況だが、いつまでもここに居るわけにはいかない。吹雪は収まりそうになく、標高が100m変わるごとに気温は0.6度変わるというので、今が1番辛いんだと言い聞かせ、山小屋のお土産物として売られていた群馬県のゆるキャラ、ぐんまちゃんが描かれた手袋を買い、チームメイトと吹雪の中に飛び出して凍りついた自転車にまたがり重力に任せて下り始めた。サバイバルの鉄則は現地調達だ。新しいグローブをゲットして少しは楽になるだろう。 山小屋で取った暖は一瞬で消え去り、地獄のようなダウンヒルが続く。子どもの頃に読んだ絵本のようなもので、様々な地獄出てくるお話があったのを覚えていて、その中に灼熱地獄はあったが、逆のものはなかった。これからは極寒地獄も追加するべきで、なぜならここは地獄のようだからだ。すでに知覚が鈍っていて痛みのディティールを感じることは出来ないが、身体のあらゆるところが痛い気がする。手足は先程まであった痺れを伴う痛みを感じなくなったが、それは感覚が無くなったということだろう。得意の無意識を発揮して、何も感じずに下るだけの機械になることが出来ればいいのだが、あまりにも僕はそこで人間だった。ここでパンクしたら死ぬだろうなと思った。ましてや落車なんか。5月の装備でマイナス2度の吹雪で走行不能になったら死ぬに決まっている。チームメイトの命だって危険に晒してしまう可能性もある。そんな人間的な考えばかり溢れてくるが、そのぶん意識は冴えてくる。感覚がなくても油圧ブレーキはしっかりと仕事をしてくれるので、危険を感じることはなく、パンクのリスクがありそうなところを避けたラインを取ることができた。自転車を借りて本当によかったと心の底から思った。心の底というのはこの深さにあるのかと自覚したほどに。これまでディスクロードに対して特に必要性を感じていなかったけど、とにかく安全でいるということに関しては圧倒的だった。5月に氷点下で吹雪のダウンヒルなんてあまりに極限状態であることは確かだが、それでも油圧ディスクブレーキがもたらす安全マージンはかなりのものだ。しかし身体は冷え切っている。もう限界だと何度も思ったが休めるところはなければ話にならない。ふと先にリフトが見えた。どうやらスキー場があって休憩できそうだ。ここまで10kmで約15分。永遠のように長かった。 ガタガタと震えて建物に逃げ込む。5月ということもあり暖房はあまり効いておらず、灯油のストーブみたいな暖を取るものもない。激しく震える身体と、おぼつかない手元で凍結したグローブと靴と靴下を脱ぎすてた。全身びしょ濡れだが、スキー場の食堂だけあって気兼ねなく座れる感じの椅子なのは助かった。暖かい飲み物や蕎麦をかきこむ。空腹ではなく、温度に飢えていた。なかなか回復しないが、それでもここにいれば大丈夫だと実感する。実際にここに入ってきた時よりも震えは小刻みになっているし、なんとなく、これから先のことを考えたりもする。今は約190km地点。残りは2,000mほどの獲得標高となるアップダウンを130kmほどとなる。そして、僕はふと「次、雨が降ったらもう帰るから」と口にした。何度も心は折れそうになったし、パワーメーターに意識を乗っ取られるなど実際に折れたこともあったかもしれないが、諦めた訳ではない。だけど固執はしていない。こんな連休の遊びのライド、いつでもリタイアすればいいと思っていたし、退路をつくるのも役割かなと、くらくらする頭で考えたはずだけど、チームメイトはそれでも果てしなくポジティブで、その時、僕たちは完走するんだなと思った。ほうぼうの体で吹雪から逃げ、低体温に震え、手も足も感覚なんて全くなくて、それでも僕はここでそう確信したんだった。この苦痛の先になにがあるかはわからないし、栄光なんて確実にない。だけど、こいつらと、このクソみたいな状況で前しか向かない連中と、やりきってみたくなったんだ。今日やろうとしたことすべて、ひとつのこらずだ。 ようやく回復したと感じる頃には1時間も経っていた。その頃には吹雪も止んでいて、なんて運のない日なんだろうと苦笑いする。なんとなく暖かくなった気がする下りを進むと、ほどなく雲は予めそうであったかと思わせるほどに、一片も残らずに消え去り、このライドではじめて見る晴天となる。さっきまで震えていたのが嘘のようだし、馬鹿みたいだ。いつも、いつだって意味のあるように見えるものは、あっけなく消え去って、結局は何も僕たちにもたらすことはない。でも、だけど僕たちはこんなにも青い空の下で、行き先なんてどうでも良くなるのかもしれないし、なるようにしかならないのかもしれないが、つまり自由だということなんだ。 群馬県の沼田まで降りきって久しぶりのコンビニで補給すると、参加者の連絡用のメッセンジャーにリタイアの連絡が飛び交い始める。そうか、そうだよな。だってあんな地獄で、そこに何を見出せるというのだろうか。いや、無い。そこにあったのは、ただ、この青空のように底抜けに明るいチームメイトのことばだけだった。もし君のチームにそれが無かったなら、残念だがそのリタイアは決まっていたことだったんだ。それは僕たちが生まれた年月日で、運命が予め決められているように語るほどに、なんら意味のあることではないし、そんなものは道化師か占い師に任せるしかないのだから。 コンビニの駐車場で大の字に横たわって感じる。太陽の暖かさを、その恵みを。僕の細胞に葉緑素があったとしたら、きっと光合成はこんな気分だろう。僕の肌を焼く陽光を、こんなに全身で待ち望んだことはなかった。靴下を雑巾のようにしぼり、レインジャケットを脱ぎ、僕は今日ここにまた生まれる。残りは110kmだ。もうなんの迷いもない。あの時に交わしたことばのとおりだ。だから、ここから先の全てを僕が引き受けよう。この先で何が起きても、その事実に誰の心が折れたとしても、僕の真実で、その事実を捻じ曲げよう。もう僕は無意識を操作したりはしない。さぁ共に進み登ろうぜ。リタイアした彼らを指差す腰抜けどもに、勇敢な彼らの証人となる為に、じき訪れる宵闇に向かって走りだそう。登りきった先に何も見えなくたっていい。 そうして僕たちは進みだした。それから、いくつもの苦しい登り坂があり、同じだけ下り坂があった。気づけばもう真っ暗だ。太陽が登る前に走り出し、果たしてその太陽は再び地平線に沈んだ。ひたすらに前を引くヒロの背中に僕たちのライトが光を落とす。彼が着るジレは、まるではためく旗のようで、そこにはあのロゴが見える。あぁ、そうだった。いつだってサドルの上で僕たちに多くのもの、それは、発見であり、学びであるし、多くの気づき、または苛立ち、諦め、哀しみ、喜び、畏れ、感動、妬み、あるいは愛情かもしれないし、おそらくこの世界のあらゆる感情だった。そして、僕にとってそれはいつだってRaphaという文字列の延長線上だった。光を追い抜いて消えてしまいそうなヒロの背中を追い続ける。やがて僕たちは街に降りていく。22時の制限時間に間に合うのかと考えたりもするのだが、僕にとってそんなことはもはや些細な事象に過ぎない。ただ太陽が動き、時間が過ぎただけで、それ以上でも、それ以下でもない。 見覚えのある前橋の街並みを走っていた。やっとここに帰ってきて、それは長い長い旅路の終わりだった。幸福を求めた少年が世界の素晴らしさに気づいたその時にスプーンの油をこぼしてしまったように、果たして僕たちはゴールした時に何かを見出すのだろうか。スタートして最初に曲がった交差点を逆に曲がる。みんなが待っていた。それもそのはずだ、僕たちは21時58分にゴールしたのだから。走行時間は18時間24分。チームメイトと肩を組み、皆で破顔する。ありがとう、ありがとう、こんなにもクソみたいな1日は人生で初めてだ。バカヤロウ、ファック!本当に最高だし、同時に最低でもあって、やはり全ての感情がここにはある。それを言語化なんて到底出来そうにもないし、チャレンジすることも愚かなことかもしれない。でも、こうして書き残そうと思ったんだった。もし君がスタートする時のために。どこか遠くへと乗り出すその日のために。その時、僕たちがどこにいるのかは、まだわからない。 10日ほど経って、未だに痺れが残る指先でこの文章を書いている。あれ以来、自転車には乗っていない。いま振り返ってもやはりこのライドの核心は氷点下の金精峠のダウンヒルだ。あまりにも不安定な天気はおそらく1時間早かったら、または遅かったら表情を変えていただろう。しかしあの日、多くのチームが地獄の時間にそこを下っていた。スキー場で会った他チームの友人もみな憔悴しきっていたのを覚えている。あらためていま、参加者の連絡用のメッセンジャーを見て、リタイアの文字が飛び交う様を見て、涙が出そうになった。わかる。ここでリタイアを決意する気持ちは痛いほどわかる。人の想いは良し悪しを問わずに伝播する。もし僕があの時、次に雨が降ったら、と言わずに、今すぐ帰る、と言っていたら。誰かひとりのその判断は諦めではないし、弱音でもない。あの日、あの時、あの場所であの状況なら至極真っ当なものだ。僕もそう言われると否定せず、もう辞めようか、と思ったかもしれない。だからこそ僕は、底なしにポジティブなチームメイトたちに本当に感謝し、尊敬する。僕はこの過酷な環境で、それでもここに立つことになった運命を信じ、その輪を回し続けるために、次に雨が降ったら、と話したとき、こう返してくれたことを。「じゃあ、もう雨が降らなかったら?」 結局、雨は降らなかったし、その光はいつだって眩しかった。
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besidethebag · 7 years
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ヘルシーボーイズ 健康優良新鮮少年 chapter2 つながる過去と未来
登場人物
狂四郎 主人公の一人B4区出身 健康優良新鮮少年の若きリーダーとして 正義感が強く, 強いものに巻かれることを最も嫌う。 ジンに恋をした結果, 政府との関係が近づいたことに困惑するが, 本当は自由でありたいことを願う。 貿易商の両親の元に生まれ,  何不自由なく恵まれた環境に育つ。 鍵っ子ライフが続いた為, 好き勝手, 自由奔放な少年時代を過ごさせてくれた両親を尊敬してやまない。 歴史が変わり, 両親が生きている, この新しい未来に満足し, 幼馴染の達郎と共に夜な夜な エアーバイクで自由奔放に街を流すことに生きがいを感じているが, 達郎が政府見習いになり 一緒の時間を過ごせないことや ,大人の階段を登る達郎の背中を眺め, 寂しさを感じるも そばにいるジンに夢中で愛に生き, 友情にも熱い少年。 裏切り者の大瀧に対して最初は塩対応であったが, 政府の作戦だったという事実を知り 徐々に誤解が解けていく。 憎めないアホ過ぎる大瀧がいることで少年心を忘れないでいられることに感謝している。 今ではジンへののろけを大瀧に話してしまう間柄になった。 本編の一応, 主人公(笑)
趣味 バイク
ジン 過去から舞い降りた, 未来を変える救世主。 狂四郎達により絶対絶命を逃れ,彼女が生存したことで未来は変わり, 新しい20XX年のネオトーキョーのヒロインとして狂四郎達と行動を共にする。 過去の記憶は書き換えられ交通事故に遭い両親を無くし, 里親の軍曹に育てられたとする造られた記憶に沿って 現在は未来生活を送っている。 しかし, “心の底では一体自分は何者なのか?” その探究心は止まることなく,突然 iphoneで過去の歴史を調べ出し, 没頭してしまう日々。 通称(アイホンカチャカチャ) 現在, 軍曹のコネクションで国立図書館に勤務。 近頃は第六感の超能力に目覚め始め,困惑し始める。 助けてくれた狂四郎に恋心が生まれるが, 何か心の中に引っかかるものを感じている。 その引っかかる何か?に自分自身が向き合ってから, 正式に狂四郎へ愛を捧げたいと密かに思っている。
趣味 読書
達郎 狂四郎と幼なじみ。 ”親切をすると自分に幸運が返ってくる” という逸話を家族代々受け継いでいて, 自分自身もそう日々願って行動している為, たまにお節介と言われて傷付いてしまうガラスのハートの男子。 大瀧の裏切り行為に傷つくも, 軍曹が仕掛けた作戦だったことを知り, 次第に理解していく。 国の為には手段を選ばぬ軍曹の男気な姿勢に惚れ,現在は未来を変えた一人として政府の役人見習いで入隊。 軍曹の元で暗躍する。
趣味 親切
大瀧 過去の20XX年では ハニートラップの罠に引っかかり仲間を売ってしまうが, それは政府が仕組んだ作戦だった事実を徐々に仲間に理解され, 絆が深まっていく。 本人は裏切ったつもりは全くなく, 「だって, 目の前にかわい子ちゃんがいたらお前だって行くだろーよ?」が口癖。
IQが200 overだが不摂生な生活スタイルにより, 脳と体がついていかない障害を持つ不器用な男子。 天才ゆえに変態, ペンタゴンにハッキングしてプログラムを絵文字で埋尽くしたり, シリーをハッキングしてエロティックな言葉を言わせたり, イタズラ多数。 伝説的お騒がせハッキング歴を持つ,  アンダーグラウンドレジスタンスの界隈でも一番変わったレジェンドハッカー, ポーキンヘッズとは彼のこと。。(まだメンバーは知らない)
趣味 大食いと90年代情報集めと女子。自称トップオタク。憎めないアホ。
軍曹 政府役員であること以外は情報なく,ジンの里親として, 達郎の上司として狂四郎達と接触する。
健康優良新鮮少年 #What’s the sign about geek sign…..?
狂四郎と大瀧はいつもの様にエアーバイクで街を徘徊していた。 モーターのコイルが徐々に温まっていく。 新しくバイクに導入した”フラックス・キャパシター”を早く試したくて仕方のない狂四郎は, アクセルを握りスピードメーターは時速110kmをマーク。 後部座席の大瀧は悲鳴を上げ, 「おい! 狂四郎, 頼むから時空間移動をするなら一人でやってくれよ(涙)俺はまだ���敗して身体がバラバラになるなんてことはしたくないんだアアア」 すると狂四郎はアクセルを緩め,焦る大瀧にゆっくりと喋り始めた。
「いいか?フラックス・キャパシターは130kmで作動し, 目的の時空空間を可能にした軍部の最新秘密兵器さ, わかるか?俺達健康優良新鮮少年だけが持つ特別な代物なのさ,これを手に入れるのにどんだけあのおっさん(軍曹)の言うこと聞いた事か解るか?それに達郎が今必死で役人仕事をしてるお陰でもあるんだ。 俺達の信頼をグーンとアップしたって意味さ,そんな代物をありがたく試さない手はないのだ。 お解かりになるかな?我輩は健康優良新鮮少年であるw オタクの大瀧くんよw だからさーあラッキーと思って試そうぜw」
バイクはB4区エリアを抜け, B3区に入ろうとしていた。
ここはヘルシーボーイズの縄張りではなく、敵対するアンヘルシーバッドボーイズ(不健康不良少年)のシマ(縄張り), このシマの頭(ボス)Zは,編み込んだカラフルなヘアースタイルと強面の顔を持つ男。 旧型チョッパーエアーバイクを乗り回し, 粗悪なビタミン興奮剤”キャットピス”を放り込んでは夜な夜な犯罪行為を繰り返す社会悪。 組織化したアンヘル(アンヘルシーバッドボーイズ)は一方的な嫉妬心で, ヘルシーボーイズからB4区地区を奪おうとしている。 狂四郎と大瀧は日が暮れると現れるアンヘルの存在を十分承知していたので, 夕暮れに差し掛かるまでにB3地区を抜けて B2区の国立図書館に勤務するジンを迎えに行こうとしていた。 しかし,今回はそうもいかなかった。 Zの仲間達はヘルシーボーイズの存在を確認するとすぐさまZに報告し, B3地区とB2地区の通行ゲートを封鎖。 瓦礫に覆われたゲートの片隅には狂四郎達が現れるのを待ち構える兵隊がいる。キャットピスを口に放り込み, ガリガリと音を立てながら。 その様子をまだヘルシーボーイズは気づかない。ゲートに近づくヘルシーボーイズ。 Zは待ちきれずアクセルを吹かし, 狂四郎達の前に興奮気味の様子で現れ, 叫んだ。
「ウォウウォウウォウ,トゥナイト,これはこれは, B4区の平和ボケした犬のしもべのクソ野郎。狂四郎とおまけのオタクじゃね〜かW お前ら弱小ヘルシーボーイズが俺様のシマでなにしてやがる!おしっこ漏らす前にそのバイクをよこしなW お前じゃ大きすぎるだろーよ, 早く降りろ!てくてく歩いて平和な街に帰りやがれってんだ, ヘヘヘ, それかここでスクラップになるか?どーする健康優良新鮮少年さんたちよー」
Zは編み込んだ髪を揺らしながら皮肉たっぷりに狂四郎達を威嚇する。 兵隊は狂四郎と大瀧の二人を囲み, 絶体絶命なヘルシーボーイズ達。 しかし狂四郎は焦りをまったく見せない。 それどころか久々に感じるスリルに興奮し, 目を輝かせ, Zに聞こえるように大瀧にこう伝えた。
「大瀧, 見てみろよW あのブスW 似合わないブレイズに時代遅れのバイク。あんなでかっこいいとでも思っちゃてるわけ? HAHA! まわりに踊らされてあんなことしてさー, 粗悪なビタミン剤の副作用か?ダッサ! 低脳でダサくてしかもブス。 せっかくのビンテージバイクも勿体ないね〜W 豚に真珠ってこういうことかW まさかさあー, あのイキってるブスって俺達のパクリ”アンヘルマザファッッキンボーイズ”じゃねーよなW やべーな, もしそうだったら, お仕置きしてやんなきゃなあ〜!なあ, ひき肉にしてやろーかW」
Zはズタズタに引き裂かれたプライドに怒り, アクセルを吹かしてこう言い返す。 「ウッセーんだよ,てめーらこそ!リアルじゃねーんだよ! いい子ちゃんぶって犬に媚び売って, そんなバイク手に入れやがって! まじスタイルもネーな, そんなんストリートじゃねーんだよ! 今度こそてめーらの最後だ!おい!いくぞーオメーラ!あいつらにリアル教えてやんな!!!」 Zは兵隊に命令し, 狂四郎達に襲いかかった。 しかし狂四郎はアクセル全開でZに突進。 衝突する手前でジャックナイフをかまし, Zの顔すれすれでガンを飛ばしてこう言った。 「はあ?お前さー, リアルとか言っちゃってるけど, 現実と妄想の区別もつかねー, 単細胞なオメーに言われる筋合いはニャーだよ!ペッ」 狂四郎の吐いた唾がZの頬にかかる。狂四郎はすぐさまバイクを切り返し, ゲートを通過する。 まさか突進してくるとは思わなかったZは突然の緊張で失禁してしまったようだ。 兵隊達もお漏らししたボスにどう接してよいか解らず, 硬直したままだ。 その頃, Z達から数キロ離れた場所でゆっくりとアクセルを戻す狂四郎。 大瀧は少し遊び足りなかった様で狂四郎の肩を叩き, 「おい! 狂四郎戻ろうぜ! あのブス俺のことオタクなんて言いやがったんだ! あいつわかってないねーW 俺が誰かをW だからさあ, 俺にもお仕置きさせてクリームW 実は今日新しい武器を仕込んだんだ, 試したくてさW 見せてやるからちょっと降りよーぜ。」 エアーバイクを停車し, 降りた二人。 大瀧はうれしそうに緑のバックパックから金属のボール状の物と警棒を取り出す。 「これはELECTRIC THUNDER BOMBと言ってさ, ハッカー仲間のIRAK達が昔, 電脳警察を煙に巻く時に使った電子破壊装置さ。 これを作動すると半径10mの電子機器を麻痺させる効果があるんだ。青い光が出て綺麗だぞW これをZ達の円陣に投げ込めば奴等のエアーバイクはお釈迦になるって事さW それとこれこれ, タラーン。 」 警棒の���な赤いスティックを取り出す大瀧。真ん中に金色のボタンがついている。 見た目は昔話に出てくる西遊記の如意棒の様だが。 「これはなーエレクトリックライトスティックていうんだ。先端から青い光(電子破壊装置)がついていて, しかも伸縮可能。 孫悟空も真っ青のサイクーなやつだW。 実は今, 軍の装備に採用されるか検討中で, どう機能するか, 密かに研究を進めているやつなんだよW だからちょっと気になってお借りしてきたんだW。」 狂四郎はスティックを握り, くるくる孫悟空のように舞い始める。 大瀧はエアーバイクのサウンドポートにUSBカードを投入。 2000年代の名曲ファレル ウイリアムスのcan i have it like thatをPlay。 サウンドシステムから響くベースライン。PVかの様なラインダンスのように二人は踊り始め, バトルフォーメーションを組み始めた。 「この曲が流れてる間に奴らを落とすぜ, どうだ狂四郎?サイクーだろ?。」 二人のバトルフォーメーションはカンフー映画顔負け。流れる水の様に完璧。 バク転, 側転, アクロバディックな動きはまるで忍者。蝶の様に舞い蜂の様に刺す。 「さあ, イメトレも完璧だ! よ~し行くぞ!!」
エアーバイクのアクセル全開で爆走する二人。 夕日が差し掛かる頃, ドラム缶に火を炊いてアンヘルシーボーイズ(アンヘル)はヘイタートークで盛り上がっていた。 「Zさん, 今度奴らが来たらめちゃくちゃにしてやりましょう!! だからそんなに落ちこまないでくださいよ, あんな奴らストリートでもネース。 まじリアルでもなんでもないっすよ。でも俺らはこうやってストリートにいつもいるじゃねースカ。 はいどうぞ。これ, いっちゃってください。 ブルーな気持ちもぶっ飛びますよ。」 兵隊は猫目の錠剤をZの手のひらいっぱいに差し出す。 Zはラムネのようにボリボリ噛み始めた。 みるみるZの瞳孔はビカビカに開き, 口の中の錠剤をウイスキーで一気に流し込み, 興奮絶頂で叫び始めた。 「オメーラ, いいが? 奴らは次で終しめーだ!! バリバリ気合入れて行くぞゴラ! ポケットのピス全部かっこんで行くぞゴラ! 今夜はパーティーだ! バイクも奴らもすべて燃やしちまいな。」 大きな歓声が上がり, 燃え盛るドラム缶から妖艶な煙が立ち込めてきた。 遠くからエアーバイクの爆音が聞こえる, 狂四郎達の登場だ。 爆音に気づいたアンヘル達は, ヘルシーボーイズが逃げられないように横一列で突進してきた。 「狂四郎, バイクを止めてくれ! こいつをお見舞いするぜ! 」 大瀧はバッグからエレクトリックボムを取り出し, 突進してくる兵隊達にボムを投げた。 兵隊達の頭上にボムが届く瞬間, 辺りは青い閃光に包まれた。 「ウワアア〜!! バイクがあああ!!! ひゃああ!!! 」 まるで殺虫剤を浴びた虫が力尽きて落ちていくように, 兵隊達も地面に落ちてゆく。 「これ! すげーな, 大瀧。まるでキンチョールだぜW さあ, 降りてZの野郎にお仕置きだ!!」 地上に下りた二人。エアーバイクから爆音でファレルのイントロが流れ始めた。 「レディース&ジェントルメン………」 ぶっといベースラインと共に二人は突進する。イメトレよりもダイナミックな動きで次々と兵隊をなぎ倒す。 ダンスをするように, 完璧に曲に合わせて二人は舞う。2バースのサビに入る頃には, 相手はZともう一人だけになっていた。 仲間が一瞬にして倒された事態に怯えるZ。 腹に隠したパチモノのブラスターガンで二人を威嚇し, ポケットに入った全てのキャットピスを口に放り込み, 嚙み砕く瞳は恐怖で涙に溢れている。 「おおお前ら, 一体なんなんだ。俺達のシマで何がしたいんだ。仲間をよくも, 卑怯だぞ! そんな武器を使いやがって, うううううぶっ殺してやる!!」 Zの銃口が二人に向けられると, 狂四郎は怒りに満ちた声でシャウトした。 「ヨタヨタジャンキーになめられてたまるかよ, 俺達ア健康優良新鮮少年だぜ。」 その瞬間に, スティックでガンを払いのけ,腰が抜けたZに近づく大瀧。 「お前さーあ? 本当にアホだろW  おい? 返事しろよブス! おい! 髪燃やされんのと歯を全部抜かれんのどっちか選べ!!」 大瀧はサイコ状態に入っていた。心配した狂四郎は, 大瀧をなだめるように 「大瀧, こんなブスほっといて行こーぜ。オマワリが来る前に。」 大瀧はブーツの裏でZの顔を踏みつけ, 卑劣な表情で言った。 「ブス, よかったな, 俺の相棒が優しいからさ。お前は生き延びれたんだ, いいかブス,これだけは覚えとけ! こんな世の中にリアルじゃねーとか? スタイルねーとか? ストリートじゃねーとか?  ねーんだよ! てめーは見た目で判断したズボラなダサ坊なんだよ。お前が知らないだけで, 俺は世界で知られた存在なわけ!だから, お前みたいなダサい奴は普段は相手にしねーの。 ただお前が俺達, 健康優良新鮮少年をバカにしたようなチームを組んだからムカついてんだよ! いますぐお前のダサいチームを解散しろ。さもなければお前を茹でダコにするからな!」 Zは大瀧の脅しに震え, 約束を交わした。 腰の抜けたZを後にし, 二人はジンが待つ国立図書館へエアーバイクを走らせる。 興奮がとまらない大瀧は, 上機嫌で雄叫びをあげ騒ぎ出す。 「サイクーだな! 狂四郎! あいつのびびった顔見たかよWあれ見たらもっとイジめたくなったぜWパチモン野郎共! またシメにいこーな?」 一方呆れた声で狂四郎は大瀧に, 「お前〜, ちょっとは落ち着けよ。俺は無駄な戦いはしたくねーんだ。 それにたいして強くもない相手に俺は興奮しない。だからもう奴らは相手にしねーよ。行くならお前一人で行けよな。ただし, ヘルシーボーイズだとか粋がったこといたらぶっ飛ばすよ。」 大瀧にお灸を据えた狂四郎。 大瀧も声をトーンダウンして 「ああ, 確かに弱い相手なんてクソ面白くねーしなW しかもダサいからさ, 本当はそんなに乗り気じゃないぜW 狂四郎ちゃ〜ん, だからオッコしないでくれよ〜お。代わりに今度ギャルでも探しに行こーよ〜。」 調子の良い大瀧に呆れ顔の狂四郎, 2人が乗るバイクは国立図書館に到着。予定より1時間以上も遅刻し, ジンは少し怒っている様子。 それを察した二人は,ニコニコ顔でジンに近づき, 「プリンセス, お待たせして申し訳ございません。私共のバイクが途中故障してしまいまして…..」 しかし嘘はすぐにバレてしまった。 ジンは大きな声で 「あんた達! B3区で喧嘩したでしょ? 叔父様がニュースなってるって, 私に怒って電話してきたんだから。もーいい加減にして!!」 総勢20人相手に勝利した2人も, 女子から叱られては謝ることしかできずに, ジンに許しが欲しくて土下座する始末。 「さーせん!! 自分らこんなことになるなんて思いもせず, バカな行動とってすいません。二度とこんなことはしませんのでお許しくだせー 嬢王様!!」 ジンの足にしがみつく二人。しかし, ジンは二人をすぐに払いのけて, 「ちょっと!キモいんだけど, もーいい, お腹すいた!! なんか食べたい! 狂四郎, あんた今日はおごりなさいよね」 許しを得た二人は顔を合わせニンマリ。しかしその姿をジンにバレてしまい, 「何笑ってんの? ねー 大瀧くん, 悪いけど待ちくたびれてアタシ疲れてるからさー今日は狂四郎のバイクに乗って帰りたいの。 だからさあ〜 私のバイクを家まで乗っていって駐車場に止めて置いていってくれない? もし事故ったりでもしたら, 絶対許さないわよ!」 大瀧は即答で 「オフコース!プリンセス。もちろんでございます!! わたくし大瀧, 全力でその任務遂行いたします!! お許しいただきありがとうございます。」 その調子の良さに救われて,ジンの強張った表情も徐々に落ち着きを見せる。 狂四郎もここぞとばかりにご機嫌をとるべく, ジンの手を取り愛の言葉を伝える。 「プリンセスジン,君は今日もとても美しいね!!俺さっきさ, 絶体絶命の危機を乗り越えたばかりでクタクタだった。でも君の姿を見たら元気が出たよ, これって愛だろ?愛。愛って本当に素晴らしいね, 愛してるよ, マイプリンセス♡」 ジンは照れた様子で 「も〜お, わかったからあ〜早くご飯連れてってよお〜」 ご機嫌がなおり始め, 大瀧はジンの通勤用エアースクーターに乗り, ジンは狂四郎の後ろに乗った。 ゆっくりと2台のバイクが空に上昇し, テールライトは光るビルの谷間に吸い込まれるように消えていく。
翌日, 爆睡中の狂四郎は何度も鳴り響く電話に渋々起き上がる。 テレビ電話の相手は大瀧だ。 「もしもし, なんだよ,眠いんだよ…今日は何もないはずだろ?」 予定以外の連絡に軽く逆ギレの狂四郎。しかし電話の先の大瀧は明るい様子で 「おはー!狂四郎寝てたの? わりーわりー ,てかさー俺からのメール見た?」 iPhoneを確認すると大瀧から10件以上の着信メールがあった。 「わーり〜寝てた, 今見るわ。あれ, これ懐かしいじゃん。 ウエマツに侵入した時, みんなで刷ったプリントジャケットじゃん? これどうしたんだよ?」
過去に飛び立つ以前のジャケットを見て思い出す狂四郎に, 大瀧は張り切った様子でこう伝えた。 「だよだよ! 懐かしいだろ? 俺とお前と達郎の溝ができたあの事件のW てのは冗談でさ, さっき達郎が届けてくれたんだよ! 俺も懐かしくてさー それで俺様はひらめき気づいたんだよ! もしかしてウエマツにまだシルクスクリーンがあるんじゃねーか?っていう。」 過去のことを覚えている大瀧に狂四郎は驚いた。その時の記憶は軍によって大瀧の記憶から消されているはずだったからだ。 「お前なんで覚えているんだよ, その時のことを。。俺と達郎と軍曹以外は知らないはずだぞ….」 驚いた様子で尋ねる狂四郎。しかし大瀧は自信満々に, 「バーカ, この天才ハッカーの俺様があんな記憶抹消装置の光で記憶が飛ぶかってんだW わざと記憶が飛んだふりして最後まであの光を見ていなかったのさ。俺だって, あの装置の存在は知っていたぜ。でもまさか自分がやられるなんて思ってもいなかったけどよ。あとな, 達郎からジンのことを聞いたぜ。辛いよな プリンセス。 お前, あんなかわいこちゃん泣かしたら俺が許さないからな!! もちろんジンにはあのことは内緒にしてあるから 勘ぐらなくても大丈夫よ〜ん, 狂四郎ちゃん!」 過去の秘密を知った大瀧のことに驚きが隠せずにいるも,仲間のことを想ってくれた大瀧の優しさに触れた狂四郎は嬉しさでいっぱいの声で 「お前〜優しいとこあるじゃーん! さすが仲間だな!! サイクーだぜ!」 二人の絆は深まり, 電話越しの大瀧も嬉しそうに用件を伝える。 「それはそれなんだがな, ウエマツの話に戻すとだな, まだあったんだよ!!シルクスクリーンが! しかも大量にさW でも引き取り人不明なんだ, 謎だろW 店の人も困ってたらしくてさー。達郎に頼んで俺達が預かることになったんだ, 政府の管理代表として。でもよ, 俺達だろW 壊したりでもしたら大変だからさ, 必要な分だけ毎回取りに行くことにしたんだ。 んでんで今俺が着ているTシャツが今回のデザインだよーん」 狂四郎は画面越しの大瀧のTシャツを見て驚いた。 「これ!こないだのバトルでお前がプレイしたあの曲のレーベルロゴそっくりじゃねーか!! なんだよ! これ! すげーな! 俺にもくれよ! 」 狂四郎はHBに続き, 新しいヘルシーボーイズのロゴに大興奮しガンポーズ(bang bang)
繋がる過去と未来に興奮を隠せないヘルシーボーイズ。 彼らの求める答えは自分自身の心の中 “IN MY MIND” にあるのかもしれない。
To be continued
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players1st · 6 years
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【北京冬季五輪日本代表の夢を叶える】スケルトン:奥村駿選手
アスリートの競技者生活を支えるクラウドスポンサー募集サービス「Players1st」を利用していただいているアスリートの皆さんを、ご紹介します。
今回はスケルトンの奥村駿(おくむら・しゅん)選手です。
スケルトンとは
まずは、スケルトンという競技をまだ見たことがない方に向けて、ざっくりとご紹介します。
スケルトンは、リュージュ、ボブスレーと並ぶソリ種目です。
スケルトン=骨組みの名前の通り、最小のソリに乗って1300m~1500mのコースを時速約130kmのスピードで滑走します。
ソリにはハンドルもブレーキも無く、ボブスレーと違い乗れるのは1人だけ。
そして、仰向けで足を進行方向に向けて乗るリュージュとは逆に、うつ伏せで頭を進行方向に向けてソリに乗ります。
顔から氷面まではわずか10cmほど!
1928年、サンモリッツオリンピックから正式種目となりましたが、1948年のサンモリッツオリンピックを最後にしばらくオリンピック種目から外れていました。
その後、ヘルメットやプロテクターの着用が義務化され、2002年ソルトレイクシティオリンピックから54年ぶりに正式種目になりました。
2018年の平昌冬季オリンピックでは、男子の高橋弘篤選手が22位、
宮嶋克幸 選手が26位、女子の小口貴子選手が19位でした。
奥村駿選手へのインタビュー
――今の競技を始めてどれくらいですか?
6カ月です。
――競技を始めたきっかけは?
7月の加古川でのコントロールテストで自分の予想よりも良い結果を出せたから、スケルトンで勝負したいと思いました。
――あなたが得意なことは?
スプリント力です。
――『普段の1日』のスケジュールを教えてください。
トレーニングは週5日やっています。 バイトも週5日で、バイトが終わってから練習に行くという感じです。 メンテナンスは、月に二回のペースで名古屋のタイマッサージに行きます。
――練習はどこでどのくらい行いますか?
大学で週5日と、個人的に千種の池下でパーソナルジムに行ってます。
――選手としての活動費、生活費はどのように得ていますか?
今はバイトのみという形です。実家暮らしなので生活費には困らないです。
――次の目標を教えてください。
まずは最初の国際大会での代表であります。
―― ゴールとする目標は?
次の北京冬季オリンピック(2022年)までに日本代表に選ばれることです。
―― ありがとうございました。
pic.twitter.com/3ZVcxBEdCT
— 奥村駿 (@oku791) 2017年12月29日
奥村選手は陸上競技出身。
NTIDオリンピック発掘プログラムを2年連続で受験し、フィールドホッケー、近代五種競技で評価を受け、日本代表を目指す自信をつけたそうです。
「環境に恵まれなかった過去の自分を驚かせるために、日本代表になり日の丸を背負いたい」
「身長や環境に恵まれていなくても、過去は関係ないと証明したい」
そんな奥村選手自身の熱い言葉を、ぜひ読んでみてください。
ソリ競技は今年で日本の唯一の長野スパイラルが閉鎖してしまい、来年から冬の期間海外進出しなくてはいけないです。だからこそプレイヤーズファーストでファンの方々にサポートを受けたいと思ってます。 過去は変えることができないですが、未来は変えれます。やらなければ始まらない、諦めなければ終わらない。
この自分に賛同していただけている方にサポートをお願いしたいです、よろしくお願いいたします。
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