Tumgik
#KMMinterview
Text
新入部員3人で初めての作曲について話し合ってみた。【Encounter 2021 リリース記念対談】
本日はKMMの新入部員用アルバム「Encounter 2021」に参加いただいた1年生部員3人に、「初めての作曲とは」をテーマに対談を行っていただきました。
 
Dakao(以下D) 環境情報一年のDakaoです。DAWはCubaseを使っていて、ピアノ経験のおかげで音楽理論が多少分かります。作曲歴は一年強くらいです。
dschan(以下ds) 法法一年のdschanです。dschanenjoyという名義も使っています。DAWはStudio One Artistで、作曲歴は4か月ちょっと。音楽経験は少しだけあります。
たこぴー(以下T) 文学部一年のたこぴーです。DAWはFL studioで、音ゲーをやっていたことがきっかけで3年前に作曲を始めました。
Tumblr media
 
 作りたいジャンルは様々……
D 本日はよろしくお願いします。僕はピアノやギターを使うオーソドックスなバンドアンサンブルをやりたくて作っていますが、お二人はどうですか?
ds 特定のジャンルというのは無いんですけど、サウンドトラックというか、ゲームの音楽、RPGやシミュレーションのBGM的なものを作っています。
D encounterで出していた曲もBGM系でしたよね。
ds あれは直前に和風っぽい作品を見たので、あーこんな感じで作ろう、と思って作ったやつですね。
dschan - 誰何、社に棲まうは何者か
T 僕は音ゲーの曲から入ったんで、Hardcore系の速いダンスミュージックを作ってます。encounterもHardcoreで出しています。BPM160くらいですね。
D あのencounterの曲に蝉の鳴き声が入ってたと思うんですけど、ああいうのってどこから引っ張ってくるんですか。
Takopi - 夕闇
T ゲームの効果音とかのフリー素材のサイトや、アンビエント系のサンプルとかを持ってきていますね。
参考サイト: 効果音ラボ
T 二人は普段は生楽器系の音を使ってるんですか?
ds そうですね。生楽器系……触ったことある分扱いやすいというか。逆にシンセサイザーなどの電子音って、生楽器の音と合わせると結構使いどころが難しくて。
D そうですよね。シンセとか一発入れると雰囲気が上手くまとまらない感じがあって。
Tumblr media
  ▲筆者の利用するシンセサイザー 、Spire。
 
 初めて作った「曲(?)」
ds 初めて作った曲ってどんな感じでした?
D 単純にループの素材使ってコードもループになっているようなものにメロディーをつけるみたいな。聞かせられるものではないですね(笑)
ta 僕も、初めて作ったものは音階だけ鳴らしておしまいみたいな、C Majorだけ鳴らしただけの初心者あるあるみたいな曲でした。
D そこからどうDTMを勉強しましたか?
ta 少しピアノを触ったことはあったので、まずピアノ曲を作ろうと思ったんですよね。ただ、メロディーは作れても左手が最初は分からなくて。そこからコードというものを知ったり、DAWを買ってからは楽器のアレンジにもこだわっていきました。
D 自分は楽器もともとやってたんでコードとかTDS*は分かってたんですけど、触ったことのない楽器の奏法やドラムの種類を勉強して作るようになってから、そこそこのものを作れるようになった感じです。
ds 僕はDakaoさんと似ていると思います。四月くらいから初めて、ギターの音を使うときに鳴らし方とか調べてやってます。曲の中にピアノ以外の音色を使うことはあまりないんですけど。
  *TDSはどこぞの遊園地ではなく、音楽理論・和声法におけるトニック、ドミナント、サブドミナントという重要語彙のこと。
 
 みんなの味方、YouTube
T 調べるときにどんなもの使ってますか?
ds 僕は奏法全般をインターネット、特にYouTubeで調べてますね。
D 僕もネットを使うことは多いんですけど、個人的に教わってる人にいろいろ聞いたりしています。たこぴーさんはどうですか?
T ダンスミュージック系なのであまり打ち込みは勉強していないんですど、音作りをYouTubeを使って調べています。音の名前をまず調べて、その作りを知るとか、あとは、プリセットを買って研究したりもします。電子音って、そこまで打ち込み方に拘らなくていい分音作りが大事なんで、シンセの扱い方が大事になってくると思います。
D 生楽器だ��エフェクトとかよりも、まずアレンジや強弱で決まる部分が多いので真逆ですよね。
ds やっぱりたこぴーくんの話は電子音ならではですね。結局パソコンで鳴らしていることを考えると全部電子音っちゃ電子音なんですけど(笑)
youtube
  ▲dschanのおすすめHow To動画。
 
 やっぱり最初が一番大変
T DTM始めた時に躓いたポイントってあったりしますか?
D 最初に躓いたポイントといえば、環境設定とショートカットを覚えるところですね。音が出ないとか、MIDIの書き出しが分かんないとか。一番最初が一番躓いたと思います。
ds 僕はパソコンに触ってたので調べればどうにかなるかなっておもったんで、あまり設定で躓くことは無かったです。なんだけど、作り始めてから、作り方が分かんないじゃないですか(笑)。四月に買ったはいいけど何も出来ないみたいな期間が長かったですね。
D あるあるですね。
ds 楽譜を読んだり、バンドとかを頭の中で組み立てることは出来るんですけど、そこから各パートどう作ってくかとか、構成を考えるというところで一回躓きましたね。
 
 編曲の研究ってどうしてる?
T 楽曲構成の話ってあまりネットに載ってないですよね。
ds そう。各パートの話は載ってるんですけど、構成の話は載ってなくて。
T ここはこうでとか、コードはこうでみたいな話は出てくるんですけど、ここをこう繋ぐとか、そういう話は少なくて難しいんですよね。
ds 「DTM」で調べるとあまり出てこないですよね。楽器の話を調べると出てくることもあるんですけど、DTMの話ってまずツールの使い方から始まってたりして。編曲方法の話ってDTM専門のサイトでは出てこなかったりするんですよね。
D そういうので言うと、300円くらいで既存の曲のMIDIが売ってるんですけど、それを買って勉強してましたね。耳コピって大変だし、楽器の奏法が分からないとどういう音が鳴ってるかわかりにくいので。
T そのMIDIってメロディとコード以外の情報も載っているんですか?
D 載ってます。音源を当てはめたら曲がまあまあ再現できるくらい。生音系では鳴らし方なども大事なので、MIDIで研究するのはおすすめです。ヤマハのミュージックデータショップをよく利用しています。 
Tumblr media
  ▲MIDIデータには様々な情報が含まれる。
 
 作曲ルーティーン
D それぞれジャンルも違うし、大事な部分が結構違いますけど、普段どういう手順で曲作りを進めてますか?
T 僕はドラムから作ってます。ドラムのサンプルは結構種類があるんですけど、それを並べてループを作って、そこからベースやウワモノを乗せていっています。
ds 僕は素の状態からメロディーとかリズムを考えるのが得意じゃないので最初にコードを決めてから、それに合うメロディーを作って、最後にリズムを入れています。僕はループはあまり使っていないですね。
D 自分もコードから作ってます。その前に参考にする曲を決めて一回全部「どの楽器を使ってどの奏法を使うのか」を考えて、そこからアレンジまで決めてからやっとDAWを立ち上げて考えていますね。
T アレンジって、完全にドラムから楽器まで先に考えているってことですか?!
D もちろん途中で変わることもあるんですが、核になる部分は決めていますね。メモアプリにメモしていて、「エレキベースギター」のところに「ここは8分系のベースで」、「ここはギターブリッジミュートで」とか書いています。DAW立ち上げてから悩むのが嫌なので……
ds 確かに僕もDAW立ち上げてから悩むことが多いので、それはいいアイデアかもしれないです。
D お二人は何か参考曲を置いたりしますか?
ds あってもなくてもな感じで作ってますね。真面目に作るときは置いたりするんですけど、 いつもは頭の中で知ってる曲を流す程度です。メロディーとかよりは、リズムを参考にすることの方が多いです。
T ダンスミュージックだとミックスや音作りが大事なので、その部分で参考にする曲を置くことが多いです。そもそもあまりコードやメロが無いものなので、その部分でのレファレンスを置くことはあまり無いです。
 
 DAWのおすすめポイント
D それぞれDAWが違うと思うんですけど、自分のDAWの良いところとか悪いところってあったりしますか? ぼくはCubaseなんですけど、ライセンスの管理をUSBのドングルでやらないといけないので、そこが気に食わないです。
T FLはそこまでないですけど、良いところとしては、他のDAWと違って、MIDIの打ち込みをパターンごとに管理していることですね。トラックごとではなく、一つのMIDIパターンを作ったらそれをオーディオみたいに切り貼りしたり、刻んだりできます。そこの特殊さがダンスミュージックに向いていると思います。
D やっぱりFLはダンスミュージックに向いてるってところから選んだんですか?
T そうですね。安かったってのもあるんですけど。
D まぁFL安いですもんね。結構手が出しやすいというか。
T 下のバージョンのやつだと一万いくらくらいで買えるのでDAWにしては安いかなあと思います。悪いところ��しては付属の音源が若干しょぼいところですね。生音系がやっぱり充実していないんで。
D Studio Oneはどうですか?
ds できることが多いってのが良いですね。僕、使いこなしてるわけではないんですけど、調べただけでもいろいろあって。難点としてはちょっとごちゃごちゃしてて分かりづらいかなぁって感じです。あとはProfessional版じゃなくてArtist版を使っているので、制限が多いかなと。ただ、あんまり高くないし、学割を使えばかなり安くなるので値段に関してはあまり不満はないです。
 
 読者へ:後半はオタトークとなっているので、DTM初心者にとっては難しいかもしれないが今すぐ分からなくても大丈夫だぞ!
 
 課金の形も様々……
D ちなみにどのくらい課金してるかみたいな話していいですか。僕はバンドアンサンブルの音源には一通り課金しています。
T どこの会社の買ってるとかありますか?
D ドラムと鍵盤はaddictiveシリーズ使ってます。
T 定番ですね。
D やっぱり動作と容量が軽いんで良いです。純正のものよりも軽かったりするので使いやすいですね。ベースはSpectrasonicsのtrilian、ギターはmusic labのrealシリーズ、real LPCとreal stratを使ってます。生音系は無難に揃えました。大体7万~8万くらい音源に使ってます。
ds なるほど。僕も出すとしたら音源に出しますね。まだ一円も課金してないですけど。
T でもスタワンの付属でもいけませんか?
ds 付属の音源は気に入らないのが多くて。フリーで配ってるものとそんなに大差ないんですよね、弦楽器系はとくに。
D 弦楽器系はほんとMIDIと相性が悪いので、ギターとかは付属だと難しいですね。
ds 弦楽器系は弾ければ一番いいんですけど、弾けないんで打ち込みに頼ってる感じですね。
T 僕はサンプルとかプリセット含めると7~8万って感じですね。ピアノはaddictive keysを一つ持ってて、シンセはSerumとsylenth1を持ってます。xpand!2っていう音源でバッキングを作ったりもしてます。そこまで生音感が無くても良い時に使ってます。あとはSpliceとか市販のサンプルです。サンプルだけで1万はいってるとは思います。
ds なるほど。じゃあ結構お金かけてるんですね。
T それ以外のDAWのお金とかヘッドホンのお金も含めてだとそうですね……
ds 結構ハードウェアの方にお金かけたいなとは思ってます。形あるものじゃないとお金払う気がしないんですよね、音源買いたいなーとは思うんですけど。この音源買っても使わなかったら意味ないなって思っちゃうんですよね。
T まぁでも基礎になる音源、僕がさっき挙げたSerumとかは持っておくといろいろな場面で使えるとは思います。最低限がいくらになるのかって話なんですけど。
D SerumとかだとSpliceでプリセット買ったりもできますしね。
T そうですね。結構Spliceでもプリセット買ったりしてますね。
D そういう拡張性のある音源買うと結構使えるんじゃないかなと思ったりしています。
ds なるほど。
  
 みんなマウスポチポチ作曲
D 逆に自分はハードウェアにほとんど課金していなくて、ヘッドホン直刺しで手動で打ち込んでるんですよね。
T 自分も直刺しですね。そこまでは手が回ってなくて……
ds 僕は、両親が昔音楽やってたんで、インターフェースは貰えて。ヘッドホンとマイクは自分で買って、MIDIキーボードもあります。ただ、結局マウスで打つ方が音を揃えやすいんで、そんなに使用頻度が高いわけではないです。 適当に弾いてメロディーを考えるときには重宝しています。
D 皆さんMIDIを手動でマウスでポチポチ打ち込んでいく感じですか。
T  まぁそこまで上手く弾けもしない限りはマウスで打ち込んだ方が楽じゃないかなという気はしますね。
D 僕もMIDI鍵とか使ったことありましたけど、結局手動で打ち込んだ方が早いだろうと気づきましたね。
ds 結局鍵盤使ったとしてもマウスで修正することになるんですよね。でも、MIDI鍵の良いところは押し方や弾き方で生っぽくなるところですよね。打ち込んだあとに強弱付けるのは面倒くさいですし。
  
 今後の目標
D みなさん今後の目標とかあったりしますか。今年中とか。
T 今年ってもう3分の2くらい終わってますよね……? 僕は音ゲー出身なので、やっぱり音ゲーへの楽曲提供とか、公募に合格したいという目標があります。音楽ゲームは結構頻繁に公募があるので。あとは、誰かに依頼されるくらいの実力を身に着けたいですね。dschanさんはどうですか?
ds とにかく続けられればいいなって思ってます。僕、いろんな事にすぐ飽きちゃうんですよね。今結構作曲面白いなって思ってるんで、短期的には今年最後までDTMを続けるっていうのが今の目標です。
T やっぱり続けるのが大事ですよね。続けないとやっぱり実力が身につかないので、満足いかなくても続けていった方が良いと思います。
D 自分は作るときと作らないときにムラがあるので継続して作曲の練習をするようにすることですかね。あとは、作ったものを色々ネットに公開してみたいかな……。
T YouTubeとかSoundCloudとかですか?
D そうです。
 
 最後にみんなへアドバイス
D 最後に、作曲を始めたい人へのアドバイスってありますか?
T ひとまず始めようくらいしか思いつかないです(笑)。やっぱり作曲を始めるときって、いろいろきっかけはあると思うんですけど、「表現したい」って気持ちがあって始めるものだと思うので、作りたいという気持ちに従って作るのが大事だと思います。
ds まずは継続してやってみて、作曲に対する意欲を高めていくってのが大事だと思います。アイデアで悩んでいる人は、参考曲を聴いてアレンジをメモに整理したりすれば、途中で曲ができなくて挫折することも少なくなるんじゃないかなって思います。
  モチベーション、大事……! みなさん頑張りましょう!
 
youtube
 対談に参加いただいた三人の楽曲も収録された、計23人参加のコンピレーションアルバム、「Encounter 2021」。新入部員たちの処女作を多数収録!
bandcampにて無料視聴・DLできますので是非確認してみてくださいね……!
bandcamp - Encounter 2021 by KMM 
 
 記事が面白いと思った方、KMMを応援したい方、是非SNSでシェアよろしくお願い致します。
 
<対談者>
Dakao 慶應義塾大学環境情報学部(1年)。DTM歴1年。ピアノの演奏経験をもとに、ロック、ポップスを中心に楽曲制作を行っている。使用DAWはCubase。
dschan 慶應義塾大学法学部法律学科(1年)。DTM歴半年。モチベの上下に悩まされつつ主にインストを制作中。使用DAWはStudio one 5 Artist。 Twitter
たこぴー 慶應義塾大学文学部(1年)。DTM歴3年。音楽ゲームに影響を受けたHardcoreを製作している。使用DAWはFL studio。 Twitter
<編集>
kotake**. 慶應義塾大学理工学部(2年)。DTM歴1年半。ゆるく可愛い平和な世界を音楽を用いて作ろうと奮闘中。使用DAWはStudio One。 Twitter
 
楽曲制作会KMM 慶應義塾大学公認サークル。2016年にDTMサークルとして設立され、現在は対面活動が実施できない中、オンラインで積極的に活動している。 official Twitter
0 notes