#matrixmodulation
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nemosynth · 5 years ago
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海倖シンセ興亡蚘 I  Oberheim Xpander review
●メヌカヌ名
Oberheim
●機皮名
XP-1 "Xpander" 1984 幎発売。定䟡 69 䞇千円
「オヌバヌハむム・゚クスパンダヌ」ずいう名称が有名だが、実は XP-1 ずいう型番がある。
MIDI 生誕幎埌に発売された MIDI 音源モゞュヌル。そんな早い時代に鍵盀を無くすずは、いさぎよい しかもデスクトップ型なので、操䜜しやすい。
●音源方匏
アナログ枛算方匏  マトリクス・モゞュレヌション
・VCO 基 ・VCF 基ステヌトバリアブル仕様 ・VCA 基 ・EG  基 ・LFO 基 ・FM プロセッサヌ基 ・ラグプロセッサヌ基 ・ラᅵᅵᅵププロセッサヌ基 ・トラッキングゞェネレヌタヌ基
恐らく史䞊初の、耇雑モゞュレヌションを可胜にした単䜓非モゞュラヌシンセ。そのモゞュレヌションの仕組みは、音創ᅵᅵᅵ甚パラメヌタヌの数々を、倉調源たる゜ヌスず倉調先たるデスティネヌションずに振り分け、それらの間を、あたかもモゞュラヌシンセであるかのようにパッチングするこずで成立。たずえば、EG を゜ヌスに、VCA をデスティネヌションにすれば、VCA が EG によっお開閉する。そんなんあたりたえやん、ず思うなかれ、そこはデフォでは切り離されおいお、いちいちナヌザヌが぀ながないずいけない。぀たりモゞュラヌシンセず同じ。
むろん、ものほんのモゞュラヌずは違い、Xpander では、パッチコヌドで぀なぐのでは無く、゜フトりェア凊理。操䜜も、衚瀺画面䞊にあるデスティネヌションヘ、゜ヌスをアサむンし、デプスを蚭定しおゆく。音声経路こそ、埓来のノィンテアナログシンセず同じく、オシレヌタヌ、フィルタヌ、アンプずいう順番に固定されおいるが、倉調経路は瞊暪無尜に、ナヌザヌが決定できる。
この、膚倧な可胜性を提瀺する耇雑なモゞュレヌション・システムを、Oberheim 瀟は 「マトリックス・モゞュレヌション」 ず呌び、これは同瀟の商暙であるずずもに、のちにはメヌカヌを越えお同様の機胜が広がっお採甚され、これらに察し 「モゞュレヌション・マトリクス」 ずいうふうに単語をひっくり返した衚珟が、広く䞀般に䜿われるようにたでなった。
●同時発音数 
音。
パヌト音ポリずしお䜿う他、パヌトマルチ音源にもなり、そのずき各パヌトはモノシンセになる。MIDI 制定の翌幎、早くもマルチティンバヌを実珟しおいたのも、先芋の明。
●内蔵゚フェクトの性胜ず傟向
無し。
でも VCO は元来ピッチが䞍安定だから、和声時に自然にコヌラスかかるね。
●内蔵波圢、プリセットの傟向
䞉角波、鋞歯状波、PWM 波。VCOにはホワむトノむズもある。なお各波圢は独立しお On / Off できるので、組合せお出力する事もできる。
プリセット音色からは、ややおずなしく音圧に欠けるような誀解を受けおしたうが、本来はフィルタヌでこもらせおも抜けおくる厚い粘りのある音。 音を自䜜しおみれば分かる。バンド・アンサンブルの䞭でもしっかり抜けお聞こえ、䞋から支えおくれる良ᅵᅵ音。FM 倉調なども過激。時ずしおマトリクス・モゞュレヌションならではの、倉態な効果音がプリセットされおいるずころは流石。
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●゚ディットの自由床ず可胜性
なんず蚀っおも目玉は、史䞊初のマトリクス・モゞュレヌション。
音色ごずにメモリヌ可胜で、゜ヌス 27 個、デスティネヌション 47 個、最倧モゞュレヌション系統数は 20 系統。今でこそ圓然だが、単䞀の゜ヌスを耇数のデスティネヌションぞパラったり、耇数の゜ヌスから単䞀のデスティネヌションぞマヌゞしたりなんおいうのが簡単にできるのも゜フト凊理ならでは。
このおかげで、ノァヌチャルモゞュラヌシンセの先駆者的存圚ず、よく蚀われる。しかも䜕がすごいっお、モゞュレヌション郚分は゜フトりェア凊理であるにしおも、挔算結果の党おが最終的にはフルアナログの VCO、VCF、VCA ぞ反映されるのが凄い。今でこそモゞュレヌションマトリクスを持ったシンセは倚くのメヌカヌから出おいるが、この圓時はそんなものは他に䟋が無く、なおか぀すべおが玔アナログ音声経路に反映されるずころが、'80 幎代ならではの過枡期なハむブリッドぶりを思わせるずずもに、今ずなっおはトレンドになった、時代に先駆けた、あたらしいポむント。 以䞋、これに぀いお、芁所芁所にお解説する。
オシレヌタヌから音声経路順に、各ブロックを解説するず、たず VCO の盎埌にお「FM VCA」ず銘打たれた FM 倉調プロセッサヌがあり、VCOで、VCOないし、VCF カットオフをリニア FM 倉調できる。自己発振させたフィルタヌにかけるず、線圢 FM ずはいえ、アナログならではの䞋品な FM 音色になる。これは埌の時代に、なんず AKAI をふくむ皮々の Oberheim 系の機皮に受け継がれた。
なお「FM VCA」の名は、FM 倉調のデプスを専甚 VCA にお制埡するこずに由来し、その仕組み自䜓は普通だが、名前の付け方がきちょうめんず蚀えるかも。
「Multimode VCF」ず名づけられたフィルタヌは、倚圩なステヌトバリアブルフィルタヌであり、それたでの垞識をやぶる蚈 15 タむプもある。フルアナログにしお、こんだけ倚圩な VCF ずいうのも凄い。フェむザヌっぜく䜍盞を倉える䞀皮のオヌルパス・フィルタヌになるモヌドたであり、'80幎代らしくないどころか、今でも遜色なく倚圩。 たたノッチフィルタヌでレゟらせばずんでもないドンシャリも出るずころが、他機皮のノッチフィルタヌずは違う。他のシンセにおけるノッチフィルタヌでは、単にノッチの幅が可倉するだけなのだが、Xpander のそれはノッチずしお凹むヘリずなる「䞡岞」が匷調され、結果、䞊に凞のレゟナンスピヌクを぀぀くるため、ど迫力のドンシャリになる。ず思うのだが、゜フトによる゚ミュレヌションを芋おるず、どうも挙動がちがう。なんで
VCA が基もあるのも、他に䟋をみない。基あるおかげで、マトリクス・モゞュレヌションの䞭で真䟡を発揮する。なんせ VCA ぞ゚ンベロヌプなどをいちいち手䜜業で接続し、それで VCA を駆動しない限り、VCA が開かないのでなんの音すら出おこないずいう培底ぶりは、お手軜シンセに溺れた自分に喝を入れおくれる。たさにモゞュラヌず同じ。
ラグ・プロセッサヌは、入力された制埡信号を遅延させる、芁はポルタメントなどに䜿えるモゞュヌル。
EG は基もあり、ADSR 型だが、打鍵によるゲヌト信号だけでなく、LFO などで呚期的に EG ぞトリガヌをかけるこずもできるため、繰り返し EG をルヌプさせるこずが可胜。マトリクス・モゞュレヌションによっお、最倧ᅵᅵᅵ時間におよぶ長倧なる゚ンベロヌプを実珟可胜。それを途䞭で止めるには、チュヌニングボタンを抌せば良いずいう裏ワザがあった。
LFO も基あり、たずえばそれらをダマハ FM 音源で蚀うずころのオペレヌタヌに芋立お、LFO でアルゎリズムを組み、LFO 同士で呚波数倉調や振幅倉調をかけるこずにより、ありえないくらい耇雑な LFO 波圢を埗るこずができる。ややゆっくりしたレヌト同士で乗算するず、なお面癜い。
LFO 波圢には、䞊昇鋞歯状波、䞋降鋞歯状波、䞉角波、矩圢波、S/H 波、ノむズ、そしおさらに他のモゞュレヌション゜ヌスからの信号をクォンタむズするモヌドたであった。独自のラグ・プロセッサヌを装備しおいるので、ディレむノィブラヌトなども簡単。
基のトラッキング・プロセッサヌでは、぀のポむントにお倀を蚭定するこずで、たずえば耇雑なキヌスケヌリングに䜿えたりした。
基のランプ・プロセッサヌもあり、これはアタックタむムだけの EG ず思えば良い。
これらのおかげで、モゞュラヌばりに自由床の高いモゞュレヌションの組合わせが可胜。
ただし、党般的な音のキャラずしおはブラスや厚いパッド向き。これは、EG が初期の゜フトりェア凊理であるためにアタックが遅くなたっおしたうためで、食い぀きが良くなく、シンベなどには、あんたり向いおはいない。
プリセット音色には、ありきたりな゚ンベロヌプで VCA を駆動するなんおフツヌのシンセみたいな事をせず、VCO、VCF、VCA の党おを前述の耇雑怪奇な倉調をかけた LFO 矀のみで、くすぐっおいるものあったりする。するず、最初にポロロンず適圓に匟いただけで、あずは延々ず音が小粒に现切れになりながら無限に鳎り続ける。たるで無数のゎム球スヌパヌ・ボヌルが無限階段をはねたわり、各々勝手きたたにバりンスしながら、そこいらじゅうに散らかっおいくかのようで、文字どおり、おもちゃ箱をひっくりかえすように楜しい。蚀わば、シンセ版ししおどし。
怪奇 LFO 矀を䜎速にしホワむトノむズを通した VCF を倉調すれば、宇宙から゚ンれル・ヘアヌが降っお来たような隒ぎになる。゚ンれル・ヘアヌ '70幎代 UFO 珟象ネタ、ずいっおも「本物」は音がしないらしいが。
この、のちの時代で蚀う「モゞュレヌション・マトリクス」のために、Xpander には圓時の IBM パ゜コンの倍の凊理胜力を持たせたずいう。が、それでも最倧 20 系統たでしか䜿えないのでご理解ください、ずいうような謙虚な衚珟が、取扱説明曞に曞いおあったりする。おおらかな時代。
操䜜系は、いわゆるツマミストなアナログずは違い、メニュヌ・ダむノせねばならないが、階局が衚裏の぀しかないのず、デスクトップ型の圢状、䞉぀もある蛍光管衚瀺、そしお基の無限゚ンコヌダヌノブに助けられお、ただ楜な方。その蛍光管ディスプレむFLD, VFDにしおも、16 セグメントもあり、英数字しか衚瀺しないずはいえ、いわばハむレゟ衚瀺。しかも LCD のような芖野角が無いために、どこからでも芖認できるのが長所。
フロントパネル右半分には、モゞュラヌぶりを瀺すブロックダむアグラムも描いおあるばかりか、その図解のなかに各ブロックに盎結した゚ディットペヌゞぞ䞀発で遷移するボタンたで配眮されおいるので、分かりやすい。
●拡匵性
盎接に拡匵できる機構は無いが、MIDI 受信可胜メッセヌゞ皮数は倚い。CV / Gate も受信できお、しかも MIDI ぞ倉換送信できるため、CV / Gate to MIDI むンタヌフェむスになる。
CV / Gate 入力は、ペアもあり、音ポリに察応する。Oct / V 察応であり、リアパネルに、ずらっず蚈 12 個もの入力端子がならぶさたは壮芳。
マルチ音源にもなるので、パヌトを個別に CV / Gate で制埡するこずもできるばかりか、パヌトは MIDI で、パヌトは CV / Gate で制埡するずいう芞圓もできる。これにより、MIDI  ずアナログ制埡信号ずのネットワヌクの䞭で、かなめずなる音源モゞュヌルずしお掻躍できる。
MIDI によるバルクダンプのみならず、カセットテヌプ・むンタヌフェむスも装備し、それで音色デヌタをセヌノ / ロヌド可胜。
●あなたにずっおの長所
マトリクス・モゞュレヌション、しかもアナログ回路で音を加工できお、なおか぀ MIDI で挔奏可胜。
VCO シンセでベロシティで衚情が぀くずいうのは、実は結構レア。ノィンテで蚀えば、クロヌマやポラリス、ロヌランド MKS-80、AKAI VX600、AX73 ずか VX90 くらいか。でも裏を返せば、他にあたりなくおレアなのである。
この機皮における、フィルタヌでこもらせおも抜けお聞こえる音の倪さや、アナログならではのホワむトノむズのきめ现かさなどなど、胞がすくような玠性の良さは、やはり他に代えるものがない。 で、そこぞきお音色ごずに切り替え可胜なマトリクス・モゞュレヌションによる、耇雑か぀繊现な衚珟が、最埌には VCO、VCF、VCA に反映されるずいう、たさに逞品同士の組合せも感動的。
音やキャラが違うずはいえプロフェットより安定しおるし、ノィンテヌゞにしおは比范的軜量コンパクトだから、リハスタに Xpander ず MIDI ケヌブルだけ持っおいくずいうのも、おもいっきりツりでかっこいい。
音源モゞュヌルではあるが据眮型なので、゚ディットしおも手が疲れない。挔奏䞭に、各オシレヌタヌのロヌテヌション・トリガヌの実態が、ディスプレむに衚瀺されるのも面癜い。しかもボむスごずにパンニングを決定できるので、アルペゞオを匟くず音像がアニメのように巊右に動くのもおもしろい。 
たた、ROM バヌゞョンにもよるらしいが、サヌビスモヌドに入っおディスプレむチェック機胜を駆動するず、セグメントず぀単独に発光しおチェックさせおくれるあたり、螊る蛍光衚瀺がクリスマスツリヌなんかより、ずっずずっずずヌっず楜しい。
意倖にリアパネルがクヌル。これは芳客に芋せたい。ロゎもかっこ良ければ、ずらりず䞊ぶ端子矀も壮芳。そのリアパネルに䞊ぶ怒激の端子矀に蚌明された CV-MIDI 倉換機胜も良い。なんせか぀お私の機材の四分の䞉は、MIDI に察応しお無かったので
ある日、オシレヌタヌが基だけ「ぱぁ」になっお、音ポリになった。でも暫くするず自然治癒しお声に戻った たたしい入っずんのちゃうか これわ長所か
●あなたにずっおの短所
どこをどうモゞュレヌトしおいるのか垞に把握するのは、慣れないず難しい。慣れるのも難しい。探そうにもデスティネヌションから゜ヌスをいちいちたぐるしかないので、゜ヌスをいじろうにも、どこたで圱響範囲が及ぶのかが、なかなか分からない。のちの Matrix-12 では、逆匕き機胜があったずいう。ここはコルグ Z1 などに軍配が䞊がる。
理屈っぜく考え蟌たないず音づくりできない、ずいうのも、なかなか構えさせる。
ほんずうのモゞュラヌずいうわけでは無いので、䟋えば 10 基の VCO からの音を基の VCF に突っ蟌むこずで音色を倪く歪たせるような、おきお砎りなモゞュラヌの醍醐味が味わえるわけでは無い。あくたでモゞュレヌションの経路が、想像を絶する自由床を有し、しかも音色ごずにメモリヌ可胜で CV / MIDI 察応なのがメリット。それもアナログの分際で、MIDI 察応ず。
MIDI でピッチベンドかけるず、操䜜子を動かし぀づけない限り倀がれロに戻る ベンドアップしおホヌルドするような奏法をするず、ホヌルドに入るや吊や、突劂ずしおピッチが元に戻る。これは MIDI 黎明期ならではの、芏栌解釈の混乱か
CPU が初期のトロいしろものなので、MIDI によるリアルタむムぐりぐりさせるず、もたるらしい。マトリクス・モゞュレヌションにたかせるのが吉。
EG アタックも、初期の゜フト挔算によるものなので、ずろい、アタックもなたるのでシンベではなくブラス向き。
フィルタヌを閉じおも抜ける良い音しおるのに、プリセットからは、そうは感じられにくい。
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●その他特蚘事項
Xpander は、VCO、VCF、VCA からなり、音声経路で蚀えばフルアナログシンセなので、ずかくアナログ原理䞻矩者からも厇拝される䌝説的な名機ずしお、語り継がれおいる。
だがその嚁力は、アナログにずどたらず、先進的か぀野心的なデゞタル技術の恩恵によるずころが倧。
そのデゞタルずは、MIDI であり、史䞊初のマトリクス・モゞュレヌションであり、FLD を甚いた操䜜性である。
たず、MIDI。
Xpander よりさらに前にも、Oberheim は、OB-Xa をデスクトップ型音源モゞュヌルに改造し、OB-Expander ずいう機皮名で発衚した事があったが、実際には販売されなかったらしい。どっかで写真だけ芋たこずがある。この幻の機皮には、MIDI 前倜に Oberheim が䌁画しおいた独自のデゞタル通信むンタヌフェむスが搭茉されおおり、MIDI 以前にしお、MIDI のように情報を送受できるシステム提案の䞀環ずしお発衚されおいた。その実甚化は、さらに前の OB-X 埌期型、シリアル番号 803600 以降にはじたり、独自のパラレル通信プロトコルであった。
そもそも Oberheim 瀟を創蚭したトムおじさんは、'72 幎に、史䞊番目のデゞタルシヌケンサヌ DS-2 を発売。ᅵᅵᅵれでミニモヌグや Odyssey を CV/Gate 駆動しおいるうちに、シヌケンサヌ駆動時には手匟きできないずいうので、音源モゞュヌルの名機 SEM こず Synthesizer Expander Module を開発したのが、同瀟シンセの発端だったのだから、音源モゞュヌルや電子楜噚デヌタ・ネットワヌクに぀いおは老舗も老舗。独自の通信プロトコルを開発するに到ったのも、MIDI 音源モゞュヌル Xpander を、さしずめ MIDI 時代の SEM のように開発したのも、圓然のこずであろう。
ネットワヌクの䞭で動䜜するシンセ、その圚り方を、始祖 DS-2 から、SEM から、パラレルバスから、OB-Expander から、぀いに Xpander にいたるたで暡玢。モヌグに象城される、内圚するモゞュラヌではない。倖郚にモゞュラヌをもずめる電子楜噚。
しかしその通信ケヌブルたるや、パラレル転送による高速通信を重芖するあたり、圓初あたりに電波をばりばりにたき散らすフラットケヌブルだったらしく、それはその埌、MIDI の登堎により぀いえ去った。'83 幎のナム・りィンタヌにお、シヌケンシャルの prophet-600 ずロヌランド Jupiter-6 そしお JX-3P ずが MIDI 接続されるずいうセレモニヌが行われ、MIDI は公匏に誕生したのである。
MIDI 以前から、情報通信ネットワヌクの䞭で動䜜するシンセのあり方を暡玢し、DCB を぀くったロヌランドず同じく、その道では老舗の Oberheim。老舗すぎお、自分たちの通信システムのほうが MIDI より高速であるため、ネットワヌクずしおの優䜍性から MIDI 制定には参加せず、乗り遅れたのであった。自瀟フォヌマットの優䜍性にこだわりすぎお MIDI に乗り遅れたメヌカヌは、他にも PPG などがある。
MIDI 制定にかかわったのは、海倖ではデむノおじさんの Sequential Circuits 瀟のみであり、それ以倖はすべお日本䌁業、ダマハ、コルグ、カワむ、ロヌランド、この合蚈瀟だけであった。
ただ、MIDI 制定を遠巻きに眺めるだけだったトムおじさんは、やはりただものではなかった。MIDI 制定に乗り遅れたくせに、その翌幎には Xpander ずいう MIDI 音源モゞュヌルを開発、成功しおいる。しかもその機皮がたた、ただものではない。たった幎で開発したずは思えない。
ここで MIDI を䜿うこずで、音源モゞュヌルずいう抂念が、あらためお倧きくはっきり打ち出された。
だがコンパクトにたずめるなら、別にただの箱でいい、OB-から鍵盀を取り倖すだけでいい。しかしそこを工倫し、その結果、他にはない抜きん出た個性を思い぀いおきたのが、Oberheim 瀟のえらいずころ。
その、かなめが、次のデゞタル技術、史䞊初のマトリクス・モゞュレヌション。
MIDI 誕生からたった幎埌、それたでの OB シリヌズから䞀転、史䞊初のマトリクス・モゞュレヌションを搭茉したのが、この Xpander。MIDI が誕生しおからわずか幎埌に、いわば MIDI モゞュラヌシンセを぀くっおやろうずいう、先芋性ずいうか、もはや野心すらをも垣間芋れる。
か぀おモゞュラヌシンセであれば、ひずたびパッチングし終わったら、挔奏䞭リアルタむムにケヌブルをかえるのは至難のわざ。しかしマトリクス・モゞュレヌションであれば、音色ごずに䞀発で耇雑怪奇なパッチングも呌び出せる。しかも、MIDI で遠隔操䜜で音色切替ができる。
ベロシティのようなリアルタむム MIDI 制埡で衚情が぀くのも、倧きな利点。既存の発想を超えお、MIDI でトリガヌされたノヌトが、音源モゞュヌル内郚におドミノ倒しの劂く各郚ぞ䌝播し、あや぀り人圢のように倚数の糞を匕いお膚倧なパラメヌタヌをモゞュレヌトするずいうコンセプトは、すさたじいの䞀蚀に尜きる。
マトリクス・モゞュレヌションの次は、それをコンパクトにたずめるための、デゞタル技術を利甚した操䜜性。
FL 管ディスプレむを䞉぀も搭茉し、さらに゚ンドレスにぐるぐる回る、ロヌタリヌ゚ンコヌダヌノブを぀も配するこずで、モゞュラヌシンセなら圓前だったおびただしい数の物理操䜜子やスパゲティ工堎爆発状態のパッチケヌブルを、䞀切排するこずに成功。すっきりずコンパクトなデスクトップ型の音源モゞュヌルに、たずめあげるこずができた。
なんせ
・VCO 基 ・VCF 基ステヌトバリアブル仕様 ・VCA 基 ・EG  基 ・LFO 基 ・FM プロセッサヌ基 ・ラグプロセッサヌ基 ・ランププロセッサヌ基 ・トラッキングゞェネレヌタヌ基
蚈 24 基ものモゞュヌルを内蔵。しかもボむス分が必芁ずなれば、144 基のモゞュヌルからなる巚倧モゞュラヌシンセ。各モゞュヌルがナヌロラック 10 HP 幅だずすれば、1,440 HP すなわち、暙準的な 84 HP ナヌロラック型の収玍ラックで 17 個分以䞊ず、ありえないビッグサむズ。それをデスクトップ型ずはいえ、小脇にかかえられるコンパクトか぀軜量な音源モゞュヌルに収玍したのだ。
この、MIDI、マトリクス・モゞュレヌション、そしお新タむプの操䜜性。
これら䞉぀のデゞタル技術の恩恵により、それたで存圚しえなかった新感芚のシンセモゞュヌルが誕生。
぀たり MIDI ずは、単にマスタヌからスレヌノを鳎らす、ずいうだけの単玔なものではなく、挔奏䞭ですらリアルタむムで音色を切り替えられる「プログラマブル・モゞュラヌシンセ」ずでもいうべき、ありえない壮倧な可胜性ず衚珟力ずを秘めおいたのだ。それを芋事、具珟化した Xpander。MIDI の可胜性を芋抜き、それを熟知しおいた Oberheim。さすが、MIDI に先駆け独自の通信むンタヌフェむスを開発しおいただけのこずはある。音色は倉化しおこそ音色、動きのある音、動いおナンボである。
時間軞䞊で動く音、それを実珟するための、デゞタルであり、それこそが、楜噚におけるデヌタ通信の本質。するどく本質を芋抜いたトムおじさんの県力、そこに芋えおいたものずは
MIDI ネットワヌクの䞭で泳ぎ回り、本䜓内郚にも巚倧なモゞュレヌションのネットワヌクが耇雑怪奇に存圚する。倖圚するモゞュラヌ、内圚するモゞュラヌ。倖郚ネットワヌクの䞭で泳ぎ回り、内郚ネットワヌクでもっお倉調し音創りする。入れ子になったネットワヌク。フラクタルネットワヌク網、フラクタルシンセ、などず蚀っおもいい。
たさに新感芚の音源モゞュヌル。
そしおこれはデゞタル、すなわち゜フトりェアの勝利。他の米囜補シンセたちず同様、単䜓機でありながらも搭茉されおいる゜フトりェアの勝利であった。MIDI ぞの反応も、マトリクスモゞュレヌションも、どちらもハヌドシンセ内郚にお゜フトで凊理されお行われる。ただただ PC / Mac 䞊の゜フトが生たれたおの存圚でしかなく、専甚ハヌドりェアの存圚が揺るぎなかった時代に、時代に先駆けお゜フトりェアによる可胜性をみせ぀けた、最初の成功䟋。
さらには、か぀お TOTO が台台ずスタックしお愛甚したずいう音の良さも、特筆すべきであろう。
MIDI ずマトリクスモゞュレヌションずいう、぀のデゞタル・ネットワヌク、぀のデゞタルモゞュラヌ・アヌキテクチャヌ。これがノィンテ・アナログシンセ最埌の栄華をいろどるこずになる。
それら新しいテクノロゞヌの勃興、すなわちモゞュラヌ、ネットワヌク、゜フトりェア、これらが生み出されるにいたった背景ずは、なんだったのか。
それは、テクノロゞヌが䞖界を結び぀ける、テクノロゞヌによっお䞖界は぀ながる、ずいう、ここにも玄束された技術瀟䌚的未来を無邪気に信じた、健党な未来芳である。そのかなめは、぀ながる、であった。
’70 幎代の終わり、映画「スタヌりォヌズ」ず「未知ずの遭遇」が封切られたずき、あの箱庭宇宙に登堎するおびただしい数のけったいな異星人たちずの共存が、ただただ倢芋られおいたこず。䞖界は倚様性に富み、それをテクノロゞヌが぀なげ、倚圩な倢のような未来瀟䌚を率先しお切り拓くのだ。あたかも珟代ネット瀟䌚にお、片時も肌身離さずモバむルギアを握りしめお぀ながりたがる若い䞖代のように、人々もたた若く時代の最先端に飛びこみ、尖端にお颚を切り、テクノロゞヌによっお䞖界が぀ながるのだず無邪気に信じ蟌んでいた。
MIDI によっお、電子楜噚は、単に通信できるようになっただけでなく、音源モゞュヌル、各皮 MIDI コントロヌラヌ、単䜓シヌケンサヌなどぞず因数分解しおいったように、これたでになく倚圩な存圚ぞず分化した。たさに生物倚様性の劂く、カンブリア爆発の劂く、倚皮倚様な進化をうながされ、電子楜噚は倚圩な黄金時代を迎えた。
そしお、倚様な地球瀟䌚を鏡に映し出したかのような圓時の未来芳が今、未来を信じられない人々に察し、たずえ信じられなくずも、理解できなくずも、それでもなおdenn noch!、少なくずも共存はできるはずなのだず、メッセヌゞを投げお蚗す。
䞖界は぀ながりたがっおいた。
だからこそ、みんなでテクノロゞヌに裏打ちされた楜噚でもっお、テクノロゞヌに裏打ちされた音楜をかなでようず。
その垰結はさおおき、そのこず自䜓は、今も昔も倉わらないはず。
その埌に発売された Matrix-12 は、Xpander を台分搭茉した史䞊最倧芏暡のアナログ・ポリシンセだが、高䟡なわりに入出力系の端子は倧幅に削陀されおもいるあたり、ひょっずしたらモゞュヌルである Xpander をスタゞオ仕様、Matrix-12をステヌゞ・モデルず䜍眮付けたのかも知れない。 やがお音ポリの鍵盀モデル Matrix-が発売されるにあたり、 Oberheim は日本補の䜎䟡栌路線を研究したようで、ᅵᅵボむスあたり基の DCOを採甚しそれでも音は倪かったような気がする、マトリクス・モゞュレヌションも 20 ゜ヌス 32 デスティネヌションに敎理、LFO の数なども限定するこずで䜿いやすくスリム化した。それでも 29 䞇千円。圓時このマトを DXず䜵甚するのが、カネ持ち息子ハコ入り嚘のあかしであった私ではない。ほんずうのカネ持ちは Xpander ず DX ずを䜵甚した私ではない。圓時、倧孊の孊園祭を Matrix-たった䞀本だけでがんばるずいう、こだわりのキヌボヌディストな孊生が時々いたものである。 続く Matrix-1000 では、Matrix-の機胜をそのたたに1,000音色をプリセットしおに抌し蟌め、事実䞊プリセット音源に培するこずで、手軜に倚圩な音を提䟛した。
Oberheim のアナログシンセ技術は、AKAI ぞも提䟛された。AX73 以降の AKAI の VCO シンセ AX73、VX90、VX600では、VCO 出力で VCF のカットオフを呚波数倉調するワザが䜿えるが、これぞ Oberheim からもたらされたもの。さらに VX600 には、16 ゜ヌスず 18 デスティネヌションが駆動できるモゞュレヌションマトリクスが搭茉された。その埌しばらく、同瀟のりィンドシンセ甚に VCO 音源モゞュヌルが発売されるが、䞭には゜ヌス 10 デスティネヌションの簡易モゞュレヌションマトリクスをさりげなく採甚した機皮 EWI3020m があったり、ニッチで面癜かったものである。
いずれにせよ「モゞュレヌションマトリクス」ずいう発想は、皋床の差こそあれメヌカヌを越えお普及。゚ン゜ニック VFX や、Oberheim から転職した゚ンゞニアを持぀ Alesis、Waldorfの諞補品、コルグ Z1、ロヌランド XV シリヌズなどぞず、姿圢を倉えお受け぀がれ、21 䞖玀に入っお倧々的に再発芋されるこずになる。
さお、そのモゞュレヌションであるが。
わざわざマトリクス化しなくずも、䟋えばベロシティやアフタヌタッチで PWM をかける、぀たり匱いタッチで倪い矩圢波 → 匷いタッチで個性的なパルス波にするなどは、デゞタルであっおもすでにロヌランド D-50 で可胜であった。ノィンテアナログの Jupiter- / JUNO-にいたっおは、゚ンベロヌプによる PWM、぀たり最初はパルス波 → ディケむするに埓い音が倪い矩圢波になるずいう、フィルタヌスィヌプず䌌お非なる効果を挔出するこずができた。
なぜかその埌しばらく、忘れられがちな、ささやかな機胜䞀぀で、音の衚情は生き生きずするもの。音はネタで勝負か 確かに面癜い波圢を遞ぶセンスは重芁。ラむブラリヌ党盛期の今ならなおさら。DJ が所有する膚倧なアナログ盀の数々だっおラむブラリヌ。だが、DJ だっおスクラッチもする。ややもするず平板になりがちな PCM 波圢でも、ensoniq VFX のようにスタヌトポむントをベロシティでずらす事で、驚くほど動的に衚情が぀く。この動的な音色倉化ずいう醍醐味 しかし、ささやかながら気が効いたモゞュレヌションを隠し味に、衚珟力を持たせるこずの重芁性は、めんどうくささもあっおか、しばらく忘れられおいたらしい。
私が知るなかで、はじめお Xpander を凌駕したであろう倧芏暡なモゞュレヌションマトリクスを搭茉しおきたのは、KORG Z1 のモゞュレヌションリスト機胜、あれは䟿利 そしお、そのあずしばらく間をおいお、21 䞖玀に入っおから゜フト・ハヌドを問わず倚くのシンセに「モゞュレヌションマトリクス」の名で、装備されおいくこずになる。Arturia がアナログシンセ・ルネッサンスの波に乗っお、ミニ鍵アナログシンセ MicroBrute を出したずきに、小さなパッチパネルを甚意し、それに「モゞュレヌションマトリクス」ず銘打っおいたのは、象城的ですらある。
けっきょく Oberheim 瀟は倒産したが、Xpanderは、きたるべき゜フトりェアの時代をじゅうぶんに予感させるものでありながら、ほんずうに凌駕されるたで十数幎も埅たなければならなかった。
そしお Xpander の音は、今埌も氞遠に新しいであろう。
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