Tumgik
tootooblue · 1 year
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紅い鳥
夏の空に 紅い鳥が遊ぶ。 
尾や羽を大きく広げ 力いっぱいに遊ぶ。 
遊び疲れて眠る夜には、 
無数の星々が紅い鳥を優しく包む。 
紅い鳥は今を生きている。 
なにも望むことなく。
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tootooblue · 1 year
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ふくらむ
アンパン食べてほっぺがふくらむ。
ウソをついて鼻がふくらむ。
空高く飛んでけ、風船ふくらむ。
目がキラキラ夢がふくらむ。
春がきて蕾がふくらむ。
君と手をつなぐ、胸がふくらむ。
あー、あったかい。
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tootooblue · 1 year
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メロンパン
幼い少年は、たくさんの宝物を拾い集めた。 危ないところへ出向き、とびっきりの宝物を 集めるのが好きだった。
ズボンが破れ、血が流れていることにも 気づかなかった。
大切に抱きしめていた宝物は、
いつしか 出会いすれ違う人々に無残にも捨てられ、燃やされてしまった。
少年は涙は流さず、ただ歌を口ずさんだ。 歩きながら歌を口ずさんだ。
あまりにも奇妙な歌だったから、 誰も歌だとは思わなかったし、 気に留めもしなかった。
歌を口ずさみ始めて10年ほどがが経った頃、 街を横切る風が”いい歌だね”と彼に伝えた。
その時初めて大きな嗚咽とともに大粒の涙が 零れ落ちた。
真っ赤な目にはメロンパンに似た雲が映っていた。 そういえば腹ペコだった。
ずいぶん歩き疲れていたから、 とびっきり甘いメロンパンを買って、 涙でグチャグチャになった顔も気にせず 口いっぱいに頬張った。
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tootooblue · 2 years
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キセキ
優しい夕暮れの空の色に似た花が道端に咲き、
この花の名を知ってますか?と尋ねたら、
“キセキ” っていう花だとあなたは微笑む。
見たこともない花だったから、
そんな名でもまあいいかと思い、
僕もつられて笑った。
しばらく “キセキ” をふたりで眺めたあと、
“キセキ” と同じ色の空を
小さな自転車をこいで探しにでかけた。
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tootooblue · 2 years
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愛の唄
夜空  太陽  ギラギラ 輝く。
荒れた海 白鳥 かな切り声 泳ぐ。 
土の下 ライオン ゴーゴー 唸る。 
私 
ただ
星 またたき 感じたい。 
貝の音 聴きたい。 
野の花 息吹 感じたい。
あの日
澄んだ空 私 導く 。
私 小高い丘  立つ。 
耳 すます。
耳 すます。
どこからか 唄 聞こえてきた。
静かな 唄 聞こえてきた。
風 雲 つれてゆく。
その唄 なんと 名づけよう。
なんと 名づけよう。
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tootooblue · 2 years
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あなたが教えてくれたもの ・ 花の名前でもなく、 すくいの言葉でもなく、 心をなぐさめる音楽でもなく、 あなたが教えてくれたものは、 ただただ美しい空の色。
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tootooblue · 2 years
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キラキラ
喜びの欠片を手のひらに乗せ、
真夜中の背中の上を歩いていた。
獣の雄叫びが闇を潤し、
僕は少し優しい気持ちになる。
そのキラキラとした喜びの欠片を
星が眩しそうに見つめる。
うっかりしてると、
キラキラが星となって空へ逃げてしまいそうだったから、
ギュッと握りしめ、
あなたの街まで急いで駆けてゆき、
色のない夢のなかへと
放り投げたんだ。
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tootooblue · 2 years
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ミルクキャンデー
ポケットに大切にしまってる
ミルクキャンデー。
明日初雪が降ったなら あなたへ渡そう。
そんなものいらないなんて
言わないでくれよ。
真っ白な包紙をとったなら、
月のように光るから。
目をまんまるにして微笑む
あなたの顔を見て、
街灯に光る雪の粒を数えながら、
スキップして帰りたい。
#詩
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tootooblue · 3 years
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大切なものを失くしてしまう前に 恥ずかしさも忘れて 慣れない唄を歌ったのさ。 ・ 胸に刺さったトゲトゲもそのままにして 下手な唄を歌ったのさ。 ・ ああ 美しさって いったい何のことだろう。 そんなこと 誰も教えてはくれないから 味気ないシャーベットの海を泳ぎながら 心を込めて唄を歌ったのさ。 ・ そのうちカモメが真似をして 同じように唄を歌ってた。 ・ あんまりにもイカれた唄だったから 愛おしくもあり 悲しくもあったのさ。
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tootooblue · 3 years
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今このとき
たおやかに揺れる黄金色のススキの穂。 夕刻の空に遊ぶ無数の赤トンボ。 風がさらう枯葉のささやき。 縁の下で体を寄せ合うノラネコ。 少しかじかんだ手で握りしめるホットコーヒー。 2時間も恋人を待つ彼女。 くたびれた靴で家路を急ぐあのひと。
・ 愛しさと寂しさが渦を巻きながら 舞い上がっては横たわり アスファルトのうえを転がっていく。 いつのまにか空には星が瞬いている。 僕はタバコに火をつけ 群青の空に月を探した。
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tootooblue · 3 years
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なんでもない唄
光おどる
光おどる
ルルル ルルル
あなたの手をとる。
あなたが笑う
あなたが笑う
ケセラ セラ
木の葉もゆれる。
木の葉がおどる
木の葉がおどる
赤 茶 黄色
僕の手の中。
僕がはしる
僕がはしる
シャララ シャララ
スッテン転んで
涙が溢れた。
涙が星となる
涙が星となる
メトロイカ
あふるる思いよ
天まで届け。
#詩
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tootooblue · 3 years
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アンダルシアという名のカラス
銀色の冠をかぶった アンダルシアという名のカラスが、 大きな翼で巻起したつむじ風を携えて 僕のところまで飛んできた。 アンダルシアが言う。 "おまえの絵なんてなんの足しにもなりゃしない。 誰もおまえのことなんか好きじゃないのさ。 そんなもの描いてたって 徒労を抱えながらくたばってくだけさ。
だれもおまえの言葉も好きじゃないのさ。 言葉を喋らないシロクマが、 こっちを振り向くだけで、みんな笑顔になるんだぜ。 そんなこと続けてたって、 ますます孤独になるだけさ。 このつむじ風で全部吹っ飛ばしてやろうか。 ”
僕が返す。 "おもろいこと言ってくれるじゃないか。 おなたには見えないかもしれないが、 飛んで行こうと思えば どこまででも飛んでいける 不格好だが、白くておおきな翼を僕は隠し持ってるのさ。 銀の冠なんかかぶって かっこつけやがって、 そんなものこそ何の足しにもなりゃしない。 くそったれ。 まっさらな心とまっさらな紙があれば、 腹が減ってどうしようもないときも、 森のクマが足をつかんで離さないときも、 ハチに刺された針が抜けずに 痛くてしょうがないときも、 大好きなアンパンがこの世界からなくなっても、 いつのまにか背負ってたガラクタを 心の炎で散り散りに燃やしながら、 どこまでも飛んでいけるのさ。 そして、いつしか僕も散り散りになって、 七色の灰が空を自由に舞うだけさ。 ・ アンダルシアという名のカラスは、 バカバカしいといった顔をして、 銀色の冠をピカピカにみがき終えたところで、 どこかへ飛んで行った。
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tootooblue · 3 years
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スピッツに寄せて
・ 銀河を漂う小さな舟にのり、 今日もオールを握りしめている。 見たことのない星まで旅をしてる途中だ。 ひこぼし(愛犬)が、行ってみたいと話したから、ある日突然行ってみたくなったのだ。
なにか旅へでる理由がないと心細かったから、".つまらない世界と決別するための旅" だということにした。 旅には、何が必要で何が必要でないのか、 さっぱり見当がつかなかったから、 小さな鞄に、いつだったか届いた手紙と、 好きな野の花をドライにしたものと、 鉛筆と真っ新なノートだけを入れてきた。 隣にはひこぼしがいる。 舟から夜の地球を見下ろすと、 ひとの暮らしから生まれた いくつかの灯りが星のように散らばっていた。 あの灯りのしたで、 誰かがヘタクソだけど美しい曲を奏で、 誰かが宝もののように夢をあたため、 誰かが静かに日が昇るのを待ってるのかと とりとめのない空想をした。 その灯りのなかに 自分の絵もあったらなと 贅沢なことを思ったりもした。 そんなことを思ってたら、 遠くへ旅立ったあのひとへ 手紙を書きたくなり、 鞄から真っ新なノートと鉛筆を取り出し、 気がつけば、長い文章を書いていた。 鉛筆が文字を綴る音が銀河に こだまする。 手紙は結局散り散りにやぶり、 銀河へと放り投げた。 もしかしたら、 ひとつひとつの紙きれが光の粒となり、風にのってあのひとへ届くかもしれないと思ったからだ。 そうこうしてるうちに、 ひこぼしがワンワンと急かし始めたから、 再びオールを握りしめ、 見たことのない星を目指した。 鞄にはCDを入れ忘れたから、 スピッツの正夢という曲を唄いながら 見たことのない あの星を目指した。
正夢じゃなくてもよかったけど、 あのときは正夢だったんだ。
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tootooblue · 3 years
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宇宙の子供
僕たちは宇宙の子供。 それぞれの内に瞬く 光の粒。
・ 星々を見上げ なんてうつくしいのでしょう と あなたは言う。
・ この途方もなく広い空の下 僕たちも 明滅する 宇宙の子供。
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tootooblue · 3 years
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オレンジの小鳥 ・ 唄うことを知らない小鳥がいた。 巣から零れ落ちた卵から育った小鳥は、 唄えるということを知らなかった。 そこかしこから響く仲間たちの唄声は、 どこか別世界から届くもののように思えるのだった。 心地よい陽の光に身を任せていたとき、 海というものがあることを 風が小鳥に教えた。 明くる日 小鳥は海へと飛んだ。 空を映した、 懐かしさに溢れた 広い広いものを見て ますます己がちっぽけなもののように思えた。 水平線の向こうを見つめる小鳥から涙が零れ落ちた。 涙は 浜の砂粒たちを伝い海へと流れ込み、 いつもとは違う潮騒を奏でた。 潮騒は  "いつでも唄えるのよ" "いつでも唄えるのよ" と押しては返す波のごとく 小鳥の心を洗っていった。 どれだけ海にいただろうか。 空も小鳥の心もオレンジに染まっていた。
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tootooblue · 3 years
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メダカ ・ 心を溶かす
五月の陽の光のした
眩しいほどの光を写す小川が流るゝ。
群れからはぐれたメダカは、
天まで届くほどの水しぶきを風にまかせ、
誰も見たことのない
水色の花が咲く地を目指す。
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tootooblue · 3 years
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銀河を漂う小舟 ・ 真っ直ぐに 真っ直ぐに すすむものがあった。 ロケットにしては静かだったし、 高速で進む光にしては か弱すぎた。 気づかなかったけれど、 それは 小さな小さな舟だった。 今にも壊れそうな、 けれど 強い願いをのせた 銀河を漂う舟だった。
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