wgmawgm
12 posts
Don't wanna be here? Send us removal request.
Text
Ⅻ
焼き付けられたひとつの円のような記憶は彼の身に吸収されずに、背中にこびりついているのだろうか。お腹で抱きしめているのだろうか。潮騒のような草の騒めき、波は引いたら寄せてゆく、愛おしい場所がぎこちなく、なのに丁寧に去っていったらどうしたらいいんですか?こさえることなんてできますか?目を閉じてごらん。「はい、葉っぱ。あの日の葉っぱ」小説を読み、その樹の上に訪れ胸を高揚させたわたしは彼にそっと差し出した。
(草の竪琴/カポーティ 数年前の読書メモより)
0 notes
Text


Ⅺ
...
神社に足を踏み入れた瞬間ものすごい雨でびしょ濡れになった。急いで石段を上がった。その場にいた人みなが急ぎ足で屋根のある方へ向かってった。狭いので向こうの屋根の下に行きたかったけど、雨を潜らないといけなくて、10秒で洋服が絞れるくらいに濡れるのがわかった。そのまま止むのを待った。雷鳴が響いた。パパと息子がいた。若い女の子たち数人、ひとりできているおじさん、みなが雨が止むのを待った。ヒールの高いミュールを脱いで足を拭いていた。この夕立は凄いな、と誰もが立ち尽くしていた。向かいの建物が雨で霞み、見えなくなった
...
葉が蒸した匂いと自分の汗と、SPF50の日焼け止めの香りが混じったものが服の隙間からあたたかく昇った。時間が止まっているようだったが、うそみたいにカラッと晴れて、���たまりに足を浸しながらお守りを買った。神社を出ると、雨あがりで夏の植物なにもかもが光っていた。新しい水を吸い込み、さっきまでの雷雨を散々だと笑っているようだった。広い国道沿いを歩いた。蒸し暑く、遠くで雷雲がピカピカと光っていた。
...
0 notes
Text
Ⅲ. ボンネットにのしかかる桜の吹雪編
縫い合わせてから 卓上で手を組み ラップのかかった冷えた鯖の味噌煮の声を十年十日十分待ちました 雪沼まで泳いで、
おやすみ、ジムノペディ
0 notes
Text
II.川べりの大きな木
燕がやってきた
エメラルドブルウの小石ひとつ
握った
途端にバッタが鳴き
虫たちが続き
最後は蛙が桃色を吐く
たゆむ草木に埋もれると
春の熟れた川の蒸気で
下着が肌に張り付いた
三毛猫が
“みかんのダンボール箱くらいすき”
と書いた恋文を口に咥えて澄ましてたから
ライバルの燕はそれを奪い
紙飛行機にして燃える太陽に向けて飛ばす
根っこにのっかると
葉がさわさわ
手を大にして抱きしめた
小石が落ちて
ころ
ころころ
転がっていきました
0 notes
Text
Ⅰ
03.26 雑巾がけ編
花冷えの日は
伸びた裾をなぞってしまう
スウィートピー・アネモネ・スウィートピー
クォンクォンクォンクォンクォン....
虹の爆音から
地に足をつけて逃げなきゃ
桃の夕焼けが破裂 魚が飛び跳ねた 虹が破裂
流れる雲が破裂 春雨が破裂して
春雨だけはずるいよと 男の子が 靴紐を解いて円にして、ひとりあやとりをはじめた
ひっくり返るゴミ箱の埃が
五時間目の星屑になり光って まつげに絡まる
ねぇ グッド��
グッド(グッド)
ずっと?のずっとのさよならの、去り際に、何も言わず手を握ってくれて、どれだけ嬉しかったか、どれだけ泣きたかったか 、いつかきみも知るのでしょう
心臓が鳴っている とくとくとく 水の中に沈んだ大量のクラッカーは沈丁花といいます 父の愛人になった 遠くの街でバイクのエンジンがつき ヴォンヴォンと鳴った 夜道に描かれる青い線を思い浮かべた 100年前の寡作な作家が、畳に耳をつけて眠ろうとしてやめようとして、それで...
唱う
♪ 気まぐれ
神さま、
遠い昔 あの場所に
流れ星 ひとつ
落とした
あれから 随分
時はたち、
...
⭐︎
蜩
雀に
女郎花(をみなえし)
淡色
花闇
紅絹(もみ)のあか
(引用 こどものせかい/kotoringo)
0 notes