Tumgik
wordsandsounds2016 · 5 years
Text
Best Songs of 2018 - 鈴木正義
W&Sでは日本のヒップホップ/ラップミュージックに絞ってレビューをアップしていますが、今回はその縛りを外し、2018年リリースの曲からジャンルをまたいで10曲選んでみました。
01. Tierra whack「Black Nails」 1曲1分という短さ、トラップとの距離感、トラック/ビート、ラップ、MV全てがツボ!アール・スウェットシャツとソランジュがレッドブルのラジオ番組で「Fruit Salad」をかけてふたりで楽しそうに聴いてたのも最高でした。EP通して聴いてもたったの15分で終わっちゃうので未聴の方はぜひ。
02. Swamp Dogg 「Sex with Your Ex」 トラップが苦手な自分でも、オートチューンは大丈夫。ただやっぱり何でもかんでもオートチューンは…って気持ちがない訳でもない。でも、スワンプ・ドックのオートチューンは別格だった!アルバムタイトルも『Love, Loss, and Auto-Tune』!中でもこの曲が一番好きでした。タイトルもなかなかファンキー。こんなに良いのにMVの再生回数あんまりなのが不思議でしょうがない。
03. Charlotte Day Wilson「Let you Down」 2019年に来日しないかな〜と思ってるシャーロット・デイ・ウィルソン。ダニエル・シーザーやパーティーネクストドアなど、トロントにはドレイクから声の掛かるような若き才能が沢山居るけど、去年聴いたトロント勢の曲の中では、この曲が一番好きでした。彼女のスタジオの雰囲気もアトリエって感じで好みです。
04. JPEG MAFIA「Bady I'm Bleeping」 ジェイペグマフィアはやっぱりぶっちぎりで新しかった!こんな音の上にラップを乗せつつ、しかも気持ち良いなんて。ジャンルの外のリスナーにも届いてる感じもするし、前作からの飛躍もすごいし、一度生でライブ観てみたい!
05. Sam Gendel & Sam Wilkes「Boa」 この曲収録のアルバム『Music for Saxofone and Bass Guitar』のレコード150枚って少な過ぎ!買えなかったー。自分はサム・ゲンデルの『4444』やサム・ウィルクスの『Wilks』より、ふたりのこのアルバムが好きでした。サブスク時代でも良い曲ならインスト5分強でも余裕で聴ける。
06. No Rome「Narcissist (feat. The 1975)」 The 1975の『A Brief Inquiry Into Online Relationships』も良かったけど、ノー・ロームのEPもよく聴きました。彼のド派手な髪色、ロゴ、アート・プロジェクトってスタンス、どれも好みです。ノー・ローム経由で知ったB.P.Velenzuelaの「Insted (Hold You Down)」も曲の展開や歌声にジワジワとハマりましたが、2017年の曲だったのでベストには入れませんでした。
07. 小袋成彬「Lonely One feat.宇多田ヒカル」 2018年の4月なんて遠い過去…。でもこの曲に感動し、その勢いに任せて「聴いた!?」って色んな人とメールしたのは鮮明に憶えてます。言葉が分かるし、やっぱり邦楽で感動出来るのが一番嬉しい。ナルシシズムを感じてちょっと…って声をたまに聞くけど、全然違うから!そういう方は今一度じっくり聴き直してみて欲しいです。
08. Tofubeats 「River」 TBSラジオ『アフター6ジャンクション』での初オンエアーの時は、普通にいい曲だな~くらいにしか思ってなかったのに、濱口竜介監督『寝ても覚めても』のラストで聴いたらもう…。既に「River」好きだけど映画未見の方、まだ「River」にピンと来てない方、どちらの方もとにかく映画を観て頂きたい!曲の聴こえ方が一変します。
09. Tasha「New Place」 (オルタナティブ/インディー)R&Bって音の流行り廃りがあまりなく、この曲を聴いても特に2018年感はないんだけど、女性R&Bシンガーの曲ってどんな気分の時でも安定して聴きやすいので、自分の中ではかなりの再生回数になりました。1曲目のポエトリー・リーディングからの流れで聴くのがオススメです。
10. Tuamie「Stokly Wit Me (feat. Koncept Jack$on) 」 結局一度もトラップにハマれないまま、ポスト・トラップとかそんな言葉を良く見かけるようになってしまった。(まだまだこの流れは続きそうですね…。)でも、USにもトラップと距離を置きながらラップ・ミュージックをやってる若いラッパーが絶対居るはず!と探していたらTuamieに辿り着きハマりました。Tuamieが所属するMutant Academyの全員がリリースペース早くてなかなか全てを聴き切れない!「彼らのHPが開けなくなってるのもDIY感あって魅力的」って去年の時点で書いてたのですが、今見たらリニューアルしてました!開ける!
Tumblr media
鈴木正義 1982年千葉県生まれ。プロダクトデザイナー。日本のヒップホップ/ラップ・ミュージ ックの批評サイト『Words & Souns』共同主宰。他に国内の現代写真家の作品掲載/展示/出版を行うウェブ・ギャラリー『SPACE CADET』の運営も行う。デザイン/音楽/ 写真の分野を横断的に活動中。 wordsandsounds.jp spacecadet.jp
2 notes · View notes
wordsandsounds2016 · 5 years
Text
Best Songs of 2018 - 宮本至
01. Damian marley - living it up
03. A$AP Rocky - Praise The Lord (Da Shine)
04. BenjiFlow - Deep End
05. DJ Snake - Taki Taki ft. Selena Gomez, Ozuna, Cardi B
06. Smino - NEW COUPE, WHO DIS? w/ Mick Jenkins
07. Angele - Je veux tes yeux
08. さとうもか - 最低な日曜日feat.鶴岡龍
09. DJ Koze - Illmination
10. SiR - D'Evils
11. TSVI - WHIRL
12. Bas - Tribe with J.Cole
13. DJ TIRED - ALL I WANT
14. PEDRO - TOQUES
15. A.A.L - Some Kind of Game
16. Nightmares On Wax - Look Up
17. Smerz - Worth it
18 .RICO NASTY -  Ice Cream
19 .Chaka Khan - Like Sugar
20 .Sunni (Colon) - Technicolor
以上、順不同。
2018年の個人的に気になった動向まとめ
◎良かったレーベル、クルー:enchufada、voodoo hop
◎ローファイが際立っ��いたビートメーカー:Tlim Shug
◎日本の注目動向 :  kakehan  goblin land  emerald、tamtam等バンドサウンド系のアップデート感  xiangyu、tyo gqomなどのgqom移入
◎future beats 系統のプログレ化として:chromonicci、rob araujo
◎新しいファンクの今後:Mono Neon
◎juke/ ghetto tech周辺 で気になった人:cherriep
◎これからの作品に期待:demo taped、just adam、smerz
Tumblr media Tumblr media Tumblr media
宮本 至 熊本出身。2000年代よりDJ活動と並行して「DJ BAKU vs 灰野敬二」などのオーガナイズも行う。2008年、渡欧を機にITL名義で楽曲制作を開始。以降、RAP BRAINS立ち上げ、iri、Y.I.M、RHYDAといったアーティストへのアレンジ・トラック提供などの活動を行っている。近年は、THUMP(VICE)への楽曲提供やTRAXMANのREMIXアルバムにも参加。直近の作品は、ブラジル・アフリカの現行ダンスミュージックに強く影響を受けたEP「Roughtegh EP」(FREE DL可)
0 notes
wordsandsounds2016 · 5 years
Text
Best Songs of 2018 - SHOCHANG (HIGHLIFE HEAVEN)
ガチなヒップホップの批評サイトに、こんなニッチなジャンルの年間チャート載っけて大丈夫かなーって心配しながら選んでみたら、意外と楽しくて取捨選択に困ってしまった。
2018年は振り返れば、ジャンル問わずたくさんの現場でDJをさせてもらったので、その中でよくお世話になった曲を、レコード音源の縛りでセレクトさせてもらった結果、1950年代から2018年までの曲が並ぶことになった。
以下、チャートの順は不同です。 チャートの後に長々と雑感も綴ってるので、よかったら読んでみてください。
01. FRENTE CUMBIERO - Ariwacumbé クァンティックことウィル・ホランドとの共同プロジェクト『オンダトロピカ』が世界的な評価を獲得し、“もう1人の実力者”としても知られていたマリオ・ガレアーノの主要プロジェクト、フレンテ・クンビエーロが2012年にマッド・プロフェッサーと組んでリリースした1stアルバムから。これぞクンビアなイントロとブレイク、そこからブッ込まれるラップのフルコンボだけで空気が変わるキラー。
youtube
02. FRENTE CUMBIERO - SONDIRAMA 2018年の初来日に合わせて、日本の“オクラ印”と言う新興レーベルから500枚限定でリリースしたシングルのA面。コロンビアのカリブ海湾岸地方に伝わるアフロ系リズム=“ポロ”を踏襲したこの曲は、デジタル・クンビアとはまた違ったアプローチでエレクトロと融合。個人的なトロピカル・ミュージックの新機軸の一つとなった。もちろんアフロ系とも親和性が高いので汎用性も抜群。
youtube
03. LOS PIRAÑAS - DEL SOL, A 18 MINUTOS フレンテのマリオ、ティンパレスのペドロ・オヘダ、フレンテにも参加経験のあるメリディアン・ブラザーズのエブリス・アルバレスの3人からなるサイケ・サーフ・クンビア・バンド、ロス・ピラーニャスの2ndより。曲調やPVがとにかく“気持ち悪くて気持ちいい”この曲は、アルゼンチンのルイス・アルベルト・スピネッタのカバー。原曲はプログレ調だけど、ホラーとサーフを混ぜ込み、サイケデリックで極彩色、なおかつスリリングなキテレツな曲に変貌させている。ハードコア色が薄まってサイケ感が盛られた日本のボビーズ・バーみたいで最高。
youtube
04. LOS PROPIOS BATEROS - BATAZO BATERO ロス・ピラーニャス、フレンテ・クンビエーロで活動するパーカッショニスト、ペドロ・オヘダのプロジェクト。同じくフレンテでも吹いているマルコ・ファハルドもサックスで参加。リリース元はフレンテと同じくニューヨークのネイムス・ユー・キャン・トラスト。ラスト付近でループするリズムと、フィーチャーされるパーカッションのソロがとにかくクセになるA面のデスカルガが素晴らしすぎて一発で心酔。あらゆる現場でお世話になった。
youtube
05. THE MAUSKOVIC DANCE BAND - CONTINUE THE FUN (SPACE VERSION) ニコラ・モスコヴィッチ率いるアムステルダム拠点の現行ヒプノティック・グルーヴ・ バンド、モスコヴィッチ・ダンス・バンドが英国サウンドウェイから出した4曲入り12 インチから。クンビア、アフロ、カリビアンの要素とエレクトロを使ったスペーシーな ディスコを紡ぎ合わせたキャッチーかつ破壊力抜群のダンス・ナンバー。フレンテと並 んで新しい方向性を見いだすことが出来た気がした1曲。イントロだけ聴くと新しめの ロックっぽい。メンバー全員にモスコヴィッチがつくのもラモーンズみたいで◎。
youtube
06. ★.A / NAOITO - Reprise ex-キングダム・アフロックスのフロントマンであるナオイートが数年ぶりにリリースしたアルバムから切られた10インチEP。友達に会いに下北のJET SETに行ったところ、偶然見つけて購入。 年末頃のとある現場で、偶然にもこのレコードを持って来ていたDJが自分を含めて3人いた。そのうちの1人はその日が初対面。A/B1曲ずつの10インチで、さすがにどっちの曲をかけるかは三者三様だったけど、次に繋ぐ予定だったのが全員トニー・アレン絡みの曲だったので、これが『シンクロニシティ=意味のある偶然』ってやつか、と思ったとか思わなかったとか。ミニマルなリズムと浮遊感抜群のサウンドは心地良さの極み。ちなみに出番が一番遅かった自分はその日、このレコードに針を落とす事ができなかったことも付け加えておく。
☆.A by ☆.A/NAOITO
07. TONY ALLEN & JEFF MILLS - THE SEED トニー・アレンもジェフ・ミルズもどちらももはや説明不要だろうから、2人の経歴は割愛。このタッグでの作品のリリースは、我々アフロDJ仲間で勝手に作った造語”フューチャー・アフロ”の文脈において、ナオイートの新作と共に喝采でもって迎えられた。ありそうでなかった音像は月並みながら最高。
youtube
08. MANU DIBANGO with HAL SINGER, JOJO - THE SOUKOUSS Part 1 『SOUL MAKOSSA』や『ELECTRIC AFRICA』などで知られるカメルーンのサックス奏者マヌ・ディバンゴが、オクラホマのジャズ畑出身のサックス奏者、ハル・シンガーと同郷のミュージシャンのジョジョを迎えてリリースした1971年のシングル。タイトルの“Soukouss=スークース”とは、アフリカのコンゴから興り、今なおアフリカ全土に影響を与え続けてるリンガラの別名。しかし、タイトルとは裏腹に全然リンガラではなく、キャッチーなアフロ・ビート・ナンバー。
youtube
09. PAT THOMAS & THE BLACK BERETS - OBRA A YEBO YI ハイライフ、アフロファンク好きには“アフリカのゴールデン・ボイス”としてよく知られ、2015年にはオリジナル・アルバムもリリースした現役バリバリのガーナの国民的シンガー、パット・トーマスの1970年代の1曲。透明感と骨太さが共存しつつ、どこまでも伸びやかなトーマスの歌声もさることながら、ブラック・べレッツによるフックが効きまくったメロディアスなホーンのリフは天にも昇るシロモノだし、クラベス風のリズムを刻むカウベルは古き良きオールドスクールなハイライフへのリスペクトを感じさせ、そこにファンクなベースとドラムがモダンな様相を添える。ハイライフ・クレイズの筆者から言わせると、ハイライフと言うジャンルの中の一つの理想形であり完成形だと思う。
Coming Home by Pat Thomas & The Black Berets
10. E.T.MENSAH & HIS TEMPOS BAND - AWIREHOW feat.Dan Acquaye 泣く子も黙るガーナ・ハイライフ界を代表するアーティスト、E.T.メンサー&テンポス・バンドが、英国デッカから1952年にリリースした10インチ『MORE MENSAH』のラストを飾るハイライフ史上屈指の名バラード。最初のヴァースとサビまでは、ガーナの言語の一つであるチュイ語のファンテ方言で、サックスのソロを経てその次のヴァースとサビからアウトロまではピジン英語(現地の言語と混合した英語)で歌われる。とにかく艶っけたっぷりな管楽器隊とメロウなボーカルで情けなくも切実な男心を歌われるもんだから、ラム酒あたりのハードリカーとの相性が抜群。
11. THE RAMBLERS INTERNATIONAL - VETE PA' LA LUNA 1960年代にE.T.メンサーらと並んでオールドスクールなハイライフの筆頭だったランブラーズ・ダンス・バンドが、ランブラーズ・インターナショナルと名前を変えて英国デッカから1971年にリリースしたアルバムで、タイトルは『DOIN' OUR OWN THINGS=(他人がどう思おうと)俺たちはやりたいようにやる』。その宣言通り、このアルバムではヒュー・マセケラ、ティト・プエンテ、セリア・クルスやソノラ・マタンセーラ、果ては英国のマニアックなロック・バンドであるペドラーズのカバーまで披露し、一躍”インターナショナル”な人気者となった。この曲は「ティンパレスの王様」ティト・プエンテのカバー。チャチャチャにハマってる時によくミックスさせてもらった。
12. ROBERT MAVOUNZY QUARTET - Guadeloupe En Nous パナマ出身。フランス領グアドループで活躍したジャズのサックス奏者ロバート・マヴンジー率いるカルテットが、グアドループやマルティニークなどのポピュラー・ミュージックの一つであるビギンなどを録音したアルバムの中の一曲。リーダーのマヴンジーはジャンゴ・ラインハルトとも共演したことがあるそうな。これだけオシャレな音楽なんだからもっとみんな聴いた方がいいだろ。って気持ちで毎回かけてて、我ながらなんとも押し付けがましい限りではある。が、良いものは良い。ラスト付近のパーカッションによる鬼ブレイクからの高笑いがハイライト。
13. ANZALA DOLOR VÉLO - CRABE QUI DÈCLARÈ グアドループの打楽器音楽グウォカ=Gwokaの第一人者である3人が集結して制作された傑作アルバムの中の2曲目。グウォカはグアドループの伝統的な音楽の一つのようで、パーカッションとコーラスのみと言うプリミティブなスタイルが多い。この曲ではホーンが入ってアクセントになっているし、歌=チャントのメロディに哀愁が溢れててとても良い。そもそもこのジャンルをクラブとかでかけてるDJなんて日本じゃ自分を含めて数人いれば良い方な訳で、わりと好んでミックスしてみても、引かれるか狂ったように踊ってくれるかのどっちかに分かれて面白い。
14. HENRI DEBS QUINTET - M.KOMBASS A PARIS  グアドループ、マルティニークなどのウェスト・インディーズ産のトロピカル・ミュージック、いわゆる“フレンチ・カリビアン”を掘っていくと、必ずブチ当たる名門レーベル『Disques Debs=ディスク・デブス』のオーナー、アンリ・デブス率いるクインテットのキラー・インスト。アップテンポなリズムがジャジーなホーンとピアノで埋められていく様はダンス必至。個人的にはビギン史上屈指の悶絶ナンバー。
15. NDIKHO XABA & THE AFRICAN ECHOES - ZULU LUNCHBAG 南アフリカ出身。のちに1971年にアメリカでリリースしたスピリチュアル・ジャズのアルバムがスーパー・レア化したらしいンディコ・ザバ率いるアフリカン・エコーズの1968年のシングル。ザバと言う人が、ワンネス・オブ・ジュジュをアフロ化させるきっかけになった人だなんてことは露知らず、彼のルーツである南アフリカのルーツ・ミュージックから手繰り寄せて行き着いたのがこれ。やっていることはシンプルだし、決してズールー色が濃いわけではないが妙にクセになる一曲で、あらゆる現場で無節操に回させて頂いた、2018年を象徴する曲の1つ。
さて、今回選ばせてもらった曲などは、“トロピカル・ミュージック”と呼ばれることが多い。いわゆる“ワールド・ミュージック”でもなく“辺境”でもない。自分がDJで呼んでもらう現場はそう言う場所が多い。
海外、特にヨーロッパでのこの手のシーンは何年も前からポピュラーなものだそうで、国を問わず、小さな箱から1000人以上のお客さんが集まる大きな箱まで、いろんな場所でパーティーが打たれていて、集まる人々は皆オールドスクールなヴィンテージ音源から最先端のダンス・ミュージックまでが爆音で流れる中で踊り狂うのだそうだ。
2018年の日本では、さすがに東京のクラブでも、エポック・メイキングな、目に見えてわかるような、そんな大きな変化は起きてなかったかもしれない。それでも着実にタネは蒔かれていて、すこしずつその芽が出はじめてるのかな、と思う瞬間も多かった。以下、個人的に印象に残ったトピックを簡単に。
◉ゴム=Gqomや南アフリカ産のハウス、アフロビーツ(アフロビートではない)、ヒップライフ(ハイライフ+ヒッポホップ)、アーバン・ハイライフ、デジタル・ズーク、デジタル・クンビアなどなど、ダンス・ミュージックとして、より機能性が高い音楽をプレイしたりミックスするDJやイベントが増えた。
◉ウガンダの大注目のDJであるKampire=カンピレの来日。彼女のミックスにはスークースも混ぜられていて仰天してしまった。彼女も関連する”Nyege Nyege Tapes”は引き続き要注目。
◉ニューヨークのレーベル、NYCT=ネイムス・ユー・キャン・トラストなどで紹介されてる現行クンビアの代表格フレンテ・クンビエーロが来日してフジロック出演&東名阪ツアーの成功。
◉トニー・アレンとジェフ・ミルズの共作とか、元キングダム・アフロックスのナオイートが数年ぶりにリリースしたアルバムなどから垣間見た“フューチャー・アフロ”の感じと、エキゾチコ・デ・ラゴ、バンデラスのアルバムにおけるボーダーレスな感じ。
◉ストリーミングサービスの充実によって、最新型のアフリカやカリブの現行音楽が”居酒屋”であっても共有できることの素晴らしさを改めて実感することが多かった。
◉トーキング・ヘッズとトロピカル・ミュージックの相性の抜群さを改めて認識。
◉いつかのSoi48の現場で若いヒップホップ好きのドラマーとナイジェリアのオールドスクールな音楽であるジュジュについて話した事。
◉エキゾチコ・デラゴの新曲7インチと、そのリリパのライヴ会場限定でリリースされたサルさん=Sal(Chant Down Babylon)と、キシさん=Kunio Kishi(Tokyo Sabroso)のミックスCD。
とりわけ、最後のミックスCDはセレクターが両者共にデラゴの音楽性をテーマにし、スキマを敢えて作られた楽曲を中心に選曲してて、本来なら踊れるようなBPMじゃないそれらの曲が、連なり合って紡ぎ合って作り出すグルーヴは、物語性すらも付与していて、聴いてて目から鱗が落ちた。こんなやり方もあるんだな、と。
現場を振り返っての話で言えば、フレンテ・クンビエーロの来日に関われたのは忘れられない出来事だった。
3月ぐらいから準備を始めて、苦労も含めて今になって思えばとにかく楽しかった。8月のライヴ当日は自分のDJの選曲をほとんど思い出せないくらい緊張と不安と期待で混沌としてたけど、彼らのライヴは人生の5指に入るほど素晴らしいモノだった。同行した翌日の名古屋公演でのライヴや珍道中も含めて、お墓までキッチリと連れて行きたい最高の思い出。
さらにフレンテがそのライヴの為に東京へやって来た時に開催したウェルカム・パーティーも稀有な出来事だった。
最高のDJバーである、渋谷タングルで行われたそれは、宴が進むにつれてメンバー達が、DJの選曲に合わせてお店の鍋とか椅子の脚を楽器がわりにして叩き出し、遊びに来ていた民謡クルセイダーズのメンバーも巻き込んで即興の演奏を始めた。当然DJもメンバーもお客さんもボルテージが上がって踊り出し、とにかく愉快なものばかりで溢れた熱帯の饗宴が生まれていた。その瞬間に立ち会えたのは本当に幸���だったと思う。
フレンテのメンバーは一人残らず最高のバイブスを持ったナイスガイ達で、”楽器”として大活躍したタングルのお鍋にサインを残した後、ストリート感満載の飲み屋・山家で渋谷の夜を楽しんだそうだ。
最後に、様々な場所でオールドスクールなハイライフとか、南アフリカのクウェラやタウンシップ・ジャイヴ、ムバカンガ、フレンチ・カリビアンなどの“かっこいいがポピュラーではない”曲たちを現場で鳴らす時の個人的なテーマは、常に“あったかもしれない未来”だった。
これはカセットコンロスのフロントマンであるワダマンボ氏が、とあるZINEのインタビューで使われていた言葉で、“今かかってるこれらの曲は、今ではニッチでしかないかもしれないけど、メインストリームとして鳴り響いてた未来もあったかもしれないし、これからその未来を作ってけばいいよな”って、そんなことを思いながら毎回タネを撒いていた次第。2019年もそんなことを思って愉快にタネを撒いていくのだろう。そんな感じでひとつ宜しくお願い致します。
Tumblr media
SHOCHANG (HIGHLIFE HEAVEN) 東京生まれ東京育ち。パンクとハードコア畑からスカ、レゲエを経由して西アフリカ発祥のポピュラー・ミュージックである”ハイライフ”に首までどっぷりと浸かって以降、自他共に認めるハイライフ・クレイズとしてあらゆる現場で宣伝活動中。池袋キングラムで隔月『Mambo Bolingo』を主催。『HIGHLIFE HEAVEN』『TipToe Garden』も不定期で主催。Voodoo Funkことフランク・ゴスナー来日時のサポートDJ。フレンテ・クンビエーロの来日東京公演を共同でオーガナイズとまあ、楽しくいろいろとやってます。
0 notes
wordsandsounds2016 · 6 years
Text
NEI & Ryo Kobayakawa / Words For Stars
Tumblr media
D.R.C.
二木信
7.5
 名古屋の南区から新しい才能の登場である。1998年生まれのラッパーのNEI。ラップをはじめてまだ1年ちょっとのNEIは、同じ南区出身の1988年生まれのDJ/プロデューサーのRyo Kobayakawaと組み、7曲入りの共作『Words For Stars』を今年5月にリリースした。「self control」という曲で彼はラップする。「運命。ない。そんなものはない。自分で作りたい」「俺の未来。選ぶ未来。作る未来」「く~もがあったって、あ~めがふったって、か~ぜがふいたって関係ないぜ/はやくなくても少しずつでも――」
 アルバム・タイトルを直訳すれば“星たちのための言葉たち”。ロマンチックだ。ソーダの泡からイメージを膨らませて歌詞を書いたと思われる「soda」、月にタッチしようとしたり、星屑や光と戯れるような「月光」、ビルやドアをすり抜け雲を破き、誰かの魂を奪いたいと歌う「奪魂」。7曲中のラップ入りの4曲でNEIは空想と現実が交錯する世界を描き出す。
 置く、乗せる、縫う。ビートへのアプローチを仮にそのように3つに分けるとすれば、NEIのここでのアプローチは、置くと縫う、そのふたつの組み合わせである。Ryo Kobayakawaの作り出す変幻するメロディアスなトラックの、ここしかない、という隙間に言葉をひとつひとつ丁寧に置く。そして同じ言葉を反復して縫っていく。淡々としているものの、言葉の独特な切り方によってリズムを作る。
 9月末に名古屋の新栄〈Live & Lounge Vio〉で行われたRC SLUM(名古屋のヒップホップ・レーベル)のパーティ〈METHOD MOTEL〉で観たNEIのライヴは、二十歳とは思えないほど堂々たるものだった。そこにいた多くの人は僕と同じようにNEIのライヴを初めて観たのではないか。脚色抜きに書く。NEIはその場で、静観する聴衆を、同じ言葉の執拗な反復で自分の支持者に変えた。その粘り強さは見事なものだった。静かな聴衆に、曲が終わると同時にウオォォーッという大声を張り上げさせた。ライヴを観たあとでは、『Words For Stars』の聴こえ方も変わる。
 Ryo Kobayakawaを紹介しよう。D.R.C.という南区のクルーに所属する彼は、2015年のC.O.S.A.のデビュー・アルバム『CHIRYU-YONKERS』収録の「知立Babylon Child」や名古屋のクルー、RC SLUM「WHO WANNA RAP」の作者としてすでに知られている。また、NEIがラップをするきっかけとなった、C.O.S.A.が惜しみない賛辞を贈る南区のラッパー、COVAN(D.R.C.)の「SAN RAN」や、INISHALL-L「NOISE」のビートも作っている。すでにキャリアのあるDJ/プロデューサーで、「知立Babylon Child」のMVはRyo Kobayakawaのスタジオでも撮影されている。
 本作のRyo Kobayakawaのトラップをやわらかく変形させたようなメロディアスなトラックにはオリジナリティがある。丁寧に重層的に作り込まれている。いまやトラップと一口に言ってもいろいろある。世界各地でいろんな配合をくり返している。
 少し脱線するが、私的な連想をしよう。例えば、メロディアスなトラップで思い浮かぶのは、フューチャーと、トラップの創始者のひとりであるゼイトーヴェンによるミックステープ『ビースト・モード』(『ビースト・モード 2』が今年リリースされたが、僕は2015年の前作の方が素晴らしいと思う)。ブームバップとトラップの配合で言えば、2017年のGRADIS NICE & YOUNG MAS (FEBB)『L.O.C –Talkin’ About Money-』、スモーク・DZA『ノット・フォー・セール』(2018年)。サイケデリックとトラップであれば、今年出たトラヴィス・スコット『アストロワールド』はダントツだ。ビギーとルーク(2・ライヴ・クルー)をサンプリングしたドレイクとの「シッコ・モード」のカッコ良さよ。それらの作品と『Words For Stars』のRyo Kobayakawaのトラックを聴き比べてみるのはひとつの楽しみ方だ。そして、10月末にリリースされる予定のRyo KobayakawaのMIXCD『FEED』には、拡張するトラップへの彼なりの解釈がある。
 EPに続き、今年8月にNEIはKID FRESINOをフィーチャーした「FAST CAR」という曲を発表した。このふたりが共作することに不思議はない。共通するものを感じる。坊主頭に、細身の体型、パンツとTシャツをシンプルなコーディネートで着こなす。ムダがなく、フォトジェニックで、都会の暗闇に溶け込むことができる。今風でカッコイイ。だが同時に奇妙な異物感がある。いま目の前に自明のものとして存在する世界と自己の齟齬――すなわち、何かが違うんだよなあ、という居心地の悪さが佇まいから滲み出ているようだ。だからこそ、素早く駆ける。彼らの欲望が、用意された場所にすんなり収まることができないだけだ。そんな感じがする。そういう表現者は自らの力で荒野を切り拓いていくしかない、そして、無限の可能性がある。NEI、そしてRyo Kobayakawaをおぼえておこう。
二木信
※採点は編集部
youtube
youtube
Tumblr media Tumblr media
二木 信 1981年生まれ。音楽ライター。共編著に『素人の乱』、共著に『ゼロ年代の音楽』(共に河出書房新社)など。2013年、ゼロ年代以降の日本のヒップホップ/ラップをドキュメントした単行本『しくじるなよ、ルーディ』を刊行。漢 a.k.a. GAMI著『ヒップホップ・ドリーム』(河出書房新社/2015年)の企画・構成を担当。
0 notes
wordsandsounds2016 · 6 years
Text
EVISBEATS / ムスヒ
Tumblr media
AMIDA STUDIO
二木信
8.0
 さらに、夏目漱石の小説と同名のEVISBEATS流の駆け抜けるようなドラムンベース「草枕」という曲では、『草枕』の冒頭の文章をフックで引用している――「山路を登りながら、こう考えた/智に働けば角が立つ/情に棹させば流される/意地を通せば窮屈だ/とかくに人の世は住みにくい」。ドラムンベースなのに凶暴な音にしないのがまたEVISBEATSらしい。ともかく、「苦しい世を少しでも楽に/そんなミュージックを作ってお祭り」というのが『ムスヒ』を貫く精神であろう。
 改めて言うまでもなく、EVISBEATSはラッパーであり、ビートメイカーだ。これまでにKREVA、般若、SHINGO☆西成、サイプレス上野とロベルト吉野といった人たちにビートを提供してきた。『ムスヒ』では、多くの曲でEVISBEATSと共同プロデュースを担う鍵盤奏者の前田和彦が重要な役割を果たしている。
 EVISBEATSのファンにはお馴染みの、OSAKA ROOTSというブルース・バンドに在籍する前田の「花火」などで聴けるキーボードは、ベースとビートと一体となってモコモコと身体を底からあたたかくしてくれる。シンガーのCHAN-MIKAが参加した「NEW YOKU」のフリーキーだが芯のぶれない演奏は、まるでブッカー・T・ジョーンズかディアンジェロで、この曲と「ミー・アンド・ゾーズ・ドリーミン・アイズ・オブ・マイン(ツー・ウェイ・ストリート・ミックス)」までの距離は意外に近い。そしてもうひとりのキーマンは、数曲でベースとキーボードを弾き、アレンジを担当するMICHEL☆PUNCHだろう。この2人が本作を包み込むあたたかい、暖色系のムードの要となっている。
 関西という地域性だけで音楽を類型化するつもりはないけれど、EVISBEATSの音楽や『ムスヒ』にある、人生の苦渋をおおらかさで包み込もうとする洗練された態度や表現は、関西の音楽文化に脈々と流れているものであるように思う。『憂歌団DELUXE』(1988年)という、大阪が誇るブルース・バンド、憂歌団のいわゆるアーティスト本をちょっと前に読んでいた。メンバーおのおのの“酒道”あるいは“酒哲学”を読むだけで救われる気持ちにもなるのだが、憂歌団がいかに素晴らしく、どれだけ熱い支持を受けていたかを、山下洋輔や藤原ヒロシから島田伸助という錚々たる人物の証言で明らかにしていく。関西には、そんな憂歌団、あるいは上田正樹とサウス・トゥ・サウスや大西ユカリと新世界、ヒップホップ・バンドで言えば韻シストなど、人生の憂いをときにダイレクトに、ときにさり気なくブラック・ミュージックのノリと同期させてきた音楽の系譜というものがあって、『ムスヒ』もある側面から見れば、そういう連綿とした歴史の中にある。
 いずれにせよ、ある時期からのEVISBEATSの作り出す音楽はとてもやわらかくふくよかで、その感じを膨らませていっている。ダブやレゲエ、煙が目にしみるようなニューオリンズ・ジャズ的要素、もちろんソウルもファンクもある。その上で耳に痛い音を極力排している。だが、そこはヒップホップ・プロデューサーだ。どっしりとしたブレイクビーツをしっかり鳴らす。鎮座DOPENESSをフィーチャーした「作ってあそぼ」も、田我流をフィーチャーしシンガーのCHIYORIがコーラスを担当する、名曲「ゆれる」の続編とも言える「夢の続き」もブレイクビーツはどっしりしている。ライヴで聴いたら間違いなく踊り出しちゃうだろうな。いまやちょっとした隠遁者のようなEVISBEATSだが、かつては、現在テレビなどで活躍中のラッパーのERONEやHIDADDYらとともに韻踏合組合のメンバーとして活動して飛び跳ねていた男である。
 ソロ・アルバムを出していなかったとはいえ、この6年のあいだ、EVISBEATSはミックスCDや7インチなどをコンスタントに発表してきた。本作もすでに2LPでリリースされた。そして、それらは、ちゃんと売れている。お金をかけた宣伝やメディアへのド派手な露出、インターネット上でのバズりを目的化したプロモーションや情報戦略などほとんどなしに、だ。そういう煽りはいまの時代のエンタメの醍醐味なのだろうが、EVISBEATSを愛する人たちは過剰さや濃い味付けを必要としていない人種に違いない。ド派手なバズがなくても、EVISBEATSの音楽を愛し、静かに待ち望んでいる多くの人びとは、彼の音楽や作品が世に出れば確実に受け取って深く味わっている。その親密な受容のされ方がとてもEVISBEATSらしく、『ムスヒ』の魅力もそんな聴かれ方と深く結びついている。「穏やかな暮らし」なんて本当に最高の曲です。
二木信
※採点は編集部    
youtube
   
youtube
   
Tumblr media
   
 
 
   
 
Tumblr media
二木 信 1981年生まれ。音楽ライター。共編著に『素人の乱』、共著に『ゼロ年代の音楽』(共に河出書房新社)など。2013年、ゼロ年代以降の日本のヒップホップ/ラップをドキュメントした単行本『しくじるなよ、ルーディ』を刊行。漢 a.k.a. GAMI著『ヒップホップ・ドリーム』(河出書房新社/2015年)の企画・構成を担当。
0 notes
wordsandsounds2016 · 6 years
Text
WAQWADOM / MQW
Tumblr media
APOLLO-REC PRODUCTIONS
二木信
7.7
 フリースタイルは韻を用いた一種の思考実験であり、セラピー、自己治癒でもあった。ある時代のフリージャズのインプロヴァイザーが肉体と精神の限界に挑んだように、ラッパーたちもまた即興のラップで自己の限界に挑戦しようとしていた。この窮屈な島国で生きる俺は、私は一体何者なのか?と常に問い、自己と社会を見つめ、言葉を吐き出し、独自のリズムを生み、ライムを掘削機代わりにしてとにかく己の魂のリアルを掘り進めた。『MQW』は、漲る若さ、青春が成し得た偉業と言える。いや、彼らはいまも青春を生きているかもしれない。個々人の若さもあるが、『MQW』が生まれた背景には発展途上にあったこの国のフリースタイル文化のマグマのような熱気と創造性がある。だからこそ、KILLah BEEN、CASPERR ACE、COBA5000、本田Qという4人のラッパー、そしてビートメイカーのGREEN BEEから成るWAQWADOMの本作は、イルでドープな雰囲気の中に光り輝く美しさがある。
 本作は、2006年に発表されたWAQWADOMのファースト・アルバム『MQW』の再発盤と2004年から2005年にかけてCASPERR ACE、COBA5000、本田Qの3人で録音した未発表音源集『タイムカプセル2004-2005』、2007年の『MQW』リリース・ライヴの模様を収めたDVDの3枚から成る(CDは共に10曲入り)。フリースタイル文化から生まれたと書いたが、もちろんここにはリリックを書き、録音した曲が収められている(『MQW』収録の「自由課題」はフリースタイルだろう)。ちなみに、何を隠そう、僕にWAQWADOMの素晴らしさを最初に教えたのは原島“ど真ん中”宙芳という板橋区出身のDJ/ラッパーだ。この手に負えないヨッパライはいつもの調子で「WAQWADOMもちゃんと聴いたことねえのか、ダメだな、お前は」とこちらを煽った。当時、降神やMSCを熱心に聴いていたのにもかかわらず、WAQWADOMにちゃんと向き合わなかったのは、たしかに反省するしかない。完璧な後追いだ。でも、いいのだ。こうやって再発されたことでいま聴くことができいろんな刺激を受けているのだから。
 ところで、いまの漢 a.k.a. GAMIの活躍を見ている若い人たちは、MSCはハードコアな不良軍団とだけ思い込んでいるかもしれない(いや、ひょうきんなオジサンという漢が原体験の若い人もすでにいるのか)。いずれにせよ、MSCはかなり内省的なラップをしていた。いわば内省的な不良だった。ここで聴けるWAQWADOMは、不安定な自己にもがきながら、その過程で得た思考と経験をラップすることで生き延びたMSCや降神が活躍したのと同じ時代の東京で生まれたヒップホップだ。いま考えれば、彼らの深い猜疑心は炭鉱のカナリアだった。深い猜疑心があったからこそ彼らはリアルの追求にこだわった。
 また、こういう言い方もできるかもしれない。キングギドラが『空からの力』で確立し、ラッパ我リヤが純化させた日本語の押韻に内省を持ち込んだのがWAQWADOMだったと。じゃあ、内省とは無縁のようなあの原島“ど真ん中”宙芳という男は、この作品のどこに魅了されたのか、という問いもあるだろう。答えは、パンチラインだ。韻を用いることで言葉を連想して思考を深め、展開してそれがパンチラインになる。WAQWADOMのラップはパンチランだらけだ。4人のラッパーの語彙力の豊富さがそのことを可能にしている。だが歌詞カードは付いていない。耳をダンボにしてラップを追うしかない。
韻を踏み台にウルトラB 「HIP HOP」KILLah BEEN
あいつはバカだとみんなが笑う その視点はどこからかと探す 道にたいする強烈な固定観念 どうせ変わんねえと俺まで道を固定するのは止そう 予測不可能な時の流れは怒涛の嵐 だがしかし受け入れることで灯る新しい明り 「ガリレオ」CASPERR ACE
ひとり100ワットの情熱を奪うな サーモグラフィで発見しろ 一番熱い地点 「ガリレオ」COBA5000
死んでるフリはしていない 「自由課題」本田Q
 これらはほんの一握りの例に過ぎない。あなたはあなたでお気に入りのパンチラインを見つけるだろう。ガチガチに韻をハメてくるKILLah BEEN、社会の通念や常識、時代の心性をねちっこいフロウで裏と表から描写するCASPERR ACE、実直な発声でマイクリレーに芯を通すCOBA5000、道化を演じる、WAQWADOMのオールダーティ・バスタード(!?)、本田Q。そして、初期カンパニー・フロウの東京からの回答とも言えるGREEN BEEのビート。彼らの代表曲にその名も「HIP HOP」という曲があるように本作は紛れもなくヒップホップだが、「求めるバスドラの刺激」(KILLah BEEN)を受けてくり出す、“日本語ラップ”でしか成し得ない押韻にはじわじわくる中毒性がある。「HIP HOP」のブームバップ・ビートでGREEN BEEが和楽器をサンプリングして和のテイストを強調することは、英語を極力排して日本語の語感と意味でラップを成立させようとするMCたちと共鳴している。
 WAQWADOMのメンバーの何人かは2年ほど前に儚屋本舗というサイトを立ち上げ、楽曲やエッセイや小説や詩や木版画やロゴなんかを発表したり、ラジオ番組をやったり彼らのお気に入りの音楽を紹介してもい��。彼らは精神の独居房を抜け出すために創作をつづけていくだろう。
二木信
※採点は編集部
youtube
Tumblr media Tumblr media
二木 信 1981年生まれ。音楽ライター。共編著に『素人の乱』、共著に『ゼロ年代の音楽』(共に河出書房新社)など。2013年、ゼロ年代以降の日本のヒップホップ/ラップをドキュメントした単行本『しくじるなよ、ルーディ』を刊行。漢 a.k.a. GAMI著『ヒップホップ・ドリーム』(河出書房新社/2015年)の企画・構成を担当。
0 notes
wordsandsounds2016 · 6 years
Text
CHAPAH  / Ⅱ
Tumblr media
VLUTENT RECORDS
原島宙芳
7.0
 VLUTENT RECORDSに所属するグループ、GAMEBOYSのCHAPAHが自身の誕生日前日、5/1に『Ⅱ』(ツウ)をフリーでリリースした。
 私、原島宙芳はPUNPEEとGAMEBOYSと仙人掌のバックDJをすることがあり、CHAPAHとは月に何度か酒を酌み交わす仲だ。身内みたいなものなので、アルバムというにはコンパクトで、EPというにはボリューミーでなんとも不思議な今作は、敢えてきつめに紹介させてもらう。
 最初から最後まで聴いた感想は、とてもCHAPAHらしくて良くも悪くもヒップホップを感じないなというものだった。
 内容に触れる前に簡単にVLUTENTとCHAPAHのキャリアに触れさせてもらう。
 VLUTENTはVOLOJZA、VANADIAN EFFECT、GAMEBOYS、あべともなり等で構成されているクルーだ。柏が地元なのがVOLOJZAとGAMEBOYSで、足立区が地元なのがVANADIAN EFFECT。あべともなりはよくわからない。中心人物はVOLOJZAとVANADIAN EFFECTのpiz?の印象を持っているのだがpiz?は現在タイに居るのでトラックも作るVLOJZAを中心に都内近郊で活躍している。
 VOLOJZAとGAMEBOYSは柏ということもあり、傑作アルバム『MQW』が再発されたWAQWADOMのCOBA5000とCASPERR ACEの後輩にあたり、GAMEBOYS × JZA名義の作品ではCOBA5000の客演作もある。
 2012年にリリースされたCOBA5000とGREENBEEからなるMAXIRIESの「Humanimal」ではCHAPAHとKAICHOOらと一緒に私自身も参加し、そのときがCHAPAHとの初対面だったかもしれない。CASPERR ACEの影響を強く感じさせるねちっこいスタイルだった。
 VOLOJZAのトラップなどのトレンドを消化しながら自分たちのカラーを損なわないトラックはもう少しだけ評価されてもいいのではないかと思う。去年出たクルーのアルバム『2017』、名作であるソロアルバム『十』は、アンダーレイテッドという言葉だけでは済まされない。
 CHAPAHはGAMEBOYSとしてフルアルバムとEPを1枚ずつ、GAMEBOYS × JZA名義で1枚のフルアルバムをフィジカル・リリースし、相方のKAICHOOは2枚目のソロEPを2月にリリースしたばかりだ。去年はクルーのVLUTENT ALSTONESでもアルバムをリリースしていてる。そのほかにも客演や自分との曲「むしろ近い」などもあり、その量は、なにもリリースしていない自分にとっては尊敬しかない。
 今作『Ⅱ』その中身はまさかの全曲セルフ・プロデュースで(ジャケットのアートワークまで!)、サンプリングを使っていないと思われるトラックはオーセンティックとは程遠いものが並ぶ。リリックはB-BOYスタンスやセルフ・ボースティングとはあえて距離をとったような、なんとも力の抜けた世界観が広がる。
 再生してみるとイントロに当たる1曲目は、“ツウ”と繰り返されドラムがなることなく終わる。続く「NINGEN」は前曲と同じような音色からはじまり、ピタゴラスイッチのようなコンピューター音の上で、単語ごとに切ったようなラップはリリックが異常に頭の中に入ってくる。単語ごとの隙間がフリとオチのようにより強く作用し、次に何が続くのだろうと先回りすらしたくなる。
 しかし、イントロ以外全曲にわたり登場する食べ物飲み物や、懐かしい単語の数々は文脈を壊していて ー彼は何を言ってるのだろうか? ー彼は何を言いたいのだろうか? という気持ちになる。何か言ってるようで何も言ってない。ユーモアと呼ぶにはウィットに欠け、言葉遊びなのかすらも怪しい。その最たるものは最後の楽曲「TORO!!」のサビ、“トロ おいしいよ”ではないだろうか。
 ざっと食べ物を列挙してみよう。
2曲目「NINGEN」 : 玉子焼き、オムレツ、納豆 3曲目「NARUTO」 : ナルト、チューインガム、味噌汁、豆腐、わかめ 4曲目「MIDNIGHT」 : スルメ、酒 5曲目「RESAIKOU」 : お酒 6曲目「KATACHI」 : 水 7曲目「KIOKU」 : 酒、牛乳 8曲目「TORO!!」 : トロ、脂身、赤身、ラーメン
 食べ物以外にも例えば、“小さな夢を背中に乗せる 第二形態のセル 優しい顔してる気がする”のラインひとつとってもパンチラインというよりは、“第二形態のセル”という単語の面白さに持って行かれてるように思える。そういった言葉だと“ペットボトルのいかだ”というのもあった。
 随分と否定的なことばかり書いてしまったが、4曲目の「MIDNIGHT」の歌詞にあるような、“平日我慢の連続”をしている社会人に好まれる可能性は大いにあると思う。曲者やB-BOYの激しい主張よりも、少しひねくれてる世界観に親しみを感じたり。
 GAMEBOYSを評す際に、“普通” “日常”という言葉が使われることを多く見てきたが、その理由はKAICHOOより社会人でもあるCHAPAHの方にあったことが今作でわかったのではないだろうか。(そういえば『 VLUTENT ALSTONES』収録「VLUTENT YEAR」のCHAPAHのリリックに、“営業っぽいなんて よく言われんだ”というのもあった。)
 3曲目「NARUTO」の“自分探しの旅 もともと自分もないけど脱皮”や、“特別でもない普通の人”というのは哀愁が漂い、“何も残さなくたって人生”は大げさに言えば真理だろう。
 元からのラップの上手さを残し、ねちっこいスタイルから抑揚をおさえたぶつ切りのようなスタイルの「NINGEN」と5曲目「RESAIKOU」は無機質なトラックと不思議なノリを作りオリジナルなものになっている。ラップスタイルのアップデート、全面セルフ・プロデュース、サウンドクラウドのアカウントをVLUTENT RECORDSとは別にCHAPAHで開設していることなどからも相当な気合いを感じる。
 サウンドクラウドでは曲数が進むにつれ再生数が減っていく。それは似たような音色が並ぶ楽曲、食べ物が散らばったリリックのせいかもしれないが、データが欲しくなってしまい途中で止めてDLしに行った可能性もないとは言い切れない。
 CHAPAHの『Ⅱ』と、2月にリリースされたKAICHOOの『$UICIDE NAPOLI』をアウトキャストのソロが合わさった2枚組のアルバム『Speakerboxxx / The Love Below』のように楽しむというのはよく言い過ぎか。
 しかし、ソロ作で互いに力量をつけたCHAPAHとKAICHOOのGAMEBOYSとしての作品が聴きたくなる。今作は全曲セルフ・プロデュースのせいで似たような曲調が多く、通して聴いた際のメリハリに欠けるが、VOLOJZAのトラックと並べたらグループとしてネクスト・ステージに行くのではないだろうか。
 今ならまだギリギリでフリーで落とせるようなので試しにDLしてみるのも悪くないと思う。個人的にベストな曲は、“父はB型 母は0型 いつもばあちゃんは俺の味方”のラインが光る「KIOKU」。DJでかけるならVLUTENTっぽいノリのいいサビが「RESAIKOU」かな。ワーストは、“気になるのは乳首のそれくらい”が下品な「KATACHI」。一番いらなかった情報はdoqが乃木坂ファンだってこと。doqに興味を持った奇特な方はど真ん中ラジオのアーカイブも宜しくお願いします。家がほぼ全焼してしまった話を披露してくれています。
 偉そうに色々書いてしまったが、コンスタントなリリースと動き本当に尊敬してます。ライブでどんなツラで「TORO!!」歌うのか楽しみにしてます。
原島宙芳
※採点は編集部
Tumblr media Tumblr media
原島宙芳 昭和、東京生まれ、B-BOY。 お茶目で陰湿、ノリ重視。名実兼ね備えたロクデナシ。
0 notes
wordsandsounds2016 · 6 years
Text
tofubeats / FANTASY CLUB
Tumblr media
WARNER MUSIC JAPAN
荏���津広
8.8
 「SHOPPINGMALL」を聞いてみよう。音楽を愛しているtofubeatsはこうしたジャンルの約束事があるのを知っているが、なかったかのように振る舞いもすると知ることができる。  ヒップホップだけではない。CDをくるむアートワークから出発するなら、ある程度まで日本の1980年代から発展した並行世界のような“club”で鳴り響く音楽と、そのモチーフのひとつの1980年代の日本から生まれた、当時の先行するダンス・ミュージックを吸収していた“シティ・ポップ”と比較すると、その怒りの不在がはっきりする。  たぶん、同じように実際には“怒っていた”数少ない作り手の1人は山下達郎だろうが、彼は自分の音楽を人々に寄り添わせる目的のためにその怒りを巧妙に隠蔽し“シティ・ポップ”を作りあげたので、彼の場合に表向き怒りは完璧主義と一繋がりだ。一方でtofubeatsは、彼の音楽を聞き手に寄り添わせるために怒りと恐れやその麻痺/とまどいをあかるみに出すことにより、響きのテクスチャーに細かな凸凹を浮き彫りにしていく。  明らかな例としての「SHOPPINGMALL」では、彼自身が前面でラップともヴォーカルともいえないスタイルで完璧主義との距離が表明され、“リアル”が質問され、形而上的な悩みと音楽/メディア論へさえ向う。アートワークなどの“シティ・ポップ”的な意匠は、対比による現代性の強調のために過去から引き揚げられたようで、歌詞に書かれている言語に関係なく、この音楽に浮き彫りにされた感情は横へ広がっていくので、実は“club”の希望的なトーンとも繋がっているだろう。“club”の空間は開いている。
 つづく「LONELY NIGHTS」――このアルバムの楽しみのひとつ――YOUNG JUJUのリリックは、様々なジャンルのスタイルの暗黙の了解とその前提につかず離れず絶妙に、1人ではない、もし2人だったら、何が作ることが出来るのか、もっとそこに経験したことのないような可能性の広がりの予感を抱きながら、若い恋の気持ちから大人たちが話しているあの落ち着いた、成熟した愛との間の揺らぎについてである。むろん1人語りの「SHOPPINGMALL」との流れも素晴らしい。もし、もっと多くのラッパーとのコラボレーションが実現したら、tofubeatsと聞き手の世界はどうなる――そのことをラップ/ヒップホップを好きな聞き手は想像するだろう。
 そうしたこと、つまり、さまざまなダンス・ミュージックのヴォキャブラリーを借用するという関係性も含めてそのもうひとつ下に、tofubeats自身の形式の枠組みとその美しさがあり、それは個性なのであることはいうまでもなく、ハウス・ミュージックの持つ時間を超越させていくような魅力を讃える「FANTASY CLUB」のブレイクの続く時間の長さにまでにそれが刻印されている。ダンス・ミュージックの大きな枠組みを通しての、複雑な悲しさや逡巡の気持ちが、大袈裟な仕掛け抜きで表現されることで、この音楽をとても2010年代後半たらしめる。希望や肯定的な感情は、例えば「WHAT YOU GOT」といったタイトルにこめられて控えめに表される。「WHAT YOU GOT」ではタイトルからクラブ・ソウルの名曲を想起させ、いにしえのソウル/ディスコに流れる精神へも錨を投じる。
 1曲目の「CHANT #1」からサウンドによるスキットを含め13曲、ラストまで、そのことを口に出して繰り返し質問し続けることが、私たちをポスト・トゥルースなよるべなさから救うのかどうかもはっきりしないにせよ、少なくともこのアルバムを聞いている時間内でパーティは続き、ダンスは続く。まるでパーティが人生のように――ビートが部分を連鎖させ、それぞれの音の配置や解像度がどこに自分、聞き手がいるのかを教えてくれる。半ば以降の解放は言うまでもなく、ここがこのアルバムの最大の喜びである。ビートが私たちを驚喜させ、迷わせ、結局、説話のように結びつけ導いていく。ここで彼のアルバムとtofubeatsが実際に腕のいいDJであることも結びつく。「YUUKI」のようにそっと置かれる曲に続けて、それが最後に向けて託される。またDJが今夜も私を救ってくれた。傑作。
荏開津広
※採点は編集部
youtube
youtube
youtube
youtube
youtube
Tumblr media Tumblr media Tumblr media
荏開津 広 執筆/DJ/京都精華大学、立教大学非常勤講師。ポンピドゥー・センター発の実験映像祭オールピスト京都ディレクター。東京の黎明期のクラブ、P.PICASSO、ZOO、MIX、YELLOWなどでレジデントDJを、以後主にストリート・カルチャーの領域で国内外にて活動。翻訳『ヤーディ』、共訳書に『サウンド・アート』(フィルムアート社、2010年)。初期の日本のヒップホップについての単行本『東京ブロンクスHIPHOP』執筆中。
0 notes
wordsandsounds2016 · 6 years
Text
SALU / 県央厚木IC feat. だるま aka ₩ . ¥
youtube
 今年の10月にフリーダウンロードとアップルミュージックでの配信という形でリリースされたSALUのミックステープ『BIS3』から、「県央厚木IC feat. だるま aka ₩ . ¥」のMVが12月1日にアップされた。
 正直に言うと自分は熱心なSALUリスナーではないし、国内メジャーレーベル感を覚えるスケールのデカい曲やエモーショナル過ぎる曲など、自分にはちょっと…、という曲が過去なかった訳ではない。が、『BIS3』の、特に「県央厚木IC(feat. だるま aka ₩ . ¥)」はその曲だけをリピートする程に良く聴いた。Estraプロデュースの、トラップをベースにしながら浮遊感のある高音が乗ったのビートの中毒性と、オートチューン(※1)のエフェクトが効いたラップが気持ち良い。BAD HOP AKDOW「Hot Ice」、タイ・ダラー・サイン「Saved feat. E-40 」など、国内外含め近い構成を連想する曲も多いが、この曲の特筆すべきはやはり、だるま aka ₩ . ¥のリリックだろう。
年をおうごと老けていく みるみる腹が出てくる ギャルから見たらただのオヤジ Hには金が掛かる
 これ、絶対SALU書かないだろうな(笑)というリリック。相反する要素が同居すると、そこに幅が生まれ、同時に間口の広さまで生まれるから不思議だ。
 冒頭に書いたように、この『BIS3』はフリーダウンロードであるだけでなく、アップルミュージックでも聴けるし、数曲はYouTubeにもアップされている。あらゆる聴き方が用意されいるのだ。そこには聴けない理由も聴かない理由もない。一度再生すればその中毒性にやられるはずだ。(鈴木)
※1「オートチューン」は現在最も一般的な音程補正ソフトである為、音程補正ソフトの代名詞となっている。この曲における音程補正ソフトの正確な名称は不明。複数の処理を施せるエフェクト・ソフトウェアのプリズマイザー等の可能性もある。
0 notes
wordsandsounds2016 · 6 years
Text
dodo / La sir. E
youtube
 上で挙げたようなトピックス(特にサ上とのビーフ)が目立ちがちですが、dodoはとにかく曲が良いんです。“童貞ラッパー”とかそういうの忘れて、一度聴いてみてください。
youtube
seihoの名曲「I Feel Rave」でラップする「i feel」
youtube
ライアン・ヘムズワースの「Perfectly (Taquwami Remix)」でラップする「aug」
 どちらも2013年の曲です。2013年当時、rev3.11のYouTubeやbandcampのアカウントから次々にアップされる良曲たち、アルバムのリリースも間近か?と、ずっと心待ちにしていましたが、現在までアルバムのリリースは1枚もありません。2016年リリースの『FAKE』もありましたし、dodoの個人アカウントからアップされる曲も幾つかありましたが、rev3.11のアカウントからのアップは2015年2月の「lost time again (pro.golby$ound) ΔΔΔ」から途絶えていました。そんな中、先月突如アップされたのが「La sir. E」です。現時点でdodoの最高曲だと思います。好きな娘に向けたラブ・ソングにも取れるし、benzy(benzeezy)に向けたものとも取れるけど、自分はdodoがdodo自身に向けて書いたリリックとして捉えました。とにかく現時点でdodoで一番の曲です。
 おそらくこの曲のミックスを担当したであろう、イリシット・ツボイのツイートには「still progress…」とあったので、現在アルバム制作中とのことなのでしょう。遂に2018年にはrev3.11からdodoのファースト・アルバムのリリースか!?楽しみで仕方がない!   …と書いていたら、12月12日発売予定から前倒しで1日にリリースされた、GOLBY$OUNDの『NothingChanges EP 1』に収録されているのを見つけました…。dodoのアルバムはまだ先のようですが、ERAやセシモンディアス参加のこちらのEPも是非!(鈴木)
GOLBY$OUND / NothingChanges EP 1
0 notes
wordsandsounds2016 · 7 years
Text
I-DeA / SWEET HELL
Tumblr media
VYBE MUSIC
宮本至
8.1
 “スティル=STILL”はヒップホップを愛する者にとっては避けて通れない言葉だろう。それは何らかのスタイルという様式に基づいて制作することを続ける限り、必ず立ちはだかる壁なのだ。
 スタイルの移行は、ヒップホップに限らず、アート/娯楽/編集など様々な分野で(個々人の生き方そのものにおいても)発生するものだが、殊にヒップホップではスタイルの変容というものにリスナーも制作陣も敏感であるということは、一つの大きな特徴だといっていいだろう。“オリジナル”の強調も、“パクリ”への厳しい弾劾も、このスタイルに関わる部分であるのは言うまでもない。ヒップホップにおける“スティル=STILL”とは、このスタイルのコアな部分を保ちつつ、アップデートし続けることだ。そして何よりもそれを長期間に渡って維持しなければならない。
 ヒップホップが誕生してまだ100年も経っておらず、日本においてはまだ30年ちょっとという状況において、90年代から制作を続け、かつ“スティル=STILL”であり続けるということは、多くの人が成しえていないからこそ、その境地は一つの最前線だといえるだろう。90年代からトラック・メイキングをスタートし、ゼロ年代を経て、プロデュースやエンジニアリングまでをもこなすI-DeAの“スティル=STILL”の境地が、複数のラッパーとともに語られているのがこの『SWEET HELL』である。
 メジャー/アンダーグラウンドを問わず、多くの日本人ラッパーのプロデュースを手がけたI-DeAは、現在の日本語ラップ・シーンの潮流を生み出し、日本語ラップのリスナー層を拡大させた影の立役者といって違いない。だからその楽曲スタイルは、日本のヒップホップのトラックにおける一つの基準であり、今後の道標でもあるといえる。“日本語のラップがどんな仕様のビートでもハマって聞こえる”というスタイルが、いかにアップデートされているかが本作のテーマではないだろうか。
 ヒップホップにおける今のトレンドには大きく2つの潮流がある。一つは80年代から続くサンプリングを主体としたブーム・バップ。もう一つのトレンドはトラップだ。現在はどちらかといえばトラップ・ビートをベースに、オートチューンの効いた3連符フロウのラップ・スタイルが主流で、ブーム・バップなリズムでよりローファイなスタイルは、アンダーグラウンド・シーンに好まれている傾向があるかもしれない。
 I-DeAはこれまでにも様々なヒップホップのビートを作ってきたし、当然このようなトレンドも視野に入っている。そのうえでどのような選択をしたのか。本作ではブーム・バップ的なヒップホップをベースに、トラップ的手法をアクセントとして取り入れたように思われる。例えばGOODMOODGOKU参加の10曲目「Paranoid」はオートチューンが効いたヴォーカルに、ピアノ・シンセというトラップ的なセレクトだが、スネアが生音のような感触でダブステップのようなリバーブ処理のため、スケールの大きさはありつつもトラップとは少し違う雰囲気を作り出している。
 同じくトラップ以降のフロウのラップが乗るFAKE-ID a.k.a. FRMAE参加の12曲目「I know I feel」は、生音感のあるドラムをスクリューさせていて、より重厚なリズムになっている。そこにアンビエントなシンセ、浮遊感のあるフルートという組み合わせはユニークでありつつもしっくりくるところがあり、次のトレンドとなる可能性を感じさせる。R-指定とL-VOKAL参加の「俺の使い道」ではスウィング・ジャズ的なビートだが、ハットはトラップに多用されている打ち方であるし、SALUやNORIKIYOが参加した曲では、ラップが3連符気味のフロウに、ロウでざらついたブーム・バップ・ビートを合わせてき��いる。
 このような組み合わせの妙が各曲に散りばめられているが、ハイファイ/ローファイのバランスがしっかりしていてサウンドとしてまとまりがあり、幹となるビートは太く安定感がある。そのためじっくりと各ラッパーそれぞれの“スティル=STILL”な言葉に耳を傾けることができる。
 特に出色はD.O参加の「DeA Boyz」である。オーガニックでハワイの夕闇のような雰囲気を感じさせるギターとパーカション、スケールを広げるベースといくつかの優しいシンセで構成されている。また、ゼロ年代初頭のDJシャドウのようなブレイクに、D.Oの倍速ラップがとにかくはまっている。まさかこんな曲調にラップを乗せるのかという、サウンドと声が掛け合わさったときの驚きがある。雰囲気は軽快であるのに、D.Oのラップにはアイロニックかつ冷静に今を見つめているクールさがある。いわばジュニア・マーヴィンの「ポリス・アンド・シーヴス(ポリスとコソ泥)」的な曲だ。
 I-DeAがこれまでに築きあげたスタイルはそのままに、シンセの音響やそのチョイスなどのスキルはヴァージョンアップしている。このような組み合わせの妙を生み出したという意味合いは大きい。フリーの音源キット、高性能なDAWやソフト・シンセの登場により制作に至る参入障壁が下がったことにより、流行りのトラップ・サウンドは多量にリリースされていて玉石混交の状況だからだ。
 そこから一歩抜け出し、新たなアップデートへと向かうにはやはり一音一音に耳を傾け、構成する音の組み合わせの奇妙さ、珍奇さを追求すること、またBPMという呪縛から一度解放されてみるといった、多面的な創意工夫が必要なのではないだろうか。I-DeA自身の“スティル=STILL”を表現しつつ、そうした次なるサウンドに向けた問いを発したという意味でも、この作品が世に出た価値は大きなものだといえる。
宮本至
※採点は編集部
Tumblr media
     
 
Tumblr media Tumblr media Tumblr media
宮本 至 熊本出身。2000年代よりDJ活動と並行して「DJ BAKU vs 灰野敬二」などのオーガナイズも行う。2008年、渡欧を機にITL名義で楽曲制作を開始。以降、RAP BRAINS立ち上げ、iri、Y.I.M、RHYDAといったアーティストへのアレンジ・トラック提供などの活動を行っている。近年は、THUMP(VICE)への楽曲提供やTRAXMANのREMIXアルバムにも参加。直近の作品は、ブラジル・アフリカの現行ダンスミュージックに強く影響を受けたEP「Roughtegh EP」(FREE DL可)
0 notes
wordsandsounds2016 · 7 years
Text
PARKGOLF / REO
Tumblr media
2.5D PRODUCTION
7.4
 インスト・アルバムであったファースト『Par』 は多くのバウンシーな曲がダンサブルな機能を果たしつつ、音のセレクトや動き、ヴォイス・エディットなどユニークなアイデアをいくつも堪能することができた。一方、本作はよりヒップホップ/トラップ色が強く、ジャージー・クラブを通過したようなアプローチを採っている。雨音や鳥の鳴き声などの自然音もミックスしたサウンドは、時としてオーガニックで静寂さを感じさせる。
 イントロから印象的に聞こえてくるのはオーケストラ・ホーンだ。ホーン・セクションの音色は他数曲でも使われており、チャンス・ザ・ラッパー、ダニー・トランペット&ザ・ソーシャル・エクスペリメント、それからブラストラックスといったアーティストの作品群におけるホーン使用を思い起こさせた。
 ホーン・セクションのパートはサンプリング音源ベースのソフト・シンセでの演奏かと思われる。ソフト・シンセといえどもホーン系サウンドのアタック部分は倍音が強い。ゆえにベース・ミュージックにおける盛り上げどころでのシンバル、キック、ホーン、シンセのユニゾンはバランスに配慮しないと耳にうるさく聞こえてしまいがちだ。
 その点、ホーン・セクションだけに限らないが、PARKGOLFのユニゾンの処理はかなり優れている。リズム・パート、メロディ・パートの音色のアタックを微妙にずらしたり、パンやリバーブで音域がかぶって歪む部分をできるだけ排除したり、シンバルは音量を小さく後ろに下げる、といったような工夫を凝らしている。そのように、耳に痛くなりそうな部分を徹底してなくしていく配慮が見られた。迫力と力強さを与えるユニゾンという表現においても、優しく包み込むような感触があるのだ。
 ほぼ全曲における屋台骨といっていいシンセの音も、ヤマハ・DXシリーズのFM音源のような、艶やかなエレクトリック・ピアノ系が主に使われている。さらにあらゆる音の“粗さ”に対する制限があるかのようだ。粒がシャリシャリしすぎそうな音も、フィルターのレゾナンス処理がなされているような丸みと滑らかさを感じさせた。
 その中でももっとも粒が立っているといえる音は、チョッパー・ベースだ。いや、それもあえて粒が立つようになされていると考えた方が妥当だ。アルペジエーター機能を使用しているのだろう。1小節あたりで音の動きが多いときは、その他の音はミュートして際立たせたり、アシッド・ベースと組み合わせて使ったり、3種類くらいの音色を使い分けたりと、チョッパー・ベースをこれほど面白く、多様なアイデアで駆使したという点では現代のビート・ミュージックにおいて白眉だといっていい。
 また本人自身も休符を多用するといっているように(日本人クリエイター対談 -Lapalux編-PARKGOLF × Licaxxx 参照)、音の省略は本作のかなり肝になっている部分だ。先ほどのチョッパー・ベースしかり、ビートのブリッジ部分はシンセのアルペジエーターや、タム・スネアのロール・パートがソロで鳴っていることが多い。そういう工夫を凝らしながらできた空白の部分には、ついはっとさせられてしまう。また、リズムを刻むハットのような音が、常に鳴っているというシーンはほぼないといっていい。
 このような手法と音響の配慮といった意向が最大限に活かされているのが、ヴォーカリストとラッパーのゲストを招いた5曲(“ALL EYES ON YOU feat. GOODMOODGOKU”、“ダンスの合図 feat. おかもとえみ”、“百年 feat. 一十三十一”、“Ever feat. MACHINA”、“Realize feat. Kiano Jones”)だ。ベーシックな部分は極力音を少なめにすることで、ヴォーカリストとラッパーのキャラが立ち、要所では動きのある音とヴォーカル、ラップが絡み合う。これほど静と動がダイナミックかつ滑らかに表現されたポップスは、今後メインストリーム系Jポップのモデルにもなりうるはずだ。
 本作における優しさと静と動のダイナミズム、それはさながら人里離れた自然の営みのようでもあった。奥山で雨が多く降れば、樹上の葉や落ち葉にあたり山に響く音の数は増し、川に流れていく水は勢いを増し、激しく石に打ちつけ、とめどなく下流へと流れていく。雨がやむととたんに静けさを取り戻し、暗かった林内に光がさし、その静けさの中で鳥のさえずりや虫たちの鳴き声が静かに響き渡る。
 こうした瑞々しい自然の営みへの類似性を感じさせる、ある種アンビエント・ヒーリング的な機能も持ち合わせたという点、また新たなポップスの形を提示したという点、その2点において本作は現代の“ニューエイジ・ミュージック”と言えるかもしれない。
宮本至
※採点は編集部
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
宮本 至 熊本出身。2000年代よりDJ活動と並行して「DJ BAKU vs 灰野敬二」などのオーガナイズも行う。2008年、渡欧を機にITL名義で楽曲制作を開始。以降、RAP BRAINS立ち上げ、iri、Y.I.M、RHYDAといったアーティストへのアレンジ・トラック提供などの活動を行っている。近年は、THUMP(VICE)への楽曲提供やTRAXMANのREMIXアルバムにも参加。直近の作品は、ブラジル・アフリカの現行ダンスミュージックに強く影響を受けたEP「Roughtegh EP」(FREE DL可)
0 notes
wordsandsounds2016 · 7 years
Text
GOODMOODGOKU / 24時間
youtube
 これはロマンチックでエロティックじゃないですか。GOKU GREENがGOODMOODGOKUと改名、ビートメイカーの荒井優作(ex.あらべぇ/彼はTHE OTOGIBANASHI'Sの実質的なデビュー曲「Pool」のビートを作ったことでも知られる)と組んで『色』という作品を完成させた。すでにiTunes, Apple music, Spotifyでは6曲入りで配信が開始され、8月30日には7曲入りのCD盤がリリースされる。フィジカル盤には、エクスクルーシヴやリミックスやインストが追加、歌詞カードなども付く。そしてこのトロトロの映像は、その作品に収録されている「24時間」のMVというわけだ。
 さらに詳細を続けると、この映像はいまや国内のラップのMVの制作において引っ張りだこのSpikey John(最近では、Awich がANARCHY を客演に迎えた「WHORU?」やJP THE WAVY「Cho Wavy De Gomenne」のMVも監督)とYENTOWNのkZmがディレクション、ABH3 FILMS (Yutaro Kawamorita & GOODMOODGOKU)がエディットを担当している。
 さて、I-DeAとGOODMOODGOKUが共作したトラックは、ビートもベースもドスリとカラダに響く重さがあり、さらに酩酊感を強く刺激するGOODMOODGOKUのラップと歌唱、メロウなループのダブルパンチにもうメロメロである。この作品と曲を聴いてかつてハマった音楽を思い出した。DROOP-E(E-40の息子)というラッパーがSADEの楽曲のサンプリングで作り上げた『Blvck Diamond Life』というミニ・アルバム、その作品に入っている「Im Loaded」のMVである。
 とはいえ、酩酊感という点では圧倒的に『色』の方がフワフワしている。このI-DeAとGOKUのコンビには、『HOTEL MALIFORNIA』のラストを飾る「Childish〜I'll Feel Sorry For My G Thang」という名曲があるが、「24時間」もそれに劣らず素晴らしいストーナー・ラップ×ラヴ・ソングである。I-DeA、GOKU、荒井優作はオリジナルだ。日本のラップ・ミュージックにこういうのを切望していた人は多いと思う。僕もまったくそのひとりだ。フィジカル盤を楽しみに待とう。(二木)
0 notes
wordsandsounds2016 · 7 years
Text
YOUNG JUJU / juzzy 92'
Tumblr media
P-VINE PCD-28031
8.1
音楽は希望 Oh, you know? You know? You know? 「Worldpeace」
 まず一曲目の「Hallelujah」。ジャジーなピアノのイントロからはじまるトラップ・ビート。DJ Scratch Niceのトラックがとにかく心地良い。歌詞を真に受けて考えると、とにかく真夜中にひとりでせっせと曲を作っているという話だ。
Run from the police on my way 明日はもう来ないかもよと 誰かが言うから行くStudio 遊びも��めて また24 「Hallelujah」
 警察に追われてたり、明日が来ないかもしれなかったりするのに、スタジオに行く。それってマジメなんだか、不良なんだか。でも明日が来ないんだったら、もう二度と曲を作れないかもしれないからスタジオに行く。なんか自分たち(筆者も92年生まれ)の同世代に多い気がするけど、成り上がって遊びまくりたいっていうか、何かを作るってことに対してものすごくストイックだと思う。いや、そりゃ金は欲しいし、遊びまくりたいけど、そこには“カッコいい”ってのが大前提にある。
 ちょっと前の「フリースタイルダンジョン」でT-Pablowが晋平太相手にTVCMをケリまくったことを「稼ぐよりも稼ぎ方」とラップしていたけど、それはこの世代でなんとなく共有されているものだと思う。KOHHとか「働きたくない」とか言っているわりには、4年で8枚のミクステ(ミックステープ)/アルバムを出しているし、モノを作ることに対してめちゃくちゃストイックだ。金を稼ぎたいならたぶん他のことをしているし、何かしちゃダメなんてルールもないし、何をしてもいいのだけど、とにかく“ダサい”のはナシだ。まあ、だいたいラップだけで金持ちになれるってことがまだまだスタンダードになっていない日本では、若いヤツがラップするのって単純に金稼ぎたいってことだけじゃない。
 あともうひとつフックでくり返される「エヴリデイ・イズ・フライデイ」っていうフレーズ。Ryugo Ishidaも“Everyday Is Flyday(flyとfri をかけたもの)”と言っていたけど、“毎日がサタデーナイト”ではなくて、なんで金曜日なんだろう。“華金”とか言うけど、それは労働者(サラリーマン)の言葉だ。毎日金曜日だったら昼は働かないといけないじゃんとか思ったりする(ていうか、働きすぎな日本ではプレミアム・フライデーでさえ機能していない)。その後のヴァースで「人生は辛いぜ/俺は笑ってる」と続くので、やっぱり辛い平日をこえてきた夜なのかもしれない。僕らの世代は変に現実的でストイシズムがある。少なくとも、バブリーな感じはしない。
 ネットのレヴューなどを読むと、「KANDYTOWNは歌詞の意味がない」というようなことをネガティブな意味で書かれている。リリックに意味があったほうがカッコいいのか、それとも意味が無いほうがカッコいいのか。ぶっちゃけ好みの問題だけど、少なくともYOUNG JUJUはめちゃくちゃリリシズムがある。このアルバムで、それが一番全面に出ているのはB.D.がフィーチャリングされている「Live Now」だ。
大丈夫。もう心配はない。大丈夫。苦しむことはない。 大丈夫。俺は生きている。大丈夫。夢を見て生きる。 大丈夫。自分を信じてる。大丈夫。今を得るyou dig? 大丈夫。俺は生きている。大丈夫。俺は生きている。 「Live Now」
 B.Dとの曲は意外にも思えたが、元々B.Dはバイトでお世話になったセンパイらしい。それもなんかいい話だ。単なるフィーチャリングのために書いたリリックというよりB.D.からのリアルなメッセージ、そしてそれに返すYOUNG JUJUのヴァース。トラックは清水翔太がディアンジェロの「Untitled」��オマージュを捧げたと思われる「Overflow」をjjjがサンプリングしたもので、音からもエモい感じが漂っている。
 歌詞の内容は、YOUNG JUJUとB.D.による現代版「Ame Ni Mo Makezu」(THA BLUE HERB)という喩えがしっくりくる。くり返される“大丈夫”という言葉。この言葉は、ゆるふわギャング(Ryugo Ishida)の「大丈夫」、そしてKid Fresinoの「俺も“大丈夫”だって思った」(「Easy Breezy」)やKOHHの「目の前にお金が無くても幸せな事がいっぱいあるから大丈夫」(「貧乏なんて気にしない」)にもつながる。念仏のように唱えられるこの言葉は、決して大丈夫じゃない日常と隣り合わせだ。それでもカッコつけて今日も大丈夫だって言おう。
 他にもアルバムには、KANDYTOWNのラッパーGottzをフィーチャーした、タイトルからしてエモさが出ている「Worldpeace」とか、ギラついている感じでYOUNG JUJUが独自の乗り方でラップする「The Way」などある。YouTubeにアップされている曲だけではなく、アルバムを通して聞いてほしい。友達とのドライブで聞き流しても、もしくは夜中にひとりでじっくり聞いてもカッコいいアルバムだ。KANDYTOWNのこれでもかってぐらいスムースな雰囲気はそのままに、何度も強調するけどYOUNG JUJUのリリシズムが光っている。
 ここまで絶賛してきたが、清水翔太との対談によるとYOUNG JUJU自身はこのアルバムにまったく納得してないようだ。廃盤にしたいぐらい、もっと「ちゃんとしておけばよかった」とめちゃくちゃ後悔しているらしい(本当にどんだけストイックなんだよ!!!!)。進化を続けるYOUNG JUJUの次回作がどんなことになるか、いまから楽しみだ。つまんない日常と隣り合わせにもっとカッコいいものを求めて。
オークダーキ
※歌詞は書き起こし ※採点は編集部
youtube
youtube
Tumblr media
オークダーキ 大学院生/ex.SEALDs/ReDEMOS
0 notes
wordsandsounds2016 · 7 years
Text
Qiezi Mabo / Star Beach Love {OFFICIAL VISUAL}
youtube
 ちなみに、Qiezi MaboのMVをアップしたYouTubeアカウント「9Qs」が8月10日に極onTheBeatsのライヴショーケースの映像をアップしている。このヴィデオを監督したのもThe Sttarrsである。極onTheBeats、一体何者なのだろうか? この破天荒さ、目が離せません。
極onTheBeats PREMIUM DEBUT SHOWCASE 07.29.2017
youtube
 さて、「Star Beach Love」は6月13日にYouTubeにアップされ、7月7日には配信でのリリース開始がされているので紹介が遅くなった。が、実は、今日の16時から渋谷の〈WWW X〉で行われるSUMMIT主催の 「AVALANCHE 7」にQiezi Maboが登場します。ライヴです。これは見逃せません。イベントの情報もあげておきましょう。Qiezi Maboは2019年にアルバムを出す予定だそうです。(二木)
2017.8.11(金) SUMMIT Presents. “AVALANCHE 7” @渋谷WWW X OPEN 16:00
Ticket 7/8(土)一般発売 ¥3,310 / ドリンク代別 当日券 ¥4,000 / ドリンク代別
LINE UP RELEASE LIVE : SUMMIT “Theme Songs" C.O.S.A. “Girl Queen" VaVa “low mind boi" TWINKLE+ “JAPANESE YEDO MONKEY" LIVE : CreativeDrugStore BLYY DyyPRIDE SIMI LAB GAPPER Qiezi Mabo DJ: DJ SHINJI RE-JI PUNPEE
0 notes
wordsandsounds2016 · 7 years
Text
ISSUGI / 7INC TREE / V.A.
Tumblr media
DOGEAR RECORDS DERCD064
8.0
 ここであえて強調するまでもないが、音楽のリリース形態は日々多様化している。CD~ヴァイナル~データ~カセットでのリリースに加え(USBやソノシートでリリースされる場合すらある)、無料配信/ストリーミングとそれらを複雑に組み合わせた形態も増えてきたし、制作方法もクラウドファンディングや〈CREATIVE PLATFORM〉のように賛同者から資金を集める方法論も確立されてきた。制作過程をオープンにしながら、7インチ/CDとして段階的にパッケージングされる「7INC TREE」もまた、リリース形態の新たな可能性を模索するものだ。
 だが、ただでさえ多忙を極めるISSUGIにとって、さまざまな活動と並行してシングルとなる楽曲を12か月連続でリリースするという本プロジェクトの制作は、なかなかハードなものでもあったはずだ。当然、本人のみならず、周辺スタッフも含めてルーズな連中には決して実現できないプロジェクトである。
 異なるビートメイカーと毎月新録曲を7インチでリリースする――現代の日本では挑戦的とも思える本企画だが、こうしたリリース形式は、かつてジャマイカのダンスホール・レゲエ業界で習慣的に行われていたものでもある。ジャマイカでもヴァイナルからデータ配信へとリリース形態が移り変わった2000年代以降、こうしたスタイルは遠い過去のものとなってしまった。だが、ジャマイカのマーケットの都合(流行の移り変わるスピードの早さやサウンドシステムという“現場”からの要望)によって生み出されたこうしたリリース形態は、当時のアーティストたちやビートメイカーたちのクリエイティヴィティーを存分に刺激した。凄まじいリリースペースのなかでアーティストたちはライバルとの差別化を図ることが求められ、極めて個性的な芸風が打ち出されるようになったのである。また、彼らにとってはそうしたリリースペースをこなすことが“一流”の条件ともなった。レコーディングにおいては気合いの一発録りが求められ、うまくキメられた場合は「あいつはあの曲のレコーディングを一発でキメたらしいぜ。Wickedだよな」などという噂話がキングストンのダンスホール業界を駆け巡ることになったのである。
 ――話を「7INC TREE」に戻そう。本作でのISSUGIは、いい意味で普段の彼と変わらない。過去数作リリースされてきたミックステープのラフな作りとも違う。ビートに対する多彩なアプローチ、聴くものの心にストンと落ちる言葉のセレクト。『DAY and NITE』(GRADIS NICEとの共作)や『II BARRET』(BUDAMUNKとの共作)や『EAR』といったオリジナル・アルバムと同じように、相変わらず素晴らしいISSUGIがここにいる。また、当初からアルバムとしてまとめることが構想されていたためか、さまざまなビートメイカーが多様なビートを寄せているにもかかわらず、アルバム一枚としての統一感がある。
 そこから浮かび上がってくるのは、来たものすべてを打ち返すISSUGIの反射神経の鋭さ、何が来ても揺るがない土台の強さだ。その意味で本作にはISSUGIの類い稀なる〈ラップ筋力〉が存分に発揮されているし、そうした能力は、制作のスピードが求められる「7INC TREE」プロジェクトだからこそ浮き彫りになったとも言える。
 もちろん周辺のビートメイカーも含め、常に作品を作り続けている面々だからこそ実現したアルバムであることは言うまでもない。BUDAMUNKやMASS-HOLE、GRADIS NICEやDJ SCRATCH NICE、FLA$HBACKSの面々との日常的な共同作業の延長上に本作は成立している。きっとISSUGIは「こんなの、毎日やってることっすから」と謙遜するかもしれないが、走り続けている連中はやはり強い。
 そして、アーティストとビートメイカーとのそうした繋がりにもまた、やはりかつてのキングストンのダンスホール業界を思い起こさせたりするのだ。ジャマイカの連中は決して恵まれているとはいえない経済状況のなかから他に類を見ない奇抜でクリエイティヴなアイデアを生み出してきたわけだが、パッケージ・ビジネスの衰退が各所で叫ばれるなか、そんな事態には我関せずとあらゆるアイデアを実践に移していくISSUGIとその仲間たちには、どこかジャマイカ的な逞しさを感じてしまうのである。
大石始
> 二木信のレビューへ
Tumblr media
大石 始 ライター/エディター。1975年、東京生まれ。著作に『ニッポンのマツリズム』(アルテスパブリッシング)、『ニッポン大音頭時代』(河出書房新社)など、編著書に『大韓ロック探訪記』(DU BOOKS)、『GLOCAL BEATS』(音楽出版社)など。DJとしても活動中で、2014年には初のミックスCD『THE VOICE OF TRIBES』をBLACK SMOKERよりリリース。
0 notes
wordsandsounds2016 · 7 years
Text
BudaBrose (BudaMunk & Fitz Ambrose) / BudaBrose 2
Tumblr media
JAZZY SPORT
7.6
 サンプリング・ソースはドラムから上ネタまでFitz Ambroseがチョイスした90年代R&B音源から引っ張ってきたということだが(※『FNMNL』のBudaBroseインタヴュー記事より)、まずメイン・メロディとなる上ネタの使い方はごくごくシンプルだ。コード進行はほぼ2つ、多くても3つで(最後の5lack参加曲「wavery」のみ4つになる)、複数のネタを重ねて厚みを持たせるようなこともほとんどない。
 また上ネタに対してはキックやスネアをトリガーにして、絶妙のタイミングで0コンマ単位の空白をいくつもつくっている。加えて映画のセリフや環境音、薄くディレイがかけられたコーラス・サンプルなどもごく断片的に使用されているが、ループのアクセントになるような効果的な使い方で決してくどさを感じさせない。これらの方法によって上ネタとして扱われるレイヤーにある音像は、よりビートのグルーヴ感を強化するような役割として機能しているように思われた。
 次に特徴的な部分はリズム音の残響の排除である。キックやスネアはモノラル処理で、リヴァーヴやコーラスといった音の鳴る空間をより広げるための処理をまったくされず、ドラムのディケイタイムは1作目から短かったが、さらに短くなっている。
 ベースも同様の処理でキックと同程度にリズムとしての存在感が強く、ディケイタイムの短い単音ベースはBudaMunkならではの鳴らし方で、今回もビートになくてはならない要素となっている。ただし、このベースについてもメロディ・ラインになるケースはあまりなく、ブレイクのいち要素としてリズムを構成しているといった趣が強い。
 こうしたメロディとなるサンプルの簡素化/断片化と、リズム音における残響処理の排除によって、ビートにおける“空白”をより感じさせることになっており、それはまさにグルーヴ特化型のアブストラクト×ブーム・バップ・スタイルといっていいだろう。
 5lackのラップが乗る「wavery」はインストとヴォーカル・ミックス���ヴァージョンがあり、ヴォーカル・ミックスではスネアのハイを強調しながらリヴァーヴをかけたり、他の曲に比べると展開の多いコードのエレピに、コーラスをかけて厚みと広がりを持たせることで、ラップがビートとスムースに混ざり合っているように感じられた。このことからも分かるように、この現代的グルーヴをもったブーム・バップ・スタイルに、アブストラクトな手法が意識的に取り込まれているというのは特筆すべきだ。
 サンプリング・ソースの限定的な使い方とドラム・パートをより強調させるようなスタイル、そしてドラム・サンプルのざらつきと温かみのあるファットなサウンドは、80年代のオールドスクール期、まさにブーム・バップがその形を現しつつあった頃のサウンドを思い起こさせた。例えばオーディオ・トゥーの「Top Billin'」であったり、MCシャンの「The Bridge」や45キングの「The 900 Number」等。SP-1200のような、限られたサンプリング・タイムとデータ容量しかない制約のあるサンプラーによる制作を通じて荒々しくも画期的な抽象化を成し遂げた、今ではクラシックとなっている80年代のブーム・バップのようなラフな雰囲気も感じられた。
 現代という多角的な制作アプローチがいつでも取り込める中で、あえて制約を課すことで80年代のブーム・バップへと原点回帰しつつ、そして90年代R&Bの音源を駆使して、2017年の今のグルーヴをクールに表現した本作には、大きな意味があるのではないだろうか。00年代の音像も見据えた、グルーヴ的なアップデートを次作以降に引き続き期待したい。
宮本至
※採点は編集部
youtube
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
宮本 至 熊本出身。2000年代よりDJ活動と並行して「DJ BAKU vs 灰野敬二」などのオーガナイズも行う。2008年、渡欧を機にITL名義で楽曲制作を開始。以降、RAP BRAINS立ち上げ、iri、Y.I.M、RHYDAといったアーティストへのアレンジ・トラック提供などの活動を行っている。近年は、THUMP(VICE)への楽曲提供やTRAXMANのREMIXアルバムにも参加。直近の作品は、ブラジル・アフリカの現行ダンスミュージックに強く影響を受けたEP「Roughtegh EP」(FREE DL可)
0 notes