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豊田小学校+矢島与萌
「 路傍のかゃみぎゃみ -今わたしのそばに- 」
2024.11.16-2025.01.19 諏訪市美術館
令和6年度 学校連携展
まとめ目次
展覧会 2024.11.16-2025.01.19
企画概要
展示室風景
作家作品 〈文字碑シリーズ〉①
作家作品 〈文字碑シリーズ〉②
作家作品 〈文字碑シリーズ〉③
作家作品 〈人形碑シリーズ〉
子ども達の作品 その1
子ども達の作品 その2
小野川 恵美子 先生 資料コーナー
ワークショップ
事前学習 2024.08.29
工程① 粘土成形 2024.09.05
工程② 素焼き 2024.09.13
工程③ 施釉 2024.10.10
工程④ 本焼き 2024.10.14
鑑賞
アーティストトーク 2024.11.30
子ども達とリモートトーク 2024.12.20
イベント
道祖神ミニツアー & 陶芸ミニワークショップ 2024.12.07
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●展覧会あらまし
道を歩いていると、ふと傍らに《 道祖神 》を見かける。交通安全や子孫繁栄や縁結びなど、どんなお願い事も聞いてくれる、地域住民の生活に寄り添う神。長野県 諏訪地方ではよくある光景だ。古くは江戸時代から作られているものもあり、地元住民にとって身近に存在しているその石像は、地域の人々に『よりどころ』として長い間大切にされてきた。
現代でも地域に深く根付いている《 道祖神 》の機能・役割といった概念をテーマとして、諏訪出身である やきもの作家・矢島与萌は陶芸作品を制作している。
今回は、作家と小学3年生たちがコラボレーションし、「日常的に傍にある存在」であり「自分を元気にし励まし癒やす『よりどころ』となるもの」をイメージし、子どもたち一人ひとりが陶芸作品としてかたち作った。
テーマの身近性から「神々(かみがみ)」と呼ぶほど仰々しくなく、幼児用語のように自然体で「かゃみぎゃみ」と砕けた言い回しがしっくりくるようなやきものの道祖神は、プライベート的で自立的であり、たった今を生きる子どもたちの隣に寄り添い日々を支えてくれているのだろう。
●作家+美術館+学校の共同
2024年秋・諏訪市美術館では、やきもの作家・矢島与萌さんをお迎えし、長野県諏訪市立豊田小学校 (以下、豊田小) 3年生の皆さんとともに制作・展示・鑑賞活動を行いました。
今回、豊田小3年の約60名の生徒は、ワークショップを通して道祖神や陶芸について学び、作家の作品やテーマを参考にしながらやきものを制作しました。
児童たちがそれぞれの思いを刻んで作り上げた作品と、矢島さんの作品を一緒に展示、作品鑑賞をするコラボレーション展を開催しました。
●ワークショップ紹介
豊田小3年生は、事前に小学校近辺に立ち並ぶ道祖神を見て回り、実際の形や大きさ、描かれているものについて学びました。さらに、諏訪市で活躍する道祖神ナビゲーターの小野川恵美子(おのがわ えみこ)さんを講師に招き、市内全域に多数存在する他種の資料を視聴したり、特定の石像にまつわる民話を聞いたりしました。
道祖神の成り立ちなどを知った児童たちは、自身にとっての「よりどころとなるもの」をテーマに一人ひとりアイデアスケッチし、その絵を元に、粘土を用いてオリジナルな道祖神を制作しました。
成形〜乾燥後、豊田公民館工芸棟の窯にて素焼きし、後日再び工芸棟に集まった生徒たちは科学変化した粘土の色や質感を観察し、何種類かの色の異なる釉薬をそれぞれの作品にコーティングし、本焼きを行い完成しました。
展示室に配置され、作家とともに鑑賞を行いました。
●作家コメント
私たちは、毎日働いたり学んだり遊んだりしながら暮らしています。
その生活の中で、日常を支えているものについて考えたことはありますか。きっと『なにかを信じる』ことであると思いますが、それは誰にとっても『よりどころ』であるはずです。元気で健康に生きるには、ちょっとしたポジティブな感情が存在しているのではないでしょうか。大人も子供も持っていて、そばに置いているはずです。
自分だけ��パーソナルスペースでもあり、他者と共有できるとほっとしたり嬉しくなったりすることもあるかもしれません。
諏訪地域で生まれ育った私にとって、道祖神はそこにあることが当然であり、何者でもなく、田舎の道端に存在しているだけのものでした……苔や地衣類が付着する地味な石彫レリーフ像。でもよく見ればなんだか、かわいいかもしれない。大人になるまで見向きしなかったものが、ずっと昔からそこに暮らす人々と共に時を過ごしていることに気づく。
静かに佇む道祖神に意識を向け、その機能に想いを馳せることにより、自身の日常を支える『よりどころ』についてもまた意識し、『身近で気楽になにかを信じる』ことの肯定的な感情や尊さを感じました。
昔の人たちも道祖神という形で境界線や現在地を表現してきました。時を越えながら今も目の前の道端に存在しています。そんな風土が自然体に漂っている諏訪で、瞬間を刻むことのできる陶芸に子供たちと一緒に取り組みました。
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【豊田小学校3年生による陶芸作品】
《「道祖神」とは何か》について学び、作家作品の実物を鑑賞した後、子ども達自身 各々の《今わたしのそばにある「よりどころ」=日常的に自分を元気にし励まし癒やす存在》をテーマに、イメージスケッチを描き、スケッチをもとに陶芸作品を制作
写真撮影:studio BAKER
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【豊田小学校3年生による陶芸作品】
《「道祖神」とは何か》について学び、作家作品の実物を鑑賞した後、子ども達自身 各々の《今わたしのそばにある「よりどころ」=日常的に自分を元気にし励まし癒やす存在》をテーマに、イメージスケッチを描き、スケッチをもとに陶芸作品を制作
写真撮影:studio BAKER
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【作家作品】「路傍のかゃみぎゃみ」文字碑シリーズ
〈 元気 / energy 〉
2024年制作 H14 W13 D5 cm 3点1組展示

〈 健康 / healthy 〉
2024年制作 H14 W13 D5 cm 3点1組展示
〈 かゃみぎゃみ / " kyami-gyami " deity 〉
2024年制作 H150 W80 D10 cm
〈 心心 (しんしん) / Heart to Heart 〉
2024年制作 H33 W43 D12 cm
漢字の篆書体とハート記号を組み合わせた造形
〈 妙々々々々々 / amazing! Fantastic! Strange! Unusual! mysterious! Odd! Wonderful! excellent! 〉
2024年制作 H48 W23 D12 cm
民話「あたごの浦」を引用、吹き出しマーク型の造形
〈 へのへのもへじ / " Henohenomoheji " ( the traditional face drawn using the hiragana characters ) 〉
2024年制作 H20 W20 D20 cm
〈 依 ( え ) / rely on 〉
2024年制作 H60 W45 D45 cm
仏教用語「畢竟依 (ひっきょうえ)」を引用した作品
写真撮影:studio BAKER / 矢島 与萌
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【作家作品】「路傍のかゃみぎゃみ」文字碑シリーズ


〈 自由空間 / Autonomy space 〉 2024年制作 H56.5 W18 D16 cm
漢字の篆書体を用いて陰刻
〈 ポケット道祖神 01 / " Dosojin " in a pocket 〉 2024年制作 H13 W9.5 D7 cm
漢字の篆書体を用いて陰刻
〈 解放 / Απελευθέρωση 〉 2024年制作 H26 W17 D8 cm
漢字とギリシャ文字を取り入れた造形


〈 適材適所の澱みなさ / The right people in the right place - Clear your mind 〉
2024年制作 H23.5 W18.5 D8 cm
ひらがな文字を粘土ひもでデザイン
写真撮影:studio BAKER / 矢島 与萌
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【作家作品】「路傍のかゃみぎゃみ」文字碑シリーズ
〈 道 / way 〉
2023年制作 H42 W26 D26 cm
漢字の篆書体を用いた造形
〈 銅色の(どうしょく)記録 -もしもし こんにちは おげんきですか- / Copper Record "Hello? How are you?" 〉
2018年制作 H42 W42 D1 cm
「ボイジャーのゴールデンレコード」から引用

〈 畢(ひつ) / Ultimate "Hitsu" 〉2024年制作 H80 W45 D45 cm
〈 竟 / Ultimate "Kyou" 〉 2024年制作 H60 W45 D45 cm
仏教用語「畢竟依 (ひっきょうえ)」を引用した作品
〈 無 / /Ultimate "Mu"(nothingness) 〉
2024年制作 H50 W45 D45 cm
仏教用語「畢竟無 (ひっきょうむ)」を引用した作品
写真撮影:studio BAKER / 矢島 与萌
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【作家作品】「路傍のかゃみぎゃみ」人形碑シリーズ


〈 ちゅわ / "chu-wa" (Polysemous word-suwa&muah&hello) 〉
2023年制作 H14 W18 D11 cm
〈 頭足人 / tadpole man〉
2024年���作 H18 W16 D9 cm
〈 わんたゃん / Two dogs slippers 〉
2023年制作 H29 W41 D26 cm
日用品をモチーフにした造形
〈 どせちゃん / stuffed toy "dose-chan" 〉
2023年制作 H36 W31 D22 cm
ぬいぐるみをモチーフにした造形
〈 てでぃたん / stuffed toy "teddy-tan" 〉
2023年制作 H28.5 W34 D16 cm
ぬいぐるみをモチーフにした造形


〈 双頭のしぇきちゃん / stuffed toy "double-headed sheki-chan" 〉
2023年制作 H25 W32 D9 cm
ぬいぐるみをモチーフにした造形
〈 風雷坊 / "fuu-rai-bo" wanderer ( Wind God and Thunder God )〉
2024年制作 H13.5 W19 D10 cm
日本美術的な神様をモチーフにした造形
〈 頭足人わど / stuffed toy "wadd"(tadpole man)〉
2024年制作 H30 W45 D40 cm
ぬいぐるみをモチーフにした造形
写真撮影:studio BAKER / 矢島 与萌
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【道祖神 解説&資料コーナー】
道祖神ナビゲーター 小野川 恵美子さんによる事前学習・解説《 諏訪の道祖神 》において豊田小学校3年生たちが学習した内容をご紹介する展示スペース
写真撮影:studio BAKER / 矢島 与萌
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【事前学習〜イメージスケッチ】
・道祖神ナビゲーター 小野川 恵美子さんによる解説《 諏訪の道祖神 》を子ども達が聴講し、諏訪地域近隣の道祖神について知る
・作家の陶芸作品を実際に鑑賞して参考にしつつ、子ども達 各々の《いま自分のそばにある「よりどころ」は何か》をテーマにどのように作り上げるか��メージを描いてみる
写真撮影:諏訪市美術館
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���粘土成形】
イメージスケッチを元に、板状粘土ベースに絵や文字を刻み込んだり彫ったり、粘土ヒモや粘土パーツをくっつけたりする
片面には、窯で焼くと少し溶けてキラキラする石を埋め込む
完成したらじっくり乾かす
写真撮影:諏訪市美術館 / 矢島 与萌
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【素焼き】
・豊田小学校から豊田公民館へ運搬
・完全乾燥させた素地をチェック、安全上の手直し
・施釉作業へ向けて、公民館の電気窯を用いて800℃で焼成
写真撮影:諏訪市美術館 / 矢島 与萌
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【本焼きの窯出し】
・豊田公民館の電気窯で1250℃で酸化焼成
・結晶釉は、焼成時に溶け流れたあと冷めて固まっているため、ガラス質の固着した鋭利な部分ができている
・展示〜子供達へのお渡しに向けての仕上げ
写真撮影:諏訪市美術館
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【素焼き後〜施釉〜本焼きの窯詰め】
・釉薬は、作家作品と同じものを使ったり、学校の図工室に残されていたものを使ったりした
・浸しがけ、流しがけ、筆塗りなど、作品の凹凸やイメージにあうように塗り方を工夫
いよいよ本焼きしたら完成!
写真撮影:諏訪市美術館
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【子ども達とリモートトーク】2024.12.20
・子ども達が美術館へ来館
・作品完成後、自分で作った陶芸道祖神を初めて鑑賞
・スケッチや作品が展示されている様子も初めて鑑賞
・作家による解説〜質疑応答をリモートで行った




【アーティストトーク】2024.11.30
・作家による展示と作品解説
・地域住民の方々や、ワークショップに参加した子ども達家族が来館

写真撮影:諏訪市美術館 / 矢島 与萌
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