絶版・中古絵本専門のオンライン古本屋 コトノハブックスのブログです。 オススメの絵本、美術展など、コトノハブックスの日常を綴ってまいります。
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いやまぁ随分久しぶりの投稿です。 先月の特集から。 マザーグースという事で、谷川さんの本で思いつくものを集めて読んでみました。 古い順に、リチャード・スキャリーの洋書の翻訳版、雑誌ユリイカのマザーグース特集の中の10ページで挿絵は和田誠、堀内誠一挿絵版、和田誠挿絵版。 脚韻のもつリズムと意味合いをそのまま日本語に当てはめたところで、原文には到底かなわない、だから日本語を創作し日本語で読んだ場合の面白さを優先させたとし、現代における北原白秋訳にみられる言葉の鮮度の問題、そして時代を超えてもなお効果的な七五調というリズムの良し悪しなどが解説で述べられていて、それらはなるほど子どもたちにとってとても平易で身近に感じられそうな日本語詩だなと思います。 訳文は版を通じてほぼ同じですが、いくつか書き変えられているものもあって、言葉に対しての厳しさと誠実さを感じました。 挿絵の方も和田・堀内両氏の同じ詩の表現の違いなども面白く、例えばある詩などは、作られた時代背景、当時の世相をうまく反映させているのはこっちの版だなとか、詩の面白さに合ってるのはこっちの版じゃないかなとか。読み比べ、面白いです。 そしてもう1冊、これはたまたま借りることが出来た和田誠翻訳のマザーグース。 とにかくまず脚韻とリズムにこだわったという事で、この本を読む前、マザーグースを現代のラッパーのどなたかが翻訳したら、多分面白いものが生まれるんじゃないの?と思っていた矢先だったこともあり、韻の踏み方のスムーズさにはちょっとびっくりでした。 これは同時に、先に北原訳を例に谷川さんが自身の訳も含め指摘していた、言葉・翻訳の鮮度という物もみごとに更新しているなぁと思います。 でも、中には谷川訳の方がいいんじゃないの?と思うものもあったりして、翻訳の際に和田さんの頭の中には絶対的に谷川訳という存在があったであろうし、なかなかやりづらい部分もあったんじゃないでしょう���ね。 あとがきでは、氏の大好きな映画におけるマザーグースの引用なども沢山紹介されていて、英語圏では本当に生活に身近な歌なんだなとも思いました。 それと、しゃれた引用には制作側の知性の高さも感じますね。 その引用について、私も今回気が付いたことが2点。 ひとつは「1234」という歌。 これはカール・パーキンスのブルー・スウェード・シューズの歌詞の冒頭に使われていますね。 ブルーハーツの「平成のブルース」は引用の引用ということになるでしょうか。 そして画像のレコード。「HERE WE GO ROUND THE MULBERRY BUSH」というイギリス映画のサントラで、タイトルそのものが引用となってます。 邦題は「茂みの中の欲望」で、ジャケットから察するに、おそらくおしゃれなお色気コメディなんじゃないかなと思うのですが。楽曲はトラフィックやスペンサー・デイヴィス・グループで、もう全編スティーヴン・ウィンウッドの甲高い歌声が聴けるイイ盤です。
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コトノハブックスで取り扱います2冊目の新刊本、タイトルは「Pass it On」。 作者の名前はジョー・ライワード(Joe Lyward)さんといいます。 数年前に知り合ってから、いつか彼の絵本をお店で扱いたいなと思っていたところ、再び日本にやってきたジョーさんに直接お願いして、この度販売することとなりました。 それでは、ジョーさんとこの絵本をご紹介しましょう。 ジョー・ライワードさんは1990年、イギリス南西部に生まれました。 プリマスユニバーシティーでイラストレーションを学んだあと、ケンブリッジスクールオブアートに於いて絵本のイラストレーションの分野で修士号を得られています。 彼の作品は、これまでにロンドンイラストレーション協会やヴィクトリア&アルバート博物館などで賞を獲得、自身の絵本は2015年に「This is… A book in four languages」、2017年には「Mia Grande Famiglia」がイタリアのTopipittori社から出版されています。 そしてこの「Pass it On」は、彼自身の手による私家版の絵本です。 お父さんと息子の会話からはじまり、何かをイメージしたその男の子はそれを紙に書いて手紙を出します。その手紙を受け取った男の人はそこからインスピレーションを受け・・・、といった具合に「Pass it On」、人から人へ伝えていくというお話です。 ただ、お話と言っても文字は無く絵だけでお話は進んでいくのですが、その絵にはちょっとした仕掛けが施されています。 彼の絵本には、読み手に対する親しみに満ちた穏やかな視線が感じられ、その優れたデザインセンス、ページを捲る事で表される仕掛けの詩的な表現には、駒形克己やブルーノ・ムナーリ、ひいては未来派からの影響も感じられます。 先日、彼の創作ノートを見せてもらったのですが、くすくす笑ったり感心したりと、ほのぼのとした楽しいアイデアが山のように詰まっていて、これらはいつか絵本という形で発表してほしいなと思うのです。 彼のウェブサイトはこちらhttp://joelyward.co.uk インスタグラムやツイッター、ウェブショップも開設されてますよ。 こちらの方もぜひ一度ご覧ください! Biography Joe Lyward was born in South-West England, in 1990. He studied Illustration at Plymouth University and recieved a Master's Degree in Children's Illustration from Cambridge School of Art. His work has been awarded by the London Association of Illustrators and by V&A Museum. Picturebooks include This is… A book in four languages, Topipittori, 2015 and Mia Grande Famiglia, Topipittori, 2017. Website: http://joelyward.co.uk
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【「星空はタイムマシン」松田卓也/たむらしげる 福音館書店】 7月に「夜空のえほん」特集をやったのは、 もちろん七夕ということであり、 アポロ11号による世界初・有人による月面着陸成功という、 50年前の7月20日の出来事にちなんでという事でもあり、 そしてもうひとつ、 先週末に埼玉で行われたとあるバンドのライブに合わせてという事でもある。 轟音と光による演出、リズムに合わせ頭上高く突き上げ左右に振る、数万の観客の右手首に巻かれたリストバンドの、曲とシンクロして七色に変化する様は、イエローナイフの夜空に現れたオーロラ、その再現だったのでしょう。 圧巻は、アンコール後のメンバーによる挨拶。 その言葉に真摯さや謙虚さを感じ、同じ内容を繰り返す辺りにも、あれは彼の心からの言葉なんだな、という事が伝わってきました。 いや、そもそも全ての曲を演奏し終えて、あの長い挨拶をするバンドなんて今まで見たことも聞いた事も無いですよ。 きっとあれが流れ星の正体。
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港区西新橋にあるギャラリー・ CURATOR’S CUBE で、7/13日から開催される展覧会【KIND THINGS】に参加致します。 この展覧会は、様々なジャンルのアーティストやコレクターの方々の作品・コレクション等、キュレーターでありアーティストでもある、ジョー・ライワードさんの考える【KIND THINGS】を集めた展示となっていて、当店へは絵本をという事でお誘いいただきました。 ジョーさんから日本でエキシヴィジョンをやりたいと聞いた時、てっきり自身の絵と絵本の個展だと勝手に思ったのですが、今回のこのような展示内容はとても興味深く、そして同時に無料のワークショップも行うという事で、こちらの方も楽しみです。 先日、ウチにいらした際に一緒に絵本を選び、ジョーさんは今回日本の作家でという事でしたが、そのピックアップされた作家の顔触れに、私は大きな頷きと同時に意外性も感じ、でも俯瞰で眺めると、国や言葉に関係なく支持されるものには、いや、これはたかだか二つの国のふたりの話でしかないけれども、何か共通するところがあるものだなと思いました。 展示されるそれら数十冊の絵本は、一部を除いて販売もしますよ。 絵本を選んでいる合間にも、展示方法のアイデアを次々と出してきたり、母国で行ったというワークショップイベントのガイドブックと、身振り手振りで話すその内容に感嘆しきりだった私。 やはり彼はただのイラストレーターではないなと、例えばブルーノ・ムナーリにも通じる総合芸術を志向している方のように思います。 絵本を通じて知り合い、以前にプレゼントとして頂いた私家版の絵本に感じたアーティストブックという印象は、概ね間違いではなかったみたいです。 ・ジョーさんのインスタグラム https://www.instagram.com/lywardian/ ・KIND THINGSのインスタグラム https://www.instagram.com/kind__things/
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気づけば今年最初のブログです。 世田谷文学館へヒグチユウコ展に行ってきました。 といっても、もう数週間前の話です。 絵本の原画を見てみようと軽い気持ちで出掛けたのですが、 そこにあったのは細かく細かく描きこまれた、ものすごい質量の絵の数々、圧巻でした。 猫と猫に似た生き物、猫以外の動物、見たことのない生き物、かわいさと奇妙さが同居しているのだけれど、やっぱりカワイイ。 不気味なんだけれど陰を感じないのはそういう事なんだろうな。 沢山の絵が展示されている中、ちょっとだけ外れたコーナーにあった裸婦のクロッキーの、スーっと引かれた線に見入り、今のヒグチさんの絵は、このしっかりした土台の上にあるんですね。これは観れて良かったなと思いました。 家からも近く、何度も脚を運んでいる場所という事で気軽に出かけたのですが、建物内に入るとちょっといつもと雰囲気が違い、警備のような人が何人もいて、入場が時間制だということにちょっとびっくりしました。 平日とは思えない人の数で、そのほとんど、95%位は女性の方々。(月並みですが)その人気ぶりを肌で感じる展示でした。すごい。 明日31日が最終日のようです。まだ間に合いますよ! ヒグチさんの絵本はこちら。
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今年の絵本、この一冊は「クレーン」ライナー・チムニクでした。 前に一度取り上げましたので、感想はそちらにもありますが、 もう一度書いておくと、人生を感じてしまったのです。 どういう事かというと、丁度自分のこれまでの事と子どものこれからの事、 そして自分の周りの人たちや本で読んだ人たちの生き方について色々と考えていたところで、クレーンオトコとそれらの人生のところどころに、交差する部分が見えたからです。 仲たがいする時期はあれど、隣には理解者がいて、遠く離れ離れになろうとも、変わらない友情があり、なにより、変わり者呼ばわりされようと、自分のやりたいという思いを最後まで貫く。 彼が静かに去っていくシーンは、これはある意味人生の幕引きだなと思うと、 悲哀さというよりこれはかっこいいと、それでまた色々な事を思い返し、と。 ただ、そんな事を考えていたからそう感じたただけかもしれず、 だから読む人によっては、また違った捉え方もあるでしょうね。 毎年毎年どれも今更ながらのベストワンでスミマセン。 丁度今もそんな本を読んでいて、来年読みたい本のリストも今更本ばかり。 そしてこれから読む事を考えると楽しくなるばかり、でもあります。 今年も一年、お付き合い頂きありがとうございました。 来年もよろしくお願いいたします。
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クラスの中でサンタクロースを信じているのは今や自分ひとりらしく、 とはいえ半信半疑でもあり、 じゃあ何故プレゼントはサンタさんからと親からとふたつあるんだ? やっぱりこれじゃ信じない訳にもいかないよ。 と、ウチの子がこんな調子で迎えた今年のクリスマス。 しかし、サンタさんをもてなす毎年のテーブルセッティングには、明らかな変化が起こりました。 去年まであれだけにぎやかだったテーブルの上には鳥の置物が一羽、ケーキと牛乳(食べられた跡です)は例年通りとはいえ、その横にはカシューナッツ!? これも子供の成長なんでしょう。 喜ぶべき事なんだと思いますが、なんだかちょっとね。 何かがスーッと抜けていく感じ。 毎年プレゼントを用意していた私たちは、子どもを授かった時からある魔法にかかり、今夜世界一忙しい彼のお手伝いを知らずしていたんだと思います。 ただ、彼が魔法を使えるという話はちょっと聞いた事がありませんが、 やっぱりサンタクロースはいるのです。
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「キミちゃんとかっぱのはなし」神沢利子/田畑精一 この絵本は、とある方の絵本レヴューを読ませて頂き、私も読んでみようと思い図書館で借りたものです。 舞台はヨコハマ、港のハシケに家族で暮らすキミちゃんと、(何故か)海の底でモダンな文化的生活をおくっているかっぱくんのおはなしです。 ふたりはある日、キミちゃんが海に落っことしたビー玉を介して知り合います。 私いろんな事知っているわといった、ちょっと背伸びしたような、おませな感じのキミちゃんと、 好奇心旺盛で、海の上から落ちてくるものを拾い集めるたくましさと行動力、でも自分のアピール具合がちょっとぶっきらぼうなかっぱくん。 かっぱ君の行動力は、今度コーヒー屋を始めるという決断から、だから来てくれる?というキミちゃんへのおさそいという形へ。なかなか積極的ですね。 それに対しキミちゃんは「エスカレーターがあったら行ってあげてもいいわ。」なんて、ちょっと試すような返事。 自分の世界を持ち、こだわりが強そうなかっぱくんですが、 「エスカレーター」という相手の発案に関心を示し、実際に現物を確認しにデパートへと出かけるのです。 これは柔軟さなのかな、それとも。 拾ったからもう自分の物だし返さないよ、と言ったビー玉も、かっぱくんは結局キミちゃんへ返してあげます。 さらに、キミちゃんが大事にしていた犬のぬいぐるみのムク。 キミちゃんはムクを海に落っことしてしまいますが、ある日ずぶぬれの子犬がキミちゃんの前にひょっこりと現れます。そう、ムクなんです。 これはもちろんかっぱくんによるもの、やさしさの形なんでしょうし、同時にある気持ちの表れでもあるんじゃないのかな。いやこれは考えすぎですね。 本物の子犬になったムクを抱っこしながら、しばらく顔を見ていないかっぱくんの事を思い返すキミちゃん。 いやー、女の子と男の子だなぁなんて思い、なんだか微笑ましく、これが同性同士だったならもっと違った展開で友達になれるんだろうなと思うのでした。 先に読んだレヴューになるべく引っ張られないようにしようと思って書いてみたのですが、ただあらすじを追っただけの感想文もどきになってしまった感がなくもないかな。 レヴューを書かれた方は、千葉県市川市にある珈琲飄々という喫茶店の一角で「くまの木文庫」という絵本中心の文庫を主催していらっしゃいます。 「キミちゃんとかっぱのはなし」は、そこで発行されている「くまの木文庫通信」の第1回目で取り上げられました。 2回目ももうそろそろですか、Sさん? 当店でも神沢利子さん、そして田畑精一さんの絵本をいくつか取り揃えております。 よろしければご覧ください。
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絵本以外の話です。 今日、ある方の形見分けの会に行ってきました。 その方からはおいしい食べ物や色んな音楽や本、自分のやりたいことを仕事として生きるという事を教わりました。20代前半の頃の事です。 そして、おそらくこれ最後かな、今日また新たに知らない音楽を教えてもらいました。 頂いてきた3枚のレコードとCDの中の1枚。 「物語のようにふるさとは遠い」富岡多恵子 すでにどなたかの予約済みだった「千のナイフ」を指さす私に、 どうも坂本龍一が好きだったみたいね、奥さんは笑って下さいました。 帰宅して何度も聞き返しています。 本江さんありがとうございました。 もう一度会いたかったな。
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吉祥寺美術館へ「柿本幸造の絵本の世界展」へ行ってきました。 今回の展示では企業ポスターや月間絵本、図鑑の挿絵などの初期の作品が多数、そして鎌倉の自邸とアトリエの写真などが展示され、どんくまさんやどうぞのいすに代表されるほんわか柔らかな雰囲気の絵の原点に触れる事の出来る貴重な展覧会でした。 写実的な乗り物、フランスの学習絵本を思わせるカラフルな色調、テキストを配置する為の余白も日本画的な美しさに通じ、というのは少し大げさかもしれませんが、一枚の絵として成立してるように感じました。 大きな鍋から立ち上る湯気の丁寧に塗り重ねられた質感や、まるでアトリエから見える紅葉の美しさそのままの「柿色」に見入り、これらの絵を受け取った時の担当の人は、幸せな気持ちだったんじゃないかなぁ。 とかそんな事も考えつつ、帰宅後早速図録に目を通していたら、まさにその担当されていたという至光社の編集の方が「柔らかな光につつまれる、あの至福のひととき・・・。」というコメントが目に入り。 そうですよね。 今日が最終日のようです、まだ間に合いますよ。 柿本幸造の絵本、いくつか扱っております。 よろしければこちらもご覧ください。
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築地の浜離宮朝日ホールへ、「谷川俊太郎&谷川賢作コンサート 聴くと聞こえる」に行ってきました。 その名の通り、聴くことや聞こえるものをテーマとした詩の朗読とピアノの演奏で構成されたこのコンサート。 同名の詩集の刊行記念という事で企画されたのだそうです。 生の谷川さんを見るのも詩の朗読を聞くのもこれが初めてで、序盤、2階席から遠くに見える氏の姿を目に焼き付け且つ詩に集中しようと必死でしたが、賢作さんのピアノの音とお二人の親子漫才のような軽妙なトークの掛け合いにほぐされ、徐々にリラックスした気持ちで楽しむことが出来ました。 ホールの鳴りのせいか、2階席だったからか、少し谷川さんの声がくぐもって聞こえづらい事もありましたが、あの柔らかな声は帰宅した今もはっきりと耳に残り、 賢作さんの演奏に合わせ、頭を少し傾げ、脚の間で合わせた両手の指先でリズムを取る姿がとても微笑ましく印象的でした。かわいいおじいちゃんって感じ。 その賢作さんの演奏も、転調しまくり、だけど童謡といった自作曲から、誰もが知る映画音楽、ピアノの練習曲など、想像と違い割と親しみやすい演目だったので、コンサート初体験の私もリズムを取って楽しみました。 そして私の中のクライマックスは「音楽の時」という詩。 朗読を聴きながら200年前に思いをめぐらす私の耳に突然飛び込んできた、ヘッドフォンという現実世界の象徴としての言葉に、瞬間的にこの空間に引き戻され、今生きてこの詩を聴いていることの喜びに感極まりました。 それは時間を超えてシューベルトの旋律が聞こえたかのようでもありました。 なんてちょっと大げさに書きましたが、平たく言うと泣きそうになったのでした。 今月は谷川俊太郎の本を特集しています。 よろしければご覧ください。
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六本木の21-21DESIGN SIGHTへ行ってきました。開催されていたのは【AUDIO ARCHITECTURE】 その日観に行くことにしていた展覧会が、どうやら混み方が尋常ではないらしいと聞き、急遽予定を変更。 コーネリアスといえば、今年の初めに行った谷川俊太郎展でのコラボレーション作品が印象に残っていたので、少しの興味と、コーネリアスと中村勇吾という名前以外は何の前知識も無いまま美術館へ、当然中で何が行われているのか何も知らずに入ったのですが・・・。 再生される演奏の爆音とその波動、そして巨大なスクリーンに映し出される、9組の様々なジャンルの作家が制作した、楽曲の独自解釈による映像とによって、ひとつの大きな空間が作り上げられていました。 これが音楽建築空間なんですね。 体感する側としては、彼らには同じ楽曲がこんなにも違った形に映るものなのかと、これがそれぞれの作家性、個性なんだろうなと思う一方、どうしてもこれらの作家さんたちの映像を見比べてしまう訳で、自分の楽曲に対してのイメージに近いものに目が行ってしまい、というよりもこれは単純に言って好みなんですが、これいいなと思ったのがふたつ。そのうちのひとつがモアレの効果を利用した作品でした。 白と黒、光と影のみでこれほどの動き、疾走感が出せるのかと、 これは��?と思って作品紹介を見ると、ユーフラテス! あの一見シンプルなアイデアとアナログさ加減に、 絵本屋としてはかがくのともの名作の数々と繋がって、なるほど納得です。 作家個人のブースでは、実際に使われた2枚のフィルムが置いてあり、音楽に合わせて自分で楽しむことも出来ました。 もうひとつ、これいいなと思った辻川さんという人のバカバカしい作品にも言える、観る側も体験できるという共通点というのは、そういえば建築物にも言える事ですね。 しかし、谷川俊太郎展もそうでしたが、観客が写真を撮ったり動画を取ったり、自由な展覧会というのが最近では普通なんでしょうね。 ガラケーの私にはあまり関係のない話ですけども。
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【「クレーン」ライナー・チムニク/矢川澄子 1969年 福音館書店】 気になっていた本がやっと手に入りました。 ひとことで言えば、人生。しあわせな人生。 仲たがいする時期はあれど、隣には理解者がいて、 遠く離れ離れになろうとも、変わらない友情があり、 なにより、変わり者呼ばわりされようと、 自分のやりたいという思いを最後まで貫く。 読み終えて、自分のこれまでの事を色々思い返したりして、静かな気持ちになりました。 ここにきてようやく出会えたと思える一冊、おすすめです。
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西荻窪のFallへ、マグマジャイアンツの個展「洋がらしは無い」に行ってきました。 このFallというお店に行くのは初めてで、 おそらく多分、広く一般にはまだ知られていない(じゃなかったらスミマセン・・・)作家さんの作品や、 普段あまり見慣れない海外の日用雑貨等々が、皆同じ並びで所狭しと陳列されていて、 ここしばらくあまり物を買わなくなってしまったおじさんである私も、 物を見たり選んだりする楽しさの感覚を少し思い出しました。 いいですね。 さて、展示の方はというと、入り口入ってすぐのウィンドウのところにはカセットテープがずらり。 どれもカワイイコラージュ。 お店の方曰く、結構売れているそうなので、今明後日の日曜まで開催だから、 いいなと思ったら急いだ方がいいかもですよ。 そして奥の展示スペースのモノクロ7inchジャケ群、瞠目しました。 ひとつひとつのパーツの集合体としての図形?のようなモザイク?絵画? 文字こそないけれども荒川周作のような? これでひとつの作品でしょ?とそんな風に思え、ここからは一枚選べなかった。 ただそんな事とは別に、色のある絵が欲しかったので、 あまり迷わずに買ったのがこれです。 とはいえこれもこれでなんなんだろう、¿一体これ? さすがにでもこんな感想書くの、ちょっとこっぱずかしいな、次会う時とか。 ま、また会おう。
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かこさとしの「プロフェッショナル 仕事の流儀」を見ました。 視力の低下、身体の痛み、呼吸が苦しくなったりと、肉体的には衰えてしまっていても、机に向かい、打合せの中でも妥協点を探ることなく、絵本づくりに、子どもたちに真摯に向き合う姿には、精神的な衰えなど微塵も感じられませんでした。というよりも衰えは皆無でした。 沢山の素敵な絵本の陰の壮絶な姿に、かこさんには絵本作家としてだけではなく、ひとりの人間として圧倒されました。
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神奈川県立近代美術館 葉山へ「ブルーノ・ムナーリ展」を観に行ってきました。 ご多分に漏れず、絵本作家としてのムナーリさんから入った私が、追って著作を読み、展覧会に足を運んで受けたその後の印象は、様々な顔があるんだなというなんともおぼろなもので、まるできりのなかをさまよっているようなものでしかありませんでした。 ですが今回、初めて見る事の出来る沢山の作品を含む300点を超える展示品と、その年代に沿った展示構成を通じて、これまでに見知っていた作品や絵本等も、全て自分の中で繋がったと実感できました。 未来派にいながら【役に立たない機械】という作品を制作する姿勢から始まっているのですね。 その役に立たない機械同様、ほかの作品にも共通する「動き」は、例えば光を伴って展示されている【凹凸】や【フィリページ】の、時間の経過と共に変化する影の形によって表わされ、【闇の夜に】【きいろのてじなし】等の数々の絵本や【旅行のための彫刻】のような、読んだり持ち運んだりが可能な作品を、誰もがそれらを手に出来るよう用意された大きなドアが「開かれ」ていて、私たちはそれを体感できるのです。 そしてこれらすべての作品の持つ、「軽み」のあるユーモラスなアイディアと造形。 見れば見るほど、あぁ、これも!これも!と、なるほどそうだったのですね。 今回の鑑賞は、以前から気に留めていた「開かれた、動きのある、軽みをもった芸術」という瀧口修造の言葉の再確認でもあり、鑑賞途中からひと通りの鑑賞を終え、ふたたびニコニコ顔で会場のあちらこちらを行きつ戻りつ、楽しい時間でした。 トレーシングペーパー数枚分のきりが晴れた感じかな。 でも繋がったとはいえ、未だきりのなかではあります。 なんて、大人はこんな風に頭で考え納得しがちですが、来場していた子どもたちは、最後のコーナーで絵本を手にとても楽しそうでした。 ムナーリさんの本を、トップページの左下に並べてみました。 それと、こちらでもご覧いただけますので、よろしければどうぞ。
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東中野のポレポレ坐で昨日から始まった「丸木俊 本のたのしみ」展へ行ってきました。 カフェの奥のスペースを使った展示は、丸木さんが装幀・挿絵を手掛けた絵本などが実に100冊以上も並べられ、しかもその大半を手に取って読めるという、本が沢山並んでいるというだけでテンションが上がってしまう本屋としては、驚きのサプライズでした。 これまで私が読んだことがあるのはせいぜい20冊程度。並んでいるのは知らない本がほとんど、しかもとてもきれいな状態のものばかり、丸木美術館で大切に管理・保管されている本という事で、時間の許す限り丁寧にページを捲っていきました。 中央のケースに収められているのは、戦中から戦後すぐ位の初期の貴重な本で、ここから5冊程複製で読めるようになっていました。発行が1942年とか、この時代に出版できるなんてと思ったら、なるほどそこにはご本人のインタヴューが添えられてあり、仕事として受けたこの事によるご自身の戦争責任に対して言及されていて、それが広島の原爆投下を経て、ピカドン、原爆の図、ひろしまのピカ、そしてアウシュヴィッツ、沖縄、水俣の作品に、もしかしたらある面で繋がっていったのだろうかと、思わず会場をぐるっと見渡しました。 先日読んだ石井桃子の評伝にも似たような事が書かれてありましたが、自身の意志とは関係なく加担してしまった、加担せざるをえなかったのでしょうか、あの時代に何かを表現し、後にそういった苦悩を抱えられたという方は多いなと、私は表現者ではないけれども、そういった事を鑑み、世の流れに流されない意志を持っていなければと思うのです。 その他の絵本もどれも素敵で、私の中では割と昔話等のイメージも強かった丸木さんでしたが、「ぶらんこのり」のようなファンタジックな作品もあったりして、独特な色彩感覚はもちろん好きなのですが、しゅーっとした線の、ふくよかな女性の絵の魅力にも改めて気づいた今回の展示でもありました。あの本は個人的に欲しかったですねぇ。 個人的な時間の都合で駆け足での鑑賞となってしまいましたが、それでも十分満足させて頂きました。 ツイッターでこの展示の事を教えて下さったポレポレ坐のスタッフの方、どうもありがとうございました。 今後ともよろしくお願いいたします。 この展示は、5月7日まで行われるそうです。オススメですよ。 丸木さん絵本のコーナーはこちらです。 よろしければどうぞ。
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