#イット・フォローズ
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映画『イット・フォローズ』
U-Nextでデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の『イット・フォローズ』(2015)を見ました。ミッチェル監督が『アンダー・ザ・シルバーレイク』(2018)の前に撮った映画です。
性行為によって「それ」のターゲットとなると、「それ」はさまざまに姿を変えて徒歩でゆっくりターゲットに近づき殺す。「それ」はターゲットになった人間にしか見えない。「それ」から逃れるためには誰かと性交して「うつす」しかないーーという設定は知っていました。でも、正直、知らない方が楽しめたと思います。
全く予備知識を持たない方が映画として楽しめる。でも映画の宣伝をするためには、ある程度の紹介はしなければならないーーというのはどうしようもないジレンマですね。
主人公のジェイはヒューという男と車の中でセックスをします。余韻を楽しんでいるジェイにヒューはクロロフォルムか何かを嗅がせます。気がつくとジェイは廃墟のようなところで下着姿のまま車椅子に縛り付けられています。
ヒューは言いますーーこれで君は「それ」のターゲットとなった。「それ」から逃れるためには他の誰かに「移す」しかない。
「それ」とは何かジェイはわかりませんが、半裸の女性がゆっくり近づいてきます。ヒューは相変わらず下着姿で手を縛られているジェイを家の近くまで連れていき、車から下ろして逃げていきます。
それ以来、ジェイは「それ」に狙われることになります。
[この辺りからネタバレになります。未見の方はご注意を]
ジェイの妹ケリーや友人のポールやヤラはなんとかジェイを助けようとします。
驚いたことにジェイはヒューの住所も連絡先も知りません(後からわかることですが、ヒューというのも偽名です)。
え? 全く知らない男とデートをしてセックスをしたんですか?
アメリカの大学生ってそんなもんなんですか?
ジェイの仲間たちはなんとかヒューの所在を突き止めます(廃屋を探したら雑誌『プレイボーイ』があって、それをめくるとヒューの写真が出てきて、その写真から出身高校がわかって、ヒューにたどり着くわけですが、うーん、そんなことってあるんですかね。そもそもあの廃屋って何ですか。ヒューがそこに住んでいたとでもいうんでしょうか。そんなはずはないと思うのですが……)。
ヒューはジェイに謝り、自分自身はどこかの娼婦から「移され」た、君も早く誰かに「移す」べきだと言います(その際、もしジェイが殺されたら、「それ」はヒューのところに戻ってくること、ヒューは「それ」から逃れることができたが、まだ「それ」が見えることが明らかになります)。
ジェイ、ケリー、ポール、ヤラはグレッグという友人の父親の別荘に行きます。浜辺でくつろいでいると、「それ」が現れジェイを襲います。「それ」はジェイの目にしか見えませんが、実体を持っているらしく、ポールが椅子で殴ると手応えがあります。
しかし、「それ」は椅子で殴ろうが、ジェイがグレッグから借りたピストルで撃とうが向かってきます。ジェイは友人たちを置いて車で逃げようとしますが、とうもろこし畑に突っ込んでしまい入院します。
病室でジェイはグレッグとセックスをします。グレッグは自分に「移って」も構わないということなのでしょうか。それともグレッグは「それ」の存在を信じていないということなのでしょうか。その辺りはよくわかりませんが、3日経ってもグレッグに身には何も起こりません。
しかし、ある夜、ジェイは「それ」らしきものが向かいのグレッグの家の窓ガラスを破り、中に入っていくのを目撃します(グレッグが向かいに住んでいるとは私は知らなかった……というか初めてグレッグが出てきたとき「お前誰やねん?」と思いました。この映画、いろいろと説明が足りない部分があるように思えます)。
ジェイはグレッグを助けようとしますが、グレッグは「それ」に殺されてしまいます。
ということはジェイが再び「それ」のターゲットになるということです。ジェイは絶望のあまり(なのか?)浜辺で夜を過ごし、朝、ボートに乗って遊んでいる男性3人に近づきます。
場面はそこで切り替わるのですが、これってジェイが「それ」を「移す」ために男たちと寝たってことなんですか。
ジェイ、ケリー、ポール、ヤラの4人は郊外のプールにいます。プールサイドにはテレビだのドライヤーだのさまざまな電化製品が置いてあります。どうやら「それ」をプールの中に呼び寄せて感電させようという計画のようです。
ピストルで撃っても死なないのに、感電させれば死ぬってことですか。なぜそう思ったんでしょう。うーん、ちょっと納得できないなあ……
やがて「それ」が現れます。ネット情報ではこのとき「それ」はジェイの父親の姿をしているとあります。確か��直前に子どもの頃のジェイとケリーが両親と一緒に撮った写真がわざとらしく映るのですが、私は顔認証能力が極めて低い人間なのでわかりませんでした。
「それ」は計画を察したのか、プールには入らず電化製品をジェイ目がけて投げ込みます。コンセントが付いていますからジェイが感電しそうなものですが、なぜかなんともありません。投げ込んだ拍子にコンセントが抜けてしまったということなんでしょうか。
最終的にポールがピストルを撃って「それ」はいなくなります。ジェイにはプールの中に血が広がるのが見えますが……あれ、「それ」はピストルで撃っても殺せないんじゃなかったのかな。
次の場面でジェイはポールと一緒にいます。ポールは幼馴染でジェイのファーストキスの相手でもあります。ポールはどちらかといえば冴えない男で、ジェイがグレッグと寝たことに不満を持っている……というか、ジェイのことが好きなんでしょうね、嫉妬しています。
ジェイはポールと性交します。そのあとポールは車で娼婦たちがいる地域に出かけます。娼婦を買って「それ」を「移した」ということなんでしょうか。
ラストーー夜明けなのか夕方なのかわかりませんが、薄暮の中をジェイとポールが手を繋いで歩いていきます。後ろに人の姿が見えます。この人物が「それ」なのか、それとも普通の人間なのかはわかりません。ただ、個人的にはポールが娼婦に「それ」を「移した」のであれば、「それ」であるはずはないと思います。
「それ」は性病のメタファーではないかという意見もあるようですが、誰かに「移せ」ば自分は助かるという設定から考えるとたぶん違うでしょうね。
監督自身は「それ」は「死」であると言っているそうです。「死」は着実に近づいてくる、我々は逃れることはできないという点ではそうかもしれません。
メガネっ子のヤラは読書家で、コンパクト型のスマホ(なのだと思います)で『白痴』を読んでいます。おそらくドストエフスキーの『白痴』でしょうね。
ラスト近くでヤラはその一節を朗読します。たぶん最初の方でムイシュキン侯爵が死刑の話をする場面なのでしょう、人間にとって最も恐ろしいのは自分が三日後に、4時間後に、5分後に死ぬと知ることだというのがその一節の趣旨です。
でもなあ……「それ」が死の恐怖を表しているのなら、それを誰かに「移す」ことはできないはずです。「それ」に何かの象徴を見るよりは、新しい恐怖の形と考える方がいいような気がします。
この映画は「大人不在の映画」だともよく言われています。登場人物はハイティーンばかりで、親と同居しているはずですが、全くと言っていいほど親は出てきません。
大人は頼りにならない、大人に頼りたくないというハイティーンの心情を表しているということなのでしょうか。
この映画はかなり高い評価を受けているようですが、私自身はそれほどいいとは思いませんでした。ただ、新しい恐怖の形を生み出したという点では評価すべきかもしれません。
セックスをする登場人物は必ず直後に殺されるというスラッシャー映画の法則(!?)と、呪いが連鎖するという『リング』(あるいはその前からある「不幸の手紙」)をミックスしたような設定ですが、低予算(なのだと思います)をワンアイデアで押し切った映画だという気がします。
追記: 私自身は、ジェイがポールに「移し」、ポールがどこかの娼婦に「移し」、一件落着だと思っていたら、ジェイの父親が「移されて」いた、つまりジェイの父親が娼婦を買ったというオチを想像していましたが、さすがにそれはなかったようです。まあ、それだとコメディーになってしまいますかね。
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◯ 2022年映画館で見た映画 ◯
レイジング・ファイア(最高爆発)
ユンヒへ(中村優子さん舞台挨拶)
ハウス・オブ・グッチ(銀座GUCCIが衣装展示をしており太っ腹だなと思った、良いんだ、この映画で…)
MONSOON/モンスーン
ライダーズ・オブ・ジャスティス
さがす
フレンチ・ディスパッチ(レア様のことをよくわかってる…)
355
ガガーリン(仏映画)
THE BATMAN
THE BATMAN(2日ぶり2回目)
メモリア(アピチャッポン)
金の糸(岩波ホール)
ガンパウダー・ミルクシェイク
ナイトメア・アリー
アネット(レオス・カラックス監督舞台挨拶)
チタン(アネットと合わせて謎出産梯子)
ふたつの部屋、ふたりの暮らし
カモンカモン
カモンカモン(10日ぶり2度目)
パリ13区
帰らない日曜日
トップガン マーヴェリック
ザ・ロストシティ(チャニング)
ベイビー・ブローカー
リコリス・ピザ
エルヴィス(とても楽しそうなご高齢のかたの拍手を聞けてとても良かった)
モガディシュ
ミニオンズ フィーバー
C.R.A.Z.Y.
プアン 友達と呼ばせて
なまず
NOPE/ノープ
ブエノスアイレス(初めて最後まで見た!最高!)
LOVE LIFE
秘密の森の、その向こう
LAMB ラム
渇きと偽り
スペンサー
アフター・ヤン
The BEAST(東京国際映画祭)
Next Sohee(フィルメックス、チョン・ジュリ監督舞台QA)
犯罪都市2 ROUND UP
ザ・メニュー
ペルシャン・レッスン
グリーン・ナイト
MEN 同じ顔の男たち
ケイコ 目を澄ませて
別れる決心(上映前、パク・チャヌク監督挨拶)
別れる決心(上映後、パク・チャヌク監督QA)
劇場鑑賞 51回
■ 2022年ベスト10 ■
① MONSOON/モンスーン
② 金の糸(岩波ホール)
③ NOPE
④ C.R.A.Z.Y.(ジャン=マルク・ヴァレ監督)
⑤ ロスト・ドーター(Netflix)
⑥ カモン カモン
⑦ ケイコ 目を澄ませて
⑧ ペルシャン・レッスン
⑨ なまず
⑩ ライダーズ・オブ・ジャスティス
★ナイスファイトで賞
レイジング・ファイア、ガンパウダー・ミルクシェイク���犯罪都市2 ROUND UP
※
■ 配信で見た、良かった映画 ■
sleep マックスリヒター
ロスト・ドーター(Netflix、素晴らしかった)
イット・フォローズ(友達の好きな映画なので怖いけど見た、面白かった〜)
Columbus/コロンバス(ココナダ監督、コロンバスとても好きだった)
クラッシュ(クローネンバーグ監督)
ピアノレッスン(ジェーン・カンピオン監督)
すべてが変わった日(おもしろかった〜)
ニトラム(とても悲しかったけど、すごく好きな映画)
本当に遠い所(とても好みの撮影だけれども、悲しかった)
三姉妹(めっちゃ痛そうだった)
グッドナース(Netflix、エディレッドメイン、凄まじい慟哭)
■ 配信で最後まで見たドラマ ■
ある結婚の風景(U-NEXT、オスカーアイザックがとてもキュート)
静かなる海(Netflix、ペドゥナ様!)
怪物(韓国・これはすごい、これは凄いドラマでしたよ!!)
彼女のかけら(Netflix、おもしろかった〜)
エスケープ・アット・ダンモネラ(U-NEXT、凄まじいポール・ダノ、死ぬほど恐いベネチオデルトロ)
euphoria s2(U-NEXT)
私の解放日誌(Netflix、ソン・ソック…)
D.P.(Netflix、兵役…)
THE BOYS s3(prime)
ハートストッパー(Netflix、可愛かった〜〜〜〜)
Somebody Somewhere(U-NEXT、とても良いクィアコメディ)
海賊になった貴族(U-NEXT、素晴らしい!クィアドラマ!可愛い!)
パースートオブラブ(U-NEXT、クィアみはゼロ)
The Offer(U-NEXT、ゴッドファーザーの舞台裏、面白かった)
シスターズ(Netflix、楽しく爆走した〜)
真夜中のミサ(Netflix、凄まじい面白さ、本当にすごかった、マイクフラナガン監督と堂時代を生きている幸せを感じた)
ザ・ホーンティング・ヒルハウス(Netflix、すごかった〜〜6話何あれ〜〜〜〜)
二十五、二十一(Netflix、おおかわいかった、テリ〜〜)
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2010年代ホラー映画ベスト
★惜しくもランク外
『透明人間』(2019/リー・ワネル監督)
コメント:盟友ジェームズ・ワンの大ファンを自称する私ですが、リー・ワネルの監督としての手腕にも大変感心する。本当に上手い。しかし、『アップグレード』もそうだったけどちょいちょい陳腐な画ヅラや展開があるのが残念。いや、しかし職人監督としてはむしろそれがいいのかも。
『ババドック 暗闇の魔物』(2014/ジェニファー・ケント監督)
オーストラリアの女性監督、長編デビュー作。2作目の『ナイチンゲール』もめちゃくちゃ面白そうなんだけどまだ観られていない。女性監督であることがキモでもある本作。シングルマザーの抱えるストレスを具現化するかのごとく現れる魔物、ババドックとの闘いが描かれる。ラストの決着が好き。勝つ負けるではなく、諫めるのである。
★入りそうで入らない
『ミッドサマー』(2019/アリ・アスター監督)
日本でも異例のヒットをした本作だが、個人的には全く良いと思えず。『ウィッカーマン』の方が100倍面白い。
『ドント・ブリーズ』(2016/フェデ・アルバレス監督)
嫌いじゃないが好きでもない。しかし満席近い劇場で観客全員が息を止めて観ていたあの空間は、唯一無二の素晴らしい映画体験だった。フェデ・アルバレスはむしろこの次に撮った『ドラゴン・タトゥーの女』続編『蜘蛛の巣を掴む女』が素晴らしかったので、監督としての手腕は買っている。次作以降にも期待している。
『イット・フォローズ』(2014/デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督)
観念的過ぎる。アートに寄りすぎている。やはりジャンル映画としてのホラーを愛している人が作るホラーが好きなのだ。青春映画と絡めていてエモいんだが、だったら監督の前作『アメリカン・スリープオーバー』で十分だ。ジョン・カーペンター『ハロウィン』からの影響があるんだろうなあ、とか好きなところもあるが、もっと怖くていいし。この監督もむしろこの次の作品『アンダー・ザ・シルバーレイク』が大好き。
『来る』(2018/中島哲也監督)
アマプラで配信された時もちょっと話題になったり、支持する人が多いらしい本作。自分も嫌いではないんだが、ホラーというよりこれはもうサイキックバトル映画だろ。『妖怪大戦争』とか『ゲゲゲの鬼太郎』みたいな方がジャンルとしては近い。何より全然怖くないのがホラー映画と呼ぶには致命的。一番怖かったのは黒木華の笑顔。
『哭声/コクソン』(2016/ナ・ホンジン監督)
これは大好きなんだが、ホラーとしてはどうか。オカルティックミステリーって感じか。最終的にはオカルトですらない感じもあったし。ファン・ジョンミンの祈祷シーンが最高。
『ゲット・アウト』(2017/ジョーダン・ピール監督)
これも大好きだけど、ホラーというよりスリラーね。なんというか、自分の中で「ホラー映画」ってやっぱり心霊ホラーじゃないとしっくりこない言葉なんだよな。もしくはスプラッターかな。ゾンビ映画ですらホラーに入れていいか微妙なところ。
『アス』(2019/ジョーダン・ピール監督)
これはダメ。つまらなかったな。やっぱり観念的過ぎてジャンル映画の面白さが十分じゃないのと、ジョーダン・ピール、売れっ子になっちゃって忙しかったのか、脚本のツメが甘すぎる。
『クワイエット・プレイス』(2018/ジョン・クラシンスキー監督)
ホラーというかSFサバイバルものよね。音に反応して殺しに来るヤツがあんなんじゃなくてもっと面白い設定だったらもっと好きだったのにな。陳腐だわ。
『キャビン』(2011/ドリュー・ゴダード監督)
コメディだよね。リチャード・ジェンキンスは最高。
『ドクター・スリープ』(2019/マイク・フラナガン監督)
マイク・フラナガンとの相性悪いんだよな。全然ホラーの監督としては評価できない。つまらない。でもこれは映画としては別に嫌いじゃなかった。が、これも『来る』と同じでサイキックバトル映画だよね。ホラーじゃない。
★10位『ダゲレオタイプの女』(2016/黒沢清監督)
銀獅子賞受賞監督、黒沢清氏の近作で最もストレートなホラー映画。フランス映画でも黒沢演出がバッチリハマることを証明した一作。てかむしろ日本で撮るよりピッタリハマってる感じがする。上品さとジャンル的な面白さのバランスが絶妙。結末だけ陳腐で残念だった。
★9位『ヴィジット』(2015/M・ナイト・シャマラン監督)
おいおい、早速心霊ホラーとちゃうやんけ、って感じですがシャマランは別です。唯一無二。怖がるべきなのか笑っていいのかよく分からなくなる。でも主人公たちの立場になったらメチャクチャ怖いよな。夜中目覚ましたらババアがゲロ吐きながら暗い廊下を歩いてるなんてさ。
★8位『残穢 -住んではいけない部屋-』(2016/中村義洋監督)
中村義洋監督の映画はどれも安定して面白い。本作もその見事な手腕で複雑で長い原作小説をできるだけ魅力を損ねることなく忠実に映画化している。これもまた『ヴィジット』と同じで、ただ漫然と見ていて怖いというよりは、自分事としてとらえると怖いのだ。ホラーを楽しめるかどうかはそこにかかっている。もし同じことが自分の身に降りかかったら。それをどれだけリアルに想像できるかどうか。そこがホラー向きの人間かどうかの境目だ。
★7位『死霊館 エンフィールド事件』(2016/ジェームズ・ワン監督)
やはりジェームズ・ワンはすごい。傑作だった1作目に続いてどんな続編になるのかと観てみたら、ちゃんと同じくらい面白いじゃないか。前作より更に非現実的な、若干ファンタジックな恐怖演出が増えている。ジェームズ・ワン的恐怖世界がエスカレートしているわけだが、不思議と説得力があるのだ。そしてやはり自分事としてとらえられる。もしかしたら現実にあり得るのかもしれないと思える。本作の白眉はパトリック・ウィルソン��子供たちの前でプレスリーの物真似で一曲披露するところ。クライマックス前のブレイクシーン。全体の展開の流れの作り方が超上手い。僕はジェームズ・ワンはゆくゆくスピルバーグみたいな巨匠にすらなれるポテンシャルがある。
★6位『インシディアス』(2010/ジェームズ・ワン監督)
僕が初めて観たジェームズ・ワン作品である。だから正直、思い出補正的な要素も入っているかもしれない。しかしやはり久しぶりに見返してもこれは素晴らしい映画なのだ。ジェームズ・ワン作品に欠かせない作曲家ジョセフ・ビシャラの功績も大きい。伝統的なように聞こえて実は全く新しい、エポックメイキング且つ現状唯一無二なホラー音楽家である。どうやってこの人を見つけてきたんだろうか。
★5位『霊的ボリシェヴィキ』(2017/高橋洋監督)
高橋洋ワールドについていけない人もいると思うが、中で語られる怪談の一本一本がしっかり面白いのでそこを頼りに観ていけば問題ない。ワンシチュエーションで語りのみという実験的な姿勢が素晴らしい。脚本力が光る。
★4位『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017/アンディ・ムスキエティ監督)
「全然怖くない。笑えるよ」とか言う人が多い映画だが、これこそ自分事としてとらえらずホラーを存分に楽しめていない可哀相な人々の戯言だ。自分が彼らと同じくらいの子供だったとして、同じ体験をしたらどう感じる?ということをリアルに想像できるか否かがこの映画を楽しめる人と楽しめない人とを分ける。想像力の逞しい人にはしっかり怖い映画になっているはずだ。その怖がらせ方の手数の多さ、豊富さにも感心したし、何よりこの映画自体がホラー映画とは何か、という批評にもなっている。幼少時代に植え付けられたトラウマを克服することで人は大人になる。いや幼少時代に限らない。大人になってもトラウマは生まれる。それを乗り越えていくことで人は成長できる。ホラーは人間の健全な発育に必要なのです。
★3位『死霊館』(2013/ジェームズ・ワン監督)
ジェームズ・ワンが好きすぎる。やはり1作目が至高だ。ジェットコースター的なホラー映画の面白さが凝縮された傑作。恐怖描写のつるべ打ちに息つく間もない。後に『アクアマン』を監督することになるのも納得で、ジェームズ・ワンはヒーロー映画のような王道エンターテインメントを作るのが死ぬほど上手い。ホラー映画というジャンルの中でもそれを見事にやってのけている。
★2位『鬼談百景』(2016/中村義洋監督、安里麻里監督、大畑創監督、内藤瑛亮監督、岩澤宏樹監督、白石晃士監督)
『残穢』と合わせて作られたオムニバス。小学生の時によく見ていた『怪談 新耳袋』シリーズの面白さを思い出す素晴らしい短編集。短編で、因果も何もはっきりとは示されないまま終わるからこそ、後に引く怖さがある。
★1位『ヘレディタリー/継承』(2018/アリ・アスター監督)
これは嫉妬した。面白すぎる。唯一の欠点は犬だ。あの家に犬がいることを途中から忘れるくらい要らない。最後の方にもう一回だけ出てきてすぐ死ぬけど、途中まったく機能していない。犬いらない。でもそれ以外は完ぺきな映画だ。芸術的で悪趣味で不快で楽しい。
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【#UndertheSilverLake】 #DavidRobertMitchell . #AndrewGarfield #RileyKeough #TopherGrace #PatrickFischler . #america #movie #cinema #アンダーザシルバーレイク . #シネマおっさん #おっさんシネマ その60 . セレブやアーティストたちが暮らすロサンゼルスシルバーレイク。サブカルチャーを愛する青年サムは、隣人のサラに恋をする。幻想的なストーリーと映像美で綴るミステリー。監督は「イット・フォローズ」のデビッド・ロバート・ミッチェル。映倫区分 R15+。 . ハリウッドの光と影のメタファー。デヴィッド・リンチを彷彿とさせるアメージングワールド。カルト。サブカルチャー。任天堂。中々ぶっ飛んだ展開。ちなみに、サラ役のライリー・キーオはエルヴィス・プレスリーの孫。 . マルホランド・ドライブのパトリック・フィッシュラーも出演。 https://www.instagram.com/p/CEB_FsPpI1M/?igshid=4nyxtcl33hoi
#underthesilverlake#davidrobertmitchell#andrewgarfield#rileykeough#tophergrace#patrickfischler#america#movie#cinema#アンダーザシルバーレイク#シネマおっさん#おっさんシネマ
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A QUIET PLACE(2018)

2018年/パラマウント 監督 ジョン・クラシンスキー 出演 エミリー・ブラント ジョン・クラシンスキー ミリセント・シモンズほか
【あらすじ】
音に反応して襲撃してくる何かによって、人類は滅亡の危機にさらされていた。リー(ジョン・クラシンスキー)とエヴリン(エミリー・ブラント)の夫婦は、聴覚障害の娘ら3人の子供と決して音を立てないというルールを固く守ることで生き延びていた。手話を用い、裸足で歩くなどして、静寂を保ちながら暮らしていたが、エヴリンの胎内には新しい命が宿っていた。(Yahoo!映画より)
youtube
【感想】
どーもどーも、広��アリスと電話して途中で切られる夢を見ましたえだまめでございます。
たった今映画館より帰宅して参りました。夜の11時でございます。ちょっと興奮して今日寝れないかもしれません(ぐっすり眠れました笑)いやーーーーーーーーコレはヤバイ。やっべぇなぁーーーーーーーー

「面白すぎる。」
今日1日仕事の疲れが一気に吹っ飛びm……否「別の疲れ」に襲われる恐怖!?笑全米であのインチキピエロを超えた!?全米でスマッシュヒットをぶっ飛ばしたことで日本でも話題になりましたよね。既に「続編」の制作も始動したようです。そうです。やっとこさ公開されましたよ【クワイエット・プレイス】!!いやーコレコレ!!めっさ観たかったやんかーい!!と待ちわびておりました所そりゃ待てば待つほど「期待値」っていうものはですね、人間誰しも勝手に上がってしまうものでありますがその期待を見事に「超えて」きましたよ。コレ【イット・フォローズ】【ゲット・アウト】に次ぐ「衝撃作」と言っても過言ではないではないか!?ホントに凄い。凄すぎる。面白すぎる!!?もう語っていいですか!?今晩語り明かしてもいいですか!?どうせ明日台風直撃だし何も予定ないっっしょおおおおおおお!?

「音を立てたら即死。」
まさにこのキャッチフレーズ!!そのま・ん・ま!!!ですがあれコレ、劇場へ足を運ぶ我々お客さんにも当てはまる……て?
①「どれだけ音を立てずに観られるか」試される鑑賞マナー映画!?&音を立てずに生活するのほぼ無理説(笑)
ポップコーンをかじる「音」。ソフトドリンクを呑む「音」。そしてそのドリンクをホルダーに入れる「音」。そしてそして電源をオフに、と言われているにも関わらずどこかしらから聞こえてくるスマホのバイブ「音」。この映画ではそんな「音」すら

どんだけ響くんだよおおおおおおおおおおおおおお!?
この映画はですね、我々お客さんの「鑑賞マナー」が実はめちゃくちゃ「試される」映画なんじゃないかと、そうも思ってしまうわけなんですよ!?それくらい

ッしーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
状態なんですよもう!?OPからENDまでずーーーーっと「音を立てたら即死。」をキープ!?物語は「音」に釣られて襲い掛かってくる「ソレ」により人類が滅亡しかけた近未来!!わずかに生き残った者たちは日常生活での「一切の音」を「立てずに」なんとか生活をして「ソレ」への恐怖に怯える日々を送っていた!!そんな生活を送るとある家族の物語!!もう何度でも言いますOPから���ーーーーーーーーーーーん!!当然「声」なんて出せません。家族は「手話」でコミュニケーションを取る日々、出演者の「声」が聞けるのも映画が始まってだいぶ経ってからというこの徹底っぷり。あのですね、この映画観て本当に思いました

「音立てない」で生きるの辛すぎ(笑)
人間は生活する上で「音」はもう出るものなんですよ!!そうしょうがないんですよコレばっかりは!!それを一切出さずに生活するんですもん。辛すぎしょ!?笑音を立てずに日々の生活を送ることがどれほど大変か。イヤーーーー!!!って程伝わって参ります。でもって幼い子どもが2人おるでしょう?もうこの2人がヒジョーにヒヤヒヤ者でありましてまあ子どもですから?なかなか危なっかしい所がございます。ちょっとでも音立ててみなさいよ?「即死」なんですよホントに!!もおおおおおおおおー!!!ランタンとかあるとこで遊ぶなよマジで!!!?笑…そんな映画ですよ?

どこで息つぎすればヨカナーン?
②一難去ってまた一難過ぎだろ!?(笑)怒涛のハラハララッシュの「後半戦」!?&親としての「責任」・愛すべき「家族」を守る親と子の「絆」の物語!!
でまだね、「前半戦」はいいんですよ。「後半戦」ですよ問題は

ピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチピンチ
あああああああああああああ疲れる!!!!疲れるわああああああああああああああああああああ!!!(泣)
ハラハラしっぱなしですよ!!まさにピンチに次ぐピンチ!!一体どこまで【ザ・ウォーク】のジョセフ・ゴードン・レビットやってんだよ!!!笑ってくらいすんげえすんげえ細いロープの上をずっと綱渡りしているみたいにこのイヤーーーーな緊張感が永遠続く勢いで襲いかかってくるのです!!これには流石に参っちゃいましたねー。特にヤバイのが「出産」シーンですね。もう無理やて!!笑声出ちゃうって!!子ども産むんですよ!?無理やて!!声出ちゃうって!!!笑なんかもう最後の方は笑っちゃいましたよ

どんだけ「無理ゲー」なんだよ(笑)
この映画に玉置浩二は出てきませんあ失礼しました「安全地帯」など存在しません!!残りライフ1の状態で一切セーブせずにボス戦挑む的な、あのハラハラを想像してください。アレですよアレ。あの感じです。この映画「ホラー」というよりは「クリーチャー」が出てくる「パニック系」の映画だと思います。そういう意味では【ジュラシック・ワールド】やついさっきまで(まだやってる?)【MEG】なんかがありますけども、それらと比べてハラハラ度で言えばこの映画は群を抜いて高いです。
…からの「あのラスト」。いやー「サイコー」だよね笑そんなラストはサイコーに「アガる」映画の立役者を演じるのは妖怪美容エキス吸引器セロン姉を持ち【ボーダーライン】ではベニチオ・デル・トロにいじめられ【オールユー・ヌード・イズ・キル】はしてくれなかったエミリー・ブラント!!言わばこの「クリーチャー系」の映画でこんな大物女優が出演してくれるのは本当に嬉しい限りですよね!!そうですよねケビン・ベーコンs…彼女の顔芸上手すぎる演技力がさらにこの映画の緊迫感を上げてくれております。でなんでこの人が出ているのかと言うと本作の監督であり夫役のジョン・クランスキーって人が実夫なんですよね。夫の頼みとあらば?(あったかは知らぬが)そりゃ出るでしょ!?この夫のジョン・クランスキーもこの映画でエラい出世されたみたいで、今��映画やドラマでお見かけする機会が増えることは確実でしょう!!くれぐれもブラピとアンジーみたいにならないで欲しいですね!笑
中盤で家族がバラバラになっちゃうんですよ。わりかし皆家のすぐ近くにいるんですよ。声出せないじゃないっすかー

なかなか「出会えない」っていう
面白いじゃあないですかー。日常生活でも声を出さずに生活を送っていると家族との関係もなんだか次第にギクシャクしそうじゃあないですか?しかしこの映画に出てくる家族は、それでも手話でコミュニケーションを取り合い、互いに手を取り合うことで「愛を確かめ合う」んですよね。とってもストレートに、シンプルながら描いた「家族愛」。最後はちょっぴり「泣ける」シーンもあったりしてこの辺も演出も良かったですねーちなみに子役の2人、長女の子は本当に聴覚障害を持つ女優さんらしいですが、いやーでもなかなかこの子もいい演技してるんですよねー。あどけない子供たちが徐々にたくましく成長していくんですよコレがまた。
あとは皆さん気になるところの問題の「クリーチャー」。あまり詳しいことは語られずココでも語るのは伏せますが中々のグロデザイン。イイですねー。まあでも、最近80年代の「未知の世界」にもこんなヤツにいたなー……
もう気づいたらあっという間に終わっちゃうのもですね、リピート心をくすぐられる、ぶっちゃけ初見で衝撃を受ける故2回目以降は多分ハラハラ度は当然控えめになるわけで「一発屋」映画ではあるんですよね。色々とツッコミどころもあります。こんな世界でよおー子作りするなーとか笑しかしそれを差し引いたとしても演出の良さ&抜群の見やすさ&クリーチャー見たさそしてエミリー・ブラントの「にたぁや〜〜」な、「あの顔」見たさにもう1回観てもいいかな!?なんて思ったり。今回は全体的に文句なしの面白さだったんですけど最後に一つだけ言っていいですか?

靴下くらい履かせなさいよぉ〜!!!(byマツコデラックス)
【クワイエット・プレイス】
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今年観た映画(2022)
マウス・ハント
箪笥
マーターズ(2007)
ゴーストランドの惨劇
イット・フォローズ
ヨンガシ 変異増殖
JUNK HEAD
残酷で異常
拷問男
ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生
ドント・ブリーズ2
劇場版 シグナル 長期未解決事件調査班
ドント・ヘルプ
SING 2
エクストリーム・ジョブ
ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密
特捜部Q 檻の中の女
刀剣乱舞花丸〜雪ノ巻〜
ガンズ・アキンボ
クローゼット
地獄の花園
ハッピー・デス・ディ
ハッピー・デス・ディ 2U
重力ピエロ
刀剣乱舞花丸〜月の巻〜
セイント・モード
フロッグ
ビアンカの大冒険
ビアンカの大冒険 ゴールデンイーグルを救え
テリファー
ブラックシープ
サイコ2
グニエル 漢江の怪物
マリグナント 凶暴な悪夢
漁港の肉子ちゃん
最強殺し屋伝説国岡
サイゴン・クチュール
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天使にラブソングを…
天使にラブソングを…2
ミミック
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「イット・フォローズ」で名を挙げたデヴィッド・ロバート・ミッチェルの新作「アンダー・ザ・シルバーレイク」を試写で。よくこれにオッケーでたなと驚くばかりなテン年代の「マルホランドドライブ」でした。#underthesilverlake
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第71回カンヌ国際映画祭は是枝監督の「万引き家族」がパルムドールを受賞!予告編を観た感じでは「誰も知らない」を彷彿とさせ、久しぶりに観ようかなぁと思っていたので嬉しいです。これを機に、もっと若手の監督も世界に出ていけるといいですね。先日観た「孤狼の血」も面白かったので、頑張れ邦画!
さて、グランプリはスパイク・リーの「BlacKkKlansman 」が受賞。タイトルにも入っていますが、あの白人至上主義団体KKKに潜入する刑事の物語。「パターソン」のアダム・ドライバーも出ているので楽しみ。
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そして受賞はなりませんでしたが、「イット・フォローズ」のデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の「Under the Silver Lake」も気になります。アンドリュー・ガーフィールド演じる青年が、失踪した女性を探すうちにロザンセルズの闇の世界に足を踏み入れてしまうという物語。ただのスリラーでは終わらなさそうな予感がビシビシと・・・!両方とも今年中に観られるといいな。
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映画「イット・フォローズ」 意味が解りません。 謎が謎のまま終わります。 SEXで感染とかタチが悪いです。 プールも意味が解らない。 でも、まぁ、 別に意味が解らなくてもいいのかも? 個人的には クソ映画だと思うけど、 監督は何かを意図して作った訳だし。 ��応、日本にメジャー的に流れてくる作品な訳だから、 まぁ俺はクソだと思ったけど。 んで、何? 最近のホラーって怖くないの? 俺、ホラー苦手なんだけど? 昔の方が怖かったな。 アッチ若者はこの程度でキャーキャー言うのか? 或いはスナック菓子とコーラかビール呑みながら クソだぜーっ!!って笑いながら見て 途中でSEXする感じか? 一つだけ言うなら真剣に観る映画ではない。 https://www.instagram.com/p/B_h-0gjJSQD/?igshid=q60bzflco8th
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映画『アンダー・ザ・シルバーレイク』
U-Nextでデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の『アンダー・ザ・シルバーレイク』(2018)を見ました。
全く予備知識なしに見たのですが、随分変わった映画です。デヴィッド・リンチ監督の映画と似ているなと思っていたら、あにはからんやネットではリンチの『マルホランド・ドライブ』と似ているという声がたくさんありました。
私はこの手の映画は嫌いではありませんが、この映画に関しては嫌いなところもありました。
主人公はハリウッドのシルバーレイクに住むサムという青年です。彼は会う人ごとに「仕事はどう?」と聞かれますが、一体どういう仕事をしているのかさっぱり分かりません。
サムは中庭にプールがあるアパートに住んでいますが、お金はないようで家賃を滞納して出ていくよう言われています。
でも、サムは何もしません。日がな一日ゴロゴロして向かいのアパートに住む中年の女性がトップレスでベランダに出てインコの世話をしているのを双眼鏡で眺めています。
ある日、サムは犬を連れた若い女性がプールサイドにいるのを見つけます。サラというその女性と親しくなったサムは早速ベッドインーー随分お手軽な話だと思いますが、それがハリウッドスタイルなのでしょうか。
でも、すぐに客人が来て、サムは「明日の午後また来て」と言われて追い出されてしまいます。
で、翌日サラの部屋へ行くともぬけの殻ーーアパートの家主に尋ねると引っ越したと言われてしまいます。
そこからサムの探索が始まり、それにセヴンスという富豪の失踪事件や、イエスとドラキュラの花嫁たちというロックバンドの話や、『アンダー・ザ・シルバーレイク』という同人誌を作っている作家の自殺や、近頃近所で頻発している犬殺しが絡んでいくわけですが、これがどうにも訳がわからない……というか、ちっとも真相に近づいている気がしません。
[この辺りからネタバレに入ります。未見の方はご注意を]
えーっと何から言えばいいかな……同人誌を作っている作家は陰謀論者で、全てのものには裏があり、我々はそれに踊らされているだけだと言い、イエスとドラキュラの花嫁たちの曲には暗号が隠されていると言います。
サムはイエスとドラキュラの花嫁たちの歌詞を分析し、「ディーンの頭を撫でニュートンの下で待て」というメッセージを解読します。
ハリウッドのプラネタリウム(『ラ・ラ・ランド』に出てきたプラネタリウムですね)に行ったサムはそこでジェームス・ディーンの胸像の頭を撫で、ニュートンの像の下に腰を下ろします。
するとどこからともなく王冠を被った老人(!)が現れ、「ホームレスの王」だと名乗り、サムを洞窟のようなところへ連れて行きます。
サムは老人と別れて洞窟を奥まで進み、最終的にショッピングセンターの従業員専用口のようなところに出ますが、だからどうという話でもありません。サムのすることといえば、ただ売り場に並んでいる牛乳を勝手に飲むことだけです。
なんじゃこれは。どこまでが「現実」でどこからがサムの「幻想」なのかよく分かりませんが、物語はずっとこんな調子で進みます。
イエスとドラキュラの花嫁たちのボーカルの男からあの曲を作ったのは自分ではない、作曲者は他にいると聞いたサムは、捜索の過程で知り合った女性(映画女優ですが、同時にエスコートガール、つまりデリヘルのバイトをしています)の案内で作曲家の家に向かいます。
作曲家の家はとんでもない豪邸です。サムは塀を乗り越え中に入ります。作曲家はサムが来ることを知っていたような様子で、ピアノを弾きながらサムを迎えます。
作曲家は「君たちが熱中した曲はみんな私が作ったものだ。君たちは踊らされていただけだ」というようなことを言い、ピストルを取り出してサムを撃とうとします。サムはその場にあったえギター(カート・コバーンが使っていたもののようです)で作曲家の顔がなくなるまで殴って殺します。
えーっと、それから……自殺した陰謀論者の作家が残した地図を解読しハリウッドの山に登ったサムは、そこで三人の女性に囲まれた男と出逢います。
男は自分たちはこれから一旦死んでより高いステージに転生する準備をしている、これは大金持ちだけに許されたことだというようなことを言い、サラは失踪した富豪セヴンスと一緒にすでに転生の準備のために密閉された地下室にいる、そこで半年間優雅な生活を送ったのち彼らは死ぬことになると言います。
サムがあまりに残念そうな顔をしているので、男はサムにサラとテレビ電話で話す機会を与えます。サムはなんとかサラを引き止めようとしますが、サラの決意を覆すことはできないまま電話を切ります。
サムは男に勧められてお茶を飲みますが、中には睡眠薬が入っていたらしく、三人の女も男もサムも眠ってしまいます。
目覚めるとサムは椅子に縛られています。目の前にはホームレスの王を名乗った男がいます。ホームレスの王はサムがポケットに犬用のビスケットを入れていたことに腹を立てています(え? なぜ?)。しかし、サムがサラと再会できたらサラの犬にやろうと思って持っていたというと、サムを解放してくれます(え? なぜ?)。
自宅に帰ったサムは母親から送られてきたジャネット・ゲイナーの映画『第七天国』のビデオを見ます。それからふと思い立ったかのように向かいの中年女性(トップレスでインコの世話をしていた女性です)のところへ行き、ベッドを共にします(これまた随分とお手軽ですね)。
サムが中年女性の部屋のベランダから自分の部屋を見ていると、家主が立ち退きのために警備員を連れて入ってくるーーというところでオシマイ。
こういうわけのわからない映画、どこまでが「現実」でどこからが「幻想」かわからない映画、謎を解明しようとしながら同じところをぐるぐる回っているような映画、一応解決はするものの最後まで解明されない部分が残る映画を、私は嫌いではありません。
でも、陰謀論は好きじゃないな。金持ちや有名人は自分たち庶民の知らないところで何かとてつもない企みをしているという考え方は、私にはついていけません。それって「きっと奴らは自分たちだけええことしとるんや」という妬み、嫉みにすぎませんし、私自身はより高いステージに転生するために死ぬことが「ええこと」には思えません。
また、この映画に出てくる人物たち、ハリウッドに住み、パーティー��コンサートに出かけ、文化人を気取り、成功者のそばをうろついて一攫千金を夢見ながら、その実何もできず何もしない人間が、私はどうも好きになれません。
私にとってこの『アンダー・ザ・シルバーレイク』は好きだけれど嫌い、嫌いだけど好きという不思議な映画でした。
デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督はこの映画の前に新感覚のホラー映画として評価が高い『イット・フォローズ』(2014)を撮っています。近いうちにそちらも見てみるつもりです。
追記: 納得できるものかどうかはともかく、この映画では一応謎は解明されます。ただ、犬殺しが横行していることだけは最後まで見ても一切回収されません。 あれはサムが犬を殺してまわっていたという解釈でいいのかな。 まあ、いろいろな解釈ができるというのは私は嫌いじゃありません。
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My Favorite Movies of the Decade (2010-2019)










【2010年代映画マイベスト】 あなたを抱きしめる日まで PHILOMENA (2013) LEGO(R) ムービー The LEGO Movie (2014) マッドマックス 怒りのデス・ロード Mad Max: Fury Road (2015)
プールサイド・デイズ The Way Way Back (2013) ショート・ターム Short Term 12 (2013) タイピスト! Populaire(2012)
COP CAR コップ・カー Cop Car(2015) パレードへようこそ Pride (2014) めぐり逢わせのお弁当 The Lunchbox/Dabba (2013) クリード チャンプを継ぐ男 Creed(2015)
【たいせつ枠】
サニー 永遠の仲間たち (2011) パティ・ケイク$ (2017) ミスエデュケーション (2018) ベスト・ワースト・ストーリー (2016) シング・ストリート (2015) ゾンビ革命 フアン・オブ・ザ・デッド (2011) イット・フォローズ (2014)
【+mention】
ヒットマン:インポッシブル (2016) スロウ・ウェスト (2015) パディントン2 (2017) 裏切りのサーカス (2011) ラブ・アゲイン (2011) フランシス・ハ (2012) トップ・ファイブ (2014) アスファルト (2015) ファクトリー・ウーマン (2010)
チワワは見ていた ポルノ女優と未亡人の秘密/Starlet (2012) ライフ・アフター・ベス (2015) ラブル・キングス (2010) サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ (2012) ラッシュ/プライドと友情 (2013) 10 クローバーフィールド・レーン (2016)
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【オープニング特集|LINE-UP】 ======================= 9/6(金)オールナイト上映 ≪Directed by デヴィッド・ロバート・ミッチェル≫ ======================= [上映作品] 『アメリカン・スリープオーバー』 『イット・フォローズ』 『アンダー・ザ・シルバーレイク』 https://t.co/t7ZcdieKAR https://t.co/ys4bc1E0S7 minamikaikan http://twitter.com/minamikaikan/status/1162414283948322816
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2017/01/29
夜、『イット・フォローズ』を観た。得体の知れない不気味さと青春のほろ苦さを絶妙なバランスで描いていて、ホラー映画というよりも青春映画としてオススメしたいほど映像が綺麗な映画だった。音楽の使い方に『ドント・ブリーズ』と近いものを感じたので、最近のホラー映画の流行りなのかもしれない。”それ”からは逃げられないのなら、と二人が出した答えと『卒業』のラストのような表情にはグッときてしまった…。『アメリカン・スリープオーバー』に続き、デヴィット・ロバート・ミッチェルがさらに好きになった。
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Movies list of 2016
Fireworks Wednesday
P'tit Quinquin
Queen of Earth
あなた自身とあなたのこと / Yourself and yours
Norte , The End of History
さざなみ / 45 years
光りの墓 / Cemetery of Splendour
山河ノスタルジア / Mountains may depart
裁かれるは善人のみ / Leviafan
約束の地 / JAUJA
Train to Busan
手紙は憶えている / Remember
サウルの息子 / Son of Saul
Obvious Child
ズートピア / Zootopia
COP CAR
人生タクシー / Taxi
スポットライト 世紀のスクープ / Spotlight
イット・フォローズ / It Follows
ハドソン川の奇跡 / Sully
クリーピー 偽りの隣人 / Creepy
緑の光線 / Summer
モード家の一夜 / My Night at Maud's
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FILM 2016
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(全49本) 2016 FILM Top5+5
映画「聲の形」 オアシス:スーパーソニック この世界の片隅に シン・ゴジラ サウルの息子
君の名は。 探偵なふたり 10 クローバーフィールド・レーン スティーブ・ジョブズ ガールズ&パンツァー 劇場版(4DX効果マシマシ版)
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