#仄暗い水の底から
Explore tagged Tumblr posts
Text
仄暗い水の底から / Dark Water Hideo Nakata. 2002
Street 6 Chome-24-6 Sagamihara, Chuo Ward, Sagamihara, Kanagawa 252-0231, Japan See in map
See in imdb
#hideo nakata#仄暗い水の底から#dark water#arcade#yokohama#sagamihara#kanagawa#hitomi kuroki#rio kanno#japan#movie#cinema#film#location#google maps#street view#2002
93 notes
·
View notes
Note
<3 your blog! trying to watch more international films and i know there's some classics from Asia. do you have any recs for Asian horror
thank you!!
here are my favorite Asian horror films (note: a lot of these contain triggering content, so please do research beforehand if that's an issue):
Japan
ゴジラ/Godzilla (1954; creature feature, science fiction): US nuclear testing off the coast of Japan creates a giant lizard creature that rampages through Tokyo
藪の中の黒猫/Kuroneko (1968; ghosts): a woman and her daughter-in-law come back as vengeful spirits after they're murdered by samurai
ハウス/House (1977; horror comedy, ghosts): a group of schoolgirls visit a haunted mansion
天使のたまご/Angel's Egg (1985; dark fantasy, surrealist, animated): in a ruined world, a young girl cares for a giant egg
吸血鬼(バンパイア)ハンターD/Vampire Hunter D (1985; vampires, animated): when a woman is betrothed to a vampire, she hires a vampire hunter in an attempt to escape
アキラ/Akira (1988; science fiction, animated): 31 years after a nuke was dropped on Tokyo, a young man tries to save his friend from government experiments
鉄男/Testuo: The Iron Man (1989; techno horror, body horror): a man finds his flesh is cursed to turn to iron
パーフェクトブルー/Perfect Blue (1997; psychological horror, animated): a pop star is driven mad by a stalker
リング/Ring (1998; techno horror, ghosts): a videotape curses anyone who watches it to die in seven days
オーディション/Audition (1999; psychological thriller): a widower auditioning women to be his new wife makes a deadly choice
バトル・ロワイアル/Battle Royale (2000; science fiction, psychological thriller): a group of students are put on an island and told to slaughter each other
回路/Pulse (2001; techno horror, ghosts): a group of young people in Tokyo discover a website that claims to show you ghosts
殺し屋1/Ichi the Killer (2001; psychological thriller, slasher): a sadomasochistic Yakuza enforcer goes on a rampage
仄暗い水の底から/Dark Water (2002; ghosts): a divorced mother and her young daughter move into a haunted apartment building
ノロイ/Noroi: The Curse (2005; occult, found footage): a paranormal investigator tries to tie together a series of supernatural events
シン・ゴジラ/Shin Godzilla (2016; creature feature, science fiction): a giant lizard kaiju attacks Tokyo
カメラを止めるな!/One Cut of the Dead (2017; horror comedy, zombies): people making a cheap zombie flick find themselves in the middle of a real zombie outbreak
South Korea
올드보이/Oldboy (2003; psychological thriller): after being imprisoned in a room for fifteen years, a man hunts down the ones responsible
괴물/The Host (2006; creature feature, science fiction): a monster made when American chemicals were spilled into the Han River emerges to attack a community
박쥐/Thirst (2009; vampires): a Catholic priest is turned into a vampire by a blood transfusion
악마를 보았다/I Saw the Devil (2010; psychological thriller): a man goes on a brutal revenge mission after the murder of his wife
늑대소년/A Werewolf Boy (2012; werewolves, dark fantasy): a girl moves to a country home, where she befriends a strange, feral boy
부산행/Train to Busan (2016; zombies): a zombie plague breaks out on a train
서울역/Seoul Station (2016; zombies, animated): a zombie plague breaks out at a train station; companion film to Train to Busan
아가씨/The Handmaiden (2016; psychological thriller): a woman hired to be a handmaiden to a Japanese heiress plans to defraud her
곤지암/Gonjiam: Haunted Asylum (2018; ghosts, found footage): a group of influencers livestream themselves exploring a supposedly haunted institution
#살아있다/#Alive (2020; zombies): a young man is trapped in his apartment during a zombie outbreak
Hong Kong
殭屍先生/Mr. Vampire (1985; horror comedy, vampires): a Taoist priest must fight jiangshi that descend upon a village
餃子/Dumplings (2004; psychological thriller): a woman obsessed with staying young eats dumplings stuffed with strange meat
維多利亞壹號/Dream Home (2010; slasher): a woman goes on a killing spree to get her dream apartment
India
Bhoot/Ghost (2003; ghosts): a Mumbai businessman and his wife move into a haunted flat
Ek Thi Daayan/Once There was a Witch (2013; supernatural horror): a magician seeks protection from a witch who has haunted him since childhood
Tumbbad (2018; dark fantasy, occult): a father and son seek treasure in a castle inhabited by an evil god
Bulbbul (2020; dark fantasy): the village of a child bride, now grown, is attacked by a chudail
Indonesia
Pengabdi Setan/Satan's Slaves (2017; occult): a woman returns from the dead to haunt her children (this is a remake of a film from the 80s, which i have not yet seen)
Sebelum Iblis Menjemput/May the Devil Take You (2018; occult): a woman and her step-family visit her sick father's old home in search of what ails him
Iran
دختری در شب تنها به خانه میرود/A Girl Walks Home Alone at Night (2014; vampires): a vampire targets a small Iranian town, attacking men who mistreat women (technically an American production)
زیر سایه/Under the Shadow (2016; occult): during the War of the Cities, a woman and her young daughter are haunted by djinns
Thailand
ชัตเตอร์ กดติดวิญญาณ/Shutter (2004; ghosts): a man begins capturing strange figures in his camera
Turkey
Baskin (2015; occult, dark fantasy, surrealist): a group of police officers discover a gateway to hell
Taiwan
哭悲/The Sadness (2021; bio horror): a virus spreads through Taipei, compelling all who are infected to commit the worst crimes they can imagine
39 notes
·
View notes
Text
海沿いの街に1ヶ月滞在する。部屋の窓いっぱいに海が見える。湾になっていて波はとても静かだ。
平らかな水面はすなおに空を映す。晴れの日は海底が明るく透けて清々しい。今朝起きるとまず海を見た。眺めているうちに次々と色を変えて、水面に波紋が立った。仄暗い雲からしとしとと降る雨。片頭痛の予防薬を服用する。
穏やかな海が見える部屋はいい。心から安らぐのだ。遠くに山が見えるのもすばらしい。和歌でも詠みたくなる。
だけど早くうちに帰りたい。愛する人と生き物が待つ場所。帰ったら、この街の海の話を聞かせてあげよう。少し大人になったわた��を見せよう。
2 notes
·
View notes
Text
過惰幻
ひたひたと押し寄せてく 憂鬱は「おかえり」と僕を包み込む 仄暗く冷ややかな 空き缶の底で 雨垂れがぽたぽたと水面を震わせ かなしみに浸かる きっと 過ぎた夢を見てた 到底 似合わないのに ああ 美しい約束が ふやけてく あやまちに気づいても 後戻りも出来なくて くずおれる どうして 飛べそうなんて 思ってたんだろう 嬉しかった分だけ 苦しみは濃くなって 思い知る 拙い 勘違い 全部まぼろしだったんだね 心の奥へと匿って 僕を見せない 微塵も望まない はずだった 水族館の魚は 混ざりあい泳ぐことを夢に見るのかな 隔てられたガラスは檻じゃなかったよ 傷つく僕を守ってくれていたのに 交わるはずなかった 最初から君と僕は それなのに どうして境界線[さかいめ]を ああ 越えてしまったの ふいに咲くまばゆさで フチドリがあやふやに ぼやけてく 見えない 触れない 全部僕の幻影[ゆめ]だったね 知ら…
0 notes
Text
公共マップ「夢への招待状」での話(無常さんとホセさんを一緒に写した写真を持っていないのでイメージ画像は公式のこの動画で代用とします)。
暗い。この小説の一部を漫画で描いていたので今回は挿絵として使ってみた。
【設定】
白黒無常:来世を迎えても過去のしがらみからは逃れられなかった。
雨と共に死亡した二人を元に作られた。謝必安と范無咎、二人の魂が入っていようがいまいが(本人達であろうとなかろうと)白黒無常には世界五分前仮説のように生前の頃の記憶が植わっている、かつ客観的に見て生前とは別の姿となっているのである意味、来世の姿としてここに「生きて」いる。
しかし新生を始めてもなおすれ違いや雷雨、再会を願う念の影響からは逃れられていないため二人は離れ離れのまま再会は叶わない。
ホセ:身分を捨ててもその血や過去からは逃れられなかった。
海賊の頃は誰かから平穏を奪わなければならなかった。危険な状況での船上では、たとえ仲間であったとしても問答無用で海に投げ捨てねばならないこともある。
海賊業を抜け出し、海上騎士の名と栄光を背負っても、「特殊任務」と「取引任務」はホセ自身の影だと言わんばかりにどこまでもついて回る。直であろうがなかろうが、かつて決別したはずの海賊の自分と成すことに変わりはなかった。
いくら逃れようとしても、血で手を染める運命からは逃げられなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――
数多もの星々が空一面に広がっている。天の川の白い光は次第に、千にも万にも広がる細い糸のように見え、それはまるで必安の想いと涙が形を伴ったように思えた。吸い込んだ空気はひどく澄んでいて、無咎の胸の空洞を冷たく透かしては通り抜けていくような感覚を覚える。 一体いつになれば必安にまた会える日が来るのだろうか。「また」はあるのだろうか。
「死後の世界、来世はあると思うか。」
無咎が隣のホセを見やると、彼は物珍しげな顔を無咎に向けていた。しかし早々にホセは視線を橋の下に落とす。その視線の先では星が黄色く仄光り、鏡面のように無咎とホセを映す水面が静かに揺れてい���。
「君たちを見ていると悩むところだが、あるともいえるしないとも言えるというのが私の答えだな。」
無咎の予想に反し、その口から出たのはどちらともつかない言葉だった。無咎はホセを曖昧さは嫌う質たちだと捉えていたが、今日は彼も普段と違う心境らしい。
「……。」
*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+
無咎が哲学的な問いを投げかけるとは珍しい。ホセは少しの驚きをもって彼の言葉を受け取った。水面に映る無咎の顔は感傷に浸ったようで、その後ろでは靄のように空の星の白い光が映っている。何となく無咎が考えていることを理解した。
必安と無咎がここにいる以上、死後の世界はあるように思える。あるいは来世だろうか。だが問題はそこではない。「現状を脱して新しい人生を開始することはできるだろうか」という問いに、ホセは自身の経験からして不可能だと答えざるを得なかった。
確かに死者はその生命を終えたあとも別の場所で生きているという話は何度も耳にした。しかしそういった類の話には必ず「死人は生者のように生き生きと暮らしているわけではない」「命を終えたときの苦しみが永遠に続く」といった但し書きが続く。
死んでこそいないにせよ、ホセにはこのような類の話は他人事のように思えなかった。海賊から手を引こうにも、バーデン家の人間である事実からは逃れられない。
たとえば海に仲間を投げ入れるときの胸騒ぎ。彼らが生を諦めていないとしても、重石と共に帆布で彼らを縛り上げ、その目から光を奪って海に投げ捨てねばならない。 「助けてく��」 「やめてくれ」 「あぁ神よ……」 彼らの呻き声が今でも耳にこびりついて離れない。あの弱弱しくも冷たく鋭い視線は浴びたいものではない。それはホセの胸を鋭く抉り、赫々とした悪魔の血を暴くようだった。そんな中、目の前の仲間が海の底で永遠に抱き続けるであろう痛苦も想像したくなかった。
……知りたくもなかった。
*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+
「『死んだら全てのしがらみから逃れられる』、『体を捨ててどこか美しい夢境へと旅立てられる』――そんな都合のいい話はない。私がこの手で海に投げた者たちも……きっとデイヴィー・ジョーンズのロッカーで生きているかのように死んでいるだろう。」
義手で右の前腕を握るように覆いながら語るホセの表情は固く、まっすぐに水面に注がれている。その神妙な面持ちはまるで裁きを目前にした罪人のようだ。しかし何度その罪から逃れようとも、畢竟自らの成すことは変わらない。恐らくそういう星の下に生まれてしまったのだ。
「そして――」
ホセは手にしていた星の欠片を爪弾いた。星は音を立てて水に飛び込んだかと思うと、水の暗闇にその光を奪われながら沈んでいった。水面に残された波紋は星空ごと映った像を揺らしている。
かつて言われたことを思い出す。 「犠牲は必要だ。」 「後戻りできないほどの外傷や後遺症を負った者は海に投げ入れねばならない。」 「試した薬のすべてに効き目がないのです。」
波紋は次第に薄く広がってついぞ見えなくなり、そこには変わらず二人の姿だけが残った。
新たな生を受けても、身分が変わっても、過去の一切を断つことはできない――これが真理なのだろう。ならば船乗りの運命に則り、いつか自身がそうしたように誰かの手によって海に沈められることになるのだろう。光一つ届かない、深く冷たい海の底。生前同様、死の先でもそこで罪を抱え続けるのだ。
「いずれ私もそうなる。」
*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+*.✧。*゚+
「都合のいい話はない」「生きているかのように死んでいる」。現に謝必安に会えないまま、無咎は不変の過去に縛られながら過ごす非日常を思い返した。季節はあれど己に変化は訪れない。
「お前の言う海底や文字通りの死後の世界、来世は此処にあるのかもしれないな。繰り返す日々に変化はない。」
無咎の言葉と共に、どこからか吹いたゆるやかな風がホセの髪を静かに揺らした。
「そうだな。いつかではなく今、一等航海士は死んでいる。」
二人の姿を映す水面は凪いでいた。
――――――――――――――――――――――――――――――
ホセは不屈の精神を持っている(?)のできっとこんなふうに諦観に染まることはないと思う。でも見たかったので書いた。
たとえ一等航海士としてのホセが死んでしまっていても、異国の地で非業の死を遂げた二人が死んでしまっていたとしても、みんなどうにか抜け道を見出して生きてほしい。お戚みたいに、これまでのすべてを捨ててでもしないと新生は迎えられないということに気付けば、そしてそれを受け入れられれば……過去のしがらみを振り切ることはとても難しいけれど、それができればホセは病の治療は現時点では難しいけれど少なくとも生まれに囚われずにいられるし、無常もイベントの月日と共にと同じように明るい未来に進んでいけると思うんだ。……そうであってほしい。
0 notes
Text
3.橘夕樹「夜を売る店」
丸底フラスコがアルコールランプにかけられて、紫紺の液体をポコポコと煮立たせている。それにつながれたゴム管の先にはガラスのポットがあり、そこに溜まった液体は更に濾過されているようだった。窓からの月のスポットライトが照らす大きめのビーカーには氷水がたっぷりとたたえられ、試験官が何本か刺さっている。仄暗いカウンターには、実験器具のほかにも薬瓶や薬匙や大量の小皿なんかが、舞台袖の黒子のように静かに佇んでいた。
そんな騒がしいカウンターの中では店主がひとりテキパキと器具の手入れをしている。カチャカチャとガラス同士が触れ合う音が店内にはじけて、カウンターの蝋燭に灯ったマジックアワーの炎を揺らした。
ちりりんとドアベルが鳴って、今日最初の客の来訪を知らせる。
「こんばんは。本���はどのような夜をお求めでしょうか。」
Spicy night
蠟燭の前が客の定位置である。案内された客の注文は「繁華街の夜」。店主は、客の前に冷凍したムーンレモンの入ったお冷を出して、「少々お待ちくださいね。準備しますから。」と言った。
店主は背後の棚から紺に煌めくパールのような装丁の綴りとコーヒー色のペガススのタテ紙を取り出した。この紙には調合師達に広く使われている一般的な調合用の書式が印刷されている。それにフクロウの羽ペンでさらさらと「繁華街」と記した。
「��由をお聞きしても?」
「私、田舎生まれだから憧れなの。都会の夜が。日が沈んでもきらきらしていて、にぎやかで。若いうちに一度はそういうところで夜遊びしてみたかった……。」
聞いたことを用紙に書き留めていく。
「あら、これからでも十分間に合うのでは?事実、いわゆる『繁華街』にあるこの店にこんな時間にいらしているのですから。」
「ふふふ、それもそうね。」
店主は穏やかな笑みを浮かべながら材料を用意していく。ベースとなる「夜の素」に「街」と「憧れ」、それからアクセントの「星屑」。カウンターの上に色とりどり大小さまざまな小瓶が並んだ。
(「きらきら」……か、どれがいいだろうか。)
一言に「きらきら」とか「灯り」とか「にぎやか」とかいっても何十種類もの素材がある。一番合うものを見極め、ちょうどよく配合できてこそ、客に合わせた良質な夜を提供できるのだ。
「ちなみにきらきら、とは視覚的にでしょうか。それとも雰囲気や感情でしょうか?」
「うーん、そうね……。」と客はしばし目をつぶった。その瞼の裏には何が見えているのだろうか。
「ああ、一番印象に残っているのはネオンサインね。夜空に浮かび上がる鮮やかな看板にはすごく惹かれたものでしたよ。」
「今ではあまり見かけなくなりましたね……。僕もあの鮮やかなのにぼんやりとした優しい光は大好きです。」
ネオンサイン。果たして在庫はあっただろうか。このところ見かけないということは、つまりあまり入荷が多くないのだ。「灯り」とラベルの貼られた棚の引き出しを順に開けていく。下から二番目の段の左から四番目。「そうだ、『色モノ』はここにしまったんだった」とか言いながら、店主は発光するラムネ菓子のようなものが入った瓶を取り出した。そのもう残り少ない粒を細身の試験官に入れて、さらにフラスコの中の「夜の素」を少し足した。最後に湯を張ったビーカーにしばらく入れて湯煎させる。
「よし、これでもう少し待てば『ネオンサイン』ができます。何色がお好きですか?」
「ピンクかしら。いくつになっても春っぽい色が好きなのよ。」
「ふふふ……」と恥ずかしそうに客は笑う。ピンクの染料を試験管に入れながら、桜のように笑う人だ、と店主は思った。
ネオンサインが溶けるのを待っている間、店内には調合の器具たちが立てるこぽこぽという音と、蠟燭が夕焼けを燃やすちりちりというかすかな音だけが優しく響いている。店主は今準備した材料について用紙に記入しているようだった。
「キャンドルか小瓶詰めの形でお渡しできますがどちらにされますか?」
夜を楽しむ方法は様々ある。その中でも、「夜」���のものを揮発させてゆっくりじっくり味わうか、蝋燭の音や炎との効果と、熱で急激に揮発させることで短く濃く楽しむか、どちらかの方法が取られることが多い。また、この店のもこの二つのやり方でのみ販売を許可されている。後者はあのマッチ売りの少女のマッチと似た手法だ。――ただ、彼女のマッチは質が悪かったようだが。
「そうねえ。せっかくだから思い切り楽しみたいわ。キャンドルでお願いしようかしら。」
「かしこまりました。」
湯煎した試験管をスタンドで冷ましている間に不純物を蒸留させるための器具を準備する。フラスコやガラス管、オーロラ型冷却水――それらを手際よく配置していく。最後に火力の調節が利く小さなガスのコンロの上に、配合用の大きなビーカーをセットした。
大きなビーカーの中に、カウンターに並べた素材を入れていく。
まずは「夜の素」。「夜」のベースとなる液体である。今回は深夜ではなく日が落ちてすぐくらいの時間帯のものだ。とぽとぽと注いだら、「星屑」をぱらぱらと振りかけ、コンロを着火。ビーカーの底を炎が舐めるくらいの火力に調節する。「星屑」の輝きが「夜の素」になじむまでぐるぐるとかき混ぜ、次に金の針のような「街」を大きな楠の匙二杯分。輝きとあたたかさを持った「憧れ」は同じ匙で一杯分。
最後に冷えて固まった棒状の「ネオンサイン」を試験官から取り出し、少し夜空にかざして仕上がりを確認した後、手でぱきぽきと折りながらビーカーに加えていく。液体に触れた瞬間に強く瞬いてビーカーの底に沈んでいった。
(「憧れ」と「ネオンサイン」か……少し刺激が強くなりそうだな。)
こういう時はあまり濃くさせないほうがいい。店主は少し火を弱めた。
熱でゆっくりと「ネオンサイン」が溶けていく。「夜」の色が天の川
ミルキーウェイ
のように少し柔らかくなったように見えた。
ビーカーの中では小さな気泡が上がってきている。
にゃーん、と黒猫が一匹、呆れた様子でカウンターに飛び乗ってきた。スンスンとビーカーから立ち上る蒸気を嗅ぐ。
「ふうん、随分スパイシーだな」
「あっ、コラ。危ないだろ。」
と、店主が慌てて黒猫を制した。
「あら。猫ちゃん。毛並みがきれい。」
「ありがとうございます。僕の助手です。」
「フン、君がやらかさないか見張ってる『監督』だ。」
この声は店主以外には「にゃおん」としか聞こえない。
「この感じは星空というより街の明かりか?都会の夜って人間にとってそんなにいいもんなの?」
いぶかしげにビーカーをのぞき込もうとする。そんな「監督」をどうにか押さえつけながら店主が代弁した。
「矢張、都会の夜は故郷の夜より素敵に映るものですか?」
「ええ、勿論よ。私は若い頃都会の学校には通���ていたんだけれど、寮にいたから、門限が厳しかったの。だから帰り道、目の前に街の明かりが見えているのに、夜の街に繰り出すなんてことはできなかった……。仲間とあれがしたいこれがしたい、って夢を語り合ったことをよく覚えているわ。」
残念がっている口調でも、どこか楽しそうに客は語る。
(『夢』……ちょうど在庫がもうないな。最近消費が激しい。)
くるくるとビーカーをかき混ぜながら思い出す。薬棚を見るまでもない。このところ夢見がちなお客様が多かったのだ。
ぼんやりと『憧れの夜の街』は出来上がった。あとはお客様だけの隠し味が必要になる。できれば『夢』以外で。
「夢を語り合うのも素敵な青春の一ページですね。なにか街に気になる店や催しなどがあったのですか?」
さっきのネオンサインのように客の頬が薄紅に染まる。
「店……というより、好きな銀幕スターがいて……だから映画の、レイトショーに行ってみたかったのよ。」
お冷の氷が溶けてカランと音を立てた。
「学校が終わったあと、日が沈むころにひとりバスに乗って、洋食屋さんでご飯を食べて、帰る人々を横目に映画館へ向かう――。そして映画が終わったら夜道の中を歩いて帰る……ねえ、映画館の中と夜の街って少し似てると思わない?」
「映画館と夜の街、ですか。」
いくつもの夜を見てきた店主にも予想外の問いかけだった。
「ええ、街の周りや空は真っ暗なのにそこだけ切り取ったように眩しくて、いろんな物語が昼と変わらず起こっていて、帰り道も余韻でいっぱいになる……。そしていつまでも終わってほしくない。」
「なるほど。言われてみればたしかに似ている気がします。……それなら最後の材料はあれがいいかな。」
店主はなにやらカウンターの下の棚を漁り始めた。たしかここにあったはず、としばらく探していると店長の肩を踏み台にして黒猫が下りてきた。
「なにやってるんだ。僕が探してきてやる。あれだろ?フィルムケース。」
「うん。そう。しばらく使ってないから箱が奥の方に入ってしまっているかも。」
黒猫は雑多な棚の中の暗闇にあっという間に溶け入っていってしまった。
ガタン
がたがた
うわっ
ごそごそ
ばたん
げほげほ
するすると入っていたのとは裏腹に箱はなかなか見つからないらしい。つんと澄ました態度からはあまり聞かれない音と声がした。
「あったぞ!いくついる?」
「ひとつでいい。隠し味だもの。」
「はーい。」
黒猫はフィルムケースを一つ口にくわえて出てきた。ラベルには「映画」と振ってある。
「それそれ。流石僕の助手だね。」
と、狭い額についた埃を取ってやる。
「すみません。お待たせしました。」
客はにっこりと「いえいえ。」と言ってくれた。完成までもう少しのビーカーが先ほどよりもたくさん気泡を立てている。これ以上粘度が上がると最後の隠し味がうまくなじまない。店主はコンロの火を止めた。
「ふん、普段���わない材料もきれいにしまっておくんだな。」
黒猫は背後のカウンターでその自慢の毛並みを整えている。
「それを取ってきてくれたの?随分と賢い助手さんね。」
「はい、いつも助かっています。」
そんな助手が取ってきてくれたフィルムケースには勿論フィルムが収まっている。艶々と黒く光るそれを映写機のような機械に入れて、レンズから月光を取り込み、夜空を透かしながら、製麺でもするかの如くハンドルを回した。壁には小さなプラネタリウムが出来上がっている。そしてリールから外したそれを二〇センチほどカットしてビーカーに加え、再び火をつけた。このフィルムが溶け切ってしまえば「夜」は完成だ。材料はすべてそろったのでビーカーに特注のコルクの蓋をして、空けてある穴からガラス管を繋げる。ガラス管の途中にはオーロラ型冷却水、終わりには小さなフラスコが繋がれている。「夜」を加熱濃縮させる際に出る蒸気――夜露を採るためである。
「それはなんの映画のフィルムなの?」
「これは映画のフィルムそのものではなく、昔、お客様から聞いた『映画と夜に関するお話』から精製したいわばエッセンシャルオイルのようなものです。うちではお代としてお金の他にお客様のお話をお聞きしてそこから『夜』を作るための材料をお裾分けしていただいているのです。」
客はわかったようなわかっていないような顔をしてフィルムが溶けるビーカーを見つめた。
「あまりピンときませんよね。」
そういうと店主は再び棚の下をごそごそと漁るとレコードを一枚取り出してきた。そして店の端を指さして、
「あの蓄音機にこちらの専用レコードをセットして、お客様のお話を録音します。そしてそのレコードを一旦ほどいて溶かします。そして溶けた液体から結晶を取り出したり、蒸留させたりといった作業を通して様々な「要素」を分離させ、それをビンに採取して、ものによっては先ほどのネオンサインのように加工することで、安定して保存ができるようにするのです。」
「なるほど、録音するのね……。長く生きてきたつもりだけどこのお店には初めて見る道具ばかりだわ。でも私、何かお話しできるようなことあるかしら。」
「是非、ご学友との語らいについて教えてくださいませんか。」
「夢」の在庫を増やすいい機会だなと店主は考えた。
「それならいくらでもお話しできるわ。」
ビーカーの中で大きな気泡がひとつ弾けた。その瞬間、街や映画の光がキラキラと輝いて落ちる。そろそろ頃合いのようだ。
最後に、出来上���った「夜」をキャンドルにしていく。ミルクパンで、これまたミルク色の蝋を溶かし、分離しないように少しずつ夜と蝋を混ぜていく。夜の濃い藍とミルク色が混ざって朝焼けの前の優しい夜の色に近くなる。最後にガラスの容器に入れてスノーマンの吐息で冷やし固めたら完成だ。店主は冷やしている間に草木のモチーフがあしらわれた小さなカードに、今回使った材料とその用法・用量を記入していく。ラベルには『繁華街』��記して容器に貼り、
「お待たせいたしました。『繁華街の夜』でございます。」
とまだほんのりと温もりを持つ出来立てのキャンドルを差し出した。
「なんだか少し甘い香りがするわね。」
客は鼻先で軽く容器をくゆらした。
「蝋に少しだけ蜂蜜が混ぜてあります。」
店主は先ほど書いていた小さなカードとお揃いの柄の小箱を取り出した。小箱の中には小さなお香が入っている。
「ベースに浅い時間の夜を使っております。全体的にフレッシュで刺激的なひとときになるよう配合いたしました。こちらのカードに使い方などは詳しく記載していますが、夜をお使いになるときは必ずこちらの「朝」もお使いください。確実に夜から醒めることで『夜焼け』や『昼酔い』といった時間的症状を防ぐ効果があります。また、最近多いのですが、夜から醒めたくないというお客様がいらっしゃいます。しかしそのように夜を独り占めしてしまうと時間平等法違反となってしまいますので、僕たち調合師は『朝』も一緒に提供するよう義務づけられているのです。――夜は皆のものですから。」
「わかったわ。何事も適切な量がいいわよね。」
「そういうことだ」と黒猫がうんうんと頷く。
「夜もいいけど朝も朝でどんなテイストか楽しみね。」
「ええ、折角ですから存分にお楽しみください。お渡しするものはこれで以上です。不備がないようでしたら箱に詰めますね。」
「ええ、お願いします。」
キャンドルとお香、カードを木箱に詰め、仕上げにリボンをかけて結び目に封蝋で封をする。
「では最後にお代ですが、カウンター越しではなんだか味気ないのであちらのテーブルでお話ししましょう。」
店主は蓄音機のそばのテーブルを指さした。
「昔の話をできるなんていつぶりかしら。たまには沢山おしゃべりするのもいいわね。」
カウンターから立ち上がった客を黒猫がテーブルまで先導する。
客と黒猫がしばらく戯れていると、ようやく手にティーセットを持った店主がテーブルについた。あとをティーセットに任せたカウンターの器具たちは静かに楽屋に戻り、客の前には空になったグラスの代わりに湯気の昇るティーカップが置かれた。すっかり更けた夜に香ばしい茶葉と優しいミルクの香りが満ちる。
夜はこれから。
――それでは良い夜を。またのご来店をお待ちしております。
fin.
橘夕樹「夜を売る店」 Produced / Written by 橘夕樹(https://bsky.app/profile/yuuki-tatibana.bsky.social)
2024.9.18 G.Slope & Hill's Planet
0 notes
Text
【14番目の話】
月明かり、反射するは水面の抵抗。奥を知られまいとただ、月明かりさえも阻んでゆく。そう意固地になって隠すのは、その奥底にどれほどの暗さを隠している故か。月光が射し込む夜、海の下の秘密。そんなもの取り払って、君の心の奥のように、全ての事実が澄き通っていてくれたらと願う。君の髪は、海月のように柔らかだ。恋をする瞳は海底の真珠。長く置き去りになっていたその心を掬いとるから、暗いものまで渡してご覧。秘密渦巻く仄暗い世界で、君だけのために奏でよう。
0 notes
Text
【仄暗い水の底から】
ジメッ ボコボコ エレベーター怖い 管理人しっかりして 皆で観れば怖くない

これぞ日本ホラーって感じの怖さ。終始ジメジメした怖さがまとわりつく。何回観てもビビるとこでビビり散らかすの、どうにかしたいけど今回はジェシと亮ちゃんと一緒だったんでなんとかなった感じ。仲間とのホラーナイト最高。今度は酒でも飲みながら観てたいね。
1 note
·
View note
Text
「虚無への供物」中井英夫 1182
第一章
18密室と供物殿(藍ちゃんの推理) 02
で、その日記の中に書かれている“死んだ母への手紙”の部分です。 これも、古めかしい文体の美文調で読みにくいです。
“お母さん、あの愚(おろか)かしい舸(ふね)が汨んで八十余日が経ちました。 それでも矢張り水の底に睡っていらっしゃる貴女(あなた)約束を裏切って私は未だこうして生きています。”
約束の意味がよくわかりませんが、洞爺丸の事故のことだと思います。 事故は、1954年(昭和29年)9月26日に起こっていますから、 八十余日が経ったということは、12月20日頃に書かれたものだとわかります。 舸(ふね)は、大きな船のことを特に指すみたいです。
“もう直(す)ぐ数えで二十六になろうとしています。なんということだろう。 若(も)しお母さんが歿(なくな)りでもしたらそれこそ唯(ただ)の瞬刻でも生きていない 稺(おさな)い昔からいいもし堅く誓ってもいたのだに耻(はじ)知(し)らずの私は、 恬然(てんぜん)と今日も生き残り陋しく物を喰べた飲みもした呼吸をさえしていた”
母親が亡くなると、自分も生きていない。 そこまで母を慕っていたことの強調でしょうか?
“降注(ふりそそ)ぐ罰を覚悟はして居りますあの畸型な神の奴僕が程なく訪れたとしても 遁(のが)れようはないほんとうは私をこそ連れ去るハズだったワツカウシカムイの異形も軈(やがて)ては 眼前に歴々(ありあり)と顕現(あらわ)れることでしょう”
いずれ何らかのバツを受けるということでしょうか? ワツカウシカムイ(水の神)は、アイヌの神のことです。 ここでも、アイヌがわざとらしく出てきます。 これも伏線なんでしょうか? それにしては、特になんにもアイヌに関して何にもおこらないのも変ですけど。
神には、 チセコロカムイ(家の神)、ミンタラコロカムイ(庭を見守る神)、アパチヤウンカムイ(出入り口の神)、ワツカウシカムイ(水の神)がいるのですが、どうして、水の神なんでしょう?
“夫迄(それまで)の短い時間を唯ひとつの試みに腐心して居ります 御存知のように私の軀体(からだ)はもうすっかりやわになっている心臓は固(もと)より駄目 耳迄が此頃(このごろ)は錐(きり)を揉込まれるようにおもえてくる 凩(こがらし)の裡(なか)で私は益々小さく醜い猿めいて縮こまり いっしんに一つの事丈(ことだけ)を考え続けているのです”
自分に死が訪れるだろう。 なぜなら、心臓が弱っている。耳まで具合が悪い。 だから、死のことばかり考えてしまう。 本当に心臓や耳が悪イのでしょうか?簡単にわかりそうなんですけどね。
“誰も試(こころ)みた事のない「死」詰まりは生と死とを別隔(わけへだ)てず自在に往来する方法 夫(そ)れが漸(ようや)く可能に近附いたといえばお母さんはまた仄(ほの)かに微笑(ほほえ)まれる丈でしょうか 霊界との交通という心霊術師擬(まが)いの奇術では固(もと)より無い物理的に可能という あの言葉で評されても滑稽ですが ドイルもフウディニも果しえなかった夫(そ)れをいま漸(ようや)く私が遂げようとしています”
密室トリックを思いついたと言いたいのでしょう。 フウディニは、ハリー・フーディーニのことでしょう。 アメリカ合衆国では「脱出王」の名でしられた奇術師ですね。 ドイルは、言わずもがなですね。 それぞれがなし得なかった密室からの脱出方法。 さあ、楽しみですね。
“その時こそかの書記ヘシラアのように 密室(セルダアブ)と供物殿(くもつでん)との間を人は気儘(きまま)に飛来し往反し得るでしょう そう、完全な密室の中で死を迎えるときにのみ死者は不思議な翼を与えられるのです”
古代エジプト遺跡のピラミッド、密室に供物を収めた方法が、書記によって明らかにされているように 私も、密室トリックを書いてみる。とでも言うところでしょうか? 書記ヘシラアは、よくわかりませんでした。
“此の地上と寸分隙のない容(かたち)で異次元界の存在することは 稺(おさな)い時分から薄々気附いては居りました 神秘宗教やSFに折々語られている其の世界を藉(かり)に黄泉(よみ)の国と置換えれば 現世との境界を軽々と超える事は存外に容易(たや)い 方法は唯死者と正者とが同時に同じ空間を占める他はにはなく 従って私自身があの漆黒(しっこく)の翅(つばさ)を羽撃(はばた)かせる 奇怪な大鴉(おおがらす)に為変(なりかわ)る他はありません”
かなり昔から、このトリックを思いついていたということでしょうか? ただ、死者と正者とが同じ空間を占めるとはどういう意味でしょう。 一人の人間では、死者と正者が同じには絶対なりませんね。 そのへんに何かヒントがあるのでしょうか?
“何を御言いだと何時(いつ)もの困ったような微笑みを見せておいでですね。 でも是丈が確実なそして唯一の貴女を裏切らぬ方法なのです 爺やも大きく肯(うなづ)いて北の国の異教の神などに礙(さまた)げられる怖れはない 夫れよりも早く童子矜羯羅(こんがら)悪童子制吨迦(せいたか)が疾風(はやて)のように天降(あまくだ)って 救って呉(く)れようなどと判ったようなことを申しておりましたが 兎(と)もあれ独りでは適わぬ事とて此の変身の手助けをしてくれる愛人と密(ひそ)かに研究を重ねております。”
なぜ母を裏切らない唯一の方法なんでしょうか? それから、一瞬ですが、爺やが共犯なのかと思わせる記述がありますね。 これは、ミスリードでしょうか? それとも、どうなんでしょう? また、第三者がいることを匂わせていますね。 ただ、いずれにしても、第三者が必要だということなんでしょう。
“愛人、と謂(い)っても世間の慣(ならわ)しには無い人ですがそうお母さんには黙っておりましたが、 そしてお母さんのほうでは,夙(と)うにご存知なのか哀しい眼をしておいででしたが その渠(かれ)が冷たく笑い乍(ながら)私の計画を聴いていて呉れる其の時 漆黒の翼は私の腋窩(えきくわ)から肩胛骨にかけて纔(わづ)かづつ徐々に徐々に育っていうようです”
第三者について書かれていますが、世間の慣わしにない人とはどういう意味でしょう。 深く考えれば、いくつかの答えが出るかもしれません。
“鞭痕や歯型や恣(ほしいまま)な切創から滴(したた)る血も 忽(たちま)ち天鵞絨(びろうど)いろの風切翅(かざきりばね)と変わって 嗚呼、今にも如法(にょほう)暗夜(あんや)の闇を直衝(ひたつ)き この世ならぬ密室と人間とを飛行自在に往反できるかと思へば心の底から楽しくてならないのですよ”
で、結局、密室につて具体的には書かれていません。 残念です。
藍ちゃんの推理は、全部紅司兄さんの一人芝居だったというものです。 紅司は、風呂場に倒れていて、皆が居なくなったら、 自分の計画のために用意していた青年と入れ替わる。 ただ、その青年はリンパ腺炎とかで背中には紅い十字架型のみみず脹れあったので、 仕方なく紅司もわざと苦痛をこらえて同じ十字架型の鞭痕を同じ箇所につけさせたというものです。
藤木田は、ノックスの話を出して、否定します。 いや、今それはないでしょう。 で、久生は、入れ替わる時間が暖かのかどうか疑問を投げかけます。 藍ちゃんは、それについて、共犯者が爺やだから可能なんだといいます。
・風呂場に紅司と爺やしか居ない時間が十分間あった。 ・爺やが洗顔クリームを買いに行ったのが嘘。 ・裏木戸から訪ねてきた例の青年を二人がかりで殺して土間のわきの物置に入れた。 ・紅司は自分で���錠をかけて風呂場にうつぶせる。 ・爺やが、目撃者のふりで皆を呼びにいく。 ・物置から死体を持ってきて風呂場に置く。 ・紅司は爺やの部屋かどこかに隠れる。 ・紅いゴム毬は脇の下にはさんで腕を締め付け脈を止めて見せるための小道具。
久生は、物置に南京錠がかかっていたのでは?といいますが、 藍ちゃんは、倒れていた紅司がカギを握っていたといいますが、どうなんでしょうね。
久生が、反論して藍ちゃんの推理もここまでですかね。 まあ、かなり無理がありますからね。
爺やがクリームを買いに行ったかどうかなんて、簡単に調べられると思うし、 もっともいけないのは、爺やが共犯ってところですかね。
で、次の項では、藤木田の推理のようです。
つづく
0 notes
Text

ぼんやりする午前2時から4時のあいだ、体温の染み付いた寝具が身体にまとわりつくため居間に撤退する。といういつもの流れをやる。 あなぐらのような明かりのなか、三角座りのまま水槽の底に沈むような気で、文字の通り「落ち込む」 自分の輪郭を一旦手放せるこうした時間がなければ、ここまで正気をたもちつづけるのは難しかったかもしれない。 空が白むと、先ほどまで手元にあった仄暗い考えが宙に浮き、光に透けて見えなくなる。 自分の心配事たちは、おそらく明るい色をしている。
茶と珈琲を同時に煎れる。なんて贅沢、と こうするたびに思う。珈琲は自分用に1杯だけ。 共用の茶は ある程度の量をつくるために同じ動きを何回もしなくてはならないのが面倒でおもしろい。 ガラスのジャグに、同居人が大容量で買ってきたルイボスティーのパックを2,3個まとめ入れ、沸かした湯を注ぐ。 色が染み出してきたら、それをさらに2ℓのペットボトルに漏斗で注ぎ込む。 その際いきおいあまってパックが漏斗の中に落ち、跳ね返ってきた湯により右手を火傷する。 大体ここまでがいつもの流れで、茶ができあがる頃には台所が水浸しになっている。
こうした朝は、仕事をよそに散歩に出てもいいなと思いつつ、結局やらないことが常である。 現���いまは静かに熱を発するmacにこうして文章を刻んでいる。 外からはスズメの鳴き声と、始発電車にレールが軋む音、トラックと電気自動車の走行音、人間の咳払い。 水をやる植物はもういない。鉢の中には栄養たっぷりの乾いた土が、なにを育てるでもなくベランダに残されている。 もう5月だがタートルネックを着て、帰ってきた猫と 見つからないままの猫のことを考えている。唾液で濡れていた下顎の骨の感触。
透明な鞘のようなものが、年々 言葉や思考に絡みついていくような気がする。嬉しくはない。 ただこれを自ら剥いていけばいいのかというと、それも果たしてどうなのだろうか、とも思う。 あるべくしてある殻、外界との関係で生まれる殻なのかもしれないし。ただ、これがあると少しだけ息がしづらい。 胸を張り、斜め45度を見上げる。新しくなったエアコンが朝日を浴びて影をつくる。 おのれの濡れていない下顎をさする。珈琲を飲んだ息が鼻から抜けていく。
Between 2:00 and 4:00 a.m. when I am in a daze, I retreat to the living room because the bedclothes, soaked with body heat, cling to my body. I do the usual routine. In the cave like light, I feel as if I were sinking to the bottom of an aquarium while sitting in a triangular position, literally "falling" into it. Without this time to let go of the contours of myself, it would have been difficult to maintain my sanity. As the sky turns white, the dark thoughts that had been at hand earlier float in the air, obscured by the light. Perhaps my worries are brightly colored.
making tea and coffee at the same time. What a luxury, I think every time I do this. I make only one cup of coffee for myself. The shared tea is interesting in that I have to make the same movement several times in order to make a certain amount of tea. In a glass jug, I put a couple of packets of rooibos tea that my roommate bought in large quantities and pour boiling water into it. When the color starts to seep out, I pour it into a 2L plastic bottle with a funnel. The packs fall into the funnel, and the hot water bounces back and burns my right hand. By the time the tea is ready, the kitchen is flooded with water.
On mornings like this, I think about going out for a walk, but I usually don't end up doing so. I'm currently typing on my quietly get hot mac. From outside, sparrows chirp, rails creak on the first train, trucks and electric cars run, and people cough. There are no more plants to water. The dry, nutrient-rich soil in the pots is left on the balcony with nothing to grow in it. It's May, but I'm wearing a turtleneck and thinking about the cat that came home and remains undiscovered. The feel of a bone in the mandible, wet with saliva.
The transparent sheath that, year after year, seems to entwine itself around my words, my thoughts. not welcome it. I wonder if I should just peel it off myself, but I also wonder if that is really possible. It is a shell that has to be there, a shell that is created in relation to the outside world. However, it is a little difficult to breathe with this shell. I stretch out my chest and look up at an angle of 45 degrees. The new air conditioner casts a shadow in the morning sun. I rub my wet lower jaw. My coffee breath escapes through my nose.
0 notes
Text
じゃれ本 1卓目の作品
「じゃれ本 オンライン試用版」を使ったセッションで紡がれた物語たちです。前の文の前後関係がわからずに何かを書こうとするとこうなります。参加した本人たちはめちゃくちゃ楽しかったです。
お題:ホラー ページ数:8P
『忘れられた木』
幻視を見た。夕日を背中に浴び、吊るされた死体。枝という枝に麻紐で吊るされていた……これは幻。 私は小さい頃から良くこういったモノを見た。
そして、私がそういう幻視をすると決まって何か似たことが起こる。建設現場の作業員が、足を踏み外して死んでいた。首には命綱が絡まっていたそうだ。幻視が正しかったことを確かめるためにSNSを漁った。
スクロールしながらふと、特定の話題に連なるコメントをまとめて「木」と呼んだなと思う。ああいう掲示板やwikiには、時折得体のしれない信憑性があったものだ。 ふと検索欄に指が向く。ある単語が「浮かんだ」
「菩提樹」 小さな検索窓に、たった三文字の言葉を打ち込んだ。 すると、ひとつのスレッドか過去ログ倉庫から発掘された。 無数の話題「木」の中に埋もれた、1本の「忘れられた木」。
昔々の事であった。その村は絹を生業としていた。土地には良質な桑の木々があり、蚕を育てるにはうってつけだったのだ。そんな桑の原の真ん中にポツンとある「菩提樹」それがその木である。
その「菩提樹」のために、囲いを作ったのが悪かった。人間の余計な世話で水が溜まって流れていかなくなった。根が腐り、どうしようもなくなってしまった。だから先祖は、「菩提樹」を失ってしまった。
菩提を失う。――悟れない。涅槃に至ることはない。そうして行き場を失った亡者どもが、今も私が見続けているものたちなのだろうか? だとしたら私の務めは、囲いを崩すこと。 それで蘇るのは、本当に木だろうか?
ふと、私は背後を見やった。 暗い部屋の中、ディスプレイのみの明かりで照らされた私の影。それに無数の「別の影」が纏わりつき、まるで菩提樹のような影を落としていた。 ああ―― 私も、忘れられた木になるのだ
『仄暗い水死体』
じいさん曰く、死体の色には明るいのと暗いのがある。明るいのは悪くて、暗いのはいいんだと。明るいのはまだ魂が引っ付いてるんだ。明るいのを見っけたらわざとしばらく見ないふりをして”干し”とくんだと。
すると目の前にあるずぶ濡れのこれは"干す"必要がある。人ん家の屋上でなんという仕打ちだ、と舌打ちした。頭にあるのはこれで値打ちがどれほど下がるかということばかり。一番怖いのは人間の欲だと我ながら思う。
だが"干す"となると、ここ以上に適任の場所はあるまい。止むを得ず、僕はそれを屋上に放置することにした。 もちろん、そのまま置いておいては騒ぎになるだろう。 そこで一計を案じた。
「工事中・立ち入り禁止」 安直だが準備無く出来るのはこれが最善だろう。もちろんここの管理者が見れば不信がるのは避けられない。エレベーターの無い屋上の管理を真面目にこなさないことを祈った。
あれは明るい死体だった。現代日本で死体が見つからないわけがない。時間を稼げたらいい……。 僕の頭はあの死体でいっぱいだった。白熱電球のような明るい死体だった。時間だけがほしい。
どうすれば? ――翳を作ればいいんだろう。暗くすればいい。夜を、もっと早く夜を。夜を呼ぼう。太陽も星も沈めてしまえ。ストロボライトもカメラのフラッシュも、みんな空に向いちまえ。死体が干上がるまで。
そうだ。――視界に、あるものが止まった。 浄水槽。百均の網を使えば、あの暗闇の中でこれを干せる。
網を取る。広げる。置く――死体を。ツンとした腐敗臭に目をしかめ、手早く、手早く行う。 そして暗い円筒へ。
水死体は仄暗い闇の中。
『包帯はまだありません』
残念ながら私の右腕には呪いが掛かっている、と言われた。中学生の妄想ではない。浮き出た痣のような模様はどことなく死んだ祖父に似ている。 一応は隠すかと包帯を探していたら、声が聞こえた。「まだだ」と。
ぎょっとして右腕に目をやった。浮き出た痣が心なしか濃くなり、祖父が死んだ時の――棺の小窓から覗いた時のあの顔を思い出させるような模様になっていたが、他に異変は無い。
僕はその腕を用心深く長袖に隠した。消えるわけではないができる限り目には入れたくない。もちろん見られるのも困る。挙動不審にならないよう辺りを見回し皆のところに戻った。
「あのね」 ほとんど話したことのないクラスメイトに話しかけられた。僕が腕を隠しているのは、リストカットの類ではない。僕はそういう苦労を背負っているわけではない……。 「わかるよ」と言われ申し訳な思う。
解られたところで仕方がないのだ。適当に会話から離脱するため、教科書など開いたところで耳に届く。 「お祖父ちゃんだった? それともお祖母ちゃん?」 手から滑り落ちた本は、机上で「雨月物語」の項を開く。
雨と月の物語。 それ��この痣と関係あるとしたら。 脳裏にあるビジョンが浮かぶ。祖父が亡くなる前、裏山のお社に連れて行かれた事があるのだ。天気雨の降る真夜中。辺りをぼんやり照らすおぼろ月。
周りは不思議に明るかった。 僕は空気に飲み込まれそうになって祖父の手を握り込んだ。 ――次の瞬間だ。影が動いた。明るい、恐ろしい月明かりの中影が動いたのだ。
祖父の影は僕の影を林檎の皮をむくようにくるくると剝ぎ取る。そして毛糸玉を丸めるように身にまとっていった。僕はまだ影だ。身体の内側にも影があることを悟った。影と陰が。
『邪神の霊安室』
僕がその存在を知ったのは、古本屋���買ったオカルト誌の記事がきっかけだった。 神というだけでもいかにも胡散臭いのに、それが霊安室に眠っているというのだから。それも、神田駅から徒歩15分圏内に。
時はもうすぐGW。ブラックだった弊社もとうとう有給を使って長期休暇を取らせてくれるようになった――有給を強制という点は目をつぶった――つまり丁度僕には時間があるわけだ。
「病院?」恋人がさりげなく言った。カウンセリング?いやだ。せっかくもぎとったGWを埋めるものは娯楽ではなくてブラック労働でぶっ壊れた心身のマイナスをゼロに戻すことだなんて。それよりディズニーとかさ……
「ほら、一種のアトラクションには違いないでしょ。体験型アクティビティ、ってやつ」 癒やし系ってやつか。私は頭を振り、心を温めたいわけじゃないんだと示す。どうせなら底の底まで行きたいんだ。
息を止めると、思い切って温水プールに飛び込んだ。 底へ。底へ。底へ。 違和感があった。 このプール、こんなに深かっただろうか…?
喉に手を当てる。不思議に肺も苦しくなかった。……死んだ? 背筋に汗が、いや、今はプールの水の中なのだから水圧か? とにかく深く進んだ。
肺に水が溜まりきってからというもの、不思議と苦しくはなくなった。大理石に埋もれた魚の化石が欠けた目玉でこちらを見つめている。
帰れない。 僕は悟った。 生きてはいられる。 でも僕は水の生き物だ。
水を得た魚とはいうけれど、この水はきっと良い交わりなど運んではこない。鱗のような空から降る雨のように、やがて僕の血を烏賊のそれと同じ色に変えるだろう。
お題:特になし ページ数:4P
『大げさな本』
この本を読んでいるあなたはとっても幸運だ。この本を読めば人生が変わること間違いなし。成功まったなしだ。何々をするとかそういう面倒なことは一切なし。『読むだけ』だ! つまりこの文が読めていさえすれば、
あなたはすぐさまハッピー!人生の勝ち組というわけ��のです!ああ、本はまだ閉じないで。始まったばかりですからね。ここまで見ている賢明なあなたならこの本を読破するのにそう時間がかからないであろうことが、
全知全能の神が地を見そなわすごとく一目瞭然です。 改めて書きましょう。今後読み進めるにあたって、たった一つの手順を守るだけで、あなたはまさに時代の寵児、人類の救世主。守らなければ? あなたは死ぬ。
私は恐ろしくなって本を落とした。だが何ともない。 このような書き方はビジネス書や自己啓発書にはよくあることじゃないか。ただの大げさな本だ。 それを廃品回収に出しに行こうとした私に、トラックが迫っていた
『口紅と串刺し』
それを買ったのはデパートのとある化粧品売り場だった。 買うつもりなんて微塵もなかったはずなのに、鋭利なそれにひと目で心を奪われてしまったのだ。 「これはどうやって使うんですか?」 アドバイザーに尋ねる
「つまり」アドバイザーは答えを溜めた。「なすがままにです」 気が付けば包装紙に包まれた口紅を持っていた。 形状からいって、これを唇に塗りつけるとは思えない。鋭利にとがりすぎている……。
「……これはペンですか?」 拙い中学生の英文のような質問をしてしまう。 鋭利に尖った口紅。身を飾るものではなく筆記用具なのではないか?そうであってくれ。
「いいえ、口紅です。…教科書どおりじゃなくてごめんなさいね」 薔薇色の先端に鋼のハイライト。次の瞬間、僕の口から同じ色の液体が溢れ出す。いま唇は真っ赤に濡れている。
『最高のドーナツについて論じよ』
最高のドーナッツを語るにはまず「ドーナッツ」の定義を定める必要がある。もちろん料理の歴史の本を確認すればある程度先行研究の結果が分かるのだが、ここはあえて改めて定義し直したい。
さもないとX(旧twitter)でどこからともなく、「ドーナッツではなくドーナツです」、なんてbotに絡まれ…ることはなくなったが、同様の事態を引き起こしかねない。 一つ譲れないのは、そう、穴だ。
なんとしても、ダース買いしてしまったこのカスタード&エンゼルクリームの山に穴を開けなくては。全てはそれからだ。 私は手始めに、オールドファッションを最高にインスタ映えしそうな角度で撮った。
ここのドーナツはやたらと写真写りが良い。普通のドーナツの写真なのに、またたくまに恐ろしいほどのリアクションが付いた。 やれやれ。『絵に描いた餅』……こと映えるドーナツである。さて、あと11。
『髪の間から覗くピアス』
それまで誰かの耳を特別だと思ったことはなかった。パーマを当てすぎた髪の間に、赤くぷっくりとした粒が見えたときまで。 思わず「耳んとこ、血が」なんて言いかけて、それが彼女の意志表示だと気付く。
それは、赤い石だった。 如何せん、宝石には詳しくないもので、何という石かはわからない。彼女の耳元で艶やかに存在感を放つ、ささやかな意思表示。 思わず声をかけずにはいられなかった。
「どなたの石ですか?」 え? ――え? どうしてそういう言葉が出たのだろう? 女性の様子も変だ。さっと顔を青くして、ピアスをもぎ取ると逃げるように去っていった。残されたそれをなぜか手に取っている。
――ま、そういうこともあるか。 なんとか自分をなだめ、残ったそれをポケットの奥に突っ込んでおく……あのピアスが女性の耳を輝かす姿でも想像しながら。
お題:特になし ページ数:8P
『背びれアラビックヤマト』
子供の頃から魚になりたいと思っていた。最初は「人魚になりたい」だったのが、自分はそんなメルヘンに相応しい存在ではないという自覚だけはあったせいだ。私には鰭がないから、厚紙で作って背中に貼る。
だから、なるべきは「魚」だ。人魚はずうずうしいかもしれないが、鮮魚売り場に並んでいる魚には別に文句もあるまい。あら珍しい魚だわ、なんて思われるくらいだろう。どうやって煮つけにするか調べられるだけで。
来てくれないだろうか。麗しきマダム。あるいは朗らかな料理番。もしくは小さなお使いさん。「魚」扱いしてくれる魅力的な来客よ。
だけどそれは叶わない。なぜならこの身には背びれがあると同時に――「液状のり」の刻印が刻まれているからだ。 案の定、その来客は私など眼中に無いようだ。 私は心の底で叫んだ。
くそったれ。お前のそのふざけた帽子の下にはでんぷん糊でも詰まってるのか。今日び人の肌色を論うのは道義的問題が生じるから、その目に痛い黄色のことは勘弁してやるが、帽子のセンスは許しがたいぞ。
編集長の後ろ向きな承認の言葉で締めくくられた手紙を、私は勝利宣言とらえた。やった! これで、私の人魚を修正しなくてすむ。私の理想を資本主義に売り渡さずにすんだ! 人間性だ。これぞヒューマニティだ。
今晩は最高のパーティを開こう! 使用人も全員参加だ! 隣のケチババアもこの際呼びつけよう。なにせ資本主義に勝ったのだから! 私の持つ資産をなげうって盛大な祝いをするのだ!
私は自らの手で招待状を送ることにした。何せこんなに目出度いことは無いのだから! そしてその招待状の糊付けに使うのはもちろん、消えいろPITなのだった。
『サラサラシンギュラリティ』
私は自慢じゃないがこのキューティクルが自慢だ。 陽光の元燦然と輝く天使の輪。 歩けば誰もが振り返る、そんな美しいキューティクル��� だけどある日私は、出会ってしまった。いつもの薬王堂で、それに…
「シンギュラリティ」。 普通AIとかで用いられるやつだろう? 知ってる知ってる。でも、目の前にある玩具みたいな瓶には、さも当然とばかりそのバズワードが踊っているのだ。ここはシャンプー売り場だぞ?
たかだかシャンプーで人間を超えようというのだから大きく出たものである(消費者庁案件か?)。 つくりもののラベルにAmazonの詐欺レビュー画面みたいな大げさな演出。なるではなくなりますと書いてある。
(特許庁案件かもしれない)良く見たら自分の会社が持っているハズの技術名が書かれている。いやなんでだ。こんなシャンプーに? もしかしてGoogle検索でなんとなく技術名をググったのか。
恐る恐る、私はその場でスマホを取り出し我が社のその技術名をぐぐってみた。すると、なんということだ!検索結果はゆうに5万件を超えたのだ。技術漏洩?まさか、そんなはすはない。
我が社のシステムは最新鋭の技術で保守されている。「excelがある程度使える方」とか「タッチタイピングができる方」とか、そんな感じの募集要項で採った平成初期の人材ではない。だが、今や令和。 …よもや。
今やアシスタントAIはなんでも、「できない層」を優しくあやし、母親のようになんでもかんでもやってやるようになった。だから時代が一周してそういう層が出てくるのもおかしくはない。若社長でなければな。
問題は私がその若社長だって事なんだ。甘やかされたい。母親のように……いや、姉のようならどうだろう。マザコンの時代は終わりシスコンの時代がやってくるのだ。 私は姉AIの開発へと歩を進めた……
『紅い茶の密室』
しくじった。 停電により電子錠が動かなくなってしまったせいで、ここから出られない。出ることができない。 ……。 誰かが来てくれれば……。
「パンパカパーーーン★ 王子様登場だゾ★ ゾ★」 そんな声の後ドカンと一発破壊音が響く。何らかの力でとじられていた木の扉が粉々になった。 ……ウソだろ? 鼻先スレスレを破片が飛んだ。
(VFX:Car on Fire) なんてことだ!粉々になって吹き飛んだ木の扉が、表に止めてあったプリウスのエンジンを貫いた! 王子様と名乗るその男は、炎を背に歯を光らせている。
遍くこの世の乗り物はナマの力で動くべきだと信じているんだろう。勝手に犯行動機を想像でもしないとやっていられない。確かにそれは高貴でもクールでもない乗り物かもしれない。だが、私にとっては「愛馬」なんだ。
私は呼んだ。口笛で彼女を呼んだ。密室から外に向か��て馬を呼んだ。駆けてきてくれるように祈りながら。絶対に成功しないように見える? 『ばかげていて、全く実用性がない』。それがトリックだ。
ピーー! ヒヒーーン! ピーーーーーー! ヒヒヒヒヒーーーーーン! リズミカルに繰り返される呼びかけ合い。私と彼女の華麗なるハーモニー。 トリックなんてクソ喰らえ。
ここはリオだ!リオのカーニバルだ!! ピーピーピピー!ドンシャカドンシャカ!! 私の彼女のハーモニーがクライマックスを迎えたその時、不思議な事が起こった! 木の扉が元通り塞がってしまったのだ!
どうしたってこれは密室だ。せっかく今の今まで、開放そのものの空気に満ち溢れていたのに。風通しが良いなんてもんじゃなかったのに。私は諦め、床に散らばった紙吹雪を片付ける。冷めた紅茶のような気分だった。
『正方形は溶けてなくなる』
「はい、どうぞ」 男は私に未完成のそれを渡した。 白と青の幾何学図形が……って高尚なこと言おうとしたけれど要は折りかけのオリガミ。 「キミなら分かってくれるよね」
「ううん、わからない。」 私は折りかけのそれの続きを折り始めた。 山折りで膨らみを作り、そっと隙間に差し込む。 「でも、貴方が求めてる答えは、きっとこれじゃないわよね」 私はそれを、手裏剣に折り直した
ただの紙切れごときが人の手にかかれば真心の証にもニンジャの武器にもなる。それは折り紙に限ったことじゃあない。人の手にかかれば… 「《彼》の手に掛かった者の行方を。谷折りの線みたいに辿れれば」
「アイヤアアーーー!」 その時。書架の隙間から、雄たけびを上げてニンジャが飛び出してきた。これが《彼》の追っ手か。��はページをちぎり取ると指示に従ってスリケンをつくった。キーは谷折りだ。つまり……。
私はすごい速度で谷折りを行った!爪の先を使い背中に隠し持っていた30cmの定規を使い折り曲げる。1mmのズレもない。完璧な仕事だ!これはオリガミ界のシンギュラリティだ!
すると、私の肩を叩く人がいた。 何気なく振り向くと、そこには驚愕の人物が立っていた。 「あなたは……SEIKOの社長さん!!」 「君、素晴らしい技術を持っているね」
どうしよう。気まずい。私は悟られないように、何気ない素振りで袖に手首を引っ込める。つい先日スマートウォッチに変えたばかりだ。まさに正方形の液晶画面を持つ… いや、待てよ。正方形じゃない。盲点だった。
このスマートウォッチには緊急通報をする機能がある。外部と通信しているのだ。私は通気口になんとかねじ込ませると、棒の先につけたスマートウォッチをさらに奥に突っ込んだ。���い切り投げる。鍵が開く音がした。
0 notes
Text
❤︎ 2O24/O3/27



ホラー映画みたがり小僧に付き合ってあげて、仄暗い水の底から。こわかったあああ!「俺左側みるから、りりむちゃん右側みて」って意味わかんないこと言われながらふたりで指の隙間からみた。夢に出てきてほしくないからほっこりで終われそうな映画も観たけど、眠すぎて途中でおわり!
0 notes
Text
レイニー レイニーエラー
薄荷色の 蜃気楼の森で 行列に並ぶ ハネナシは 黒をまとい アメフラシみたいだ 昼下がりの 白い靄が揺れて むせ返るような夏めきと 響きわたる 鐘の音 誰かの眼から 落ちた波紋(エコー) あれはいつかの水面(ミラー) 奇妙な奇怪(エラー)? 予報士は云った 「やがて雨になるでしょう」 降りしきる雨 続くパレード 誰かの供した 百合の花粉がこぼれて滲む 石の十字架の影 かくれんぼをしよう?近づいて 囁くよ 「ねぇ、遊ぼ?」 ハコがふたつ 中身はカラ!本当よ 噂で聞いたの!知ってるの! なのにみんな 大事に囲んでる ねじれた茎の 歪んだ花 回す 鮮やかな色彩(カラー) 奇麗な奇形(エラー) 予報士は云うの 「しばし強く降るでしょう」 追いかける幻影(ゆめ) 誰かのデジャヴ いつか手折った 見覚えのある見知らぬ顔が 仄暗い水底で かくれんぼをしてる Rainy…
0 notes
Text
【 #ミミすずイオホラー映画会 】初のゲストをお呼びして!傑作邦画ホラー『 仄暗い水の底から 』同時視聴【 猫瀬乃しん/神楽すず / ヤマトイオリ /ミミカ・モーフ 】【 ホラー映画 】 仄暗い水の底からの同時視聴コラボ配信です! こちらより作品がレンタルにてご覧できます! via YouTube https://www.youtube.com/watch?v=a3K2AdlfEF8
0 notes
Photo
Dark Water 『仄暗い水の底から』(2002) Written by Yoshihiro Nakamura 中村義洋 Directed by Hideo Nakata 中田 秀夫 Cinematography by Jun'ichirō Hayashi 林 淳一郎
#dark water#仄暗い水の底から#2002#2000s#Yoshihiro Nakamura#中村義洋#Hideo Nakata#中田 秀夫#Jun'ichirō Hayashi#林 淳一郎#Hitomi Kuroki#黒木 瞳#Rio Kanno#菅野 莉央#japanese horror#j horror#horror movies#horror film#japanese movies#japanese films#japanese cinema#horror cinema#ghost story#ghost movie#japan film club#halloween
246 notes
·
View notes
Photo

167 notes
·
View notes