#宮崎鼻灯台
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宮崎鼻灯台と宮崎海岸でヒスイ拾い #HDR #PENTAX #K50K #絞り制御復活 #SH-08M #宮崎鼻灯台 #ヒスイ海岸 #三菱ミラージュ #ミニヒマワリ #ギボウシ
宮崎海岸にまだ見たことも無い灯台があると知って出掛ける。その名を宮崎鼻灯台という。藪をかき分けラピュタのムスカ大佐になった気分。 道中は中部北陸自然歩道とされているけど、らしからぬ、電気柵のゲートが行く手を阻む。 恐る恐る電気ゲートを��り外し入山した。 道は狭く、この道で合っているのかと不安になったので、ハルキー、グリンと一旦引き返す。 当人は再度ターゲットめざしアタック、遊歩道を若干反れ、その先に灯台はあった。無事お宝ゲット。 灯台の下には旧北陸本線の廃線跡と廃トンネル。古代遺跡のようにも見えなくはない。 麓の鹿嶋神社を参拝。疫病退散を願った。 宮崎海岸でヒスイ探し。これはと思った石を鑑定してもらったが、石英ということだった。 ペンジとミラジも一緒。 我が家に帰るとひまちゃんとギボウシがお出迎え。 宮崎鼻と聞いて、伝説の鼻毛石を思い出した。もうあれから12年経った。

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#fbf to adventures in Ibusuki at Ryugu Shrine and Nagasakibana, where the legend of Urashima Taro originated from the abundance of sea turtles that visit here. We also ate some incredible traditional Satsuma food at さつま味 (Satsuma Aji) like Satsuma-age fish cakes, this Dobinmushi stew made with shrimp and Matsutake mushrooms, as well as 黒豚とんこつ 味噌煮込み (Kagoshima Berkshire Black Pork belly and knuckles simmered with miso. They also gave us some cute tiny Komikan mandarins on the way out. #鹿児島 #指宿 #指宿グルメ #薩摩 #龍宮神社 #長崎鼻 #夕陽 #開聞岳 #海 #自然 #九州 #灯台 #さつま味 #さつま揚げ #土瓶蒸し #松茸 #黒豚 #とんこつ #こみかん #ibusuki #kagoshima #ryugu #shrine #sunset #satsuma #food #satsumaage #dobinmushi #lighthouse (at 龍宮神社) https://www.instagram.com/p/CKVrGgSlzTw/?igshid=9kbx0gmj0li0
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ご家族の高齢化もあり(ということは被害者も高齢化していくということで)、ここしばらく、救出運動の中で「もう待てない」という言葉が何度も語られてきました。
しかし、今回の米朝首脳会談を基礎にして拉致問題の今後の対応を進めるなら「いつまでかかるか分からないが、まだ待て」ということになります。ストックホルム合意の二の舞です。日朝でやるといっても米国が体制を保証し、米韓合同軍事演習も中止して、場合によっては在韓米軍も撤退させるというのでは北朝鮮の最大の脅威はなくなったわけで、真面目に交渉に応じるはずはないからです。
日本がカネを出さないといっても、トランプ大統領が「非核化のカネは日本と韓国が出す」と言ったのは安倍総理も何らかの言質を与えたからでしょう。「そのうちうまいこといくからさあ、今は我慢して出しといてよ」と言��れても、米国頼みでやってきたのですから断ることはできないでしょう。やり方はどうするのか知りませんが、国民が止めなければ結局その方向に向かうはずです。
トランプ大統領が米韓合同軍事演習��「挑発的な戦争ゲーム」とし、「カネがかかるからやめる」と言ったのは米国の中でも驚きをもって受け入れられているようです。予測不能な大統領ですからこれからも何をするか分かりません。本当に「もう待てない」なら、今回の米国頼み戦略(?)は失敗だったという認識の上に新たな戦略を立てるべきです。そうしなければミッドウェーの後の帝国海軍のような結果になるのではないでしょうか。
北朝鮮船・船体の一部・遺体の着岸漂流一覧(平成30年6月1日現在確認分) 《平成28年(2016)以前》------------------------------------------------- ※確認出来たものを逐次入れていますが、あくまで氷山の一角です。実際には遥かに多くの事件が起きています 昭和62年(1987) 1月20日 福井沖 漁業資源監視船「ズ・ダン9082号」(約50トン・鉄鋼船)が男女11人を乗せて亡命。(620201読売東京) 平成2年(1990) 10月28日 福井県美浜町久々子海岸 ベニヤ板製の工作子船と思われる船(長さ8.3m幅2.5m 船底からビニール袋に密封された乱数表2枚と換字表1枚、日本製とみられる白紙の手帳)(021030読売東京) 11月2日・11日 美浜町沖合や海岸 遺体2体(20代~40代) 平成10年(1998) 12月2日 島根県隠岐郡西ノ島町 遺体1体(男性) 12月16日 島根県浜田市 遺体1体(女性) 12月16日 島根県隠岐郡五箇村(現隠岐の島町) 遺体1体(北朝鮮軍兵士)(110127読売大阪夕刊) 12月21日 石川県河北郡七塚町(現かほく市)遠塚海岸 遺体1体(女性兵士・労働党候補党員証を身に着けていた)。 12月25日 福井県大飯郡高浜町和田海岸 丸太組みのいかだとロープでつながれた男性遺体3体(軍服姿、腐乱し一部白骨化、死後1~3カ月 30~50代、身長1m60~70センチ 胴体と足に直径約20センチの球形ブイ数個が付いていた)。(101225読売大阪夕刊) 平成11年(1999) 1月14日 福井県三方郡三方町(現三方上中郡若狭町) 遺体1体(北朝鮮軍上佐とみられる。「私たちの船は朝鮮人民軍26局4地区副業船、船籍は元���市」「昨年11月に兵士ら15人が乗船して出港したが機関故障で冠水、漂流した」と書かれたメモや航行に関する書類)(110127読売大阪夕刊) 1月22日 鳥取県鳥取市浜坂鳥取砂丘 遺体1体(北朝鮮軍兵士)(110127読売大阪夕刊) 平成13年(2001) 12月16日 遺体1体(男性・30~60歳 一部白骨化 紺のランニングシャツと緑色のパンツ 死後2~3カ月 数百m離れた場所に男性の北朝鮮公民証)(131231読売東京) 12月 新潟県佐渡市鷲崎海岸 木造船(ハングルで洪原と記載)・遺体1体(赤十字の照会で「1955年生まれで昨年10月8日漁に出たまま行方不明になった」とのこと)(140129読売新潟北版) 平成14年(2002) 1月4日 石川県能美郡根上町(現能美市)山口町グリーンビーチ 木造船(長さ約6m)(140108読売石川版) 1月5日 石川県羽咋市一ノ宮海岸 木造船(長さ約6m 前方にハングルと数字)(140108読売石川版) 1月9日 石川県河北郡宇ノ気町(現かほく市)大崎海岸 木造船(長さ約3m、幅約1.5m 後方にハングルと数字)(140110読売石川版) 1月11日 石川県羽咋市大川町釜屋海岸5日の木造船漂着地の南500m 鉄製船(長さ約5.9m幅約1.5m船首に文字らしきもの) 3月19日 石川県輪島市小池町海岸 木造船(長さ6.5m幅2.5m 後部に発動機。船首部分内側にハングルが書かれたプレート)(140320読売石川版) 4月11日 北海道爾志郡熊石町(現二海郡八雲町)見日海岸 木造船(長さ約6m70センチ幅約1m50センチ 船尾にスクリューがあったがさびて動かずエンジンも付いていなかった)(140411読売札幌版夕刊) 12月28日 石川県河北郡内灘町宮様海岸 遺体1体(身長約1m62、20~50歳、死後1~6カ月、金日成バッジ) 平成15年(2003) 1月10日 新潟県岩船郡粟島浦村釜谷の消波ブロック 遺体1体(頭部白骨化、身長約1m70、黒の長袖シャツと黒の靴下)・木造船(長さ約9m幅約2m船首部分に漁網) 3月5日 新潟県柏崎市海岸 遺体1体(男性・20~40歳 下半身のみ 165㎝ 茶色作業ズボン、青色ももひき、黒色半ズボン、北朝鮮紙幣死後半年前後) 平成16年(2004) 12月2日 新潟県佐渡市 遺体1体(男性 40~60歳 152.5㎝ B型カーキ色軍服様長袖、カーキ色軍服様長袖シャツ、グレーハイネックセーター、青色長袖シャツ、茶色ベルト) 平成18年(2006) 1月4日 京都府舞鶴海上保安部管内 木造船(180131読売大阪朝刊) 1月 鳥取県内に4隻の木造船が漂着(180126読売大阪朝刊) 1月24日 鳥取県西伯郡大山町 木造船(180126読売大阪朝刊) 1月25日 鳥取県鳥取市伏野海岸 木造船(長さ5.65m幅1.4m)(180126読売大阪朝刊) 1月30日 京都府京丹後市久美浜町箱石海岸 木造船(180131読売大阪朝刊) 平成19年(2007) 6月 青森県西津軽郡深浦町 木造船・生存者4人 (191227読売東京夕刊記事)11月中��以降北朝鮮からの木造船16隻が漂着、新潟と石川の海岸が大部分。 平成20年(2008) 1月10日 福井県福井市西二ツ屋町海岸 木造船(長さ約6m幅約1.5m 船尾に船外機、船首にハングルが彫られていた)(200112読売大阪朝刊) 3月26日 秋田県男鹿市北浦入道崎海岸 木造船(長さ約5.8m幅約1.4m 側面や船尾にハングル)(200326読売秋田版) 平成23年(2011) 9月 輪島市沖合で木造船に乗った脱北者9人を救助(後に韓国に移送) 9月26日福井県三方郡美浜町関電美浜原発敷地内の岩場 木造船の一部(230927読売大阪朝刊) 平成24年(2012) 1月6日 島根県隠岐郡隠岐の島町那久岬沖 木造船・生存者3人(9日に北に引き渡し)・遺体1体(241224読売島根版) 1月19日 島根県隠岐郡隠岐の島町 木造船(241224読売島根版) 2月22日 島根県隠岐郡隠岐の島町 木造船(241224読売島根版) 2月27日 島根県隠岐郡海士町 木造船(241224読売島根版) 4月4日 島根県隠岐郡隠岐の島町 木造船(241224読売島根版) 11月28日 新潟県佐渡市大小海岸 木造船(長さ約12.8m幅約3.4m エンジン 船首にハングル 捕った魚を保管するスペース)・遺体5体(成人男性 雨具とみられるビニール製のズボンを履き、船内に長靴 死後2~3カ月 一部白骨化 長時間海水に漬かっていた形跡があり、船が一度沈没した可能性 1体は推定年齢30~40歳代前後、身長約170cm、長袖灰色シャツ、紫色ハイネックセーター、赤色半袖Tシャツ、 下衣は紺色ナイロン製ズボン、灰色ズボン、水色スウェットズボン、 黒色ボクサーパンツ、黒色靴下ほか紳士用黒色デジタル腕時計着用)(241129読売新潟版他) 12月1日 新潟県佐渡市赤泊杉野浦の海上 木造船(長さ約10m 船内からイカ釣り用の針)・遺体1体(年齢40~50歳前後の男性 死後1~2カ月 胃の中に食べ物なし 遺体は屍蝋化 身長約167cm、 着衣は緑色ニット帽、紺色フード付長袖ジャンパー、黒色長袖作業着、紺色ベスト、 胸に鷲マーク入り紺色長袖トレーナー、紺色ランニングシャツ、 下衣は灰色防寒ズボン、ホック式ベルト、紺色ビニール製ズボン、こげ茶色股引、 緑色ブリーフパンツ、両足に白色と小豆色の格子柄靴下、 ゴム製長靴(サイズ25.0cm、上部中央ハングル)着用) 12月1日 新潟県佐渡市北鵜島の海岸 木造船の一部(右舷部分とみられる長さ約4メートルの木片 船首付近にハングルと数字) 上記の者は、平成24年12月1日午後0時13分頃、佐渡市において、 転覆した木造船内にて遺体で発見され死後1~2カ月経過していると推定されます。 遺体は火葬に付し、遺骨は当市の真楽寺にて保管)。12月12日 石川県輪島市 木造船(長さ約11m幅約3.5m 船首両横にハングル、漁網や釣り針)内から遺体1体(一部白骨化) (270110読売記事では「輪島市沖合で木造船の漂着や漂流が相次ぎ、漂流した船体の近くで3遺体が見つかる」) 平成25年(2013) 11月15日 新潟県佐渡市沖の海、姫津沖約5.5キロ、木造船(船尾水没 操舵室上部に赤い塗料でハングル、ジャンパーのような衣類) 12月18日 新潟県岩船郡粟島浦村 木造船(長さ約12m・幅約3.5m 船首にハングル 船内からイカ釣り漁の針や「朝鮮平壌」と書かれた箸)・遺体1体(身長約1m75センチ、防寒ジャンパー着用・死後数週間)(251218読売東京朝刊) 12月25日 秋田県男鹿市北浦湯本 木造船(長さ約12m幅約3.5m船内に漁網など)・遺体3体(251225読売秋田版)※300512時点でも現存 12月28日 新潟県長岡市寺泊野積海岸 木造船(長さ8.25m幅2m 船首に数字やハングル)(251229読売新潟南版) 12月29日 新潟県柏崎市西山町石地海岸 木造船(長さ6.6m幅1.7m 船首に数字やハングル)(251230読売新潟南版) 平成26年(2014) 8月 石川県珠洲市沖合で北朝鮮船の乗組員4人救助(後に大連経由で帰国) 平成27年(2015) 1月9日 石川県羽咋郡志賀町安部屋漁港北400m 木造船・生存者1人(服などが入っている透明ビニール袋を所持 61歳 後に帰国) 7月23日 青森県下北郡佐井村矢越漁港 木造船1隻(271209読売) 10月27日 青森県下北郡佐井村福浦漁港 木造船1隻・遺体1体(271209読売) 11月1日 秋田県山本郡三種町沖 木造船(271209読売) 11月2日 秋田県男鹿市 木造船(271209読売) 11月14日 新潟県佐渡市岩首漁港沖 木造船(長さ約13m幅約3m 黒ずんだ船体にハングル リュックサックに金正日バッジ)・遺体1体(上下黒の衣服)荒天のため12月2日に海保が引き揚げ発表 11月 石川県輪島市沖木造船3隻・遺体10体(産経ニュース・ TBS動画ニュースサイト・毎日新聞11月28日) 11月6日 北海道松前町沖 木造船・遺体2体(271107読売東京朝刊) 11月14日 新潟県佐渡市沖 木造船・遺体1体(271209読売) 11月19日 秋田県能代市沖 木造船・遺体2体(271209読売) 11月20日 石川県輪島市沖 木造船3隻・遺体10体(271209読売) 11月22日 福井県越前町沖 木造船・最低でも7人とみられる遺体・遺骨(271209読売) 11月22日 新潟県佐渡市沖 木造船(271209読売) 11月23日 石川県輪島市沖 木造船の一部(271209読売) 12月2日 青森県下北郡佐井村長後牛滝漁港 木造船(船内にハングルの書かれた救命胴衣)・遺体4体(海保の司法解剖結果で死後1~6カ月経過 靴にハングル)(271207・1209読売東京朝刊) 12月2日 兵庫県美方郡新温泉町沖 木造船の一部(271209読売) 12月7日 石川県金沢市沖 木造船(271209読売) 平成28年(2016) 5月20日 青森県下北郡風間浦村易国間桑畑漁港近く 木造船(長さ約6.7m幅約1.5m 左舷船首部分にハングル)(280522読売青森版) 6月5日 青森県むつ市大畑町大畠漁港沖 木造船(全長約9m幅約2.3m 船体に海藻が付着 右舷船首部分にハングル)(280607読売青森版) 10月17日 青森県西津軽郡深浦町沖(十二湖駅近くの岸壁に引航) 木造船(281018読売青森版) 10月18日 青森県下北郡佐井村沖 木造船(長さ12m ズック、手袋、靴下など)(281029読売青森版他) 10月29日 青森県下北郡佐井村牛滝漁港 木造船(長さ6.2m幅2.53m)(281029読売青森版) 10月30日 青森県つがる市七里長浜 木造船(長さ16.2m幅4m 船首に赤色数字 船内にロープや網)(281101読売青森版) 12月5日 京都府舞鶴市 木造船(北朝鮮5000ウォン紙幣2枚、漁具など)・遺体9体(一部白骨化)(TBSあさチャン) 《平成29年(2017)以降》--------------------------------------------------- ※出典については逐次書き加えています。石川関連のほとんどが北國新聞、新潟関連の大半は新潟日報の記事です。 平成29年(2017) 1月1日 新潟県糸魚川市筒石 木造船の一部 1月6日 新潟県上越市柿崎区 木造船 1月6日 福井県三方郡美浜町菅浜弁天崎南1キロ 木造船(船体にハングル���ような文字 船内にエンジンの一部とドラム缶)(290106読売大阪朝刊) 1月7日 福井県小浜市犬熊 木造船 2月7日 島根県隠岐郡隠岐の島町神尾 木造船 2月11日 石川県金沢市 木造船 2月15日 京都府京丹後市間人 木造船 2月15日 京都府舞鶴市瀬崎海岸 木造船 3月8日 島根県隠岐郡隠岐の島町油井 木造船 3月14日 石川県輪島市門前町 木造船の一部 3月18日 石川県羽咋郡宝達志水町 木造船(長さ約5m幅約1.5m 船尾の白い板にハングル)(271209読売) 3月22日 石川県羽咋市寺家町 木造船 3月28日 京都府京丹後市 木造船 4月28日 秋田県男鹿市入道崎灯台西300m 木造船(長さ約10m幅約5m)・遺体1体 5月1日 北海���函館市函館港 木造船の一部 5月2日 新潟県佐渡市石名地区 木造船 6月1日 新潟県佐渡市鷲崎地内 木造船 6月26日 兵庫県香住町余部海沖 木造船(「0제16749」と記載 男性遺体1体身長約168センチ) 7月31日 島根県隠岐郡隠岐の島町福浦 木造船の一部 8月9日 島根県隠岐郡西ノ島町三度埼 木造船 9月6日 青森県西津軽郡深浦町大間越 木造船 9月25日 北海道室蘭市東町 木造船の一部 11月7日 新潟県佐渡市羽茂三瀬地区 木造船(長さ13.7m幅3.7m 「888-88879」の数字記載) 11月15日 秋田県西400キロ沖(大和堆北方EEZ外)転覆した木造船 3名救助 11月16日 秋田県西沖(大和堆)木造船 遺体4体 11月16日 秋田県にかほ市 木造船 11月19日 青森県北津軽郡中泊町小泊 木造船(長さ8.7m) 船体にハングル表記 11月20日 青森県西津軽郡深浦町大間越 木造船(長さ12.6m 「913185」の数字記載。スクリューやエンジンが残っていた)周辺で救命胴衣6個発見 11月21日 山形県鶴岡市暮坪海岸 木造船(長さ7m) 船体にハングルや「89829」の数字が記載(庄内ブルーリボンの会資料には全長10mとの記載あり) 11月23日 新潟県佐渡市南片辺 木造船(長さ約10m幅約2m 船体にハングルと数字が記載 エンジン 周辺から漁網やイカ釣り針、防寒具など) 11月23日 秋田県由利本荘市マリーナ 木造船(長さ20m) プレートにハングルで「チョンジン」と記載。生存者8名 内2名が近くの民家に行ってインターフォンを鳴らしたことで上陸が分かる(従って検疫を受けずに上陸した9。証拠品である船はマリーナに係留していたが県警が見失い、後に破片の一部を回収。 11月24日 秋田県男鹿市宮沢 木造船(長さ約14m幅約3.2m 船首付近に「556-60756」と記載)・遺体8体(白骨化)・北朝鮮製たばこ等 11月25日 新潟県佐渡市藻浦崎 木造船の一部(「88737」の記載)・遺体1体 11月26日 新潟県佐渡市石花 遺体1体 11月26日 北海道松前郡松前町小浜 木造船の一部(船首部分長さ4m 黒く塗られ数字のようなもの記載) 11月26ないし27日 青森県西津軽郡深浦町艫作(へなし)椿山展望台西200m 木造船(船首部分に「2093」の数字が記載) 11月27日 石川県羽咋郡志賀町西海 木造船の一部 11月27日 石川県羽咋市 木造船 11月27日 石川県珠洲市三崎町小泊沖 漂流船(長さ12m幅2.5m 船内に「264軍部隊 軍船」と記載された紙片) 11月27日 青森県下北郡佐井村 木造船(長さ12.3m幅3.6m 船首に115489 エンジン付き 後部は一部破損するも櫓はほぼ原型) サイズ24センチ男物革靴(ヒールの高いシークレットブーツ様のもの)と英文の書かれたジャケット(要確認) 11月28日 北海道松前郡松前町松前小島 木造船(長さ約10m 「朝鮮人民軍第854部隊」との記載)・生存者10名 11月28日 山形県鶴岡市鼠ヶ関沖 木造船・遺体3体(うち2体の衣服に金日成バッジ) 12月2日鶴岡市温見漂着、12月4日遺体漂着 11月28日 石川県輪島市舳倉島沖 漂流船2隻 11月30日乗組員21名が北朝鮮僚船に救助される。 11月30日 新潟県佐渡市藻浦崎 遺体1体(地元で聞いた話では遺体はなかったとのこと) 12月1日 青森県西津軽郡深浦町森山海岸 木造船(長さ約10m幅約2.4m) 12月1日 新潟県佐渡市両津湾 木造船 12月1日 山形県鶴岡市鼠ヶ関マリーナ 木造船の一部 12月2日 新潟県佐渡市小木江積海岸 木造船(長さ約9.8m幅約2.3m)・遺体2体 12月2日 秋田県山本郡八峰町八森岩館付近海岸 木造船(ハングルの書かれたバケツ)・遺体1体 12月2日 山形県鶴岡市米子漁港 木造船(長さ10m弱)遺体3体(4日に漂着 庄内ブルーリボンの会) 12月4日 新潟県柏崎市西山町石地付近 木造船の一部 12月4日 新潟県長岡市寺泊大和田 木造船 12月4日 新潟県新潟市西蒲区角田浜沖 木造船 12月4日 秋田県にかほ市海水浴場 木造船の一部(ハングルの書かれたバケツ、缶詰)・遺体1体 12月4日 青森県西津軽郡深浦町北金ヶ沢 木造船(12日に遺体→別記) 12月5日 新潟県佐渡市高千漁港 木造船(幅約3.1m) 12月5日 新潟県新潟市 木造船漂流(ブロックに衝突し大破)・遺体2体 12月5日 山形県鶴岡市マリーンパーク鼠ヶ関 木造船の一部(庄内ブルーリボンの会) 12月6日 青森県西津軽郡深浦町入良川河口付近 木造船(「915430」と記載) 12月7日 秋田県男鹿市五里合漁港北100m砂浜 木造船(「913300」と記載)・遺体2体 12月7日 秋田県山本郡三種町 木造船1隻(ハングル表記のライフジャケット) 12月7日 新潟県佐渡市北狄(きたえびす)地区海岸 木造船・遺体1体 12月7日 新潟県佐渡市和木沖 木造船・遺体1体 12月7日 福井県坂井市三国町サンセットビーチ 木造船の一部 12月7日 山形県鶴岡市マリーンパーク鼠ヶ関 木造船の一部(庄内ブルーリボンの会) 12月8日 新潟県佐渡市水津漁港 木造船の一部(幅約2.8m)・後に男性の遺体1体発見 12月8日 石川県珠洲市長橋町 木造船の一部(後に流出し2月22日珠洲市大谷町海岸に漂着) 12月9日 石川県珠洲市笹波町 遺体1体(一部白骨化し性別不明 死語数か月 セーター、シャツ着用 12月9日 新潟県村上市府屋海岸 木造船 12月9日 新潟県佐渡市岩谷口海岸 遺体1体 12月9日 新潟県佐渡市姫崎沖 遺体1体 12月10日 山形県鶴岡市堅苔沢海岸 遺体1体(上半身のみ) 12月10日 新潟県佐渡市石名沖 木造船(幅約3m) 12月12日 新潟県柏崎市荒浜 木造船・遺体2体遺体は白骨化しており、服や身の回りの物も無かった。船はその後産業廃棄物として処理。白骨化した遺体は火葬後、無縁仏として埋葬。 12月12日 新潟県村上市沖 木造船 12月12日 青森県西津軽郡深浦町十二湖海浜公園 木造船(「912358」と記載) 12月12日 新潟県佐渡市宿根木 木造船の一部 12月12日 青森県西津軽郡深浦町北金ヶ沢千畳敷橋付近海上 遺体3体(12月4日の漂着船が岩にぶつかって破損し中から流れ出たものと思われる) 12月12日~13日 石川県羽咋市 木造船の一部 12月13日 山形県遊佐町吹浦西浜海岸周辺 遺体1体 12月13日 山形県鶴岡市鼠ヶ関マリーナ 木造船の一部 12月13日 秋田県潟上市出戸浜海水浴場付近 木造船・遺体2体 12月13日 秋田県男鹿市北浦入道崎灯台南約2km 木造船(長さ7m幅1.9m) 12月13日 秋田県秋田市浜田 遺体1体 12月13日 新潟県村上市瀬波温泉海岸 木造船(「632-90452」と記載) 12月13日 新潟県胎内市松浜海岸 木造船 12月14日 秋田県秋田市雄物川河口近く 木造船2隻・遺体6体 12月14日 青森県西津軽郡深浦町白神浜 遺体1体 木造船の一部 12月14日 新潟県長岡市寺泊郷本海岸 木造船・人骨5本 12月14日 新潟県佐渡市鵜ノ瀬鼻沖 木造船(全長約13.5m幅約3m) 12月14日~15日 石川県羽咋市志賀町 木造船の一部 12月15日 石川県金沢市金沢港沖 木造船 12月15日 新潟県佐渡市下相川 木造船(長さ約13m幅約3m 岩場で大破したがそれ以前はイカを干す��グラや集魚灯の一部も残っていた) 12月15日 青森県下北郡佐井村津鼻崎南 木造船(船首に「567-66341」)1週間前の漂流時には船全体の形があったがその後時化で崩壊し海岸に各部分が海岸に漂着) 12月15日 山形県鶴岡市五十川海岸 遺体1体 12月16日 石川県羽咋市千里浜インター付近 木造船の一部 12月16日 青森県深浦町田野沢 木造船(「547-66205」と記載) 12月17日 石川県珠洲市 木造船の一部 12月18日 新潟県佐渡市鷲崎沖 木造船 12月18日 山形県鶴岡市湯野浜海岸 木造船(長さ10m弱) 12月19日 秋田県にかほ市飛字餅田海岸 木造船・遺体2体 12月19日 石川県羽咋郡志賀町 漂流船(海保は発見できず) 12月20日 石川県羽咋郡志賀町 富来漁港(西海漁港) 漂着船 12月21日 新潟県佐渡市関岬 木造船(長さ11.6m幅2.75m 船首にハングル表示) 12月21日 新潟東港沖18キロ 木造船 12月21日 新潟県岩船郡粟島浦村釜谷 木造船の一部(縦1.5m横1.2m) 12月21日 青森県下北郡佐井村沖 木造船(転覆した状態で網にひっかかっていた 船尾に「0-세・98180단천」)・遺体4体(佐井村資料には記載なし)佐井村資料には女性もののようなビニールと思われるバッグ、ライフジャケットなどが写っている。バッグの中身はタバコ、タオル、歯ブラシ、書類らしきものなど) 12月23日 石川県羽咋郡志賀町 木造船(長さ約8.4m幅約2.2m 15日に金沢港沖を漂流していた船と同じ番号が船体に記載) 12月24日 新潟県新潟市 新潟港沖12キロ 木造船(21日のものと同じ可能性あり) 12月24日 山形県鶴岡市油戸漁港付近 木造船の一部・周辺に遺体4体 12月24日 山形県酒田市浜中海水浴場周辺 遺体1体(星型マークがバックルに付いた布製ベルト) 12月25日 新潟県佐渡市羽茂大橋 木造船(長さ約10m、幅約2.2m) 12月29日 鳥取県鳥取市気高町奥沢見海岸 遺体1体(ハングルが書かれたタグのついた黒い長袖ジャージと長袖Tシャツ、ズボン下着用。身長約170センチ、頭部はほぼ白骨化) 12月29日 新潟県新潟市西蒲区越前浜海岸 木造船の一部(長さ3m幅1.6m高さ1.43m 煙突あり) 平成30年(2018) 1月2日 新潟県村上市馬下(まおろし)地先海岸 木造船(長さ10.5m幅3.0m) 1月4日 秋田県山本郡三種町釜谷浜海水浴場 木造船の一部(長さ約8.1m幅約2m 船底及びスクリュー) 1月4日 新潟県佐渡市北田野浦 木造船の一部 1月4日 新潟県柏崎市西山町大崎地先海岸 木造船の一部(船尾部分長さ1.9m幅1.9m) 1月4日 秋田県山本郡三種町釜屋浜海水浴場南側 木造船の一部(船底部分長さ8.1m幅2.0m) 1月4日 石川県羽咋郡志賀町 遺体1体(推定年齢30~50歳・身長約164センチ・黒色系のジャンパーやシャツ、ズボン着用。ハングルが書かれたタバコ、腕時計、電池、紙束などを所持。 1月5日 新潟県佐渡市相川鹿伏 木造船の一部 1月5日 石川県白山市沖 木造船(長さ約13m幅約3.5m 船首にハングル) その後不明 1月6日 秋田県由利本荘市松ヶ崎漁港 木造船の一部(長さ4m幅約2m 白地に赤の数字) 1月7日 京都府京丹後市網野町 木造船(長さ約10m幅約3m ハングルのような文字の書かれた板が付近に漂着) 1月7日 新潟県佐渡市入桑漁港 木造船の一部 1月8日 新潟県新潟市西蒲区間瀬海岸 木造船(長さ約5m幅約1.5m) 1月8日 秋田県男鹿市野石申川海岸若美漁港南1km砂浜 木造船の一部(長さ約7.7m幅約1.9m船底とエンジン) 1月10日 金沢市下安原町安原海岸 遺体1体(年齢不詳顔などの一部が白骨化。黒色のジャンパーと青色のズボンを着用。身元や国籍の分かるものは身に着けていなかった) 木造船(遺体から15mの距離 長さ16m幅高さともに3m 船尾にプロペラ 船体にハングルや数字などの標記見つからず 船内から16日7遺体発見 船首付近に4人、真ん中あたりに3人が折り重なるように倒れていた。セーターやトレーナーを着ており目立った外傷はなかった。 金日成と金正日の並んだバッジ1個) 1月21日 新潟県粟島八幡神社から200mの海岸 木造船の一部(船尾 長さ1.2m幅1.3mのコの字型 赤字でハングル2文字が書かれていた) 1月24日 石川県羽咋郡志賀町西海千ノ浦海岸 木造船(長さ8.15m幅1.9m高さ1m平底型 船体に白く614という番号記載 コールタールのようなもので塗装、傷み激しく長期間漂流したものと推定 近くに「10465료대」と書いた木片あり) 1月24日 山形県鶴岡市湯野浜海岸 木造船(長さ5.45m幅1.5m) 1月28日 石川県羽咋市新保町(志雄パーキングエリアの北約400m)木造船(長さ5.871m、幅1.87m 船体に黒い塗料。目立った損傷なし ハングルと「9-964」の記載) 1月30日 石川県羽咋郡志賀町大津、上野の境界近くの海岸 木造船の一部。不鮮明だが「3682370」と白い文字で船体に記載。 1月31日 山形県鶴岡市マリンパーク鼠ヶ関 木造船の一部 2月2日 石川県金沢港北西約64キロ沖 木造船。船体に文字や数字とみられる表記。 2月2日 秋田県由利本荘市出戸字浜山の海岸(西目漁港北東1キロ) 木造船の一部(長さ4.5m幅約2.7m 船体に赤い字で「556-60269」と記載 2月4日 秋田県由利本荘市親川河口付近 木造船の一部(長さ約5.4m幅約1.9m 赤い数字のような文字が記載) 2月7日 石川県輪島市名舟町海岸 木造船(長さ約5m幅約2m 「760-75200」と船体に記載) 2月9日 石川県かほく市白尾海岸 木造船(船体に番号表記) 2月10日 石川県羽咋郡志賀町 木造船2隻(1隻は海士崎灯台北500m、長さ約12m幅約2m 船首部分に「505-64271」の番号記載があり1日に金沢港沖で発見された漂流船と思われる。もう1隻同灯台北約200m、長さ約5.4m幅1.5m 船尾破損 文字番号等記載なし) 2月11日 石川県加賀市美崎町漁協加賀支所から400m海岸 木造船(長さ約18m幅約5m 船首右舷に「504-66272」と記載)(300212北國) 2月13日 石川県羽咋市一ノ宮町一ノ宮海岸 木造船(長さ約7m幅約1.85m)(300214北國) 2月13日 石川県輪島市門前町池田海岸 木造船(長さ約4.35m幅約1.08m 船体にハングルと番号表記)(300214北國) 2月13日 石川県羽咋郡志賀町西海千ノ浦海士崎灯台近くの海岸 木造船(長さ約5.6m幅約1.4m 船首と船尾にハングルと番号表記)(300214北國) 2月13日 秋田県男鹿市野石字五明光海岸三種町との境から南約1.3キロ 木造船(長さ約10.1m幅約2.1m 船内にエンジンと漁網を巻き上げる機械 船体に「29488」とハングルの記載) 2月15日 石川県羽咋郡志賀町百浦海岸 木造船(長さ9.7m幅約2.19m スクリューとエンジンあり) 2月20日 石川県金沢市金沢港北西20キロ沖 木造船(長さ約6m幅約1.5m 船首に「4233」の記載) 2月21日 石川県輪島市塚田長塚田橋付近の岩場 木造船(長さ5.75m幅1.83m 無動力���)(300222北国) 2月21日 石川県輪島市門前町鹿磯漁港付近砂浜 木造船の一部(平底部長さ3.81m幅1.83m左舷側一部が残る プロペラ軸受け部金属を確認。(300222北国新聞) 2月22日 石川県輪島市深見町海岸 木造船(全長10m幅2.65m 船尾にスクリュー)(300223北國) 2月24日 秋田県能代市浅内字砂山海岸能代ロケット実験場南西約5キロ 遺体(北朝鮮との関連不明、一部白骨化した男性、身長約165センチ、着衣や履き物はなかった)(300225秋田魁) 3月6日 石川県輪島市名舟海岸 木造船の一部(全長4.5m幅2.2m遺留品は見つからず)(300307北國) 3月10日 石川県羽咋郡志賀町大島(おしま)漁港南側約180m海岸 木造船の一部(最大長5.2m 赤い数字「5129-61247」 船首に日本製ゴムタイヤを使った緩衝材)(300311北國) 3月12日 石川県羽咋郡志賀町安部屋海岸 ハングルと数字の書かれた木製標識・人民軍軍帽・究明浮輪(300313北國) 3月13日 石川県金沢市内灘海岸 木造船の一部(船首部分 長さ2.1m コールタールのような塗料・範読できない文字が表記)(300314北國) 4月17日 石川県珠洲市能登町布浦(ぬのうら)海岸 木造船(長さ6.1m、幅1.7m、深さ0.8m 船体にハングルや数字が記載)。 5月16日 北海道爾志郡乙部町 木造船の一部 5月31日 青森県中泊町小泊漁港付近 木造船
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第18回 議事録
日時:8月27日(金)
場所:オンライン(Google Meet)
欠席:村上
進捗確認
サッカー(村上・若林)
腰の角度をグラフで可視化し、プロとの違いを見つけた。現在は別の指標を見つけるため、動画を分析中。今後の作戦についてサッカーチームで話し合う。
バスケ(菊池・宮崎)
7つの項目に着目して、グラフ化した。グラフでは上手い人と対象者の過去と現在を比べた。対象者は以前より上手い人の体の使い方に近づいた。膝や尻に関しては上手い人はあまり動いていないのに対し、対象者はよく動いていた。今後はリアルタイムで点数化をしていきたい。ボールの軌道を分析するところで行き詰まっている。
野球(佐野)
リアルタイムで分析することを目標に取り組んでいる。現在は自身の投球フォームで腕のしなりの角度やスピード、リリースの高さを分析。右手首などの加速度をグラフで可視化したところ、リリースポイントに向かって加速していて、投げ終わりに減速していることがわかった。今後は球を投げる瞬間を分析。メンバー9人分の投げるフォームを分析できたら面白そう。
歩行姿勢(亀井)
以前に録った佐野くんの歩行姿勢を分析。悪い姿勢のパターンを見つけ、対象者がどのパターンに当てはまるかを判別。耳・肩・尻のx座標の差を可視化。差が大きいと姿勢が悪いことが読み取れる。腕の振り幅を計測するために、重心からの距離で大体の振り幅を計測した。欠損データはグラフで補完した。また、尻・膝・足首のx,y座標から膝の曲がり具合を計測した。今後はリアルタイムで歩行姿勢を点数化し、姿勢年齢を表示するシステムを作りたい。阪大のベンチマークは尾形先生と相談。(詳しくはPDF参照)
Web会議システム(武田)
リアルタイムで角度を求め、グラフで可視化するプログラムを作成。顔を隠すプログラムを作成したが、端にあたると消えてしまう問題点がある。Zoomだけでなく、GoogleMeetでも骨格認識することに成功。角度を求めるプログラムは他の人にも応用できそう。手話で手の動きを解析したり、バーチャルレッスンしたりできたら面白そう。
IoTシステム(井上)
物体検出や挙手検知のプログラムでLINEに通知したり、LEDを点灯させたりしていた。MacBookと比べ、Jetson Nanoではプログラムを実行するのにかなり時間がかかる。実行できても骨格推定ではかなりのタイムラグがある。そこで処理を高速化するために様々なオープンソースをインストールをしてみたが、あまり上手くいかなかった。現段階では実用的な速度を出せていないので今後の課題である。またラズパイカメラの画角が狭く、体全体を収めるには5メートルほど離れないといけないので、広角カメラの購入を検討する。
本人認証(遊佐)
run_webcam.pyに200行追加し、測定マトリクスを描画するプログラムを作成。鼻の高さと腰の位置を出して、鼻から腰までの長さを3で割り、その長さの正方形で9分割した。マトリクスを固定するためのプログラムを作成しているが、右手首の座標が追いかけられていない問題がある。夏休み明けにゲーミングPCを受け取り、問題を解決していきたい。
今後の予定
自分たちの作戦を決めておかないと時間が足りなくなる。最終的にどうしていくか。7つのグループそのままで行くか、いくつかにグルーピングするか。個人個人やるよりは、プログラムとやり方と基盤を共有し、みんなで分担してやっていく方が良いのではないか。
リアルタイムで角度を求め、グラフで可視化するプログラムではピンポイントで分析したい指標を抜き出していくことは可能。腕の振りのスピードについていけるか心配だが、ゲーミングPCで10FPSだから実用性がある。武田くんにプログラムの基盤を作ってもらい、大学に集まるのは厳しそうなので、リモートで行う。まずは佐野くんか亀井くんがリアルタイムで行いたい分析を明確にする。あと2台のゲーミングPCのセットアップはまだ終わっていないので、それを優先して終わらせる。そのうち1台は宮崎くんから亀井くんに渡す。各自webカメラを購入する。
次回のミーティング:9月12日(時間は未定)
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貝殻に願いごと、「世界平和」と書き、後ろを振り向くと、若手メンバーたちがいない⁉ 「日本最南端を目指して、行きましたよ」 なぁ〜にぃ〜!!! 若手には負けていられない。 何のために、ティップネスに通い、キックボクシングやヨーガを習い、骨盤矯正、頭蓋骨矯正をしてきたか。 今日のためじゃないか! ということで、追いかけました。 そして、思い出したことがありました。 「あ、私、ここ、連れてきてもらったことある!」 今から29年前、結婚しようと言ってくれていた人と、鹿児島県の大隅のご両親にご挨拶に行ったとき、ドライブで連れてきてもらったんだっけ。 あのとき、鹿児島にドン・キホーテやファミリーマートがあれば、結婚していたかも。 神様はきちんとしたレールを用意してくれていたのに、踏み外したのは自分だったんだ。 でも、そのときの彼と結婚していたら、今の可愛い三姉妹は生まれなかったから、よしとしよう! よし、次、行ってみよう! #ルクロの社員旅行 #日本最南端 #ドラマにでてきそう #龍宮神社 (薩摩長崎鼻灯台) https://www.instagram.com/p/B39JOnVgQxm/?igshid=1swm5sfn2wimr
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長崎鼻には灯台があります。 とても変わった形のもので、面白かったです😊 ここには竜宮神社という、浦島太郎の物語に登場する乙姫様が祀られた神社があります⛩❗️ 縁結びの神さまなので縁が欲しい方は行かれると良いかもしれませんよ☺️ あと…灯台の辺りは時間によってはでっかいフナムシが沢山いますので、苦手な方は時間を選ばれることをお勧めします😁💧💧 #長崎鼻 #灯台 #指宿 #鹿児島 #sunset https://www.instagram.com/p/ByYV1zwFL3u/?igshid=1wzku5hc1nbdy
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貨物船衝突で橋を通行止め、山口 周防大島、断水続く
#華道 #池坊 [宮崎日日新聞社]灯台の眺望復活に着手 高岡・岩崎ノ鼻で竹林伐採 池坊伯国支部50周年祝う=「美と和」モットーに... 旧前田家本邸洋館、創建時の姿復元 都が整備、2... 地方新聞社と共同通信が連携して運営する有料の行財情報のポータルサイトです。
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2|或る晴れた日に
扉をノックする音で目覚めた。 寝ぼけ眼を擦りながら、半ば眠ったままの意識下で曖昧に返事をする。 ぼんやりとした頭は熱っぽく全身が怠い。 重い身体を起こして窓を見ると真っ暗な闇に包まれていた。 喉がからからに乾いていて、声が上手く出せなかった。
「白湯をお持ちしたのですが……」
藤田の声に、百合子は声の枯れた喉を押さえながら扉まで歩いた。 扉を開けると白湯の入った湯のみを盆に乗せた藤田が立っている。 今までずっと鉄面皮だと思っていた表情が心配げに曇っているように思えた。
「ありがとう、喉が乾いて干からびそう」
藤田は盆の湯のみを机に置いて、羽織を百合子の肩に掛ける。 椅子を引いて百合子を座らせると、窓に近寄ってサッとカーテンを引いた。 百合子は今までのように機敏にあれこれと動きまわる藤田の後ろ姿を見ながら、 白湯をゆっくりと口に含ませる。 ほんのりと温かくどこか甘い白湯が口の中を潤した。 干からびてしまっていた喉にもしっとりと染みこみ、 胃の底までもゆっくりと温めながら流れていく。 更に一口、二口と白湯を飲み、ほう、と一息つく。 その様子を藤田が微笑ん見ていたので、思わず微笑んで返した。
「美味しい」
すると急にお腹が鳴った。 寝台の敷布の乱れを直していた藤田の動きが一瞬だけ止まり、 百合子は羞恥で顔を赤くしお腹を押さえて俯いた。
「すぐにお食事をご用意しましょう」 「ええ……そうね」
藤田はやけに嬉しげにそう言うと、盆と湯のみを持って下がった。 百合子は朝食も昼食もを取っていなかったからだ、と言ってやりたかったが、 言い訳がましく余計惨めになりそうでやめた。
(そう言えば、こんなにもお腹が空くなんて久しぶり……)
斯波の邸に居た頃は、料理も飲み物も一流の物が出された。 よく肉が出され、百合子は四切れ程を食べるのも精一杯だったが、 斯波はそれらをぺろりと平らげておまけに洋酒を何杯でも飲んだ。 結婚後は何にも意識をやっていないと思っていたが、今になって斯波との暮らしを思い出す。 結いあげていた頭が窮屈でそれをほどいて、ブラシで髪を梳き低いところで一つに纏める。 閉まっているカーテンにそっと手を差し入れて開き、庭を眺めた。 ここから、飛び降りて逃げてしまおうとした事から全てはじまったような気がした。
「わあ、いい匂い」 「姫様の好物ばかりご用意致しました」
食堂に降りると用意は整っておりクロスの引いたテーブルの上に花や蝋燭が置かれ、食器が並んでいた。 百合子が席につくと、女中が切ったパンを器に置く。 湯気の立つスープボウルからひとすくい、ふたすくい、器に注ぐ。
「焼いたパンとバターの香ばしい匂い……それに骨付きチキンのオニオンスープね」 「ハンバーグとマッシュもすぐに出てきます、デザートはエクレアです」 「何だか、お誕生日みたいね」 「明日からは普通のお食事だと料理長が申しております」 「もう……!分かってるわよ!」
藤田の冗談とも本気ともつかない言葉に、百合子は笑いながら答えた。 百合子の心を明るくするためか、藤田が以前よりも饒舌に思える。 勿論、もともとが無口なので饒舌になってようやく一般人並だ。 藤田は百合子の笑う顔を見ると、ふと昔を懐かしむように目元が柔らかくなる。
「姫様がお興し入れをされて以来、 ずっとこの邸は――灯りの消えた樅の木のようでした」
百合子には藤田の言わんとしている事が理解出来た。 父も母も亡く、瑞人は相変わらず邸に居着かない。 主人の身の回りの世話を任された藤田も、食べてくれる人の居ない料理長も、女中らも、ずっと所在無げにいたに違いない。
「……お前にもまた迷惑を掛けるわね」 「姫様、どうか迷惑だなどと仰らないで下さい。 私は、姫様が、お帰りになられただけで、こうも、邸が華やぐのか、と……」 「私ではなくお前の方が感極まってどうするのよ、鉄面皮のくせに情が厚いところは変わっていないわね」 「失礼しました。――メインの皿を持って参ります」
深々と一礼すると、厨房へ消えていく。 百合子は鼻の奥がつんと熱くなり、顔を上に上げた。 煌々と灯るシャンデリアがきらきらと反射して美��い宝石の輝きのようだ。 カトラリーのフォークを選び、チキンの柔らかい肉をほぐして、スプーンでスープと一緒に掬う。 口に含むと、オニオンの香りとスープの優しい塩味が舌の上に乗る。 柔らかく淡白な口当たりのチキンは香草がすり込まれているのかぴりりと鮮烈な味がした。 あっという間にスープを食べ終え、きつね色にこんがりと焼けたまだ熱々のパンを千切る。 さく、と一口齧るとバターがじゅわと染みこむ。 藤田がメインのハンバーグの皿を持ってきた。
(何だか本当に、昔に戻ったみたい)
食堂のテーブルに、父や母、瑞人がいないのが不思議なくらいだった。 外出の多い母や瑞人は夕食にいない日も多かったが、父と百合子はほとんど一緒にテーブルについていた。 父はいつも百合子の話を聞きたがっていた。 子供の言うくだらない話でも父は嬉しそうに話を聞いてくれていたものだ。 百合子は横に控える藤田に問いかける。
「ねえ、お兄さまは今日は邸に帰られないの?」 「分かりません……姫様が帰られることはご存知だと思うのですが」 「そう……」
百合子は寂しいような安堵したような不思議な気持ちになった。 血の繋がりがないと分かっても、百合子にとって瑞人は大切な兄だった。 だから、今ここに瑞人が居なくて寂しいと思うのが百合子の本当の気持ちだった。
(仕方ないわ……)
瑞人の方も今更百合子と会いにくいのかもしれない。 ハンバーグの付け合せのマッシュを口にする。 塩と胡椒がよくきいてバターが練りこまれており馬鈴薯とよく合う。 淡雪のように白く、口溶けはざらりとしていた。
(そう言えば、付け合せでマッシュ以外を頼むのを見たことが無かったわ)
百合子は大抵付け合せは野菜を頼んだが斯波はどんな料理でもマッシュだった。 ソースが染み込んだところがまた美味しい。 メインも食べ終えると、熱い紅茶とエクレアが運ばれる。 流石に満腹になった百合子は良い香りのする紅茶を口にした。
「美味しかったわ、何だかあっという間に食べちゃった」 「それはようございました」 「しばらく紅茶を飲んでいるから下がっていいわ」
百合子はそう言って藤田を下がらせた。 家令は主人が用を終えるまで自分の食事を取れないのだ。 斯波が毎回用事を終えると早々に家令を下がらせているのを見て初めて知った。
紅茶を口に含む。 次第に笑顔が消えて表情が無くなっていく。
(何だか昔の私の真似をしているみたい)
明るい声も、無邪気な笑顔も、嫁ぐ前の百合子そのものだった。 あの頃は何の疑いもなく素直に笑えたが、今は心に影が落ちている。 藤田のほっとしたような顔――心配させないように明るく振舞わなくてはと思う。
(私、今度は今の私を無くしてしまおうとしているのね)
斯波から譲り受けた財産は、確かに邸が存続していくには十分な額だった。 けれど、それだけでは野宮家の血筋は途絶えてしまう。 また祖母が見合いの話を持ってくるようだが、出戻りの女など誰が欲しがるのだろうか。
(それに、月のものもまだ……)
このまま一生治らなかったらと思うと怖かった。 医者の往診はあったが、こういう相談は女親が居れば心が随分と楽になったのだろう。 考えても詮無いことだ。 身体ばかりが少女の頃に戻ったような気がする。 百合子はエクレアをさっくりと二つに折って口に運んだ。 そして、ちょうど紅茶を飲み終える頃、玄関の方がにわかに騒がしくなった。
(お兄さまが帰ってきたのかしら?)
そう思っていくら待ってみても食堂にやってこない。 百合子は不思議に思って廊下に出た。 瑞人の姿は無いが、帰ってきたようだった。 女中をつかまえて話を聞く。
「お兄さまが帰ったの?」 「はい、今藤田様と居間に居られます」 「居間?」
百合子は居間の扉を叩く。
「お兄さま?入っていい?」 「姫様、もう少しお待ちください」
すると瑞人ではなく藤田の声が答えた。 百合子はすぐにも扉を開けたい衝動を押さえて廊下で待つ。 中からは何の音も聞こえず、話し声もしない。 しばらくすると、藤田が扉を開けてくれた。 部屋に入るなり、腕を組んで立っていた瑞人が百合子を抱き寄せて髪を撫でる。
「百合子、お帰り。 随分と辛い目にあったのだろうね」
つんと鼻をつく消毒液の臭いに百合子は顔をしかめる。 線の細い身体なのに、腕に抱かれると大きく包み込まれるようだ。 斯波の強引な抱擁は心を波立たせるが、瑞人のそれは心を穏やかにした。 瑞人の言葉に百合子はただ首を振った。
「本当にそんな事ないわ」
瑞人は唇を引き結んで顔を歪ませる。 百合子が無理をしてそう言っていると思っているのだろう。 身体にぽっかり開いた穴が、辛いことも悲しいことも全て吸い込むのだと説明してもきっと理解されないだろう。 いつの間にか藤田が瑞人の分の紅茶も用意して運び込んでいた。
「姫様、お代わりはいかがですか?」 「ええ、貰うわ」 「あと何かつまめるものをくれるかい?」 「かしこまりました」
瑞人は椅子に腰掛けて、ぎこちなく左手でカップを取る。 右手は膝の上に置いたままだ。
「お兄さま右手どうかされたの?」 「え、ああ、怪我をしてしまってね。大した怪我じゃない」 「だから、消毒の臭いがしたのね……どうして怪我をしたの?大切な指なのに」 「お前は鋭いね――酔って転んで擦り剥いたんだ」 「お兄さま?」 「何だい?」 「右手、見せて頂戴」 「やれやれ――嫌だと言っても聞かないんだろうな」
瑞人は諦めたように右手を机の上に出す。 百合子はその手を取った。包帯を巻かれたそれをゆっくりと解いていくと、手の甲の骨の浮き出る辺りの皮膚が赤く腫れていた。
「純一さんを殴ったのね……」 「そうだよ。殴る方も痛いんだね、初めて知ったよ」 「お兄さま……」 「失敗したよ。洋酒のボトルで殴れば良かった」 「そんな事をしたら死んでしまうわ!」 「そうだね、僕はそれを願っていたのかもしれないな」 「お兄さま、お願いだから、そんな恐ろしい事を言うのはよして頂戴」 「うん、ごめんよ百合子。でも、僕はあの男がどうしても許せなかったんだ。お前の兄として」
百合子がはっとして瑞人を見上げると、瑞人は微笑んでゆっくり頷いた。 そしてまた傷ついた右手に視線を落として、また元の通りに包帯を巻き直した。
斯波と結婚してから足早に過ぎ去っていった時間が、今はぴたりと止まり澱んでいた。 祖母はいくつかの見合いの話を持ちかけたが、百合子はまだとても受ける気にはならなかった。 見合いと言えば聞こえはいいが、種馬探しの様で気がひけるのだった。
無為のまま月日が過ぎようとしていた五月の半ば。 大道洋行倒産の新聞記事を見た。
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ダイドウヨウコウ ニドニワタリ フワタリホウコク トリヒキテイシショブン ジジツジョウ トウサン
何度文字を読んでも言葉の意味が頭をすり抜けていく。 瞬きを忘れた瞳が乾き、呼吸をするのすら忘れていた。
「事実上、倒産……」
声に出して読んでみてようやく意味を掴める。 それと同時に、止まっていた心臓がどくどくと脈打ち、その強い鼓動に立っていられない程胸が痛んだ。 百合子は荒い息を繰り返して大きく上下する胸に手をやる。
「姫様!」
藤田が百合子のふらつく身体を支えて、ソファに腰掛けさせる。 全身の力が抜けて新聞が床にパサリと音を立てて落ち、重い身体が布張りのソファに沈む。 記事の続きを読みたいのに、目眩がして新聞を拾えない。 藤田が新聞を拾ったが、そのまま折って脇に挟む。
「続きを読ませて、あの人はどうなったの」 「姫様、落ち着いて下さい。お茶を」 「いらない!私、私――行かなくては」
百合子はつぶやくようにそう言うとソファから立ち上がる。 その行く手を藤田が阻んだ。 背の高い大きな身体が壁のようで、無表情なその顔は石のようだった。
「なりません、どこに行かれるおつもりですか?」 「どこって――」 「斯波君の邸なら売り払われたそうだよ」
居間に涼し気な声が響く。 瑞人が扉を開けたので、開け放した窓から緑の香る風が通った。 百合子の横を通り過ぎざま、藤田の持っていた新聞を掠め取ってソファに座る。
「それに、邸にも会社にも記者だらけだろう。 わざわざ新聞のネタにされに出向くこともない」 「では、電話を――」 「無駄だよ、今頃は取り立ての電話が鳴りっぱなしなんじゃないか」 「姫様、どうかお掛け下さい」
さやさやと庭の木々が鳴る。 一瞬にして体中の血を熱くした心臓が、ゆっくりとおさまっていくのを感じた。 先ほどまでの激情とでも言うべき感情が、急に稚拙に思える。 百合子は再びソファに掛けると、藤田はほっとしたように二人に紅茶を淹れた。 瑞人は百合子に目も��れずに新聞を読んでいる、そして記事を読み終わるとそれを折りたたんでテーブルに投げる。
「驕れる者も久しからず、か……」 「お兄さま――」
瑞人の言葉を咎めるように百合子が言う。 すると、瑞人は目を伏せて口元だけ引き上げた微笑みを浮かべる。
「皆がそう思っているよ」 「そんな事、ないわ」
傲慢不遜とした態度の斯波を思い浮かべた。 その秘書の山崎や、売り払われたという邸で働いていた女中たちや侍女、執事たちを思い出す。 彼らは皆斯波を慕っている様子だった。あの邸で斯波を慕わぬ唯一の百合子にはますます居場所がなかった。 百合子が本当に心配そうにしている様子を見て、瑞人は器用に片眉だけあげて不思議そうに問う。
「おや、お前は優しいね。あの男を心配しているのかい?」 「だって、それは……当たり前、でしょう?」 「まあ、この程度でくたばるような男ならまだ可愛げがあると言えるよ」 「お兄さま……」
瑞人の物言いに百合子はまた頭を痛めた。 斯波と瑞人の仲は元々険悪だったが、離縁してからは会うこともないのにますます嫌う一方だった。
「お前には話さなかった��れど、あの男は離縁してすぐに色々な女と遊び回っていたんだ。 それは豪勢な宴を毎晩毎晩開いていた様でね、三軒隣の座敷にもその様子が聞こえたよ」 「――殿様」
珍しく藤田が二人の会話に割って入る。 瑞人は斯波への恨みを込めて言ったつもりの言葉に百合子が一瞬暗い顔をしたのを、藤田が気づく。 百合子はすぐにその顔を抑えて、困ったように目を細めて笑う。
「いいの」 「ああ、違うんだよ。 そういう男なんだから、お前が気を揉む必要はないって言いたかったんだ」 「殿様は姫様が責任を感じませんようにと」 「ええ、分かってるわ。大丈夫よ」
焦ったように口々に言う二人を見て百合子は少し落ち着いた。 先程までぴりりと緊迫していた空間がたわむ。
(でも、やはり、私――)
二人が、百合子を心配しているのは分かっていた。 けれど、心臓にはちりちりと火種がくすぶる。 その疼きに、百合子は何故か泣きたくなるほど切なくなった。
百合子は何度か電話を掛け電話番に伝言を頼んだが、斯波からの連絡はなかった。 三日経った日の午後に、会社の調査を名乗る人物が野宮の邸に来た。
「斯波は――どんな様子でしょうか」
百合子は丸眼鏡をかけて髪を分けたいかにも神経質そうな男に聞いた。 男は黒い鞄から茶色の封筒を取り出して中の書類を確認しながら、ちらりと百合子と瑞人に目を向ける。 そして、また書類に目を戻しながら答えた。
「落ち着いてますよ。大抵――こういう場合、社長というのはアレコレとお忙しい様子のはずですがね」 「そうですか……」 「離縁の際に譲渡されたのは以上ですかね」 「ええ」 「あまりにも落ち着いているのでね、調査が入ったのですよ」
男は下がった丸眼鏡を指で押し上げる。
「計画倒産ではないかとね」 「――君、調査会社の���間の口が軽いと信用をなくすよ」
ずっと黙って座っていた瑞人が口を開く。伏せていた瞳を上げて睨む様に男を見た。 男はむっと押し黙り、咳払いを一つして気を取り直すように眼鏡を押し上げる。
「離縁の原因と言うのは何ですかね?」 「私が、病気をやって……」 「どんなご病気ですかね」
それは――と言おうとして言葉が詰まる。 しばし、沈黙が降り、男は言葉の先を急かすように小さな咳で喉を鳴らした。
「子供が、出来ませんで……」 「それは恒久的に?」 「――それは」 「いい加減にしてくれ!」
瑞人がテーブルを叩く。 上に乗っていた食器が音を立てて、紅茶が波打って零れた。
「妹の病気は心因的なものだ! 君たちが勘ぐっている様な、あの男の他の資産などこの家にはない」 「こ、これも、調査の一環ですがね。 計画的な離縁ではなかったかという――」 「あの男の、素行を調査したのなら、分かるだろう」
瑞人が一言一句、言い含めるように唸る。 調査会社の男はたじろいで眼鏡を押し上げ、きょどきょどと書類に目を落とす。 百合子は二人のやり取りの影に、男の言う”計画的な離縁”という言葉だけが耳に残った。 離縁した日、いやそれよりも以前から、忙しそうに自動車に乗って会社に向う斯波を思い出す。 ちりちりとくすぶっていた心臓の火が、じりじりと音を立てて心を焦がすようだ。 瑞人に気圧された男は、やはり咳払い一つして書類を整えた。
「し、しかしこれも、一応仕事なのですがね」 「そうかい、それはご苦労様」
嫌味な程凄艶な微笑みを顔に貼り付けると、後ろに控えていた藤田に居間の扉を開けさせる。
「僕たちはもう二度とあの男とは関わりたくないんだよ。 今日はこれでお引取り願おう。以後何かあれば、全てこの家令を通してくれ」
男は立ち上がると、家令と呼ばれた男を見上げてごくりと喉を鳴らした。 藤田はいつもと変わらぬ無表情、薄い菫色の瞳が男を見下ろす。
「藤田と申します」
すっと懐に手を入れたのを見て、男は僅かに硬直する。 取り出したのは一枚の名刺だった。それを見てはっとして男も慌てて名刺を取り出した。 身長差から男は背を伸ばし名刺を渡す。 藤田が始終見下すような立ち位置になるのがどこか滑稽で、藤田自身がそれを気にしない風の態度だからこそ余計おかしく見えた。 男は藤田に玄関まで見送られ、立ち去る際に藤田が変わらずの鉄面皮で言い放つ。
「山川様。相手を確かめ所作を正せねば、品をもないかと侮られましょう」
男はひどく遠まわしな嫌味に困惑しながらも、その気に押され半ば憤然と玄関を出た。 ふふ、と瑞人が笑う声。 悠然と廊下の壁に背中を預けて腕を組んで立ち、藤田の後ろ姿に声をかけた。
「藤田。お前が怒っているのを初めて見たような気がするな」 「使命を笠に着て、凋落を喜ぶような素振りでしたので」 「僕もあの男の凋落を喜んでいる��ど」 「……私もでした」
藤田の言葉に瑞人が顔を上げて睨めつける。 二人はそれ以上は言葉を交わす事もなく、藤田は一礼して居間へ戻った。 扉を開けると、百合子が立って藤田へ駆け寄る。
「ねえ、藤田。 やはり斯波さんに会えないかしら」 「会って……どうなさるおつもりですか」 「心配なの。それに借財の事も――」 「姫様、斯波様のご様子は落ち着いていると言われてたではありませんか。 それに、伝言は残しているのならば連絡があるまで待つのがよろしいかと」 「でも、私、会って確かめたい事が…c…」 「姫様、記事からまだ三日しか経っていないのです。 もう少し落ち着いてからでは遅い事ですか?」
藤田にそう言われると、百合子はぐっとつまる。 見上げていた視線を彷徨わせ、床に落として沈黙する。
「そうね、今が一番忙しいのですもの、ね」 「ええ、そうですね」
百合子は思い切って藤田を見上げて聞いた。
「藤田、私、斯波さんに譲渡してもらった資産をお返ししたいの」 「姫様が、それを望まれるのでしたら……」 「ねえ、そうなると――どれほどの借財か分からないけれど、 お前を雇えなくなるかもしれないわ、この邸を手放すことになるのかもしれない」
百合子は藤田にそう訴えながら、頭の隅で賢しい問答だと自分を罵った。 自分で決断出来ないから、藤田に決断してもらおうとしているのか。 もしも、藤田が駄目だと言えば――自分はどうするつもりなのだろう。
「――それはそれで、いいじゃないか。 だが、あの男の事だから死んでも連絡は寄越さないと思うけどね」
いつの間にか藤田と百合子の会話を聞いていた瑞人が答える。 気だるそうにソファに座り、少し零れて量が減ったぬるい紅茶を口に含む。
「お前からだと尚更ね」 「どうして?」 「男としての矜持だよ。 だから、この件は藤田を名代に遣わす方がいい」 「藤田を?」 「そう、あくまで事務的に。 お前やまして僕が直接出向くと色々と障りがあるだろう」
百合子は瑞人の言わんとしていることが薄々理解出来た。 あくまで事務的に――瑞人はそう言った。 斯波は成金でありながら、どこか潔癖なところがあった。 百合子が出向き申し出ると同情と取られ、瑞人が申し出ればそれこそ屈辱に思うかもしれない。 会社の倒産は個人の問題ではなく、大勢の従業員や社員、使用人達にも影響が波及する。 無駄な摩擦は避けて、できる限り円滑にと思えば、藤田をやるのが一番賢明だ。
ちらりと藤田を仰ぎ見ると、瑞人の言葉に同意するでもなく無表情で立っている。 確かに、資産の件は藤田に任せるのが良いのかもしれない。 百合子は相変わらず邸の経済状況を把握していない。 譲渡された百合子名義の株や土地、建物などどんな資産があるのか知らなかった。
「しかし――今、返すとなると……」
瑞人はそこまで口にしたが、言葉が結ばれる事は無かった。 顔を上げて百合子に目をやる。
「それでいいね、百合子」
百合子は頷くしか出来なかった。
それから二週間も過ぎると過熱を極めていた新聞の報道も終息し、 大道洋行の記事は隅へと追いやられていた。 会社は倒産し、事業は様々な企業に切り売りされたらしい。 邸も人の手に渡り、多くの使用人はそのまま引き継いで雇われるそうだ。
百合子は部屋の机に向かって万年筆と紙を取った。 さらさらと文字を書き、三つに折りたたむ。 封筒に入れて糊をするとそれを持って急いで部屋を出た。
「藤田、これを純一さんに渡してほしいの」 「かしこまりました」
藤田はそう言うと百合子の手紙を袱紗に包み懐にしまった。 待たせていた自動車に窮屈そうに乗り込み、百合子に頷いてみせる。 音を立ててエンジンがかかると百合子は自動車から離れた。
自動車が銀座街道を抜ける。 大道洋行の本社があったビルディングは傍目からも寂しげに屹立していた。 藤田は近くの停車場に自動車を停めると、運転手に言付け自動車を降りる。
大きな硝子の嵌った両開きの扉を押す。 深みのある赤い絨毯が敷き詰められた玄関は受付もおらず、藤田は一人で立ち尽くした。
「御免下さい」
しんと静まり返ったビルディングの中を藤田の低い声が木霊のように響き渡る。 玄関すぐ横の応接室の扉が音を立てて開く。
「ああ、こちらだ」
いつもと変わらぬ様相の斯波が藤田を見とめて呼ぶ。 藤田は何故かほっとして応接間に入った。 中のソファやテーブルなどの家具や棚は全て取り払われていて、何もない。 斯波は金属製の灰皿を窓枠に乗せて、吸っていた煙草の灰を落とす。
「百合子さんは、元気なのか?」 「はい」 「――そうだろうな」
斯波は含みのある言葉を口にしたが、藤田はその意味を聞かなかった。 窓の外を眺めながら、煙草を吸う自分よりも年若い男を見る。 この男とふたりで言葉を交わすことなど初めてだった。
「君が来た理由はよく分かっている」 「では――」 「君と、……君たちと話すことは何もない」
斯波がそう言うであろうことを藤田は分かっていた気がした。 藤田は百合子から預かっていた手紙を取り出そうとしたが、先に斯波が口を開く。
「君は知ってるか? このビルに一体どれだけの人間が居たか、俺が一体何隻船を持っていたか!」
斯波は藤田に向かって言うが、それは藤田への問いかけではなかった。 狂気につかれたように見開いた瞳孔に、藤田は僅かに息を呑む。
「会食を開けば有名議員や知識人、会場を彩る女優が必ず出席した! それが、今はどうだ――」 「……」 「――なあ、どうしてだ。一体いつから歯車が狂いはじめた? 俺は華族の姫を貰ってこれからは地位も権力も手に入れられるはずだったんだ、そうだろう?」 「斯波様……」
藤田は戸惑いながら斯波の名前を呼ぶ。 斯波は心ここにあらずという光を失った瞳をして、遥か彼方を見ているようだ。 藤田の言葉など聞こえていない風に、歪んだ笑顔を浮かべて独り言のように言う。
「百合子さんは、元気か――そうか、そうだろう。 宿り木のように寄生して宿主が死ぬと分かると他へ移る」 「会社の倒産が、姫様の責だと?」 「俺が野宮の借財を継いだのと同じように、野宮の��いも継いでしまったようだ」
斯波の言葉が本気なのかどうか、藤田には計りかねた。 苛立つように煙草の火を灰皿に押し付け、懐から新しい煙草を取り出し火を点ける。
「斯波様、斯波様は姫様をお守りするために、離縁されたのでは――」
藤田が言い終わる前に、煙に咽たように身体を折って咳き込み、次第にくつくつと湧き上がる様な笑い声を出す。 そして、さも愉快げに嘲笑った後、心底侮蔑を浮かべた鋭い瞳を向ける。
「おい、君。あまり笑わせるなよ。 何故、俺が! 女のためにそこまでせにゃならん!」
藤田は落胆した。 すぐにもこの部屋から立ち去りたい衝動に駆られる。 こらえて一息着くと、ようやく重い腕を動かし懐に手を入れて袱紗を取り出す。 片手で左右に開き、薄い桃色の封筒を取り出して斯波に渡す。
「姫様が斯波様にお渡しするようにと――」
斯波は受け取ってちらりと一瞥すると、封を開ける事無く燐寸の火でそれを炙った。 目の前で手紙は見る間に黒く焼け、端から消失していく。 斯波の手から離れて灰皿の上に落ちた柔らかな火は、瞬きする内に無くなった。 はらりと灰皿の縁に落ちた灰を爪で弾きながら、やれやれとばかりに肩を落とす。
「これ以上、付きまとわれても困る。 俺に残った資産はもはや負債だけだからな」
持っていた袱紗を握り締めて、足早に立ち去るのが精一杯だった。 成金という人種がいかに低俗か、そして金と権力を失った人間がどれほど卑しくなるか、思い知った気分だった。 部屋を出ると斯波の笑い声がビルの中に響いていた。 停車場に向かい、自動車に乗る。 申し出に来たのが、百合子でも瑞人でもなく、自分で良かったと思った。
自動車を玄関につけると執事が駆け寄る。 瑞人からで居間へ、との達しだった。藤田は頷くと、居間へ向う。
「只今戻りました」 「ああ、百合子は庭だよ」 「そう、ですか……」 「それで、どうだった」
藤田は首を横に振った。そして事の顛末を瑞人に話す。 瑞人は黙ってそれを聞き、藤田が話し終わると顔を上げた。
「資産を半分、返したと言う事にしようか――」
瑞人の提案に藤田は否応とも返事しがたかった。 二度と関わるな、と向こうから言うぐらいなのだから、その嘘は吐きやすい。
「あの子にもう斯波君とは関わるなと言って、そうすれば多少は気が晴れるだろう」
瑞人はもう殆ど自分の中で決めた答えを、藤田に相談するように持ちかける。 どうだろうと、藤田を見上げる。藤田は瑞人に頷いてみせるしか道はなかった。 居間の扉が叩かれて、ゆっくりと開く。
「姫様」 「藤田、どうだった」 「百合子、そこに座りなさい」
瑞人は静かな声で言うと、百合子は慌てて扉を閉めてソファへ腰掛ける。 その様子を見て、瑞人は微笑んだ。
「借財は大したものじゃないらしい。 こちらから幾らか肩代わりを申し出て彼もそれを受けたよ」 「そう、あの、――どのくらいなの」 「そうだね……だいたい、資産の半分くらい、かな。ねえ藤田」 「はい」
瑞人に問われて、藤田はゆっくりと頷いた。 百合子は瑞人と藤田の顔を交互に見て、力が抜けたようにソファの背にもたれた。
「そう――」 「代わりにね、百合子�� もう彼とは関わらないようにしようと思うんだよ」 「どうして?」 「もう、十分だよ百合子。お前が責任を感じる必要はもうないんだ」 「責任……」
百合子は口に出して呟く。 胸の疼きは、責任を感じて痛むのだろうか。 妻として夫を支えられなかった責任を果たせなかった為に痛むのだろうか。
「藤田、手紙渡してくれた?」 「はい。読んで返事が必要なら連絡すると」 「――そう」 「百合子?」 「……ええ、お兄さまの仰る通りね」
百合子はそう言って無理に笑うと、居間を出た。 自室に戻ると、読んでいた本を閉じて本棚の一番奥にしまう。
ちりちりちりと音を立てて燃える。 真っ暗な穴が空いているはずの胸の奥で、弱々しい光を灯しながら。
(こうやってね、耳を塞いでしまうとまるで水の中にいるような音がするんだ)
寝台に座ってころんと寝転がる。 そして、幼少の頃に瑞人がやっていたように両耳を塞ぐ。 息を止めて、手も足も丸める。
ごうごうと言う水音に、時折こぽりと水泡が弾ける音が交じる。 息が苦しい。 百合子は真っ暗な闇の中をゆっくりと沈んでいく。 ちりちりと痛む胸を見ると、弱々しい火が灯っている。 消せど燃ゆる、小さな火。 それが何なのか、百合子には分かっていた。確信があった。
唇に水滴が掠める。塩辛い、海の水だ。
(そう、あれは――涙だった)
記憶の中で、百合子の寝室の扉が開く。 誰かが部屋に入ってくるのが、夢現にも分かった。 入ってきた人物を確かめたいのに、眠りが深く起き上がれない。 目も開けられぬまま、身体はゆっくりと息をする。 影がゆっくりと百合子の上に落ち、唇に柔らかい物が触れる。 はたはたと水滴が零れ、頬が濡れる。 その中の一粒が百合子の唇を湿らせた。
(上辺だけを見ていれば良かった――)
少女が海で泣いていた。
「藤田、お前にお願いがあるの」
百合子は瑞人が出掛けた午後、藤田を居間に呼んだ。 藤田はいつもの様にきっちりと洋装を着込んで、タイをピンで止めていた。 髪の毛の先から、磨き上げた革靴の先まで抜かりのない出で立ちだった。
「何でしょうか」 「純一さんは受け取らなかったでしょう?」
百合子の言葉は不明瞭だったが、藤田は瞬時に意味を察して顔が強張る。 突然の質問に、藤田は思わず質問で返した。
「姫様、急に――どうされたのですか」 「藤田は嘘をつくのが下手ね、私よりもずっと下手」 「姫様、嘘ではありません」
どうにかそれだけ言う。 けれど、藤田は元来真面目な性格でとにかく嘘をつくことが苦手だった。 それが百合子のためと理解していても、こればかりはどうにもならない。
「私がお前に嘘をつかせてしまうのね」
藤田はその彫りの深い顔を曇らせ、困ったように眉を寄せる。 百合子は曖昧な微笑みを浮かべて藤田を見、そしてまた視線を手元に戻す。
「ねえ、だんだん貧しくなってきた時の事を覚えている? 仲の良かった人がだんだんと離れていって、信じられるのは家族とお前と真島ぐらいなものだった。 不安で、心細かったけど、私には家族がいた」 「姫様、斯波様は姫様を貶めたのです��� 「藤田、あの人は――どうしてか酷い言葉を吐いておきながら、自分が傷ついたような顔をする人なの」
藤田は目を伏せて首を横に振る。
「……斯波様を買い被っておいでです」 「そうなのかもしれないわね、よく分からない。知ろうとも、しなかった。 ――私、あの人に会いたいの」
藤田は深く息を吐いた。そして、斯波の言葉を思い出す。 どこか演技がかったような、横柄な態度。 長く沈黙し、諦めたように百合子を見て頷く。
「分かりました……所在を調べてみます」 「必ずよ、もう嘘はつかないで」 「ええ、どうやら私は嘘が苦手なようですから」
///
斯波からの連絡もなく、現在の所在を掴むのに一月ほどかかった。 初夏の昼を過ぎて、照りつける日差しが弱まった頃に百合子は藤田の運転する自動車に乗った。 東京中心地から離れて郊外へと向かい、舗装されていない土の道に自動車が揺れる。 同じ東京とはいえ華やかな中心地と打って変わって、閑散とした風景に見窄らしい平屋がぽつぽつと続いている。 百合子は寂しげな車窓に目をやる。しばらく行くと、藤田が自動車を停めた。
「この辺りのようです、少し聞いてみましょう」
そう言うと自動車を停めて降りる。 降りるなりその容貌の珍しさから辺りで遊んでいた子供が藤田の後をついて行った。 家鴨の子のようだ、と思いながらそれを見る。 まだ7つほどの女の子が赤子を背中におぶっていたり、暑さからか着物を脱いでいる子供もいた。 どの子供も着ているものも貧しく痩せていたが、子供特有の明るさがあり我先にと藤田の案内を買って出ていた。
百合子も自動車から降りた。 見渡すと一帯は同じ型の平屋が並んでいる。 近くの川の水が深い溝に引かれ、渡しに丸太や戸板の橋が架けられていた。 集落の周りは田畑もあり、緑色の稲が百合子の腰ほどにも伸びていた。 百合子たちの居る道路ももう一歩先を行ってしまえば柔らかい土と雑草の生えたあぜ道になっていた。 じんじんじん、と耳鳴りのような蝉の鳴き声が聞こえる。
「少し行きすぎてしまったようです、あの一番端の家だそうです」
藤田が戻ってくる。 そう言って示したのは少しひらけた所に立つ平屋の家だった。 いわゆる長屋で四軒分が連なっている。 言われた一番端の家を見る、お世辞にも住みやすそうな家とは言えなかった。
「お前は自動車を回しておいて」
百合子はそう言うとゆるやかな坂をくだって、渡してある戸板に乗る。 みし、ぎし、と音を立てるので慌てて渡り切った。 溝は深さは百合子の腿ほどで、大人の男なら飛び越えられるぐらいの幅なので落ちても溺れることは無い。 覗き込んでみると水は澄んでおり、小さな銀色の光りがチラチラと星のようにひるがえる。 渡しの戸板の下の暗い所にはサワ蟹が泡ぶくを出して潜み、ぼちょんと音がして蛙が溝に飛び込む。
百合子は玄関に回って声をかけてみた。
「御免下さい」
中からの返事はな��。 玄関――勝手口は木造りの引き戸が風雨にさらされ木が毛羽立っているような有様だった。 もう一度声を掛けると、ニ軒隣の引き戸が開いた。 顔を覗かせたのは太った中年の女で、白髪の交じった長い髪を一つに結わえて背中に流している。 女は百合子を見ると何度も上から下へ眺め見る。
「そこの人に何か用かい?」 「ええ、あの、斯波純一さんのお宅だと伺ったのですが――」 「そこの人、仕事だよ。いつも帰りは夜中過ぎだね。 アンタは? 借金取りと言う訳じゃなさそうだけど……」
女は早口でそう言うとまた珍しげに百合子を見る。 百合子は慣れない言葉の早さに少々気後れし、女の不躾な視線の理由が遅れて分かった。
「あ、私は……斯波の妻です」 「連れ添いが居るとは聞いてないけどね。本当にアンタが奥さん?」 「はい、――あ、これを」
百合子はそう言うと持ってきていた巾着から一葉の写真を取り出した。 式の前、衣装合わせの時に撮った写真だった。 写真は多く撮ったが、手軽に持ち運べるのはこの写真だけだった。 百合子は慣れない白無垢に着られ、椅子に座っている。 その後ろに立つ斯波も袴に羽織を着ていた。
藤田が自動車を回し、道の端に停める。 自動車から降りると、戸板を軋ませることもなく軽々と踏み越えた。
「ああ、藤田。ここで間違い無いみたい。 私、純一さんがお帰りになるまでここで待つわ」 「お外で、ですか?」 「ええ」 「なりません、では私も一緒にお待ちします。 姫様は自動車の中でお待ちください」
二人のやり取りを眺めていた女が、くいと顎で方向を指し示す。
「向こうの一番大きい家が管理人だよ。 事情を話せば鍵ぐらい貸してくれるだろう」
勝手に上がり込んでいいものか――戸惑ったのは一瞬だった。 百合子はその言葉に頷くと、藤田を見上げる。 仕方がないという風に藤田は小さく頷いた。
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瑞人は食むように煙管を咥える。 ゆっくりと煙を吸ってその香りを味わうように口腔、鼻腔に押し流す。 肺にまで充満した重い煙を、深い溜息とともに吐き出した。
夜が更けていた。 時々気紛れに風が邸の窓を揺らし、通り過ぎる。 風に庭の木が煽られて枝を振り、隣の木の枝に触れざざと音を立てる。 その音が庭中の木々から鳴り、木々のざわめきになる。
瑞人は真っ暗な部屋で椅子に座っていた。 窓が鏡のようになり、自身の姿を映す。 時折、煙管を吸った時だけ火種がぽうと明るく灯り、 ゆっくりとした呼気に合わせて光るそれは蛍の光のようにも見える。
不意に扉が叩かれて、その小さな脈動の様な点滅は消える。 瑞人に用事がある人間など二人しか思い浮かばないが、扉の向こうに問いかける。
「誰だい?」 「お兄さま、百合子よ。入ってもいい?」 「ああ、いいよ」
藤田であれば良かった。瑞人はそう思いながら、灰を捨てる。 扉が開く気配に、ようやく瓦斯燈を付ける。 ぼぼぼ、と瓦斯の燃える音とくらりと目眩のしそうな瓦斯の燃える匂いがして、ふわりと部屋が明るくなる。
「お兄さまおやすみになっていたの?」 「いいや、日が暮れるのをぼうっと眺めていたんだ。 ここからは庭が見渡せるからね」
百合子のまとう胡乱な空気を察して、瑞人の表情が翳る。 ソファに百合子が腰掛けたのを確認して、瑞人も横に掛けた。 以前油画で人物を描くために使っていたデッサン用のソファだった。 そして、一度視線を床に落として目を瞑り、ゆっくりと開いて百合子を見た。
「斯波君の所に行くんだね」
言いあぐねていた言葉を当てられて百合子は瑞人を見た。 百合子の唇が動き、何か言葉を紡ごうとして、辞める。 そして頷いた。 瑞人は灰入れの中で仄かに赤く灯っている煙管の灰を見た。 ほろほろと崩れて白い灰になってゆく様を。
「――斯波君を、愛しているんだね」
それは問いか���る口調ではなかった。 百合子は困ったように両手をぎゅっと握りしめて、瑞人を見上げた。 そして、小さく首を振る。
「分からないの」
それは同情心にも似ていたし、贖罪と言われても頷けた。 百合子の知る「愛」とは、まるで形の違うものだった。 例えば愛が太陽の眩しい輝きなら、百合子のそれは月の光のように穏やかなもの。 瑞人の言葉に素直に肯けられたらどれほど気が楽だっただろうか。
「結婚している間は考えない様にとばかりしていたのに、 離縁してしまってからは、ずっと、考えているの」
百合子の声は震えていた。
「おかしいでしょう。今になってあの人の事ばかりを考えているの」
瑞人は百合子の肩を抱いた。 そうすると、百合子は力なく額を瑞人の胸に置く。 瑞人は優しく百合子の髪を撫でた。 まるで濡れているかのように黒く艶めく美しい髪を。
「何もおかしいことなどないよ」
百合子のとりとめなく溢れてくる涙を指で払った。 そして小さな子供をあやすように、一言、一言優しい声音で囁く。
「苦難と知りながらも添い遂げたいと言う――お前の思いを、愛と呼ばず何と呼ぼう。 恋しいと思うお前の気持ちを、一体誰に止められるだろう」
瑞人は腕に力を込めて抱きしめる。 それは苦しい程で百合子は胸が張り裂けそうだった。
「僕が止めてもお前は行くだろうね」
百合子は瑞人の胸元に顔を押し当てられたまま声もなく頷いた。 頬に着物の布が掠めて涙を拭い去っていく。 ともすれば穏やかにも見える瑞人の心臓の鼓動がどくどくと脈打っているのが聞こえた。
「お前が帰ってきて嬉しかったよ。――ねえ、酷い兄だろう? けれどもう昔の頃のようには戻れないのだと分かった。 百合子、ねえ、百合子、幸せにおなり。僕はやっと、そう言える――」 「幸せに……」
百合子は目を閉じたまま呟いた。
「幸せに、なってもいいの。私……幸せに――」 「僕だって藤田だって――それに、お父様やお母様もお前に幸せになって欲しいと思っているよ」 「お父様も、お母様も?」
瑞人の頷く気配を感じて百合子は増々声が震えてしまう。
「わ、私――お父様に謝りたかった。お母様にも。 我儘で生意気を言ってばかりでごめんなさいって。 本当は大好きだと、伝えたかった……!」 「百合子……。お前はその事で――ずっと悩んでいたんだね。 お父様の愛情がお前に伝わったように、お前の愛情だってお父様に伝わっていたよ。 そうだろう? そうでないとお二人が可哀想だよ」
瑞人の言葉に、百合子はただただ���くしかなかった。 百合子の一番欲しかった言葉を、血の繋がらない兄である瑞人が与えてくれた。 固く絡まった綾取りの糸を、優しくほどいて微笑んでみせるように。
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百合子は家の鍵を開けて戸を引く。 がたがたと立て付けの悪い音と共に戸が開いた。 一歩踏み入れる、暗さで目が慣れないがひんやりと涼しい。 勝手口を入ってすぐが土間だった。竈があり、水道に石造りの流し台もある。 居間へあがるのに低い石段があり、居間は四畳ほどで箪笥が置かれていた。 家の中は狭かったが、小ざっぱりとして片付いていた。 藤田が頭上の梁を避けながら入る。長身の藤田にすれば天井が頭上すれすれだった。
「これが竈ね……」
そう言うと百合子は腰の高さほどの竈の縁に手を置いた。 側には薪に団扇が置かれ、中を覗くと灰が溜まっている。 東京の一般の家庭には瓦斯が通っていたが、この辺りはまだその範疇ではないらしい。 土間の隅の一角には食材の入った木箱が置かれ、壁には玉葱がいくつも紐で結わえられているものが垂れ下がっている。 木箱の中を見ると茄子に胡瓜と言った野菜が少しばかり入っている。 百合子は茄子に手を伸ばす。
「姫様、茄子はへたに棘があります」
慌てて手を引っ込めようとしたが、間に合わずへたにかすってちくりと指先が痛む。 指先を見やるが掠めただけで刺さってはいなかった。 今度は恐る恐るやわらかく膨らんだ部分を持ってへたを見ると繊毛のように棘が立っていた。
「大丈夫、掠っただけよ」
斯波の所在が分かるまでの一月、百合子は女中に料理を習っていた。 料理以外にも、刺繍のための裁縫ではなく、服を繕うための縫い物や、 竈の火の起こし方に、買い物の仕方に掃除の手順まで教わった。 一番不安に思っていたのは竈だった。 野宮の調理場は瓦斯焜炉だったので料理も手軽だったが、竈はより手間がかかる。
「思ったよりもずっと大きな竈ね。 私にも火を起こせるかしら?」
竈に残っていた灰を火掻き棒で掻き出す。 藤田が裏に立てかけてあった塵取りに灰を集める。
「この灰は畑の土に混ぜると良いそうですよ」 「そうなの?」
百合子は目を丸くした。今まで灰と言えば薪の燃えた残滓としか思わなかった。 知らないことばかりだった。 藤田は慣れた様に全ての灰を掻きだして塵取りを裏に運ぶ。
「米や煮物などをする時は竈が便利でしょう。 魚を焼くときは火鉢の方が良いかもしれません」 「火鉢ってこれね、お魚は無いけれど……」 「姫様、今ある材料で十分一食になります」 「でも、玉葱と胡瓜と茄子ぐらいしかないわよ?」
百合子の言葉に藤田が、上着を脱ぐ。その下は夏でも長袖のシャツを着ていた。 衣擦れを立てて袖を捲る。 それを見て百合子も自身の袖を捲ろうとしたが、着物なので上手くいかない。 見かねた藤田が百合子の巾着の���を解いた。
「これで袂をまとめましょう」
そう言うと器用に着物の袂をまとめてしまう。 百合子はその複雑な動きをどうにか覚えようとしたが難しかった。
「ねえ、藤田今のまた後で教えてね」 「はい」 「ええと、まずは薪を――」
そう言って薪を持って竈に入れようとした百合子を藤田が止める。
「まずは何を作るかを材料を見て決めましょう」 「ええ、分かったわ。……ライスカレーを作るにしても材料が足りないわね」
藤田は百合子の言葉に無言で頷くと、まな板の上に茄子と胡瓜と玉葱を置いた。 更に調味料を見ると、塩、味噌、醤油、酢が揃っている。
「姫様、ライスカレーは一般の食卓では特別な日ぐらいにしか上がりません。 牛鍋やビフテキ、ハンバーグなどの肉料理も同様です」
藤田の講釈をきちんとかしこまって百合子は聞き、頷く。
「まず、ご飯です。――何も無いという時でもご飯があれば問題ありません。 今日は、それに玉葱のお味噌汁と、胡瓜の浅漬けと、焼き茄子にしましょう」 「邸が貧しかった頃の様ね。 あの時も藤田や真島が色々工夫して食べさせてくれてとても美味しかったもの」 「姫様……」
百合子が微笑むと藤田も表情が緩む。 藤田の料理の手順は整然としていた。 米を研いで水を吸わせて置き、まずは火鉢で焼き茄子を作る。 焼き茄子は冷えていた方が美味しいので一番に作るのだ。 熱々の内に布巾で皮を摘み剥いでいくと、真っ黒な皮の下から青みを帯びた柔らかな身が現れる。 胡瓜に塩で揉み込んで浅漬けを作り、小さな鍋に味噌汁を作る。 途中、ラッパの音に小銭と椀を手に豆腐を買いに走った。 藤田が手順を説明し、実際は百合子の手に委ねたため、 時間は多くかかったが懐中時計が九時を差す頃には全て整った。
「焼き茄子には醤油と酢を混ぜたものが良いでしょう」 「お醤油とお酢ね」 「それが終わったら、そろそろ蒸らしたご飯をお櫃に移しましょう。 お櫃が湿気を吸い取るのでご飯がべったりとしません」 「ええ、分かったわ」
すでに外は真っ暗だったが、家の中は電球に笠をかぶせただけの電気だけで明るかった。 すっかり夕食の準備を整える。藤田は手際よく用水路の水で洗い物を片付けた。 百合子もそれを手伝い洗い終わった焼き網やまな板を片づける。 そして、野菜の皮を集め、家の裏手の穴に捨てた。 暗闇に空を見上げると星が数えきれないほど瞬いている。 足元が不思議と明るいのは、家の光が漏れているためだ。 開いた窓から味噌汁の湯気と匂いが流れてくる。 袂を纏めていた紐をしゅっと解いて着物を整えていると声がかかった。
「おい、誰だ――」
聞き覚えのある低い声は斯波だった。 百合子は思わずはっと身構えてその問いに答えられなかった。 相手が近づいてくる気配を感じてますます身体は硬直する。 家から漏れでた淡い光が、足元から斯波を照らす。
「――まさか」
斯波はそう言うと息を飲んだ。 しばらく沈黙し、斯波はその場から先へ足を踏み出そうとはしなかった。 百合子はようやく頭が働いて、何と声をかけようかと身動ぎして手を握った。
「――俺を、あざ笑いにでも来たのか?」
斯波はそう言って鼻で笑う。声音に棘があり、言葉は辛辣だった。 百合子は声が出せずに、慌てて首を振る。 陰になって斯波の表情は見えなかったが、安っぽい靴にカーキ色のズボン、半袖のシャツの襟を開いていた。 百合子は張り付いた様な喉をなんとか開いた。
「あの……」
ようやくそう言って僅かに踏み出す。 家の光が斯波の顔を照らした。 無造作に掻き上げられた赤っぽい髪に、不機嫌そうに眉間に寄る皺、瞳は光を受けて爛々と光っている様に見える。 質素な出で立ちをしていたが、最後に見た斯波と変わりはない。
「それならもう用は済んだだろう。帰ってくれ」
斯波が突き放す様に言う言葉に百合子は再び首を振った。 ぎゅうと握っていた両手に目を落として、唇を引き結ぶ。 二度、深く呼吸をして再び斯波を見上げた。
「私を、ここに置いて下さい――」 「混血児の執事は伝言も碌に出来ないのか?! 俺に関わるな、と言っているんだ!」
斯波の恫喝に百合子は身が竦む。 初めて浴びせられた怒声に、恐ろしさからか心臓がどくどくと脈打つ。 握っている手が汗に濡れる。 嫌だ、という風にどうにか百合子は首を振った。 斯波はあからさまに舌打ちをして家の戸に向かって怒鳴る。
「おい藤田! お前も居るんだろう!」
引き戸が音を立てて開き、藤田も外に出る。 その顔はいつも百合子に見せている表情よりも固かった。
「さっさとこのお姫様を連れて帰れ!」
斯波は藤田に向かって吐き捨てるように言い、じろりと睨む。 だが、藤田はあくまで冷静に薄く瞳を開けて言い放った。
「私の主は姫様です。斯波様のご命令は受けかねます」
梃子でも動かないという藤田の雰囲気に斯波はぐぐと押し黙った。 そして百合子を見る事なく、乱暴に藤田を押しのけて家に入ると音を立てて引き戸を閉める。 閉めだされた百合子と藤田はしばらくその場で立ち尽くす。 家の中からは物音一つしなかった。
「姫様……今日は帰られますか?」 「――ええ、そうね」
百合子はそう言うと藤田と自動車に乗り込む。 静かな夜に、さらさらと小川のせせらぎが聞こえる。 百合子は暗い車内でその音に耳を澄ませた。
車に乗り込む。 静かな夜に、さらさらと小川のせせらぎが聞こえる。 百合子は暗い車内でその音に耳を澄ませた。
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鼻風邪の治りがイマイチ( ̄〜 ̄;)でも、今日に合わせて至難だった有休をなんとか取れたんで、行ってきやす( ̄^ ̄)ゞ ・ ・ #おはようございます 。 2017年《平成29年》1月28日(土) #今日は何の日 で、 ・ ・ 初不動、 コピーライターの日、 にわとりの日(毎月)、 衣類乾燥機の日、 セレンディピティの日、 「古事記」完成(712年)、 遣欧少年使節団の派遣決定(1582年)、 江戸幕府が初めて「生類憐れみの令」を出す(1687年)、 ガス灯、世界で初めて誕生(1807年)、 葉煙草専売法・登録税法が公布(1896年)、 堺利彦らが日本社会党を結成(1906年)、 日本軍が中国軍と上海で衝突。上海事変(1932年)、 南極に初めて日本人到達。日章旗を掲げ、この地点を大和雪原と命名(1912年)、 上野公園下賜(1939年)、 GHQが映画検閲開始(1946年)、 春闘はじまる(1955年)、 万国著作権条約が公布。Cマークを定める(1956年)、 宇宙からの警告の日【米スペースシャトル・チャレンジャーが打ち上げ直後、爆発炎上。乗務員7名全員死亡(1986年)】、 宮城県の病院で白血病の小学生に骨髄バンクによる初めての骨髄移植(1993年)、 フォードがボルボの乗用車部門買収を発表。後にボルボ・カーズとなる(1998年)、 新潟県柏崎市で9年2か月に渡り監禁されていた少女を発見、保護。(新潟少女監禁事件)(2000年)、 JR東日本がモバイルSuicaのサービスを開始(2006年)、 台湾の囲碁女流棋士謝依旻が史上初の女流三冠独占(2010年)、 ・ ・ 誕生花:黒ポプラ (Black Poplar) 花言葉:勇気 ・ ・ 今日から4日間、連投三昧❗️悪しからずm(_ _)m ・ そんな、今日から4日間、越後にいまぁーっす♬な土曜日も行ってみよー♫そして#いってきます 🎶#おはよう#morning#朝#素敵な一日を ・ #青空#BlueSky#晴天#晴れ #いい天気 ・ #イマソラ#今空#いまそら#空#ソラ#そら#sky#今日の茨城の天気#茨城の天気#今の空模様 #空模様#IGで繋がる空#誰かと繋がる小さな幸せ#そら部#ソラバカ戦隊#おなじそらのした #ibaraki#茨城空港周辺 ・ ※今日の出来事は、「函館インフォメーション・ネットワーク㍿」が運営するデータベース『HINET』より、小生の気になったのを、幾つかPickUpしております。 (茨城空港 Ibaraki Airport)
#今の空模様#ibaraki#イマソラ#青空#おなじそらのした#おはよう#素敵な一日を#ソラ#sky#今日の茨城の天気#今空#ソラバカ戦隊#bluesky#今日は何の日#いまそら#おはようございます#朝#誰かと繋がる小さな幸せ#茨城の天気#いい天気#いってきます#晴れ#そら#茨城空港周辺#igで繋がる空#morning#そら部#空模様#晴天#空
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ご案内の通り毎号のニュースに北朝鮮船や人の着岸・漂流情報を入れています。ほぼ毎回追加修正を行っていますが、これでもおそらく一部だと思います。全国紙・地上波のキー局の報道では報道は稀になってきており、それぞれの地域の地元紙や地元のテレビで報じても他の地域には届いていません。
現状では海保も警察も着岸・漂流に関する情報を提供しておらず、また都合の悪い情報��隠されています。その中で毎日のように北朝鮮の船が漂着しているという状態です。おそらく前にニュースで書いた「漁民以上、工作員以下」の人間も何人かは既に上陸していると思われます。事態の進展によっては昨年から行っている「『その後』プロジェクト」の議論のようなことが起きて収拾できなくなる可能性もあります。
お役所に任せてもおけないのでまずは情報の共有のため、今後も着岸・漂流に関する情報はできるだけ収拾・公開していきたいと思います。マスコミ一般を問わず各地でそのような情報をお持ちの方はぜひお知らせ下さい。また、この情報の拡散にもご協力よろしくお願いします。
<調査会・特定失踪者家族会役員の参加するイベント(一般公開の拉致問題に関係するもの)・メディア出演・寄稿・特定失踪者問題に関する報道(突発事案などで、変更される可能性もあります)等> ※事前申込み・参加費等についてはお問い合わせ先にご連絡下さい。
・2月17日(土)14:30 拉致問題を考える国民の集いin大阪(政府拉致問題対策本部・大阪府・大阪市・府内全市町村主催) ・会場 KKRホテル大阪(大阪市中央区馬場町2-24 森ノ宮駅徒歩10分) ・調査会村尾副代表が参加 ・問合せ 大阪市人権企画課(06-6208-7619) ※事前申込みが必要です。
・3月2日(金)18:30 「その後」を考える集い4 in 石川(特定失踪者問題調査会・救う会石川主催) ・会場 野々市市交遊舎(ののいちし・こうゆうしゃ 野々市市二日市1-2 JR野々市駅北口隣接 北陸自動車道金沢西インターより5分 076-294‐8166)ß ・荒木代表他調査会役員・加藤博「『その後』プロジェクト」特別顧問らが参加 --------- 《平成29年以降の北朝鮮船・船体の一部・遺体の着岸・漂流》H30/2/11現在
1月1日 新潟県糸魚川市筒石 木造船の一部 6日 新潟県上越市柿崎区 木造船1隻 7日 福井県小浜市犬熊 木造船1隻 2月7日 島根県隠岐郡隠岐の島町神尾 木造船1隻 11日 石川県金沢市 木造船1隻 15日 京都府京丹後市間人 木造船1隻 15日 京都府舞鶴市瀬崎海岸 木造船1隻 3月8日 島根県隠岐郡隠岐の島町油井 木造船1隻 14日 石川県輪島市門前町 木造船の一部 18日 石川県羽咋郡宝達志水町 木造船1隻 22日 石川県羽咋市寺家町 木造船1隻 28日 京都府京丹後市 木造船1隻 4月28日 秋田県男鹿市入道崎灯台付近 木造船1隻・遺体1体 5月1日 北海道函館市函館港 木造船の一部 2日 新潟県佐渡市石名地区 木造船1隻 6月1日 新潟県佐渡市鷲崎地内 木造船1隻 26日 兵庫県香住町余部海沖 木造船1隻(「0제16749」と記載 遺体1体(男性・身長約168センチ) 7月31日 島根県隠岐郡隠岐の島町福浦 木造船の一部 8月9日 島根県隠岐郡西ノ島町三度埼 木造船1隻 9月6日 青森県西津軽郡深浦町大間越 木造船1隻 25日 北海道室蘭市東町 木造船の一部 11月7日 新潟県佐渡市羽茂三瀬地区 木造船(長さ13.7メートル)1隻 船体にハングル表記 15日 秋田県西400キロ沖(大和堆北方EEZ外)転覆した木造船 3名救助 16日 秋田県西沖(大和堆)木造船 遺体4体 16日 秋田県にかほ市 木造船 19日 青森県北津軽郡中泊町小泊 木造船(長さ8.7メートル)1隻 船体にハングル表記 20日 青森県西津軽郡深浦町大間越 木造船(長さ12.6メートル)1隻 「913185」の数字記載。スクリューやエンジンが残っており周辺で救命胴衣6個発見 21日 山形県鶴岡市五十川八斗島南 木造船(長さ7メートル)1隻 船体にハングルや「89829」の数字が記載 23日 新潟県佐渡市南片辺 木造船1隻(長さ約10メートル)1隻 船体にハングルが記載 23日 秋田県由利本荘市マリーナ 木造船(長さ20メートル)1隻 プレートにハングルで「チョンジン」と記載。生存者8名 内2名が近くの民家に行ってインターフォンを鳴らしたことで上陸が分かる(従って検疫を受けずに上陸した9。証拠品である船はマリーナに係留していたが県警が見失い、後に破片の一部を回収。 24日 秋田県男鹿市宮沢 木造船(長さ7メートル 船首付近に「556-60756」と記載)1隻 白骨化した遺体8体 北朝鮮製たばこ等 25日 新潟県佐渡市藻浦崎 木造船1隻・遺体1体 26日 北海道松前郡松前町小浜 木造船の一部(船首部分長さ4メートル 黒く塗られ数字のようなもの記載) 26日 青森県西津軽郡深浦町 木造船1隻(船首部分に「2093」の数字が記載) 27日 石川県羽咋郡志賀町西海 木造船の一部 27日 石���県羽咋市 木造船1隻 27日 青森県西津軽郡深浦町 木造船(船首に赤い文字で「2093」と記載)1隻 27日 石川県珠洲市三崎町小泊沖 漂流船1隻(長さ12メートル幅2.5メートル 船内に「264軍部隊 軍船」と記載された紙片) 28日 青森県下北郡佐井村 木造船1隻 サイズ24センチ男物革靴(ヒールの高いシークレットブーツ様のもの)と英文の書かれたジャケット 28日 北海道松前郡松前町松前小島 木造船1隻(長さ約10メートル 「朝鮮人民軍第854部隊」との記載)・生存者10名 28日 山形県鶴岡市鼠ヶ関沖 木造船1隻・遺体3体(うち2体の衣服に金日成バッジ) 12月2日鶴岡市温見漂着、12月4日遺体漂着 28日 石川県輪島市舳倉島沖 漂流船2隻 11月30日乗組員21名が北朝鮮僚船に救助される 12月1日 青森県西津軽郡深浦町森山海岸 木造船1隻 1日 新潟県佐渡市両津湾 木造船1隻 2日 新潟県佐渡市小木江積海岸 木造船1隻(長さ約9.5メートル)・遺体2体 2日 秋田県山本郡八峰町八森岩館付近海岸 木造船1隻(ハングルの書かれたバケツ)・遺体1体 4日 新潟県柏崎市西山町石地付近 木造船の一部 4日 新潟県長岡市寺泊大和田 木造船1隻 4日 新潟県新潟市西蒲区角田浜沖 木造船1隻 4日 山形県鶴岡市温見米子漁港沖 遺体3体 4日 秋田県にかほ市海水浴場 木造船の一部(ハングルの書かれたバケツ、缶詰)・遺体1体 4日 青森県西津軽郡深浦町 木造船1隻・遺体2体 5日 新潟県佐渡市高千漁港 木造船1隻 5日 新潟県新潟市 木造船漂流(ブロックに衝突し大破)・遺体2体 6日 青森県西津軽郡深浦町入良川河口付近 木造船(「915430」と記載)1隻 7日 秋田県男鹿市五里合 木造船(「913300」と記載)1隻・遺体2体 7日 秋田県山本郡三種町 木造船1隻(ハングル表記のライフジャケット) 7日 新潟県佐渡市北狄(きたえびす)地区海岸 木造船1隻 7日 新潟県佐渡市両津湾内 木造船1隻 7日 福井県坂井市三国町サンセットビーチ 木造船の一部 8日 石川県珠洲市長橋町 木造船の一部 9日 石川県珠洲市笹波町 遺体1体(一部白骨化し性別不明 死語数か月 セーター、シャツ着用 9日 新潟県村上市府屋海岸 木造船1隻 9日 新潟県佐渡市岩谷口海岸 遺体1体 10日 山形県鶴岡市堅苔沢海岸 遺体1体 10日 新潟県佐渡市石名沖 木造船1隻 12日 新潟県柏崎市荒浜 木造船1隻・遺体2体遺体は白骨化しており、服や身の回りの物も無かった。船はその後産業廃棄物として処理。白骨化した遺体は火葬後、無縁仏として埋葬。 12日 新潟県村上市沖 木造船1隻 12日〜13日 石川県羽咋市 木造船の一部 13日 秋田県潟上市出戸浜海水浴場付近 木造船1隻・遺体2体 13日 秋田県男鹿市北浦入道崎 木造船1隻 13日 秋田県秋田市浜田 遺体1体 13日 新潟県村上市瀬波温泉海岸 木造船(「632-90452」と記載)1隻 13日 新潟県胎内市松浜海岸 木造船1隻 13日 青森県西津軽郡深浦町十二湖海浜公園 木造船(「912358」と記載)1隻 14日 秋田県秋田市雄物川河口近く 木造船2隻・遺体6体 14日 青森県深浦町白神浜 遺体1体 木造船の一部 14日 新潟県長岡市寺泊郷本海岸 木造船1隻・人骨5本 14日 新潟県佐渡市鵜ノ瀬鼻沖 木造船1隻 14日〜15日 石川県羽咋市志賀町 木造船の一部 15日 石川県金沢市金沢港沖に漂流船 16日 石川県羽咋市千里浜インター付近 木造船の一部 16日 青森県深浦町田野沢 木造船(「547-66205」と記載)1隻 17日 石川県珠洲市 木造船の一部 18日 新潟県佐渡市鷲崎沖 木造船1隻 19日 秋田県にかほ市飛字餅田海岸 木造船1隻・遺体2体 19日 石川県羽咋郡志賀町 漂流船(海保は発見できず) 20日 石川県羽咋郡志賀町 富来漁港(西海漁港) 漂着船1隻 21日 新潟県佐渡市関岬 木造船(長さ11.6メートル幅2.75メートル 船首にハングル表示)1隻 21日 新潟東港沖18キロ 木造船1隻 21日 新潟県粟島浦村釜谷 木造船の一部(縦1.5メートル横1.2メートル) 23日 石川県羽咋郡志賀町 木造船(長さ約8.4メートル幅約2.2メートル 15日に金沢港沖を漂流していた船と同じ番号が船体に記載)1隻 24日 新潟県新潟市 新潟港沖12キロ 木造船1隻(21日のものと同じ可能性あり) 24日 山形県鶴岡市油戸漁港付近 木造船の一部・周辺に遺体4体 24日 山形県酒田市浜中 遺体(星型マークがバックルに付いた布製ベルト)1体 25日 新潟県佐渡市羽茂大橋 木造船(長さ約8メートル、幅約2メートル)1隻 29日 鳥取県鳥取市気高町奥沢見海岸 遺体1体(ハングルが書かれたタグのついた黒い長袖ジャージと長袖Tシャツ、ズボン下着用。身長約170センチ、頭部はほぼ白骨化) 29日 新潟県新潟市西蒲区越前浜海岸 木造船の一部(長さ3メートル幅1.6メートル高さ1.43メートル 煙突あり) 平成30年(2018) 1月4日 秋田県山本郡三種町釜谷浜海水浴場 木造船の一部(長さ約8.1メートル幅約2メートル 船底及びスクリュー ) 5日 石川県白山市沖 木造船(長さ約13メートル幅約3.5メートル 船首にハングル)1隻 その後不明 6日 秋田県由利本荘市松ヶ崎漁港 木造船の一部(長さ4メートル幅約2メートル 白地に赤の数字) 7日 京都府京丹後市網野町 木造船(長さ約10メートル幅約3メートル ハングルのような文字の書かれた板が付近に漂着)1隻 8日 新潟市西蒲区間瀬海岸 木造船(長さ約5メートル幅約1.5メートル)1隻 8日 秋田県男鹿市野石申川海岸 木造船の一部(長さ約7.7メートル幅約1.9メートル) 10日 金沢市下安原町安原海岸 遺体1体(年齢不詳顔などの一部が白骨化。黒色のジャンパーと青色のズボンを着町。身元や国籍の分かるものは身に着けていなかった) 木造船(遺体から15メートルの距離 長さ16メートル幅高さともに3メートル 船尾にプロペラ 船体にハングルや数字などの標記見つからず 船内から16日7遺体発見 船首付近に4人、真ん中あたりに3人が折り重なるように倒れていた。セーターやトレーナーを着ており目立った外傷はなかった。 金日成と金正日の並んだバッジ1個)1隻 21日 新潟県粟島八幡神社から200メートルの海岸 木造船の一部(船尾 長さ1.2メートル幅1.3メートルのコの字型 赤字でハングル2文字が書かれていた) 24日 石川県志賀町西海千ノ浦海岸 木造船(長さ8.15メートル幅1.9メートル高さ1メートル平底型 船体に白く614という番号記載 コールタールのようなもので塗装、傷み激しく長期間漂流したものと推定 近くに「10465료대」と書いた木片あり) 28日 石川県羽咋市新保町(志雄パーキングエリアの北約400メートル)木造船(長さ5.871メートル、幅1.87メートル 船体に黒い塗料。目立った損傷なし ハングルと「9-964」の記載) 30日 石川県志賀町大津、上野の境界近くの海岸 木造船の一部。不鮮明だが「3682370」と白い文字で船体に記載。 2月2日 石川県金沢港北西約64キロ沖 木造船。船体に文字や数字とみられる表記。 2日 秋田県由利本荘市出戸字浜山の海岸(西目漁港北東1キロ) 木造船の一部(長さ4.5メートル幅約2.7メートル 船体に赤い字で「556-60269」と記載 4日 秋田県由利本荘市親川河口付近 木造船の一部(長さ約5.4メートル幅約1.9メートル 赤い数字のような文字が記載) 7日 石川県輪島市名舟町海岸 木造船(長さ約5メートル幅約2メートル 「760-75200」と船体に記載) 9日 石川県かほく市白尾海岸 木造船1隻(船体に番号表記) 10日 石川県羽咋郡志賀町 木造船2隻(1隻は海士崎灯台北500メートル、長さ約12メートル幅約2メートル 船首部分に「505-64271」の番号記載があり1日に金沢港沖で発見された漂流船と思われる。もう1隻同灯台北約200メートル、長さ約5.4メートル幅1.5メートル 船尾破損 文字番号等記載なし) ---------- ・channelAJER(チャンネル アジャ)では代表荒木の担当する番組『救い、守り、創る』を送信しています。会員制ですが1回30分の番組の前半は無料で視聴していただけます。 http://ajer.jp
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黎明、即ち再開の空の下で/10/2011
どこをどうして迷い込んだのか、今となっては思い出せない。
百合子は広すぎる洋館のしんと静まった暗い廊下を一人で歩いていた。 女中も召使いも誰もおらず、先ほどまで一緒だった兄さえもいなくなっていた。
普段からお転婆がすぎると母から怒られてはいたが、今日ばかりは深く反省した。 廊下は広く長く、一歩一歩進むごとに暗闇が深くなっているような気がする。 じんと鼻先が痛み、涙が溢れそうになるのを百合子は堪えた。
しばらく行くと暗い廊下にぽつりぽつりと灯りがつきはじめた。 百合子はほっとしたが、それらの灯りはより深く暗いところへ行くための目印だったの��。 そうと走らない百合子はその灯りを頼りに、階段を降りる。
下階の方からは、ごうんごうんと音が聞こえてくるので誰かいるのかもしれないと思った。 階段を踏み出せば不思議な匂いがした。それは苦いような青臭さだった。 しばらく行くと古い扉があらわれ、音も匂いもその中からしているようだった。 その取っ手に手を伸ばし、引いてみるがぎしりと金属音がするだけで開かない。
百合子は何度か押したり引いたりしてみたりしたが、どうやら鍵がかかっているらしくびくともしなかった。
「誰かいないの?」
声をかけてみても同じで、がっくりと諦めて更に続く階段を降り始める。 階段は行き止まりにまた扉があって、百合子はそれを押して開けてみた。
瞬間、あふれる光りに百合子は思わず目を瞑った。 さわさわと何かが風に揺れる音がして、甘い香りが鼻孔をくすぐる。 ゆっくりと目を開き、何度かぱちぱちと瞬きをしてようやくそこが花いっぱいの温室だと分かる。
「まあ……」
先ほどまでの寂しさを忘れ百合子はその花々に見蕩れた。 白や朱に黄色、薄紫に紅といった様々な色の花が百合子の背丈ほど伸びているのだ。 花壇はきっちりと区切られ、脇には水路がちょろちょろと流れている。 そして更に上を見上げると、ガラス張りの天井に魚が泳いでおり、その透明な天井から差し込む陽の光はとても明るかった。 まるで夢のなかのようだと思う。
「きれいね」
百合子はそう言って花に触ろう手を伸ばした。
「ダメですよ」
急に声をかけられて振り返った。 そこには下働きらしい少年がおり、厳しい顔つきをして百合子を見ていた。
「あの……あ、わ、私、迷ってしまって……」
とっさに口をついて出たのはそんな言い訳だった。 花を盗もうとしたのだと思われたのではないかと不安になる。
「それに……花をとろうとしたのではないわ。みたかっただけなの」 「花が――お好きなんですか?」 「ええ、好きよ」
少年の顔つきが幾分か柔らかくなった気がして、ほっとしながら百合子はそう答えた。
「ここの花はダメですけど、庭園にはもっといろいろな花があります。 それなら、良いですよ」 「本当?」 「はい」
少年はそういうとすたすたと部屋を出る。 百合子もそれに遅れまいと追いかける、二人が部屋を出るとがちゃんと音を立てて扉がしまり暗い廊下に戻る。 暗い階段を少年の後をついて歩きながらそれでもどこからかあの花の匂いがした。 そして、それが少年から香っていることに百合子は気がついた。
がたん、と自動車が揺れる。 うとうととうたた寝をしていた百合子は窓硝子に額を打ち付けた。
「っ……」
不意の痛みに思わずぶつけた額を押さえて苦悶の声をあげる。 じんじんと痛む額をおさえつつ、何か夢を見ていたような気がしたのだが、どんな内容だったか思い出せなくなってしまっていた。 掬い上げては指の隙間からこぼれ落ちる砂のように、夢の記憶が遠ざかる。
「あともう少しで到着しますよ」
運転手が百合子に声をかけて返事をするときには、すっかりと夢の内容は思い出せなくなっていた。 深い緑が続く車道。 百合子は、神奈川県の山奥に建つある洋館に招待されていた。 事の起こりは数週間前、百合子のもとに不思議な手紙が送られてきたことから始まった。
/-/-/-/-/-/
名探偵、野宮百合子嬢に告ぐ。 貴方が真の名探偵であるというのならこの家に伝わる財宝を探し当てよ。
「随分と挑発的な手紙だな」
斯波の服装はすでに病院の用意したものではなく、自前のいつもの洋装だった。 まだ退院は早いのか、それでも会社への指示だけは出すようになっていた。 前日にあのようなことがあったばかりだというのに、百合子はその手紙をもって斯波の病室を尋ねている。 考え始めたらだめなのだ、深く考えてしまうと今でも顔から火が出るほど恥ずかしいし手も震える。 心臓の鼓動は鳴りっぱなしになるし、まともに斯波の顔を見られなくなる。
「そうなの、それでねこの差出人がまた奇妙なの」 「蔵元澤三郎っていうと、数年前に死んでるじゃないか。 たしか心の臓が弱っての病死だったか――それにしても面白い偶然だな」 「偶然?」
きょとんとした百合子に斯波は知らなかったのかとばかりに驚きながら言った。
「真島芳樹は蔵元邸の庭師だったんだぞ」 「蔵元邸の?――藤田は蔵田家の庭師だったと言っていたわ」
百合子はそれを聞いてわずかに戸惑う。 確かに藤田に確認した時はそう言っていたはずだ。 藤田は真島よりも長く野宮家に仕えていたから、情報は確かなはずだった。 その情報を知ってから一度だけ蔵田家を訪れたがすでに邸は売買され、違う住人が住んでいた。 手伝いのものや女中などもすっかり人が変わっていたためそれ以上足跡をたどることはできなかったのだ。 その事を斯波に伝えると、なるほどなと頷きながら説明し始めた。
「蔵元は、元々蔵田家の番頭をやっていたんだ。 江戸時代末期、蔵田は水田開発だの塩田開発だので土地持ちになって、更に質商や金融業も営んでの豪商となった。 そして、当時多くの豪商が私札を発行することになる――ところがだ、私札を発行した家は大名に賃金を支払不能にされたりして没落の道をたどった。 ただ、蔵元は私札発行には目もくれず東京近隣の土地を買い上げた。 だから、あの頃の蔵田家といっても実質は借金まみれの没落家だったはずだろう。 蔵元は恩返しのつもりかいくつか蔵田の借金を負っていたはずだから……東京にある蔵田の邸はほとんど蔵元の所有と思っていいだろう」
そこまで喋って斯波は百合子の視線に気がついた。 じとりと湿り気の帯びた瞳が、不審そうに斯波を見つめている。
「何だお姫さん」 「どうしてそんなに詳しいの?」
百合子が不審がってそう問うと、斯波はにやりと口の端を釣り上げて答える。
「敵情視察は基本ですからね、真島とやらのことを聞いてからは人をやって調べさせた」 「探偵の助手が別の探偵を雇って?」 「別の探偵じゃない俺の部下だ。――それでこの挑戦受けるのか?」 「……まだ、受けないわ。だってまだ斯波さんも本調子じゃないし、 仮に今受けると言ったらあなた無理やりにでもついてくるでしょ?」
白いシャツの下にはぎゅうぎゅうときつくさらしが巻いている。 毎日包帯を取り替えて抜糸もされていない傷口を日に何度も消毒する。 夏も終わりようやく涼しくなってきたものの、斬りつけられた傷口が化膿しなかったのは運が良かったのだろう。
「傷はもう塞がってるが……」 「いいえ、そんな状態でついてこられたら逆に足手まといですからね。 あなたの性格はよおく知っているもの、斯波さんの傷が癒えるまでは保留にするわ。 それに、いまだに記者が家の周りをうろついていて……何を書かれるか分からないものね」 「ああ、それは英断だな」
斯波は手紙を折りたたんで百合子に手渡す。 秋の涼しい風が開いた窓から入り、白いカーテンをはためかせる。 百合子が見舞いにと持ってきた花がそよそよと揺れた。
(そういえば斯波さんのために花を選ぶ日がくるとは思わなかったわ)
百合子は自分の髪が長かった頃のことを思い出していた。 自分も斯波もあの頃から随分と変わってしまったような気がする。 そう思ってちらりと斯波を盗み見ると、斯波も百合子を見ていたようで一瞬目があう。 百合子はどきりと心臓が跳ね、ゆっくりと顔が紅潮していくのがわかった。 そんな百合子に対して斯波はどこか気の抜けたような顔をして笑った。
「ところで、今日は林檎を食わしてくれないのか?」
重湯が物足りないと文句を言っていた時に、差し入れにと市場で買った林檎をもってきたのだが、 刃物の扱いが苦手な百合子は随分と苦労して皮を剥いたのだ。 ごつごつと見た目も悪く、買った店が悪かったのかすかすかと海綿のような林檎だった。
「私がやるよりも、斯波さんがやった方がお上手だったじゃない」
見かねた斯波が一つ試してみたらするすると器用に林檎の皮を剥いていくのだ。 まるで職人技のようだと百合子は感動したが、何をやらせても器用にこなす斯波を少しだけ憎らしく思った。
「なんだなんだ、連れない人だな。俺はお姫さんが切ってくれた林檎を食いたいんだ」 「もう、そんなに言うのならやりますけど」
そう言って机に置かれた籠を取る。そこには水果千疋屋と書かれていた。
/-/-/-/-/-/
(結局、斯波さんを騙して一人で来てしまったけれど……まさか後から追っては来ないわよね)
斯波にはしばらく親戚の家で大人しくしているつもりだから、当分見舞いに行けないかもしれないと伝えておいたのだ。
東京から神奈川まで自動車でだと半日もあればつくが、そこから山奥の別荘へと向かう道は悪路が続いていた。 こんな山奥に邸を建てるなどと酔狂なことだと百合子は考えながらぼんやりと車窓を見つめる。 そして、木々の間から見え始めた塔を見て絶句する。 とても山奥に建っているとは思えないほどの、別荘と呼ぶには些か大きすぎる建物が見えてきた。
「あの、あれが……」 「蔵元邸です――まあ地元の人間は蔵元城と呼んでいますけどね」 「そう、城……」
聳え立つ塔をもち、外堀をめぐらせ跳ね橋をかけている様は城と形容するのが一番ふさわしいだろう。
「何でも英吉利の有名な建築家を呼んで作らせたっていうほど先代が英吉利贔屓らしくてね。先の災害にも耐えたそうですよ」 「先代っていうと、数年前に亡くなった?」 「そうそう、港の辺りの土地を持っていたらしいし、土地開発と貿易なんかで儲けたらしいけどね。 この辺りじゃどこぞの議員さんやら華族さまよりも有名だよ。ところでお嬢さんはどういった用事なんだい?」 「雑誌の取材です、こう見えて編集者なので」
運転手は何も知らされていないのか、呑気に問いかける。 百合子もとっさに答えたが、どうにも”探偵”です、とは言えなかった。
「へえ、東京からわざわざねえ。へえ、雑誌の記者さんか」
ミラー越しに検分されるように見られているのを感じる。 百合子は気にもしないと言う風に軽く髪の毛を触った。 薄紫のモダンな洋装に手首までの白い手袋、流行りの帽子を被ってタイを結んでいる。 どこからどうみても東京のモダン・ガールであり、職業婦人である。 そしてミラーの視線に今気がついたという風に、にっこりと笑って見せてから問いかけた。
「蔵元家は地元の皆さんにも慕われていたみたいですね」 「そうだねえ、俺の曾祖父さんがよく言っていたけどほら天保の飢饉には金何両だかを献じたって。 先代で一時期ちょっと雲行きが怪しくなった時があったらしいが、やはり商才だろうね。 すぐに立ち直って――まあ、その矢先に先代さんはお亡くなりになったんだけどね」 「そうなんですか、えっとじゃあ今は――」 「跡取り息子の宗太さまって方が継いだらしいけど、どうだろうね。 北海道あたりの――何と言ったかな室蘭だったかな……とにかくそのあたりに製銅所が出来るという話があってそれの投資に躍起になっていたと聞くよ」 「そうなんですか」
興味深そうに相槌を打ったのが気になったのか、運転手の顔が曇る。
「あ、今の雑誌に書くつもりかい?まずいなあ……」 「いいえ、大丈夫ですよ」
運転手は困ったように頬を掻くと、それきり黙ってしまった。 もう少し話を聞きたかったが、仕方が無いと諦める。 百合子も自分で下調べをしてはみたものの、さすがに限界があった。 今はもう新聞社に立ち入ることもできないし、斯波を頼りにすることもできない。 けれど、今まで詳細のつかめなかった真島の過去に何か触れられるのなら、と思うと居ても立ってもいられなくなったのだ。 斯波はきっと怒るだろうな、と百合子は思った。 何も告げずに一人で行動することに、眉根をよせて作るしかめっ面を思い出す。 くす、とわずかに笑みが溢れるのを居住まいを正す事でどうにか誤魔化した。
/-/-/-/-/-/
病室の扉が開く。 現れたのは山崎だった。 しゃくしゃくと瑞々しい林檎を頬張りながら、斯波は山崎を一瞥して確信したように頷いた。
「山崎、行ったか」 「ええ、社長の仰るとおりでした」 「やはりな――。よし、ではこの中から一番目を引く見出しを選べ」
斯波は寝台にあぐらをかき、敷物の上にに筆文字で書いた半紙を並べた。
一、怪奇!死人からの挑戦状、野宮百合子最後の事件! ニ、T氏の埋蔵金を探せ!美人探偵百合子の事件帖! 三、華族探偵野宮百合子と呪われた洋館の謎! 四、名探偵野宮百合子、危機一髪!~呪われし財宝と最後の事件~
それに全て目を通して、しばし考えこむ。 そして、どこか誇らしげにしている斯波に率直に聞いた。
「社長、これは一体……」 「もちろん、各新聞社に送るタレコミだ」 「なぜ、新聞社にこれを送る必要が?」 「山崎、良い質問だな。真島芳樹にお姫さんを見つけさせるためだ」
自慢気に言う斯波の顔を今度は心配そうに山崎は見つめた。 その視線に気がついたのか、ばつの悪そうな顔をする。 眉根をよせてしかめっ面を作ると、少し気分を害した様な声を出した。
「何だその目は、ん?」 「いえ、三日三晩の高熱の後遺症かと……」 「馬鹿者。いいか、真島とやらはお姫さんに見つからないように逃げてるんだぞ。 それを見つけようと探すのははっきり言って無理だ」 「左様で……」
山崎はほっと胸を撫で下ろす、どうやら頭が茹だってしまったわけではないらしい。 それを見て斯波も調子がついたのか、自らの作戦の構想を語りだした。
「だからだな、今の華族探偵ムーブメントにのるであろうこの記事を真島が目にするとだな。 真島がこれは一大事とお姫さんの様子を窺いに現れるかもしれん。 何しろこの蔵元家はかなりきな臭い。政治家に心酔しおかしな投資に大金を突っ込み傾きかけたはずが、貿易で急に盛り返したりとまあ何とも動きが怪しい」 「それはまあ社長の仰りたいことは分かりましたが……いいのですか? お二人が出会ってしまったら、恋心が再燃して愛の逃避行に走る可能性も……」
その言葉に斯波はぴくりと眉尻をあげた。 そして少しだけ考えこむように沈黙するが――。
「まあ、もちろんその可能性も考えなかったわけではない。 しかしお姫さんは俺に”嫁になってもいい”と言ったんだ。 どうだ、これはかなり俺を好いている、いや俺のことを着実に愛し始めていると言っても過言ではないぞ? (あまりの可愛さに理性がぶち切れてつい手を出しそうになってしまったがな、はは) こうなると――禍根は、この真島だけなんだからな。 まあ、俺もこんな記事を打ちつつも真島がお姫さんの前に現れる確率など五分……いや、いいところ二分くらいなものだろうと考えている。 探しても見つからない、炙り出しても現れない、そうなってようやくあの頑固者――いやいや意思の固いお姫さんも諦めるというものだ。なあ」 「仰るとおりで」 「さあ、ぐずぐずしていられないぞ。 記事の方にもそれとなく蔵元家の存在を匂わしつつ真島に伝言を入れ込まねば。 いいか、場所や個人名が特定されてしまって記者が嗅ぎつけたら元も子もないからな、塩梅だぞ塩梅。 よおし、まずは熱い茶だ。茶を入れろ!」 「はい」
山崎はそう命ぜられて一旦病室を出る。 中ではああでもないこうでもないと原稿を推敲する斯波の声が聞こえる。 側仕えの女中に熱い茶を入れるように言うと、深くため息をついた。
(百合子さんが関わられると急に人がお変わりになる……)
斯波の作戦が成功しようが失敗しようが、山崎の心労が晴れることは無さそうだった。
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衰退する蔵田家の一方で、蔵元家が急成長した理由にとある共同経営組織の存在があった。 これは元は清と英吉利の貿易を代行している会社で、貿易の中継地点として日本での拠点になる会社の経営を蔵元に願い出たのだった。 日本での活動をより円滑にするために財界や政界にも顔が広い蔵元に支援を受けていた会社が、いずれ蔵元を内側から食い荒らすほどの巨大な組織であった事は蔵元の当主であった先代しか知らない。 毎年毎年生み出される莫大な利益が何から生まれているのか、それを知ったときにはもはや後戻りはできないほどの闇の深みへと沈んでいたのだ。 人の欲を食って膨らみ続ける金――権力や富をもう欲しいとは思えなかった。 だから、共同経営者の使いから火急の要件を聞いた時、何十年ぶりかに心の休まる思いがした。
それは、組織が蔵元から手を引くというものだった。 蔵元名義の会社や工場、港は全て閉鎖か転売するという内容だった。 手元に残るのはほんの少しの資産とわずかな土地くらいなものだろう。 いつ、政府や役人にあの恐ろしい罪が暴かれるかと不安に思う日々に比べれば多少の不便など目を瞑ることが出来た。
こうなると、悩みの種は一人息子のことだった。 そんな内情を知らない息子は、会社の権利書や土地の証明書などを引っ張り出しては調べ上げている。 何をどう勘違いしたのか資産を隠し持っていると考えているようだ。 ふ、と例の共同経営者について全て洗いざらいを話して、説得してみようかと考えてみるもすんでで思いとどまる。 それが共同経営者の男との盟約だったのと、何よりこの邸の秘密を知った息子は恐れるよりも喜び勇んで利用するだろう。 だから、やはりこの邸は男の言う通り、朽ちるに任せるのが一番いいのだ。
ずぎり、と心臓が痛む。 もうずっと、体調が思わしくない。 ふるえる手で水差しを探すが、ぶるぶると震えて焦点が定まらない。 手の甲が硝子に触れ、勢い余って机から水差しが落ちる。 絨毯に水差しが転がる重い音がして、水を散らしながら転がる。 ぜいぜい、と額に脂汗を浮かせて床に倒れ込んだ。
その音を聞きつけた秘書が扉を開けて駆け込む。 ぼんやりとした意識の向こう側で必死に名前を呼ぶの分かる。
「この邸だけは……」
震える舌は最後の言葉をどうにか紡ぎ出し、糸が切れたようにそのまま力が抜ける。
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城には二つの種類がある。 一つは敵の侵攻を防ぐ要塞としての城、ぐるりと囲む城壁や堀にかかる跳ね橋は城塞としてのそれである。 そしてもう一つはマナーハウスと呼ばれ、貴族たちの別荘としての建物で広く美しい庭をもつものだった。 蔵元の城はその二つを兼ね揃えていた。
威圧感のある城壁に、跳ね橋をみてよくも政府などに目を付けられなかったものだなと思ったが、一歩跳ね橋より中に入ってみるとそ���は美しい庭が広がりその中央に噴水が輝いていた。 開けた道が一本噴水まで続く、そしてその奥に欧州の絵本の挿絵をそのままそっくり建築したようなマナーハウスが建つ。 道なりに両脇には動物を象った木の葉が刈りこまれており、造形は躍動する馬だとか跳ねる兎だとかで、午後の日差しも相俟って庭は不思議な雰囲気が漂う。 マナーハウスは薄いクリーム色をした建物で、外壁を緑の蔦がからみつくように覆っている。 背後には森が続いているようで城壁が見えないほど広い。 自動車が止まり、運転手にドアを開けられて外に出ると城壁によって外界と遮断され、まるで本当に別の国に迷い込んだようだった。
「お待ちしておりました、名探偵殿」
百合子にそう声をかけたのは30代半ばほどの男だった。 焦げ茶色の洋装に撫で付けた髪に口髭、微笑んでいるが目の奥は百合子を検分するように光る。
「素敵な招待状をありがとうございます、ご依頼はどのような?」
男は苦笑して答える。
「招待状の通りです、私の父は数年前に病気で亡くなったのですがその際遺産を屋敷に隠したと遺言を残したんです、遊び心の多い人でしたので。 最近、貴方のご活躍を耳にしましてね、是非我が邸の謎も解いてもらおうと思ったんですよ」 「それにしても、亡くなったお父上のお名前を使うなんて……」 「これは賭けだったんですよ、なあ?」
男は後ろに控えている秘書に笑って同意を求める。 50代前半ほどの老紳士風の秘書は無表情のままかしこまって礼をした。
「ここではそれほどでないが、東京では今や貴方の名前を知らない者はいない。 そんな有名な探偵殿に普通に依頼を出しても選り好みをして受けてはもらえないだろう?」
得意そうに弁舌を振るう当主。 百合子が依頼を受けたのは全く別の理由だし、嫌味な言い方にかちんとくるも微笑んで同意してみせた。
「旦那様、野宮様もお疲れのことでしょう」 「ああ、そうだな。兎に角、貴方の手腕が発揮されるのを楽しみにしているよ。 依頼の説明や身の回りの世話は秘書の日野に任せてある」 「まずは宿泊のお部屋にご案内を」 「ええ、では失礼いたします」
自動車に積んだ荷物を持ち秘書の男が邸を案内する。 残された当主は内懐から煙草を取り出し火をつけ、興味深そうに百合子の後ろ姿を目で追った。 ふうと煙を吐き出して、吸殻を捨てる。ぎゅっぎゅと革靴の底で踏みつぶしながら今度こそはどうだろうと思案に暮れる。
(本当に遺産なんてあるのか?)
父親が病死して土地という土地、遺品という遺品を総ざらいしてみたもののそれらしい遺産は何もなかった。 傍から見ればあれほど土地持ちだ資産家だと思っていた邸は空蝉のごとく何も残っていない。 財界を唸らせるほどの金と権力が父親の死によって、全て見せかけだったと気付かされる。
(いや、そんなはずはない――)
では、あれほどの金はどこから出ていたのか。 やはり何か隠してあるに違いない、否、そうでなければならない。 当主を継いだ宗太は焦りを感じていた。 北海道の投資に失敗して以来、それの損失を補填しようと様々な事に手を出した。 どこそこの土地に線路が走るだの、土地開発案があるだのと仲間内からの情報を信じて買ってみれば全て嘘の情報であったり値を吊り上げられていたりし、急かされて金を渡せば仲買人が金を持ったまま失踪したりした。 先日もまた戦争があるからと儲け話を持ちかけられ、唯一残っていた不動産やら証券を整理して逐次注ぎ込むも利益は全く上がらなかった。 どれもこれも最初だけは上手く運用出来て潤沢な配当があった、それが日が経つに連れ雲行きが怪しくなりそして損失を補うために次に次にと財産を注ぎ込むことになるのだった。
そして勝手に土地を抵当に入れているのが、当時当主だった父親の知るところになったのが運の尽きだったように思う。 当主とはいってもどうしてかすでに半分隠居したような暮らしをしていた父親に、金の無心をせまるも無下に断られる。 これから戦争で世界が動く、日本だって動かざるをえない状況になる、そうすれば人も金も物も動き絶好の機となると何度説得しても応じなかった。 宗太は慌てた。他の仲間達は我先にと儲け話に乗っているのに、自分だけはただ借財が増えるばかりだ。 蔵元の財産と呼べるものはこの邸以外にはもうほとんど残っていなかった。 土地も山も、田畑も、不動産も、貿易会社工場も――全て名義だけが蔵元で実質は色々なところに切り売りされていた。
もはや宗太が頼れることは死に際の父親が繰り返した、この邸だけは人に売るな――。というその言葉だけだった。これが遺言らしい遺言ともとれる。 英吉利の建築家が設計したという城を、これまで何人も探偵を雇って調べさせてはみたが何もでない。 本当に父親の遺産は全て幻だったのだろうか。 もう二年半も人をやっては調べさせている、しかし何もでない。 潮時を感じていた、この邸を売るなという遺言はあれどこのあたり一帯、背後の山も森も湖まで含めての残された唯一の土地。 売ればいったいいくらになるだろうと考えていた。
「申し訳ございません」 「いいんです慣れてますから」
秘書が百合子に頭を下げる。 先ほどの当主の無礼な言動を思ってのことだろうが、こういった事は初めてではない。 形式通りに邸を一巡案内される。 広すぎる廊下、広間、書斎、渡り廊下を経て玄関からテラスに出た。
「あの噴水は裏手の湖から直接水を引いています。 日中はあのように陽の光を受けて虹色になるように設計されています」
説明を受けて噴水を覗き込むとたしかに清らかな水が流れ、鮮やかな色をした魚が放されていた。 中央から吹き出す飛沫が美しい虹を作る。
「使用人の方にお話を伺っても?」 「それは構いませんが先代の頃にだいぶ人を減らしまして今残っているのは本当に少数です」 「その、先代様が資産を整理されて寄付をされた――というのは何か理由があったんですか? それに、人員の整理をするなんてまるで全てから手を引くような印象を受けたんですが」 「それは――私にも分かりかねます」 「そうですか……」 「ではお食事をこちらの部屋まで運ばせて、その後に使用人をお呼びしましょうか」 「ええ。――いえ、皆さんお仕事で忙しいでしょうから調査も兼ねて私が伺います。 なのでお話だけ通しておいてください」
斯波の情報が正しければ、真島はここで庭師をしていたのだ。 使用人たちに聞けば何か分かるかもしれない、ふと秘書の日野に真島のことを聞こうと顔を上げるが僅かなためらいの後に言葉を飲み込んだ。 そんな百合子の様子に気がつかず、秘書が部屋から去ってからほっと一息つく。 何だか一挙手一投足を監視されているようで居心地が悪い。
(あの秘書は食えないやつだ、お姫さん気をつけたほうがいいぞ)
今ここに居ないはずの助手がそう言うのが目に浮かぶ。 そう、当主などよりもよっぽど切れ者であるあの秘書こそ一番気をつけたほうがいい人間だろうということを百合子も薄々感づいていた。 先代の秘書と言うのなら財政には一番詳しかったはずである。 帳面などの管理や資産運用も先代に代わって取り仕切っているはずの秘書が、なぜ先代が資産の全てを寄付したのかという問いに「教えられない」「答えられない」ではなく、「分からない」と答えるはずがない。 食事を終えて紅茶を飲むと、調査も兼ねて邸の散策に出かけた。
(皆、言うことは先代様は素晴らしい方だったということばかりなのよね)
判を押したような答えに不思議に思いながらも、庭師の老人を訪ねて番小屋へ向かった。 ざくっざくっ、と土を掘り返す音が聞こえそちらへ向かう。 邸の使用人は洋装で統一されているのか、庭師の老人も汚れたシャツを来ていた。 年齢は勿論、格好も違うのに、百合子はなぜか少しだけどきりとした。 土を耕すその姿がどことなく真島と重なって見えたからだ。
「あの――」
振り返った老人は白髪で日に焼けた顔にはたくさんの皺がきざまれていた。 真島とは似ても似つかない姿形だった。 呼びかけた声に額の汗を手ぬぐいで拭きながら腰を上げ、老人は百合子を見て微笑んだ。
「ああ、噂の探偵さんか――ご苦労様で」 「お仕事中に申し訳ないですが、いくつかお聞きして良いですか?」 「ええ、勿論。まあ、私が知っていることと言ったらこの庭のことぐらいなものですけどね」 「以前勤めていた真島芳樹という男を知っている?」
蔵元の遺産関連の質問にこの邸の使用人はまるで回答を用意しているかのように、百合子の質問に答えた。 遺産��あるとすればそれは全て寄付された、先代様は偉い方だ。――と。 思い切って別の質問に切り替えようと思ったのはそのためだった。 そこから会話を切り崩そうと考えて、あえて真島のことを話題にした。
「は?ええ、――たしかに、真島という男がいました。 けれど、なぜそれを?」 「私の邸の庭師だったの」
するりと百合子は答えた。
「とすると、貴方……もしかして野宮子爵の……?」 「そう、もう爵位は返上してしまったけど……」 「そうかい、それは懐かしいねえ。あの小さな姫様が」
老人の返答に驚くのは百合子だった。
「お前、私を知っているの?」 「ええ、一度だけお会いしましたよ。姫様はたぶん覚えていないでしょうが……」 「私、この邸に来たことがある��?」
それは老人に向けた言葉だったが、同時に自分にも問いかけていた。 老人はいつだったかなと想い出すように空を見上げた。
「そう思い出しました、昔は先代様がハウスパーティーをよく開いていたんです。 その時に――確か皆様でいらっしゃいました。若様が十になるかどうかで姫様はまだ五つかそこらだったと」 「そうなの?全然――思い出せない」
どうにか思い出してみようとするも何も思い出せなかった。 もどかしさばかりが胸につのる。
「あの子は私もびっくりするほど植物を咲かせるのが上手でね、今も元気にしてるのかい?」 「……爵位を返上して邸を手放した時に真島とも別れました。 そう、ではやはり彼はここで庭師をしていたのね」 「ああ元々は先代様の共同経営者の下働きをしていたらしいんだが、彼がそうだな十二、三のころかな一時期ここの庭師の手伝いとして雇われるようになってね。 すごく腕が良かったから私もこれでようやく弟子が出来たと喜んでいたんだが――すぐにまた別の仕事につかされたらしくてね。 まあ、頭の良い子だったから庭師にはもったいないと思ったんだろうね」 「では、ずっとここで働いていたわけではないの?」 「そうさね、それから十年も経ったかなあという頃にまた戻ってきてね。 その頃にはしっかりとした青年になっちまってて見違えたよ、それで庭師の仕事も相変わらず見事でどこで修行を積んできたんだと笑ったよ」 「じゃあ、その頃に私の父にその庭師の腕を気に入られて?」 「そうそう、蔵田の邸に移ってすぐね」
真島はその空白の十年の内に復讐に必要な全てを用意したのだ。 そしてそれはこの実体の見えない蔵元家の内情に深く関わることのようにも思えた。
その日の夕方、当主は最後まで姿を現さなかった。 百合子としてもこれ以上嫌味な言葉を言われる心配がなくなり少しだけ安堵した。 夕食も部屋で取る。 食前酒のアルコールがきいたのだろうか、百合子は強い眠気に襲われた。
(何か思い出せればいいんだけど――)
百合子はうとうととしながら、記憶の底を覗き見る。 そもそも五つか六つの頃の記憶などあってもちらほらとしたものばかりだった。
(真島が下働きをしていたという会社は何をしていたのかしら――)
先代の書斎にある名簿などを調べればまた違う糸口が見つかるかもしれない。 そう思いながら百合子は眠りについた。
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夢の中で百合子は五つだった。 猫がぐるぐると百合子を取り囲み、その三日月のような瞳が不気味に笑う。 すると、次は黒い影が伸びて馬の影絵が現れる。 ウサギがぴょんぴょんと飛び跳ねて百合子の背を叩く。
Gone to get a rabbit skin, To wrap his baby bunting in♪
外国の言葉など何一つ知らないのに百合子にはそれが恐ろしい呪いの歌のように聞こえて耳を塞いだ。 じっとうずくまり、海底に沈んだ石ころのようにぎゅうとからだを縮こませて。 ふわりと、花の匂いが漂ってそれにつられて目を開けると、動物たちは消えていた。
どこをどうして迷い込んだのか、今となっては思い出せない。 百合子は広すぎる洋館のしんと静まった暗い廊下を一人で歩いていた。
Purple, yellow, red, and green♪
百合子は色とりどりの花を摘みながら歌う。 誰かに教えてもらった詩を口ずさみながら。
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悪夢にうなされるようにして百合子は目覚めた。 ぐっしょりと寝汗をかき、身体が硬直して動かせない。 まだ身体は夢を見ている状態なのだ――。指を動かそうともぴくりとも動かず、息も浅く緩く繰り返す。 ただ、頭だけは冴え渡っていてとっさに身体が動かない事がもどかしい。 視界もまだぼんやりとしており、真っ暗な天井に差すわずかな月の光がちらちらと見えるだけだ。
働き過ぎて疲れた夜に同じようなことを体験した。 百合子は半ばあきらめて、先ほどの夢を思い出していた。 あれが夢の出来事なのか、それとも何かしら昔の記憶が混ざっているのか判断がつかなかった。 ただ夢の中で流れていたあの奇妙な歌には覚えがあった。
特有の残酷な詩が百合子は苦手だった。 あの詩を教えてくれたのは兄だっただろうか――。 それも思い出そうとするが、教えてくれた相手は顔に靄がかかっている。 それに、あの兄が外国の動揺を歌って聞かせてくれただろうか、と。
氷が溶けるようにゆっくりと百合子の身体もほぐれ、 凝り固まっていた体の節々がぐぐぐと引きつるように伸びた。
ぎしりと寝台の音をたてて起き上がり、カーテンの隙間から夜の庭園を望む。 月光を受けた噴水の水がきらきらと光っていた。
翌朝、先代の書斎に入り従業員名簿などを調べてみたが、そこに真島の名前はなかった。 共同経営者だったという男やその会社について調べてみても同じだった。
「この共同経営者という男に、遺産を全て騙し取られたと考えるのが妥当だと思いますが――」 「ではなぜ父は、この邸だけは手放すなという遺言を残したんだ?」 「それは――例えばこの邸が凄く気に入っていたとか……」
百合子の答えに現当主は嘲笑した。
「遺産は必ずある――。依頼を受けたからにはきちんと調査ぐらいはしてもらいたい」 「この邸に、動く壁だとか回る本棚だとかそういった仕掛けがあるとは思えないんですが」 「ふん、ならば遺産ではなく、父がこの邸に執着した理由を探ってもらいたいな」 「執着――」 「そう、父のこの邸に対する思いはそれこそ異常だった」 「それは例えば――どんな風にですか?」 「とにかく、人の手に渡らせるなだの朽ちるに任せろだの。 死に際はそんなことばかり言っていたな」 「それで、あなたは先代様が何か遺産を隠していると?」 「他に何がある?」
どうやら、現当主はその逆のことは考えもつかないようだった。 百合子には先代の執着はまるでこの邸を恐れているかのように感じた。 現当主の後ろに控えている秘書に目を向けて問う。
「どちらにしろ、この共同経営者とやらが何者かが気になりますわ」 「それは――私共も気になって何度も調査をしていたのですが、 先代様はその会社のことについては蔵元家の者は一切関わらせず社員の多くは共同経営者側の人間だったようです」 「その代表の方のお名前と会社名を教えていただいても?」
百合子はその名前を書き取り、使用人に案内され電話を借りた。 交換手に取次ぎ、斯波の入院している病院にかける。
「ああ、お姫さん。どうだ、親戚の家はゆっくりできてるか?」 「え、ええ。まあね、も、もちろんよ。 それよりも、ちょっと調べて欲しいことがあるんだけど――」
百合子は斯波に現状を悟られないように、詳細を説明した。
「その会社と代表なら知ってるぞ。――なるほどな、そういう事か」 「どういうこと?」 「その会社も代表もそっくり蔵元と同じような状況なんだよ」 「どこかの会社に買収されていた――ってこと?」 「そうだ。いくつもの会社を経由して元締めの組織を隠しているんだ。 よほど表に出たら危険な組織なんだろうな……」 「それでも、たどっていけばいずれは分かるのでしょう?」 「それは分かるが――ここまで用心深いんだちょっとやそっとじゃ尻尾を掴ませないだろうな。 まあ、調べてはみるが……」 「ええ、ありがとう」 「いいのか、真島はその中枢にいるんだ。 調べたら知りたくない事実を知らなくてはいけないかもしれない」 「……いいわ。毒を食らわば皿までねぶれ、よ!」 「お姫さん……」
勇ましすぎる百合子の言葉にうなだれるような斯波の声が聞こえた。
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その日は午後からまた庭師の老人を訪ねて、階下に降りた。 虹を作る噴水の横を通り、動物の形に刈り込んだ植樹の通りをまっすぐに歩く。 その時に百合子は違和感を覚える。 しかし、それが何なのか分からないまま庭師の番小屋へ向かった。 小屋の周りには食用の小さな菜園があり、脇には大きな井戸がある。 菜園を見てそこに茄子や南瓜と言った野菜が植えられていて百合子は真島を思い出さずにはいられなかった。 番小屋の扉を叩いてみても反応がなく、どうやら庭師はどこかへ出かけているようだった。
少しだけ散歩をしようと花々の咲き誇る庭園を歩く。 その時、ふとある香りが漂った。 それは昔の記憶を呼び起こす鮮烈な香り――。
「真島?」
振り返り、背後を見る。 ひらひらと蝶蝶が舞い、午後の日差しに咲く花があるだけだった。 太陽の香り、花の香り――何とも形容しがたいあのあたたかく甘い香りに脳が揺さぶられる思いがした。
ふ、と記憶の一部分が蘇る。
目の前を歩く少年の姿。 百合子は暗い階段を少年の後をついて歩きながらそれでもどこからかあの花の匂いがした。 そして、それが少年から香っていることに気がついた。
「これは、記憶なのかしら――それとも私が勝手に作り上げた幻想?」
それでも確かに、あの少年は真島なのではないかと思えた。 庭を一周する。次第に日が傾き、木々の黒い影がぬるりと伸びる。 それ以上の収穫らしい収穫はなく、また遊歩道を通って邸へ向かう。
足元に、動物の影が落ちて一瞬ぎくりとする。 それは猫の形をしており、尻尾がくるりと巻き、あくびをするように身体を伸ばしている。
百合子はどうしてかゆっくりと、動物の影を作る植樹に近づく。 葉は刈りこまれて、綺麗に整えられている、誰かが毎日世話をしている証拠だった。 横には馬が、そしてその向かいにはウサギの植樹が並ぶ。
確かに子供の頃、この植樹を追ってどこかに迷い込んだはず……。
百合子は遊歩道を引き返して番小屋に向かっていた。
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「もしもし。 そちらにお邪魔している野宮百合子嬢の助手の斯波というものだ。 彼女に話があるんだが」 「申し訳ございませんが、そのような方はおりません」 「何を馬鹿なことを言って――」 「お掛け間違いでしょう、それでは失礼致します」
日野は電話を切ると現当主の居る書斎へ向かった。 扉を叩く暇もなく、部屋へ入る。
「どうやら、あの女探偵が遺産の隠し部屋を見つけたようです」 「本当か?」 「はい、どうやら庭園の一角に入り口があったようで――」 「庭?……庭とは盲点だったな。ようし、行くぞ」 「はい」
喜び勇んで部屋を出る現当主の後に日野も続いた。
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リン��みたいにまあるくて、コップのように深くって、 王様の馬が集まっても持ち上げられないものってなあんだ?
庭園の一角にある東屋で人々が集い午後の茶会を開いている。 ハウスパーティと銘打たれた茶会に百合子はうんざりとしていた。 茶会に参加している他の子供達はやれ流行り着物だの新しいドレスだのと自慢ばかりしているし、 同じ年頃の男の子はどうしてか百合子に意地の悪い言動ばかりかませてくるしと、 百合子は兄と一緒に茶会を抜けだして庭園を散策する方が楽しかった。
着せられた新しい洋服が腹に苦しくて一刻も早く脱ぎ捨てたいと思う。 少し年上の女の子には「あまり似合ってないわね」とからかうように笑われたのも屈辱だった。 思い出しただけでも恥ずかしさに顔が赤らむ。 そして今もまた妙に作り上げた猫なで声で兄の名を呼んでいるのがそうだ。 馴れ馴れしく瑞人さんなどと呼び、大胆にもにっこりと微笑んで向こうに何々の花がありますのよとしなを作ってみせていた。 兄も悠然と微笑みそうですかなどと答えて、百合子にお前も一緒に行こうという。 おじゃま虫の百合子を例の少女はじとりと嫌な目で見た。
百合子はとっさに、私���もう少しこの花を見てます、ともごもごと答えてその場から逃げる。 兄の呼ぶ声が聞こえたが今更戻るのも癪だった。 当て所なく庭園を彷徨っていると、美しい蝶が一匹ひらりと目の前を舞う。 色は黒く、わずかに深い瑠璃色が模様で入っている美しい蝶だ。 それが風に乗ってふわりと飛ぶと、甘い花の香りがした。 花の蜜の香りに誘われるように、百合子もその蝶を追う。 どうぶつのかたちの植木を撫でて、遊歩道を外れる。
背の高い草木が生い茂る道を横切ると、一瞬、蝶を見失う。 どこへ行ったのかときょろきょろと視線を泳がせていると、がさりと草を踏む音がした。 百合子は人がいるとは思わず、ぎょっとしてそのまま固まる。どうしてか、息を殺してそっと見を屈めた。
百合子のいる場所の少し先に一人の少年が居た。 向こうは百合子に気が付かず、がさがさと背の高い草をかき分けてまたどこかへ消えてしまった。
蝶が消えた瞬間に、入れ替わるように少年が現れたので百合子は彼が蝶の化身のようにも思えた。 なにより、ちらと見えた少年の顔に表情はなかったがその横顔ははっと息を呑むほど美しかった。 そしてやはり、花の蜜のような甘い香りがあたりを漂う。
(一体何の花かしら……)
こんなにも芳しい香りを放つ花を百合子は知らなかった。 気がつけば先ほど少年が歩いていた道をたどるように百合子も歩いている。 そして開けた場所に出たと思えば、そこには大きな井戸があった。
(リンゴみたいにまあるくて、コップのように深くって、 王様の馬が集まっても持ち上げられないものってなあんだ?)
周りに先ほどの少年の気配はない。 井戸に近づくと先ほどの甘い香りとは打って変わって、苦いような青臭い匂いが一瞬ぷんと立ち上る。 百合子は後退って、再びきょろきょろと周囲を見渡した。 ふわふわと蝶が井戸の周りを舞う。
「この中?」
聞いてみても答えはないと分かっていても百合子は蝶に問いかけてみた。 すると蝶は、そうだ、と言う風に百合子の肩に止まる。 井戸の蓋をとってみる、想像以上に重くて百合子は新しい洋服の袖が汚れてしまったがすでに足元は泥や草花の種で汚れているので気にしないことにした。 ささくれだった木の蓋の枠に気をつけながら、ずりずりとずらして半分井戸の入り口が開く。
「誰かいないの?」
暗闇を覗き込んで呼ぶ。 足元の石ころを拾って井戸に投げ入れるとすぐにからんころんと音がして、中に水がないこととそれほど深くないことがわかった。 そして奥のほうから苦い胸のただれるような匂いに混じって、ふわと甘い香りがした。 その香りで百合子は先程の少年がこの中に入っていったと確信する。 井戸の縁を見れば底に続く梯子がかかっていた。お転婆の百合子ですらも、一瞬は躊躇せざるを得ない闇と深み。
「深いと言ってもコップくらいだわ」
自分に言い聞かせるように言うと、汚れた袖をまくりあげて井戸の縁に足をかけた。
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とっぷりと日が暮れて、ぱつぱつと遊歩道脇の街灯が明かりを灯す。 邸を振り返ってみれば、あの僅かばかりの住人が住む部屋の窓からも明かりが漏れている。 迷路のようになった庭園を早足で駆け抜けて、番小屋を目指す。 庭園の奥深くへと入ってしまうと、そこにはもう街灯の明かりは届かなかった。 雲の切れ間に挿し込む月の光だけを頼りに、百合子は進んだ。 あの日のような甘い香りも、青臭い苦い香りもしなかった。 ただ、夜露に濡れる草花の匂いだけ。
開けた場所には井戸が、そして今は番小屋が建っている。 百合子の背丈ほどもあると思った背の高い草は今はもう胸元ほどであの日のようには青々とはしていない。
井戸の蓋を軽々と持ち上げて中を覗く。 そこにひっそりと沈む闇と深みはあの時と同じだった――いや、むしろ以前よりももっと濃く底のない無限の穴に見えた。 ごくりと唾を飲み込み、あの日のように袖をまくって井戸の縁に手をかけた。
底まで降りて見上げると小さな丸い入口が見えた。 目を凝らしてみても真っ暗で、百合子は手探りで壁に触れてその凹凸からどうにか入り口を見つけた。 ようやく暗闇にもなれると薄っすらと周囲が見え始めた。 井戸の底から扉を開けて一旦中に入ってしまえば、そこは狭いしんとした廊下だった。 横にいくつか部屋の扉があるが、施錠されていて開かなかった。 ざらざらとした壁を手で伝いながら、かつこつと石畳の廊下を歩く。
一歩、一歩と歩みすすめるたびに霞となっていた記憶が実体を持ち始める。
長い廊下を一人で歩き、いつしか行き止まりまで来ていた。 そこから下は階段になっている――古くなった燭台は埃が被っている。 真っ暗なまま、階段を一段、また一段と降りる。
しばらくいくと古い扉が現れる。 取っ手に手を伸ばし、ぐいと押す。ぎしぎしと音がして緩く扉が動く。 もう一押し、百合子は力を込めてその扉を押すと、がりがりと擦れる音をさせながら扉は開いた。
中は広い工場のような作りになっており、銅色に鈍く光る天井まで届くほど巨大な太い筒が三本伸びている。 そしてそれに配管のようなものが無数に繋がり、壁や天井を這いまわる。 今はしんと静まったそこが、過去にはごうんごうんと音を立て青臭い匂いを発しながら阿片を製造していた部屋だということは百合子にも分かった。 暗闇に浮かぶ物言わぬ機材たちを見てぞくりと震える。 日本の政府は日本への阿片の密輸、密売を徹底的に取り締まる動きを見せている。 それなのに、東京にも近いこの土地にこのような製造工場があり、それこそ十数年前は確実に稼働していたのだ。
ぼんやりとした記憶の中で、あの夢の中の光景を思い出す。 あの時の少年は真島だったのだともう確信を持っていた。 庭師の老人の言葉が頭の中で反芻する。 百合子はその先に待ち構える漠然とした不安を振り払うように強く目を瞑って頭を振った。 その時、背後の扉が音を立てて開いた。 現れたのは蔵元の当主とその秘書、どうやら百合子の後を追ってきたらしい。
「なんだここは?」 「……おそらく、阿片の製造工場だと思います」 「あ、阿片?!」
思いがけぬ百合子の言葉に当主は素っ頓狂な声をあげた。 色々な情報が錯綜しているのか、そのまま呆然と立ち尽くす。 本当に一切知らされていなかったのだ。
日野と当主はひと通り部屋の中を歩き、今は動かぬその機械を見上げる。
「先代の遺言通りこれはこのまま――朽ちるに任せた方が」
百合子の言葉にはっと顔をあげて、青ざめた顔で頷く。
「そう、そうだな――」
当主言い終わるのよりも早く、日野が当主の後頭部を殴りつけた。 その手には黒光りする拳銃が握られており、無表情のままそれを百合子につきつける。 当主は呻き声を二、三あげてがくりと膝をつき、そのまま床に倒れこんだ。 痛みに悶える当主に日野がちらと目をやった隙に、百合子は床を蹴って配管の裏に回った。 威嚇するように一発、地面に向けて撃つ。 薄暗の闇にチカリと銃弾が床に撃ち込まれて爆ぜる花火が浮かぶ。
(ほ、本物――)
ひやりと冷や汗が首筋を伝う。 買ったばかりの皮のブーツ、ここに来るまでに泥や埃で汚れてしまったが踵が石畳のくぼみに足を取られ苦労した。 百合子はそれを脱ぎ、配管ごしに日野に投げつけた。 当たりはしないし、当たっても傷にもならないだろうが、日野は音のする方へ拳銃を向けてまた一発銃弾を放つ。 鈍い音にそれが配管に当たってしまったのだと日野も気がついたのだろう、舌打ちをする。 百合子は裸足のまま扉にむかい走る、足の裏がごつごつとしざらざらとした石の感覚に痛むが、弾を込める隙にどうにかその部屋から脱出出来た。 扉を乱暴に閉め、その背後から日野の怒鳴るような声があがる。 百合子は咄嗟に階段をかけ降りた。
螺旋状の階段に息の上がった百合子の吐息が反響する。 がつがつと追いかけてくる日野の足音が次第に迫っているのが聞こえた。 心臓は追い立てられる恐怖にどくどくと痛むほど打つ、壁を伝う手のひらも足も擦り傷だらけになりじくじくと痛んだ。
日野は恐らく、同じ事をしようと思っているのだろう。 当主を傀儡にして、もう一度阿片を製造し密売しようと。 そのためには表に出すための当主はまだ必要だ、ただ真実を知る百合子を始末すれば――と。
百合子はついに最後の扉にたどり着いた。 取っ手を回す余裕もなく身体をぶつけるようにして、扉を開ける。 転がり込むように部屋に入ると、そこは月の光が差し込む庭園だった。 今までの暗い部屋とは違いくっきりと薄闇に光が差し込んでいる、地下なのになぜと上をあおぎみると上はガラス張りになっていた。
「噴水?」
天井を色とりどりの魚が泳ぐ。 ぼうぼうと伸び放題の草花はもうここに何年も人の出入りがないことを教える。 整然としていた花の区画は曖昧になり、それでもちょろちょろと清水がどこから湧き出し床を濡らす。 管理する庭師を失った庭園でも花々は生命力たくましく生き続けていたのだ。 その花の蜜は人々の心を壊す毒だというのに、ただ生きるために繁殖し、床に壁に伝う様は神々しくもあった。
「さて……」
背後で日野の声がした。 百合子がゆっくりと振り向くと、ぐいと腕を掴まれた。 日野はただ拳銃を背中に突きつけて百合子の反応を見る。 陳腐な悪者にありがちな交換条件などは一切口にせず、このままここで百合子を殺してしまうつもりなのだと思った。
「私がここに居ることは助手が知っているわ、それに私の死体なんかがあがってみなさい。 どの新聞社だってほうっては置かないわよ」 「確かに、今この時期に死体があがれば――そうでしょう。 人の存在を確実に消すのは行方不明にしてしまうこと」
淡々と告げる言葉に百合子は震え上がる、殺されてたまるものかと百合子はぎりと奥歯を噛み締めるも固く掴まれた腕はびくともしない。 頭の中が恐怖でいっぱいになり、止めどなく溢れる思考を整理するまもなく、がちゃりと音がして撃鉄があがる。
その時ゆらりと目の前が揺れて、百合子は幻を見た。
「誰だ――」
二人の前に現れた人物を見て、日野がまっさきに声をあげた。 ぐいと背中を押す力が増すも、わずかに震え動揺しているのが分かる。
「お前が助手か? 一歩でも動いて見ろ、この女を撃つぞ」
そう言うと百合子の額に拳銃を突きつけた。
「取引のつもりか知りませんが、俺は助手なんかじゃありませんよ。 まあその女ともどもここで始末するつもりだから、手間が省けてちょうどいい」 「な、では、お前は――」
思わぬ第三者に日野の声が上ずった。 蔵元の者でもなく、探偵の助手ではない――そうなると必然的に残るのはこの阿片組織の人間だった。 日野ははあはあと息が上がり、現状を脱却する術を探す。
「わ、ま、まて! 私は蔵元の秘書で……」 「待つと思うのか?」
嘲笑するように言う。 日野は怒りにぶるぶると震え百合子を盾にしたまま、男に拳銃を向け直した。
その時、どんと大きな揺れが起こった。 足元から救われるような大きな揺れにふらつき、百合子は屈み込んだ。 瞬間に、だんと音がして日野の身体が弾け飛ぶ。 まるで揺れが起こることを知っていたのかのように男は冷静だった。 わずか数秒ほどで揺れは収まったが、建物の揺れは続いていた。
「な、地割れ……?」 「いいえ、仕掛けた爆薬が爆発したんです」
百合子の腕をそっと掴み起こす。
「私も殺すの?真島……」
百合子は真島の顔を見て問いかけた。
「いいえ、ああ言わないと貴方が危ないと思ったんです。 ――ここも危ないですよ」
この衝撃に天井の硝子も鉄骨も耐えられない事は一目瞭然で、しかも上にある噴水は裏手の湖から水を引いているのならばこの地下は全て水没してしまうだろう。 百合子は真島に言われるがまま手を引かれ、上へ上へと階段を登る。 階下で轟音が響く。 あの美しい庭園が水の底にたゆたい、魚たちが自由に泳ぎ回るさまを百合子は見たような気がした。
お前は、なぜここにいるの。 お前は、阿片組織の人間だったの。 お前は、今、どうしているの――。
百合子は聞きたい気持ちが溢れ、胸が詰まってしまった。 ただもくもくと階段を駆け上がる、時折ずずんと建物自体が沈みぱらぱらと砂が降ってきた。 ぜいぜ���と息を繰り返し、苦しさで胸が痛む。 もう考える暇もなく、ひたすらに真島に手を引かれて階段を登っている。 聞きたいことをひとつひとつ足場に落としながら。
「そろそろ出ます」 「え?」
そう言うと、びゅうと風がふいた。はたはたと裾がはためき、夜風が肌に染みる。 苦しさに痛む胸を抑えつつあたりを見回すと、そこは城の一角にある塔だった。いつの間にか城を見下ろすほど高いところまで登っていたのだ。 ごうと瓦斯の燃える匂いがして、そちらをみると巨大な風船があった。 それは気球だろうということは知識としてだけ知っていた。 真島は網かごに乗り込み機材の調整をし、初めて見る気球に驚いている百合子に声をかける。
「乗ってください」 「こ、これに?」
じりじりと炎の調節をする真島。炎に照らされた横顔は何の表情もない、いや、むしろ――。
「真島、怒ってるの?」 「……久しぶりに再会して聞くのがそれですか。 ええ、まあ。怒ってます。いいですか、置いて行きますよ」 「ま、待って」
慌てて網かごに足をかけてのぼる。 すでに裸足だったし、裾はどろどろに汚れていたし、と思っても顔から火が出るほど恥ずかしい。 真島は百合子が乗ったのを確認すると、塔と気球をつなぎとめる太い縄をためらうことなく拳銃で撃ちぬいた。
真っ暗な闇空を、ゆっくりと気球が舞い上がる。 眼下には蔵元の邸が広がる。 爆発により地下が埋まり、そこに噴水の水が流れ込んだらしく大騒ぎになっていた。 暗闇にゆらゆらと松明の火のようなものが見えた。
「あ、当主が……」 「気絶していたので運び出しました。 あの辺りは前の災害で地盤が緩み始めていたので時間の問題だったんですが。 聡い割に傍迷惑な探偵が余計な事をしてくれたおかげでこの様です」 「な、私はただ単に依頼を――。 だって、私は……! わ、私……どうしても……お前に会いたかった」
別れを一方的に告げられて、ぽっかりと心に穴が空いてしまった。
「会って、それでどうするんですか?」 「私は、――莫迦みたいだけどお前を幸せにしたいと思ってた。 何も知らない子供だったから――そんな残酷なことを考えられたのね」
幸せであるということは絶対だと思っていた。 けれど、様々な事件にめぐり合う度に幸せとは何かと考えざるを得なかった。 実の妹を殺した姉、復讐に取り付かれた鬼、出生を呪う男――。 妬みや恨みと言った物を何一つ知らず、ぬくぬくと暮らしてきた百合子にとってそういった感情を理解するのは難しかった。
幸せの形は違うのだ。 ましてや真島は百合子を――野宮一家を心底憎んでおり、その人間から幸せにしたいなどと言われるなど屈辱以外のなにものでもあるまい。
「それでも私はお前が幸せでありますようにと願わずにはいられない」
真島が大好きだったから。 その言葉は決して口にできないし、言うつもりもない。 だから、百合子にはそう願うしか出来なかった。 人間とは不思議な力があって、何でも出来るような気がした。 強く願えば、そしてそれに怠らぬ努力をすれば、きっと何か奇跡のような事が起こせると信じていた。
「姫さま……」 「な、泣いてないわよ。これは――」
百合子は我慢しきれずに瞳に涙を浮かべていた。 対等な人間として話をしたかった。だから、決して泣くまいと思っていたのに。 自分の弱さに歯がゆさを感じてわざと乱暴に目元を拭う。
「――俺はね、絶対に幸せにはなれないんだと思っていました」
真島がぽつりと漏らす。 その顔には微笑みが浮かんでいて百合子は驚いた。 山の端が白み始め、夜明けが近づく。 新しい陽の光が山々に差し込み、闇空を照らす。
「俺は愚か者です。幸せとは去った後に光を放つのだと――ずっと後になって気がつきました。 姫さまと過ごした日々を失って初めてあの日々こそが幸せだったのだと知った。 俺も――あの日からずっと祈っています、姫さまが幸せであるようにと」 「――っ、わ、私は、――わたしは、幸せよ。……幸せ、だわ」
こらえ切れなくなり嗚咽をあげて泣く。 おそらく、これでもう本当に二度とは会えないだろうと言う気がしていた。 あの日、一方的に別れを告げた真島に百合子は答えられなかった。 真島のさようなら、と言う言葉に同じように返してしまったら別れを認めなくてはならないから。 これはきっとさようならと真島に言うための道のりだったのだ。 拒否し続けてきた別れを、今こそ受け止めるための長い道のり。 今の百合子ならこの別れに耐えられる、だからせめて少しでも笑って――。
「真島、さようなら」
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「お姫さああん!」
自動車の窓から身を乗り出して斯波は叫んだ。 上空を漂う気球に百合子がいると信じて疑わない。
「や、や、山崎!もっと速度をあげろ!」 「しゃ、しゃちょう無理です!道も悪いですし何しろ向こうは空を飛んでいるわけで……」 「ええい、何を情けのない声を出してる!代われ莫迦者!! お姫さん今行くぞ!!!」
山崎を押しのけて運転席に座るも、ぐんとアクセルを踏み込んだ途端にハンドルが言うことを聞かなくなりきゅるきゅるとタイヤが空回りする。
「社長!気球が下降しています!」 「何?!ようし、あの方向は牧場だな、掴まれ!」
がたがたがたと揺れながら自動車は道を外れて牧場を爆走する。 途中に放牧された牛と正面衝突しそうになるが、ぐぐっとハンドルを切りぎりぎりの所でかわした。 しかし、何か石のようなものに乗りあげてバスンと嫌な音がして速度が急激に落ちる。
「社長!パンクしました!」 「くっ、仕方ない。山崎、そこの拳銃をよこせ!」 「どうするおつもりか聞いても?」 「最悪、あの気球を――撃ち落とす!」 「……」 「……冗談だ。相手はあの阿片王だぞ? 備えあって憂いはない」
そんなやり取りをしているうちに、気球が再び上昇する。
「ほら見ろ!いいから、拳銃を貸せと言っているんだ!」 「社長、向こうから人が歩いてきてますが……」 「何?!」
斯波が目を細めて牧場の丘陵を見据えると確かに人がこちらに向かって歩いてきてる。 遠目でもそれが百合子だと分かるやいなや、自動車に急ブレーキをかけた。
「お姫さん!無事か?!」 「斯波さん!どうしてここが?!」
斯波は百合子に駆け寄り躊躇なく抱きしめた。 顔を確かめるように少しだけ上体を離して、両手で頬を包み込み額の泥を拭う。 そして、今は小さい粒になった気球を見上げた。
「あの気球は真島か?」 「ええ」 「貴方は裸足じゃないか……!」 「これは、靴を日野という秘書に投げつけて……」 「ふ、服に血が……」 「これも――たぶん、日野という秘書の……」 「遺産探しだと思っていたのに、どんな危険な目にあったんだ!」 「話すと長くなるのだけど……」 「いや、良い!今はまだ聞きたくない、俺の心臓がもたんからな。 しかし、どうして真島と一緒に行かなかったんだ?」 「それも話すと長くなるのだけど……」 「いやいやいや。分かってるぞお姫さん」
斯波の表情がすっと引き締まり、真剣味を帯びる。 思わず百合子はどきりとしてその瞳を見つめた。
「社長~~~お忘れ物ですよ」 「山崎……なっ、それは持ってくるなと言っただろうが!!」
山崎が後から追いかけて持ってきたものは紙の束だった。 百合子はそれに見覚えがあった――原稿用紙だ。
「あの、これは?」
ミミズがのたうつような文字がいっぱいに書いてある。 紙であれども束になるほど多いので、腕にずっしりと重い。
「はあ、あの社長の所に編集長という方が来まして……」 「勝手に辞表を出すとは何事か、と怒っていたぞ。俺に辞表を押し返された。 ――それで、タイプライターで文字を打つならどこぞの自宅でもできようと……これを」 「そうだわ、私には借財返済という大きな目標があったわ……」
これからどうしようなどと途方に暮れる暇もない。 夜が明けて、日の出の眩しさに目を細める。 疲れきって身体は思いし、あちこちの擦り傷も痛む。 それでも心は晴れやかだった、束になった原稿を抱えて朝日に向かってぐっと拳を握る。
「私の夜明けはこれからよ!」 「お、お姫さん……」
斯波はその場にがくりと膝をついた。
数年も経てば、あの騒ぎもすっかりと忘れ去られていた。 ようやくタイピストから編集へと復帰して、探偵の依頼もまた少しづつではあるが受け始めていた。 大きな事件は少なく、失せ物探しや人探し素行調査と言った事件ばかりではあったが、それなりにこなしていた。
そして今日もまた鏡子婦人に呼び出されてホテルの一室に向かっている所だ。 他にも用事がある、それはようやく鏡子婦人の借財を返済するめどがついたことだった。 婦人はきっちりと貸し、そして百合子はそれをきっちりと返しきった。 その関係が、信頼で結ばれている証だった。 いつもはホテルのラウンジなのに、今日に限ってホテルに一室をとるということは恐らく借財の話などもあるのだろうと、百合子は感じながら案内された部屋を叩く。 すると、中から聞こえた声は鏡子婦人のものではなかった。
「あら、斯波さん早いのね」
扉を開けてみるとやはりソファに腰掛けていたのは斯波だった。 相変わらず派手な洋装を見事に着こなしている。 それにしても助手の斯波も呼び寄せているということは、なかなか難しい依頼なのだろうかと考えていると斯波がごほんと咳き込んだ。
「ああ、今日の依頼人は俺なんだ」 「……斯波さんが?」
ふと、最初の事件を思い出す。斯波が依頼を出すことなどあの事件以来初めてのことだ。
「どんな事件なの?」 「いや、事件じゃない。ちょっと人を探していましてね」
促されるまま百合子はソファに腰掛けた。 斯波の微笑んでいる目元に、僅かに不安を感じる。 入れたばかりの珈琲に口も付けず、少しだけ斯波は目を瞑った。 よほど難しい事件なのだと百合子は思い、居住まいを正して背を伸ばした。
「その人に、この手巾を返したいんだ」
胸元のポケットから取り出したのは一枚の真っ白な手巾だった。 とても大切な物を扱うように、そっと机に置く。
「手巾?」
それを手に取った瞬間に、百合子の時は止まった。 真っ白な手巾、それに見覚えがあった。 頭の芯の方から記憶が洪水のように溢れ、光のように周囲を照らす。 息が上がり、言葉が詰まる。
「これ、――私の、だわ」
そう、その手巾は百合子のものだった。 仏蘭西の特注品であまりにも白くて美しくて、一度も使ったことがなかった。 それと同時に、もう一つの記憶が呼び覚まされる。
「あ――」
その曖昧な記憶が逃げてしまわないように、目の前の斯波を見つめる。 確かに、昔、この手巾を一人の少年にあげたのだ。 その少年は泥にまみれて汚れていたことはかすかに記憶にあるが、顔には靄がかかり思い出せない。 浅く呼吸を繰り返す。
「あなた、なの?」
斯波がゆっくりと頷くと、百合子は初めてあった夜の斯波を思い出す。 妙に自分に執着する男――ただ単にそういう印象しかなかった。 斯波に気を許せるようになってきたのも、探偵業を初める前後ぐらいからでそれまではむしろ不審に思っていた。 百合子はどうして、と聞けなかった。きっと斯波はそういう男なのだから。
「ずっと貴方を愛していた」
その言葉は重く、百合子は不安になる。 自分はそれ程までに強く想われて良い人間なのだろうかと。 その気持ちを察知したのか、斯波は更に言う。
「貴方を知れば知る程にその思いは強くなった。 俺はもう貴方なしの人生など考えられない」 「私――もう歳だし、沢山子供生めないかもしれないわよ」 「ああ、俺は貴方がいればそれで十分だ」 「それに――たぶん、仕事も辞められないわ」 「分かってる」 「あの時からずっと私のことを想っていてくれたのね」 「そうだ」 「どうしてもっと早くに言わないの!!! 私だけが何も知らなくて、これじゃあただの莫迦みたいじゃない!!!」
混乱する百合子を斯波が優しく抱きしめて耳元で謝る。
「すまない――すまない」 「謝ってほしいんじゃないわ!いいえ、謝ったって許し���やらないから!」 「そうか……」
きっと百合子は斯波を見上げて睨む。
「もっともっと強く抱いて、沢山愛してると言ってくれなきゃ許さないわ。 それも、ずっとずっとよ。貴方か私かのどちらかが老いて死ぬまでずっとよ」 「ああ、百合子さん愛してる」
百合子の言われる通りに強く抱きしめて搾り出すようにそう言うと、わなわなと震えている百合子の唇に唇を押しあてて吸い上げた。
「ああ、貴方の唇はなんて甘いんだ――」 「も、もう嘘ばっかり」 「嘘なものか、もう一度確かめさせてくれ」
恥ずかしさに俯いた百合子の顎を持ち上げて更に深く口付ける。 息をつく暇もないほどの激しい口付けに百合子は腰が抜けてソファに崩れ落ちる。
「あ、あの斯波さ――私もう……」 「部屋をとって正解だったな」 「だ、だ、だめよ。あああ、貴方まさかそのつもりで?」 「なぜ駄目なんだ」 「私たちまだ結婚していないのに。 それなのに――こんなこんな昼間から……ふ、ふ、不埒だわ」 「結婚していて夜ならいいんだな?」 「そ、それは、ふ、夫婦の営みとして――」 「分かった、では今日は貴方の口を吸うだけで我慢しよう」
ソファに横たわる百合子に覆いかぶさって、再び口を吸う。 オーデコロンの香りがふわりと降り注ぎ、葉巻の苦い香りが鼻を突く。 心地の良い重みに、服を隔てた皮膚がじんわりと熱を帯びた。 どんどんと息が上がり、口付けだけで快感に震える身体に怖気付いた。
「は、は恥ずかしくて……心臓が壊れてしまうわ」 「あまり可愛いことを言ってくれるなよ――」
どくどくと脈打つ百合子の心臓の音を確かめるように胸に触れる。 首筋まで真っ赤になった百合子が可愛くてそこを吸うと、ふわりと甘い香りが立ち上る。 それを吸ってしまってはもう斯波には我慢など出来なくなっていた。
洋装のタイを緩めてシャツの襟元を開ける。 がしがしと頭をかき、おもむろに立ち上がって部屋のカーテンを閉めた。
「百合子さん」 「は、はいっ」
百合子が上ずった声で返事をする。
「――俺の妻になってくれるか」 「はい……」 「よし」 「だ、だめ――私、下着が……」 「下着?」 「あ、ああ、洗いふるしたやつで――」 「大丈夫だ、暗いからしっかりとは見えん。 ――他には?」 「え?」 「もう、心配事はないか」
色々と言いたいことはあるはずなのに、その場の雰囲気に押されてか、多少の興味もあってか、この血が沸くほどの緊張の心地よさのためか――。 百合子は何も無いとばかりに首を振った。 二人ともおかしな熱病に浮かされているのだ、正気であってはこんな事は決して出来ない。 百合子は自分にそう言い聞かせた。
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「あらあら、うふふ……」
鏡子は扉の前で意味ありげに微笑を浮かべた。 どんな塩梅かと心配して見にきたものの、大きなお世話だったようだ。
「差し詰め、野宮百合子の事件帖、終幕といったところね」
ちょいちょいと癖のように項の髪を持ち上げると、足取り軽やかに廊下を後にした。
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