#抗HER2抗体薬
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ishuran · 2 years ago
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Vol.164 外来化学療法はiPod&イヤホン持参が吉!? 音楽療法の新エビデンス
大谷翔平選手(野球)のMLBでの大活躍、井上尚弥選手(ボクシング)の4階級制覇、とスポーツ界で大きなニュースが続いてますが、女子サッカーW杯も見逃せません。
娘のおかげで、私も女子サッカーに注目するようになってきたのですが、日本ではプロリーグができたものの、なかなか「マイナー」な競技のイメージから抜けきれていないのが現状です。
これを打破するためにも、やはりW杯での活躍は不可欠。まずは予選リーグを無事通過しましたので、決勝リーグで、2011年・15年当時のような躍進を再び期待したいですね。
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【記事1】 私のがんにも関係ある?「HER2陽性」は乳がん/胃がんのみにあらず
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「HER2陽性」のタイプがあるがんというと、乳がんや胃がんを思い浮かべる方が多いかと思います。
以前のメルマガで、実は大腸がんにもHER2陽性タイプがわずかながらあって、代表的な抗HER2抗体薬のトラスツズマブ(��ーセプチン)が効果を発揮した、というお話を紹介しました。
 ■「Vol.140 すごいぞSCRUM-Japan! 肺がんと大腸がんで立て続けに新治療に繋がる成果」(イシュランメルマガ)
本研究の成果もあり、大腸がんでは、「トラスツズマブ(ハーセプチン)+ペルツズマブ(パージェタ)」という抗HER2抗体薬での治療が日本で昨年承認されました。
また、HER2は肺がんにも発現しているケースがあって、HER2陽性非小細胞肺がんの二次治療として、新世代の抗HER2抗体薬「T-DXd(エンハーツ)」が承認申請を昨年末しています。
更にHER2は、他の様々ながんでも、それぞれ確率は低いものの発現しているケースがあることがわかってきています。
そこで、子宮頸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、胆道がん、膵臓がん、膀胱がん、およびその他のがん種で「HER2陽性」と判明した患者さんで、「T-DXd(エンハーツ)」の有用性を検証しようという「DESTINY-PanTumor02試験」が進んでいます。
蛇足ですが、このような、がん種横断の臨床試験を「バスケット試験」と呼びます。
一つ一つのがん種だけだと対象となる患者数が少なく、相応の規模の試験ができないので、”まとめてドン”でやるわけですね。
この「DESTINY-PanTumor02試験」の中間解析結果の続きが出てきました。
 ■"ENHERTU® Demonstrated Clinically Meaningful Progression-Free Survival and Overall Survival Across Multiple HER2 Expressing Advanced Solid Tumors in DESTINY-PanTumor02 Phase 2 Trial"「DESTINY-PanTumor02フェーズ2試験において、エンハーツが複数のHER2発現進行性固形がんにおいて臨床的に意義のある無増悪生存期間および全生存期間を実証」(第一三共株式会社プレスリリース)
執筆時点で何故か、日本語のサイトにはなく、英語サイトにだけプレスリリースが掲載されてるのですが…
元々、今年のASCOで本試験の主要評価項目である客観的奏効率(腫瘍が縮小した症例の割合と考えてください)は37.1%で、安全性で特に新しい懸念点はなし、というデータは出てきており、今回の発表で有用性がさらにしっかりと示されたという感じです���
・フェーズ3まで待たずに承認申請がされるかどうか
・その場合、フェーズ2で客観的奏功率が低かった胆道がんや膵臓がんの扱いはどうなるのか
あたりが今後の焦点となってくると思いますが、今後の動向を見守りたいと思います。
※本項執筆時点(2023年7月31日)で、筆者はT-DXd(エンハーツ)やトラスツズマブ(ハーセプチン)に関し、特筆すべき利益相反はありません。
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【書籍紹介】「言葉はいのちを救えるか? 生と死、ケアの現場から」
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友人でもあり、数少ない”腕利き”の医療専門記者である岩永直子さんが、独立されたと共に、初めての書籍を書き下ろされたので、ご紹介。
 ■「言葉はいのちを救えるか? 生と死、ケアの現場から」(岩永直子 晶文社)
重たいテーマ設定ですが、当事者の肉声を丹念に紡いだ渾身の著です。ご興味ある方はぜひ手に取られてみてください。
岩永さんは読売新聞とバズフィードで長年活躍され、バズフィード時代にまだ乳がんしかカバーしていなかったイシュランを取材していただいたことがあります。
それが、会社の突然の経営体制の変更に伴い、医療記事を書けない状況に追い込まれ、ちょうど独立されたところです。
今、ご自身で「医療記者、岩永直子のニュースレター」という媒体でオリジナルの取材記事を連載されていますので、こちらもよろしければチェックしてみてください。
一部の記事は無料で閲覧可能で、別途有料のサポートメンバー限定記事もあります。記事を読まれて、岩永さんを応援されたいと思われた方は、ぜひサポートして頂けたらと思います。
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【記事2】外来化学療法はiPod&イヤホン持参が吉!? 音楽療法の新エビデンス
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以前のメルマガで、運動ががん治療にもたらすベネフィットについて研究する「運動腫瘍学」を取り上げたことがあります。
 ■「Vol.153 【記事2】運動とがんの関係を科学する「運動腫瘍学」の登場」(イシュランメルマガ)
では、「体育(運動)」に相応のベネフィットがあるとして、「音楽」はどうなんでしょう?
ちょっと古いですが、緩和医療学会がガイドラインの中でエビデンスのレビューをまとめていますので、まずはご紹介。
 ■「がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス(2016年版) Ⅲ章 各論:クリニカル・エビデンス 音楽療法」(日本緩和医療学会)
この中で、音楽療法は、
・がんの身体症状に関しては、「痛みを軽減し得るが、有用性が確立されているとは結論づけられない」「倦怠感の軽減について���有用であるとは結論づけられない」とされ、それ以外の症状についてはエビデンス不足。
・精神症状の軽減については、「不安を軽減し得るが、うつの軽減には必ずしも有用であるとは限らない」とされ、それ以外についてはエビデンス不足
であることが示されています。”音楽療法”は、エビデンスそのものがかなり乏しい状況と言えそうです。そんな中、興味を惹く試験結果が出てきました。
 ■"Using Music as a Tool for Distress Reduction During Cancer Chemotherapy Treatment”「がん化学療法中の苦痛軽減ツールとしての音楽の活用」(Journal of Clinical Oncology)
化学療法のために来院した成人患者750名を、音楽活用群と非活用群にランダムに振り分け、前者は好きなジャンルの音楽を選択して点滴中にiPodで最大60分間聴いてもらい、後者は何もなし、とします。
介入前には、音楽活用群と非活用群の間で、「疼痛」「ポジティブな気分」「ネガティブな気分」「苦痛のレベル」で差はなかったのが、介入後はどうなったかというと…
「ポジティブな気分」「ネガティブな気分」「苦痛のレベル」について、音楽活用群で有意な改善が認められ、「疼痛」については有意差は見られませんでした。
改善の度合いがどの程度の意義かが分かりかねるところですし、点滴終了直後の気分の改善がどれくらい継続するものかなど、ツッコミどころはあるのですが、それでもエビデンス不足の中でこうした研究結果が出てきたことは素晴らしいと思います。
なにせ、追加コストも副作用もほぼ心配ないので、現場でどんどん試してみる価値はありそうです。
化学療法中の患者さんで良いなと思われた方は、次回の通院の際にはiPod&イヤホン持参で行かれてみるのも良いかもしれませんね。
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drekingreen · 5 years ago
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抗体薬物複合体、HER2変異陽性NSCLCにも奏効
http://dlvr.it/RYrF1p
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ishuran · 1 year ago
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Vol.171 遺伝子変異を調べるタイミングは早ければ早い方が良い?
比較的暖かな日の多い今冬ですが、先月末は関西出張で滋賀県の大雪に遭遇し、びっくりしました。
この時期の関西と東京の往復は長年やってきており、関ヶ原付近の”雪国ぶり”はよく知っていましたが、あそこまでの勢いで雪が積もっているのを見たのは初めてでした。
ニュースになった名神高速道路の立ち往生を、ノロノロ運転の新幹線から目の当たりにして、これはえらいことだと思ったものです。
先日の関東地方の大雪の日も、東京の一般道が大渋滞になっていましたし、大雪が予想される日は、とにかく車で出かけることは控えた方が良いですね。
一つ、お知らせです。
「イシュラン皮膚がん」をリリースしました。
これで、乳がん、血液がん、婦人科がん、肺がんに続き、5つ目の領域です。引き続き、カバー領域を広げて参ります!!
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【記事1】 遺伝子変異を調べるタイミングは早ければ早い方が良い?
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遺伝子パネル検査の意義については、このメルマガで何度か取り上げてきました。
日本の保険制度の現状からすると、遺伝子パネル検査が保険適用されるのは、固形がんにおいて「他の標準的な治療手段がなくなった段階」で「1回限り」です。
しかしながら、それで本当に良いのでしょうか?
遺伝子変異がより早期の段階でわかったら、それに対応した治療を先に行うことが可能になります。
もちろん、後からわかっても遺伝子変異に対応した治療はできるわけですが、それによって生じる治療の順番の違いが、治療成績に影響しないと言えるでしょうか?
この点に関し、非常に示唆のある研究結果が出てきました。
 ■”Compromised Outcomes in Stage IV Non–Small-Cell Lung Cancer With Actionable Mutations Initially Treated Without Tyrosine Kinase Inhibitors: A Retrospective Analysis of Real-World Data”
「チロシンキナーゼ阻害剤なしで初期治療された、治療可能な変異を有するステージIVの非小細胞肺がんにおける予後の悪化:リアルワールドデータの後方視的解析」(Journal of Clinical Oncology)
非小細胞肺がんは、がんを引き起こす遺伝子変異の種類が最も数多く見つかっているがんで、それに対応する分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害剤)も数多く開発されています。
その中で、早期に調べて遺伝子変異に対応した治療を受けている人と、最初は別の治療をして後から遺伝子変異に対応した治療を受けている人が混在しています。
そこで、全米の1000を超える医療機関から過去の治療データを集め、治療可能と考えられる遺伝子変異(EGFR, ALK, ROS1, BRAF, MET, RET, HER2, NTRK1/2/3)が見つかったステージ4の非小細胞肺がん患者510名を、次の3群に分けて分析したのが、上記の研究です。
・グループA:遺伝子変異の結果が判明してから、適合する分子標的薬で治療開始した群(379名)
・グループB:遺伝子変異の結果が判明する前に、化学療法もしくは免疫チェックポイント阻害剤の治療を開始し、35日以内に分子標的薬の治療にスイッチした群(47名)
・グループC:遺伝子変異の結果が判明する前に、化学療法もしくは免疫チェックポイント阻害剤の治療を開始し、35日以内に分子標的薬の治療にスイッチしなかった群(84名)
次の治療もしくは亡くなられるまでの期間(TTNT)と、全生存期間(OS)を比較してみたところ、
<次の治療もしくは亡くなられるまでの期間(TTNT)>
・グループA:10.5ヶ月
・グループB:5.5ヶ月
・グループC:6.4ヶ月
<全生存期間(OS)>
・グループA:28.8ヶ月
・グループB:21.7ヶ月
・グループC:15.3ヶ月
と、いずれもグループAに対し、グループBもCも有意に劣る結果となりました。
今回の研究は、いわゆる後方視的な過去の結果を振り返ってのもので、エビデンスレベルとしては落ちるのですが、それでもこれだけの差が出たということは、「治療の順番の違いは治療成績の差として出る」可能性を強く意識せざるを得ません。
本テーマ(遺伝子変異をどのタイミングで調べるべきか)は、今後もがん治療全体の中で非常に重要な論点であり続けると思いますので、追いかけて参ります。
※本項執筆時点(2024年2月15日)で、筆者は遺伝子パネル検査メーカーの株式を若干数保有しています。
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【ご協力お願い(再掲)】 難治性乳がん患者さんをサポートするインスタアカウントのフォロー
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トリプルネガティブ乳がんや再発ハイリスク乳がん、進行・再発乳がんなどの「難治性乳がん」の患者さんをサポートする「アッピーチ」というプロジェクトがあります。
このアッピーチとギリアド・サイエンシズ株式会社が共催する形で、インスタグラム上で難治性乳がんの啓発キャンペーン「桃凛(ももり)インスタキャンペーン」が始まりました。
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イシュランを健全な形で継続・発展させていくために、私が信頼できると判断したサービスをメルマガ上でご紹介し、その対価を何らかの形で頂くという仕組みを導入しており、今回はその一環です。
上記の趣旨をご理解いただき、多くの皆さまにご協力頂けましたら幸いです。
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【記事2】抗肥満症治療は血圧低下にも効果あり:米国発の2本の論文
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昨年12月に発行したメルマガで、「世界待望のダイエット薬が日本にも登場。保険診療の是非は?」という記事を書きました。
その中で、「体重がうまくコントロールできれば、糖尿病・高血圧・高脂血症等の他の疾病の治療にかかる費用を将来的に削減できる可能性も高いです」と書きましたが、それをサポートするようなデータが立て続けに出てきました。
 ■”‘It’s a new era’: Weight-loss treatments significantly lower blood pressure, studies find”
「新時代だ:減量治療が血圧を有意に低下させることが研究で判明」(CNN)
上記のCNNの記事で2本の研究結果が紹介されています。
1本目は、チルゼパチドという、メルマガ内で紹介したセマグルチド(ウゴービ)と同じ、GLP-1受容体作動薬と呼ばれる種類の薬の試験結果です。
BMIが27以上、かつ2型糖尿病ではなく、正常な血圧もしくは治療により血圧コントロールされている600人で、チルゼパチド投与前と投与9ヶ月後の収縮期血圧(”上”の血圧)を比べたところ…
・5mg投与群は、7.4 mmHg
・10mg投与群は、10.6 mmHg
・15mg投与群は、8.0 mmHg
の血圧減少が見られました。
降圧剤1剤で下げられる血圧は10-15mmHg程度と言われていますので、そこまではいかないにせよ、これは喜ばしい”副作用”と言えるでしょう。
もう1本は、「減量手術」に関する研究です。
肥満症かつ高血圧の患者さん100名を、「減量手術+降圧剤投与」群と「降圧剤投与のみ」群に分け、5年後の経過を見て両者を比較したところ…
・BMI:28 vs 36
・降圧剤の投与数を減らすことができた人の割合:80% vs 14%
さらに、「減量手術+降圧剤投与」群で高血圧が寛解となった人が半数いました。
ということで、n数が少ないためそこまでハイレベルな研究では無いとはいえ、減量手術が血圧低下に結びついていることが伺える結果です。
肥満と血圧との関係は、神戸循環器クリニックが書かれているブログ「肥満により高血圧が起こるメカニズム」に詳しいですので、気になる方はチェックしてみてください。
※本項執筆時点(2024年2月15日)で、筆者はセマグルチド、チルゼパチドに関連する特筆すべき利益相反はありません。
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ishuran · 2 years ago
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Vol.167 沢井製薬の品質試験”不正”はどこまでヤバい話なのか
秋が深まりつつあるとはいえ、11月最初の週の天気予報を見ると、東京はまだ夏日がありそうな気配ですね。季節の進みが例年から半月くらい遅れている感じがします。
先日、気分転換も兼ね、富山県黒部市に一泊出張してきたのですが、そろそろ紅葉が見頃かもと期待していたものの、山間でもまだようやく色づき始めたくらい。
とはいえ、初めての土地を歩き回ることで、脳がだいぶリフ���ッシュされました。脳も筋肉みたいなもので、時々意識的に休めてあげたり、異なる刺激を入れてあげるのが大事ですね。
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【記事1】 9週投与でも1年投与でもハーセプチンの効果は同じ!?
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服薬に伴う患者の負担を減らすことを目的に、抗がん剤の投与量や投与日数を減らしても既存の治療法に劣らないことを立証する試験を「デ・エスカレーション(De-escalastiion)試験」と呼びます。
このメルマガでも、下記の記事をはじめ、何度か取り上げています。
 ■「超低用量免疫療法が世界を救う?インド発の画期的な試験結果」(イシュランメルマガVol.157)
今回紹介する研究は、まさにその「デ・エスカレーション試験」の典型的な事例です。
 ■”Nine-Week Versus One-Year Trastuzumab for Early Human Epidermal Growth Factor Receptor 2–Positive Breast Cancer: 10-Year Update of the ShortHER Phase III Randomized Trial”「早期HER2陽性乳癌に対するトラスツズマブの9週間投与と1年投与の比較:ShortHER第III相無作為化試験の10年アップデート」(Journal of Clinical Oncology)
トラスツズマブとはハーセプチンのことです。(このメルマガでは成分名での表現が基本ですが、今回は製品名がかなり馴染み深いものと思いますので、本記事では”ハーセプチン”で行きます)
ハーセプチンは、HER2陽性の乳がん、胃がん、大腸がん等に使われます。
早期乳がんで再発予防効果を期待して術後療法として使われる場合、通常、ハーセプチンの投与期間は1年です。
上記のShortHER試験は、通常の1年投与した群627名(1年投与群)と、9週間(約2ヶ月)に短縮投与した群627名(9週投与群)とを比較する試験で、今回その最終解析結果が出てきました。
結果を見ると、
・10年DFS(無病生存期間) 1年投与群:77% vs 9週投与群:78%
・10年OS(全生存期間) 1年投与群:89% vs 9週投与群:88%
と、再発や他の病気がなく患者さんが生存している期間(DFS)も、単に生存している期間(OS)も、一見して差が見られません。
しかしながら、統計解析ではサンプル数不足が響き、9週投与の1年投与に対する「非劣性(劣っていないこと)」の証明には至りませんでした。
「ええ、そんなバカな!?!?」って思いますよね。
統計解析を勉強していないとわかりにくいところなのですが、要はこの程度のサンプル数だと偶然同程度だった可能性がわずかながら残り、差がないことを証明するには不十分ということです。
例えば、両群で5人ずつの試験だったら、いくら同じ様な結果だったからといって、それは偶然そうなっただけでしょ、というのは直感的にわかるかと思います。
今回のサンプル数だと、9週投与群が1年投与群に劣っていない確率は93.2%と計算されています。これが、95%を超えればOKだったのですが… 惜しい!!
ということで、試験としては「失敗(劣らないということを証明しきれなかった)」なのです。
一方で、これだけいい線行っているのであれば、9週投与と1年投与では患者負担的にも大きく違うわけですから、短縮するオプションも患者さんに説明する意義が出てくるのではないでしょうか。
いずれにしても、現状に一石を投じる非常に意義深い試験と言えましょう。
いつも言及することですが、デ・エスカレーション試験は患者や保険者にとっては非常に有意義なのですが、製薬会社にとっては費用をかけて試験を行なうインセンティブはありません。
今回の試験も、「イタリア医薬品庁」という国の公的機関がスポンサーになっています。
日本でも、今後もっと盛んに行なわれることを期待したいですね。
※本項執筆時点(2023年10月31日)で、筆者はハーセプチンに関し、特筆すべき利益相反はありません。
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【お知らせ】イシュラン上で広告を希望される方へ
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現在、イシュランはサイトへのアクセスが月間で約11万PV、メルマガの会員数が約7万5千人と、がん患者さん向けとして国内で最大規模のメディアになっています。
イシュラン上で、自社の製品やサービスを紹介したいという企業の方がいらっしゃいましたら、こちらのページをご参照の上、お気軽にご相談ください。
なお、イシュランは「患者への情報提供において、病院・医師からお金は一切頂かない」というポリシーを掲げています。そのため、医療機関の広告掲載のご依頼はお受けできません。
また、患者利益に反すると当方で判断した場合等、掲載できない場合もございますことを、ご了承ください。
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【記事2】沢井製薬の品質試験”不正”はどこまでヤバい話なのか
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ジェネリック医薬品の大手、沢井製薬が品質試験の不正を行なっていたというニュースが10月23日に駆け巡りました。
 ■「別カプセルに詰め替え…胃炎薬の検査で“不正”沢井製薬 社長が謝罪」(テレ朝news)
同記事の報道ステーションでの一画面の抜き取りを見ると、「不正検査8年も…  ”溶けない”カプセル」と何やら非常に「ヤバい」ことが起きているように見えます。
他社の大手メディアも似たような見出しで一斉に報じていましたので、特にご自身で沢井製薬のお薬を服薬されているような方は、かなり不安を覚えられたのではないでしょうか。
ただ今回の事件は、報道内容を詳細に見ると、「沢井製薬がやったことはよろしくないのは確かだが、そこまで騒ぐ話ではなさそう」というのが素直な感想です。
 ■「薬の安定供給への影響懸念も 沢井製薬の検査不正」(産経新聞)
薬の中で最も一般的な「飲み薬」では、薬本来の成分を顆粒でコーティングしてカプセルに詰め込む「カプセル剤」や、成分を圧縮したりコーティングしたりした「錠剤」が典型的です。
飲み薬で薬本来の成分が、胃の中でどのように溶け出すのかを、試験管の中で擬似的に確認する試験(検査)を「溶出試験」と呼びます。
今回は、薬が一定の保存期間を過ぎても品質を保てているかを確認する溶出試験での不正がありました。以下、上記の産経新聞の記事の抜粋です。
>>
平成22年に行った社内の試験で、有効期限の3年を1年超えている長期保存していたカプセルを使った場合、薬の成分の溶出が低下していることが分かった。その後、27年以降、保存3年目のカプセルから内容物を取り出して別の新しいカプセルに詰め替えて試験を行うという、承認を受けた手順と異なる方法で試験を進めた
>>
なんでこんなことをしたのかというと、ガイドラインの改定により、「それ以前は、成り行き室温(工場内温度の約22度)で保存した検体が用いられていたが、25±2度、60%の湿度で保管された検体が対象となり、劣化が早く進むようになった」(ミクスOnline)ことが背景にある様です。
爪水虫薬に睡眠導入剤を混入していたとか、品質試験不合格の錠剤を砕いて再び加工していたとかの、製造工程での問題が発覚した近年の他の不祥事と比べると、そこまでクリティカルではありません。
気をつけるとしたら、ご自宅で例えば2年を超えて保存している薬は使わない方が良いという話です。
マスメディアというものはセンセーショナルな報道をした方が商売になるので、冒頭に挙げたようないかにも不安を煽る伝え方をしますが、そこに踊らされる必要はありません。
とはいえ、沢井製薬の不正自体を擁護するわけではありませんし、そこは真摯に反省していただき、���発防止や社内風土の見直しはしっかりしていただければと思います。
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ishuran · 2 years ago
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Vol.165 遺伝子変異は早く知るに限る〜進行非小細胞肺がんでの興味深い研究結果
お盆が過ぎ、少しは涼しさを感じられるようになるかと思いきや、変わらずの猛暑&熱帯夜続きで、流石に身体に堪えますね。
東京で猛暑日がこんなにもあった年はあったかなと記録を調べてみたら、今まで一番多かったのが、昨年の16日間。2010年に記録した13日間を12年ぶりに更新しての数字です。
そして、今年は…  なんと8月29日時点で既に22日間!!
世界陸上での日本記録の大幅更新はWelcomeですが、こんな大幅な記録更新は勘弁して欲しいです。
私自身も、夏バテなのか先日来体調を崩してしまい、久しぶりに高熱にうなされる日を過ごしています。検査の結果、コロナでもインフルでもなさそうなのはまだ良かったのですが…
読者の皆さまにおかれましても、どうぞお身体ご自愛くださいませ。
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【記事1】 BMIと副作用:太るべきか、太らざるべきか?
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適切な体重管理は、がん治療においては一般的にプラスに働くと考えられています。
特に、乳がんについてはかなりエビデンスが揃っており、ガイドラインの中でも肥満の影響について論じられています。
 ■「CQ6    肥満は乳癌患者の予後に影響を及ぼすか?」(乳癌診療ガイドライン2022年版)
「乳癌診断時に肥満である患者の乳癌再発リスク,乳癌死亡リスク,全死亡リスクが高いことは確実である」
「乳癌診断時より肥満度が上昇した患者において乳癌再発リスク,乳癌死亡リスク,全死亡リスクが高いことはほぼ確実である」
と記載されており、治療医が患者の体重管理について助言をする根拠となっています。
一方で、抗がん剤治療の際に、体重(BMI)がどのような意味を持ち得るのかについて、一本興味深い論文が出てきました。
 ■"Impact of BMI in Patients With Early Hormone Receptor–Positive Breast Cancer Receiving Endocrine Therapy With or Without Palbociclib in the PALLAS Trial”「PALLAS試験でパルボシクリブ併用または非併用の内分泌療法を受ける早期ホルモン受容体陽性乳癌患者におけるBMIの影響」(Journal of Clinical Oncology)
抗がん剤は注射剤の場合、一般的に「体表面積」あたりで投与量が決まっています。「体表面積」は身長と体重で決まります。
一方で、パルボシクリブ(イブランス)のように「経口剤」の抗がん剤もありますが、この場合、身長とか体重には関係なく、投与量は基本誰でも同じです。
PALLAS試験は、ホルモン陽性の早期乳がんの患者さんに、術後療法として標準的なホルモン剤にCDK4/6阻害薬パルボシクリブ(イブランス)を上乗せした場合の再発予防効果を検証した試験です。
この試験を実施した際に、BMIによる副作用の出方の違いも同時に検証しており、その結果について論じられているのが、上記の文献になります。
解析に組み入れられた5,698例のうち、ベースライン時の体重は、68例(1.2%)が低体重、2,082例(36.5%)が標準体重、1,818例(31.9%)が過体重、1,730例(30.4%)が肥満でした。
そして、パルボシクリブ群では、BMIが高いほど好中球減少症が有意に減少(7%)し、これがBMIが高いほど治療中止率が有意に低下(25%)したことに繋がったと考えられました。
ちなみに、BMIに関係なく、本試験ではパルボシクリブの上乗せ効果は認められませんでした。
ここから推察されることは、パリボシクリブだけでなく経口剤の抗がん剤の治療においては、体重がある方が副作用の出方やそれに伴う中止のリスクは下がるかもしれないということです。
有効であることがわかっている治療方法であれば、副作用による中止リスクは下げた方が良いでしょうから、その意味では体重は増えている方がむしろ良いのではと考える向きもありそうですが…
とはいえ、全体としては再発リスクがBMIの増加により上がることはほぼ確実なわけで、この試験結果をもって「太るべき」とは、言えないでしょうね。
いずれにしても、パルボシクリブ以外の薬剤での追加的な研究結果が期待されるところです。
※本項執筆時点(2023年8月31日)で、筆者はパルボシクリブに関し、特筆すべき利益相反はありません。
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【記事2】遺伝子変異は早く知るに限る~進行非小細胞肺がんでの興味深い研究結果
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非小細胞肺がんは、がんを引き起こす「ドライバー遺伝子」の解析と臨床への応用、すなわち「個別化医療」がもっとも進んでいるがんです。
現在、日本で対応する分子標的薬が存在する遺伝子変異は、EGFR, ALK, ROS1, MET, RET, NTRK, BRAF, KRAS遺伝子G12C変異、と数多くあり、今後も増えていくことが予想されます。
従って、このメルマガでも何度も取り上げている「遺伝子パネル検査」を行なう意義がもっともあるがんと言えます。
ところが、ここで大きな問題が一つ。
現状では、遺伝子パネル検査が保険で認められるのは、「標準治療がない、または局所進行または転移が認められ標準治療が終了となった固形がん患者さん(終了が��込まれる方を含む)」のみです。
本来であれば、再発/進行が判明した時点で、「遺伝子パネル検査」を行ない、適合した治療にすぐ進んでいったら良さそうなものなのに、そうなっていないわけですね…
遺伝子パネル検査をなるべく早期に行なった方が良さそう、ということを示唆する研究結果を、一本ご紹介します。
 ■”Compromised Outcomes in Stage IV Non–Small-Cell Lung Cancer With Actionable Mutations Initially Treated Without Tyrosine Kinase Inhibitors: A Retrospective Analysis of Real-World Data"「チロシンキナーゼ阻害剤なしで初期治療された、治療可能な変異を有するステージIV非小細胞肺癌における予後の悪化:リアルワールドデータのレトロスペクティブ解析」(Journal of Clinical Oncology)
「チロシンキナーゼ阻害剤」とは、遺伝子変異に適合した分子標的薬とお考えください。
研究時点で治療アクションが可能ながん遺伝子変異「EGFR, ALK, ROS1, BRAF, MET, RET, ERBB2, or NTRK」を持っていたとわかっていた患者さんの転帰を以下の3群に分けて調べました。
・A群:遺伝子変異が判明するまで治療開始を待ち、適合する分子標的薬で治療した群(379名)
・B群:当初化学療法or免疫チェックポイント阻害剤で治療開始し、分子標的薬に35日以内にスイッチした群(47名)
・C群:当初化学療法or免疫チェックポイント阻害剤で治療開始し、分子標的薬に35日以内にはスイッチしなかった群(84名)
ちなみに、遺伝子変異の内訳は下記の通りです。
EGFR��(n = 451), BRAF (n = 113), HER2 (n = 60), MET (n = 59), ALK (n = 58), ROS-1 (n = 21), NTRK1/2/3 (n = 15),  RET (n = 14)
結果、全生存期間(OS)の中央値は、
・A群:28.8ヶ月
・B群:21.7ヶ月
・C群:15.3ヶ月
となり、A群とC群の間では有意差ありという形でした。
ということで、遺伝子変異がある場合、なるべく早いタイミングで適合した分子標的薬での治療に入ることが大事になるということが示唆されるデータでした。
ちなみに日本での臨床実態は、いきなりの遺伝子パネル検査は保険診療の中ではできませんが、EGFRやALKなど、比較的昔から知られている遺伝子変異については事前に調べ、そうでない遺伝子変異についてはスキップしたり後日実施したりする形で対応されている施設が多いと考えられます。
遺伝子変異は「早く知っておくに越したことはない」ということで、今後、より早いタイミングでの遺伝子パネル検査の保険適応を期待したいと思います。
※本項執筆時点(2023年8月31日)で、筆者は複数の遺伝子パネル検査機器メーカーの株式を保有しています。
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ishuran · 2 years ago
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Vol.161 「HER2(ハーツー)」の気まぐれにご用心
日差しの強さに”夏”を感じるようになってきました。
例年、ここから2ヶ月くらいが私にとっては「学会シーズン」なのですが、今年は乳癌学会を含め、最大5つほど参加を検討しています。
学会というと、一般の患者さんにとってはあまり身近な存在に感じられないかもしれないですが、実は無料で参加できるプログラムがあったりします。
今号では、乳癌学会期間中に開催される、患者・市民参画プログラムのご案内も出しておりますので、ご興味のある方、ご一読ください。
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【記事1】「HER2(ハーツー)」の気まぐれにご用心
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「HER2(ハーツー)陽性」タイプは、乳がんに多く、その他に胃がん、そして更には大腸がんや肺がんなどでもわずかですが存在します。
そして、この「HER2陽性」の考え方が変わってくるという話を、以前のメルマガの中で書きました。
 ■「 Vol.150 <ASCO速報>T-DXd(エンハーツ)の治験結果にスタンディング・オベーション!」(イシュランメルマガ Vol.150)
記事内にもありますが、IHCという検査方法で「3+」のスコアが出た場合、もしくはIHCで「2+」(偽陽性)となりFISHという別の検査方法で陽性となった場合、「HER2陽性」判定となります。
これに対し、IHCで「1+」もしくは、IHCで「2+」かつFISHで陰性、の状況を「HER2”低発現”」と呼びます。
トラスツズマブ(ハーセプチン)に代表される既存の抗HER2抗体は、「HER2”低発現”」では効果が出ませんが、T-DXd(エンハーツ)は進行乳がんの標準治療として入ってきています。
「ホルモン陽性・HER2陰性」と判定されていた方は、実は「HER2低発現」であるケースが半々くらいの確率でありますので、今一度お手元の検査結果を確かめておかれた方がよろしいかと思います。
HER2に関してはもう一つ、気になる話があります。
それは、HER2の判定はかなり「揺らぐ」可能性があるという点です。
 ■"Intra-patient and inter-metastasis heterogeneity of HER2-low status in metastatic breast cancer”「転移性乳がんにおけるHER2低発現の患者内および転移先間の不均一性」(European Journal of Cancer)
献体された「HER2陰性」の10人の再発乳がん患者さんの転移巣257個と乳腺腫瘍8個の生検サンプルと、生前に採取された41の生検サンプルを染色して、HER2の状況について調べたところ。。。
・10人中8人の患者さんについて、HER2低発現とHER2陰性の組織が転移巣に混在
・HER2低発現病変の割合は、5%から89%
・ホルモン陽性原発の患者では、陰性原発と比較して、HER2低発現の転移の割合が比較的高かった
ということで、原発の判定で「HER2陰性」であっても、転移組織での判定は「HER2低発現」の可能性がかなりあるし、同じ患者さんであっても組織の採取部位によってHER2の判定が変わり得ることが示唆されています。
こうなってくると、腫瘍組織そのものを採取する検査より、血液等を用いたリキッドバイオプシーの方がむしろ精度高く判定できる、みたいな世界が将来やってきそうな気もしますね。
いずれにしても、HER2は現時点では”気まぐれ”な指標とも言え、「HER2陰性」は真に「陰性」と早合点しない方が良さそうです。
※本項執筆時点(2023年5月31日)で、筆者はハーセプチン、エンハーツに関して、特筆すべき利益相反はありません。
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【ご案内】2023年日本乳癌学会 患者・市民参画プログラム「BC-PAP」
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今年の乳癌学会学術総会の会期中に患者・市民参画プログラム、通称「BC-PAP(ビーシー・パップ:Breast Cancer Patients and Advocates Program)」が開催されます。
編集長の鈴木も参加経験のあるプログラムですが、各専門の医師を講師に招き、乳がん治療・ケアの最新情報を、患者さんやご家族、一般の方も分かり易く学ぶことができるセッションです。
無料で乳がんの最新情報について学べますので、この機会にご参加されてみてはいかがでしょうか。
・開催日 2023年6月30日(金)、7月1日(土)(学術総会 第2日目、3日目)
・場所   パシフィコ横浜ノース (神奈川県 横浜市西区みなとみらい1-1-2)
・参加形態 現地、オンラインのいずれかを選べます。参加タイプにより学術総会の医療者向けセッションの聴講が可能です。
※学術総会終了後のオンデマンド配信は7月上旬~8月末を予定。
お申込みや詳細はこちらから ↓↓↓↓↓↓
https://www.congre.co.jp/jbcs2023/patient/index.html
締め切りは5月31日(水)15時です。お早目にお申し込みください。
※申し込みの途中に、参加区分の選択項目があります。患者支援者、一般市民の方も含めBC-PAPに参加される方すべて、「非会員(患者・家族)」を選んでください。
不明点などは、HP掲載のメールアドレスにお問い合わせください。
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【記事2】営業赤字の製薬企業増加で気になる、医薬品の���定��給
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昨年、ジェネリック医薬品メーカーの相次ぐ不祥事に端を発し、新型コロナのオミクロン型の流行なども相まって、多くの種類の医薬品で供給不足が話題となりました。
供給が怪しくなっても同種同効の他剤があればまだ良いのですが、”替えの利かない"抗がん剤で供給不足になると、問題は大きくなります。
そんな問題が今年起きてしまったのが、再発・進行卵巣がんの標準治療薬である「ドキシル」です。
元々は、私の古巣であるヤンセンファーマが製造・販売していた薬剤なのですが、いつの間にか製造元はバクスター、販売は富士製薬に代わっています。
 ■「『ドキシル®注 20mg』の供給に関するお知らせとお詫び」(富士製薬/Baxter)
3月から限定出荷ということで、医療現場でもかなり混乱があったと思われます。
そこに今月新しいお知らせが入ってきました。
 ■「ドキシル注® 20mg 供給に関するお詫び」(Baxter)
またもや「お詫び」で悪い知らせかと思いきや、「日本においては、製造・出荷検定・輸入期間を鑑み、2023年9月に供給が改善される見通し」とのことで、とりあえず一安心ですね。
その一方で、ちょっと気になるニュースも。
 ■「国内製薬23年3月期、営業赤字の企業が増加…中堅企業、事業環境の悪化が収益直撃」(AnswersNews)
製薬会社といえば、かつてはどんなに業界下位の企業であっても、黒字経営というのが相場でした。
ところが、ここ10-20年で
・特許切れの古い薬剤は、ジェネリック医薬品への置き換えが進む
・日本国内での基礎研究への投資が細る
・新薬の開発コストは嵩む一方
という大きな流れが起きており、画期的な新薬の開発が(ほとんど)できず、古い薬剤群に売上の大半を頼らざるを得なくなっている製薬会社は、段々と経営が厳しくなってきています。
製薬会社も営利企業である以上、経営が傾いてくると費用削減のため、製造拠点の集約・在庫の縮小・従業員の削減、といったことをせざるを得なくなったりして、供給能力が脆弱になりかねません。
本記事の中でヤクルトは特に気になりますね。
ヤクルトと言えば、乳酸菌飲料やプロ野球の球団を思い起こす方がほとんどかと思いますが、実は「オキサリプラチン」や「イリノテカン」という、基幹的な抗がん剤を製造・販売していますので。
いずれにしても、今後、中堅製薬企業にとって経営環境はますます厳しくなると考えられますので、安定供給が保たれるか、注視が必要になってくる薬剤も出てきそうです。
※本項執筆時点(2023年5月31日)で、筆者はドキソルビシン塩酸塩(ドキシル)、オキサリプラチン、イリノテカンに関して、特筆すべき利益相反はありません。
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ishuran · 2 years ago
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Vol.156 あるの?ないの?妊娠目的での乳がんホルモン療法中断の再発リスクへの影響
「クリスマス寒波」、厳しい寒さとなりましたね。日本海側・北日本・西日本の皆さまは、例年より早い時期での大雪で大変な思いをされているかと思います。
年末年始は更なる寒波来襲の予報となってますので、皆さまどうぞ御安全にお過ごしください。
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また、開封率も常に30%以上を維持しております。
来る2023年も、最新のがん治療情報を中心に、読者の皆さまに役立つ情報を届けて参りますので、引き続きのご愛読をよろしくお願いいたします。
一点お知らせがございます。
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これに伴い、本メルマガへの直接のご返信が上記2日間できなくなりますので、ご承知おきください。
皆さまにとりまして、2023年が佳き年となりますよう。
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【記事1】術後療法の価値を何で判断すべきか?肺がん領域の現在最もホットな議論とは
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12月初めに肺癌学会の学術集会に参加してきました。
その中で、一番熱い議論が交わされていたセッションが、”緊急企画”「術後補助療法EGFR-TKI」です。
この企画の背景あるのが、オシメルチニブ(製品名タグリッソ)という抗がん剤の、EGFR変異陽性非小細胞肺がんの術後療法としての適応の取得です。
 ■「アストラゼネカのタグリッソ、早期EGFR変異陽性肺がんの術後補助療法として適応拡大」(アストラゼネカ株式会社) 
EGFR遺伝子変異陽性は、非小細胞肺がんの40%程度を占めると言われており、このタイプの肺がんに特異的に効果のある抗がん剤が、EGFR-TKI(EGFRチロシンキナーゼ阻害薬)と呼ばれるものです。
EGFR-TKIの第一世代としてゲフィチニブ(製品名:イレッサ)という薬がありまして、がん細胞の遺伝子変異に応じた治療(=個別化医療)の先駆けとなった薬剤です。
(発売当初は薬害騒ぎで大きなニュースになってしまったので、そちらで記憶されている方も多いかもしれませんが…)
イレッサ等のEGFR-TKIの第一世代や後続の第二世代は、再発・進行症例に対する効果は抜群なのですが、早期EGFR陽性肺がんの術後療法として決定的な再発予防効果を示せたものはありません。
オシメルチニブ(タグリッソ)はEGFR-TKI第三世代で、再発・進行症例では第一世代より優れた効果を示して標準治療となっていますが、術後療法でどうかを検証したのが、ADAURA試験です。
この試験の第2回解析がESMO2022(欧州臨床腫瘍学会)で発表され、主要評価項目であるStage II/IIIAのDFS(無病生存期間)中央値で、オシメルチニブ群65.8ヵ月vsプラセボ群21.9ヵ月(ハザード比0.23)と、圧倒的な差で有効性の優位性を示しています。
ADAURA試験に基づき、欧米のガイドラインでは既に明確に推奨されているのですが、この度、日本では承認はされたものの最新のガイドライン上で「推奨不能」という扱いとなりました。
これが、どのような議論の末そのような判断になったのか、レビュー&討論の機会が学術集会の中で緊急に設けられた、というのが冒頭の緊急企画です。
色々な論点が示されていましたが、きっちり推奨されなかった一番の要因は、OS(全生存期間)上でのベネフィットがまだ明確ではない、という点です。
OS(全生存期間)は、ADAURA試験でも副次評価項目になっているので、今後フォローアップの結果は出てきますが、当然ながら数年単位の時間はかかります。
では、本当にDFS(無病生存期間)ではなく、OS(全生存期間)を術後療法の効果指標のゴールデンスタンダードと考えるべきなのか?、というのが私が議論を通じて感じていた疑問です。
ここに対して良い示唆となる論考がちょうど出てきたので、要旨を長文ですが紹介したいと思います。
 ■"You're Cured Till You're Not: Should Disease-Free Survival Be Used as a Regulatory or Clinical End Point for Adjuvant Therapy of Cancer?”「完治していないとされるまでは完治:癌の術後療法の承認上/臨床上のエンドポイントとして、無病生存率が使用されるべきか?」(Journal of Clinical Oncology) 
>>
術後療法が治癒をもたらす可能性があるということが、この議論の本質です。治癒目的で手術を行った後、その後のフォローアップ期間中、その患者は治癒とみなされ続けるか、再発を経験するかになります。従って、患者の観点からは、再発するまでは治癒している可能性がある。進行がんの場合、患者の関心はいつまで生きられるかにありますが、術後療法の場合、患者の関心はむしろ治癒の可能性、すなわち再発/再燃のない生活を続けられるかどうかにあります。このような観点から、患者の立場からは、術後療法におけるエンドポイントは、治癒が最も重要で、次にDFS、そしてOSが続くと考えるべきです。臨床医としては、患者さんにとってDFSとは、無病息災(つまり、治癒した状態)で、長期的に治癒への期待を意味することを理解する必要があります。ある意味、DFSは治癒のサブカテゴリーで、身体的、心理的、社会的な生存やQOLの基本的な側面と密接に関係しています。このような理由から、術後療法や術前療法の研究において、DFSはOSよりも重要ながんアウトカムであると我々は考えています。
>>
私もこの論旨に全面的に賛成で、なるべく早期に日本の肺がんガイドラインも見直しが入ることを希望します。
最後に3点ほど。
まず、学術集会の中でこうしたセッションを設けられたこと自体、大変素晴らしいことと感じ��した。議論が密室のみで行なわれるのではなく、堂々と戦わされるのは学会としての健全性を示しています。
2点目は、ガイドラインの改訂タイミングが2年に1回とか3年に1回という「今までのやり方」は、現代のがん治療の進展速度を考えると、変えていく必要があるというものです。
確かに、ガイドライン作成には多大な労力がかかるでしょうが、書籍の発行ペースを基準にしているから上記のようなやり方になっているのであって、Web上でもっとタイムリーな対応をしていかないと、「ガイドライン」の存在意義自体が問われかねません。
最後に、本セッションに患者さんの立場の方が不在だったのは勿体無かった、ということは声を大にしたいです。そもそも、ガイドライン作成の場に患者さんも入っているべきではないのかなと。
DFSやOSが患者さんの人生にとってどのような価値や意味があるのか、という観点は、患者さんが一番の当事者な訳ですから。
肺癌学会は、患者さんとの協働という意味で先進的な取り組みをしている学会と認識していますので、こうしたセッションに患者さんが参加できるよう、今後の善処を期待したいです。
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【記事2】あるの?ないの?妊娠目的での乳がんホルモン療法中断の影響
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乳がんは比較的若年で罹患する可能性が高いがんであり、その約7割は「ルミナール」と呼ばれるホルモン陽性(HER2陰性)と呼ばれる、女性ホルモンによって増殖するタイプです。
このタイプの乳がんは、術後5年や10年といった長期間に渡って、女性ホルモンを抑制する「ホルモン療法」を行なうのが標準治療となっているのですが、治療中は薬による催奇形性(胎児への悪影響)があるため、避妊が必要とされています。
従って、妊娠出産を希望される方は、治療を中断する必要があるのですが、その場合再発リスクが増えるかもしれないという恐れと向き合わなければならず、難しい判断を迫られる状況が続いていました。
そこで、一定期間治療を中断し、妊娠出産をトライした場合の治療効果への影響を検証する国際共同臨床試験「POSITIVE試験」が企画され、その初の結果発表が、先日SABCS(サンアントニオ乳癌シンポジウム)でありました。
 ■「妊娠を希望するHR陽性乳癌女性に内分泌療法を中断しても3年再発リスクは高くならない可能性【SABCS 2022】」(がんナビ)
「対象は、術後内分泌療法を18-30カ月受けたI-III期HR陽性乳癌で、再発したことのない、妊娠を希望する閉経前の42歳以下の女性。登録前1カ月以内に術後内分泌療法を中断しており、3カ月間のウォッシュアウトを含め、内分泌療法を最長2年まで中断した。妊娠、出産、授乳後は、5-10年間の術後内分泌療法を完了するため、内分泌療法を再開することが強く推奨され、その後、長期経過観察が行われた」
わけですが、結果、3年時点のBCFIイベント発生率(再発と同義と考えてください)は8.9%で、これは他試験で同様の患者背景でホルモン療法を中断しなかった場合の発生率と同等、となりました。
3年時点のBCFIイベント発生率ということで、比較的短期間ではありますが、妊娠を試みるための内分泌療法の中断は再発リスク上昇には繋がらないことが示されたわけです。 
妊娠を希望する患者さんにとって「再発リスクが増えるかもしれないという恐れ」が軽減されるという意味で、目に見えない価値が非常に高い、素晴らしい試験結果だと思います。
本試験は前述したように「国際共同」臨床試験で、世界各国から517人が参加していますが、日本からも62人参加しており、日本での臨床上でも十分応用可能な試験結果と言えそうです。
本試験参加者の詳細内容を知りたい方は、↓をご参照ください。
 ■"Who are the women who enrolled in the POSITIVE trial: A global study to support young hormone receptor positive breast cancer survivors desiring pregnancy”「POSITIVE試験に登録された女性とは:妊娠を希望するホルモン受容体陽性の若年乳がんサバイバーを支援するための国際共同研究」(ScienceDirect)
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ishuran · 6 years ago
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Vol.106 「鎮痛剤にご用心:乳がんの化学療法に悪影響か」
先日の池江選手の白血病罹患の発表は、大変びっくり致しました。
大臣の失言云々も含め、私の周囲のSNS界隈ではこの話題で持ちきりの日々がしばらく続きましたが、私自身は、こういう時は特にSNS上では敢えて情報発信しないようにしています。
五輪相が失言しようが何しようが、騒がずそっと見守ることが御本人には一番だと信じているからです。
全国がん患者連合会理事長の天野慎介さんが書かれた↓の記事に、大事なことが全て詰まっていますので、広めていただければ嬉しく思います。
 ■「著名人ががんを公表する度に起きる騒ぎ がん経験者としてお願いしたいこと」(BuzzFeedMedical) 
   https://t.co/ohWh2fIz3J
━ イシュランメルマガ Vol.106 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【記事1】 鎮痛剤にご用心:乳がんの化学療法に悪影響か
【記事2】大流行の麻疹ウィルスが抗がん剤に???
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【記事1】 鎮痛剤にご用心:乳がんの化学療法に悪影響か
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ごく普通に使われる医療用医薬品の鎮痛剤が、乳がんの術前化学療法の効果を著しく下げる可能性を示す研究結果が出てきました。
 ■"Celecoxib With Neoadjuvant Chemotherapy for Breast Cancer Might Worsen Outcomes Differentially by COX-2 Expression and ER Status: Exploratory Analysis of the REMAGUS02 Trial”「乳がん術前化学療法でのセレコキシブの併用は、COX-2発現とERの状態により治療効果を下げる可能性:REMAGUS02試験の探索的データ解析」(Journal of Clinical Oncology)
  http://ascopubs.org/doi/abs/10.1200/JCO.18.00636
「セレコキシブ(商品名:セレブレックス)」というのは「COX-2選択的阻害剤」と呼ばれるタイプの消炎鎮痛剤です。
特にトリプルネガティブの乳がんにおいて、COX-2タンパクが過剰に存在しているため、もしかしたらここを阻害することで抗がん効果を得られるのではないかという仮説は以前からありました。
REMAGUS02試験はその可能性を探るための治験(Phase2)で、術前化学療法としてEC-T療法(エピルビシン+シク��ホスファミド→ドセタキセル)を施す際に、ドセタキセルにセレコキシブを乗せた場合と乗せなかった場合で解析をしています。
(本試験では、同時に、HER2陽性の患者で、EC-T療法にトラスツズマブを乗せた場合と乗せなかった場合の比較もしています)
REMAGUS02試験に参加したHER2陰性患者220名の内、COX-2(PTGS2)の発現状況を事前に調べてあった156名を8年近くにわたってフォローアップして解析したのが今回の研究になります。
その結果、、、
無イベント生存率(EFS)のハザード比は、セレコキシブ上乗せ群で1.7。つまり、何らかのイベント(転移、再発、死亡など)が発生するリスクは上乗せしなかった場合の1.7倍という期待とは真逆の結果になりました。
特に、COX-2発現が低いと判定された100名については、ハザード比が3.0と極めて悪かったのです。
今回は症例数もそこまで多くなく単体の試験の結果なので確定的とはまだ言えないものの、セレコキシブの上乗せはむしろ悪影響である可能性が高い以上、敢えて上乗せする必要はないでしょう。
少し気になるのは、術前化学療法の効果を下げるということは、術後化学療法にしても効果を下げる可能性があるのでは、という点です。
COX-2阻害剤系の鎮痛剤を常用されている方がもしいらっしゃるようでしたら、化学療法を受けられる際には主治医と相談されて、鎮痛剤の変更等を検討されておいた方が良さそうです。
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【記事2】 大流行の麻疹ウィルスが抗がん剤に???
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西日本を中心に麻疹が流行しているのは、皆さまも様々なニュースで見かけられているかと思います。
麻疹は感染力が極めて強いウィルスで、罹ると特効的な治療薬はありません。大半は自然治癒するとはいえ、1000人に1人程度は生命を落とすことになりますので、怖い伝染病であることは確かです。
実は現在、米国でも麻疹が流行しているのですが、そこに物議をかもす話が出てきています。
 ■”Top Trump Official’s Wife Calls For Return Of Measles In Anti-Vaccine Rant” 「トランプ政権の高官の妻がワクチン反対派に共鳴し麻疹の復権を要望」(Yahoo!News)
  https://yhoo.it/2TPXywU
この「高官の妻」なる方は、どうやら↓の研究結果を基にして「麻疹に罹ってガンをやっつけよう」とTweetして騒ぎになっている由。
 ■”Mayo Clinic First to Show Virotherapy is Promising Against Multiple Myeloma (pkg)”「メイヨークリニックが多発性骨髄腫に対するウィルス療法が有望であることを初めて示唆」(MayoClinic)   https://mayocl.in/2Nd1EwC
この研究は2014年に発表されたもので、他剤では効果が得られず再発・再燃を繰り返していた2名の多発性骨髄腫患者に対し、遺伝子改変して多発性骨髄腫細胞のみに毒性を示す麻疹ウィルスを投与した臨床試験です。
投与の結果、1名は完全寛解し、もう1名は寛解には至らなかったものの骨髄腫細胞とタンパクの量は減少するという結果が得られました。
誤解のないように、メイヨークリニックで使われたのは遺伝子改変された「不活化ワクチン」であって、本物の麻疹ウィルスではありません。
なので、間違っても、「敢えて麻疹に罹ると良いのかも」というような解釈はされないようにお願いします。
更に、この試験はあくまでも2名に対する試験的投与に過ぎず、これだけで安全性も有効性も検証されたとは全く言い切れません。
この後、麻疹不活化ウィルスを使ったPhase2試験はいくつかされているようですが、まだ結果が出てきていないのです。
とはいえ調べてみるとこの「抗がんウィルス療法」とも言うべきコンセプト自体は、意外に期待できるかもという気がしてきています。この辺の話は次回お伝えしたいと思います。
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