#気持ちを忠実に再現
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昨日を忠実に。

昨日もいつもの光前寺。
いつ雨が降ってもおかしくないような曇り空の下、α7CⅡに50mm F1.4GMをつけてスナップ。
曇りだからなんとかNDなくてもいけた。
参道入口の仁王門潜ったらまず撮っちゃうんだよなぁ、この風景。

あと玉ボケまみれの写真撮りたくてここも毎回。

今日は曇りのおかげでシャドーのところが落ちないなぁ。
最近曇りも好きなんだよなぁ。

しかし F1.4はこれだけ引いてもいい感じのボケ量。

人も少ない今日は池の鯉もなんだ���寂しげに見える。
せめて周りを映り込ませて華やかにしてあげようか。

ここはいつも素通りするんだけど、光の当たり方が良くて雰囲気出てるから撮ろう。

木の下の紫陽花。
光の当たり方とシャドーの落ち方がエモいなぁ。
蜘蛛の巣についた水滴もまたきれい。

今日は曇りで、しかも時間も遅い。
暗くて��暗差がキツくないから独特の雰囲気があって好きだなぁ。
この感じを伝えるためにどう撮ろうかな?

あれ?雨降ってきた…。

さぁカメラをしまってダッシュで戻ろう。
参道出口はもうすぐ。
今日も楽しかった!
camera : SONY α7CⅡ
lens : FE 50mm F1.4 GM
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キングダムハーツの一作目は私自身が深く関わった作品です。「ディズニーにとっても画期的かつ実験的プロジェクトだとおもいます。大げさかもしれませんが、ディズニー史に残るプロジェクトになるんじゃないかな」というこインタビューのコメントが、第一作目が発売される時にファミ通のインタビューに掲載されています。 当時、私はディズニーに在籍しており、日本を含むアジアのゲーム部門を見ていましたが、このプロジェクトが一番記憶に残りかつ成功したプロジェクトとなりました。ディズニーサイドのプロデューサーを務めたわけですが、この作品、幾つもの奇跡が重なり大ヒットに繋がり、ファミ通に引用されたコメントがあながち外れていなかった事になりました。今だから言える、キングダムハーツ一作目の舞台裏を、ディズニーの中での様子や、ビジネス面にスポットを当てながら今から振り返って見たいと思います 私がディズニーに入った時、米国のメンバーから実験的なプロジェクトが動いているという事は聞いていました。ただ、全くディズニー社内でオーソライズはされておらず、実験をしているという名目でした。ところが、私がディズニーにはいってしばらくたっても、契約は存在せずに、実験のはずが現場ではどんどん開発を始めていきます。スクエアエニックス(以降スクエニ)では開発ディレクターの野村哲也氏の想いがあり、非常に前のめりに開発を続けたいという意志が固く、一方で、ディズニーはイエスともノーとも言わないで、頑張りましょうという曖昧な返事を繰り返していました。先ずは、何とかプロジェクトをオフィシャルにしなくてはいけません。 そもそも、『キングダムハーツProject』は、承認を得るには大きな問題がたくさん含まれていました。それは内容に関するクリエイティブのチャレンジが原因となっています。普通のライセンス契約は、すでにあるイメージを利用して商品を作るもの、ゲームのライセンスもすでにある映画やキャラクターの世界観を使ったゲーム制作がそのベースとなっていました。ところが、キングダムハーツは例外事項のオンパレードでした。 ・米国の外で、少なくとも日本では、全く新たな世界観を持ったディズニーのライセンスが認められた事はなかった。 ・当時、まだ3D のミッキーのモデルが公に存在していなかった。 ・ディズニーの違った世界観、例えばターザンとピノキオとミッキーを一つの作品の中に入れる事ができるのはディズニーランドだけであった。 皆さんも想像できると思うのですが、ディズニーという会社は非常にアメリカ的な会社です。アメリカ、ハリウッドが中心で、ここで作られたクリエイティブを日本を含めた世界に流すのがビジネスモデルです。ある意味、ハリウッドのクリエイティブを頂点にライセンスのビジネスモデルが完成されているのです。ディズニーの財産は、ディズニーの世界観である事が徹底されていて、ディズニーの世界観を守るため、とても細かいライセンスのガイドラインが設けられ、世界にその指示が渡っていました。ブランドを守るグループの力は強く、社内での隠語でPolice(警察)と呼ぶ人もいました。
日本においてのライセンスグループは、ミッキーの新しいイラスト一枚を米国に認めてもらうために四苦八苦するのが実情でした。その様な状況で、上の様な問題?を持ったゲームが認められるはずがないというのが社内の空気だったのです。
皆さん、ご存知ですか?ミッキーの耳はいつでも正面を向いている事を。2Dイラストのミッキーはたとえ横を向いている時でも、その耳はまん丸で正面を向いているのです。それが3Dになったらどうするんだ、そもそも3Dのミッキーなんて米国が認めないし、他の膨大なキャラクターの3Dデータ、個々のアニメーションデータをどう承認してもらうのだというのです。
日本のディズニーでは、日本初のジャパンクリエイティブ作品を是非押して行こうと言う掛け声はあったものの、ディズニーの日本のベテラン社員の方が、「事が大きくならないうちにダメならダメと言ってあげるのがクライアントに対する本当のサービスだよ」という忠告をしてくれました。
当時のディズニーゲーム部門のプレジデントはディズニーストアの店員からのし上がって行った女性でした。とてもガッツがあり、野心があり社内政治的にも一目置かれており、彼女もこのプロジェクトにかけていました。ディズニーでは、業績だけでなく、新たなプロパティ、クリエイティブを生み出せるという事が、高い評価となるからです。プロジェクトは挑戦的でクリエイティブだし、部門トップもやりたいと言う事で、そういう意味では、ゲーム部門には米国も含めて何とかこのプロジェクトを通したいと気持ちが行き渡っていました。
日本のディズニーブランドグループのアドバイスは当然NGです。ただ、あまりに彼等の評価基準からは、かけ外れすぎているので、あえて判断出来ないと言うのが、彼らの立場でした。米国では常にブランドとゲーム部門の交渉が行われていましたが、私も良く呼び出されました。ついていた事に、タイミングは悪くありませんでした。
当時のディズニーのブランド部門のトップの悩みは、ディズニーのキャラクターが女性にしか受けず、対象年齢も下がりすぎており、何か新しい動きが欲しいと思っていたのです。話してみると、ブランドのトップの人はディズニーの世界観のエッジがなくなって行くのを危惧していたのです。当時の私は、前職がセガの(コンスーマー)開発のトップでしたので、クリエイティブの匂いを感じてくれたのでしょう、非常に長い時間ディズニーのブランド論やキャラクターの見せ方について語���合いました。如何にビデオゲームという舞台が、当時のディズニーにかけているお客さんに上手くアピールしうるメディアであるかといった話もしました。
先方は、ミッキーが最初に出て来た時には少しやんちゃな部分があったのに、今はお利口さんすぎてエッジがなくなっていると言う事も正直に話してくれるのです。ある意味、それにどう答えるのかもテストであったと思うのですが、ディズニーのブランドをどうしたらあげていけるのかというアイデアや考え方も私なりの意見を述べました。セガの時代に、ソニックの再生プロジェクトに関わっていたのも役立ちました。また、ブランドトップの彼には、時々途中経過を流したり、事前にちょっとした事を相談する様にしました。いわゆる、根回しをして信頼を得る作戦を取ったのです(これが出来たのは、当然、絶対的に当時のスクエアの制作能力が高かった事が挙げられます。最初に彼らの作ったいくつかのキャラクターの3Dデータ、アニメーションの審査の時に、ディズニーのスタジオの人たちがその品質に驚いた程でした)。
ディズニーにとって、当時ゲーム部門は主流の部門ではありませんでした。あくまで、映画、テレビ、パークがメディアの中心で、ゲームはライセンス部門の一部でした。(因みに今では、ゲームとインターネット部門が一つになり、ディズニーの独立部署かつ戦略部署と位置づけされています。) ディズニーがあまり強くない領域であまり強くないターゲット層に向けて、他人のお金で(スクエア)実験的な施策を打つのは会社に取っても悪くないと言う空気になっていきました。しかも品質は高く、ゲームで定評のあるパートナーなのです。ただ、それでもブランドグループもなかなかオフィシャルにGOを出しません。 我々にとってもう一つの追い風は、当時他国が落ち込んでいる中、日本のディズニーが全体で絶好調だった事です。東京ディズニーランドに加えディズニーシーがまさにオープン準備中でしたし、i-modeへの対応でモバイル部門も立ち上がっていました。ライセンス部門も他国が落ち込んでいる中好調を維持し、ジブリ作品のビデオ流通も当たっていました。
そこで、長年ディズニーでCEO(当時)として君臨をしていたアイズナー氏が、久しぶりに日本を訪問する事になったのです。この時の彼への権力の集中は凄まじく、彼の日本出張時に、何や感やで米国から100人以上の人が同時に日本にやって来ました。この様な中、日本での活動報告をアイズナー氏にする事になり、私もプレゼンをする事になったのです。
我々ゲーム部門の目的は、何とか此処で『キングダムハーツ』をオフィシャルにすることでした。数日かけて、ゲーム部門社長やディズニージャパン社長とプレゼン内容を相談し、当日に挑みました。アイズナー氏は流石にちょっと尊大とも言えるくらい威厳があり、カジュアルなセッティングにもかかわらず、場には緊張感が走ります。ストレート���厳しい質問もどんどん投げかけます。
私の順番になり、ゲーム業界の様子やいくつかのプロジェクトを説明したあと、『キングダムハーツ』の説明をはじめます。このプロジェクトが如何にクオリティが高くディズニーにメリットがあるか自分が説明するのを、横からゲーム部門社長が援護説明を入れます。とても助かったのは、アイズナー氏の内容に関する質問に対し、ブランドのトップが如何にディズニーのブランドにとってメリットがあるか援護射撃をしてくれたことです。
アイズナー氏は気軽に、「おー、そうか。頑張ってくれ」と励ましの言葉をくれましたが、この時が本当に『キングダムハーツ』がオフィシャルにディズニー内でGOになった瞬間でした。プレゼンが終わった後には、皆が祝福の握手に来てくれて、ブランドトップは祝福のハグまでしてくれました。この時まで、中立だった人たちがサポートに回ったのです。
何で、こんなに大袈裟なのかと思うのですが、ディズニーのクリエイティブに対する想いと、当時の組織の膠着が重なり合ったことが背景となっているのでしょう。あの時、アイズナー氏がちょっとでもネガティブな事を言っていたら、あのプロジェクトは飛んでいたかもしれません。
余談となりますが、当時一応、ブランドのトップは創始者デ��ズニーの甥 Roy Disney だったのですが、彼は保守的な立場の人でしたが、アイズナー氏との折り合いは悪く、彼は会議には出ていませんでした。彼がいたらここも一悶着あったかもしれません。
これは、言ってしまえば社内ポリティクスの苦労話です。そこには、普遍的な事もあるし、ある意味ディズニーという特殊な問題もあるでしょう。普遍的なことを言えば、どんな会社も形は違えどもなんらかの根回し、プロトコルがあるのだということです。よく、アメリカの会社には根回しがないという言葉を聞きますが、少なくともディズニーには全くその言葉は当てはまりません。ただ、日本の根回しとは少し違った感じはします。有力者にとにかく頭を下げてお願いするというよりは、一応こういう正義と言うか正しい気持ちとそこに伴うコミットメントが込められているかという説得はついていました。まあ、サプライズをビジネスマンは好まないという意味では同じなのかもしれません。また、どんな企業もトップが傲慢になりすぎると、決めるプロセスで苦労するというのも普遍的かもしれません。
ディズニーの特殊な面で言うと、クリエイティブに対する考え方、決め方、こだわりもこの件を通じてよく理解出来ました。あるところではビジネスを追求しているのですが、クリエイティブに対して尊敬しなければいけないとする問題意識は共有されています。ライセンスのガイドラインの作り方、ビジネスの作り方も見事なものです。コンテンツやIPをビジネスにする仕組みを積み上げているのです。
現在、日本ではサンリオが非常に上手いグローバルライセンス展開をしていますが、一方で集英社プロパティを中心に勿体無いコンテンツが沢山あります。世間で、ジャパンクールとはいうものの、その広がりを見せている様には思いませんが、コンテンツやライセンスのプロデュース、事業化能力をあげることも、コンテンツ、IPビジネスにおいてクリエイティブにも劣ることなく必要なことであるということはディズニーから学べるところです。
では、このライセンス���品を、ディズニーとしてどうプロデュースし盛り上げたかという施策を紹介します。ひとつが音楽に関する取引と、もう一つがプロモーション施策です。音楽に関して言うと、スクエアのクリエイターでディレクターを務めた野村哲也さんは、出来れば当時人気絶頂であった宇多田ヒカルさんを起用したいと言って来ました。ディズニーのゲームライセンスの契約で(とんでもない)社内ルールは、基本ディズニー作品に使われた曲はディズニーのものになるというものでした。
凄いアーティストと組んでゲームを作るという発想が、もともとなかったのです。ディズニーのリーガルと宇多田ヒカルさんの事務所、レコード会社と交渉しますが、此処でディズニーマジックが起こります。宇多田ヒカルさんがディズニーの大ファンで世界的に曲が広まるのであればと嬉しいと、日本語と英語版の楽曲提供を基本合意してくれたのです。然も、ディズニーの条件である、音楽のパブリッシング窓口がディズニーとなる事も納得してくれたのです。
キングダムハーツの主題歌「光」は、テクニカルには、宇多田ヒカルさん初の海外版になっているのです。ちょっと、蛇足ですが、この「光」という素晴らしい曲ですが、出来上がるのに時間がかかりました。丁度、彼女の病気と結婚の時期とかぶってしまったのです。この曲が素晴らしいものであったにもかかわらず、プロモーションビデオがとても地味な(失礼)出来になっているのは、病気が大きく影響していた様です。この曲は発売以来3週連続のオリコン1位を獲得します。人気絶頂だった宇多田ヒカルさんの曲とゲームのプロモーションを上手くリンクさせる下地が出来上がったのです。
私は、『キングダムハーツ』の問題として(今でこそとても当たり前に自然に見えているかもしれませんが)、スクエニのキャラクターとディズニーのキャラクターが並んだ時の違和感を感じていました。これを払拭するには、その世界観をあまり見せないか(ミステリーにして口コミに頼る)か、目一杯メディア露出をするかだとおもいました。前者は何もしないに等しいことなので、せっかくディズニーも絡んだ大型作品なのでどう露出するか考えました。スクエニに広告費露出を頼もうにも、先方は開発費が予算を大幅に越えており、その枠にも限界があることはわかっていました。
ディズニーには、新しい映画を世間に出すときに、他の企業と組んでプロモーションをするというco-promotion という仕組みが出来上がっていました。例えば、トイストーリーの映画封切に合わせて、マクドナルドがハッピーセットを出してその告知をメディア広告(主にテレビ)するという類のものです。ゲームではこのモデルを使ったことがないけれど、何とか出来ないものかということで、幾つも営業に回りました。その甲斐あって三井ホーム社、日清社そしてアサヒ飲料社とco-promotion 契約を結べました。
特に、アサヒ飲料社とはゲーム業界史上最大規模となるco-promotionが成立します。内容は、バイヤリスオレンジと三ツ矢サイダーを対象に、キングダムハーツのボトルキャップとデザイン缶キャンペーンを実行し、さらに大々的にキングダムハーツのイメージと宇多田ヒカルさんの「光」を使い、バイヤリスオレンジと三ツ矢サイダーをテレビ広告を中心としたメディア広告を展開するというものです。ブランドを二つに分けたのには実は裏の事情があります。ディズニーはグローバルにコカコーラ社とキャラクターライセンス契約をしていました。そのため、炭酸飲料についてはミッキーとその仲間たち、ディズニーでいうところのスタンダードキャラクターに関しては使えませんでした。そこで、どうしてもスタンダードキャラクターも使いたいアサヒ飲料社の要望に答えるべく、バイヤリスオレンジにスタンダードキャラクターをあてがい、本当に推したい三ツ矢サイダーにはその他のキャラクターをあてがうことにしたのです(ちなみにすべて『キングダムハーツ』に出ているキャラクターでないといけない)。
結果デザイン缶は10パターン作ることになります。こちらにとって結果的によかったのは、アサヒ飲料社が2つのメインブランドを推すキャンペーンになったためプロモーション規模が結果的に大きくなるおまけもついて来たのです。ここであえて追加すると、日本の他のディズニー部隊の協力は素晴らしいものでした。当然、コカコーラ社を担当している部門や当時のディズニージャパンの星野社長(現在ジブリ社長)の協力が無ければ到底出来ない内容でした。
このキャンペーン規模、テレビ広告の規模全国2500GRP以上という凄まじいものでした。どれくらいすごいかと言うと、ソニー・コンピュータエンタテインメント(当時。以下SCE)とスクエニがキングダムハーツにかけた広告を足したものの倍近くあったのです。また、ボトルキャップとデザイン缶を併せた『キングダムハーツ』仕様のドリンクは3000万缶近く作られ、コンビニでも『キングダムハーツ』のイメージが一気にばらまかれました。
キャンペーンタイミングも奇跡的にピッタリ合わせることが出来、今から考えても信じられないくらい上手く連動が出来たと想います。ゲームとの相性バッチリのアサヒ飲料のテレビ広告(YouTubeで捜しましたが見つかりませんでした。残念)は、ゲームの発売1週間前から集中投下され、この広告が始まるや、コンビニでのゲーム予約が8倍に跳ねました。ゲームも初回発注から、週末を待たず追加発注がなされ、何と1週目にスーパーロボット大戦の発売があったにもかかわらず、1位を獲得、大ヒットダイトルヘと成長をして行きます。海外では、『キングダムハーツ』はファイナルファンタジーを凌ぐビジネスとなっています。 当然、この『キングダムハーツ』に関しては、ゲームの力やクリエイターの執念、またパブリッシャーの努力が第一義的に成功の要因です。彼等の更なる努力により、キングダムハーツが10周年を迎え、さらに大きなIPに育っていることを本当に嬉しく思います。おめでとうございます。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」
令和七年(2025年)1月21日(火曜日)
通巻第8609号 <前日発行>
テスラがトヨタを買収する? 日本製鉄はUSスチール買収に挫折
台湾の鵬海精密工業が日産の買収を狙っていた
*************************
日本の油断だったのか。あるいは情勢判断が鈍かったのか?
バイデン政権は自動車労組の顔入りを窺いながら、「国家安全保障」と盾にして、日本製鉄のUSスチール買収に反対した。
しょせん、日本は同盟国ではないという米国の意思をこめている。しかし空母建造ができないほどに衰退した米国の鉄鋼と造船業界は、日本との連携にしか活路がないことをUSスチールの経営陣は認識できている。バイデンの決定に万歳したのは中国だったろう。
中国はすでに日本の技術援助を活用して粗鋼生産では世界一、造船でも韓国を追い上げ、いまではLPG輸送船も自主生産が可能となった。米国並みの空母建造も十年もすれば可能になる可能性がある。
テスラがトヨタを買収するという水面下の動きがある。
世界シェアを比較すればトヨタの六分の一でしかないテスラが、株式の時価総額ではトヨタの五倍ちかい株高を誇り、その資金的余裕をもってすれば「あり得ない話」ではない。
トヨタは防御作戦に転じており、ROE(自己資金比率)を11%から20%に引き上げ、自社株の取得枠も急拡大させた。これは買収阻止の作戦であり、投資家も、この動きを察知しているのか、過去半年、トヨタ株は低迷し続けている。
日産とホンダは経営統合を発表し、ここに三菱自工も加わるという。
明らかに台湾の鵬海精密工業が日産の買収を狙っていた動きに呼応した方針転換である。 暴れん坊の郭台銘(鵬海のボス)は、じっさいに���ャープを買収している。
M&A(企業買収・合併)の手口のひとつ、TOB(株式公開買い付け)はいまや普遍的となって、敵対的買収に対しての社会的反撥力も稀釈されている。
筆者が日本で初めて『M&Aの研究』(エムジー出版。絶版)を上梓したのは1986年だった。40年前の日本では起業家、経済家の反応は鈍かった。
例外的に経営コンサルタントの『タナベ経営』が着目し、同社の顧客で組織する『社長会』に札幌、東京、金沢、京都、大坂、福岡で研修会の講演に呼ばれた。
感想は「そんな時代はまだ先でしょ。日本とは無縁のことですね」と牧歌的だった。
日本はつぎつぎと米国の『年次改革要求』を受けいれ、気がつけば強欲資本主義の論理に振り回され、禿鷹ファンドも日本上陸を果たし、企業買収は日常茶飯となった。一方、日本企業は買収を避けるために自社株買い、もしくは上場廃止の動きを加速化させた。
トランプは古き良きアメリカに郷愁を抱く人々の支持を受けているが、こと金融取引や経済政策では、株式資本主義の信奉者である。トランプの就任式典に百万ドルの御祝儀をもって駆けつけたのはGAFAMばかりか、GM、フォード、ステランティスにトヨタ、現代の自動車メーカーとボーイング、ロッキードマーチンの軍需産業、そして新興ウーバーとオープンAIである。
▼アメリカの政治は「多数派の専制」である
トクヴィルがアメリカに長期滞在して観察し、「アメリカの政治は『多数派の専制』である」と喝破したことはまったく正しい。
これがアメリカの民主主義であって、負け組は不満を鬱積させるか、議会での妨害、フィリバスターなどで応じる。だから嫌がらせ、妨害工作も徹底している。
トランプは百本もの大統領令をもって、バイデンが残した悪政をすべてひっくり返す。予測されてきた不法移民強制送還、パリ協定再離脱、EV振興策取りやめ、政府機構の効率化、軍内部のWOKE高官解任、DEIキャンペーンへの予算削減、エネルギー開発規制撤廃などはすぐに実行に移す。
不法移民が蝟集する「聖域都市」への捜索はシカゴを手始めにニューヨーク、ロサンゼルス、デンバー、マイアミなどの「移民センター」への強制捜査を検討している。トランプ政権は、保安官にさらなる権限を与え、協力する管轄区域に報酬を与え、協力しない管轄区域には金銭的な罰を与えるという策にでる。ロサンゼルス郡保安局は「協力しない」と表明し、「我々は移民法を執行するためではなく、我々が奉仕するコミュニティを守るためにある」と述べている。
またFBI、教育省の解体的組織再編も急がれる。
TIKTOKに関してはバイデンの禁止命令に猶予を与え、いずれアメリカ企業が50%出資の合弁企業とすることで落ち着きそうだ。なにしろ1億7000万人のTIKTOKユーザーが米国内で利用している。
筆者が『正論』今月号にかいたようにトランプがめざしているのは『アメリカ版明治維新』である。
暗号通貨の戦略備蓄がもっとも革命的であるとみており、現実にはトランプ関連企業が売り出した「MEMEコイン」こと、「$トランプ」は爆発的な売れ行きを示したばかりである。
穏健なひとびとからみればトランプ暴走と移るが、トランプ政権の中核は「トランプ党」であり、共和党内の均衡を最初から度外視し、また閣僚指名も派閥均衡の人種別配分型ではない。
忠誠度、トランプ政策への共鳴力を基軸にトランプ色に染まった人選が本質である。
しかしメディア、野党ばかりか共和党内にもRINO(名前だけ共和党員)がいる。周りは敵だらけ、何処まで驀進できるか。
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私の手元に、古ぼけた書類の束がある。手製の表紙をめくると目に入ってくるのは軍の最高機密を意味する「軍機」の朱印だ。昭和16年12月8日、日米開戦の象徴となった真珠湾攻撃に関する詳細な計画、命令書である。なぜこんなものが私の元に来たのか、そして軍の機密のその中身とは――。 「進藤三郎」という男 昭和15年9月13日、圧倒的勝利に終わった零戦のデビュー戦を指揮し、漢口基地に帰還した進藤三郎大尉 平成12(2000)年2月2日、ひとりの元海軍少佐が88年の生涯を終えた。その人の名は進藤三郎。太平洋戦争に興味のある人ならまず知らない人はいないであろう戦闘機乗りである。 進藤は昭和15(1940)年9月13日、制式採用されたばかりの零式艦上戦闘機(零戦)13機を率い、中国・重慶上空で中華民国空軍のソ連製戦闘機33機と交戦、27機を撃墜(日本側記録。中華民国側記録では被撃墜13機、被弾損傷11機)、空戦による零戦の損失ゼロという鮮烈なデビュー戦を飾った。続いて、昭和16(1941)年12月8日のハワイ・真珠湾攻撃では、空母赤城戦闘機分隊長として第二次発進部隊制空隊の零戦35機を率いた。その後、激戦地ラバウルの第五八二海軍航空隊飛行隊長、空母龍鳳飛行長などを歴任し、筑波海軍航空隊飛行長として派遣先の福知山基地で終戦を迎えた。 戦後はトラック運転手や福島県の沼沢鉱山長などの職を転々としたのち、生家のある広島に戻って東洋工業株式会社に入社、出向した山口マツダで常務取締役まで務めた。 戦争中はその華々しい「活躍」がしばしば新聞にも載るほど著名な海軍軍人だったが、戦後は一転して平凡な会社員生活で、戦争の話はよほど心を許した相手にしか、最後まですることを好まなかった。 進藤が保管していた書類に入る前に、進藤自身の「真珠湾攻撃」について、1996年から99年にかけての私のインタビューをもとに再現しよう。 突然の転勤命令 昭和16年4月、新編された当時の赤城戦闘機隊搭乗員たち。中列中央・飛行隊長板谷茂少佐、その右・分隊長進藤三郎大尉。このメンバーのうち数人は、のちに第五航空戦隊に異動した 昭和14(1939)年、ドイツ軍がポーランドに侵攻したことに端を発する欧州での大戦は、日本がドイツと軍事同盟を結んだことで、もはや対岸の火事とは言えなくなっていた。日米関係は悪化の一途をたどり、昭和16年7月28日、日本軍の南部仏印進駐を機に、アメリカは日本への石油輸出を全面的に禁止、イギリス、オランダもこれに同調する。世にいう「ABCD包囲網」である。 この制裁措置は、石油その他の工業物資の多くをアメリカからの輸入に依存してきた日本にとって、まさに死命を制するものだったった。米英蘭との戦争は、もはや不可避と考えられた。海軍も、極秘裏に開戦準備に入る。 航空母艦赤城、加賀の第一航空戦隊、蒼龍、飛龍の第二航空戦隊を主力に、第一航空艦隊(一航艦=司令長官・南雲忠一中将)が新たに編成されたのは、昭和16(1941)年4月のことである。一航艦は、空母と少数の駆逐艦だけで編成されたが、実戦に際しては、臨時に配属する速力の速い戦艦、巡洋艦、駆逐艦などを合わせ、これが世界初の試みとなる「機動部隊」として作戦に従事することになっていた。 進藤は、機動部隊の編成にともなう人事異動で、南雲中将の座乗する旗艦赤城の戦闘機分隊長に転勤を命ぜられた。進藤の直接の上官、赤城戦闘機隊の飛行隊長は板谷茂少佐である。 「支那事変での長く続いた戦地勤務で、私の体は疲れ切っていました。できれば今度は内地の練習航空隊の教官配置につけてもらえないかと思っていた矢先の転勤命令。空母乗組は“搭乗員の華”、誰もが羨む配置なんですが、正直なところ、はじめはうんざりしましたね」 と、進藤は振り返る。 猛訓練で体が悲鳴を上げていた 機動部隊の旗艦・空母赤城。巡洋戦艦を建造中に空母に改装。当時世界最大級の航空母艦だった 空母搭載の飛行機隊は、洋上訓練や出撃のとき以外は、陸上基地で訓練を行うのを常としていた。搭乗員が揃うと、赤城戦闘機隊は、鹿児島・鴨池基地を拠点に、飛行訓練を開始した。 まずは、搭乗員全員の零戦での慣熟飛行から始まり、着艦訓練の前段階として、母艦の飛行甲板を想定した、飛行場の限られた範囲に飛行機をピタリと着陸させる定着訓練が行われる。5月になると空戦、無線電話、着艦訓練と、訓練もより実戦的になり、空戦訓練は、1機対1機の単機空戦よりもチームワークを重視する編隊空戦に重点が置かれ、2機対3機、3機対6機の編隊同士の空戦訓練が、実戦さながらに行なわれた。吹流しを標的とする射撃訓練も、さかんに行われた。 9月に入ると空母翔鶴、瑞鶴からなる第五航空戦隊が新たに機動部隊に加わり、赤城の搭乗員の一部は五航戦に転勤する。進藤の回想。 「猛訓練が進むにつれ、疲労がどうしようもないほど蓄積してきました。体がだるく、食欲もない。8月には黄疸の症状も出始め、周囲から『君の目は黄色いじゃないか』と言われるほどでした。これはもう、海軍をクビになっても仕方がない、休暇療養を願い出ようと決心したんですが……」 ところが、そう決心した矢先の、進藤の記憶によれば10月1日頃、各航空戦隊の司令官、幕僚、空母の艦長、飛行長、飛行隊長クラスの幹部が、志布志湾に停泊中の赤城の参謀長室に集められ、ここで南雲中将より、「絶対他言無用」との前置きのもと、真珠湾攻撃計画が伝えられた。航空参謀・源田実中佐からは、この作戦に対応するための訓練を急ピッチで進める旨の指示もあった。 ���佐の本音 揚子江上空を飛ぶ零戦一一型。進藤大尉が撮影した 「しまった。これを聞いたからには、休ませてくれとは言えないな」 と、進藤は観念したと言う。傍らにいた板谷少佐が、やや興奮の面持ちで、 「進藤君、こりゃ、しっかりやらんといかんな」 と、声を��けてきた。だが、解散が告げられ、基地に帰る内火艇に乗り込むときに、 「俺たちはただ命令通りに死力を尽くして戦うだけだが、その後始末はどうやってつけるつもりなのかな」 と、誰にともなくつぶやいた板谷少佐の言葉がいつまでも心に残った。こちらのほうが本音なんだろうな、と進藤は思った。 昭和16年10月には、戦闘機隊の訓練は仕上げの段階に入りつつあった。訓練項目に航法通信訓練が加えられ、コンパスと、波頭を目視して判断する風向、風力を頼りに長距離を飛ぶ三角航法、無線でモールス信号を受信する訓練などが行なわれた。高高度飛行の訓練も実施され、耐寒グリスを塗った20ミリ機銃による、高度8000メートルでの射撃訓練も行われた。一航戦では、18機対18機の大規模な空戦訓練も実施された。二航戦は9機対9機、五航戦は3機対3機までしかできなかったという。 11月に入ると、志布志湾に機動部隊の6隻の空母と飛行機が集められ、11月3日、南雲中将より機動部隊の各艦長にハワイ作戦実施が伝達された。その日の夜半、「特別集合訓練」が発動され、翌4日から3日間にわたって、全機全力をもって、佐伯湾を真珠湾に見立てた攻撃訓練が、作戦に定められた通りの手順で行なわれた。 〈十一月四日 「ハワイ」攻撃ヲ想定 第一次攻撃隊 〇七〇〇(注:午前7時)発進、第二次攻撃隊〇八三〇発進。十一月五日 第一次〇六〇〇、第二次〇七三〇。十一月六日〇五〇〇ヨリ訓練開始〉 と、進藤はメモに書き残している。11月6日には、戦闘機隊が半数ずつ、攻撃隊と邀撃(ようげき)隊の二手にわかれ、攻撃隊はいかに敵戦闘機の邀撃を排除して攻撃を成功させるか、邀撃隊はいかに攻撃隊を撃退するか、という訓練も行なわれた。激しい訓練で、攻撃隊の九九式艦上爆撃機のなかには不時着する機も出た。 特別集合訓練が終了すると、赤城、蒼龍は横須賀、加賀、飛龍は佐世保、翔鶴、瑞鶴は呉と、それぞれの母港に入って準備を行い、飛行機隊はふたたび、陸上基地に戻って訓練を続けた。このとき、戦闘機が洋上で単機になってしまった場合に備えて、無線帰投方位測定機(クルシー)を使っての帰投訓練が熊本放送局の電波を利用して実施されている。 覚悟を決めた日 第二次発進部隊制空隊(零戦)指揮官・進藤三郎大尉の命令書(軍機) 11月中旬には、各母艦は飛行機隊を収容し、可燃物、私物の陸揚げや兵器弾薬、食糧の最後の積み込みを終え、佐伯湾に集結した。 赤城が佐伯湾を出たのは、11月18日のことである。行動を隠匿するため、出航と同時に、各艦は厳重な無線封鎖を実施した。 空母6隻を主力とする機動部隊は北へ向かい、千島列島の択捉島(えとろふとう)単冠湾(ひとかっぷわん)に集結した。湾の西に見える単冠山は、すでに裾まで雪に覆われていた。11月24日、6隻の空母の全搭乗員が赤城に集められ、真珠湾の全景模型を前に、米軍の状況説明と作戦の打ち合わせが行われた。機動部隊の行動についてはもちろん、攻撃隊の編成や各隊ごとの無線周波数など、詳細な作戦計画が、すでにでき上がっていた。進藤が保管していた機密書類はこの日の日付から始まっている。 11月26日、機動部隊は単冠湾を抜錨、各艦、単冠山に向かって副砲、高角砲の試射を行った。凍てつく空気に、砲声が轟いた。艦隊はそのまま針路を東にとった。 「自信を持って戦いに臨める。しかし、今度こそは生きて帰れないだろうな」 と、進藤は、遠ざかってゆく雪の単冠山を見ながら、しばし物思いにふけった。 時化模様の航海が続いた。護衛の戦艦、巡洋艦、駆逐艦、補給船、潜水艦など、総勢31隻もの艦隊を、隠密裏にハワイ北方までたどり着かせなければならない赤城艦上の機動部隊司令部は緊張の連続だった。 12月1日、機動部隊は日付変更線を越えた。機動部隊は日本時間で行動するので、時差で時間感覚がずれてくる。この日の御前会議で、日本は英米との開戦を決定する。 12月2日、「新高山ノボレ 一二〇八」 という暗号電報が、聯合艦隊司令部より届いた。これは、「X日(開戦日)を12月8日とす」という意味である。開戦は、12月8日午前零時と決まった。ただし、日米の外交交渉次第では、まだ作戦が中止になることもあり得る。しかし反転命令は出ず、矢はついに弦を放れた。 12月8日午前1時半(日本時間)。第一次発進部隊が次々と6隻の空母を発艦した。 第一次発進部隊は、零戦43機、九九艦爆51機、九七艦攻89機(うち雷撃隊40機、水平爆撃隊49機)、計183機で、総指揮官は淵田美津雄中佐である。第一次攻撃では、雷撃隊が二列に並んで停泊している米戦艦の外側の艦を攻撃、水平爆撃隊が上空より内側の艦を爆撃する。さらに艦爆隊は飛行場施設を爆撃することになっていた。 そこらじゅうで火柱が 九九式艦上爆撃機。急降下爆撃を行う 機動部隊の各母艦では、第一次の発艦後、すぐに第二次発進部隊の準備が始められた。 第二次は零戦36機、九九艦爆78機、九七艦攻(水平爆撃のみ)54機、計168機が発艦し、うち零戦1機と艦爆2機が故障で引き返している。こんどは、艦爆が第一次で撃ちもらした敵艦と飛行場を狙い、艦攻が敵飛行場を水平爆撃することになっていた。 赤城から発艦するのは、零戦9機と九九艦爆18機。2時13分、進藤の搭乗する零戦、A1(本来はローマ数字だが、機種依存文字のためアラビア数字で表記)‐102号機は、その先頭を切って発艦した。第二次発進部隊の総指揮官は瑞鶴艦攻隊の嶋崎重和少佐、進藤は、制空隊(零戦隊)全体の指揮官を務める。 「第一次の発進を見送ったときに���さすがに興奮しましたが、いざ自分が発進する段になると平常心に戻りました。真珠湾に向け進撃中、クルシーのスイッチを入れたら、ホノルル放送が聞こえてきた。陽気な音楽が流れていたのが突然止まって早口の英語でワイワイ言い出したから、これは第一次の連中やってるな、と奇襲成功を確信しました」 第一次に遅れること約1時間、真珠湾上空に差しかかると、湾内はすでに爆煙に覆われ、ものすごい火柱が上がっていた。心配した敵戦闘機の姿も見えない。空戦がなければ地上銃撃が零戦隊の主任務になる。進藤はバンクを振って(機体を左右に傾ける合図で)各隊ごとに散開し、それぞれの目標に向かうことを命じた。 「艦攻の水平爆撃が終わるのを待って、私は赤城の零戦9機を率いてヒッカム飛行場に銃撃に入りました。しかし、敵の対空砲火はものすごかったですね。飛行場は黒煙に覆われていましたが、風上に数機のB-17が確認でき、それを銃撃しました。高度を下げると、きな臭いにおいが鼻をつき、あまりの煙に戦果の確認も困難なほどでした。それで、銃撃を二撃で切り上げて、いったん上昇したんですが」 頭によぎった最悪のシナリオ 開戦を告げる昭和16年12月9日の新聞紙面 銃撃を続行しようにも、煙で目標が視認できず、味方同士の空中衝突の危険も懸念された。進藤は、あらかじめ最終的な戦果確認を命じられていたので、高度を1000メートル以下にまで下げ、単機でふたたび真珠湾上空に戻った。 「立ちのぼる黒煙の間から、上甲板まで海中に没したり、横転して赤腹を見せている敵艦が見えますが、海が浅いので、沈没したかどうかまでは判断できないもののほうが多い。それでも、噴き上がる炎や爆煙、次々に起こる誘爆のすさまじさを見れば、完膚なきまでにやっつけたことはまちがいなさそうだと思いました。胸がすくような喜びがふつふつと湧いてくる。 しかしそれと同時に、ここで枕を蹴飛ばしたのはいいが、目を覚ましたアメリカが、このまま黙って降参するわけがない、という思いも胸中をよぎります。私は昭和8年、少尉候補生のときの遠洋航海でアメリカに行き、そのケタ違いの国力と豊かさをまのあたりにしていますから、タダで済むはずがないことは容易に想像できる。これだけ派手に攻撃を仕掛けたら、もはや引き返すことはできまい。戦争は行くところまで行くだろう、そうなれば日本は…………負けることになるかもしれないと、このときふと考えました」 空襲を終えた攻撃隊、制空隊は、次々と母艦に帰投し、各指揮官が発着艦指揮所の前に搭乗員を集め、戦果を集計した。進藤は、赤城の艦爆隊と合流して帰還した。南雲中将が、わざわざ艦橋から飛行甲板上に下りてきて、「ご苦労だった」と進藤の手��握った。 ほどなく、最後まで真珠湾上空にとどまっていた総指揮官・淵田中佐の九七艦攻が帰艦する。大戦果の報に、艦内は沸き立った。しかし日本側にとって残念なことに、いるはずの敵空母は真珠湾に在泊していなかった。 艦上では、第三次発進部隊の準備が進められている。蒼龍の二航戦司令官・山口多聞少将からは、蒼龍、飛龍の発艦準備が完了したとの信号が送られてきた。しかし、南雲中将は、第三次発進部隊の発艦をとりやめ、日本への帰投針路をとることを命じた。 激しい戦闘の代償 日本機の空襲を受けるハワイ・真珠湾の米艦隊 「当然もう一度出撃するつもりで、戦闘配食のぼた餅を食いながら準備をしていましたが、中止になったと聞いて、正直ホッとしました。詰めが甘いな、とは思いましたが…………」 体調不良を押してここまできたが、ようやく任務が果たせた。緊張の糸が切れた進藤は、そのまま士官室の祝宴にも出ず、私室で寝込んでしまった。 真珠湾攻撃で日本側は、米戦艦4隻と標的艦1隻を撃沈したのをはじめ、戦艦4隻、その他13隻に大きな損害を与え、飛行機231機を撃墜、あるいは撃破するなどの戦果を挙げた。資料によって異なるが、米側の死者・行方不明者は2402名、負傷者1382名を数えた。いっぽう、日本側の損失は、飛行機29機(第一次9機、第二次20機。うち零戦9機、九九艦爆15機、九七艦攻5機)と特殊潜航艇5隻で、戦死者は64名(うち飛行機搭乗員55名。別に、12月9日、上空哨戒の零戦1機が着艦に失敗、搭乗員1名死亡)。米軍の激しい対空砲火を浴びて、要修理の飛行機は100機あまりにのぼった。 ――ちなみに、真珠湾攻撃当時、連合艦隊司令長官・山本五十六大将57歳、機動部隊指揮官・南雲忠一中将54歳、航空参謀・源田実中佐37歳、攻撃隊総指揮官・淵田美津雄中佐39歳、第二次発進部隊指揮官・島崎重和少佐33歳、雷撃隊指揮官・村田重治少佐32歳、第一次制空隊指揮官・板谷茂少佐32歳、第二次制空隊指揮官・進藤三郎大尉30歳、加賀戦闘機分隊長・志賀淑雄大尉27歳、そして昭和天皇40歳だった。 真珠湾攻撃の帰途、二航戦の蒼龍、飛龍は、ウェーク島攻略作戦に参加するため、本隊を離れた。残る赤城、加賀、翔鶴、瑞鶴は、12月23日から24日にかけ瀬戸内海・柱島の泊地に投錨する。各艦の飛行機隊は、零戦隊は佐伯基地経由で岩国基地へ、艦爆、艦攻は鹿屋基地経由で宇佐基地へと向かい、ここでしばしの休養が与えられた。 進藤は、12月25日、岩国基地から呉海軍病院に直行し、軍医の診察を受けた。診断の結果は、「航空神経症兼『カタール性』黄疸」、二週間の加療が必要とのことで、そのまま入院することになった。十二月三十日付で赤城分隊長の職を解かれ、さしあたって任務のない「呉鎮守府附」の辞令が出る。この日から広島の生家での転地療養が認められ���進藤は、ひさびさに正月を両親と迎えることができた。 再び始まる苦しい戦い 昭和17年11月、進藤大尉がラバウルに向け出発直前、東京駅にて 「海鷲・進藤大尉」の帰郷は誰からともなく近所に伝わり、毎日のように真珠湾の話をねだりに客がやってくる。子供たちは、道で進藤の姿を認めると、憧憬のまなざしで、直立不動になって挙手の敬礼をした。 真珠湾攻撃から帰った進藤は、療養生活を送ること2ヵ月半、ようやく黄疸の症状もおさまり、昭和17(1942)年2月12日、〈大分海軍航空隊司令ノ命ヲ受ケ服務スベシ〉の辞令を受けて大分空に着任。四月一日、戦闘機搭乗員の訓練部隊として徳島海軍航空隊が新たに創設されると、その飛行隊長兼教官に補せられた。 最前線・ニューブリテン島ラバウルで作戦中の第五八二海軍航空隊飛行隊長兼分隊長への転勤辞令が出たのは、昭和17年11月8日のことである。処分しそびれていた真珠湾攻撃の軍機書類の保管を元海軍機関大佐の父に託してラバウルに向かう。五八二空に着任したとき、進藤は新たに部下となる隊員たちに、 「海軍戦闘機隊のモットーは編隊協同空戦だ。搭乗員が戦果を挙げる陰には、整備員や兵器員といった裏方の努力が不可欠である。けっして一人の手柄を立てようなどとは思わず、より長く、より強く、一致団結して戦い抜くように」 と訓示をした。そして、進藤の長く苦しい戦いがここから始まる。
1941年12月8日の「真珠湾攻撃」に「零戦35機」を率いて参加した当事者の「貴重な証言」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース
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PASH! March 2024 Persona 3 Reload part pictures and transcription.







DATA
HP : https://p3re.jp
X (旧Twitter) : @p_kouhou
©ATLUS ©SEGA All rights reserved.
STAFF : 制作=アトラス
対応機種 : Xbox Game Pass、Xbox Series X | S、Xbox One、Windows、PlayStation 5、PlayStation 4、Steam
※ Xbox Series XS、Xbox One、Windows、 SteamはDL版のみ
料金 : パッケージ通常版9,680円、パッケージ豪原版17,380円、ダウンロード通常版9,680円、ダウンロード特別版15,730円、ダウンロード豪単版12,408円(すべて税込価格)
影時間、再び
名作RPGのフルリメイク作『ペルソナ3 リ��ード』を特集!伊織順平役・鳥海浩輔さん、真田明彦役・緑川 光さん、スタジオディレクター・山口拓也さんのコメントと共に、本作の魅力を紐解いていく。
学園ジュブナイルの名作『ペルソナ3』が現代技術で蘇る
2006年に発売され、多くのファンを魅了した『ペルソナ3』。約18年の時を経て、オリジナル版の魅力はそのままに、現代に合わせてフルリメイクした『ペルソナ3 リロード』(以下『P3R』)が2月2日に発売された!
本作は遊びやすくシステムがブラッシュアップされたほか、登場人物を掘り下げるイベントなどが追加されている。
ここでは『P3R』の奥深い物語や、システムを紹介。新たに蘇った『ペルソナ3』の世界に触れてみよう!
↑洗練された新規オープニングや、ゲームサウンドも話題に!
日と1日の狭間にある影時間に挑め!
影時間に現れる謎の敵・シャドウの襲撃を受け、ペルソナ能力が覚醒した主人公。彼は仲間たちとシャドウを討伐しながら、謎に満ちた影時間の真実に迫っていくことになる。
出会いと別れの先で主人公を待つ運命は
Story
→↓心の強さが力になるペルソナ使いたち。彼らは満月のたびに襲来する大型シャドウとの戦いや、仲間との交流を通して成長していく。
System
学園生活を通して自分の能力を磨こう
学生である主人公は、平日は学校に通っている。放味みや休日は、買い物や自分磨きなど、自由に行動することができる。
Point 1
イベントがいっぱいの学園生活
授業を受けたり、行事に参加したり、学内でのイベントがたくさん用意されている。登場人物たちと、楽しい思い出を作ろう!
↑←主人公には、学力、魅力、勇気の専用パラメータがある。授業を受けたり、試験でいい結果を出したりすると成長。特定のパラメータが高くないと、発生しないイベントもあるようだ。
Point2
コミュで絆を育てよう
主人公は仲間たちや一部の登場人物と、絆=コミュを築くことができる。交流してコミュランクを上げることで、登場人物を深掘りする魅力的な物語が展開。さらにランクが上がると、戦闘が有利になる要素も!
新規のリンクエピソードも登場
↑オリジナル版でコミュがなかった仲間キャラには、新規のリンクエピソードを追加。彼らの知らなかった一面が明らかになる。
And More
何をするのもあなた次第
←↑本作はカレンダー形式で、1日ごとに何をするか選択可能 (一部、行動できない日もあり)。部活をするもよし、アルバイトに励むのもよし。全ての行動が主人公の成長につながっていくので、毎日の行動を充実させていこう。
ペルソナ能力を活用しシャドウを倒そう!
影時間に登場するダンジョン・タルタロスに挑むことで、シャドウを討伐し、主人公たちのバトル能力を成長させることができる。
→シャドウには弱点がある。武器やスキルで弱点をつき、戦いを有利にしよう。
シャドウの弱点をつけ
Battle
強力なテウルギア
↑必殺技・テウルギアが追加され、バトル演出がより華やかに!
しゅ じん こう
主人公
CV : 石田 彰
月光館学園高等部に2年から編入してきた転校生。昔学園がある港区に住んでいて、約10年ぶりに戻ってきた。複数のペルソナを召喚できるワイルドの能力を持ち、S.E.E.S. (特別課外活動部) のリーダーを任される。
S.E.E.S
Character
特別課外活動部の仲間たち
主人公が一緒に戦うのは、月光館学園に秘密裏に存在し、シャドウ討伐を目的とする部活動S.E.E.S.に所属する個性豊かな仲間たち!
勝気だけど仲間想いなクラスメイト
たけ ば
岳羽ゆかり
CV : 豊口めぐみ
月光館学園高等部の2年生で、主人公や順平のクラスメイト。弓道部に所属している。容姿端麗なため、学内でもファンが多い。明るくしっかり者で、個性的な仲間たちのツッコミ役になっている。父親の死、そして母親との確執から、ひとりで生きようと考えており、強気な態度を見せることも⋯。
陽気なムードメーカー
い おり じゅん ぺい
伊織順平
CV : 鳥海浩輔
影時間に迷い込んでいるところを真田に救われ、S.E.E.S.に加入する。コミュニケーション能力が高く、陽気で仲間を盛り上げるムードメーカーだが、少し調子に乗りやすいと��ろがある。同じ学年なのにリーダーを任されて周囲からの信頼が厚い主人公に対して、ライバル意識や劣等感を抱いているよう。
ストイックなボクシング部主将
さな だ あき ひこ
真田明彦
CV : 緑川 光
月光館学園高等部3年生。無敗を誇るボクシング部の主将で、学外にも名が知れ渡っている。過去のある事情から強さを追い求めており、影時間でのシャドウとの戦いも、どこか楽しんでいる節がある。文武両道でストイックな性格の持ち主だが、頑固で融通が利かず、少しズレた反応を見せることも多い。
生徒会長を務める大企業の社長令嬢
きり じょう み つる
桐条美鶴
CV : 田中理恵
月光館学園高等部3年生で、生徒会長。S.E.E.S.を立ち上げ、自身も部長としてメンバーをまとめている。世界有数の大企業である桐条グループの社長令嬢だが、影時間には彼女の家が深く関わっているようで⋯。品行方正な優等生だが、世間知らずな面もあり、浮世離れした言動で周囲を驚かせる。
分析能力に優れたナビゲーター
やま ぎし ふう か
山岸風花
CV : 能登麻美子
月光館学園高等部2年生。穏やかで控えめだが、芯はしっかりしている。ある出来事で影時間に閉じ込められ、主人公たちに救出された。そこでペルソナ能力が覚醒し、S.E.E.S.の一員に加わる。情報収集や分析が得意で、サポート能力に優れた専用ぺルソナ・ルキアの力を使い、ナビ役として仲間を支える。
人懐っこい忠犬
コロマル CV : 高橋伸也
寮の近くにある長鳴神社の神主の愛犬で、主人を亡くしたあとも、大切な場所を守り続けていた忠犬。ある事件がきっかけでぺルソナ能力に目覚め、主人公たちに保護され、一緒に寮で生活することになった。賢く、人懐っこい性格で、自身の気持ちを翻訳してくれるアイギスと、天田とは特に仲良し。
心を持った対シャドウ特別兵器
アイギス
CV : 坂本真綾
心を持った人型兵器として生み出され、ペルソナを召喚することができる。なぜか初対面から主人公に対して強い執着を見せるが、理由は不明。仲間に加わったあとは、月光館学園に通い、主人公たちのクラスメイトになる。機械らしく実直な言動が多いが、仲間と過ごすなかで、人間らしい感情が芽生えていく。
背伸びをして大人びた振る舞いをする小学生
あま だ けん
天田 乾 CV : 緒方恵美
月光館学園初等科5年生。事故で母親を亡くしており、主人公たちが暮らす巌戸台分寮に身を寄せることになる。あるきっかけでペルソナ能力に目覚め、幼いながらも、自らの意志でS.E.E.S.に加わることを決めた。とても礼儀正しく大人びているが、特撮ヒーローが好きなど、まだまだ子供らしい面も。
S.E.E.S.の創設メンバーのひとり
あら がき しん じ ろう
荒垣真次郎
CV : 中井和哉
月光館学園高等部3年生だが、現在は休学中。美鶴、真田と共にS.E.E.S.を創設したが、2年前のある事件が原因で現在は活動に参加していない。真田とは同じ施設で育った幼馴染みで、お互いに気にかけている。無口でぶっきら��うだが根は優しく、料理が得意。また、コロマルを密かに可愛がっている。
順平は誰よりも人間臭くてとてもいい男
今作で初めて『ペルソナ3』に触れる方もいらっしゃると思います。改めて『ペルソナ3』という作品に、ご自身が感じられている魅力をお聞かせください。
独特の世界観、硬軟織り交ぜた見応えのあるストーリー、魅力的なキャラクター等あげたらキリがないですが⋯。新しい・古いではなく、ゲームとして楽しめるところが魅力ではないでしょうか。
ご自身が演じられている伊織順平の魅力や好きなところをお聞かせください。
順平はバカでお調子者でみっともなかったりだらしなかったりするのですが、誰よりも人間臭くて、成長して、決してスーパーマンではないけれど、とてもいい男だと思います⋯褒めすぎかな (笑)。
登場キャラクターの中で好きなキャラや思い入れのあるキャラがいれば教えてください。
Cast Comment 1
伊織順平役
鳥海浩輔
新しい・古いではなく、ゲームとして楽しめるところが魅力
とりうみ・こうすけ
アーツビジョン所属。主な出演作 : 『うたの☆プリンスさまっ♪』愛島セシル役、『キングダム』尾平役 ほか
順平もゆかりっちも⋯てか、出てくるキャラクターみんな良いのですよ。とても魅力的なキャラクター揃いだと思います。まぁでも、手前味噌ですが順平が1番好きです。あとチドリも。
影時間 (1日と1日の間にある、普通の人には認識できない時間) にどんなことをしてみたいですか?
影時間は経験しなくていいです (笑)。
作中のお気に入りのペルソナを教えてください。
ヘルメスかっこいい。ジャックフロストかわいい。ケルベロスかっこいい。
月光館学園の生徒になったとしたら、どんなふうに過ごしてみたいですか?
やはり真田先輩と牛丼を⋯。
最後に読者にメッセージをお願いいたします。
とても楽しく、個人的にも思い入れのある作品です。是非多くの方に楽しんでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
自分は。ペルソナ能力には目覚めなくていいです(苦笑)
今作で初めて『ヘルソナ3』に触れる方もいらっしゃると思います。改めて『ペルソナ3』という作品の印象をお聞かせください。
自分が初めて遊んだ『ペルソナ』シリーズです。自分はちょっと怖いものが苦手で、このタイトルもそういう雰囲気なんだろうなぁ。遊びたいけど大丈夫かなぁ。なんてビクビクしながらプレイしたのですが、めちゃめちゃスタイリッシュだわ、音楽はお洒落だわで、ものすごくハマりましたねえ。
ご自身が演じられている真田明彦の魅力や好きなところをお聞かせください。
結構ハードな過去を背負っている割には、あまりそれを見せないところかなぁ。
登場キャラクターの中で好きなキャラや思い入れのあるキャラがいれば教えてください。
う~ん。やっぱり荒垣 (真次郎) ですねぇ。
Cast Comment 2
真田明彦役
緑川 光
スタイリッシュで、音楽はお洒落だわで、ものすごくハマりました
みどりかわ・ひかる
青二プロダクション所属。主な出演作 : 『うたの☆プリンスさまっ♪』鳳瑛一役、『あんさんぶるスターズ!!』 天祥院英智役 ほか
影時間 (1日と1日の間にある、普通の人には認護できない時間) にどんなことをしてみたいですか?
色んな所に行って、普段と違うところを堪���したいです (笑)。
もしご自身がぺルソナ能力に目覚めたら、どんなぺルソナだと思いますか?
目覚めちゃうと、あの銃のパーン!ってやつしなきゃダメ???だったら、怖いので、目覚めなくていいです (苦笑)。
月光館学園の生徒になったとしたら、どんなふうに過ごしてみたいですか?
学生時代が、それはそれは昔過ぎてキラッキラ輝いているので (笑)、普通に友達とわちゃわちゃ遊びたいですね。普通が1番です (苦笑)。
最後に読者にメッセージをお願いいたします。
以前のものも面白かったですが、さらに面白くする自信があるからフルリメイクしたんだと思っているので、未プレイの方だけでなく、ブレイ済みの方たちも、是非、再びお手に取っていただけると幸いです。
Staff Comment
アトラス ペルソナスタジオ ディレクター
山口拓也
今のペルソナスタジオが魂を込めてお届けします
議論を重ねて丁寧に作っていく
『ペルソナ3 リロード』はどのような流れでフルリメイクが決定したのでしょうか?
『P3』のリメイク自体は元々ユーザーからの要望も多く、毎年アトラスが行っているユーザーアンケートでもリメイクしてほしいタイトルとして常に上位に上がるほどでした。ぺルソナスタジオとしてもユーザーの要望にお応えしたい気持ちはあったのですが、今までスケジュールや人員などの色々な都合で作れていなかったところに、丁度様々な都合がかみ合うタイミングが来まして、「今だ!」という感じで企画が動き始めました。
『ペルソナ3』という作品の魅力はどんなところにあるとお考えですか?
シナリオ、世界観、キャラクターなど様々な魅力があると思いますが、テーマに【死】を掲げているからこその、決して良いことばかりではない、人生の暗い部分にもフォーカスして繰り広げられる群像劇。それを通じて、自分自身はどう生きるべきなのか、限られた時をどう過ごすべきなのか、ついそんなことを考えてしまいながらプレイしてしまって、気が付くとどんどんあの世界に引き込まれていきます。そういった部分が『ペルソナ3』の魅力かと思います。
オリジナル版の発売から約18年後の今、リメイクするにあたっ���苦労された部分はありますか?
やはり何を変えるか、何を変えないかの取捨選択は非常に苦労しました。オリジナル版は今の『ペルソナ』のターニングポイントとなった伝説的なタイトルで当時のユーザーの方たちも思い入れが強いと思いますので、そういったすでに『ペルソナ3』をご存知の方とこれから新しく遊ばれる方の両方に最大限、現代の『ペルソナ3』として楽しんでもらうための取捨選択が一番苦労しました。関わったスタッフの中には過去の『ペルソナ3』タイトルをユーザーとして遊んだスタッフも多かったので、そういったスタッフとも一つひとつ議論を重ねて丁寧に作っていきました。
『ペルソナ3 リロード』ならではのアピールポイントもぜひ教えてください。
本作には様々な魅力がありますが、まずは何と言っても全面的に刷新されたグラフィックでしょうか。��ィールドやキャラクターは等身大のスケールで作られ、UIも全て新規に作り直されています。特に3Dのキャラクターモデルはとても魅力的に作られていますので、大きな画面でじっくり見ていただきたいです。あと個人的にはコロマルの可愛さがもうたまらないので、仲間になった後は是非パーティに入れて、探索に連れて行ってみてください (笑)。
UIまわりや音楽のお洒落さも話題になっています。デザイン面やサウンド面でこだわられたポイントを教えてください。
デザインやサウンド両方に共通することですが、オリジナル版を遊んでいた方にも改めて楽しんでいただけるように、オリジナル版のイメージやニュアンスを汲み取りつつも新鮮さも感じていただけるようパワーアップさせることを意識しました。例えばリーですと、単純に見た目がカッコいいだけでなくこれまでのシリーズを通して培ってきたユーザビリティを損なわないように、遊びやすさや操作の快適さにもこだわって作っています。あと、サウンドでは今作では新曲もいくつか増やしているのですが、あまり曲自体を軸にしすぎると、懐かしさといいますか『P3』らしさみたいなものが損なわれる気がしたので、今作全体の演出や表現、ゲームプレイでパワーアップしたところや変化したところを考えてオリジナルを補完するような意識で追加しました。
キャラクターたちのイベントや寮生活も充実していますが、どのような経緯で追加されたのでしょうか?
『ペルソナ3』は主要なキャラクターたちが同じ寮に住んで暮らしているのですが、今まではあまりそのシチュエーションを活かした描写が少なかったなと思ったのがきっかけです。そこからスタッフと実際に同じ学校の同級生や先輩後輩と寮に住んでいたらどんな事をしたいかとかを話し合って、一緒にテスト勉強がしたいとかDVDが観たいなどいろいろな意見を踏まえて今の形となりました。
主人公たちと敵対する「ストレガ」のエピソードも追加されていますが、注目してほしいポイントはありますか?
今まであまり描かれていなかった、ストレガの各々が影時間やペルソナ能力に拘る理由の一端が垣間思えるかと思いますので、そういった点に注目していただけたら幸いです。また主人公とタカヤが対話する場面も増えており、この追加エピソードを通じ二人の関係も少し深くなっていく部分もありますので、そういった部分も注目ポイントかと思います。
豪華声優陣も注目されていますが、ボイス収録の際に印象に残っているエピソードなどがあればぜひお教えください。
『ペルソナ3』は割とシリアスな場面が多めのストーリーではあるのですが、そういった場面での鬼気迫る演技は、本当に収録に立ち会いながらスタジオで思わず目頭が熱くなるような凄まじい演技をしてくださり、改めて声優さんの凄さといいますか魂を吹き込むというのは比喩でもなんでもなく本当に吹き込んでいるのだなと感じたことが印象に残っていますね。これは本当に是非ゲームをプレイして体感していただきたいです。勿論何気ない日常の一コマもとても楽しく活き活きとした等身大の彼らが見られますので、そういった部分も存分に楽しんでいただければと思います。あとは、新たにキャスティングさせていただいたコミュキャラクターの声優さん方も本当に錚々たる方々に演じていただけたのはありがたかったです。勿論どのキャラクターも魅力を十二分に引き出していただきましたので、そのあたりも注目していただければと思います。
今作で初めてゲームをプレイされる方もいらっしゃると思います。プレイのコツやアドバイスなどがあれば教えてください。
『ペルソナ3 リロード』はカレンダーシステムという何か行動するたびにゲーム内の日付が進むシステムを採用していまして、ゲーム内で日々を無為に過ごし続けると月日がどんどん経過していき、気が付くと何も準備ができていないまま強敵と対峙する⋯なんてこともあります。なので、勉強やアルバイトなどの自分磨きや仲間や友人との交流は勿論、ダンジョン探索やぺルソナの合体等、様々な要素をまんべんなく進めていただいて、忙しくも充実した日々を送っていただくのがプレイするコツかなと思います。あとは難易度設定も用意してあり、ゲーム中にいつでも変更可能ですので、バトルが難しいと感じた方は遊びやすい難易度を選んでいただけたらなと思います。一番優しい難易度では絶対にクリアできるようになっていますので、ストーリーは気になるけどゲームは苦手という方も安心して遊んでいただけると思います。
最後に読者へメッセージをお願いいたします。
今の『ペルソナ』シリーズのターニングポイントにもなった『ペルソナ3』が装いも新たにフルリメイクされて『ぺルソナ3 リロード』として発売中です!“『ぺルソナ3』のリメイク”となっていますが他の『ペルソナ』タイトルを遊んでいなくても、オリジナル版を遊んでなくても全く問題なく楽しめる内容となっています。今のペルソナスタジオが魂込めてお届けする『ペルソナ3 リロード』。少しでも気になったらお手に取っていただけますと幸いです。
Keyword 1
『ペルソナ』シリーズとは
『ペルソナ』は、不思議なペルソナ能力に目覚めた少年少女たちの物語を描く、アトラスの大人気RPGシリーズ。各作品でストーリーは独立しているが、ペルソナを生み出すベルベットルームの存在など、世界観は共通している。『P3』はグラフィックやシステムなどを刷新し、新たな『ペルソナ』像をファンに打ち出した記念すべき作品だ。
↑ベルベットルームの主・イゴールは、シリーズに欠かせないおなじみの人物。
Keyword 2
スタイリッシュなUI
UI (プレイヤーが触れるメニュ―などのシステム) やキャラクターの2Dイラストがブラッシュアップされ、美しくより遊びやすいものになっているのも本作の特徴だ。
→バトルのメニューも操作性アップ!
Keyword 3
仲間たちとの寮生活
S.E.E.S.のメンバーは、全員同じ寮で生活している。本作では寮内で一緒に料理をしたり、試験勉強をしたり、仲間たちと一緒に過ごせる要素がたっぷり追加された!
↑一緒に過ごす時間が増え、仲間たちとの距離がオリジナル版より近い印象に!
Keyword 4
敵対する存在 “ストレガ”
影時間を利用して、他人の復讐の代行をするグループ“ストレガ”。彼らもペルソナ能力を持っており、影時間に対する考え方の違いから、主人公たちと対立する。彼らのイベントが追加され、想いや目的が明らかに。
↑ “ストレガ”が影時間やペルソナ能力に執着する理由とは⋯?
タカヤ
CV : 神奈延年
“ストレガ”のリーダー。独特な風貌と言動の持ち主だが、高いカリスマ性から、心酔する者も多い。影時間を特別な領域と考えており、影時間を消すために活動しているS.E.E.S.の前に、何度も立ちふさがることになる。
ジン
CV : 小野坂昌也
関西弁を話す少年で、戦闘では特製の手榴弾を使用する。頭脳明晰で、情報収集を得意とし、復讐代行サイトの運営を担当。過去の出来事からタカヤのことを強く信奉しており、彼につき従って行動している。
チドリ
CV : 沢城みゆき
絵を描くことを好む、白いドレスが印象的な少女。あまり感情を表に出すことがなく、他者に対して関心がない。ひょんなことから順平と出会い、交流するように。そのなかで、彼女の心に大きな変化が生まれていく。
#persona 3#persona 3 reload#p3#i got this when it released sorry for being so late#scanning it would ruin the spine but its too big anyway
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夜明け
(BK・敵対期)*fanficというより妄想考察(最後に注釈)
その計画はあまりに無謀だったので、思いついた瞬間笑いと戦慄が腹の底から湧き出して彼の体を震わせた。勝率は限りなくゼロに近いが、斑目貘はギャンブラーなのでためらうことはなかった。恐怖が無かったわけではない。むしろ敗北は常にすぐ背後で待ち構えて彼を脅かした。それでも彼は前に進み続けた。ただ、手に入れたいものがあったのだ。
ゲームの最中はいい。脳が痺れて余計なことは考えずにいられる。仲間達ができてからはふざけて笑い合うことも出来た。いつ落ちるかかわからない綱渡りの綱の上で、彼らの存在は命綱になった。だが、ひとりになればいつも思考の海に沈んだ。自分の進んでいる道は正しいのか。今はまだうまくいっているが、次の一歩は踏み外すかもしれない。ひとつのミスも取り返しのつかない結末になる。 (結末?) 貘は自分に問う。何を怖気づいているのか。結末はもう決まっている。最後は誰もが全てを失う。だから恐れることはない。その瞬間まで勝ち続ければいい。
貘はホテルの部屋でテレビを観ていた。左目の痛みはほとんど無くなっていたものの片方だけの視界はまだ慣れない。帝国タワーで左目に針金が刺さった瞬間のことを繰り返し思い出す。強烈な痛みと同時に大きな安堵を感じた。まるで望んでいたものが与えられたような。いや、実際それが本心だ。その瞬間まで計画はうまくいっていた。すべてうまくいきすぎていた。だからこそ自分自身の体でこの計画の痛みを感じたかったのだ。
おつかいから戻って来たマルコの声で貘は思案から浮上した。貘はテーブルに置かれたかり梅の箱の上DVDを取り、パッケージのフィルムを剥がしてディスクを再生する。初めて観たのは10年以上前の20世紀で彼はまだ若かったが、壮大な音楽と美しい画面と見たことのない未来のイメージに少年の脳に強く焼きついた。難解なストーリーについて彼なりに考察もしたが誰にも話したことはなかった。かつて一度だけ自分の考えを話したい相手がいたが、映画について語り合う前にふたりの短いランデブーは11月の雷雨の夜に途切れた。
重低音のうなりから高らかにトランペットが現れ、有名な旋律を奏でる。交響曲「ツァラトゥストラかく語りき」のオープニング『日の出』は、10年のあいだ山にこもり孤独に過ごしていたツァラトゥストラが朝日を見て神が死んだことを悟った場面だ。貘は窓辺に進んで夜明け前の都心の街並みを見下ろす。感傷的な気分になりそうだったので、マルコにもうひとりの仲間について訊ねると、彼は梶が500億の件で動いていることを自らの言葉で伝えて来た。 「あの頃に時間を巻き戻したいよ!!」 「大丈夫だよ。マルコなら戻れるさ」 (……それ、本気で思っているの?) 貘の頭の中で幽霊の声が囁く。 (相変わらず皮肉屋だね) “あの日”から貘に取り憑いたこの幽霊はいつも正論を言う。あまりに忠実に再現された“彼”の姿は貘を少し淋しい気持ちにさせる。 ビル群から太陽がゆっくりとのぼり始める。 「大丈夫…」 やれることはやった。絨毯は広げた。あとは回収するだけだ。必ず手に入れる。
*
どうかんがえても原作がニーチェまでつながるとは考えにくいんだけど、2001年宇宙の旅→オープニング曲→「ツァラトゥストラはかく語りき」(リヒャルト・シュトラウス)にたどりついてしまった。
以下「2001年宇宙の旅」ネタバレ
でも実際、
①太陽が昇る場面(第280話・26巻128ページ)
②胎児に戻る場面(第520話・48巻61ページ)
③胎児からホテルの部屋(第520話・48巻62-65ページ)
は「2001年宇宙の旅」を踏まえていると思うので、まったくのこじつけとも限らないのが嘘喰いの恐ろしいところ。まかれたタネを集めては勝手に幻覚を見続けている…
参考:wikiツァラトゥストラはこう語った
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声や動きを忠実に再現!本物そっくりの子犬ロボットが、認知症の人々の心に寄り添う
著者D・パルモ 公開:2025-02-05・更新:2025-02-05
本物の犬に代わってメンタル面をサポート。認知症の人々を支えるために���生した愛らしいロボットの子犬が脚光を浴びている。
認知症や軽度認知障害やメンタルヘルスの課題を抱える人々のために開発されたロボット犬「ジェニー」は、ラブラドールレトリバーの子犬を忠実に再現しており、声や動きも本物そっくり。
広告の下に記事が続いています
見ためはもちろん、触覚センサー搭載で撫でてくれた人に反応を返すなど、リアルな子犬そっくりのさまざまな機能を備えている。
認知症のメンタルヘルスを支援する子犬ロボット 2025年1月、カリフォルニア州サンタクラリタに拠点を置く企業 Tombot (トムボット)が、ラスベガスで開催されたテクノロジー見本市CES 2025で、メンタルヘルス支援のために開発した「ジェニー」を発表した。
この画像を大きなサイズで見る image credit:Tombot 見ためも子犬そのもので愛くるしいジェニーは、認知症や、その前段階の軽度認知障害を患う高齢者、メンタルヘルスの課題を抱える子供や大人向けに開発された子犬タイプのロボットだ。
Robot dog meant to comfort dementia patients turns heads at CES | REUTERS ラブラドールレトリバーの子犬を忠実に再現 TombotのCEOであるトム・スティーブンス氏によると、ジェニーのモデルは、8〜10週齢のラブラドールレトリバー。設計の際にはその姿形や声までも忠実に再現することにこだわったそう。
この画像を大きなサイズで見る 実際、ジェニーはとてもリアルだ。鳴き声は本物の犬の声の録音を使用しており、口も開けるしまばたきもする。頭や首も動き、しっぽまで振る。
この画像を大きなサイズで見る さらにジェニーは触覚センサーも搭載。人の触りかたによって反応まで変わるんだそうだ。
広告の下に記事が続いています
開発の背景にCEOの実体験 ジェニー開発のきっかけとなったのは、アルツハイマー型認知症の母親をもつ、スティーブンス氏の実体験からだ。
この病の診断を受けた母親のナンシーさんは、安全上の理由から、愛犬の飼育を禁じられ、息子のスティーブン氏が、仲睦まじい彼女と犬とを引き離す役目を負うはめになった。
その時の怒りが、スティーブン氏をジェニーの開発へと駆り立てた。現実には彼の母親のように、高齢や病気が原因で本物の犬を飼えない人たちがたくさんいることに気づき、ロボット犬のプロジェクトを立ち上げたという。
この画像を大きなサイズで見る アルツハイマー病と診断された母は、安全のために愛犬を手放さなければならなくなった。本物の犬の代わりも探しましたが、母が気に入るものは一つもなかった。それで市場にこうしたニーズに応じるものが全くないことに気づきました (スティーブン氏)
PTSDやうつ病、自閉症を抱える人にも そこから生まれたジェニーの評判はとても良く、Tombot 共同創設者のハンク・ショルツ氏が、ロサンゼルス市内の認知症患者700人以上を対象にしたジェニーの試験結果も非常に好評だった。
この画像を大きなサイズで見る 現在、ジェニーは認知症や軽度認知障害を持つ高齢者だけでなく、PTSDやうつ病、自閉症などのメンタルヘルスの問題を抱える人にも役立つと期待が寄せられてるそう。
アメリカ国内で販売。価格は23万円 ジェニーの仕様・スペックはこんな感じ。気になる価格は23万円ほどだそう。
製品名: ジェニー(Jennie) 好みの名前に変えられる デザイン: 8〜10週齢のラブラドールレトリバーの子犬 動作: 口や目の開閉、頭や首が動き、しっぽも振る 音声: 本物のラブラドールレトリバーの子犬の鳴き声を録音した音声(普通に吠える、甘える、うなる、いびきをかくなどいろいろな声が出せる) センサー: 触覚センサー(触れ方によって反応が変化) 音声コマンド: 名前を呼ぶと反応し、音声コマンドに従う アプリ連携: スマホアプリで名前の変更や設定などのカスタマイズが可能 バッテリー: 充電式バッテリー(夜間充電で日中使える) メンテナンス: 湿らせた布と中性洗剤で簡単に拭いてきれいにできる 価格:1,500ドル(約23万円)
REG CF 2024 Campaign Video 現時点(2025年1月24日)でジェニーの販売はアメリカ国内のみらしく、日本での販売についてはちょっとわからない。日本語対応バージョンもそのうちできるかも?気になる人はTombot 公式サイトをチェックだ。
References: Upi.com / Tombot
本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに独自の視点で情報を再整理・編集しています。
(声や動きを忠実に再現!本物そっくりの子犬ロボットが、認知症の人々の心に寄り添う | カラパイアから)
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事件当日の36期たち
スチルです。これからみなさんの事件当日の出来事について紹介します。今日が最高の日になるように、頑張ってください。
うみつき
あなたは人を殺した。それも1人ではない。大勢の人を殺した。殺した理由は不本意だったのかもしれないし、やるしかないと思ったからかもしれない。木の下に隠したそれらは見つかることはなかった。高校の頃の友達と会う日があった。場所は通っていた学校の裏。他愛もない会話を楽しんでるうちに事態は仕方なくなってしまった。増えた死体は体育倉庫に隠した。きっと今日の事件のせいで、あなたも何かしら聞かれることがあるだろう。もしあなたのことを知ってしまった人がいたなら、そいつも隠さないといけない。あの木の下には座長が眠っている。今日さえ隠し通せれば、それで終わる。
東愛莉
事件が起こる前の日、あなたは店の締め作業を行なっていた。こんな田舎では街灯も少なく、これから1人で帰るのが億劫だと思っていた時にそれを見つけた。人が倒れていた。ナイフか何かで刺されたのだろうか、血溜まりの中に女性はいた。とっさに駆け寄るが、なぜか女性は消えていた。常連客の声がしたと思った時、あなたはコンビニにいた。目の前には常連客と和服の男がいた。あの和服の男を引き止めなければ。今日を逃せば、なにかが終わる。
月銀蓮
あなたは毎日幕の調整を行っていた。任せられた大きな仕事。ないがしろにするわけにはいかない。やり遂げる責務がある。毎日のそのおかげか、異常は何も起こらなかった。事件当日、幕が落ちた。自分の仕事が甘かったのだろうか?誰かが故意に故意に落としたのだろうか?何か細工がなされていたのだろうか?そうだとしたら、一体誰が?過程がどうであれ、結果は最悪だ。何があったか突き止めないと。今日、全てが片付けられてしまう。
オーム
バックドラフト現象というの��ある。可燃性の一酸化炭素ガスが密閉性の高い部屋に溜まっている状態で、勢いよくドアや窓を開けることによって酸素が急速に取り込まれると発生する。一酸化炭素は酸素と反応して二酸化炭素へと変わり、爆発が起こる。あなたはこの現象が簡単に起こることを知っていた。この現象を知っている人は少ないだろう。あなたがやったと疑う人は少ないはず。そういえば34期にはこれに詳しい人間が何人かいたはずだ。今日さえ終われば、あなたの勝ちだ。
雨々単元気
人生において最も大事なことは芯を持つことだ。大学生になるまで、あなたは厳しい環境に置かれ続けた。仲間と助け合い励まし合い磨き合い、時には仲間に裏切られることもあったがそれでもあなたは友人たちと夢のために進み続けた。結果だけを追い求めるのではなく、真実に向かい続ける意志が大事だと信じ続けてきた。今日こそ、向かうべき日だ。この事件の真実を突き止められるのはあなただけ。今日それが出来なければ、意志は継がれないかもしれない。
きなこ
いつも同じ夢をみる。その夢ではいつもパンを作ていた。暗い部屋でパンにシロップをかけている夢だ。あたかも腐っていそうなパンを作る。その夢を見なかった日は、いつも嫌なことが起こる。パンのおかげで嫌なことが起こらなかったとさえ思ってしまう。事件前日、夢を見なかった。今日は夢を見た。ならばきっと事が起きたのは昨日。今日、すべてが解決するはずだ。
大良ルナ
自分が誰なのかわからなくなる。ゾンビになった夢を見た。肉が剥がれ落ちる。目が充血する。食べ物が喉を通らない。ニュースを見た時、そのニュースキャスターも私だった。頭の中に自分じゃない声が響くこともある。仕込みの夢を見た。釘を打つ。クランプで止める。インパクトを打つ。私は舞台班なはずなのに、向こうで私がスピーカーを括り付けているのが見えた。私が誰なのか、今日わかる気がする。
紫苑
事件が起きたらしい。そんなことより、オペの脚本がない。どこに置いてきたのだろうか。オペ席だろうか。電車の中だろうか。それとも箱?心当たりのある場所が多すぎる。セールスとして行った時にパンフレットと間違えたかもしれない。脚本がないのはまずい。急がなければ。今日は最後だ。今日で終わるとしても、ないのはまずい。
張潤玲
マーダーミステリーというのがあるらしい。それぞれに台本が渡される。台本にはそれぞれの事件当日の出来事が書いてあり、これからの方針が示されている。きっと他のみんなにも渡されているのだろう。前回の私は大勝した。全てを騙し切った。きっと今日も騙し切れる。全ての真相を伝えるのはリポーターの私だ。今あそこにいなくても、きっと今日私が勝つ。
はぜちかきつ
あなたは朝よりは夜がいいと考える。夜は人も少なく、あなたのことを見ている人も少ない。ならば、事件当日のあなたを見ている人は少ないだろう。1人にバックドラフト現象の知識を与えただけで、すべて思った通りに動いてくれた。全て台本通りに進んできた。今日、その台本が正しかったことが証明される。
箏
目が覚めると弥生時代にいた。なぜそこが弥生時代だとわかったか、それはあなたには前世の記憶があるからだ。あなたは前世で同級生に殺された。校舎の裏で殺され、死体は体育倉庫に入れられた。あなたは復讐を誓った。弥生時代に転生させられたからといって、諦める理由にはならない。弥生時代を統一し、タイムマシンを作り上げ、再びこの現代にたどり着いた。今年は2024年。今日、終わらせよう。いつまでこの奇跡が続くかはわからない。
暁レミエル
あなたは今日何時に帰ったかは覚えていない。そもそも昨日だろうか。曖昧だが、家に帰ったことは覚えている。あなたは野原で1人で踊る夢をよくみる。獣の声が聞こえる気がするが、気のせいのはずだ。あなたはなぜか、その夢を誰かに伝えないといけないという意識にとらわれる。その夢を継がないといけない気がする。今日なら継げるかもしれない。
錫蘭リーフ
落ち着いて聞いてほしい。あなたにとってこの情報は衝撃的なものかもしれない。あなたは弥生時代から来た。自分が弥生人だとバレてはきっと周りの人間にも危害が加わる。あなたは正体を隠すためにとっさに「錫蘭リーフ」と名乗りこの劇団に転がり込んだ。あなたには主がいる。弥生時代から使えてきた、心の主が。誰が主かはわからない。この劇団にいるかもわからない。でももし今日去る人の中に主がいたら、きっと後悔するだろう。今日、その忠誠を確認するのだ。
埖麦
あなたの最近の記憶は少し変だ。明瞭としているのは母校の裏で同窓会をしたあたりまで。気がつけば高校の頃の制服を身に纏っていた。タイムスリップか何かが起こったのだろうか。いまだにあの時何が起こったかはわからない。だがきっとどこかに手がかりがあるはず。あの時一緒にいたはずのもう1人の同級生も探さなくては。今日何かが出来なければ、終わってしまうのかもしれない。
叶イブ
かつて戦い、意見をぶつけた相手の様子がどこかおかしいような気がする。記憶がないのだろうか、たまに話しが噛み合わない。一人称もどこか変だ。確認しなくてはならない。そして、もう1人、また先輩になった人がまた先輩じゃなくなる。確認しなくては。今日はそれにうってつけの日だ。
響夜
何か大切なことを忘れている気がする。なにを忘れているか、検討がつかない。事件当日に何が起こったかを確認しようと思いTwitterをみたが、結果は変わらなかった。きっととても大事なことだろう。と思っていたら、そもそも今日は事件当日ではなかった。確かこれはこの前の夏の出来事だったはずだ。あなたは一体何を考えていたのだろうか。今日は忘れないようにしなければ。
森々仙人
昨日の夜は長かった。見てはいけないものを見てしまったと、そう思った時にはこの全てが終わっていた。早くこの場を去らなくては、そう思ったと同時にそれがかつての仲間だと気付いた。あなたは誰がこの事件の犯人か知っている。告発するかはあなたの自由だ。その仲間の姿が、過去の自分に見えるからこそ、笑いのためにお互いに磨いたある日があるからこそ、今日はその決断をする日だ。
白
ともに同じ夢を追いかけた仲間の様子が少し変だ。消灯時間のはずなのに、どこかに出かけているようだ。しかし、今日はそんなことに構っている暇はない。少し見ない間にどこか薄くなってしまった昔の人と、少しだけ会う日だ。盆ではないが、一つの境目。夜が長く続けば、会える時間も長くなるはず。今日こそはゆっくりしておきたい。
またね。
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202408大塚国際美術館と直島
ずっと行きたいと思い続けていた大塚国際美術館と直島に行った。特に直島は、ひとり旅だと結構お金もかかるし、かといってアート系に興味ない人と行く場所でもなく、、、しかし今年は友達が一緒に旅をしてくれたので、念願が叶いました。ありがとう。豊島美術館の時間が取れなかったので、ここはいつかリベンジしたいです。
大塚国際美術館、あまりにも広大。1日いても足りないくらいだった。ルーヴルやナショナルギャラリー、コートルードには過去行っているので、本物を見ているものも一部ある。日本の美術館の企画展で、貴婦人と一角獣なども見たし。全て陶器に絵付けし、サイズも原画に忠実で、圧巻。もちろん、それまで見たオリジナルと比べると魅力は劣るものの、ここはそういう目的の場所ではない。本物を見に、バチカンに、ギリシャに、イタリアに、フランスに、あらゆる国に全て回れるか?あちこちにあるゴッホのひまわりを同じ場所に集めて見比べられるか?あらゆる受胎告知を一気見できるか?修復前と修復後のレオナルドの最後の晩餐を向かい合わせで鑑賞することができるか?壺絵を平面にして見ることができるか?古代から近現代まで、一気に駆け抜けることができるか?可能性の実験、追及がここでできる。記録として残しておける。ここで気になったものがあれば、本物を見に行けばいい。きっかけになる。まずはここにきてみればいい。すごいところだった。細部を近くでじっと見ることも、通常なら難しいし。観察のしがいがある。ただやはり、システィーナ礼拝堂など、宗教的なものはそこに信仰があるからこその厚みがあるので、素晴らしくはあるものの、信仰抜きの展示は虚しいなとは感じたし、スペインでゲルニカを見た時の本物のエネルギーの圧と比べると、ややあっさりしすぎな感じもあったり、しかしこれはわたしの感情であり、いかに感情でものを見ているかという表出でもあるなとも思う。




直島、晴れた夏の青、海と空、ロケーションの贅沢。初めて、安藤忠雄の建築に感動した。こういうのだけ作っていればいいのに!(暴論)地中美術館のモネの展示もモネで初めて感動した。靴を脱いで、大きな白い部屋に入る。地下なのに柔らかい自然の光だけで目の前に大きな睡蓮の絵がある。(部屋自体には計5点)こんなに美しい睡蓮に出会ったことがない。時間と光の移り変わりの睡蓮を、時間と光の移り変わりのために見るための部屋。正直、そこまでモネが好きなわけではないので、パリに行った時も他との兼ね合いでオランジュリー美術館をスキップしてしまったのだけど、今になって後悔している。ウォルター・デ・マリアのタイム/タイムレス/ノー・タイム、ここの美術館で1番好き。圧倒される。神殿のような静かな空気を壊しては行けないようで、ここだけ時が止まっているみたい。階段を登ると音が響く。時が移れば光の加減が変わって、また違う表情を見せるのだろう。だから時間の概念がないわけではないし、時は止まってはいないのだけど、この空間から外だけの時間であり、ここは時間がなくて、それを永遠というのかもしれない。永遠は長いのではなくて、ある種の無である状態かもしれない。ウォルターは確か作品についてはあまり言及しない人だった気がする。美術館ではない屋外の展示は写真が撮れる。直島の景色を花崗岩の球体に移して、石は何を我々に見せているのだろう。(見えて/見えず 知って/知れず)


タレルの光の展示は好きだし、直島のオープンスカイは直島の空の良さがあるけど、他2人に比べるとここのロケーションを活かせるかといえば、まぁまぁになってしまうのが少し残念。
李禹煥の本領は美術館ではない。国立新美術館の展示に行ったけれど、もの派の本領は美術館では語れない気がした。いや李禹煥「美術館」なんですが、スケールが違う。作品を語らせるためにある場所なのがすごかった。


全て上げているとキリがない。ベネッセのミュージアムは夜中まで。ブルースナウマン100生きて死ねを暗い中で静かに鑑賞している。深夜映画を観ているみたい。〇〇(行動や感情)AND DIE,LIVEのワードのネオンがひとつずつ不規則に光り、最後は全て光る。暴力的で乱暴な気もするし、ワードの組み合わせがめちゃくちゃで元気が出る気もするし、全てがネオンで品はあまりなくて、死も生も、期待もないし失望するほどでもなく、そういうものかなという気もする。






ヴァレーギャラリー、草間彌生のナルシスの庭、自分の写り込みはどうでもよくなって、どうしても球の集合体が卵に見えて、再生をイメージする。でもそこに映るのが自分なら、自分の再生産なのかも、アタシ、再生産(いや舞台少女じゃないですけど、まぁシェイクスピアも、この世は舞台、人はみな役者と言っているし)





杉本博司も何年か前の美術館展で杉本博司展示があって行ったわけですが、妙な陳腐さがあったのですが、これも時間というものを詰め込んではいけないのだと思った次第。昼の時の回廊、夜の時の回廊、時間とは本来、贅沢でゆとりのあるものだと身に沁みた。




直島でずっとお金と芸術についてぼんやり考えていた。結局、こういうものを楽しむには金と時間が必要だ。感動と共に、金と時間がすべてなのでは?という虚しさが脳裏にはずっとあった。何もかも素晴らしい。けれど、所詮は持てるものの楽しみでしかないものなのでは。




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北村道子が語る、映画スタイリングという仕事。 好きなデザイナーの洋服を力に変える
25 May 2024
忘れられないシーンや胸を打つ映像の裏側には、必ずスタイリストがいる。もしくは、物語に没入してキャラクターの服装を覚えていない一本にも。気になる5名に聞く、コーディネートの枠を超えたどこまでも深い仕事術。連載 #映画スタイリングという仕事 より。
好きなデザイナーの 洋服を力に変える
森田芳光監督『それから』(85)、『キッチン』(89)、塚本晋也監督『双生児 GEMINI』(99)、黒沢清監督『アカルイミライ』(03)、犬童一心監督『メゾン・ド・ヒミコ』(05)など、日本映画史に残る名作およそ20本の衣裳は、北村さんの手によるものだ。
「私にとって映画は命。ファッションはすべて映画から学びました。誰かのアシスタントについたこともないし、畑が全然違うから、映画の力が100%なんです。だからドキュメンタリーに近いものは一切観ません。ちゃんとストーリーに即した衣裳デザイナーが洋服を作っていることが条件なんです」
初めて参加したのは、前述の『それから』。主演の松田優作に請われたからだが、この作品でポジティブもネガティブもさまざまな経験をする。
「松田さんが着ているのは、すベて〈コム デ ギャルソン〉。買い取って、ボタンを付け替えリメイクして。ブランドのPRがとても協力してくれて、いろいろな店舗から服を集めてくれたんです。その度に300万ぐらい自腹で払っていたので、『なぜそこまでやるの?』と聞かれたこともありました。それは〈コム デ ギャルソン〉があるからできたこと。映画をやっていると、好きなデザイナーの服をどこかで使いたくなる。それが力になっていく。デザインの力です。白いところに群青色が染まっていくみたいに伝播する。他の作品では〈マルタン マルジェラ〉(当時。現在は〈メゾン マルジェラ〉)を全部買って入れています。やっぱり好きなブランドがあると頑張れるんですよ。映画の予算は本当に少ないので、30歳からは広告仕事をめちゃくちゃやって、その稼ぎを回していました。映画���金として、口座を分けていたほど」
服だけでなく、松田演じる高等遊民・代助の自宅の調度品や内装にも積極的に意見を出している。
「美術の今村力さんの一声で、私もタッチすることに。百合を生けるガラスの花瓶は湾曲している方がいいなど、台詞とリンクする案を考え、形にしていきました。だから、私の脚本真っ黒でしたもん。メモ書きや布を貼ったりするから。ここからここまで衣裳がいくつ必要か絵にしないとイメージがわかないので、風景画から全部描いていく。それを見た監督から『僕にくれない?』ってよく訊かれました。一般的に監督は誰も絵にしないんですが、綿密なコンテを描いていた黒澤明さんみたいなことを、私はやっていましたね。
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『それから』(85) 衣裳として参加した初の映画。劇中に登場する百合の花をいかに効果的に見せるかを考え、終盤の重要なシーンでは、花だけをカットし、平たい花瓶に生けるというアイデアを。
実は、仕事を受けるにあたり、黒澤明監督などの撮影で知られる宮川一夫さんに会いに京都へ行きました。そうしたら、『羅生門』(50)では、椿の葉と、藪の中のポイントに光が来るように、砕いたミラーを葉っぱに埋め込んだっていうんです。揺れるとキラキラするじゃないですか。『全部がリアルだったら、観客は飽きてしまう。現実と虚構を混ぜないと駄目だ』と言われましたね。その話をうかがって、ものすごく腑に落ちた。以降、フェイクより前に、リアルとは何かと、禅問答の繰り返しです。朝一番で鎌倉まで行き、どうやって葉っぱが揺れるのかをずっと観察したこともあります。映画は現象学のひとつなんですよ。フッサールの哲学。そこに水があったり、風があったり。そういうことを全部捉えてないと監督はできない。小津(安二郎)さんや黒澤さんは理解していましたよね」
ところが、大手映画会社の衣装部は、スタイリストとして加わった北村さんに非協力的だった。現場では名前も呼ばれない。すべて一人で準備しなくてはならず、無休で働いた。〈コム デ ギャルソン〉や〈ジュンメン〉のショップスタッフが厚意で知人を紹介してくれて、1カ月後には撮影を手伝うアシスタントが集結。ようやく50日目にして休むことができた。それも束の間、帽子デザイナーの平田暁夫にシルクハットの制作を依頼し、エキストラが多数出演した園遊会のシーンを撮影したが、終了後に心無いスタッフから錆びをつけられるという、陰湿な嫌がらせもあった。
「それで、もう二度と映画なんてやるもんか!と思ったの。この人たちは本当に映画を愛していない。本当に好きだったらそんなことやらないでしょう?」
ただひとり、北村さんの仕事ぶりを深く理解していたのは、森田監督だった。エンドクレジットで「衣裳コーディネイション 北村道子」と表示。公開当時は妬みに起因するバッシングもあったが、その後『キッチン』でもタッグを組み、高い評価を得る。先日再会した人物と、偶然それらの作品の話になったという。
「久しぶりに是枝(裕和)さんにお会いしたんです。90年代に、彼がその頃所属していたテレビマンユニオンから頼まれて、デビュー作『幻の光』(95)をスタイリングしたのですが、なぜかプロデューサーから出禁となり、是枝さんとも35年近くわだかまりがあって。よくよく聞くと、彼も絶縁状を送られた側みたいで。当時、若き是枝さんをカンヌに行かせようと、助監督や美術の数名が奔走していたのですが、ふと映画ポスターのアートディレクターは決まっていますか?と聞いたら、そんな余裕ありませんって。じゃあ、私が手配すると請け負い、その場でサンアドに電話し、AD葛西薫と写真家・藤井保を押さえたんですよね。

『幻の光』(95)北村さんが撮影当日に急遽セットアップした、主演・江角マキコ、AD・葛西薫、写真・藤井保という豪華な座組みのキーヴィジュアル。夜明けのようなモノクロームが印象に残る。 DVD ¥4,180 発売・販売元_バンダイナムコフィルムワークス ©TV MAN UNION, Inc.
最後の映画衣装となった三池崇史監督の『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』(07)から20年近く経つ。再びこの業界に戻ることはないのだろうか。
「『スキヤキ〜』は猛禽類をモチーフに、黒、白、赤のコートやジャケットをエイジング込みで制作しました。またやるかと言われたら、全然その気はない。あれは若さってやつですよ、30歳から40歳ぐらいのね。それと、なんとか映画デビューしたい若い俳優がいたからできたのもあると思います。浅野忠信くん、伊勢谷友介くん、安藤政信くん、菊地凛子さん。当時の日本映画になかったファッションぽい洋服を私が持ち込んだから、若者はうれしかったんじゃないですかね。
今はなんでもデジタルだけど、人間はやっぱり努力して何もないところから作り出すものに感動する生き物なんですよ。そのときは辛いけれど、あとから考えるととても楽しかった。だからそれが人間なんだって思いますよね。集中すると、とんでもないエネルギーが出てくるんですよ。なんであんなことができたの?と自分でも不思議です。それも全員でひとつのところに向かうパワーは何よりも強い。
映画に関して言うと、『一瞬で集まって、一瞬で別れる』のが私のセオリー。一緒に山登りしようっていうやつらが集まるわけじゃない?撮影後の散るときもすごいけどね、『終わり!』って。映画なんてもう二度と嫌だっていうところまで来て終わるのがいいんじゃないですか。だから、99・8%くらいまではやろうという感じ。いま振り返ると、スタイリングを見てくれた人もたくさんいるし、著書『衣裳術』の版元であるリトル・モアの孫(家邦)さんをはじめサポートしてくれる方とも出会えたし、帳尻は合っていますよ」


『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』(07) 重要な役を演じる伊勢谷友介と安藤政信は北村さんがキャスティング。「提案したら三池さんがOKしてくれて。名無しの権兵衛に服を作るよりも、二人をイメージした方がいい」。伊勢谷着用のコートには圧巻の刺繡が。

『殺し屋1』(01) 山本英夫の漫画作品を三池崇史監督が映画化。垣原役の浅野は、光沢を映すため全編を通して生地から作ったシルクを着用。写真のシーンは、スパンコールとシースルーという繊細な1枚。©Mary Evans/amanaimages
🗣️
北村道子
きたむら・みちこ>> 石川県生まれ。シネフィルとしても知られ、現在の注目はアイルランドのマーティン・マクドナー。ジュスティーヌ・トリエやグレタ・ガーウィグなど女性監督も評価。「最近観た映画ではソフィア・コッポラ監督『プリシラ』の衣裳はブランド使いが上手だなと思いました」
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俺はもともと大型筐体ゲーマー(いわゆる専用筐体のゲームをメインにプレイ)なので、「当時の完全な再現プレイ」というのは早い時期からほぼ諦めていましたし、テーブル/アップライト筐体にしても個人的に手になじんでいたシグマ筐体のボタンなんていまさら入手しようがないのでね…
でも、見城さんの言うことは凄くよくわかる。基本的に業務用ゲームってのは筐体と自分が一体化したときにすごくかみ合って最高のプレイができるんですよ。だから今俺がmaimaiを遊ぶにしても、筐体とのフィーリングが物凄く大事だったりします。先日ホームのゲーセンのmaimaiのパネルの触り心地が変だなと思ったらASSY交換してたなんてこともありましたし
業務用ゲームのコンディションは自分ではどうにもならないところがあるので、新規に出かけるゲームセンターで最初のクレジットを投入すると、「この筐体とは仲良くできるかな」と1プレイ目は割と様子を見たりするのよね
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久しぶりのひとり旅は網走へ。
昨年秋に、運良く北海道の往復航空券を当て、札幌に住む幼馴染に会いにいくプランに加えて、こういうチャンスがないと行かなさそうな場所を探した結果、最果ての網走にしてみた。
札幌駅から1日2本しか出ていないオホーツク号に乗り5時間以上。途中停車する駅には雪が降り積もり、人はおらず、このままどこに行ってしまうのか……と不安になる。孤独な旅では、家から持参した本と、セイコーマートで買ったとよとみの飲むヨーグルトだけが支え。(この旅で1番気に入った)
ようやく網走に到着したのは23時過ぎで、もちろんほとんど人はいないし暗い。駅名の「あばしり」の縦書きひらがな表記が余計に恐怖心を煽る。
ちなみに表記が縦書きなのは、刑務所から出所した人がまっすぐ歩んでいってほしいという想いかららしい。なるほど。
駅を出てホテルまで徒歩10分ほどなはずなのに、人も車も街灯もなく、整備されていない雪道と大荷物、寒さでど���どん減っていくスマホの充電という不安コンボすぎて、人生でトップに入る不安を味わった。もうどこにでもひとりで行けると思う。
次の日は流氷クルーズに乗る予定が、流氷エリアに行けないとのことで普通のクルーズに。残念だけどまた網走に来る理由ができたということで解決した。船に乗って海を進んでいくのは本当に気持ちがいい。
船から降りて、道の駅名物の網走ちゃんぽんを食べる。これが寒さで冷え切った体に沁み渡り、あっという間に完食。魚介とちょっと濃いめの味付けのスープはいくらでも飲めてしまいそうだった。もう一回食べるにはハードルが高いけど、思い出すだけでお腹が鳴る。
そして今回の旅のメイン、網走監獄へ。
ゴールデンカムイも見ておらず、この敷地内に重要文化財が含まれていることも知らなかったが、とにかく見応えがある。入り口から入り、マップに従いのんびり歩いて回ると2時間以上。
北海道の発展のために、屯田兵や開拓使だけでなく、実は囚人たちが重要な労働力として、過酷な状況で働かされていたということ、そのなかで看守も含め、多くの命が亡くなったこと。善悪は別として、事実として知っておくべきことだなと思う。
当時の様子を忠実に再現した施設内は、正直夢に見るのではと思うような怖い箇所もあるが、網走まできた甲斐があった。
夜は地元の居酒屋で鯨の刺身や鯨の竜田揚げ、エゾシカのたたきを食べて大満足。旅先ではなるべくその土地のものを食べたい。好き嫌いがなくなって本当に良かったと感じる瞬間である。
ありきたりな表現だけど、この広い世界で人間は本当にちっぽけだ。日常で出会うマイナスな人やつらい出来事なんか本当にどうでもいい。こんな自然の中でに放り込まれたら人間は無力。網走にたった2日くらいしかいなかったけど、かなり心が広くなった気がする。
今年はたくさん旅をしようと心に決め、東京へ帰ってきた。
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ヴィム・ヴェンダース監督 『PERFECT・DAYS』
最後に流れるニーナ・シモンの「Feelig Good」に息を飲んだ。いったいこれは・・・聞き覚えのあるこの歌が、世界に満ち溢れている。自分もまさにそのなかにいる。感動というより、圧倒的な覚醒感に心が震えた。
ルーチン
『PERFECT DAYS』にこれといったドラマはない。東京の下町で清掃員を務める平山の日常が描かれる。平山の毎日は実にシンプルだ。
笹箒で道を履く音で目覚める。布団を畳み歯を磨く。いつもの持ち物をポケットに収めドアを閉める。アパート脇の自販機で飲み物を買う。クルマのドアを閉める。清掃道具の詰まった軽四を走らせる。カセットテープを選ぶ。『朝日の当たる家』が流れる。
平山が向かうのは、東京の下町に点在する公衆トイレだ。
仕事場に着くと、掃除用具を下げてトイレに向かう。ドアノブを磨き、丁重に便座を拭く。利用者が来ると手を止め外で待つ。昼休みになると、いつもの境内のベンチで昼食をとる。揺れる木漏れ日にカメラを向け、ときに小さな若木を採集する。
仕事を終えると銭湯に行く。その足で地下通路の居酒屋でくつろぐ。アパートに帰るとポケットのものを玄関に揃え、布団を敷いて灯りを付ける。幸田文の『木』を開く。数ページを読んだら灯りを消し眠りに就く。一日が終わる。
映画は平山の一日を追い、振り出しに戻るように再び次の日の平山を描く。そしてまた次の日も。
繰り返されるルーチンのなかで、ときに問題も起きる。相棒は仕事をサボり、余命いくばくの男に、「スナックのママをよろしく」と告げられたりもする。突然現れた妹の一人娘は嬉しそうに平山の部屋に転がり込む。トイレ掃除を手伝うという。ときに起こる起伏もまた、周期の異なるルーチンのように平山の日常に差し込まれている。
別の世界
映画に描かれる平山の日常は、多くの人の日常とさほど変わらない。私たちもまた、同じ時刻に目覚め職場に向かう。厄介な問題を抱えることもある。晩酌もすれば銭湯にも行く。スナックに立ち寄れば、職場では聞くことがない打ち明け話しに耳を傾けたりもする。
それにも関わらず、平山の日常が自分のそれとはまるで別の世界に見える。
彼の日常が自分と決定的に異なるのは、繰り返されるルーチンへの率直な態度だ。平山はルーチンに決して文句を言わない。それどころか、同じ繰り返しのひとつひとつを受け入れ、楽しんでいるように見える。
しかし、平山はただ受け身なわけではない。彼の表情に迷いはなく、行いは自然で落ち着きがある。仕事をこなす姿はむしろ洗練されている。周りを自分のものにしている。平山のルーチンには輝きがある。なぜ、平山はこうも日常と交われるのだろう。
饒舌
私たちはルーチンを嫌う。同じことの繰り返しをつまらないと思う。そう思いながらもルーチンをこなしているのは、繰り返しを意識しなくても済む方法を身につけているからだ。時間があればスマホを眺める。人を待つときも、電車に乗っても、食事のときでさえ。そして、トイレに入ってもスマホを手放すことはない。
私たちは平山ほど無口ではない。よく喋る。饒舌ではないまでも、さまざまなメッセージを受け止める。というより言葉を消費することに忙しい。その点、平山は口数が少ない。相棒が話しかけても滅多に口を開かない。たまにガラケーに電話がかかっても、「うん」「ああ」で話は終わる。平山にスマホは似合わない。
平山の部屋にはモノが少ない。あるのは古本と苗木くらいだ。言葉の数とモノの多さは比例しているのだろう。私たちは周囲の者ともっと多くの言葉を交わす。お金でモノを求めるにはそれなりに言葉がいる。そうして世界は広がり複雑になる。そうするうちに、平山の日常が別世界になってくる。
滑る世界
しかし、世界を広げたところで、他人やモノとの関係が深まるとは限らない。平山が運転する軽四も、掃除をするトイレも、見上げる境内の木も、東京に無数にある似たもののひとつに過ぎない。その同じものを私たちもまた目にし、手にし、使い、過ごす。しかし、平山が木漏れ日に目を細めるようには外界と交わらない。
私たちの日常風景は、滑るように過ぎて行く。歩く側から通行人や植え込みが現れては消える。
しかし、平山のそれは異なる。木立から見れば、平山は言葉を交わすことができる、数少ない通行人の一人だろう。木立に小さな熱が生まれる。葉を透過する光が、微かに輝きを増す。
私たちも平山と同じ世界を生きている。東京の下町を行き交う数多の生活者の一人だ。路地から見上げる先にはスカイツリーが立ち、銀座線の改札を出れば地下商店街を通り過ぎる。夜闇を照らす自動販売機はいたるところにある。掃除の行き届いた公衆トイレもある。しかし、そうした日常に気持ちを止めることはまれだ。
それに比べ平山を取り囲む外界の、なんと満ち足りていることだろうか。同じ世界がなぜこうも違って見え、異なる関係で結ばれているのだろうか?
罪滅ぼし
おそらく平山には暗い過去があるのだろう。妹に「お父さんの見舞いにでも行ったら」と言われた平山は、立ちながら嗚咽を漏らす。弱り果てた父親だけが非日常のように断絶し、向こう側にいる。本来なら最も近いはずの関係に平山は近づけないでいる。そのことが却って、平山に日常との親密な交わりを促しているように見える。
関係の断絶から生まれる親密な世界。これはひとつの罪滅ぼしかもしれない。不幸なことかもしれない。私たちが平山とは正反対の世界にいるとしたら、私たちは親密な関係のせいで日常から断絶していることになる。はたしてどちらが不幸なのだろうか。どちらが幸せなのだろうか。
ひとつだけ確かなことがある。完全な関係も、完全な親密も、完全な幸せも不幸も存在しないことだ。矛盾する二つが同時にある。その矛盾を純粋に受け入れるとき、人は虚飾を離れ自分に忠実に生きることができる。そのとき世界はなぜか親密で美しい。何故もなく、ただ受け入れ慈しむだけの完全な日々が訪れる。
完全な日々
鳥が飛ぶ… 太陽の輝き… そよ風が流れる… 夜が明け、一日がはじまる… ああ、生きている。 なんという自由、ずっとこの時を待っていた。 ああ、生きている。
木漏れ日の向こうに木立がある。その向こうには太陽がある。
世界のなかに日本がある。日本のなかに東京がある。東京に平山が暮らしている。その平山を木漏れ日が包んでいる。
ニーナ・シモンの歌声が、至高の生きる喜びを伝えていた。平山が見ている木漏れ日が歌になっている。できることなら、こんな東京がいつまでも続いていてほしい。この「TOKYO物語」が生きながらえてほしい。
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我が国の未来を見通す(94)
『強靭な国家』を造る(31)
総括「『強靭な国家』を造る」(前段)
宗像久男(元陸将)
───────────────────────
□はじめに──「『強靭な国家』を造る」を総括す
るにあたって
「『強靭な国家』をいかに造るか」というテーマ
で20回にわたり延々と書いてしまいました。すべ
てが「強靭な国家」を造るという“「大目的」のた
め”ということから、あえて、毎回のテーマを変え
ないまま書き綴った結果でした。
改めて読み直してみますと、あくまで私の“独りよ
がり”ではあるのですが、“「強靭な国家」を造る
ことがいかに大変なことか”について再び考え込ん
でしまいます。
卑近な例をとりあげますと、現在ハマスと戦争の最
中にあるイスラエルは、日本などと比較して、20
00年にも及ぶ長い間、国を挙げてあらゆる分野で
「強靭な国家」造りを最優先して実行し続けてきた
国家であり、(すでに触れたような)その“強さ”
は、昨日今日に出来あがったものではありません。
しかし、そのようなイスラエルであっても、今回の
ような事態を招く結果になってしまいました。ハマ
ス側からすれば、10月8日の奇襲攻撃に対する報
復が、現時点において1万5千人以上の犠牲者を含
むガザ地区の壊滅に至ったわけですから、人質交換
のための一時的な停戦合意は継続していても、その
後の展開が不明であることを考えると、“割に合わ
ない、とんでもないことをしでかしたものだ”と思
ってしまいます。
イスラエルの“非情”ともいえる作戦は、単に報復
に留まらず、“この機会にハマスを壊滅する、少な
くとも、未来永劫にハマスに手出しをさせない”と、
本来の戦略に立ち返ってこれまで以上に“強い決
意”をもって作戦を遂行した結果でしょう。それこ
そが、これまでもそうであったように、将来のため
に「強靭な国造り」をめざすイスラエルという国の
“生き様”であり、「国の形」であると私は考えて
います。
我が国にあって���、明治維新に「富国強兵」「殖産
興業」という「国家目標」を打ち立て、迫りくる西
欧諸国の脅威に立ち向かうことを主目的に、まさに
“強靭な「近代国家」”を造ることを目指してきま
したが、幾多の戦争や大震災、世界恐慌の影響など
を経て、ついには「大東亜戦争」を招く結果となっ
てしまいました。
「歴史は物語である」「歴史は検証できない」とは
東洋史学者・岡田英弘氏の名言ですが、“仮に日本
が明治初期に「富国強兵」などを唱えず、「近代国
家」を目指さなかったら、その後の歴史はどうなっ
たであろうか”については検証できないのです。
しかし、18世紀後半���地球の85%を支配した西
欧諸国の植民地主義の拡大、その中でイギリスをは
じめとする西欧諸国に割譲されるという形で独立を
失った「清」の例などを見れば、明治以降の我が国
の「国の形」が相当違っていただろうということは
容易に想像できます。
現在から先の「未来」についても同様のことが言え
るでしょう。“歴史の大きな転換点にある現時点”
において、私たちが、後世のために未来起点のアプ
ローチに基づき、さまざまな手段を行使して“「強
靭な国家」造り”を目指そうとする場合と、逆にそ
のような努力を怠る場合とでは、我が国の「未来図」
を大きく変わることは疑いようがないのです。
昭和16年、日米開戦に至る一連の交渉のなか、9
月6日の御前会議で、海軍軍令部総長・永野修身が
「戦わざれば亡国必至、戦うもまた亡国を免れぬと
すれば、戦わずして亡国にゆだねるは身も心も民族
永遠の亡国であるが、戦って護国の精神に徹するな
らば、たとえ戦い勝たずとも祖国護持の精神が残り、
われらの子孫はかならず再起三起するであろう」と
発言されたとの記録が残っています(フィクション
だったという説もありますが)。
残念ながら、そのような精神は戦後、無情にもGH
Qによって打ち砕かれたかのように見えますが、こ
れまで縷々述べてきましたような、日本人の根底に
ある“強さ”、 まさに中西輝政氏が指摘する「日本
人の『荒魂(あらみたま)』」は、戦前の歴史を否
定した大方の日本人には忘れられていても、各為政
者の時々の発言などから、周辺国にはその記録や記
憶が依然として“残っている”と想像できるのです。
「強靭な国家」造りの中で、「国家戦略」の目標と
して掲げた「安全」については、我が国は、今回の
イスラエルのように、ハマスによる攻撃の後、つま
り“有事”が起きてしまった後に「手を出すのでは
なかった」と思わせるのではなく、手を出す前から、
「日本に手を出すと“大損”をする」と相手に“躊
躇”させること、つまり「抑止」を目指さなければ
なりません。
これは容易なことではありませんが、その根底に永
野軍令部総長のいう「祖国護持の精神」がなければ
ならないことは明白でしょうし、周辺国に記録と記
憶が“残っている”間に、「抑止」のための「強い
意志」と「能力」を明示しておかねばならないと考
えます。
本メルマガでは、あえて軍事とか安全保障には詳し
く触れませんでした。しかし、終戦後、法律家や歴
史学者など有識者たちがこぞって「再軍備」に反対
していたことをはじめ、最近でも高名な経済学者が
「日本経済の復興が最優先で、防衛力増強などやっ
ている場合ではない」旨を自著に書き記していた事
実を知って、「それぞれの専門家にまかせておいて
は、この国はダメになる」と思う危機意識がますま
す膨らみました。
前置きが長くなりました。我が国の未来に降りかか
るであろう、ほかの「暗雲」でも同じことが言える
と思います。それぞれの分野で“致命的な事象”が
発生してから慌てても遅いのです。我が国が“苦
手”としている「抑止」とか「未然防止」とか「回
避」などをキーワードにして、「下降期」の中で
“どんでん返し”を狙って“「強靭な国家」造り”
を目指さなければならないとの認識が、私には一層
強まっています。
▼「国家」を再生する
“強くて、しなやか”な「国家」をいかに造るかに
ついて、これまで、“強靭性”を主に取り上げてき
ました。
実は、本メルマガの総括にあたる第4編を「『強靭
な国家』を造る」とした訳には、“強靭性”のみな
らず、“「国家」の再生”の方にもかなりのウエイ
トがありました。今回はその「国家」について取り
まとめておきたいと考えます。
ウクライナ戦争やコロナ禍の状況から、「自分の国
を自分たちで守れない国は生き残れない」と気づい
た元朝日新聞主筆の船橋洋一氏の言葉を紹介し、同
氏の「日本には『国家安全保障』という『国の形』
がない。そして、その『国の形』をつくるのを阻ん
できた『戦後の形』がある」との言葉も紹介しまし
た。
私は、この発言を船橋氏の“自責の念”と解釈して
いますが、氏の書籍の中にも「国」という言葉が何
度も出て来ます。一方、その「国の形」をつくるこ
とを拒んできた「戦後の形」にはとても“根深いも
のがある”とも考えてしまいます。
しかし、その要因は明らかでしょう。まずは、戦前、
特に満州事変以降、軍部主導のもとの「挙国一致」
が強調され、教育面でも「国粋讃美」とか「尽忠報
国」などを強要されたことに対する“揺り戻し”、
つまり「反動」があるのでしょう。
そして、終戦後、GHQの巧妙な対日政策もあって、
その“揺り戻し”は、日教組など唯物史観に染まっ
ている人たちにとっては自分たちの思想拡大の絶好
のチャンスとなって、その“揺り戻しが度を越し
た”格好になりました。
なかでも、彼らが好むトロツキーの言葉である「す
べての国家は暴力の上に基礎づけられている」が発
展し、「国家は悪」として、「国」とか「国家」を
全否定する考え方にまで拡大しました。
私は「国家論」について社会学的に深く解説できる
能力はありませんが、少しだけ踏み込んでみましょ
う。まず「国家」の起源ですが、これもまた社会学
的には解釈が分かれるようですが、門外漢の私が理
解した言葉で要約してみます。
欧州諸国が「主権国家」として独立したのは、「3
0年戦争」(1618年~48年)の結果、疲弊し
た諸国が結んだ「ウェストファリア条約」(164
8年)でした。その直後から「国家」の意義づけに
ついて社会学的な論争があったようです。
まず、「ウェストファリア条約」によって、「王が
持つ主権はキリスト教ではなく神から直に授けられ
たもの」(「王権神授説」)とする考えが普及し、
王政国家が欧州各地に出来上がりましたが、その考
えに反発するような格好で、3年後の1651年、
有名な『リバイアサン』が出版され、著者のトマス
・ホッブス(イングランドの哲学者)は、「自然状
態では、人々は絶え間なく恐怖と暴力による死の危
険さえある悲惨な状態にあり、そこを脱して、安全
と平和を手にするために“社会契約”を結び、その
結果、『国家』が出来上がった」と意義付けました。
これからしばらく過ぎた1690年、同じく英国の
哲学者ジョン・ロックは『統治二論』を世に出し、
「自然状態にある人間はすでに理性を持っている」
としながら、「自分の自然権を守るために、その一
部を放棄し、『1つの集合体』に委ねる、その集合
体が『コモンウエルス』と呼ばれる『国家』の起源
である」と説きました。
つまり、ホッブスが、「場合によっては生きるか死
ぬかの岐路に立たされかねない自然状態にあって国
家が不可欠である」としたのに対して、ロックは
「国家は、自然権を破った者に対して有無を言わさ
ず、強制的な手段をもって『処罰』するために作ら
れた」として、「保険に加入するように『より大き
な防御』のためにあり、必ずしも国家は不可欠なも
のではない」とも解釈したようです。
このように、“社会契約説”としての「国家」の起
源が発展し、やがて「市民革命」に至って近代国家
が出来上がるのですが、それからしばらく後、マル
クスによる共産主義思想が普及し、「国家」の性質
を「暴力の独占���とするトロツキー的な国家論が興
隆することになります。
一方、同じ時代に生まれたドイツ社会学者のマック
ス・ヴェーバー(ウェーバー)は、名著『職業とし
ての政治』(脇圭平訳)の中で、「国家とは、ある
一定の領域の内部で、正当な物理的暴力行使の独占
を要求する人間共同体である」と定義しました。
本書は、1917年、ドイツが第1次世界大戦で敗
戦した後、ミュンヘンにある学生団体のために行な
った公開演説をまとめたもので、それまでのドイツ
社会が、「ドイツ帝国」は存在しても、多種多様な
団体が物理的暴力をノーマルな手段として認めてい
た事実とは違った意義が「国家」にあると解説した
のです。
しかも、トロツキーとは違い、国家の「“合法的
な”暴力の独占」を定義し、「許容した範囲の中で
物理的な暴力行使が求められている」として、「警
察や軍隊はその主な道具・装置である」と解釈した
のでした。
このように考えると、安全保障を米国に丸投げした
まま、あくまで「警察予備隊」として発足し、しば
らく“再軍備”を否定し続けた「吉田ドクトリン」
は、その後長い間、唯物史観の人たちに巧妙に利用
されてしまいました。彼らは、マックス・ヴェーバ
ーの「“合法的な”暴力を独占するのが『国家』で
ある」との考えに至らないまま、(単なる暴力装置
としての)「国家」自体を否定している間に時が流
れ、我が国の「戦後の形」として定着してしまった
と解釈できるのではないでしょうか。
余談ですが、マックス・ヴェーバーによって「国家
論」を叩きこまれたドイツに、やがてヒトラー率い
るナチスが合法的に誕生するのですから、歴史とは
皮肉なものです。
さて、我が国の「国家」には、さらに長い歴史があ
ります。我が国の建国は、まだ「国家」という呼称
はなかったものの、「神武天皇の即位」(紀元前6
60年1月1日〔旧暦〕、2月11日〔新暦〕)とされて
いますし、近代国家の建設が始まった「明治維新」
も「国家の起源」として考えられる場合もあります。
戦前の歴史家の巨匠・坂本太郎氏の『日本の歴史の
特性』によれば、我が国の歴史の中で「国家」とい
う文字が初めて出てくるのは、正倉院宝物の中の
「国家珍宝帳」(756年頃に献上された献物帳
(宝物の目録))だそうですが、この場合の「国家」
は、現在の「国家」とは違う意味をもっており、国
家はミカド、つまり天皇と同義に用いられていたよ
うです。同様の表現は、当時の“現行法”であった
��律」の中にもあり、同じく国家=ミカドを意味し
ていたのだそうです。
つまり、トロツキーの「国家の性質を暴力の独占」
のような概念を我が国の「国家」論に当てはめよう
としたのは最初から無理があったのですが、結果と
して一人歩きしまったのでした。
今なお、公の場で「国」「国家」「国益」「国力」
「国体」などの使用が何となく憚(はばか)られ、
挙句の果てには「愛国心」のようなものまで否定さ
れ、放置されたまま今日に至っていることもすでに
取り上げました。一日も早く、真の意味での「国家」
の再生が望まれると考えます。
改めて、「国家」の現代的な理解をまとめてみます
と、「国家」とは、「その領土と人口を通じて、特
定の地域における社会的、政治的、経済的な活動を
組織し、調整する役割を果たし、個々の国民が自由
で平等な生活を送ることができるように、公正で公
平な社会を維持するための枠組み」のようです。
つまり「社会的、政治的、経済的な活動を組織」を
手段として、「個々の市民(国民)が自由で平等な
生活を送ることができる」ことを目的とした「公正
で公平な社会を維持するための枠組み」を指すとい
うことでしょう。
「国家」の起源にさかのぼるまでもなく、手段も目
的もそれぞれが複雑で、幅広く、奥も深く、しかも
現時点のみならず、未来においても、“自由で平等
な生活”を担保する必要があるわけですから、その
ためにも「国家」に「強靭性」を備える必要性がま
すます増大していると考えます。
▼国際社会に“リバイアサン”が復活した
さて、国際社会においても、冷戦後しばらくの間は、
「国対国」の争いから「国対テロ集団」のような争
いがクローズアップされてきました。しかし、この
たびのウクライナ戦争を境にして、再び「国対国」
の争いがクローズアップされ、それが発展して“新
冷戦”のような「分裂の時代」が現実のものになっ
てきました。
現下の情勢下、国際連合の無力さも露呈したことも
あって、ホッブスの言葉を借りれば、国際社会は
“リバイアサン”(つまり“怪獣”)が大暴れし、
それを制御するのが困難な時代になりました。この
厳しい国際社会の中で生き残るため、つまり、暴れ
まくる(可能性がある)“リバイアサン”から生命
や財産や平穏な生活を守るためには、船橋氏の言葉
を借りるまでもなく、個々の「国」あるいは「国家」
を主体に物事を考え、同じ認識を共有する「国」ど
うしの“社会契約説”ともいえる「同盟」とか「連
携」の必要性が“より増してきた”といえるでしょ
う。
“リバイアサン”を制御するためには、「外交力」
とともに「軍事力」が必要なことは明白ですので、
国家の“暴力装置”の重要性がより増して来たとも
いえるでしょう。しかし、その意味は、「世界同時
革命」に立ちはだかった時点の国家の“暴力装置”
と全く意味が違います。
総括しますと、厳しい国際情勢の中で、我が国が生
き残るために、依然として存在している唯物史観、
あるいは自虐史観の持ち主たち(ちょっとでもその
ような考え方に同調する人たちを含め)が自分たち
の信条とか先入観と決別する時が来たのではないで
しょうか。つまり、マックス・ヴェーバーの「国家
は“合法的な暴力”を独占する人間共同体」の考え
を理解し、容認することが求められているのです。
そのステップを踏んで、時計の針を戻して再出発し
てこそ、大多数の国民がこぞって「国家」を取り戻
し、後世のために“「強靭な国家」造り”に邁進で
きるものと考えます。
くどいようですが、戦前のように、あるいは中国や
北朝鮮などのように、我が国にあっては、国家の
「強制力」を行使できないのは明白です。「国を挙
げて」、つまり「挙国一致」と唱えても、大多数の
国民一人一人が“その気になる”ことがなければ、
いかなる政策も「国家戦略」も絵に描いた餅にしか
なりません。
すなわち、「『国家』を再生する」ことは「国民が
その気になる(覚醒する)」とイコールでもありま
す。そのようなことを狙いつつ、「国家意思」を分
析したつもりですが、天変地異や外圧に寄らず、い
かにして“国民が自発的に覚醒するか”を考えると、
そこにまた難題が待っていることもすでに述べたと
おりです。
今回はここまでにしておきます。次回、我が国の
「国家」論から派生する「統治のありかた」や「政
治」についても取りまとめて、第4編の総括を終了
したいと考えています。
(つづく)
(むなかた・ひさお)
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<アメリカ屈指のファシズム研究者が、トランプ米大統領を「ファシスト」と断言。「標的になるのは市民権を持たない人だけだと考えるのは甘い」と警鐘を鳴らす> アメリカで指折りのファシズム専門家が、「トランプ2.0」に感じる不安のせいで故国を去ろうとしている。 エール大学哲学教授で、著書『ファシズムはどこからやってくるか』(邦訳・青土社)などを発表しているジェイソン・スタンリーが、今秋から新たな職場とするのは、カナダのトロント大学マンク国際問題・公共政策研究所だ。 スタンリーだけではない。エール大学の同僚で共に歴史学者のティモシー・スナイダーやマーシ・ショアも、同研究所への異動を決めた。大学への政府助成金停止の脅しなど、学術界に敵対的な動きが始まったアメリカの頭脳流出を示す多くの兆候の1つだ。 スタンリーはドナルド・トランプ米大統領を「ファシスト」と断言し、その独裁傾向に何年も前から警鐘を鳴らしてきた。筆者とのインタビューでは、トランプが4月14日、「世界で最もクールな独裁者」を自称するエルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領と行った首脳会談も話題になった。 人種差別と学界つぶし スタンリーいわく「ぞっとする出来事」だったこの会談で、トランプは国外追放した移民らをエルサルバドルの刑務所に移送する「不法移民対策」に再び触れた。米市民であっても、場合によっては移送に賛成するとも発言しており、法律専門家らは違憲の可能性を指摘している。 米連邦最高裁判所は、誤ってエルサルバドルに強制送還された米メリーランド州在住の男性について、円滑な帰国を促進するよう命じている。だが、トランプ政権は命令を無視する姿勢を崩していない。 スタンリーの「国外脱出」には批判もあるが、本人に弁解する気はない。「標的になるのは市民権のない人だけだという考えは甘いと、はっきり言わなければならない」と語る。「離れたくて離れるのではない。この国は私の故郷だ。これからもずっと」 決断の最大の理由は、わが子の存在だという。「私には黒人の息子が2人いる。息子たちの身の安全が心配だ。最近の露骨な反黒人感情に対する恐怖は、黒人の息子がいない人より大きい」 トランプは長年、白人至上主義的主張や陰謀論を掲げてきた。現政権は事実上、アメリカの全領域で多様性・公平性・包摂性(DEI)方針を撤廃しようとしており、人種差別だとの非難を浴びている。 スタンリーはユダヤ人で、ホロコーストの生存者の息子だ。今回の選択には、家族の歴史も関係している。 1930年代のナチス・ドイツと今のアメリカには「明らかな類似点」があると言う。「当時のドイツでは、先行きが曖昧だった32~34年の時点で多くの知識人が国を離れた。アメリカは大丈夫なのかもしれない。だがそうでないなら、早いうちに出て、よりよい立場を確保したい」 学界への攻撃も決断を後押しした。トロント大学の招聘に「衝動的に」応じたのは、コロンビア大学が助成金4億ドル継続のため、トランプ政権の要求を受け入れた後だ。構内での抗議デモの規則や中東関連の教育・研究内容の見直しなど、大幅な方針変更にコロンビア大学は同意した。 この出来事で、学術機関への要求は「さらに常軌を逸したもの」になると気付いたという。例えば、ハーバード大学はDEI方針の廃止や入学者選考・雇用の際の「視点の多様化」を要求された。同大学は拒否を表明し、トランプ政権は助成金の一部(約23億ドル)凍結を発表している。 「新聞社が『トランプ寄りの記者やコラムニストを雇うよう監督する』と言われたら? もはや民主主義国家ではなくなったと悟るはずだ。大学の場合にも、同じことが言える」 トランプ政権の「大学との戦い」は独裁主義の教科書的手法だと、スタンリーは強調する。歴史を通して独裁体制の台頭は少数派のスケープゴート化、および知識層への攻撃とともに始まっている。 批判的思考や表現の自由の中枢を担う大学は、徹底的服従を望む独裁主義者にとって本質的な脅威だと言う。イタリアのファシスト党の指導者ムソリーニが1931年、大学教授らに忠誠を誓わせたのがいい例だ。 2018年には、ハンガリーにあったセントラル・ヨーロピアン大学が、独裁傾向を強める同国のオルバン政権のせいで国外移転を決めた。 「世界各地で独裁主義者がまず攻撃したのは大学だ」と、スタンリーは指摘する。著書『歴史の抹消』(未邦訳)では、この傾向を詳しく分析。独裁主義者は「批判的歴史」を消し去り「愛国主義的教育と置き換え」ようとすると言う。 独裁体制は学生の抗議運動をしばしば意図的に曲解し、大学の正当性喪失を目指す。 それに加担しやすいのが大手メディアだ。「19年にインドで、イスラム教徒を二級市民に位置付けるような市民権改正法が成立した際、国内の大学で抗議デモが起きた。メディアはイスラム教徒を利する反国家的運動だと報道し、デモは暴力的に弾圧された」 「ユダヤ系保護」は口実 米メディアも昨年、同様の道をたどった。パレスチナ自治区ガザでの戦争に対して、米国内の大学で起きた抗議デモを「誤った形で伝え、数多くのユダヤ系の参加者の存在に何カ月も触れなかった」。 「トランプ政権が大学を標的にする理由を、メディアは今も理解していない。大学が独裁主義や不当な戦争への抵抗の震源地であり続けているのは、イデオロギーを刷り込むからではなく、学生という大勢の賢い若者がいるからだ」 スタンリーは学術機関の弾圧や、パレスチナ寄りの抗議デモに参加した外国人学生の強制送還方針に関し、トランプが反ユダヤ主義との闘いを口実にしていることにも批判的だ。 ユダヤ人が権力機構を支配しているという危険な固定観念を、かえって強化するという。ユダヤ系社会のためと称する政権の行動は、有害な先入観をあおって反ユダヤ主義を加速させる恐れがある。 トランプ政権は「キリスト教ナショナリスト」で、ユダヤ人も反ユダヤ主義も大学支配を目指すホワイトハウスに利用されていると、スタンリーはみる。トランプのファシズムが、ユダヤ人のせいにされることにもなりかねない。 だが「真の犠牲者は、ユダヤ系アメリカ人の保護という建前の陰で、計り知れない苦痛を見過ごされているガザの住民だ」と、スタンリーは言う。 「ユダヤ人は暴政に立ち向かう。それが私たちの歴史的役割だ。私たちは自由主義を支持する。私たちが支持するものを、トランプ一派は根底から覆そうとしている」
トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学を攻撃する」エール大の著名教授が国外脱出を決めた理由|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
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Persona 3 Movie Spring of Birth blu-ray interview.
劇場版「ペルソナ3」第1章
インタビュー
熊谷純 (脚本) & 田口智久 (シリーズ演出・第2章監督/第4章監督) & 足立和紀 (プロデューサー)
劇場版「ペルソナ3」はこうして生まれた
今期は、「PERSONA3 THE MOVIE #1 Spring of Birth」Blu-ray&DVDのブックレットの対談ということで、お三方に集まっていただいたわけですが、そもそも本作はいつぐらいから動き出されたのでしょう?
田口 脚本会議が本格的に始まったのっていつでしたっけ?
熊谷 第一章の脚本を書き始めたのが一昨年(2012年)の9月くらい?
足立 今、そのときの議事録を確認してるんですけど⋯⋯第一回の会議が2012年の8月になっていますね。ただ、企画自体はそれより前に動き出していて 「PERSONA4 the Animation -the Factor of Hope -」(劇場上映)で情報解禁できれば、という話をしたのは、TVアニメ「ペルソナ4」(2011年10月~2012年3月放送)が終わったあとのスタッフとの打ち上げの場でした。
熊谷 酒の勢いで決まったわけですね。
田口 やめてください(笑)。
足立 いろいろな要素を加味した結果、そこが一番良いタイミングじゃないかと。断じてお酒の勢いではありません。
田口 情報解禁したときの理が召喚器を撃つパートアニメーションは渡部圭祐さん(キャラクターデザイン/アニメーションディレクター)に描いていただいたんですけど、あの時点ではまだ、劇場版のお仕事を渡部さんにお願いするとも正式には決まってなかったんですよ。なのに描いて頂けて、本当にありがたかったです。
そうだったんですね(笑)。では実際に劇場版の「ペルソナ3」を制作するという話を聞いたときは、いかがでしたか?
熊谷 「ペルソナ3」はすごく好きだったんで、それはぜひやりたいと。ただ、ストーリー構成は「ペルソナ4」以上に難しそうだとも思ったので、そこはどうしようかなって。
田口 どうするも何も、熊谷さんがうまく書くしかないですよね(笑)。
熊谷 まあそうなんですけど(笑)。「ペルソナ3」ってゲームとしての完成度がずば抜けてる作品だと思ってて、だからこそゲーム以外では成立しにくい要素が多いんですよ。一番わかりやすいのが、タルタロスですね。
田口 ゲームでは基本的にレベル上げの場所ですからね。
熊谷 そうそう。でもアニメの劇中で「今レベル上げしてます」とは言えないし。だからといってタルタロスを出さない 「ペルソナ3」なんてもっとありえないでしょ?
足立 登っていることにも、実はちゃんと意味がありますからね。ゲーム的要素といえば、今回はキャラクターが武器を持って戦います。
熊谷 その設定っていつ決まったんですか?
田口 あれは、岸(誠二)さん(スーパー バイザー)と飲み屋で話しているときに出たアイデアです。
足立 岸さんから、「ペルソナ4」とは違ったアクションを見せたほうがいいのでは?と言われて。武器を持たせる事は当初全く考えていなかったので盲点でした。でも、言われてみれば桐条グループという設定を使えば武器を持つ理由も作れるし、いいアイデアだなと思って盛り込むことになったんです。「ペルソナ4」では仲間達も本当に普通の高校生だし、敵も主に仲間のシャドウで人間の形をしているという事もあったので、武器で攻撃しちゃうのはさすがに⋯⋯ということで避けていたんですけどね。
熊谷 登場人物が武器を持って戦うのって、やっぱ画面映えするしカッコイイですよね。でも武器を持つことによって、今度はペルソナとの差別化をしなきゃいけなくなって。
田口 アニメの「ペルソナ4」みたいに常にペルソナを召喚している状態だと、武器を使うタイミングがな いですからね
熊谷 だから今回はペルソナの召喚を原作通りスキルとして扱ってるんです。武器では倒せないような敵に、そのつど召喚して強烈な一撃を叩き込む必殺技。ただしスキルだから、召喚するとその人物は消耗してしまう。
田口 だから召喚しっぱなしにはできない。普段は武器で戦わなきゃいけない、と。
足立 でもそのおかげで、理の連続召喚とか順平のガス欠とかの見せ場も作れたのでよかったと思いますよ。
田口 ペルソナを乱発するとすぐガス欠になっちゃう。そういうところは結果的にすごく原作の雰囲気に近付きましたよね。
主人公“結城理”を生み出す苦労
そういう意味では、「ペルソナ4」以上に原作を忠実に再現しているというところでしょうか?
足立 そうですね。原作を忠実に再現しようというのは当初からのコンセプトです。
熊谷 でも実際は、原作どおりに見せつつ、いろいろ変えてるんヴぁですけどね。厳密に言うと変えているように思われ ないように作る、という事になるかも。
足立 そうですね(笑)。アルカナの設定とかペルソナのルールとか、大幅に設定を変えている部分もあります。コミュエピソードに関しても全コミュをMAXまで上げるのは時間の都合上どうしても無理なので、結構カットしていますからね。あとはなんといっても主人公の理のキャラクター性です。これは完全にアニメオリジナルなので、ファンのみなさんにこうじゃないと言われないかビクビクしながら作っていますね(笑)。
熊谷 理には特に気を遣いましたね。最初の脚本だともっとトゲのあるキャラクターだったんですが、いろんな方に「やりすぎだ」と言われましたし(笑)。
田口 主に足立さんが仰ってたんでしたっけ?
熊谷 もうちょっと、“かわいげ”がほしいって言われました。
足立 ああ、僕かも。でも熊谷さんの琴線には、その“かわいげ”がまったく触れないみたいで(笑)。女性的にして欲しいという事ではなく、主人公としてちゃんとファンに愛されるキャラクターにして欲しいという意味なんですけどね。キツイ言い方をしていても憎めないような。
熊谷 劇場版1作90分という時間はやっぱり短くて、その中で理にはきっちり主人公として立ってほしかったんですよね。ただそれを意識しすぎると、どうしてもインパクトのあるセリフの方に偏っていっちゃう。それがみんなにはキツイと思われたんでしょうね。ていうか、そもそも「ペルソナ3」の主人公って俺の中ではけっこうキツイこと言うやつってイメージだったんですよ。代表的なセリフは「どうでもいい」だし、選択肢でも突き放すようなもの多いし。
田口 主人公へのイメージって人それぞれだから本当に難しいですよね。スタッフの中にも、もちろんお客さんの中にもみんな「わたしの主人公像」みたいなのがある。
熊谷 理のキャラクター調整は、そういうみんなの中の「わたしの主人公像」にいかにして近付けるか、みたいな感じでした。大変だったよ。どんなセリフにしてもスタッフの誰かが文句言うんだもん(笑)。
足立 でも、作品を見てくださったお客さんのなかには、理が自分の描いていたイメージとピッタリだったって方もいらっしゃいましたからね。
熊谷 結果的には、いいチューニングになったんだと思います。
足立 今、過去の会議の議事録を見返していたんだけど、第5回の議事録で「主人公再検討。現状、少しきつすぎる?」ってある(笑)。
熊谷 トゲトゲしすぎていた頃かな?どこのシーンでのことだろう⋯⋯。
田口 順平に対してですかね?
足立 そうですね。脚本の初稿を読み返してみると、順平と友近とゲームセンターで遊ぶシーンで、友近が一緒に楽しもう的なセリフを言ったあとで、理が「最初で最後だな」って言っちゃうという(笑)。
田口 突き放しすぎ(笑)。
足立 そのあと友近が「最後なんて言うなよ」って(笑)。
田口 周囲のキャラクターが優しい!
熊谷 え、でもゲームの選択肢だったらありそうじゃね?
足立 あとは、風花が夏紀に突き飛ばされたあとで、たこ焼きを食べるシーンもそうかな。初稿では、たこ焼きじゃなくておに��りなんだけど、風花が「ごめんなさい。なんかもらっちゃって」って言ったあと、理が「120円」って(笑)。
田口&熊谷 ひどい(笑)。
足立 そのあと風花が「う、うん。あとで払うね」ってなってて。
田口 やっぱり周囲の優しさがないと成立しないキャラかも。
足立 あと、最後の風花を救出したあとのシーンでも、順平が風花の復帰パーティをしようみたいなこと言ったあとで、理が「せいぜいがんばれ」って返してますね(笑)。
熊谷 いや、そこまでくると、そのバージョンで見たくなりませんか?
足立 たしかに初稿バージョン見てみたいかも。ファンのみなさんにも見せて、ちゃんと吟味して決定稿に至っているんだということを伝えたい(笑)。
熊谷 じゃあ、コンテは田口さんに描いていただいて。
田口 なんでわざわざボツ稿を描き起こさなきゃいけないんですか(笑)。
熊谷 でも、初稿ってその他の部分だとじつは原作に一番近いんですよね。初稿だと後半の風花救出シーンで、理も一緒にタルタロスに潜入していましたから。ただ、そうしてすんなり物語に組み込んでいくと、結城理の物語から逆に逸れていってしまうので、彼にどんな引っ掛かりをつくっていくか、かなり悩みました⋯⋯。ゲームを忠実に再現すると、どうしてもゲーム寄りの人格のない主人公になってしまう。そうすると理の物語ではなく、個性をしっかり持っている仲間たちの物語になってしまうんです。あくまで本作は結城理の物語でなくてはならないという意識もあって、初稿から強い個性を与えたかったんだと思いますね。
田口 主人公といえば、名前もかなり時間をかけましたよね。
足立 かけましたね。最初は“月”に関係する言葉で考えていていくつか候補を挙げていました。
熊谷 ただ、それだと狙いすぎているという話にもなって⋯⋯。
足立 そうそう、なんだかホストみたいな名前が多かった(笑)。
田口 “結城理”って名前に決めたのは足立さんでしたよね?
足立 “結城”は比較的早めに決まったんだけど、名前は悩みました。
田口 最終的に“まこと”が“つかさ”まで絞れたんですけど、“つかさ”だとアイギスが主人公を呼ぶときに「つかささん」になってしまって呼びつらいからということで、“まこと”に 決まったんですよね。そんな理由でいいのかよって感じですが(笑)。
熊谷 まあ第2章の途中までは、脚本上“山田月太郎”で進めていたぐらいですから、いいんじゃないかと(笑)。あとは舞台版「ペルソナ3」の男主人公の名前を他の候補の中で挙がって いた“朔也”にさせて頂きました。
劇場作品だからできたこだわり
ほかに、第1章でみなさんが印象に残っているシーンはありますか?
田口 自分で絵コンテを切ったからという理由も大きいと思うんですが、オープニングにあわせて主要キャラが登場するシーンは、ああいう形にしてよかったなと思っています。
足立 当初は、もっとゲームのオープニングムービーに近い案もありましたよね?
田口 そうなんです。ゲームのオープニングのようにデザインチックなものも考えたんですけど、やっぱり見てくださるみなさんはキャラクターの顔を見たいだろうと思って。あそこで思いとどまって正解だったと思います(笑)。
足立 自分は印象に残っているシーンというより全体の話になるのですが、画面作りでいえば、やはりカラコレ(カラー・コレクション)について ですかね。
田口 そうですね。完成した画面にフィルターをかけたり、コントラストを調整したり⋯⋯フィルムの色を最終調整する技術なんですけど、これをやると画面の情報量が上がってフィルムのグレードが格段にアップするんです。今回は、映画やミュージシャンのMVなどを手がけてらっしゃる茶圓一郎さんという方が参加してくださって、すごくいい仕事をしていただきました。
足立 画面がリッチになるんですよ。実写的な色の作り方で、季節感とか時間帯とかも加味した目を飽きさせない画面作りになる。
田口 ぜんぜん違いますよね?
足立 ぜんぜん違う。一度あれを見ちゃうと、ないと物足りなく感じてしまう。
田口 あとは、原画を描く紙も大きなものを使っています。通常のアニメはA4サイズが多いんですけど、今回はB4サイズで描いています。これは、渡部さんからの要望でした。たしかに大きい紙にたくさん描き込めるので、情報量が増えることで密度も増しますし、実際に作業してみて劇場作品は大きい紙のほうがいいなと感じました。
足立 今回、渡部さんに作画の主軸になって頂けたのは大きかったよね。
田口 とにかくメチャクチャうまいですからね。いつも助けてもらっています。
足立 印象に残るシーンの多くは、渡部さんの作画だよね。第1章だと、理が最初にペルソナを召喚するシーンとかかな。
田口 TVアニメ「ペルソナ4」だと、 第1話ラストの鳴上悠のドヤ顔とか(笑)担当されてました。すごく真面目で仕事に対する責任感も非常に強い方なので、頼りにさせていただいてます。あとは、渡部さんが副島さんの画風を非常にリスペクトしているというのもポイントだったかもしれないですね。ご自身で副島さんの画集を買われていましたから。
足立 キャラクターの設定画もうまいんですよね。今回の劇場版は渡部さんに設定を描いてもらえたのは本当に大きかったと思いますよ。このBlu-ray&DVDのジャケットイ ラストも渡部さんですし。
そうなんですね。ほかに何か「じつはこんな要素を盛り込んでいた」なんていう隠しネタなどはありますか?
田口 隠しネタかぁ⋯⋯コミュキャラ をこっそり散りばめてあるとかかな。
足立 それは、公開後すぐにみなさん気づいていて、さすがだなと思いましたよ。あとは⋯⋯公式HPでも公開されていましたけど、田口さんの絵コンテのラクガキ絵は面白いですよね。本編で描かれるわけではないので、本当に完全に隠しネタですが。
熊谷 そんなことやってたんだ。
田口 あれはもう、確実に心に余裕があるときだけです(笑)。
熊谷 でも、ああいうのって余裕なくてもやっちゃわない?
田口 たしかにうっかりやってしまいますけど⋯⋯、余裕がないときはやっても消します。逆に余裕があるんじゃないかと思われちゃうので(笑)。
足立 ほかに何かあります?隠しネタ。
田口 う~ん⋯⋯言えない秘話ならあるんだけど。
足立 どんなの?
田口 いや~、これはさすがに言えないですよ。
熊谷 試しに言ってみて。大丈夫かもしれないじゃん?
田口 う~ん⋯⋯じゃあ⋯⋯。
(注:本当に掲載できないお話でした)
足立 あ~(笑)。
熊谷 それは絶対ダメなヤツだわ(笑)。
田口 だから言ったのに!
ディレクターズカット制作秘話
今回はDC(ディレクターズカット)版ということで追加シーンがあるわけですが、劇場公開時にこれらのシーンはどういう理由でカットされたのでしょう?
熊谷 それは俺も聞きたいです!
田口 熊谷さんとしてはせっかく書いたシーンなんですから、全部入れてほしいですもんね(笑)。
熊谷 脚本の段階でDC版があるという事は把握しているのですが、実際にどこを上映時にはカットするかというのは俺は判っていなくて。試写で見て、「あれ?あのシーン、カットしたんだ⋯⋯」って初めて気づくんですよ。
田口 今回、上映時の尺を90分目安にしていたんですが、コンテを切った時点で100分近くありましたね。そうなると、ちまちました細かい尺調整では収まりきらないので、どこかのシーンをカットすることになります。
足立 劇場公開版を約90分としているのは、お客さんに飽きさせず、どれだけ気持ちよく見せるか、流れを途切れさせずに見せるかという点を重視しての事です。但し、それは劇場で観るときの感覚なので、ビデオを買って家のリビングで観る感覚はまた違いますからね。ファンの方がどうしても観たい原作名場面シーンというのもあるし、脚本の段階ではとにかく盛り込む事から始めて、DC版には収まるかな、とかこれはカットしないと駄目だな、とか を考えながら編集時に決めていくわけです。ビデオを買ってくれた方へのお楽しみ要素というのももちろん大きいですしね。
DC版で収録されているシーンとして大きいところだと、病院で理が目覚めるシーンと、モノレール戦のあとでモノレールを止めるシーンがあるようですが、それ以外にはどんなシーンがあるのでしょう?
足立 それ以外は、テストのシーンとか部活のシーンとか日常生活の点描ですね。あ、ベルベットルームのシーンも追加されています。ペルソナの説明をしているシーンをカットしちゃっているという(笑)。
熊谷 あ、そうだったんだ。気づかなかった(笑)。
田口 制作スタッフも意外と気にならずにすんなり観れてるんですよね(笑)。
足立 あそこは悩んだんですよね。どうしても原作のゲームを知らない人には説明不足になってしまうので。ただ、ドラマを優先していくと、どうしても説明台詞が中心となるシーンの方がカット候補になっていくんですよね。そこのバランスをとる作業はかなり大変でした。
DC版に追加されたシーンは、最初から用意はされていたんですか?
田口 そうですね。普通のアニメーションって、コンテを切って作画に入り、作画が完成したところでカッティング(※)をしてからアフレコという流れなんですが、今回はコンテであらかじめアフレコ用にカッティングをして、その後作画に入り、作画が完成したところで更にカッティングをするというひと手間多い流れで制作しています。だから、コンテで描いていたDC版のシーンもアフレコしてあるんです。
熊谷 それってやっぱり大変なやり方なの?
田口 一長一短ですね。声がすでにあるので、演技に合わせて絵を作れるというのはメリットとして大さいですよ。
足立 でも、それはDC版じゃなくても同じことじゃない?
田口 DC版のためだけにやるってことなら、正直めんどくさいだけですよ!(笑)
足立 だよね(笑)。
田口 劇場公開用のものの納品が済んで終わった気になっているのに、公開後もDC版の作業を続けないといけないんですから!
足立 こういった、現場の人のき労が詰まっているのがDC版なんです(笑)。
熊谷 うまいこと締めようとしてる(笑)。
では、うまく締まったところで、Blu-ray&DVDを買ってくださったみなさんへメッセージをいただければと。
田口 第2章では僕が監督を務めさせていただきます。第1章に負けないような作品に仕上げる意気込みで制作していますので、第1章を楽しんでくださったみなさんは、引き続き第2章も楽しんでいただければと思います。
熊谷 第2章といわず、最後まで楽しんでいただけるとうれしいです。
足立 この度はBlu-ray&DVDをお買い上げ頂きありがとうございます。是非繰り返しご覧頂いた上で、第2章以降も劇場に足を運んでいただけるとうれしく思います。
ライター:長谷川暢俊
編集:片山和哉(電撃マオウ編集部)
カラー・コレクション before after
C-053

[before]
白熱灯の明かりを受けた、全体的に均一な状態。
[after]
直後に影時間になるカットのため怪しげな雰囲気が出るよう全体的にブルーグレーに寄せてコントラストを締め込み、理の手前と通路の奥に別々の濃淡をつけることで奥行きを出している。
C-329

[before]
影時間のグリーンで統一されている画面。
[after]
全体的にコントラストを締めつつ手前をより暗く落とし、奥の方の空と炎の上がる先の上空に光の影響として差し色を入れている。

※「カッティング」⋯⋯カットごとの時間を調整したり、演技やセリフの間を調整する編集作業。
TVアニメでは30分枠に収まるようにここで時間を調整している。
#persona 3#p3#i guess theres a bit about the p4 anime too...#tsukasas such a nice name#also SAKUYA SHIOMI MENTION YEAAAHHHHH!!!!!!
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