#煮干しらーめん青樹
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『我が麗しき恋物語』ーMa plus belle histoire d'amour
佐伯浩志は、急性心筋梗塞で七十四歳の人生に幕を閉じた。行��付けのバーで明け方まで飲み、泥酔した状態で玄関の上がり框に座り込み、そのままあの世へ逝ってしまった。その日は日曜で、次男の浩二は起きて新聞を取りに来た際に気付き、いくら声をかけても覚醒しなかったので動転し、慌てて救急車を呼んだのだった。
幸いにも、かかりつけでもあった市街のK病院に搬送され心肺蘇生も試みたが、時すでに遅し、そのまま還っては来なかった。一緒に救急車に乗った浩二は、
「昨夜まであんなに元気だったのに…!」
とパニック状態になった。その場にたまたま、後に額田大樹と言う一人息子と浩二が肉体関係になる、その母・利江子もK病院で看護師をしていたが、
「えッ、佐伯先生が!?」
と病棟の方で夜勤中だったが、駆け付けた。彼女も、
「先生〜!!」
と泣き出してしまった。それでも彼女は冷静さを失わず、
「今すぐ…お兄さんと葬儀屋さんに電話してください」
と浩二に話した。
利江子は、止まらない涙をハンカチで拭いながら病棟に戻って行った。浩二は、M銀行の本店で勤めている兄・美津雄の家に電話をした。未だ寝起きだったのか、
「…何だ、浩二か。どうしたの?」
と呂律が回らない状態だったが、父の訃報を聞くと、
「マジで!? 今から行くよ!」
と慌てて受話器を置いた様だった。
美津雄が妻・小百合と一緒に戻って来たのは、正午前だった。霊安室に移動した浩志の亡骸を目前に、二人は呆然とした。浩二は、泣き疲れた様子で言った。
「今朝、新聞を取りに玄関に行ったら座り込んでて…。すでに意識はなかった」
この言葉にようやく現実に戻った美津雄は、
「お、親父ぃぃぃぃぃ!」
と浩志の顔にかかった白布を取り、数��叩いた。無論、反応はない。やっぱり死んだのだと、
「な、なんで死んだンだよ! あんなに酒と男を取っ換え引っ換えしてたドすけべド変態だった親父が…」
と浩二に訴えた。
「知らねぇよ! オレも聞きたいわッ!」
「お義父さん、いつも違う男の人と旅行してたね…」
「いつも黒猫褌やらTバックやら、スッケスケのパンツ穿いてさァ…。『ろくな男いなくてつまンねぇよ!』って悪態ついてさァ…」
「お義父さん、東京に来ると必ず浅草のゲイバーに寄って…。本当にスケベだけが取り柄だったのに」
次から次へと、浩志にまつわる逸話がすすり泣きの傍らで色々出ていた。そんな三人を見つめながら、肉体から離れた浩志はイライラしていた。
“何だよ! 美津雄も小百合も言いたい放題じゃねぇか! 浩二も何だ! 嗚呼、畜生! オレだって未だ死にたくなかったわ! 今日は鶯谷の「Iサウナ」でケツ堀りワンワンしたかったのに…。嗚呼、畜生!”
浩志は何度か自分の肉体に戻ろうと試みたが、スルッと抜けてしまう。嗚呼、もし黄泉がえったら三人をびっくりさせてやろうと思ったが、無謀だった様だ。彼はますますイライラした。
“キィィィィィ! 畜生!”
仕方なく、四十九日まではこの世を彷徨うことにした。
午後になり、ようやく葬儀屋が来て浩志の亡骸は備前町の実家に運ばれた。浩二はもう一台の軽自動車に乗り、浩志が来ていた衣類の入ったK百貨店のショッパーを抱えていた。未だ頭の中が混乱していた。嗚呼、明日から一週間は落ち着かない。兄さんも、恐らく会社を休むだろう。先刻の、江利子さんや旦那の広樹さん、父さんの職場だった私立S高校にも連絡しなければならない。新聞の「お悔やみ」には、何社掲載してもらおうか?
気付くと自宅の前に来ていた。葬儀屋は仏間に浩志の亡骸を横たわせる布団を敷き、あちこちにドライアイスを挟んだ。後から駆け付けた美津雄と小百合は、すっかりこの世の者でなくなった父親を前に、
「うぇぇぇぇん!」
と泣きじゃくった。美津雄は、
「やっぱり死んじまったンだな!? 親父、先刻は引っ叩いて御免な!」
と頭を下げた。小百合も、
「昨年のお歳暮に、もっと高めのウィスキー送ればよかった…」
とハンカチで目頭を押さえた。
その間、フラフラと浩二は洗面所へ行き、玄関でたどり着くまで身に付けていたワイシャツや下着を洗濯機に入れた。嗚呼、遺品整理もしなければならないか? でも、しばら��弄らない方がイイかもしれない。彼は、背広とネクタイをハンガーにかけ、仏間の衣裳ラックに引っ掛けた。相変わらず美津雄と小百合は泣いている。浩二は、葬儀屋にお礼を言い、翌日葬式の段取りを決めると話した。
葬儀屋を見送ると、フラフラと浩二は応接間へ向かい、ソファに座り込んだ。どっと疲れが出て、彼はそのまま横になった。
『父さん、本当は爆睡しているだけなンじゃ…』
未だに浩志が死んだのを現実として受け入れられずにいた。しかし、死亡診断はしてもらったし、確かに脈もなかった。死に化粧もされた。やっぱり死んだのだ。
そのまま浩二は眠ってしまった。かなり深い眠りだった。二時間は寝ていただろうか? 小百合の声で目が覚めた。彼女は、
「浩二さん、何か作りますか?」
と聞いた。
「…寝ちゃった。確か、冷蔵庫に鶏肉が入ってるので、何でも」
「まァ、サッパリしたものでも。美津雄さんはやけ酒したいみたいだけど…」
「酒はご覧の通り、いくらでもあるので」
サイドボードの中には、浩志が趣味で集めた高級そうな洋酒がズラリと並んでいた。グラスも日本橋のM百貨店で買い求め、中には一度も使っていないものもあった。
小百合が台所へ向かうと、浩二は洗濯機の中に浩志が着ていたワイシャツや下着が入っていたのを思い出した。脱衣所へ行き、洗濯機からそれらを取り出すと仏間に置いてあった洗濯干しに一つひとつ干した。ワイシャツは青い縦縞のレギュラーカラーで、下着はリブ編みの白いタンクトップ、透け感のある水色のビキニだった。浩志の亡骸から離れずにいた美津雄は、
「親父、あんなスケベなパンツ穿いてたのか?」
と聞いた。浩二は苦笑しながら、
「トランクスなんて、穿いたところ見たことないよ。これは未だ序の口」
と言った。
「そんなスケスケじゃ、小便ちびったら大変だろ?」
「まァ、それは判らないけど」
「嗚呼、やっぱり親父はむっつりスケベだな!」
天井から二人のやり取りを見ていた浩志は、
“トランクスなんてちっとも色気がねぇ下着穿けるか!? 終わったオヤジみてぇな美津雄とは違うンだよ!”
と悪態をついた。嗚呼、浴衣を無理矢理着させられたが、あんな格好じゃ極楽浄土なんてできやしない。できれば背広を着せてもらえないかなァ? 下着はあのビキニでもイイ。何とか誰かの夢の中に出て来れないものか? 浩志は、何とか自分らしい葬式をして欲しいと渇望していた。
仏間隣の居間で三人は夕飯を食べた。小百合は給食センターの栄養士をしており、最近は美津雄が肥満気味なので余分な脂質を除いた���事作りに心掛けていた。それでも、
「嗚呼、豚の角煮が食いたいなァ〜」
と、片手に日本酒が入った「ちろり」を持ちながら訴えた。小百合は、
「この間だって、銀座で中華料理を堪能した後にビヤホールやバーで飲んで来たでしょ? あなた、動脈硬化進んでるンだから」
と言った。
そもそも食事に日本酒を付けた時点でアウトだろうと、浩二は思った。佐伯家の男たちは酒好きで、所謂「生活習慣病」が原因で皆「お陀仏」になっていた。彼は、できる限り長生きしようと最近は酒飲みを自粛していた。今回は、だが、今日は飲まずにはいられないと、応接間のサイドボードに入っていた「バレンタイン十二年」を持ち出し、ロックで飲んでいた。
こうして、浩志が死んだ一日目は終わった。美津雄はかつて使っていた自分の、小百合は浩二の部屋で休んだ。一方、浩二は居間に布団を敷いて寝ることにした。
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昨夜のごはん。
劇場版 バクテン!!に影響されてラーメン一択🤣
ライブビューイングの舞台挨拶で女川役の下野紘さんが「ラーメン食べたくなる」って仰ってたのと、本当に劇中の🍜🍥が美味しそうだったので、
映画館を出てから一直線😅
描かれていたのが醤油味っぽかったので、頭の中に浮かんだのは青樹さんの煮干しラーメンでした。


こってり、つけ麺、油そば等々がある中で、やっぱり基本のあっさり煮干しラーメンをチョイス。味玉も付けてますが😅
それだけだと野菜不足なので、茹でキャベツも一緒に注文。

このキャベツがね、ほんのり甘くて美味しいの💕大体トッピングでネギやメンマなどの増量は有りますが、キャベツを出してくれるお店ってあんまりないように思います。糖質制限がある人間にはとても有り難い🙏
半分食べてから、キャベツにはラー油を、ラーメンにはお酢を加えて味変いたしました。煮干しの風味とお酢の風味って合うと思う😤(私だけかな?青樹さんの煮干しのスープはかなりしっかりめなので、少々お酢を入れたくらいで壊れるもんじゃないし、さっぱりするんで好きなんですよ💦)
本当はカロリーと塩分を取り過ぎない為にもスープを残すべきなんでしょうが、やっぱり美味しいものは全部食べたい😥ということで、

又もや完食しましたw(駄目じゃん‼️)
本当は割りスープもあるんで、お腹に余裕があればもっと煮干しを堪能したかった😥(ちなみに一晩経ちましたが、胃もたれしてます……いいもん。我が選択に一片の悔いなし😤)
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走った後は食欲にブレーキかかりません!こってり味玉いただきます!もちろん平日ランチタイム小ライス付けましたよ(^^) #立川ラーメン #煮干ラーメン #ラーメン青樹 (煮干しらーめん 青樹) https://www.instagram.com/p/CGywzouFchN/?igshid=1khd6vwiv26h5
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🎼 00624 「ドリーム・スープ」。
いつかの晴れた日に 新装版を町で見かけて いつか読んで見やうと思っていました、わたしのラブリー 高峰秀子さんの 「高峰秀子のレシピ 「台所のオーケストラ」 より (ハースト婦人画報社 2012年)」 を読んでいます。わたしが読んでいるものは 新装版になる前のものですけれど、1982年に刊行されました 「台所のオーケストラ」 を底本とし、文春文庫や 光文社知恵の森文庫の 「おいしい人間、おいしいおはなし」 から抜粋したエッセイを加えて再編集した新装版ださうで、わたしが読んでいるものも新装版だったりします。そんなお料理本を読んでいて 読めても書けない感じがする漢字をテキトーに書き留めます (この頁を綴った数日後、新装版の新装版 (2015年9月4日初版) を手に入れました)。
・和えもの (あえもの)
・青豌豆 (アオエンドウ)
・赤唐辛子 (あかとうがらし)
・鰺 (アジ)
・海鱺 (アナゴ)
・��めもの (いためもの)
・鰯 (イワシ)
・薄切り (うすぎり)
・鰻 (ウナギ)
・雲丹 (ウニ)
・旨み (うまみ)
・梅干 (うめぼし)
・熟れた (うれた)
・お刺身 (おさしみ)
・お吸い物 (おすいもの)
・お猪口 (おちょこ)
・落とし蓋 (おとしぶた)
・お箸 (おはし)
・お盆 (おぼん)
・お味噌汁 (おみそしる)
・牡蠣 (かき)
・片栗粉 (かたくりこ)
・蒲焼き (かばやき)
・唐揚げ (からあげ)
・顆粒 (かりゅう)
・寒卵 (かんたまご)
・罐詰 (かんづめ)
・甘味 (かんみ)
・黄菊 (キギク)
・魚介 (ぎょかい)
・燻製 (くんせい)
・月桂樹 (げっけいじゅ)
・鯉 (こい)
・香辛料 (こうしんりょう)
・焦げめ (こげめ)
・胡椒 (こしょう)
・御馳走 (ごちそう)
・小鉢 (こばち)
・牛蒡 (ゴボウ)
・小麦粉 (こむぎこ)
・鮭 (サケ)
・サツマ芋 (さつまいも)
・酸味 (さんみ)
・椎茸 (しいたけ)
・塩茹で (しおゆで)
・紫蘇 (シソ)
・食事 (しょくじ)
・蛇口 (じゃぐち)
・春菊 (しゅんぎく)
・蓴菜 (ジュンサイ)
・生姜 (ショウガ)
・韮黄 (ジョウホワン)
・醤油 (しょうゆ)
・精進揚げ (しょうじんあげ)
・食パン (しょくぱん)
・白髪ねぎ (しらがねぎ)
・白下 (しろした)
・新鮮 (しんせん)
・酢 (す)
・寿司屋 (すしや)
・千切り (せんぎり)
・栓抜き (せんぬき)
・鯛 (タイ)
・筍 (たけのこ)
・玉葱 (タマネギ)
・束子 (たわし)
・茶碗蒸し (ちゃわんむし)
・中華鍋 (ちゅうかなべ)
・厨房 (ちゅうぼう)
・佃煮 (つくだに)
・手羽先 (テバサキ)
・冬瓜 (とうがん)
・豆板醤 (とうばんじゃん)
・豆腐 (とうふ)
・鶏肉 (とりにく)
・茄子 (なす)
・納豆 (ナットウ)
・日本酒 (にほんしゅ)
・人参 (ニンジン)
・海苔 (ノリ)
・蠔油 (ハオユー)
・発酵 (はっこう)
・鱧 (ハモ)
・半熟 (はんじゅく)
・冷やごはん (ひやごはん)
・瓶詰 (びんづめ)
・風味 (ふうみ)
・福神漬 (ふくじんづけ)
・豚 (ブタ)
・沸騰 (ふっとう)
・包丁 (ほうちょう)
・鮪 (マグロ)
・俎板 (まないた)
・水煮 (みずに)
・味噌漬け (みそづけ)
・無添加 (むてんか)
・目玉焼き (めだまやき)
・麺類 (めんるい)
・火傷 (やけど)
・落花生 (らっかせい)
・辣油 (らーゆ)
・卵白 (らんぱく)
・料亭 (りょうてい)
・冷凍保存 (れいとうほぞん)
・わさび醤油 (わさびじょうゆ)
・蕨 (ワラビ)
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万金丹
「おい、どうしたい? しっかり歩けよ」 「とても腹がへって歩けねえ。二、三日ろくなものを食わねえから、歩いてもふらふらしていけねえ。水さえみりゃあガブガブやってみるが、どうもあいつあ腹にたまらねえなあ。ガバガバアン、ガバガバアンなんて腹ん中が水で波立ってやがら……おまけにきょうはむかいっ風だから、腹ん中は時化《しけ》だ」 「なにをいってやあがる……腹ん中の時化なんてあるもんか」 「ああ腹がへった。たまらねえなあ……こう腹がへってくるとなんでも食いものにみえてくらあ……おめえの顔なんぞでこぼこしてじゃがいもにみえらあ……鼻なんぞまっ赤だからたらの子にみえる……ああ食いてえなあ」 「おいおい、よせよ、こんちくしょう。だんだん目がすわってきやがった。あぶねえ野郎だな、ほんとに……」 「ときに兄弟、もう夕方になるが、この大きな原で、銭はなし、家はなし、どういうところへ泊まるんだい?」 「野宿だよ」 「なんだい、その野宿てえのは?」 「あれっ、おめえ野宿を知らねえのか? 野に寝るから野宿じゃねえか」 「ああそうか。それじゃあ山へ泊まれば山宿だ。してみりゃあ鳥なんざあ枝宿だな……おらあ野宿なんぞしたかあねえや。屋根宿の、畳宿の、ふとん宿の、女宿といきてえ」 「くだらねえことをいうない……おっ……おうおう、むこうをみろよ」 「え?」 「どっちをみてるんだ。おれの指の先をみろ」 「ああ爪があらあ」 「なにをいってやんでえ、爪の先をみろってんだ」 「おっそろしく爪をのばしたなあ。おまけに垢がまっ黒にたまってらあ」 「こんちくしょうめ、爪の垢なんざあどうでもいいんだ。むこうに森がすーっとみえて、白い塀がチラチラみえるだろう?」 「どこに?」 「それ、むこうに森がすーっとみえて、白い塀がチラチラみえるじゃあねえか」 「ああ、森も白い塀もみえるけど、そのすーってやつと、チラチラってえのはみえねえぜ」 「そんなものがみえるわけねえじゃあねえか。そりゃあことばのかざりだよ。まあ、あれだけの塀があれば大百姓のうちにちげえねえ。田舎の人は親切だ。行き暮れて難儀をするといってたのんだら、今夜泊めてくれるだろう」 「そうかい、そいつあありがてえ。早くいってなんか食わしてもらおうじゃあねえか。どうも野宿はからだによくねえから……早くいってみよう」 「うん、まあ元気をだして歩け……おうおう、やっと着いたぜ……おい、百姓家だとおもってきたら、こいつあ寺だ」 「なんだい、寺か……しかし、寺には坊さんがいるだろう?」 「そりゃあいらあな」 「坊主食っちまおうか?」 「この野郎、なんでも食う気でいやがる。坊主が食えるかい?」 「ああ、場ちげえのたこぐらいにゃあ食えるだろう」 「じょうだんいっちゃあいけねえぜ……まあ、人を助けるのは出家の役というから、きっと泊めてくれるよ。いま、おれが聞いてみてやるから……へえ、ごめんくださいまし、おたのみ申します」 「はいはい、どなたじゃな? ……いま、おたのみ申しますといったのはおまえがたか?」 「へえ、おまえがたなんで……」 「自分でおまえがたというのはないな……旅のかたか?」 「じつは、行き暮れて難渋をいたします。今晩ひと晩でよろしいんですが、お宿をねがいたいとおもいまして……いかがなもんでござんしょうか?」 「それはさぞご難儀のことじゃろう。ごらんの通りの荒れ寺、夜の具《もの》とてろくにないが、まあ、お泊め申すだけならお泊め申そう」 「へえへえ、もう本堂の隅なり土間の隅なり、どこでも結構でござんすが……へえ、どうもありがとうございます」 「さあさあ、ふたりともそこで足を洗うてこれへきなさい……さあさあ遠慮せずにいろりのそばへきなさい。山路は冷えるでな、火がなによりのごちそう、これへきてあたたまりなさい。これへきて腹をあたためなさい。腹をあぶりなさい」 「え? 腹をあぶる? ……こちとらあ、腹ん中あからっぽで人間の干物《ひもの》みてえなもんだけど、まさかてめえで、てめえをあぶって食うわけにもいかねえしな」 「なにをくだらねえことをいってるんだ」 「なんか食わせてくれねえかな? 催促してみろい」 「そうもいくめえ」 「だからよ、すこし昼めしを早く食いすぎたかなんかいやあ、むこうで気がつくぜ」 「そうかな? ……やってみるか」 「やってみようじゃあねえか」 「うん」 「なあ兄弟」 「うん?」 「すこし昼めしを早く食いすぎたなあ」 「そんなに早く食ったかなあ」 「ああ早すぎたとも……なにしろ、おとといの晩に食っちまったから……」 「いや、これは愚僧としたことがうかつであった。あなたがたはよほど空腹のごようすじゃな」 「へえ、もう空腹なんてなまやさしいもんじゃあねえんで……もう、へそが背なかへぬけちゃいます」 「そりゃあお気の毒だ。そこに鍋がかかっておる。雑炊《ぞうすい》だが、よかったらおあがり。むこうの棚に椀《わん》があるから自分で盛ってたくさんやんなさい。椀はふたつあるが、箸《はし》は一膳しかないから、そちらのかたは、その火箸でおあがり」 「火箸で? ひでえことになりゃあがったな……じゃあ遠慮なくいただきます……おい、いただこうじゃあねえか」 「うん」 「おい、なにを変なつらあしてるんだ? え? においをかいでみろ? ぜいたくいっちゃあいけねえや、においなんぞどうだって腹さえくちくなりゃあ……なるほど、変なにおいだ」 「それになんだか舌へざらざらあたるぜ」 「舌へざらざらあたる? ……うん、なるほど……ええ、ちょいと和尚《おしよう》さんにうかがいますが……��� 「なんじゃな?」 「へえ、この雑炊は、どうも変なにおいがして、口へいれるとざらざら舌にあたりますが、一体これはなんでしょうか?」 「それは、人間のからだに精分がつく薬じゃによってたくさんやんなさい」 「へえ、なんの雑炊なんで?」 「それは赤土のよく乾したものを雑炊にしたのじゃ」 「へえ、赤土? じょうだんじゃあねえ、いくら精分がつくからって、万年青《おもと》じゃああるまいし、赤土で精分なんぞつけられちゃあたまらねえや……それに、和尚さん、藁《わら》のようなものが歯にひっかかりますが……」 「ああ、それは藁のようなものではない」 「藁のようなものでないっていうと、なんなんで?」 「ほんとうの藁じゃ。からだをあたためるようにいれてある」 「じょうだんじゃあねえや。いくらあったまるったって、赤土と藁を食やあ、なんのこたあねえ、腹んなかへ壁ができちゃいますからね、せっかくですが、この雑炊はごめんこうむりましょう」 「いや、おまえがたに食せんのもむりはない。愚僧にも食べられん」 「いやだなあ、自分で食えねえものを……」 「じつはな、わしの師匠がな、出家は樹下石上を宿とするのがつね、武家でいう治にいて乱をわすれずということを教えてくれたによって、月に一度ずつかようなものをこしらえて食すのじゃ。きょうは、師匠の祥月命日《しようつきめいにち》、これをこしらえて仏壇にそなえた。その命日におまえがたが泊まりあわせたのもなにかの因縁、そこで一口ふるもうたようなしだい……なむあみだぶ、なむあみだぶ……」 「なんだか陰気になっちまったなあ……ほかになんか食べるものはありませんか?」 「麦飯《ばくはん》でよろしければ、それにあるからおあがり」 「へえ、ありがとうございます」 こうして泊まりましたところが、それから三、四日雨でふりこめられてしまいました。 「これこれ、おまえがた、雨もすっかりあがったようじゃから、そろそろ旅立ってはどうじゃな?」 「へえへえ、すっかりご厄介になりまして、ご厄介になりついでというのもなんでござんすが、もう四、五日おねげえ申してえんですがね」 「そりゃあこまるなあ。旅のおかたを長いこと泊めておくというのは、檀家のものに聞こえてもどうも……」 「しかしねえ、あっしたちもこうして旅をしておりますが、なにしろ江戸を食いつめて大阪へ知りびとをたずねていくというような心ぼそい旅なんで……」 「まあ、いってみればあまりあてのない旅だというのじゃな」 「へえ、そんなことなんで、もうすこしのあいだご厄介に……」 「どうじゃな? あなたがた、そんなあてのないことで知らぬ他国へいくよりも出家しなさる気はないか?」 「え?」 「うかがったところによると、たいへんに親不孝もし、道楽もしたようであるが、このさい、罪障消滅のために髪をおろし、御仏《みほとけ》の弟子になって修行《しゆぎよう》する気はないか?」 「へえ、なんのことで?」 「つまり、坊さんになるのだな」 「坊主になると、どうかなりますか?」 「一人出家すれば九族天に生ずというな」 「へえ、きゅうりがてんかんになりますか?」 「いやいや、親戚一同のものが極楽浄土へいけるということじゃ。どうじゃな、出家する気はないか?」 「へえ……どうする? 兄弟、和尚さんが坊主になれっていうが、やってみるかい?」 「そうよなあ、なまじっかあてのねえ旅をして��もじいおもいをするこたあねえからな。まあ、身のふりかたのつくまでやってみるとしようか」 「そうかい……じゃあ和尚さん、なにごとも融通《ゆうずう》ですからねえ、ひとつ坊主をやってみましょう」 「これこれ、融通で出家するやつがあるか。しかし、まあ、おまえがたのことだ。たいして悪気もなかろう。さっそく髪をおろして名前をつけてやろう。おまえがたの名はなんというな?」 「あっしはねえ、梅吉で、こいつは初五郎と申します」 「では、梅坊と初坊となるがよい」 「梅坊主に初坊主とくりゃあ、どうみてもかっぽれだ」 まことにいいかげんな坊主ができあがりましたが、それでも二十日もたつと、どうにか坊さんらしくなりまして、毎朝、本堂で念仏をとなえるようになってまいりました。 「なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ……なあ梅坊、しばらく酒をのまねえが、飲みてえなあ……なむあみだぶ、なむあみだぶ……それに女もずいぶん抱いてねえなあ……なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ……かわいい女の子と一ぱいやりながら四畳半なんてえなあたまらねえからなあ……なむあみだぶ、なむあみだぶ……おい、ここの和尚はずいぶん金を持っていそうだなあ」 「そうだなあ」 「どうだい、和尚をしめ殺して、有り金かっぱらってずらかっちまうか?」 「それもいいなあ」 「じゃあ善は急げてえから、今夜さっそくやっつけるか、なむあみだぶ、なむあみ……」 「これこれ、なんじゃ、両人のもの、これにおって聞いておればまことにおだやかならん相談をしておったな。和尚をしめころして、有り金持ってずらかるとな?」 「いえなに、ただそうしようかって、はなしをしただけなんで……まあ、しめ殺すほうにまとまりがつきましたが……」 「そんなことをまとめてるやつがあるか……そんなことよりも、両人ともこれへきなさい。じつはな、京都の本山から飛脚がまいって、ぜひいかねばならんことに相成った。おまえたちに留守をいいつけるによって、よう留守居をなさい。わしの留守のあいだに乱暴狼藉《らんぼうろうぜき》をしてはならんぞ。それに檀家から葬式万端持ちこんでくることがあったら、とてもおまえたちの手には負えまい。この山ひとつ越すと静蓮寺《じようれんじ》という寺がある。これへたのんで万端のことをしなさい。よろしいか?」 「へえへえ……和尚さま、いつごろお帰りになります?」 「一月ほどは帰らぬによって、どうかたのみますぞ」 「へえ、よろしゅうございます。まあ安心していってらっしゃいまし」 「いってらっしゃい、お近いうちに……」 「和尚め、高慢ちきなつらあしてでていきゃあがった。どうだ、梅坊、鬼のいねえ留守に命のせんたくといこうじゃねえか。酒を買ってこいよ」 「酒買うったって銭がねえやな」 「銭なんぞ、本堂へいけば賽銭《さいせん》箱があるじゃあねえか」 「だって鍵がかかってるぜ」 「そんなものあぶちこわせ」 「和尚が帰ってきて文句いうだろう?」 「かまうこたあねえから、賽銭泥棒がへえったかなんかいってごまかすさ」 「そうかい、じゃあちょいといってくらあ……だめだ、だめだ、貧乏寺は情けねえや。賽銭いれるやつもろくにねえとみえて、たいしたこたあねえぜ」 「なんだ、これっぽっちか……まあ、それで酒を買うとして、魚はと……そうだ、裏の池へいきゃあ、鯉《こい》か鯰《なまず》ぐれえい���だろう。そんなもんでもとってこようじゃあねえか」 「とってくるったって、網がねえぜ」 「網がなけりゃあ、麻の衣《ころも》があるじゃあねえか。あいつでやっつけろ」 らんぼうなやつがあるもので、酒を買ってきて、鯉こくのようなものをこしらえると、ひさかたぶ��でやりましたから、ふたりともすっかりいい気持ちになりまして、 「どうでえ、すっかりいい心持ちになっちまったなあ、どうだ、酒はまだあるか? なくなったらかまうこたあねえから、本堂のもんでもなんでもたたき売っちまえ。あみださまだろうがなんだろうがかまうこたあねえや……あーあ、いい心持ちだ。こんないい心持ちになったってえのに、ただ飲んでるのもおもしろくねえな。どうだ、木魚でもたたいて都都逸《どどいつ》でも唄うか?」 「あんまりぱっとしねえな」 「じゃあ、ぱあっとしたところで、本堂へ火をつけてわっとさわごうじゃあねえか」 「ぱあっとしてるのはいいが、あとでいるところがなくなっちまわあな」 「ええ、ごめんくだせえまし、おたのみ申します」 「おう、表のほうにだれかきたぜ。おめえ、ちょいとみてきてくれ」 「厄介《やつけえ》な野郎がきやがったな。どれ、いってみるか」 「おい、待ちな、待ちな、はちまきはとっていけよ」 「だっていせいがいいじゃねえか」 「まっ赤なつらあして坊主がはちまきで、でていきゃあ、ゆでだことまちがわれらあ。いいからとっていけよ」 「そうかい……おう、なにか用か?」 「あんれまあ、いせいのいい坊さまがでてござったぞ……まあ、おめえさま、うでだこみてえにまっ赤でねえか?」 「なんだと、まっ赤だ? ああ、このまっ赤なところがありがてえ坊主のしるしだ。ふだんから緋《ひ》の衣《ころも》てえのを着てるから、こうやってまっ赤に染まっちまったんだ」 「へーえ、そうでごぜえますか」 「ああ、そうだとも……ときに、なんか用か?」 「はあ、てまえは、当寺《とうでら》の一檀家でごぜえます新田《しんでん》の万屋《よろずや》金兵衛の身内のものでごぜえますが、けさほど金兵衛が死去つかまつってごぜえます」 「そうかい。そりゃあ結構だ。いずれお目にかかっておよろこび申しますとそういってくれ」 「いえ、死去《かくれ》ましたので……」 「かくれた? そんならさがしたらいいじゃあねえか。これぽっちのせめえ土地だ。じきにわかるだろう」 「なに、金兵衛が落ちいりました」 「どこへおっこった?」 「こりゃあ、はあ、どうもわからねえ坊さまだな……金兵衛がおっ死《ち》にましたんで……」 「ああそうかい、くたばったのか」 「くたばった?」 「くたばったんならくたばったとはやくいうがいいじゃあねえか……それでなんだろう、安葬《やすとむら》いでもだそうってんだろう?」 「さようでごぜえます」 「そいつあこまったなあ、和尚はいねえしなあ……あっ、そうだ、いいよいいよ、安心しな。和尚はいま京都の本山へいって留守だが、江戸からありがてえ大僧正が、これも京都の本山へおいでになるってんで、ちょうど当寺《とうでら》にお泊まりあわせになってるから、そのお上人《しようにん》にたのんでやろうじゃあねえか。そのお上人がいってくださりゃあ、おめえんとこの仏はしあわせだよ。ちょっと待ってな、いまお上人さまに聞いてみてやるから……おい、梅坊、いくんだいくんだ」 「なんだなんだ、喧嘩の助《すけ》っ人《と》か?」 「よせやい、寺へ喧嘩の助っ人をたのみにくるやつがあるもんか。葬《とむれ》えだよ」 「じゃあ、この山ひとつ越して静蓮寺とかいう寺へたのんだらいいじゃあねえか」 「もったいねえことをいうない。うっ��りそんな寺へたのんでみろい、お布施《ふせ》はみんな持ってかれちまうじゃあねえか」 「じゃあ、どうするんだ?」 「おめえが江戸のありがてえお上人さまてえことになってるから、むこうへいって、しらばっくれてお経をあげて、お布施をもらったら、それで一ぱいやろうってんだ。さあ、でかけろい」 「そいつあだめだ」 「どうして?」 「どうしてって、おらあ、お経なんざあ知らねえもの……」 「かまうもんか、知らねえったって……なんだっていいんだ。お経らしく節《ふし》をつけてやってりゃあ、それらしく聞こえらあな……いろはにほへとだってなんだっていいんだよ」 「えっ、いろはにほへと?」 「そうよ。いかにもお上人さまみてえな高慢なつらあして、鉦《かね》のひとつもチーンとたたいてな、いー……ろー……はー……にー……ほー……へー……とー……チーンとかなんとかやってりゃあ、お経らしく聞こえらあな」 「大丈夫かい?」 「大丈夫だってえことよ。それであっさりしすぎてるとおもったら、沖の暗いのに白帆がみえるでもなんでも、おまけにやってやれ」 「それじゃあ、かっぽれみてえだ。どうもたいへんなお経だなあ」 「いいんだよ。で、いいかげんのところで引導《いんどう》をわたしちまえばかまやあしねえや」 「引導ってえのはどうするんだ?」 「なあに、かまうこたあねえから、引導らしいもっともらしい声をだして、それつらつらおもんみるに、地獄極楽のふたつあり、いきたきかたへ勝手にいけ! 喝《かつ》! かなんかいっておけ」 「いいのかい、そんなことで?」 「もしもそれでぐずぐずいいやがったら、おれがまわりの野郎を三、四人張り倒すから、そのすきに香奠《こうでん》かっつぁらってずらかっちまえ」 「らんぼうだな、どうも……」 「じゃあ、手はずはきまったぜ……ああ、お上人さまがいってくださるそうだ。さあさあ案内をしてくれ」 「こりゃあありがとうごぜえます。そうだにえれえお上人さまをおつれ申せばよろこびますべえ。なにしろまあ、金兵衛のところは村一番の金持ちでごぜえますから、お布施のところもたっぷりはずませてもれえます」 「そうか、そいつあ豪儀《ごうぎ》だ。じゃあ、まあ、早えとこ案内しな」 「へえ、よろしゅうごぜえます。こりゃあ、お上人さま、ごくろうさまでごぜえます。こうおいでくだせえまし……へえ、ここでごぜえます……ああ、いってめえりました。和尚さまあござらっしゃらなかったが、江戸からありがてえお上人さまてえおかたが、ちょうどお泊まりあわせで、はあ、そのお上人さまあたのんでおつれ申しただ」 「はあ、それはそれは、どうもありがてえこった。さあさあ、お上人さま、どうかまあよろしくおねげえ申します」 「はあ、よろしい。ではさっそく……なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ……これ、新仏があるというのに仏壇をしめておいてはいかんではないか……なむあみだぶ、なむあみだぶ……しまった、数珠《じゆず》をわすれてきた」 「そそっかしい坊さまだなあ」 「なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ……ああ、田舎の仏壇はずいぶんかわっている。線香も花もなんにもあがっていない……なむあみだぶ、なむあみだぶ……こんにゃくとがんもどきと蓮《はす》の煮《に》しめに、たくあんと梅ぼしとつくだ煮があがっているが、こういうものを食うとのどがかわいてしょうがねえ……なむあみだぶ……」 「あれあれ、和尚さま、それは仏壇ではありません。蠅帳《はいちよう》で……」 「はい、ちょうですか」 「あんれまあ、つまんねえしゃれをいうお上人さまだ……こちらに棺桶がごぜえますからおねげえ申します」 「ああ、さようか、なるほど棺だ、棺だ、かんだからからとうち笑い……えへん……なむあみだぶ、なむあみだぶ、なむあみだぶ……このへんで鉦を打ってお経にうつるぞ……チーン……いー、ろー、はー……にー、ほー、へー、とー……チーン……富士の白雪ゃノーエ、富士の白雪ゃノーエ、富士のサイサイ、白雪ゃ朝日でーとける……」 「おかしなお経だね、どっかで聞いたような文句でねえかな」 「なむあみだぶ、なむあみだぶ……おてもやん、あんたこのごろ嫁入りしたではーないかーいーなー……嫁入りしたこつぁしたばってん……チーン……お経はこのくらいにしよう。お経の長いのは仏のためにもよろしくない。お経はさわりのとこだけにかぎる」 「あんれまあ、お経にさわりなんてえのがごぜえますか?」 「ああ、お経だの、痴漢だのてえものは、みんなさわりがつきものだ」 「ばかこくでねえだ」 「さあさあ、お上人さまは、お経がおわったところですこしおやすみになる。あとでゆっくり引導わたしてあげるから、仏のために寺へおさめ物をしなさい。ああ、なるべく現金のほうがよろしいぞ。それはすぐにわしがもらっていくから……それから、こちらのお上人さまは、酒は飲まねえとか、生ぐさものは食わねえとか、そんなやぼなことはいわねえから、なんでもどんどん持ってこい。それにお通夜《つや》の陰気なのはいけねえな。じゃんじゃん陽気にさわげ、芸者でもなんでもあげて夜通しさわぎまくれっ」 「あんれまあ、なんていせいのいい坊さまだ……和尚さま、おねげえがごぜえます」 「なんだ、なんかくれるか?」 「いや、そうではごぜえません。まだ戒名《かいみよう》をいただいておりませんので、ぜひひとつ戒名を……」 「戒名? そうだったなあ、うっかりしてた。そうと知ったら本堂のなんかひっぺがしてくるんだったなあ……戒名なんかどうでもいいだろう」 「いや、戒名のねえ仏というのはごぜえません」 「そうかい……しかし、おめえのうちでもまただれか死ぬだろう? そのときいっしょにまとめてつけようじゃねえか」 「そんなわけにはいかねえだ」 「そうかい、田舎は融通がきかねえな……ええ、お上人さま、戒名がいると申しておりますが……(小声で)なんかねえかい? なあに、字が書いてありゃあいいんだ」 「(小声で)字が書いてあればいいのか? ……うん、こりゃあどうだ? 和尚の居間を掃除してたらおっこってやがったんだが……」 「(小声で)どれどれ……なんでもいいや、字さえ書いてありゃあかまやあしねえ……おいおい、戒名はできていたぞ。お上人さまがお寺をおでかけになるときおつけくだすったんだ。ありがたくおうけするように……」 「へえ、ありがとうごぜえます。これ、みんなここへこうや、お上人さまから戒名をいただいたぞ。これが戒名だ。なに? 戒名なんてものは長えもんだってか? うん、そういえば、えかくまっ四角だな……和尚さま、えかくまっ四角な戒名でごぜえますね」 「ああ、そりゃあ新型の戒名だ」 「へーえ、新型かね? ……えー、なんだと……ええ、官許、伊勢浅間、霊宝万金丹……なんだこりゃあ? ……だめだ、和尚さん、こりゃあ薬の袋でねえだか」 「そうかい、まあいいやな」 「よかあねえだ。戒名なんてものは、その仁《にん》に合うようにできてるもんだ」 「その仁にあってるじゃねえか」 「合ってる? じゃあ、はじめの官許てえのはどういうわけかね?」 「わかりきったことを聞くなよ。いま、お上人さまが棺の前で経をお読みになったろう?」 「へえ」 「だから、かんきょう(棺経)よ」 「へーえ、���の前で経を読んでかんきょうかね、なんだか判《はん》じ物みてえだね……じゃあ、この伊勢浅間てえのはなんだね?」 「生きてるうちはいせいがいいが、死んじまえば、こんなあさましい姿になるじゃあねえか。いせいのいい者が、あさましくなるから、いせいあさまじゃあねえか」 「はあそうかね……霊宝……この霊宝ちゅうのはなんだね?」 「ああそれか……それは……死ねば幽霊になるから霊の字をつけた」 「幽霊になぞでられてはこまりますだ」 「だから幽霊がでないようにお上人さまにありがたいお経をあげていただいて、お布施をさしあげるわけだ。お布施は、金だ、お宝だ。お宝で幽霊をとめるから霊宝となる。したがって、お布施をはずめということだ」 「あんれまあ、戒名の中にお布施の催促までへえってますかね? ……じゃあ、この万金ちゅうのはなんだね?」 「万屋《よろずや》金兵衛が死んだんだから、万金《よろきん》の万金とならあ」 「へえ、そうかね……ええと……万金丹……この丹ちゅうのはなんだね?」 「うるせえな、丹ぐらいまけとけよ……金兵衛が死ぬときに、ゴロゴロと痰《たん》がのどへからまった。万屋金兵衛が、ゴロゴロきゅうと死んだから、それで万金丹となるじゃあねえか」 「いや、痰《たん》がからんで死んだんではねえだ。年よりの冷水《ひやみず》で、よせばいいに、屋根の草むしりしてるうちに屋根からころがりおちて死んだだ」 「なに? 屋根からおっこったんだと? じゃあ、おっこったんのたんでいいじゃあねえか。屋根からコロコロコロコロおっこったんさ、コロコロコロコロ万金丹、コロコロコロコロ万金丹さ」 「はあ、おっこったん、万金丹かね?」 「そうよ。コロコロコロコロおっこったん、コロコロコロコロ万金丹とくらあ」 「はあ、どうもこりゃあ陽気な戒名だ……わきに白湯《さゆ》にてもちうべしとただし書があるでねえか、なんだね、この白湯にてもちうべしちゅうのは?」 「白湯にてもちうべしってんだから、この仏にはお茶湯《ちやとう》をあげるにはおよばねえ」
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煮干しらーめん青樹@立川
こってり煮干しらーめん
2018年春 花粉症の時には食べてはいけないラーメン
鼻づまりで呼吸困難&嗅覚死亡で相性最悪だった。
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☆プロトタイプ版☆ ひとみに映る影シーズン2 第七話「復活、ワヤン不動」
☆プロトタイプ版☆ こちらは電子書籍「ひとみに映る影 シーズン2」の 無料プロトタイプ版となります。 誤字脱字等修正前のデータになりますので、あしからずご了承下さい。
☆ここから買おう☆
(シーズン2あらすじ) 私はファッションモデルの紅一美。 旅番組ロケで訪れた島は怪物だらけ!? 霊能者達の除霊コンペとバッティングしちゃった! 実は私も霊感あるけど、知られたくないなあ…… なんて言っている場合じゃない。 諸悪の根源は恩師の仇、金剛有明団だったんだ! 憤怒の化身ワヤン不動が、今度はリゾートで炸裂する!!
pixiv版 (※内容は一緒です。)
དང་པོ་
ニライカナイから帰還した私達はその後、魔耶さんに呼ばれて食堂へ向かう。食堂内では五寸釘愚連隊と生き残った河童信者が集合していた。更に最奥のテーブルには、全身ボッコボコにされたスーツ姿の男。バリカンか何かで雑に剃り上げられた頭頂部を両手で抑えながら、傍らでふんぞり返る禍耶さんに怯えて震えている。 「えーと……お名前、誰さんでしたっけ」 この人は確か、河童の家をリムジンに案内していたアトム社員だ。特徴的な名前だった気はするんだけど、思い出せない。 「あっ……あっ……」 「名乗れ!」 「はひいぃぃ! アトムツアー営業部の五間擦平雄(ごますり ひらお)と申します!」 禍耶さんに凄まれ、五間擦氏は半泣きで名乗った。少なくともモノホンかチョットの方なんだろう。すると河童信者の中で一番上等そうなバッジを付けた男が席を立ち、机に手をついて私達に深々と頭を下げた。 「紅さん、志多田さん。先程は家のアホ大師が大っっっ変ご迷惑をおかけ致しました! この落とし前は我々河童の家が後日必ず付けさせて頂きます!」 「い、いえそんな……って、その声まさか、昨年のお笑いオリンピックで金メダルを総ナメしたマスク・ド・あんこう鍋さんじゃないですか! お久しぶりですね!?」 さすがお笑い界のトップ組織、河童の家だ。ていうか仕事で何度か会ったことあるのに素顔初めて見た。 「あお久しぶりっす! ただこちらの謝罪の前に、お二人に話さなきゃいけない事があるんです。ほら説明しろボケナスがッ!!」 あんこう鍋さんが五間擦氏の椅子を蹴飛ばす。 「ぎゃひぃ! ごご、ご説明さひぇて頂きますぅぅぅ!!」 五間擦氏は観念して、千里が島とこの除霊コンペに関する驚愕の事実を私達に洗いざらい暴露した。その全貌はこうだ。 千里が島では散減に縁を奪われた人間が死ぬと、『金剛の楽園』と呼ばれる何処かに飛び去ってしまうと言い伝えられている。そうなれば千里が島には人間が生きていくために必要な魂の素が枯渇し、乳幼児の生存率が激減してしまうんだ。そのため島民達は縁切り神社を建て、島外の人々を呼びこみ縁を奪って生き延びてきたのだという。 アトムグループが最初に派遣した建設会社社員も伝説に違わず祟られ、全滅。その後も幾つかの建設会社が犠牲になり、ようやく事態を重く受け止めたアトムが再開発中断を検討し始めた頃。アトムツアー社屋に幽霊が現れるという噂が囁かれ始めた。その霊は『日本で名のある霊能者達の縁を散減に献上すれば千里が島を安全に開発させてやろう』と宣うらしい。そんな奇妙な話に最初は半信半疑だった重役達も、『その霊がグループ重役会議に突如現れアトムツアーの筆頭株主を目の前で肉襦袢に変えた』事で霊の要求を承認。除霊コンペティションを行うと嘘の依頼をして、日本中から霊能者を集めたのだった。 ところが行きの飛行機で、牛久大師は袋の鼠だったにも関わらず中級サイズの散減をあっさり撃墜してしまう。その上業界ではインチキ疑惑すら噂されていた加賀繍へし子の取り巻きに散減をけしかけても、突然謎のレディース暴走族幽霊が現れて返り討ちにされてしまった。度重なる大失態に激怒した幽霊はアトムツアーイケメンライダーズを全員肉襦袢に変えて楽園へ持ち帰ってしまい、メタボ体型のため唯一見逃された五間擦氏はついに牛久大師に命乞いをする。かくして大師は大散減を退治すべく、祠の封印を剥がしたのだった。以上の話が終わると、私は五間擦氏に馬乗りになって彼の残り少ない髪の毛を引っこ抜き始めた。 「それじゃあ、大師は初めから封印を解くつもりじゃなかったんですか?」 「ぎゃあああ! 毛が毛が毛がああぁぁ!!」 あんこう鍋さんは首を横に振る。 「とんでもない。あの人は力がどうとか言うタイプじゃありません。地上波で音波芸やろうとしてNICを追放されたアホですよ? 我々はただの笑いと金が大好きなぼったくりカルトです」 「ほぎゃああぁぁ! 俺の貴重な縁があぁぁ、抜けるウゥゥーーーッ!!」 「そうだったんですね。だから『ただの関係者』って言ってたんだ……」 そういう事だったのか。全ては千里が島、アトムグループ、ひいては金剛有明団までもがグルになって仕掛けた壮大なドッキリ……いや、大量殺人計画だったんだ! 大師も斉二さん���こいつらの手の上で踊らされた挙句逝去したとわかった以上、大散減は尚更許してはおけない。 魔耶さんと禍耶さんは食堂のカウンターに登り、ハンマーを掲げる。 「あなた達。ここまでコケにされて、大散減を許せるの? 許せないわよねぇ?」 「ここにいる全員で謀反を起こしてやるわ。そこの祝女と影法師使いも協力しなさい」 禍耶さんが私達を見る。玲蘭ちゃんは数珠を持ち上げ、神人に変身した。 「全員で魔物(マジムン)退治とか……マジウケる。てか、絶対行くし」 「その肉襦袢野郎とは個人的な因縁もあるんです。是非一緒に滅ぼさせて下さい!」 「私も! さ、さすがに戦うのは無理だけど……でもでも、出来ることはいっぱい手伝うよ!」 佳奈さんもやる気満々のようだ。 「決まりね! そうしたら……」 「その作戦、私達も参加させて頂けませんか?」 食堂入口から突然割り込む声。そこに立っていたのは…… 「斉一さん!」「狸おじさん!」 死の淵から復活した後女津親子だ! 斉一さんは傷だらけで万狸ちゃんに肩を借りながらも、極彩色の細かい糸を纏い力強く微笑んでいる。入口近くの席に座り、経緯を語りだした。 「遅くなって申し訳ない。魂の三分の一が奪われたので、万狸に体を任せて、斉三と共にこの地に住まう魂を幾つか分けて貰っていました」 すると斉一さんの肩に斉三さんも現れる。 「診療所も結界を張り終え、とりあえず負傷者の安全は確保した。それと、島の魂達から一つ興味深い情報を得ました」 「聞かせて、狸ちゃん」 魔耶さんが促す。 「御戌神に関する、正しい歴史についてです」 時は遡り江戸時代。そもそも江戸幕府征服を目論んだ物の怪とは、他ならぬ金剛有明団の事だった。生まれた直後に悪霊を埋め込まれた徳松は、ゆくゆくは金剛の意のままに動く将軍に成長するよう運命付けられていたんだ。しかし将軍の息子であった彼は神職者に早急に保護され、七五三の儀式が行われる。そこから先の歴史は青木さんが説明してくれた通り。けど、この話には続きがあるらしい。 「大散減の祠などに、星型に似たシンボルを見ませんでしたか? あれは大散減の膨大な力の一部を取り込み霊能力を得るための、給電装置みたいな物です。もちろんその力を得た者は縁が失せて怪物になるのですが、当時の愚か者共はそうとは知らず、大散減を『徳川の埋蔵金』と称し挙って島に移住しました」 私達したたびが探していた徳川埋蔵金とはなんと、金剛の膨大な霊力と衆生��縁の塊、大散減の事だったんだ。ただ勿論、霊能者を志し島に近付いた者達はまんまと金剛に魂を奪われた。そこで彼らの遺族は風前の灯火だった御戌神に星型の霊符を貼り、自分達の代わりに島外の人間から縁を狩る猟犬に仕立て上げたんだ。こうして御戌神社ができ、御戌神は地中で飢え続ける大散減の手足となってせっせと人の縁を奪い続けているのだという。 「千里が島の民は元々霊能者やそれを志した者の子孫です。多少なりとも力を持つ者は多く、彼らは代々『御戌神の器』を選出し、『人工転生』を行ってきました」 斉一さんが若干小声で言う。人工転生。まだ魂が未発達の赤子に、ある特定の幽霊やそれに纏わる因子を宛てがって純度の高い『生まれ変わり』を作る事。つまり金剛が徳松に行おうとしたのと同じ所業だ。 「じゃあ、今もこの島のどこかに御戌様の生まれ変わりがいるんですか?」 佳奈さんは飲み込みが早い。 「ええ。そして御戌神は、私達が大散減に歯向かえば再び襲ってきます。だからこの戦いでは、誰かが対御戌神を引き受け…��最悪、殺生しなければなりません」 「殺生……」 生きている人間を、殺す。死者を成仏させるのとは訳が違う話だ。魔耶さんは胸の釘を握りしめた。 「そのワンちゃん、なんて可哀想なの……可哀想すぎる。攻撃なんて、とてもできない」 「魔耶、今更甘えた事言ってんじゃないわよ。いくら生きてるからって、中身は三百年前に死んだバケモノよ! いい加減ラクにしてやるべきだわ」 「でもぉ禍耶、あんまりじゃない! 生まれた時から不幸な運命を課せられて、それでも人々のために戦ったのに。結局愚かな連中の道具にされて、利用され続けているのよ!」 (……!) 道具。その言葉を聞いた途端、私は心臓を握り潰されるような恐怖を覚えた。本来は衆生を救うために手に入れた力を、正反対の悪事に利用されてしまう。そして余所者から邪尊(バケモノ)と呼ばれ、恐れられるようになる……。 ―テロリストですよ。ドマル・イダムという邪尊の力を操ってチベットを支配していた、最悪の独裁宗派です― 自分の言った言葉が心に反響する。御戌神が戦いの中で見せた悲しそうな目と、ニライカナイで見たドマルの絶望的な目が日蝕のように重なる。瞳に映ったあの目は……私自身が前世で経験した地獄の、合わせ鏡だったんだ。 「……魔耶さん、禍耶さん。御戌神は、私が相手をします」 「え!?」 「正気なの!? 殺生なんて私達死者に任せておけばいいのよ! でないとあんた、殺人罪に問われるかもしれないのに……」 圧。 「ッ!?」 私は無意識に、前世から受け継がれた眼圧で総長姉妹を萎縮させた。 「……悪魔の心臓は御仏を産み、悪人の遺骨は鎮魂歌を奏でる。悪縁に操られた御戌神も、必ず菩提に転じる事が出来るはずです」 私は御戌神が誰なのか、確証を持っている。本当の『彼』は優しくて、これ以上金剛なんかの為に罪を重ねてはいけない人。たとえ孤独な境遇でも人との縁を大切にする、子犬のようにまっすぐな人なんだ。 「……そう。殺さずに解決するつもりなのね、影法師使いさん。いいわ。あなたに任せます」 魔耶さんがスレッジハンマーの先を私に突きつける。 「失敗したら承知しない。私、絶対に承知しないわよ」 私はそこに拳を当て、無言で頷いた。 こうして話し合いの結果、対大散減戦における役割分担が決定した。五寸釘愚連隊と河童の家、玲蘭ちゃんは神社で大散減本体を引きずり出し叩く。私は御戌神を探し、神社に行かれる前に説得か足止めを試みる。そして後女津家は私達が解読した暗号に沿って星型の大結界を巡り、大散減の力を放出して弱体化を図る事になった。 「志多田さん。宜しければ、お手伝いして頂けませんか?」 斉一さんが立ち上がり、佳奈さんを見る。一方佳奈さんは申し訳なさそうに目を伏せた。 「で……でも、私は……」 すると万狸ちゃんが佳奈さんの前に行く。 「……あのね。私のママね、災害で植物状態になったの。大雨で津波の警報が出て、パパが車で一生懸命高台に移動したんだけど、そこで土砂崩れに遭っちゃって」 「え、そんな……!」 「ね、普通は不幸な事故だと思うよね。でもママの両親、私のおじいちゃんとおばあちゃん……パパの事すっごく責めたんだって。『お前のせいで娘は』『お前が代わりに死ねば良かったのに』みたいに。パパの魂がバラバラに引き裂かれるぐらい、いっぱいいっぱい責めたの」 昨晩斉三さんから聞いた事故の話だ。奥さんを守れなかった上にそんな言葉をかけられた斉一さんの気持ちを想うと、自分まで胸が張り裂けそうだ。けど、奥さんのご両親が取り乱す気持ちもまたわかる。だって奥さんのお腹には、万狸ちゃんもいたのだから……。 「三つに裂けたパパ……斉一さんは、生きる屍みたいにママの為に無我夢中で働いた。斉三さんは病院のママに取り憑いたまま、何年も命を留めてた。それから、斉二さんは……一人だけ狸の里(あの世)に行って、水子になっちゃったママの娘を育て続けた」 「!」 「斉二さんはいつも言ってたの。俺は分裂した魂の、『後悔』の側面だ。天災なんて誰も悪くないのに、目を覚まさない妻を恨んでしまった。妻の両親を憎んでしまった。だからこんなダメな狸親父に万狸が似ないよう、お前をこっちで育てる事にしたんだ。って」 万狸ちゃんが背筋をシャンと伸ばし、顔を上げた。それは勇気に満ちた笑顔だった。 「だから私知ってる。佳奈ちゃんは一美ちゃんを助けようとしただけだし、ぜんぜん悪いだなんて思えない。斉二さんの役割は、完璧に成功してたんだよ」 「万狸ちゃん……」 「あっでもでも、今回は天災じゃなくて人災なんだよね? それなら金剛有明団をコッテンパンパンにしないと! 佳奈ちゃんもいっぱい悲しい思いした被害者でしょ?」 万狸ちゃんは右手を佳奈さんに差し出す。佳奈さんも顔を上げ、その手を強く握った。 「うん。金剛ぜったい許せない! 大散減の埋蔵金、一緒にばら撒いちゃお!」 その時、ホテルロビーのからくり時計から音楽が鳴り始めた。曲は民謡『ザトウムシ』。日没と大散減との対決を告げるファンファーレだ。魔耶さんは裁判官が木槌を振り下ろすように、机にハンマーを叩きつけた! 「行ぃぃくぞおおおぉぉお前らああぁぁぁ!!!」 「「「うおおぉぉーーーっ!!」」」 総員出撃! ザトウムシが鳴り響く逢魔が時の千里が島で今、日本最大の除霊戦争が勃発する!
གཉིས་པ་
大散減討伐軍は御戌神社へ、後女津親子と佳奈さんはホテルから最寄りの結界である石見沼へと向かった。さて、私も御戌神の居場所には当てがある。御戌神は日蝕の目を持つ獣。それに因んだ地名は『食虫洞』。つまり、行先は新千里が島トンネル方面だ。 薄暗いトンネル内を歩いていると、電灯に照らされた私の影が勝手に絵を描き始めた。空で輝く太陽に向かって無数の虫が冒涜的に母乳を吐く。太陽は穢れに覆われ、光を失った日蝕状態になる。闇の緞帳(どんちょう)に包まれた空は奇妙な星を孕み、大きな獣となって大地に災いをもたらす。すると地平線から血のように赤い月が昇り、星や虫を焼き殺しながら太陽に到達。太陽と重なり合うやいなや、天上天下を焼き尽くすほどの輝きを放つのだった……。 幻のような影絵劇が終わると、私はトンネルを抜けていた。目の前のコンビニは既に電気が消えている。その店舗全体に、腐ったミルクのような色のペンキで星型に線を一本足した記号が描かれている。更に接近すると、デッキブラシを持った白髪の偉丈夫が記号を消そうと悪戦苦闘しているのが見えた。 「あ、紅さん」 私に気がつき振り返った青木さんは、足下のバケツを倒して水をこぼしてしまった。彼は慌ててバケツを立て直す。 「見て下さい。誰がこんな酷い事を? こいつはコトだ」 青木さんはデッキブラシで星型の記号を擦る。でもそれは掠れすらしない。 「ブラシで擦っても? ケッタイな落書きを……っ!?」 指で直接記号に触れようとした青木さんは、直後謎の力に弾き飛ばされた。 「……」 青木さんは何かを思い出したようだ。 「紅さん。そういえば僕も、ケッタイな体験をした事が」 夕日が沈んでいき、島中の店や防災無線からはザトウムシが鳴り続ける。 「犬に吠えられ、夜中に目を覚まして。永遠に飢え続ける犬は、僕のおつむの中で、ひどく悲しい声で鳴く。それならこれは幻聴か? 犬でないなら幽霊かもだ……」 青木さんは私に背を向け、沈む夕日に引き寄せられるように歩きだした。 「早くなんとかせにゃ。犬を助けてあげなきゃ、僕までどうにかなっちまうかもだ。するとどこからか、目ん玉が潰れた双頭の毛虫がやって来て、口からミルクを吐き出した。僕はたまらず、それにむしゃぶりつく」 デッキブラシから滴った水が地面に線を引き、一緒に夕日を浴びた青木さんの影も伸びていく。 「嫌だ。もう犬にはなりたくない。きっとおっとろしい事が起きるに違いない。満月が男を狼にするみたいに、毛虫の親玉を解き放つなど……」 「青木さん」 私はその影を呼び止めた。 「この落書きは、デッキブラシじゃ落とせません」 「え?」 「これは散減に穢された縁の母乳、普通の人には見えない液体なんです」 カターン。青木さんの手からデッキブラシが落ちた途端、全てのザトウムシが鳴り止んだ。青木さんはゆっくりとこちらへ振り向く。重たい目隠れ前髪が狛犬のたてがみのように逆立ち、子犬のように輝く目は濁った穢れに覆われていく。 「グルルルル……救、済、ヲ……!」 私も胸のペンダントに取り付けたカンリンを吹いた。パゥーーー……空虚な悲鳴のような音が響く。私の体は神経線維で編まれた深紅の僧衣に包まれ、激痛と共に影が天高く燃え上がった。 「青木さん。いや、御戌神よ。私は紅の守護尊、ワヤン不動。しかし出来れば、お前とは戦いたくない」 夕日を浴びて陰る日蝕の戌神と、そこから伸びた赤い神影(ワヤン)が対峙する。 「救済セニャアアァ!」 「そうか。……ならば神影繰り(ワヤン・クリ)の時間だ!」 空の月と太陽が見下ろす今この時、地上で激突する光の神と影の明王! 穢れた色に輝く御戌神が突撃! 「グルアアァァ!」 私はティグクでそれをいなし、黒々と地面に伸びた自らの影を滑りながら後退。駐車場の車止めをバネに跳躍、傍らに描かれた邪悪な星目掛けてキョンジャクを振るった。二〇%浄化! 分解霧散した星の一片から大量の散減が噴出! 「マバアアアァァ!!」「ウバアァァァ!」 すると御戌神の首に巻かれた幾つもの頭蓋骨が共鳴。ケタケタと震えるように笑い、それに伴い御戌神も悶絶する。 「グルアァァ……ガルァァーーーッ!!」 咆哮と共に全骨射出! 頭蓋骨は穢れた光の尾を引き宙を旋回、地を這う散減共とドッキングし牙を剥く! 「がッは!」 毛虫の体を得た頭蓋骨が飛び回り、私の血肉を穿つ。しかし反撃に転じる寸前、彼らの正体を閃いた。 「さては歴代の『器』か」 この頭蓋骨らは御戌神転生の為に生贄となった、どこの誰が産んだかもわからない島民達の残滓だ。なら速やかに解放せねばなるまい! 人頭毛虫の猛攻をティグクの柄やキョンジャクで防ぎながら、ティグクに付随する旗に影炎を着火! 「お前達の悔恨を我が炎の糧とする! どおぉりゃああぁーーーーっ!!」 ティグク猛回転、憤怒の地獄大車輪だ! 飛んで火に入る人頭毛虫らはたちどころに分解霧散、私の影体に無数の苦痛と絶望と飢えを施す! 「クハァ……ッ! そうだ……それでいい。私達は仲間だ、この痛みを以て金剛に汚された因果を必ずや断ち切ってやろう! かはあぁーーーっはーーっはっはっはっはァァーーッ!!!」 苦痛が無上の瑜伽へと昇華しワヤン不動は呵呵大笑! ティグクから神経線維の熱線が伸び大車輪の火力を増強、星型記号を更に焼却する! 記号は大文字焼きの如く燃え上がり穢れ母乳と散減を大放出! 「ガウルル、グルルルル!」 押し寄せる母乳と毛虫の洪水に突っ込み喰らおうと飢えた御戌神が足掻く。だがそうはさせるものか、私の使命は彼を穢れの悪循環から救い出す事だ。 「徳川徳松ゥ!」 「!」 人の縁を奪われ、畜生道に堕ちた哀しき少年の名を呼ぶ。そして丁度目の前に飛んできた散減を灼熱の手で掴むと、轟々と燃え上がるそれを遠くへ放り投げた! 「取ってこい!」 「ガルアァァ!!」 犬の本能が刺激された御戌神は我を忘れ散減を追う! 街路樹よりも高く跳躍し口で見事キャッチ、私目掛けて猪突猛進。だがその時! 彼の本体である衆生が、青木光が意識を取り戻した! (戦いはダメだ……穢れなど!) 日蝕の目が僅かに輝きを増す。御戌神は空中で停止、咥えている散減を噛み砕いて破壊した! 「かぁははは、いい子だ徳松よ! ならば次はこれだあぁぁ!!」 私はフリスビーに見立ててキョンジャクを投擲。御戌神が尻尾を振ってハッハとそれを追いかける。キョンジャクは散減共の間をジグザグと縫い進み、その軌跡を乱暴になぞる御戌神が散減大量蹂躙! 薄汚い死屍累々で染まった軌跡はまさに彼が歩んできた畜生道の具現化だ!! 「衆生ぉぉ……済度ぉおおおぉぉぉーーーーっ!!!」 ゴシャアァン!!! ティグクを振りかぶって地面に叩きつける! 視神経色の亀裂が畜生道へと広がり御戌神の背後に到達。その瞬間ガバッと大地が割れ、那由多度に煮え滾る業火を地獄から吹き上げた! ズゴゴゴゴガガ……マグマが滾ったまま連立する巨大灯篭の如く隆起し散減大量焼却! 振り返った御戌神の目に陰る穢れも、紅の影で焼き溶かされてい��。 「……クゥン……」 小さく子犬のような声を発する御戌神。私は憤怒相を収め、その隣に立つ。彼の両眼からは止めどなく饐えた涙が零れ、その度に日蝕が晴れていく。気がつけば空は殆ど薄暗い黄昏時になっていた。闇夜を迎える空、赤く燃える月と青く輝く太陽が並ぶ大地。天と地の光彩が逆転したこの瞬間、私達は互いが互いの前世の声を聞いた。 『不思議だ。あの火柱見てると、ぼくの飢えが消えてく。お不動様はどんな法力を?』 ༼ なに、特別な力ではない。あれは慈悲というものだ ༽ 『じひ』 徳松がドマルの手を握った。ドマルの目の奥に、憎しみや悲しみとは異なる熱が込み上がる。 『救済の事で?』 ༼ ……ま、その類いといえばそうか。童よ、あなた��自分を生贄にした衆生が憎いか? ༽ 徳松は首を横に振る。 『ううん、これっぽっちも。だってぼく、みんなを救済した神様なんだから』 すると今度はドマルが両手で徳松の手を包み、そのまま深々と合掌した。 ༼ なら、あなたはもう大丈夫だ。衆生との縁に飢える事は、今後二度とあるまい ༽
གསུམ་པ་
時刻は……わからないけど、日は完全に沈んだ。私も青木さんも地面に大の字で倒れ、炎上するコンビニや隆起した柱状節理まみれの駐車場を呆然と眺めている。 「……アーーー……」 ふと青木さんが、ずっと咥えっ放しだったキョンジャクを口から取り出した。それを泥まみれの白ニットで拭い、私に返そうとして……止めた。 「……洗ってからせにゃ」 「いいですよ。この後まだいっぱい戦うもん」 「大散減とも? おったまげ」 青木さんにキョンジャクを返してもらった。 「実は、まだ学生の時……友達が僕に、『彼女にしたい芸能人は?』って質問を。けど特に思いつかなくて、その時期『非常勤刑事』やってたので紅一美ちゃんと。そしたら今回、本当にしたたびさんが……これが縁ってやつなら、ちぃと申し訳ないかもだ」 「青木さんもですか」 「え?」 「私も実は、この間雑誌で『好きな男性のタイプは何ですか』って聞かれて、なんか適当に答えたんですけど……『高身長でわんこ顔な方言男子』とかそんなの」 「そりゃ……ふふっ。いやけど、僕とは全然違うイメージだったかもでしょ?」 「そうなんですよ。だから青木さんの素顔初めて見た時、キュンときたっていうより『あ、実在するとこんな感じなの!?』って思っちゃったです。……なんかすいません」 その時、遠くでズーンと地鳴りのような音がした。蜃気楼の向こうに耳をそばだてると、怒号や悲鳴のような声。どうやら敵の大将が地上に現れたようだ。 「行くので?」 「大丈夫。必ず戻ってきます」 私は重い体を立ち上げ、ティグクとキョンジャクに再び炎を纏った。そして山頂の御戌神社へ出発…… 「きゃっ!」 しようとした瞬間、何かに服の裾を掴まれたかのような感覚。転びそうになって咄嗟にティグクの柄をつく。足下を見ると、小さなエネルギー眼がピンのように私の影を地面と縫いつけている。 ༼ そうはならんだろ、小心者娘 ༽ 「ちょ、ドマル!?」 一方青木さんの方も、徳松に体を勝手に動かされ始めた。輝く両目から声がする。 『バカ! あそこまで話しといて告白しねえなど!? このボボ知らず!』 「ぼっ、ぼっ、ボボ知らずでねえ! 嘘こくなぁぁ!」 民謡の『お空で見下ろす出しゃばりな月と太陽』って、ひょっとしたら私達じゃなくてこの前世二人の方を予言してたのかも。それにしてもボボってなんだろ、南地語かな。 ༼ これだよ ༽ ドマルのエネルギー眼が炸裂し、私は何故かまた玲蘭ちゃんの童貞を殺す服に身を包んでいた。すると何故か青木さんが悶絶し始めた。 「あややっ……ちょっと、ダメ! 紅さん! そんなオチチがピチピチな……こいつはコトだ!!」 ああ、成程。ボボ知らずってそういう…… 「ってだから、私の体で検証すなーっ! ていうか、こんな事している間にも上で死闘が繰り広げられているんだ!」 ༼ だからぁ……ああもう! 何故わからないのか! ヤブユムして行けと言っているんだ、その方が生存率上がるしスマートだろ! ༽ 「あ、そういう事?」 ヤブユム。確か、固い絆で結ばれた男女の仏が合体して雌雄一体となる事で色々と超越できる、みたいな意味の仏教用語……だったはず。どうすればできるのかまではサッパリわかんないけど。 「え、えと、えと、紅さん……一美ちゃん!」 「はい……う、うん、光君!」 両前世からプレッシャーを受け、私と光君は赤面しながら唇を近付ける。 『あーもー違う! ヤブユムっていうのは……』 ༼ まーまー待て。ここは現世を生きる衆生の好きにさせてみようじゃないか ༽ そんな事言われても困る……それでも、今私と光君の想いは一つ、大散減討伐だ。うん、多分……なんとかなる! はずだ!
བཞི་པ་
所変わって御戌神社。姿を現した大散減は地中で回復してきたらしく、幾つか継ぎ目が見えるも八本足の完全体だ。十五メートルの巨体で暴れ回り、周囲一帯を蹂躙している。鳥居は倒壊、御戌塚も跡形もなく粉々に。島民達が保身の為に作り上げた生贄の祭壇は、もはや何の意味も為さない平地と化したんだ。 そんな絶望的状況にも関わらず、大散減討伐軍は果敢に戦い続ける。五寸釘愚連隊がバイクで特攻し、河童信者はカルトで培った統率力で彼女達をサポート。玲蘭ちゃんも一枚隔てた異次元から大散減を構成する無数の霊魂を解析し、虱潰しに破壊していく。ところが、 「あグッ!」 バゴォッ!! 大散減から三メガパスカル級の水圧で射出された穢れ母乳が、河童信者の一人に直撃。信者の左半身を粉砕! 禍耶さんがキュウリの改造バイクで駆けつける。 「河童信者!」 「あ、か……禍耶の姐御……。俺の、魂を……吸収……し……」 「何言ってるの、そんな事できるわけないでしょ!?」 「……大散、ぃに、縁……取られ、嫌、……。か、っぱは……キュウリ……好き……っか……ら…………」 河童信者の瞳孔が開いた。禍耶さんの唇がわなわなと痙攣する。 「河童って馬鹿ね……最後まで馬鹿だった……。貴方の命、必ず無駄にはしないわ!」 ガバッ、キュイイィィ! 息絶えて間もない河童信者の霊魂が分解霧散する前に、キュウリバイクの給油口に吸収される。ところが魔耶さんの悲鳴! 「禍耶、上ぇっ!!」 「!」 見上げると空気を読まず飛びかかってきた大散減! 咄嗟にバイクを発進できず為す術もない禍耶さんが絶望に目を瞑った、その時。 「……え?」 ……何も起こらない。禍耶さんはそっと目を開けようとする。が、直後すぐに顔を覆った。 「眩しっ! この光は……あああっ!」 頭上には朝日のように輝く青白い戌神。そしてその光の中、轟々と燃える紅の不動明王。光と影、男と女が一つになったその究極仏は、大散減を遥か彼方に吹き飛ばし悠然と口を開いた。 「月と太陽が同時に出ている、今この時……」 「瞳に映る醜き影を、憤怒の炎で滅却する」 「「救済の時間だ!!!」」 カッ! 眩い光と底知れぬ深い影が炸裂、落下中の大散減を再びスマッシュ! 「遅くなって本当にすみません。合体に手間取っちゃって……」 御戌神が放つ輝きの中で、燃える影体の私は揺らめく。するとキュウリバイクが言葉を発した。 <問題なし! だぶか登場早すぎっすよ、くたばったのはまだ俺だけです。やっちまいましょう、姐さん!> 「そうね。行くわよ河童!」 ドルルン! 輩悪苦満誕(ハイオクまんたん)のキュウリバイクが発進! 私達も共に駆け出す。 「一美ちゃん、火の準備を!」 「もう出来ているぞぉ、カハァーーーッハハハハハハァーーー!!」 ティグクが炎を噴く! 火の輪をくぐり青白い肉弾が繰り出す! 巨大サンドバッグと化した大散減にバイクの大軍が突撃するゥゥゥ!!! 「「「ボァガギャバアアアアァァアアア!!!」」」 八本足にそれぞれ付いた顔が一斉絶叫! 中空で巻き散らかされた大散減の肉片を無数の散減に変えた! 「灰燼に帰すがいい!」 シャゴン、シャゴン、バゴホオォン!! 御戌神から波状に繰り出される光と光の合間に那由多度の影炎を込め雑魚を一掃! やはりヤブユムは強い。光源がないと力を発揮出来ない私と、偽りの闇に遮られてしまっていた光君。二人が一つになる事で、永久機関にも似た法力を得る事が出来る! 大散減は地に叩きつけられるかと思いきや、まるで地盤沈下のように地中へ潜って行ってしまった。���を追えず停車した五寸釘愚連隊が舌打ちする。 「逃げやがったわ、あの毛グモ野郎」 しかし玲蘭ちゃんは不敵な笑みを浮かべた。 「大丈夫です。大散減は結界に分散した力を補充しに行ったはず。なら、今頃……」 ズドガアアァァァアン!!! 遠くで吹き上がる火柱、そして大散減のシルエット! 「イェーイ!」 呆然と見とれていた私達の後方、数分前まで鳥居があった瓦礫の上に後女津親子と佳奈さんが立っている。 「「ドッキリ大成功ー! ぽーんぽっこぽーん!」」 ぽこぽん、シャララン! 佳奈さんと万狸ちゃんが腹鼓を打ち、斉一さんが弦を爪弾く。瞬間、ドゴーーン!! 今度は彼女らの背後でも火柱が上がった! 「あのねあのね! 地図に書いてあった星の地点をよーく探したら、やっぱり御札の貼ってある祠があったの。それで佳奈ちゃんが凄いこと閃いたんだよ!」 「その名も『ショート回路作戦』! 紙に御札とぴったり同じ絵を写して、それを鏡合わせに貼り付ける。その上に私の霊力京友禅で薄く蓋をして、その上から斉一さんが大散減から力を吸収しようとする。だけど吸い上げられた大散減のエネルギーは二枚の御札の間で行ったり来たりしながら段々滞る。そうとは知らない大散減が内側から急に突進すれば……」 ドォーーン! 万狸ちゃんと佳奈さんの超常理論を実証する火柱! 「さすがです佳奈さん! ちなみに最終学歴は?」 「だからいちご保育園だってば~、この小心者ぉ!」 こんなやり取りも随分と久しぶりな気がする。さて、この後大散減は立て続けに二度爆発した。計五回爆ぜた事になる。地図上で星のシンボルを描く地点は合計六つ、そのうち一つである食虫洞のシンボルは私がコンビニで焼却したアレだろう。 「シンボルが全滅すると、奴は何処へ行くだろうか」 斉三さんが地図を睨む。すると突如地図上に青白く輝く道順が描かれた。御戌神だ。 「でっかい大散減はなるべく広い場所へ逃走を。となると、海岸沿いかもだ。東の『いねとしサンライズビーチ』はサイクリングロードで狭いから、石見沼の下にある『石見海岸』ので」 「成程……って、君はまさか!?」 「青木君!?」 そうか、みんな知らなかったんだっけ。御戌神は遠慮がちに会釈し、かき上がったたてがみの一部を下ろして目隠れ前髪を作ってみせた。光君の面影を認識して皆は納得の表情を浮かべた。 「と……ともかく! ずっと地中でオネンネしてた大散減と違って、地の利はこちらにある。案内するので先回りを!」 御戌神が駆け出す! 私は彼が放つ輝きの中で水上スキーみたいに引っ張られ、五寸釘愚連隊や他の霊能者達も続く。いざ、石見海岸へ!
ལྔ་པ་
御戌神の太陽の両眼は、前髪によるランプシェード効果が付与されて更に広範囲を照らせるようになった。石見沼に到着した時点で海岸の様子がはっきり見える。まずいことに、こんな時に限って海岸に島民が集まっている!? 「おいガキ共、ボートを降りろ! 早く避難所へ!」 「黙れ! こんな島のどこに安全が!? 俺達は内地へおさらばだ!」 会話から察するに、中学生位の子達が島を脱出しようと試みるのを大人達が引き止めているようだ。ところが間髪入れず陸側から迫る地響き! 危ない! 「救済せにゃ!」 石見の崖を御戌神が飛んだ! 私は光の中で身構える。着地すると同時に目の前の砂が隆起、ザボオオォォン!! 大散減出現! 「かははは、一足遅いわ!」 ズカアァァン!!! 出会い頭に強烈なティグクの一撃! 吹き飛んだ大散減は沿岸道路を破壊し民家二棟に叩きつけられた。建造物損壊と追い越し禁止線通過でダブル罪業加点! 間一髪巻き込まれずに済んだ島民達がどよめく。 「御戌様?」 「御戌様が子供達を救済したので!?」 「それより御戌様の影に映ってる火ダルマは一体!?」 その問いに、陸側から聞き覚えのある声が答える。 「ご先祖様さ!」 ブオォォン! 高級バイクに似つかわしくない凶悪なエンジン音を吹かして現れたのは加賀繍さんだ! 何故かアサッテの方向に数珠を投げ、私の正体を堂々と宣言する。 「御戌神がいくら縁切りの神だって、家族の縁は簡単に切れやしないんだ。徳川徳松を一番気にかけてたご先祖様が仏様になって、祟りを鎮めるんだよ!」 「徳松様を気にかけてた、ご先祖様……」 「まさか、将軍様など!?」 「「「徳川綱吉将軍!!」」」 私は暴れん坊な将軍様の幽霊という事になってしまった。だぶか吉宗さんじゃないけど。すると加賀繍さんの紙一重隣で大散減が復帰! 「マバゥウゥゥゥゥウウウ!!!」 神社にいた時よりも甲高い大散減の鳴き声。消耗している証拠だろう。脚も既に残り五本、ラストスパートだ! 「畳み掛けるぞ夜露死苦ッ!」 スクラムを組むように愚連隊が全方位から大散減へ突進、総長姉妹のハンマーで右前脚破壊! 「ぽんぽこぉーーー……ドロップ!!」 身動きの取れなくなった大散減に大かむろが垂直落下、左中央二脚粉砕! 「「「大師の敵ーーーっ!」」」 微弱ながら霊力を持つ河童信者達が集団投石、既に千切れかけていた左後脚切断! 「くすけー、マジムン!」 大散減の内側から玲蘭ちゃんの声。するうち黄色い閃光を放って大散減はメルトダウン! 全ての脚が落ち、最後の本体が不格好な蓮根と化した直後……地面に散らばる脚の一本の顔に、ギョロギョロと蠢く目が現れた。光君の話を思い出す。 ―八本足にそれぞれ顔がついてて、そのうち本物の顔を見つけて潰さないと死なない怪物で!― 「そうか、あっちが真の本体!」 私と光君が同時に動く! また地中に逃げようと飛び上がった大散減本体に光と影は先回りし、メロン格子状の包囲網を組んだ! 絶縁怪虫大散減、今こそお前をこの世からエンガチョしてくれるわあああああああ!! 「そこだーーーッ!! ワヤン不動ーーー!!」 「やっちゃえーーーッ!」「御戌様ーーーッ!」 「「「ワヤン不動オォーーーーーッ!!!」」」 「どおおぉぉるあぁああぁぁぁーーーーーー!!!!」 シャガンッ! 突如大量のハロゲンランプを一斉に焚いたかのように、世界が白一色の静寂に染まる。存在するものは影である私と、光に拒絶された大散減のみ。ティグクを掲げた私の両腕が夕陽を浴びた影の如く伸び、背中で燃える炎に怒れる恩師の馬頭観音相が浮かんだ時……大散減は断罪される! 「世尊妙相具我今重問彼仏子何因縁名為観世音具足妙相尊偈答無盡意汝聴観音行善応諸方所弘誓深如海歴劫不思議侍多千億仏発大清浄願我為汝略説聞名及見身心念不空過能滅諸有苦!」 仏道とは無縁の怪獣よ、己の業に叩き斬られながら私の観音行を聞け! 燃える馬頭観音と彼の骨であるティグクを仰げ! その苦痛から解放されたくば、海よりも深き意志で清浄を願う聖人の名を私がお前に文字通り刻みつけてやる! 「仮使興害意推落大火坑念彼観音力火坑変成池或漂流巨海龍魚諸鬼難念彼観音力波浪不能没或在須弥峰為人所推堕念彼観音力如日虚空住或被悪人逐堕落金剛山念彼観音力不能損一毛!!」 たとえ金剛の悪意により火口へ落とされようと、心に観音力を念ずれば火もまた涼し。苦難の海でどんな怪物と対峙しても決して沈むものか! 須弥山から突き落とされようが、金剛を邪道に蹴落とされようが、観音力は不屈だ! 「或値怨賊繞各執刀加害念彼観音力咸即起慈心或遭王難苦臨刑欲寿終念彼観音力刀尋段段壊或囚禁枷鎖手足被杻械念彼観音力釈然得解脱呪詛諸毒薬所欲害身者念彼観音力還著於本人或遇悪羅刹毒龍諸鬼等念彼観音力時悉不敢害!!」 お前達に歪められた衆生の理は全て正してくれる! 金剛有明団がどんなに強大でも、和尚様や私の魂は決して滅びぬ。磔にされていた抜苦与楽の化身は解放され、悪鬼羅刹四苦八苦を燃やす憤怒の化身として生まれ変わったんだ! 「若悪獣囲繞利牙爪可怖念彼観音力疾走無辺方蚖蛇及蝮蝎気毒煙火燃念彼観音力尋声自回去雲雷鼓掣電降雹澍大雨念彼観音力応時得消散衆生被困厄無量苦逼身観音妙智力能救世間苦!!!」 獣よ、この力を畏れろ。毒煙を吐く外道よ霧散しろ! 雷や雹が如く降り注ぐお前達の呪いから全ての衆生を救済してみせよう! 「具足神通力廣修智方便十方諸国土無刹不現身種種諸悪趣地獄鬼畜生生老病死苦以漸悉令滅真観清浄観広大智慧観悲観及慈観常願常瞻仰無垢清浄光慧日破諸闇能伏災風火普明照世間ッ!!!」 どこへ逃げても無駄だ、何度生まれ変わってでも憤怒の化身は蘇るだろう! お前達のいかなる鬼畜的所業も潰えるんだ。瞳に映る慈悲深き菩薩、そして汚れなき聖なる光と共に偽りの闇を葬り去る! 「悲体戒雷震慈意妙大雲澍甘露法雨滅除煩悩燄諍訟経官処怖畏軍陣中念彼観音力衆怨悉退散妙音観世音梵音海潮音勝彼世間音是故須常念念念勿生疑観世音浄聖於苦悩死厄能為作依怙具一切功徳慈眼視衆生福聚海無量是故応頂……」 雷雲の如き慈悲が君臨し、雑音をかき消す潮騒の如き観音力で全てを救うんだ。目の前で粉微塵と化した大散減よ、盲目の哀れな座頭虫よ、私はお前をも苦しみなく逝去させてみせる。 「……礼ィィィーーーーーッ!!!」 ダカアアアアァァアアン!!!! 光が飛散した夜空の下。呪われた気枯地、千里が島を大いなる光と影の化身が無量の炎で叩き割った。その背後で滅んだ醜き怪獣は、業一つない純粋な粒子となって分解霧散。それはこの地に新たな魂が生まれるための糧となり、やがて衆生に縁を育むだろう。 時は亥の刻、石見海岸。ここ千里が島で縁が結ばれた全ての仲間達が勝利に湧き、歓喜と安堵に包まれた。その騒ぎに乗じて私と光君は、今度こそ人目も憚らず唇を重ね合った。
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Sushi Ura-Onikai: 3rd branch of Onikai group
I actually had a reservation for Sushi Onikai in Nakameguro at the end of June, but due to COVID19's shortened opening hours, my reservation was cancelled... I was going to try again for revenge, but both 2 branch of Sushi Onikai group in Nakameguro were fully booked at all. Luckily, I was able to get a reservation at the 3rd branch of them which recently opened in June.
鮨うらおにかいに行ってきました。
本当は6月末に中目黒の鮨おにかいの予約が取れていたんだけど、コロナの営業時間短縮のせいで予約がキャンセルになってしまっていて... その後もたびたびリベンジで予約しようと思っていたのですが、中目黒は2店舗ともいつも満席。ぐぬぬ.... ということで、若干遠かったのですが、6月にオープンしたこちらの3号店へ伺ってきました。
お店は、入り口正面のカウンターに8席ほど、さらに少し奥に入ったところにもカウンターつきの6席、という、ダブルカウンターの設計。
①Aカウンター 17:00〜 ②Bカウンター 18:00〜 ③Aカウンター 19:30〜 ④Bカウンター 20:30〜 っていう感じに分けてスタートできる仕掛けなのかな? 席数に対してフレキシブルな時間予約ができるので、とても良いなと思いました。

コース10,000円なのですが、最初にシャリを味わってもらうための小さな海苔手巻きを。赤酢で、塩しっかりめなシャリでした。海苔ぱりぱり。
さてさて、ここからコースがスタートです。 つまみ3品+握り15品のけっこうしっかりしたコースです。
先出しのおつまみ的なのは、マグロのお刺身 ...に見えるけどこれは「トマト羊羹」🍅 トマトのしっかりした味わいをぎゅっと固めたもの。

最初に出てくるのは、「中トロ」です。 最初に味しっかりのネタが出されるの、珍しいね〜。

ぴかぴかの中トロ、最高!
「シャリの大きさいかがですか?貫数が多いので、途中でサイズ調整もしますのでおっしゃってくださいね」という丁寧なお声がけ。 (お腹が空いていたので、このままで大丈夫です、とお伝えしたけど、さすがに握りの貫数が多かったのもあって最後はお腹いっぱいになりました苦笑)
お次は「つぶ貝」。

コリコリとしたしっかりな歯応えが、「貝食べてる〜」という感じ。
お次は白身、「平目」ですね。

ここでおつまみでいただく、「なすの浅漬けと生ハム」。

(これはそこまで印象に残らなかったな...生ハムはクオリティによって感動が全然違う。この生ハムはそうでもなかったな~。茄子との相性もそこまで良くはなかった印象。)
お次は「鰯酢〆」
思わずGIFに。ステージに置かれた瞬間に、小さく沈むのがお鮨のかわいらしあだよね。
これ、めちゃめちゃ美味しかった...!

脂がしっかりしててとろける青魚!
酢締めで、さっぱりとしつつも、しっかりと乗った青魚の脂の旨味が楽しめて最高です。
お次は「どんちっち鯵」

「どんちっち鯵」っていうブランド、初めて聞くブランドだなあ。 島根県浜田市で水揚げされる鯵のブランドで、旬は4月~9月で、脂質10%のものしか出荷しない、通称「鯵の大トロ」と呼ばれる島根県のブランド魚だそうです。(あとで調べた)
ここでご説明を。お次はスモークとのことです。

「鰆醤油付け燻製」
フワッと感が楽しめるように、撮影はスローモーションをおすすめされたので、それに従って撮影w
鰯や鯵が出る前にスモークかけて、ちょっと時間を置いてあったものに、食べる直前に追いスモーク。チップは、香りが強い桜とかのチップではなく、広葉樹ミックスの軽やかな香りのチップを使っているとのこと。

めちゃめちゃキラキラしてる~!
スモークの香りがたしかにそこまでエグくなくて、とてもマッチしてて美味しかった~!
ここで日本酒。私はビールを頼んだけど、同行者が頼んだ日本酒をちょっとだけいただきました。「日高見」。おちょこが、お酒を注ぐと色付き富士山がでてくる可愛いタイプ♡
「白烏賊」。お塩とスダチでいただきます。

むちむち〜
「牡丹海老塩麹漬け」

小鳥のようにとまるタイプのエビ。こういう乗せ方流行ってる?笑
「甘鯛塩〆」

「あん肝軍艦」

アンキモ!アンキモと、奈良漬が乗っている軍艦です。

これすごく美味しかったな〜! アンキモのしっかりねっとりした味わいと、奈良漬のややクセのある風味とシャクシャク感がとてもマッチしていて、満足感のある味わいでした。
「鱧」

山椒塩でいただきます。ふんわりした食感が夏らしさを感じさせてくれます。
ここでおつまみの、「エビと出汁ジュレ」。

えだまめとコーンが夏らしさあって、青いガラスの器に映えますなあ。

「海老天海苔巻き」

こちらの「鮨うらおにかい」は、系列店に中目黒の「天婦羅みやしろ」という、ミシュラン1つ星の天ぷら屋さんもあります。その「天婦羅みやしろ」仕込みの海老天を、手巻き寿司にしたスタイル。
美味しい〜🦐
そろそろお腹いっぱいになってきたな...というところで、旬のメニューとして「太刀魚の小丼」です。

さっぱりした太刀魚に、香ばしい炙りの香り。
さ〜そろそろコースも大詰め、
まずは中トロを炙って...

まぐろの、「これでもかっ!」というほどのいろんな部位をまとめまして、

どっさりと乗せたものを

ぜんぶいっきに

巻いたやつ。「まぐろ巻き」うまー!
一番手前に炙った中トロが入っていて、口に入れた瞬間に脂のりのりのマグロが入ってくるので、満足感が大きく広がります。ひとくちごとにいろんな部位のマグロの旨味が押し寄せてくるので、太巻きよりも多彩で楽しめるのがよいところ。
メニューの中ではやっぱりこれが一番だったかな〜。
基本のコースは、あとは2品で終わりなのですが、ここで「鮨うらおにかい」だけで楽しめる「裏メニュー」の登場。(「本店でも出さない、ここだけの限定の裏メニューなんですが...」と打診いただいたので、それはせっかくだから...と事前にオーダー。)!

かに、うに、馬肉、甘海老。
赤身はマグロ?と思っていたのですが、種明かしされたのはまさかの馬肉。こちらは、「蒙古草原馬」という、内モンゴルの草原で育てられた、特別な馬肉だそうです。
これをもりもりに乗せたのが

鮨うらおにかいの裏メニューの贅沢小丼。
想像していたよりも馬肉が赤身感だっぷりで筋肉質で、めちゃめちゃ合うかって言われると若干のハテナが頭をよぎりましたが、ウニ・カニ・甘海老は流石のバランス。海鮮の旨味よ〜。半分食べてから、添えられたスダチを追加で絞って食べるのですが、少し酸味を加えただけでまた違う味わいになるのが楽しい。
そして、最後にでてきたのが、「白煮の鰻」

鰻は手渡しで。速やかに(写真撮ってから、だけど)口に放り込んで、もぐもぐ......!!! 脂が乗っててジューシーで、塩でいただくのおいしー!
これはめちゃめちゃ好みの鰻でした。
最後に「玉子」。

こちらのたまごは、かなりしっかり濾されたムラのない卵液を一気に焼き上げた、プリンっぽい仕上がり。
ごちそうさまでした!
10000円で15貫、かなりコスパがよいコースだと思うので、中目黒の2店舗も予約が取れないのは納得。噂によると3ヶ月待ちレベルとのこと。ここ八丁堀のほうも、きっとすぐまた予約が取れないお店になるんだろうなあ。
とはいえ、若干シャリの味が濃いめで、なんとなく重ための印象。シャリの味が濃いのもあって、白身や貝類のネタにあんまり感動がなかった気がする。。。。つまみも「わあっ❤️」ってなるものもなかったなあ。
いや、ぜんぜん十分美味しかったんだけど!!!笑
引き続き、美味しいお鮨さがしを励みに生きていきたいと思います!
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人気店の創業者が手がける新店は、マニアからも近隣の人たちからも愛される存在になりそう 三代目 しゅう(東京・中神)【ZATSUのオスス麺 in 武蔵野・多摩】第32回 【ZATSUのオスス麺 in 武蔵野・多摩】第32回は、10月5日にオープンしたばかりの新店「三代目 しゅう」。完全な新店ではありますが、ご主人は多摩地区のラーメン好きならば誰もが知っている立川の人気店「煮干しらーめん 青樹」の創業者! Source: ASCII.jp
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各地句会報
花鳥誌 令和2年10月号

坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和2年7月2日 三日の月花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
灯籠を濡らし今朝より梅雨に入る 喜代子 梅雨晴れの磯の香りが波立ちて 英子 幼き日虹の不思議を尋ねをり 都 シャネルてふ香水今も飾り棚 同 発つ駅も終着駅も合歓咲けり 同 湧き上る雲の峰見つバス待てり 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年7月4日 零の会
坊城俊樹選 特選句
五月闇仏の耳に残る金 和子 黒南風やかつて船入る川浅し 佑天 葉擦れより夏蝶青く飛び出せり 光子 街白く老を舞ふかな黒揚羽 三郎 川濁る水無月の街映すため 小鳥 夏蝶の昏き川面をめざしをり 佑天 疫病の最中を夏の目黒川 梓渕 金泥を脱ぐ阿羅漢へ星涼し 光子 五月雨を蒼き帯とし目黒川 眞理子 七月の遠きまなざしして羅漢 梓渕 三百年思索の羅漢梅雨御堂 同 半夏雨ひとつの仏とく濡れて 順子
岡田順子選 特選句
五月闇仏の耳に残る金 和子 お不動の炎に焦げて夏の蝶 俊樹 大日如来へ凭れて濃紫陽花 俊樹 川匂ふコレラの昔引き摺つて 光子 乳母車祖父に押さるる木下闇 同 川風と蚊遣火のある定食屋 久 オレンジのルージュを引きて入る茂 同 天荒るる地上に苦き桜の実 炳子 蝋燭へ羅より手白く伸ぶ 小鳥 梅雨闇の足音を聞く羅漢像 和子 舟入場跡の痕なく花さびた 炳子 羅漢像に座して修する夏祓 眞理子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年7月4日 花鳥さゞれ句会
世に出でし明智神社や夏の蝶 雪 海に向く砲台跡や梅雨荒るヽ 匠 白南風や眉引くだけの化粧して 和子 梅雨激し雨の太さは棒の如 清女 雲の峰野球少年声高し 啓子 人の世に又めぐりきて盆供養 天空
(順不同) ………………………………………………………………
令和2年7月10日 鳥取花鳥会
岡田順子選 特選句
雲の峰教授の自転車ぎいぎいと 都 紫陽花や祈る言葉を密談す 悦子 横跳びで蚊柱避ける土手の道 宇太郎 わが名負ふ形代に息そつと吹き 都 半夏雨朱墨一筆葉書かく 悦子 五月雨を訪へばサックス練習中 幸子 俳聖の苔むす句碑や青嵐 益恵 二里程を寡黙の祖母と閻魔詣 すみ子 古代蓮苑に咲かせて博物館 和子 町に住む子にどくだみを干す翁 美智子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年7月11日 札幌花鳥会
坊城俊樹選 特選句
夕薄暑新橋駅のガード下 清 夕涼し猫たむろする裏渋谷 同 誰を待つかやバス停の月見草 岬月 眠らせて久しき硯洗ひけり 慧子 昼顔の色やはらかく瓦礫中 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年7月11日 枡形句会
栗林圭魚選 特選句
陽子姉を偲ぶ夕星白桔梗 亜栄子 祖母の手の糊のあんばい藍浴衣 ゆう子 繰り言の相手出目金泡一つ 多美女 波打つて青田の風の迫り来る 和代 青山椒ぴりりと旨し郷の膳 ゆう子 句碑裏の沢蟹あをく水光る 文英 蹲の水音に散る沙羅の花 多美女 母好み染め抜き浴衣島の宿 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年7月12日 なかみち句会
栗林圭魚選 特選句
出水禍や声高に友電話口 和魚 隧道を抜け稜線に夏の雲 貴薫 長針を時報に戻す夏館 有有 立葵色失はず登り切り 怜 大薬缶でこぼこのまま麦茶煮る あき子 紅蓮や散つて苔庭艶やかに 史空 梅雨晴間キャッチボールの音ぴしり 和魚 梅雨最中不安も詰めて旅鞄 三無 道をしへ遠き道のり励まされ 史空 夜の闇ぐうすぐうすと牛蛙 エイ子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年7月13日 武生花鳥俳句会
坊城俊樹選 特選句
心太うつかり心ひらきけり 上嶋昭子 一匹の蚊に肌を打つ阿修羅かな 世詩明 マネキンも腕を抜かれて更衣 信子 梅雨出水遍く海に注ぎけり 世詩明 羅や少しは弱音吐き給へ 上嶋昭子 大男ぐつたり倒れ大昼寝 みす枝 兄を背に庇ふ気丈の水鉄砲 上嶋昭子 海開きなき砂浜に貝拾ふ 久子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年7月14日 萩花鳥句会
この梅雨は暴れ線状降水帯 祐子 マスクして七夕茶会始まりぬ 美恵子 高三の球児へおーい雲の峰 健雄 一皿に色めく瞳さくらんぼ 陽子 夏館猫と聴き入るベートーベン ゆかり サングラス外し僧侶の顔になり 克弘
(順不同) ………………………………………………………………
令和2年7月14日 さくら花鳥会
岡田順子選 特選句
月明り短き丈の青田揺れ 紀子 夕焼に染まる親子��影大小 実加 主待つ犬の瞳にある夕焼 登美子 夕方も扇子手にする集会場 紀子 目隠しの役目は成さず麻暖簾 同 夕焼やコンクリートに写る赤 あけみ 沖縄の手紙と熟れたマンゴーと 裕子 含羞草子の声援に葉の増えて 同 了解とだけ来る絵文字ソーダ水 登美子 知らぬ間にほぼ乾きたる洗ひ髪 裕子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年7月15日 福井花鳥句会
坊城俊樹選 特選句
通り雨風鈴和して鳴りにけり 啓子 合歓の花こぼれて川の綺羅となる よしのり 自転車の漢疾風大夕立 同 縁側に男冥利の裸かな 同 淋しさを羽にお歯黒とんぼかな 雪 落し文勝家公の安堵状 同 ほととぎす源平永久に相容れず 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年7月16日 柏翠俳句記念館句会
坊城俊樹選 特選句
石仏に仏足石に梅雨深し 雪 母と子に海酸漿と云ふ昔 同 九つの頭を鎮め梅雨の川 千代子 万緑を鎧ひたるごと天主閣 かづを 涼しさや花街抜ける下駄の音 一仁 雨やみて重く飛び交ふ夏の蝶 輝子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年7月19日 風月句会
坊城俊樹選 特選句
鎌倉が匂へる寺の梅雨の闇 慶月 先生と唖蟬残し山門去る 千種 山城址より錐揉みに夏落葉 炳子 腥きものより翔てり黒揚羽 千種 観音を芯に藪蚊の太柱 同 城山の要路を塞ぐ蟬の穴 圭魚 初蟬やはるかかなたといふところ 千種
栗林圭魚選 特選句
蟻濡れて膨らむ苔を上りけり 和子 篁の風を涼しく年尾句碑 秋尚 観音の笑みを仰ぎつ藪蚊打つ 俊樹 年尾句碑拭ひて親し陰涼し 文英 腥きものより翔てり黒揚羽 千種 玉虫の日矢にきらりと彩極め 三無 湿りたるメタセコイヤの森涼し 同 涌水の底に影曳く糸蜻蛉 斉
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年7月21日 鯖江花鳥俳句会
坊城俊樹選 特選句
一本の草矢発止と受け止めし 雪 一本の草矢に射らぬ傷の跡 同 一天は梅雨の冥さや日本海 信子 片蔭に研屋荷物を下ろしけり 上嶋昭子 水鉄砲止め貫禄を通しけり 同 實実の扇子の風を送りくる 洋子 風立ちて千の風鈴品定め ただし ガラス戸を四角にめぐり梅雨の蝿 同 梅雨深し友一人づつ遠くなる 同 半作と呟く農夫梅雨出水 一涓 水鉄砲笑つてしばし死んでやり 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和2年7月(投句のみ) 九州花鳥会
坊城俊樹選 特選句
蛸壺に夏葱育て蜑の家 初子 絵日傘を回す数ほど想ひをり 勝利 ざつくりと祖母編む棕櫚の蝿叩 志津子 窓越しの守宮に臍のありさうな 愛 半夏雨昼を灯して仏彫る 初子 薄目開く吾子の寝息よ終戦忌 寿美香 裸子のつくつて見せる力瘤 伸子 蓮開く中将姫の面影に 美穂 水馬水面の壷天境地とし 志津子 梅雨に倦みひらひら踊るワンピース 成子 荒梅雨や人は小さく泥を掻く 朝子 向日葵の覗く教室空つぽで 睦子
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煮干しラーメン青樹で つけ麺全部のせ🍜を 美味しく頂きました‼️ #ラーメン #ラーメン大好き #つけ麺 #美味しい #美味い #うまい #ラーメン好きな人と繋がりたい #ラーメン食べ歩き #ラーメンインスタグラマー #ラーメンインスタグラム #煮干しつけ麺 #煮干しラーメン青樹 (煮干しらーめん 青樹) https://www.instagram.com/p/B0fBwOyF-yr/?igshid=1ce7x128fg567
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愚行録 2017.3.9(木) ティーチ・イン覚書
本編上映後 、司会者からの事前準備されたインタビュー形式+観客との質疑応答
参加者:石川 慶監督、田中 光子役・女優 満島ひかりさん、奥浜 レイラさん(司会進行)
※会話の流れ通り復元したわけではなく、発言内容を思い出せる範囲で、項目ごとにまとめて組み立て直しました。特にメモを取っていたわけではなく、貧弱な記憶力勝負なので、一語一句同じ表現でもなければ、内容に抜けもあります。
※細かい描写やストーリーのネタバレになることが含まれているので、鑑賞後に読むこと推奨。
◇監督と満島さんの互いの印象◇
満島ひかりさん(以下満島 敬称略)「石川監督は、たとえどんなに些細なことを質問しても、毎回とても詳しく答えてくれる。あまりに丁寧に答えてくれるので、途中から内容もそこそこに、こっそり監督の答える様子をずっと見ていたくらい。」
石川 慶監督(以下監督) 「長編初監督作品で、満島さんとご一緒できて光栄だった。まさか、質問の答えをそっちのけで、観察されているとは思わなかった。」
◇手の描写◇
※わが子への育児放棄の罪で拘留中の光子の体を、たくさんの男の手が這う不気味なシーンについて
監督「このシーンの手は、 実際に文応の内部生の学生を演じたのと同一人物でというこだわりがあったので、無理を言ってキャストを招集して撮影した。皆映り込まないように無理な体勢で隠れたりしながら、手を這わせて撮った。」
満島「どんなシーンなのか、撮られている方は全然想像がつかないまま撮られていた。日本の男性はあまり女性をうまく愛したことがないのか、みんな手の這わせ方が固くてぎこちなかった。じんわりと触っていくべきところをサラッと触るので、あーっもうっ!と、(しびれを切らした満島さん自身が)手を掴んでこういう感じでやってみてと直々に指導をしたりした。その際、監督も手本を示してくれたのだが、その手つきがとてもうまかったので、この監督は頼もしいと、信頼関係が生まれるきっかけになった。」
※刑務所の面会のシーンで、田中 光子が、 ガラス越しに兄の顔をなでるシーンについて
監督「満島さんの手を見たとき、とても綺麗な手をしていると思ったので、手を撮りたいと思った。」
◇監督とポーランド◇
※ポーランド人カメラマンのピオトル・ニエミイスキ氏の起用について
満島「ヨーロッパのカメラマンのカメラワークには、女性的な印象があり、自分の好みと合っていたので、信頼できた。カメラのポジションや被写体との距離感、動���のあるカメラワークのときのカメラの移動速度などが、日本人のスタッフとかなり違って、お国柄が出るんだなと感じた。」
※監督がポーランドで映画を学んだ経緯について
監督「ずいぶん前のことなので、あまり思い出せない。
(以下、満島さんのアシストを経て出てきたエピソード)映画を専門とする前は、���理学を専攻し、超電導の研究をしており、実験のため、研究室で1週間籠りきりになって作業することもあり、人と接する機会がないこともあり、このままではいけないと危機感を感じていたと思う。」
◇田中 光子の長い独白の場面について◇
満島「演じている側は、正解がわからなくて、自分はうまくできているのだろうかと思っていたし、全然掴めていなかった。演技派なところを見せてやろうとか魂胆があるわけでもなく、ただ、いい演技をしたいという一心で、感情の動くままに演じた。実際、光子の人物像は、もっとわかりやすく狂った大げさな感じにもできたし、やりようは他にもいろいろあったが、監督との話し合いを経て、小さい男の子が、今日はどんなことがあったの?と聞かれて、「あのね、こんなことがあってね、あんなところにいってね…」と報告してくるときのような、ストンと肩の力を抜いた淡々とした語り口調に落ち着いた。ただ、撮っている最中は掴めなくて、途中で不安になって楽な方に逃げてしまったなと自分で思うところがあって、撮り終わった後に、ああ、もっとできたはずと、納得しきれていない。
とにかくやっている間は胸がただただ苦しくて仕方なくて、カットがかかった後、ぐったりへばっていたら、同じシーンで共演していた平田 満さんに、『満島、苦しいだろう、満島、俺も昔そういう役をやったときは、苦しかったんだ』と励まされた。
そうやって、感覚的に感情を前面に出したものを、監督がうまく拾って形にしてくれたのだと思う。 (ちなみに満島さんは、インフルエンザの病み上がりで、愚行録の撮影に臨んだという。) 」
監督「この映画の核となるシーンが撮れたというか、光子という人物が掴めたという確かな手応えを感じた。このシーンを起点に、他の場面のカメラワークや全体のトーンや雰囲気が決まっていったので、演者の作り出した役の人物像に影響を受け、映画の作り方に反映されるという体験が、今までになくてよかった。
このシーンに関しては、あまり論理的に説明している感が出ないように、セリフまわしに工夫を凝らした。接続詞を削ったり、語尾を言い切らない感じにして、一貫性をなくしたことで、語り手は光子一人なはずなのに、視点が自分目線になったり、俯瞰になったり、主観と客観を行ったり来たりする。これによって、本当に光子の主張が真実なのか、光子の母やほかの人物の証言の方が、実は正しいのではないかと、疑いの余地が出てくる。
本番前は何度も話し合いを重ねるけれど、いざ本番を撮り出すと、それ以上はディスカッションせず、撮ってしまう。このシーンは結局2テイクで撮った。」
◇田中 光子が耳を触ることの意味◇
監督「耳を触るしぐさには、一般的にもセクシュアルな意味合いがあるので、そこは意識して取り入れたところがある。」
満島「耳を触る演出は、監督からの指示ではあったが、『耳を触ってもいいし、触らなくてもいいし、触っても…とりあえずやってみて』という煮え切らない言い方だったので、『やるの?やらないの?どっちなの?』と戸惑った。この場面に限らず、監督の演出は、具体的に指示するというよりは、大まかな流れを説明されて、『はい、じゃああとはやってみて』と任されるエチュード方式なことも結構多かった。」
◇満島さんと妻夫木 聡さんの共演について◇
満島「妻夫木さんとは、いろいろな作品で何度も共演経験があり、ときにはけんかのように激しく意見をぶつけ合うこともあった仲ではあるものの、今回の現場では、演技の内容に関しては、まったく話さなかった。普段から人柄も良く温和でさわやかで、一般的にも好青年のイメージがある方だけど、絶対にとんでもなく真っ黒な闇を心に抱えている人だと思っている。今年の『怒り』でのアカデミー助演男優賞といい、妻夫木さんは、数々の賞を受賞されているが、いつも、「賞を戴けるのは、自分の力というよりは、相手役が素晴らしかったおかげだ」と言っている。(その言葉を借りると、)今回もし、光子をよかったと思っていただけたら、それは、妻夫木さんのおかげだと思うし、妻夫木さんも同じように思っていただけてたらと思う。」
◇田向家と宮村の店に共通してリースが飾られていたことの意味◇
監督「よく聞かれるポイントだが、(明示的な意味合いがあるというよりは)メタファーとして使っている。このリースに限らず、例えば、光子の、大学入学を機に、『底辺の生活から抜け出すためなら、できることは何でもするつもりだ』といった発言も、(対極の立場にいるはずの)田向浩樹の貪欲さと通じるところがあったりと、実はさりげなく対になってリンクしているような要素がほかにもある。
実は、当初、(宮村が経営するカフェで使われている)ハーブからリースにつながる箇所があり、もう少しはっきりした流れがあったが、編集の過程で削ぎ落とされて、若干わかりにくくなったかもしれない。これくらいで勘弁してください。」
◇闇を抱えた役を演じ��意義◇
満島「この役、あなたにぴったりだから!といってこの話をもってこられたとき、『え?人を殺しそうな人に見えているの?どういうイメージなの?』と内心複雑だった。役作りをするにあたり、資料として読んだ『累犯障害者』(山本 譲司著)の中の『売春をする知的障碍者』の章で、彼女の行いを止めようとするソーシャルワーカーに対して、『自分は愛されていると確かに実感できるのは、体を売っている瞬間だけなのに、どうしてそれをやめなきゃいけないの?』と言い放つくだりがあって、光子もきっとそういうところがある人なんだろうと思い、参考にした。こういう役もやりがいがあるけれど、明るいインド映画にも出たいと思っている。 」
以上
◇ ◇ ◇ ◇ ※以下ネタバレを含む感想
二度目を観ていて気づいたのは、輝かしいところだけしか見せられない関係の歪さだった。
田向浩樹は、学生時代に、バランスをとって本命の彼女との関係を良好に保つためという大義名分のもと、二股をかけていたが、その慣習は、結婚した現在もまだ続いていたと思われる。
彼の不倫相手として関係が続いていたであろう稲村には、臆せず見せていた愚かしい一面を、稲村は肯定していた。また、性別は違えど、会社の同期の渡辺も、同様だ。
しかし、浩樹は、妻である友季恵には、きっとその一面を見せていなかったのではないかと思う。
それはきっと、 友季恵も同じで、彼女の場合、夫どころか、ほとんどの人間に弱みを見せていなかったのではないかと思うと、より息苦しさを感じられた。
互いに誰から見ても非の打ちどころのない伴侶を手にした二人だが、心にやすらぎはあったのか。
宮村から夏原に乗り換えた思い出を語る尾形も、一見、夏原との過去の栄光を嬉々として話しているように見えたけれど、わたしには、なんとなく夏原よりも宮村に未練というか思い入れのようなものがあったのではないかと感じられた。
回想の中の学生時代の二人は、(少なくとも部外者のわたしには、)腹を割って話せるとてもしっくりくる組み合わせに見えていた。
己の愚かしさを曝け出すのは、情けなく醜い行為だが、ときには、それを赦してくれる人や場を、無性に求め、すがってしまうものなのかもしれない。
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【立川】 ざっくり言うと、五ノ神製作所の大元の系列。15:15くらいで空席あり。豚骨に煮干を合わせたこってりスープ。店内に辛子高菜が無料で置いてあったり、スープ割りがIHヒーターで寸胴で置いてあったり、漫画が多かったりとユニークな点が目立つ。 つけめん 全部のせ1050円。中盛300g。麺はややウェーヴのかかった中太麺。スープは最初ガッと煮干感が来るものの、その後はそんなニヴォ感は感じず。シャヴァめで言うほどこってりでもない。 …何だろう、麺も汁もトッピングも全て圧倒的に「普通」だ。ヴァランスの良いラーというのは飛び抜けたものがなくても全てそこそこ美味しいものだが、麺ひとつにしてもなんちゅーか、「つけめん喰ってる!」とゆー感動が感じられない。だがマズいと言えるほどでもないのだ。汁が少なくてぬるいのはマイナスだが、そこまでひどい訳でもない。 結果、麺は半分、海苔1枚とチャーシューも1枚残してしまった。初めてのことである。ス���プ割りで汁完はしたが、それも感動なし。 恐らくここはラーメンの方が正解であろうが、それにしても再度チャレンジするには勇気がいりそうだ。 釈然としないものを感じながら店を後にした。まぁ体調とかもあるかもしれないからまたもし機会があったらw \(^ω^)/ #ラーメン #つけ麺 #つけめん #つけメナー #煮干 #煮干し #麺スタグラム #麺stagram #2017ラー (煮干しらーめん 青樹)
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