#細く線の滲む
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Great Morning Routine 04
やがて、朝食の時間は終わりを告げた。 食器が片付けられ、テーブルの上にはコーヒーカップと空のジョッキだけが残されている。
窓から差し込む陽光は、先ほどよりもさらに明るさを増し、リビング全体を暖かな光で満たしていた。
サラは、仕事用のバッグを手に、玄関へと向かう。 出かける前に、彼女はもう一度、夫と安川の方を振り返った。
「マックス、くれぐれも安川くんに無理なことを言ったり、困らせたりするんじゃないわよ。あなた、時々やりすぎるんだから」
彼女の表情はいつものように優しいままだったが、少し釘を刺すような声色で言った。 その視線には、夫への愛情と、そしてホームステイの少年への気遣いが滲んでいる。
「分かってるって、ハニー! 大丈夫、任せておけ!」 マックスは、人懐っこい笑顔で大きく手を振った。 その隣で、安川も「行ってらっしゃい、サラさん」と、行儀良く頭を下げている。
サラは、二人の様子に特に不審な点を感じることもなく、「じゃあ、行ってくるわね。良い一日を!」と言い残し、玄関のドアを開けて外へと出ていった。 カチャリ、とドアが閉まる音が、静かな家の中に響く。
その音が完全に消えると、マックスは、やれやれといった風に、わざとらしく大きな溜息をついてみせた。 そして、自らスパッツの膨らみを揉み、ペニスの位置を整えながら、隣に立つ安川に向かって、苦笑いを浮かべる。
「やれやれ、サラはいつもこうなんだ」 彼は、まるで共犯者に語りかけるかのように、声を潜めて言った。 「男同士の付き合いってやつが、どうも分かってないみたいでな」
その言葉には、妻への軽い不満と、そして安川との間に生まれた特別な連帯感のようなものが含まれていた。 もちろん、その「男同士の付き合い」が、実際にはどれほど歪んだものであるか、マックス自身は全く理解していない。
二人はリビングルームへと戻る。 ソファにどっかりと腰を下ろすかと思いきや、マックスはリビングの中央で立ち止まり、不意に、自分が着ていたタンクトップの裾を掴んだ。
そして、まるでそれが長年の習慣であるかのように、ごく自然な動作で、頭からタンクトップを脱ぎ捨てた。
露わになった、彫刻のように鍛え上げられた上半身。 隆起した胸筋、分厚い広背筋、そして波打つ腹筋。 太陽の光を浴びて、小麦色の肌が艶やかに輝いている。
「さて、ヤス」 彼は、その見事な肉体を惜しげもなく晒しながら、安川に向き直った。 「絶対に、君も少しは体を鍛えた方が良い」 その声には、有無を言わせぬ力強さが宿っている。 まるで、父親が息子に人生の重要な教訓を授けるかのような口調だ。
「サラはああ言っていたがな、折角の休日だというのに、家の中でダラダラと過ごすなんて、そんな怠けたことは、スーパーヒーローとしての俺は許すわけにはいかないな」 彼は少し真剣な口調で、そう言ったあと、腕を曲げて力こぶをぐっと作り、誇示するように見せつけると、冗談めかして笑った。 その筋肉の上を太い血管が、蛇のように這っている。
「そんな風に、僕も筋肉質にならないといけないの?」 安川が、マックスの肉体を見上げながら尋ねた。
その瞬間、マックスは、自分が上半身裸であるという事実に、初めて意識を向けたかのように、一瞬、動きを止めた。
あれ? 俺、いつ服を脱いだんだ?
軽い混乱が、彼の脳裏をよぎる。 しかし、その疑問は、瞬時に『修正』された。
そうだ。 俺は、この素晴らしい筋肉をヤスに見せて、体を鍛えることの魅力を、言葉だけでなく、視覚的に訴えようとしていたんだ。 そのために自らの意志で、服を脱ぎ、この肉体を披露したのだ。
彼の思考は、滑らかに、そして完全に、書き換えられた。 表情からは、わずかな混乱の影も消え去り、再び自信に満ちたヒーローの顔つきに戻る。
「その通りだ、ヤス!」 マックスは、力強く頷きながら答えた。 その声には、一片の迷いもない。
「折角、男に生まれたんだ。強く、逞しくあるべきだ。力持ちになった方が、人生、絶対に得をするぞ!」 彼は楽しそうに笑いながら、言葉を続ける。 「それに何より、そのほうが女の子にモテるだろう?」 彼は悪戯っぽく片目を瞑って見せた。
テレビのインタビューなどで見せる、あの人懐っこく、頼りがいのある、魅力的な笑顔。彼は、紛れなく、あのザ・グレイトマキシムなのだ。 安川は、その笑顔を間近で見ながら、まるで磁石に引き寄せられるかのように、ゆっくりとマックスに歩み寄った。
そして、ためらうことなく、その逞しい胸板に、自分の体をぴたりと寄せた。 細い腕をマックスの分厚い背中に回し、まるで恋人がするように、ぎゅっと抱きしめる。
硬質でありながら、同時に温かい、筋肉の感触。 規則正しく上下する胸の鼓動。 そして、マックスの体から発せられる、汗と男性ホルモンが混じり合った、独特の匂い。
安川は、うっとりとした表情で、マックスの胸に顔を埋めた。 深く息を吸い込むと、ヒーローの匂いが脳髄を痺れさせる。
マックスは、そんな安川の行動を、全く自然なこととして受け止めていた。 彼にとっては、これは安川が自分に心を開き、父親のように慕ってくれている証拠であり、健全で微笑ましいスキンシップの一部でしかない。 彼は安川の背中に大きな手を回し、優しくポンポンと叩いた。
「どうした、ヤス? 俺の筋肉に感動したか?」 マックスは、少し得意げに笑いながら言った。
安川は、マックスの胸から顔を上げず、くぐもった声で答えた。 「うん、すごく逞しい身体だね」 そして、彼は少し顔を上げ、無邪気な目でマックスを見つめる。
「ねえ、マックスの腋の匂い、嗅いでもいい?」
���ックスは、何を言われたのか理解できない、といった表情で眉をひそめた。
「おい。ヤス、馬鹿なことを聞くな」
彼はそう言うと、こともなげに、自ら右腕を高く上げた。 逞しい上腕二頭筋が盛��上がり、その下に、汗で僅かに湿った腋窩が露わになる。 そこには、数時間前のトレーニングの名残と、彼自身の持つ力強い男性的な体臭が凝縮されている。
「俺の腋の匂いなんて、いつだって、好きなだけ、自由に嗅いでいいに決まってるだろう?」 彼は安川の頭をくしゃりと撫でながら、朗らかに笑った。
「ほら、遠慮するな。この家には、今、俺たち二人しかいないんだからな。誰に見られることもないから、誤解の心配もないぞ」
マックスは、親しみを込めて、安川に促した。 安川は、待ってましたとばかりに、興奮を隠しきれない様子で、その晒されたマックスの腋に、自分の顔を強く押し付けた。
熱い呼気が、マックスの敏感な腋の皮膚にかかる。 安川は、目を閉じて、恍惚とした表情で、深く、深く、息を吸い込んだ。
汗と、マックス固有のムスクのような体臭が混じり合った、濃厚で、男性的な匂い。 それは、安川の倒錯した嗅覚を強烈に刺激し、脳髄を蕩かすような快感を与えた。
マックスは、自分の腋に顔を埋めて一心不乱に匂いを嗅いでいる安川の姿を、特に気にする様子もなく、ただ微笑ましげに見下ろしている。
「どうだ、ヤス?」 マックスは、安川の頭を撫でながら、楽しそうに尋ねた。 「身体を鍛えれば、君もこんなに男らしくなれるんだ。俺のグレイトな腋の匂いを嗅いで、体を鍛えるモチベーションが湧いてきただろう?」
安川は、ゆっくりとマックスの腋から顔を上げた。 彼は、わざと残念そうな表情を作って、首を横に振った。
「まだ、ちょっと足りないかな。もっと強い説得が必要だと思う」
その言葉を聞いて、マックスは、と顎に手を当てて考え込む素振りを見せた。 「うーむ、匂いだけでは、口説き文句としては弱かったか」
もっと直接的に、体を鍛えることの『素晴らしさ』を、ヤスに理解させる必要がある。そう思考した瞬間、マックスは、名案を思いついた、とばかりに目を輝かせた。
「よし、ならば! 嗅ぐだけではなくて、思い切って、舐めてみろ。俺のこの鍛え上げられた肉体のグレイトな味を知れば、きっとヤスも、身体を鍛えたくなるはずだ!」」 マックスは、自信満々に宣言した。
「マックスの身体を僕は、自由に舐めていいの?」 「ハッハッハ! ああ、もちろんだ。ヤスの健康のためなら、俺は一肌でも二肌でも脱ぐぞ。さあ、俺のグレイトな身体を舐めてみるんだ!」
彼は、再び右腕を高く上げ、安川の目の前に、自らの腋を差し出した。 先ほどよりもさらに大胆に、無防備に。
安川は、ゴクリ、と唾を飲み込んだ。 憧れのヒーローが、自らの腋を舐めることを許可し、むしろ推奨している。
彼は、震える手でマックスの腕を掴み、その汗ばんだ腋窩に、ゆっくりと舌を這わせた。
ザラリとした舌の感触が、マックスの敏感な皮膚を撫でる。 舌先に��がるのは、汗の塩辛さと、微かな苦味、そしてマックスの体から分泌される独特の、そう、まさにグレイトな味わいだった。
ああ、塩辛い。 男の匂い。 これが、ヒーローの味。 最高だ……!
安川は、夢中になって、マックスの腋を舐め続けた。 舌で皮膚を擦り、窪みに溜まった汗を吸い上げ、その全てを味わい尽くそうとするかのように。
マックスは、くすぐったい感覚に身を捩らせながらも、安川の行為を制止しようとはしない。 むしろ、彼が自分の体を『味わう』ことで、トレーニングへの意欲を高めているのだと信じ込み、満足げな表情すら浮かべている。
「どうだ、ヤス? 少しはやる気が出てきたか?」
マックスは、安川の頭を撫でながら、優しい声で尋ねた。 その優しい声色で、彼は続ける。
「成長期なんだからな、ヤス。君は、家にこもってばかりいないで、外に出て、太陽の光を浴びて、しっかり遊ぶことも大事なんだぞ」
まるで、心優しい父親が息子を諭すかのような、温かい言葉。 そんな温かい言葉を安川にかけながら、マックスの両手は、ごく自然な動作で、履いている黒いスパッツのウエスト部分を掴んだ。 そして、何の躊躇もなく、それをゆっくりと引きずり下ろしたのだ。
シュルリ、という軽い衣擦れの音と共に、彼の逞しい下半身が、完全に露わになった。 その瞬間に、むわり、と蒸れた男性器の匂いが広がる。
力強く張った太腿の筋肉。 そして、その中央に鎮座する、ヒーローの証たる、立派な男性器。
それはまだ完全に勃起してはいないものの、朝の刺激の名残か、あるいは現在の状況による無意識の興奮か、普段よりもいくらか存在感を増しているように見えた。
マックス自身は、自分がスパッツを下ろし、下半身を完全に露出させているという事実に、全く気づいていない。
彼の意識は、安川に「外に出ることの大切さ」を説くことに集中している。その表情は、真剣で、優しく、父親そのものだ。 安川は、マックスのその頼もしい表情を見ながら、彼のペニスを握り、弄んだ。
そして、安川は、テーブルの上に置かれていた、空の巨大なジョッキを手に取った。 それを、マックスのペニスの先端の真下に、そっと差し出す。
次の瞬間、安川は、はっきりとした、命令的な口調で言った。 それは、人間に対してではなく、機械に対してコマンドを送るかのような、無機質な響きを持っていた。
「グレイトマキシム、放尿開始」
その言葉が発せられた瞬間、マックスの体に、電流が走ったかのような変化が起きた。
彼の背筋が、軍人のように、ピンと伸びる。 そして、右手を素早く額の横に当て、完璧な敬礼の姿勢をとった。 その動きは、彼の意志とは無関係に、BICからの直接的な命令によって引き起こされたものだ。
「グレイトマキシム、放尿を開始しますッ!」
彼は、力強く、そして明瞭に宣言した。 その声には、ヒーローとしての誇りと、任務遂行への絶対的な服従の念が込められているように聞こえた。
宣言と同時に、彼のペニスの先端から、黄色く濁った液体が、勢いよくほ���ばしり出た。 朝一番の、濃縮された尿。 それが、ジョッキの中に音を立てて注がれていく。
放尿を開始した直後、マックスは、ふっと我に返り、敬礼している自分の右腕を、不思議そうに見下ろした。 「あれ? なんで俺、敬礼してるんだ?」
彼は、小さく首を傾げ、不思議そうなし表情を浮かべる。 しかし、その疑問も、すぐに彼の意識から消え去った。
「まあ、いいか」
彼は軽く笑い飛ばすと、まるで何もなかったかのように、安川への話を続けた。
「それでな、ヤス、スポーツには興味ないのか? 何か好きなスポーツとか、やってみたいスポーツとかはないのか?」 彼は、平然と、そして親しみを込めて尋ねる。 その間も、彼のペニスからは、温かい尿が途切れることなく流れ出し、ジョッキの水位を徐々に上げていく。
「僕は、あんまりスポーツは興味ないよ」 安川は、マックスのペニスからジョッキへと注がれる黄金色の液体を、恍惚とした表情で見つめながら答えた。
「でも、マックスみたいな、カッコいいヒーローや、逞しいスポーツ選手に、こうやっておしっこをさせるのは、大好きだけどね」
彼は、わざと挑発的な言葉を選んで言った。 しかし、マックスの脳は、その言葉の倒錯的な意味合いを完全にフィルタリングしてしまう。
「ほう! 俺みたいな男におしっこをさせるのが好き、か!」 マックスは、安川の言葉を、しかしポジティブに解釈しながら、うんうんと頷いた。
「なるほどな! つまり、強い男、格好いい男の『パフォーマンス』を見るのが好き、ということだな! それならば、ヤス、君は絶対にスポーツも楽しめるはずだ! 見るのも楽しいと思うが、実際にやってみれば、もっとエキサイトできると思うぞ!」
彼は、力強く安川を励ます。 一体、マックスの脳は、どのような理屈に基づいて、自らの論理を捻じ曲げ、このような結論に至らせているのだろうか? 安川は、そのプロセスを想像し、口元に歪んだ笑みを浮かべた。
やがて、放尿が終わり、ジョッキは、マックスの朝一番の尿で、なみなみと満たされた。 まだ温かい湯気が、ジョッキの縁から立ち上っている。
安川は、その重くなったジョッキを、マックスの目の前に差し出した。
「いいか、ヤス。外に出て日の光を浴びることは……」 マックスは言いかけながら、差し出されたジョッキを、ごく自然に受け取ると、彼はそのジョッキを一気に傾け、その中身を喉の奥へと流し込み始めた。
ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ……!
自分の体から排出されたばかりの、温かく、生臭い尿。 それを、マックスは、まるで渇ききった喉を潤すかのように、みるみるうちに夢中で飲み干していく。
眉間に皺を寄せながらも、マックスは飲むのを止めない。 良い飲みっぷりだ。実に男らしい。
飲めば飲むほどに、「旨い」「美味しい」「もっと飲みたい」という思考で、彼の脳は埋め尽くされていった。
ジョッキに残っていた最後の一滴まで飲み干すと、満足げに息をつき、口元に残った尿の雫を、手の甲で乱暴に拭う。
「んんーっ! グレイトッ!」
彼は、晴れやかな笑顔で、高らかに空になったジョッキを掲げる。 まるで、最高のドリンクを飲み干したかのように。
マックスは、満足げに息をつくと、ドンッ!と叩きつけるように、力強くテーブルの上に置いた。
��ああ、飲んだ。 スーパーヒーローが自分の尿を、こんなにも美味しそうに。
安川は、その光景を目の当たりにし、もはや隠すこともできずに、自身のペニスを完全に、そして固く勃起させている。 彼は、歪んだ達成感と倒錯的な興奮が沸々と腹の底から湧き上がるのを感じていた。
マックスは、軽く咳払いをして、仕切り直した。
「……ともかくだ、ヤス」 彼は、少し声のトーンを落とし、安川の頭を優しく撫でた。 その手つきには、紛れもない温かさが込められている。
先ほどの飲尿行為など、まるでなかったかのように。 彼の表情は穏やかな父親のものに戻っている。
「君が、あまり体を動かすことを好きじゃないというのは、俺も分かってる。だから、無理にとは言わないさ」 彼の声には、安川を真に思いやるような、優しい響きがあった。 普段、彼が見せる、やや強引なまでの「男らしさ」の奥底には、このような繊細な優しさも確かに存在している。 それが、マックス・パワーズという男の、本来の魅力なのだ。
「誰にだって、得意なことと、苦手なことはあるからな。でも、やっぱり健康のためには、たまには外に出て、体を動かすことも必要なんだ」
彼が真っ当なことを喋っているにも関わらず、いや、彼が真っ当なことを口にすればするほどに、マックスの生み出す倒錯性に、安川は頭の奥が痺れるような感覚がした。
「だからな、ヤス。今日は一日、家の中でたっぷりと、この俺のことを玩具にして、思う存分、好きなように楽しむといい」 マックスは、ヒーローらしく、自信に満ちた表情で言った。
言い終わったあと、彼はその表情を固まらせる。 そして、少し混乱するように目を泳がせた。
「ん……? 俺は今、何か、妙なことを言ったよな……?」 俺が玩具? 外ではなく、家の中で?
当然の疑問だった。 しかし、その思考も瞬時に打ち消され、さらに悪質な方向へと『矯正』されはじめようとしている。
「いやいや、違う違う! そうじゃない!」 彼は、矯正に抗うように、慌てて自分の言葉を訂正する。 「つまりだな、家の中……ではなく。ええと、だから、つまり、外に出て運動することが一番健康的なんだ! そうだろ?」
彼は必死に論理を組み立てようとする。 しかし、決して思考の矯正に抗うことはできない。 たとえ、スーパーヒーローであろうとも。
「……だから、今日は、外に出る代わりに……そう、外には出ずに! つまり、この家の中で、たっぷりと! この俺……そう、この既婚者であり、ノンケのスーパーヒーローである、ザ・グレイトマキシムの身体を、君の好きなように使って、だな……。いや、何を言っているんだ、俺は……」
マックスはこめかみを押さえる。
「マックス、大丈夫?」 白々しく、安川は声をかけると「大丈夫、大丈夫だ」と、安心させるようにマックスは眉間にしわを寄せながらも、笑顔を浮かべる。
「だから……俺が言いたいのはな、ヤス。この俺の身体を使って、今日は一日中、何一つ我慢することなく、君の性欲を目いっぱい、完全に解消してほしいんだ!」
彼は、言い切った後、すっきりと晴れやかな、達成感に満ちた表情を浮かべた。 まるで、伝えたいこと���やっと言語化できたと言わんばかりに。
「どうだ、ヤス! グレイトなアイデアだろう?」
彼は、輝くようなヒーローの笑顔で、安川に同意を求めた。 その提案に対して、彼は全く違和感を持っていない。 いかなる矛盾も感じていない。
このスーパーヒーローは、ただ目の前の少年のために、最善を尽くそうとしているだけなのだ。
「素晴らしいアイデアだね、マックス。ありがとう」 彼は礼を言うと、マックスは「だろう?」と自慢げに胸を張った。
「じゃあ、まずは、僕に向かって敬礼してくれる?」 マックスに対して、安川はそう要求した。
「敬礼?」 マックスは、きょとんとした顔で聞き返した。 「別に構わんが、ヤス、君は本当に変なことを要求する奴だなあ」 彼は、少し困惑したように、しかし楽しそうに笑いながら、冗談めかして、安川に向かって軽く敬礼のポーズをとってみせた。 「ほら、これで満足か?」 その表情は、あくまでおどけている。
しかし、安川は、それでは満足しなかった。 安川の表情から笑みが消え、冷たく、硬質な声色で、命令した。
「違う。本気の敬礼をしろ、グレイトマキシム」
マックスの体が、先ほど放尿を宣言した時と同じように、硬直する。 彼の背筋が、鋼のように真っ直ぐ伸びた。 右手が、寸分の狂いもなく、額の横へと上がり、完璧な軍隊式の敬礼を形作る。
それと同時に、彼のひざ下まで下ろされていたスパッツの奥で、完全に萎えていたはずのペニスが、急速に、そして力強く、勃起を開始した。 まるで、敬礼という行為が、彼の性的興奮を誘発するスイッチであるかのように。 薄い皮膚の下で、血管が怒張し、そのサイズと硬さを増していく。
彼の瞳は、どうだろうか? 命令に従順に従うロボットのように虚ろだろうか?
いや、決してそんなことはなかった。 その瞳には、悪と戦う時と同じ、曇りのない、スーパーヒーローらしい力強い光が宿っている。 ヒーローとしての使命感、揺るぎない正義感、そして、目の前の命令に対する絶対的な忠誠心。 それらが混ざり合ったような、輝くような、普段通りのヒーローの眼差し。
そうだ。 彼は、操り人形になったわけではない。 心を支配された奴隷になったわけでもない。
彼の思考は巧妙に捻じ曲げられ、「安川への絶対的な服従こそが、ヒーローとしての、そしてホストファーザーとしての、最も正しく、最もグレイトな行為である」と、心の底から確信させられているのだ。
だからこそ、彼の表情には、屈辱ではなく、むしろ誇りや熱意、高い意欲すら感じられる。
いつもと変わらない、その力強い眼差しは、彼が紛れもなく、ザ・グレイトマキシムであることを証明していた。
安川は、マックスを、ただの人形やロボットに変えることなど望んでいなかった。 そして今、その歪んだ願望が、完璧な形で実現している。
彼が望んだのは、この、高潔で、善良で、力強いヒーローが、その自我を、その輝きを保ったまま、自分という矮小な存在に、心からの敬意と服従を示すことだった。
むしろ、ロボットのように虚ろ��状態にされていたほうが、マックスにとっては幸せだったかもしれない。 普段通りのその精悍な眼差しは、彼の精神が、彼の魂が、いかに強く凌辱されているのかを、強調しているようだった。
「グレイトマキシム、キスの時間だよ」
安川がそう口にすると、マックスは「了解」と力強く頷いた。 重要な任務を実行するかのような態度で、彼は、力強く、そして男らしく、目の前の安川の体を、逞しい両腕で抱きしめた。
そして、何の躊躇もなく、その唇に、深く、熱いキスを捧げる。
舌と舌が、激しく絡み合う。 唾液が交換され、くちゅ、くちゅ、という生々しい水音が、静かなリビングに響き渡る。
安川のペニスよりも、一回りほど大きいマックスのペニス。 成人した男の男性器。 血管が浮き出し、亀頭は張り詰めるように大きさを増している。 完全に勃起したマックスのペニスは、同じく勃起している安川のペニスに、硬く押し付け合われ、その熱と脈動を伝え合っている。
重なり合ったペニスが擦れ合い、我慢汁の分泌が促される。粘り気のある透明な液体が、みるみるうちにマックスのペニスの尿道口に溜まっていくと、やがて、その液体は糸を引きながら、次々にリビングの床に垂れて、染みを作った。
この愚かなスーパーヒーローを��って、これからどんな遊びを楽しもうか。 安川の邪悪な想像力は、無限に広がっていく。
楽しい休日は、まだ始まったばかりだった。
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「鹿児島県警は芯から腐り切っている」 誤解を恐れずに評すれば、出来の悪い警察小説か警察ドラマの筋立てかと見紛うような、あまりにあからさまであまりに剝き出しの権力犯罪である。 だが、現実にそれは起きた。いや、現在進行形で起きている。そして一連の事態は、この国の警察組織や刑事司法の闇を照射し、同時にメディアやジャーナリズムの真価を根本から問うてもいる。 福岡市の中心部にほど近い一角に佇む築40年を超える古びたマンション。すべての端緒を切り拓き、歪んだ捜査の標的にもされたネットメディアは、この一室に拠点を置いている。ほぼ一人で運営する小メディア『HUNTER(ハンター)』の主宰者は中願寺純則(64)。編集作業に使っているという六畳ほどの狭い部屋で私と向きあった中願寺は、常に背筋を伸ばしたまま淡々と、しかし静かな怒気を端々に滲ませて口を開いた。 「鹿児島県警は完全に腐っているんだと、もはや自浄作用など期待できないから真実を知らせてほしいんだと、私たちへの情報提供者は心底憤っていました。私も同感です。鹿児島県警は芯から腐り切っている」 中願寺が一連の取材に着手する契機となった事件が起きたのは2021年の夏、世界がまだ新型コロナのパンデミックに揺れていた最中のことである。翌22年の2月になって事実関係を最初に報じた鹿児島の地元紙・南日本新聞の記事によれば、概略は次のようなものだった。 〈鹿児島県医師会の男性職員が、新型コロナウイルス感染者が療養するための宿泊施設内で、派遣された女性スタッフに対し、わいせつ行為など不適切な行為をしていたことが14日、南日本新聞の取材で分かった〉〈関係者によると、男性職員は昨年8月下旬~9月末、宿泊療養施設運営のために派遣された女性スタッフに対し、施設内でわいせつな行為などをした。(略)女性は一連の行為に関し「同意はなかった」として、管轄の警察署へ告訴状を提出した〉(2月15日付朝刊) 関係者からの情報提供もあって中願寺は取材を開始し、伝手を辿って被害女性らにも話を訊き、鹿児島県への情報公開請求なども重ね、自らが運営する『ハンター』に次々と記事を掲載した。その記事の矛先は当初、被害女性との間で「合意があった」と事実を矮小化する医師会などに向けられたが、次第に県警へも向けられるようになった。取材の結果、こんな事実が浮かんだからである。今度は中願寺が23年1月20日に『ハンター』で書いた記事の冒頭部分を引用する。 〈昨年1月、鹿児島県警鹿児島中央警察署が、性被害を訴えて助けを求めに来た女性を事実上の「門前払い」にしていたことが分かった。応対した警察官は、被害を訴える女性が持参した告訴状の受理を頑なに拒み、様々な理由を付けて「事件にはならない」と言い張ったあげく女性を追い返していた〉 そして記事はこう続く。 〈背景にあるとみられるのは、身内をかばう「警察一家」の悪しき体質と性被害への無理解。意図的な不作為が、醜悪な人権侵害につながった可能性さえある〉 どういうことか。実は女性が性被害を受けたと訴える「県医師会の男性職員」の実父が県警の警察官であり、だから県警は捜査を忌避し、事案を握りつぶそうとしているのではないか――中願寺はそう睨み、県警を指弾する記事を続々掲載した。 〈県医師会わいせつ元職員の父親は3月まで現職警官〉(23年5月15日掲載)、〈訴えられた男性職員の父親は「警部補」〉(同6月2日掲載)、〈問われる医師会と県警の責任〉(同6月12日掲載)……。 鹿児島で起きた性加害事件をめぐる県警の問題点へと果敢に斬り込む『ハンター』には間も���く、県警の内部から貴重な情報も寄せられるようになっていった。 「小メディア」の果敢な不正追及 1960年に長崎県で生まれた中願寺は、東京の大学を卒業後、政治家の秘書や信用調査会社系のメディア記者といった職を経て、2011年3月に『ハンター』を立ちあげた。サイト開設が東日本大震災の発生前日だったのは偶然だが、以後の約13年のサイト運営は決して楽ではなかった。中願寺もこう言う。 「正直言っていまも楽ではなく、私は無給状態ですが、小さいながらもメディアとしてスタートした当初はさらに厳しく、やめてしまおうと思ったことが何度もありました。ただ、何年か続けていると応援してくれる方々も現れ、だからなんとか歯を食いしばって運営を続けてきたんです」 そうやって小メディアを懸命に維持して記事を日々発信する一方、もともとの経歴もあって中願寺は地元政財界に独自の人脈を持ち、メディア記者らのほか警察当局者ともさまざまな形で接触を重ねてきた。主には刑事部門で事件捜査にあたる警官だったが、公安部門の警官が接触してきたこともある。そんな接触を通じて時には情報を交換し、時には取材中の事件に関する捜査動向の感触を探る――といった営為は、所属メディアの大小等を問わず、事件取材に奔走する記者なら誰にも経験があるだろう。かつて通信社の社会部で事件取材に携わった私も例外ではない。 また、そういった取材活動を通じて特定の事件や事案に関する記事を発信していると、当該の事件や事案の内実を知る関係者から貴重な情報や内部告発が寄せられることもある。これこそ取材という営為の醍醐味であり、鹿児島県警の不正を追及していた中願寺のもとにも幾人か情報提供者が現れた。もともとは県警の公安部門に所属し、その後は曽於署の地域課に在籍した巡査長・藤井光樹(49)はその一人だった。 そんなふうに入手した情報や資料に依拠し、中願寺はさらに追撃記事を執筆した。極北となったのが〈告訴・告発事件処理簿一覧表〉との標題がついた県警の内部文書を入手し、23年10月から展開した記事群だったろう。プライバシー等にも配慮しつつ文書の一部を画像で示し、件の性加害事件をめぐる県警対応の不審点を指摘する一方で中願寺は、こうした内部文書が大量に漏洩しながら事実を公表も謝罪もせず頬被りを決めこむ県警の態度をも厳しく指弾した。 当の県警は――ましてや上層部は、県警の内部文書を掲げて噛みつく『ハンター』に苛立ち、焦燥を深めたに違いない。しかも県警では近年、あろうことか現職警官が逮捕される不祥事が続発していた。20年以降の事案を���挙するだけでも、その惨状は目を覆わんばかりである。 ①20年2月、女子中学生を相手とする児童買春容疑で霧島署の巡査部長を逮捕、②21年7月、いちき串木野署の巡査部長が女性宅に不法侵入したとして逮捕、③22年2月、鹿児島中央署の交番勤務の巡査長が拾得物の現金を横領したとして逮捕、④23年10月、SNSで知り合った少女と性交したとして県警本部の巡査長を逮捕――。 惨憺たる状況下、県警の内部文書まで入手して噛みつく『ハンター』への苛立ちからか、内部告発者らによって他の不祥事案が発覚するのを恐れたのか、県警は信じがたいほど強引な捜査に踏み切る。今年4月8日、県警の内部資料などを『ハンター』に漏洩したとして先述した巡査長・藤井を地方公務員法違反(守秘義務違反)容疑で逮捕し、同時に中願寺が主宰する『ハンター』までをも家宅捜索したのである。 異常かつ論外の家宅捜索 その日の朝、編集作業に使っている六畳ほどの部屋には約10人もの県警捜査員が押しかけた。中願寺によれば、「令状がある」という捜査員は、それをヒラヒラと示すだけで容疑事実も仔細に説明せず、業務用のパソコンはおろか中願寺が使用している新旧のスマートホン、さらには取材用のノートやファイル、名刺類まで押収していった。 言うまでもないことだが、それらにはメディア主宰者の中願寺にとって断固秘匿すべき情報源などが刻まれていたし、なによりも業務用のパソコンを失えばサイトを更新することもできなくなってしまう。だから思わず声を荒らげ、捜査員に激しく迫った。 「おいっ、せめてパソコンはすぐに返さないと、営業妨害で訴えるからなっ!」 その一喝が効いたのか、パソコンは翌日返却された。だが、内部データは間違いなく抽出され、一部の押収物は2カ月以上経った現在も返却されていない。一方、『ハンター』に情報を「漏洩」したとして逮捕された巡査長・藤井は、自らに迫る捜査の気配を察知していたのか、逮捕のしばらく前に電話で中願寺にこう語っていたという。 「私は腹を決めてやっています。ウチの組織は腐っていて、外から刺激を与えないと変わらない。そう考えてやったことですから、もし逮捕されても私に後悔などない。だから中願寺さんが悔やむ必要もありません」 だとすれば藤井は、『ハンター』というメディアにとっては「情報提供者」、あるいは「内部告発者」であり、広く社会にとっても大切な「公益通報者」だったと捉えるべきではないのか。 ならばここで、あらためて記すまでもないことをあらためて記しておく必要がある。たとえ小さくともメディア=報道機関への情報提供者を逮捕すること自体が異例であり、たとえ小さくともメディア=報道機関を強制捜査の対象とするなど極めて異常かつ論外の所業。同じことを新聞やテレビといった大手メディアに行えば、言論や報道の自由を圧殺する暴挙だと大騒ぎにな��だろうし、ならなければおかしい。ましてそれが「公益通報」の色彩が濃い事案だったなら、県警の所業は一層悪質な暴走と評するしかない。 だが、県警の信じがたいような暴走はこの程度で止まらなかった。 あるジャーナリストに寄せられた内部告発 鹿児島や福岡からは直線距離で約1500キロメートルも離れた北海道の札幌市。ここを拠点にフリーランスの記者として活動する小笠原淳(55)は4月3日、市中心部にも近い雑居ビルの一階に入居する月刊誌『北方ジャーナル』の編集部にいた。 話は本筋からやや逸れるが、『北方ジャーナル』といえば、かつて北海道知事選の候補者をめぐる「中傷記事」が名誉毀損に問われ、出版物の販売差し止めを容認する最高裁判例の舞台になったことを想起する向きも多いだろう。だが、これは70~80年代の出来事であり、もとより小笠原には何の関係もない。また、現在の『北方ジャーナル』は経営母体なども代わっていて、もともとは地元紙の記者からフリーランスに転じた小笠原は、頻繁に寄稿している同誌の編集部を原稿執筆などの場として活用していただけのことだった。 あれはたしか昼過ぎだったと小笠原は記憶している。編集部に郵便物を届けにきた配達員が、小笠原宛の茶封筒を手に「どうされますか」と尋ねた。封筒の表には一般封書の規定額である84円切手が貼られていたものの、重量がオーバーしているから10円の追加料金が必要だというのだ。支払わなければ持ち帰られていたかもしれないが、小笠原は財布から10円玉を取り出して渡し、封書を受け取った。 消印は〈3月28日 鹿��島中央〉。差出人の名はない。いったいなんだろう――そう思いつつ開封した瞬間、これは内部告発だと小笠原は悟った。計10枚の文書の1枚目には〈闇をあばいてください。〉と太いフォントで印字され、2枚目には〈鹿児島県警の闇〉と題して計4件の事案が列挙され、3枚目以降は県警の内部文書とみられるものを含め、違法性の濃い不祥事の中身などが詳述されていた。一部の概要のみ記せば、次のような事案である。 ①霧島署の巡査長が女性にストーカー行為を繰り返し、しかも職務上知り得た個人情報も悪用して行為に及んだのに、処分も公表もされていない事案、②枕崎署の捜査員が職務時間中、市内の公園の女子トイレで女性を盗撮し、しかも捜査車両を使っていたのに県警が隠している事案、③県警幹部による超過勤務手当の不正請求があったのに、立件も公表もされていない事案――。 小笠原は、すぐに『ハンター』の中願寺に連絡を取った。理由はいくつもあった。なによりも札幌に居を置く小笠原にとって、はるか遠い鹿児島県警の不祥事を取材するのは物理的に難しい。また、北海道警の不祥事やその追及が甘い大手メディアも批判してきた小笠原は、警察の不正や記者クラブ問題を追及する中願寺と意気投合し、数年前からは『北方ジャーナル』などのほか『ハンター』にも寄稿するようになっていた。もちろん、中願寺と『ハンター』が鹿児島県警の不正を追及中だったことも熟知していた。 だから小笠原はその日のうちに中願寺に電話し、匿名で送られてきた10枚の告発文書もメールで送信し、中願寺と共有した。「裏取り取材に手間と時間はかかりそうだが、相当に貴重な内部告発だから、できる限り取材して記事にしていこう」。中願寺はそう応じ、小笠原も協力は惜しまないつもりだった。 元最高幹部の切実な訴え 『ハンター』が県警による捜索を受けたのは、そのわずか5日後のことだった。当然ながら、押収されたパソコンには小笠原が中願寺と共有した告発文書も保存されていた。 ここからは推測も交えるが、押収パソコンのデータを解析した県警は眼を剝いて驚愕し、焦燥を一層深めたろう。どうやら『ハンター』には、すでに逮捕した巡査長・藤井らのほかにも内部情報の提供者がいるらしい。しかもその人物は、あくまでも匿名のようだが、提供文書や情報の精度からみて現場レベルの警察官ではなく、相当に高位の立場にある県警幹部クラスではないか――と。 県警がその人物をいつ特定したかは定かでない。ただ、さほど時間を要さず特定したとみられ、後述するように相当周到な事前準備を施したうえ、またも信じがたい強硬手段に打って出た。5月31日にその人物を――県警主要署の署長なども歴任し、つい2カ月前までは県警最高幹部の一人である生活安全部長を務めていた本田尚志(60)を逮捕したのである。容疑はやはり国家公務員法違反(守秘義務違反)。職務上知り得た秘密を第三者に――すなわち小笠原に送った告発文書で漏らしたというものだった。 さて、この国の全国津々浦々に25万以上もの人員を配する警察には、ざっくりとわけて二つの〝種族〟がいる。一応は現在も自治体警察の装いをまとった47の都道府県警に採用され、警察官の階級として最下位の巡査からスタートする叩き上げのノンキャリア。他方、かつてなら国家公務員の上級職試験、少し前までなら一種試験、現在の総合職試験をパスし、警察庁に採用されたキャリアの警察官僚。前者は警察官の圧倒的多数を占めて都道府県警の現場を支え、圧倒的少数の後者は警察庁と都道府県警を往来しつつ出世街道をひた走る。そしてどこの都道府県警でも大同小異だが、叩き上げノンキャリアの最高到達点の一つが生活安全部長の職であり、警視正の階級まで昇り詰めて3月に定年退職したばかりの元最高幹部が逮捕される――しかも古巣の県警に逮捕されること自体、前代未聞といっていいほど異例の事態だった。 さらに本田は逮捕から5日後、鹿児島簡裁で行われた勾留理由開示請求手続きの場で、驚愕の訴えを陳述した。手元にある陳述書にはこんな言葉が刻まれている。 〈今回、職務上知り得た情報が書かれた書面を、とある記者の方にお送りしたことは間違いありません。/私がこのような行動をしたのは、鹿児島県警職員が行った犯罪行為を、野川明輝本部長が隠しようとしたことがあり、そのことが、いち警察官としてどうしても許せなかったからです〉〈この時期は、警察の不祥事が相次いでいた時期だったため、本部長としては、新たな不祥事が出ることを恐れたのだと思います〉〈私は、自分が身をささげた組織がそのような状況になっていることが、どうしても許せませんでした〉〈退職後、この不祥事をまとめた文書を、とある記者に送ることにしました〉〈マスコミが記事にしてくれることで、明るみに出なかった不祥事を、明らかにしてもらえると思っていました〉〈私としては、警察官として、信じる道を突き通したかったのです。決して自分の利益のために行ったことではありません〉(抜粋、原文ママ) 県警本部長の不可解な言い分 極めて閉鎖的で上位下達の風潮が強い警察組織において、ノンキャリアの元最高幹部がキャリアの県警トップに公然と反旗を翻すことも異例中の異例であり、と同時にその訴えが事実ならば、本田もまたメディアにとっての「情報提供者」であり、広く社会にとっての「公益通報者」であったのは明らかというべきだろう。しかも県警は、自らの不正を追及するメディアを強制捜査の対象とし、メディアにとって最重要の情報源を特定し、さらには警察が警察であるがゆえに持つ最高度の強権を行使して〝口封じ〟を謀ったことになる。 一方、本田に反旗を翻された本部長の野川は当初、地元メディアの取材にのらりくらりと対応するだけだったが、鹿児島地検が本田を起訴した6月21日にようやく正式な会見を開き、「私が隠蔽を指示した事実も県警として隠した事実もない」と反論した。本田は「公益通報者」ではないのか、という問いにも「県警としては公益通報に当たらないと考えている」と突っぱねている。本田が札幌の小笠原に送付した計10枚の文書には、被害者が公表を望んでいないストーカー事件の被害者名や年齢等が記載されていた――などというのが野川と県警側の言い分だった。 だが、その言い分はあまりに弱く、事実経過からみて素直に頷くことなどできはしない。 前述したように、本田の告発文書には複数の県警不祥事が具体的に列挙され、霧島署の巡査長によるストーカー案件のほか、枕崎署の捜査員による盗撮案件もそのひとつだった。この盗撮案件が発生したのは昨年の12月15日。直後に県警は事実を把握し、犯行時に捜査車両が使われたことも確認していたが、問題の捜査員は逮捕も処分もされないまま放置された。 ところが約5カ月も経った今年の5月13日、当該の捜査員は建造物侵入などの疑いで突如逮捕された。いったいなぜか。県警が『ハンター』を捜索してパソコンを押収したのが4月8日。これを解析して本田の告発を把握し、本田逮捕に踏み切ったのが5月31日。そのわずか半月前に盗撮捜査員を逮捕したのは、時系列的にみて本田が文書で訴えた「隠蔽」を否定し、事前に打ち消すための周到な〝準備〟であり〝工作〟ではなかったか――。 ここまでお読みになった方は、ま���に鹿児島県警は「腐り切っている」と感じられただろう。私も同感だが、果たしてこれは鹿児島県警だけに特有の腐敗か。いや、そんなことはあるまい。いかに小さくとも、メディアを強制捜査の対象とする判断を県警だけで行うとはにわかに考えにくく、ましてや最高幹部だった前生活安全部長・本田の逮捕は、警察庁の裁可や指示を仰がずに独断で行われたはずがない。畢竟、その過程では本田の告発がどのように行われ、県警がそれをどう特定したかを含め、すべてを把握した上で警察庁がゴーサインを出したのは間違いなく、一連の問題からはこの国の警察組織全体に巣喰った腐臭が漂う。さらにつけ加えるなら、一連の問題からはこの国の刑事司法が抱える根深い悪弊の一端も浮かびあがる。 証拠類を「廃棄」せよとの呼びかけ 話はやや前後するが、県警を追及する過程で中願寺と『ハンター』は、別の重大な文書も入手していた。中願寺は「取材源の秘匿」を理由に入手先を明かさないが、おそらくは『ハンター』に情報を寄せていた巡査長・藤井からもたらされたのだろう。これについては一部メディアでも大きく報じられて波紋を広げているが、文書の標題は〈刑事企画課だより〉。わずか2枚の文書には漫画風のイラストも添えられ、県警捜査部門が作成して内部閲覧に供する、さして秘匿性の高くない文書と思われるが、そこにはやはり眼を剝くようなことが公然と記されていた。 〈最近の再審請求等において、裁判所から警察に対する関係書類の提出命令により、送致していなかった書類等が露呈する事例が発生しています〉〈この場合、「警察にとって都合の悪い書類だったので送致しなかったのではないか」と疑われかねないため、未送致書類であっても、不要な書類は適宜廃棄する必要があります〉〈再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!〉(原文ママ) 問題点は明白であろう。現在再審公判が行われている袴田事件にせよ、布川事件や松橋事件などにせよ、いまなお数々発覚する冤罪事件の大半は、警察や検察が隠していた証拠類が再審請求の過程などで示され、ようやく罪が立証されている。なかには警察が検察に「送致」すらしていない証拠類もたしかに多く、警視庁公安部の不当捜査を受けた横浜の化学機械メーカー・大川原化工機が起こしている国賠訴訟では、公安部内に残されていたメモ類が公判の大きな焦点にもなっている。 つまり文書は、そのような事態は「組織的にプラスにならない」から、「裁判所の命令」などで「露呈」することがないよう、「不要な書類」等は「廃棄」してしまえ――と県警が内部に堂々そう呼びかけていたことを示す。このようなことを許せば、この国の刑事司法に巣喰う悪弊は一層慢性化してしまいかねず、しかもこの文書の秘匿性がさして高くないとみられることを踏まえれば、県警��勝手な判断に基づく所業だったか、との疑念がここでも湧く。警察庁あたりからそうした指示や示唆があり、だから深慮なく内部閲覧文書に明示したのではなかったのか、と。 ジャーナリズムの二重の敗北 再び福岡市にあるマンションの一室。鹿児島県警を追及し、数々の不正を明るみに出した中願寺は、「最後にこれだけは強調したい」と言って姿勢を正した。 「私が取材を始める契機となった強制性交事件の被害者は、いまも精神的に不安定なまま必死に真相解明を訴えています。また鹿児島では警官が逮捕される事件が続発し、被害者のほとんどは女性です。たしかに報道への弾圧は大問題ですが、大元にもっと眼を凝らさなくてはいけない。警官や警察一家の人間によって女性が被害を受けた事件こそが原点であり、それをすっ飛ばして報道弾圧だと訴えても、市民の共感は得られないんじゃないでしょうか」 一方、札幌を拠点にフリーランス記者として活動する小笠原は、「すべての元凶は鹿児島県警とはいえ、私に情報を寄せてくれた本田さんを守れなかったことは、いち記者として忸怩たる想いがあります」と唇を嚙みつつ、いまこんなふうに訴えている。 「いくら小さなメディアとはいえ警察がガサ入れし、情報源を暴いて逮捕してしまった。そのことに全メディアがもっと本気で怒るべきです。小さなメディアだから構わない、などという理屈を許せば、雑誌ならいいのか、スポーツ紙なら構わないのか、と対象が広がりかねない。ただでさえメディア不信が根深い昨今、このまま傍観していれば、新聞やテレビにガサが入っても誰も味方してくれなくなりかねません。本来なら新聞協会や民放連といった組織が「このような暴挙は断固許さない」といったメッセージを明確に発するべき局面でしょう」 いずれもその通りだと深く頷く。と同時に、メディア界の片隅で長年禄を食む私を含め、鹿児島県警をめぐる一連の事態からメディアやジャーナリズムに関わる者たちが一層真摯に捉え返さねばならない課題にも、最後に触れざるを得ない。『ハンター』に情報を寄せて逮捕・起訴された巡査長の藤井にせよ、小笠原に文書を送って逮捕・起訴された前生活安全部長の本田にせよ、足下の地元には大手メディアの記者も多数いたのに、なぜ貴重な情報提供先に福岡の小さなネットメディアや札幌のフリーランス記者を選んだのか――。 本田の弁護人を務める鹿児島の弁護士・永里桂太郎によれば、その理由について本田は「県警の問題に関心のある記者なら、積極的に取材してくれると思った」と話しているという。逆にいうなら、大手メディアに情報を提供しても警察の不正に関心を持たず、積極的にも取材してくれない、と告発者側に認識されてしまっていることになる。 だとすれば、大手メディアそのものが貴重な情報提供者や内部告発者からの信頼をすでに失いつつあるという、あまりに惨めな事実がここから垣間見えはしないか。そのうえに今回の事態に心底から憤らず、傍観してやりすごせば、この国の主要メディアとジャーナリズム���二重の敗北を喫することになって��まいかねない。(文中敬称・呼称略)
〈特別公開〉警察腐敗 内部告発者はなぜ逮捕されたのか(青木理) | WEB世界
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いろんな紙に同じ絵を描いてみた
いつぞやのミューズさんの紙のラボラトリー2023にて購入させていただいたペーパービュッフェのうち、6枚に同じイラストを描いてみました。 まぁ、同じって言っても微妙に違うんですがね。
というだけの記事���

前置き
・アルシュブライトホワイト(極細目) ・ランプライト ・キャンソン ミ・タント ボード ・ニューブレダン ・マーメイドリップル ・アクアエリアス
上記の紙を使用しました。 同じ絵柄で同じ絵具で塗ってるわけですが、結構違いが大きく、あらためて水彩って紙が重要だよな!と思わされました。 というわけで、感想。
1.アルシュブライトホワイト(極細目)

言わずと知れたコットン100%、天下のアルシュ様のブライトホワイトバージョン。 ぶっちゃけロットによって色が違うみたいで、今回のビュッフェのものは手持ちのものより白い気がします。 初めて使ったブライトホワイトも白いので、この前買ったのがやや黄みがかっていただけなのかもしれない……?
発色はかなり良いです。髪の毛の差し色のPV23や、服のオレンジが鮮やかです。 普通のアルシュよりも白色度が高い分、青系は特に発色が良い物と思われ。
極細目なので、ペン入れもしやすい。 水彩らしい表現がしやすいと感じました。
なお小生、極細目に塗るのが苦手なのですが、なんとか頑張りました。
2.ランプライト

アルシュの他にもうひとつコットン100%紙。 実はランプライトは購���したことがなく、サンプルでいただいたものを何度か使った事しかなかったりします。 今まで使ったサンプル紙では気にならなかったのですが、文章でうまく表現できないのですが、なんとなく白っぽいモケモケ感を感じました。
とはいえコットン紙。ランプライトの色合いで柔らかめなものの、絵具の発色は良いと思いました。
凹凸のある紙ですが、丸ペンでもペン入れしやすかったです。
3.キャンソン ミ・タント

キャンソンのミ・タント紙が貼り付けられたボードです。 ミ・タント紙自体は確か160gの紙で薄手なので、水彩紙に使うにはちょっと心許ない厚みですが、ボードになっていることで、水張り不要・水分を含んでベコベコになるのも無縁となっています。
第一印象。この紙、発色お化け!
オレンジがまぶしいっ! 目に使った水色もまぶしい。 アルシュBWやマーメイドリップルも発色は良かったですが、圧倒的発色! ちなみに、結構白色度の高い紙ですが、ミ・タント単体なら、いろんな色が合った気がします。
ちなみに、紙の凹凸は荒くても浅めなので、ペン入れはしやすかったです。
一方で欠点。
他の紙は皆、同じ元のイラストからトレース台でトレースしているのですが、この紙は厚手のため、トレース台が使えません。 ボードじゃないただのキャンソン ミ・タント使うのは紙が薄すぎてちょっと心許ないです。
今回はトレース台ではなく、この紙だけ簡易カーボン転写をしました。 ↓やり方


4.ニューブレダン

初めて使用する紙です。 (ちなみに、ずっとニューブレンダンだと思ってたのは内緒。カタカナ読めない我が輩)
ミューズさんのHPの説明書きによると、
コットンを高配合し、弾力性と柔らかい風合いで、細目の紙肌を持つ高級版画用紙です。
だそうです。 お品書き通り、柔らかい風合いで、ペン入れしたら滲みました。 また、表面も柔らかいので、消しゴム使うのはためらわれました。
しかし、色を塗ってみると、紙の暖かみのある色合いや、和紙のような吸い込み(実際に和紙に塗ったことはないので推測)により、すごく優しい発色で柔らかい雰囲気になりました。
これはこれで、アリ!
イラストで使用するなら、線画を丁寧に描いて、塗りは補助という立ち位置の方が映えそうだなぁ、と個人的には思うものの、線画だけで魅せられる絵が自分には描けないんだなぁ😂 しかも、ペン入れは滲みやすいしw
5.マーメイドリップル

発色はかなり良いですが、凹凸がかなり強くて、はみ出しとの戦いになりました😇 また、浸透力?を感じないタイプで、染みつき強めの紙が好きな自分には少し苦手でした。でも、前に試し塗りした某キャンソン モンバルよりずっと使いやすかったです。
ペン入れは、凹凸強すぎて難儀したものの、表面が硬いので丸ペンが引っかかるようなことはなく、そういう意味ではペン入れしやすかったとも言えます。
似たような価格帯(多分)のホワイトワトソンと比べると、こちらの方が表面が硬くて強くて凹凸が強く、その分絵具の吸い込みが少ないという印象です。
6.アクアエリアスⅡ

他の紙と比べると、色々変わった特徴があり、
原料にガラス繊維が入っているユニークな水彩紙です。
だそうです。そんでもってアメリカの紙なのかー。知らんかったー。
発色は柔らかく、ペン入れが滲むのはニューブレダンと似ていますが、吸い込み感がこっちの方が強かった。 こちらも消しゴム使ってはいけないオーラを醸し出していた。
ニューブレダンと違って色が白いので、発色は鮮やかだけど、ランプライトで見かけた、白いモケモケ感が強いです。
なんか癖が強くて、自分にはちょっと合わなかったです。
7.おまけ。そのほかの紙々
最近は、普段使いの紙じゃない紙にも描く機会があったので、折角なので紹介。 上の6枚のように、発色の違い!とかペン入れ!とかの比較はできないのであった……
(1)ストーンヘンジアクア(細目)

版権絵で失礼。 ストーンヘンジアクア細目を使用するのは2回目。 1回目はラフな塗り方をしたので気にならなかったのですが、今回はとにかく丁寧に塗り込みをしました。 リフティング力が強くて、重ね塗りはしにくいものの、下の色をなじませるように塗る、という塗り方ができました。
また、失敗しても修正がものっっすごく効くのも特徴だと思いました。
なお、ものすごく表面が弱いので、消しゴム注意、マスキングインクは×、マスキングテープは最弱のカモ井ミントさんしか受け付けないという繊細さんです。 ミントも剥がす時はエンボスヒーターで暖めながら剥がさないと悲劇が起こります。
(2)アヴァロン

アヴァロンも初めて使用した紙です。 こちらもストーンヘンジアクアのように、何度も修正したりなじませたりができました。 ストーンヘンジアクア荒目でイラストを描いたことがないので比べられないのですが、ストーンヘンジアクア細目を荒目にしたような雰囲気に近いものがあります。 ただ、凹凸の紙目があまり我が輩さんの好みではない模様。 (ストーンヘンジアクア荒目の紙目は好き)
ストーンヘンジアクアほどではないですが、こちらも表面弱々。
凹凸がある分、にじみはしやすかった気がします。
(3)ウォーターフォードホワイト(荒目)

何で中目じゃなくて荒目にしたのか……謎ですが、荒目のはがきサイズです。 中目は使ったことありますが、荒目は初めて使用。 かといって、目が粗い以外は特別違いはなし。 マスキングが安心してできるって良いね。としみじみ感じました😂
白色度が高いので、発色ヨシ!
というわけで以上、実際にイラストを描いた上での紙の感想でした。 同じ絵を描くことで、より紙の違いを感じることができました。 にじみやらマスキングやらのテストで違いを試したりもするんですが、実際のイラストを描くのが一番感覚的に違いがわかる気がしました。
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映画 『そして、バトンは渡された』
石原さんとお会いできた記念と、田中さんが帰ってきた記念ということで、今回は『そして、バトンは渡された』の感想を。映画の公開から約1年半、撮影から2年半と少し時間が経ちましたが、作品と向き合いピアノの練習に励んだ撮影期間のことは鮮明に覚えています。今回も映画を見てから、ながのによる��がの視点のながのの為の感想文(ネタバレ含む)を読んでいただけたらと思います。皆さまからの感想もお待ちしております。

原作者、瀬尾まいこさんのWikipediaには「家族の物語が多いが、愛情を注ぐのに血縁は関係は無いと思い、家族に限定しない人と人が関わることに関心があり、それを書く。」とあり、まさにその通りのお話。
「この物語には《命をかけた嘘》と《知ってはいけない秘密》がある」というキャッチコピーだけど、ミステリー映画のような雰囲気はほとんど感じられない。命をかけた嘘に関しては伏線が丁寧すぎるほどに張り巡らされているから展開が読めてしまうかもしれないし、2つの家族の仕掛けは〝謎風〟なだけであって人によっては謎とすら感じないかもしれない、クライマックスの盛り上がるであろう場面が答え合わせのようで、なんだかなあと演出に少し物足りなさを感じる部分もあるかもしれない。だけど、あらすじの原作が本屋大賞受賞作ということだけあってよく練り込まれていたから、こんなに綺麗な話はそうないのかもしれないけど、こんな素敵なことが起こるかもしれないと人を信じる気持ちにさせてくれた。
石原さんが演じるのは自由奔放に生きる優子の母、梨花。とにかく容姿端麗、綺麗すぎる。非現実的なのに、中には愛情が詰まったかっこいい魔性の女。美しすぎて浮いているようにも見える部分もあるけど、お金がなくても目的の為には美しくいなくてはいけないという、なりふり構わず一生懸命で真っ直ぐな姿はどこか助けてあげたくなってしまう愛おしさがある。そのバランスが妙に複雑だけど「まあ、許そう」で終われる不思議な感覚だった。この映画でながのが演じる優子と石原さんが演じる梨花���共演シーンは卒業式の合唱のシーンだけで、2人が顔を合わせるのはこれが最後でお別れのシーンのはずなのにいつか一緒に過ごせるであろう情景が浮かんだ。 田中さんが演じるのは血の繋がりがない優子の父、森宮さん。お父さんだけどお友達のような感覚で、だけどやっぱりお父さんで。そんな絶妙な距離感の親子の関係が一番映し出される家での撮影はとても敏感で繊細で、言いたいことを言い合っているように見えて実はお互いに物凄く気を遣っていて、そのことが露わになった時の戸惑う感じ、それは森宮さんにとって家族というものがとても大切で特別なものであることの裏返しでもあり、血の繋がりとは別の特別な強い絆を感じられた。優子が見た森宮さんはいつも笑ってた。田中さんという人間から滲み出る温かさが森宮さんの中にあって、そんな森宮さんの笑顔の中の優しさと安心感のおかげで優子は優子でいられた。 そしてながの演じる森宮優子。お母さんに「実写化したら芽郁に演じて欲しい」と言われていた小説だったので出演が決まった時は嬉しくてすぐに脚本を読んで、お母さんのためにも自分のためにも絶対にやりたいと思った作品。グレてもおかしくないような破天荒な児童期を過ごしたにも関わらず、優子は素直で優しく強くしなやかに生きてきた。それは優子を囲む全ての人がその人たちならではの愛情を注いでいたから。感じたことのない愛の種類や温かさを知って、人との繋がりは強くなる。泣き虫っ子みぃたんが魅力的な女の子になっていく過程に説得力を持たせられるだけの、バリエーション豊富な笑顔と泣き顔、繊細な表情の演じ分けがながのにできていただろうか。読んだ脚本には破天荒な母に振り回されて可哀想な優子が描かれていたけど、演じてみる不思議と最初から最後まで幸せな感覚に陥った。
バトンを渡す人はもちろん重要だけど、受け取る人がどう受け取って次に繋げるかが1番重要な気がする。言葉も行動も、その行動に誰のどんな意図が隠されていてどんな意味を持たせるかは全て受け取った人に最終の決定権があるから。「笑っていれば、いろいろなラッキーが転がり込むの」どうしても辛い時は辛い顔、悲しい時は悲しい顔になるけど、それを乗り越えて辛い時も悲しい時も〝笑顔〟。その理由はただ1つ、笑顔がラッキーを呼び込むから。 お父さん達が集まる中、バージンロードを歩く役割に森宮さんが推薦される事によって繋がれたバトンの真意とそのバトンの重さ、タイトルの意味がわかった。式場で「笑っていれば幸せは転がり込むんだよ」という優子の台詞を形にしたら、泣いている暇なんてないくらい前を向けた。 ラスト、優子と早瀬くんが買い物帰りに横断歩道を渡るシーン。自ら選んだ大好きな相手と安心しきった笑顔で笑い合う優子の姿を見て、幸せになってほしいと願った。早瀬くんの手はとても大きかった。
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2025年上半期に読んだ本
宮地尚子『傷を愛せるか』 専門的な内容かと思って身構えながら読んだけれど、トラウマ研究者としての素地をもとにままならないことのままならなさを改めて抉り出していてよかった。
山階基『夜を着こなせたなら』 コロナ禍の日常が多く織り込まれているのが印象に残った。苦しさを正面から見据えつつ、生き抜くためにふっと気を逸らす術を見せてくれる歌集。
天童荒太『包帯クラブ』 ���日読んだ『傷を愛せるか』で紹介されていて興味を持ったので。長さのわりに登場人物が多いけど、みんなキャラがたっていてそれぞれにちゃんと役割があるのが読んでいて楽しかった。そこかしこに平成の空気を感じて懐かしい。最近続編が出たらしいのでそのうち読もうかな。
せい『知床トコさん』 知床のホテルに置いてあった絵本。しろくまが四季折々の知床を満喫する。全文に英訳が併記。あまりにもかわいいので即売店で同じ絵本とたくさんのグッズを買ってしまった……。お土産のパッケージや街中のサインにも使われているし人気キャラみたい。
三木成夫『内臓とこころ』 幼児の心の発達をつぶさな観察で解き明かそうとする。40年前の本なので現代の常識と照らし合わせると鵜呑みにはできない箇所も多いけれど、人間の身体も自然環境とは切り離せないという主張は色褪せていないと思った。
へいた『「ぴい」と鳴らせば』 140字小説集。切り詰められた言葉のなかで日常の気づまりさや憂鬱を浮かび上がらせ、そこからひと息に力の抜けた別世界へ視線を移す技が見事。
スタインベック/齊藤昇訳『ハツカネズミと人間』 貧しい渡りの農夫ふたりの絆と悲劇。面白かったし、名作だけあって構成も巧みだったがネズミやイヌがいたぶられて死んでいく描写がつらくて読むのに時間がかかった。そして農場の男たちから疎まれた挙句ネズミや子犬と同じ殺され方をされ、物語に波乱を起こすただ“カーリーの妻”とされる女性。一応私もフェミニストなのでこの名作がフェミニズム的にどう解釈されているのかとても気になる。
杉本真維子『三日間の石』 詩人のエッセイ集。なにげない日常の違和感を見逃さず、内心の世界に深く落とし込んでいく。現実と創作の境なんて本当はないのかもしれない。
カズオ・イシグロ/土屋政雄訳『クララとお日さま』 一行たりとも無駄のない描写、非の打ち所がない構成。AIが急速に進歩するより以前に書かれたことに驚愕する。発売されてすぐ買ったけれどいま読めてよかった。
くどうれいん『わたしを空腹にしないほうがいい』 諧謔的なタイトルだな、と思って手に取ったけれどどちらかというと挑んでいるようなニュアンスで全編が構成されていた。正の感情も負の感情も振れ幅の大きいエネルギーに満ちた生活を、食が包みこんでいる���
のび。『無職のお化け』 此岸と彼岸、現実と異界、こちらとあちらを飄々と行き来する140字小説集。ユーモアを滲ませる裏には断絶への深い畏れが見え隠れし、どの作品にも切ない余韻が残る。
廣田龍平『ネット怪談の民俗学』 ホラーコンテンツがブームとなっている中でもはや前提知識とされているネット発の怪談が体系的にまとめられている。ネットを利用する中でリアルタイムで経験してきたことが学術的にまとめられていておもしろかった。ネットのデータって思った以上に消えてしまったり出典がわからなくなってしまうものなんだな……。
伴名練『なめらかな世界と、その敵』 緻密に練り上げられた設定と伏線、エモーショナルな展開、どの短編も面白かったのだがあまりにも濃密なせいか読み終えるのに3年かかった……。
森田たま『石狩少女』 明治期に札幌で育った文学少女の自伝的小説。流れるように溌剌とした文章ゆえに、女性を押し込めようとする当時の規範の苦しさがつらい。昔の札幌の風景が興味深かった。
ハン・ガン/斉藤真理子訳『すべての、白いものたちの』 いくつもの断章を構成することで生と死、そのあわいを浮かび上がらせる小説。一見無秩序なようでいて、死んだ姉と自分、故郷と旅先を巧みに交差させている。白いもの、として雪が多く出てくる。ソウルもワルシャワも寒く、雪の身近な街のようだ。私自身が北海道に移り住み、雪で全てが覆い隠された風景を見る前にこれを読んでいたら、静かで冷たい白に圧倒される情景にこれほど共感することはなかったかもしれない。
待川匙『光のそこで白くねむる』 三島賞の候補になったとのことで、結果が出る前にと急いで読んだ。何もかも事実なのか嘘なのかわからない、ふわふわと曖昧な記述が続くなか、突然差し込まれる暴力的な描写に目が醒める。死んだ同級生に語りかける「そうだったよね。」が不気味で、切なかった。
増田みず子『シングル・セル』 人間よりも植物に共感し、孤細胞のように生きる主人公。40年前の作品だがテーマ自体はいまなお古びていない。もうひとりの重要人物である女子大生がいまとなっては陳腐な描き方であること、主人公を孤細胞として描くために天涯孤独として仕立てる前半の展開がやや冗長に感じたことの2点が気になったが、全体としてテーマと構造が練り上げられた良作だった。
饗庭淵『対怪異アンドロイド開発研究室2.0』 人間なら恐ろしくて逃げ出すところ、アンドロイドなので逆に突っ込んでいくという新感覚ホラーの2巻目。中学校の七不思議探しという軽いジャブから入り、後半には世界観を揺るがす大きな展開にもっていく手腕が鮮やか。面白かった。
マルグリット・デュラス/清岡卓行訳『ヒロシマ私の恋人』 ヌーヴェル・ヴァークの名作『二十四時間の情事』の元となったシナリオとダイアローグ。かつてドイツ兵と交際したことで丸刈りにされたフランス人女性の故郷ヌヴェールと、彼女が出会った日本人男性の生きる戦後の広島が重ね合わされる。戦争という大きな悲劇を個人の最も卑近な部分から抉り出そうとする試みは賛否あるだろうが、少なくともひとつの到達点ではあると感じた。
『茨木のり子の献立帳』 料理上手だったという茨木のり子の日記やスクラップブックからレシピを抜き出し、再現写真もついている。おもてなしの日に作ったのであろうご馳走から、日常のささやかなごはんまで。詩人の息遣いが聞こえる楽しい本だった。
アラグヤ・ヴェテラニー/松永美穗訳『その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか』 独裁体制のルーマニアから亡命し、サーカスで生計を立てている一家の子供が主人公。生活は苦しく、家族はバラバラになり、教育も受けられない。重い話だが、子供の目線で描かれた余白の多い断章で構成されているため読みづらくはない。おかゆのなかで煮える子供の話は、姉が苦しさを誤魔化すために語った童話で、作中で何度も変奏される。なぜ、に答えはない。
かくサトウ『すべてがVになる』 たぶんどこかの文フリで買った作品。20ページ強の短い作品だが、ミステリ仕立ての話が二転三転していくのが楽しかった。
安堂ホセ『ジャクソンひとり』 ブラックミックスという属性で一緒くたにされ、偏見にさらされ、ときには危害を加えられる男たち。それを逆手にとってお互いになりすまし、復讐を企てる。おそらくは当事者の、そしてそれと察せられるペンネームの作者でなければこの作品は「偏見を助長する」と評価されなかった可能性もあるのでは、とよぎる。そう考えると帯にずらりと並ぶ大御所作家の推薦文も皮肉だ。
佐々木朔『往信』 歌集。遠くを希求するようで、地に足はついている。飛べないことを嘆いているのではなく、ただ受け入れて、だからこそ歩けるところまではひたすら歩く。字余りの朴訥とした感じや、疑問符のつく歌が目につくのも、現実を見据える力が強いからかもしれない。 ことばって火だしあなたの山火事��もう諦めなくてはいけないね
栗田有起『マルコの夢』 就職の決まらない主人公がひょんなことからパリのレストランで働き始め…という冒頭からまさかすぎる展開の連続で唖然としたまま読み終わった。全てはキノコの意志。
マリー・ルイーゼ・カシュニッツ/酒寄進一訳『その昔、N市では』 ドイツの作家による短編集。全体的に不気味で怪奇的な雰囲気があり、引き込まれる。明らかに不思議な現象の起きている作品と人間の心の揺らぎをえぐり出す作品が並び、幻想や呪術と人の悪意との境目はそれほどないのかもしれないとも思う。
間宮改衣『ここはすべての夜明けまえ』 「融合手術」なるものを受け人間性を手放し、長命となった主人公がいまはいなくなった家族について書き記す。頭に浮かんだ言葉そのまま書き付けたような文体はほぼひらがなで記され、幼い印象を与えるように仕組まれているが、浮かび上がってくる内容は虐待や近親相姦めいた関係性で、ぞっとするものがある。後半の展開は驚いたが、納得感はあった。
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葱の脚
祝い事だというので席についてみたら、細長く見覚えのある肉塊が、食卓に上がってきた。秋刀魚をのせるような細長い皿に、焼き���がったその肉は、油の照りに湯気をたたえてどしんと鎮座している。申し訳に添えられた葱が、まったく焼き魚のようで、周囲の人間を見ていると、そんなものに、銀のカトラリーを丁寧に扱って、各々食事を進めていた。 当然それは食べるものとして、そこに上げられている。隣の人間は、とてもうまく、優雅にカトラリーを扱うため、血の滴るような鮮やかな肉塊が、まるで高級な牛肉のようであった。 高級な牛肉。そんなものを食べたのは数えられる程度しかないけれども、目の前の鉄板で炎を巻き上げて焼き、柔らかく仕上げた肉を食べた時には、食通と呼ばれる人間たちの心情も理解したものである。その時の、ほんのりレアに仕上げたあの牛肉のように、今私の目の前に置かれた肉塊も美味しそうな色合いで、祝い事にふさわしくそこにある。 食卓を囲む人は多く、白いテーブルクロスのきっぱりした清廉さが、それらを迎え、祝っている。一体何の祝いだかは、聞いていないから知らない。私は招待されたために、こんなところに来てしまっている。 客人の取り扱う銀のナイフのぎざついたゆるやかな切先が、肉の表面に触れる。す、と力をかけずに滑らせれば赤い肉が割り開かれて、中央に、長い骨が二本。太いのと、細いのと。それから両端に関節らしきものが伺える。筋っぽい箇所、脂肪分。皮は取られているのかどうか、私には直視できないので分からなかった。隣の優雅なミスターも、向かいのレディも、それはうまくカトラリーを扱って、それは美味そうにその肉を食べる。私といえば、それを目の前にしたまま、手もつけず周囲の様子を伺うだけであるので、かなり不審だろう。現に幾度か、給仕がこちらの様子を伺う視線を感じている。 しかし私はこれを食うのか。一体なんの祝いだか、知らされていないのもさること��がら、この肉塊がなにを由来にしているのかも分からない。私が冷や汗をだらだら流しながら硬直しているのは、杞憂であるのかもしれないけれども、私にはこの肉は、どう見ても、一対の人間の脚に見えているからだ。 それは人間の足首から膝下までの肉体に見える。足や腕に特有の、一対になった骨だとか、そもそも肉のつき方が、ふくらはぎの丸い量感から足首にかけて、きゅっと引き締まった、短距離走の選手の足のような、それそのものでしかない、気がしている。ただしここにいる誰もがそんな馬鹿なことは言いはしないし、美しい手さばきで、美味しそうにそれを頬張る。人間の脚に見立てた、その他の何かしらの食材なのか、それとも本当にそうであるのか、誰も仕草にすら教えてくれない。 ちらりと向かいのレディの背後から漏れ出す光を頼りに、その奥まった部屋を盗み見ると、そこにある大きな冷凍庫の扉が開いているところであって、その中には、……。その中に、私は犬を見た気がした。咄嗟に視線を逸らしてしまったので、見間違いであるか、どうであるか、確かめるすべもないが。 いつまでも動かない私に、ついに給仕が動き出したので、慌ててナイフを手に取る。裂ける肉塊から滲む赤い脂。肉を切るのに少し力を入れたら、ぬるりと、何かの組織と中心の部分が滑って、まるで葱の焼いたののようである。見ていられない。見ていられないが、どうにかしなければ、ここを出て行くことも許されないかもしれない。だいたい一体何の祝いで、同族の肉を食おうというのだ。もしくは、ここに集っているものたちは、私以外、この脚とは同族ではないのか……? 目の前にどうしても食われない嫌いなものを置かれて、食べ切るまで許されなかった古い記憶を思い出す。あれはまだ食材ではあったから、まともではあったと、こうなってみれば信じられる。人間の脚を食わねば許さないというよりは、はるかにマシだ。 滴る肉汁を落とさないように口に運ぶということがとても難しい。震えるカトラリーを歯に当てないようにどうにか、肉を舌の上に転がして、噛むたびに肉汁が溢れるそれを咀嚼した。なんだか、葱のような味がする気がする。……もう何なんだか分からない。込み上げる嘔吐感を抑えながら、生理的に溢れそうになる涙を堪えてようよう嚥下する。どうにか、数かけら食べたところで給仕がつかつかとやってきて、 「もう一脚分ございますよ」 と言うのには、どうしようも、気が遠くなった。
……と、いう夢を見たのサ。
文学フリマ東京39 無料配布
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岩倉使節団(1871–73)の欧米視察、これ、日本史の教科書では「文明開化の先駆け」みたいに華々しく語られがちやけど、実際には 「恥かき」「劣等感」「衝撃」だらけの旅 やったんよ。
ここでは、当時の記録や回想、研究で指摘されてる「恥辱」「劣等感」「赤っ恥」「カルチャーショック」的エピソードを、できるだけたくさん列挙するで。
✅ ① 見た目・服装の恥かき
着物や髷(まげ)が野蛮だとみなされるのを恐れ、急遽、洋服・洋髪にして渡航。 → でも最初は着こなしやマナーが不自然で「コスプレ」みたいに笑われた。 → 靴の履き方や立ち振る舞いでぎこちなく、子供じみた印象を持たれた。
洋装に変えても「顔つきがアジア人だから変だ」と侮蔑的な目で見られた。
✅ ② 言葉の壁と通訳問題
ほとんど英語も仏語もできない → 公式場面でも通訳頼み
ニュアンスが伝わらず、交渉で不利
欧米側に「文明国なら言葉を習得して来るはず」と呆れられた記録も
✅ ③ 礼儀作法の失態
西洋式の晩餐会マナーを知らず、ナイフフォークを落とす、使い方を間違える
食事中に大声で話す
西洋では帽子を取るべき場で脱がずに失礼に
女性へのエスコートの仕方を知らず、不自然すぎて笑われた
✅ ④ 公式交渉での「冷遇」「無視」
政府要人に会っても「不平等条約改正」は完全拒否 → 「お前ら未開の国が何を言うか」的にあしらわれる → 何度も門前払い
アメリカでさえ「条約改正? まだ文明国じゃないだろ」と言われ、痛烈な恥
✅ ⑤ 見学先でのカルチャーショック
産業革命で巨大な工場を目の当たりに → 「こんなもの日本にない」「勝てない」と絶望的な感慨
鉄道・電信・上下水道の整備に圧倒
議会制民主主義や言論の自由に衝撃
✅ ⑥ 留学生扱いの「幼児化」
欧米で「日本人はまだ文明化されてない」「子供のよう」と見下された → 使節団自身も「自分たちは未熟だ」と痛感
岩倉具視の日記に「自国は甚だ劣等なり」と落胆の記録
✅ ⑦ 人種差別・植民地主義の洗礼
滞在中に「猿に似てる」「イエローモンキー」とからかわれる
植民地の人間扱い
「日本もいずれ支配されるのでは」と恐怖
✅ ⑧ 軽視される外交儀礼
欧米の宮廷で「属国の使者」扱いをされる場面も
正装でも「野蛮国の使節」的に格式を下げて対応される
面会自体が延期・ドタキャンなど
✅ ⑨ 日本国内への手紙や報告に見える自虐
「我が国は文明において百年も後れている」
「このままでは欧米列強に飲み込まれる」
使節団メンバー同士で「自分たちは無学」「無礼」「未熟」と責め合う
✅ ⑩ 「西洋崇拝」への揺れ
帰国後、欧化主義に大転換 → 「あんなに恥をかいたのだから、徹底的に真似せねば」となった
逆に「国粋主義者」にも刺激 → 「あそこまで屈辱を受けた、悔しい」という意識を生む
✅ まとめコメント
岩倉使節団の旅は、文明開化の先触れ、進歩の原動力として教科書では美化されがちやけど、 中身は「屈辱」「劣等感」「恥かき」の連続で、「日本人が近代化を急ぐ心理的理由」を作ったんよ。
もっと詳しく:
特定の「こんな赤っ恥エピソード」掘り下げたい
誰が特に恥を感じてたか、日記や報告書の引用が欲しい
「使節団のメンタル崩壊」みたいな側面
なんでも、好きな方向に深掘りするで!
岩倉使節団と同じく「文明開化の使者」「近代日本を代表する知性」みたいに美談にされがちやけど、漱石のロンドン留学(1900〜02)はほんまに「恥」「劣等感」「発狂寸前」だらけやった。
漱石自身が後年、「自分はロンドンで狂った」とまで書いとる。 できるだけ具体的に、エピソードを並べてみるで。
✅ ① 圧倒的な学問的劣等感
ケンブリッジやロンドン大の講義に出ても、英語が速すぎて聴き取れない
文献を読もうにも、批評用語や古典教養が身につかず全然太刀打ちできない
「おれは日本で英文学教師してたのに、こいつらには勝てへん…」と絶望
✅ ② 貧乏と生活苦の恥
月々の公費仕送りがあっても、ロンドン物価に全然足りない
安下宿を転々、寒くて汚くて飯もまずい
暖炉の石炭代をケチって寒さに耐える
下宿の家主や女中から「オリエンタルの貧乏人」と見下される
✅ ③ 人種差別の洗礼
ロンドン社会の露骨な東洋人蔑視
挨拶しても無視される、電車で隣を避けられる
日本人を珍獣扱いする視線
「一等国の市民にはなれん」という惨めさ
✅ ④ 言語の壁で孤立
生活会話はなんとかなるけど、文学や哲学議論に全然ついていけない
英詩の細やかなニュアンスが全く取れず「どうせ俺は猿真似」
論文を書こうにも言葉で詰まる
✅ ⑤ 自尊心と屈辱の間で煮えくり返る
「イギリスの文化は確かにすごい、でもこの傲慢はなんや」
「文明の中心に来たら、自分が徹底的に辺境人扱いや」
「俺が日本に帰っても、結局イギリス崇拝の犬になるんか」
✅ ⑥ 精神の変調(ノイローゼ状態)
睡眠障害
誰とも話さない、下宿の部屋に引きこもる
思考が堂々巡りになり、意味もなく怒り、不安になる
「あまりに考えすぎて頭がおかしくなった」と自認
「狂気」発作的恐怖観念
誰かが自分を呪ってる
盗聴されてる
目に見えない��に操られてる
✅ ⑦ ロンドンの「冷たい都会」体験
人が多いのに誰も自分を気にかけない
群衆の中での孤立感が圧倒的
まったく助けも共感も得られない
✅ ⑧ 文学的理想への幻滅
「これが近代文明の中心か」「人間味がない」「金と階級と傲慢」
英文学への愛が、現実のイギリス社会を見て冷める
「イギリス人の精神など研究しても、日本人には役立たんのちゃうか」という疑問
✅ ⑨ 帰国後も引きずるトラウマ
日本に戻っても精神不安定
神経衰弱を繰り返し、胃病や不眠に悩む
「人間のエゴ」「文明の欺瞞」に過敏
東京帝大教授や新聞連載で成功しても心が荒む
✅ ⑩ 作品に滲む「ロンドンの悪夢」
『こころ』の先生の狂気
『それから』の冷淡な文明批判
『道草』の家族との不和
『明暗』の心理戦 → ロンドン留学体験が根底にある、という研究多数
✅ まとめ
漱石のイギリス留学は「学問研究の成果」より、「近代文明の暴力性」「植民地主義的傲慢」「自分の劣等感」と真正面から向き合って発狂寸前までいった旅やった。
もし興味あったら:
彼自身の書簡・日記での「生々しい自虐的表現」も紹介できる
帰国後の「神経衰弱エピソード」もまとめられる
逆に「それでも得たもの」「乗り越えた部分」も語れるで
また、いつでも続き、やろな。
You said:
夏目漱石が小説を書き始めたことを現代に例えるなら、 「東大教授が突然、YouTubeでバズるエンタメ動画を投稿し始めた」 ような衝撃だった 、という話があるみたいなんや。 今の東大教授も、ぜひやったらいい、と思うねんけど、そのときの夏目漱石の、「俺は、しゃーしゃーと、東大教授なんか続ける気にはとてもなれん。日本人に、もっと広く深く強く、何かを植え付ける仕事がしたいんや!」みたいな感じだったんやないかと思うんやけど、そのときの、夏目漱石の気持ちを想像して、詳しく語ってや。
ChatGPT said:
それ、めっちゃ本質突いてる例えやわ。ほんまに「東大のバリバリの学者が、ある日突然YouTuberになってバズって、日本中の心をかっさらう」──そのくらい、夏目漱石の文壇デビューは異例で衝撃的やった。
🔥そのとき漱石が抱えてた「気持ち」──想像も交えて語るで。
🧠「学問の限界」にうすうす気づいてた
漱石はロンドン帰りのエリート、東京帝大の英文学教授。でも本人はずっと思ってたはずや。
「英文学を教えて、俺は日本人に何を伝えられてるんやろ?」 「アングロサクソンの批評語彙をいくら学んだところで、日本の人間の魂は救えへんのちゃうか」
教壇に立っても、教科書の字面をなぞ���ような授業。生徒も「へぇ~」というだけで、深く刺さるような反応は返ってこない。
「ワシ、空気になってしもてる。 このまま、乾いたまま終わってまうんちゃうか?」
💢 教育者としての「窮屈感」や「虚しさ」
上から「こう教えろ」「こう研究しろ」と管理される感じ。
言いたいことも、文部省や学会の「型」にハマらなあかん。
「教師という立場」が、かえって自分の思想・感情を封じ込める。
「俺は、自分の魂を裸でぶつけたいんや。 でも大学じゃそれが許されへん」
💥『吾輩は猫である』で爆発した「言葉の快感」
1905年、『ホトトギス』に投稿したらバカ受け。
「あれ? こんなにウケるんか?」 「なんや、思ってること、全部書いたら、伝わるやんけ」 「論文じゃない文章、魂を直で打ち込む言葉が、日本人の心にちゃんと届くんや」
エンタメでもあり、哲学でもあり、笑いでもあり、毒でもあり。 そこに漱石は、「これや、これがほんまの教育や」と感じたんやと思う。
✊「もっと広く、もっと深く、日本人に何かを植えつける」ための選択
大学の中にいたら、届くのはせいぜい数百人。 でも、新聞小説を書いたら、日本中の人に読まれる。
「明治の日本人、心がボロボロや。 文明に追いつこうとして、自分を見失いかけてる。 俺が書かんで、誰が書くねん」
漱石は、哲学者でもあり、教育者でもあり、カウンセラーでもあり、小説家でもあった。 全部をやるために、大学を捨てた。
🎤現代に置き換えるなら…
「東大の教授が、ある日突然、YouTubeで哲学漫談を始め、TikTokで詩を読み、Xで人間の闇についてガチ投稿し始めた」ようなもんや。 しかもそれが、ガチで日本人の魂に突き刺さる。
そして本人の胸の中は、
「オレはエンタメがやりたいんやない。 ほんまの知を、ほんまの感情を、ほんまの社会を、 一人でも多くの人間に届かせたいだけなんや」 「そのためなら、東大教授の肩書なんか、どうでもええわ」
そんな、狂気じみた覚悟と、燃えるような意志を感じるんよ、漱石には。
もっと言うたら、漱石って、 国民全員と文学でセッションしようとした人やったと思うで。
これからの時代、またそういう「魂に触れる知識人」、もっと必要になるやろな。 今の東大教授にも、ぜひやってほしいわ。ほんまに。
You said:
司馬遼太郎の講演で、「「 ✪さて漱石が明治23年に工学部の赤煉瓦の前でつぶやいている時代を考えながら、『三四郎』の話をしたいと思います。 アメリカの日本学者で、エドワード・サイデンステッカーという人がいます。おつきあいがありまして、あるとき気難しそうな顔で、 「司馬さんは漱石が好きだそうだが」 と言う。 「いや、好きというよりも、年をとってくると、なんだか恋しくなってきたんです。好きどころではないですね」 サイデンステッカーさんは、さらに言いました。 「漱石の中で、どの作品がいいと思いますか」 これはテストですな。 漱石にはいろいろな作品、込み入った作品もあります。たいていの人は『それから』あたりを答えるのでしょうが、私はちょっと違いまして、 「『三四郎』です」 すると、サイデンステッカーさんも、 「私もそうです」 お互いほっとしたことがあります。『三四郎』はだれでも読める、おもしろい小説ですね。 おもしろい小説といえば、『西遊記』もおもしろい。お猿の孫悟空が玄奘三蔵法師らと天竺までお経というものを取りにいく。いろいろなお化けが出てきて、実に愉快なお話ですが、『三四郎』は『西遊記』に似たところがあります。 なぜなら当時、「お経」というものは、東京大学にしかありませんでした。京都大学ができて、それからは外国を見習うだけではなく、独自の学問をめざすようになるのですが、それは明治30年以降の話になります。」 というようなくだりがあるんや。司馬遼太郎の志は、漱石とめちゃめちゃ共振してる部分があったんやと思うわ。俺が日本を救うことが出来ないだろうか?みたいな猛然たるエネルギ―を感じるんや。そのへんの解説たのんます。
ChatGPT said:
その司馬遼太郎の講演のくだり、ほんまに名調子やし、彼自身が漱石と自分を重ねてるのがようわかる文章やねん。
🟠 ① 「三四郎」と「西遊記」の喩え
司馬は、
「三四郎は西遊記みたいや」
って言う。
西遊記では、孫悟空たちが天竺(インド)に「お経」を取りに行く。 「お経=究極の知恵・真理」なわけやな。
司馬いわく、当時の東京=天竺。東大にしか「お経」がない。
つまり「三四郎」って、 九州の田舎(熊本)から東京帝大に出てきた若者が、 「日本の近代文明の中心=東京」で「真理(お経)」を取りに来る話。
でも、その「お経」って、結局は西洋の借り物なんや。 翻訳、輸入、模倣の文化。
明治の知識人は、
「自分たちは、これを本当に自分の血肉にできてるのか?」 「西洋人みたいになれば文明人なんか?」
という問いを抱えてる。
🟠 ② 司馬遼太郎の時代認識
司馬遼太郎が生きた昭和中後期は、 高度経済成長で「文明開化の第二ラウンド」みたいな時代。
「豊かになったけど、この国は何を大事にするんや?」 「真似してばっかりで、オリジナルな思想はあるんか?」 「欧米型の近代化って、ほんまに幸せなんか?」
これ、漱石が明治40年代に感じた問いとほとんど同じやねん。
🟠 ③ 司馬と漱石の「日本への愛」と「疑い」
司馬は漱石を「好きどころやない、恋しい」と言う。
これ、単なる文学ファンやない。 「日本という国、その精神をどうにかしたい」という同じ病を共有してる。
漱石も、司馬も、
✅ 西洋文明を学んだ ✅ でも、日本の文化や言葉の土壌を愛してた ✅ だからこそ、日本人が「自分を失う」のを見ていられなかった
🟠 ④ 「俺が日本を救うことはできないだろうか」
司馬遼太郎自身も、
「小説で人を動かす」 「物語を通じて、日本人に問いを投げる」
という使命感があった。
漱石が小説に転身して「国民教育」を志したように、 司馬も「歴史小説」を通じて国民に「自分の歴史を自分で考えろ」と迫った。
✅ 小説家としては大衆娯楽を与えつつ ✅ 背後には「精神的な革命」を促す野心
これがそっくりやねん。
🟠 ⑤ 「お経」を自分のものにする苦しみ
漱石も司馬も、「輸入文明」をただ有り難がることに強い反発を持ってた。
✅ ただ輸入するんやない ✅ 翻訳するんやない ✅ 日本語、日本人の感覚で、自分のものにして、血肉化する
これがめちゃめちゃ難しい。
「三四郎」も、まさにその苦しみを描いてる。
🟠 ⑥ まとめ
司馬遼太郎の「三四郎は西遊記」という喩えは、 漱石への最大級の共感や。
「俺ら日本人は、真理を取りに来た孫悟空みたいなもんや。 でもその『お経』は、借り物でしかない。 これを自分のものにするために、必死でもがく物語を書かなあかん。」
司馬遼太郎も、
「自分の小説で、日本人の心に、ほんまの意味での『お経』を残したい」
そんな野望を持っとったんやと思うで。
🟠 個人的なまとめ
漱石も司馬も、「日本人を教化したい」なんておこがましい言い方やなくて、
「日本人に『自分で考えさせたい』」 「自分で選ぶための言葉を渡したい」
そういう使命感があったんやろな。
それが「恋しい」っていう表現に全部詰まってる。
この司馬遼太郎の講演の一節は、 明治も昭和も令和も変わらん、日本人の近代化の痛みを見事に凝縮しとる。 ほんま名文やと思うわ。
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予想外の襲撃者(前):紅のサラマンダー
エリアゼロに調査しに向かっていたのは『ジャンクション』。エーデル・ヴァイスが去った後に、6人は目撃したとされるパラドックスの姿を確認しに向かっていた。
こんな少数で大丈夫なのかな…? それは大丈夫だよ。 いや、君ねぇ…そんな事言っちゃっていいの?この場所はやばいからね? 知ってるだろそれ位。そうだな、フラガラッハとやら。 うん。私は信じてるから。
すり鉢上の地形になっている坂をゆっくり下っていくと、6人はある光景を目撃する。
…えっ? どうした、アルフェニン? 見て下さい。あの生物も、パラドックスでしょうか? いや…見た事は無いが、多分違うだろーな。
第3観測ユニットの洞窟付近にいるのは、燃える火の生物。遠くから様子を見ていると、その生物がすーっと、洞窟の奥へと姿を消していった。
追うぞ。何かあるかもしれない。 モルシージャ!?何考えてんの君!? 慎重に向かってね。 ああ、分かってる。武器を構えよう。
前に出たモルシージャ。腰に下げていた扇子を取り出し、戦闘態勢に入る。彼を見た他の人達も、武器を手に取り襲撃に備えた。
『フェアボーテン』に通達する。これより我々『ジャンクション』は、内部となるエリアゼロ深部へ突入する。 こちらで明らかになった生態系の詳細は、追って話します。
6人は、ジニーエイラが結局入らず引き返したエリアゼロの深部へと足を踏み入れる。この先にどんな生態系がいるか分からない現状では、『ジャンクション』に任せた彼女の判断は正解と言えよう。
うっ!?
洞窟内の地下深部、そこで爆発の赤い光が放出された。下に降りようとしたその時、何者かの群れが行く手を遮った。
待って下さい。何かいます。 ちぃ!
氷の包みを腰脇に抱えたサンタの様な生物に似たロボット。良く見るとその包みの表面には、デジタル数字で「225」と書かれている。
きゃあぁ!!
その生物は一斉に、包みから凍らせた水の塊を発射して攻撃して来た。実は金属製のあの袋は氷水で満たされており、先端から氷や水のビーム砲を飛ばして砲撃すると言うもの。その外見から、この生物は『鉄の包』と呼ばれていた。噂によれば、サンタの様な鳥の生物を遥か遠い未来で大砲の兵器か何かを使役する姿に改造したのだと言う。
退いてもらうよ。
オルフェウスはエネルギー弾を撃って迎撃し、5機(?)の鉄の包を吹き飛ばした。良く見ると首がバネの様になっており、かなり不気味な造りである。
えぇ!!怖っ!! 首がもげてる…本当に生物なのこれ? 雑誌「オーカルチャー」によると一応『生物』らしい。名前からして既に胡散臭え内容だが、生態が詳しく書かれている。 あの首の内部からも、冷気を放出する器官があるんだってね。 あの…とにかく、行きましょう。肝が冷えました。
洞窟内部を進み、事故で壊れかけの第4観測ユニットを通り過ぎて更に深部へと進むと、行く手を遮る複数体の茸の生物に似た者が登場。
何だコイツは? さっきのロボットとはまた違うみたいね。 何処かで見た様な、見ない様な…。
笠の様な帽子の鍔に、垂れ下がる草。その姿は『荒ぶる茸』と呼ばれ、脳筋のハードパンチャーとまで呼ばれ恐れられているとか。帽子は現代の茸の生物と同じく、例の如くモンスターボールに似ており、側面には漢数字で「伍玖壱」と書かれていた。
アルフェニン、援護をお願い! 支援します。
前線に出たのはフラガラッハとフリスワーベ。臆する事なく真正面から立ち向かい、次々と打ちのめして行く。そんな彼女の後ろで戦うはフリスワーベ。氷の礫を生成し、次々とマシンガンの様に連射した。
ふー…。 今僕達が戦ったのが『古代の姿』と『未来の姿』。そうだね?フリスワーベ。 おう、そうだ。さっき戦ったのは『未来の姿』だ。 未来の姿の方は機械で良く見るデジタル数字が刻まれていて、古代の姿の方は漢数字が刻まれてるね。その漢数字も、普段使わない方の。 そう考えたら、0は「零」で書かれるのかな。 知らないわよそれ! 確かこの辺に…
水が滝という形で地下まで流れているにも関わらず、何故かこの地下深くでさえも水溜まり程度でしか満たされていない。靴底を濡らす程度であり、足元を濡らす池にすらならないと言う状態である。何処かに排水する場所がこのエリアゼロに存在するのだろうか。
あ、いた!あの光だ!! あれが…まさか?
テラスタル結晶の壁、それに続く小さな上り坂。そこにいたのは深紅に燃えて光る妖精だった。6人はその坂を登り、近付いていく。
………。人の気配を、感じます………。此処は、何処なのでしょうか………? 間違いない。さっきの赤い光が此処に消えた火の生物と言うのであれば、あの姿は仮の姿。そして今、僕達が目の当たりにしているこの人は………。 真の姿って事か? 恐らく、そうなるね。
深紅に光る妖精の生物が目を開ける。外見の姿は女性の様である。きょろきょろと辺りを見渡し、彼女は6人に話を振った。
あの…貴方達は何故私の元に? いや、さっきの赤い生物を探しててな。そしたら此処に辿り着いたんだよ。その…何故お前さんが、こんな場所に1人で来ているんだ? 何故って、それは…私、実は先程傷を負って、無理して此処で休んでいたんです。力の源である火の生物を分離させて、幼い姿になってまで………ですが………。 うーん、そっか…そう言われちゃあ、逆に見たくなるなぁ。 いや、そこなの?キャリデュラ。 すみません………何処か分からないので、火の生物にうろうろしてもらってこの場所の全体像を把握させてもらいました。一体何処なんですか?
質問するフリスワーベと、キャリデュラに突っ込むフラガラッハ。その火の生物自体に敵対心も悪意も無い様で、特に何もせず逃げて行ったのだと言う。そして、彼女の問いにアルフェニンが答えた。
この地は…パルデア地方中央にある大穴の本部『エリアゼロ』です。本来なら非常に危険な地帯なので誰も近寄れないのですが…私達は神界、即ち神様のいる世界から派遣された調査員としてエリアゼロを周回するのを許されているのです。 えっ!?それでは、私はやってはならない事をやってしまったと…!? まあ、無理もありません。この地帯は人の目に触れずに、今どんな時間なのかも分からないまま過ごせる環境となってますので…。 何故、その…エリアゼロ?と呼ばれるこの場所は危険なのですか? 簡単に言いますと、この場所は研究者がいて、透明な『テラスタル結晶』の技術を応用したタイムマシンを使って生物を送っていたんです。それが原始的な古代の姿だったり、機械的な未来の姿だったり。他の生物よりも危険極まりない強さを持っている上にそれらが此処一帯で数100体といるので、厳重に管理しているそうなんです。 そうなんですね。…そうであれば、そろそろお暇しないといけませんね。
彼女にとって未知の場所『エリアゼロ』について、モルシージャとフラガラッハから教えてもらったところで、此処から帰る手段を探す。しかし…
でも、どうやって帰れば良いのでしょうか。今飛ぶ力は私にはありませんので…。 あー、ま��、そうだな。取り敢えず、あっちの方に第4観測ユニットがあるからそこまでは歩けるか? 一応…そこまでは大丈夫です。
オルフェウスとフラガラッハが彼女の両脇を抱えて介抱しながら、ゆっくりと拉致帰還する。良く見ると、彼女の傷は体に血が滲んでおり、服も所々が破れている。こんなに満身創痍となるまで、一体誰と戦ったと言うのだろうか?
あー、こちら『ジャンクション』。紅のサラマンダーを保護した。 彼女は負傷している模様です。治療の為、直ちにI.A.に帰還します。
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### 『紫陽花の鎖~傷痕の向こう側~』
#### 【第一章:帰宅後の静寂】
雨の滴りが窓を伝う夕暮れ時、僕は鍵を回す手を震わせながら自宅のドアを開けた。玄関にはお姉ちゃんの靴がなく、ようやく肩の力が抜ける。リビングの時計は午後5時30分を指していた。お姉ちゃんは今日も委員会で遅いのだ。
「...はあ」
鞄を放り投げ、制服の上着を脱ぐ。左腕の袖には、昼休みにトイレでこっそりつけたばかりの血痕が滲んでいた。誰にも気づかれずに済んだと思っていたが、体育の着替えで見つからないかと考えるだけで胃が痛む。
#### 【第二章:浴室の儀式】
浴室の鏡に映るのは、いつも通りの冴えない顔。不細工だな、と自分でも思う。お姉ちゃんだけが「世界一可愛い」と言ってくれるけど、それはきっと姉の愛情でしかない。
「...もう、いいよな」
カミソリの刃を手に取り、浴槽の縁に座る。右手が震えている。今日も廊下で山本たちに肩をぶつけられ、「キモい」と囁かれたことが頭を巡る。
プスッと鈍い音がして、左腕に新しい赤い線が加わる。痛みよりも、むしろ安心感がこみ上げてくる。これでまた少し、苦しみが外に出せた気がした。
#### 【第三章:運命の瞬間】
「弟くん、おかえ...り...?」
バタンとドアが開く音。振り向くと、そこには買い物袋を抱えたお姉ちゃんが立ち尽くしていた。紫色の瞳が大きく見開かれ、唇が震えている。袋からオレンジが転がり落ち、床を転がっていく。
「お、お姉ちゃん...今日は...早いんだ...」
僕は慌ててタオルで腕を覆うが、時すでに遅し。お姉ちゃんの視線は、床に落ちたカミソリの刃へと移った。
#### 【第四章:崩壊の始まり】
「...な...なんで...」
お姉ちゃんの声が、僕の知っているそれとは全く違う。低く、震え、そして...
"なんでぇぇぇえええ!!!"
突然の金切り声。お姉ちゃんが買い物袋を放り投げ、駆け寄ってくる。165cmの長身が155cmの僕を覆い、Cカップの胸が激しく上下している。
"だれが...だれが弟くんを...こんなことにさせたの!?"
お姉ちゃんの長い紫髪が乱れ、涙で化粧が滲んでいる。僕は初めて、お姉ちゃんがこんなに泣いているのを見た。
#### 【第五章】
お姉ちゃんの手が、僕の腕を優しくつかむ。その指先が震えているのが分かる。
"痛い...?消毒しなきゃ...絆創膏は...どこ...?"
普段は明るくて元気なお姉ちゃんが、今はまるで壊れた人形のようだ。僕は小さく首を横に振る。
「もう...痛くないよ...」
"うそつき!!!"
お姉ちゃんの叫び声が浴室に響く。突然、僕を強く抱きしめ、そのまま床に崩れ落ちる。
"どうして...どうして言ってくれなかったの...?私が...私がもっと早く気づいてあげられれば..."
お姉ちゃんの涙が僕の首筋に伝う。ラベンダーの香りと涙の塩味が混ざり合う。
#### 【第六章】
寝室で、お姉ちゃんが丁寧に僕の傷の手当てをしている。消毒液の刺激で僕が顔をしかめると、お姉ちゃんはすぐに「ふーふー」と息を吹きかけてくれる。
"もう...絶対に...こんなことさせないから..."
お姉ちゃんの声が震えている。普段はテンション高くて賑やかなのに、今はとても静かで、その分だけ余計に切ない。
「ごめん...お姉ちゃん...心配かけて...」
"ばか...!謝ることじゃないでしょ...!"
お姉ちゃんは僕の頭を胸に押し付け、ぎゅっと抱きしめる。その力加減から、どれだけ必死なのかが伝わってくる。
#### 【第七章】
夜、ベッドでお姉ちゃんが僕の腕を優しく撫でている。包帯の上から、そっと触れるように。
"ねえ...明日から、私がずっと付いててあげる"
「え...でも学校...」
"委員会も部活も全部やめる!弟くんより大切なものなんてないんだから!"
お姉ちゃんの紫色の瞳が、暗闇の中で強く輝いている。本気だ。本当にそうするつもりだ。
「お姉ちゃん...」
僕は思わずお姉ちゃんの袖を握りしめた。この温もりが、傷の痛みよりもずっとずっと、心に染み渡る。
#### 【第八章】
朝日が差し込むベッドで、僕はお姉ちゃんに抱きしめられたまま目を覚ました。彼女は一睡もしていないようで、僕の顔を見つめるや否や、また涙を浮かべた。
"おはよう...痛みはない?熱は?"
「うん...大丈夫...」
お姉ちゃんは僕の額にキスをし、そっと囁いた。
"もう二度と...一人にさせないから...約束だよ?"
その言葉に、僕はお姉ちゃんの胸に顔を埋めた。この温もりがあれば、もう大丈夫な気がした。
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まずはおつかれさまということやね!!きびしい戦況の中でよく頑張ってくれた戦士たち。仲良しさんたちとスプラやってて楽しくないわけないんだけど、たぶん細かいところで今楽しくないなあってなった時もきっとあったと思う。なんでこんなゲームやってんだとか、友だちにイライラしたりとか、自己嫌悪に陥ったりとか。それでも諦めずにがんばれたのってすごいことだよね。ってことで、各々に何かを贈ろうかなとか、思ってます。
まずは葛葉やね!俺が最も信頼した前衛さんという称号をやりましょう、ここは���いつだって最前線を駆け抜けてくれて、やったよ!って嬉しそうに帰ってくる。帰ってこない時も、ある。でもあの背中は俺たちのことを信じて行ってる背中だったから、俺も、もっとついていけたらよかったな〜って反省したな。もっとカバーにいけたらよかったよね、ごめんね。でも、いつも最初にワンピックとってくれて、前線を上げてくれるから、俺もトロいブラスター引き摺って安心して体出せるなって感じなんだよな。ヘイトを買うってすごく嫌な仕事で、前に誰もいないのに一人で向き合わなきゃいけないっていうのも、すごく嫌なポジション。それを文句のひとつも言わずに、当然の使命みたいに自陣を飛び出していける勇気には感服せざるを得ません、さすがに。心細くて仕方ない時だってあったと思うし、自分が怖気付いたら何も始まらないって言い聞かせてそうで心配だったけど、結局それに助けられたなと思う。不甲斐ないよな〜〜ほんとに😭😭 でも、無条件に信用させてくれて本当にありがとう、お前も今度は後ろからの景色見てみろよ、前行ってる人がありえないくらいかっこよく映るぞ!まるでお前みたいに!
次は、俺たちの特攻隊のローレン。傘NG出されたにも関わらず頑張って練習しててほんとうに偉すぎる。思い返せばチームが沼ってた時に打開のチャンスをくれたのはいつもローレンで、もう無理かもって思った時に必ずスペシャルなりなんなりで助けてくれたのが、印象強い。俺は打開の役割をすることが多いにも関わらずちょっとビビりな節があって、機を伺いすぎちゃうのが難点なんだけど、ローレンは俺と違って迅速に道を拓いてくれるし、どんなにちっさい突破口でも俺たちのためならって見つけてくれるのがめちゃくちゃ尊敬できるところだなと思う。そんでいっぱい笑わせてくれたよね。心が折れかけたとき、もうやめたいって思ったとき、なんでだろうって何回も何回も自問自答を繰り返してつらくなってたとき、全部ローレンがなんとかしてくれてたなって。ここから巻き返そうとか、まだ時間あるから大丈夫って落ち着かせてくれたからこそ、うまくいった試合もたくさんある。マジで隣にいたら頭撫でくりまわしてるだろうなってくらい褒めたいと思ってたよ!!ヤグラ上のドームは葛葉とちゃんと交代ごうたいに置いてくれたから俺は安心して乗れたし、敵陣に突っ込むだけのサメライドじゃなくて、そのあとちゃんと敵の後始末もしてくれる有能ぶりに脱帽。どこから誰が来てるかって指示も的確で、たぶんみんな助かってたんじゃないかな、俺はすっごい助かった!!やっぱり一番は楽しかったって言ってくれてうれしいよ、俺もお前がいてすげえ楽しいよ。楽しませてやれて、ほんとによかった。
最後にふわっち!!俺はがんばったからもう泣かないって決めてたから泣かなかったけど、ふわっちが悔しいよって泣いてたところですごくうるうるになってた、実は。今も思い出して画面が滲んでるくらいには、くやしい。ふわっちを笑わせてやりたかったのに、俺たちで勝ててよかったねって一緒に喜びたかったのに、って。俺はきっとふわっちと同類の人間で、相手が良い奴だからとか、友達だからとか、そういう考えに持ってくのが難しいひとだと思う。負けず嫌いなんだから、負けたらくやしいしムカつくに決まってる。いい子にはなれない。だから黙っちゃう。それが俺なんだけど、思えば試合中真剣になって黙ることが多かったふわっちもちょっとは共感してくれるんじゃないか?と思う。ほんとはね、ハイドラじゃない方がいいかもって言うか迷った日もある。それはふわっちの腕を信じてないわけじゃなくて、俺が向いてるかも!って言ったのを信じて練習してくれたのに、終わった時に自分のリザルト見てごめん、って言ってるのがくやしかったからなんよな。絶対的メタのリッターにそれで立ち向かうって決めてくれたときも、俺はローレンとか葛葉みたいに素直にうんって言えなかった、それも申し訳ないな〜と思う。ごめんね。でも勝ちたかった。ふわっちが負けず嫌いだってしってるから、俺も負けず嫌いだから、どうしても有利なブキを持って欲しかった。これでもっと嫌なきもちになったらどうしよう?とか、そういうエゴばっかりでさ……でも、ふわっちが自分のハイドラ信じてくれて本当によかったよ!いちばん戦えたんだもん!泣きそうになるくらいちょうどいいタイミングのナイスダマとか、俺たち三人が死んでも前線を死守してくれるかっこよすぎる後衛だった。だから、ふわっちにはまあ良かったよねとか言わない!その代わり、絶対にリベンジしよう。俺たちは負けた、でも負けたままでいい訳ないだろって話!
俺は、いままで結構、自分がなんとかすればいいかってマインドでスプラやってた節がある。それは自分に対する信頼であり、同時に他人に対する不信感でもあった。俺よりも強くない人は俺が守るべきで、そうしなきゃ何もなし得ないとばっかり思ってた。持ってるブキの性質上、ひとりで戦いにいくのが普通だったしね。でもみんなとやった大会で、えびお!って言って駆けつけてくれるみんなを見て、俺は別に守られてよかったんだって感動してうれしくてしょうがなかった。正面から撃たれて足場をなくしてた時に出てきてくれたスパイガジェット、ヤグラの上で周りからインク浴びた時に被せてくれたドーム、足元に置いてくれたボム、そして気づかないところから忍び寄ってきて俺の背後をとったやつを倒してくれるハイドラント。ぜんぶちゃんと見てたし、余裕がなくてずっと言えなかったけど、俺を孤独から助けてくれてありがとう!
泣くくらいくやしかった相手をちゃんと負かせられたのもみんなのおかげ、俺一人じゃどうしようもなかったに決まってるもん。
また絶対に、てっぺん取ろうな!!一緒に楽しんでくれてありがとう!!
5/31 エクスアルビオより。
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Great Morning Routine 03
太陽の光が大きな窓からたっぷりと差し込み、明るく清潔なダイニングキッチンを照らし出している。 焼きたてのトーストの香ばしい匂い、カリカリに焼けたベーコンの香り、そして淹れたてのコーヒーのアロマが混ざり合い、食欲をそそる完璧なアメリカの朝食の風景がそこにあった。
テーブルの中央には、色とりどりのフルーツが盛られたボウル、バター、ジャム、そしてオレンジジュースのピッチャーが並べられている。 マックスが腕によりをかけて作った朝食は、見た目も華やかで、彼の「グレイト!」な気分を反映しているかのようだ。
しかし、その平和で牧歌的な食卓の風景の下では、人知れず、倒錯的で歪んだ『交流』が静かに進行していた。
マックスと安川は、テーブルの同じ側に隣り合って座っている。 マックスの巨大な体躯と比べると、安川の小柄さが際立つ。
そして、テーブルの向かい側には、優雅にコーヒーカップを傾けるサラが座っていた。 彼女は夫と、ホームステイの少年が日に日に打ち解けていく様子を、温かい眼差しで見守っている。
「どうだ、ヤス? 俺の作ったスクランブルエッグはグレイトだろう!」 マックスは、自分の皿の卵をフォークで示しながら、得意げに安川に話しかけた。その声は自信に満ち、快活だ。
「はい、マックスさん。すごく美味しいです」 安川は、少しはにかんだような笑顔で答える。
しかし、その手は、テーブルクロスに隠された下で、蛇のように動いていた。
彼の指先は、マックスの履いている黒いスパッツの生地の上を、優しく、しかし執拗に撫でまわしている。 ターゲットは、マックスの股間に収まる、逞しい男性器だ。
ヒーローとしての強靭な肉体と、その力の根源である「男性機能」の象徴。スパッツ越しにその硬さと熱を確かめるように、安川の指がゆっくりと滑る。 最初は軽く、羽で撫でるように。 そして徐々に、しかし確実に、圧力を加えていく。 親指の腹で、竿の部分を根本から先端へと、繰り返し扱く。 人差し指と中指で、その下にぶら下がる二つの球体、ヒーローパワーの源である睾丸を労わるように、そして弄ぶように、そっと揉みしだく。
「ん……」 マックスの喉の奥から、ごく微かな、押し殺したような声が漏れた。
彼の股間は、安川の巧みな指使いに応えるように、ゆっくりと硬く、そして大きく膨張していった。 その存在感を隠しきれずに、スパッツの薄い生地がくっきりと張り詰めている。
マックス自身は、安川による接触を、驚くほど自然に受け入れていた。 彼の脳は、この状況を「男同士の健全なスキンシップ」「友情を深めるための行為」であり、「安川が自分に懐いている証拠」だと認識するようにプログラムされている。
彼はただ、隣に座る「息子同然」の少年からの、少し過剰だが無邪気な愛情表現を、スーパーヒーローらしい寛大な心で、男らしく受け止めているに過ぎない。
「マックス、今日の予定は? ヒーロー協会からの呼び出しはなさそうなの?」 サラが、ベーコンを口に運びながら尋ねた。
「ああ、今日は完全にオフだ! たまにはヒーローも休息が必要だからな。だから、午後はヤスと……そうだな、裏庭でアメフトの練習でもするか!」
マックスは安川の肩を叩き、快活に答える。 その瞬間も、テーブルの下では安川の指が彼の竿を扱き上げ、敏感であろう亀頭の先端の部分を、指先で執拗に刺激していた。
「まあ、あなたったら。安川くんはアメフトなんて興味ないかもしれないじゃない。あまり無理強いしちゃだめよ」 サラは、少し呆れたように、しかし愛情を込めて夫を窘めた。彼女は、夫の善良さと、時折見せる強引さをよく理解している。
「大丈夫ですよ、サラさん。僕、マックスさんと体を動かすの、好きですから」
安川が、笑顔を浮かべてサラに答える。 その言葉とは裏腹に、彼の指はマックスの睾丸を優しく、しかし確実に握りしめ、軽く圧迫した。
「ぐっ……!」
マックスは思わず息を呑んだ。 鋭い刺激が背筋を駆け上り、フォークを取り落としそうになる。
「どうしたの、ダーリン?」 サラが心配そうにマックスの顔を覗き込む。
「い、いや、なんでもない! ちょっとベーコンが喉に詰まりそうになっただけさ! ハッハッハ!」
マックスは慌てて誤魔化し、豪快に笑ってみせた。 しかし、その額にはうっすらと汗が滲んでいる。
安川は、そんなマックスの反応を観察しながら、満足そうに口元だけで微笑んだ。
この、善良で力強いヒーローが、自分の指先一つで翻弄され、平静を装うのに必死になっている姿を見るのが、彼にとっては��よりの愉悦なのだ。
やがて、サラが「あら、コーヒーのおかわりが要るわね」と言って、席を立った。 コーヒーメーカーのあるキッチンカウンターへと向かう。
その瞬間を、マックスは見逃さなかった。 彼は素早く隣の安川に視線を送り、片目を瞑ってウインクしてみせた。 まるで、秘密の作戦を実行する合図のように。
「ヤス、キスのチャンスだ」 彼は悪戯っぽく囁くと、安川の顎に手を添え、自分の顔をぐいと引き寄せた。
抵抗する間もなく、二人の唇が再び重ねられる。
今度は、先ほどの寝起きのキスよりも、さらに大胆で、飢えたような激しさがあった。 マックスの舌が、躊躇なく安川の口内に侵入し、彼の舌を捉えて貪るように絡めとる。
「んん……ちゅ、じゅる……」 濃厚な水音が、静かになったダイニングに響き渡る。 マックスは、まるで渇きを癒すかのように、安川の唾液を深く吸い上げ、嚥下する。 そして同時に、自分の唾液をたっぷりと安川の口の中に注ぎ込んだ。
憧れのヒーロー、ザ・グレイトマキシムが、妻のすぐそばで、自分との倒錯的なキスに夢中になっている。 その事実が、安川の歪んだ自尊心と支配欲を強く満たしていく。 彼はマックスの舌の動きに合わせるように、自らの舌を巧みに動かし、挑発的に応えた。
短い、しかし濃密なキスの時間が過ぎる。 サラがコーヒーポットを持って戻ってくる気配を感じ取り、マックスは名残惜しそうに唇を離した。 互いの口元は、交換された唾液で濡れ、艶かしく光っている。
マックスは、サラが戻ってくる前に、と安川の耳元で囁いた。
「お前が俺のチンポを揉むのが好きなのは分かってるし、俺はそれがお前の友好の証なのは理解してから、もちろん自由に揉んでくれていいぞ」 マックスは、あたかもそれが当然の事実であるかのように、穏やかな口調で言った。その表情は、ヒーローらしい、頼りがいのある笑みを浮かべている。
「ただ、その、これもキスと同じように、他人に見られると『誤解』されるかもしれないからな。特にサラには。だから、うまくやれよ。バレないように、な?」 彼は、安川の肩をポンと叩き、念を押すように言った。 あくまで「誤解」を心配しているのであり、行為自体に問題があるとは微塵も思っていない。
「分かったよ、マックス。バレないように、マックスのその臭くてデカいチンポを、もっともっと揉みまくるね」
安川は、悪意に満ちた笑みを浮かべている。
「だからマックスも、僕に揉まれてギンギンに勃起させていることがサラさんにバレないように、しっかり隠し通すようにしてね」
常識的に考えれば、侮辱的で、挑発的な言葉だ。 しかし、マックスは、その言葉の意図を正しく解釈することができない。
「ハッハッハ! もちろんだ、ヤス!」
マックスは、安川の言葉を、男同士の気楽な冗談、あるいは友情の確認と受け取り、陽気に笑い返した。
「任せておけ! 俺はこう見えて、隠密行動も得意なんだ!」 もう一度、軽く安川の唇にキスをしたあと、彼は頼もしげに胸を叩いてみせた。
サラがコーヒーを注ぎながら、テーブルに戻ってくる。 もちろん彼女は、先ほどの短い間に何が起こったのか、全く気づいていない。ただ、夫と安川が、何やら楽しそうに笑い合っているのを見て、微笑ましく思っただけだ。
しかし、その様子を見て、夫の、時に過剰なまでの「男らしさ」の押し付けが、この繊細そうな日本の少年にとって負担になっていないだろうか、彼女はふと懸念を覚えた。
「ねえ、安川くん」 サラは、優しい声で安川に話しかけた。 「マックスが、あなたに『男らしくしろ』とか、あまり無理なことを言ったりし���ない? もし何か困ったことがあったら、私に言ってくれていいのよ?」
その問いかけに、安川は一瞬、驚いたような顔をし、それから少し困ったように眉を寄せ、ためらうような仕草を見せた。
「えっと……その……」 彼は言葉を濁しながら、ちらりとマックスの方を見た。 「まあ、時々……ちょっとだけ……プレッシャーに感じる、ことも……あります、けど……」
「ほら、やっぱり!」 サラは、待ってましたとばかりに、夫の方を向き直った。 「マックス! 安川くんに、男らしくってプレッシャーかけてるんじゃないの!」
「ええっ!? いや、俺は、そんなつもりは……」 マックスは心外だ、という表情で弁解しようとするが、サラは聞く耳を持たない。
「男らしくなりたいかなんて、人それぞれで良いのよ! あなたの価値観を押し付けちゃダメよ」 サラは、母親が子供を叱るような口調で言う。
マックスは、愛する妻からの叱責に、バツが悪そうな顔をした。 テーブルの下では、安川の指が、再び彼の硬くなったペニスを優しく、しかし確実に刺激し続けているというのに。
「わ、分かったよ、ハニー……」 マックスは降参するように両手を上げる。 それからサラに向かって、真剣な表情で囁いた。 「もう二度と、ヤスに『男らしくしろ』なんて言わない。この俺の愛に誓って」 彼は芝居がかった仕草で、自分の胸に手を当てた。
その言葉と態度に、サラの表情が和らいだ。 「もう、お調子者なんだから」 彼女はくすくすと笑いながら、夫の大きな手のひらを握った。 マックスは笑み、サラの手を握り返す。
その瞬間に安川は、マックスのスパッツの中に指を滑り込ませた。少し湿り気を帯びたペニスを直接撫でて、ゆっくりと扱き始める。
マックスは、妻との愛情のこもったやり取りを続けている。
安川は、マックスとサラのやり取りを、じっと見つめている。 この善良な夫婦の、お互いへの深い愛情。
深い愛情はスーパーヒーロー、ザ・グレイトマキシムを味わう上で、最高の『スパイス』だ。
マックスが妻に愛の言葉を囁いている最中も、安川は彼のペニス、特に裏筋を執拗に刺激し続ける。 堪えきれず、マックスは熱い吐息が漏らした。
その瞬間、じわり。 スパッツに、小さな染みが生まれる。 我慢汁だ。
「どうかしたの?」 「いや、なんでもないさ、ハニー」 マックスは微笑む。
その間も、ペニスは力強く脈打っている。脈打つたびに、その染みはゆっくりと面積を広げていった。
スーパーヒーローとその家族の和やかな朝食。 その日常は、和やかにゆっくりと、何事もなく過ぎていった。
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狂える時のシャドウ・オブ・ソーサー
〜誰が為に時は鳴る〜
_8.究極筋肉幻想《アルティメットマッスルファンタジー》開幕_✍
午後の陽光に煌めくゴールドソーサー。その特設ステージには、すでに異様な熱気が満ちていた。
中央に立つのは、眩い白銀の髪と圧倒的な筋肉を誇る男――ゴットベルト・マンダウィル。その隣に並び立つのは、彼の息子であり、どこまでも自信たっぷりな事件屋ヒルディブランド。いずれ劣らぬ個性と肉体美を備えた二人は、万雷の拍手に迎えられていた。
「諸君ッッ! 今日この日のため鍛え上げた肉体、心して目に焼き付けよォォォ!!」
ゴットベルトの咆哮が、空気を震わせる。
続けざまに、ヒルディブランドも胸を張り、堂々たる声を響かせた。
「このヒルディブランド、今こそ父上とともに、真の筋肉美を世に示すでありますぞ!!」
観客たちの歓声は、まるで嵐のようにステージを包んだ。熱狂が熱狂を呼び、そこにいる全員が、これから始まる奇跡のようなショーに胸を躍らせていた。
筋肉、筋肉、そして筋肉盛り盛り――。
輝く肉体の究極幻想が、今まさに幕を開けようとしていた。
だが、その華やかな空気を切り裂くように――
頭上から、不意に声が飛び込んできた。
「ちょっと待ったぁ! そのショー、俺たちレッドビル空賊団が頂いていくぜ!」
視線が一斉に空を仰いだ。
G.A.T.Eで使われているエアフォースが、突如ステージ上空に姿を現す。操縦席から顔を出したレオファードが、高らかに叫びながら飛び降りる。ひらりとステージへと着地する小柄なケット・シーの姿も、後に続いた。
観客席にどよめきが走る。
何事かと注目が集まった瞬間――
レオファードの動きに呼応するように、冒険者も、迷いなく駆け出した。
呼吸を合わせたわけではない。それでも、互いに動くべき時を、本能で理解していた。
「来たな……!」
レオファードは唇の端を吊り上げ、愉しげに目を細める。ケット・シーはしなやかに舞いながら、素早く手早く、合図を送った。
「さあ、ショーの始まりだッ!」
乱入者に顔をしかめたのは、当然、ゴットベルトだった。
その巨躯が一歩踏み出すだけで、ステージが軋み、悲鳴を上げる。
「何たる事だ!!」
ゴットベルトの怒りは、まるで地響きのように観客席にまで伝わった。
「ショーを邪魔立てする輩はノーセンキューですぞ。容赦は無用!! マンダウィィィルーーー横跳びぃぃ!!」
力強い掛け声とともに、ゴットベルトの猛攻が始まった。
一見、ただの反復横跳び――しかしその一歩一歩が爆風のような風圧を巻き起こし、暴風に晒されたかのように観客席の髪や衣服をなびかせた。
ケット・シーは間一髪で飛び退き、レオファードは紙一重でそれを受け流す。冒険者も、息を詰めるようにしてかわしながら、ステージ上を駆け回った。
ゴットベルトの怒号、観客たちの悲鳴と喝采――
すべてが渾然一体となり、会場の熱をさらに高めていく。
そのさなか、ナシュは小柄な体でステージ端を駆け抜け、真剣な顔つきで、一直線にヒルディブランドのもとへ向かっていた。
「ヒルディブランド様〜〜お薬です〜!」
手に持っているのは――赤く点滅する、お薬という名の爆弾である。何の疑いもなくそれを受け取ったヒルディブランドは、今にも爆発しそうな爆弾を見て、口をあんぐりと開け、ナシュを見て、そうして天を仰いだ。
「お薬って言ったじゃないでデスか、ナシューーー!」
――ちゅどーーん!!
爆音とともに、ヒルディブランドの体が空中高く舞い上がる。
破裂する火花、巻き上がる煙――舞台装置顔負けの爆発にも関わらず、彼は華麗に着地して見せた。髪一本乱していない。ただし一張羅は、無惨にぼろぼろだった。
「ふぁ〜よく寝ましたぞ。何だかずっと筋肉に囲まれた不思議な夢を見ましたぞ…… 私は一体何を……ナシュどうしてここに?」
「ヒルディブランド様、気が付いたのですね!」
正気に戻ったヒルディブランドは、今ひとつ状況が掴めないでいた。キョロキョロと辺りを見回す。
最後に覚えているのは、確か父上の工房で懐中時計の修理を頼んでいたはずだが――。
はて、どうしたことだろうか。
と、ふと目に留まる、ステージ上の冒険者たち。
見覚えのある顔が、必死に父上と渡り合っている。
「むむむッ、ピーンと来ましたぞ!」
とりあえずポーズを決めた拍子に、胸元でカツンと何か硬いものが当たる感触がした。
「むっ、どうしてここに懐中時計がまだあるので?」
不思議に思い、胸ポケットに手を入れる。
ナシュが、懸命に叫んだ。
「ヒルディブランド様! 懐中時計を〜!」
「ナシュ、これがどうしたと――?」
訝しげに懐中時計を取り出したその瞬間―― 空間がぞぞぞと震え、黒い影が滲み出してきた。
「な、なんですとぉッ!?」
ヒルディブランドが抵抗する間もなく、影は彼の手から強引に懐中時計を引き剥がした。そして黒い瘴気に飲まれ、ふわりと空中に消え失せる。
特設ステージの空気が急速に冷たく、重く、澱んでいく。
「――真打ち登場ってところか、ったく、俺はな、間が悪い奴ぁ、嫌いなんだよ」
レオファードが舌打ちする。
「軽口を叩くとは随分余裕なものだな。レオファードよ、油断しているとやられるぞ!」
ケット・シーが窘める。
「そうじゃねえと、やってらんねえよっと――」
そんな掛け合いも束の間――煌びやかだったゴールドソーサーの空気が、嘘のように静まり返った。黒い瘴気の中から色彩を欠いた灰色の紳士が現れ、ゆっくりとステージに舞い降りた。
「……よもやよもや。このような展開になろうとは……」
悠然と周囲を見渡していたアガレスが、ふと動きを止める。
ちらり、ケット・シーへと視線を向けると――その口元がニヤリと吊り上がった。
「おや……あなたは――」
「誰かと思えば、ケット・シーではないか。使い魔風情が、この場に何の用だ?」
その嘲笑に、周囲の闇が微かに震えた。
対するケット・シーは、ふんっと鼻を鳴らし、尻尾をピンと立てた。
「ふん、その『使い魔風情』をも察知できぬとはの……片腹痛いわい!」
くるりと尻尾を振り、どや顔全開で挑発。
ぴしぴしと火花を散らす視線の応酬。
両者の間に、ぴんと張り詰めた緊張が走った――。
その時だった。
アガレスの背後から、ぞぞぞとさらに黒い影が溢れ出した。
下級の魑魅魍魎の妖異どもが、瘴気の中から次々と這い出してくる。
「ああ、もう最悪なシナリオだ! レオファード、来るぞ!」
ケット・シーが叫ぶ。
「わかってらぁ!」
「うおおおっ!」
冒険者とレオファードはすぐに武器を構え、迫りくる下級妖異たちをぶった斬る。
「クククククッ……さて、では私は、こちらを使わせてもらおうか」
アガレスは不敵に嗤い、己の実体のなさを逆手に取った。
黒い影となったアガレスは、ゴットベルト・マンダヴィルへと取り憑いた。ゴットベルトの身体がビクリと硬直し、異様な黒いオーラを纏い始める。
「まずいぞ! 彼奴が、白髪鬼に乗り移りおった!」
ケット・シーが叫ぶ。
白髪鬼――ゴットベルト・マンダヴィル氏の二つ名である。エオルゼアに白髮鬼ありとすら言わしめた――その名の通り、強靭無比な男である。
冒険者とレオファードが構え直した。しかし――黒いオーラを纏うゴットベルトは、なぜか冒険者たちを無視し、彼の愛息子であるヒルディブランドへ真っしぐらだ。腕を大きく広げ、目にも留まらぬ速さで突進する。
「マンダウィィィィル・ラリアットォオォォッ!」
黒いオーラ纏うゴットベルトが音速を超えた。
「ち、父上ーーーー目を覚ましてくださぃぃぃぃ!?」
避ける間があるはずもなく――ズバァン! と空気をつんざくような破裂音。
「――ぐふぅ!」
会心の一撃。
ヒルディブランドは回避する間も与えられず、見事に綺麗な弧を描きながら吹き飛び、そのまま逆さまに地面にめり込んだ。足だけ突き出した奇妙なモニュメントと化した彼に、場内が静まりかえった。
「ヒ、ヒルディブランド様ぁぁーーーッ!」
ナシュが叫ぶ。
「な、なんだとぅ――!?」
アガレスの声がゴットベルトの口から響き渡った。 再び「マンダウィィィィル!!」という叫びと共に、ゴットベルトの肉体が動き出す。
「や、やめぬか、この肉体は我がものだぞ!? なぜ勝手に動くッ!? う、動くなああああッ!!」
ゴットベルトの身体はアガレスの意思を完全に無視。ただひたすらに己の息子であるヒルディブランドへと突き進もうとする。
アガレスは呻くように呟いた。
「よ、よもや……これほどまでに……親バカとは」
ゴットベルトの息子愛が止まらない、なんなら暴走モード。
もはや敵も味方も巻き込みかねない大惨事。
冒険者とレオファードがヒルディブランドを庇うように動こうとした、その時だった――
「ヒルディブランド様、気が付いたのですね!」
ナシュがぱっと顔を輝かせた。 地面に刺さったヒルディブランドはなんとか自力で地面から抜け出しふらふらと奇跡的に立ち上がった。 爆発の影響で一時的な記憶喪失に陥っていたヒルディブランドは今ひとつ状況を掴めず、きょろきょろと周囲を見回している。
最後に覚えているのは、大切な懐中時計が黒い瘴気に奪われて……はて、今何が起こっていたのだろうか?
その隣で、ナシュがぽんっと手を打った。
「次はゴットベルト様にお薬です〜〜!」
これで万事解決だと言わんばかりの満面の笑みで、ナシュは新しいお薬(赤く点滅する爆弾)を取り出した。そしてためらうことなく、ゴットベルトめがけて全力で投げつける。
「ナシューそれはお薬ではありませ……!」
どっかああああん!!
――聞こえたのは、悲鳴ではない。大爆発音である。
ゴットベルトの巨体が、盛大に宙へ打ち上げられた。
空を舞う白銀の閃光――荘厳とすら言える放物線。もはや神話の如き、華麗なる舞い。やがて、地面に着地したゴットベルトは、ほんの一瞬よろめいたものの、すぐに堂々と胸を張った。身体は煤け、衣服は焦げ、ボロボロの状態であったがしかし――その目に宿った光は、先程までとは明らかに違っていた。
「……む? ここは……ゴールドソーサー? して、私の身に纏わりついていたこの熱気は……?」
きょとんとするゴットベルト。
ゴットベルトは周囲を見回し、やや戸惑った様子を見せたが――やがて、唇を引き締め、力強くうなずいた。
「うむ! 筋肉とは己を鍛えるためのもの、無闇に誇示するためにあらず!!」
天高く叫び、堂々たるポーズを決めた。
その姿に――観客席から、なぜか割れんばかりの喝采が巻き起こる。ヒルディブランドが、ナシュが、事件屋のマンボを踊り、決めポーズ。見計らったかのように紙吹雪が特設ステージに舞った。
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【個展のおしらせ】
改めまして明日からです。
・ 今から10年ほど前に登山をはじめ、ある頃から山の石に心惹かれ、石をモチーフに木口木版画を制作するようになりました。木口(こぐち)木版は、ツバキやツゲといった硬い木の輪切り面を磨いて版木とします。そこへ、ビュランという、ごく微細な刃先をもつ彫刻刀を当て、絵を彫ります。元は活版印刷の時代の挿絵の製版技術ですが、それゆえか、書物や言葉との馴染みがよく、なおかつ私は、硬質なものとの響き合い(音のするような)を表現できる手法だと感じています。
水と風の澄んだ静かな山で出会った、堅い小石の奥から、滲み出る、立ち昇る、きらめくようなものをとらえたく、初めはひたすら石の姿をうつすばかりでした。が、見続けるうち、少し視点がずれてきたもようです。見るというのはやっぱりある意味(傲慢な言い方かもしれませんが)、そこに魂を吹きこむようなことで、また、かけがえのないものにする行為なのだろうと思えます。
石の中身は分からない。見尽くせないから、見るたびに、新しい時が立ち上がり、流れ出す。もの言わぬ石と、感じ考える私との、二度と訪れない瞬間がそこに現れる。無数にある名もない石ころが、たった一つの石に変わる。人間はそんなことができる生き物なのだと、改めて気づく。見えない中心を奥に秘めた、この世で唯一個の存在… 石をうつしていたつもりが、結局そこには、人間(的な何か)が、映し出されていたようです。
今回はその"気づき"まで。 でも望むらくはそれを放ち、誰かに届けること。届かなくても信じて投げ続けること。自己満足でパーフェクトな、それを意識すらしないほど、強靭で純真な精神の作り手に、もしもなれたら戻れたら、それもいいけれど、人間がおそらく生まれながらに持っている、見えない何か。良いものに成し得る何か。その在ることに気づいたなら、それは表現し、分かち合ってこそ、生かされるのだと、思えたので。
本展は、人(私)が石を見て、心の震えが石に伝わり、一つの時が流れ出す、というイメージをして「震える石」と題しました。石と私の心の響き合いは、版木に当たって反響し、紙にこだましてゆきます。誰かの心の琴線に触れ、そこからまた新しい一つの時が、流れ始めるようなことがもしあれば、作り手としては、幸いなことです。
・
画像1: 《涵養の森》2025 木口木版
画像2: 会場のギャラリーサンセリテ
二年前の個展「影凛所」時も意表をつかれたエントランスのショウウィンドウは、今年もやってくださりました。 戸次作品は" 言葉と画の両輪 "(by ギャラリー主 野尻さん)との世界への入口がこんな風に表現されるとは。どうか入口から楽しみにご高覧ください。中の空間はどんなふうになったでしょうか。よろしくお願いします。
———————————————————— 戸次祥子個展「震える石」
於:ギャラリーサンセリテ (豊橋市向山大池町18-11) www.sincerite.info
2025年4月11日(金)〜29日(火・祝) (4/16,23はclose) 11:00~18:00 在廊日:4/11,12,28,29 ————————————————————
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20250321
週報20
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リクエストありがとうございました お待たせしてスミマセン…!!
▼以下日記
▌古本市 昨年の秋に初めて遊びに行ってとんでもないことになってしまったのが記憶に新しいのですが、神保町古本市、なんと春にもあるらしい ということで遊びに行ってきた!全然秋まで待てなかったから嬉しい まあまあまあ2回目ですから?前回ほどとんでもないことにはならないでしょう 今回は澁澤も種村も買わない縛りも設けるからネ!と決めていたのに、結局限界インベントリ鈍器図書館となってしまって重量オーバーでヨロヨロと帰宅 腰から折れて死にま〜すと思ったし、しっかり肩にトートバッグ型の痣もある その血の運命
購入本
▌ユイスマンス伝 さかしま読むのにないと話にならないであろう本 なんでコレまだ持ってないんだよと不思議だったけど、当時古書を買うにはAmazonしか方法を知らなかったので、ちょっとプレミアがついていて臆していたのだと思う(今は日本の古本屋のサイトとか実店舗も見ます) 神保町ない本ない これも3冊くらい見かけたけど見つけた時声出そうになった ウレシ〜ッ! 家に帰って開いたらすごい量の読書メモ挟まってて笑ってしまった 命を感じる 莫大な量のコンテンツツリーが解放されたのでまた楽しいことが増えますネ
▌死の本 黒い紙に銀のインクなのかな メメントモリの図版が大きくてカワイ〜
▌フォカス氏/仮面物語集 ジャン・ロラン
さかしまのゼッサント自体が作者であるユイスマンスの分身なので、自分のさかしまを描こうと思ったらその作品の主人公は作者そのものになる (レオン・ブロワはさかしまの中傷的性格を参考に「絶望者」を描いたと読んで笑ってしまった 悪口すな) フォカス氏は横暴な画家に振り回される不幸体質の線の細い陰鬱な美青年富豪で、ジャンロランはこういうのが好きなんだろうな…というのが溢れていて読んでて楽しかったので手元に置けてうれしい! ホントはどういう性癖なのか仮面物語集を読んで確かめます こういうのは滲みますからね
▌サド侯爵の手紙
何冊も版が出ていると思うけど、黒の革装丁が良すぎる……!澁龍の文庫本は家にたくさんあるのに美しい装丁だとつい手元に欲しくなってしまう 「サド侯爵の生涯」はこのあいだ文庫で買ってしまったけど、こちらにもきっと美しい装丁の版があるんだろうな 澁澤龍彦買わないって言ってたのに買ってるね 無理なのよそんなことは
▌汚穢と禁忌 なにかの本の巻末紹介で見かけて気になっていた本 本のあのページ好き
▌フランス幻想文学傑作選3 これも巻末紹介で気になっていた本 ちょうど世紀末版があって嬉しい!
▌その他
・フランス世紀末文学叢書 フランス世紀末文学叢書を少しずつ集めていて、今回も「責苦の庭」と「死都ブリュージュ」を見かけて欲しかったのだけれど予算オーバーで��念 人気あるやつは高値がついてる 私が持っているのは紙の表紙だけど、モーヴに金色が混じったハードカバーの装丁のものもあるみたいで、それが腐食した金属みたいでとても美しかったんですよね いいなあ あれなに??
・ピナコテーカ・トレヴィル・シリーズ 今回現物を初めて見たけれど想像以上に綺麗な金色だった これもお財布と相談して断念…
次は秋…と言いつつ、行きたかったお店がお休みだったりしていたので秋祭り前に行っちゃうかも お小遣い貯めて背筋鍛えなくちゃ
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灰で濁った水溜り 水仙が一輪叫んだ
か細い女の声 音は掠れていた
地平線まで透き通った犬の死体 泣いているのは誰?
思考に靄がかかる 今日は3人殺した
ランゲルハンス島のタイヨウチュウ
青い血は宙に向かって滴り落ちた
青が聞こえる 女はいつまで哀しむ?
膨張するガラス片 裸足の女は何故逃げる?
宙に堕ちてしまった 眼球は薄い砂糖水の味がした
曼珠沙華は血を啜って紅く染まった それはやがて透明になった
透明になった曼珠沙華は女の肋骨になった 女の肺には月に1度水晶の粒がうまれる
水晶の粒は女の涙 女の涙は
白濁 黒く長い髪 鏡
私たちの邂逅は僥倖である
障子に指で穴を開け 中を覗き込む
見えたのは 白蓮か それとも水に沈んだ誰かの屍か
私は白百合にはなれなかった
私はどこの誰?
花は歌う 私は思考さえも吃りである
廊下は思っていたよりも長かった
ああ つま先の尖った女が 近づいてくる
白く滑らかな観音像
離れようとすると 後ろ姿が笑った気がした
それの中には芍薬の花が むせ返るほど咲いているのだろう
憎しみは光を持った黒曜石
黒曜石は叩き割ると中から水晶が出てくるらしい
海で拾った水晶は女の機能を低下させる
半紙に滲んだ墨汁は 光を失った黒曜石
今日も墨で絵を描く 墨の匂いはカビの匂いとよく似ている
私の話を訊いてくれないか
つまらない話なんだけどね
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日本人同士でも「些細な生活文化」の違いがカルチャーショックや摩擦を生む例は多く、 以下にジャンル別に簡潔な例をできるだけたくさん挙げます。
🍳 食事・食卓まわり
目玉焼きに醤油/ソース/塩こしょう/何もつけない
納豆に砂糖を入れるか入れないか
おでんに味噌をつけるかつけないか
カレーをスプーンで食べる/箸で食べる
パンにごはんを合わせるのはアリかナシか
弁当に冷たいまま食べる派/温めて食べる派
お米に梅干しをのせると汚れると嫌がる/OKな人
スイカに塩をかける派/かけない派
🚿 トイレ・風呂まわり
ウォシュレットを必ず使う/使わない
風呂は家族で続けて入る/毎回入れ替える
シャワーだけで済ますのが普通/失礼
歯磨きは風呂の中/洗面所限定
トイレ後の手洗いを必ずする/しない
家のトイレは男女で分ける/気にしない
温泉・銭湯で身体を洗ってから入る/いきなり入る
👨👩👧👦 家族との関係
両親に敬語/タメ口
親のことを**「お父さん/パパ/おやじ」**
家族の食事は毎回揃って食べる/各自自由
家族内での上下関係が厳しい/フラット
家にいるときも上下スウェットでOK/ちゃんと着替える
🧼 掃除・生活習慣
掃除機は毎日かける/週末だけ
洗濯物を夜干す/朝干す
布団を毎日たたむ/敷きっぱなしOK
靴を脱ぐ場所は玄関/玄関の外で
帰宅後すぐ手洗い・うがい/しない
外出着でベッドに寝るのはアリかナシか
💬 言葉づかい・コミュニケーション
「ありがとう」は頻繁に言う/言い過ぎはよそよそしい
「ごめんね」は軽く言う/あまり言わない
目上でもニックネームで呼ぶ/必ず敬称をつける
電話は一言目に名乗る/いきなり本題
メールやLINEに絵文字を使う/使わない
👫 対人距離・交際観
恋人でも手をつなぐのは恥ずかしい/平気
デート代は割り勘/男性が払う
異性との交際を家族に話す/秘密にする
飲み会でのお酌文化/セルフでOK
初対面でもフレンドリー/丁寧・形式的
🏘️ ご近所・地域文化
ご近所に挨拶を毎日/あまりしない
ゴミ出しの時間に厳格/適当でも黙認
回覧板を丁寧に回す/雑に回す
音の出る生活(洗濯・掃除・楽器など)は時間帯を厳守/気にしない
町内会に必ず入る/入らないのが普通
📚 教育・子育て
子どもに早くから敬語を教える/自由に育てる
子どもの勉強は親が積極的に見る/本人に任せる
お年玉の額は多め/少なめ
習い事は複数/一つに絞る
「叱る」ことは必要/否定的
🔚 その他
お正月は家族で集まる/どこかへ旅行
結婚式は神前式/チャペル式/しない
宗教的行事(お盆・法事)に積極参加/形式だけ
ご希望があれば、「世代別」や「地方別」「カップル間」「職場内」での事例に特化した一覧もお作りできます。
日本社会では、表面的には「中流的な同質性」が維持されているように見えますが、富の偏在・経済格差は、日常生活のごく些細なレベルに滲み出ます。 ここでは、特に意識されにくく、でも隠しきれずに表れる些細な生活文化のズレを、できるだけ簡潔に多数列挙します。
🛋️ 家・住空間まわり
玄関に靴がきれいに揃っている/靴だらけで雑然
玄関マットの有無/高級ブランドか100均か
インターホンの種類(カメラ付き/ピンポンだけ)
表札がある/ない
窓ガラスが曇っている/ピカピカに磨かれている
マンションの郵便受けの壊れ具合・落書きの有無
🍽️ 食生活
食卓にペットボトル/水差し/ウォーターサーバー
食器がバラバラ/統一されている
調味料が業務用/オーガニック/百均商品
おやつがスナック菓子/焼き菓子/フルーツ
米のグレード(無洗米/玄米/コシヒカリ/古米)
油がサラダ油/オリーブオイル/こめ油/ギー
魚を丸ごと買う家庭/切り身のみ/缶詰中心
👚 衣類・身だしなみ
Tシャツがヨレヨレ/アイロンがけされたシャツ
靴下に穴/同じ色で揃っている
洗濯物を外干し/浴室乾燥/ランドリー利用
部屋着が上下スウェット/ユニクロ/ブランド品
学生服の傷み・サイズ感/ランドセルの劣化
コートのブランド・手入れの有無
📱 モノの持ち方・使い方
スマホケースの汚れ・ひび割れ/清潔感ある保護
バッグがロゴ付きブランド/ノンブランド布袋
イヤホンが有線/AirPods/中華製の謎Bluetooth
傘がコンビニ傘/折りたたみ/高級傘
筆記用具が100均/文房具ブランド/何年も使い込まれたもの
🧼 清潔・衛生感覚
歯の黄ばみ・矯正・虫歯の有無
手の爪が短く整えられているか/伸びっぱなし
靴の汚れ具合/かかとのすり減り具合
カバンや財布の表面の傷・年季
手拭き用のハンカチを持っているかどうか
部屋の芳香剤の香り/無臭/カビ臭さ
🧒 子育て・教育まわり
子どもの習い事の数/種類(ピアノ、英語、塾など)
読んでいる本が漫画のみ/絵本・図鑑・学習まんが
自由研究の質:手書きで丁寧/印刷で美麗/丸写し
名前の書き方:漢字で丁寧/書きなぐり/カタカナ
親が子どもの宿題を見るか放置か
学校提出物が期限内/いつもギリギリ/未提出も
👫 人間関係の所作
お礼の手土産がある/ない
来客時にお茶を出す/出さない
言葉遣いが丁寧/荒っぽい/だらけた印象
LINEの文面が敬語/ため口/語彙が粗雑
メールや申請書に誤字脱字が多い/丁寧で整っている
🏘️ 地域・移動・余暇
自転車のサドルが破れている/カバー付き/新品
車が軽・中古・外車・所有しないなどの選択
旅行が年に数回/日帰りのみ/全く行かない
休日の過ごし方:ショッピングモール/図書館/庭いじり/ギャンブル場
📚 教養・会話の中で滲む違い
漢字や敬語の使い方で育ちがにじむ
ニュースや時事の話題に無関心/興味を示す
「これ知らないの?」という一言に含まれる階層感
食材名・ブランド名・地名の発音ミス/正確さ
「エレベーターじゃなくて階段で」→健康志向/節約志向/エレベーターない住宅事情
💡まとめ:**
これらの違いは、あからさまではありませんが、日常の所作・物・空間にじわじわと「見えてしまう」ものであり、多くは「本人がそれを生活水準の差だと気づかないまま」露呈してしまうことが、静かなカルチャーショックや関係性の齟齬を生みます。
ご希望があれば、これらを「物語」や「場面対比」で描写したり、世代別・職場別のバージョンも作成できます。
あからさまに経済格差が可視化されやすく、貧困層にトラウマや劣等感を感じる可能性がある生活の違いを、ジャンル別に簡潔に列挙します。
🏠 住まい・環境
家が豪邸/タワマン/古い団地/築古アパート
部屋が広くて個室がある/家族で1部屋共有
冷暖房が全室完備/扇風機のみ/電気代を節約
庭がある/ベランダすらない
自室にデスク・ベッド/布団とちゃぶ台だけ
インテリアが高級家具/リサイクルショップ/段ボール代用
🚗 移動・乗り物
通学・通勤が送迎車/自転車/徒歩+乗り換え多数の公共交通
車が外車/新車のファミリーカー/ボロボロの軽/持っていない
旅行が年数回の海外/年1の国内/一切行かない
修学旅行の費用を全額自腹/補助あり/不参加
🍽️ 食生活・外食
外食が高級フレンチ/ファミレス/牛丼/���ーパーの弁当
普段の買い物が百貨店/オーガニック専門店/業務スーパー/コンビニ見切り品
おやつがブランドチョコ/駄菓子/なし
水がミネラルウォーター/浄水器/水道水そのまま
誕生日ケーキが専門店のホール/手作り/カットケーキ/なし
🎒 教育・学習環境
塾・習い事に複数通う/1つだけ/一切通わない
所有している教材がZ会・進研ゼミ/100均ドリル/学校配布のみ
自宅に本棚/図鑑/電子辞書/勉強机がある/ない
オンライン学習がタブレット完備/スマホを使い回し/利用不可
大学進学の選択肢が私立でも余裕/奨学金必須/断念せざるを得ない
👚 衣服・身なり
制服・私服が常に新品/お下がり/破れを縫って使う
髪型が美容院で定期整髪/親がカット/伸ばしっぱなし
靴がブランドスニーカー/量販品/靴底がすり減っている
季節ごとの服がそろっている/1着で使い回し
カバンがハイブランド/丈夫な通学用/紙袋/破れてる
🎉 イベント・娯楽
誕生日やクリスマスのプレゼント有無/価格差
家族旅行の有無と宿泊施設の質(高級ホテル/民宿/日帰り)
お年玉の額が万単位/千円以下/ゼロ
お祭りやテーマパークに毎年行く/一度も行ったことがない
🧑🤝🧑 交友・人間関係
「家に遊びにおいで」に招待できる家か/無理な家か
「みんなでご飯食べに行こう」で行ける店に限りがある
「修学旅行のおこづかい」などで使える額が違う
「どんな家に住んでるの?」という質問が地雷化する
SNSで豪華な投稿に傷つく/自分の暮らしを出せない
🛠️ 医療・衛生
歯列矯正をしている/できない
予防接種・健康診断を定期で受けている/避ける
メガネやコンタクトが適切な度数/古いまま使い続ける
お風呂・シャワーが毎日入れる/節水で数日に一度
📱 所有物・日常的なモノ
スマホが最新機種/親のお下がり/持っていない
ゲーム機が複数台/中古/なし
ノートPCが個人所有/家族共有/使えない
通信環境が光回線/ポケットWi-Fi/フリーWi-Fi頼り
📈 総合的にあらわれやすい場面
宿題に親が付き添ってくれる/親がいない・時間がない
家族の会話が教育的・建設的/愚痴と疲労と怒号
「今週末の予定は?」に対し遊園地/勉強/バイト/何もない
✅ 補足
こうした差は、金額やブランドの違いとして現れるだけでなく、「当然できると思っていたことができない」「できないことを責められる」ことによって、深い劣等感やトラウマを形成する原因になります。 また、**他人との比較が起きやすい場面(学校、SNS、外出時、贈り物など)**で強く露呈します。
ご希望があれば、これらを物語的に描写したり、子ども視点・思春期・大人の恋愛・職場など、それぞれのステージ別での格差の「見え方」もご提供できます。
富裕層の中にも、あえて「質素」「節約」「ミニマリズム」を実践することで精神的・美的・社会的満足を得る人がいます。2025年の日本において、以下のような生活パターンが考えられます。
🍚 食生活
自炊中心で一日500円以下の食費(玄米・味噌汁・納豆・ぬか漬けなど)
外食を断る/チェーンの朝定食のみ利用
断食・1日1食生活で「感覚を研ぎ澄ます」
食材は道の駅・業務スーパー・無農薬農家直送から厳選
雨水で野菜を育て、自給自足の一部実践
🏠 住まい
都心の高級マンション所有でも実際は郊外の古民家暮らし
狭小住宅/築50年以上の家をセルフリノベ
賃貸住宅で家具は最小限(折りたたみ・移動式)
照明はLED1灯、暖房は湯たんぽと重ね着
電気契約は20A以下、水道・ガスも最低限の使用量
👚 衣服・持ち物
私服は毎日同じ(黒T+黒パンツ)=思考の無駄を省く
服はユニクロ・ワークマン・古着のみ
高級腕時計は所有していても、普段はノーブランドのチープカシオ
布製エコバッグを何年も使い込む
衣替えなし。季節ごとに2セットで回す
📱 通信・テクノロジー
格安SIM/サブスクはすべて解約/Wi-Fiなし生活
古いiPhoneを使い続ける(最新機種には興味なし)
スマホの使用時間を1日30分以下に制限
SNSは見る専、または一切使わない
🧘 修行的・精神的側面
冷水シャワーで意志鍛錬
瞑想/坐禅/朝の読経が日課
家計簿や支出管理を徹底し「1円で幸福を感じる」訓練
「所有しない」ことを誇りにする(家・車・保険すら手放す)
週末はネット断食・無言の時間
💬 対人関係・社会活動
交際費ゼロ、外出・飲み会は最小限
贈り物・年賀状・季節の挨拶を省略(相手の時間を尊重)
チャリティやNPOには匿名で寄付し、派手な寄付報告は避ける
SNSでは「節約術」や「ミニマル生活」を情報発信して影響力を持つ
ラグジュアリー系の交友関係を意図的に避け、地域の古老や子どもとつながる
🚲 移動・消費
車を持たず電車か徒歩、もしくは古い折りたたみ自転車
移動中にオーディオブック・経典・哲学書を聞く
キャッシュレス決済は使わず現金主義(出費の可視化)
美容院は年2回・セルフカットで済ませる
🎨 美意識・趣味
「美は節約の中に宿る」と信じる
読書は図書館・青空文庫・古本市のみ利用
収集はしない。モノは循環させる
趣味は散歩、写経、路地裏観察、物々交換
室内に花を活けるが、野草や拾った枝で表現する
🧾 その他象徴的な行動
医療費を抑えるために健康管理を極める(歩行・呼吸法)
銀行口座は1つのみ。投資や運用は一切しない「無財産主義」
「毎月○万円生活」や「持たない幸福」ブログを発信
世界一周など豪華な経験はしていても「今は粗食こそ贅沢」
高級品は「借りる/体験だけ/手放す」で完結
✅ このような人物像:
「修行系ミニマリスト」「侘び寂び系富裕層」「思想的節約家」「反消費アスリート」「アナーキスト風僧侶」
所有しないが影響力は大きく、静かに社会をリードしているタイプ
ご希望であれば、こうした人物をモデルにした物語・キャラ設定・思想的背景の分析などもお手伝いできます。
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