#黒炎の戦闘帽子
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【コスチューム】黒炎の戦闘帽子(エスカノール)
目次 ▼【グラクロ】【コスチューム】黒炎の戦闘帽子(エスカノール)の基本情報 ▼【グラクロ】【コスチューム】黒炎の戦闘帽子(エスカノール)のステータス ▼【グラクロ】【コスチューム】黒炎の戦闘帽子(エスカノール)の着用可能キャラ ▼【グラクロ】【コスチューム】黒炎の戦闘帽子(エスカノール)の評価 【コスチューム】黒炎の戦闘帽子(エスカノール)の基本情報 部位 ビューティー レアリティ UR 入手方法 神器ショップ 価格 ダイヤ30個 【コスチューム】黒炎の戦闘帽子(エスカノール)のステータス HP+1410 回復率+2% 再生率+4% 【コスチューム】黒炎の戦闘帽子(エスカノール)の着用可能キャラ 【太陽】エスカノール 【傲慢の罪】エスカノール 【コスチューム】黒炎の戦闘帽子(エスカノール)の評価 七つの大罪メンバーおそろい 黒炎シリーズのコスチュームセットは…
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サイトにあるやつに加筆修正したもの。
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アイル(アイル=スティニード)
年齢:生まれてから22年目 髪の色:癖のある赤茶の髪 瞳の色:黄緑 出身地:プラボカ 属性:土 ジョブ:戦士→ナイト IS:Title of mine/太陽
●性格 のんびりのほほんマイペース時々腹黒。最年長の自覚はあまり無い。 ロヴィーとロウェルの喧嘩は笑って見ているか放っておくことが多く、 バーニィに「たまには止めるの手伝って!」と言われることも。 人ではないので物事の考え方がずれている。 世界を救う気も誰かのために自分が動く気も無いが、 その気持ちを口に出すようなことはしない。 ロヴィーだけがアイルの薄暗い部分に気付いている。
●滅び行く世界 コーネリアに飛ばされる直前にクリスタルから話を聞いていたため、 そこが自分たちのいた世界とは違うことを知っていた。 記憶を無くした3人をうまく引っ張って旅を進めていく …かと思いきや、昼間から酒場に直行したり露店で食べ物買い漁ったり。 最初に持っていたギルは彼の物だったが、 結局ロウェルに財布の紐を握られてしまった。
●戦闘 前衛担当。幼い頃プラボカにいたテッドに稽古をつけてもらっていた。 魔法に関してはあまり興味を持っていなかったが、 クラスチェンジして白魔法が使えるようになって喜んでいた。
●在るべき姿の世界 プラボカの裕福な家庭に生まれる。 彼が18歳の時に魔物の群れが町を襲い、父と母が死亡。 両親の仇を討とうと1人魔物の棲み処へと向かうが、単身勝てるはずもなく死にかける。 この時クリスタルと接触し、在るべき姿の世界の【神】となる。 体の成長は18で止まり、いくつかの権能を授かった。 その後、町へと帰った彼は家と「スティニード」という名前を棄てて旅に出た。 今後世界をどうするか決めるために終わりの無い旅を始め、 その途中で滅び行く世界へと飛ばされた。
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ロヴィー
年齢:18歳 髪の色:オレンジに近い明るい茶髪 瞳の色:真紅 出身地:クレセントレイク近く 属性:火 ジョブ:シーフ→忍者 IS:オンリーロンリーグローリー
●性格 口が悪く捻くれている。アイル限定ですぐに手が出る(足も) 喧嘩上等!と熱くなったり、どうでもいいと冷めた様子を見せたり。 結構不安定。気分屋なのかもしれない。 寒いところが大の苦手。 氷の洞窟と冬のガイアの町には2度と行きたくないらしい。 食べ物の好き嫌いが非常に多く、特に肉と酒を嫌う。 ロウェルとは犬猿の仲。序盤は顔をあわせる度口論になっていた。 仲間を名前で呼ぶことが少ない。アイルはあんた、ロウェルやバーニィはお前。 ロウェルに限り「バカ魔術士」だの「ブラコン」だのと言ったりも。
●滅び行く世界 コーネリアに辿り着く前の記憶を無くしている。本人は別に気にしていない。 カオスを倒したところで記憶を取り戻す。 他の2人と違って、それまでは一切記憶が戻らなかった。
●戦闘 前衛担当。敵に突っ込んでいくことが多い。 装備は剣とナイフと刀。後半は二刀流。力は余りないが、素早さはパーティ1。 クラスチェンジ後は黒魔法も使えるようになるが、実際使った回数は少ない。
●在るべき姿の世界 両親から虐待を受けていた。 体に残るいくつかの傷痕は父親がつけたもの。 左腕に巻かれた包帯の下にある火傷の痕だけは母親につけられた。 このころの経験が今の性格に影響を与えている。 彼が8歳の時、母親が兄を連れて家を出て行ってしまう。 唯一優しく接してくれた兄とはそれきり会っていない。 その後、父親との2人暮しに耐え切れず家を飛び出した。 倒れていたところをテッドに拾われ、剣を習いギルドに入る。 「ロヴィー」はテッドにつけてもらった名前。 現在は配達屋としてあちこちを旅しつつ、兄を探している。 左耳につけているイヤリングはとある人物に託されたもので、 彼のものではないが、随分と大切にしている。 火のクリスタルの欠片(のようなもの)は炎の攻撃から身を守ってくれる。 本名はノエシス。滅び行く世界では既に死亡している。 探している兄の名前はガーランド。
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ロウェル
年齢:20歳 髪の色:銀髪 瞳の色:紫 出身地:オンラク 属性:風 ジョブ:赤魔術士→赤魔道士 IS:とっておきの唄/SCARECROW
●性格 ブラコン。どんなときでもバーニィ優先。バーニィ命。 弟を守るためなら自分が傷つこうが死のうが構わないという困った人。 犬猿の仲であるロヴィーに対しては随分と好戦的。 嫌味を言い合える相手は彼にとって初めてだったので、 後半はむしろ楽しんでいたのかもしれない。 パーティーの食事係。 時々弟のためにお菓子やデザートなんかも作っている。 アイルの浪費癖に呆れ、途中から財布の紐を握るように。
●滅び行く世界 コーネリアに辿り着く前の記憶を失っている。 旅をするうちに徐々に記憶を取り戻し、最終的には浮遊城で記憶が蘇る。 記憶を失っていてもバーニィを想う気持ちに変わりはなかった。 そのことが彼にとって救いになっている。
●戦闘 黒魔法で攻撃したり補助に回ったりとその場に応じていろいろ。 剣の腕も中々だが、前へ出るとバーニィを守れなくなってしまう為、いつも後ろにいる。 リッチ戦ではバーニィを庇って重症を負った。 その後バーニィに泣きながら怒られたが、今でもその想いは変わっていない。 黒魔法の中ではブリザド系が気に入っているらしい。
●在るべき姿の世界 オンラクの町に生まれる。 父親が学者で、家にはたくさんの本がある。 幼い頃から本に囲まれて過ごしてきた所為か、趣味は読書。 魔物に襲われていたところをカーマイン=ミュンヘルに助けられ、彼を尊敬するように。 赤魔術士になったのも氷の魔法を好むのも彼の影響。 バーニィの両親が殺されたのは自分の所為だと思っているが、 そのことでバーニィに嫌われるのを恐れ、未だに伝えられずにいる。 風のクリスタルは「ミザレア」という女性から預かるという形で入手。 1年前に山へ行くと言って出て行ったきり戻らない彼女が 今も何処かで生きていると信じている。 帽子についている羽飾りも彼女からもらったもの。
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バーニィ
年齢:16歳 髪の色:癖のある金髪 瞳の色:空色 出身地:オンラク 属性:水 ジョブ:白魔術士→白魔道士 IS:リトルブレイバー
●性格 優しく思いやりがあり、白魔術士はまさに天職。 しかし命の奪い合いに強い抵抗を持っているため、 回復や補助はできてもアンデッド相手にディア系の魔法を使うことができなかった。 リッチ戦でようやく戦うことの意味を知り、大切な人達を守る為に戦うことを決める。 よく泣くしよく落ち込むし、運動神経もあまりよくない彼だが、 唯一「世界を救おう」という強い意思を持っている。 努力家の彼がいくら努力しても駄目なものは「料理」。 不器用ではないはずなのに、包丁を持つと手が血まみれになる。 現在ロウェルから包丁禁止令が出されているらしい。 たまに簡単な料理を作っているが、味見をしたアイルの口から魂が出たという噂。
●滅び行く世界 コーネリアに辿り着く前の記憶を失っている。 旅をするうちに徐々に記憶を取り戻し、海底神殿で記憶が蘇る。 ロヴィーとロウェルの口論が日常茶飯事なら、彼が止めるのもまた日常茶飯事。 旅の序盤は特に仲が悪かったので止める方も大変だった。 後半は険悪な雰囲気が薄れてきたため、些細な口論は見逃すことにしている。
●戦闘 回復・補助を担当。 序盤はほとんど後ろで守られていたが、リッチ戦以降は戦闘に参加。 クラスチェンジ後は「ホーリー」を習得し、皆を守る為にその力を振るう。 装備はハンマーではなく杖。 力や体力はあまりないが、その代わり魔法関連には優れている。
●在るべき姿の世界 オンラクの町に生まれる。 両親は医者だったが、彼が11歳の時に強盗に殺された。 その後、ロウェルの家に引き取られて一緒に暮らすように。 ロウェルとは幼い頃から家族ぐるみの付き合いで、本当の兄のように慕っている。 将来の夢は水の神殿に仕える白魔道士だったが、 世界を救う旅を終えた後ロヴィーと共に配達屋として世界を巡ることに。
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ざこば・鶴瓶らくごのご お題一覧 1992年 1 過労死・つくし・小錦の脂肪 2 一年生・時短・ニューハーフ 3 レントゲン・混浴・アニマル 4 ゴールデンウイーク・JFK・セクハラ 5 暴走族・かさぶた・バーコード 6 タイガース・母の日・入れ墨 7 目借り時・風呂桶・よだれ 8 しびれ・歯抜け・未婚の娘 9 ヘルニア・目ばちこ・フォークボール 10 造幣局・社員割引・オリンピック 11 父の日・猥褻・丁髷 12 ピエロ・ナメクジ・深爪 13 ミスユニバース・特許・虫さされ 14 魔法使いサリー・祇園祭・円形脱毛症 15 サザエさん・ジャンケン・バーゲンセール 16 ト音記号・北方領土・干瓢 17 妊婦体操・蚊帳・ビヤガーデン 18 身代わり・車だん吉・プラネタリウム 19 床づれ・追っかけ・男の涙 20 海月・肩パット・鶏冠 21 放送禁止用語・お年寄り・ピンポンパン 22 おかま・芋掘り・大人げない 23 復活・憧れ・食い逃げ 24 蒲鉾・風は旅人・半尻 25 泉ピン子・ヘルメット・クリーニング 26 美人姉妹・河童・合格 27 スカート捲り・ケツカッチン・秋の虫 28 チンパンジー・フォークダンス・いなりずし 29 稲刈り・小麦粉・フランス人 30 日本シリーズ・鶴瓶・落葉 31 クロスカウンター・学園祭・タクシー 32 付け睫毛・褌ペアー誕生・ツアーコンダクター 33 泣きみそ・ボーナス一括払い・ぎゅうぎゅう詰め 34 静電気・孝行娘・ホノルルマラソン 35 暴れん坊将軍・モスラ・久留米餅 1993年 36 栗きんとん・鶴・朝丸 37 成人式・ヤクルトミルミル・まんまんちゃんあん 38 夫婦善哉・歯磨き粉・夜更かし 39 金の鯱・オーディション・チャリティーオークション 40 ひ孫・いかりや長介・掃除機 41 北京原人・お味噌汁・雪祭り 42 視力検査・フレアースカート・美術館めぐり 43 矢鴨・植毛・うまいもんはうまい 44 卒業式・美人・転た寝 45 らくごのご・浅蜊の酒蒸し・ハットリ君 46 コレラ・さぶいぼ・お花見 47 パンツ泥棒・オキシドール・上岡龍太郎 48 番台・ボランティア・健忘症 49 長嶋監督・割引債・厄年 50 指パッチン・葉桜・ポールマッカートニー 51 同級生・竹輪・ホモ 52 破れた靴下・海上コンテナ・日本庭園 53 シルバーシート・十二単衣・筍 54 ぶんぷく茶釜・結納・横山ノック 55 睡眠不足・紫陽花・厄介者 56 平成教育委員会・有給休暇・馬耳東風 57 生欠伸・枕・短気は損気 58 雨蛙・脱税・右肩脱�� 59 鮪・教育実習・嘘つき 60 天の川・女子短期大学・冷やし中華 61 東京特許許可局・落雷・蚊とり線香 62 真夜中の屁・プロポーズ・水戸黄門諸国漫遊 63 五条坂陶器祭・空中庭園・雷 64 目玉親父・恐竜・熱帯夜 65 深夜徘徊・パンツ・宮参り 66 美少女戦士セーラームーン・盆踊り・素麺つゆ 67 水浴び・丸坊主・早口言葉 68 桃栗三年柿八年・中耳炎・網タイツ 69 釣瓶落とし・サゲ・一卵性双生児 70 台風の目・幸・ラグビー 71 年下の男の子・宝くじ・松茸狩り 72 関西弁・肉まんあんまん・盗塁王 73 新婚初夜・サボテン・高みの見物 74 パナコランで肩こらん・秋鯖・知恵 75 禁煙・お茶どすがな・銀幕 76 ラクロス・姥捨山・就職浪人 77 掛軸・瀬戸大橋・二回目 78 海外留学・逆児・マスターズトーナメント 79 バットマン・戴帽式・フライングスポーツシューター 80 法螺貝・コロッケ・ウルグアイラウンド 81 明治大正昭和平成・武士道・チゲ鍋 1994年 82 アイルトンセナ・正月特番・蟹鋤 83 豚キムチ・過疎対策・安物買いの銭失い 84 合格祈願・パーソナルコンピューター・年女 85 一途・血便・太鼓橋 86 告白・ラーメン定食・鬼は外、福は内 87 カラー軍手・放火・卸売市場 88 パピヨン・所得税減税・幕間 89 二十四・Jリーグ・大雪 90 動物苛め・下市温泉秋津荘・ボンタンアメ 91 雪見酒・アメダス・六十歳 92 座蒲団・蛸焼・引越し 93 米寿の祝・外人さん・コチョコチョ 94 談合・太極拳・花便り 95 猫の盛り・二日酔・タイ米 96 赤切符・キューピー・入社式 97 リストラ・龍神伝説・空巣 98 人間喞筒・版画・単身赴任 99 コッペン・定年退職・ハンドボール 100 百回記念・扇子・唐辛子 101 ビクターの手拭い・カーネーション・鉄腕アトム 102 自転車泥棒・見猿言わ猿聞か猿・トマト 103 紫陽花寺・豚骨スープ・阪神優勝 104 三角定規・黒帯・泥棒根�� 105 横浜銀蝿・他人のふり・安産祈願 106 月下美人・フィラデルフィア・大山椒魚 107 鯨・親知らず・ピンクの蝿叩き 108 蛍狩・玉子丼・ウィンブルドン 109 西部劇・トップレス・レバー 110 流し素麺・目高の交尾・向日葵 111 河童の皿・コロンビア・内定通知 112 防災頭巾・電気按摩・双子 113 河内音頭・跡取り息子・蛸焼パーティ 114 骨髄バンク・銀杏並木・芋名月 115 秋桜・ぁ結婚式・電動の車椅子 116 運動会・松茸御飯・石焼芋 117 サンデーズサンのカキフライ・休日出勤・ウーパールーパー 118 浮石・カクテル・彼氏募集中 119 涙の解剖実習・就職難・釣瓶落し 120 ノーベル賞・めちゃ旨・台風1号 121 大草原・食い込みパンツ・歯科技工士 122 助けてドラえもん・米沢牛・寿貧乏 123 祭・借金・パンチ佐藤引退 124 山乃芋・泥鰌掬い・吊し柿 125 不合格通知・九州場所・ピラミッドパワー 126 紅葉渋滞・再チャレンジ・日本の伝統 127 臨時収入・邪魔者・大掃除 128 アラファト議長・正月映画封切り・ピンクのモーツァルト 1995年 129 御節・達磨ストーブ・再就職 130 晴着・新春シャンソンショー・瞼の母 131 家政婦・卒業論文・酔っ払い 132 姦し娘・如月・使い捨て懐炉 133 立春・インドネシア・大正琴全国大会 134 卒業旅行・招待状・引っ手繰り 135 モンブラン・和製英語・和風吸血鬼 136 確定申告・侘助・青春時代 137 点字ブロック・新入社員・玉筋魚の新子 138 祭と女で三十年・櫻咲く・御神酒徳利 139 茶髪・緊張と緩和・来なかったお父さん 140 痔・恋女房・月の法善寺横丁 141 ひばり館・阿亀鸚哥・染み 142 初めてのチュー・豆御飯・鶴瓶の女たらし 143 アデランス・いてまえだへん(いてまえ打線)・クラス替え 144 長男の嫁・足痺れ・銅鑼焼 145 新知事・つるや食堂・南無阿弥陀仏 146 もぐりん・五月病・石楠花の花 147 音痴・赤いちゃんちゃんこ・野崎詣り 148 酒は百薬の長・お地蔵さん・可愛いベイビー 149 山菜取り・絶好調・ポラロイドカメラ 150 お父さんありがとう・舟歌・一日一善 151 出発進行・夢をかたちに・ピンセット 152 ホタテマン・深夜放送・FMラジオ 153 アトピッ子・結婚披露宴の二次会・おさげ 154 初産・紫陽花の花・川藤出さんかい 155 ビーチバレー・轆轤首・上方芸能 156 ワイキキデート・鹿煎餅・一家団欒 157 但空・高所恐怖症・合唱コンクール 158 中村監督・水着の跡・進め落語少年 159 通信教育・遠距離恋愛・ダイエット 160 華麗なる変身・遠赤ブレスレット・夏の火遊び 161 親子二代・垢擦り・筏下り 162 鮪漁船・新築祝・入れ歯 163 泣き虫、笑い虫・甚兵衛鮫・新妻参上 164 オペラ座の怪人・トルネード・ハイオクガソリン 165 小手面胴・裏のお婆ちゃん・ガングリオン 166 栗拾い・天国と地獄・芋雑炊 167 夜汽車・鳩饅頭・スシ食いねぇ! 168 長便所・大ファン・腓返り 169 美人勢揃い・雨戸・大江健三郎 170 親守・巻き舌・結婚おめでとう 171 乳首・ポン酢・ファッションショー 172 仮装パーティー・ぎっくり腰・夜更し 173 ギブス・当選発表・ちゃった祭 174 超氷河期・平等院・猪鹿蝶 175 コーラス・靴泥棒・胃拡張 176 誕生日・闘病生活・心機一転 177 毒蜘蛛・国際結婚・世間体 1996年 178 シナ婆ちゃん・有給休暇・免停 179 三姉妹・バリ・総辞職 180 家庭菜園・ピンクレディーメドレー・国家試験 181 ほっけ・欠陥商品・黒タイツ 182 内股・シャッターチャンス・金剛登山 183 嘘つき娘・再出発・神学部 184 金柑・恋の奴隷・ミッキーマウス 185 露天風呂・部員募集・ぞろ目 186 でんでん太鼓・ちゃんこ鍋・脳腫瘍 187 夢心地・旅の母・ペアウオッチ 188 (不明につき空欄) 189 福寿草・和気藹々・社交ダンス 190 奢り・貧乏・男便所 191 八十四歳・奥さんパワー・初心忘るべからず 192 お花見・無駄毛・プラチナ 193 粒揃い・高野山・十分の一 194 おぃ鬼太郎・シュークリーム・小室哲哉 195 くさい足・オリーブ・いやいや 196 ダイエットテープ・北京故宮���・細雪 197 若い季節・自動両替機・糞ころがし 198 おやじのパソコン・なみはや国体・紙婚式 199 降灰袋・ハンブルグ・乳首マッサージ 200 雪見酒・臭い足・貧乏・タイ米・コチョコチョ・雷・明治大正昭和平成・上岡龍太郎・お茶どすがな・トップレス(総集編、10題リレー落語) 201 夫婦喧嘩・川下り・取越し苦労 202 横綱・占い研究部・日本のへそ 203 マオカラー・海の日・息継ぎ 204 カモメール・モアイ・子供の事情 205 ありがとさん・文武両道・梅雨明け 206 団扇・ボーナス定期・芸の道 207 宅配・入道雲・草叢 208 回転木馬・大文字・献血 209 寝茣蓙・メロンパン・初孫 210 方向音痴・家鴨・非売品 211 年金生活・女子高生・ロングブーツ 212 エキストラ・デカンショ祭・トイレトレーニング 213 行けず後家・オーロラ・瓜二つ 214 金婚式・月光仮面・ロックンローラー 215 孫・有頂天・狸 216 雪女・携帯電話・交代制勤務 217 赤いバスローブ・スイミング・おでこ 218 参勤交代・ケーブルカー・七人兄弟 219 秋雨前線・腹八分・シルバーシート 220 関東煮・年賀葉書・学童保育 221 バンコク・七五三・鼻血 222 ホルモン焼き・男襦袢・学園祭
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%96%E3%81%93%E3%81%B0%E3%83%BB%E9%B6%B4%E7%93%B6%E3%82%89%E3%81%8F%E3%81%94%E3%81%AE%E3%81%94
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俊樹五百句
虚子の「五百句」と対峙したい。虚子はそれを五十年ほども掛けたが、この作句期間は一週間に過ぎない。出来不出来以前にこの名著なる存在と対峙したかった。俳句の存在意義だけがこの試行錯誤の源である。短い人生である、我が愚行を是非批評して頂きたい。
坊城俊樹 令和4年8月
弔ひの夜に横たはる暑き襤褸 浮浪者の襤褸に星降る夜となりぬ 弔ひの夜の白服なる異形 弔ひの杖に樹海の町暑し 浮浪者の眠る窓とて朧なる 夏の灯のまたたき琴座鳴るといふ 幽霊や露台に支那の戦没者 幽霊���招く小路の風死せり 夏の路地女幽霊絢爛に 星の降る夜へ英雄の霊かぎろふ
国士無双あがる男へ星流れ 夏の夕遺族は骨を探索す 夏夕べ黒き連鎖の遺族たち 遺族らは夜より黒し星流れ 哀しさは真夏の盆へ地震きたる 地震の町に吠える家守の夜でありし 恋人も濡れる家守の夜となりし 母死して星も死すてふ家守の夜 家守らの目の爛々と星見上ぐ 家守らに昭和の記憶ありにけり
金色の家守は母の野望とも 父がつけし渾名の犬へ星流れ 大蛇の我が天井を護りたる 姫蛇の碑へと真夏の夜の夢 蛍火に意思といふものありにけり 山泣くも山笑へるも蛍へと 犬死して総理も死して蛍へと 一億の蛍の一つ死してをり ほうたるの火に照らされて万華鏡 ほうたるの乱舞を待てる半旗かな
火蛾ひとつ火焔の中を舞うてをり 蛍来る夜は両親へ星降る夜 死ぬ匂ひして晩年の蛍籠 怪しげな教会へ入る蜥蜴かな 万華鏡の色の蜥蜴や月を追ひ 猊下そは百歳に死し蜥蜴また 猊下死す百一の星流る夜を 猊下逝く蜥蜴は天の星仰ぐ 猊下逝く十の契りを夏の夜に 総理逝きしばらく夜の火蛾として
猊下逝く祇園の夏の夜の契り 星流る方へ杖つき神楽坂 夏の夜の三味の灯しは籠もらざる 懇ろに幽霊を待つ簾上げ いつも見てゐて見てゐない裸かな 貪りて夜の怨霊の裸とも 風通す裸の窓をすべて開け 恩讐もある傷跡の裸体とも カンバスに幾何模様なる裸体 日当たるとやはらかくなる裸体かな
陰翳の裸の体囁ける 因果なる裸体を褒めてゐて死せり 裸体なる女カオスの縮図とも 茅舎忌の我を白痴と思ふかな ヌードデッサンせんと孤高の茅舎の忌 茅舎忌といふ忌まはしき忌なりけり 俳壇に生けるも死ぬも茅舎の忌 茅舎忌の猿股を日に干してあり 金剛の露現今の茅舎ゐて 口唇に薬挿し入れる茅舎の忌
河童忌の屋根に墜ちたる龍之介 河童忌といふ祝祭のやうなもの 蚕豆に天使の翼ありにけり 蚕豆の妻の故郷はカタルーナ 蚕豆といふ処女作のやうなもの 蚕豆を剥き深緑やや遺憾 蚕豆の筋のあたりを背骨とも 蚕豆のやうな赤子を授かりし 蚕豆とは一卵性双生児 バンクシーの絵は白黒に夜の秋
我が瞳孔まもなく朽ちて夜の秋 丑三つのマンゴーゆつくり熟すなり 丑三つの蜘蛛透明な糸を吐く 斬られる待つ丑三つの熟柿かな 愚かなる夢の中なる熱帯夜 しづかなる女の舐める熱帯夜 黒蛇が白蛇を呑む熱帯夜 括れざる腰振る真夜の熱帯を 母さんが父さんを呑む熱帯夜 口唇を襞と思へる熱帯夜
熱帯夜朱き口唇とて腐臭 熱帯夜とはずぶ濡れの吾子の夢 峠路に幽霊を待つ月見草 裏切りの美人薄命月見草 月光やちやん付けで呼ぶ影法師 月見草火星より木星が好き 月見草路地の子やがてゐなくなる 星の降る夜はひとつきり月見草 月見草恐らく祖母は浮気した 新婚の路地の匂へる月見草
日覆を立てる穴とて深淵に 日覆のおほひて赤子腐敗せり ビルよりも高き日除けを立てにけり 男一人日除けを出でず老いにけり 裸族らし我が家の下の夫婦かな 裸にて人に逢ひたく皮を脱ぐ しづかなる蛇しづかなる自死をせり 蟻と蟻獄を出でたる如出逢ふ 灯の蟻といふ見当たらず羽蟻とす あの蛇を保育園へと見失ふ
青条揚羽より高き蝶のなき 金輪際黒筋揚羽見失ふ 黒揚羽より正装の男かな 瑠璃揚羽祖父の遺墨を飛び立てり 暑き電線暑き電線と出逢ふ とぐろ巻く蛇地境を管理せり 大いなる物の崩れががんぼの死 青き星流れて白き星流れず 蟷螂と格闘をして日記とす 暁に麦飯を食ふ祖父の髭
亡霊が炊いた麦飯吾れのため 麦飯の茶碗に描くただの柄 麦飯に卵二つの豪華さよ 麦飯を母は嫌がり父も嫌がり おばQを見て麦飯を食ふ至福 箸は茶で洗ふ麦飯たひらげて 麦飯を父は食はずにバタを食ふ 麦飯といふ軍縮のやうなもの 麦飯にのりたまかけて邪気かけて 仏教にあらず神道麦飯を食ふ
麦飯を御霊に捧ぐことならず 麦飯で鉄腕アトム見てをりぬ 昭和三十六年の麦飯豪華なり 麦飯といふ神道のやうなもの 瑠璃鳴くや御霊のやうな声溢れ 神域を歌へる瑠璃のすきとほる 殉職の御霊へ瑠璃の鳴きにけり 銃弾に斃るるときに瑠璃鳴けり 天照大神きて瑠璃鳴かせ 天辺の虹の上より瑠璃鳴けり
虚子とのみ彫られし墓へ瑠璃鳴けり 坊城家六代目へと瑠璃鳴けり 勾玉の青のひとつは瑠璃の声 瑠璃何か喩へてみれば金剛に 夏燕折り返し来る消防署 三次元を四次元に斬る夏燕 生れ替るなら岳麓の夏燕 青空を巻き込んでゆく夏燕 夏燕鏡を斬りてさかしまに 天辺に仏来給ふ朴の花
朴の花白く翳りて懇ろに 朴の花の中に釈迦尊をらざりき 虎尾草に毛並のありて逆立ちて 虎尾草の揺れて待ちたる未通女かな 金輪際虎尾草と縁切ると言ふ 虎尾草の先くねくねと蠅を追ふ 梧桐に影といふもの濃かりけり 樹海めく梧桐たちに迷ひたる 梧桐を仰ぐ超高層仰ぐ 梧桐の葉とは天狗の団扇かな
梧桐やブランコは立ち漕ぎ続け 梧桐の翳に不良の��草吸ふ 梧桐に青春である疵を彫り 梧桐の伐られ虚空の天となる 山笠の波動花鳥子より届く 山笠の句の勇壮な波動来る 山笠に恋といふものありにけり 博多つ子純情の夏なりしかな 山笠の日と生誕の日と隣る 純情の山笠に夢馳せてをり
山笠に天神颪とは来たり 金亀虫裏返りたる真夜の褥 黄金虫夜を引き摺りて灯へ入りぬ 灯に入手夜の帝国の黄金虫 羽蟻の夜玻璃にべたりと都市の闇 羽蟻翔ちお日様に溶けなくなりぬ 子を捨てし母は戻らぬ羽蟻の夜 羽蟻の夜金輪際の父は帰らぬ 羽蟻の夜弔問はなほつづきをり 茅舎忌の卍となりて日章旗
露の世へ消ゆる人あり茅舎の忌 茅舎忌の夜が流れてしまひたる 隻眼が見えなくなりぬ茅舎の忌 龍子の絵どこか稚拙な茅舎の忌 茅舎忌の流れ流れて星ゐない 吾妹子の胸やはらかき虎が雨 吾妹子の海へ尿する虎が雨 煙草屋もとうに死に絶え虎が雨 土用波恋愛はもう星屑に 岬越え来る土用波白々と
土用波いよよ怒濤となり崩れ 子が一人攫はれてゆく土用濤 土用濤灯台を越え来たりけり 元総理死にて土用の波濤へと 波怒濤土用の夜の人攫ひ 伝説の出水川とはこの小川 子を攫ひ妹を攫ひて出水川 出水川と記憶流れて悪夢とも 出水川恋の破綻も流しゆく 虚子塔に人来ぬ日なる最澄忌
最澄忌千日回峰終るころ 叡山は星の降る夜の最澄忌 叡山をさ迷ふ夜の最澄忌 最澄の忌の極楽の湯舟かな 最澄忌灯す頃の先斗町 祇園にて猊下と酌みし最澄忌 萍の隠沼として河童棲む 萍を髪に見立てて河童立つ 萍の茂り月光留めたる 妖精が腰掛けてゐる蛭蓆
丑三つの月光にある蛭蓆 優曇華へ星やさ��くて月やさし 優曇華のいのち揺らぎて月を待つ 儚きは優曇華の茎なりしかな 優曇華にいのちあかりの灯せり 優曇華に神降臨すひとつづつ 母死して優曇華の情なしとせず 優曇華へ言葉少なき真夜の人 ケルン積む星降る夜となりしかな ケルン積む大岩壁と対峙して
ケルン積むひとつひとつに女の名 行李から恐らく祖父の登山帽 恋をして山登りして死に逝けり ロッククライミングの刹那あの夏を しづかなる人しづかな死夜の秋 夜の秋幽霊ももう寝静まり 恋をして失恋をして夜の秋 瞳の奥の闇へと星の流れゆく 星の降る中に月降る夜の秋 蟻ひとつ彷徨うてゐる夜の秋
死顔の威厳なるかな夜の秋 曾祖父も祖父も今宵は夜の秋 星ひとつ艶然とある夜の秋 夜の秋網膜剥離みたいな灯 羅を着て恋などに惑はされず 浴衣着て金魚の柄を泳がせて 羅を着て老いらくの恋をせむ 羅に序破急といふ恋のあり 妙齢は達磨柄なる浴衣着て 浴衣着て恋に窶れてしまひけり
祖父と祖母らし残像の藍浴衣 羅の包んでをりぬ裸体かな 羅の包み適はぬ恋をして 浴衣着て恋の乳房となりしかな 浴衣着て恋人と逢ふ浜の路地 羅を着て蝮酒召し上がる 浴衣の子星とおしやべりしてをりぬ 後ろ手に団扇はさんで恋浴衣 白兎波間に跳ねて卯波くる 人死して星の卯波となりしかな
卯波寄す森田愛子の臥所へと 九頭竜の卯波漣ほどのもの 夏の波真砂女の卯波とぞなりぬ 月光が卯波流してをりにけり 滴りの金銀の粒金剛に 滴りに輪廻転生ありにけり 滴りて岩壁となる日本海 東京スカイツリーの天辺滴りて 滴りて浅草線の三ノ輪駅 ゆつくりとしづかに歩む蛇ひとつ
蛇の夢見てその蛇を見てをらず 蛇酒といふ極楽の中に死す 滴りの岩壁を行く数学教師 滴りの後ろ姿の女体山 蛇女邪心となりて星流れ 蛇ふたつ絡んでをりぬ月光に 蛇絡みつつ愛欲の中にあり 権現の無数の蛇の降る社 炎帝の統べるままなる総理の死 炎帝へ斬首の鴉羽ばたけり
炎帝いま月の裏側焼きにけり 炎帝といふ今生の大宇宙 勲一等正一位なる墓灼けて 勲一等の軍馬の墓は緑蔭に 暗夜行路書きし墓とて茂り中 暑き固き墓石の如き絵画館 イザベラの墓に彫られし薔薇香る 銀杏並木の緑蔭もとんがりて 茂りてはいつも探せぬ乃木の墓 坊城は俊ばかり付く墓涼し
殉教の墓へマリアの南風吹く 寝棺そのものを横たへ夏の墓 緑なる線対称の銀杏かな 八月の面対称の絵画館 サンドレスとは青山のあつぱつぱ 青山の墓みな灼けて無言なる 夏日燦超高層といふ墓標 無機質の超高層を旱とも ソファーめく茂吉の墓へ夏蝶来 茂吉いま夏蝶となり利通へ
墓に挿す供華も明日より秋薔薇 秋の蝶クルスの墓を懇ろに 夏果てて石より重き絵画館 緑蔭のハチ公の墓何処なり ハチ公の供華はおそらく水羊羹 異国なる地下に眠りて薔薇の墓 夏の蝶マリアの指に触れてより 喪主だけが半袖で乗る霊柩車 蟬の音は聞かず真昼の野辺送り 蟬死して蝙蝠ばかり飛んでをり
蝙蝠は帰る逆さになるために 蝙蝠の裏切る音を聴いてゐる 蝙蝠も消え失せグリム童話の夜 めまとひはめまとひとして囁けり めまとひは無責任なる大家族 婆の眼の脂にめまとひ親しめり めまとひを払ふ多情の口を閉ぢ めまとひの中を葬列続くなり 朱烏夏の夜の夢覚めし頃 茅舎忌の月光ことに夢を食ふ
茅舎忌の虫の音といふ哀しけれ 茅舎忌のシュミーズは幽霊の自慰 そこはかとなく隠微なる茅舎の忌 キリストと生きる男へ茅舎の忌 茅舎忌に金子みすずを読んでをり 白鼻心白夜の夢を見てをりぬ おぼこ今白夜の夢を見てをりぬ 白夜とは神の数だけありにけり 熊に似る男涙の炉辺話 雪女帰らず解けてしまひたき
金輪際なき眼光の鯖を食ふ 鯖を食ふ恋愛をした夢を見て 銀色に無限のありし鯖を食ふ 恩讐の臭みの鯖を食ふ女 鹿島灘あたり怒濤や鯖を食ふ 鯖を食ふ女臀部を揺らしつつ 鯖を食ふ潮の香りを煮てをりぬ 黒潮を炊いて鯖煮となりしかな 鯖食ひ男鯖食ひ女淫靡なる 鯖食うて惜別の情無しとせず
我が生の金輪際の虹に逢ふ 虹死して首都凡庸の空となる 奈落より虚子の墓へと虹の橋 蚊柱となりて青山墓地を舞ふ 吾妹子の子宮男の子を生みにけり 我が家より大いなる虹架かりけり 苔の花とは妖精の小さき眼 苔の花喋るぺちやくちやぺちやくちやと 苔の花海に流れてしまひさう 我が生も淋しからずや苔の花
大漁の夜の纜に苔の花 苔の花阿呆の黄色楽しくて 苔の花金輪際の生にあり 苔の花哀しくなれば咲いてをり 苔の花苔を大地として咲けり 苔の花の夜は近づく大宇宙 未熟児に産まれる人へ苔の花 そよぐことなき苔の花小さすぎ 流星と同じ色して苔の花 苔の花咲きて天動説となる
苔の花影といふものありにけり 囁きの夜に閉ぢたる苔の花 河童忌を星の吹雪と思ふなり 河童忌の蛇口ひねれば湧いてをり 河童忌に砂糖を舐める女あり 河童忌のしんがりの児は引き込まれ 河童忌にベートーベンを聴いてをり 河童忌を皇后陛下畏くも 河童忌の童は杓子定規かな 怒濤とし童押し寄せ河童の忌
滴りて山又山を濡らしをり 絵画館の壁の隙より滴れり 夏の水汲み元勲の墓域へと 滴りに栄枯盛衰ありにけり 滴りて富嶽をすこし潤せり 滴りに奈落といふは先のこと 滴りてゆつくり濡れてをりにけり 滴りて巌の命を疑はず 幻か滴る先に河童の子 滴りて四国三郎ありしかな
蟻ひとり穴ひとつあり佇みぬ 増上寺国葬にあり蟻ひとつ 群衆の蟻群衆の蟻に逢ふ 山蟻の威厳の黒に死してをり 黒蟻と赤蟻言葉交さざる 蟻ひとつ地下迷宮を出で来たる 蟻塚に蟻の声のみ充満す 蟻塚の掘りたての土匂ふなり 蟻地獄静謐といふ美しき あとづさりして身を隠す臆病に
岳麓へ行者道めく蟻の道 蛾の破片ゆらゆら運ぶ蟻の道 ビール飲む眉間に皺を寄せながら 麦酒飲むますます法螺を吹きながら 白魚のやうな指もて麦酒注ぐ 我が世とぞ思ふ望月の麦酒かな 麦酒のむいつか焼かれし喉仏 女ひとり化粧濃くして黒麦酒 蛇苺姉の我が儘永遠に 蛇苺庭に埋めし金魚へも
侯爵の墓の片隅蛇苺 蛇苺男鰥の庭の恋 山笠の西の便りを句に乗せて 博多つ子純情いまも山笠に 山笠の男だらけの怒濤なる 傀儡の関節錆びて夏の雨 白雨きて蛍光灯の切れかかり 関節はぎしぎし老ゆる夏の雨 飴玉が降る音のして夏の雨 連続の数珠の音して夏の雨
夏の雨身の内の獅子唸るなり 旋律はボブマーリーに似て夏の雨 戦後すぐ膣より産まれ夏の雨 白雨きてボサノバの雨合体す 白雨きてコーラの壜の女体めく おそらくは黄泉の国とて夏出水 夏出水遺品の遺書の何処へと 高貴なる神に押し寄せ夏出水 最果ての鵺の夜へも夏出水 土用波七里ヶ浜で祖父に抱かれ
土用波みたいな嬶の乳房かな 柏翠の療養所へと土用波 土用波森田愛子の身の内へ 土用波虚子と愛子の物語 髪洗ふ乳房の先を湿らせて 髪洗ふ妬み嫉妬を流すとか 女百態懇ろに髪洗ふ 髪洗ふ幼き頃の金盥 あんな女に嫉妬して髪洗ふ 犬洗ふ即ち犬の髪洗ふ
昼寝して夢の合戦破れたり 元首相撃たれし頃の大昼寝 夜よりも昼寝彼の世に近かりし 貪るは蛸か女体か昼寝覚 昼寝して夜には死んでをられたる 昼寝覚女百態消失す 昼寝覚地獄の釜を押し上げて 昼寝覚一年損をした気分 昼寝して虚子と話をして戻る 昼寝覚范文雀と別れ来て
蝙蝠の彼の世此の世と飛翔せり 蚊食鳥煙のやうなる蚊を追へり 蚊食鳥夕焼け小焼けの唄に乗り かはほりの逆さに夢を見る昼間 かはほりに迷子探してもらふ夕 蚊食鳥夜の女は出勤す かはほりは街の電波と交錯す 蚊食鳥幼稚園児はもう家へ 友人の納骨を終へ蚊食鳥 学習院初等科の上蚊食鳥
あぢさゐの萎れし夕べ蚊食鳥 かはほりと月と金星置きどころ 青林檎みたいな乳房持つ少女 青林檎囓る気もなく接吻す 青林檎真夏の夜の夢の中 昭和とはヌード写真と青林檎 麗人の口怖ろしく青林檎 漆黒の夜は青ざめて青林檎 青林檎堅しと思ふ瑪瑙より パテイーデュークショーを観ながら青林檎
青林檎がさつな漢の手に堕ちる 夏の夜の夢とはならず老いゆけり 夏の夜の罪ある墓標御影石 唇は濡れて真夏の夜の夢 夏の夜のネオンサインはジジと切れ 漆黒の真夏の夜の夢となり 入れ墨の夏の女を持て余し 金魚玉夜に入る頃の小宇宙 絢爛の金魚は恋をしてをりぬ 絶縁の夜に浮きたる金魚玉
和服着て振り袖���振る金魚かな 勲一等正二位の飼ふ金魚かな 飛魚の飛んで越え行く隠岐の島 隠れキリシタン飛魚となり戻りけり 飛魚の流刑の島を飛び越えて 炎帝に見つからぬやう昼に寝る 日輪が炎帝をまた拐かす 炎帝に翳といふものありにけり 白日夢とは炎帝が司る 炎帝が紛れ込んだり夢の中
盆栽といふ炎帝の置き土産 炎帝も銀河の裾の一部分 我が霊も炎帝となり銀河へと 観音の笑みて溽暑を遠ざけて 観音の炎暑の唇を赤しとも 陽炎へる陽子の墓や禁色に 墓の苔とて万緑の一部分 観音の胸乳あたりへ夏の蝶 五輪塔とは緑蔭のただの石 乾きたる稲毛氏の墓とて旱
一山の万緑なだれ年尾句碑 薔薇咲かせ流行り遅れの服を売る 昔から麦酒が好きな人の墓 蛍光灯切れかかりゆく夏の果 夏行くや皆んな貧しき灯して 人を待つ心にも似て夜の秋 涼しさの雨の粒とは淋しくて 街の灯の蒼く点りて夏の夜 灯して何読むでなき夜の秋 夜の秋義兄は生れ替りしや
涼しさの夜の灯の鈍色に 堕胎の子いつも走りて汗哀し 夏逝くや雨の音符の翳色に 夜の秋眼の衰への文字歪む 夜の秋炎集めて住む川原 夜の秋己れ空しく酒を飲む 涼しさの夜雨の音の蓄積す 涼しさは恨みに似たり灯を消せば 幽霊坂うすむらさきの夜の秋 幼稚園死んだ子が居る夜の秋
夜の秋やがて孤独の誕生日 蛍光灯切れかかりゆく死者の秋 老いてなほ秋めく恋の行方かな 新涼の飴の色とは濃紫 秋めきて失恋をする七回目 新涼の鏡に映す吾の死顔 頭痛して秋めく我の髑髏 新涼の驚き顔となりし天 新涼の犬に哀しき堕胎過去 八月の女ものものしく太り
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独断で編集する、「RED」視聴のためのワンピース知識
※知り合い用です
※自分自身wiki知識マンなので誤りがあるかもです。
●登場人物
○麦わらの一味 主人公「麦わら」ルフィを船長とする一団。
・モンキー・D・ルフィ 説明不要の主人公。奔放な性格で自由を愛する。悪魔の実「ゴムゴムの実」の能力者で、ゴムの能力を多彩に活かした戦闘を得意とする他、「覇気」も身に着けており能力と組み合わせて使うこともある。最近破竹の勢いで勢力を伸ばしており、「四皇」と並び称されるほどになっている。
・ロロノア・ゾロ 「麦わらの一味」ナンバー2。二刀流に加え口に加えた刀で「三刀流」を使う剣豪。サンジとは反りが合わない。
・ナミ 「麦わらの一味」航海士。超グラマラスで金にがめつい。天候を操る術で戦う。
・ウソップ 「麦わらの一味」狙撃手。お調子者だが小心者。狙撃の達人であり、「見聞色の覇気」も使いこなす。父ヤソップに憧れている。
・サンジ 「麦わらの一味」コック。料理の腕は超一流。大の女好きですべてのレディを愛する男。炎を纏ったキックで戦う。
・トニートニー・チョッパー 「麦わらの一味」船医のトナカイ。かわいい。「ヒトヒトの実」の能力で様々な姿に変形して戦う。
・ニコ・ロビン 「麦わらの一味」考古学者。超グラマラス。頭脳に秀でていて、古文書の解読などもできる。「ハナハナの実」の能力で離れた場所に手や足を生やして戦う。
・フランキー 「麦わらの一味」船大工。改造した自分の体で戦うスーパーな変態。
・ブルック 「麦わらの一味」音楽家。「ヨミヨミの実」で蘇った骸骨。一時期一世を風靡する歌手だった。居合の達人であり、パンツを見たがる助平でもある。
・ジンベエ 「麦わらの一味」操舵手。「魚人」という種族。仁義に厚い。空手・柔術の達人。
・サウザンドサニー号 麦わらの一味の船。でかい。
○赤髪海賊団 四皇「赤髪のシャンクス」を頭に据える海賊団。一時期ルフィの故郷を拠点としていた。
・シャンクス 通称「赤髪」。「四皇」の一角で、義に厚い海賊。ルフィの憧れの人であり、麦わら帽子の元の持ち主。ルフィを救うために片腕を犠牲にした過去がある。剣技と「覇王色の覇気」の達人で作中トップクラスの実力者。ストーリーの最重要人物だが、最重要すぎて出番が少なく謎も多い。
・ヤソップ 「赤髪海賊団」狙撃手。ウソップの父親で、ある日突然ウソップを置いて旅立った。天才的な狙撃の腕と「見聞色の覇気」を持つ。
・ほか赤髪海賊団の皆さん シャンクスの仲間たち。明るく陽気な奴らだが、仲間を傷つける相手には一切容赦せず、そしていざ戦うと超強い。「覇気」の達人が多い。
○他の海賊団 ・トラファルガー・ロー ハートの海賊団船長。ルフィの同盟相手。ルフィからは友達だと思われている。「オペオペの実」の能力者でいろいろ便利なことができる。
・ベポ ハートの海賊団航海士。ミンク族という種族で、白熊の外見。
・バルトロメオ バルトクラブ海賊団船長。ルフィの狂信者。「バリバリの実」の能力で強力なバリアが張れる。
・シャーロット・リンリン 通称「ビッグ・マム」。ビッグマム海賊団船長で「四皇」の一角。お菓子が大好きで、気に入ったものは手に入れないと気がすまない性格。めちゃくちゃ強い。麦わらの一味とも戦ったことがある。
・シャーロット・ブリュレ ビッグ・マムの娘。お兄ちゃん大好き。美人が大嫌い。「ミラミラの実」の能力者で、鏡世界を移動できる。
・シャーロット・オーブン ビッグ・マムの息子。「ネツネツの実」の能力者。
・シャーロット・カタクリ ビッグ・マムの息子。「モチモチの実」の能力者で、見聞色の覇気の達人でもある。めちゃくちゃ強い。
○世界政府 世界の国の大半が所属する組織。「五老星」「天竜人」を始め上層部には怪しい人間も多い。
・五老星 世界政府の一番偉いおっちゃん達。シャンクスと密談したことがある。
・ロブ・ルッチ CP(サイファー・ポール)0という諜報機関の一員。ブルーノやカリファとともに、麦わらの一味とも一度戦ったことがある。
・ブルーノ CP0の一員。触れたものや空間をドアにして瞬間移動できる「ドアドアの実」の能力者。
・カリファ CP0の一員。美人秘書官。
・チャルロス聖 「天竜人」。すごい権力の持ち主だがゲボカスみてーな性格。
○海軍 「世界政府」の擁する武力。海賊達や不穏分子に対処するため、強力な海賊とも張り合えるだけの力を持つ。
・赤犬(サカズキ) 海軍元帥。正義のためなら過激な手段も辞さない性格。
・黄猿(ボルサリーノ) 海軍大将。剽軽で掴みどころがない性格。「ピカピカの実」の能力者で全身を光に変えて行動することができる。
・藤虎(イッショウ) 海軍大将。座頭市みたいな戦闘スタイル。仁義に厚い。
・コビー 海軍大佐。正義感の強い若者。「SWORD」という特殊部隊の一員で、「ロッキーポート事件」を収束に導いた英雄として知られている。ルフィの古い友達であり、海軍にありながらルフィを尊敬している。
・ヘルメッポ 海軍少佐。ルフィやコビーとは色々あったが、今はコビーの相棒。
●用語
・海賊 海のあらくれ達。「麦わらの一味」や「赤髪海賊団」のように、一般人に積極的に危害を加えないものもいるが、大半は現実の世界と同じく、圧倒的な力を背景に弱者を踏みにじることを厭わない輩達。
・大海賊時代 海賊王「ゴールド・ロジャー」が処刑された後、彼の莫大な遺産をめぐり始まった、数多の海賊たちが相争う混沌の時代。
・悪魔の実 不思議な植物の実。食べると超人的・個性的な能力を得るが、代わりに一生泳げなくなる。海の中では基本的に能力が使えない。
・覇気 気合パワー的なもの。類まれな実力者にしか使えない。大まかに3種類に分かれる。
・武装色の覇気 攻撃力や防御力を高める覇気。使うと、体の場所が黒くなったりする。極めると「悪魔の実」の能力に関係なくダメージを与えたりできる。
・見聞色の覇気 感覚を強化する覇気。極めると、遠くの相手の存在を感じたり、他人の心や視点を読んだり、未来を予知したりと人それぞれ多彩な力を発揮する。
・覇王色の覇気 覇気の中でもさらに限られたほんの一部の強者しか使えない技。ぐわっと威圧するだけで弱い相手を気絶させることができる。
・電伝虫 電波を使って意思疎通する不思議なカタツムリ。作中では捕獲・改造され人々の通信手段として用いられることもある。
・四皇 海賊の中でも頂点に位置する最強の称号。「赤髪」シャンクスと「ビッグ・マム」シャーロット・リンリンはこの称号を持つほか、「麦わら」モンキー・D・ルフィもこれに並ぶと称されている。
・天竜人 世界政府の成り立ちに関わると言われる貴族。「神」と自称・他称されており、どんな傲慢なわがままを言っても(海賊すら含めた)誰も逆らえない圧倒的な権力を持つ。天竜人に逆らうと、世界政府がありったけの海軍武力を率いて報復を行うといわれる。
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囚われた竜がいる街
昔々、あるところに囚われの竜がおりました。海の底のような紺碧の瞳を持った、とても大きな黒い竜でした。その竜は城壁に囲われた街の真下にある陽の光も届かぬ地下空洞で、鎖に繋がれて囚われておりました。 どうして囚われているのか、その街の人々にはわかりませんでした。なぜならその竜が囚われてからすでに何千年もの時が過ぎてしまって、誰もが竜を捕らえた理由を忘れてしまったからです。でも一つだけ伝わっていることがありました。それは「この竜を逃がしてはいけない」という言い伝えでした。どうしてなのか、どういう経緯なのか、何一つわからないけれど、この竜を逃すな。それが竜が囚われた街に住む人々の決まり事でした。 ある日、一人の子供が竜に供物を捧げに来ました。竜に供物を捧げることは、この街においては神さまに祈りを捧げることと同義でした。 やって来たその子供は菫色の髪を帽子に押し込めた、黄金の瞳を持った少年でした。見るものすべてを暖かく照らし出すように、少年の瞳は太陽の輝きを内側に宿していました。少年はその瞳で竜を見ると少しだけ悲しそうな顔をして大切に抱えていた一輪の薔薇を、そっと冷たい地下の地面に置いて竜に捧げました。竜はその様子を青い瞳で眺めていましたが、それだけです。もう何千年と松明と蝋燭の灯りだけで照らされる暗くて狭い地下空洞にいるのですから、竜はほとんど眠ったようになっていて反応らしい反応を示すことはなかったのです。少年はそのままじっと竜を見つめていましたが、半刻ほど経つともと来た道を名残り惜しそうに帰っていきました。 竜の前には、ありとあらゆる供物が捧げられていました。世界中から集められた珍しい絹の織物や不可思議な香料に、華美な装飾が施された箱いっぱいに収められた眩い宝物の数々。角と体格が立派な雄々しい闘牛に、どの馬よりも速く戦場を駆ける駿馬。天国に一番近いと謳われる南方の島々から取り寄せた極彩色の鳥と花々。そして極めつけは艶やかに着飾った見目麗しい生きた人間。 竜に捧げるものの価値が高ければ高いほど、願いが叶うと言われていたため竜の前には本当に色々なものが折り重なっておりました。けれど、どれも竜の瞳に映ることはありません。竜は遥か昔からずっと、重い鎖に蝕まれた微睡みの中で何も見ず何も感じず、ただ長い時をこの地下で生きているだけでした。死んだような生。だからこそ、竜の瞳に何かが映ることはなかったのです。 数日後、再びあの少年がやって来ました。今日も胸元に一輪の薔薇を抱え、それをそっと竜の前に置きます。祈ることもなければ、願いを語ることもなく、少年はただただその黄金の瞳で竜を見つめて、そしてまた名残り惜し気に帰っていきました。 そんなことが何度か繰り返されたある日、少年はいつものように薔薇と共に竜のもとへとやって来ました。薔薇を地面に置き、竜を見つめる。それはこれまでと何ら変わりない行動でした。けれど、今日はそのあとに続きがありました。 少年は一歩、踏み出しました。いつもはまるで見えない壁でもあるかのように捧げた薔薇より向こう側には行かなかった少年が、その壁を越えて竜のもとへと歩みます。目も眩むような財宝と、かつてそれはそれは誉れ高い栄誉に浴したであろう何かの死骸の合間を、誘われることもなければ臆することもなく突き進んで少年は竜のそばへと向かいました。そうして、ようやく供物の山々を越えて辿り着いた先で少年は竜に触れました。 触れた掌から、竜のぬくもりが伝わってきました。それはとても低い温度でしたが、確かに生きている温かさでした。滑らかな黒い鱗から伝わる、人間の体温よりも低いそれ。けれど、少年を安心させるには充分なぬくもりでした。 少年は何度も竜の鱗を撫でては、愛おしそうに眼を細めました。そうしていつもよりもずっと長い時間、そうやって竜を撫でて過ごしました。まるで壊れ物に触れるように少年は竜に触れていました。触れるうちに少年の指先は冷たくなってゆきます。少年よりも竜の体が冷たいせいでした。冷え切った鉄に触れると体温が奪われてしまうのと同じ原理です。しかし少年は、自分の体温が冷たい竜の体に奪われて馴染んでゆくことがとても喜ばしく思えました。自分の一部が、それがたとえ体温だとしてもこの美しく雄大な生き物の一部になっている。そう思うと、少年は嬉しくて仕方ありませんでした。 その日以降、少年は薔薇を捧げた後は時間が許す限り竜を撫でました。鱗は黒く艶やかで、けれど透かして見ると限りなく透明な不思議な色合いを持っていました。そんな鱗に覆われた竜の巨体に時には頬を寄せ、時には両手で抱きしめて少年は竜に触れ続けました。 そうして月日は流れ、少年は一人の立派な青年へと成長しました。帽子に押し込めていた菫色の髪は獅子の鬣のように豊かに長く伸び、風に靡くと紫炎が揺れ燃えている様を彷彿とさせます。か細い苗木のようだった体は逞しく育ち、まるで昔の神々を刻んだ彫刻がそのまま生きて歩き出したようでした。顔立ちには幼かったころの面影���ありましたが、やはり随分と大人の男の顔になって、所々に酸いも甘いも知った荒々しさが垣間見えます。けれど両の眼窩に納まった黄金の瞳はあのころと同じ太陽の輝きを宿し、優しく暖かにその瞳に映るすべてを包み込んでいました。 少年だった青年は、かつてと同じように一輪の薔薇を胸元に携え竜のもとへとやって来ました。少年だった昔と何一つ変わらずに、青年はずっと竜のもとへ通い続けていたのです。薔薇の花を捧げた数は、もうわかりません。とにかく、たくさんの薔薇を青年は竜のもとへ来るたびに捧げ、そうして愛おしげに竜を撫でては名残り惜し気に去る。その繰り返しを続けてきました。ずっと微睡みのなかで揺蕩っている竜は青年に対して何かしらの反応を示すことは一度もありませんでしたが、それでも青年は構いませんでした。 青年は自分が竜へと向ける感情が愛であることを、このころには理解していました。大人になってようやく自分の感情に名前を付けて整理することを覚えたからです。初めて竜へと供物を捧げたあの日、青年はこの竜に恋をしました。地下へと続く長い長い階段を下りた先、松明と蝋燭の灯りだけで浮かび上がる巨大な何か。重々しい鎖に繋がれ囚われた黒い竜。薄っすらと開いた瞼の合間から海の底の色をした瞳で地下を眺めているのに何も見ていないことがわかるほど微睡みの中にいるその姿に、青年は子供ながらに胸を掻き毟られるような激しい感情を覚えました。 荒れ狂う大波に襲われて溺れてしまう。けれど、怖くもなければ辛くもない。むしろ、その波にのまれて溺れてしまいたい。その感覚が恋だと気づくのはもっとあとになってからでしたが、確かに青年はあのとき竜に恋をしたのでした。 今日も青年は竜のその体を愛おしげに撫で、慈しむように瞳を見つめ、いつまでも飽きることなく竜のそばにいました。一方的だったとしても青年は竜を愛していました。何も返ってこなくてもそれで構わない。愛し続けることさえできるのなら、他のものは何もいらない。そう思えるほどでした。 けれど、もしも何かを願うなら、そう他の人々が竜に供物を捧げて祈り、願うように自分もそのようにするのなら、青年はこの竜に愛を伝えたいと思ました。眠った竜にではなく、目覚めた竜に自分の想いを伝えたいと強く感じました。青年はこれまで竜に供物を捧げても何かを願ったり祈ったりしようという気持ちが起こったことはありませんでした。竜に会って触れることができる。それだけで青年の願いも祈りも満たされていました。 しかし、青年は自分の願いに気づいてしまいました。この竜に愛しているのだと伝えたい。この溢れんばかりの愛で包み込んでやりたいと、そう思いました。だから青年は初めて祈り、初めて願いました。この竜を、この美しい生き物を心の底から愛している。眠り続ける愛おしい命に、自分の愛がどうか届くように。そう願いを込めて、青年は初めて竜に口付けました。 するとどうしたことか、竜の瞳が見開かれて深い海の底をした瞳に鮮やかな光が宿り始めました。青年は驚きながらもその瞳を見つめました。竜も青年を見つめます。竜の意識が、そこに確かにありました。死のような眠りの底に横たわっていた竜が、まるで泡粒が海面を目指すかのように現実へと浮上してくる様子が青年には感じ取れました。 「きみを、愛している」 そう囁いて青年はもう一度、竜に口付けました。それは、世界で一番優しい口付けでした。青年が口付けた場所を発端に、竜の体からまるで花吹雪が舞うように鱗が弾けてゆきます。美しい竜の鱗がまるで雪の結晶のようにも、舞い散る花びらのようにも、そして恵の雨のようにも見えながら青年の視界を覆いつくしてゆきます。 すべてをかき消すように竜の鱗が青年の視界を奪ったのち、霧が晴れたようになるとそこにいたはずの竜の姿が消え、代わりに青年と同じ年頃ほどの男が裸で蹲っておりました。青年は供物の山から適当な織物を見繕って、その男の体にかけてやりました。そうしてまだ覚醒しきっていないのか、ぼんやりと項垂れる男の顔を覗き込みました。美しいつくりの顔の中に、深い海の色がありました。間違いなく、竜の瞳の色でした。この男は、青年が愛した竜でした。 青年は竜が人の姿になったことにも驚きましたが、その姿が竜のときと同様にとても美しいことに感動もしていました。青年が愛した黒い竜。その美しさが人の姿に宿るなど、ありえることなのか。しかし事実、目の前にその人はいる。深い肌の色は上質なチョコレートのそれに似て、しかし手触りは鞣革のように柔らかで張りがありました。黒い髪は艶やかに光り、耳にかけてやると流れるようにするりとした感触で指の合間をすり抜けます。四肢は長く伸びやかで立てばきっと青年よりも大きいのでしょうが、今はまだ小さく折り畳まれたままです。竜の姿の名残りがそこかしこにありながら、それは紛れもなく人の姿でした。ただ異様なほどに美しいだけです。 「竜が、逃げる」 誰かの声でした。きっと竜が人に変わる様子を見ていたのでしょう。竜が眠る地下空洞はいつ何時でも祈り、願えるように開け放たれていました。だから青年以外の人間がいても不思議ではないのです。その誰かの声を皮切りに、その場に居合わせた人々の疑念や不安が声になって表れ始めました。この街は囚われた竜がいる街。どうして囚われているのか理由は知らずとも、竜を逃すことが許されない街。人々の感情の行き着く先は、決まっていました。 「竜を逃すな!」 また誰かの声でした。もう誰が何を語り、何を悲しみ、何を叫んでいるのかわかりません。青年にわかることは、このままにしておけば人の姿に変わった竜は再び重い鎖に繋がれて地下に囚われることだけでした。竜はもう充分に長い時間この地下に囚われ、他者の祈りと願いを聞き続けてきました。そんな竜を再び捕らえて暗いこの場所に押し込めることが、青年にはできませんでした。たとえそれがこの街の決まり事だとしても、愛しい竜をそんな場所に置き去りにはできません。 青年は竜を抱えて立ち上がりました。竜はお世辞にも軽いとは言えませんでしたが、家業の牧畜を手伝っている青年には重いわけでもありませんでした。牛や羊に比べれば軽く、山羊や鶏に比べれば重い。その程度のことでした。そのまま騒ぎ立てる人々の間を全速力で走り抜けます。青年はこの竜を連れて逃げることをすっかりと心に決めていました。そして竜のために何もかもすべてを打ちやる覚悟もしていました。竜のためになら自らの人生を捧げてしまえる。竜に捧げる供物は自分なのだと、青年はそう思いました。 後ろから人々が追ってきます。罵声が飛び、恐怖に震える嘆きが聞こえ、青年を恨む言葉も聞こえます。憎まれても呪われても構わない。街の人々すべてを敵に回してでも、青年は竜をこの地下から救い出したかった。腕に抱いたぬくもりがあるかぎり青年は追われ続ける道を自ら、選びました。 青年は走り続けました。街は広く、また高く堅牢な城壁に囲まれています。ここから出るには東西南北それぞれに作られた門のどれかをくぐるしかありません。しかし青年が門をくぐるのが早いのか、それとも竜を連れ出して逃げたことが知れ渡り門が閉じられてしまうほうが早いのか、誰にもわかりません。だから青年は走り続けました。竜を抱えて走りました。そして一番近い門に辿り着いたとき、それは閉じられる間際でした。門番たちは皆、一様に興奮していました。竜が逃げ出すという一大事に誰もが浮足立ち、またその事実が本当なのかそれとも嘘なのか、それよりも竜が逃げだすと何が起こるのか、そんな混乱に振り回されていました。 青年は門番たちを薙ぎ払うようにして体ごと、門が閉まるぎりぎりの隙間に体をねじ込みました。失敗すれば青年も竜も門に挟まれて死んでしまいます。それでもその一瞬に賭けました。そしてその賭けに、青年は勝ちました。門番たちは青年の姿が門の向こう側に消えてゆくのを眺めているしかありませんでした。門は、二人を城壁の外へと逃して固く閉ざされてしまいました。壁に作られた見張り塔の上から街の外を監視していた門番だけが、竜を抱えた青年がそのまま広い平野のその先へと駆けてゆくのを見ましたがその姿も地平線の彼方へと消えてゆきました。 それ以来、二人の姿を見た者は誰一人としておりません。また街がどうなったのかも、わからないままです。
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【共感シアターナビ】たくさんの投稿頂きました!「おすすめしたい日本のアニメ映画」投稿全部ご紹介!

先日13日火曜日の21時より放送された共感シアターナビの中で、視聴者の皆さんの声を紹介するコーナー「俺たち共感族!」のお題は「おすすめしたい日本のアニメ映画」でした。 募集をかけたところ、多くの視聴者から熱いコメントをたくさん頂きました!ただ、番組内では放送時間の都合上、全部を紹介することは出来ませんでした。 そこでこの度、放送内ではご紹介できなかった投稿を含めて、視聴者の皆様から頂いた全投稿をこちらに掲載させて頂きます! 視聴者の皆様から寄せられた熱い投稿、ぜひご覧ください!!
番組アーカイブはこちら!
きょたさん
■作品:劇場版シティーハンター<新宿プライベートアイズ> ■おすすめ理由 2019年に公開されたシティーハンター最新作。前作から20年ぶりに作られた新作(パラレルワールドのエンジェル・ハートは除く)シティーハンターは好きだが昔のコンテンツというイメージだったので、正直期待しないで観に行ったが面白すぎて度肝を抜かれた。感想としてはとにかく完璧にシティーハンターをしてるシティーハンターだった。無駄な要素を一切入れていない。 作品のノリや雰囲気、キャラの性格が当時と変わってないから安心して観れる。何より監督や声優が当時のままなのが一番嬉しい!平成最後に神谷明主役のアニメをぶちこんでくれたのは最高でした。山寺宏一、山崎たくみ、茶風林など当時エキストラで出演してた声優が今回メインキャラになったのは感慨深いものがある。 ギャグシーンも多めで、獠は5分に一回くらいはもっこり言ってたイメージ。もちろん戦闘もバッチリ決める!ゲスト芸能人声優が邪魔してないのもGOOD。話題性ばかりで演技がド下手な「大物ゲスト俳優(笑)」を使う作品が多いが、今回のゲストヒロイン役の飯豊まりえが上手くて物語に集中できた。 そしてシティーハンターはあくまで獠と香が主役だからシナリオ的にもでしゃばってない他にも往年のファンのテンションが上がる要素が多くて飽きさせない。特に音楽。シティーハンターシリーズの歴代主題歌が随所で流れるが、タイミングも曲のチョイスもバッチリ過ぎて聴いた瞬間目頭が熱くなった。 原作を知ってるならあっとなる小ネタも多くて探すのが楽しい。劇場公開時よく言われてた感想で「昔馴染みのラーメン屋に入ってラーメンを頼んだらラーメンが出てきた」というのが秀逸。確かに最近はラーメンを頼んだら冷し中華が出てくる作品が多い。そんななかこの作品が完成したのはまさに奇跡としか言いようがない。 一見するとファン向けな作品のイメージだが内容は「いつものシティーハンター」なので入門書としてもオススメ。映像面もシナリオも完璧で、まさにシティーハンターの最高傑作と呼ぶにふさわしい作品だった。 ■作品:デジモンアドベンチャー ぼくらのウォー・ゲーム! ■おすすめ理由 デジモンアニメの中で一番好きな作品。40分という短い尺の中に恋愛、戦争、生活、友情、勝利など様々な要素が詰まってる映画。最初はいたずらメールを送るくらいのコンピューターウィルスがどんどん進化していき、レジの代金をバグらせてとんでもない代金にしたり、交通機関を乗っ取って電車を暴走させたり少しずつ世界を混乱させていく…… それを阻止するため主人公達が立ち向かうというストーリー最終的には核ミサイルまで発射されてしまい、日本を壊滅させようとするスケールのデカさにビックリしたこの映画に「島根にパソコンあるわけないじゃん」という台詞があるが島根県出身の身として言わせてもらうと、一応パソコンは当時から島根にもあったぞ~~!!
鶴岡亮さん
■作品:クラッシャー・ジョウ ■おすすめ理由 僕がオススメしたいアニメ映画は「クラッシャー・ジョー」です。本作の舞台は2160年の宇宙で、主人公ジョウ率いる宇宙の何でも屋の「クラッシャー」がある依頼を受け、壮大な戦いと陰謀の渦に巻き込まれていくというスペースオペラものです。 このアニメの見所は何と言っても監督のみならず、作画監督も務めた安彦良和さんを始めとするアニメーター陣による圧倒的な作画力です。河森正治(かわもりしょうじ)さんデザインのスターファイターが宇宙空間で繰り広げる激しいドッグファイトシーンや、カーチェイスやクリーチャーを相手にした豊富なアクションシーン、人間の身体の動きを滑らかに描いたガンファイトシーン等が、80年代アニメブーム時代の高クオリティな作画で楽しめます。ストーリーも若干フィルムノワールを思わせる敗者の哀愁を漂わせる面があり、一見スタンダードなスペースオペラという体制をとりつつも、そういう所を取り入れてくるのが学生運動経験者の安彦良和監督らしく面白い所です。 後、一部の人にしか判らないでしょうが、安彦良和さん作画の「ダーティペア」が一瞬見れる所も今作の見所です! 高クオリティな作画を楽しみたい方には楽しめる作品だと思いますので、未見の方が居たら是非ともご覧下さい! ■作品: 機動警察パトレイバー2 the Movie ■おすすめ理由 この作品は言わずと知れた押井守監督作品のアニメ映画。 本作は90年代に作られた作品で、当時日本で問題になっていた自衛隊の海外派兵問題や、それを是とする日本国の情勢に対して、押井監督の鋭い指摘が冴えまくった作品です。 横浜ベイブリッジにミサイル発射テロが行われるシーケンスに代表される印象深いカットワークてんこ盛りの本作ですが、中でもテロに対して東京に非常事態宣言が発行され、新宿、渋谷、池袋に自衛隊が駐留し、「日常から非日常」へと転換していくシーケンスは非常にインパクトがあり一見の価値があります。 奇しくも、この映画が公開された1993年の2年後の1995年にオウム真理教による「地下鉄サリン事件」が発生し、「このアニメに影響されたテロでは無いか?」と物議���醸し出しだす事になりました。 社会、こと日本について描いた作品というと、庵野秀明監督の2016年の「シンゴジラ」が挙げられますが、本作「機動警察パトレイバー2 the Movie」は押井守監督が90年代の日本の状況を克明に描き出し、予言とも言える快作を作り上げました。 ポリティカルサスペンスとして非常に完成度が高く、90年代という日本の時代性を語る上で外せない作品だと思うので、未見の方は是非ともご覧下さい。
バッファロー・ビルさん
■作品:今敏監督作品「パーフェクトブルー」 ■おすすめ理由 アイドルを卒業し、女優への転身を決意した主人公。彼女は事務所の要望となりたい自分との狭間で思い悩むようになります。現実と虚構が曖昧になっていく中、彼女にストーカの影が・・・最近では実写でもあまり見かけなくなったサイコホラーという題材。 90年代はセブンとか羊たちの沈黙とかやたら多かったですが、人間というものの気持ち悪さをここまで、それもアニメで本格的に描いた作品はあまりないでしょう。 98年の作品ですが、インターネット、芸能界の思惑、ストーカー等、現代でも十分通じる物語です。この作品がダーレン・アロノフスキー監督の「レクイエム・フォー・ドリーム」「ブラックスワン」に影響を与えたことは有名です。2010年にお亡くなりになった今敏監督。訃報を聞いた時はとてもショックでした。本当に残念でなりません。
肴はサラダチキンでいいさん
■作品: OVA版ブラックジャック カルテX しずむ女 ■おすすめ理由 皆さんに見てもらいたいアニメで考えた結果これしか思いつきませんでした。また変化球気味で映画ではなくVシネマアニメですが、ギリOKという事で。 今作は手塚治虫先生の原作話で週刊チャンピオンで連載される訳でしたが、当時の公害描写などの理由でお蔵入りとなった話がOVAでアニメ化された物です。 ブラックジャックは医療アニメである前にヒューマンドラマだという事が分かる素晴らしい作品です。共感族の皆さんにも機会があれば是非見てもらいたいですね!^_^
nksさん
■作品:デジモンアドベンチャー ぼくらのウォー・ゲーム! ■おすすめ理由 本作は知る人ぞ知る細田守監督の出世作で、東映アニメ祭りで上映された、40分の短編映画です。 アニメーションの革新性、主要登場人物8人の手際良い配置、適度なギャグ、魅力的なアクション、どれを取っても20年前とは思えない出来の良さです。 スピルバーグが〈映画うま男〉なら、細田守は〈アニメうま男〉といったところだと思います。 細田監督がメジャー化してからの作品である「サマーウォーズ」は、実質本作のリメイクですが、個人的にはラスト10分でミサイルが着弾するスリルが現実の上映時間10分とぴったりリンクする所など、完成度において「ぼくらのウォーゲーム」の方が優れていたと思います。
■作品: 海獣の子ども ■おすすめ理由 本作は、主人公の少女(cv.芦田愛菜)が魚と会話できる不思議な力を持った少年と出会い、ひと夏の冒険を通じて海/地球/宇宙の神秘と生命の起源を知るという、ジュブナイルものかと思ったら「2001年宇宙の旅」だった、という映画です(なに言ってるか分からなかったらスミマセン。)。 ストーリーが難解でつまらないといった評価が多いですが、2001年やプロメテウス、エヴァが好きな私にとっては、大好物の作品でした。 しかしなんといっても本作最大の特徴は、一枚一枚が水彩画であるかのような、圧倒的な画力です。日本で同時期に公開された「スパイダーバース」と比較しても、勝るとも劣らない画の密度で、ハリウッドからの挑戦状に日本から回答を示すなら本作「海獣の子ども」だと思います。 2019年10月、制作会社のスタジオ4℃でアニメーターの残業代未払い問題が報道されました。そもそも本作は企画から完成まで6年を要した労作であり、そりゃ作り手が何人か倒れててもおかしくないよなと思いました。が、一観客として、「その成果はちゃんと届いてるよ!!」と、改めてアニメーターさん達に拍手を送りたいと思います。
甘えん坊将軍ユウスケさん
■作品:クレヨンしんちゃん~嵐を呼ぶジャングル~ ■おすすめ理由
しんちゃん映画だときっとオトナ帝国と戦国が挙げられるでしょうが、あの二作はアニメ映画としては最高ですが、しんちゃん映画としては言いたいことがあるので敢えてあの二作の直前の本作をピックしました。 擬似的な親離れ家族離れ体験としていつもの五人でジャングル探検してギャグシーンを満載にした前半(原恵一監督は結構このシチュエーションやってる気がするのですが、このテーマ好きなんですかね?)。一人の兄としてひまわりちゃんを守って頑張る中盤。徹底的にまたギャグに振ったみさえ&ひろしの救出シーン。で、本作最大の見処であるしんちゃんの憧れのヒーローであるアクション仮面のくだりです。 単純な強さで言えば、悪役のパラダイスキングに劣ってしまうアクション仮面ですが、皆の応援、特にどんな時でも憧れのヒーローとして慕ってくれるしんちゃんの声援と、悪役にはない優しさがあるからこそ勝つと言うちゃんと「正義は勝つ!!」のロジックを下手なアメコミ映画よりちゃんとやっている点。 また、ハリボテの城に住み、「力」は手に入れたが、また本当の意味で声援を送ってくれる者の居ない文字通り「猿山の大将」である、ある意味でヒーロー俳優としてあり得たかもしれない別視点の自分が最大の悪役として立ちはだかる点。 これら昨今のアメコミ映画に有りそうな題材をアメコミブームの10年近く前に既に、ちゃんとやっていると言う点ではヒーロー映画としての完成度は抜群に高いとと言いたいです。また、最後はバッチリお下劣ギャグやナンセンスギャグで締めてくれるのも最高ですね。 オトナ帝国や戦国、ロボとーちゃんばかりが、もてはやされがちですが、ギャグとアツい展開のバランスが取れてるクレしん映画としておすすめしたい一本です(特に特撮ヒーロー好きなら大西さんにもおすすめです。既にご覧になられてるかもしれませんが…笑)。
nikiさん
■作品: 時空の旅人 ■おすすめ理由 『火の鳥・鳳凰編』と同時上映の80年代角川アニメです。子供のころ、戦国時代が好きだったこともあり、劇場で見ました。こういったガキの時に見て面白かった作品が今見ても面白いのか?という疑問は昔の作品にはつきまとうと思うのですが、『時空の旅人』は大人になってから見ても面白かったです。 萩尾望都のキャラクターデザインの作画、竹内まりやの曲もいい感じです。ただ、ストーリーが原作ほど緻密ではない点、唐突に挟まれる角川春樹の俳句には目をつぶってください。
きゃわぐちさん
■作品:第5位 「帰ってきたドラえもん」と「サマーウォーズ」をセットで挙げます! ■おすすめ理由 13年前、まだ映画で涙した経験のない、鉄仮面だった高校生の私を大号泣させたのが、アメトークのドラえもん芸人で見た「帰ってきたドラえもん」でした。以来、涙腺がブッ壊れ、ついに映画館でも初めて泣いてしまったのが「サマーウォーズ」の花札のシーンです。 当時はセカチューや「1リットルの涙」から続いていた闘病モノブームもあって、そういう“お涙頂戴”がことさら多かった気がするのですが、“悲しさ”ではない感動で泣く、という経験ができるのもこの2本のいいところですね。
■作品: 第4位 「この世界の片隅に」 ■おすすめ理由 第4位は一転して底無しの“悲しさ”に泣けてしまう「この世界の片隅に」です。戦争モノのアニメ映画といえば、「はだしのゲン」や「火垂るの墓」や、いわゆるグロくて強烈な作品は数あれど、こんなにも穏やかな、それでいて辛い作品があったでしょうか!? 全編にわたりほぼほぼ戦闘シーンがなく、主人公・すずさんのおっとりした性格も相まって、日常系のアニメを観ているかのような気分になりそうな本作。しかし確実に戦時中である、というギャップが、どうしようもなく悲しい。去年の終戦記念日に初めて観たのですが、すずさんの穏やかな暮らし、健気な性格を見ていると「戦争さえなければ、平和に幸せに暮らせていたはずなのに」という思いが込み上げてきて、クライマックスでも何でもないシーンで涙が止まらなくなりました。 そして、当時の日本には何万人、何十万人という“すずさん”がいたのだという事実が現実味を帯びて感じられます。紛れもなく、映画史に残る名作です。 ■作品:第3位 「 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」 ■おすすめ理由 これは「クレヨンしんちゃん」という子供向けコンテンツを、大人の視聴にも耐えられる、むしろ大人こそ感動できる作品へと昇華させた金字塔的作品です。クレヨンしんちゃんの映画として必須な“お下品な笑い”はふんだんに盛り込んでおきながら、成長して見返すと泣かずにはいられない感動もある。 見る年齢によって、泣き所が変わってくるのもポイント。いつ観ても笑って泣ける、最高に楽しい映画です!こっちは何回も観るからブルーレイ化してくれ! ■作品:第2位 「 ルパン三世 カリオストロの城」 ■おすすめ理由 挙げるまでもない名作ですが「ルパン三世 カリオストロの城」! ・言わずもがな抜群の完成度。 ・テレビで流れていればつい観てしまう ・何度も観ているから安心感があるのに、何度観ても飽きのこない面白さまさにアニメ映画界の「ターミネーター2」! 今さら観てない人はいないと思いますが、「クラリスって誰?」という人がいないとも限らないので、念のため第2位にランクインです。 ■作品:第1位 「 さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」 ■おすすめ理由 そして第1位は、完全に私の趣味「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」で決まりです!もちろん世代ではなく、小学生のころケーブルテレビで父に見せられたのがきっかけ。テレビ版も見たことがなく、最初に触れたヤマトが劇場版2作目の“さらば”。 まだアニメといえばドラえもんやクレヨンしんちゃんやコナン、あるいは少年漫画の単純な勧善懲悪しか知らなかった私に、いきなりの“さらば”はまさに世界がひっくり返るような衝撃でした。見終わったあとテレビの前で呆然としていたことは、20年以上経った今でも覚えています。ボロボロになっても戦い続ける、ヤマトの不屈のカッコよさ、白色彗星帝国の圧倒的な強さと絶望感、クライマックスの激闘、そしてきゃわぐち少年を衝撃の渦に呑み込んだラスト。最高と言うほかありません! ただ、ヤマトに限りませんが、大人になってから初めて触れると、どうしても奥にいる製作者や、話の辻褄ばかりに目がいってしまって、純粋に作品の世界に没頭することが難しくなるもの。でも子供の頃に観たものなら、大人になってもずっと“あの頃”のまま楽しむことができます。 共感シアターをご覧の皆さんで小さなお子さんを持つ方がいたら、早いうちに「さらば宇宙戦艦ヤマト」を見せることをオススメします。あと「あしたのジョー」。 余談ですが、共感シアターではだ〜れも観てない「鬼滅の刃」、僕は初日に行ったしブルーレイも予約したし、結構感動しました(笑)
アレスさん
■作品:「 マジンガーZ対暗黒大将軍」 ■おすすめ理由 無敵のスーパーロボットと思ってたマジンガーZが新たに現れたミケーネ帝国の戦闘獣軍団にボロボロにされるのは幼心にそれはもうショッキングでしたが、そのピンチを救うべく飛んできたグレートマジンガーの無双ぶりはそれを上回るインパクトでした。 「マジンガーZの兄弟さ」とだけ言い残し飛び去って行くラストシーンの格好良さはアニメ映画の括りだけじゃなく、映画のマイオールタイム・ベストシーンです。
ぜんぞう
■作品:「 餓狼伝説/劇場版」 ■おすすめ理由 さて、おすすめしたい日本のアニメ映画ですが、僕のおすすめ日本アニメ映画は、「餓狼伝説/劇場版」です。「AKIRA」や「オネアミスの翼」等、大好きなアニメ映画は沢山ありますが、他の皆様のおすすめにあがりそうなので、あまり語られることのないであろう、「餓狼伝説/劇場版」をおすすめしたいと思います。 制作当時、隆盛を極めたSNK製のビデオゲーム「餓狼伝説」シリーズを基にした、劇場版ならではのスケールの大きいオリジナルストーリーがとにかく魅力的。ゲームでお馴染みのキャラクター達が、伝説の闘神の鎧を巡ってインディ・ジョーンズよろしく遺跡を巡り、謎を解き、鎧を狙う敵対勢力と超人バトルを繰り広げる展開は圧巻の一言。 ダイナミックなアクションとミステリアスなストーリーは、これぞ日本アニメ!「ヘルボーイ/ゴールデンアーミー」にも影響を与えた(と勝手に推測している)クライマックスも含め、見所満載のスペクタクルアニメ映画です。ぜひぜひ、ご鑑賞ください。
ヱキストラさん
■作品:クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶ夕陽のカスカベボーイズ(2004年) ■おすすめ理由 クレヨンしんちゃん界隈の映画秘宝こと「クレヨンしんちゃん研究所」で絶賛された本作品。往年のマカロニ・ウェスタン/アウトロー作品への愛を異常なほど感じさせる本作は、これまでの明るい雰囲気を出さないためか、オカマキャラを一切登場させない徹底ぶり。 「荒野の七人」「夕陽のガンマン」「マッドマックス」「ローン・レンジャー」など自分がわかるだけでも数作品のオマージュ/パロディが随所に散りばめられていて、その上、元ネタを知らなくても楽しめるクオリティの高さでした。加えて最後のオチは、"映画"というギミックを笑っちゃうぐらい見事に活用! 上映時間は95分で、Netflixにも公開されているので、映画好きな共感族の皆さんにも、是非一度ご覧いただきたい作品です( ´-`)
リノス屋さん
■作品: バンパイアハンターD (英題:Vampire Hunter D: Bloodlust) ■おすすめ理由 古典的なモンスターホラー要素に、SFファンタジーや西部劇の要素も併せ持つ作品です。 舞台設定は、遥か未来。“貴族”と呼ばれる吸血鬼に支配された世界で、人類は家畜同然な存在に。貴族達に怯えながらも、なんとか生活を保っている人類に味方をするのが、人間と吸血鬼の混血で、吸血鬼ハンターを生業にしている、主人公“D”。全身黒ずくめで、大きな旅行帽を被り、背中に長い刀を背負い、左手には人面瘡(じんめんそう)を宿し、顔立ちは美形という、一見地味に見えてカリスマ性のあるこのキャラクターがまず魅力的です。 映画の内容は、名門と云われるエルバーン家の少女が、貴族に誘拐される所から物語が始まり、それを知ったエルバーン家の者が、主人公Dや人間の吸血鬼ハンターいち味を雇い、少女救出へと向かわせます。後に、『マトリックス』のオムニバスアニメ『アニマトリックス』の一作品を手掛ける事になる、監督の川尻善昭(かわじりよしあき)さんが描く、道中でのアクション等見所が随所にあり、混血な故に貴族からも人間からも毛嫌いされ、しかしながらも奮闘する主人公Dの孤独な戦いもドラマに絡んできて、終盤には思わず涙を誘われます。 又、この作品の公開時は、英語版での上映のみでしたが、ソフト化の際には、日本語版も発売され、声優ファンには堪らない錚々たるメンバーがキャスティングされております。特に、主人公の左手に宿る人面瘡(じんめんそう)の声を、永井一郎(ながいいちろう)さんがアテられていて、無口な主人公とは対照的に、ユーモアや皮肉に溢れるキャラクターを演じられていたのが印象的でした。『バンパイアハンターD』は、映画以前にもOVAやオーディオドラマ、プレステ用ゲーム等のメディア展開も多くあります。 何より、菊地秀行(きくちひでゆき)さん原作の小説には、キャラクターデザイン兼挿絵をファイナルファンタジーシリーズのイラストでも有名な、天野喜孝(あまのよしたか)さんが手掛けられていて、天野さん自身の個展でも度々、同作品のイラストも出展している為、おそらく共感シアターの皆様も、どこかで一度は“D”を目にしたことがあるかもしれません。
孔明(MOVIE TOUCH)さん
■作品: トランスフォーマー ザ・ムービー 1986年公開作品 ■おすすめ理由 1984年にアメリカでトランスフォーマーの玩具が発売され、テレビアニメ放送もあって大ヒット。それを受けて製作されました。テレビアニメ同様に日米合作で、作画は主に日本の東映動画(現:東映アニメーション)が担当。最初のテレビアニメ「戦え��超ロボット生命体トランスフォーマー(通称:初代)」の続編ですが、本作は当時の子供達に深い傷痕を残しました。 開始30分以内に玩具の在庫処分のために初代に登場したトランスフォーマーの殆どが無惨にも殺されていき、同時に新商品の宣伝のために新しいトランスフォーマー達が主役の物語が容赦なく始まるという衝撃的な内容。総製作費40億円(尚、半分しか使い切れなかった)をかけた本作はCGと見間違える程の神作画が終始続き、日本のアニメーター達の底力を見られます。特に星帝ユニクロンの変形シーンはロボットアニメ史に残る神シーンです。ジャド・ネルソン、レナード・ニモイ、エリック・アイドル、オーソン・��ェルズらが声優として出演。 また本作はオーソン・ウェルズの遺作でもあります。勢いある80年代を象徴するような本作のアルバムは映画アルバムでもベストに入れたいほどの名盤で、特に主題歌「The Transformers Theme」と挿入歌「The Touch」は海外アニソン屈指の名曲。因みに劇伴は「ロッキー4/炎の友情」のヴィンス・ディコーラ。日本は玩具発売元であるタカラ(現:タカラトミー)の大人の事情で劇場公開に至らなかったものの、後にチャリティ上映やソフト販売が一応行われました。 現在国内で合法的に見る方法は北米版ブルーレイ(勿論日本語音声も字幕も無し)を海外から取り寄せる以外ほぼ皆無で、他はネットに違法アップされた物を見るしか方法がありません。しかしタカラトミーもブルーレイ発売や配信をする気が無いのにも関わらず本作の玩具を出しまくっているので事実上黙認状態(因みに今月も発売予定あり)。実写映画版シリーズで本作から引用されているシーンや台詞、設定がかなり多いので是非見てください。 ■作品: ガールズアンドパンツァー 劇場版 ■おすすめ理由 ある意味戦車アニメ版ワイルドスピード。その熱さは実際に鑑賞した多くの映画ファンから同年公開の「マッドマックス 怒りのデスロード」に匹敵すると言われた程。 砲撃戦のみならず戦車で戦車を投げ飛ばして攻撃、戦車同士で格闘戦、ジェットコースターのレール上で戦車チェイス、窮地を救う観覧車先輩などなど、「戦車でそんな使い方アリ?!」のオンパレード!仲間はファミリー同然に面倒を見る!一度戦った相手はマブダチ!応援大使は蝶野正洋!一見あり得ない戦車戦の裏には膨大なリサーチに裏付けられた世界トップクラスの再現度を誇る戦車描写があり、リアリティとファンタジーが見事に融合した戦車映画になっているのです。 特攻野郎Aチーム的な「どんな奇策でその場を乗り切るか」という展開も見どころです。オーケストラで収録された劇伴も作品を盛り上げる良い仕事ぶりを発揮し、オリジナル楽曲以外にもリパブリック賛歌やフニクリ・フニクラなど様々な国の曲が使われるので大変勉強になります。共感族なら一度は聞いた事があるであろう、あの映画にも出てきたあの楽曲も使われます。また劇中歌「おいらボコだぜ!」は人生何度ボコボコにされても立ち上がる力をくれる素晴らしい歌です。 現在劇場用OVA最新作「ガールズアンドパンツァー最終章 第3話」が公開中。それに合わせてNetflix、dアニメストア、Huluなどの各配信サービスにて本作ほかシリーズ作品が見放題配信中、更にシネマサンシャイン系列劇場などでリバイバル上映中です。以前アニメ業界にいたのですが、業界人として見ても手描きアニメと3DCGを組み合わせる現代のアニメの中でもトップクラスの作品と言える程クオリティは高いと思います。また、私が業界にいた頃にお世話になった方々が関わっていますので、是非ご覧いただければと思います。 因みにガルパンのムック本「不肖・秋山優花里の戦車映画講座」は監修/執筆が青井邦夫さん、執筆協力の1人が高橋ターヤンさん!ガルパンは実質共感シアター案件では?! 以上になります! 今回は「日本のアニメ映画」というように限定しましたが、アニメ映画はまだまだたくさんありますので、また皆様からのお声を募集したいと思います! お楽しみに!!
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ひとみに映る影 第六話「覚醒、ワヤン不動」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 段落とか誤字とか色々とグッチャグチャなのでご了承下さい。 書籍版では戦闘シーンとかゴアシーンとかマシマシで挿絵も書いたから買ってえええぇぇ!!! →→→☆ここから買おう☆←←←
(※全部内容は一緒です。) pixiv版
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人はお経や真言を想像するとき、大抵『ウンタラカンタラ~』とか『ムニャムニャナムナム~』といった擬音を使う。 確かに具体的な言葉まで知らなければ、そういう風に聴こえるだろう。 ましてそういうのって、あまりハキハキと喋る物でもないし。 特に私達影法師使いが用いる特殊な真言を聞き取るのはすごく難解で、しかも屋内じゃないとまず喋ってる事自体気付かれない場合が多い。 なぜなら、口の中を影で満たしたまま言う方が法力がこもる、とかいうジンクスがあり、腹話術みたいに口を閉じたまま真言を唱えるからだ。 たとえ静かな山間の廃工場であっても、よほど敬虔な仏教徒ではない人には、『ムニャムニャ』どころか、こう聴こえるかもしれない。
「…むんむぐうむんむうむむむんむんうむむーむーむうむ…」 「ヒトミちゃん?ど、どしたの!?」 正解は、ナウマク・サマンダ・バザラダン・カン・オム・チャーヤー・ソワカ。 今朝イナちゃんは気付いてすらいなかったけど、実はこの旅でこれを唱えたのは二回目だ。
廃工場二階部踊り場に催眠結界を張った人物に、私は心当たりがあった。 そのお方は磐梯熱海温泉、いや、ここ石筵霊山を含めた熱海町全域で一番尊ばれている守護神。 そのお方…不動明王の従者にして���法師を束ねる女神、萩姫様は、真っ暗なこの場所にある僅かな光源を全て自らの背後に引き寄せ、力強い後光を放ちながら再臨した。
「オモナ!」 「萩姫…!」 驚きの声を上げたのは、テレパシーやダウジングを持たないイナちゃんとジャックさんだ。 「ひーちゃん…ううん。紅一美、よくぞここまで辿り着きました。 何ゆえ私だと気付いたのですか」 萩姫様の背後で結界札が威圧的に輝く。 今朝は「別に真言で呼ばなくてもいい」なんて気さくに仰っていたけど、今はシリアスだ。 「あなたが私達をここまで導かれたからです、萩姫様。 最初、源泉神社に行った時、そこに倶利伽羅龍王はいませんでした。代わりにリナがいました。 後で観音寺の真実や龍王について知った時、話が上手くいきすぎてるなって感じました。 あなたは全部知っていて、私達がここに来るよう仕向けたんですよね?」 私も真剣な面持ちで答えた。相手は影法師使いの自分にとって重要な神様だ。緊張で手が汗ばむ。 「その通りです。あなた方を金剛の者から守るためには、リナと邂逅させる必要があった。 ですが表立って金剛の者に逆らえない私は、敢えてあなた方を源泉神社へ向かわせました。 金剛観世音菩薩の従者リナは、金剛倶利伽羅龍王に霊力の殆どを奪われた源泉神社を復興するため、定期的に神社に通ってくれていましたから」 そうだったんだ。暗闇の中で、リナが一礼するのを感じた。
萩姫様はスポットライトを当てるように、イナちゃんにご自身の光を分け与えられた。 「金剛に選ばれし隣国の巫女よ」 「え…私ですか?」 残り全ての光と影は未だ萩姫様のもとにあって、私達は漆黒に包まれている。 「今朝、あなたが私に人形を見せてくれた時、私はあなたの両手に刻まれた肋楔緋龍の呪いに気がつきました。 そして勝手ながら、あなたの因果を少し覗かせて頂きました」 萩姫様は影姿を変形させ、影絵になってイナちゃんの過去を表現する。 赤ちゃんが燃える龍や肉襦袢を着た煤煙に呪いをかけられる絵。 衰弱した未就学の女の子にたかる大量の悪霊を、チマチョゴリを着た立派な巫女が踊りながら懸命に祓う絵。 小学生ぐらいの少女が気功道場で過酷なトレーニングを受ける絵…。 「はっきり言います。もしあなた方がここに辿り着けなかったら、その呪いは永遠にとけなかったでしょう。 あなただけではありません。このままでは一美、熱海町、やがては福島県全域が金剛の手に落ちる事も起こりうる」 福島県全域…途方もない話だ。やっぱりハイセポスさんが言っていた事は本当だったのか?
「萩姫様。あなたが護る二階に、いるのですね。水家曽良が」 決断的に譲司さんが前に出た。イナちゃんを照らしていた淡い光が、闇に塗りつぶされていた彼の体に移動した。 「そうとも言えますが、違うとも言えます、NICの青年よ。 かの殺人鬼は辛うじて生命力を保っていますが、肉体は腐り崩れ、邪悪な腫瘍に五臓六腑を冒され、もはや人間の原形を留めていません。 あれは既に、悪鬼悪霊が蠢く世界そのものとなっています」 萩姫様がまた姿を変えられる。蛙がボコボコに膨れ上がったような歪な塊の上で、燃える龍が舌なめずりする影絵に。 そして再び萩姫様の御姿に復帰する。 「若者よ。ここで引き返すならば、私は引き止めません。 私ども影法師の長、神影(ワヤン)らが魂を燃やし、龍王や悪霊世界を葬り去るまでのこと。 ですが我らの消滅後、金剛の者共がこの地を蹂躙する可能性も否定できません。 或いは、若者よ。あなた方が大量の悪霊が世に放たれる危険を承知でこの扉を開き、金剛の陰謀にこれ以上足を踏み入れるというのならば…」
萩姫様がそう口にされた瞬間、突如超自然的な光が彼女から発せられた。 カッ!…閃光弾が爆ぜたように、一瞬強烈に発光したのち、踊り場全体が昼間のように明るくなる。 「…まずはこの私を倒してみなさい!」 視界がクリアになった皆が同時に見たのは、武器を持つ幾つもの影の腕を千手観音のように生やした、いかにも戦闘モードの萩姫様だった。
◆◆◆
二階へ続く扉を堅固に護る萩姫様と、私達は睨み合う。 戦うといっても、狭い踊り場でやり合えるのはせいぜい��人が限界。 張り詰めた空気の中、この決闘相手に名乗り出たのは…イナちゃんだ! 「私が行きます」 「馬鹿、無茶だ!」 制止するジャックさんを振り切って、イナちゃんは皆に踊り場から立ち退くよう促した。
「わかてる。私は一番足手まといだヨ。だから私が行くの。 ドアの向こうはきっと、とても恐い所になてるから、みんな温存して下さい」 自虐的な言葉とは裏腹に、彼女の表情は今朝とは打って変わって勇敢だ。 萩姫様も身構える。 「賢明な判断です、金剛の巫女よ」「ミコじゃない!」 イナちゃんが叫んだ。 「…私はあなたの境遇に同情はしますが、容赦はしません。 あなたの成長を、見せてみなさい!」
イナちゃんは目を閉じ、呪われた両手を握る。 「私は…」 ズズッ!その時萩姫様から一本の影腕が放たれ、屈強な人影に変形! <危ない!>迫る人影! 「…イナだヨ!」 するうちイナちゃんの両指の周りに細い光が回りだし、綿飴めいて小さな雲に成長した! イナちゃんはばっと両手を広げ、雲を放出すると…「スリスリマスリ!」 ぽぽんっ!…なんと、漆黒だった人影がパステルピンクに彩られ、一瞬でテディベア型の無害な魂に変化した! 「何!?」 萩姫様が狼狽える。
「今のは…理気置換術(りきちかんじゅつ)!」 「知っているのかジョージ!?」 ジャックさんにせっつかれ、譲司さんが説明を始める。 「儒教に伝わる秘伝気功。 本来の理(ことわり)から外れた霊魂の気を正し、あるべき姿に清める霊能力や」 そうか、これこそイナちゃんが持つ本来の霊能力。 彼女が安徳森さんに祈りを捧げた時、空気が澄んだような感じがしたのは、腐敗していた安徳森さんの理が清められたからだったんだ!
淡いパステルレインボーに光る雲を身に纏い、イナちゃんは太極拳のようにゆっくりと中腰のポーズを取った。 「ヒトミちゃんがこの旅で教えてくれた。 悲しい世界、嬉しい世界。決めるのは、それを見る私達。 ヒトミちゃんは悲しいミイラをオショ様に直した。 だから私も…悲しいをぜんぶカワイイに変えてやる!」
「面白い」 ズズッ!再び萩姫様から影腕が発射され、屈強な影絵兵に変わった。 その手には危険なスペツナズナイフが握られている! 「ならば自らの運命をも清めてみよ!」 影絵兵がナイフを射出!イナちゃんは物怖じせずその刃を全て指でキャッチする。 「オリベちゃんもこの旅で教えてくれた」 雲に巻かれたナイフ刃と影絵兵は蝶になって舞い上がる! 「友達が困ったら助ける。一人だけ欠けるもダメだ」
ズズッ!新たな影絵兵が射出される。 その両手に構えられているのは鋭利なシステマ用シャベルだ! 「ジャックさんもこの旅で教えてくれた」 イナちゃんは突撃してくるその影絵を流れる水のようにかわし、雲を纏った手で掌底打ちを叩きつける! 「自分と関係ない人本気で助けられる人は、何があても皆に見捨てられない!」 タァン!クリーンヒット! 気功に清められた影絵兵とシャベルはエンゼルフィッシュに変形!
間髪入れず次の影絵兵が登場! トルネード投法でRGD-33手榴弾を放つ! 「ヘラガモ先生もこの旅で教えてくれた」 ぽぽんぽん!…ピヨ!ピヨ! 雲の中で小さく爆ぜた手榴弾からヒヨコが生まれた! 「嫌な物から目を逸らさない。優しい人それができる」 コッコッコッコッコ…影絵兵もニワトリに変化し、ヒヨコを率いて退場した。
「リナさんとポメラーコちゃんも教えてくれた!」 AK-47アサルトライフルを乱射する影絵兵団を掻い潜りながら、イナちゃんは萩姫様に突撃! 「オシャレとカワイイは正義なんだ!」 影絵兵は色とりどりのパーティークラッカーを持つ小鳥や小型犬に変わった。
「くっ…かくなる上は!」 萩姫様がRPG-7対戦車ロケットランチャーを構えた! さっきから思ってたけど、これはもはやラスボス前試練の範疇を越えたバイオレンスだ!!
「皆が私に教えてくれた。今度は私あなたに教える! スリスリマスリ・オルチャン・パンタジィーーッ!!!」 パッドグオォン!!!…ロケットランチャーの射出音と共に、二人は閃光の雲に包まれた! 「イナちゃあああーーーーん!!!!」
光が落ち着いていく。雲間から現れた影は…萩姫様だ! <そんな…> 「いや、待て!」 譲司さんが勘づいた瞬間、イナちゃんもゆっくりと立ち上がった。 オリベちゃんは胸を撫で下ろす。 「これが…私…?」 一方、自らの身体を見て唖然とする萩姫様は…
漆黒の着物が、紫陽花色の萌え袖ダボニットとハイウエストスキニージーンズに。 「そんな…こんな事されたら、私…」 市女笠は紐飾りだけを残してキャップ帽に変わり、ロケットランチャーは形はそのままに、ふわふわの肩がけファーポシェットに。 「私…もうあなたを攻撃できないじゃない!」 萩姫様はオルチャンガールになった。完全勝利!
「アハッ!」 相手を一切傷つけることなく試練を突破したイナちゃんは、少女漫画の魔法少女らしく決めポーズを取った。 「ウ…ウオォォー!すっげえなお前!!」 ファンシーすぎる踊り場に、この場で一番いかついジャックさんが真っ先に飛びこむ。 彼は両手を広げて構えるイナちゃんを…素通り! そのまま現代ナイズされた萩姫様の手を取る。 「オモナ!?」
「萩姫。いや、萩!俺は前から気付いていたんだ。 あんたは今風にしたら化けるってな! どうだ。あのクソ殺人鬼とクソ龍王をどうにかしたら、今度ポップコーンでもウワババババババ!!!!」 ナンパ中にオリベちゃんのサイコキネシスが発動し、ジャックさんは卒倒した。 オリベちゃんの隣にはほっぺを膨らましたイナちゃんと、手を叩いて爆笑するリナ。 「あっはははは、みんなわかってるゥ! ここまでセットで王道少女漫画よね!」
一方譲司さんはジビジビに泣きながらポメラー子ちゃんを頬ずりしていた。 「じ、譲司さん?」 「ず…ずばん…ぐすっ。教え子の成長が嬉しすぎで…わああぁ~~!!」 <何言ってるの。あんたまだ養護教諭にすらなってないじゃない> 「もうこいつ、バリに連れて行く必要ないんじゃないか?」 「嫌や連れでぐうぅ!向こうの子供らとポメとイナでいっぱい思い出作りたいもおおぉおんあぁぁあぁん」 「<お前が子供かっ!!>」 キッズルーム出身者二人の息ぴったりなツッコミ。 涙と鼻水だらけになったポメちゃんは「わうぅぅ…」と泣き言を漏らしていた。
程なくして、萩姫様は嬉し恥ずかしそうにクネクネしたまま結界札を剥がした。 「若者よ…あんっもう!私だって心は若いんだからねっ! 私はここで悪霊が出ないように見張ってるんだから…龍王なんかに負けたらただじゃ済まないんだからねっ!」 だからねっ!を連発する萩姫様に癒されながら、私達は最後の目的地、怪人屋敷二階へ踏みこんだ。
◆◆◆
ジャックさんが前もって話していた通り、二階は面積が少なく、一階作業場と吹き抜け構造になっている。 さっきまで私達がいたエントランスからは作業場が見えない構造だった。 影燈籠やスマホで照らすと、幾つかの食品加工用らしき機材が見える。 勘が鋭いオリベちゃんと譲司さんが不快そうに目を逸らす。 <この下、何かしら…?直接誰かがいる気配はないのに、すごくヤバい気がする。 まるで、一つ隔てた世界の同じ場所が人でごった返しているような…> 「その感覚は正しいで、オリベ。 応接室はエレベーターの脇の部屋や。そこに水家がおる。 そして…あいつの脳内地獄では、吹き抜けの下が戦場や」 <イナちゃん。清められる?> 「無理です。もし見えても一人じゃ無理です。 オルチャンガール無理しない」 <それでいい。賢明よ。みんなここからは絶対に無理しないで>
譲司さんの読みは当たっていた。階段と対角線上のエレベーターホール脇に、ドアプレートを外された扉があった。 『応接室』のプレートは、萩姫様の偽装工作によって三階に貼られていた。 この部屋も三階の部屋同様、鍵は閉まっていない。それどころか、扉は半開きだった。
まず譲司さんが室内に入り、スマホライトを当てる。 「水家…いますか?」 私は申し訳ないが及び腰だ。 「おります。けど、これは…どうだろう?」 オリベちゃんがドアを開放する。きつい公衆トイレみたいな臭いが廊下に広がった。 意を決して室内を見ると…そこには、岩?に似た塊と、水晶でできた置物のようなもの。 岩の間から洋服の残骸が見えるから、あれが水家だと辛うじてわかる。 「呼吸はしとるし、脳も動いとる。けど恐ろしい事に、心臓は動いとらん。 哲学的やけど、血液の代わりにカビとウイルスが命を繋いどる状態は…人として生きとるというのか?」 萩姫様が仰っていた通り、殺人鬼・水家曽良は、人間ではなくなってしまっていたんだ。
ボシューッ!!…誰かが譲司さんの問いに答えるより前に、死体が突如音を立てて何かを噴出した! 「うわあぁ!?」 私を含め何人かが驚き飛び退いた。こっちこそ心臓が止まるかと思った。 死体から噴出した何かは超自然的に形を作り始める。 こいつが諸悪の根源、金剛倶利伽羅…
「「<「龍王キッモ!!?」>」」 奇跡の(ポメちゃん以外)全員異口同音。 皆同時にそう口に出していた。 「わぎゃっわんわん!!わぅばおばお!!!」 ポメちゃんは狂ったように吠えたてていた。 「邂逅早々そう来るか…」 龍王が言う…「「<「声もキッモ!!?!?」>」」 デジャヴ!
龍王はキモかった。それ以上でもそれ以下でもない、ともかくキモかった。 具体的に描写するのも憚られるが、一言で言えば…細長い燃える歯茎。 金剛の炎を纏った緋色の龍、という前情報は確かに間違いじゃない。シルエットだけは普通の中国龍だ。 けど実物を見ると、両目は梅干しみたいに潰れていて、何故か上顎の細かい歯は口内じゃなくて鼻筋に沿ってビッシリ生えて蠢いてるし、舌はだらんと伸び、黄ばんだ舌苔に分厚く覆われている。 二本の角から尾にかけて生えたちぢれ毛は、灰色の脇毛としか形容できない。 赤黒い歯茎めいた胴体の所々から細かく刻まれた和尚様の肋骨が歯のように露出し、ロウソクの芯のように炎をたたえている。 その金剛の炎の色も想像していた感じと違う。 黄金というかウン…いや、これ以上はやめておこう。二十歳前のモデルがこれ以上はダメだ。
「何これ…アタシが初めて会った時、こいつこんなにキモくなかったと思うけど…」 リナが頭を抱えた。一方ジャックさんは引きつけを起こすほど爆笑している。 「あっはっはっは!!タピオカで腹下して腐っちまったんじゃねえのか!? ヒィーッひっはっはっはっはっは!!」 <良かった!やっぱ皆もキモいと思うよね?> 背後からテレパシー。でもそれはオリベちゃんじゃなくて、踊り場で待機する萩姫様からだ。 <全ての金剛の者に言える事だけど、そいつらは楽園に対する信奉心の高さで見え方が変わるの! 皆が全員キモいって言って安心したよ!> カァーン!…譲司さんのスマホから鐘着信音。フリック。 『頼む、僕からも言わせてくれ!実にキモいな!!』 …ツー、ツー、ツー。ハイセポスさんが一方的に言うだけ言って通話を切った。
「その通りだ」 龍王…だから声もキモい!もうやだ!! 「貴様らはあの卑劣な裏切り者に誑かされているから、俺様が醜く見えるんだ。 その証拠に、あいつが彫ったそこの水晶像を見てみろ!」 死体の傍に転がっている水晶像。 ああ、確かに普通によくある倶利伽羅龍王像だ。良かった。 和尚様、実は彫刻スキルが壊滅的に悪かったんじゃないかって疑ってすみません。 「特に貴様。金剛巫女! 成長した上わざわざ俺様のもとへ力を返納しに来た事は褒めてやろう。 だが貴様まで…ん?金剛巫女?」 イナちゃんは…あ、失神してる。脳が情報をシャットダウンしたんだ。
「…まあ良し!ともかく貴様ら、その金剛巫女をこちらに渡せ。 それの魂は俺様の最大の糧であり、金剛の楽園に多大なる利益をもたらす金剛の魂だ! さもなくば貴様ら全員穢れを纏いし悪鬼悪霊共の糧にしてやるぞ!」 横暴な龍王に対し、譲司さんが的確な反論を投げつける。 「何が糧や、ハッタリやろ! お前は強くなりすぎた悪霊を制御出来とらん。 せやから悪霊同士が潰し合って鎮静するまで作業場に閉じこめて、自分は死体の横でじっと待っとる! 萩姫様が外でお前らを封印出来とるんが何よりの証拠や! だまされんぞ!!」 図星を突かれた龍王は逆上! 「黙れ!!だから何だ、悪霊放出するぞコノヤロウ!! 俺様がこいつからちょっとでも離れたら悪鬼悪霊が飛び出すぞ!?あ!?」
その時、私の中で堪忍袋の緒が切れた。
◆◆◆
自分は��ると癇癪を起こす気質だと思っていた。 自覚しているし、小さい頃両親や和尚様に叱られた事も多々あって、普段は余程の事がない限り温厚でいようと心がけている。 多少からかわれたり、馬鹿にされる事があっても、ヘラヘラ笑ってやり過ごすよう努めていた。 そうして小学生時代につけられたアダ名が、『不動明王』。 『紅はいつも大人しいけど本気で怒らすと恐ろしい事になる』なんて、変な教訓が���ラスメイト達に囁かれた事もあった。
でも私はこの二十年間の人生で、一度も本物の怒りを覚えた事はなかったんだと、たった今気付いた。 今、私は非常に穏やかだ。地獄に蜘蛛の糸を垂らすお釈迦様のように、穏やかな気持ちだ。 但しその糸には、硫酸の二千京倍強いフルオロアンチモン酸がジットリと塗りたくられている。
「金剛倶利伽羅龍王」 音声ガイダンス電話の様な抑揚のない声。 それが自分から発せられた物だと認識するまで、五秒ラグが生じた。 「何だ」 「取引をしましょう」 「取引だと?」 龍王の問いに自動音声が返答する。 「私がお前の糧になります。その代わり、巫女パク・イナに課せられた肋楔緋龍相を消し、速やかに彼女を解放しなさい」 「ヒトミちゃん!?どうしてそん…」 剣呑な雰囲気に正気を取り戻したイナちゃんが私に駆け寄る。 私の首がサブリミナル程度に彼女の方へ曲がり、即座にまた龍王を見据えた。イナちゃんはその一瞬で押し黙った。 龍王が身構える。 「影法師使い。貴様は裏切り者の従者。信用できん」 返事代わりに無言で圧。 「…ヌゥ」
私はプルパを手に掲げる。 陰影で細かい形状を隠し、それがただの肋骨であるように見せかけて。 「そ…それは!俺様の肋骨!!」 龍王が死体から身を乗り出した。 「欲しいですか」 「欲しいだと?それは本来金剛が所有する金剛の法具だ。 貴様がそれを返却するのは義務であり…」 圧。 「…なんだその目は。言っておくが…」 圧。 「…ああもう!わかった!! どのみち楔の法力が戻れば巫女など不要だ、取引成立でいい!」 「分かりました。それでは、私が水晶像に肋骨を填めた瞬間に、巫女を解放しなさい。 一厘秒でも遅れた場合、即座に肋骨を粉砕します」
龍王は朧な半物理的霊体で水晶像を持ち上げ、私に手渡した。 像の台座下部からゴム栓を剥がすと、中は細長い空洞になっていて、人骨が入っている。 和尚様の肋骨。私はそれを引き抜き、トートバッグにしまった。 バッグを床に置いてプルパを像にかざすと、龍王も両手を差し出したイナちゃんに頭を寄せ構える。 「三つ数えましょう。一、」 「二、」 「「三!」」
カチッ。プルパが水晶像に押しこまれた瞬間、イナちゃんの両手が発光! 「オモナァッ!」 バシュン!と乾いた破裂音をたて、呪相は消滅した。 イナちゃんが衝撃で膝から崩れ落ちるように倒れ、龍王は勝利を確信して身を捩った。 「ウァーーッハハハハァ!!!やった!やったぞぉ、金剛の肋楔! これで悪霊どもを喰らいて、俺様はついに金剛楽園アガル「オムアムリトドバヴァフムパット」 ブァグォオン!!!! 「ドポグオオォオォォオオオーーーーッ!!?!?」
この時、一体何が起きたのか。説明するまでもないだろうか。 そう。奴がイナちゃんの呪いを解いた瞬間、私はプルパを解放したのだ。 赤子の肋骨だった物は一瞬にして、刃渡り四十センチ大のグルカナイフ型エロプティックエネルギー塊に変形。 当然それは水晶像などいとも容易く粉砕する!
依代を失った龍王は地に落ち、ビタンビタンとのたうつ。 「か…かはっ…」 私はその胴体と尾びれの間を掴み、プルパを突きつけた。 「お…俺様を、騙したな…!?」 龍王は虫の息で私を睨んだ。 「騙してなどいない。私はお前の糧になると言った。 喜べ。望み通りこの肋骨プルパをお前の依代にして、一生日の当たらない体にしてやる」 「な…プルパ…!?貴様、まさか…!」 「察したか。そう、プルパは煩悩を貫く密教法具。 これにお前の炎を掛け合わせ、悪霊共を焼いて分解霧散させる」 「掛け合わせるだと…一体何を」
ズブチュ!! 「うおおおおおおおぉぉぉ!!?」 私はプルパで龍王の臀部を貫通した。 「何で!?何でそんな勿体ない事するの!? 俺様があぁ!!せっかく育てた悪霊おぉぉ!!!」 私は返事の代わりに奴の尾を引っ張り、切創部を広げた。 「ぎゃああああああ!!!」 尾から切創部にかけての肉と汚らしい炎が、影色に炭化した。 「さっき何か言いかけたな。金剛楽園…何だと? 言え。お前達の楽園の名を」 「ハァ…ハァ…そんな事、知ってどうする…? 知ったところで貴様らは何も」
グチャムリュ!! 「ぎゃああああぁぁアガルダ!アガルダアァ!!」 私は龍王の胴体を折り曲げ、プルパで更に貫通した。 奴の体の一/三が炭化した。 「なるほど、金剛楽園アガルダ…。それは何処にある」 「ゲホッオェッ!だ、だからそんなの、聞いてどうする!?」 「滅ぼす」 「狂ってる!!!」
ヌチュムチグジュゥ!! 「ほぎいぃぃぃごめんなさい!ごめんなさい!」 更に折り曲げて貫通。魚を捌く時に似た感触。 蛇なら腸や腎臓がある位置だろうか。 少しざらついたぬめりけのある粘液が溢れ、熱で固まって白く濁った。 「狂っていて何が悪いの? お前やあの金剛愛輪珠如来を美しいと感じないよう、狂い通すんだよ」 「うァ…ヒ…ヒヒィ…卑怯者ぉ…」 「お前達金剛相手に卑怯もラッキョウもあるものか」 「……」 「……」
ゴギグリュゥ!!! 「うえぇぇえぇえええんいびいぃぃぃん!!!」 更に貫通。龍王は既に半身以上を影に飲まれている。 ようやくマシな見た目になってきた。 「苦しいか?苦しいか。もっと苦しめ。苦痛と血涙を燃料に悪霊を焼くがいい。 お前の苦しみで多くの命が救われるんだ」 「萩姫ェェェ、萩イィィーーーッ!! 俺様を助けろおぉぉーーーッ!」 すると背後からテレパシー。 <あっかんべーーーっだ!ザマーミロ、べろべろばー> 萩姫様が両中指で思いっきり瞼を引き下げて舌を出している映像付きだ。 「なあ紅さん、それ何かに似とらん?」 譲司さんとオリベちゃんが興味津々に私を取り囲んだ。 「ウアーッアッアッ!アァーーー!!」 黒々と炭化した龍王はプルパに巻きついたような形状で肉体を固定され、体から影の炎を噴き出して苦悶する。 <アスクレピオスの杖かしら。杖に蛇が巻きついてるやつ> ジャックさんとリナも入ってくる。 「いや、中国龍だからな…。どっちかというと、あれだ。 サービスエリアによくある、ガキ向けのダサいキーホルダー」 「そんな立派な物じゃないわよ。 東南アジアの屋台で売ってる蛇バーベキューね」 「はい!」 目を覚ましたイナちゃんが、起き抜けに元気よく挙手! 「フドーミョーオーの剣!」 「「<それだ!>」」 満場一致。ていうか、そもそもこれ倶利伽羅龍王だもんね。
私は龍王の頸動脈にプルパを突きつけ、頭を鷲掴みにした。 「金剛倶利伽羅龍王」 「…ア…アァ…」 するうち影が私の体を包みこみ始める。 影と影法師使いが一つになる時、それは究極の状態、神影(ワヤン)となる。 生前萩姫様が達せられたのと同じ境地だ。 「私はお前の何だ」 「ウア…ァ…」 「私はお前の何だ!?」
ズププ!「ぐあぁぁ!!肋骨!肋骨です…」 「違う!お前は倶利伽羅龍王剣だろう!?だったら私は!?」 ズプブブ!!「わああぁぁ!!不動明王!!不動明王様ですうぅ!!!」 「そうだ」 その通り。私は金剛観世音菩薩に寵愛を賜りし神影の使者。 瞳に映る悲しき影を、邪道に歪められた霊魂やタルパ達を、業火で焼いて救済する者!
ズズッ…パァン!!! 「グウゥワアァァアアアアーーーーー!!!!」 完成、倶利伽羅龍王剣! 「私は神影不動明王。 憤怒の炎で全てを影に還す…ワヤン不動だ!」
◆◆◆
ズダダダァアン!憤怒の化身ワヤン不動、精神地獄世界一階作業場に君臨だ! その衝撃で雷鳴にも匹敵する轟音が怪人屋敷を震撼! 私の脳内で鳴っていたシンギング・ボウルとティンシャの響きにも、荒ぶるガムランの音色が重なる。 「神影繰り(ワヤン・クリ)の時間だ」
悪霊共は、殺人鬼水家に命を絶たれ創り変えられたタルパだ。 皆一様に、悪魔じみた人喰いイタチの毛皮を霊魂に縫い付けられ、さながら古い怪奇特撮映画に登場する半人半獣の怪人といった様相になっている。 金剛愛輪珠如来が着ていた肉襦袢や、全身の皮膚が奪われていた和尚様のご遺体を想起させる。そうか。 「これが『なぶろく』とか言うふざけたエーテル法具だな」 なぶろく。亡布録。屍から霊力を奪い、服を着るように身に纏う、冒涜的ネクロスーツ!
「ウアァアァ…オカシ…オヤツクレ…」 「オカシオ…アマアァァイ、カシ…オクレ…」 悪霊共は理性を失って、ゾンビのように無限に互いが互いを貪りあっている。 「ウヮー、オカシダァア!」 一体の悪霊が私に迫る。私は風に舞う影葉のように倶利伽羅龍王剣を振り、悪霊を刺し貫いた。
ボウッ!「オヤツゥアァァァー!」 悪霊を覆う亡布録が火柱に変わり、解放された魂は分解霧散…成仏した。 着用者を失った亡布録の火柱は龍王剣に吸いこまれるように燃え移り、私達の五感が刹那的追体験に支配される。 『や…やめて��れぇー!殺すなら息子の前に俺を、ぐわぁあああああ!!!』 それは悪霊が殺された瞬間、最後の苦痛の記憶だ。 フロリダ州の小さな農村。目の前で大切な人がイタチに貪り食われる絶望感と、自らも少年殺人鬼に喉を引き千切られる激痛が、自分の記憶のように私達を苛む。 「グアァァァーーー!!!」 それによって龍王剣は更に強く燃え上がる!
「どんどんいくぞぉ!やぁーーっ!!」 「グワアァァァーーー!!」 泣き叫ぶ龍王剣を振り、ワヤン不動は憤怒のダンスを踊る。 『ママアァァァ!』『死にたくなああぁぁい!』『ジーザアァーーース!』 数多の断末魔が上がっては消え、上がっては消え、それを不動がちぎっては投げる。 「カカカカカカ!かぁーっはっはっはっはァ!!」…笑いながら。
「テベッ、テメェー!俺様が残留思念で苦しむのがそんなに楽しいかよ、 このオニババーーーッ!!!」 「カァハハハアァ!何を勘違いしているんだ。 私にもこの者共の痛みはしかと届いているぞぉ」 「じゃあどうして笑ってられるんだよォ!?」 「即ち念彼観音力よ!御仏に祈れば火もまた涼しだ! もっともお前達は和尚様に仏罰を下される立場だがなァーーーカァーッハッハッハッハァー!!!!」 『「グガアアーーーーッ!!!」』 悪霊共と龍王剣の阿鼻叫喚が、聖なるガムランを加速する。
一方、私の肉体は龍王剣を死体に突き立てたまま静止していた。 聴覚やテレパシーを通じて皆の会話が聞こえる。
「オリベちゃん!ヒトミちゃん助けに行くヨ!」 「わんっ!わんわお!」 <そうね、イナちゃん。私が意識を転送するわ> 「加勢するぜ。俺は悪霊の海を泳いで水家本体を探す」 「ならアタシは上空からね」 「待ってくれ。オリベ。 その前に、例のアレ…弟の依頼で作ってくれたアレを貸してくれ」 <ジョージ!?あんた正気なの!?> 「俺は察知はできるけど霊能力は持っとらん、行っても居残っても役に立てん! 頼む、オリベ。俺にもそいつを処方してくれ!」 「あ?何だその便所の消臭スプレーみたいなの? 『ドッパミンお耳でポン』?」 「やだぁ、どっかの製薬会社みたいなネーミングセンスだわ」 <商品名は私じゃなくて、ジョージの弟君のアイデア。 こいつは溶解型マイクロニードルで内耳に穴を開けて脳に直接ドーピングするスマートドラッグよ> 「アイゴ!?先生そんなの使ったら死んじゃうヨ!?」 「死なん死なん!大丈夫、オリベは優秀な医療機器エンジニアや!」 「だぶかそれを作らせたお前の弟は何者だよ!?」
こちとらが幾つもの死屍累々を休み無く燃やしている傍ら、上は上で凄い事になっているみたいだ。 「俺の弟は、毎日脳を酷使する…」ポンップシュー!「…デイトレーダーやあああ!!!」
ドゴシャァーン!!二階吹き抜けの窓を突き破り、回転しながら一階に着地する赤い肉弾! 過剰脳ドーピングで覚醒した譲司さんが、生身のまま戦場に見参したんだ!
「ヴァロロロロロォ…ウルルロロァ…! 待たせたな、紅さん…ヒーロー参上やあああぁ!!!」 バグォン!ドゴォン!てんかん発作めいて舌を高速痙攣させながら、譲司さんは大気中の揺らぎを察知しピンポイントに殴る蹴る! 悪霊を構成する粒子構造が振動崩壊し、エクトプラズムが霧散! なんて荒々しい物理的除霊術だろう! 彼の目は脳の究極活動状態、全知全脳時にのみ現れるという、玉虫色の光彩を放っていた。
「私達も行くヨ!」 テレパシーにより幽体離脱したオリベちゃんとイナちゃん、ポメラー子ちゃん、ジャックさん、リナも次々に入獄! 「みんなぁ!」 皆の熱い友情で龍王剣が更に燃え上がった。「…ギャアァァ!!」
◆◆◆
さあ、大掃除が始まるぞ。 先陣を切ったのはイナちゃん。穢れた瘴気に満ちた半幻半実空間を厚底スニーカーで翔け、浄化の雲を張り巡らさせる。 雲に巻かれた悪霊共は気を正されて、たちまち無害な虹色のハムスターに変化! 「大丈夫ヨ。あなた達はもう苦しまなくていい。 私ももう苦しまない!スリスリマスリ!」
すると前方にそそり立つ巨大霊魂あり! それは犠牲者十人と廃工場の巨大調理器具が押し固まった集合体だ。 「オォォカァァシィィ!」 「スリスリ…アヤーッ!」 悪霊集合体に突き飛ばされた華奢なイナちゃんの幽体が、キューで弾かれたビリヤードボールのように一直線に吹き飛ぶ! 「アァ…オカシ…」「オカシダァ…」「タベル…」 うわ言を呟きながら、イナちゃんに目掛けて次々に悪霊共が飛翔していく。 しかし雲が晴れると、その方向にいたのはイナちゃんではなく… <エレヴトーヴ、お化けちゃん達!> ビャーーバババババ!!!強烈なサイコキネシスが悪霊共を襲う! 目が痛くなるような紫色の閃光が暗い作業場に走った! 「オカヴアァァァ…」鮮やかに分解霧散!
そこに上空から未確認飛行影体が飛来し、下部ハッチが開いた。 光がスポットライト状に広がり、先程霊魂から分解霧散したエクトプラズム粒子を吸いこんでいく。 「ウーララ!これだけあれば福島中のパワースポットを復興できるわ! 神仏タルパ作り放題、ヤッホー!」 UFOを巧みに操る巨大宇宙人は、福島の平和を守るため、異星ではなく飯野町(いいのまち)から馳せ参じた、千貫森のフラットウッズモンスター!リナだ! 「アブダクショォン!」
おっと、その後方では悪霊共がすさまじい勢いで撒き上げられている!? あれはダンプか、ブルドーザーか?荒れ狂ったバッファローか?…違う! 「ウルルルハァ!!!ドルルラァ!!」 猪突猛進する譲司さんだ! 人間重機と化して精神地獄世界を破壊していく彼の後方では、ジャックさんが空中を泳ぐように追従している。 「おいジョージ、もっと早く動けねえのか?日が暮れちまうだろ!」 「もう暮れとるやんか!これでも筋肉のリミッターはとっくに外しとるんや。 全知全脳だって所詮人間は人間やぞ!」 「バカ野郎、この脳筋! お前に足りねえのは力じゃなくてテクニックだ、貸してみろ!」 言い終わるやいなや、ジャックさんは譲司さんに憑依。 瞬間、乱暴に暴れ回っていた人間重機はサメのようにしなやかで鋭敏な動きを得る。 「うおぉぉ!?」 急発進によるGで譲司さん自身の意識が一瞬幽体離脱しかけた。 「すっげぇぞ…肺で空気が見える、空気が触れる!ハッパよりも半端ねえ! ジョージ、お前、いつもこんな世界で生きてたのかよ!?」 「俺も、こんな軽い力で動いたのは初めてや…フォームって大事なんやなぁ!」 「そうだぜ。ジョージ、俺が悪霊共をブチのめす。 水家を探せるか?」 「楽勝!」 加速!加速!加速ゥ!!合身した二人は悪霊共の海をモーゼの如く割って進む!!
その時、私は萩姫様からテレパシーを受信した。 <頑張るひーちゃんに、私からちょっと早いお誕生日プレゼント。 受け取りなさい!> パシーッ!萩姫様から放たれたエロプティック法力が、イナちゃんから貰った胸のペンダントに直撃。 リングとチェーンがみるみる伸びていき、リングに書かれていた『링』のハングル文字は『견삭』に変化する。 この形は、もしかして…
「イナちゃーん!これなんて読むのー?」 私は龍王剣を振るう右手を休めないまま、左手でチェーン付きリングをフリスビーの如く投げた。すると… 「オヤツアァ!」「グワアァー!」 すわ、リングは未知の力で悪霊共を吸収、拘束していく! そのまま進行方向の果てで待ち構えていたイナちゃんの雲へダイブ。 雲間から浄化済パステルテントウ虫が飛び去った! 「これはねぇ!キョンジャクて読むだヨー!」 イナちゃんがリングを投げ返す。リングは再び飛びながら悪霊共を吸収拘束! 無論その果てで待ち構える私は憤怒の炎。リングごと悪霊共をしかと受け止め、まとめて成仏させた。
「グガアァァーッ!さては羂索(けんじゃく)かチクショオォーーーッ!!」 龍王剣が苦痛に身を捩る。 「カハァーハハハ!紛い物の龍王でもそれくらいは知っているか。 その通り、これは不動明王が衆生をかき集める法具、羂索だな。 本物のお不動様から法力を授かった萩姫様の、ありがたい贈り物だ」 「何がありがたいだ!ありがた迷惑なん…グハアァァ!!」 悪霊収集効率が上がり、ワヤン不動は更に荒々しく炎をふるう。 「ありがとうございます、萩姫様大好き!そおおぉおい!!」
<や…やぁーだぁ、ひーちゃんったら! 嬉しいから、ポメちゃんにもあげちゃお!それ!> パシーッ!「わきゃお!?」 エロプティック法力を受けて驚いたポメラー子ちゃんが飛び上がる。 空中で一瞬エネルギー影に包まれ、彼女の首にかかっていた鈴がベル型に、ハングル文字が『금강령』に変わった。 「それ、クムガンリョン!気を綺麗にする鈴ね!」 <その通り���密教ではガンターっていうんだよ!> 着地と共に影が晴れると、ポメちゃん自身の幽体も、密教法具バジュラに似た角が生えた神獣に変身している。
「きゃお!わっきょ、わっきょ!」 やったぁ!兄ちゃん見て見て!…とでも言っているのか。 ポメちゃんは譲司さん目掛けて突進。 チリンリンリン!とかき鳴らされたガンターが悪霊共から瘴気を祓っていく。 その瞬間を見逃す譲司さんではなかった。 「ファインプレーやん、ポメラー子…!」 彼は確かに察知した。浄化されていく悪霊共の中で、一体だけ邪なオーラを強固に纏い続ける一体のイタチを。 「見つけたか、俺を殺したクソ!」 「アッシュ兄ちゃんの仇!」 「「水家曽良…サミュエル・ミラアァァアアアア!!!!」」
二人分の魂を湛えた全知全脳者は怒髪天を衝く勢いで突進、左右の拳で殺人鬼にダブル・コークスクリュー・パンチを繰り出した! 一見他の悪霊共と変わらないそれは、吹き飛ばされて分解霧散すると思いきや… パァン!!精神地獄世界全体に破裂音を轟かせ、亡布録の内側からみるみる巨大化していった。 あれが殺人鬼の成れの果て。多くの人々から魂を奪い、心に地獄を作り出した悪霊の王。 その業を忘れ去ってもなお、亡布録の裏側で歪に成長させられ続けた哀れな獣。 クルーアル・モンスター・アンダー・ザ・スキン…邪道怪獣アンダスキン!
「シャアァァザアアァァーーーーッ!!!」 怪獣が咆える!もはや人間の言葉すら失った畜生の咆哮だ! 私は振り回していた羂索を引き上げ、怪獣目掛けて駆け出した。 こいつを救済できるのは火力のみだあああああああ!! 「いけェーーーッ!!ワヤン不動ーーー!!」 「頑張れーーーッ!」<燃えろーーーッ!> 「「<ワヤン不動オォーーーーーッ!!!>」」
「そおおぉぉりゃああぁぁぁーーーーーー!!!!」
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【コスチューム】黒炎の戦闘帽子(マーリン)
目次 ▼【グラクロ】【コスチューム】黒炎の戦闘帽子(マーリン)の基本情報 ▼【グラクロ】【コスチューム】黒炎の戦闘帽子(マーリン)のステータス ▼【グラクロ】【コスチューム】黒炎の戦闘帽子(マーリン)の着用可能キャラ ▼【グラクロ】【コスチューム】黒炎の戦闘帽子(マーリン)の評価 【コスチューム】黒炎の戦闘帽子(マーリン)の基本情報 部位 ビューティー レアリティ UR 入手方法 神器ショップ 価格 ダイヤ30個 【コスチューム】黒炎の戦闘帽子(マーリン)のステータス HP+1410 回復率+2% 再生率+4% 【コスチューム】黒炎の戦闘帽子(マーリン)の着用可能キャラ 【暴食の罪】マーリン 【コレクター】マーリン 【無限】マーリン 【コスチューム】黒炎の戦闘帽子(マーリン)の評価 神器ショップにてSALE中 通常であればURコスチュームはダイヤ30個と交換…
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2018年下半期と2018年全体の映画のこと
2018年下半期の鑑賞映画のリストと良かったもの10本です。新作・旧作混ざっていて、鑑賞順。リバイバル上映など、2018年公開映画ではないものは★マークがついています。 上半期はこちら。

『焼肉ドラゴン』 『オンリー・ザ・ブレイブ』 『ブリグズビー・ベア』 『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』 『ジュラシック・ワールド/炎の王国』 『モーリス 4K』★ 『犬ヶ島』(2回目) 『天命の城』 『カメラを止めるな!』 『私はあなたのニグロではない』 『万引き家族』 『ビューティフル・デイ』 『未来のミライ』 『人生はシネマティック!』★ 『ウインド・リバー』 『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』 『ファントム・スレッド』 『オーシャンズ8』 『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2回目) 『タリーと私の秘密の時間』 『ラッカは静かに虐殺されている』 『スターリンの葬送狂騒曲』 『ヒトラーを欺いた黄色い星』 『検察側の罪人』 『アントマン&ワスプ』 『検察側の罪人』(2回目) 『判決、ふたつの希望』 『ゴースト・ストーリーズ』 『1987、ある闘いの真実』 『寝ても覚めても』 『プーと大人になっ��僕』 『ザ・プレデター』 『クワイエット・プレイス』 『イコライザー2』 『アンダー・ザ・シルバーレイク』 『2001年宇宙の旅』★ 『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛』 『若おかみは小学生!』 『ヴェノム』 『search/サーチ』 『バッド・ジーニアス』 『テルマ』 『アメリカン・スリープオーバー』 『きみの鳥はうたえる』 『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』 『ボヘミアン・ラプソディ』 『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』 『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』 『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー 』 『イット・カムズ・アット・ナイト』 『ヘレディタリー/継承』 『ジュリアス・シーザー』 『恐怖の報酬【オリジナル完全版】』★ 『ゴッズ・オウン・カントリー』 『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』(2回目) 『来る』 『シュガー・ラッシュ・オンライン』 『アリー/ スター誕生』
下半期は、58回映画館で鑑賞しました。リバイバル上映映画が4本と2回以上見た映画が3つあったので、実質の新作映画は51本になるはずです。
自分と映画のトピックでは、8月の『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』をきっかけにトム・クルーズ祭りを行ったことです。同作は驚異のスタントやいびつな話展開の多くがトムのこだわりと肉体能力に依存しており、画面に写っているのがトム・クルーズなのかイーサン・ハントなのか見分けがつかなくなり、また、作り手もその曖昧さを魅力としている点が見受けられ……途中からとっても怖かった。作品と作り手はきっちり分けられないよ問題とはずっとつきあっていくしかないのですが、象徴のような作品と役柄だった。 好奇心が刺激された私は、この機会に偉大な俳優トム・クルーズと向きあってみようと過去作の鑑賞祭りを開催した。はじめに見たのが、宗教団体サイエントロジーのドキュメンタリー『ゴーイング・クリア』という辺り、趣旨と認識のズレには自覚があるが、トム本人のアイデンティティと密接に関わっているのではずせなかった。その後、『バリー・シール/アメリカをはめた男』『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』『マグノリア』『ア・フュー・グッドメン』『ナイト&デイ』『7月4日に生まれて』を鑑賞して、わずかながらトム・クルーズについて知りました。
二十代からシスヘテロの白人男性の理想に近い方なんですが、この立場を活かしながらもやや皮肉めいた・自罰的な役柄が目立っている。当人も役柄もマチズモの表面化は少ない。けれど、サイエントロジーに恋人女性をあてがってもらっている情報は完全にあかんゾーンに入っているし、レベッカ・ファーガソンはM:Iシリーズ撮影現場の誠実さを讃えているが、ディズニーをセクハラで辞めたジョン・ラセターがスカイダンス・プロダクションのアニメーション部門トップに就任した件もある。 スタントについては、『バリー・シール』で撮影中にパイロットが3人亡くなっているのに、『フォールアウト』であんな空中スタントを展開しているし、次は『トップガン2』ですしで、当人に止める意志はまったくなく、周りも止める意志はないのか低いのか…という次元にいるようです。 ぶっちゃけ、エンタメを身過ぎ世過ぎにしている世界だと、トム・クルーズという生き方を否定することは難しいから、今後も彼が望んだ路線は続くんだろうな。これが私の抱いたトム・クルーズへの印象です。 いち消費者としては、『フォールアウト』の骨折シーンは完全否定するけれど、それだけを理由に今後、トム・クルーズの出演映画を見ないかというと……撮影現場で事故が起こっていなかったら見るだろうな……割り切れない難しい…。 けれど、フィクションを取り巻く価値観アップデートは想像以上に早いので、トム・クルーズも自身が抱いた「トム・クルーズ」像から解き放たれて、新しい境地を見つけてほしい。単なる自分内の向き合いなので、オチはこの程度です。祭りのあいだもよその畑の収穫物を食べている感が続いていたので、これ以上、私とトムクルとの距離が縮まることはないでしょう。
さて、下半期に好きになった映画10本です。鑑賞順。
『ブリグズビー・ベア』

リアルとフィクションの曖昧さ、あるいは罪深さを捉えながら、現実で生活している人間たちを空想世界でつないでいた。友人くんが『ブリグズビー・ベア』を見たあと、主人公に「あの回、良かったよね」ていうところが大好きで大好きで。トム・クルーズについて書いたように、フィクション作りを巡る功罪には敏感でいたいのだが、私はこの映画に出てくる瞬間を目撃するために、今後もフィクション好きとして生きていくのだろうな。マーク・ハミルの使い方が最高だった!
『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』

女性差別の歴史、そして差別を打破した先人たちの偉業については無知ですので、ビリー・ジーン・キングというテニス選手もこの映画で初めて知りました。同時に、当時の人々の有形無形の差別意識には不快しかなかったし、現代まで残っている振る舞いがいくつもあることに絶望を感じた。あの「美しい女性なら認めてやろう」感、反吐が出るよね。ふたつのジェンダーの境目で、スティーブ・カレルが男性性に捕らわれていっちゃう流れが素晴らしかった。 この怒りの発露と一緒に描かれるのが、ビリー・ジーン・キングの"Who am I"です。私はこっちが主軸だと思ったし、周囲と反発や融和を繰り返しながら自分を見つける姿が美しかった。試合終了後のロッカールームのシーンに震えました。
『カメラを止めるな!』

話題になった最初期に見られたので、劇場では私も他の観客も大盛り上がりでした!!2018年で一番の劇場鑑賞体験!あまりに楽しすぎて、その後、近くの映画館で何度もかかったのに「初見の記憶を上書きしたくない」と見なかったという…。トリックと面白さはもちろん、インディーズ邦画でこんなにノイズの少ない作品が見られた点も幸福でした。現実をかなり反映しているであろう、ADの女性率の高さとかね、良かったね。
『万引き家族』

是枝裕和監督作品、カンヌ映画祭でパルムドール!と完璧な入射角で入ってきて、期待値を裏切らない誠実な作品でした。罪と幸せが同居した小さな世界はわずかな荷重で壊れることが明らかなものの、壊したいわけじゃない、続いてもいけない、壊れたあとはどうなるのという不安を使って、観客を傍観者から当事者に引っ張り上げようとしてい���。 海のシーンの樹木希林さんは、その後現実と重なってしまったけれど、私もあの瞬間、砂浜に座って家族を見つめる側になっていた。そういう演技が見られて幸福でした。
『検察側の罪人』

初見のあとTwitterに書いた「観客の予想の一歩先を行く展開と情報量と緊迫感と台詞の速さ!自分のギアがどんどん上がっていって、なのに追いつけないまま最後まで突っ走られたな」という作品でした。『万引き家族』は素晴らしかったけれど、映画体験としては本作が邦画ベストです。 木村拓哉のメタ感、現代日本に向かって突き立てた中指などアップデートポイントが多かった。たしかに原因と問題の辻褄はあってないんですが、こういう攻めの姿勢に徹した強い邦画がもっと見たいよ。 2回目鑑賞後に書いた「二宮和也の実年齢35歳なのに役柄で28歳くらいになって、でも仕事上40歳の貫禄を出さなきゃって演技」だけでお腹いっぱいだ。日本語映画だと、演技の魅力が100%味わえてうれしい!!
『1987、ある闘いの真実』

韓国の実力派俳優が結集して自国の罪と解放を描いており、その意欲と完成度に脱帽しました。私もこの事件をぜんぜん知らなかったけれど、本国でもあまり語られなかった、制作は綱渡りだったと聞いて、たった30年前のことが民主主義国家でも葬られる可能性があるのだと怖くなりました。 ここまで社会的な映画をいくつも上げているのは、「決して過去の過ちのひとつじゃない」がこの一年あまり私の肌感覚として存在しているからで、本作もそんな私を指差している。いざというとき、あのデモ隊のひとりになれるのかと、祈りのような気持ちでずっと考え続けている。
『バッド・ジーニアス』

初めてのタイ映画、とっても面白かった!カンニング・受験戦争・子供という素材がテーマに直結していて、主人公たちの不安が観客に伝播する演出になっていたけれど、カンニングに成功するのかという短期目標よりもテストが終わったあとの彼女たちの人生への不安のほうが大きく、作り手の照準も最初からそちらに合わさっていたな。だから、ぜひぜひ2を作ってほしいです。 配役や服装も含めた画面のスタイリッシュさが間口を広げていたね。リンちゃんはこの勝ち誇った顔が最高でした。
『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』

前作『ボーダーライン』はいまいち乗れなかったので、「まあ見とくか」気分で映画館に行ったら、アレハンドロとマットのあいだに巨大感情が出現した中盤で、めちゃくちゃ身を乗り出しました。アレハンドロが選択した道もマットの葛藤も、お互いへの感情を倍々に高めていって、なのにあの終わりだったので、見終わって映画館を出ても次の用事が思い出せず呆然としていた。 それだけ素晴らしい作品なんだよと言いたいのですが、違うんだ。前作が好きになれなかった理由は、メキシコ麻薬ものという現在進行系の国家絡みの犯罪を娯楽として描いている点です。アメリカさんは傍観者じゃなくて当事者なのに、格好良い仕事人と物知らずの素人ってオチにするのは良くないだろ。この続編では、さらに今日的な題材こと移民を取り扱っているのですが、この問題も主人公たちの引き立て役になっていて、私の倫理センサーはエラーを吐きっぱなしでした。脚本のテイラー・シェリダンは何をやってるんだ。『ウィンド・リバー』ではあんなに「おまえらも当事者なんだよ」怒りを叩きつけてきたじゃないか。 というむかむかがあったにも関わらず、主役2人がどろどろの関係になった瞬間に、頭の中でファンファーレが鳴り花火が上がり、男と男最高じゃん!となりました。ここまで、現実をフィクション化していいのか問題にふれて��たのに台無しです。 私の中の倫理は死んだ。 フィクションの「あかんねんけど大好き」問題とは、今後もつきあっていきたいです。完結編楽しみですね。
『ヘレディタリー/継承』

こだわりと不穏と絶望と呪いと謎と、私がホラーに求めるものがいっぱい詰まっていた上に、新しい世界が見られました。宇多丸さんがラジオで言っていた「世界を呪ったことがある人間の作品」という気持ちがぴったり当てはまった。家族があったかいものであれとは望むけれど、家族は呪いだよねって言われるとうなずいてしまうんだよ、困ったもんです。 2018年のホラーは『テルマ』と『イット・カムズ・アット・ナイト』と『来る』も良かったですね。『クワイエット・プレイス』はもうすこし意外性が欲しかった。
『ゴッズ・オウン・カントリー』

毎年このまとめで「男と男が!!!」と高らかに叫んでいる私ですが、やっと真っ向からのゲイ映画がランクインしました。『君の名前で僕を呼んで』や『モーリス 4K』もありましたが、私の好みは断然本作です。 鑑賞時は5回のみの公開、東京4回、大阪1回でしたのでチケット取りに熱意を燃やし、立ち見も出た劇場空間では観客たちが心をひとつにして、孤独な男2人が経て心を通わせあう様子を固唾をのんで見守りました。無音だけど応援上映。羊飼いと自然の、あるいは土地との向き合いが誠実だった。 ゲイ映画もここまで来たのだから、そろそろかわいいだけのラブコメや普通のアクション映画にゲイ恋愛が混じっているとかが見たいですね。
2018年の鑑賞本数は132本と、昨年から10本以上減りました。二次創作で忙しいときは映画館に行けなかったので……でも去年も同じだったな。単純に気力の問題かー…『クレイジー・リッチ』まだ見られてません。リバイバルが13本で2回以上が13回なのは、例年とそう変わらずで新作映画のみ108作と減りました。 傾向としては、国を問わず社会的な映画が増えていることで、世界全体の潮流ですし今後も増えるでしょう。
2017年に続いて、ドラマもいくつか鑑賞。邦ドラは『アンナチュラル』と『Anone』、Netflixで『ゴッドレス』と『マインド・ハンター』、Amazonプライムで『ウエストワールド』のS1、BBCのミニシリーズのアニメ『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』…こんなもんだっけ? お気に入りは『アンナチュラル』『ゴッドレス』『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』です。評価軸は固まってきたけど、根本的な好みは映画や他のエンタメと変わらない。シーズン終わりのクリフハンガーはお約束とか知るか。ちゃんと完結してる話が!!!好きです!!!!!!
恒例のアンケート回答です。
1 名前/性別/ブログURLもしくはTwitterアカウント ユズシマ/女/@yuzushimn
2 2018年に劇場公開された映画でよかったものを3つ教えてください 『スリー・ビルボード』 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』 『検察側の罪人』 自分的に、前2本は堅い枠で『検察側の罪人』は変化球枠です。ほころびといびつさと、それでも失われない強い怒りが好き。他の映画を引き合いに出すのは良くないんだけど、李相日監督『怒り』が日本の現代社会の問題点を背景に話を紡ぎながらも、個人の問題に収束させてしまったのとは逆パターンでした。
3 2で選んだ映画のなかで、印象に残っている場面をひとつ教えてください 『スリー・ビルボード』のミルドレッドがうさぎちゃんのスリッパでひとり芝居をしてるところと『検察側の罪人』でラブホに入るときに、橘沙穂がバイクの後部座席から中指を立てているところ。 これ!というキメのシーンが印象に残る場合と、何気なさが残る場合があって、2018年は何気なさに惹かれるお年頃でした。 『インフィニティ・ウォー』は、些細に見える場面も過去作が思いっきり目配せしてくるので、全シーンがキメでした。
4 今年いちばんよかったなと思う役者さんは誰ですか ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ 大好きな『X-MEN:ファースト・ジュネレーション』で名前と顔を覚えたのですが、役のバンシー自体の出演がなくなって、ケイレブくんの名前も聞かなくなっていたところ、『ゲット・アウト』『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』『スリー・ビルボード』と立て続けに良作に出演。トムクル祭りで見た『バリー・シール』も良かった。気弱さと不穏さ、突き詰めて言うと幸薄そう…という雰囲気がアクロバットな動線を作っている。今後も出演予定ががっつり詰まっているので、活躍が楽しみです。
5 ひとことコメント 鑑賞本数減らしたくないけれど、鑑賞本数に縛られてまで映画を見たくないという曖昧さでやっていきます。
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建国以来の大変化 「敗戦」 他国による占領」 米軍の爆撃機 機銃掃射 空から焼夷弾 空襲が日常茶飯事 防空豪 小学校が炎上 鮭の缶詰 学徒動員 終戦の詔勅
今世紀(20世紀)は、我が国にとって建国以来の大変化に次々と遭遇した世紀であった。 約300年の鎖国から明治維新を経て世界の舞台に再登場した直後、日清戦争、日露戦争、更には第1次世界大戦と、世界の大国を相手とした戦争を続けさまに経験し、遂には第2次世界大戦に突入して、日本の歴史で初めての「敗戦」と「他国による占領」を体験した。
私は1937年(昭和12年)の生まれであり、この年は偶々第2次世界大戦が始まった年でもあった。 敗戦を迎えた時は7歳(小学校2年生)であった。 「第2次世界大戦」「敗戦」「他国による占領」と言う歴史的大変化の時期に、自分の身近で起きた出来事を記載して次の世代に伝えておくことは、貴重な体���をさせてもらった者の義務であろうと考えている。
当時私達の家族は西宮市に住んでいたが、もの心がついた頃には既に米軍の爆撃機による毎日の様な空襲が始まっていた。 空襲は昼夜を問わず何時来るか分からないので、寝る時も服と防空ズキン(雪国で子供たちが被っている綿入りの四角い頭巾)を常に枕元に置いておき、空襲警報が鳴れば直ぐに起き出して、防空壕へ逃げ込める様に用意していた。
米軍の爆撃機B-29(アメリカ ボーイング社製の4機プロペラを持つ大型機)が南の島(硫黄島か沖縄)から飛んで来ると先ず「警戒警報」が発せられ、ラジオが通常放送を中断して敵機が近付きつつあることを伝え、サイレンが鳴らされる。 更にB-29近づくと2段階目の「空襲警報」が放送され、短い間隔で断続するサイレンが鳴らされる。 敵機が去ってしまうと「空襲警報解除」となる。
昼間学校にいても「警戒警報」が鳴ると授業を中止して家へ帰って、近くの防空壕へ非難することになっていた。 通常は「警戒警報」があってから2、30分の時間を置いて「空襲警報」が発せられるのだが、時には「警戒警報」と「空襲警報」がほぼ同時に出たり、「警戒警報」が出ずいきなり「空襲警報」が出る時もあった。
ラジオの警報ではアナウンサーが、「敵B-29の編隊は、現在潮の岬方面にあって摂津地方に向かっています」などとわざわざ古い地名(摂津、播磨、難波など)を使っていた。 これは米軍がラジオを聞いた時に意味が分からない様にするためだと聞いたが、全く馬鹿げた話である。 自分達が被っていた防空ズキンもどれほどの効果があるのか不明だし、竹槍の使い方を練習して米軍が上陸してきたらこれで戦うと言っていたのだから、今から思えば何の効果もない単なる精神論であったように思う。
ある日こんなこともあった。 学校にいると空襲警報が鳴りだしたので授業は中止となり、給食のコッペパン(少し味の付いたパン)を貰って同じ小学生の仲間2、3人と帰宅していた。 学校から家までは500メートル程だったが、途中道を歩いていると空から艦載機(航空母艦から発進するグラマン社やロッキード社製の戦闘機)が飛んできて、空から機関銃で我々を撃ってきた(機銃掃射と言っていた)。 慌てて道添いのよその家に逃げ込んで無事だったが、艦載機は地上から操縦士の顔が見える程低空を飛ぶので本当に恐い。
B-29の場合はかなり高空を飛んでくる。 1センチ程の大きさに見えたと思うから5000とか8000メートルの高度であったろうか。 晴れていると5、6機が編隊を組んで飛んで来るのがよく見えた。 あまり恐いとも思わず眺めていた。 高射砲(飛行機を撃ち落とすため地上に置かれた大砲)が鳴るのは何度も聞いたが、撃ち落とされるのを見た事はない。
B-29が空から焼夷弾(しょういだん 直径約10センチ、長さ約1メートルの鉄製の筒に油性の燃料が詰められている)を落とすのを見たこともあった。 それは夏の夕方で、花火が落ちてくる様に見えた。 焼夷弾は飛行機から落とされる時は10本程が鉄製のベルトで束ねられており、落ちてくる途中でベルトが外れて1本づつばらばらになるようになっている。 そのため夜間地上から見ていると、雲の上から小さな花火の様にひかるものが何10個と落ちてきて、途中ではじけて沢山の花火に変わりながら更に落ちて行く。
10分か15分もすると、さっき花火が落ちた辺りの空が明るくなる。 下では民家が焼けて空を明るくしているのだ。 悲しいがきれいな光景であった。 しかし「空襲が恐い」と感じたことはなかった。 なにしろ、もの心付いた時は既に戦争の真っ只中であり、空襲が日常茶飯事となっていたので、空襲は私にとって通常の生活そのものとなっていたのだから。
我々が何時も避難していた防空豪は家から200メートル程離れた所に作られた大型のものだった。 100人は十分収容できたと思う。 小高い砂山を掘って幅7、8メートル奥行き20メートル程のトンネルになっていた。 内部は酒造メーカーが使っていた大型の酒樽の廃材(厚さ5センチ、幅30センチ程の木の板)を利用して、土が崩れてこない様に壁と天井を支えていた。
昭和20年7月頃のある夜中、母親が「空襲警報やで。 起きよ。」と起こしてくれたので、何時もの様に服を着、防空ズキンを被って家族と共に防空壕へ避難した。 例によってB-29が飛来し、その夜は防空壕のすぐ近くにあった10数件の新築の家に焼夷弾が落とされ全戸が火事となった(なぜかそんな時期に10数件の家がまとまって新築されていた)。 目の前が火事となり、防空壕へ燃え移るかも知れな状況となったため、防空壕に避難していた全員はちりじりになって壕から逃げ出し避難した。 私は防空壕から出る際、家族と離れてしまい兄(小学校5年生)と近所のおばさんの3人で、広い麦畑(ねぎ畑だったかも知れない)に逃げ込んだ。
少し経って焼夷弾の投下は治まったので、麦畑を出て毎日通っていた小学校の方に向かった。 校門を入ると、木造2階建てで明治に建てられた小学校(当時は国民学校と呼ばれていた)の校舎がバリバリと大きな音をたて、夜空に炎を上げて我々の目の前で燃えていた。 同じ夜の空襲で焼夷弾を落とされたのだった。 自分の通っていた学校が炎を上げて焼失するのを、兄と一緒にただ呆然と眺めていたことを今でも鮮明に思い出せる。
小学校で常々やっていた、水を入れたバケツを大勢の人がリレー式に運ぶ消防訓練や、棒の先に縄を結びつけた火消し棒(現在拭き掃除に使うボンテと同じ様なもの)で叩く消火練習は、何一つ役に立たなかった。 B-29と焼夷弾に歯が立つ訳もなかったのである。 その後3人で家に帰った。 幸い我が家は焼けずに残っており、家族も全員無事であった。
学校が焼失した翌日、兄と学校へ行った。 空襲が激しかったためか、或いは休みの日だったのか定かではないが、学校にはほんの少しの生徒しかいなかった。 完全に焼失した校舎の焼け跡を何とはなしにうろついていた時、その一角に鮭の缶詰が沢山散らばっているのを見つけた。 鮭缶は現在売られているのとほぼ同じ大きさで、中身も同じである。 焼けてパンクしているものや、外側は黒焦げになっているが缶はしっかりしているもの、殆んど焼けていないものなど、様々である。 さっそく手で摘まんで食べてみると、何と美味しいことか。 二人で食べた鮭の味は、こりこりしたあの鮭の骨の歯ごたえと共に、今でもはっきりと思い出せる。
この缶詰は学校に駐留していた日本の軍隊が非常用として教室に備蓄していたものであった。 その後何日かして、この缶詰が生徒全員に分配され、家で食べた記憶がある。 私にとっての鮭缶は、特別の思い出のある食べ物である。
そんなことがあった少し前、小学校の校長が交代し、新校長の就任式があった。 校庭に生徒達が並び、その前を校長を先頭に何名かの人達(先生達であったかも知れないが、記憶が定かでない)が静かに行進して所定の場所についた。 校庭には畑や防空豪もあった。 学校のどこかに兵隊が駐屯していた様な気がする。
校長は戦闘帽(薄茶色の布製の帽子で当時そう呼ばれていた)をかぶり、鉄兜(鉄製のヘルメット)を首の後ろに掛けて、軍人と同じ服装をしていた。 校長が戦争をするわけでもないのだが、当時は大人達の多くがその様な格好をしていた。 要は何時でも戦えますよと言う「格好付け」である。 総ての国民が軍隊色一色に染め上げられていた。 悲しいことに日本全体が「軍人にあらざれば、人にあらず」の雰囲気になっていた。 学校もその雰囲気にどっぷりとつかっていた。 何しろ「学徒動員」と称して中学生まで戦争に駆り出されていたのだから。
私と同じ学校に通っていた姉(小学校高等科と呼ばれて、今の中学2年生に当たる)もその学徒動員で、学校から何人かの級友と共に兵庫駅近くの工場(今思うと、家から1時間はかかっていたと思う)に派遣されていた。 そこには軍需工場があり、どんな仕事をさせられていたのかは知らない。
ある日その姉が工場から帰ってきて、家へ着くと同時に母親にすがって泣き出したことがあった。 聞けば何かの事情で工場から全員が家に帰ることになったのだが、電車が不通で利用できず、友達と一緒に線路を伝って家まで歩いて帰ってきたのだと言う。 当時電車でも30分は掛かり、距離にすれば20キロはある。その道のりを中学2年生の女の子達が線路の上を歩いて帰ってきたのである。 どんなに恐く辛かったことか。 今思い出しても涙が出る。
空から米軍の飛行機が反戦ビラを撒いたこともあった。 内容はよく覚えていないが、早期の降伏を勧告するものだった様に思う。 その内容で一つだけ覚えている言葉がある。 それは「・・・は焼け野原、花の都は後回し」と言うもので、・・・は大阪だったか何処だったか忘れてしまった。 要は花の都即ち、京都、奈良は当分無事で、空襲しないと言うことだった。 京都、奈良は歴史的な建物が多くあり(軍需工場は少ない)アメリカとしても多くの文化財を灰にするのは忍びなかったのであろう。 また、それだけの余裕を持って日本と戦っていたのだ。 それに比べて日本は「鬼畜米英」(アメリカ、イギリスは鬼や畜生、人間ではない)と称して唯々敵視し、国民の不満や恨みを国内問題から国外へ向けさせるのにやっきになっていた。
そんなある日、ラジオで重大放送があると言う話が何処からか伝わってきた。 昭和20年8月15日、終戦の詔勅(玉音放送)であった。 当時、ラジオのない家庭が多かったが、たまたま私の家はラジオがあったのでそれを聞くことができた。 初めて聞く天皇の声は、低くて抑揚が少々ずれた感じのする、私には全く意味不明の内容であった。 ラジオ放送は未だ民間放送などなく、NHK第1、第2放送のみであった。 小学生の私には終戦が何を意味するかさえ理解できなかった。 何しろもの心付いた時は既に戦争の真っ只中であり、空襲が日常の出来事の様に感じていたのだから。 しかし、これで総べてが終わった。
戦争が終わった後も、小学生の私には特別変わったことはなかった。 毎日の空襲はなくなったが、焼けた小学校は戻って来なかった。 ���舎がなくなったので、1キロ程離れた別の小学校の教室を借りて授業が始まったが、校舎再建の目途はないので、翌年の4月には元の小学校は廃校となり、間借りをしていた学校に吸収されてしまった。
進駐軍(米軍)の戦車や隊列を組んだ軍隊などは全く見かけることはなく、平穏な占領であった。 時たまMP(米軍の警察兵)がジープに乗って通り過ぎることがあったり、米兵が遊びで町を歩いているのを見る程度だった。
ここまで書いてきたことは総べて終戦もま近となった、昭和20年の夏頃から翌年に掛けての思い出である。 ほんの1年ばかりの思い出であるが、生涯忘れることの出来ない鮮烈な印象である。
戦争の体験(その2 戦後)
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01 - TIGHTROPE 「 Title Screen 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- タイトル画面BGM
「-reincarnation- ver. 」 http://www.youtube.com/watch?v=Dq8Z6C...
【 オリジナルアーティスト 】 鮮やか炎 x サンストーン - タイトロープ
02 - MEMORIES 「OPテーマ-1」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- OPENING THEME - 1 『 ACT I 』
【 オリジナルアーティスト 】 メグ - はなび
03 - GET AWAY 「OPテーマ-2」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- OPENING THEME - 2 『 ACT I 』
【 オリジナルアーティスト 】 マイア平沢 x 土壌 & "ポン引き" セッション - ムーヴィン
04 - ARIA OF THE SOUL 「 リマスター 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 全ての人の魂の詩 「 リマスター 」
【 オリジナルアーティスト 】 障子目黒 x イスマエル x 猫帽子フィドル x サンストーン - 全ての人の魂の詩
05 - URBAN SPRAWL 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 都市スプロール
【 オリジナルアーティスト 】 ジャバループ x サンストーン - スペース大怪獣なし逆襲
06 - AWAKENING 「 sequence version 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 目ざめ [eng. dub]
【 オリジナルアーティスト 】 カプセル x サンストーン - 建設 x フラッシュバック
07 - NYARLATHOTEP 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 女性ニャルラトホテプ
【 オリジナルアーティスト 】 メグ - ちょうどそのように
08 - PULLING THE STRINGS 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 文字列を引っ張って
「 reincarnation ver. 」 http://www.youtube.com/watch?v=z1JlZB...
【 オリジナルアーティスト 】 高田 雅史 - 三雲
09 - FEEL SO COOL 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 冷感
【 オリジナルアーティスト 】 鵜飼 康弘 - 私にキスする、私にキスする
10 - HOME 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- ホーム
【 オリジナルアーティスト 】 ディージェイ・デックストリーム x スザンヌ·ヴェガ - トムのダイナー
11 - FIGHT THEME 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 戦闘のテーマ BATTLE BGM - 1
「-reincarnation- ver. 」 http://www.youtube.com/watch?v=oDXLd_...
【 オリジナルアーティスト 】 鵜飼 康弘 - 上昇コア
12 - RESULT OF BATTLE 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 戦いの結果
【 オリジナルアーティスト 】 ディージェイ・デックストリーム x カーティス·メイフィールド - 外トリッピング
13 - SHUFFLE TIME 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- シャッフルタイム
【 オリジナルアーティスト 】 ジャバループ - エリア51
14 - HOTSHOT 「 Boss BGM 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- ホットショット BOSS BGM
【 オリジナルアーティスト 】 鵜飼 康弘 - ゴッドスピード
15 - SELF CONTROL 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- セルフコントロール
【 オリジナルアーティスト 】 ジャバループ - 風の後ろに
16 - MORNING WAKE 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 朝の目覚め
【 オリジナルアーティスト 】 鵜飼 康弘 x サンストーン - 滞在ゴールド
17 - JUNES THEME 「 P5 version 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- ジュネスのテーマ
【 オリジナルアーティスト 】 鵜飼 康弘 x サンストーン - コーヒー
18 - MELANCHOLY 「 Game Over 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- ゲームオーバーBGM
【 オリジナルアーティスト 】 メグ - イントロ
19 - ɹoɹɹıɯ, mirror 「 The Other Side 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- ミラー、ミラー ALTERNATE WORLD
【 オリジナルアーティスト 】 鵜飼 康弘 x サンストーン - 雪線
20 - DISTORTED MALL 「 Dungeon BGM 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- ダンジョン歪んモール DUNGEON BGM - 1
【 オリジナルアーティスト 】 鵜飼 康弘 x サンストーン - ターンテーブルはまだ燃えて
21 - DANGER 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 危険性
【 オリジナルアーティスト 】 中塚武 - 甘い時間
22 - DO OR DIE 「 Boss BGM 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- DISTORTED MALL BOSS BGM
「-reincarnation- ver. 」 www.youtube.com/watch?v=9dqROFVos1w
【 オリジナルアーティスト 】 メグ - 毒性
23 - GET THIS PARTY STARTED 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- このパーティを始める
「reincarnation ver. 」 www.youtube.com/watch?v=U3gsBd6jAZA
【 オリジナルアーティスト 】 カワサキ x マエストロ長岡 x ケリー さえ x サンストーン - 始めましょう
24 - WINDOW SHOPPER 「 Store BGM 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 店BGM - 1
【 オリジナルアーティスト 】 インディゴジャムユニット - 夏季
25 - WHAT SHOULD I GET? 「 Store BGM 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 店BGM - 2
【 オリジナルアーティスト 】 鵜飼 康弘 x サンストーン - 本や銃
26 - WEAPON MASTER 「 Store BGM 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 店BGM - 3
【 オリジナルアーティスト 】 鵜飼 康弘 - おはようフリーク
27 - JIKA NET TANAKA 「 Super Bonus Round! 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 時価ネットたなか
【 オリジナルアーティスト 】 鵜飼 康弘 x 障子目黒 x サンストーン - ガール ザ ジャップ
28 - GET ON DOWN 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 間奏
【 オリジナルアーティスト 】 ディージェイ・デックストリーム x ケニー·ドープ - 下る
29 - ATTRACTION 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 間奏
【 オリジナルアーティスト 】 野崎良太 x サンストーン - 魅力
30 - SENTIMENTAL 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- センチメンタル WEATHER BGM - RAINY
【 オリジナルアーティスト 】 土岐麻子 x サンストーン - センチメンタル
31 - OMEN 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 前兆
【 オリジナルアーティスト 】 カプセルx サンストーン x - ゲートウェイ
32 - DISTORTED SCHOOL 「 Dungeon BGM 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- ダンジョン歪んだ学校 DUNGEON BGM - 2
【 オリジナルアーティスト 】 マエストロ長岡 x ピンク·フロイド x サンストーン - 壁内の別のれんがpt.2
33 - WILD CARD 「 Boss BGM 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- ワイルドカード DISTORTED ARCADE BOSS BGM
「-reincarnation- ver. 」 http://www.youtube.com/watch?v=clb3Wk...
【 オリジナルアーティスト 】 野崎 x サンストーン - リアルクローズ
34 - REMINDER 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 備忘
【 オリジナルアーティスト 】 中田 ヤスタカ - 眠そうな少女
35 - AU PÉCHÉ MIGNON 「 Theme of Marie 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- マリー
「-reincarnation- ver. 」 http://www.youtube.com/watch?v=wzQNQL...
【 オリジナルアーティスト 】 野崎 - 耽溺
36 - SOUL CHECK 「 Boss BGM 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 魂のチェック BOSS BGM
【 オリジナルアーティスト 】 じん x サンストーン - カゲロウデイズ
37 - BEAUTIFUL 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 美しい
「-reincarnation- ver. 」 http://www.youtube.com/watch?v=w-BN70...
【 オリジナルアーティスト 】 野崎 x お忍びで x サンストーン - 美しさ·フロー
38 - HALL OF MIRRORS 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 鏡のホール
【 オリジナルアーティスト 】 エリック x サンストーン - 病気の気持ち
39 - DISTORTED FUNFAIR 「 Dungeon BGM 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- ダンジョン歪んだカーニバル DUNGEON BGM - 3
【 オリジナルアーティスト 】 鵜飼 康弘 x サンストーン - 私を揺する
40 - HAUNTED HOUSE 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- お化け屋敷
【 オリジナルアーティスト 】 圭一百瀬 x サンストーン - 不安
41 - BOOGEYMAN 「 BOSS BGM 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 刈り取る者 REAPER BOSS BGM
【 オリジナルアーティスト 】 土壌 & "ポン引き" セッション x サンストーン - 寝物語
42 - CIRCUS MAGIC 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- サーカスマジック
【 オリジナルアーティスト 】 クロドリ - 謝肉祭
43 - MIND CRUSH 「 BOSS BGM 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 押し潰す DISTORTED FUNFAIR BOSS BGM
「-reincarnation- ver. 」http://www.youtube.com/watch?v=gqNTs9...
【 オリジナルアーティスト 】 土壌 & "ポン引き" セッション x サンストーン - 押し潰す
44 - EPIPHANY 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- エピファニー
「-reincarnation- ver. 」 http://www.youtube.com/watch?v=_OD-nL...
【 オリジナルアーティスト 】 みちる秋吉 x サンストーン - エピファニー
45 - GRAY
(Description lost)
46 - NANIWA ARCADE 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- なにわアーケード
【 オリジナルアーティスト 】 鵜飼 康弘 x サンストーン - ラブミードゥー
47 - DISTORTED ARCADE 「 Dungeon BGM 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 歪アーケード DUNGEON BGM - 4
【 オリジナルアーティスト 】 中塚武 x サンストーン - シート間の愛
48 - CONTROL FREAK 「 BOSS BGM 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 制御変わり種 DISTORTED ARCADE BOSS BGM
「-reincarnation- ver. 」 http://www.youtube.com/watch?v=Lz4hgf...
【 オリジナルアーティスト 】 メグ x サンストーン - 狂信者
49 - DOWNTOWN NANIWA 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- ダウンタウンなにわ
【 オリジナルアーティスト 】 DJおかわり x サンストーン - 放課後
50 - AMERIKAMURA SALOON 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- アメリカ村バー
【 オリジナルアーティスト 】 しんご x サンストーン - ナイスミドルブギ
51 - …DRAW! 「 Persona Duel 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- ペルソナ決闘
【 オリジナルアーティスト 】 野崎 x サンストーン - 決闘
52 - LIGHT THE NIGHT 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 夜の光
【 オリジナルアーティスト 】 鮮やか炎 x サンストーン - 砂漠ボール
53 - BEHIND THE LOOKING GLASS 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 鏡の後ろに 「 PUPPET MASTER 」
【 オリジナルアーティスト 】 佐藤直樹 - 無力な
54 - CIGARETTE SMOKE 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 鳴海 エリカ 「 Theme of Detective Erika Narumi 」
【 オリジナルアーティスト 】 佐藤直樹 - たばこの煙 実例 - 岩本榮利
55 - NARUMI DETECTIVE AGENCY 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 鳴海探偵社 真・女神転生 RAIDŌ KUZUNOHA
【 オリジナルアーティスト 】 カムカルテット - クールの復活
56 - THE STRANGER 「 Theme of Victor 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 余所者●ヴィクター
【 オリジナルアーティスト 】 大黒マキ x ビリー·ジョエル - 余所者 実例 - 京
57 - E-MAIL 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 電子メール 「 mobile phone 」
【 オリジナルアーティスト 】 柴田徹也 x 阿部功 - 保存して終了
58 - TAKE YOU HIGHER 「OPテーマ-3」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- OPENING THEME - 3 『 ACT II 』 「extended ver.」
【 オリジナルアーティスト 】 歩* x 栗原 悟 x ジャバループ - より高いあなたを取る
59 - ANOTHER STORY 「OPテーマ-4」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- OPENING THEME - 4 『 ACT II 』 the rabbit hole 「extended ver.」
【 オリジナルアーティスト 】 有希 x 野崎 良太 - ベッドタイムストーリ
60 - ONE DAY… 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 或る日。。。
【 オリジナルアーティスト 】 マスター卓 - 一
61 - FALLIN’ FOR YOU 「 Theme of Risette 」 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- あなたのための落下
【 オリジナルアーティスト 】 平田志穂子 x 弘明渡辺 x 浩平佐藤 x サンストーン - あなたのための落下
62 - MOTLEY CREW OF FOOLS
【MOTLEY CREW OF FOOLS L-R】
► Martial Arts Vigilante - Shingo Yamato ► Hotshot Slacker - Kazuya Gavin ► Persona 5 Protagonist ► Self-Exiled Imperial Princess of Japan - Asuka Kurihara ► Guitarist/Former Bosozoku - Hibana Osawa
真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 愚か者のモトリー·クルー
【 オリジナルアーティスト 】 ザ・スリル - 新しいオデッセイ
63 - WAKAMONO DISTRICT 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 若者地区
【 オリジナルアーティスト 】 千葉直樹 - レイヴを立ち上げ
64 - DO FOR LOVE 真・女神転生 ペルソナ5 音楽 -ファン選定- 愛のために行う
【 オリジナルアーティスト 】 LOTUS JUICE x 川村ゆみ x 目黒将司 - 愛のために行う
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ぼくとスーパーダンガンロンパ2 CHAPT. 6-1
禊を果たす 前回のログを見直していたら「アクタージュ」の作品タイトルには別に『!』ついていなかった。きららアニメの見過ぎか? 前回の分の記事を書いたと思ったら古戦場予選が始まってなんとか最後までプレイしたと思ったら古戦場本戦が始まってやっと終わったと思ったら明日はファイアーエムブレム風花雪月の発売日アアアァァァァ”””””””””””””””””””””””””ァァァァァアアアアアアアアアア ”””””” ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 働きたくね~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
などと下書いていたらファイアーエムブレム風花雪月が発売されてしまった。なんてことだ……
…………それでもやるべきことをやって、前に進まねばならない。七海千秋がそう教えてくれたから。 というわけで働く、もとい、このゲームについて最後の記事を書こう。いやここまで来て書かないのはもうありえないでしょ……これ……。
いきなり何か始まるよね、うん。
絶好調だよねこいつ! で、これいつの時系列だ? あいつ=アレだろうから1の後になるんだろうけど、南の島にいた狛枝の左腕はこんなんだったか? いやそんなわけはない。じゃあいつのだこれ……? ……などというのを、この時点でちゃんと考えられていたのなら。そもそも前作にもましてなお精神がおかしくなる描写が直接的なことの意味をもっと考えていたのなら。こんなにもやられた! という気持ちになることもなかったろうに。
気が付けばイマジナリーフレンドも消滅、ついにこの世界の真実を教えてくれるのだという。ネタバラシ編だぁ。ってここ希望ヶ峰学園じゃねーか! PSP時代にそんなところ��容量を使うんじゃあない!
5階。予備学科と希望ヶ峰学園史上最大最悪の事件、人類史上最大最悪の絶望的事件の情報を入手。前作で見た事件現場に入れると思ったら入れなかった。というかこのジャギジャギいつまで続くの? 見づらいんだけど。
えー、あー……神座? ラーメン屋じゃなくて……あ、4章で見た。創立者だっけ? しかしこの時点で僕は創立者の下の名前を覚えていない! 神座を覚えていたのもラーメン屋のおかげである! おかげで「ふーん、子孫か」などという適当な推察しか出来ていない!
予備学科、ガチ炎上案件だなあ。「あなたの才能が見つかるかも!?」「一緒に希望になろう!」「充実した教育環境!」などといった欺瞞あふれるキャッチコピーが世に出回っていただろうことを考えると笑えてくる。もちろん世の中には政治というものがあるので仕方ないのだがギリギリ父割とあくどい事やってるの笑えるな。希望を望む人間の裏側、別の側面? まあ狛枝見てるとそういうのもテーマの一環なんだなってのはよく分かるよね(?)。 とか言ってたら人類史上最大最悪の絶望的事件が広まる背景に予備学科の爆発とそれに対するネットコミュニティへの伝搬が含まれてて笑った。しっかり悪用されてんじゃねーか! 前作でいくら学園でやべー事件が起きたからってそんな世界中に広がるか……? とか思ってたのをちゃんと裏付けてきたのはカーッ分かってやがるという感じ。根本的理由の「黒幕のなんかものすごいカリスマ」はもうそういうものだとしておく。
個人的にはこの「コロシアイ」はある意味で希望があるんじゃないかという思想も持ち合わせているんですが、ただの破滅願望という気はしないでもない……。狛枝の言う「より強い希望が勝つ」ってのはようはこういうことですよね。希望同士がぶつかっていようが元から希望がなかろうが、争いが終わったその瞬間には絶望しか無いのだから。 そして極道の情報から世界観が前作の地続きなのはほぼほぼ確定と。それはそれとしてこのバグ空間は何だ? どういうマジックだ?
4階。校長室に行けると思ったら入れなかった。開発陣は僕の心を弄んでそんなに楽しいか? 仕方なく職員室。
別人じゃねーか! なんか被験者とか書いてるしこれ今回の参加者16人全員クローンとかそういう展開あるな?(後になって思えば、ちょっぴり惜しかった) ここに来てようやく未来機関の説明と、おそらく苗木くんたちが所属していることがわかる。……ところで結局世界の破壊者って何のことだったんだ? 一回絶望に染まった世界をもっかい希望で染めようとしてるから?
3階。希望育成計画。ふーん。……日向くん?
娯楽室の瓶がきっちり4本になってたり芸が細かい。使い回しとも言う?
2階。図書室には入れたものの十神くんと一緒にジェノサイダーの情報を見た部屋には入れなかった。残念。 ……で、問題の新世界プログラム。
……いやいやまさか……まさか……ね……。
モノクマ劇場。『これぞゲーム! というような体験をプレゼントします、って最初に言ったでしょ?』
1階。
……
……
オイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! そういうことじゃねーか!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! なんか苗木くんまで出てくるしよお!!!!!!!!!! 「11037は……ある人に窮地を救われたときのことを思って設定したんだ……」 ……ア!!!!!!!!!!!!!!!!!(言われて始めて気付いた)まだ裁判始まってないのにプレイヤーを殺す気か?????????????
そして裁判が始まる。そらこんなんやったら3出すときは世界観一新しないと難しいわなアッハッハ!!!!!!!!!!!! 楽しませおるわ!!!!!!!!!
というわけで裁判開始。
おい逆転裁判4じゃねーかやめろ
さて、いきなりぶちこまれる真相。ここはゲームの中の世界である。と。
ぬーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん。 そうだよね、だってこれはゲームだからね! ってずっとモノクマ言ってたもんね。モノミも意味不明な魔法パワー使ってたしね。この世界のモノクマは中に機械入ってないのに動いてたしジャバウォック島は開発されてるはずなのにそんな風景全く見えなかったもんね。あ~~~~~、せめて視界がゲーム的にぼやける演出が出た時点で気付くべきだった。どうせとんでもないどんでん返しが待ってるんだから1話の時点で考えてもしゃーないとか言ってたらマジで待ってたよ畜生め! そして前作で文句言ってた体型が変わってない問題にも答えを出してきやがった。ぐぬぬぬ~~~~~。もちろんそれを証明するために極道ペココンビの話が出る。してやられた感~~~~~~~!!!!!!!!
話の流れで七海千秋は実在しないって言われたけど実在すらしてなかったのか、何故か現実にはいると思ってたわ。(そんな話をしたら『ダンガンロンパ3ってのがあってな』と言われたが、ここでは詳細は省く。)
とか言ってたら前作主人公ガッツリ出てきたよ!? これいいの!?
とか思ってたら狛枝の皆殺し案件についてこんなん言ってるけどこんなやつだっけ? とか思ってたら案の定だった。
なんやかんやあって前作ボスと真の前作主人公も出てきた。おいこれいいの!?(時系列は前後するが2のキャラクター陣は江ノ島からしつこいぐらい雑魚呼ばわりされてるので意図してやってるんだろうけど。すげー扱い方するなあ)この江ノ島とかいうの前作からキャラのバリエーション1つしか増えて無くてそこはちょっと残念。飽きっぽいならもっと気合入れろよ。でもこのセリフは好き、後にもちょいちょい出てくるけど希望と絶望の表裏一体なところを見せたがっているように感じるから(単に『大嫌い』の類語である可能性もあるが)。
修学旅行のルールがあったから皆殺しには出来なかった、とは言うが兵糧攻めはもうほとんど直接的な攻撃なんじゃねーの? とは思うが…… それはそれとして確かにモノミもその点で何回かモノクマ突っついてたな。
とか言ってる間にハイ来たーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! わざわざ一話だけのために石田呼ぶわけないもんなあ!????!!!!!!!!!! ……あれ? じゃあギリギリちゃんは何で呼んだんだ? ああ、澪田唯吹か(違う���!
……ところでこれもしかしてあいつら来る流れなんじゃあ……
来なくて草。それはそれで草。
しかしマージで全員陥落済みだったとはあんまり思ってなかった。今思えば3話で保健委員が裏切り者でもなんでも無く自発的に行動してるって時点で介入があったのは分かってたわけだから、そこでその可能性を考えるべきだったよね。一番簡単に騙されそうなのが騙されてたから深く考えてなかった。こんなにもヒントはあったというのに……
言ってるうちにカムクライズルの話に。
えーっと、ごめんもう一回言って? テイルズオブ何て? いやよく見たらテイルズオブって書いてなかった。
あー、なるほどね。確かに日向くんも超高校級の希望だったわけだ。ジェネリックだったけど。なるほどまんま希望だと捻りがないと思ったのかとんでもねー捻り方してきやがった。 ここに来て最後の最後で前作との対比点が全て明確になって、前作と違った決断を迫られるわけだ。主人公がまず希望と絶望だし、出れば生き残るのではなくて出れば死ぬ。出ることによってヒロインの因果を断ち切れた前作と出ればヒロインを忘れてしまう今作。今までの設定を全回収するためだけにゲーム設定を選んだのではなく、きっちりと消えゆく世界の旨味を絞り出していくのがニクい。
前門の虎後門の狼になって闇落ちする日向くん。
ついには幻覚を見始める。 ここの石田の演技マジですごくて笑った。
けどね。
ァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ
あれは……石田!?(比較画像出そうと思って前作のスクリーンショット眺めてたら石田の画像一枚も撮ってなかった……)
超えてくるーーーーーーーーーーーーーーーー!!!! 前作の盛り上がりを超えていくぅーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!
……のだが、ゲーム的にはこの覚醒シーンのために○ボタン押しっぱなしでコトダマゲージ貯めるところを連打と勘違いしたせいで4周ぐらい永遠にボタンを連打したまま過ごすことになり、おかげでパッドのボタンが陥没してその後のラップバトルに負けて死んだ。小話おわり。
未来を創る! 今作のテーマを超高濃度で圧縮した至言!
ただひたすらに希望を求めて、王道パンチで悪役を吹っ飛ばした前作とは全く別のベクトルのカタルシス! 公式にボスから雑魚呼ばわりされるようなどん底の底の状態を弾き返して全てをひっくり返す爽快感! 文字通り世界も全部ひっくり返して、新たな未来を叩きつける! こんなことやっていいの……!?
いや~~~~終わった終わった。苗木くんが出てきたときはどうなるものかと思ったがまさかこんなにも綺麗に2作とも巻き込んで着地するとは思ってなかった。前作終了時はなんか大気汚染がやべーとかいう話だったし完全にバイオハザードレベルの世紀末感想像してたけど意外と何とかなってたらしい。まあ希望サイドの人間も生き残ってるならある程度巻き返せるわね。 しかし散々「このゲームは前作プレイヤー向けに作ってんねぇ~~~」とかしたり顔で言っておきながら前作との共通要素にしか目を向けずにこんなにも美しい対比になっていた根本設定に一切気付かなかったのはひじょ~に情けない。世界の根幹も、前作とのつながりも、黒幕の真意も、主人公の正体も、全部まとめていっぺんに最後の最後に蓋をパッカーンする瞬間風速に関しては前作にも増して更に加速したと言わざるを得ないだろう。これが「2」であることの意味を存分に発揮したのである。
というか前作主人公のその後を公式から本筋に絡めて前作の流れを壊すこと無くお出ししてくれるのヤバくない? 十神白夜までおまけでついてきたんだけど嬉しすぎない? そうかあ、本当にいいのかあ……。 まーーーーーーーーーーーーじで2作揃って世界を綺麗に締める流れが美しすぎて脱帽する。ゲームを開始した本当に最初の最初、希望ヶ峰学園に足を踏み入れたその時からこの2クラスは対照的な道のりを進み続けていたというのだから、前作との繋がりとか差別化とかそういうことばっかりを気にして何故もっと広い視点で見られなかったと後悔しきりである。
いいですよね、「前の日」。まだまだこれから、未来はこれから。ただただ前に突き進んでいった前作と逆に、一旦全てを捨ててから新しく創っていく未来。そこに七海千秋はいなくても、彼らは進んでいくんですね。 進んだ先にダンガンロンパ3という作品があるらしいがそれはまあ置いておこう、うん。
・ミニゲーム所感 ・ノンストップ議論 正当進化したメインバトル。賛成システムはかなり展開に幅が出たと思うが、アスペ気味な僕としては議論の方向性の想像が無限に発散してしまって頭が痛かった。Chapter 5とかそれで地獄を見たし。今回はエイムアップスキルが選択で取れて本当に良かった、前作序盤は本当に地獄だった……。全部地獄じゃねーか! ・閃きアナグラム 前作に比べてだいぶゲーム性が上がって楽しくなった。出現した瞬間から文字同士が重なっててダメージ不可避みたいなのは勘弁してくれ。 ・反論ショーダウン 僕が待ての出来ない駄犬なのが悪いんだけどいつ刀を振れば良いのかイマイチわからんというか耐久力があるせいで溜めてからバッサリ行こうと思ったら斬りきれないシーンが多くて若干モヤッとしたのと話しが始まってないうちからコトダマ選択させられても困ること以外は新しい感じでよかった。 ・ラップバトル ロックと射撃が無くなったのはいいがおかげでより何をすれば良いのか分からなくなったまま終わった感じがある。救いはネガティブモードをポジティブモードで上書きできるようになったので面倒くさくなったら集中ゲージ使えば終わるところか。 ・ロジカルダイブ サルゲッチュのミニゲーム以下の出来
・キャラクター所感 ・十神白夜(アローラのすがた) 記念すべき最初の犠牲者。とにかく1話はインパクトのあるやつから殺したいという制作陣の歪んだ熱情を一身に受けた形になるが、のちの設定を考えるとたしかにここで消えるしかあるまい。比喩でもなんでも無くマジで「一切わからないまま死んだ」キャラクターなのに最終盤になって突然素のキャラっぽい口調で喋ってくるの相変わらず幻覚を見せるのがうまいなあと思いました。 ・シェフ……コックだっけ? 前作1話の被害者はこいつ頭弱そうだしどうせ序盤で死ぬやろなーと思ってたらマジで死んだパターンだったが、今作はこのキャラがやるべきことを存分にやったから退場したパターンだった。確かに一話の段階でキャラクター性全部出していったわ。「大切な人の安否が心配」というパターンで犯行に走ったところまでちゃんと共通してて頭が痛くなるね。舞園さやかは別にキャラクター性全部出しきったわけじゃないと思うんだがなァ!?(突如興奮する患者) ・カメラマン 2話の被害者。朝日奈のヘイトを吸収せしもの。 空気の読めない発言とナチュラルワガママ気質と突然のメンヘラムーブでこれでもかと株を下げまくった前作のとある人物のリベンジ(と、僕は勝手に定義している)として登場し、男子にあたりが強いのは共通ながらも事件に対して自分に出来ることを、というスタンスをきちんと表明し、強引ながらも集団の規律のために動き、そして空気の読めない正論で殺されるというやるべきことを全てやっていったキャラ。現実だと殺害容疑の隠蔽に手を貸してたり色々と闇を背負っていた模様だけど。
そしてその朝日奈が存在した痕跡はたしかに残っているというやるせなさ。 ・ペコ 殺人鬼枠(偽)。ジェノサイダーがこの世界にも存在するぞ! というアピールよりも同じ話題のタイミングで挙がった「開発するって言ってんのにこのジャバウォック島にそんな施設なくねえ?」って話の方が重要だったのはこのリハクの目を以下略 武闘派枠がかぶっているのでどっちか退場するだろ、とか言ってたら想像を遥かに上回る事情で退場していった。 プロローグ、1話ともに極道のことがしきりに話題に上がるが、そのたびにみんなの輪に誘っていたのが彼女だったことに気付いたのは2話が終わってからの話。 そうだよな、明らかにトワイライトシンドローム関係者が犯人の状況で極道じゃないってんならそこから連想すべきだよな。僕は日本舞踊家が犯人でも良かったんだけど……。 新しい友よりも過去の栄光、思い出に固執した前作2話の犯人とは真逆に最後まで忠義を貫いた人物であり、自分の命より他の何かを優先できる点では前作の大神さくらとも通じるところがある。キラキラちゃんが出てきた時あまりの中の人の楽しそうな演技にこれからも出演してくれるのかとワクワクしたが、なんでえここで退場か……からの豹変&観念の三段構えには恐れ入った。これで意思を受け継いだ極道がアレだったら前作の大神さくら並に不憫だったが、まあそうではなかったので安心して成仏してほしい。 ・日本舞踊家 3話の被害者(ボーナス)。「たまたま通りがかったから」で殺されたのは前作から通してもこいつだけでは??? いや1話も別にアローラ十神がターゲットだったわけでもないんだが。 これまでの登場人物全てをぶっちぎっていくあまりにもあまりにもなストレートのヘイトの稼ぎっぷりではやくも2話の段階で濡れ衣のターゲットにされるという設定的にもプレイヤー的にも名誉サンドバッグの地位を築くかと思われたが退場もあっけなかった。まあ4話にこいついたらファイナルデッドルームに叩き込まれるイジメに発展してもおかしくないのは想像に難くないのでシナリオ的にも引っ張れるのはここまでだろう。意外と可愛いところもあるんだよ、という描写がきっちりされていたことも事実ですがまあ僕は基本的にメ��ガキが嫌いなので……。どうも在学中にガッツリ成長するらしいが果たして内面は追いついていたのであろうか。少なくともトワイライトシンドロームが起きた前後では特に成長していなかったっぽいのだが(いやあの事件がいつなのかもよく分からんが……)、一体何があったのだろうか。ダンガンロンパ3を見る限りでは成長したのは内面だけ……いや都合のいいときだけこの作品を持ち出すのはやめよう。 ・けいおん 3話の被害者(メインターゲット)。トワイライトシンドローム関係者一掃されるんじゃね? とか思ってたらマジで一掃されたときはイエーイ予想があたったぜ~~~~!!!! とか喜んでいたがその後普通に凹んだ。でもこの子の最推しを名乗るアドバイザーがもっと凹んでいたので何も言わなかった。 このあたりから急に目立ったキャラクターが死ぬの法則は健在なことを制作陣が示してくれていたが、賑やかし枠がさっさと死ぬかマジで賑やかし以外の何物でもなかった前作を思えば重要なヒントを提示する、キャラソンイベントが有る、固有イベントがめっちゃ可愛い
など、存在感は存分に放ってくれていたといえる。どうせなら生き残ってギリギリちゃんにバンドやらねっすか? とか言ってほしかったが……。 思えば水着グラフィックが無かった時からどこか次のタイミングで贔屓される→つまり退場する と予感するべきだったのだろうか。 ・保健委員 豹変枠だった人。 まあブチギレタイプで被ってないのは良かった。流石にそれは意識するか。 思えば「江ノ島盾子を崇拝していて、しかも別にこいつが裏切り者ではない(=在学中はみんなと一緒だった)」とわかった時点でその後のオチを多少でも想像できればよかったのだが……。前作の検死役がギリギリちゃんだったのもあって検死役であることをトリックに利用するというのはなるほどという感じだった。 すごく個人的な話をすると、このゲームにおける「絶望」という状態異常が首魁の江ノ島盾子が結構楽しそうなせいでいまいち分かってないので、絶望落ちしたらああなるのか……ということについてはよく分からない。いやまあ現実の尺度で考えるのが間違いではあるんだけど。 ・ロボ テコ入れされて死んだロボ。 一応物言いは毎回カッコよかったし散り様もキャラクターたちにフォローされているので報われている方ではあるロボ。 その筋肉もマネージャーの手腕もあんまり発揮されなかったので正直良くわからんロボ。 ・ガンダム 自分の殺害行為によって残ったメンバーに強いメッセージを伝えて死んでいくタイプの犯人。まあ狛枝にかかればそれもただの正当化なのだが、よくよく見返してみるとガンダム本人は「貴様らのためだ」といったセリフは一切発していない。ガンダム自体はただただ「生きることを諦めるな」としか言っていない。いやまあどんだけ格好いいこと言ってても犯人であり、しかもターゲットが若干罪悪感が薄れそうなロボだったことは覆しようがないのだが、それでもあの極限状態で決断を出来た事実がただひたすらに良い中2。それどころか、「殺害行為に希望など無い」と言い切ったあたりに、彼の覚悟が見える。中2キャラを履き違えずに誰も不快にせず、毎回毎回裁判に貢献し、可愛い一面も見せ……と、ロボと同じ登場回数とは思えないほどのいろいろな顔を見せてくれたキャラクターである。いや僕別にロボは嫌いじゃないんですよ? ・メカニック 男生存トリオその1。ギャルゲーの親友ポジみたいな枠に収まったかと思えば幾度となく訪れる死の予兆に抗い続け気付けば生き残ってしまった。日本舞踊家が死んだあたりからやや不当に思えるほど周囲からいじられ続けていたが、バカ発言が出来るのも彼ぐらいだったので少々その役割が集中した感がある。前作の占い師は余りにも馬鹿すぎて会話が成立しないと判断されたのか全くイジられなかった(他のメンツがそもそもいじるようなメンツではないが)のもあわせてこの点が非常に目立っている。それでも随所でメカニックとして活躍したりでいぶし銀の活躍を見せたキャラだと言える。ゲーム最終盤、「やっぱ消えるのって怖いよな」と「ここから出ても絶対に覚えておけよな!」の両方の発言をしたのが彼というのが大きなチェックポイントで、この発言を持ってこのクラスのムードメーカーの称号を最後の最後で名実ともに手に入れたわけである。このゲームにあるまじき堅実に評価を積み重ねていったタイプのキャラクターであった。 ・極道 生存トリオその2。「やっぱりペコに会いてえんだよ」、最後に聞きたかったセリフナンバーワンなのできっちりやってくれて非常に高評価。決別までちゃんと見れたし。前にも言ったが僕は基本的にツンデレ男大好きなので前作の十神白夜と同じくこの子も非常に高い評価をしている。結局3話以降は適度にバカで適度に話をすすめるポジションとしてかなりのセリフ量を誇っていたし、メカニックがギャルゲーの親友枠ならこちらはジャンプ漫画の親友枠とでも言えるのではないだろうか。トワイライトシンドローム事件を全て事実だとするなら、サトウを殺した犯人は彼である可能性が非常に高いわけだが、この件についてはどうなるのだろうか。どうも彼らの学生生活は基本的に江ノ島盾子に引っ掻き回されていたらしいのでこの事件もその一環という可能性もあるが、激情して人を殺すのはまーじでやめたほうが良いと思う……。優しいって言われてる割に鉄砲玉思考なんだよな……。逆転裁判4の登場人物思い出して辛くなるので。本当に。いやまあ、妹がやられてる時点で冷静な判断しろって言っても無理なのはわかるけども。 ・オワリ 気が付いたら生き残っていた。結局キャラクター的にも裁判で大活躍、というシーンは最後の最後まで無かったが、裁判に真面目に参加する姿勢を見せ、決して卑屈にならず、という点で前作の○○○とはまっっっっっっっっっったく違う印象を受けるのだから不思議だ。彼女のブレインストーミング的発言もゲーム中のアクセントとして効果があったし、全体的に不快感はない。突然モノクマと戦闘するとかいう謎イベント起こしたおかげで余計な引き金を引いたのは忘れておく。
こことか良かったね。ここから出る、という軸を失っていなかったのがいい。 ・王女 無事生き残った。日向くんの「強制終了しよう」の呼びかけに最初に応えたのは彼女なわけで、まあ王女の振る舞いというハードルはクリアしたと言える。全体的に本筋では天然発言の方にフィーチャーされがちであんまり王女ムーブが見れなかったのは少々残念に思う。彼女に関して一番引っかかるのは超高校級の絶望として洗脳されていたという一点で、(相手が何かとんでもなくヤバい最強の人心掌握術の使い手という設定ではあるが)仮にも王女として、しかも超高校級と言うからにはガッツリ王女として帝王学を学んでいたはずの彼女が洗脳に負けて絶望落ちしていたというのは正直いかがなものだろうか。少なくとも個別ストーリーで彼女の話を聞く限りでは民衆を背負って立つ立場であり情勢の安定に身を捧げる覚悟をしていたはずだが……。まあ結局犯人の手口が2になってもいまいち分かってないままなので今考えても仕���ないというのはあるが。確かに天然日本語間違えお嬢様路線のほうがキャラ立てやすいよなあ……というのも分かるし……。4話になって急にガンダムとの絡みが増えたが、
この言い回しは本当にぐっと来た。確かに余り表現はされていなかったが、随所で折れない心を見せてくれてはいたのだ(現実で折れてたんだがな! アハハ!)。 ・超高校級の絶望
結局2にまで出張ってきておきながら彼女は結局何だったのか? という問いへの答えは得られなかったので、この画像からしか推測することが出来ない。 結局彼女はその才能ゆえに何でも出来てしまって、希望と表裏一体である絶望の方を求めるように生まれてきてしまったのだと、そう思うしかあるまい。彼女の行動を見ていると突き進んでいった末の終着、終末を望んでいるように伺えるのだが、その割に彼女に洗脳された人物は揃いも揃って短絡的な行動に出るのがいまいち解釈しづらいのだが、彼女のシンパが計画的に行動していることを思うと、短絡的な行動に出た連中は絶望と言えば短絡的な死しか見えない、彼女の言うところの「雑魚」だったのだろうか。まあ行動原理は分かってもそのどんな人間でも(それこそ、苗木くんのような人間を除いて)屈服させられる人心掌握術は一体何なんだ、というのは最後まで分からなかったのだが。まあそれ言い出したら切りがないし。お前は鉄格子の奥にある焼却炉のボタンに水晶玉をストライクした人間のことをもう忘れたのか? ・ギリギリちゃん 前作から引き続き登場。苗木くんとはそれなりに仲が良いようで何より。……うん、何より。 それはいいことなんだ。きっと。 てっきり父親と仲が悪かったのは学園入学以前で、在学中はシェルター入りを承認したことからも何やかんや和解したものだと思っていたのだが、年頃の女子高生は「金のためにあくどい事をする校長」たる父親とか一般的に大嫌いなんじゃないかと思えてきた。彼女にそんな一般的な感性があるのかどうかは疑わしいが。 ・十神白夜 地獄から生き返った男(違う)。
前作から全く成長していないかのような十神イズムをこの短時間で発揮していったことにはもう笑うしか無いが、エンディングを見る限り何だかんだ楽しくやっているようである。ベジータ枠が続編でも助っ人に来てくれる展開、なかなか無くないですか? 非常においしいです。 ・苗木くん 前作主人公がラストで登場とかいうクソゲー一直線の展開を持ち前の幸運と希望で乗り切った男。彼の再登場によって、2における「希望」と「幸運」がいかに彼とは違うものだったのかが印象付けられる。前作で他のメンバーの才能を羨み振り回されながらも必死についていった彼も、見方を変えればとんでもない希望をうちに秘めた強キャラ扱いされるのだから、この作品がどこまで2であることを意識しているかというのがよく分かっていい。
・狛枝凪斗 振り返ってみれば、なるほど苗木誠になれなかった、一歩届かなかった男か。というのが率直な感想である。Chapter 5開始時点ではやっぱり内心自分が希望であることを諦めてなかったのか、とも思っていたがそんなことはなく、本当にまるっきり諦めてしまっていた男であったのだった。 個別ストーリーも読んでいないのでどういうバックグラウンドがあったのかは想像の余地もないが、それが心の底から希望というそれを愛しているからこそのものなのか、それとも届かなかった諦めからくる屈折した僻みなのかは知らないが、彼の裁判におけるハイスペックさは徹頭徹尾「どうせ最後には僕以外の誰か別の希望が勝つ」という思想だったのだろう、と今は思う。そして違いが現れたのがそのChapter 5で、前話の終盤で真相を知った彼は始めて、もしくはいつかぶりに「自分こそが希望になるために」勝負を挑んでくるのである。最初は何やかんや日向くんたちの事を思っての行動だと思っていたが、いざ最後まで話しを進めてみればそんなことは本当に一切ない、ただ自分の手腕と才能だけを信じて、自分も絶望だったという現実を変えたかったのか、本当に自分が希望になりたかったのか、単純に絶望を希望が倒すという命題に殉じたのかは知らんが徹頭徹尾自分のためなのであった。確かに最終盤で死ぬという予想は合っていたが死亡理由は一切当たっていなかった。 確かに2は前作と比べてクラスの仲が良かったが、それは狛枝という共通の敵がいたからこそ成り立っていた事実であり、その姿勢こそが一足先に真実を知った彼を独断専行へ走らせた(仮に仲良くしようと努力したとして、彼の狂信的なまでの思いを変えられるのかどうかは分からんが)というところで、最終的な生還人数を2人減らした(この事件の犯人は結局消えるのでは???)という現実がそこに残ってしまった。 彼もなんで絶望落ちしてんの? と思わなくもなかったが、「希望なんて絶望に負けるに決まってんじゃん」「嘘だと思うならしばらく見ててご覧よ」とか適当に煽ったらああやってやるよ希望が負けるもんか! とか言ってさらっと負ける気がしてきた。そもそも「希望には勝てない」という思想そのものが江ノ島の言う絶望そのものなので、彼の考え方やスタンスが実際どうであったのかはともかく、在り方は最初から絶望だったのかもしれない。一方で、「誰かに思いを託す」というのはこの世界では希望ムーブに分類されるので、本当に、紙一重で、コロシアイのテーマでもある「信用できない誰かを信頼する」ことが出来たのかどうかが、全ての明暗を分けたのかもしれない。 ・七海千秋 好き要素の塊。数多の才能を(後天的かつ人為的に)与えられながらも絶望に落ち、全てを失い、電脳世界の中で2度めの死を迎えようとしていた彼を救える存在は少なくともあの場には彼女しかいなかったであろう。
そう、ちゃんと生きていたんですよ。もうゲームの設定で(しかも、よりによってこの世界で)自動生成されたAIが現代の想像を遥かに超えて感情豊かなのは受け入れるしか無いが、今思えば個別ストーリーで教養のムラが異常に激しかったのは別に変な組織に育てられたからではなく(表現としてはこれも間違っていない気もするが……)ただ実在していなかったからだ、というのだから参るね。絵日記がひらがなだらけなのもその一環か? 知らんけど。 ただ世界を監視するために生まれ、コロシアイなんて許せないと、ただそれだけが求められていた仕事だったのに。好き勝手に改変された新世界プログラムの中で、その在り方を歪められながらも唯一残った、もう一度学生生活をやり直す彼らとの交流。その中で生まれた自己犠牲の精神、というとなんとなく余裕を感じさせるが、この場合の2択として、本来の仕事から言うと正しいのは明らかに自分が生き残る方なのだから、それを選ばないということは選ばないだけの理由が必要なのである。 最終的に自分の希望を信じた狛枝と、日向くんに希望を託した七海。ふたりの死は、日向くんが最後の一歩を踏み出すためのファクターとして非常に重要だったと思われる。形は違えど、足の動かし方を伝えたのだから。 一方で七海の死は「彼女の存在を完全に消し去ってしまう」という免罪符として、最終話の日向くんを縛ることになる。誰かの存在どころか自分の存在に対する責任すら負えず、板挟みになってしまった彼の前に最後の最後で現れるそれは、前作において最初に希望を託し、そのエネルギーだけで苗木くんを最後まで突っ走らせた舞園さやかの対極にあるといえる(こじつけ)。 全てを失う選択を迫られる彼の前に現れるのは、既に全てを失ってしまった、終わってしまった存在である彼女。自分の存在を免罪符にしている日向くんの甘えを叱咤し、そのなんにも見えない未来へ踏み出すための最後のエネルギーを彼に与えた。そう、彼女はどのみち消えゆく存在なのだから。だったら、本当に七海千秋のこと忘れたくないのであれば、進むべき道は他でもない未来であると。 そんなわけで、僕は七海千秋は非実在であるからこそ意味があると思っているのである。システムの一部でしか無かった彼女の自我の萌芽と結末は、新世界プログラムの中でしか存在し得ないからこそ意味があると。 は? ダンガンロンパ3? 知らない。 ・日向くん なるほど、僕はむしろ終盤までは「苗木くんと違ってガッツがあるな」と思いながらプレイしていたのだが、とんでもない勘違いで、実はやけっぱちなだけなのであった。苗木くんが怪しく見えるのは時折見えていた幻覚(過去の記憶)と妙に自信なさげな口調であって、彼は最初からずっと舞園さやかを背負っていたのだから、折れている暇など無かったはずである。 一方今作では、プレイヤーは(少なくとも僕は)前作主人公のマインドに慣れきったものだから日向くんに対して無意識に重い期待をかけながらプレイをすることになるわけで、彼が時折漏らす弱音について意識することはなかなか難しかったはずである。それもそのはずで、彼は別に希望でもなんでも無いちょっと憧れの強いだけの凡人でしか無かったのである(もっとも、その憧れが残っていたことが最後の最後で意味を持ってくるのであるが)。 そんな彼にもクラスメイトたちは優しく接してくれるし、もちろん予備学科だと言われても態度を変えず接してくれる。少なくとも覚えている範囲では予備学科のくせに生意気だぞ! 展開は無かったように思う。もちろん狛枝を除いて。彼からだけは1話の時点から妙に絡まれるし、予備学科発覚後は当然のように露骨に煽ってくる。日向くんはそのたびに狛枝のことを鬱陶しがりながらも、心の底では言われたことを受け入れていたか、受け入れるしか無かったのかはともかく、一人だけ自分の正体についてしつこく追求してくる彼には思うところはあっただろう。胸を張れる自分になりたかった、その気持ちは当然この超高校級のだらけの存在の中に交じる理由がほしい、という意味にもなるのだから。 そして終盤、狛枝の「希望」の形を知り、七海千秋から希望を受け取った日向くんは、ようやく舞台に上がる資格を手に入れることになる。最後の種明かしで自らがカムクライズルであることを明かされ、「消える」という他のメンバーよりも一段重いペナルティを背負い、ついには潰れてしまって再び自分の中のカムクラと対面するまで至った彼は、そこまで来て七海千秋と会話を果たすに至り、自分を信じ、仲間を信じ、はじめて「自分に胸を張れる選択肢を選ぶ」のである。これが最初の一歩であり、最後の一歩でもあるのが今作主人公であるがゆえの劇的な結末なのであった。 カムクラは(絶望落ちの影響もあるだろうけど)完全に冷めきって人類のためとか全く期待できそうにない立居振舞であったが、彼自体は他人のいいところを受け止め、共感することの出来る立派な人間であると思う。 それだけに「ありがとう」が最後まで言えないあたりに苗木くんと比べてポジティブさの不足が見受けられる。きっと、よくも悪くも「憧れ」という希望にも絶望にも転び得る不安定な軸にしがみついて、それだけをエネルギーに突っ走ることの出来る人間が、彼だったのだろう。最後の最後で、それが希望に振れたことによって、「日向創として生きていく」選択を出来たのが、彼の新しい一歩として、未来に向かっていってくれることだろう。
・追伸 私はこの記事を書き終えるまでにファイアーエムブレム風花雪月を60時間プレイしたことをここに告白します。
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Page 86 : 雨
雨が降り頻る中とはいえ、ラーナーがその場を翻り一瞬で離れていったのを、感覚の鋭いクロが把握しないはずがなかった。しかし、人波に逆らい突進していくかのように離れていったラーナーは、引き留める前に手の届かない場所へと進んでしまっていたのだ。咄嗟に彼女の名を叫んだが、まるで聞く耳を持たず、やはり様子が普通ではなかった。圭を引き連れて追うが、訝しげな顔をした人の波が邪魔をして、思ったように動けない。その間にもラーナーは進んでいき、あの細くひ弱な身体のどこにそれほどの原動力があるのかと疑問に思うほどである。どこかで見覚えがある、と過ぎったのは一瞬のこと。あの日、あの朝、キリでクラリスから手紙が届き、クラリスに会うために必死に無我夢中に走った、あの鮮烈な姿。クロ達も置いていくほどの爆発的な衝動だ。今度は何が彼女の情動を突き動かしたのか彼等には解らなかった。 「ラーナー!」 雑踏と雨に紛れてラーナーの気配が掻き消されていく。視界からはとうに消えてしまった。頭の中も空白になっていって、遂にクロは歩みを止めてその場に立ち尽くした時、全ての音が自分から遠のいていく感覚がした。 急に雨がやんだ。違う、彼の頭上に傘がさされた。自らの傘すら道に放り捨ててしまっていたらしい。帽子もゴーグルも服も髪も雨に濡れて、ただでさえ普通でない見た目をしたクロが更に目立って、道行く人々は不審な目を向けている。 圭が無言で隣に立って、クロに傘をさしていた。ゆっくりとクロが振り返ると、圭は妙に落ち着いた雰囲気を携えていた。 「圭」その声も顔も、見ている圭の方が擦り切れそうだった。「胸騒ぎがする……そう、今日、夢を見た。あの出来損ないがずっと見つめてきて、何度も殺して、燃やして、出てきたもの全部敵に見えて、あいつも」 「探そう」 短く言い聞かせるような声が有り難かった。子供のような顔をしたクロは少々面食らう。それから、小さく頷く。弱々しさが残るクロを励ますように、圭はへらりと笑った。 「大丈夫だって。まだ遠くには行ってない。止まってたってしょうがねえよ。夢なんてただの夢でしかない、クロらしくもない。……そんな頼りなさそうな顔するなって」 圭は丸まったクロの背中を叩いた。指摘されるほどの顔をしていたのだろうか、とクロは考える。滴が髪の先から落ちて道に霞んでいく。ふ、と息をついた。 道の途中で止まったことで通行人に次々に避けられ、圭に見守られる中、クロは目を閉じる。湿った熱気はクロの中に吸い込まれていき、周囲が冷めていくような錯覚に圭は襲われた。五感のうち視覚を遮って、暗闇の中で感覚を冴え渡らせる。雨に打ち消されて嗅覚の類はほぼ使い物にならなかった。雨音、靴音、声音、流れるような無数の雑音、奥に突き進むように掻き集めては選択する。たった両耳にだけ神経を集中させる。あとは頼りになるのは直感に近しいものだった。雑踏の中の静寂ですら掴み取ろうとするように、波紋を広げるかのように、耳をそばだてる。混乱したかのようなたどたどしい足取り、凄まじい勢いで遠のいていく足音、人々とぶつかる音、その狼狽えた声、探り、探り抜いて、その一筋が暗闇の中で浮かび上がる。 ウォルタでラーナーを探し出した時にも同じことをした。あの時よりも音の数は何十倍にも膨れ上がっているが、冴え渡らせれば不可能ではなかった。 深緑の瞳が再度姿を現して、黙ってクロは歩き出した。圭が慌ててその後を追う。迷うことのないしっかりとした足取りだった。ほんの少し見せた狼狽ぶりが嘘であるかのような自信の持ちようで、圭は安堵しながら舌を巻く。 「……クロって、やっぱり、すげえのな」 感嘆のような、ある種の羨望のような複雑な声音で圭が言うと、 「ちょっと黙ってて」 ぴしゃりとクロははねつける。耳はまだ遠くの音を掴み続けていた。 人波に逆らいながらも速度はあがっていく。気配が途切れてしまうその前に、と道を急いだ。彼女は短時間にして随分と長い距離を横切ったようだった。やがて、ラーナーが曲がった場所と同じ角に差し掛かると、迷うことなく折れ、幾分細くなる路地へと入る。やがて人気が目に見えて消失し、水たまりばかりが道に溜まっていた。ラーナーの姿はまだ見えない。壁に圭の傘の端が当たり、いっそのこと、というように傘を閉じた。前を急ぐクロの足取りは最早雨を気にしてもいない様子だったからだ。 セントラル内であるにも関わらずあまりの閑散とした雰囲気に呑み込まれそうになる。あれだけ騒がしかった雑音は既に彼方へ消えていて、道筋を辿るには容易で有り難いが、逆に言いしれない不安が朧気に浮かぶ。 が、その淀みのない足先を止める存在に、その時は、圭でも気がついた。 何度目かの角を曲がってすぐ、黒衣を纏った男が道の中心を塞ぐようにして立っていた。ただの赤の他人ならば、先程までの人混みと同様にすり抜けていくものだが、生憎その容姿には見覚えがあり、彼等は立ち止まらざるを得なかった。 かつての記憶よりもずっと身長が伸び体つきも大きくなり、深く被った黒フードの下、精悍な顔つきになった顔に、息を止める。誰もがそうだった。誰もが身体は成長し、幼いままで止まっていた時間が進み始める。 黒の団、バジルは暗闇から二人の様子を窺っていた。 思わずクロと圭は慄いた。暫しの間金縛りにあったかのように互いに動かなかったが、やがて圭の方が口を開いた。 「お前、もしかしてバジル?」 恐る恐る出した問いかけに、バジルは眉を潜めた。 「……言葉」 戸惑うような声音もまたとっくに幼少を捨てていた。別人のようでもあった。初めは発言の意図を計りかねたが、やがて思い当たる節に出会って、圭は頭を掻いた。 「ああ……喋れるようになった、そう」 「……ふん……」 バジルの痩せているような目が更に細くなる。 間を切り取って急に繋ぎ合わせたような感覚に誰もが戸惑い、時の流れを目の当たりにした。微妙な空気が流れていって、再び双方の口が閉ざされる。どうしてこんな奇妙な雰囲気になるのか、最早三人の誰にも明確な答えは解らなかった。 「……黒の団が何の用だ。こんな昼間に、こんな人に見られやすい場所で」重苦しい声でクロが尋ねる。「先を急いでいる。そこをどけ」 「ラーナー・クレアライトか?」 あっさりとバジルは言ってみせ、きんと緊張の糸が硝子のように光る。 深緑の眼差しはバジルを厳しく掴みあげた。 「……あいつに何をした」 「何も。彼女は自分の足で自分の意志で動いただけだ」 「それだけ言えるということが既に答えだ。嘘はお前等の得意技だろ」 バジルは苦々しく嘲笑した。黒い服が揺れる。 「そうやって決めつけようとする。偉くなったものだな」 毒の滲む言葉からしっかりと昇っている、青白い炎のような憎しみ。深淵から睨みつけてくる存在はあまりに深く、クロと圭の背に火花が散った。ぞ、と雨とは別種の小さな寒気が、濡れた服の隙間を這ってくる。僅かな鳥肌が立つほどに。 クロは右腰に下げているポーチに入った火閃に手をかけた。武器に触れ戦闘を行おうとする兆しは自分で自分の心を逆立てた。圭も倣うようにして五月雨に触れる。緊張感はそのまま刃となり、バジルへと突き立てた。 後ろにふと現れた存在にも気付かずに。 「あなたはこっちで遊びましょうよ」 背後であっけらかんとした声がした、と感じた頃にはもう遅かった。クロも圭も俊敏に振り返ったが、そのクロの肩には細い手が置かれ不敵に笑う女が立っていて、更にその後ろには彼女の連れている黄金の二足歩行の獣がいた。黒の団特有の上着を纏った彼女は、先日ホクシアでクロと対峙したあの女だった。その顔、肩に触れた手にクロは足の先まで急速に凍り付いた。圭も驚きに表情を変えた頃には、クロも女も、そして女のつれていたユンゲラーもその場から一瞬で消えてしまった。ユンゲラーの技、テレポートだ。 「クロ!?」 思わず圭は叫んでいたが、まるで誰もいなかったかのようにその場にはクロの痕跡は欠片も残されておらず、愕然とするような空白だけがぽっかりと置いていかれた。一瞬の出来事に圭はただ目を丸くした。 「……っバジル! クロはどこにいった!?」 改めて腰に備えている五月雨に手をかけ、バジルを睨みつけた。対するバジルは冷ややかな姿勢を少しも崩さない。 「言うわけが無いだろう」 「言わないなら無理矢理にでも吐かす!」 「どうすると? ここで五月雨を抜けば人目につく」 言い返しが思いつかず、圭は口籠った。 バジルは懐からモンスターボールを出し、すぐさま開閉スイッチを押した。中から出てきたのは、彼の相棒でもあるピジョット。窮屈な路地でもすらりと伸びるような体躯が殺風景な路地に堂々と風格を表した。 圭は不審げな表情を浮かべつつ、自分もボールを出す。相手と同様の操作で出てきたのは、銀色の鎧を纏う鋼の鳥。逞しく育て上げられた身体に雨水が流れ出す。 「場所を変える。ついてこい」 雑な言動に圭は顔をしかめたが、バジルは気にもとめずにピジョットの背中に軽々と乗り上げる。人の話も聞かないで、と圭は文句の一つも言いたくなったが、ピジョットは路地の狭い空間で挑発的にも器用に翼を広げ、その場を飛び上がった。 エアームドは強ばった圭を見やる。罠の可能性をまったく考えなかったわけではない。ラーナーの顔も頭を過ぎった。しかしここでバジルを無視すればより非道い未来になりそうな予感がした。クロにはポニータとアメモースが、ラーナーにはエーフィとブラッキーがいる。呪縛のような思いが身体を締め付ける。問答無用で遠ざかっていくピジョットの後ろ姿を睨みつけているうちに、圭はどす黒い不満と焦りに急かされてやがてはエアームドに荒々しく乗っていた。何かを選ぶということは何かを捨てるということ。この選択が正しいかどうかなど、彼にはわからなか��た。振り払うように雨の降る空に向かって翔る。 雨に塗れた手で鞄を探り、すぐに取り出せる内ポケットに入れていたポゲギアを素早く操作した。連絡した先はほどなく電話に出てきた。 「……真弥さん。今どこ。……東区? 丁度良かった。ラーナーを探してくれ。あと、クロも。二人ともどこにいったかわからない。クロはテレポートで黒の団につれていかれた……うん……わからない。俺はバジルに会った。多分見逃がされないだろうからさっさと終わらせていく……きっと」 無数の雨粒に抵抗するように、圭は顔を上げた。高度はぐんぐんと上がっていく。空気を切り裂いていく。オレンジ色の瞳が決意をしたように燃えた。
*
テレポートによる浮遊感はほんの一秒にも満たない僅かなものだった。浮遊感というより軽くその場を跳んだような感覚で、そして跳んで次に地に足をつけた時、周囲の景色は雑多で簡素な路地裏から随分と様変わりしていた。 閉塞感とはまるで縁遠い、突き抜ける風は冷たく、降りしきる雨は容赦がない。屋外だ、それも高い。四方を囲うようにフェンスが設置されていて、首都にいては建物に切り取られてばかりだった空が圧倒的な存在感を見せつけるように目線の高さまで広がっている。空は深い鉛のような色をした雲で、そこからさめざめと落ちてくる雨は霞むような降り始めの頃から勢いを増してきており、灰色のコンクリートの床に大きな水たまりを創り出しては力強い波紋を無数に瞬かせる。目に見えるもの全てがくすぶった色でできていた。風景を見て、何処かのビルの屋上だとクロは判断した。 「ハアイ」 背後から囁くような声がして、瞬時にクロはその場を跳び退いた。足元で大きな飛沫が破裂した。水浸しの床は彼が想像していたよりも滑りやすい。旅で歩き潰したスニーカーの中までずぶずぶと水が浸透していく。 鈍色の世界にぽつんと浮かび上がるような赤い傘を差している黒の団の女は、柔和な微笑みを浮かべ、ふわりと緩く丸まった髪を掻き上げた。 「ホクシア以来ね。会いたかったわ」 相変わらず耳を擽るような喋り方だった。胸が妙にざわついて、落ち着かなくなる。 クロは先手を打たんとばかりにボールを取り出した。雨の音が沈む中、ポニータとアメモースはその姿を現す。雨という気象条件はアメモースにとっては不自由ないが、炎タイプであるポニータにとっては圧倒的に不利だ。立っているだけでも体力を奪われていくだろう。だが、出し惜しみをしていられるほどの余裕もない。 距離を置くように後ずさりをすると、すぐにフェンスにぶつかった。ちらと後ろを見やると、眼下には無秩序なビル群が立ち並んでいる。高い。テレポートで攫われたとはいえ、恐らく首都、それもセントラルからは離れていない。風を操り空を飛べる真弥ではないのだ、落ちようものなら間違いなく助からない。クロは再び視線を前へと移す。屋上から下へ繋がる階段があるだろう部屋は屋上の隅にあり、クロから見てほぼ対角線上にあった。距離が開いているし、容易に突破できるほど甘くもない、と、そこまで考えて、いかに逃げるかを無意識に考えていることに気が付いて、苦笑いしたくなる。 相手は大袈裟に肩を竦めると、傘を持たない左手で服のポケットを漁り、やはりモンスターボールが出てくる。スイッチを押しては投げるという動作を次々に行い、壇上には五匹のザングースが揃った。ホクシアの印象がまだ強く残っているために、クロは予想よりも少ないように感じた。ユンゲラーを含めて、六対三。数的不利は変わらない。しかし覆せない数ではない。 「いきなり臨戦態勢に入らなくてもいいじゃない。もっとお話しましょうよ。折角二人きりになれたんだから」 「……そんなの、無い」 女は溜息をついた。 「つれないわね。そうだ、この間のことは考えてくれた? 黒の団に来て、という話」 無言で厳しく睨みつける。答えは言うまでもなかった。 「つれないわねえ」同じ言葉を繰り返して、しかし平気そうに彼女は笑う。「君は特別よ。どれだけ経っても、未だに君のような逸材は出てこない。成功したと思っても、身体への負荷が大きすぎてすぐ死ぬのよ。何が理由で君はできあがったのか、実際どれほどのことができるのか、とても興味があるわ。私たちは歓迎する」 「そんなの、俺は興味ない。特別でもなんでもない。それにそっちが言っているのは笹波白だろ。あいつはとっくに死んだ」 「まだそんなこと言うのか。ま、いいけど」女は曇天を一瞥した。「今日はね、それを確かめるのも兼ねてここに呼んだのよ」 「……確かめる?」 「そう。もう一人来る予定なのに、遅刻ね。いつものことだけど困ったものだわ」 つまり増援が来る予定ということだ。クロは身を引き締める。逆に、少ない今が好機だった。ならば先手必勝だ。受け身になっていては相手の思う壺。クロは腰に備え付けたポーチの留め具を弾くように外すと、武器を取り出した。 「火閃ッ」 円筒の両側から長い刃が飛び出して、炎が覆うように燃え上がった。しかしやはり雨水と湿気で普段より随分勢いが無い。初めこそ盛んに膨れ上がったが、瞬く間に雨に流されて刃の中に吸い込まれていくように萎んでいく。クロは思わず眉を顰めて火閃を見つめた。辛うじてちらついている炎は文字通り風前の灯火である。いつもより随分と弱々しい刃のように錯覚した。炎を用いた攻撃は使い物にならないことなど使う前から目に見えた。が、刃が健在ならば斬れる。ポニータとアメモースに目配せすると、二匹は頷く。クロは水溜まりを蹴り出した。彼のポケモン達も同時に雨の中を駆ける。 俊敏なクロがすぐに詰められる間合い。一気に接近して彼女の喉元を貫きたいところだったが、そう簡単に辿り着けるはずもなく、白と赤の獣が飛び込んできた。咄嗟に振り上げた火閃の刃はザングースの硬質な爪に弾かれる。激しい硬質な残響が曇天に響いた。 「ほら、そうやってすぐ暴力に走る!」 「うるさい!」 彼女の笑顔を崩すことはできない。軽い足取りで水溜まりを蹴り、後方へと下がる。彼女の前を陣取るように立つザングースの瞳は、ホクシアの時と同様に異様なまでに血走っていた。 「ポニータとアメモースを突き放せ!」 痛烈な指示を聞いた直後にはユンゲラーのスプーンがぐにゃりと曲がり、二匹の動きが鈍くなった。そこに体当たりをするようにザングースが飛び込み、ユンゲラーもテレポートでクロの前を離れポニータとアメモースの方に追い打ちをかけた。 黄金の存在が一瞬で消えると、その穴を埋めるようにすぐさま別のザングースが飛び込んでくる。巨大な爪を振り上げる。死角からの攻撃だった。雨天は炎にとっては不利でしかないが、動く音は露骨なまでに耳に届く。加えて相手は飢えた獣のような殺意をまき散らしていて、気配も容易に感じ取れる。冷静になれば余裕で対応できる。火閃の刃と、振り下ろしたザングースの爪が相見える。しかし、まるで壮絶な火花が散ったかのような衝撃はクロの予想を逸脱しており、表情が苦く変容した。正面から受け止めて軽くいなせる程のレベルではない。腰の深くまで重みが伝わってくるような一撃。更に力が加えられる前に咄嗟に火閃を縦に滑らせ、爪の軌跡が刃をなぞるように落ちていったところで、ザングースの背が見えた。火閃をもつ手首を捻り、円筒のもう一方から伸びる刃がザングースの首もとめがけて回りこんだ。が、その刃が肉まで触れたと思えば、ふくよかな身体は地面を蹴り上げ、隙が出来ているクロの横腹へと飛び込んだ。捨て身の衝突。クロの目の前が目映く光る。遅れて身体の内側まで亀裂が走るような痛みが響いて、堅い床に打ち付けられた。ひたひたに満ちている水溜まりに倒れ込むと、口の中に鉄の味の水が流れこんできた。雨水と攻撃の衝撃に幾度か咳払いをしたが、追随してくる気配は休む暇を与えさせなかった。倒れ込んだところに群がるようにザングースニ匹が同時に飛びかかり、クロはその場を即座に退く。爪が床に突き刺さったかと思うと、コンクリートが砕けて破片が宙を舞った。クロの表情が痙攣する。 雨のせいか、身体が重い。肌に張り付く服が鬱陶しくてたまらない。ザングースの毛並みも荒んでおり、荒々しい呼吸が遠くにいても伝わってくるようだ。 ざり、と足を開いて水の浸るコンクリートの感触を確かめる。破壊力は相手が勝っていても、動きは直線的だ。冷静に、とクロは苛立つ自分を諫める。ああ、雨が邪魔だ。皮膚の下を蠢くような気怠さが、邪魔だ。 「ニ、三、連続斬り!」 女の鋭い指示が飛ぶと、二匹ほぼ同時に四つ足で走り出した。クロはウェストポーチの、火閃の入っていなかった方の留め具を外すと小型の薄いナイフを取り出して、牽制するように片方へ一直線に投擲した。理性が吹き飛んでいるようなザングースの視界はしかし頗る鮮明だった。軽々とジャンプして避けると、何にも当たらずナイフは虚空を切り裂いていった。その向こうにアメモースとポニータがユンゲラーとザングース二匹を相手に戦闘を行っている姿を垣間見て、クロは距離が離れてしまったことを思い知る。 先に到達したザングースの攻撃を火閃で受け止める。先程の一撃とは違って随分軽い。しかし指示通りならば、最初は軽くとも回数を重ねるに従い鈍く鋭く重いものに変わっていくはずだ。それが連続斬りである。遅れて二匹目がやってきて、集中力を一気に高める。軽い分、素早い。無我夢中になって次の攻撃の位置を予測し、受けて、あしらう。攻撃を重ねるほどに相手の勢いが増していくのが手に取るようにわかる。剣捌きは冴え渡っていく。雨の飛沫、金属の音、獣の深い臭い。動きながらでも捉えられる。隙は見つけられる。息継ぎも許さないような止め処ない攻撃にひたすら耐える。だんだんとその一撃に込める力が強くなっていけば、それを溜めるだけの呼吸も必要になり、弾いた直後の反動も大きくなる。まさにその隙、向かって左側のザングースの連続切りを渾身の力ではじき返し脇が開いた瞬間、クロの深緑が閃いた。それまで受けてばかりだった、足下に力を入れて、走り抜けるようにザングースの脇に肉薄したのと同時に、火閃の刃が、ず、と獣の腹に沈み込む。その弾力もまとめてクロは奥へ力を込める。ザングースも前へ進む勢いが止まらず、すれ違うようにして、その刃が横腹を裂いた。炎がないためそこから追い打ちをかけるように相手に着火する技は使えないが、その傷口から鮮烈な生きた赤が飛び出した。雨の冷たさを丸呑みするほどの熱がクロにも張り付く。獣の金切り声が割れんばかりにつんざき、暴走は一瞬息を顰め、よろめく。 が、目の前に必死になりそのことだけに神経を尖らせているが故に、背後に意識が及ばなくなるのは当然のことだった。 突然の背中を引き裂く一撃に、クロは目を見開いた。上から下へ、縦に滑るような、しかし確かに抉る攻撃。頭から抜け落ちていた、残りの一匹によるものだった。 火閃を持つ手の力が弱くなって、ザングースの爪は遂に火閃をはたき落とした。血生臭さと裏腹の美しい金属音が殺伐とした雨音を背景に響きわたる。地面に叩きつけられた火閃が跳ね返り宙を踊る姿が、クロの網膜に焼き付くようだった。遠くで、ポニータやアメモースの悲鳴のような声が聞こえた気がした。 挟み撃ち。セオリー通りの戦い方。がら空きの背中はどうぞ攻撃してくださいとでも言っているようなものだった。 クロは前へと倒れ込み、辛うじて片手をついたが、それ以上動けなかった。背中が燃えているように熱い。呼吸で肺を膨らませるだけで背中にざわめきのような痛みが広がり身体を硬直させた。彼の背中は鮮烈な赤で染まり、崩れ落ちた場の水溜まりに血が滲んで溶けていく。耳元で鳴っているかのような心臓の音は激しく、脈打つたびに背中の激痛が全身にこだました。 ザングースの攻撃は止んだ。ホクシアの時と同じだ。今、相手に本気でクロを殺す気はない。そういう指示がされていたのだろう。まんまと作戦にはめられたというわけだ。 「痛そうね」 こつこつと床を鳴らしながら女が近付いてきた。赤い傘。鮮やかな赤。その下にいて、彼女はまっさら、無傷で笑っている。クロは威嚇するように睨みつけたが、彼女の表情は変わらない。 「でも流石。この雨天でもあれだけ冴え渡るなんて。……ああ、ようやくもう一人も来たみたい」 空を高く仰ぎながら、女は言い放った。うずくまるクロは導かれるように空を見た。 曇天の下、滑るように鳥ポケモンが飛んでくるのが見えた。見覚えがある。雨の中でも堂々と毛並みを棚引かせて飛ぶ、あれはピジョットだ。黒の団が飛行手段に用いるごく一般的な存在である。 徐々に近付いてきて、クロの霞んでいる視界でもその顔が朧気に確認できた時、高熱を帯びた背を一筋の槍のような寒気が貫いた。 視認してからはあっという間だった。羽ばたきに合わせて水溜りがふわりと揺れ、ピジョットは女性の隣へ恭しく最小限の音で着地すると、その背に乗っていた男が降り立った。長いコートのような黒い上着は、やはり黒の団のものだ。濃紺のタオルを頭にかけているがまるで意味がなく、雨の中を飛んできたのだから当然の如く全身ずぶ濡れだった。女性より身長は頭一つ分以上高く、猫背���味だが体つきは良い。見た目の年齢は恐らく女を超えており、若々しいとは言い難いが、肩幅の広さや身体の分厚さは逞しく鍛え上げた男性のものだ。 「フェリエ」 「遅いわよ、枷場(はさば)。どこをほっつき歩いてたの」 「ああー……」 気怠げに男、枷場はタオルを床に捨てると、ガリガリと黒髪を掻いた。 「どこにも行ってねえよ。大体こんな雨に出させるとか、有り得ないだろ、普通」 「まぁたあんたは文句を言う。雨の日に決行するってことは前々から言ってたでしょ」 「だったらせめて俺にもテレポートできるポケモンを貸してほしかったよ……で、白はどこ」 女、もといフェリエは顎で、ザングースに囲まれてしゃがみ込んでいるクロを示した。枷場は目を細めてクロを見る。クロの心臓がまた特別大きな脈を打った。どくどくと血は流れ続けているが、意識は遠のくどころか、枷場から目は離せず、より頭が鮮明になっていく思いがした。 枷場は弱っているクロを前にして、強い舌打ちを打った。 「……なにあれ、俺がどうこうしなくても既に手負いじゃん。ドブコラッタかよ。俺の知ってる笹波白ならザングース如きに遅れをとらないはずなんだけど」 「言っておくけど、ただのザングースと同じにしないでほしいわね」 「ああーはいはい。得意の滋養強壮ってやつね、別に解ってるけど」 「この雨でかなり善戦してたのよ。十分誉めたいわ」 「あんたらはあいつを過大評価しすぎなんだよ。夢見過ぎだボケ」 そう吐き捨てると、不意に雨ごと吹き飛ばすような銀色に煌めく鋭い風が巻きおこった。傍にいた枷場のピジョットが敏感に気が付いて対抗するように羽ばたき、呆気なく勢いを相殺させる。 アメモースの銀色の風だ。その小さな羽から、強烈な風を創り出す。黒く丸い瞳はぐっと引き締まり、高い空中から敵を見下ろしている。 ザングースとユンゲラーの攻撃を潜り抜けて、ポニータがクロを取り巻いているザングースへ向かってその口から炎を吐き出した。雨ではその威力は弱まってしまうが、牽制にはなる。自慢の足でザングースの群を散らすようにクロに駆け寄り、そこにアメモースも合流した。まるでクロの壁になろうとしているようだったが、その二匹共既に身体は擦り傷だらけで、全身で呼吸をしているかのようだった。 ポニータとアメモースの相手をしていたザングースとユンゲラーも怪我を負っているが未だ健在だ。逃した獲物を狙うように、距離をとって様子を窺っている。 「へえ、アメモース」男の声のトーンが上がった。「そんなの持ってたのか」 「あんたって本当に報告書とか見ないわよね」 彼女は苦い悪態をつく。 「は、載ってたっけ、そんなこと」 仏頂面のまま流すと、枷場は腰に手を当てた。それから場面を観察し���なるほど、と頷いた。 「ポケモンが邪魔だ。特に飛べるやつはろくなことがない」 そう呟いて、金色の獣に視線を放った。 「ユンゲラー、サイコキネシスでアメモースをフェンスに叩きつけろ」 「――ッアメモース! 銀色の風!」 痛みに耐えていたクロの指示は遅かった。アメモースが再び強烈な羽ばたきを行う前に、ユンゲラーのスプーンは深く曲がり、まるで見えないものに殴られたようにアメモースの軽い体がいとも簡単にフェンスへと激突し、アメモースの苦い声があがる。その様子を見て、途轍もない嫌な予感がクロの脳裏を走った。 「ポニータ、アメモースを守れ!」「一、アメモースを取り押さえろ」 ほぼ同時の指示。しかしポニータはすぐに動けないクロの元を離れることに躊躇した。その一瞬が命取りだった。ザングースのうち一匹がフェンスから落ちるアメモースへと飛びかかる。手はアメモースの翅を、足は目玉のような触覚を抑えつけ、アメモースは床に貼り付けられたように完全に身動きをとれなくなってしまう。 「翅をもぎ取れ」 枷場はさも当然のように淡々と言い放つ。 クロはしんと絶句した。 ザングースの真っ赤になった目がぎらりと光った。鋭く発達した歯が剥き出しになる。 その太い歯がアメモースの一枚の翅にかぶりつく。まるで肉に喰いつくように引っ張り上げ、アメモースの真っ黒な丸い瞳が戦慄き、滑らかな身体に想像を絶する激痛が雷のように貫き、聞いたこともない冷たい悲鳴が劈いた。痛みに身を捩ろうとしてもザングースは一切逃さない。血走った目。口から滴る唾液。ぶちぶちと繊維が切れる音が聞こえてきそうな一瞬。金切り声。尖りきって爆発する。まるで、断末魔。 「アメモース!!!」 自らの激痛を忘れ、クロは悲痛な叫び声をあげた。 美しい空色の翅をザングースの歯が完全に喰い破った、その千切れた場所から鮮血が吹き出していき、映像のようにクロの目に焼き付いて、クロは自らの血と雨に塗れた身体を顧みずにその場を飛び出した。 手元に火閃は無い。懐からナイフを取り出すような余裕もない。クロはがむしゃらにアメモースに乗りかかり空色の翅を血だらけの口からぶら下げているザングースに体当たりした。猛然とした勢いにザングースは反応できず、そのままアメモースからはがされる。 クロはザングースを突き放すとすぐにアメモースに走り寄った。そしてその惨憺たる光景に言葉を失い、括目した。 アメモースの翅は三枚のみになって、非対称的な様子があまりにも歪だった。一枚翅をもがれた部分からは生々しく千切れた痕跡のある肉が見えており、そこ流れる血は止まることを知らず、雨水すらも呑み込んでいく勢いだった。全身は痙攣していて、時折びくりと飛び上がっては静止して、震え続けている。黒い瞳はうつらうつらと震えるような瞬きを繰り返していて、視界がぼやけても必死に何かを探す。やがてようやく主人を見つけだして、か細い糸のような声を捻り出した。雨音に掻き消されてしまうほどの弱々しさ。見ているだけで、聞いているだけで、クロの胸は擦り切れて傷だらけになっていく。あまりの呆気ない破壊行動であるが故にかえって信じられないぐらいだった。しかし、一面が灰色のこの場所では、赤は嫌になりそうな程鮮烈な現実だった。 このままではアメモースが死ぬ。 最悪の可能性が過ぎったとき、その血塗れの現実から目を背けるようにクロは震える手でアメモースのボールを取り出し、アメモースをボールの中へと戻した。手の中に血だまりを閉じこめたような気分だった。ひやりとした無機質なボールに生々しい温もりを錯覚する。目の前に赤だけが残る。血。アメモースの血。上塗りするような雨の波紋。赫が揺蕩う。臭いが歪む。雨の雑音が鼓膜を掻き殴っていく。呆然としたままクロは動けなかった。漏れ出た息もまた震えていた。背後に駆け寄ってきたポニータの蹄の気配を感じた時、凍り付いていた思考が割れて、弾かれるようにクロは振り返った。 「ポニータ! アメモースを連れてここから逃げろ!!」 腹から突き出すような、怒声にも等しい叫びだった。ポニータは真っ黒な瞳を丸くした。クロは猛々しい形相で立ち上がり、ポニータの前にボールを差し出す。 「すぐならきっと間に合う……お前の脚力だったら、ビルを渡りながら移動できる! 必ず真弥さんが見つけてくれるはずだ……!」 他人に頼る、甘い考えとも今は思わなかった。ここでゆっくりと死を待つよりはずっと現実的で堅実的だと彼は判断していた。クロはこの屋上での戦闘がどれほどのものになるか、想像はしきれなかったが、既に泥沼化を覚悟していた。しかしそれを予想できたのは、ポニータも同じだった。 ポニータは戸惑うようにクロを見て、彼の汚れた手が強く握りしめているアメモースのボールを見て、震える声をあげる。アメモースを助けるということは、連れて逃げると選択することは、即ちこの場でクロを捨てるという意味と同義だった。 クロは急かすようにボールをぐっとポニータに近付ける。 「早くいけ。アメモースがこのままじゃ死ぬ……それだけは絶対にだめだ! あいつらが用があるのは俺だけだ。俺はここに残って食い止めるから!」 雨の中でも分かるほどに黒い瞳が潤む。首が力無く横に振られて、また細い声。絞り出した声。嫌だ、とでも言いたげな声。切実に胸を切り裂かれているような声。主人に逆らってでも、アメモースを放置することになってでも、ポニータは自己犠牲を厭わないクロを選択しようとした。やがて、ポニータは力の限りに首を横に振った。炎が膨れて激しく揺れる。必死の抵抗だった。ここまでポニータが感情を露わにするのは珍しい。けれど、クロはポニータの懇願に刺々しい苛立ちを募らせる。どうして否定する。どうして理解しない。どうして行ってくれない。こうしている一分一秒だって、惜しいのに! 「行けって言ってるのが聞こえないのか!! 命令だ!!!」 渾身の叫びは空気を震撼させた。 正面のすぐ傍、目前で声は爆発して、ポニータは大きく震え上がり硬直する。益々勢いを増す雨脚は、諫めるように降り注ぐ。血走るような深緑の瞳を、ポニータは見た。熱い激情。普段は顔を出さない炎の意志。囂々と燃えて、その中に、一筋の祈りが宿っている。早く行け、行ってくれ、頼むから、お願いだから、早く。深緑を覗き込めば覗き込むほど、ポニータに伝わってくるのは痛ましいほどの必死の懇願だった。雨水に紛れ込む一筋の涙が、ポニータの目からこぼれ落ちた。 ぱっと周囲を閃光が瞬いた。静かな雨粒の間を置いて、遠くで長い雷鳴が轟き、深い地響きのような音が雨の中を切り裂いていく。 ポニータはアメモースのボールをゆっくりと甘噛みすると、クロの手元から小さな命がついと離れた。クロはポニータを見上げる。ポニータはまだ涙ぐましい顔をしていた。火馬の真意は完全に掴めなくとも、離れたくないと訴える圧力は刺さるように伝わってくる。 強ばっていたクロの顔が、一瞬だけほどけた。雨の中、草臥れたような静かでやさしい顔をポニータは見せつけられ、弱々しい炎が大きく揺らめく。 そこで遂にポニータはクロに俄かに背を向け、助走も無しに跳び上がる。ふわりと軽い動き。フェンスを器用に蹴り上げ、屋上から空へ駆ける。その間、最後に名残惜しげにクロを横目で一瞥し、やがて眼下の景色へ吸い込まれるように落ちていった。 やや胸の竦むような光景だったが、クロはようやく安堵したように肩を落とす。しかしそれも束の間のこと。 これで、本当に、一人になってしまった。 ポニータもいなければ、アメモースもいない。ただ一人取り残された孤独の圧力。顔を上げて、現実を見る。怪我の程度に差はあれど、五匹のザングースに、一匹のユンゲラー。黒の団の人間が二人。手元に火閃は無い。クロの手元を離れて力尽きたように刃を筒の中に納め、床に転がっていた。その火閃の傍にゆっくりと歩み寄る黒い存在。枷場が拾い上げ、しげしげと観察する。 「漸く温い芝居は終わったか。待ちくたびれさせんな」 苛立った声で男は言い放った。火閃を軽々と投げては受け止めてを繰り返し、弄ぶ。 アメモースの衝撃で忘れていたが、クロの背中に再び血が通い始めたかのように激痛が唸りだした。しかし、虚勢を張るようにクロはその場からゆっくりと立ち上がる。そして、アメモースの羽をもぎ取るよう指示した冷酷な男を純然な敵意をもって睨みつけた。しかし、は鯖はびくともしない。 「頼りないな。さて、お前が白かどうか、だったっけか」 「うっかり殺さないでよ。大事な子なんだから」 「うるさい。そこで黙って見てろ。あと、ザングースはしまっておけよ。制御不能になって暴走されたらたまったもんじゃねえ」 はいはい、とフェリエは肩を竦めて、興奮が収まらぬザングース達を次々にボールへ戻す。五匹分の獣の気配が消えると、雨の存在感がより一層増し、しんとした静けさが代わりに満ちていく。 火閃を手にしたまま、枷場はクロの方へ向かって歩み寄る。警戒するクロは間合いを保つように後ろへ下がるが、すぐにフェンスにぶつかり、後が無くなってしまう。 二メートルほどの距離で枷場は止まり、ふうと息を吐いた。そして、持っていた火閃を床に転がすように投げる。からん、と音を立てて、火閃はクロの足下にぶつかり、静止した。行動の意図が読めず、クロは不審げな瞳で相手を窺う。 「火閃だろう、それ」顎で武器をさしながら言う。「使ってみろ。俺はまだお前がそいつを使ってるところを見ていない」 ぞんざいな口振りの指示だった。 大人しくなった火閃をクロはじっと見つめる。火閃が手の届く場所まで戻ってきても喜ぶ気にもしめたという気にもなれない。手に取られるのを待っているかのような円筒を一瞥しながら、クロは無言で抵抗する。背後のフェンスの針金が、背中の傷に食い込む。 まるで動こうとせず、深緑の瞳だけは帽子の下で爛々と光っているクロの姿を見て、枷場は深い溜息をつく。 「聞こえなかったのか。��れとも、李国語でわざわざ喋れっていうのか。どうでもいい。早くしろ」 枷場の神経が逆立っているのが昂ぶる声音から分かる。それでもクロは動かなかった。心臓が速まっていく。背後の針金を強く握りしめる。その指先が痺れたように冷たい。雨のせいだ、と思いこめば、少しだけ楽になる。そうだ、雨のせいなのだ。全ては、雨のせいだ。また、雷の轟音。稲妻は彼等の輪郭を鮮明に照らし、一粒一粒の質量が重くなった雨は容赦が無く、景色も雨の中に霞んで全てが等しく灰の色をしていた。 数秒待っても現状が変わらないので、枷場はまた一歩踏み寄った。彼の背は高く当然足も長く、その一歩は大きい。 目の前に来ても、無言の圧力にひりひりと圧倒されても、クロは逃げなかった。体内にけたたましく迸る寒気や危険信号を悉く無視した。自尊心が彼を立たせ続けるのだ。逃げることだけはできなかった。 お互いに篠突く雨に曝されてしとどに濡れ、どちらも視線を離さない。しかし、明らかな敵意を向けているクロに対し、枷場の身体はどこか弛緩し、至極つまらなさそうな顔をしている。 「お前、さっき自分のポケモンに言ってたな」 男の静かな軽蔑の視線がクロに突き刺さる。押し殺しきれていない冷たさに一瞬胸の竦む思いがした。 「聞こえないのか、命令だ、って」 ゆっくりと大袈裟な抑揚をつけた後、男の足が動くのがクロには見えた。右足の、膝。振り上げられる。そのまま、自分に向かって直線方向。咄嗟に防ごうと腕を上げようとしたが、自分の身体ではないかのように途轍もなく身体は重く、容赦なく重い膝の一撃が腹から背中まで響いた。 「おい聞こえてんのか!! 命令だっつってんだろうが!!」 熾烈に荒らげた怒声が雨の中を殴りクロの筋肉まで痺れさせた。また同じ場所に更に躊躇のなく足蹴が入って、耐えられずクロの口から呻き声が漏れた。苦痛に顔が歪み、フェンスに縫いつけていた指に力がこもった。 「図体だけ一丁前にでかくなりやがったと思えば、態度までとは随分調子に乗ったものだな。なあ?」枷場は足下に転がっていた火閃を踏みつけた。「お前が笹波白だろうと別人だろうと別にどうでもいいが、これも仕事だからな。白なら俺のことを覚えている、或いは忘れてる……別人なら知らない……それだけの話だ」 呻いてフェンスに寄りかかりながら、クロはひとまず痛みを堪えるので精一杯だった。痛む腹を手で抱えるように押さえていると、青白い顔に骨ばった拳が躊躇なく飛び込んできて、遂にクロは膝を折った。水たまりの中に頭から転がり込んで波のような水飛沫があがったところを、枷場は腕を伸ばしてクロの帽子をゴーグルごと捨て去るように払いのける。露わになったクロの頭を見て、枷場の手はクロの深緑の髪を左手で乱暴に掴み上げ、倒れていたクロを無理矢理に引き上げた。普段隠れている額と瞳が完全に姿を晒けだされれば、冷たい空気と雨に直接触れて恐ろしく寒々しく、その強引な力強さで髪が引きちぎれてしまいそうだった。クロは細い視界で相手を見る。枷場の顔色が少しも変わっておらず平然とした表情であることに気が付き、ぞっと凄まじい寒気が襲いかかった。だが、一方的な攻撃で簡単に折れるほどクロの精神は弱いものではなかった。自尊心と抵抗感はまだ生きていた。 「知らない……」 殴られた衝撃で滲んだ口内の鉄の味と雨の味を噛みしめながら、クロは声を振り絞った。 「知る……もんか……ッ」 反抗的態度を剥き出しにした。掠れ声であろうとも、自分を保つように。 瞳の深緑は、雨の中でも、痛みの中でも、強く輝く。 しかし、相も変わらず男の顔は変わらない。 「……はーん」 そして、つまらなさそうに頷く。 「まあそう言うだろうな。誰がなんと言おうと否定する、ね。ああ、成程。だけど、隠せないほど滲んでるぞ、そうでもなさそうな空気。口と目だけは一人前だが、身体が一切抵抗を見せない。そんなに痛むか。それだけではないだろう」 髪の毛を掴んだまま、フェンスへとクロの頭を叩きつけて軽々とした金属音が揺れる。そのまま押しつけると堅い針金が頭皮にまで食い入った。為すすべもないかのようにクロは顔を歪ませる。 空いている枷場の右手がコートのような黒い上着をめくりあげて後ろ手に回る。腰から下がっている縦に長いホルダーを外すと黒く細長い棒状の柄が出てきて、そこに巻かれていた革製の紐がだらりと棒から下がり床へ落ちる。彼が手を動かせば蠢く様子は、黒々とした蛇のようだった。クロはその蛇から目を離せなかった。肺が乾く。汗ばんだ手が針金を掴む。ふわりと革紐が浮き上がって、しかし勢いよく男が振り下ろせば、反り上がった紐は目にも止まらぬ速さで水たまりを簡単に壊し張り裂けるような音を立てた。クロの肩が反射的に飛び上がる。制御できる感情とは他の部分で、そこで初めて彼の表情に怯えが点った。 「――雷駈」 間近でクロの様子を観察してから枷場は呟く。雷駈という言葉に反応した黒い鞭に白い閃光が走る。静電気よりもより明確な、稲妻。その電撃のエネルギーで紐は震え、また床に叩きつけられれば電気性の火花が迸る。反射的にしゃくりあげるようなクロの声が漏れると、隠すように唇を紡いだ。 瞳孔が開いた深緑の双眸を暗闇が捉える。は、と枷場は薄い嘲笑を浮かべ、クロの濡れた髪を握る手に更に力を加えた。 「忘れさせるほど温い教育はした覚えがないな。折角わざわざ来てやったんだ。骨の髄まで思い出させてやる」 < index >
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慟哭は復讐の声 1.奴が帰ってきた
2017年3月に行われたサタスペのキャンペーン・青空爆発ドッグスの最終話を小説風に脚色したものです。
いつの間にか久し振りに飲もうぜなどと言い合える連中になってしまった。それに二つ返事で喜べる仲になってしまったのだ。誰がなんと言おうとも、自分たちが実のところどう思っていようとも。
「みっちゃんとリーダーはまだ来てないみたいですねえ」 ダイキリを片手に呟いたのは崔恭一だった。紫の瞳は壁に掛かっていた時計を確認したがさっき見たときと変わらず二時十七分で止まっているらしく、当てにならないと顔をしかめては酒を煽った。よく見たらガラスが割れているし中に蜘蛛の巣が入り込んでいる。 「まあリーダーが時間にルーズなのは今に始まったことじゃないですしね」 酒を勧めてくる悪い大人にNOが言える優等生DB・マヤンはカラシニコフを玩具のようにして遊んでいる。チョコレートの盛り合わせは地下の籠った熱で溶け始めているところ。室内でのマナーと言って着こんでいた帽子とコートとジャケットも脱いでいた崔も少し暑そうだ。 「一松も適当なところあるしな」 黒くないビールをぐっと傾けて一気に飲み干したのはヴィンセント・ジョーンズ。空いた腹にアルコールは良くないと頼んだつまみに手を付けないまま三杯目だった。口に白いヒゲがついたのを褐色肌の少年が揶揄い、黙って手の甲で拭う大男を横目で見ながら、自分は次にどんなものを飲もうかと崔は考える。昔から所以だの謂れだのを考えるのが好きで、特に拘ってるのがジンクスだ。ちなみにダイキリについた意味合いとは、希望らしい。 例え亜侠などと言うボンクラであったとしても酒を飲むなら日が落ちてから、全員が揃ってからと思っていたのにリーダーであるパット・ユーディーともう一人の一松三子が現れる気配が無いので痺れを切らして諸々を注文したのが三十分前になる。お決まりになってしまったこの個室はそれはもう店の奥の奥で、料理の映えなど気にもかけない白熱灯が光るばかりで外が今どんな様子なのかは把握できない。相変わらず狭い部屋はあと二人を収容出来るのかも疑わしいくらいだがパットはまだ成長しきっていない少年だし一松は枝みたいに細いから結局は大丈夫なのだろう。 「なんだっけ? パソコンのCPUのクロックアップ? あれに凝ってるって言ってたっけ。僕わかんないです」 銃を傍らに置いたマヤンがもうぬるくなってしまったオレンジジュースを少しだけ飲んだ。 「まあ……一松のほうは最近恋人も出来たしな」 「最近? もう半年も前の話ですよ。若いんだからその感覚は治しましょうよ」 「いやいや忙しかったからさ、時間が経つのが早かっただろ」 最年長に老いを指摘されてヴィンセントが焦る。言い分はまぁ、わからなくもないが。 「この半年の間になにがありましたっけ?」 因幡の白兎が頼んできた件は何ヶ月前でしたっけという少年の問いに、三人は六ヶ月を思い浮かべ始めた。ワニとサメが合体した化物を海上に浮かぶ船から相手するのはシビアなものだった、舵を取ったマヤンは免許を取れる腕前に変わり果て、依頼人のウサギに騙されたとわかるとこういうときはパイにするんだよと一松が喜々として包丁を研いでいたこととか。さるかに合戦は親の敵討ちをとカニが頼んできたが実際にはサルはむしろ良い奴で、カニ率いる詐欺師集団が豪邸を奪い取る算段だったらしい。甲羅が嘘みたいに硬くて銃弾を物ともしないので崔が無理だと泣き喚き、結局ヴィンセントが手足をもいで物理で解決させた。あと一回だけ珍しく人間がやってきて某盟約で秘密裏に開発されているウィーゼルの詳細を調べてくれとのことがあったが、実際に生み出されていたのは洗脳された殺人イタチであった。結局動物じゃねえかとパットが叫んでいたが同情禁じ得ないぇ 「どうでもいいですけど本当に動物関係多いですね、ウチは」 ようやくグラスを空にして、店員を呼ぶのに立ち上がりながら崔は呟いた。 「なんか呪いなんじゃないですか」 マヤンが言った。割と呪い染みた運命だと。錬金術師が言うと洒落にならんなとヴィンセントは追加のジョッキを頼んでいた。
それから十数分、パットと一松は未だ来て居らず、幸運にも趣味の近い者同士であったため途切れなかった会話に割り込んでマヤンの携帯が鳴った。数年前にヒットした映画の荘厳な主題歌はチープなアレンジに変えられ、すぐに通話ボタンを押される。聞こえたのは荒い息遣いで、その向こうから意味を成さない騒音が重なっていた。正確には動物の鳴き声がほとんどだった。苦しそうな呼吸が三回、それから相手は声を発する。 「すまぬ、マヤン」 この声を知っている。マヤンの脳裏にはエンペラーペンギンの顔が浮かんでいた。もう若干懐かしいくらいのあのペンギンである、一時は長電話した仲ではあるがその後についてはお互いなんの音沙汰も無く過ごしていた。 「どうしたんですか、なにがあったんですか?」 彼に何故こんなにも余裕がないのか心当たりがない。それはもう当然のように喉から出てきた。マヤンの不安を滲ませた声に崔とヴィンセントも動きを止める。 「奴が帰ってきた」 エンペラーの声に油断は許されていなかった。奴について尋ねる前に動物園の惨劇は彼を吞み込まんとしていた。多くを語れないと判断した彼が慎重に付け加える。 「私もここまでのようだ……奴らには気をつけろ」 「ど、どうしたんですか! なにがあったんですか、返事をしてください! エンペラー!」 続いて、爆発音。マヤンの耳が壊れる前に電話はぶつ切りされ、状況から取り残された故の空しい呼び掛けが残り、その余韻もいよいよ無くなると温情とばかりにラジオにノイズが走った。ブレイク三歩手前のバンドミュージックを流していた店内放送は公共の電波に切り替わり、たった今の速報を流す。 『臨時ニュースです、天王寺動物園が爆破されました。被害のほうはまだわかっておりません。近隣の住人はすぐさま避難をお願いします』 なんと他人事な声なのか。繰り返しを聞き流しながら、齢十三は呆然としたままなんとか携帯を落とさないように必死だった。 「一体なにが……」 「なにか……爆発があったとかなんとかって言ってますねぇ」 崔はいつの間にか上着を着ていた。エンペラーどうこうって、ひょっとしてあの? と腕を横に曲げて手のひらをぱたぱた動かしているが、それはペンギンのつもりなのだろうか。 「天王寺動物園は今や彼のキングダムです、そこが爆発されたということは」 言葉はどうしても続かなかった。予測出来た会話ほど無駄な時間があるだろうか。一瞬で誰もが無口になり、焦燥感が追い立てるように神経を焼く。この町で最も静かな場所に違いなかったが、やがて扉のノックが三人を、少なくともこちら側へ呼び戻した。しかしそれが安心できる切っ掛けだとは思えない。 「雲行きが怪しいですねぇ」 眉を顰める崔がちらりと長年の友人を見た。嗚呼、了解、言われなくてもとヴィンセントが扉に近寄る。何者だ、尋ねる前にガチャガチャと言った複数の銃の準備に気付いた。途端に吹き飛ばされたドアノブがマスターキーによるものだと言う認識は後で良い、それよりもまず。 「物陰に隠れろ!」 戦闘力に特化した男の剛腕が、物量が乗った木製のテーブルを倒した。入口を塞ぐように天板を向けたがしかし、食器が割れるよりも先に手榴弾が投げ込まれるのを目撃する。キン、と光が飛ぶような音が耳をつんざいた。 「ヴィンス!」 真っ先に反応出来たのはマヤンだったが余りにも唐突過ぎて体が追い付かない、足は床の凹凸に引っかかって大きくバランスを崩した。勢いのままヴィンセントを倒し、大男は幼い身を庇うために受け身を取らずに少年を抱えて壁際に転がる。後ろにいた崔は奇しくも巻き込まれ潰されたが、全員が部屋の隅でギリギリ爆風を避けたと言うことになった。 まだ晴れない土煙を薙ぐ如く重い一撃が振り下ろされたのも、ヴィンセントが咄嗟に起き上がってバットを握れたのも、片膝に体重を掛けて力任せにスイングしたのも、まるで瞬間的で、脅威は男の横に逸れてぐざんと床を抉った。ちょうど腰の抜けた崔の足元で、動きを止めてようやくごつい斧であることがわかった。ぱらぱらと破片が落ちる音。 「もう勘弁してくださいよ!」 崔が悲鳴を上げながら襲撃者を確認しようと上を向けば、開幕とでも言うように視界は良くなり、そこに蜜のような髪をふわりとなびかせた少女がいた。よくある組み合わせだと思う奴は現実を見たほうが良い、マヤンよりもずっと小さい女性が体格を遥かに凌ぐ斧を使ってこちらを真っ二つにしようとしてきたのだから。彼女は幼い顔立ちで丸く大きな目をしていたが、そこに光は見えず黒い鏡のような球に男を映すばかりだった。そしてまた同じように少女を凝視していた三人の傍へカツン、カツン、誰かがこちらへ近寄ってくる。 「モミジさんモミジさん、早まり過ぎですよ」 名前を聞いた瞬間に、全身が赤の匂いを思い出した。それが秋の葉の色なのか、血の溜まりだったか、判別を拒む程度に遠慮願いたい相手である。しかも非常に信じられないことにだが、やってきた男の声は知っているものだった。キングと呼ばれた男のものだ。 「その女はもしかして……あの……俺らが島で殺した奴か」 ヴィンセントは珍しくしかめっ面で、であるにも関わらずモミジと名称のある少女は静かにこちらを見つめるばかり。 「モミジさんは最近転生したばかりで言葉は喋れないようなん��すよ、ご了承ください」 部屋に立ち込めていた砂埃はもうすっかり無くなっている。それでも聞き慣れない言葉を耳から入れた脳は困惑していた。一体何処のファンタジー時空からやってきた方々なのか、そう本気で思えたらどれだけ平静で居られたことだろう、まあ恐らく同時に死んでいるだろうけれど。 改めて確認すると、大斧を持ち必要最低限のプロテクターを身に着けた少女と、ペストマスクで顔の見えない軍服の男がいた。男のほうはやけに嵩張る外套と艶やかな素材で出来た傘を持っている。属性過多。その二人の後ろからもう一人が顔を出した。まだ増えるのかよ。 「やぁやぁやぁ! 皆さん、お久し振り……へけっ!」 うわ。 「いやー、この格好だと『へけっ』まで言わないとたぶんわかってもらえないからなー」 そう困ったように笑う白衣の青年は流石元マスコットの肩書を持っていただけあると言うか、だとしても素性を知っている分腹の立つ顔ではあるのだが、小動物的な愛らしさはあったかと思う。イメージカラーのオレンジが鮮やかだ。 「状況はわかってきたかな?」 「ジャパニーズノベルに帰れ!」 今まで黙っていただけだったマヤンが耐え切れず声を上げた。それでも歯牙にもかけないと彼らは笑っている、いや一人は無表情だしもう一人はマスクを被っているから読み取れないが。 「地獄の閻魔様に復讐がしたいと言ったら、帰してくれたんでね? このチャンスをものにしに来ただけですよ」 東洋の冥界というのは、サボタージュが問題にならないのかな。動物から人間に生まれ変わる確率と言うのはかなり低い、それを少なくとも三回通しているのだからちょっと仏様を信じられなくなる。 「今日はただ遊びに来ただけです。当初の目的は達成していますので」 そのうちまた顔を合わせることになるでしょう、キングは言った。 「今この場で即行二度と顔も見たくないんだけど」 間髪入れずにマヤンは返す。素直で良いことだ、苦い顔の少年にやはり男はさも愉快と息を漏らす。 「人の姿なら殺れるんじゃないんですか、ヴィンス。やっちゃってください!」 「そういう問題じゃないだろ」 「だってあの巨大なクマがその可愛い女の子なんでしょ? なんとかなるんじゃないんですか!」 「さっきの斧結構ギリギリだったぞ?」 「またまた御冗談を」 「恭一さん、ただの女の子が、斧を振り回したりなんか、しない」 ならば試しにと崔はヴィンセントを壁にしながらモスバーグの銃口を少女に向けた。この距離なら当たらないこともあるまい、引き金を引くまでの時間は一秒も無かったがそれを見越していたかのようにキングが前に躍り出て持っていた傘を広げた。随分広い面積のそれはどんな細工を施しているのか全ての散弾を受け止める。崔が短い悲鳴を上げたとき、ヴィンセントは飛び出した。防衛線なら破壊すべき、と、しかし傘の先端に穴が空いているのを見たとき、そして瞬時に火花が散ったとき、なんとか銃弾を受け止めたバットは手から撃ち落とされていた。 「手が早いのはそちらも一緒でしたか」 その声はもう悦を隠すのを止めたようだ。けらけらと明らかにこちらを下に見る態度にヴィンセントがいよいよ声を低く唸らせる。 「……舐められたままでいられるかよ」 「いえいえいえ? しかし、本気になって貰えるのは嬉しいですね」 「命狙われて本気にならない奴がどこにいるんだこの野郎」 「本気を出してもらわなきゃ困りますよ、こちらも狩りのつもりで来ていますので」 「獣が人の姿を持ってから調子に乗りやがって」 その言葉にふん、と鼻を鳴らしたのは公太郎だった。細めた目にわざとらしく上がった口角、彼は耳に残る声で言い放つ。 「調子に乗っているのは皆さん人間のほうじゃないか」 ぎっとヴィンセントが睨み返せばやーいやーいと手をぴろぴろさせてくるので、駄目だこれは低レベルだとマヤンがスーツの裾を引っ張って静止させた。 「あなた方の命は私たちが頂きます。それまで余生をお楽しみください」 キングの右手が高く掲げられると、小気味好く高い音が響く。空気を弾くようなその合図は、遥か彼方からなにかを呼び寄せていた。それがなにか、と言うのは唐突に地層が軋み地下に位置するこのロクでもない酒場が崩壊しそうな揺れと激しい噴射音で、ただ大きなものであることしかわからない。そんな疑問も個室の天井の一角がごりっと盛り上がり穴が空くことで解決する。ちょっと訂正しよう、ロクでもない酒場が崩壊した。 冗談かなにかのように、ペンギンを象った巨大ロボがそこにいた。そうして差し込んだ手のひらにひょいひょいと元動物たちが乗り込み、用は済んだとこちらに振り返りもせずに帰っていく。そういえばロボットと戦ったこともあったな、あれは差し詰め百万ペンギン力と言ったところだろうか、パットが喜んだらどうしよう。ぽっかり空いた大きな穴から飛び去るロボットは憎しみを差し引いても恰好良かった。超絶技巧には付き物な盛大な効果音が聞こえなくなると、今度は結構な雨の音が聞こえる。季節外れにもほどがある夕立だ。 「夢じゃないですよね……」と崔恭一。 「ほっぺでも引っ張りましょうか?」とDB・マヤン。 「死にかけたのは現実だぞ」とヴィンセント・ジョーンズ。 「とりあえずリーダーとみっちゃんにも連絡を取らないと」 「……と言うか、二人の身のほうがよっぽど危ないんじゃないですか?」 「一人だしな」 「特に一松さんが一番危ない気がするんですけど」 「……アリエルがいるだろ?」 「なにはともあれ仲間がピンチなんだから急ぎましょうよ」 「おう、そうだな」 電話番号を探しながら三人は思う。どうか、どうか無事で居てくれと。
◇
ベンチマークの結果はなかなかに良いものだったし、今月中はランキング十位圏内は安定だろう。別に誰かと競争したいわけでもないが、記録は残しておきたかった。楽しすぎて時が止まったかのような感覚だったのだ。無論あくまで感覚の話で現実は足早に動き続け、結局約束の時間の五分後に家を出た。遅刻は確定しているとわかっているが出来るだけ急ごうと思う。半年前から愛用しているマルチボードに乗っかって人の合間を縫いながら最高速度だ。 しかし、JAIL HOUSEまであと十数分というところで。つまりは天王寺動物園を横切ろうというところで、その公共施設から大きな爆発音が聞こえ、パットは足を止めた。今日はなにかのパーティーだっただろうか、だとしたら随分オーバーすぎる花火だけど、領地を区別するための柵の向こうに煌々と燃え上がる火の海を見てしまえばそれは厄介ごとの類であるという認識に変わる。それにあの場所にはかつて依頼で知り合ったエンペラーがいるはずだった。荷物の中からごそごそと取り出すのはペンギン帽子だ。使えるかもしれない、いや使いたいわけじゃないけど、絶対に使いたいとかじゃないけど、念のため。誰に言うでもない言い訳が心に渦巻いているとその出会いは突然に訪れた。 「パーット!」 可憐ではつらつとした透き通る声だった。それは聞いた者の脳に春を呼んで蝶が飛ぶように目の前をチカチカさせた。体温は先走りすぎて夏の暑さだったし、比喩的に空まで跳ねた心臓はびくびくと脈打っていた。そういう体の症状を無視するかのように頭の上からサアと血の気が引いているような気がしている。目の前が真っ暗になりかけた。ここで意識を失ったらどうなってしまうのだろう、考えたくない。それでもパットはぎこちなく後ろを向いた。 見た目は全然知らない女性だった。天使を思わせる純白の髪に鮮やかな青いリボンのカチューシャ。目は大きくてあくまで美しく長い睫毛を持っている、虹彩は深い緑で、白い肌に際立っている。ブラウスは透けたフリルが軽やかで上品なリボンが装飾としてついていてまるでお嬢様のようだ。全然知らなかったが、重なる部分がどうしてもあのネズミを思い出してしまう女性だった。ロマンスの神様、この人でしょうか? 「誰だお前は?!」 これでどうかまったく違う名前だったら良かったのに、彼女はにこにこしながら、えー覚えてないのー、などとからかってくる。可愛い。違う。埒が明かないと思ったのでじりじりと後退りをしたが、柔らかな指がそっと腕を這うだけで鉛を飲み込んだように足が重たくなる。逃げないで。呟いたか、そうではなかったかは定かではないがパットの体は本当に動かなくなってしまった。 「パット、どこにいくのよ?」 全然怖くないちょっと怒った声でパットに詰め寄る。甘い良い香りがした。違う、違う今本当にそういうことはいらない。 「な、何故貴様が生きている?!」 あの時確かに死ぬような目に合わせたはずだった。ていうか一回死んだよな? 赤い糸って地獄まで続くものなのか、マジか、知らなかったなぁ。今すぐ縁を切りたいと思った。そんな心情を露ほども知らずにパットに愛玩的な視線を送る乙女は、やっぱり可愛いわーなどと非常にマイペースである。そこに前ほどの策略は感じられないが、それでも怖いものは怖いのである。年下の男の子に合わせて少し屈み、どうしたのと覗き込む愛らしい顔を見て、気が付いたら周囲が思わず振り向くほどの悲鳴を上げていた。パットの叫び声はそれはもう天を穿つほどで、曇り空からは破裂したように雨が落ちてくる。思春期の仁義無き戦いだった。 思考停止は悪手だ、アドバンテージをどうにか上手く使いたい。本当は金輪際ア��ローチをしてこないで頂きたいが果たしてこの百戦錬磨を言いくるめられるかと言われると残念ながら自信が無い。昔から女と付き合って上手く別れられた試しが無いんだよな。嗚呼、ここにチームの皆がいてくれたら形振り構わず助けを求めているところだ、最悪こういうのが得意な恭ちゃんだけでもいいから居て欲しかった、自分が遅刻したのが悪いんだけど。仕方ないからせめて時間を稼ごう、そうせめて皆に会いに行って対処を考える時間を、そしてチームを揃える時間を。ここまで1.4秒。 「……二十四時間」 臨戦態勢と言うべき状況に女はくすくすと笑うだけだった。潰したい、こいつを潰したい。 「二十四時間、俺になにもするな。関わるな」 「本当にいけずなんだから……そういうところも好きよ」 彼女はぱちんと器用にウインクをしてから、目線を外して考え込んだ。濡れてしまった細い髪が肌に張り付いている。暗い所にいたら幽霊と勘違いしてしまいそうだった。いや、幽霊かもしれないけれど。 「まぁでも、また会うことになると思うわ」 そう告げると、彼女は後ろを向いて花びらのような手をひらりと振りながらようやく離れて行った。凍っていた体が自由になると、パットは反射とばかりにチーフスペシャルを取り出して乱射したがやはり、まるで当たることはない。やっぱり幽霊なのではないか。スカートの裾が揺れて疎らで灰色の人ごみの中に消えていく。雨は落ち続けて、落ち続けて、道はどす黒くなっていた。 少年は大きく息を吐き出したが、動悸が収まる気配は無いようだ。いっそ心臓を取り換えることが出来たら良かったのに、彼女の笑顔が刻まれた脳みそだけ切り取れれば良かったのに。呪いのような愛だ。
いつまでも濡れているわけにはいかなかったので軒下に潜り込めば、忍ばせていた携帯が鳴った。待ってた。相手を特に確認せず、パットは電話を取る。 「大変だ! 奴が! 蘇った!」 「嗚呼、そっちもか……」 疲れたような声をしていたのはヴィンセントだ。そのすぐ傍でマヤンと崔が生きてた良かったなどと喜んでいるのもわかる。死んでたほうがマシだったかもとは言い辛い。 「こっちもな、ちょっと色々変なことがあったんだよ。蘇ってきたような……人間型のペンギンに、人間型のネズミに、人間型のクマが」 「落ち着いてください、今までの仇敵が何故か知らないけど人になって戻ってきたんです」 擬人化って夢があるけど、これは悪夢です。マヤンが訴えるように言った。 「なるほど、擬人化が得意なフレンズが蘇ったと言うことだな、すごーい!」 「やばーい!」 お子様方は半ば自棄になっている、と大人二人は思う。島に行ったときからなんだか二人が狂いだしている衒いがあるが大丈夫だろうか、崔とヴィンセントは無言で相談していた。リーダーは元から狂ってた気がしないでもないが。 「ま、まさかとは思うがその敵の中にあのクソマスコットはいなかっただろうな?」 「……正直なところ、全員蘇ってても不思議じゃないんじゃないか?」 「待ってください、全てが蘇ったって言うんなら、一松さんが危ない!」 「アリエルがいるから大丈夫って言っただろ」 「お約束かと思って」 大変だったと言う割に電話の向こうは楽しそうだった。それにしても、一松がいないのか。でも問題ないだろう、アリエルがなんとかすると俺でも思う。むしろ敵と相打ちになってあわよくば死ね。たまに肉盾として蘇ってくれ。 「アリエルがボコボコにされてたら嫌でしょ? 急ぎましょうよ」 「お、おう、じゃあ車出してくれ車」 はーいと良い子の返事をしたマヤンがフェードアウトしていき、鍵ちゃんと持った? 大丈夫? と崔が再三確認していて、ヴィンセントはそれじゃあ沙京で一松を探そうと言って通話を切った。 「もう、やなんだけどあいつら相手にすんの」
◇
いつも持ってるジッポーを忘れたのだ。特別に思い入れがあるわけではないけれど、なんとなく身近にあったものだから無いと落ち着かなかった。無視も出来る軽い理由で後戻りの面倒臭い帰路を辿ったのは何故だろう、胸騒ぎがしたからだろうか、ちょっと遅れたくらいでは気に留める人はいないと思っていたのもあって、一松は自宅と言うにも憚られる居住地へ引き返していた。空は一雨来そうな面持ちで冷たい水を吐き出さんとばかりに鈍い色を広げている。ずっと外にいるわけにもいかないと空気を確かめながらふと、焦げた臭いが鼻を突いた。沙京で火を使った形跡なんて悪い予感しかしないし、余計なものは見たくないと避けて通っているにも関わらずその不穏は徐々に近づいてくるのが気に掛かる。そう、悪い予感がする、自分の身に降りかかる予感だ。 果たしてそれは的中する。狭い路地裏は炎を抱え込んでやけに明るく燃えており、一松が寝床にしていた鉄製の檻が熱の揺らめきの隙間から僅かに見えた。ぬいぐるみを詰めていたのだからさぞかし火が回ったことだろう、気まぐれに集めていたものだったけれどこうも儚い別れになるとは。頭のほんの隅っこで考えながら、炎の前に立つ男とその足元に倒れ込んだ恋人のアリエルを素早く確認した。ここを離れたほんの十数分でなにが起こったのか見当も付かない。 「君は誰だ?」 ある程度の距離を詰めて、捻らずに声を掛けた。彼が振り向くとタイミング良く装置を起動したかのように突然強く雨が降り始めた。痛みにも似た寒さは周囲を凍らせて緊迫を育てる。 「お前に復讐しに来たんだ」 そう語る彼の姿は、まあ彼と言うからには性別は男で、大体同い年くらいに見える。中国系なのかもしれない辮髪と虎の刺繍の入ったスカジャンより、唯々こちらを睨みつけてひび割れたように歪む表情だけが夢に出てくるレベルで印象的だった。正直こういうのは得意じゃない。ここ最近アリエルに致命傷の与え方を教わりはしたがまだ頻発出来るほどじゃないし、そのアリエルは地に伏せている。そういえば地に伏せている、大丈夫だろうか? 「悪いけど覚えてないね、恨まれるようなことはたくさんしてきたし」 かと言ってこの手の輩を上手く切り抜けるための手札は無かった、そりゃ勘弁してほしい、家が燃えてるのを確かめてまだ一時間も経ってない。放火犯であろう男は、呆れたような表情も滲ませながら言葉を返した。 「そうだろうな、お前は極悪人だ。心当たりなんて腐るほどあるんだろう?」 小さく頷いてやれば反比例する如く溜め息を吐かれる。その息は怒りのままに震えていて、獣の唸り声のように不明瞭に呟く。なんだかおかしいなと思ったけれど、感情がそれしか感じられないのがどうにも人間味に欠けているようだ。 「俺の母親はお前との決闘で負った傷のせいで亡くなった。父親もだ、あの日お前が天王寺動物園に来なければ……!」 「嗚呼、そう言われれば見たことがある気がするけど、それだけ?」 彼の目が怨嗟で濁った。黒目がちのその瞳が人間のそれではないと言うことに気が付くと納得も出来る、何故ならば不本意にも害獣専門になりつつある亜狭チームが自分の所属する青空爆発ドッグスだからだ。それもあの夏の日を思い出す滲むような暑さと殺意を向けられれば結成当日を思い出さないのも無理な話だろう。良い日だった。だけど親が後から死んだ責任を取れと言われても困る、昨今親を殺される話も親に殺される話もよく聞く。大体私がなにをしたと言うんだ、ほとんどなにもしてない。猫に気に入られる性分と言うのも考え物のようだ。 「畜生共の恨みねぇ」 こいつはトラだと一松は理解した。 「畜生と言うのは、ちょっと違うな」 見ているこっちが引き攣りそうな顔面をしながら彼は言った。どういう意味か、尋ねようとしたところで落方に巨悪の影が見えた。激しい雨が遮るこの距離で見えるのだから大したものだ、ちょうどミナミのほうにロボットが降り立っているのがわかった。それがペンギンなどとふざけた外見でなかったらなんか面白いことが起きてるなと勘違いしそうなくらいに非日常だ。馬鹿みたいに豪勢な地響きに揺られながら、もしかしたらあそこはJAIL HOUSEかもしれないと感じた。 「そうそう天王寺動物園は爆破したよ」 「へぇ、派手なことしたね」 「俺は興味なかったけどな、あそこにはキングの敵がいるし」 ペンギンと来たから絡んでるかと思ったけど嗚呼やっぱり。あとハムスターがいるな。最悪で熊も追加だ。振り返っては改めてトンデモな事件に巻き込まれていたと眩暈がしそうだ。 「まぁ今日は挨拶だけにしておけとキングが言っているからな、この辺にしといてやろう」 「猶予が貰えるならこちらとしてはありがたいけど」 「猶予じゃない、これは狩りだ。獲物をじわじわと追い詰めて本気で怯えたところを仕留めたい」 「じゃあ今度は本気になれることを頼むよ」 「……そうだな、今度は本気にさせてやる」 彼は刺すような視線を残しながら、かつてそうだったのだろう虎の如き身のこなしで建物の高いところまでジャンプするとそのままビルの陰へ隠れていった。雨音がようやく耳に入り込む沈黙が出来て、自分がずぶ濡れなことにも気が付く。見慣れた路地裏は天上から落ちる雨で炎が消えていて黒く焦げているばかり。もう判別の出来ない綿の塊と随分壊れかけていた檻の破片がちんまりと置き去りになっていた。明らかな、二度と使えないのだという無言の訴えだ。 「アリエル」 思い出したように、というかあのトラを前にして油断できなかった分、放置してしまっていた恋人の名を呼ぶ。どうしてここにいるのかはわからないが、やはり青年の手によって致命傷を負ったのだと思う。品の良いブラウスに血の色が大きく染み込んでいる。皮膚は色を失くして���のようだったし、体の力は全て抜けていて、か細く呻いたきり眉一つ動かさなくなって十数秒。死んでほしくないなと思った。実の所、これは彼女の気の迷いでそのうち自分に飽きて離れていくか殺されるかされてるだろうと予想していたけれど、半年の間に随分絆されていたらしい。滴る赤い髪を撫でながらゆっくり、柔らかい体を楽なようにしてやってから横に抱く。気を失ってるのだから支えてくれる手は伸びない、それでも彼女を運ばなければならなかった、なにせここに治療できる設備がない。あってもちょうど燃えて朽ちたところだ。最近の若い女の子は軽い、これくらい大した労力じゃないさ。
◇
JAIL HOUSの中はやはり騒然としていて、ただでさえ人がゴミのように集まっているのに混乱する者は混乱して、固まる者は固まっていて、とにかく脱出までに時間がかかった。地下から這いずり出ても先程までロボットが現れていた現場である、この雨でこの野次馬の多さは呆れかえるほどだ。小さな体を駆使して群衆をすり抜けシトロエンに乗り込むと、マヤンは少々オーバー気味にエンジンを吹かし周囲を散らした。見計らって、ヴィンセントと崔が後頭部座席に座る。それからは轢いても構わないようなスピードで町を駆け抜けた。 ヴィンセントは携帯を持ったまま珍しく煙草に火を付けず、というか付ける暇も無いのだろうが、リーダーと違ってまるで出る気配のない一松に対して焦っている。崔は肘を膝に乗せて前屈みになって眉を顰めているが、その内車酔いでも起こすのではないだろうか。マヤンは面倒な事故を起こさないように視界を確保しようとしているが、ワイパーで何度上下しても力強い濁流にはまるで敵いやしない。ミナミの人通りはこの時間帯にしては多いようにも思えるし、酷い雨のせいか少ないようにも思える、ただ車で出掛けようと言う人は多かったのだろうとなかなか進まない大通りに苛立ちながら、場違いなバラードが流れるカースピーカーと単調な呼び出し音だけが狭い車内に響いていた。 そんな道から横に逸れて十分、目を凝らせばようやく沙京の橋まで一直線。思い切りアクセルを踏もうとしたところで見つけたかった女性を見つけ、マヤンは驚いたように声を上げた。急なドリフトは成人男性をも揺らし、耳障りな音を立てながら通りを遮るようにシトロエンが横になる。確認するように崔も助手席にしがみ付きながら身を乗り出し、みっちゃんだ、と呟いた。 突撃せんとばかりの車の目の前に、彼女はそこに現れた。真っ赤な髪も濃い色のパーカーも濡れて色を暗くしていて、長い時間外にいたのだということがわかる。肌を伝っていく雨のせいで泣いているようにも見えたけれどこちらが想像していたよりもずっと落ち着いた顔をしていた、いや一松はこんな奴だったかもしれない。ヴィンセントが鳴らすコール音にワンテンポ遅れて標準から変えていない着信音が鬱陶しく響いていた。携帯が取れなかったのは両手が塞がっていたからだと一松の腕の中でぐったりとお姫様抱っこされている血塗れアリエルを見て思う。春の嵐は花の蕾を断つ勢いでざくざくと轟いていた。 「一松さん!」 窓を開けてマヤンが叫んだ。すぐに発進出来るように握られたハンドルに伝うのが雨なのか汗なのか、正直よくわからない不快感だった。 「どうしたんだ一体」 ちょうど沙京側に座っていたヴィンセントが車から飛び降りると、ようやく一松は視線を合わせる。ぐっしょりと水を吸った背中を押すように歩くのを促し、ドアの前まで近付いてから彼女は運転手に聞こえるようにはっきりと声を出した。 「細かい話は後にしてくれ、病院に行きたい」 ドアが開くと、大きな体を屈ませたヴィンセントは中に座っていた崔に詰めるように言ってから自分は助手席へ移動した。崔は言われた通りに端に身を寄せながら、濡れた二人分の体が座った車の中が冷えていくのを感じていた。少しの間外へ出ただけのヴィンセントの肩も雨に打たれて重たそうだ。本当に随分な雨天である。一松がそっとアリエルの体を抱き寄せたのは、寒いせいだろうか、心細いからだろうか、誰にもよくわからなかった。 「飛ばしますよ? 乃木クリニックでいいですね?」 「嗚呼、構わない」 大きい病院なら他にもいくつかあるが、自分たちのような半端物を見てくれる医者と言われれば非常に限られている、どころか一ヶ所しかなかろう。シトロエンは来た道を引き返して宣言通りの猛スピードでミナミを走り始めた。
一方でパットは、既に沙京に着いていて至る所へ奔走していた。しかし大した当てもなく人を探すというのは難しいもので、全く一松を見かけることが出来ずにいる。そもそもどこに住んでるのかも知らなかったしどこに行く人なのかも知らない。いや、前にいろんなところほっつき歩いてるとか言ってたな。なにも参考にならないじゃないか。本当に居ねぇ、何処だ何処にいるんだ。向かい来る大量の雨粒に打たれながらマルチボードを走らせていると実に偶然にも知っている気配のするシトロエンと並走し始めた。流水の隙間から見えたマヤンの金色の目が鈍い光を映したのを確認し、パットは声を張り上げる。 「一松はどこにいるか知らないかっ?!」 マヤンが一瞬呆けた顔をした。それから車の前方についているいくつかのボタンのうちの一つをぽちぽちと押すと。 「ここにいるけど」 右側の後ろ座席の窓から至って普通に一松が出てきた。 「えっ」 「もう後ろに乗ってるぜ」 「えっ?!」 ヴィンセントの対応はあくまでフランクで、逆に軽すぎてすっと力が抜けてしまって体重の掛からなくなったマルチボードが減速していった。驚いた拍子で飛び出た声がそのまま長い溜息と共に情けなく洩れていく。シトロエンは何事も無かったかのように走っていき、ついには濃い雨の壁に遮られて姿を消してしまった。どうせ定員オーバーで乗せてはもらえなかっただろうしかしこの仕打ちはなんだ。人間、努力の甲斐がどこにも求められないとなると遣る瀬無さが煮えてくるものである。パットは愚痴を零さないように努めて携帯を取り出した。運転しているのはマヤンだし行先も知っていることだろう。彼がすぐに出てくれたのは救いだった。 「どこに向かってる?」 「今は乃木クリニックに急行中です、特に指示が無ければリーダーもそちらにどうぞー?」 「あ、はーい……」 すぐに切られてしまうのは罪だろうか罰だろうか。頬を伝うのはただの雨だ、そうであってほしい、肯定してくれる人が誰もいない、辛い。必死に探したのに。辛い。濡れて肌にべったりと引っ付いた服がなお重く圧し掛かってくる。不幸に温度があったらきっとこんな感じなんだろう。あまり切らないでいた厚みのある髪が顔に張り付いてくる頃に、パットはもう一度歩き出す気になれた。マルチボードを起動させてのろのろと上に立つと、全てを振り切るかのような最高速度で指定された場所へと飛んで行った。 かくして、乃木クリニックには五分で着いた。入口にはクローズの札が下げられていて、明かりの消されている待合室は先生も看護婦もいるとは思えなかった。まぁ、亜侠が来るべきはこちらではない、そう思って裏口に回ったもののしっかりと鍵が掛かっていて入り込めそうも無い。おや、これはあれをする機会ではないか、パットはマルチボードの高度を徐々に上げていき、ついに二階の窓へ到達すると顔を交差させた腕で庇いながら「ダイナミックお邪魔します!」と叫んでガラスを打ち破った。派手な音が清潔感のある廊下を抜けていく。ここにも誰かがいる気配はないが、しかし階段の下から蛍光灯の光が漏れているのが見えた。みんなは一階にいるようだ。パットは一歩一歩に水溜まりを作りながらそちらへ向かった。
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乃木太郎丸と言えば年下の美形の男の子が好きと言うのが有名な話で、詰まる所ドッグスにはあまり優しくない印象があったのだが、今日に限っては顔を見るなり神妙な面持ちで小言の一つ無く中へ入れてもらえた。前に話をしたときだってここまでスムーズじゃなかったのに、とマヤンは思いながら誰よりも先にアリエルを抱えて車を降りた一松に声を掛ける。 「一松さん、なにはともあれ急いで」 「……言われなくても」 彼女の恋人は本当に助かるのか不安になるほどに動かず、怪我をしたところから血が滲んで全身を真っ赤にしていた。一松は腕が汚れていることも厭わずに先生の横を通り抜けていった。扉の横にはヴィンセントが愛用のバッドを構えながら周囲を警戒していて、あとの二人が入ってから外を睨みつつ中へ入る。それを確認してから先生も度が過ぎるほどに辺りを確認し、音がしないように扉を閉めた。 「随分物々しいですね」 「そりゃあ急患ですし?」 崔とマヤンが一言交わすと、先生は呆れたように溜め息を吐いた。顰めた眉こそいつもの面倒くさい彼だったが、視線には憐れみの情が見える。どういう意味だろうとヴィンセントは首を傾げた。 「君たちがここに来るとは……っ!」 「なんだ来ちゃいけないのか」 低く尋ねたのは一松だった。そこにあったストレッチャーの上にアリエルを乗せながら、細い目を彼に向けている。 「君たち状況を分かってないのか」 「なんか不味かったんです?」 マヤンが尋ねると、先生は黒い長方形を押し付けてアリエルを手術室へ運んで行った。それはリモコンだった、おそらくは部屋の隅に置いてあるテレビのものだ。電源の赤いボタンを押すと昔からやってるニュース番組の速報が流れていた。アナウンサーがぼそぼそとなにかを喋ってから、パッと画面によく知っている顔が映る。それは紛うこと無く自分たちだった。トランク二個分の懸賞金でキングが探しているということまで教えてくれた。 「あーそういうことか……気に入らねぇなあのペンギンは」 非常に不機嫌な声でヴィンセントが吐き出す。手術の準備をするために一旦戻ってきた先生が口を挟んだ。 「それに付け加えてあのロボットだろ? 大阪中大騒ぎさ」 「まぁ沙京からでも見えたしね」 一松はあの光景を思い出しながらテレビを眺めている。 「君たちは今世界の敵になってるんだよ」 世界の敵。細々と動物と戯れてきた自分たちが、よもやその肩書を手に入れることになるとは思いも寄らなかった。崔が眉間の皴を深くした。 「こうも大々的にやりますか。キングが懸賞金を掛けたなら厄介ごとが舞い込んでくるでしょう、さてどう動きますかね」 「……車に乗ってる奴らの顔なんてそんなに見ないだろうが、今後は気を付けて行かないとな」 マンハントとして自分たちを狙う亜侠どもが襲ってくることがあるだろう。それらを対処しながらキング率いる動物園を倒しに行かなくてはならない。身の隠れ方と、対峙するであるロボットの情報、彼ら個人の詳細も必要だろうか? マヤンは一松のほうを見た。一松もマヤンを見て、まぁ頑張るよと呟く。 「それに仲間の大事な奴も傷付けられたわけだしな」 ヴィンセントはぴったりと閉められた手術室の扉を見つめながら言った。どこからかつまみ出してきたバスタオルを頭にかぶって体を拭く一松は冷静に見えるが、心中穏やかなわけがない。押した背中が震えていたことは、触ったヴィンセントだけが知っている。ふと崔が見上げた時計が夜の九時だった。そろそろ寝ないと明日の朝がきついだろうか、窓の外はそれなりに暗く、結構な時間が経っているようだ。騒ぐわけにもいかない状況の中で彼がキョロキョロと外を観察している。 「そろそろリーダー来るんじゃないですか?」 ガシャン、と聞こえたのはそれが言い終わるか終わらないかというタイミングだった。叫びこそしなかったものの崔の肩は跳ねたし、その拍子で落としたモスバーグを即座に構えるのを見てマヤンも無言でカラシニコフを用意した。一松もそっとベレッタを取り出し、ヴィンスは迫りくる足音を仕留めようと扉の横でバッドを振り下ろさんとしている。それはぴちゃぴちゃと水滴を滴らせ、雨の匂いとともにゆっくりとこちらを探しているようだった。廊下の一つ一つの部屋を確認しているのか、開けては閉める扉の音がする。いよいよこの部屋の前、と言うところでヴィンセントがバッドを振り下ろした。 「ふぅ、えらい目にあっ」 扉を開けたパットが即座に息を呑んだのは自分に向けられる三つの銃口と硬度を感じるほどに近付けられたバッドのせいである。 「た」 「おっ……と」 危ない危ないと呟くのは、まさに致命傷を与えようとしていたヴィンセントだった。リーダー殺害未遂二度目だ。慎重にバッドを横に逸らしこっそり心臓を痛くしている。 「なんだ、リーダーじゃないか」 務めて冷静に言ったつもりだったが、ぎぎぎと緊迫したまま固く視線をこちらに向ける少年の顔は真っ青で気の毒だ。息が出来ているかも怪しい。ぼたぼたと床を濡らす雨の味はおそらくしょっぱいと思う。他の三人があれ? と銃を下ろしても、しばらくパットは動けないでいた。 「トランク二個って割高じゃねぇか?」 先生はぼそっとそんな評価を下し、清潔のための衣類に着替え終えた。やれやれと言った面持ちで体を石のようにしたパットを見つめる。崔は、いやごめんねと苦笑いをしてモスバーグをコートに隠し、一松はばつが悪そうに視線を逸らした。マヤンは言い訳も謝罪も言うタイミングを逃したような気がして、気を取り直して先生に振り向く。 「そういえば乃木センセイ、素朴な疑問があるんですけどいいですか?」 「おう、なんだ?」 褐色肌のショタが猫を被っている姿がお気に召したのか、先生は急ぐ足を止めて対応した。疑問が至ってシンプルで、巨大ペンギンロボットの被害はどの程度かと言う話だ。それは、JAIL HOUSが一軒潰れただけだと言った。続けて崔が盟約の動きはと聞いた。被害があったのがミナミであることと、狙いはあくまでも青空爆発ドッグスであるということで、今のところ動いてはいないらしい。中立地帯を上手く利用されたって感じですねぇ、マヤンが一通りを聞いてぼやく。 「しかも被害がジェイルハウス一軒ってことならこれはたぶん警告みたいなもんだろうな」 ヴィンセントがようやく煙草に火をつけ始めた。マールボロの丸味を帯びた苦い香りが彼の周りを漂う。 「復讐銘打っておきながら完全にどたま冷静じゃないですか、一番嫌なタイプだ」 マヤンが露骨に嫌な顔をしてまだ手に持っていたカラシニコフで遊び始める。そのままパットに顔を向けて、リーダーはどうする? と聞いてきた。要するに作戦会議の時間だった。まずは移動しやすいように人の目を欺く手段を見つけるべきだろうか? あるいは敵を知るべきか? 一松の壊れたアジトもどうにかしなければならないのか。当面の問題は尽きず、五人はやがて疲労によって落ちるように眠っていった。
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「ま、それが人間の狩りと言う奴だろう」 冷たい空気が漂うのは、ここが日の当たらない場所で、金属に囲まれているからだろうか。尤もそれを気にする者はこの場には居らず、四人の人物が離れたところから会話していた。仲間ではあるが仲は良くない距離である。一人の青年が長く垂れた髪を逆立てるように唸る。 「でも、それをやる必要があるか?」 「大切な人を奪われる辛さは君がよくわかってるんじゃないかな?」 白衣を着込んだ男が確認するように言った。ねぇ、君もそう思うだろ、と人形のような佇まいをした少女にも尋ねるが、彼女は一切の反応はしなかった。ただ、これは呑み込んでおけと言うように青年をじっと見つめる。 「お前の恨みだけを晴らすわけにもいかないんでな。それに、これからもっとたくさんを巻き込むだろう」 ペストマスクの下で男が笑う。彼らにとって青空爆発ドッグスとは念入りに殺さなければならないと同時に最初の踏み台であった。これからオオサカを地獄にするようなヴィジョンが彼らにはあるのだ、たかだか人質を躊躇っている場合じゃない。 「上手くやってくれたまえよ、どうせあいつらは行動を起こすだろう。こちらも妨害しなければな」 「……俺はあいつらだけ狙うからな」 青年は素早く身を翻すと、瞬く間に外へ消えてしまった。残った三人の内ペストマスクと白衣が嘲りながら顔を見合わせる。 「しょうがないなあいつは」 「今更人間を庇ったってしょうがないのにね。まだ動物園が恋しいのかな?」 「パパとママが死んで寂しいだけだからな。私とは違うさ」 「ひっどいこと言うね、キング」
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