2pbc

[2pbc]

noteに最初の挨拶を書いてみました。

2pbcの作り方を順を追って写真付きで載せようかと思ったんだが、ミシンも上手く扱えないし、指が荒れてるし（皮膚筋炎特有の〝機械工の手〟がまだまだバッチリ出現中）、手を写真に撮りたくないのよね。

上画像は入院中の指先。皮膚の症状が酷かった時の〝機械工の手〟

今はこれより良くなっているが、とにかく「手荒れ」 なんつうレベルの話じゃなくて、市販薬の油分がなくなった途端にガサガサに戻るような感じだった。皮膚がこんなんだから、毎日どこかがパカッと割れて、一日一あかぎれで、絆創膏と医療用の指サックが必需品になってたのだが、膠原病だったとは。まったく治るなんてレベルじゃねえ手荒れは、皮膚科に行ったほうがいい。

病気とは、一つかかったらあとは免除…じゃないのよね。膠原病になりました、癌よご勘弁…と言っても癌は勘弁してくんない。なる時はなるのだ。免疫も落ちてるし、病気に合併しやすい別の病気なんてものもあるし（わたくしの場合は間質性肺炎が合併）、そりゃもう戦々恐々よ。幾つも幾つも病気を抱えてしまったらどうやって生きていくんだ、って毎日思うのさ。

✒2025年5月27日

[2pbc]

アンメットを観た。完全に役者に惹かれる格好での視聴です。設定にやや違和感があるものの、役者陣がそれを完全に掃滅させていた。

とにかく、若葉竜也が浅川喜一朗味を帯びてきてわたくしは嬉しいのだ。

✒2025年5月26日

[2pbc]

実に厄介なことが起きた。ミシンが扱えない。フットコントローラーが扱えないのだ、ぐぬぬ。

薬の副作用でふるえ（振戦）が発していまして、手が震えて書く文字がウネウネになるのはもうしょうがないと開き直って生きていますが、ミシンのフットコントローラーの微妙な速度調整まで出来ないとは、大ごとだ。

実はかぎ針の編み目もなかなか微妙な出来栄えで、わたくしが着実(?)に歩んできた半生を全否定されているようで、凄まじいむなしさの中、飯食ったり歩いたりしています。

病気になると崖から突き落とされたかのように、なんにもできなくなる。出来ている人を見るのがつらくて、ただそれだけで頭が真っ白になるのだ。成功している人じゃない、ただ単に〝出来ている人〟だ。周りの人みんなだ。走っている人を見て、「走ってる。いいな。」 って思うのだ。日常で大人が走るとは、状況的に焦っている時くらいだから、正直、勘弁なシチュエーションだが、それを見ても 「走ってる。いいな。」 と思うのだ。

買い物したい、浅草行きたい、ほんの数か月前まで当たり前にやってたことが、今は簡単には出来ない。変だろどう考えても。

✒2025年5月24日

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いろいろなことに興味を失い、生活と治療と病気の進行具合で人生の大半が埋められている。健康が作り出す余白はとてつもなく広い。だが、その時はそれに気づかない。やりたいことやすべきこと、他人と社会の一員としての自分が充満し、もっと広い余白を欲している。

健康の余白はとてつもなく広いんだよ。病気になって気付きました。…と言われても、健康な時は分からない。その余白は満杯で狭っ苦しい思いをしているから、まず、〝余白〟があることが分からない。〝失ってみて〟とはまったくその通りで、何ごとも失ってみないと分かんない。真の価値に気付くのは、失ってからなのだ。

✒2025年5月17日

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わたくしは今まで、〝いつか〟くる○○のために、今はひたすら頑張ることがよいことだと思って、いつも〝いつか〟を考えていた。実はその〝いつか〟はもう何度も来ていて、しかし、〝今〟とは頑張るものだと思い違いをしていたために、来た〝いつか〟に気付かず、やっと来た〝いつか〟の只中で、次の〝いつか〟のために頑張っていたのではないか。

いつも現状に満足せず、それは頑張りが足りないからだと思い、要領が悪いからと自分を責め、もっともっとと毎日焦って、〝いつか〟はいつ来るのかと、不安と怒りの中で今を生きていた。

病気になって気付いた。〝いつか〟は〝今〟の延長線上にあって、やっと来た〝いつか〟は今の自分にとっての〝今〟だから、今を充分に生きることが、満足できる次の〝いつか〟を作り出すことに。

だもんで、断捨離がすごいです。部屋の掃除がすごいです。いつかまた必要になるだろうと思って取っておいた過去の自分が選んだ物と決別している。本を段ボール3つ分、買い取りに出しました。1万円になりました。レコードも40枚ほど買い取りに出しました。1万5000円になりました。若き日の自分に感謝だ。これで2カ月分の薬代GET！

✒2025年5月2日

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作業部屋のクリスマスの飾りのままゴールデンウィークを迎えそうな今年。クリスマスの飾りを仕舞う気力、全くなし。1年飾りっぱなしにして今年のクリスマスを迎えようと思う。今年のクリスマスの準備は済んだ。あとはクリスマスをここで迎えるだけだ。

服用中の炎症を抑える薬は量が多いと筋力が低下する副作用があり、とうとうそれが来た。正座だのあぐらだの床座りすると、立つ時に〝よっこらしょ〟になる。孫に手を���かれ支えてもらうおばあちゃんが羨ましい。わたくしには誰もいない。だからゆっくり〝よっこらしょ〟をやる。次にはじいちゃんばあちゃん方々が立ち上がりながら膝や腿をさするあのしぐさを自然とやっている。あの行動はまさに本能だ。しばらくは床座りは難しい。

先日、街なかで転倒した。ふくらはぎが両足ともつってしまった。膝を擦った程度で済んだが、メンタルがだいぶやられた。さっきまでそれなりにスタスタと歩いていた見た目普通の人間が、突然両足がつって転ぶとは何ごとか？ それはもうジゴクだ。自分も、周りの人々も。

ヘルプマークを役所に行ってもらってきました。見た目普通の人間が転ぶのと、これをぶら下げた見た目普通の人間が転ぶのでは、周りに与える印象がだいぶ変わると思う。

✒2025年4月25日

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1カ月ぶりにPCを開いたら、とてもきれいに整理されていて、ファイルも一目瞭然、検索せずにアクセスできるし、今日はPC作業がすんなり終わった。常にこうしていけばいいのだ。構図が似てる写真なんかご丁寧にとっとく必要はないし、要らぬファイルは『一応保存』とか抜かしたあほくさホルダに入れずにさっさと削除すればいいのだ。人生を楽にする術を手に入れた。

1カ月前のわたくしは、入院したらもうお家には戻れないかもと必死だった。患っていたのは膠原病の皮膚筋炎、急速進行性間質性肺炎。八代亜紀さんの死因と同じ抗体、〝抗MDA5抗体〟が陽性だった。医師2人が真面目な顔で治療を急がせたのは、それが理由だ。

抗MDA5抗体は今でも陽性なので、免疫抑制薬はまだまだ多めだし、今後、何が起こるかわからんが、今は生きて、普通（のよう）に生活している。ちょっと動くと息切れが始まるので、けっこうのんびり動いて、息が切れたら休んで、を繰り返して1日が終わっていく。背中が痛いと、「わたくしの肺よ、まあほどほどに」 と思い、いつか来る、間質性肺炎の高みへの準備を怠らない。入院中、病室の外の廊下で、間質性肺炎の患者がトレーナーと一緒にリハビリをやっていて、息を切らしながらも呼吸法を取り入れ、ゆっくり歩き、少し休み、酸素不足に慣れないようしっかり呼吸する、あの息遣いをわたくしは忘れない。すべてはわたくしの未来に繋がっている。

✒2025年4月5日

[2pbc]

帰宅しました。薬が効いて数値が安定し、さらに薬の量を減らすことができたので、退院して在宅で服薬治療です。大量の薬の飲み方を入院中に練習したようなもんだ。

✒2025年3月22日

[2pbc]

ビッグイシューで見ていた料理研究家の枝元なほみさんが間質性肺炎で亡くなったと知って驚愕。枝元さんは〝特発性間質性肺炎〟（原因が分からない間質性肺炎／ちなみにわたくしは膠原病性）で、父親と弟が同じ間質性肺炎で亡くなっているのだそう。この病気は遺伝しないが、体質は遺伝するので、間質性肺炎になりやすい体質の血筋だったのだろう。発症前は喫煙もしていたそうだから、肺に負担がかかっていたことは想像に難くない。2年ほど前の正月に新型コロナに罹患し、間質性肺炎が悪化。集中治療室に入ったそう。たぶんこれが急性増悪（きゅうせいぞうあく／症状が一気に悪化）なのだ。感染症は本当にやばい。風邪程度でも危険だ。

✒2025年3月12日

[2pbc]

3月にアラン・アルティノグリュがラプソディ・イン・ブルーをやるので楽しみにしていたが、わたくしが入院となってしまった。院内Wi-Fiをつないでもう待機している。楽しみ感が倍増した。

いま投与している薬が効けばいいが、効かないかもしんない性質の病だそうで心配です。4日前まで普通に電車に乗っていたことが不思議です。というか、今でも普通に生活できるような体調で、それができないことが不思議です。自分の体の中で起こっていることを自分は分かりません。

街中にはわたくしと同じ、緊急に治療が必要な人が、まだそれと気づかずに、ただちょっと咳が続くな、とか、できものが治らないな、とか、クリームを塗ってもなかなか治らない乾燥肌のために効きそうな市販クリームを検索して買い続けたり、階段がちょっと疲れるから運動不足だろうと頑張って悪化させていたり、逆にエスカレーターに乗っちゃうから筋力が弱くなっていることにすら気づかずに普通に生活していると思うと、もどかしい。

健康診断は毎年受けよう。レントゲンに映る影が薄く小さく確認が難しくとも、毎年レントゲンを撮り続けていれば、影がはっきり分かってきた時点で、いつ頃ここに影ができ始めたかをさかのぼって確認できる。発病してどのくらい経ったかわかる。これにより病の性質がわかり、治療法を決める目安となる。進行が遅いものなのか、早いものなのか、レントゲンを撮り続けていればわかる。

✒2025年3月7日

[2pbc]

来週、入院になりました。要精密検査の方で。

2pbcのウェブショップはずっと商品が非表示なのでそのまま。5月の文学フリマ東京はまだ申し込んでなかったので、そのまま、出展しません。

編み物のCreemaはすべての商品を展示に変更。Daphnisを出品するために2月に始めたInFRAME（Creemaと連携）は、準備中にしました。

で、2pbc（ツーピースブックカバー）の作り方をnoteに書く予定です。技術のある人が見れば簡単に作れる構造ですが、製図のコツがあるので、主にそれを書きます。できるだけ写真を撮ってから入院し、そこで書く予定なので、投稿できるかは未定です。

今後、たぶん、前のように活動は出来ない気がします。なので、作りたい人がいれば自由に作れるようにしたいと考えています。特許や意匠登録などはしていないので、いま作っても何のお咎めはないけれど、他人が作ったものだと堂々とやりにくい面もあるだろうから、作り方を公開しようと考えました。

昨年の12月の文学フリマが（もしかしたら）最後の文フリ出展になるんだと思います。（人混みに行くと感染リスクが高いので、もう行かないと思います。）購入してくれた皆さま、本当にありがとうございます。

✒2025年3月1日

[2pbc]

どうでしょう。ピザトーストだよ。

新宿の世界堂に行ったので道を渡って向かいのエジンバラで食べてきました。祝いだ。

まだまだ治りきっていない具合で、舌はピリピリしてるし、ジャガイモは鋭いし、葉物野菜は苦みが強調されるし、ゴボウはえぐみしか感じず食べられませんが、他は吐き出すことなく食べられるようになってきた。めでたい。祝いだ。

ここは喫煙可なので、奥に行くとタバコのニオイがします。タバコのニオイは覚悟したほうがいい。エレベーターを出てすぐの窓に向かうテーブル席にはほとんどニオイは届きません。この席の後ろにはハヤカワ・ポケット・ミステリがズラリと並ぶ本棚があるのだ。

あなたに殺してしまいたい人が居ても、殺してはいけない。あなたが犯罪者になってしまうから。しかし、殺してしまいたいほどの感情をお持ちなら、お相手を亜鉛不足にさせるがいい。それはジゴクだ。食物繊維たっぷりとシュウ酸を密かに摂取させるのだ。たっぷりの食物繊維で胃腸も荒れ、便秘になり、シュウ酸で尿路結石も期待できる。イキジゴクだ。だがしかし、その人が医者へ行き、薬がなくなったらまた行って処方してもらい、地道に治療を受けているなら、復讐はお仕舞いにしよう。その人は社会に居ていい人だ。復讐を実行したあなたが社会に要らない人になってしまう。諦めて、牡蠣でも食べに行かないかと誘ってみよう。

✒2025年2月15日

[2pbc]

カイロケースしか出していなかったCreemaに新しくビーズを編み込んだシリーズを出品してみた。

亜鉛不足の味覚障害と薬の吐き気で外食も映画を観に行く気も起きずにお家でメソメソ…、そんな時間はもったいない。そんならブランドでも立ち上げてみよう、とやってみた。転んでもただでは起きぬ。転がった地面で見つけた石をつかんで立ち上がるのだ。宝石かもしれぬよ。

というか、カイロケースが冬にしか売れないので、通年販売できるものを作りたくて、前々��ら考えていたことを実行しただけです。

ビーズ編み（ビーズ編み込み）は以前やっていたので知識はあり、その後に作り出したカイロケースの経験も踏まえ、作品自体はすんなりと出来上がった。ブランドっぽくするのに時間がかかったのだ。しかもまだ不完全。この課題はまだまだ続く。

ちゃんと底板も作ったよ。

ビーズ編み込みのシリーズの名前（ブランド名？）を〝Daphnis〟にした。ダフニスとクロエのダフニスです。レオン・バクストが描いたダフニスとクロエの舞台背景の絵を見ていて、もう一度ビーズ編みやろう、と思ったので、ダフニスにした。あと、これを考えていた頃、アラン・アルティノグリュ指揮のダフニスとクロエ第2組曲をYouTubeで頻繁に観ていたこともあって、それでダフニスにした。アランは28年までフランクフルト放送交響楽団（hr）にいるが、もう一度、来日してほしい。

今年はモーリス・ラヴェル生誕150年でN響がダフニスとクロエ全曲を予定。その他にもラヴェルの曲の演奏予定がいっぱい。パリではラヴェルの展覧会が開催されている模様。本当にうらやましい。こちとら亜鉛不足の味覚障害とレントゲンに写った影に2万円出して、娯楽もろくになく生きているのだ。

味覚障害が治ったらお祝いだ。日高屋の中華そばとイカ揚げを喰ってやる。タカセにも行く。キッチンくるみにも行く予定。だがしかし、LDLコレステロール値が高いと指摘されてしまった。亜鉛補給のために鶏レバーをしこたま食ったのが裏目に出た。卵もどっさり食った。味覚障害は食えるもんしか食えんのだ。ご飯（炊いた白米）が酸っぱくて、しかめっ面で食えるものを常に探しているのだ。それはもうジゴクだ。

うまいものを食うことが楽しみな人間が味覚障害とは、罰が与えられたようなもんだ。罪はなんだ？わたくしは何をした？教えてほしい。ヨブ程ではないが、ヨブも同じ気持ちだっただろう。だからわたくしは、静かにビーズを編むのです。ヨブが神を信じたように、わたくしはわたくしの信ずることをやるのです。

正月以来の外食は病院の中にある外来用のレストランで、メニューは〝今日のスパゲッティ〟。

酸っぱかったけど、気持ちがもういっぱいで満足。

✒2025年2月6日

[2pbc]

味覚障害が凄まじい悪化にて耳鼻咽喉科へ。舌がビリビリと痺れ、とにかくまずいケチャップ味が強弱を繰り返している。何も食べていない時に、まずいケチャップ味と海水味と鼻水味が入れ代わり立ち代わり口内を満たす。水で口をすすげばいいじゃない、と思った人がおりましたら、あなたは味覚障害についてちっとも分かっていないと申し上げたい。水で口をすすごうもんなら、水の刺激で舌の痺れとまずいケチャップ味が増幅されるのだ。これは白湯でも同じだが、牛乳はほとんど刺激がなく大丈夫。牛乳を口に含んで舌を動かしいっときの平安に安堵する。牛乳を口に入れている時以外は常に痺れとまずいケチャップ味と戦っているのです。見た目は普通に生活していますが、口内は激しい攻撃にてもう陥落寸前。助けてほしい。わんこのように舌をベロっと外に出していれば刺激が少ないかもと考え、一人でいるときにベロっと出してみるが、ほどなく乾燥しはじめビリビリが強まってしまう。舌を外に出してはならぬのだ。

健康診断でもらってしまった要精密検査の厚い封筒について、地元のお医者では分からず、結局、専門の病院へ行き、1日掛かりで2万円近く払って、1週間後にまた行くことになった。こちらに関しては自覚症状がまったくないために危機感が薄い。なのに2万円ってのがかなりキツイ。今年は遊べそうにない。「占領都市」も「どうすればよかったか？」も上映が終わりそうだ。とんだ年末年始になった。計画がすべておじゃんだ。涙も出ん。

日々暗く常にしかめっ面だ。こんな時にはガーシュインのラプソディインブルーを聴く。しまい込んだCDを引っ張り出し、それだけを何度もリピートする。明るくユーモアにあふれ、時に優しく、時に気高く、暗い心に明かりを灯す。この曲の明るさは等身大に感じる。逆にバロ��ク音楽にある明るさは優雅で身分の違いを感じてしまう。テレマンの曲の明るさは身分の保証された優雅さで、ガーシュインの明るさは庶民の小さな楽しみだ。

✒2025年1月29日

[2pbc]

面ファスナーの色や種類がもっと豊富にあればいいけど、洋裁でも手芸でも面ファスナーはあまり使わない。既製品の衣類にもほとんど使われていない。モッズコートの襟に幅広の面ファスナーが縫い付けてあるが、あとは作業服のポケットのフラップとか、介護服の開閉とかしか思い浮かばない。面ファスナー手芸が盛んになればメーカーも競ってニュアンスカラーとかネオンカラーとかの面ファスナーを出すだろうに。

いつもいろいろ購入している手芸用品店で、2pbcに使っている面ファスナーの取り扱いが終了した。このお店での取り扱いが終了しただけでメーカーは作っているので大丈夫といえば大丈夫なのだけど、どことなく不安感が拭えない。何かこう、もう終わりだよ、と言われているような気分になって、無表情で階段を下りてお店を出たら、眩しいほどに晴れているもんだから、夢でも見ていたのではと錯覚を起こした。

若い頃、新宿区役所横の通りで面ファスナーにまつわるちょっとしたハプニングがあった。わたくしは長髪を結ばずに風に吹かれるがままにして歩いていたのですが、モッズコートのファスナーを開けはなして羽織っているお姉さんが前から歩いてきて、すれ違いざまに頭をぐいっと持っていかれるような衝撃を感じ、そうとうビビりまして立ち止まりましたら、お姉さんの着ているモッズコートの襟の面ファスナーのフック面にわたくしの髪の毛がくっついちゃっていたんです。お姉さんと2人で髪の毛を取って、すみません的な言葉を発してまた歩き始めたのですが、あの時、フック面にくっついた髪の毛はそんなに多くないのです。ちょっと毛先が絡まり付いたくらいの量だったのに、頭がぐいっと引っ張られて恐怖すら感じる事態でありました。その体験があって、面ファスナーは良く付くとの印象があります。

↑ 面ファスナーをこんなに切っちゃって、ちゃんと貼り付くのか、などと疑問に思ったことは一度もない。少量の毛先だけで頭が持っていかれるくらいの衝撃体験をしたのだから。フック面の顕在能力を確信する体験が2pbcに繋がっているのです。

今は日���製の面ファスナーを使っていますが、外国生産のものになるかもしれないし、すべて未確定ですが、いろいろ変わるかもしれません。終わらせることだけは回避したい。

✒2024年9月23日

[2pbc]

2pbcをわたくしが考えて作った…と強く言えない面がある。わたくしは過去にたくさんの物や仕組みを見ているので、潜在にある〝過去のもの〟が確実に影響している。それのどれかが組み合わさって2pbcはできている。ブックカバーをこの形にしました、とは言えるだろうと思う。模倣するものがないから、考えながら作っている。

2pbcの厚み調節部分の参考にしたものの記憶はある。二つ折り財布の内側にあるフラップ式の小銭入れの留め具。スナップボタンの凹面が2つ、上下に接して取り付けられていて、小銭が少ない時は下の凹面に、小銭がいっぱい入っている時は上の凹面に凸面をはめ込む仕組みのものです。だから2pbcは最初、スナップボタンでやろうとしていた。

スナップボタンは凹凸が対で販売されているので、凹面だけ多く入手する方法が分からなかったことや、金属のスナップボタンをいっぱい付けると重くなることなどを考えて却下となった。

面ファスナーへどう移行したかはもう記憶にない。

使っている布も、今は帆布だが、過去は会津木綿だの三河木綿だの使っていて、要はブックカバーに適していればなんでもいいのだ。わたくしはレザーが扱えないので、レザー製は今は無いが、レザーが縫えればレザーでも良い。過去にはタイベックで作ろうとしたこともあった。ブックカバーに適していればなんでもいい。

今は帆布の2pbcを作っているが、知ってほしいのは、帆布の2pbcではなく、2pbcの仕組みがもたらすアクションと、アクションに結びつく感情です。ブックカバーを掛けることが楽になることやカバーが安定して掛けられること、ブックカバーがズレるのをイライラしないこと、そういうことを知ってほしいのです。知ってもらうために今はわたくしが扱える中で一番好みの帆布で2pbcを作っているのです。

✒2024年9月21日