Text
線維筋痛症に対する鍼
線維筋痛症に対して鍼がよく効くことがあるのは過去の研究で明らかになってきていますが、「グループ鍼灸」なるものがあることを知ってちょっと読んでみました。
鍼灸師でPhDのオレゴン健康科学大学のミスト先生らの論文です。
10週20回以上の「グループ鍼灸」では総合的な症状、痛み、疲労がグループ教育を同程度の時間受けた群に比べて臨床的にも統計的にも有意に改善したそうです。
線維筋痛症の女性に対する鍼灸のランダム化比較試験: TCM診断に基づく選穴によるグループ鍼灸
Mist SD, et al. Pain Med. 2018.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/29447382/
抄録
背景: グループ鍼灸はアメリカで行われ始めているコストパフォーマンスのよい鍼灸の方法で中国での実践モデルである。しかしグループ鍼灸が研究の場でテストされたことはない。
対象:線維筋痛症のある人に対するグループ鍼灸とグループ教育の治療効果についてテストすること。
デザイン: 2グループにランダムに振り分け反復測定を用いた研究
セッテイング: オレゴン州ポートランドのアカデミック健康センター内のグループクリニック
被験者: 1990年のアメリカリウマチ学会の診断基準で線維筋痛症と診断され中程度から重度の痛みのある女性
方法: TCMの診断に基づいてマニュアル化された鍼灸とグループ教育を10週以上にわたり20回、合計900分。Revised Fibromyalgia Impact Questionnaire(FIQR)とGlobal Fatigue Indexがベースライン時、5週時、10週時、治療を終了し4週後に評価された。
結果: 30名の女性が募集され、78%が10年以上続く症状を訴えていた。平均の参加時間は鍼灸で810分、教育で861分だった。総合FIQR、痛みFIQR、Global Fatigue Indexはすべて治療終了時と治療終了後4週時に鍼灸を受けたグループでは臨床的、統計的に有意な改善を示したが教育を受けたグループでは示さなかった。
結論: 教育と比べてグループ鍼灸では総合的な症状の強さ、痛み、疲労が改善した。さらにグループ鍼灸は安全で容認性に優れ、現行の薬剤オプションよりも多くの患者らを改善させられる治療オプションである。
0 notes
Link
西洋医学鍼の定義(被引用数 130) 西洋医学鍼は細い針を刺入する治療法である。解剖学、生理学、病理学の現代の知識とEBMの原則を利用した中国鍼の焼き直しである。西洋医学鍼は中国鍼から徐々に発展したが、西洋医学鍼の治療家は陰陽や気の流れといった概念に執着せず、完全な「代替医療システム」というよりは鍼を従来医療の一部と見なしている。鍼には逆行性の軸索反射、分節性、分節外性の神経調節、その他の中枢神経系の作用が関係しており、神経系を刺激することによって作用する。西洋医学鍼は主にプライマリケアの医療従事者らによって原則的に用いられる。主に筋膜トリガーポイント痛などの筋骨格系の痛みの治療に用いられるが、術後の痛みや悪心にも有効である。西洋医学鍼の治療家は通常神経系を刺激するための最適な場所として伝統的な経穴を選ぶが、伝統的な鍼師に比べて経穴を探ることにあまり注意を払わない傾向がある。鍼の適切な刺激量の知識の不足や、「プラセボ対照」研究で通常の対照手法として用いられるような鍼の方式が有効である可能性により、臨床研究のデザインと解釈は制限される。西洋医学鍼は近代医療サービスの中での役割のバイアスのない評価を正当化する。 イントロダクション この記事の目的は西洋医学鍼の定義と実践について記述し、編集委員らから承認されることである。鍼の現代的な定義を発展させる理由は古代のイデオロギーを破滅させることなく現代の医療サービスのなかでこの治療の客観的な評価を促進することである。 西洋医学鍼の定義 西洋医学鍼は細い針を刺入する治療法である。現代の解剖学、生理学、病理学の知識と、EBMの原則を用いた中国鍼の焼き直しである。 およそ2,000年前に中国人は鍼を刺すことが身体のさまざまな機能に影響を与えることを発見し、その当時のイデオロギーでこれを説明した。科学革命、特に比較的最近の神経伝達物質や神経可塑性の発見以来の概念的な進歩は鍼のメカニズムの新たな理解をもたらし、西洋医学鍼という新たな用語を正当化した。西洋医学鍼という用語は中国医学の一部としての鍼から区別するのに使われている。西洋医学鍼と中国鍼の2つの重要な違いは、西洋医学鍼では陰陽や気の流れといった伝統的な概念を含まないこと、西洋医学鍼は「代替」医療システムであると主張しないことである。 中国鍼の基盤を形成するイデオロギーは西側の医療従事者からはしばらく前から捨てられている。19世紀には英国の医師らは筋骨格系の痛みを和らげるために痛みが最大のところに単純に針をしていた。鍼の科学的なアプローチへの現在の興味の高まりは影響力のある医学的に訓練された鍼の教師であるFelix Mannが1970年代に「伝統的な意味での経穴や経絡は存在しない」と宣言したおかげである。これは鍼で患者らをよくしたいが、科学的な観点と一致させることが困難な伝統的な説明に懸念を持っている医療従事者らを共感させた。同時にオピオイドペプチドの放出を刺激することが発見されたり、ゲートコントロール説が形成されたりして、鍼そのものの信頼性も高まった。 他の国々では中国鍼の概念が専門グループによって広く用いられているが、西洋医学鍼は西側社会、特に英国とスウェーデンの主に普通の医療従事者らによって行われている鍼の形態である。西洋医学鍼の理解は定まっておらず、制限された数の経穴への最小限の鍼、鍼灸治療領域の特定、痛む筋のトリガーポイントの上の皮下への鍼、鍼を神経生理学の概念により正確に適合させる試みなどが含まれている。 作用様式 鍼は多くの症状の治療に利用されているが、臨床試験からの現在のエビデンスは主に悪心の改善、さまざまなタイプの痛みの改善に対する効果を支持している。これらの異なった症状への作用は鍼が単独の様式で作用するのではなく、さまざまな機能に対する幅のある効果を持ち、鍼の研究や理解を複雑にさせることを示唆している。 鍼の主な治療効果は経皮的な電気による神経刺激や脊髄刺激を伴う神経系の刺激(感覚刺激)とのオーバーラップによって達成される。鍼の刺鍼は局所の逆行性軸索反射、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(痛覚受容体から放出される)、局所の栄養血管の血流の改善を介した局所の効果を持ち、例えば唾液腺の機能などを改善させる。脊髄や脳では鍼がオピオイドペプチドやセロトニンを放出させるという確立されたエビデンスがある。筋骨格系の痛みに対する臨床効果は下降性抑制経路の活性化による後角での痛覚経路の阻害(分節効果)と筋膜トリガーポイントの局所あるいは分節効果によって説明される。 悪心への作用をまだ十分に説明し得ていない中枢神経系への鍼の明らかに別の作用がある。機能的MRIやPETを用いた画像研究は島など特に辺縁系の痛みのコントロールに関わるいくつかの脳部位に対する効果のエビデンスを提供している���これらの効果は単純に皮膚を鍼で刺激した時に見られるよりもいくらか大きく、特別な鍼感覚の惹起によるようである。 鍼がよく利用されるその他の臨床領域は筋膜性の痛みであり、従来医学で最も多く研究されてはいるが論争中の症状である。納得できる作用様式は記述されていないが、従来医学的に記述された筋膜トリガーポイントが遠い昔に記述されたいくつかの伝統的な経穴と一致するということには価値があると言える。 西洋医学鍼の利用 西洋医学鍼は西洋医学の診療所、リウマチ科、整形外科の医師、理学療法士、看護師その他の医療従事者らが行っている。It is practised using the principles of EBM, though it has to be admitted that there is scope for more clinical trials, and treatment in many clinical areas relies on clinical experience.EBMの原則を用いて治療を行っているが、多くの臨床試験の範囲があり、多くの臨床範囲において治療は臨床経験に信頼を置くことは認められなくてはならない。 鍼は痛みの緩和、特に筋骨格系の痛みに最も多く利用されているが、神経炎やがん性疼痛などその他の慢性の痛みにも利用されている。臨床では処置痛、術後痛、悪心の抑制 に利用されることは稀であるが、これらにも効果があることが示されている。エビデンスはあいまいだが、不妊の管理において、特に体外受精などの従来療法に加える形で利用されている。 伝統的な鍼とは異なり、西洋医学鍼アプローチを採用する医師らは病気を治療する中心として鍼を使用することは一般的には考えておらず、鍼により健康を保つことができると主張することもない。 西洋医学鍼での治療は従来医療の検査、適切な調査、診断から鍼が適応であると確認された場合に行われる。求められる生理学的効果を得るために症状のある局所あるいは分節的に関連のある部位に鍼を刺入して刺激する。さらに中国鍼でよく使う手や足にある一般的な経穴に鍼をすることで分節外あるいは全体的な効果が求められる。 伝統的な鍼はそれぞれの経穴が得意的な作用を持つと考えているが、西洋医学鍼では経穴を探ることに関してそれほどの注意を払わない。伝統的な経穴は全員ではないが多くの西洋医学鍼の施術者らによって神経系の感覚刺激におそらく最適であろうという仮説の上で用いられる。より多くの注意は組織レベル(例えば皮膚より筋肉)、与える刺激の量などに向けられる。伝統的な経穴の専門用語は鍼灸師同士のコミュニケーションにおいては便利なので使われている。 このように伝統的な鍼と西洋医学鍼は治療技術という点では比較的違いはない。どちらもマニュアルと電気の刺激を使うし、鍼をする時間はとても簡潔に済ませることもあれば20〜30分かける場合もありさまざまである。 鍼研究への影響 鍼を感覚刺激であるとみなすアプローチは臨床研究のデザインと解釈への明らかな影響をある程度持っている。まず残念なことだが一定の症状にどのくらいの刺激量が適正であるのかを決めるための有効な情報が不十分である。各患者らの中枢神経の反応を得るために必要な刺激量は患者ごとに決められなくてはならないが、参考にするためのデータがわずかしかなく、研究で鍼治療する際の刺激量は適正以下かもしれない。また伝統的な経穴は「最適な」場所かもしれないが、神経系を刺激できる場所はそこだけではない。よって「正しくない」経穴に鍼をすることが即ち有効なプラセボ対照、とはなり得ない。Sham鍼と呼ばれるものは効果の薄い鍼、とみなすのがふさわしく、無効なプラセボではない。 これらの問題点は研究結果の解釈を明らかに難しくしている。いくつかの症状に関して鍼は標準的な従来療法よりも有効であるというエビデンスがある。Sham鍼と比較した時、(Verum)鍼がしばしばShamとの差がそれほど出ないのは、そのような研究が「2つの感覚刺激を比較しているだけ」であるからだと予想される。あらゆる研究をもとにしたシステマティックレビューは鍼が悪心、腰痛、術後の痛み、膝の痛み、緊張性頭痛(しめつけられるような頭痛)に対して(Verum)鍼がSham鍼と比べて明らかに効果が高いことを示している。 まとめとして、西洋医学鍼はしっかりとした神経生理学の原理に基づく治療であり、こうした理由から現代の医療サービスにおけるその立ち位置のバイアスのない評価を正当化する。
0 notes
Link
肺がんに関する鍼の論文の抄録を読みました。 ロンドンのがん治療専門施設の173名の進行性非小細胞肺がんと中皮腫の患者を鍼群、モルヒネ群、鍼とモルヒネ群の3グループに無作為に分けて、肺がんに非常によくある呼吸困難の症状の緩和への鍼の効果を検討しています。 この研究で使われたのはおそらく円皮鍼と呼ばれる鍼で、これを胸骨柄、傍脊椎、僧帽筋のトリガーポイントと合谷という親指と人差し指の間にあるツボに貼り付けて、呼吸が苦しい時にそこをマッサージすると少し楽になるようです。 報告では「鍼は呼吸困難の治療においてモルヒネと同程度の効果があり、不安やリラックスにも付加的な価値がある。鍼はモルヒネを節約する。」としています。 これを読んで間もなくこの鍼が本当に効果を発揮するか試す機会がありました。論文中で使った経穴は左右の合谷、璇璣、左右の肩上兪、左右の大杼あたりだと思われ、ここにこの研究者らが用いた鍼と同様かと思われるセイリンパイオネックス0.6㎜を貼り付けたところ、翌日の夕方、アシスタントの植松さんに「随分と楽になった」と連絡があつたそうです。 今回のように鍼の論文を読んで実際に鍼をしてその通りの効果が得られると、中学生の時に英語を習って、初めてネイティヴに英語が通じた時のような感動がありますね。 これからも肺がんの呼吸困難の方がいたら、試してみたいです。 A randomised study comparing the effectiveness of acupuncture or morphine versus the combination for the relief of dyspnoea in patients with advanced non-small cell lung cancer and mesothelioma. Minchom A, et al. Eur J Cancer. 2016. O-2
非小細胞肺がん及び中皮腫の患者らにおける呼吸困難の緩和のための鍼あるいはモルヒネvsその組み合わせの効果を比較したランダム化試験A RANDOMIZED STUDY COMPARING THE EFFECTIVENESS OF ACUPUNCTURE OR MORPHINE VERSUS THE COMBINATION FOR THE RELIEF
OF DYSPNEA IN PATIENTS WITH ADVANCED NSCLC AND MESOTHELIOMA Jacqueline Filshie, Department of Anaesthetics and Pain Man- agement, The Royal Marsden Hospital; Anna Minchom, The Lung Unit, The Royal Marsden Hospital; Ravi Punwani, The Lung Unit, The Royal Marsden Hospital; Jaishree Bhosle, The Lung Unit, The Royal Marsden Hospital; Kofi Nimako, The Lung Unit, The Royal Marsden Hospital; Ranga Gunapala, The Lung Unit, The Royal Marsden Hospital; Sanjay Popat, The Lung Unit, The Royal Marsden Hospital; Mary O’Brien, The Lung Unit, The Royal Marsden Hospital 背景:呼吸困難は肺がんにおいてよくある症状である。呼吸困難のコントロールにはモルヒネが広く利用されている。Background: Dyspnea is a common symptom of lung can- cer. Morphine is widely used to control dyspnea. 方法:我々はVASで呼吸困難スコア‡4の173名の進行性非小細胞肺がんあるいは中皮腫の患者らを3群(鍼[A]、モルヒネ[M]、これらの組み合わせ[AM])に無作為に振り分けた。Method: We randomized 173 patients with advanced NSCLC or mesothelioma with dyspnea score ‡4 on visual analogue scale (VAS) to one of three arms (acupuncture [A], morphine [M] or combination [AM]). Aは胸骨上、傍脊椎、手、僧帽筋のトリガーポイントに鍼をした。A was delivered to upper sternal, paravertebral, hand and trapezius trigger points. 半永続的な鍼の鋲が胸骨の正中上方のポイント(胸骨柄)に刺入され、患者らは呼吸困難時にそこをマッサージするよう指導された。Semi- permanent acupuncture studs were inserted in upper midline sternal points and patients instructed to massage them when dyspnoeic. A群は必要に応じてレスキューモルヒネを投与された。Arm A were given rescue morphine if needed. 我々はVASでの呼吸困難、リラックス、肺機能検査、EORTC QLQ-30/QLQ-LC13質問票をベースライン時、30分、90分、4時間、2、7、14日めに記録した。We recorded VAS dyspnea and relaxation, lung function tests and EORTC QLQ-30/QLQ-LC13 questionnaires at baseline, 30mins, 90mins, 4 hours, day 2, 7 and 14. 第1エンドポイントは4時間時の呼吸困難のVASが‡1.5改善した患者の割合だった。Primary endpoint was proportion of patients achieving ‡1.5 improvement in VAS dyspnea at 4 hours. 結果:呼吸困難はA群の患者の74%、M群の60%、AM群の66%においてVASで‡ 1.5 ポイント改善した(A vs M p=0.12, AM vs M p=0.50)。Results: Dyspnea improved by ‡ 1.5 points on VAS in 74% of patients in A, 60% in M and 66% in AM (A versus M p=0.12, AM versus M p=0.50). リラックスのVASの平均はM群(0.19–2.43;p<0.001)と比較してA群(-1.06 – 2.60)、AM群( - 1.48 – 2.05)で改善させた。Mean VAS relaxation was improved in A (-1.06 – 2.60) and AM ( - 1.48 – 2.05) compared to M (0.19–2.43;p<0.001). 7日めのVAS不安スコアの平均LARはM群(0; p=0.003)と比較してA群(1.50)、AM群(1.2)と改善した。Day 7 median LAR VAS anxiety score was improved in A (1.50) and AM (1.2) compared to M (0; p=0.003). 7日めのVASリラックススコアの平均LARはM群(0;p = 0.006)と比較してA群(-1)、AM群(-0.94)と改善した。Day 7 median LAR VAS relaxation score was improved in A (-1) and AM (-0.94) arm compared to M (0;p = 0.006). A群の患者らの21%、M群の87%、AM群の87%は1回以上モルヒネを用いた(p < 0.001)。21% of patients in A, 87% in M and 87% in AM took one or more doses of morphine (p < 0.001). A群の8%、M群の35%、AM群の39%はモルヒネの毒性に一致したグレード1/2の毒性を報告した。8% of A, 35% of M and 39% of AM reported grade 1/2 toxicities in line with morphine’s toxicity profile. 2つのケースで皮膚刺激が鍼部位の発赤を生じさせた。Two cases of skin irritation were attributable to acupuncture site dressings. まとめ:鍼は呼吸困難の治療においてモルヒネと同程度の効果があり、不安やリラックスにも付加的な価値がある。Conclusion: Acupuncture was found to be as effective as morphine in treatment of dyspnea and has additive value for anxiety and relaxation. 鍼はモルヒネを節約する。Acupuncture is morphine sparing. 鍼は呼吸困難のがん患者らに役立つ治療である。Acupuncture should be a treatment available to lung cancer patients with dyspnea.
0 notes
Text
線維筋痛症と鍼灸
昨日の鍼治療が終わった後にアシスタントの植松さんから「線維筋痛症に鍼って効くんですか?」という質問がありまして、「確かそれって前に研究されてましたよ」と答えたんですが、チェックしてみました。 (1)有名なメイヨークリニックのサイトに載っていたものと、(2)2005年のHarrisらの論文の抄録だけ読みました。ツボの位置とか刺激とかはあまり重要でなく、回数が多い方が良いというような結果だったようです。「ツボの位置がどうでも、ひびきがなくても、それなりに効いちゃう」というこの結果、みなさんどう思われますか? (1)鍼灸は線維筋痛症に効くのか? http://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/fibromyalgia/expert-answers/fibromyalgia/faq-20057978 Answers from Brent A. Bauer, M.D. 鍼灸は種々の慢性痛を適切に和らげるので多くの人が試してみようと思うのにもうなづける。線維筋痛症の症状に関する鍼灸の有効性についての研究はやや雑多だが、ほとんどは有効でありうることを示唆している。Acupuncture appears to modestly reduce many types of chronic pain, so it's not surprising that many people with fibromyalgia are interested in trying it. While the studies on the effectiveness of acupuncture for fibromyalgia symptoms are somewhat mixed, most suggest that it may have a beneficial role. 鍼灸は経穴にとても細い鍼を様々な深さで刺入し、20-30分置鍼し、熱や電気などで刺激を加える。十分な訓練を受けた鍼灸師が行う場合にはほとんど危険性はない。Acupuncture involves the insertion of very fine needles to various depths into strategic points on your body. They are usually left in place for 20 to 30 minutes and sometimes are further stimulated by the addition of heat or electricity. When performed by a trained practitioner, acupuncture has few risks. 線維筋痛症は治療が困難なので、症状の管理には複数の治療法の組み合わせが必要になるかもしれない。もしも線維筋痛症の痛みによる問題を抱えているならば鍼灸を試してみる価値はある。でも数週間経っても症状に変化が見られない場合には、鍼灸は適していないかもしれない。Fibromyalgia can be difficult to treat, and a combination of treatments may be necessary to control your symptoms. If you're having trouble finding relief for your fibromyalgia pain, it may be worth trying acupuncture. But if your symptoms don't begin to improve within a few weeks, acupuncture may not be the right treatment for you. (2) Treatment of fibromyalgia with formula acupuncture: investigation of needle placement, needle stimulation, and treatment frequency. Harris R et al. J Altern Complement Med. 2005 Aug;11(4):663-71. https://deepblue.lib.umich.edu/bitstream/handle/2027.42/63411/acm.2005.11.663.pdf?sequence=1&isAllowed=y 経穴の位置、刺激、治療頻度などが線維筋痛症の緩和に重要な要���であるかどうかを調べたもの。 114名の線維筋痛症の患者らが被験者として参加した。そして4グループに分けた。(1)きちんとしたツボに鍼して手で刺激(T/S)29名、(2)きちんとしたツボに鍼しただけで刺激は加えない(T/0)30名、(3)経穴とは考えられていない点に鍼をして手で刺激(N/S)28名、(4)ツボでない点に鍼をして刺激をしない(N/0)27名。 すべてのグループは初め週1で、次に週2で、最後に週3で鍼を全部で18回受けた。頻度を増やす際にウォッシュアウト期間として2週間空けた。 痛みの評価は痛み評価スケール(NRS)で、疲労の評価は多角的疲労評価尺度(MFI)で、身体機能はSF36で評価した。 全体の25%ー35%が有意な痛みの改善を示したが、「正しい」刺激や、ツボの位置は関係がないようであった。週3回の方が週1回よりも鎮痛がより得られるようであり、全体的な刺激量効果が観察された。よくなった人たちは痛み、疲労、身体機能がセットでよくなった。 ツボの位置や刺激のあるなしに関係なく鍼は効く。回数が多い方が効きそうだ。
0 notes
Link
以前読んだことのあるものをもう一度読んで確認しました。やはり鍼は筋間を狙うのがいいかもしれません。読んでも読んでも物足りないのは思うところにたどり着いていないからなんだろうと思いながら、次の論文を探したり、分からなかったところを調べたりしています。 抄録 目的: 鍼灸針のマニピュレーションは結合組織の機械的な変形、言い換えれば細胞形状の変化と自己分泌プリン作動性シグナル伝達が起こる。人体において鍼灸針のマニピュレーションが針から数センチ離れた組織を測定できるほど動かすことを我々は以前超音波エラストグラフイーを用いて示した。この研究の目的は筋腹への鍼と筋間結合組織面に沿った鍼に反応した組織の変位(ずれ)と変形(剪断力)の空間パターンを数値化することである。 デザイン: 11名の健康な被験者らが超音波を利用し組織の変位を記録しながらロボットで鍼灸を行なっている間に単回テストセッションが行われた。超音波エラストグラフィーの後処理を利用して計算した水平ずれ応力と同様に長軸方向と水平方向の組織の変位を測定した。 結果: 組織の変位と張力は筋間に鍼した時には縦方向に、筋腹に鍼した時には横方向に延長していた。 まとめ: この研究での異方性の組織の動きは鍼灸針のマニピュレーションによる局所の結合組織の細胞反応の空間的分布に影響しうる。 序文 マニュアル鍼灸中に鍼灸針は伝統的に回旋と雀啄(上下にピストンする)の動作の組み合わせによって操作される。 動物での研究はこの機械的な刺激に反応して、針から数センチ以内では局所の結合組織の線維芽細胞が活発な細胞骨格リモデリングを示し、拡大することが示されている(1)。エビデンスが増えるに従って、この機械的に起こした線維芽細胞の反応は自己分泌性/傍分泌性プリン作動性シグナル伝達によって起こる鎮痛作用を伴うことを示唆している2,3。このように鍼のひびき現象は結合組織のリモデリングと末梢感覚の調節に関連する測定可能な現象である。 残された重要な疑問はこの線維芽細胞の反応がヒトでは鍼からどのくらいまで及ぶのか?ということである。これらの反応は鍼とコラーゲンネットワークとの相互作用で生じるので、これらの細胞に反応は結合組織内の���ラーゲンの局所毎の方向性の違いによって影響を受けるとしてもおかしくはない。例えば大腿部では筋腹にあるコラーゲン線維は斜めに走っており、十文字の層状に組織されていることを我々は知っている(4)。反対に筋間結合組織面に沿ったコラーゲン線維は血管神経束のコースを追うように主として縦方向である。したがって筋間のコラーゲン結合組織の「経路」に沿って鍼が行われた時、鍼灸針によって発生した機械的なシグナルはより遠方に、あるいはより効率的に縦方向に伝播する。 刺入した鍼灸針をロボットでコントロールして振動させると超音波エラストグラフィーで組織の変位が測定されることが健常人の被験者で既に示されている5,6。この研究の目的は2つの筋肉を分ける結合組織面に沿って鍼をすることで生じる組織の変位と張力のパターンを、筋腹への鍼をコントロール(比較対象)として、この技術を用いて測定することだった。我々は筋腹ではなく筋間に鍼をした時には横方向よりも縦方向で組織の変位と張力が大きくなるとの仮説を立てた。 方法 11名の被験者(男性6名女性5名、21-57才)がテストされた。この研究はバーモント大学施設調査委員会に認証され (CHRMS 07-025) 、ヘルシンキ宣言を遵守している。すべての被験者らはインフォームドコンセントを受けた。被験者らはバーモント大学とその関連施設での広告によって集めた。1名の女性被験者は鍼の痛みのために研究を完了することができなかった。 各被験者は一度に大腿部前側の2局所(計4点)でテストを受けた(Fig. 1A)。 Fig.1A この研究における大腿部前側での鍼の位置と方向を示したシェーマ。部位 1 (筋間) と 2 (筋上) が大腿部の断層 (A–D)と体表 (E) が示されている。両局所の超音波プローブの横方向 (A, C)と縦方向 (B, D)が図に示してある。 部位1 筋間に鍼をする領域 (Fig. 1A and B)。鍼は大腿直筋の外側縁、膝蓋骨の15㎝上、大腿直筋と外側広筋の間に刺入された。 部位2 筋上に鍼をする領域(Fig. 1C and D)。鍼は大腿直筋の上、部位1から2㎝内側に刺入された。 それぞれの部位で身体の左右で横方向(Fig. 1A and C)に鍼をするか縦方向(Fig. 1B and D)に鍼をするかをランダムに決めた。 コンピュータ管理する鍼灸機器で両方向に鍼を刺入し、上下に振動させた(Fig. 2A)。The angle of needle insertion was 20°to the vertical, and the needle was inserted in the plane of the ultrasound image, either transversely or longitudinally such that the needle was in the upper right portion of the image (Fig. 2B). Fig.2 超音波トランスデューサーに関するロボット鍼灸機器と鍼の部位(A) と超音波プローブと鍼灸機器が関係した超音波画像の例(B)。鍼灸針の位置は超音波画像の右端に示されている。The region of interest encompassing the perimuscular connective tissue is delineated by the dashed white lines. 組織の変位と張力の詳細な分析に用いられた4領域な鍼から離れた領域1、鍼を含む領域4も含めて示されている。矢印はこの研究で評価された超音波画面の水平方向(皮膚に平行)と長軸方向(鍼に平行)の組織の変位を示している。 変位の増加(この研究では示されていないが)は超音波画像内外での変位を表している。X軸とY軸の測定単位目盛りは1㎝を表している。 それぞれのテストで鍼は超音波で特定した筋外周膜を1㎝超えて刺入した(Fig. 2B)。刺入されたら5㎜の振動で1Hzで鍼を5サイクルされた。生の超音波無線周波数(RF)データが Terason 300スキャナー(リニアアレイトランスデューサー10–12 MHz)を用いて毎秒25フレーム獲得され、プロセス後解析に利用された。 組織の長軸と水平変位はエラストグラフィー相互相関技術を用いて見積もられた7,8。「変位」という用語は2つの成功裏に獲得できた超音波フレーム間(例えば40 ミリ秒が経過した後)の長軸あるいは水平方向の組織の動きのことを言う。長軸変位は超音波ビームに沿った変位(皮膚に垂直)のことを言い、水平変位は超音波ビームに垂直(皮膚に平行)な変位のことを言う(Fig. 2Bの軸を参照). あらゆる組織の変位と張力の計算は注目画像領域 (ROI)中心に、筋外周膜の結合組織全体の厚みと画像の幅全体を含めて行われた( Fig. 2Bの線引された領域を参照)。 超音波フレーム毎の組織の変位の平均がFigure 2Bに示されたように4領域同じ幅で画像の全幅に渡り計算された。左から右に番号がつけられ、領域1が鍼から最も遠く、領域4には鍼が含まれる。 5回の振動全体の長軸方向と水平方向の組織の変位の累積が計算され、1回の全振動(鍼の上下運動)毎の平均として報告された。超音波フレーム毎の組織の変位と組織の変位の累積との関係はFigure 3に図示してある。ずり張力は浅筋膜と筋(筋外周膜)に最も近いエコージェニック(高輝度)なバンドと先に述べたように9それのすぐ表面側のエコールーセント(低輝度)なバンドまでの深さを計算した。 Fig.3 角超音波フレーム毎の長軸方向と水平方向の組織の変位のプロットの例 (A) と長軸方向と水平方向の組織の変位の累積の例(B)。 各結果の測定には位置(筋間vs筋上)と方向性(横方向と縦方向)、そしてそれらの相互作用の主な効果の影響の大きさを評価するために変動の繰り返し測定分析(SAS, PROC MIXED)が用いられた。ガウス分布仮説を満たす目的で、解析の前にデータは対数変換された。All means presented represent geometric means with corresponding standard errors computed using the Delta method.解析はSAS統計ソフトウェア (SAS Institute, Cary, NC)を用いて行われた。統計学的有意性は α=0.05を用いて決定した。 結果 まず始めに、画像の全幅に亘る筋外周膜結合組織内の2つの成功裏に得られた超音波フレーム間の水平変位の平均が検討された。組織の変位は横方向への鍼と比較して縦方向の鍼では有意に異なっており、この差異は鍼の位置(筋間vs筋上)によるものだった(F1,24=8.0, p<0.01 for interaction, Fig. 4)。鍼が2つの筋の間(部位1)に施入された時、2つの連続する超音波フレーム間の組織の変位は横方向よりも縦方向で大きかった。対照的に鍼が筋腹上(部位2)に刺入された時、変位は縦方向よりも横方向で大きかった。 Fig.4 2つの鍼の位置と2つの方向(横方向と縦方向)での画像全幅に亘る(2つの成功裏に得られた超音波フレーム間の)水平方向の変位。位置と方向との間には部位1では縦方向の変位が大きく、部位2では横方向の変位が大きいという統計的な相互作用があった(p<0.01)。エラーバーは標準誤差を表している。 鍼からの距離に応じて鍼部位間の組織の振る舞いの違いについてさらに検討する目的で水平方向の組織の変位が4領域で計算された。領域1は鍼から最も遠く、領域4は鍼が含まれる。Figure 5 は領域4での縦方向と横方向の組織の変位の相対的な大きさを図示しており、鍼が筋間に刺入された時に鍼の最も近く(領域4)で起こる縦方向の変位の有意性を示している。組織の変位は筋間結合組織面に近づくにつれて縦方向でより大きくなり、横方向では結合組織面の筋腹上から離れるにつれて大きくなる。 Fig.5 1回の振動周期全体に亘る鍼の両部位での縦方向と横方向の変位を示したシェーマ。組織の変位(μm)を4領域でプロットした。 領域1は鍼から最も遠く、領域4には鍼が含まれる(領域の位置についてはFig. 2を参照 )。値は平均±平均の標準誤差を表す。 (長軸方向と水平方向での)組織の変位の蓄積の測定と筋外周膜ファシア内のずり張力はTable 1にサマリーした。領域2、3、4での測定結果の大多数には部位間と鍼の方向との間の統計的に有意な相互作用がある。 縦方向の組織の変位と張力の強さは鍼が筋肉そのものに刺入された時と比べて、2筋の間に刺入された時にいつも大きくなる。 Table 1 長軸方向と水平方向の組織の変位と水平方向のずり張力 長軸方向と水平方向の組織の変位の値は1回の鍼の振動(上下)全体に亘る変位の累積(μm)を表している。ずり張力(%)は筋外周膜結合組織内の層の間のずり変形の割合を表している。変位と張力の値は平均±標準誤差として表してある。p値は部位間(筋間vs筋上)、方向間(横方向vs縦方向)、2つの状況の相互作用の差異を表している。Note: 領域4の水平ずり張力は鍼に近い長軸方向の運動が比較的大きいために計算されなかった。 考察 鍼施術に反応して、組織の変位は鍼が筋間に刺入された時は縦方向の動きが優勢で、筋上に刺入された時は横方向の動きが優勢と異方性を示す。これは鍼に反応した細胞反応の空間分布は筋間結合組織と筋腹上に鍼した時では異なることを示している。Juliasらの先行研究は試験管内のfibroblast-populated collagen gel model を使って、鍼の回旋直後のコラーゲンと線維芽細胞の列を検討するために鍼灸針を刺入、回旋することについての疑問に言及している10 。筋肉よって2サイドになる筋間結合組織を模しEllipticalゲルがこのような異方的な境界の制限のないcircularゲルと比較された。コラーゲンと細胞の列はcircularゲルでは等方性だったが、ellipticalゲルではゲルの横軸の列の増加を伴い異方性であり、おそらくその方向への力の増加をしてしている。この研究の結果は(断層領域によって力が分けられる)外力に対抗するにつれた変位と張力(長さの変化の割合)を測定した現行研究によりJuliasの研究と一致する。この研究での縦方向の組織の動きと張力が大きいことは横方向と比べてあまり制限されない境界状況のために外力が小さいことと一致する。それに関連した重要な疑問は疎性結合組織内の線維芽細胞は局所の外力や張力に反応するかどうかということである。The answer to this question may depend on the type of response that one is measuring in response to acupuncture needling. Juliasはおそらく外力に依存する鍼灸直後の細胞のアラインメントを測定した。対照的に30分までにゆっくりとしたRho依存性の細胞骨格リモデリングは局所の組織ストレスに対して局所組織の変形(張力)に対する反応かもしれない11,12 。この疑問の答えを出すには動物モデルにおけるさらなる研究が必要になるだろう。 結論 この研究は筋上への鍼が横方向への変位/張力パターンが圧倒的であったのに比べて、筋間結合組織への鍼は縦方向の変位と張力パターンの促進が起こることを示した。この差異は局所結合組織内の鍼への細胞の反応の空間分布に影響し得る。
0 notes
Link
乳がん生存者における鍼灸効果の調節因子:ランダム化クリニカルトライアル(RCT) Oxana Palesh, Nadia Haddad, Rosa Schnyer, Eric Neri, M. Melissa Packer, Jamie M. Zeitzer, Rachel Manber http://ascopubs.org/doi/abs/10.1200/jco.2016.34.3_suppl.162 要約
背景:がん患者の間で鍼灸の利用が多いことはがん治療における鍼灸の副作用の軽減作用の研究の必要性を強調する。不眠はがん患者によく見られ、疲労やQOLの低下に関連がある。���眠はうつ、睡眠時無呼吸、サーカディアンリズムの破綻にも関連がある。乳がん生存者での不眠に対する鍼灸のRCTからのデータを用いて、我々は鍼灸の有効性の調節因子としてうつ、睡眠時無呼吸、サーカディアンリズムについて調べた。方法:不眠を経験している乳がん生存者68名(54才、標準偏差は9)が12回の鍼(N = 34)と偽鍼 (N = 34; プラセボ鍼を使用)とにランダムに振り分けられた。測定は不眠重症度指数、簡易疲労調査表、FACT-Gがベースライン時、治療の中間点(6週)、フォローアップ(10週)で得られた。結果: 鍼はベースライン時からフォローアップ時まで不眠の症状に有意な改善をもたらしたが 、それらの改善には偽鍼との違いがなかった。偽鍼と比べて、鍼は1)朝方クロノタイプで特に不眠の重症度(p = 0.03)、QOL(p = 0.02)が、2)睡眠時無呼吸のリスクが低い患者での疲労感(p = 0.01)、3)ベースライン時のうつスコアが低い患者でのQOL(p < 0.001)において明らかに大きな改善を示した。 結論: これらの発見は鍼灸が一定の患者の亜集団においてより有効であることを示唆している。不眠、疲労、QOLの調節因子はそれぞれ朝方人間傾向、低い睡眠時無呼吸リスク、低いうつスコアなどである。うつについての我々の発見は症状が軽度のうつの患者ではおそらくセロトニンの利用が多いことにより鍼灸への反応のキャパシティが大きいのかもしれないという先行研究の同一線上にある。鍼灸が不眠を伴うがん生存者の亜集団での使える治療オプションになるかどうかさらなる研究が必要である。
0 notes
Link
鍼灸のうつに対する作用についてまとめた記事があったので読んでみました。参考文献も文末に紹介されていたので、機会があればそちらも読んでみたいです。 新研究は鍼灸が抗うつの薬物療法を強化することを確認した。研究者らはパロキセチン(パキシルetc)と鍼灸を組み合わせるとパロキセチン単独よりも効果的であることを発見した。研究者らは鍼灸が大うつ病の治療に用いられる薬剤である選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)への反応を促進させることを見出した。さらに研究者らは鍼灸がうつの増悪を予防すると結論付けている。研究者らは160名の大うつ病(MDD)の患者らを3グループにランダムに振り分けた。第1グループパロキセチンのみを受けた。第2グループはパロキセチンとマニュアル鍼灸を受け、第3グループはパロキセチンと電気鍼を受けた。鍼灸と電気鍼を受けたグループではパロキセチン単独のグループよりも明らかに大きな改善が見られた。鍼灸と電気鍼による有害反応の増加はなかった。4週間のフォローアップは電気鍼が他のグループよりもうつからの回復において明らかに大きな改善を示した。その他の最近の研究がこれらの発見を確認している。研究者らは鍼灸と電気鍼が「パロキセチンで治療中のうつの患者のQOL」を改善させると結論づけている。繰り返しになるが電気鍼療法はマニュアル鍼灸グループよりも大きな臨床的な改善を示した。鍼灸と電気鍼はパロキセチン服薬中の患者の風府、大椎、内関、三陰交に行った。鍼灸治療は週3回計6週間行った。鍼灸は毎回30分間置鍼した。研究者らはパロキセチンに電気鍼が組み合わされるとパロキセチンとマニュアル鍼灸、パロキセチン単独よりもうつの治療により効果的であると結論づけた。新発見がうつの治療に鍼灸が有効であると示したことに小波乱が続いている。ある最近のMRI研究はレーザー鍼灸刺激がうつの治療に必要な脳の領域を刺激すると結論づけている。レーザー光刺激は期門、曲泉、神門に行われた。MRIはレーザー鍼灸によるDMN(デフォルトモードネットワーク)の活性化を記録した。DMNは健康人では心が安まっている時あるいは脳が課題志向性の処置を行っていない時に活性化��れる。研究者らはレーザー鍼灸が脳の神経生理学的機能において抗うつ作用を示唆するDMNの調節性反応を生じさせることを示した。同じ結果を指し示したこれらの新しい研究はトゥーソンのアリゾナ大学での研究によって証明された。ここで研究者らは「鍼灸は心理療法や薬物療法のそれよりもうつの症状を明らかに緩和させる」ことを発見した。よく浮上するテーマはうつの治療のための鍼灸の生化学的作用が薬剤と似ているということである。鍼灸はモノアミン値を上昇させる。これらには神経伝達物質であるセロトニン、ノルエピネフリンとドーパミンがある。多くの抗うつ薬はモノアミン値を上昇させ、鍼灸もモノアミン値を上昇させたりモノアミン受容体部位の感受性に影響することが現在では複数の研究によって示されている。新研究の興味深い側面は研究者らが今では抗うつ薬と鍼灸を組み合わせ、多くの研究において組み合わせが患者によりよい結果をもたらすことを見いだしたことである。 References: Qu, Shan-Shan, et al. "A 6-week randomized controlled trial with 4-week follow-up of acupuncture combined with paroxetine in patients with major depressive disorder." Journal of Psychiatric Research (2013). Ma SH, Qu SS, Huang Y, Chen JQ, Lin RY, Wang CQ, Li GL, Zhao CH, Guo SC, Zhang ZJ. Improvement in quality of life in depressed patients following verum acupuncture or electroacupuncture plus paroxetine: a randomized controlled study of 157 cases. Neural Regen Res. 2012;7(27):2123-2129. Im Quah-Smith, Chao Suo, Mark A. Williams, and Perminder S. Sachdev. Medical Acupuncture. -Not available-, ahead of print. doi:10.1089/acu.2012.0901. Allen, John JB, Rosa N. Schnyer, and Sabrina K. Hitt. "The efficacy of acupuncture in the treatment of major depression in women." Psychological Science 9.5 (1998): 397-401.
0 notes
Link
抗凝固療法中の患者に鍼灸をすることの安全性に関する論文の訳文です。よく分からない文は原文を訳文の後ろにそのまま残してあります。 抗凝固薬を使用中の患者での鍼灸の安全性:システマチックレビュー Michael McCulloch, LAc, MPH, PhD, Arian Nachat, MD, [...], and Joseph Cook, JD
要約 イントロダクション:理論的に抗凝固薬を使用中の患者での鍼灸は出血リスクが高いはずである。しかし抗凝固薬を使用中の患者での鍼灸からの正確な出血併発率の見積もりはシステマチックに確かめられていない。 目的:抗凝固薬を使用中の患者での鍼灸の安全性の証拠を批判的に評価すること 方法:PubMed, EMBASE, the Physiotherapy Evidence Database, Google Scholarを調べた。
結果:39の関連のありそうな引用論文のうち2つのランダム化トライアル、4つのケースシリーズ、5つのケースレポートの計11が基準を満たした。7つが鍼灸の安全性を評価するのに十分なレポートの質を提供していて、その患者数は384名(治療回数は3974回)だった。抗凝固薬を使用中の患者での鍼灸に関連する低〜中程度の出血のケースが1つあり、それは大きなお尻の血腫であり、医学的な根拠の再評価の後にビタミンKを戻し、ワーファリンを中止して管理した(ビタミンKは血液凝固に必要な因子)。鍼/注射によくあり圧迫/脱脂綿でコントロール可能な点状出血は229名のケースシリーズのうち350回のうち51回(14.6%)あった。抗凝固薬を使用中の鍼灸は5名で起こった出血には関連しておらず、むしろ不適切な深鍼が組織を損傷したり、あるいは抗凝固薬の副作用の結果だと考えられる。(74名の抗凝固薬を使用中の患者での)2つの研究では出血は報告されなかった:1つのケースレポートと鍼灸に関連した出血を明確なエンドポイントとして前向きにモニターした1つのランダム化トライアル。全体では3974回の治療で1回の中程度の出血があった(0.003%)。
結論: 鍼灸は適切な刺入部位や深さであれば抗凝固薬を使用中の患者でも安全なようである。0.003%という併発率は27360名の抗凝固薬を使用中の患者でのランダム化トライアルで股関節/膝の置換術後の12.3%という先の報告や229230名のあらゆるタイプの患者での前向き研究での鍼灸の6%よりも低い。 前向きトライアルは我々の所見を確かめるのに役立つだろう。
イントロダクション 鍼灸は生理機能や神経機能の調節を意図した治療法であり、新石器時代の鍼灸の道具が見つかっており、殷王朝時代に鍼灸について書かれた文章が見つかっている (1766 BC to 1046 BC)(1 )。鍼灸の鍼刺激は皮質ネットワークの上向き調節と辺縁系-傍辺縁系新皮質ネットワークの下向き調節を通じた治療効果を獲得する。その痛みへの効果は同時に起こる感覚、認知、感情の経路の変化のコンビネーションである(2)。 鍼灸はがん(3-6)、心房細動(7-9)急性虚血性脳卒中(10)、虚血性脳卒中後(11)、術後疼痛(12)、腎疾患(13)、重篤な集中治療中の患者(14)、人工呼吸器をつけている患者抗凝固薬を処方されている患者(15)の症状にも有効である。鍼灸に使われる鍼は0.12㎜(日本のゲージ)から0.35㎜(シナのゲージ)まで幅があるが、我々のデータの検索では鍼灸治療の安全性上の鍼のゲージ上の作用について実験した報告は特定できなかった。 抗凝固薬は病院やコミュニティケアの場で安全性が証明された上で凝固障害や血栓現象の予防のために広く使用されている。 19958名の入院中(周術期でない)の患者で抗凝固薬予防治療と治療なしを比べたランダム化トライアルのメタアナリシスは大出血の増加が認められないことを示した(16)脳卒中直後や冠状動脈ステントに使うクロピドグレル(プラビックス)、心房細動の患者で血栓の予防に使うワーファリン(17)、あるいは深部静脈血栓や肺血栓(17)、長期入院での血栓塞栓症(19)、肝硬変(20)やがん(21, 22)での血栓塞栓症の予防のための低分子量ヘパリン、未分画ヘパリン、ビタミンK拮抗薬などは古いがよく使われる抗凝固薬である。新しい薬には心房細動と術後血栓症の予防(23, 24)のための第Ⅹ因子阻害薬(フォンダパリヌクス、リバーロキサバン、アピキサバン )や心房細動や静脈血栓症(25)のための直接的トロンビン阻害薬(ヒルジンとその由来薬、アルガトロバン、エラガトラン、アビガトラン)がある。 低分子量ヘパリンやビタミンK拮抗薬を飲んでいる患者の広範な状況に我々のレビューをについて考えると、鍼灸よりもずっと侵襲的な外科的手法の安全性が厳密に実験されている。27360名の抗凝固薬を使用中の患者でのコクランメタアナリシスは股関節あるいは膝の置換術を受けた後4〜6週に1000名中123(12.3%)の出血が起こったことを見出した(26) 鍼灸を受けている抗凝固薬治療中の患者での手技に関連した出血は少ないであろうが、この疑問は決定的に研究された訳ではない。
なので我々は医学出版物の 特定可能なピアレビューを再考するためにこのメタアナリシスを行い、抗凝固薬治療中の患者での鍼灸の安全性を批判的に調べた。 資料と方法 我々は関連する引用論文を特定するためにPubMed、EMBASE、the Physiotherapy Evidence Database、Google Scholarを調べた。PubMedとEMBASEで調べた用語はサイドバーに並べてある。
PubMed 検索ワード (“anticoagulant”[MeSH Terms] OR “anticoagulant”[All Fields] OR “anticoagulants”[MeSH Terms] OR “anticoagulants”[All Fields] OR “anticoagulants” [Pharmacological Action]) OR (“warfarin”[MeSH Terms] OR “warfarin”[All Fields]) OR (“heparin”[MeSH Terms] OR “heparin”[All Fields]) OR (“clopidogrel”[Supplementary Concept] OR “clopidogrel”[All Fields]) OR (“enoxaparin”[MeSH Terms] OR “enoxaparin”[All Fields]) OR (“aspirin, dipyridamole drug combination”[Supplementary Concept] OR “aspirin, dipyridamole drug combination”[All Fields] OR “aggrenox”[All Fields]) AND (“acupuncture”[MeSH Terms] OR “acupuncture”[All Fields] OR “acupuncture therapy”[MeSH Terms] OR (“acupuncture”[All Fields] AND “therapy”[All Fields]) OR “acupuncture therapy”[All Fields])
EMBASE 検索ワード ([anticoagulant OR anticoagulants OR warfarin OR coumadin OR heparin OR clopidogrel OR enoxaparin OR aggrenox] AND acupuncture)
我々は類似するワードでその他のデータベースを検索した。2人のレビュアーはあらゆる引用論文を検索し、引用論文の包含と除外を決めるのに不一致が持ち上がった時には3人目と協議した。 除外基準は:抗凝固薬と鍼灸の両方について議論していない、データが数量化できないもの、抗凝固薬に使用が確かめられない、有害事象が報告されていない、だった。我々は関連のありそうな39の記事をオーダーして、全文コピーのレビューと除外基準 (Figure 1)に基づいて、鍼灸と1つかそれ以上の抗凝固薬の組み合わせについて報告している、という包含基準に合う11を特定した。データ抽出の後で我々はこれらの11の記事について協議をし、臨床的な評価と文献評価基準を組み合わせ、報告の質と抗凝固薬への被曝と鍼灸との出血に関わる因果関係の明らかな可能性によってグレード分けをした。 明確なリスク層別化を促すため、これらの記事は結果(出血イベント)が共被曝(鍼灸、抗凝固薬使用中の患者)に因るものだという正確性の見込みをグループ分けした。我々は発表された原稿の質と、それぞれの治療法の考証の徹底ぶりと同様に、抗凝固薬の投与量と鍼灸との間のの経過時間に基づいた正確性の見込みを評価した。記事全文からのデータはそれから表形式に抜擢された(Table 1)(27–38)。 結果 システマチック検索 我々のシステマチック検索は11の適切な引用論文(Figure 1)を得た。2つのランダム化トライアル(29, 33)、3つの後向きケースシリーズ(28, 34, 36)、5つのケースレポート(27,31,32,37,38)、1つの臨床記述(35)である。我々は比較対象の患者あるいは前後の比較を伴う複数の研究を見つけることができなかったため、数量的メタアナリシスは行われず、システマチックレビューとして結果を報告した(Table 1)。
抗凝固薬使用中の患者での鍼灸の安全性の評価を許す報告の質を伴う記事 我々は抗凝固薬と鍼灸治療の現時点において、観察された有害事象について適切な記述があり、明らかな文献を探した。 我々は鍼灸の安全性が併用している抗凝固薬療法によって影響されたかどうかを評価するのに十分な報告の質を伴う7つの文献を見つけた (Table 1)(27–29,31–34)。 鍼灸と薬剤の注射のどちらにもよく見られる小出血(圧迫と綿棒で単純に管理できる一滴の血液)が229名のケースシリーズでの350回の治療で51例(14.6%)に観察された(28 )。出血は臨床的に明らかではなく、薬剤の注射後によく行われるような圧迫で止まった。深鍼での1つの中程度の出血は抗凝固薬療法からリバースするために経口ビタミンK製剤で管理されていたワーファリン抗凝固療法の存在によって悪化するようである(27)。明らかな出血(鍼灸よりもむしろ積極的な抗凝固療法に関連したもの)が脳内出血が結果として報告されている発作後6時間までの急性虚血性脳梗塞の80名の治療での2つの異なる鍼灸の方法を比較したランダム化トライアルで報告されている。患者らはA)デクストラン/アスピリン+頭蓋鍼灸、B)デクストラン/アスピリン+ウロキナーゼ、C)デクストラン/アスピリン+プラセボの生食、の3群にランダムに振り分けられた。著者らは、デクストラン/アスピリン+頭蓋鍼灸群で1症例、デクストラン/アスピリン+ウロキナーゼ群で2症例、デクストラン/アスピリン+生食群で1症例の計4症例の脳内出血を報告している29, 30。 不適切な深鍼が明らかに原因である著しい出血(抗凝固療法を受けていない患者にさえ起こりそうな)が、(薬剤は不特定だが)抗凝固療法を受けている81歳の女性が鍼灸の翌日に手の伸筋腱のいくつかの断裂から出血し急性手根管症候群を起こして外科的に管理されたもの(31) 、75歳の女性で長い鍼を繰り返し腸壁を貫く深さに刺した結果、虫垂の内膜に多数の小さな血腫(32)が2つのケースレポートで観察された。残る2つの高品質な報告は鍼灸による出血を報告していない。アスピリン/低分子量ヘパリン抗凝固療法あるいは鍼灸と抗凝固療法の組み合わせのどちらかにランダムに振り分けられた70名の患者でのトライアルでは小さな有害事象は報告に含まれていないものの、重篤な有害事象は報告されていなかった(33)。痛みの緩和のために鍼灸を受けるため個人の開業医に現れた4名の女性の結果の後ろ向きチャートレビューで、4名の患者は根底にある症状のためにワーファリンを受けていた。累積で4名の女性は51回の電気を使わず、局所と遠位を使った鍼灸治療を受けた。1名の患者で上背部への鍼灸で無症状の字が存在していたことがあったが、治療後に出血や出血に関連した問題を起こした患者はいなかったことが鍼灸の資格を持つ医師によって確認されている(34)。After treatment, none of the patients demonstrated any bleeding or bleeding-related problems, either as observed by the physician-acupuncturist or through self-report, except for an occasional asymptomatic bruised area at an acupuncture site on the upper back on one patient.34 抗凝固療法中の患者での鍼灸の安全性を評価したり、結論を導くにはレポートの質が不十分な記事 Dana Farberがんセンター (Boston, MA)で行われた臨床レビューでは、著者らは6000名以上のがん患者の治療の経験から、鍼灸が抗凝固薬を投与されているがん患者で(比率は特定されていないが)出血の機会が増加することはないと報告している(35)。トロント脊髄損傷リハビリテーション病院の鍼灸ができる医師による数百名の患者のケースシリーズでは、 抗凝固療法中の患者での鍼灸による出血事故は一件もなかったという11年間の彼女の個人的な経験を報告している。しかしこれはジャーナル編集者への手紙であり、正式な後向き症例記録のレビューというよりは記憶によって書かれたものであった(36)。さらに2つのケースレポートは時間的な前後関係は特定していないが、鍼灸治療の患者に抗凝固薬を投与したことによる血腫(38)とコンパートメント出血(37)を記している 。これらの4つの記事はレポートの質が乏しいため、結論を導いたり、レビューのセットから取り下げることはできない。(?)Because of the poor quality of reporting in these 4 articles, we were unable to draw conclusions and withdrew them from the review set. 議論 我々は11の記事のうち7つで「抗凝固薬を使用中の患者に鍼灸をすると果たして出血リスクが高くなるのか?」という研究の疑問を批判的に評価するのに十分な質のレポートを提供しているシステマチック検索を特定した。7つの記事で議論されている鍼灸治療を受けている抗凝固療法中の患者では、384名の鍼灸の患者で3974回の治療のうち出血イベントは58、出血発症率は1.4%だった。これは股関節や膝の置換術を行った低分子量ヘパリンやビタミンKで抗凝固されている患者らの出血発症率12.4%と比べると大変好ましい数字である。特筆すべきことは1.4%という鍼灸の出血発症率は限定的な除外基準なしの多様なグループの229230名の患者での大規模前向き観察研究に記載されている6%よりも低いということである(39) Remarkably, the 1.4% acupuncture bleeding complication rate is lower than the 6% rate documented in a large prospective observational study of 229,230 patients, a diverse group without restrictive exclusion criteria.39 我々の研究では鍼灸の出血イベントの大部分は無症状性のあざ(34)あるいは針を刺す手技によくある圧迫や綿花(28)で管理できるような血液滴であることがわかった。我々の評価によれば深刻な出血イベントは(2名に起きた」不適切な深鍼によるものと(31, 32)抗凝固薬のミックスによるものだった(29)。Liらによるランダム化トライアル(29)では、 頭蓋内出血が観察されたのは、デクストラン/アスピリン+頭蓋鍼灸で1症例、デクストラン/アスピリン+ウロキナーゼで2症例、デクストラン/アスピリン+生食プラセボで1症例であつた。これらの観察は鍼灸と抗凝固薬の組み合わせが血腫の原因となるというよりは、抗凝固薬のミックスがより大きな問題であることを示している。残る2つの質のよい報告は鍼灸による出血を記述していなかった。アスピリン/低分子量ヘパリン抗凝固単体あるいは鍼灸と抗凝固薬とにランダムに振り分けられた70名のトライアルで、著者らはひどい副作用はなかったと報告している(しかし小さな有害事象はデータに含めていない)(33)。2つめは痛みの緩和のために鍼灸をした4名の女性の結果(計51回の鍼灸治療)を後ろ向きチヤートレビューだった。1名の患者で鍼灸をした上背部に無症状のあざができていただけだった(34, 36)。 我々が特定した残り4つの症例において出血イベントと鍼灸+抗凝固薬との関係が確定できなかった。 2つのケースレポートは鍼灸の後に発症した下腿のコンパートメント症候群を記しているが、鍼灸と抗凝固の期間が明示されていないため、我々は原因は評価できないと決定した(37,38)。不幸なことに、抗凝固薬を投与されている患者での鍼灸の安全性の疑問に包括的に述べるというポジションの最後の出版物である6000名の後向き臨床レビューは詳細な報告が不足しており、原因の評価が不可能だった(35)。Unfortunately the final publication, a 6000-patient retrospective practice review, which could have been well positioned to comprehensively address the question of the safety of acupuncture in patients receiving anticoagulants, was lacking in reporting depth and assessment of causation was not possible.35 結論 384名の患者のうち56名(3974回の治療;1.4%)が小出血を経験しており、ただ1名のみ(0.02%)が抗凝固療法と鍼灸の組み合わせに関連したひどい出血を経験していて、このエビデンスは抗凝固療法を受けている患者において鍼灸はかなり安全性が高いと示している我々のシステマチックレビューの中で特定され、また評価されている。 その患者の鍼灸師が腱や内臓���損傷した場合にのみ明らかな出血が起こるという事実は適切な刺入部位と刺入深度の重要性を強調している。 我々が特定したあるランダム化トライアル(33)に類似しているが、抗凝固療法中の患者での鍼灸に続く小規模あるいは大規模な出血をどちらもモニターしている前向きランダム化トライアルは我々のシステマチックレビューの初見を確かめのに役立つだろう。 我々のシステマチックレビューは我々が観察した出血の発症率とWittら(39)との間の大きな違いを強��している。その記事と我々の施設での好ましい安全性の観察との違いをさらに明らかにするため、我々は後向きでこのレビューのフォローアップをし、その後抗凝固療法中の患者での鍼灸の安全性に関する独自の患者記録の前向き分析をするという計画している。
0 notes
Link
女性のメタボリックシンドロームと言われる多のう胞性卵巣(PCOS)を以前からずっと研究テーマにしているスウェーデンのエリザベート・ステナー・ヴィクトリン先生らのレビューです。全文無料でPDFをダウンロードできます。 わからないところは原文をそのまま後ろに残してあります。さしあたり訳してみただけの感じなのでわからないところはわからないままにしないようにしようと思います。とりあえずあげておきます。
レビュー:多のう胞性卵巣症候群:鍼灸の排卵誘発効果とそのメカニズム Julia Johansson 、Elisabet Stener-Victorin
要約
多のう胞性卵巣症候群(PCOS)は出産適齢期の女性に最もよく見られる内分泌疾患で高アンドロゲン血症、排卵障害、多のう胞性卵巣 (PCO)を特徴とする。PCOSは排卵が少ないために起こる女性不妊の主たるもので排卵の管理や月経障害は高額なPCOS治療費の1/3を占めている。 出産に関わる疾患への現行の薬物及び外科的治療は効果があるが心血管合併症や多胎妊娠などの負の副作用に、関連がある。PCOS女性の月経不順と排卵誘発に鍼灸は 効くとされてきた。興味深い結果にも関わらずコントロール群のないトライアルもあるが、このレビューはPCOSの女性での月経障害の調整や排卵誘発のための鍼のランダム化コントロールトライアルの結果にフォーカスしている。より機械的に説明できる見方が提供できるならば、動物実験研究についてもさらなる議論が行われるようになるだろう。
イントロダクション
PCOSは70年以上前から認識されたきたが、まとまった定義がなく、その診断は未だに議論の要因となっている。最も最近では国立衛生局(NIH)、ロッテルダム、高アンドロゲン血症とPCOS協会(AES)の診断基準が臨床で利用されている(table1)。その結果として有病率はまとめるのが困難となり、使われた定義や測定された集団の民族性によって変わる。ほとんどの研究は6〜15%と報告しているが、用いられた診断基準によって20%となることもある[1–3]。定義の違いはPCOSという病気の重症度の幅を広くし、異なる診断基準が用いられた研究を比較する際の懸念材料となる。最近行われたNIHのPCOSに関するワークショップではあらゆるこの先の臨床研究でPCOSのタイプをはっきりと報告するよう勧めている[4, 5]。
PCOSの病態生理と原因
その高い発症頻度にもかかわらずPCOSの原因は不明のままである。臨床症状や生化学的な特徴の不均一性によってPCOSは単疾患であるのか複合疾患であるのかという議論もされてきた。PCOSの症状はしばしば思春期に現れるが、大本は胎生発生期には既にプログラムされているかもしれない [6–8]。PCOSの最も一般的な特徴のひとつはPCOSの女性の85%に現れるインスリン抵抗性である [9]。PCOSの特徴は他にアンドロゲン値の上昇であり、PCOSの女性の60-80%に見られ、多毛、にきび、いくらかの人には脱毛症、といった臨床兆候が現れる[10]。PCOSではアンドロゲン、エストロゲン、性ステロイド前駆体の血中濃度が高くなり、グルクロン酸抱合されたアンドロゲン代謝産物がガスクロマトグラフィー液体クロマトグラフィータンデム質量分析(GC-MS/MS)により証明される[11]。PCOSでのアンドロゲン過剰の大部分は卵巣由来であるが、いくらかは副腎に由来する[12]。PCOSによく見られる高インスリン血症は性ホルモン結合グロブリンの産生を阻害し、さらなる血中遊離アンドロゲン値の上昇に寄与する[13]。Figure1にはPCOSの病態生理が要約してある。
Figure1:PCOSの病態生理の要約。(1)PCOSの高アンドロゲン血症の大部分は卵巣アンドロゲンである。高アンドロゲン血症は卵巣の変化への直接的な作用と(2)卵胞刺激ホルモンが少ないことに関連して、下垂体黄体形成ホルモンのパルス周波数と振幅を増加させる作用がある。(3)さらに副腎のアンドロゲンはPCOSのアンドロゲン過剰に寄与する。(4)代償性高インスリン血症を伴うインスリン抵抗性は卵巣のアンドロゲン産生を促進させ、(5)肝臓での性ホルモン結合グロブリンの産生を減少させ、どちらも生体利用可能なアンドロゲンの貯蔵を増加させる。(6)PCOSは高テストステロン血症、インスリン抵抗性、肥満に関連した筋交感神経活動の増加にも関係がある。(7)おそらく遺伝子の異常がPCOSの病態に寄与する。
LH:黄体形成ホルモン、 FSH:卵胞刺激ホルモン、SHBG: 性ホルモン結合グロブリン、DHEA:デヒドロエピアンドロステロン、DHEAS:デヒドロエピアンドロステロン硫酸
アンドロゲンはPCOSで中心的な位置を占めており、卵巣の携帯に密接に関連し、動物モデルや女性から男性への性転換者におけるPCOSのような状態の原因として十分である [14, 15]。アンドロゲンとインスリンはPCOSの重要な根底にある原因として存在している。いつどこで病態が事実上始まるのかがわかっていないため、いくつかの異なる仮説が存在する。出生前の男性化はPCOSの原因に関する確立された仮説を説明していて、サル、ヒツジ、げっ歯類での動物モデルに基づいて、出生児でのPCOSのいくつかの特徴を与えている[16–19] 。しかしヒトでは妊娠したPCOSの女性で高アンドロゲン血症は見つかっているが[20]、たった一つの研究がPCOSの母体からの新生児の臍帯静脈血中でテストステロン値の増加が質量分析でなく免疫測定法で測定することにより発見しているだけである[21] 。アンドロゲンへの思春期前の被曝が思春期の症状の発現に由来するもう一つの仮説であり[7, 8] 、それによりいくつかのPCOS動物モデルが開発されてきた[22–24] 。 診断基準には関係がないが、PCOSはインスリン抵抗性、高インスリン血症、2型糖尿病、脂質異常症 [25, 26]と強い関連があり、過体重や肥満となっているPCOSの女性の頻度は高い[27] 。アンドロゲンとインスリンのどちらも思春期に増加するので、これら2つはPCOSにおいて重要な役割を担っていると考えられている。
どちらも寄与していそうであるが、一体どちらが病因により関連しているのかはまだ不明である [7, 8]。
遺伝については別として、卵巣ステロイド産生の変化 [28, 29] 、交感神経活動の増加 [30]が原因となるメカニズムに関与するものとして言及されている。
2.1. PCOSの神経内分泌機能不全
PCOSでは視床下部-下垂体-卵巣(HPO)軸が大規模にレビューされてきた[31–34]。異常な卵胞を調節するPCOSの最も明白な神経内分泌的な特徴は少ない卵胞刺激ホルモンの分泌に関連した周波数と増幅の両方に関する黄体形成ホルモンの拍動性の増加である[35–39]。黄体形成ホルモン拍動性の周波数の増加は 低卵胞刺激ホルモン値が卵胞の成熟化と排卵を障害するのに対し、アンドロゲンの卵胞膜細胞産生を増加させる。PCOSでの黄体形成ホルモンの過剰分泌の原因はおそらくゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の分泌の増加というよりはGnRHへの下垂体の感受性の促進あるいはGnRH分泌パターンの変化による[35, 39, 40] 。おそらく慢性的なエストロゲン被曝によるPCOSでのエストロゲンとプロゲステロンのネガティブフィードバックは視床下部のパルス発生装置の後天的な感受性の障害の結果であるようだ [35, 38, 39, 41]。PCOSでの卵胞刺激ホルモン(FSH)値は低値あるいは低い卵胞領域(?)内のようであり、GnRHへの反応は排卵の調整に比較的似ている[35]。性ステロイド産生の変化、代謝機能異常、肥満は黄体形成ホルモン分泌パターンの変化によるものかもしれない。
高アンドロゲン血症そのものはゴナドトロピン分泌と粘稠サークルの原因となる卵巣アンドロゲン産生をさらに増加させるプロゲステロン/エストロゲンのネガティブフィードバックへの視床下部の脱感作を起こすかもしれない[42, 43]。そのメカニズムは不明だが[44–46]、BMIの増加は黄体形成ホルモン分泌の鈍麻効果を持ち[36, 39]、高インスリン血症とインスリン抵抗性は(卵巣ゴナドトロピン刺激性性ステロイド産生の促進による)直接的あるいは間接的に異常なゴナドトロピン分泌に寄与するかもしれない。これらのすべての要素が遊離アンドロゲン値を増加させ、無排卵を起こす。
2.2. PCOSでの卵巣機能障害
PCOSの卵巣機能障害は早期の卵胞成長の過剰と異常な後期段階で起こる期待された成熟以前の卵胞成長の停止による [47]。排卵前に残る主席卵胞の分泌不全を伴う卵胞成長パターンはPCOSと卵巣形態の特徴の一つである。PCOSの卵巣機能障害は臨床的に少/あるいは無排卵と同様に2-9mmの小さな胞状卵胞の集積として描写されるこれらの多嚢胞性卵巣という形態学的な特徴と関連がある。PCOSにおける 少/あるいは無月経という月経不順の頻度は用いられた診断基準によるが、およそ75%である[10]。もしわれわれがNIHの基準を用いればもちろんすべての患者は月経不順を経験する。最終的に妊娠困難のために不妊の原因となる不規則な排卵が認められるだろう。
さらに卵胞の異常は他にもあり、そのほとんど一致する特徴はアンドロゲンの過剰分泌である[48]。卵巣ステロイド産生は成長中の卵胞での卵胞膜と顆粒膜細胞の緊密な連携に基づき、ゴナドトロピンの入力を必要とする(Figure 2) [49]。卵胞膜細胞はΔ4あるいはΔ5経路のいずれかによってコレステロールからアンドロステンジオンを産生し、エストロンやエストラジオールへの変換は顆粒膜細胞を含むアロマターゼチトクロムP-450ヒドロキシラーゼ(CYP19)が独占的に認められる[50]。PCOSの女性は内卵胞膜の肥厚があるようで、卵胞膜細胞の厚い層がアンドロゲンステロイド産生の原因となっているようである。その上、それぞれの卵胞膜細胞は黄体形成ホルモン受容体を多く発現しており、黄体形成ホルモン刺激への感受性が高くなっている [33, 50, 51]。
卵巣内に卵胞細胞を集めて成長させる、PCOSでの卵胞発生障害の原因となりうる局所的なセレクターが存在している。抗ミュラー管ホルモンは早期の胞状および前胞状卵胞によって発現するが、発生の後期段階にはなく、卵胞プールのサイズと活性を反映している[52, 53]。原始卵胞の成長プールへのリクルートメントの調節におけるその関連を示すエビデンスがあるが、おそらく顆粒膜細胞の卵胞刺激ホルモンへの感受性の低下によるものである[54]。遺伝子の除去が比率を増加させるのに対して、抗ミュラー管ホルモンを卵巣培養に加えると成長している卵胞の数が減る[55, 56]。無排卵のPCOSにおける小さな始原的な移行期の卵胞において、抗ミュラー管ホルモンタンパク発現は減少すると報告されている[57]。これが成長中の卵胞の不適切なリクルートメントの原因かもしれない。さらにPCOSの女性の血液循環と胞状卵胞液の両方において抗ミュラー管ホルモン値は上昇しており、これらは治療に対する乏しい生殖反応性に関係している [58–63]。これらの高い血中濃度は発現の増加に代わる顆粒膜細胞の上昇を反映したものかもしれない。このように高い抗ミュラー管ホルモンの値は卵巣刺激ホルモンやエストラジオールの値が低いことと関連しており、抗ミュラー管ホルモンの過剰はPCOSにおいて卵胞の停止の特徴となる卵巣刺激ホルモンによるアロマターゼ活性の不足に関係があると示唆されてきている[62, 64]。さらにテストステロンの被曝は培養された低分子のウシの卵胞の顆粒膜細胞で抗ミュラー管ホルモン発現をダウンレギュレーションし、おそらくPCOSのメカニズム的な根本を表している [65]。
卵巣インヒビンは卵巣で発現し、卵胞刺激ホルモン値を抑制する調節因子として作用する。卵胞刺激ホルモン値の上昇への反応として、インヒビンAが主席卵胞で選択的に産生されるのに対して、インヒビンBは卵胞期の初期に小さな発生中の卵胞で多く発現する。なのでインヒビンBは総卵胞数に関係があり、卵胞の質のマーカーになりうる[66]。しかしインヒビンは卵胞膜細胞でエストラジオール産生のためのアンドロゲンの産生合成を刺激する局所作用もある[66-68]。大部分のPCOS研究は基礎循環インヒビンB値の違いを見出してはいないが、FSHへの反応の異常と増加を見出している。正常な基礎値はPCOSでFSH分泌が減少することによって、あるいは卵胞の質が低いことによって説明されうる。FSHへの反応の増加は単純に前胞状卵胞や小さな胞状卵胞の数の増加によるものであろう[67-70]。その上、PCOSの排卵の停止は卵胞液中のインヒビンAとインヒビンBの値の減少に関係があり、成長中の卵胞内でそれらのプールが増加するが、卵胞発生の障害における可能性のあるアクターとなりえることから、どちらも正常循環値を説明できる(訳が変で意味不明)[71]。 原文はこれ↓ Moreover, /follicular arrest in PCOS/ is associated with /reduced levels of both inhibin A and inhibin B /in follicular fluid, /which/ both/ could explain/ the normal circulating levels /although /their increased pool of growing follicles/, but also /making these /to possible actors in the impaired follicle development[71].
その上、卵胞発達の障害においてインヒビンAとBがその関連因子となる可能性があるだけでなく、成長中の卵胞での蓄えが増加しているとしても、PCOSでの卵胞の停止は卵胞液中のインヒビンAとインヒビンB値の減少と関連があり、これらは正常な血中濃度を説明できる[71]。PCOSにおける血中基礎インヒビンBを測定する診断的価値を示すエビデンスは低い[67,72]。 まとめると、PCOSにおける卵胞形成とステロイド産生には様々な要因があるようであり、おそらくアンドロゲン、インスリン、神経内分泌の変化などの卵巣以外の要素と卵巣内の局所的かつ固有的要素によって影響される。
2.3. 交感神経活動の増加
自律神経系は交感神経と副交感神経の2つからなり、神経伝達物質であるノルアドレナリンとアドレナリン、そしてアドレナリン受容体の活性化によりコントロールされる。正常な、健康な状態では、これらのバランスは良好であり、ホメオスタシスが確保されている。多嚢胞性卵巣や高インスリン血症に関連したインスリン抵抗性、中心性肥満、高血圧などの伝統的なPCOSの要素の多くは交感神経活動性の増加に関連がある[73-76]。それゆえに(交感神経活動性の増加は)この疾患の病因の少なくとも一部分を説明することが示唆されてきた[74,75,77]卵巣の交感神経刺激伝達の増加はカテコラミン作動性神経線維の密度の増加、NGF産生の増加そしてカテコラミン代謝の変化、そしてPCOSの卵巣での取り込みなどの臨床的エビデンスによって支持されるPCOSでの卵胞発達の障害の原因となるかもしれない[75,78,79]
運動後の心拍の回復と心拍変動は自律神経機能の非侵襲的なマーカーとして用いられる。PCOSの女性での測定はそれらがおそらく副交感神経要素の活動性の減少と交感神経要素の増加により、自律神経機能においてダイナミックに活動性を減少させていることを示している[80-83]間接的な測定法も存在するが、それらの正確性には疑問がある。そこでわれわれはPCOSの女性ではテストステロン値の上昇に関連して交感神経活動性が増加している筋交感神経活性(MSNA)の直接的かつ信頼性のある測定法としてマイクロニューログラフによって証明を行なった[30]。
0. PCOS: よく編成された病因論
アンドロゲンはPCOSの病因論において中心的な役割を果たしている。アンドロゲンは単独でこの疾患で障害される系の大部分に作用し、動物モデルや女性から男性への性転換者においてPCOSのような状態を呈すのに十分である[14, 15, 17–19, 84–86]。しかしこれらの変化はそれら自身をさらなる高アンドロゲン状態にしてしまう。その結果、それがいつ始まるのかは明らかではないが、個々がお互いを増強し悪循環が形成される。 PCOSでの高アンドロゲン血症は主に卵巣に由来し、卵巣ゴナドトロピン刺激性性ステロイド産生への効果を促進させるのと同様に、性ステロイドフィードバックシステムを介してゴナドトロピン分泌の上昇により中心的な作用を持つ [12, 42, 43]。アンドロゲンはまた直接的に卵胞発達と成熟を障害し、それによって多嚢胞性卵巣とアンドロゲン産生細胞の卵巣プールの原因となる[12]。これらは両方ともさらなる卵巣アンドロゲン産生と遊離血中アンドロゲン値の上昇させる加えて、そのメカニズムは完全には明らかではないが、副腎におけるアンドロゲン産生はPCOSでのアンドロゲン過剰の原因となる[87, 88]。
アンドロゲン過剰はインスリン抵抗性の第1の原因ではないかもしれないが、アンドロゲンはアテローム形成性の血中脂質プロファイル、脂肪細胞サイズの拡大、末梢インスリン抵抗性の増大と関連がある[89–91]。その上、肥満と共にこのことは2型糖尿病と心臓血管病(CVD)のリスクを増大させる[27]。アンドロゲンと同様にインスリン抵抗性と高インスリン血症は卵巣ゴナドトロピン刺激性性ステロイド産生を促進させ[12, 44–46] 、メカニズムは明らかではないがゴナドトロピン分泌異常の原因となるかもしれない[44–46]。高インスリン血症はまた生物的に利用可能な遊離性ステロイドの量を増やす肝臓での性ホルモン結合グロブリン(SHBG)の産生も減少させる[13]。
PCOSはMSNAの上昇に関連があり、特に興味を引くのはテストステロン濃度が強力な独立した予測因子となることが知られていることである[30]。交感神経活動性の増加は高インスリン血症を伴うインスリン抵抗性、中心性肥満と高血圧に関連があり[73–76] 、心臓血管病リスクの増大の原因となりうる[30]。さらなるアンドロゲン産生と多嚢胞性卵巣を生じうる[93]、卵巣への交感神経活動性の増加を支持するエビデンスもある[75, 78, 79, 92] 。これまでに示した要素はさておき、症例や症状の家族的な集合を伴う強力な遺伝的要素があり[94, 95] 、それはおそらくPCOSの病因と関係がある。要するに、PCOSは悪循環の中のそれぞれの要素が強く影響し合って病態を形作っていて、病因を個別に分けるのは困難である。
4.鍼灸メカニズムの仮説
鍼灸は現在より多くの症状の治療のため、西側世界で広く行われている[96]。比較的安全な治療で副作用がほとんどない[97]。
ツボあるいは経穴と呼ばれる身体中の領域で細い鍼を皮膚内や筋内に当てる鍼灸は伝統漢法医学(TCM)に由来する。 それから鍼を回旋させたり雀啄したりしててで刺激を加える。これをマニュアル鍼灸と呼ぶ。 電気を応用し、2本の鍼を電極にして電流を通すことで刺激を加える。これを電気鍼(EA)という。筋収縮を起こす強さの低周波(1-15Hz)電気鍼は運動作用に類似の生物学的作用を獲得すると考えらている。 西洋の科学的視点からの鍼灸は経穴特異性を確かめることはできず、代わりに相当する体節レベルでの求心性感覚神経線維の活性化を伴う作用を説明する[98, 99]。鍼灸は末梢(局所)、体節(脊髄内)、中枢神経系(CNS)内の上脊髄レベルで神経伝達路を活性化し調節する。 Figure 3 はPCOSでの鍼灸の作用を説明するメカニズムの仮説をイラスト化したもの。
Figure 3 : PCOSにおける鍼灸メカニズムの仮説の模式的な説明 (1)骨格筋での鍼灸針の刺激は求心性感覚神経線維を活性化する伸展受容器を興奮させる。これらのシグナルは脊髄に伝達される。(2)同じ神経支配の標的臓器への交感神経性出力の調節が脊髄反射を介して起こりうる。(3)シグナルは上脊髄経路を介して中枢神経系に届き、中枢神経系の効果を発現する。視床下部のβエンドルフィンが鍼の効果に関係している。βエンドルフィンは自律神経系を調節するだけでなくゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)とコルチコトロピン放出ホルモン(CRH)の放出にも変化を及ぼしうる。(4)これらは生殖機能(黄体形成ホルモンや卵胞刺激ホルモン)に、副腎機能(ACTH)に、膵臓機能(循環βエンドルフィン)への効果を可能にしうる。
末梢レベルから始めてマニュアルと電気刺激はどちらもブドウ糖の取り込みと微小循環を増加させた[100-103]。鍼が刺入され、刺激された時に末梢神経終末は神経ペプチドY(NPY)、血管作動性腸管ポリペプチド(VIP)、サブスタンスP、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)といったいくつかの神経ペプチドを放出し、後ろ2つが関連するであろう即時的な微小循環の増加を伴う局所反応をもたらす[100, 104, 105]。その上オピオイド拮抗薬であるナロキソンを加えた場合のデータは低周波電化鍼は末梢でのオピオイド放出を刺激することも示している[106]。
機械的な圧力や歪みの反応する機械受容器は筋収縮によって活性化され、マニュアル及び電気刺激への身体の反応に関係がある[107, 108]。マニュアル及び電気刺激による機械受容器の活性化は感覚神経線維であるミエリン化Aα、δ、無髄のC線維を活性化させる[109, 110] 。これらのシグナルは脊髄(体節レベル)に伝達され、鍼が置かれたのと同じ神経支配の標的臓器への交感神経出力を調整する [111]。重要なことにこれらのシグナルは中枢神経系(CNS)内の上脊髄経路を介してコントロールされる[112]。
鍼灸の鎮痛作用は広範囲に研究され、広く利用されている。 中枢神経系内の内因性のオピオイドの関与が鎮痛を引き起こし、血圧を低下させる作用を仲介することが示されてきた[113–116]。末梢求心性神経終末や侵害受容と痛みに関連した中枢神経系内の領域でμ、δ、κの3つのオピオイド受容体が見つかっている[117, 118]。プロオピオメラノコルチン(POMC)の分解産物のひとつであるβエンドルフィンはμ受容体に高い親和性を持って結合し、特別な注意を引いている[117]。視床下部内基底側の弓状核で産生されたβエンドルフィンは中枢神経系内に放出されるが、下垂体でも産生され、末梢循環中に放出される[119–121]。下垂体で産生されたβエンドルフィンは痛覚と自律神経機能に影響を及ぼす中脳(特に中脳水道周囲灰白質)と脳幹の核に放出される[120, 121]。自律神経機能への作用は血圧調整と筋交感神経活動性(交感神経緊張のマーカー)を伴う血管運動中枢への作用を含む[122]。その他の系もコルチコトロピン放出ホルモン(CRH)によって視床下部のコントロール下にあり、POMCが同量のβエンドルフィン、メラノサイト刺激ホルモン、副腎刺激ホルモン(ACTH)に分解され、循環中に放出される[123]。2つの系は独立しているが、鍼灸針のマニュアル及び低周波電化鍼の刺激や運動などの求心性神経の活性化によって活性化される[120]。
βエンドルフィン系は生殖機能、鎮痛、ストレス反応、炭水化物代謝など、中枢と末梢での多くの生理学的作用に関連がある[124]。血中と脳内のβエンドルフィンの値は共に鍼灸によって調節されることが示されてきている[125–127]。鍼灸が関連する自律神経機能の調節のさらなる影響はMSNAと血圧を降下させる作用である[128, 129]。鍼灸の痛みを和らげる作用はオピオイド受容体拮抗薬であるわずかな量のナロキソンでブロックされ、ナロキソンの投与量を増やすと血圧が抑制される[129, 130]。
中枢のβエンドルフィンと生殖機能の関係はGnRHとそれに続く黄体形成ホルモン放出の直接的かつ間接的な持続性阻害作用と関連があり、おそらくGnRHの生合成とも関連がある[121, 131]。オピオイドがエストロゲンの阻害作用を持つことは一般に受け入れられている[132]。その上、オピオイド阻害緊張の減少は黄体形成ホルモンの急な変動の発生と先行する排卵を増強し、また必須である [121, 133]。
循環βエンドルフィンは事実上の中枢オピオイド活性の反射よりもよりストレス刺激に関連があると考えらており、中枢活動性のマーカーとして用いられるべきではない[134]。それでもなお、βエンドルフィンは下垂体からのACTHと共に放出されるので、血漿βエンドルフィンの変化は視床下部下垂体軸(HPA)へのリンクを提供する[123]。調節因子のCRHはストレスによって放出されるが、それはGnRH分泌を減少させることが知られており、生殖軸に戻ることと関連がある[135]。鍼灸は視床下部内のCRH値を減少させることが示されており、それゆえにHPOとHPA軸のどちらにも効果を表しうる[136]。
4.1. 鍼灸のコントロール状況
鍼灸は心理的な要素が強くあるので、一般に鍼灸の作用は患者自身の期待によっても影響される[137]。そのため鍼灸の実験でのプラセボの利用はいつも議論の的であり、適切なコントロールを開発する努力がなされてきた。.しかしプラセボ鍼と呼ばれたり、ミニマルなあるいは偽の鍼は臨床研究において無効な治療でないことが示唆されているため、真のコントロールとは言えない[138, 139]。
4.2. PCOSにおける排卵の誘発のための鍼灸の影響
PCOSの特徴の多くがゴナドトロピン分泌の乱れ、インスリン抵抗性、中心性肥満を含むオピオイドの乱れあるいは交感神経緊張感と関連があり[74, 124]、オピオイドや交感神経緊張は病態の原因に関係している。PCOSの女性は血中のβエンドルフィン値が高いが、おそらく中枢神経系内のβエンドルフィンによるGnRHの不十分な阻害によるものかもしれない [124, 140–142]。様々な研究によりμ受容体拮抗薬であるナロキソンが性周期やSHBGを改善させ、アンドロゲン値、LH/FSH比、黄体形成ホルモンのGnRHへの反応を減少させることが支持されている[143–145]。
鍼灸とβエンドルフィン、交感神経の活動性との関係はPCOSにおいても一貫しているようである。 鍼灸治療は高βエンドルフィン血症と交感神経活動性を減少させ、手の低皮膚温を上昇させることが示されてきている[30, 128, 146]。交感神経系の関与と神経原生の卵巣コントロールの変化はPCOSの病因に関与している[111, 112, 147, 148]。自律神経と卵巣の作用を組み合わせた効果のための仮説的な媒介物質は神経成長因子(NGF)である。卵巣のNGF産生はPCOSの女性とエストラジオールと吉草酸エステルでPCOSにしたラットで卵胞液を増加させる[92, 149, 150]。形質転換マウスの卵巣でのNGFの過剰発現は卵巣の過剰神経支配、卵胞成長の停止、ゴナドトロピンへの卵巣ステロイドの上昇などを生じる[92]。卵巣のアドレナリン受容体は吉草酸エステルでPCOSにしたラットで増加することも示されており、卵巣機能の調節への交感神経系の関与が示唆されている[151]。電化鍼は吉草酸エステルでのPCOSモデルにおいて高濃度の卵巣NGFと[149, 150]、アドレナリン受容体を減少させ[152]、DHTでPCOSにしたモデルの脂肪におけるNGFのmRNAの発現過剰と交感神経活動性のいくつかのマーカーを減少させることが示されてきている[153]。マイクロニューログラフでの測定はPCOSの女性が鍼灸を14回受けるとMSNA高値が下がることが証明されており、PCOSの病因と鍼灸の機械的作用がともに交感神経系に関与していることを示している[30]。μ受容体拮抗薬であるナロキソンは排卵を引き起こし、黄体形成ホルモン濃度を下げることはPCOSにおいてβエンドルフィンの役割を示唆している[143–145]。βエンドルフィン値の低下と共に[146]類似した効果が電化鍼によっても仲介され[146, 154, 155] 基盤となるメカニズムにオピオイド系が関与していることを暗に示している。これは鍼灸針の電化刺激が月経周期を改善させ、血中テストステロン値を減少させると同時に、オピオイド受容体μとκがラットの視床下部での発現に影響するという我々の最近の実験研究も支持している [156]。
5. PCOSの生殖機能の治療法
PCOSの不均一性や病因の不確実性により、現時点では治癒することがない。そのため対症療法的に、しばしば長期にわたり治療が行われ、副作用に関連がある。
食事や運動などの生活習慣の改善が過体重あるいは肥満を伴うPCOSの大部分の女性への第1選択の治療法としてしばしば推奨される。体組成、高アンドロゲン血症、新血管代謝の概要、インスリン感受性や血中脂質、自律神経機能や炎症パターンなどPCOSの重要な特徴のいくつかが改善する[157–166]。クエン酸クロミフェン単独あるいはクエン酸クロミフェンを加えた場合[162]、効果には卵巣機能や妊娠の改善なども含まれ[158, 160, 163, 167, 168] 、適度な(5%)減量は代謝と生殖機能を改善すると報告されている[169]。
妊娠を希望しない女性には経口避妊薬と組み合わせることが月経パターンの調整とアンドロゲン値を下げるためにしばしば用いられる [25]。しかし経口避妊薬の使用は肥満やインスリン抵抗性、心血管病リスクに苦しむPCOSの女性では禁忌となりうる[25]。
定義れていない無排卵とPCOSの女性での鍼灸の非ランダム化研究は月経パターン、LH/FSH比、エストロゲン、テストステロンの改善が見られた[146, 154, 155]。卵巣機能の効果を調べたRCTは1回30分のマニュアル鍼灸刺激と2Hzの低周波電気鍼刺激がランデバプロトコルによる16週の運動よりも上であり[170]、どの治療介入も月経頻度の改善やテストステロン値の減少させなかった[166]。鍼は卵巣と同じ体節の神経支配の腹部と下肢に打った。治療の期間は16週で女性らは最初の2週は週2回、次の8週は週に1回、その後は隔週で計14回の治療を受けた。 同時に、Pastoreらは朴デバイスを用いて真の鍼と偽の鍼との効果の比較を行った[171]。彼らは14週にわたり12回、古いプロトコルに沿って真の鍼のグループでの鍼の位置と刺激を受けた[172]They received 12 treatments over 14 weeks and the needle placement and stimulation in the true acupuncture group followed an old protocol [172]。どちらのグループも月経周期を改善し、治療の前後で両グループに排卵比率の違いは見られなかったことから偽のデバイスはまったく無効とは言えないことを示唆している。より最近のRCTではさらに3ヶ月に渡る鍼灸あるいはアテンションコントロール治療期間でプロゲステロンの週1回の測定と月経出血登録によりPCOSの女性の排卵周期を決定した。この研究では女性らは前回の研究時と類似の鍼の位置で研究期間中週2回の鍼灸を受け、より高頻度という意味で強力であと言える。鍼灸治療に割り当てられたグループはアテンションコントロールグループに比べて高い排卵頻度があり[173],、治療回数の少なかった前のPCOSの臨床研究に比べた際に効果が増強されたことは刺激量に反応した作用だということを示唆している[166, 171, 172]。加えて、アテンションコントロールグループの排卵頻度[173]はCC刺激の期間中の排卵頻度[174]とは前のPCOSの鍼灸研究と同様に同等であった[171]。支持する動物のデータはDHTによるPCOSラットモデルでのプロゲステロン値の上昇[156]を伴う卵巣形態の改善[153]、発情周期の回復[47,156]がある[22]。その上、2つの様式:電気鍼刺激とマニュアル鍼刺激間の発情周期の改善の明らかな違いはなかった[156]。ラットとヒトでの研究における排卵に関するパラレル効果は橋渡し的な本質により結果を増強する。The parallel effect regarding ovulation in the rat and human studies strengthens the result by the translational nature. 最近のRCTにおける卵巣形態に先立ち、9mm以下の胞状卵胞や卵巣体積を数えた時、グループ間に違いが見られなかった[173]。Proceeding to ovarian morphology in the recent RCT, no group differences were observed when counting antral follicles ≤9 mm or ovarian volume [173]しかし、胞状卵胞の数と卵巣体積が減少する傾向が鍼灸グループ内で観察された[173]。これは電気鍼がDHTによるPCOSラットでの卵巣形態を改善させた先の動物実験とも一致している[153]。加えて、先の研究[60]と一致して我々は鍼灸後の血中インヒビンB値がAMHの変化なく減少することを見つけた[173] 。これは卵胞プールの減少と卵胞発達の改善の模倣?、卵巣性ステロイドの減少を表す[66–68, 71]。This may either represent a decreased size of the follicular pool or mimic an improved follicular development and reduced levels of ovarian sex steroids [66–68, 71]. その上、もっとも循環している性ステロイド(E1、E1-S、E2、T、free-T、DHT)、性ステロイド前駆体(DHEA、DHEA-S)、グルクロン酸抱合したアンドロゲン代謝産物(ADT-G、AD3G、AD17G)のデルタ変化は質量分析により決定され、介入グループ間で異なっていた。E1-S、E2、DHEA、free-TとADT-Gの違いはボンフェローニ補正・・・Differences in E1-S, E2, DHEA, free-T, and ADT-G held for bonferroni correction. 鍼灸はベースラインから治療後のE1, E1-S, E2, DHEA, DHEA-S, 4-DIONE, Tと遊離T 値を減少させた[173]。これはこれらのステロイドのいくつかが減少するとした我々の先のRCTと一致また展開している[166]。また臨床データはDHTでPCOSにしたラットでの低周波電気刺激を伴う鍼がテストステロン値���下げるという実験データと一致している[156]。排卵と性ステロイドに関する促進作用は鍼灸と運動の14回の治療と比べて、我々の先の研究が刺激量反応性の効果を推量させたように20回以上の頻回の治療を行ったことによって説明されうる[166, 173, 175, 176]。
5.2. 知識の空白
先の研究では鍼灸は排卵を引き起こし、PCOSの女性の妊娠につながるかもしれないことが示唆された[166, 173]。しかしどのトライアルも妊娠あるいは出産を研究するためにデザインされたものではなかった。この知識の空白は中共で進行中のヘッドトゥーヘッドの多施設RCT (ClinicalTrials.gov: NCT01573858)に取り組まれている。このトライアルはPCOSの女性での以下の仮説: (1)真の鍼とCCはコントロールの鍼とCCよりも排卵と妊娠を起こしやすくするであろうこと(2)コントロールの鍼とCCは真の鍼とプラセボCCよりも排卵を起こしやすくするであろうこと(3)真の鍼とプラセボCCはコントロールの鍼とプラセボCCよりも出産しやすくなるであろうこと、をテストした。
5.3. 鍼灸のPCOSにおける神経内分泌機能
PCOSの女性とDHTで作成したPCOSラットでの排卵への効果のための可能性のある説明を解明するために、黄体形成ホルモンの拍動性を測定する研究と他の神経内分泌機能を調査する実験的な研究が行われ、ばらついた結果が得られた[156, 173, 184]。
ラットではGnRH密度ののもっとも高いニューロンは吻側内側中隔(MS)、ブローカ対角帯、内側視索前野(MPO)に位置していた[185]。 ほとんどのGnRHニューロンは視床下部の内基底側を介してGnRHが下垂体門脈血に放出される正中隆起に投影される[186, 187]Most GnRH neurons send projections via mediobasal hypothalamus down to the median eminence where GnRH is released into pituitary portal blood [186, 187]. DHTで作成したPCOSラットではコントロールラットに比べて内側視索前野(MPO)でのGnRH免疫反応性 (GnRH-ir)細胞や対角帯水平脚(HDB)がより多く存在するようだった[184]。In DHT-induced PCOS rats, there seem to be more GnRH-immunoreactive (GnRH-ir) cells in the MPO and horizontal limb of the diagonal band (HDB) than in control rats [184]. さらにウエスタンブロット法と免疫組織化学(IHC)によりコントロールと比べて、PCOSラットは視床下部の機能的に活発なアンドロゲン受容体とMPOのアンドロゲン免疫反応性細胞のレベルが上昇していることが分かった。これはアンドロゲンがGnRHニューロンを調整する作用があることを意味している。その上、GnRH免疫反応性細胞と視床下部のARの増加は電気鍼治療後に減少していた[184]。エストロゲン受容体βはGnRHニューロンと共存することが既に示されているので、GnRHの調節へのエストロゲンの直接作用が示されている[188]。ARとGnRHニューロンとの共存も証明されているので、直接的なアンドロゲンの調整がGnRHをコントロールするという仮説を増強する[184]。It has also demonstrated a colocalization of AR and GnRH neurons that further strengthens the hypothesis of a direct androgenic regulatory control on GnRH neurons [184]. よって、GnRHの異常と電気鍼の作用は共に視床下部のARを介して伝達されていることを示している。その上先の研究は血中エストラジオール値はDHTで作成したPCOSラットでは変化しないことを示したので、これがアンドロゲンの作用であるという結論を支持する[22]。
弓状核はラットの脳でのGnRHパルス発生源の根本となる部位であると考えられているが、視索前野が排卵前期の黄体形成ホルモンの動揺をコントロールするGnRH分泌の動揺を調節していることは [132, 189]、MPOでの所見をより興味深いものにしている。 出生前にアンドロゲンを投与するとGnRHへの下垂体の反応性に影響なく黄体形成ホルモンの拍動性が上昇し、またGnRHパルス発生源での促進を示唆するエストロゲンによる黄体形成ホルモンの動揺の消滅が起こることが既に示されている。エストラジオールで引き起こされた視索前野でのプロゲステロン受容体(PR)発現の一時的な減少はアンドロゲンがこの作用にどれほど関係しているかの証拠と考えられる[190]。成獣ラットへの4日間に渡るアンドロゲンの投与は黄体形成ホルモンの動揺とプロゲステロン受容体発現の上で似たような結果を生じるが、代わりの黄体形成ホルモンとおそらくGnRHの低下と比べると、ヒトでのPCOSとは反対に、雄での反応[191, 192] と似たような結果を生じる。4-day administration of androgens to adult rats produced similar results on the LH surge and PR expression but with the contrast of an instead decreased LH and possibly GnRH secretion, similar to the male response [191, 192] and in oppose to human PCOS. これらの結果は成獣での高アンドロゲン血症の直接作用とは異なる出生前期間のアンドロゲンのプログラム効果を示唆する。DHTで作成したPCOSモデルでは、ラットは成獣までの21日間アンドロゲンに被曝させ続けたので、GnRH/LH動揺の消失を伴うGnRH分泌と起こることがありうる [191, 192]。MPOでのアンドロゲン受容体への作用によるGnRHの回復と黄体形成ホルモンの動揺は電気鍼後の発情周期の改善の背後にあるメカニズムの少なくとも一部分であると推測する方もいるかもしれない。後継の研究は視床下部のGnRHとARの発現の影響を確かめられてはいないが、これらの測定はmRNAレベルで行われた[156]。これはこの作用が遺伝子発現の変化よりもむしろ翻訳後の出来事に関連があることを意味している。しかし黄体形成ホルモンの拍動性の測定が生理作用を確かめるためにDHTでPCOSにしたラットモデルで電気鍼の前後で行われたことはない。
PCOSの女性での鍼灸による排卵頻度の高さはゴナドトロピン分泌の回復によるものだという仮説は最近のRCTでテストされた173]。しかしどの黄体形成ホルモンの拍動性の測定も3ヶ月に渡る週2回の鍼灸治療によって影響を受けなかった。鍼灸グループでの高い排卵頻度を伴う主要な作用と血中インヒビンB値の低下は血中性ステロイド、アンドロゲン前駆体、グルクロン酸抱合アンドロゲン代謝産物を治療後に低下させ、卵巣及び副腎レベルでの作用を指し示している。The major effect accompanying the higher ovulation frequency and reduced circulating inhibin B levels in the acupuncture group was the general decrease in circulating sex steroids, androgen precursors, and glucuronidated androgen metabolites after treatment, pointing towards an effect at ovarian and adrenal levels. しかしこれは中枢でのコントロールメカニズムの関連を除外するものではない[173]。
PCOSの女性で偽鍼と真の鍼を比較した早期のRCTはLH/FSH比かどちらのグループでも高い排卵頻度を伴って減少させた[171]。最新のRCT[173]での黄体形成ホルモンの拍動性への作用の不足は交絡因子となりうる月経周期のサンプリングタイミングによるものかもしれない[44, 193, 194]。エンドポイントの終夜の血液サンプリングの大部分は周期の4-10日目(卵胞中期から後期)に行われた。The majority of endpoint overnight blood sampling was performed during cycle day 8–10 (mid to late follicular phase). もし血液サンプリングが、卵胞前期に行われれば効果が見られたかもしれない[173]。
6. ディスカッション
PCOSの悪循環はアンドロゲン、インスリンあるいはその他の要素によってお互いに増悪しあうことが特徴だが、PCOSの女性の健康状態の改善のためにはそれを壊さなくてはならない。薬物療法は効果的であるが、好ましくない副作用にも関連がある[97]。このレビューはPCOSの女性での生殖系と内分泌系の障害のための治療オプションとしての鍼灸について言及している。複数のの臨時実験や動物実験が鍼灸はPCOSの卵巣機能障害に有効であることを示唆している。これは性ステロイドとおそらくインヒビンB値の低下にも関連がある。臨床データはこの作用のメディエーターとしての黄体形成ホルモン の拍動性/分泌パターンの変化を支持していないが [82]、中枢の要素がおそらくオピオイドと交感神経活動性の両方と関連があり、その作用はアンドロゲン受容体を介することを示す強力な証拠がある。しかし排卵や性ステロイドの変化の原因を決定することは困難であることは困難である。内因性の卵巣異常の正常化が卵胞成長の増悪を和らげることによってアンドロゲン値の低下は卵胞成熟過程を回復させ排卵に導く[12]。外的な因子、卵胞成長の回復、低いプールとアンドロゲン産生細胞の活性化によるアンドロゲン値の低下によって 排卵が改善するようなその他の方法もあるかもしれない[32]。It could also be the other way around that improved ovulation, possibly caused by external factors, restoring follicular growth and/or aberrations and thereby reducing androgen levels due to the lower pool and/or activity of androgen producing cells [32].
月経と排卵パターンの改善は妊娠を希望しない女性にとっても希望する女性にとっても有益であることは言うまでもない。 さらなる研究で鍼灸がPCOSの女性における妊娠と出生率を改善するかどうかを確かめる必要がある。
従来療法の戦略内で鍼灸を行う目的のためには第一選択の薬物療法オプションとの比較をすることも重要である。 これは鍼灸を治療法として支持し、認可するために大変重要だ。鍼灸作用の根底にあるメカニズムを研究することは薬物療法も含むその他の代替療法の探索にも役立ちうる。
0 notes
Link
Takahashi study
鍼灸は東アジアで3千年前から行われている。伝統的な鍼灸では気と呼ばれるエネルギーが経絡と呼ばれる通路を流れることで身体を養っていると考えられている。ヒトでは300を超える経穴(ツボ)が経絡上にあり治療に使われる。
しかしこれらの経穴の特性をどのように応用するのか、そこに鍼をするとどのように効くのかはまだよく理解されていない。経穴の解剖学的な正体が何であるのかについても結論が出ていない。
一方で多くの研究が皮膚と筋肉からの体性求心性神経が胃腸の運動機能のコントロールに関係があることを示している。鍼灸治療は細い針を皮膚とその下にある筋層に鍼を刺入する治療法である。現在では1-100Hzの電気で刺激する電気鍼がよく使われる。このように鍼灸は皮膚と筋肉の体性求心性神経を刺激する28, 29。
ラットでは下肢のST36という経穴に鍼をすると胃が収縮し31、お腹のST25という経穴に鍼をすると胃がリラックスする30
鍼灸による胃のリラックスは体性交感神経反射によって起こる。求心路は腹部の皮膚と筋の求心性神経からなっていて、遠心路は胃の交感神経である。反射中枢は延髄30, 32 。対照的にST36への鍼の収縮効果は迷走神経の遠心路を介する31, 33 。
��束核は心臓血管系、呼吸器系、胃腸系からの内臓情報を中継する主な脳幹。迷走神経の背部運動核に隣接していて、迷走神経背側核を構成している。
迷走神経背側核は胃腸機能の調節に主要な役割を果たす迷走迷走神経反射を統合する。弧束核は体性求心性入力も受ける。弧束核のニューロンは皮膚の機械的な刺激によって活性化されるが、鍼灸による体性刺激が脊髄を介して弧束核に運ばれることを示している。
鍼灸による胃の運動反応を介した神経路の解剖学的エビデンスを得るため、鍼灸への反応における脳幹のc-Fos免疫組織化学を研究した。ST36への鍼灸による体性求心路の活性化は中尾側と尾側の弧束核に運ばれ、迷走神経背側運動核を刺激することを示した。
対照的にST25への鍼灸による体性求心路の活性化は中尾側の弧束核に運ばれ、延髄吻側腹外側野ニューロンを刺激する。延髄吻側腹外側野ニューロンは脊髄の中間外側核の交感神経節前ニューロンの駆動を与える運動前野の交感神経刺激性のニューロンとして知られている34。
ST36での鍼灸は意識下のラットの正常なコンディションで大腸の動きと通過を加速させる。鍼灸の刺激効果は仙骨副交感神経の遠心路(骨盤神経)を経て伝わる35。一方でST36での鍼灸はラットにおいて拘束ストレスで引き起こした腸通過の加速を減弱させた32 。(←?)鍼灸はラットでの拘束ストレス下の自律神経機能のアンバランスを改善する36 。我々の近年の研究は鍼灸が抗ストレッサー剤として働き、慢性ストレスに続く大腸の運動不全の回復に関係する視床下部のオキシトシン発現をアップレギュレーションさせることを示した37。
意識下のイヌで、手首への鍼灸はバゾプレッシンによる嘔吐を阻止した。鍼灸の抗嘔吐効果は中枢性のオピオイド経路を媒介する38, 39。イヌでのST36への鍼灸は直腸の膨満による血圧の変化を減少させた。
鍼灸の抗侵害受容作用も中枢のオピオイド経路を媒介する40。MMC(http://neuro-g.umin.jp/neuro-g/publication/6kai%20PDF/shu1001_p76-77.pdf参照 )は空腹状態での胃腸収縮の表れによって特徴づけられる。胃のMMCの調節は食後の消化不良症状の予防のために重要な要素である41-43。
ST36への鍼灸はイヌでの迷走神経活動性の上昇を介した聴覚ストレスによる空腹時の胃のMMCの障害を回復させる44。
我々の研究は鍼灸が機能性消化不良(FD)や (腹痛と便通異常が慢性的に持続する腸管の機能性疾患) 過敏性腸症候群(IBS)のような機能性の胃腸疾患を持つ患者の治療に有効であることを示している28, 29, 45。
Takahashi T. Mechanism of acupuncture on neuromodulation in the gut--a review. Neuromodulation 2011;14:8-12; discussion 12. Takahashi T. Effect and mechanism of acupuncture on gastrointestinal diseases. Int Rev Neurobiol 2013;111:273-94. Tada H, Fujita M, Harris M, Tatewaki M, Nakagawa K, Yamamura T, Pappas TN, Takahashi T. Neural mechanism of acupuncture-induced gastric relaxations in rats. Dig Dis Sci 2003;48:59-68. Tatewaki M, Harris M, Uemura K, Ueno T, Hoshino E, Shiotani A, Pappas TN, Takahashi T. Dual effects of acupuncture on gastric motility in conscious rats. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol 2003;285:R862-72. Iwa M, Nakade Y, Pappas TN, Takahashi T. Electroacupuncture elicits dual effects: stimulation of delayed gastric emptying and inhibition of accelerated colonic transit induced by restraint stress in rats. Dig Dis Sci 2006;51:1493-500. Imai K, Ariga H, Chen C, Mantyh C, Pappas TN, Takahashi T. Effects of electroacupuncture on gastric motility and heart rate variability in conscious rats. Auton Neurosci 2008;138:91-8. Iwa M, Tateiwa M, Sakita M, Fujimiya M, Takahashi T. Anatomical evidence of regional specific effects of acupuncture on gastric motor function in rats. Auton Neurosci 2007;137:67-76. Iwa M, Matsushima M, Nakade Y, Pappas TN, Fujimiya M, Takahashi T. Electroacupuncture at ST-36 accelerates colonic motility and transit in freely moving conscious rats. Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 2006;290:G285-92. Imai K, Ariga H, Takahashi T. Electroacupuncture improves imbalance of autonomic function under restraint stress in conscious rats. Am J Chin Med 2009;37:45-55. Yoshimoto S, Babygirija R, Dobner A, Ludwig K, Takahashi T. Anti-stress effects of transcutaneous electrical nerve stimulation (TENS) on colonic motility in rats. Dig Dis Sci 2012;57:1213-1221. Tatewaki M, Strickland C, Fukuda H, Tsuchida D, Hoshino E, Pappas TN, Takahashi T. Effects of acupuncture on vasopressin-induced emesis in conscious dogs. Am J Physiol Regul Integr Comp Physiol 2005;288:R401-8. Takahashi T, Tsuchida D, Pappas TN. Central effects of morphine on GI motility in conscious dogs. Brain Res 2007;1166:29-34. Iwa M, Strickland C, Nakade Y, Pappas TN, Takahashi T. Electroacupuncture reduces rectal distension-induced blood pressure changes in conscious dogs. Dig Dis Sci 2005;50:1264-70. Nakajima H, Mochiki E, Zietlow A, Ludwig K, Takahashi T. Mechanism of interdigestive migrating motor complex in conscious dogs. J Gastroenterol 2010;45:506-14. Takahashi T. Mechanism of interdigestive migrating motor complex. J Neurogastroenterol Motil 2012;18:246-57. Takahashi T. Interdigestive migrating motor complex -its mechanism and clinical importance. J Smooth Muscle Res 2013;49:99-111. Taniguchi H, Imai K, Ludwig K, Takahashi T. Effects of acupuncture on stress-induced gastrointestinal dysmotility in conscious dogs. Medical Acupuncture 2012;24:43-49. Takahashi T. Acupuncture for functional gastrointestinal disorders. J Gastroenterol 2006;41:408-17.
0 notes
Link
早期の診断と治療の進歩によりがん患者さんの寿命は延びているが、抗がん治療の副作用に苦しんでいるひとが多くいる。アメリカには14万5千人のがん患者がおり、そのうちの少なくとも40%が従来のがん治療中または治療後に症状の管理やウェルビーイングの改善のために補完代替アプローチを利用している。最近の研究はヨガや鍼灸やマッサージなどの療法ががん患者の症状や生活の質を改善しうることを示している。今日までに統合医療の臨床研究は痛みや疲労、不眠心理的なストレスなど、患者の報告した結果にフォーカスしたものがほとんどだった。ウェルビーイングや機能的自立に影響するこわばり、関節可動域、バランス、協調、力など、これらの結果の身体的要素についてほとんど分かっていない。その上、これらの治療法ががんそのものの疾病プロセスに影響を与えるかどうかについてもほとんどわかっていない。したがってこれらの療法の身体的な影響のより良い理解やそのメカニズムについて理解を深めるための研究が必要で、それにより多くの患者がこれらのアプローチからの有効性に気づくことができる。この記事で我々は結合組織生理学の最近の進歩が物理的な治療法の潜在的なメカニズムへの糸口を提供しており、これらの療法が直接的にがんの成長、広がり、転移を抑制し、加えて症状や生活の質(QOL)を改善しうることに言及する。我々は潜在的な有益性に伴うこれらのアプローチの安全性の評価の必要性も強調する。 がん生理学における結合組織の重要性 結合組織ネットワークはマッサージや鍼灸、指圧、ヨガ、その他に通った心身エクササイズなどの手法による身体マニピュレーションに受け入れられる統合的な全身システムである。筋膜は体の各臓器を取り巻く構造を形作る細胞外結合組織マトリックスから構成され、筋骨格系を統合し、血液やリンパの脈管構造を収容する。それからリンパ管はそれらが流れ出す組織からリンパ管を介して免疫系へと局所の化学的情報を運ぶ6。正常な筋膜組織の可動性は部分的には隣接する筋膜層同士の滑り運動による。筋膜のこわばりと可動性の不足は適切に動かすことができない苦痛以上の影響を持つ。結合組織マトリックスとの相互作用を伴うあらゆる細胞の振る舞いに影響を与える結合組織の構造の根底にある特徴でもある。慢性の炎症と組織の線維化に関連する病理的なプロセスはこわばった結合組織に帰結する。これは最新のエビデンスが組織のこわばりそれ自身が線維化プロセスのコントリビューターになることを指摘するように、二方向性のフィードバックのようである。加えてこれらの要素はがん生理学に重要であるというエビデンスもある。結合組織や間質のがんにおける重要性は1世紀前からの仮説であるが、がん研究はがん細胞そのものの腫瘍化に主にフォーカスしてきた。しかし過去数十年間は血管新生や炎症などのがん成長に影響しうる「土」内の要素に関心が増した。もちろんがんの微小環境内の炎症と代謝の異常が単純にがん細胞からの受動的な反応ではなく、がん化を促進することを示すエビデンスも増えている。この知識は患者の腫瘍微小環境の要素を組み込んだ試験管内のテストに基づく個別化された化学療法レジメンの開発における臨床応用に転換され始めている。この新しい理解は大腸がんへのアスピリンや乳がんへのメトフォルミンなどのがん抵抗性の細胞外環境を促進する主要な予防戦略も形成している。これらの戦略は従来局所的に放出されるサイトカインや成長因子23などのような細胞外環境の生化学的な側面にターゲットを絞ってきたが、がんの成長に影響を与えうる細胞外基質のこわばりやアラインメントや空隙率を含む結合組織内の生物物理学的な因子にも注目が集まってきている28-30。創傷治癒、線維化、そしてがんは長い間、上皮間葉転換、筋線維芽細胞形質転換、コラーゲン堆積などの多くの共通の特徴を持つと考えられてきた11,31。特に細胞外基質のこわばりとがんの間のありうる繋がりは原発性腫瘍と腫瘍転移性ニッシェの両方で数十年の間かなりの興味を持たれてきた30-32。���体内で組織のこわばりを直接的に測定する試みがあるが、エラストグラフィーや原子間力顕微鏡などの画像法は悪性腫瘍が良性の部位と比べて平均的にこわばっており33、がん細胞と線維性の間質に対応したそれぞれ柔らかい領域とこわばった領域をもつ不均一なこわばりの特性がある34、ことを示している。ヒトでのバイオプシーは局所のこわばりの増加17と悪性腫瘍周辺の垂直なコラーゲンのアラインメント16が侵襲性の増加と関連付けられてきた。動物モデルや試験管での実験ではコラーゲンの蓄積やアラインンメント組織クロスリンクは腫瘍の進行を促進すると示してきた15,35,36。しかし細胞外基質のこわばりがそれ自身によってがんの成長を促進するかどうかは十分には回答されていない。3次元ジェルでの実験は基質のこわばりが即率的に悪性形質転換を促進させ37、腫瘍細胞がこわばりの増加した領域から離れて、あるいは近づいて遊走することを示してきた30。現行のモデルは、一次性腫瘍では、新生物細胞とがんに関連した線維芽細胞の両方によって進行する進行がんストローマの線維形成性の反応は、腫瘍侵襲と同様、マトリックスの沈着やこわばりの促進を推し進める上皮間転換を推進させるTGFβのような成長因子の放出をおこすというものだ(38)。一方で腫瘍関連の間質を抑制する努力は一般に失敗してきており、幾つかのモデルでは腫瘍侵襲性はむしろ高まる結果になってしまっている12, 39-41。がん生物学における結合組織のこわばりが起こす役割について明らかに多くの疑問が残るが手術や放射線治療などを含む現行のがん治療それ自身が線維化や基質のこわばりに寄与するものであることが懸念される42,43。さらにホスト全体の結合組織システムの広範な配慮はほとんど見落とされてきた。患者レベルでは可動性や活動性の消失はさらなる組織のこわばりの原因となったり、QOLに影響を与え、また結合組織ネットワーク全体のこわばりの増加はほとんど説明されていないさらなるがんの成長や転移に影響を与えうる。 がんの物理的療法の潜在効果 進歩はがんに関連した物理的な療法の生理学的な理解に今有用であるかもしれない手がかりを提供する。 疫学的な研究は身体活動と生存との良い関連について多くのがんについて実証しているが(44-46)、この関連の根底にあるメカニズムはまだ明らかにされていない。がんの成長を阻害しうる運動への生理学的な反応の研究はエネルギー代謝(47,48)、炎症(49)、免疫監視機構(50,51)にフォーカスしてきている。一方、運動中に組織内で生じる機械的な力が直接的に腫瘍の成長や再発に直接的に影響する可能性はほとんど注目されていない。筋への転移が少ないことに気づいてWeissは筋の収縮によって起こる注入されたがん細胞の急激な破壊を見出した(52)。動物モデルは優しいストレッチが慢性の炎症を鎮め局所の結合組織内のコラーゲンの蓄積を減らすことを示しており(53-55)、リンパの手による操作はリンパの流れを変化させ、結合組織と腫瘍の相互作用に主要な役割を担うことを示している(13-56)。生体内で機械的な作用と生化学的な作用を分けることは困難であるけれども試験管での実験は結合組織のストレッチが局所的な抗炎症作用を血管、神経、その他の全体的な要素から独立して持ちうることを示唆している(53) 。これは悪性腫瘍病変の成長、広がり、転移が自発的あるいは受動的に、例えばストレッチエクササイズやヨガ、マッサージ、鍼灸などの機械的な力によって阻害されうるのかどうかという疑問を生じさせる。一方で、機械的な圧やずり応力を腫瘍にかけることが悪性細胞を追い出しリンパや血管への遊走を助長させてしまうという心配が長い間なされてきた(57-59)。より近年では乳がん患者の腋窩のセンチネルリンパ節(原発腫瘍から最初にがん細胞が転移したと思われるリンパ節)でのラベルされた上皮細胞の存在が進行手順に先立った乳房マッサージを受けた患者で増加していることが分かった(60)。実際の微小転移よりもむしろ針生検に伴って起こるそれに似た”良性機械的転移”の形のひとつとして解釈されているが(61)、これらの所見 (62, 63)に関連した長期のリスクに関する議論が残っている。後がん治療のリンパ浮腫の管理における手技療法と鍼灸の役割と安全性に関する論争もある(64, 65)。いくつかの研究はこれらの療法は残存腫瘍のある領域においても安全であると結論づけているが(66–68)、今日までにおいてこの問題に関するランダム化前向き研究は行われていない。一方で腫瘍は転移へのマトリックスの感受性に影響する遠隔部位において、あるいはその周囲組織と相互作用する腫瘍の振る舞いへの影響に関する腫瘍周囲を取り巻く結合組織マトリックスの物理的マニピュレーションに関する基礎研究は事実上存在しない。これは知識の重要なギャップを構成し、機械的生物学のわれわれの理解の進歩とがん患者における物理的療法の潜在利益対リスクを決定することで患者のケアを改善する機会でもある。興味をそそる可能性はこれらの結果が長期的な再発と生存に関連しているかもしれないということだ。腫瘍の近傍に直接的な力を応用することの安全性は最大の関心ごとではあるが、がんそのものから遠くに加えられた自発的あるいは受動的な機械的な力ががんに好ましくない健康な結合組織環境を促進する可能性は考慮されるべきであり、総合的に研究されるべきである。この分野につながるものとしてわれわれは統合医療とマトリックスの生理学と腫瘍学の相互作用のよりよい理解が進むことを期待する。
0 notes
Text
Electroacupuncture Promotes CNS-Dependent Release of Mesenchymal Stem Cells 電気鍼は中枢神経系に依存した間質幹細胞の放出を促進する
ラット及びヒトの前肢の経穴である合谷、曲池と大椎、百会を用いて鍼灸すると視床下部前部と扁桃体との間の機能結合性を高めて、全身循環への間質幹細胞の動員を増加させる。 ラットでは間質幹細胞の源が全身バラバラであるのに対しヒトでは主として脂肪細胞であることが知られている。 ラットの視床下部を薬剤で抑制解除すると交感神経系の活性化を促進し、循環への間質幹細胞の放出が起こる。 ラットでの電気鍼を介した交感神経系の活性化は白色脂肪組織の褐変によってより裏付けられる。 部分的にアキレス腱を断裂させたラットに電気鍼をすると機械的な痛覚過敏を減少させ、血漿中のインターロイキン10値を上昇させ、腱組織の修復を促進させ、プロプラノールを投与されたげっ歯類での効果を遮断した。 末梢神経系の求心性の役割を識別するため、ホスホイノシチドが相互作用する一過性受容器電位チャンネル制御因子GcaMP3(カルシウムセンサーを遺伝的にコード化した)マウスで後肢の免疫ポイントである足三里穴と太衝穴に電気鍼を行ったところ、一次性感覚ニューロンの急速な活性化が起こった。 電気鍼は感覚神経節を活性化させ、間質幹細胞の放出を仲介する交感神経中枢は組織の修復を促進させ、抗炎症性サイトカイン産生を増加させ、明白な痛みの緩和を与えた。 インディアナ大学医学部が行ったこの研究は電気鍼がどのようにして組織修復を促し、外傷性の痛みを和らげるのに役立つ神経学的メカニズムの引き金となるのかを明らかにした。電気鍼は9〜22分で視床下部を活性化させ、間質幹細胞は2時間以内に動員される。痛みの減少だけでなく腱修復に必要なタイプのコラーゲンも増加する。治癒までの時間を速める余地因子として知られる抗炎症性細胞も増加させるらしい。 http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/stem.2613/abstract
0 notes
Text
Adenosine A1 receptor mediate local anti nociceptive effects of acupuncture 鍼灸の抗侵害受容作用はアデノシンA1受容体を媒介する / N. Goldman et al
訳が拙くて間違っているところも多々あると思いますが、Nature Neuroscienceに掲載された有名な鍼の論文です。 Nature Neuroscience; 2010 July;13(7):883-888
Adenosine A1 receptor mediate local anti nociceptive effects of acupuncture 鍼灸の抗侵害受容作用はアデノシンA1受容体を媒介する / N. Goldman et al
要約:
鍼灸は痛みを緩和するために一般に利用されている侵襲的な手技である。その原理をエビデンスに基づいた医療と一致させることの困難さにもかかわらず世界中で行われている。我々は抗侵害受容性の特性を持つ神経調節物質であるアデノシンがマウスでの鍼灸中に放出され、その抗侵害受容作用にはアデノシンA1受容体の発現が必要であることを見出した。アデノシンA1受容体作動薬を直接注射すると鍼灸の鎮痛作用を再現することができた。アデノシンの分解に関連する酵素を阻害すると抗侵害受容作用と同様に鍼灸が惹起するアデノシンの上昇を増強させる。これらの観察内容はアデノシンが鍼灸の作用を媒介し、鍼灸のアデノシン代謝への干渉が、鍼灸の臨床的な有用性を延長させうることを示している。
鍼灸は痛みの緩和を目的に交代の分散した点に細い針を刺入し、操作を加える手法である。紀元前2000年頃にシナで発症して以来、鍼灸は世界中で実践されている1。西洋医学は相当な懐疑論を持って扱ってきたが2、鍼灸は世界的にかなり広く受け入れられてきている。例えば世界保健機構(WHO)は少なくとも24の症状について鍼灸を推奨しているし3、アメリカ国立衛生研究所(NIH)は補完医療の治療的介入として鍼灸に言及するコンセンサスステートメントを出している。おそらく最も印象的には合衆国内国債入庁が1973年に鍼灸を課税控除の対象となる医療出費であると認めている。
鍼灸の鎮痛作用はよく記述されてい���がその生物学的な基盤については少ししかわかっていない。鍼灸鍼の挿入それ自体は痛みの緩和には十分ではない4。通常鍼灸治療は30分くらいかかり、その間に鍼は断続的に回旋されたり、電気的に刺激されたり、場合によっては加熱される。痛みの閾値はゆったり上昇し、治療後も続く4。鍼灸の抗侵害受容性効果に関連した主なメカニズムは間歇的な刺激により、上行性の感覚路の活性化が長く続くことに反応した中枢神経系(CNS)のオピオイドペプチドの放出が関与している4-6。しかし中枢性に作用する薬剤はなぜ鍼灸が従来的に痛み局所のすぐ近位に応用され、なぜ同側性にその鎮痛効果が限定されるのかについて説明することができない7,8。
結果:
・鍼灸はアデノシンとATP代謝に必要な物質を放出する
ATPは機械的、電気的あるいは熱刺激に反応して放出される。一度放出されるとATPはP2X、P2Y受容体を含むプリン作動性受容体に結合し伝達物質として作用する9,10。ATPは細胞内に戻ることはできず、急速にいくつかのエクトヌクレオチダーゼにより分解されて再取り込みされる10。このようにアデノシンはGタンパク結合したA1アデノシン受容体を通じて痛みを抑える鎮痛物質として作用する11-13。鍼灸の抗侵害受容性効果にアデノシンが関係しているかを決定するため、我々は鍼灸治療中にアデノシンの細胞外濃度の上昇があるかどうかをまず求めた。
我々は成体のマウスの膝下3−4mm、正中線から外方1−2mmにある足三里穴から0.4-0.6mm離れたところの前脛骨筋と皮下組織に埋め込んだマイクロダイアライシスのプローブから間質液のサンプルを集めた4。アデノシンヌクレオチドとアデノシンは鍼灸の前、治療中、治療後に紫外線吸収度を伴う高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて定量化された(Fig.1a)14,15。先の報告通り、ベースラインにおいてATP、ADP、AMPとアデノシンの濃度は低ナノモル濃度の範囲内だった( Fig.1b)16,17。5分毎に鍼を手で優しく回旋させるようにした鍼灸を30分間続けると、細胞外のプリン化合物の急激な濃度上昇が起こった。30分間の鍼灸の間にアデノシン濃度は24倍( ベースラインの10.6 ± 6.7 nMから253.5±81.1nM)まで上昇した(Fig.1c)。鍼灸後60分でアデノシン、AMP、ADP、ATPは明らかに上昇したままであったが (アデノシンとAMP, P < 0.01; ADP, P < 0.05, paired t test 0 minと比較して)、ATPの細胞外濃度はベースラインに戻った(Fig.1c)。注目すべきことに、先の研究が深部の脳刺激も細胞外のATPとアデノシンの数値の上昇に関連があることを示している。電気鍼と同様に経皮電気的神経刺激(TENS)や深部脳刺激も細胞外アデノシン濃度の上昇の引き金となる電気刺激を届ける18。
Fig.1 鍼灸はATP、ADP、AMP、アデノシンの細胞外濃度の上昇の引き金となる。(a)鍼灸前、中、後の代表的な高速液体クロマトグラフィーのクロマトグラフ。サンプルは足三里穴の近傍に埋め込まれたマイクロダイアライシスプローブで収集された。アデノシン、AMP、ADP、 ATPの標準は一番上に示されている(各0.3μM)(b)鍼灸に反応したプリン化合物放出の時間経過(c)ベースラインの刺激なし、鍼灸中、鍼灸後の状態でのアデノシン、AMP、ADP、ATPの平均濃度を要約したヒストグラム(*P < 0.05, **P < 0.01, paired t test 0分と比較して, n = 8)。エラーバーは平均値の標準偏差を示している。
・A1受容体作動薬の局所的な応用の効果
鍼灸でアデノシンが放出されることを確立し、我々は次にアデノシンが芯が鍼灸の抗侵害受容性作用に決定的なものであるかどうかを求めた。我々は慢性疼痛の2つのマウスモデルを用いて選択的なA1受容体作動薬である2クロノN(6)シクロペンテルアデノシン(CCPA)19の作用についてテストした。右足に完全フロイントアジュバント(CFA)を注射して炎症による痛みを引き起こした20。CFAの注射後4−5日をピークに同惻の足へのVon Freyフィラメントを用いた非侵襲性の刺激を機械的アロディニアを呈するようになった。マウスは熱への"逃避反射の潜時"(withdwaral latency)の実質的な減少により定義される温熱アロディニアも発症した。2クロノN(6)シクロペンテルアデノシン(CCPA) (0.1 mM, 20 μl)を同惻の足三里( ST36)に投与すると、触覚(Fig.2a)及び熱( Fig.2b)による痛み閾値の急激な上昇を引き起こした。ネガティブ反応の割合として定義された触覚の感受性は35.0±4.3から78.3±4.8%に改善した (P < 0.01, Tukey-Kramer)。温熱感受性は2クロノN(6)シクロペンテルアデノシン(CCPA)の投与後、paw withdrawal時間は3.0±0.2から13.1±1.7秒(P < 0.01) に上昇しほぼ消滅した。温熱通への感受性の低下に一致して(paw withdrawalは2.9±0.3から16.2±2.4秒に増加)、それと同様に機械的アロディニアは神経痛のマウスで2クロノN(6)シクロペンテルアデノシン(CCPA)により急激に減少した(触覚は25.5±2.2から83.3±4.9%に改善した)。2クロノN(6)シクロペンテルアデノシン(CCPA)の抗侵害受容作用のためにA1受容体シグナル伝達が十分かどうかに言及するため、我々はアデノシンA1受容体の欠損したマウスでの(ref.21)2クロノN(6)シクロペンテルアデノシン(CCPA)の効果を試し、A1受容体の発現が2クロノN(6)シクロペンテルアデノシン(CCPA)を介した痛みの抑制に必要であること��分かった。野生型マウスで2クロノN(6)シクロペンテルアデノシン(CCPA)は効果的に機械的、温熱的な感受性型を減少させたが、2クロノN(6)シクロペンテルアデノシン(CCPA)はA1受容体の欠損したマウスでは臨床的な有益性がなかった(Fig.2.ab)。このように2クロノN(6)シクロペンテルアデノシン(CCPA)の抗侵害受容性作用にはアデノシンA1受容体の発現が必要とされる。
Fig.2 アデノシンA1受容体の抗侵害受容性作用(a, b)野生型(WT、黒)とA1受容体ノックアウトマウス(A1RKO, 灰)での機械アロディニア(タッチテスト, a)と温熱感覚過敏(温熱テスト, b)におけるCCPAの作用の比較。第0日に右足にCFAが投与された。アデノシンA1受容体作動薬であるCCPA(0.1mM,20μl)が同惻(右)の足三里穴(ST36)に4日目に注射された。全てのマウスはCCPA注射のあと10分以内に評価された (**P < 0.01, Tukey-Kramer test CCPA前との比較; ##P < 0.01, それぞれの時間での野生型とA1受容体ノックアウトマウスとの比較; n = 5−9). (c,d) 0日目とCCPAが投与された6日目における右足座骨神経の部分的な結紮により起こされた神経障害性疼痛を伴う野生型とA1受容体ノックアウトマウスでの機械的感覚過敏( c)と温熱的感覚過敏(d)(n = 6) これらの実験から機械刺激と温熱刺激への反対側(コントロール)の足の感受性はSupplementary Figure 1に示されている (e)。右足への痛み刺激によって起こされた左前帯状核の興奮性シナプス後電位(fEPSP)の振幅 。同惻(右)あるいは反対惻(左)の足三里に注射されたCCPA (0.1 mM, 20 μl, at 0 min)の興奮精神プス後電位における作用が野生型とA1受容体ノックアウトマウスでの時間の機能としてプロットされている (*P < 0.01, Tukey-Kramer test −18- 分と−12-分との比較, n = 4−12). エラーバーは平均標準偏差を示している。
次に我々は痛みが神経結紮の5−7日後にピークに達する座骨神経痛の障害を残すことによる神経障害性疼痛をモデルにした 22。同側の下肢の足三里穴に注射されたCCPAは炎症性疼痛の抑制と同程度の効果で神経障害性疼痛を減らした(Fig. 2c,d)それぞれのモデルにおいてCCPAの抗侵害受容性の効果は一過性であり、反対側の下肢への痛覚刺激への感受性を変化させなかった(Supplementary Fig. 1)加えて反対側の下肢へのCCPAの注射は同側の下肢の痛覚閾値を変化させなかったが、これはCCPAの作用が局所のA1受容体の活性化によって介されていることを示唆している (Supplementary Fig. 2)。代理のCCPA注射を同側の下肢に生理食塩水(コントロールの溶媒)と同じ体積分した場合、温熱、機械的に起こした痛みのどちらも閾値を変化させることはできなかった(Supplementary Fig. 2)。
CCPAが痛み刺激への感受性をどのように減少さするかを理解したり、CCPAが上行性神経路に直接的に作用するかどうかについて特異的に取り組むために、我々は右足の痛み刺激に左前帯状核(ACC)の反応をin vivoで記録した(Fig.2e)ACCは痛みの近くに重要であり23、ヒトでの痛みの電気的な神経刺激はACCの活性化につながる24。我々は高強度の刺激(10mA, 20ms)が40msまでの潜時でACCの興奮性シナプス後場電位を持続的に惹起し、第一次求心路、脊髄視床路、視床皮質路を含む多シナプス性の経路の関与を反映していることを見出した。低い刺激強度はACCのニューロンが痛み刺激に主に反応するという考えに一致し、全く反応しないが可変的な反応を惹起した24。20分間のベースラインコンディション中の足への衝撃への反応を記録した後、我々は0.1mm、20μlのCCPAをCCPAを左足つまり痛覚刺激を受けている反体側の足である左下肢の足三里に注射した。CCPAが中枢性に作用した可能性を除くと、痛覚刺激の反対側に投与されたCCPAは興奮性シナプス後場電位への効果はなかった(Fig. 2e)。対照的に痛み刺激と同側である右下肢の足三里は注射されたCCPAは目立って興奮性シナプス後場電位の低下を引き起こした。CCPAの注射の6分後には興奮性シナプス後場電位の低下が平均に注射前平均の〜0.65mVから20分で0.22mVに下がりベースライン値から26.6±11.0%への低下を表している。合わせてこれらのデータはCCPAは局所でおそらく足三里穴のすぐ近位を走行する表在性の腓骨神経の無髄C線維で作用することを示唆している。後根神経節は足の求心性終末13,25、及び膠様質のシナプス前終末でのA1受容体が高レベルに発現していることが先に報告されている26。しかしCCPAは6分で1.8-2.0mmの距離を越えてびまん性に広がることはないようであり、足のA1受容体に、あるいは足三里穴から3.0-3.2mmを超えて位置する脊髄のシナプス前終末に結合するのではないようだ13、25、26。野生型マウスの興奮性シナプス後場電位の強さの潜在的な落ち込みとは対照的に、A1受容体の欠損マウスはCCPA注射に反応することがない(Fig.2e)。合わせてこれらの研究はCCPAが無髄C線維の、そしておそらく表在性の腓骨神経のAγ線維のアデノシンA1受容体を活性化させることにより痛み刺激を抑制していることを示唆している。
・鍼灸の抗侵害受容性作用はA1受容体を必要とする
炎症性、神経障害性の痛みによる鍼の効果を評価することにより、我々は次に鍼灸中に放出されたアデノシンが鍼灸の抗侵害受容作用に関係があるかどうかを求めた。鍼は通常の鍼灸治療を真似て同側の足三里に1.5mmの深さで優しく刺入し、30分のうち5分毎に一度回旋させた。炎症性疼痛を持つ動物は明らかに鍼灸治療から利益を得た。温痛刺激への閾値は3.9±0.4〜10.6±0.8s(P<0.01)に増加したのに対し、触覚感受性は22.2±3.6から71.1±3.5%に有意に上昇した(Fig. 3a,b)(P<0.01)同様に鍼灸は触覚感受性が26.7±4.9から71.1±4.8%��有意に改善し、熱痛への感受性が足の逃避が3.1±0.5から11.4±0.95へと有意に減少させ、神経障害性の痛みに苦しむマウスの機械的アロディニアを急激に減少させた(Fig.3c,d)。CCPAの注射と同様に、そして早期の報告と一致して鍼灸を介した痛みの抑制は触、そして熱刺激への知覚過敏は翌日には鍼をする前のレベルまで戻ってしまうという意味で一過性であった。特に鍼灸はA1受容体ノックアウトマウスでは痛みを減少できなかった。機械的あるいは温熱的な痛みへの知覚過敏は鍼灸によって明らかに利益を得ることができた野生型のコントロール同腹仔に比べてアデノシンA1受容体の欠損したマウスでは痛みが持続した(Fig.3a-d)。鍼灸は反対側の痛み感受性を変化させなかった(Supplementary Fig. 1)。さらに間歇的な回旋刺激なしの鍼の刺入だけでは両側の足の痛み感受性を減少させることはできなかった(Supplementary Fig.3)。
Fig.3 鍼灸はアデノシンA1受容体を欠損したマウスの痛みを抑制することはできなかった(a, b)4日目の鍼灸は右後足へのCFAの注射後の炎症性疼痛に苦しむ野生型マウスにおいては機械的(a)および温熱刺激(b)への感受性を減少させることができたが、A1受容体ノックアウトマウスではできなかった。全てのマウスは鍼灸後10分以内に評価された(P<0.01 鍼灸前との比較、野生型マウスとアデノシンA1受容体ノックアウトマウスとの比較N=5-9)(c, d)鍼灸は神経障害性疼痛に苦しむマウスの機械的アロディニア(c)と温熱痛覚過敏(d)を抑制した。 神経障害性疼痛は右足の座骨神経の結紮により引き起こされ、6日目に鍼灸の臨床効果がテストされた(n=6)。これらの実験からの反対側(コントロール)の機械的および温熱刺激への感受性がSupplementary Figure 1に示されている(e)。左前帯状核の興奮性シナプス後場電位強度への0-30分の鍼灸の効果は右足への痛覚刺激により引き起こされた。興奮性シナプス後場電位の強さは野生型とA1受容体ノックアウトマウスの機能としてプロットされた(P<0.0118分と12分で比較された。n=3-8)。エラーバーは平均標準偏差を示している。
残る疑問は鍼灸中に放出されたアデノシンがCCPAと同様に痛み刺激に反応したACCへのインプットを減少させるかどうかということだ。この目標のため我々は右下肢への痛み刺激(Fig.3e)によって左ACCの興奮性シナプス後場電位の強さについての鍼の作用を評価するため上のような戦略(Fig.2)を使った。CCPAの注射と同様に、左の足三里穴(刺激とは反対側)への鍼は(データは示されていないが)痛み刺激に反応した興奮性シナプス後場電位に関する効果はなかった。しかし(刺激と同側の)右の足三里への鍼は興奮性シナプス後場電位を抑制し、その阻害は観察している間、効力を増強し続けていた。 興奮性シナプス工場電位の強さは最大で60分でベースラインの53.7±7.2%(P<0.01)まで有意に減少した(Fig.3e)。 一方でA1受容体が欠損したマウスでは鍼は興奮性シナプス後場電位を変化させなかった。合わせてこれらの観察は炎症性疼痛と神経性疼痛のモデルにおいて鍼灸を介した抗侵害需要作用におけるアデノシンの役割の効果エビデンスを提供している。 CCPAの注射後の興奮性シナプス後場電位の急な低下と比べて比較的ゆったりとした興奮性シナプス後場電位の落ち込みは鍼灸治療中に細胞が異空間にアデノシンが緩やかに蓄積されて行くことを示唆している(Figs. 2e と and3e).3e)。加えてA1受容体以外の経路も鍼灸を介した痛みの抑制に関連しているかもしれない。これらのメカニズムには近年提唱されてきているP2X受容体へのATPの直接的な作用や中枢でのオピオイドペプチドの放出なども含まれる4,27。鍼刺入時に感じる直接的な痛みを除いてA2A、A3受容体にの活性化による痛覚惹起性、痛覚過敏性の不足は筋肉におけるこれらの受容体の発言が少ないことに起因するのであろう28。野生型のコントロールマウスに比べA2A受容体欠損マウスではCCPAの注射でも鍼灸 (Supplementary Fig. 4)でも有益性を示さなかった (Figs. 2 and and33)29。 ・AMP代謝の操作は鍼灸の効果を延長させる
その他のタイプの組織損傷と同様に鍼灸中の間質空間のヌクレオチドの蓄積はおそらくストレスにより活性化されたチャンネルを開くこと、あるいは非特異的な膜の損傷の持続である9。ATPに比べて比較的高濃度 (Fig. 1c) のATP代謝産物が細胞外にあるのはATPが骨格筋、線維芽細胞、脂肪細胞の細胞質に4-8mMあるいはAMPやアデノシンの100倍以上の濃度で存在し、エクトヌクレアーゼで急速に酸素分解されることを反映している30。このように細胞外ATPの異化に関連した酵素的な経路を操作することで鍼によるアデノシンの上昇高まる可能性がある。我々はATPのアデノシンへの細胞外分解にどの異化段階が律速しているかを求めた。足三里穴から得られた組織(筋、皮下)の切片を用いて我々はAMPが加えられた時にはたったの0.043 ± 0.005 μM mg−1 min−1 (n = 3, P < 0.01, Student's ttest)の割合でリン酸化を生じるのに対し、基質として1mMのATPを加えると0.428 ± 0.046 μM mg−1 min−1 の割合でリン酸化が生じることを見出した。後者の遅い動態はAMPの脱リン酸化がアデノシン産生の反応律速段階であることを示唆している(Supplementary Fig. 5) 。詳細な評価は前立腺酸リン酸酵素やまだ特定されていないリン酸酵素を含む複数の酵素が筋や皮下でのアデノシンの細胞外での形成に寄与していることを示している31,32 (Supplementary Fig. 5)。しかし骨格筋内のAMPはAMP脱アミナーゼによりイノシン単リン酸塩(IMP)に脱アミノ化されることもできるのでAMPはアデノシンに分解される必要はない33 (Fig. 4a)。先の報告に一致して33我々はAMPが基質として与えられた時、アデノシンよりもかなり多い量のIMPが生じることを見出した(Fig. 4b)。アデニル酸脱アミノ酵素はアデノシン産生を迂回するAMP分解の酵素的なシャトルとして機能する (Fig. 4a)。この観察の根拠に我々はAMP脱アミノ酵素活性の阻害によって鍼灸によるアデノシン上昇を増加させたり延長する可能性があるかどうかを求めた。我々はAMP脱アミナーゼとアデノシン脱アミナーゼを阻害し34、それにより細胞外アデノシンの除去に関連する2つの主要な経路を抑制するヌクレオシド系薬剤である(抗腫瘍薬の)デオキシコホルマイシンを用いた(Fig. 4a)。両方の脱アミナーゼへのでオキシコホルマイシンの阻害作用と一致して、我々はでオキシコホルマイシンが明らかにアデノシンの蓄積を増加させ(2.9倍の上昇, P = 0.025)、IMPを抑制し(0.08倍の減少, P = 0.023)、イノシンの産生を抑制(0.24倍の減少, P = 0.005)させることを足三里穴で得られた筋と皮下の単離されたサンプルで見出した (Fig. 4b)。
Fig.4 脱アミナーゼ活性の薬剤による阻害はアデノシンを増加させ鍼灸の抗侵害受容作用を延長させる。(a)AMPの細胞外での酵素的な分解に関係する二つの主要な経路を要約したシェーマ。ヌクレオシドアナログであるでオキシコホルアイシンはAMP脱アミナーゼ(AMPD)とアデノシン脱アミナーゼ(ADA)のどちらも阻害する。(b)足三里にの近くから得られた組織切片が1mMのAMPとアデノシン取り込みの阻害薬であるニトロベンジルチオイノシン(100μM)に45分間培養された際の、アデノシン、IMP、イノシンの産生を比較したヒストグラム。デオキシコホルマイシン(500μM)はIMPとイノシンの産生を阻害し、アデノシンの蓄積を増加させる (*P < 0.05, **P < 0.01, t test コントロールとデオキシコホルマイシンとの比較, n = 5). (c)マイクロダイアライシスのサンプルの分析はデオキシコホルマイシン(腹腔内、体重1kgあたり50mg)とビークル(生理食塩水)で処理されたマウスの足三里穴の近くから集められた。デオキシコホルマイシンは鍼灸の最中と後、生体内でのIMPの産生を阻害するのに対しアデノシンの蓄���を増加させた(n=6-8)(d, e)。デオキシコホルマイシン(腹腔内、体重1kgあたり50mg)は機械的(d)および温熱(e)刺激に反応した炎症性疼痛を持つ野生型マウスにおいて鍼灸の抗侵害受容効果を延長させた(##P < 0.01, Tukey-Kramer test 鍼灸の前との比較, n = 6−10). (f,g) 。デオキシコホルマイシンは座骨神経の部分的な結紮によって惹起された神経障害性疼痛の野生型マウスにおいて機械的(f)および温熱(g)刺激に対する鍼灸の抗侵害受容作用を延長させた (#P < 0.05, ##P < 0.01, Tukey-Kramer test 鍼灸の前との比較, n = 5)。これらの実験からの反対側(コントロール)の機械的および温熱刺激に対する感受性は(Supplementary Fig. 1)に示されている。エラーバーは平均標準偏差を示している。
鍼灸に加えてでデオキシコホルマイシンを全体的に投与した際の臨床的なポテンシャルを評価するために我々はマウスを(体重1kgあたり50mgを腹腔内に)デオキシコホルマイシンで処置し足三里穴から0.4-0.6mmのマイクロダイアライシスのサンプルを集めた。デオキシコホルマイシンを受けているマウスは鍼灸中のアデノシンの細胞外蓄積の急な上昇を示した(3.68倍の上昇 p=0.0081(Fig. 4c)。さらにデオキシコホルマイシンは実験期間中((0.5, 1 and 2 h, P < 0.01; 1.5 h, P < 0.05, t test) アデノシンの蓄積が上昇した状態を明らかに延長させた (Fig. 4c)。鍼灸によるアデノシン蓄積の上昇は試験管での観察に類似してAMPのデアミナーゼへのでオキシコホルマイシンの阻害作用と一致したIMPの低下によって反映された(Fig. 4c)。
鍼灸によるアデノシンの上昇をデオキシコホルマイシンが増強し延長させるという事実はデオキシコホルマイシンが抗侵害受容作用を強めるため鍼灸に付加して用いることができるかどうかという疑問が浮上する。この点に言及するため我々はデオキシコホルマイシン (50 mg per kg, 腹腔内) と溶媒(リン酸干渉食塩水)を受けているマウスでの鍼灸の抗侵害受容性作用とを比較した。30分の鍼灸(5分ごとに鍼を2回回旋させる)は溶媒を受けたマウスで1.0〜1.5時間の間痛みが減少した(Fig. 4d–g)。注目すべきことにデオキシコホルマイシンであらかじめ治療されていたマウスでは抗侵害受容作用は明らかな延長が見られた (P < 0.05, Tukey-Kramer test 鍼灸治療前と比較) 。鍼灸に加えてデオキシコホルマイシンが加えられたとき炎症および神経障害性の痛みに苦しむマウスで機械的アロディニアと温熱痛感受性は3.0-3.5時間にわたり抑制された (Fig. 4d–g)。デオキシコホルマイシンは反対側の痛み感受性を変化させなかった (Supplementary Fig. 1)。
加えて、デオキシコホルマイシンが安静で刺激のない(?)アデノシン濃度を明らかに上昇させることができなかった(P = 0.1728, t test コントロールとデオキシコホルマイシンとの比較) 事実と一致して、デオキシコホルマイシンは2つの慢性疼痛モデルでの鍼灸と組み合わされないと、触覚あるいは温熱感受性のどちらの効果もない (Supplementary Fig. 6)
In addition, deoxycoformycin had no effect on either the tactile or thermal sensitivity when it was not combined with acupuncture in the two models of chronic pain (Supplementary Fig. 6) consistent with the fact that deoxycoformycin failed to significantly increase (P = 0.1728, t test comparison between control and deoxycoformycin) the resting, unstimulated concentration of adenosine.
これらのデータはでアミナーゼ活性の抑制が鍼灸に付加して用いられると効果的に臨床的な利益が増すことを示している。デオキシコホルマイシン(ペントスタチン)はDNA合成を阻害するヌクレオシド類自体抗菌薬で白血病の治療薬としてFDAに承認されている35。 討論: 鍼灸は4000年以上続けられているがその生物学的な基盤の確立はずっと困難だった。我々の発見はアデノシンが鍼灸の機械的な作用の中心であることを示唆している。我々は鍼の刺入と手による回旋が組織の損傷がヌクレオシドとアデノシンの細胞外での増加に関連するという観察と一致して伝達物質としてのアデノシン(Fig. 1) を含むプリン化合物の細胞外濃度の一般的な増加の引き金になるということを見出した36 。末梢、脊髄、上脊髄でのA1受容体の抗侵害受容性の効果はよく確立されているので37,38 我々はA1受容体作動薬の注射で痛覚過敏を抑制するかどうかを求めた25,37 (Fig. 2)。我々はA1受容体作動薬であるCCPAがすばやく炎症性と神経障害性の痛みを減少させ、鍼灸による痛みの抑制にはアデノシンA1受容体の発現が必要であることを見出した (Fig. 3)。これらの所見あA1受容体の活性化が鍼灸の臨床的な有益性にとって必要かつ十分であることを示している。我々の知る限りではアデノシンA1受容体は今まで鍼灸の抗侵害受容性作用に関係付けられていない。カイロプラクティックやマッサージなどの関節や筋の機械的な操作に関係する手法である他の非アロパシー的医療が細胞外のアデノシンを上昇させるのに十分な細胞内ATPの排出に関連があるかもしれないと憶測する人もいるかもしれない。鍼灸でのようにアデノシンはこれらの療法においても蓄積し、知覚性の求心路上のA1受容体を活性化させることにより部分的に痛みを弱めるかもしれない。注目すべきことに鍼の刺入は刺入しない鍼(プラセボ)と比べて上回らないことが報告されてきた(我々(Supplementary Figs. 2 and 3)やその他の研究者らの観察40,41と反対に)39 。しかし皮膚の機械的刺激に反応したケラチノサイトからのATPの放出がA1受容体がおそらく表皮の侵害受容性軸索終末によって押し出されるにつれて一時的に痛みを減らすアデノシンの蓄積を起こす37 。実際振動覚が皮膚に加えられるとアデノシンの放出によりネコの下位腰部分節の侵害受容ニューロンの活性が抑制される42。しかしこの効果は鍼灸の抗侵害受容作用とは異なり皮膚の求心性の神経支配によらない4。鍼灸は通常、筋や結合組織といった深部組織に応用され、経血は皮膚の求心性線維の密度へよりも上行性の神経路の近くによりオーバーラップしている。鍼の下の組織をつねられたような感覚を除けば多くの患者は、鍼自体は痛い療法ではないと報告している。鍼灸中に (Fig. 1)ATPが放出されることからつねるような感覚は小さな直径で第一次求心性ニューロンでカプサイシンに感受性のあるものによって発現する侵害受容性のP2X3受容体によって媒介されうる10。鍼灸中の直接的な痛みの欠如はその急速な分解により細胞外ATP、P2X3や他の侵害受容性P2X受容体を活性化するのに十分な濃度に届かないからと説明されることが多い(Fig. 1)。しかしP2X受容体の活性化は近年示唆されたように27、P2X受容性の閾値下の活性化あるいはP2XとA1受容体の二量体形成に関連したより複雑なメカニズムによって鍼灸の抗鎮痛作用に寄与しているかもしれない43(→わからない。原文 However, activation of P2X receptors may nonetheless contribute to the anti-analgesic effects of acupuncture, as was recently suggested27, perhaps by subthreshold-activating P2X receptors or by more complex mechanisms involving dimerization of P2X and A1 receptors43. )。慢性疼痛の治療のための鍼灸の利用に加え、鍼灸は関節炎や腱炎などの局所性炎症性要素を伴う病気にも高頻度に利用される44。アデノシンは抗炎症性の特徴を持ち、我々は鍼灸が細胞外のアデノシンを増加させることを見出した36 (Fig. 1)。経穴の近くで集められたマイクロダイアライシスのサンプルでの細胞外プリン化合物の数量化は強力なエクトヌクレオチダーゼによりADP、AMP、アデノシンに脱リン酸化されるATPの放出に続いて細胞外アデノシン濃度を上昇させ、そのAMP脱リン酸化はこの反応の律速段階を表している(Supplementary Fig. 5)。その他のほとんどの伝達物質のようにアデノシンはヌクレオシドトランスポーターにより取り込みが促進され、細胞外空間でのライフスパンは短く、同時にイノシンへと分解される33。再取り込みの後、アデノシンは細胞質ゾルのオアデノシンキナーゼ(Km ~20 nM)によってすばやくATPに変換されるので、細胞外空間でのアデノシンの急速なクリアランスを促進し36、鍼灸の抗侵害受容性作用を短縮させる。その上我々の解析はAMPデアミナーゼ活性が筋や皮下で高く33、わずかなAMPがアデノシンに脱リン酸化することを確かめた。AMPデアミナーゼは細胞外AMPの除去のための主要な酵素的経路を構成し、この経路はアデノシンを迂回する。このように鍼灸がAMPデアミナーゼ活性の薬剤的な抑制と組み合わされるとアデノシンの有効性は理論的に上昇するはずであり、鍼灸の臨床的な有益性を促進させる。原理の証明として我々はFDAが承認したでアミナーゼ阻害剤であるデオキシコホルマイシンで処置したマウスがアデノシンのさらなる増加を示し、鍼灸による慢性疼痛の抑制がより長く持続することを見出した。まとめとして我々は鍼灸の抗侵害受容作用が上行性神経にあるA1受容体の活性化により媒介されることを見出した。このようにA1受容体やアデノシン代謝を干渉する薬剤は鍼灸の臨床的利益を向上させうる。 ONLINE METHOD: 手術、実験モデル、行動評価、CCPAの投与、鍼灸、免疫組織化学 ロチェスター大学の動物取扱と利用委員会がこの研究に用いられたあらゆる手法を承認した。痛みの研究ガイドラインの国際学会の指導通り、我々は統計的な優位性を得るのに必要な最小限の数のマウスを用いた。C57BL/6Jのオスのマウス(8–14 weeks old, Jackson Labs) が実験に用いられた。C57BL/6の遺伝的背景のあるA1受容体ノックアウトマウス21、A2A受容体ノックアウトマウス29、CD73ノックアウトマウス45 とコントロールとしての野生型同腹仔が用いられた。 末梢の炎症はマウスの右後脚の足底表面にCFA(同僚のオイルと混ぜて総体積0.1ml)の注射によって惹起させた20。同量の生理食塩水(0.1ml)がコントロールとして左後脚に注射された。神経障害性疼痛はケタミン(kgあたり60mg、腹腔内)、キシラジン(kgあたり10mg、腹腔内)で麻酔されたマウスに4.0ポリプロピレン縫合が右足の座骨神経の結紮によって惹起された46。機械的アロディニアは足底表面への0.02gの力をVon Frey フィラメントを用いて刺激を繰り返すことによって評価した。計10回のトライアルのネガティブ反応の割合はそれぞれの足ごとに計算された。温度感覚過敏はアナルゲジメーター(Ugo Basile)を用いて評価した。携帯用の放射熱源が後脚にフォーカスされ、「足離脱潜時(?)」はマウスが熱源から後脚を離すのにかかった時間(組織損傷を避けるため最大20秒)と定義した。足離脱はそれぞれの足で3回繰り返され、その平均が計算された。刺激への順化を避けるため熱のテストと機械的なテストの両方の各トライアルの間に5分間の休み時間を挿入した。行動パラメータは他に断らない限りCFAの足底内注射あるいは神経結紮の前(0日目)、マウスがCFA注射を受けた3-4日目、神経結紮の5-7日目で評価された。CCPA(0.1 mM, 20 μl)の注射、生理食塩水、あるいは鍼灸に先立ち、マウスは光イソフルラン麻酔下(~1%)で拘束された。全てのマウスはCCPA注射あるいは鍼灸の後10分以内に評価された。鎮痛のトータル時間は2分未満で炎症痛モデル、神経障害性疼痛モデル、そしてコントロールのマウスは同様に扱われた。鍼灸には小さな鍼灸針0.16×13mm (08–02, Lhass Medical)が優しく膝の中心から1-2mm外方、3-4mm下方に位置する足三里穴(ST36)に1.5mmの深さで刺入された4。鍼灸治療30分の間に5分ごとにゆっくり回旋術を加えた。TCMで足三里穴は最も効果的な経穴のひとつであるし、慢性疼痛のげっ歯類モデルにおける抗侵害受容性作用をよく確立されたものであったので4、鍼灸の慢性疼痛への効果について研究するのに我々は足三里穴を選んだ。HPLC(高速液体クロマトグラフィー)分析のためマイクロダイアライシスプローブがマイクロダイアライシスサンプルの収集の前1.5時間に埋入された。マイクロダイアライシスのプローブは足三里穴から0.4-0.6mmのところに埋められた。マイクロダイアライシスのプローブは1分間に1μℓの比率でリンゲル液で還流された。微小透析液は30分の時間を超えて氷の上に集められ、HPLC分析までマイナス80℃で直ちに凍結された。媒体(生食、腹腔内30ml)とデオキシコホルマイシン(kgあたり50mg、腹腔内)は鍼の前30分で投与された。免疫組織化学検査が先に述べたように行われた18。・生体内電気生理学マウスは2-3%イソフラレン(vol/vol)で麻酔され、創刊され、小動物用の人工呼吸器 (SAAR-830, CWE)で人工的に人工呼吸を行った。体温は直腸プローブでモニターされヒートブランケット (BS4, Harvard Apparatus)で37℃に調整された。(直径1.0-1.5mm)十字縫合(ブレグマ)の前0.1mm正中線の外方1.5mmに開頭術を右ACCの上に施した。カスタムメイドの金属板が歯科用にアクリルセメントと一緒に頭蓋に接着された。マウスは実験の残りをイソフラレンで2 vol%に調整された。局所のフィールドポテンシャル記録はパッチピペット(TW100F-4 外径1.0mm、内径0.75mm、先端直径1-2μm)により軟膜表面下の0.8mm、ACCの膜4(?)が得られた。局所のフィールドポテンシャルシグナルは増強され、1-100Hzでバンドパスフィルターにかけられ、先述したように10kHzでデジタル化された18。硬膜質は無傷のまま保たれた。カスタムメイドの双極性電極が右後足の皮下に挿入された。高強度の刺激(10 mA, 20 ms)が120秒ごとに惹起された。低い刺激強度はACCニューロンは痛覚刺激に主として反応する23という考えに一致し、ほとんど反応しないか、可変的な反応を惹起した。興奮性シナプス後場電位の振幅はpCLAMP 9.2 program (Axon Instruments)を用いて測定した。我々は痛覚刺激によ��て惹起された興奮性シナプス後場電位を記録するのに反対側の足(左)のCCPA注射の全体的な効果を発見するため、脊髄の膠様室よりもむしろACCを選んだ。・プリン化合物のHPLC分析プリン化合物の酵素分解の分析は足三里穴の下の組織から得られた皮下組織と筋の4mm以下の切片に基づいて行われた。切片は酸素泡沫バッファー (125 mM NaCl, 5 mM KCl, 1.25 mM NaH2PO4, 2 mM MgSO4, 2 mM CaCl2, 10 mM グルコースそして 25 mM NaHCO3, pH 7.3, 95% O2 and 5% CO2でガス化されたもの)に30分間培養された。各切片は500μMのデオキシコホルマイシン(Tocris Bioscience)のあるものとないもので1mmのAMPを含む15mM HEPES(双極性イオン緩衝材) (pH 7.3と)3mℓのHankの平衡塩類溶液に6穴の培養皿に置かれた。アデノシン輸送阻害剤であるニトロベンジルチノイオシン(Sigma)がアデノシンの取り込みを減少させるためすべてのサンプルに加えられた。それぞれの穴から0-45分でサンプルが収集されHPLC分析のために−80℃で保存された。分析はCoulArray 5600A システム (ESA) and an ESA model 526紫外線発見器を先に述べたように14,15用いて行われた。クロマトグラフィーの分析は逆相カラム (Lichrospher 100 RP-18, 5 μm, 250 mm × 3 mm, Merck)を用いることで達成できた。微小透析液の測定のため、我々は215 mM KH2PO4, 2.3 mM テトラブテラモニウム2重硫酸塩, 3.2% アセトニトリル (vol/vol, HPLC-グレードウォーター), pH 6.2からなる移動相を用いた(?)。筋や皮下からの切片から準備されたサンプルの測定のため、我々は215 mM KH2PO4, 1.2 mM テトラブテラモニウム2重硫酸塩, 1% アセトニトリル, pH 6.0からなる移動相を用いた。流動率は0.25 ml min−1に調整された。毎日の調整曲線は(3, 1, 0.3 or 0.1 μM)のATP、ADP、AMP、アデノシン、イノシン、IMPをそれぞれ0.4Mの過塩素���中で準備された。溶出したプリン化合物は260nmで発見され、クロマトグラフィーのピークはCoulArray softwareを用いて統合された。注目すべきことにデオキシコホルマイシンで惹起したイノシン濃度の変化はデオキシコホルマイシンがイノシンと重複したピークとシテマイクロダイアライシスのサンプルを評価することはできなかった。酵素の薬学的な分析はAMPあるいはATPの細胞外での脱リン酸化がリン酸の含まれないリンゲル溶液に浸した切片から収集したサンプル内でMalachite Greenリン酸発見キット(Sigma)を用いて測定された。すべての測定はミリグラム単位で湿潤体重に正常化した。 ・統計解析統計解析はチューキークレーマーテストとともにANOVAを用いて行った。2つだけのグループの比較にはStudent's t テストを用いた。
0 notes
Text
「筋膜研究は腫瘍学にどう衝撃を与えるか」 ヘレン・ランジェバンら
マッサージや鍼灸、ヨガなどの補完的かつ統合的な治療は症状の管理や生活の質(QOL)の向上のため多くのがん患者に利用されている。 さらにこれらの治療法は組織のこわばりを減少させ、可動性を改善させることにより、重要かつ現在は見落とされているその他の有用性を持っている可能性がある。 近年のがん生物学の進歩は局所的な腫瘍環境における気都合組織の重要性を強調している。 炎症とせんい化はがんに寄与することがよく知られており、結合組織のこわばりは腫瘍の成長における駆動因子として浮上している。 物理的な療法は結合組織の炎症とせんい化を減らすことが示されているので、がんの広がりや転移にも直接的に有用な効果があるかも知れない。 一方、腫瘍近傍への機械的な力の応用の潜在的なリスクについては現在のところよく知られていない。 したがって全体的な人間の健康と同様、がん生物学における統合的な腫瘍学の衝撃を理解するため、基礎研究と臨床研究の両方が必要である。 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/27729327/ アブストラクトは以上ですが、 最後の一文の訳が変な気がします。 どう訳したらいいのでしょう?
0 notes
Link
女性のメタボリックシンドロームと言われる多のう胞性卵巣(PCOS)を以前からずっと研究テーマにしているスウェーデンのエリザベート・ステナー・ヴィクトリン先生のおそらく最新のレビューです。全文無料でPDFをダウンロードできます。
Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine Volume 2013 (2013), Article ID 762615, 16 pages http://dx.doi.org/10.1155/2013/762615
レビュー: 多のう胞性卵巣症候群:鍼灸の排卵誘発効果とそのメカニズム Julia Johansson1 and Elisabet Stener-Victorin1,2 1Institute of Neuroscience and Physiology, Department of Physiology, Sahlgrenska Academy, University of Gothenburg, Box 434, 405 30 Gothenburg, Sweden 2Department of Obstetrics and Gynecology, First Affiliated Hospital, Heilongjiang University of Chinese Medicine, Harbin 150040, China
要約
多のう胞性卵巣症候群(PCOS)は出産適齢期の女性に最もよく見られる内分泌疾患で高アンドロゲン血症、排卵障害、多のう胞性卵巣 (PCO)を特徴とする。PCOSは排卵が少ないために起こる女性不妊の主たるもので排卵の管理や月経障害は高額なPCOS治療費の1/3を占めている。 出産に関わる疾患への現行の薬物及び外科的治療は効果があるが心血管合併症や多胎妊娠などの負の副作用がある。PCOS女性の月経不順と排卵誘発に鍼灸は 効くとされてきた。興味深い結果にも関わらず(残念ながら)コントロール群のないトライアルが存在するが、このレビューはPCOSの女性での月経障害の調 整や排卵誘発のための鍼のランダム化コントロールトライアルの結果にフォーカスしている。より機械的に説明できる見方が提供できるようになればさらなる動 物実験研究についての議論が行われるようになるだろう。
・PCOSの存在が明らかにされてから既に70年経つが統合的な定義も定まらない状況である。 ・そのために正確な有病率が明らかにならない。6〜15%あるいは20%。 ・これほど多い疾患にも関わらず原因はわかっていない。
・思春期に発症するが胎児の時にはすでにプログラミングされているとも言われている。
・もっとも特徴的なのはインスリン抵抗性で全体の85%にあらわれる。 ・次に多いのが高アンドロゲン血症で多毛、にきび、いくらか脱毛の原因となる。
・この過剰なアンドロゲンは卵巣から分泌されるが、副腎からも分泌される。
・インスリン抵抗性はグロブリンと結合する性ホルモンの産生を阻害するのでより血中アンドロゲン値が高くなる。
0 notes
Link
ス トレッチに反応した結合組織の生機械的ふるまいは細胞外マトリックス内の分子の組成や構築に影響を与える。また線維芽細胞が結合組織の緊張具合の調節に活 動的な役割を演じていることも明らかになってきている。組織の静的ストレッチに反応して数分で線維芽細胞は細胞骨格の活発なリモデリングによって広がる。 この線維芽細胞形状のダイナミックな変化は粘弾性リラクゼーション中に起こる組織緊張の低下に寄与する。線維芽細胞のこの反応は組織への細胞外液の流れを 調節し、マトリックスがストレッチされた時に浮腫を防ぐ。プリン作動性シグナル伝達を含むこの反応のメカニズムをサポートするエビデンスをレビューする。 リンパ液の流れや免疫機能、がんに対する結合組織緊張の線維芽細胞調節についても議論されている。
鍼灸の研究もだんだんこういった細胞生物学的な内容が増えてきてわくわくする。最先端の情報を理解できるようにこつこつ楽しく勉強がんばろう。知っていればいるほど安心して仕事ができる。
0 notes