Tumgik
kei-comodo · 4 years
Text
THE EMO REVIVAL ENDS HERE: THE WORLD IS A BEAUTIFUL PLACE & I AM NO LONGER AFRAID TO DIE MADE A PERFECT INDIE ROCK RECORD
Tumblr media
Writer: Ian Cohen
Original Article: https://noisey.vice.com/en_us/article/ryz5zk/the-world-is-a-beautiful-place-and-i-am-no-longer-afraid-to-die-made-a-perfect-indie-rock-record-with-harmlessness
Don't call 'Harmlessness' emo revival. This is post-emo.
「僕らがParquet Courts *訳注1 とショウをやる、なんてのは無いよ」
Greg Horbal(バンド在籍は'10-'15。現在はライブメンバーからも外れている)は僕にむけて言った。以前、"EMOリバイバル"がトレンドと呼ばれていた頃、僕が行ったインタビューの中でのことだ。今、ソレはシーンになった。結果としてHorbalは自分の発言が含んでいた色々なことと向き合うハメになる。もはや"EMOリバイバル"という言葉はCapp'n Jazzやamerican footballと言ったバンドの雰囲気を伝えていたいくつかのバンド(Snowing、Algernon Cadwallader、Joie de Vivre etc.)を説明するためのものじゃなく、ポップパンクやポスト・ハードコアまでもその身に収めた、言ってしまえばパンクから派生した、キャッチーで、リベラルで、DIYの精神を保ったあらゆるインディペンデントなミュージシャンたち、メインストリームからは弾き出されてた彼らを一つに括ってしまうことだ。かつてTeenage Cool Kidsとしてポップパンクの渦中にいたAndrew Savageを引き合いにParquet Courtsを彼は持ち出したが、一方でParquet Courtsは、彼のバンドがこれからも避け続けるだろうモノをちゃんと引き受けた代表者の一人だ。それをインディ・ロックと言う。
The World Is a Beautiful Place & I Am No Longer Afraid to Die(以下、TWIABP)のギタリスト(そして事実上のスポークスマン)、Derrick Shanholtzer-Dvorakはまず自分たちはどういったバンドかというところから始めた。問題なのは、立ち位置だ──どこのレーベルで、どんなバンドとツアーして、"EMO"バンドと呼ばれること、なによりもほとんどのプレスが、Hot TopicやPete Wentzの例のアソコの写真 *訳注2 がこのシーンに光を当てるまで、どんなに良いバンドでも無視してきたことだ。
バンドは自分たちを囲むものを知ったわけだ。TWIABPや他のEMOバンドがリアルに築き上げたネットのソレよりも広大なファンベースとシーンは、インディ・ロックが他方で無条件に受けられるものには手が届かない。深夜の音楽番組に特集されたり、MatadorやMergeといった御方のおメガネにかなうことも、有名フェスへのブッキングも、その投稿に押し寄せる山のようなSNSの”いいね”も。2013年には奪還へと歩を進めていたEMOのこの新しい波は、それでも懺悔のように自分たちのことを吐き出させるしかなかった。MySpace時代(‘05-‘09頃?)にすらそれを代表するジャンルと言われることもなく、政治的にも世間的にも後ろ向きの見方は変わらないように思えた。ソレはいきなりの事だった――Taking Back Sunday *訳注3 の『Tell All Your Friends』がEMOというシーンの看板として、『Dairy』 や『The Power of Failling』に『Nothing Feels Good』を蹴落として収まった。対して、どこを切り取ってもthe Hotelierの『Home Like NoPlace Is There』や、TWIABPの『Whenever, If Ever』に女の子の話なんか出てこない。それでもバンド自身は、自らにちっとも役に立たない、ジャンルというものを考えなくてはいけなかった。つまり、ちょっと想像して欲しいのはDeafheavenの『Sunbather』のレビューが毎回「DeafheavenというバンドはどうにもBon Joviの様には成れないようだが……」と始まったり、Dirty Sprite 2 が(「Freak Hoe」や「Groupies」といった曲が)女性とはこういうものだよな、っていう扱いの正しさでなによりも評価されるシーンの姿だ。
TWIABPはEMOリバイバル・シーンの代表として扱われていくが、一歩引いてみるとそこにいるのは似たような顔ぶればかりだ。「この世界は美しい場所で、私はもう死ぬことを恐れはしない」っていうキマったバンド名を一目でまとめてIPodに表示するために僕は小さいフォントをダウンロードすらしたんだけど、それを今ここに来たばかりの君に話してもしょうがないのは分かる。初めてこのコネチカット州出身のバンドを聞いた人が漏らす、まぁ散々な発言を認めなくもないーーなんて感傷的だ、やたらと仰々しい、いやなんていうかもう恥ずかしい、(僕はそう思わないけど)Sexwitchや、Neon Indian、Tobias Jesso Jr *訳注4 よりも大声でこんな事を歌うなんて。でも、君が知らないだけでEMOやポスト・ハードコアと呼ばれるバンドはこれまでアもホみたいにシリアスでバカバカしいほどオカシイ名前を名乗っていたし、TWIABPってのもなんもかんも分かった上でのスパイスが効いた名前だ *訳注5 。
彼らのデビューフル『Whenever, If Ever』は #emorevival のタグ付きで語られるものだと世間的は思われてるけど、これまでそう信じて彼らをフォローしてるファンの堪忍袋の緒が切れないかをあの手この手で試してきた。彼らのショウで高まり続けるエネルギーは小さいお祭りじゃ収まらず、時には伝説になりそうなセットリストを生んだりする── Derrickの会場に対する愚痴とハーシュノイズで埋め尽くされた20分とか。SNS上での彼らの振る舞いは陽気だが、同時にイライラする。2014年、スポークンワード・アーティストChris ZizzamiaとのコラボレーションとしてEP『Between Bodies』をリリースしたが、これが二組のアーティストのディスコグラフィーにとって価値のあるものだっただろうか。2015年の『Harmlessness』の発表後、続けざまに公開された二曲が好意的に受け取られたあと、なんか知らないけど馬にキレた彼らは意地の悪いカタチ *訳注6 で「Wendover」をリリースしている。
それでも、このEMOリバイバル・シーンを見渡してみても、TWIABPに匹敵するバンドは思いつかない。世界を塗り替えられる様な可能性を持つその魅力から目を逸らすことはできない。2008年のDeerhoofや2000年代前半のAnimal Collectiveが立て続けにリリースを重ね、その度に止まるところを知らなかったのを僕は思い出す。傑作を生み出すか、その前に耐えきれずに潰れてしまうか、彼らはどっちにも行ける(前例を挙げるならそれこそMineral、Sunny Day Real Estate、Cap’n Jazz、the Promise Ring etc. のヒストリーを追うといい)。
その結果がここにある。『Harmlessness』という偉大な一枚だ。EMOだの、インディだの、ポップパンクだのうるさいバリケードをぶち破り、2004年に『Funeral』や『Futures』を聴いていた奴らに語りかけ、DesaparecidosとBuilt to SpillとBrand NewのそれぞれのRIYLに名前をサインして、RefusedやGodspeed You! Black Emperorとはまた違うカタチでこっちをアジってくる。
だから、こんな事は今更なんだけど、『Harmlessness』は君の最低な一面にも等しく降りかかる、妥協なき、壮大な、感傷的で感動的なロック・ミュージックをここまで追い求めて鳴らすなんて!? 分かるかい!? これはとんでも無い事だ。バンドが願ったのは、当たり前だからこそ際立つ、自らを語ること、それを響かす場所も相手もいないかもしれないのに! Pianos Become the Teethの『Keep You』、Foxingの『The Albatross』、the Hotelier『Home Like NoPlace Is There』、Joyce Manor『Never Hungover Again』、そうだな、Restorationsの『LP3』にCymbals Eat Guitarsの『LOSE』もカウントしよう、ここ数年でリリースされた特筆すべきEMOのアルバム、セントリスト的ヴィジョンを備え、有り余る情熱とセンスでもってFest *訳注7 の存在も知らず外側で突っ立てる奴らを引き寄せてしまうサウンドだ。
ここまで僕はほとんど彼らのサウンドについて話そうとしなかった。当然だ、アルバムを流しながら少なくとも一分間に1回は未だこっちを向かないヤツに僕は「おいおい、これでもまだ『まぁ、イイ感じだよね』なんて言うのかよ?」って叫んでしまうだろう。「Mental Health」〜「Wendover」〜「We Need More Skulls」の中で、シンプルな弾き語りが、アメリカ北西海岸のインディの流れが、砂煙をあげるメタルが、Bright Eyes、Modest Mouse、Jesu のここ10年のベストソングに匹敵するものが生まれているんだ。もう一度僕が書いたことを読んでみろ、これはわずか、そうたった10分ぐらいの出来事だ。
一番大事なことを書こう。『Harmlessness』はノスタルジアのゴミ箱でも、EMOやインディ・ロックやその他あれやこれやの思い出の為のアルバムじゃない。2015年という時代をTWIABPは生きている。溢れかえる性犯罪への暴力的な報復について問いかけ(「January 10th, 2014」)、僕らの食生活を語り(「The Word Lisa」)、現代資本主義の中でクリエイティブ職が直面する困難を教え(「We Need More Skulls」)、絶望の中にそれでも光を探し(「I Can Be Afraid of Anything」)、本当の意味で「汝が隣人を愛せ」と告げる。これにブチのめされるか頷くかは、それこそ君はどうなのか? って話だ。
『Harmlessness』の5曲目、自らのバンド名にも匹敵する、インディ・バンドのあるべき姿を指し示すタイトルが掲げられている。「Rage Against the Dying of the Light」。アルバムの他の曲がそうであるように、頭でっかちに音楽を理論で語りたがるヤツをも飲み込むほど濃密で、複雑で、クラクラするほど魅力的だ。FugaziがカバーしたArcade Fireの「Neighborhood #2 (Laika)」みたいな? いや、どうあれ僕は聞いたことのなかったサウンドに出会った。一方で他に今のシーンで例えが思いつかないほど力を込めて、18〜22歳くらいまでの子たちの一番ナイーヴな場所をこの曲はえぐる。Rage Against the Machineを茶化しているようなタイトルだけど、相手は二大政党��というデリケートなテーマに出会った学生たちにとってシャレにならないほどシリアスなバンドだ。Bello、そしてあと6人くらいの声が吠える「僕らはこの火をどこまでも高く掲げる、彼らが全ての光を奪うなら僕らは歌う『僕はここにいる、僕は大丈夫、僕は黙らない、僕は諦めない』」。十分なアピールだ。かつてRageに灯された火はまだ胸の内で燃えている? 君とこの世界を照らしている光について考えよう。もし、それが亡くなってしまうとしたら? 君はそれでも「より良いもの」の為にもう一度火を起こせるだろうか? the Cureや、Thursdayのアルバムを聴いた時の感情がまた震えているのは偶然じゃない。分かるだろう? 妥協なき、壮大な、感傷的で感動的なロック・ミュージックに何ができるのか。
しつこいくらいに長々と僕が書いてきたことは、EMOリバイバルがどこまで辿り着けたかだ、まだこれでも世界は彼らを知らなすぎる。TWIABPがリリース・プロモーションの初期に送ったメールに"post-emo"という言葉があった。以降のメールやプレスからは消されてしまったけど、僕はその言葉をとっておいて欲しい。EMOリバイバルというお祭りはここで終わりだ。なんせ、シーンを代表するバンドが作り上げたのは2015年最高のインディ・ロック・ミュージックなんだから、おしまい。
訳注1 Parquet CourtsはFergus & Geronimoを解散し、ブルックリンへと移ったAndrew Savage(ヴォーカル、ギター)を中心に結成されたインディ・ロック/パンク・バンド、結成はブルックリンだが、他のメンバーとの出会いは以前のバンド Teenage Cool Kidsとして活動してたテキサスで音楽的にもノイジーでパンキッシュなスタイルを引き継いでいる。バンド結成後はほぼ毎年ツアー、レコーディング、アルバムの発表を繰り返しており、最新作は2018年にDanger Mouseをプロデューサーに迎えた「Wide Awake!」。
訳注2 Fall Out Boyのベーシスト Pete Wentzが2006年のニューヨークでのシークレットショウ後に行ったパーティでの彼のヌード写真がネットに流出し、世界中のゴシップ誌に載り、ごじつバンドのHPに声明を上げることとなった。当時バンドは代表作の一つ「From Under the Cork Tree」の成功があったもののWentz自身は双極性障害の鬱にも苦しめられており、自殺を示唆しバンドを脱退しようと考えていたと次作「Infinity on High」発表時のインタビューなどで述べている。
訳注3 ニューヨーク州ロングアイランド結成のTaking Back Sundayが2002年にリリースしたデビューアルバム。レビューサイドからの評価も高く、Drown in Soundの2002年ベストをはじめに様々なベストEMOアルバム・リストに名を連ねている。とは言え、ハイプされた存在というわけではなくこの頃のツアーではBrand New、Rufio、The Used、Rival School、The Blood Brothers、Saves the Dayといった00年代EMO、スクリーモのバンドと対バン、共にWarpedツアーもこなしており、シーンの認知に寄与した存在として扱われている(”EMOシーンのHybrid Theoryと評したサイトも)。
訳注4 SexwitchはUKのブライトンで結成されたバンド TOYとBat for Lashesとしても活動するNatasha Khanとのコラボ・プロジェクトで中東(モロッコ、トルコ、イラン)のカバーを収録したEPを2015年にリリースしている。Neon Indianはメキシコ生まれテキサス育ちのAlan Palomoを中心としたバンドでチルウェイブ・シーンの注目アクトとしてデビューしたがAlan当人が語るところでは自身が幼いころ流れていた音楽(80年代末~90年代初頭のシンセポップ)のアップデートだと言う。Tobias Jesso Jrはカナダ、ノース・バンクーバー出身のSSW、2015年に発表した「Goon」が年末のベストアルバム・リストに名を連ねた他、Adelと共作の「When We Were Young」やSia、Adelとの共作として「Alive」がある。ここにおける個々の引用の意図としては2015年でのリバイバル・シーン、フォークと背後にある悲劇的なバックボーン/ストーリー、多文化共生的なアプローチの最もポップな面の比喩だと訳者は解釈している。
訳注5 この記事のリンクで語られるエピソードとして、TWIABPのバンド名は創設メンバーの一人 D.Shanholtzer-DvorakがThomas Diazのガレージで見つけた雑誌の付録「whale sounds」にギターとオルガンのセッションを重ねるバンド遊びの際にShanholtzer-Dvorakが名乗ったのがきっかけと語られており、その由来の一つとしてNeva Dinovaが2005年に発表した「I’ve Got A Feeling」の最後の言葉「The world is a shitty place and i can't wait to die」を挙げている。
訳注6 アルバム「Harmlessness」のリリース前にシングルカットされた「January 10th, 2014」と「I Can Be Afraid Of Anything」の後に、彼らは「僕がこの前出会った馬にとってはこのアルバムは限りなくアンチ馬な仕上がりだ」の宣言と共にharmlessness.horse というサイト上で「Wendover」の逆再生バージョンをアップロードした(現在はサイトごと削除されている)。
訳注7 Festは毎年フロリダ州ゲインズヴィルで10月末の4日間にわたって市内の複数の会場を使って行われるインディ/アンダーグラウンド・シーンに特化したフェスティバルでここ数年のラインナップは300組を超え、参加者も2万人の規模だが、会場のセッティングやブッキング、マーチなどはDIYの精神を保っている。
0 notes
kei-comodo · 5 years
Text
ずっと聴いてるアルバム 10選 in Walkman
友達の記事に感化されて、久々の更新。皆さんもずっと聴いてるアルバムってありますよね? もうちょっと詳しくするなら、ウォークマンにずっと入ってる、みたいな。あなたはもしかしたらスマートフォンにまとめちゃってたりするか、車のプレイヤーだったりするかも知れないけど、まぁこれは僕の話だ。高校以来のウォークマン党である僕は常に8G、32G、64G…etcに何を入れるかを常に悩んできた。これはストリーミングが流行るまでは音楽好きには共通の悩みだったと思う。ムーアの法則だ。でも、まず最初に入れるアルバムたちがきっとあなたにもあるはずだ、そしてこれが僕のリストだ。一緒に聴いてくれ。
※欲しいなら買えってことで、Discogsを基本タイトルリンクに仕込んでます。並びはアルバムタイトル順にしました。
長谷川健一 - 20100516 UrBANGUILD
youtube
一枚目からディープですが、京都出身のSSW 長谷川健一、彼のインディー期の名曲や名演は大体ここで楽しめる、と思ってるライブ盤(たぶんまだ会場で買える)。もう一昔前なんでこの頃とは表現が変わ���てしまった曲や今では滅多にセトリに載らない曲なんかもぽつぽつとある。とは言え、彼の曲の中でもトップ3に入るほど好きな名曲「夜明け前」のベストテイクはこの中に入ってるんで、ぜひ手に入れて聴いてくれ。客の出すノイズや咳が気にならないほどに歌詞とメロディーを追っている自分に気付いたらあなたに最高のうたが届くから。
youtube
youtube
american football - american football
youtube
このバンドに何かを言う必要がこれ以上あるのか? でも、昔はみんな知らなかったんだ。00年代中盤に音楽にはまったやつらが大抵クチコミ/人づてに聴いて、世界でこんなに寂しいバンドを知ってるのは自分だけじゃねえかと思うんだ。#1 never meant や、#3 honesty? を聴いてヤバいもんだって思って奴らが、この #8 stay home ~ #9 the one with wurlitzer で取り返しのつかないところまでイクんだよ。号泣必死のホーンが鳴るまでは泣くんじゃねぇぞ、あの子はもうここにはいねぇんだ!
youtube
KEXP live
youtube
Carbonne Di Pizza Manring - Carbonne Di Pizza Manring
youtube
Yves Carbonne(伊)、Dominique Di Pizza(仏)、Micheal Manring(米)の凄腕ベーシスト達の共演/競演、この前情報だけでまず聴いて欲しい。ベースってなんでもできるんだなって思うから。どいつもこいつも圧倒的なテクニックの上に自分のしたいことをぶっこんで来るからお上手、なんて言ってられない。音は飛び跳ね、ぶつかったりからまったり、寄り添ったりしながらゆれて上下する、時折きらめき、気付けば深く沈む。この後にはもちろんそれぞれの関連作やソロアルバムにいくんだよな、君も!?
youtube
Micheal Manring-Selene
youtube
Oasis - Familiar To Millions
youtube
みんな大好きオアシス! そのオアシスが史上最強のバンドだった頃のウェンブリースタジアムに7万人を集めて、その圧倒的存在感で全てを飲み込み、みんなで歌う! 歌う!!! オアシスと言ってらこれを聴け! みたいな企画に上がること必至の曲が余すところなく並び、マイクから飛び込んでくる「Don't Look Back In Anger」の大合唱を聴こう。こんな凄いモノ聴かせられて彼らのファンにならないならそれはもう不感症だ、諦めてくれ。
youtube
youtube
Rika - How to Draw a River, Step By Step
youtube
youtube
オーストリア・ヴィエナ出身のEMOバンドの現状唯一のデビューフル、#5 Safety Points ~ #6 Ultramarine Blueが最高過ぎるんだが、ラストでそれを倍増させた #9 Treasure ~ #10 Deperture が待ってるんで撃墜必死。15年のEPを最後に目立ったツアーや活動はないものの、まぁ気長に待ちましょう。音楽は世界中で鳴ってるんだから。
youtube
youtube
RADWIMPS - RADWIMPS3 ~無人島に持ってき忘れた一枚~
youtube
youtube
もう説明の必要がないくらいの日本の音楽シーンを支えるバンドとなった彼ら、のメジャーデビューアルバム、作品としては3枚目。高校生の時に出会いブッコんでそらでメロディーが流れるほど血肉になって少し忘れてる間もウォークマンの隅でずっと待っていてくれた、ってのがこの前「天気の子」を経て帰り道に流した時に思ったこと。
youtube
Christian Kleine - real ghost
youtube
ドイツ出身のプロデューサー/コンポーザーの2ndアルバム。00年代の最良の電子音楽レーベルであったCITY CENTRE OFFICEからリリースされた。正直最初僕は「ghostwriting」のシンセを切り裂いて暴れまわるギターが最高に好きだったんだけど、気付けば彼のレトロシンセやHIP HOP好きなセンスが顔をのぞかせる #6 handsome used や、一分ごとにループしながら景色と色彩を変える #9 tastetouch に耳が行くようになってからはもはや殿堂入りです。
youtube
Longpigs - THE SUN iS OfTEN oUT
youtube
UKのシェフィールドで結成されたロックバンドのデビューアルバム。全てを飲み込み燃え盛るRichard Hawleyのギターと、己の身を引き裂かんばかりに歌い、吠えるCrispin Huntのヴォーカル、これが最高過ぎるから細かいことはいいんだ。聴きながら何もかも失っていく気がするけど、僕たちは本当は何も持ってなかったんだから、それでいいんだ。
youtube
あぶらだこ - あぶらだこ(青盤)
youtube
2009年のワンマン以降は目立った活動なく、実質解散状態なアンダーグラウンド・パンクの代表格の自主発表の2nd。1st「あぶ��だこ(木盤)」で確立したポリリズムと変拍子が楽曲としての構成を破綻ぎりぎりまで追い詰めながらも要所でしぶき、輝くヒロトモのヴォーカルと歌詞が言霊のように美しい一瞬を作る。特に #4 祝言 とラストの アンテナは絶対 が泣かせにくる。
youtube
古明地洋哉 - 夜の冒険者
youtube
今度出るニューアルバムが死ぬほど待ち遠しいSSWの日本コロンビアからの最後のアルバム。収録曲のほとんどが刺さるんだが、日が沈んだ後にしか聴きたくないためそんなに再生していないことをここで告白しときます。一晩で5回リピートとかはしたけど。当分は聴けなそうな #7 マルテ のバンドアレンジが死ぬほど好き。「君の心臓にふれてもいいかい / 君の心臓にキスしてもいいかい」って僕も言いたい。ネットに上がってる曲が極端に少ない人なんで、他のアルバムからの曲も貼っとく、でも月一で阿佐ヶ谷harnessでワンマンしてるから気になった人はまずそこに行こう!
youtube
ニセモノの銀河 (壊れかけのテープレコーダーズ cover)
youtube
・最後に──
ここまで絞り込んで十枚も持ってる人間なんで、他にも話したいアルバムはあるんです。それはまた次の機会に気が向いたら。それまでの間はあなたの話でつないでください。言葉にしたら消えちゃうこともあるけど、口に出さないと通じないものもあるから、ね。
1 note · View note
kei-comodo · 6 years
Text
Mineral's First Song In 20 Years, 'Aurora,' Feels Like A New Dawn
*I didn’t own any copyrights about it, so if it’d bother someone, send me message please.
Tumblr media
Writer: Lars Gotrich Original Article: https://goo.gl/V4q1aT
Mineral、EMOの至宝はようやく日の目を見たと言える。90年代にEMOにハマった君が友達との会話やファンジンで、Sunny Day Real EstateやRainer Maria、Jimmy Eat World *訳注1 のアルバムの後にお決まりの2枚──「The Power Of Failing」と「EndSerenading」だ──がIf You Like Itで紹介されてるときの気分だ。そして、君がMineralに心奪われた後に知るのは’97年に、「EndSerenading」を残して、彼らがもう解散しているという事実だ。Chris Simpson(ヴォーカル、ギター)のロマンティックな希望とココロの軋みを伝える感情のままなファルセットも、Scott McCarver(ギター)の爆発するギタープレイも、Jeremy Gomez(ベース)とGabe(Gabriel) Wiley(ドラム)のガラス細工のように輝くパンキッシュなリズムセクションも、すべて過去のものだと知るわけだ。
「ぼくはそんな話ばっか聞かされてたんだよ」、NPRのインタビューでChrisは笑った。
もう一年もMineralを観ていない、とぼやく僕みたいなファンにも彼は優しい。実のところ、オースティン出身の彼らが再結成し、US、ヨーロッパ、日本、オーストラリアでツアーを行ったことは、Mineralのライブを観たことがないファンだけではなく、「EndSerenading」の曲をライブで聴きたいと思っていたファンにとっても初めての機会だったんだ。
だから、ここでもう一つサプライズを言おう。バンド結成25周年を祝って、彼らはワールド・ツアーをもう一度巡り、「One Day When We Are Young」──当時の貴重な写真、手書きの歌詞、当時のシーンを振り返るインタビューが詰まった──56ページの一冊をリリースする。おっと、もう一つ言い忘れてたことがある、20年ぶりの新曲、(このページで先行プレミアの)『Aurora』と『Your Body Is the World』が入った10インチも付いてくるんだ。
youtube
『Aurora』は僕らが馴染んだフィールドで軽やかに、そしていつまでも踊り続ける。頼りなさげなリフとアルペジオの舞台は、唐突にディストーションの爆発に飲み込まれる。はしかのような熱さ、そうだ、これがMineralのサウンドだ。バンドのディスコグラフィーで最長の8分という時間が瞬く間に溶けていく。
「ぼくらがもう一度全員でプレイしてみたとき、どうしてもそれはMineralっぽく鳴らなかったんだ」と、インタビューでChrisは語った。バンドの新曲として発表するモノとはなんなのか、そして、Mineralというバンドの本来のサウンドはなんなのか? だけど、その一方で彼は僕の妄想を心地よくくすぐってみせたんだ。
*以下、インタビューの一部を抜粋しています。
Lars Gotrich(以下、Lars): ──90年代に新しいバンドを見つけるという時はどういう方法だったんでしょうか?
Chris Simpson(以下、Chris):  ほとんどが人づて、だね。MTV、例えばAlternative Nationや、120 Minutesみたいな番組、がときどき新しいものを教えてくれる感じだった。Jane’s Addictionは間違いなくソコからだったし、Smashing Punpkinsもそうだった。だけど、一旦Mineralとしてツアーに出てしまえば頼れるのは口コミだけだった。
Lars:90年代後半、僕は高校生で、しばしば頼っていいたのがアルバムのライナーノーツでした。アルバムのThanks欄に載っている知らないバンドは、ほぼ全て追いかけていました。そう、最近思い出したんですが、僕が初めてMineralの名前を知ったのは、PhantasmicとFluffy *訳注2 のスプリットのライナーノーツにバンドの名前があったからなんです。
Chris:すごいじゃないか⁉ えーっと、それはMineralの活動初期のツアーだと思うんだけど、僕らが初めて東海岸へ向かったときのことなんだ。GabeはMineralでドラムを叩いてくれているけど、PhantasmicのTess Wiley(ヴォーカル、ギター)はGabeの妹なんだよ、それで彼女がツアーに向けて付いてきてくれるバンドを探しながら、JeremyとGabeはバックバンドとして連れて行こうとしていたんだ。僕らは「ツアーか何かしようぜ」って思いながら、まだ何もできていなくて、それならと思って彼女と一緒に回ることにしたんだ。
当時TessはFluffyのChris Colbertと付き合っていて、ぼくがベースで、彼がドラム、Tessがギターをプレイしていたね。ぶっちゃけた話、ぼくらがそうやってFluffyでプレイしていたのは、最終的にConerstone *訳注3 に出演するためで──ぼくにとってもそれが最初で最後のConerstoneへの出演だったんだ。
Lars:それはいつ頃のことですか?
Chris:たぶん、96年のことだと思う。
Mineralのレコードはもうリリースした後で、ハマったっていう沢山の人に会えるのが最高だった。だから、当時のショウはすごく楽しかったし、Mineralを懐かしく思っていたよ。イリノイ州でのショウの後、ここ、オースティンのEmo'sまでドライブしたことはまだ覚えてるんだ──Mineralでまたやれるってのは感無量だよね。
Lars:ヴォーカルについて話を聞いてもいいでしょうか? 2014年のツアーで僕が一番気になったことは、これまでのZookeeperとしての活動とMineralをどう区別をつけて、かつての曲を歌うんだろう、ということでした。これまでかなりの数、あの頃の歌詞についてはインタビューで伺ってきたと思いますが、かつての咽ぶような声についてはどうなんでしょうか?
Chris:実際の話、いざ昔のMineralの曲を歌ってみたら大した問題じゃなかったんだ──だろ? それほど劇的な違いをヴォーカルに感じなかったんだ。ぼくらがバンドとして話して、最初のほうに決めたことが、ツアーを回るときに昔の曲に新しいアレンジをほどこしたりしないってことだった──たとえ、今のぼくらがどうであれ──かつての曲をそのまま��ろうって。なんたって、当時Mineralを知っている人たちのほとんど、今でもそうなんだけど、彼らが知ってるMineralはレコードにいるんだ、そしてソレを聴きたいから来てくれるんだから。
Lars:Braidやamerican football *訳注4 がそうであるように、僕にとって10代のころを共に過ごしたEMOバンドを観れるというのは素晴らしいことで──単にリユニオンということではなくて、また魅了される感覚です。Mineralがいま、新しい曲を書くというのはどういう事だと思いますか?
Chris:そうだな、ぼくからしたら同じことなんだ。あの頃、ぼくらは皆まだ20代前半で、毎日顔を合わせて、どっかにいって、音楽をプレイするって以上のモノが無かったんだよ。今はそれぞれの仕事ってのが多少そこに加わってるけど、もう一度全員でプレイしようってなったときに、曲を書こうってときにも、ちゃんとしっかりとしたアイディアが必要だって思ったんだ。でも、それも同じことだ。根っこの部分にあるのは、かつてと同じように、自分自身に正直な音楽を作ろうってこと。
Tumblr media
Lars:新曲『Aurora』は過去のサウンドそのままのようであり、その先を示しているようでもあります、曲と歌詞の両方の面で。この曲のもとになったものは何なんでしょうか?
Chris:実際のところ書いてみたい、と思ったところから始まってる。ほとんどの工程は楽だった、最初のほうは特に。ただ、書きたかったのは単なる新曲じゃなくて、Mineralの新曲なんだ。
Mineralの時期、ぼくはその頃だけ使っていたチューニングがあって、もの凄い変則チューニングってわけじゃないけど、the Gloria RecordやZookeeperの時は基本的なチューニングだけだったから、それ比べればって話で。だからまずはそのチューニングに戻してみることにして、あの頃のサウンドってものに近づいてみようと思ったんだ。
ぼくたちは今年の9月にレコーディングをしたんだけど、その作業のほとんど、85%は『Aurora』のアレンジをどうするかってことだった。ぼくはそれが一番大変なパートだったと思う、まずなにより、かつての自分たちに戻ってみようと思ったんだ。みんなでまた一緒にジャムをしてみると、それぞれのサウンドやプレイは昔のままって言えた。だけど、ぼくらがもう一度全員でプレイしてみたとき、どうしてもそれはMineralっぽく鳴らなかったんだ。
Lars:曲の真ん中であなたは「アウロラ、アウロラ、御子よ、赤子よ / 驚くほど大きな光が道端の花の上に輝いている(Aurora, Aurora, a child, a babe / A blue yawning glow upon flowers of the alleyway.)」と歌っています。かつてのMineralを思い出す歌詞だと思います。この『Aurora』になにか特別の意味はあるんでしょうか?
Chris:この曲のテーマは、ぼくにとっては、夜明け(Dawn)について──新しい日の新しい始まりのことだ。最初のほうに書いた歌詞の一つで、このパートは「Hosanna, Hosanna, a child, a babe」だった。まぁその後で語感や意味としていまいち気に入らなかったから、止めにしたんだけど、リズムとメロディーは好きだったから、何か別な言葉をはめてみようとしてみたんだ。ぼくにすごく具体的なモチーフがあるわけじゃないんだよ。
「アウロラ」の一言が出てきたとき、まるで下りてきたような気分だった。そもそもの意味は「夜明け」からとっているんだ、そうなってみたら「これがこの曲で描くすべてだ!」って気分なんだ。実際、曲は名前そのまま──『Gloria』みたいなサウンドだけど、特定のモチーフがあるわけじゃない。
Lars:いま、「Hosanna *訳注5 」という言葉が出てきたのは興味深いですね。かつてのインタビューで、あなたのキャリア初期の音楽はスピリチュアルなテーマとの格闘だと言っていたのを覚えています、そこに立ち返ってしまうことは避けていて、それをもっと一般的なレベルで受け入れていこうと。今回の『Aurora』を制作する際のアプローチも同じなんでしょうか?
Chris:かつてのぼくがそうであったように、追い求めるということに戸惑いはないんだ。でも、年月を重ねる中で分かってきたのは、ぼくはどうやらクリスチャンには──Mineralの頃のぼくが思っていたようには──なれないこと。それが「信じる」に適うとはもう思えないんだ。
Lars:たけど、スピリチュアルなものを追い求めていることには変わりない、と。
Chris:そうだね、いままでもそうだったしこれからも変わらないと思う、でも、それはいつも何か神秘的なもの追っかけて、おっ、コレが今週のパワーストーンか! みたいな話じゃないよ。ただ、ぼくはずっとスピリチュアルなテーマの根っこにあるものが大事だと思っているんだ。
Lars:夜明け、という意味での『Aurora』、これは何か特定の出来事に影響されているんでしょうか? それともMineralの頃、そうであったようにあなたの中にあるアイディアを追い求めた結果なんでしょうか?
Chris:うん、たぶんそっちだと思うね。Mineralの曲は、いつもぼくが手に入れたいと思ったり、抱えていたものが言葉を超えてカタチになった──ソレを書くっていうのは求めながら、感情に色をつけるたった一つのやり方なんだ。でも、それをただ真っ直ぐに言うんじゃなくて、象徴的なモチーフや詩的なカタチにすることで、よりソレは映えることがあるって僕は思う。たとえ君がソレを知らなくて、やったことが無くても、届くものがあればいいんだ。ラジオの波長を合わせるみたいに、ハマったなら上手くいったってこと。
訳注1 Sunny Day Real Estate、Rainer Maria、Jimmy Eat Worldはいずれも90s EMOを代表するバンドであり、EMOリバイバルと呼ばれるシーンと前後して、(Jimmy Eat Worldを除き)それぞれ再結成と新曲の発表を果たしている。また以前のインタビューで語られているが、Mineralの再結成をそもそも持ち掛けたのがJimmy Eat WorldのJim Adkinsである。
訳注2 Mineralのドラム Gabriel Wileyの妹、Tess WileyがSixpence None the Richerから脱退した後に結成したバンドの一つ、本文でも言及されている通り、Gabriel WileyとJeremy Gomezが参加している頃の録音がこのスプリットに当たる、がバンド活動はカバーアルバムの「I Light Up Your Life」を最後に終了している。クリスチャン・ロックバンドであるBreakfast with AmyのギタリストだったChris Colbertが同バントから脱退後、結成したのがFluffyだが、96年の Phantasmicとのリリースの辺りにはバンドのオリジナルメンバーは彼だけだったようだ。
訳注3 Cornerstone Festivalは1984年から2012年までJesus People USA主催によってイリノイ州で開催されていたクリスチャン・ミュージックフェスティバルである。 歴代の参加者として前述のSixpence None the RicherやAmy Grant、Jars of Clayがおり、ジャンルとしてもカントリー、ポップ、インディロック、パンク、メタル、ハードコアまでカバーしており、Warped Tourに参加したバンドがこちらに参加することもあったという。
訳注4 Braid、american footballの両バンド共に紹介する必要がないほどのEMOシーンの重要バンドだが、どちらもイリノイ州出身のバンドであり、共に17年ぶりとなる新作アルバム「No Coast」と「American Football(2nd)」を2014年と2016年にリリースしている。
訳注5 Hosannaは「save, now(どうか、お救い下さい)」を意味するヘブライ語であり、旧約聖書において残り、アーメンやアレルヤと同じ現代でもキリスト教で使われるヘブライ語の一つ。聖書においてはイエスのエルサレム入った際に使われる言葉であるが、訳者の理解としてこの言葉の視点はそれを叫んだ民衆にあるとして、本文中の日本語訳もそれに沿うように訳してある。
・最後に──
Mineral(1994-1998, 2014-2015, 2018-)です。20年ぶりの新曲ですよ!!!!!!!
信じて待っていた甲斐があったってものです。
再結成後のインタビューで、何度か新曲については訊かれ、ジャムだとか、可能性の話はしていましたが遂にカタチになりました。しかも、25周年ツアーというおまけまでついて!!!!!!! もう皆さんチケットはポチりましたか? 一緒に発売される「One Day When We Are Young」もファンアイテムとしてはマストなクオリティですよ?
Twitterで曲に関しては、つぶやいたのでここでなにかを言うのは野暮ってもんでしょう。
さぁ、夜明けが待っています。
youtube
0 notes
kei-comodo · 6 years
Text
The Political is Personal for Japan’s Xinlisupreme
*I didn’t own any copyrights about it, so if it’d bother someone, send me message please. 
 Writer: Patrick St. Michel  Original Article: https://daily.bandcamp.com/2018/04/18/the-political-is-personal-for-japans-xinlisupreme/ 
Tumblr media
 今この国で多くの人がそう思っている、2011年に東北を襲った東日本大震災と続く福島第1原発事故によって日本という国のエネルギー戦略は大丈夫なのか、と。オカノ・ヤスミもその一人だ。 
「あの震災が起こるまで、日本の政治家、電力会社は『日本の原発は世界一安全だ』と繰り返していましたし、私もそれを信じていました」西日本の端っこ、大分の自宅でオカノは語る「しかし、あの地震と津波を受けて福島第1のメルトダウンが起こり、投票という行為だけで政治を代表者に任せておいてはいけないことに気付いたんです」。 
オカノは2001年から始まった彼のソロプロジェクト Xinlisupremeを通じて日本の政治に対する怒りを表していく。それがカタチを成したのは、2015年の初頭、安倍晋三首相による安保法案の見直しに対する彼の燃え盛る批難が曲を貫いたときだ。首相官邸前デモに端を発する声からインスピレーションを受けた歌詞を据えて、大分の家でオカノは刺々しいロック・ナンバーをレコーディングした。歌われていることは一行だけだ、その赤裸々な、オカノの気持ちを真っ直ぐに掲げ、残響の中で繰り返される一曲──「I Am Not Shinzo Abe」。 
Tumblr media
I Am Not Shinzo Abe by Xinlisupreme
オカノは言う──「自分が政治、社会になにを望んでいるのかを知らなくてはいけなくて、その為に声を挙げ、問いかけ、話し合い、歌って日本の政治を変えたいんです」。 
2002年のXinlisupremeの記念すべきデビュー・フル「Tomorrow Never Comes」に続く正式なアルバムとしての「I Am Not Shinzo Abe」を自主制作としてリリースした理由の一つがそれだ。「Abe」は彼が世界中でファンを獲得したこのプロジェクトの要素をほとんど変わらずに含んでいる──ノイズ、シューゲイズ、エレクトロニック・ミュージックが重なり合い、溶け合って不協和音と精神統一の渦の中で絶えず揺らめいている。アルバムの全てがポリティカルではないが、オカノはアルバムという表現を日本政府に対する声として扱っている。Xinlisupremeのオフィシャルサイトは彼の音楽よりも彼が語っていることのための場であり、そこにはプロデューサーもレーベルも持たないこのアルバムのリリースが関わってくる。
 Xinlisupremeとして、オカノは新世紀の頭から活動を始めた。彼の以前の所属レーベル、FatCatは2002年のリリースの紹介として「デモを鳴らした瞬間にオフィスの何もかもが吹っ飛んだと思った、ギターを使ったトラックとして我々が聴いてきた中でも最も素晴らしい作品の一つ」だったと言い、Xinlisupremeのデビュー7インチと1stフルをリリースする。特に後者は英語圏で高く評価され、PitchforkやStylusなどがレビューを寄せている。だが、ここでひとつ誤解を解いておきたい。彼らはデュオではない、最初からずっとオカノのプロジェクトなのだ。 
「Xinlisupremeはずっと私個人のものでした」オカノは言う「FatCatがアルバムリリースに伴うツアーとPeel Sessionへの参加を求めてきたときに、私はパフォーマンスの為にタカユキ・ショウジにメンバーとして参加を依頼しました。結局のところ、そうしたツアーは全て行われず、私たちはほどなく別れました。しかし、それはFatCatが二人組のユニットとして発表した後で、世界へXinlisupremeはデュオとして知られていきました」。 
オカノのプロジェクトとして完成された「Tomorrow Never Comes」はより印象的なものとなった。安易なカテゴリーにハマりはしないが、"Japanoise"と呼ばれたMerzbowやHigh Riseとの関係、My Bloody Valentine、Suicide、そして世紀を跨いだIDMとの類似性は指摘できる。Pitchforkの50th Best Shoegaze Album Everに選ばれながらも、「おそらくシューゲイズで最も素晴らしいものから一番遠くにある作品」と述べられ、だからこそボーダレスな作品が現れる未来を透かしていたとも言える。インダストリアルなビートが金切り声を上げるギターとぶつかり合い、一転フィードバックに塗れてなお甘いピアノへと紡がれる。新世紀の始まりを告げるベッドルーム・ワークの傑作。
Tumblr media
 オカノが挙げた抗議のきっかけはデビュー・フルに続く「Murder License」──アメリカのイラク侵攻に対してリリースされたミニアルバムから見ることができる。サウンドは更に混沌となり、技法は直接的になった。アメリカ国旗がカバーアートに踊り、ジョージ・W・ブッシュ元大統領がインナースリーブに印刷されている。「I Am Not Shinzo Abe」はこうしたポリティカルなリリースから辿り着く当然の決着だろう。 
「3.11以降、日本全国を揺るがしていたデモをどうやったら音楽にできるのかずっと考えていました」。2015年の前半、オカノが曲中で叫んだ"I Am Not Shinzo Abe"は日本のツイッターでトレンドになる。15年上半期に発表された曲は音楽サイトNatalieに取り上げられ、そのツイートを、学生主体の活動組織 SEALDsがリツイートした。 
オカノ自身はそうした抗議活動への熱意を自覚する。「Xinlisupremeとしての活動より、安倍晋三を中心とした組織、原発、そして差別への抗議活動に参加したいと思ったんです」と、オカノは述べる(彼は最近、沖縄の在日米軍移転の活動に重心を置いている)。しかし、共に活動する人々が彼の静かに燃え立つ「Seaside Voice Guitar」を聞き、感心するのを見て、彼は退いた音楽の道を考え直す。「彼らは私がXinlisupremeとして活動することを望んでくれました、それが『I Am Not Shizo Abe』を今こうしてリリースする理由でもあります」。
 Xinlisupremeの最新作はオカノが続けてきた静から動のダイナミクスを保ちながら、かつて日本のレーベル Virgin Babylonからリリースした作品も再録されている。それらは引き裂くようなノイズ・ロック(「Zouave’s Blue」)や、煙って見通せないドリーム・ポップ(「Oh Yeah」)のどちらの質感も抱えたままだ。それでもこのリリースの目的は明確な政治性を表している。「I Am Not Shinzo Abe」というテキスト、安倍晋三首相自らを巻き込んでいる未だに議論の止まない問題に沿うようなリリース。そうしたものが「I Am Not Shinzo Abe」とYGの「Fuck Donald Trump」を結び付ける──比喩も脚色もない、激情に満ちた宣言だ。
 オカノは性差別、LGBT、人種問題についても同じように政治的に広げていきたいと語っている。
 オカノは言う。「日本の政治の変化は、アーティストと呼ばれる一人ひとりが自分の意見を表すところからしか始まりません。声にしてみましょう、全てはそこから始まるんです」。
0 notes
kei-comodo · 6 years
Text
2017 BEST ALBUMS OF THE YEAR (11 - 20)
ここから後半の10枚、とある目線のディスコグラフィー。
11. oso oso - the yuahon mixtape
youtube
ニューヨーク州ロング・ビーチ出身、ぴっちではIanにフックされ、'18年にはTriple Crownからリイシューが決まったニュー・スター Jade Dimitriによるパンク/EMOプロジェクトの2ndフル。今年のシーンを名実ともに代表する一枚。くっきりと感じる ‘90s EMOの息吹と、00年代インディのセンスはやっぱり最高。the Promise Ringの「Nothing Feels Good」以降と同じノリの #3 the walk とか、メロディック・パンク的なイントロから気付けばインディ・ポップの門を叩く #11 the plant mouth なんかを聴くとニヤケが止まらない奴は同類。歌詞のリリカルさが抑えきれず爆発するセンスも好き。ベッドルーム・ポップなのか、パンクなのか分からない #5 get there(when you’re here) の「i’ll do anything it takes just to get there(when you’re there). / なんだってやるさ(君に会えるなら)/ just to get there(when you’re here). / ここまで来れるなら(君に会えるなら)」のフレーズは他の曲でも繰り返し表れる感情のキーだと思うし、 #11 out of blue の「but i just cant leave you this way, / やっぱり僕は君を置いてなんかいけない / were too young, its too entrapping to stay, / まだこんなに若いのに、ハマっちゃったら君はきっと捨てきれない」っていう最終盤は「卒業」のラストシーンと同じ気分(良いか悪いかみたいなのは放っといて)って感じ、僕にすれば見事な終わりとはじまり。
12. Otto A. Totland - the lost
The Lost by Otto A Totland
前作『Pinô』もその年のベストに選ばせてもらったノルウェーのOtto A. Totalandの三年ぶり2nd。変わらずのNils Frahm録音、ミックス、マスターだし、前作から引き続きつづきのトーン、メロディー、メランコリー(鎮痛派)のピアノソロ。今作では4分台の曲が加わったことと、鍵盤を弾いたり、細やかな動作から生まれるノイズが若干ヴォリューム増してることでアルバム一枚通しての抑揚はこちらの方が上かな? #2 Vates で明らかなそれらはデリケートな音色とは裏腹に決して穏やかなものじゃなく、中盤の #6 Greiner 〜 #9 Tingél の流れで印象的なシューベルトやシューマンみたいな普遍的に漂い、ふと顔を覗かせる「美」と「終焉」のイメージ。概念にするなら「memento mori」。とはいえ、ギターソロっぽい音色が響く #13 Enola から、走馬灯のような #14 Fox 、二分に満たないものの心音のように絶えない低音部に穏やかさを感じる #15 Before I Leave の流れには力強さがある。決して明るくないけど、何であれ浮かび上がるモノがある、さぁ、クレジットにもあるけど PLAY IT LOUD!
13. Palehound - A Place I’ll Always Go
A Place I’ll Always Go by Palehound
2015年のデビューフル「Dry Food」も刺さりまくったEllen Kempnerによるインディ・ロック・ユニットの二年ぶり2nd。今回も全10曲30分と大仰ではないけど、骨太さを秘めた、おおらかなメロディーには多幸感を存分に振りまく瞬間がある。 #2 Carnations が既に最高なんでコレのヴォーカル、ギター、メロディーに何一つピンと来ないならこのアルバムはあなたが求めているもんじゃないんだ。前半の山場として #4 If You Met Her のロマンティックなメロディーと、ラップに近い声を楽器として使うアレンジにどこか枯れた寂寞と、可愛さが入り混じった歌詞はマジで初期デスキャブみたいな遠くなるほどに美しい景色って感じのキラー・チューン。そこから後半の私小説的な狭さの歌詞とバンドサウンドとして深みを増したアレンジがあの手この手で襲いかかる。アルバムタイトルの「私がきっと向かう場所」というイメージの切り取り方はさすがだし、そのくせ終わりが #10 At Night I’m Alright With You なのが最高にキュート。
14. Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs - Feed the Rats
Feed the Rats by Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs
イギリス・ニューキャッスル出身の5人組 豚x7のデビューフル。ヘヴィ・スラッジ・サイケデリック・ロックンロール!!!!! 焦燥とか怒りとか嫌悪とか吐き気とか、人に浴びせちゃいけないものを抱えて、どデカイ音が鳴る! 鳴る‼︎ 鳴る!‼︎ サバスの系列になるんだろうドゥーミーな空気や、演奏中に血管キレてるんじゃねーかって感じにマジ何言ってるか分からないヴォーカルをはじめ、徹頭徹尾その雰囲気からしてシビれるほどにカッコいい。泥臭いという意味でブルージィでスラッジ、タガを外すということがサイケでロック。揺らせ、ゆらせ! 「All You Need Is Love」だって言うなら、快楽で人を殺すレイピストの話をしてやろうか? ネズミに餌をやれ! 愚かでどうしようもない人生のフロアで踊ろう。
15. Sammy Brue - I Am Nice
youtube
若干15歳の、ローリングストーン誌いわく「the Americana Prodigy」。アルバムのリードトラックでもある #1 I Know との出会いがある意味、僕の2017年の音楽履歴のはじまり。「I want to go down to a land / かえりたい場所があるんだ / And sing this song the best I can / そこで精一杯のうたを歌いたいんだ」とPVの冒頭で何処とも知れぬ場所を歩きながら彼は歌い始める。半径7mくらいの世界、けど景色は移りゆく。彼が曲を書くのは出会ってきたものの中に心を揺さぶられることがあったから。ふと澄ました時に聞こえるのではなく、周りでささやく誰かのお話、それを口にする彼の目線は少し枯れていて、さびしげ。丸さと甘さがそこに同居した歌声は #3 I’m Not Your Man のホコリっぽいラブストーリーなんかを語らせると本性と本音が重なってみえるような不思議な気分。数は少ないけど弾き語りの映像を見るとやはり、語り伝えるというシンガーとしての根っこの太さを感じる。そういう意味ではアルバムにギターやピアノだけの曲が2曲くらい欲しかったかも? とはいえ、コレはきっとこの子のキャリアの始まり、君と僕の世界を通して、世間へとアプローチする彼の物語はどこまで続くんだろうか?
16. the seven fields of aphelion - Keep the Ocean Inside
Keep the Ocean Inside by the seven fields of aphelion
ペンシルベニア州ピッツバーグ出身の、インディ/エクスペリメンタル・ロック・バンド Black Moth Super Rainbowのメンバーでもある、Maureen “Maux” Boyleのソロ・プロジェクトの2nd。#1 Divining (Naming of the Lost) のメランコリックなピアノ・フレーズが迎えるイントロはびっくりするけど、基本となるのはドローン、シンセサイザー、加工されたヴォーカルなんかを丁寧に折り重ねたシルクのようなアンビエント。もともと流行り廃りからは遠いシーンとは言え、今年のbandcamp best ambientに載るようなアルバムと近しい要素をコラージュの手法で別世界へと誘うチケットに変えるその腕前に聴き惚れるばかり。2分台のトラックが導くファンタジックな前半の締めである組曲っぽい #5 Triptych/Going Under/The Blur/The Way Beyond から、デリケートでメロディアスなアンビエントの極みと言えそうな #9 The Ocean Inside 〜 #10 Sirens, Cerulean Swell の流れは一切のノイジーさを排しているのに、豊かで、溢れんばかりの情感に満ちてる。ソレがあなたの胸のうちに湧く泉なんだ。
17. sinai vessel - Brokenlegged
youtube
ノースカロライナ州出身、過去にはCount Your Lucky StarsからスプリットをリリースしたりもしてるEMOバンドのデビューフル。oso osoの2ndと対を成す、個人的に今年のEMOを象徴する一枚。スリーピースによる歌声を中心に据えたポスト・ハードコア経由のギター・ロック。彼らがすごいのは影響を感じるのに誰にも似てないこと。Pedro the Lionのような告白の歌詞で幕を開ける #1 Looseleaf も、その想いの吐き出し方にEmbraceみたいな潔癖さへの憧れを感じる #4 Down With The Hull も、いろんなものに影響を受けたことを隠しもしないCaleb Cordes(ヴォーカル、ギター)はそれでも自分の言葉で歌い、真っ直ぐなメロディーを鳴らす。このアルバムは佇まいとしてフォークっぽいし、アレンジに顔を出すインディ的な部分も内側への大きな好奇心みたいだ。彼はなにかを嘆いてるんじゃない、ただ語っている。それはKieth Latinenが一人ではじめたことだし、Evan Weissがシカゴの路上で過ごしたことみたいで、Jeremy EnigkがEMOってタグから外れようと外側で歌ったことと根っこは同じだ。全編の歌詞における個人的かつ抽象的な描写はきっと同じような奴が「聴けば分かる」んだろうと思う。SDREで言えば2nd、E! E! の1st以降の数多のEP群、 52 Weeksの苦い過去、どこか悟ったようでいて、きっとまだこれからでしょう?
18. Vagabon - Infinite World
youtube
カメルーン生まれ、移民、ニューヨーク在住、Lætitia TamkoことVagabon。ライブ会場で見たときの驚くような小柄さとその身体から響き渡るかすれを含んだ伸びやかでシルキーな歌声、自分の存在を確認しようと鳴らし、広がるメロディー。全8曲30分にも満たないこのアルバムの最高の価値は今年最大のキーポイントである彼女が作った、ということ。 #1 The Ember や、Audiotreeのライブ映像で僕の心を掴んだ #7 Cold Apartment のバンドサウンドとしての強かさも、唯一のフランス語歌詞(カメルーンはフランス語/英語の二重母語の国)の #4 Mal à L'aise のドリーミーなベッドルーム・ポップも彼女の内からこぼれでた宝石のようなキラキラで、願い。ぴっちにはインディ・シーンの「ゲームチェンジャー」なんて呼ばれてるけど、彼女自身は冒頭の歌詞で語るように「Lætitia is a small fish. / レティシアはちっちゃい魚(The Ember )」なんだろう、時折ナイーブにすぎる歌詞も、はたまたこちらを振り回すバンドアレンジも自分にできることを一つずつ確かめているようでとってもキュート。「I don’t care it’s okay, let’s keep weird」っていうつぶやくようなライブでのMCがすごく印象的。
19. the world is a beautiful place & I am no longer afraid to die - Always Foreign
youtube
2015年リリースの傑作『Harmlessness』以来となる3rd。初期の中心的メンバーの何人かが脱退し、David F. Belloの存在感が増した今となっては初期の彼らとは別の、それこそIan Cohenが前作に付けたようにpost-emoとして見るのが正しいのかもしれない。「2017」年と言う時代を「先進国の若者」として過ごせなかった人間にとってはある意味、一生かかっても手繰り寄せられない立ち位置にいるコレはーーそういう話の上でならもうすでに名盤。そして、ここ2、3年に限っていいなら彼らは比較しづらいくらいにポリティカルだった。Bello(プエルト・リコ、レバノンの両親を持つ移民)と、平均的にリベラルであるインディのこのシーンはアンチ・パトリオティシズムだ。「悪魔にだってどっちが正しいか分かるさ、お前の身の程を知るがいい(#3 Hilltopper)」「Call me “a-rab.” / A-rabって呼んでみろよ / Call me “spic.” / Spicって呼んでみろよ / I can’t wait I see you die. / お前が死んだ後どうなるのか待ちきれないぜ(#10 Fuzz Mirror)」。きっとthe Smithsの時代ならポップ・ソングだったシュプレヒコールがこんなにも刺さって聞こえるのはなぜだろう? Always Foreginーーいつも仲間ハズレ、っていうこの上なくEMOいタイトルはもはやWhite Trashへの共感にもならず、都市部で暮らせるヒスパニックにも似合わずーーそう、つまり #9 Marine Tiger のテーマだ、「新しく移り住んだ場所を歩いてみても / こころはどうしても落ち着かない / 何か夢が転がってるわけでもなくて / 似たような部屋に収まる(Marine Tiger)」。この歌詞が印象的なのは、ダブるところを突くからだ。誰にも理解されない。ミレニアル世代というWWWの世界においても「孤独」が拭えない僕らは、乱暴にくくっていうなら「ここ」に来た移民だ。「Harmlessness」で1st EP「Formlessness」から持って来た歌詞を歌ったのは、それが今でも光るからだ。「I keep holding on to, I keep begging myself / 僕は手放さない、いつだって僕に誓う / Today we are superhero but tonight we’ll just be tired / 今日の僕ならなんでも出来る、きっと夜には疲れ果ててしまうけど / I keep holding on to, I keep begging myself / 僕は願ってる、僕は諦めたくないんだ(Eyjafjallajokulk Dance/Ra Patera Dance)」。あまりにも露骨なメタファーと、明確に敵をあぶり出す歌詞でもって彼らは僕らに迫る。それはアメリカという国のリアルなのかもしれない。「全部の州がバラバラになっても、君はここをアメリカ(合衆国)だって言える? / 他人から何かを奪うだけだってのに、君はそれを仕事だって言える?」そうじゃねぇだろ? と、少なくともBelloは言う。序盤の2曲、あまりにも出来過ぎにクライマックスへと駆け上った先で、彼らはこの更地を改めて僕らに突きつける。そこはもう、君と僕の世界ではない。「この世界と僕」。#11 Infinite Steve で迎えるラストは残酷で、それは間違いなくアメリカの日常のシーンだ。でも、膝をつくな。そこは既に通ったはずだ。「There’s nothing wrong with kindness / やさしさに間違いなんかない / There’s nothng wrong with knowing / 知ることに罪なんかない / We’re here, I told you so. / 僕らはここにいる、そう言っただろ?」。Ianが言いたかったpost-emoとは何か? それは遂に来た、「この世界と僕(と君)」の話だ。
そして、2016年リリースのアルバムから一枚。
20. Keaton Henson - Kindly Now
youtube
UK・ロンドン出身のSSW/詩人、アルバムとしては5枚目の最新作。以前特集にしたMahogany Sessionでその存在を知った一人。また、同じように語るけど繊細さからは一番遠い場所でグロテスクなラブソングとして響く #2 Alright のそれでも情景とリズムを束ねてのぼるコーラスが痛々しくて、素晴らしい。「If it’s in the city / この街で / You and I are monsters / 君と僕だけ仲間ハズレ / We’ll not find another / 誰かと触れ合えたらいいのに / Cannot be together / 結局、ふたり噛み付きあって / Lest we eat each other / 互いの心臓をエサにする(Alright)」なんてささやいていた男が、中盤ではユーモアも交え、「Who needs comfortable love? / お手軽な愛が欲しい? / I’m in bad love / 僕の愛は報われそうにない / Don’t be sad, love / 辛そうな顔をしないでくれ(#7 Comfortabke Love)」と口にする。アルバム一枚通して別に明確な光を描くわけでもなく、最後までKeaton Hensonの言葉は虚空へと鳴り響く。互いが愛し合っているということを信じるしかないっていう厄介な話を彼は真正面から歌うことにした。「I think I love you / Baby please don’t be afraid of me」と繰り返す #11 Holy Lover はコレがアルバムの前半にあったら気持ち悪くなりそうなほどメランコリーだし、アルバムの最後で恋人たちは本当に終わってしまう。喪失が本当に二度と戻りはしないことだと確信をこめて歌うラブソングはやっぱり悲劇的だ。でも、それを口にするからこそ僕は彼の「愛」を信じてみたい。
・最後にーー
youtube
「音楽」から社会を除くことは可能だろうか?
政治的(Political)な問題に、音でもって「ことば」を発するのは、ただいい曲、美しいメロディー、ポップという綺麗なところだけを集めたセカイ etc. を求めるリスナーにとって不親切なんじゃないか? SNSで思い出したように何度も盛り上がるこの話題は、僕からすればピントがズレてる。
僕が、今年もそんなリストになったけど、聴きたいのは個人的な話だ。誰かの話、昨日のこと、オリジナリティという結果。音楽を聴くという行為は、君が耳を傾けたときに最小公倍数が決まるーー「君と僕のセカイ」だ。再生された音楽と君の間にあるものが全てで、それ以外は註釈に過ぎない。だが、言葉にしないと分からないことが多いのも確かで、この世の無限に近いソレらを纏められるものを「社会」と言う。この入れ子構造の中で有り無しは註釈の一つとして添えられて、それを受けて生み出されるサウンドがある。つまり、先の理論は循環論法になる。
音楽という文化に一定の制限を設けようという声は、個々の表現のワクを超えた「政治的」な問いだ。僕の言うズレてるポイントは表現とはそもそも「自分」の為のものであって、あなたの為ではないということ。
知るというステップを踏まずして、理解はない。僕のBEST ALBUMSはどれも理解を必要とする「彼ら」の表現だ。
感情的で、感傷的で、メランコリーで、アイロニックなものが愛おしい。悲劇で満ち溢れた場所を正しく描いたときにハッピーエンドはほとんどの人に似合わないと思う。一人ひとりのバイオグラフィーがいつか消えるってコト以上の悲劇を僕は知らない。それぞれに追悼を捧げていたら文字数足りないくらいに2017年も故人が増えた。2018年も早々にJóhann Jóhannssonがそのリストに加わった。せめて、一人でも多く、一分一秒でも長く、この世のある限り、好きだということを示したい。好きなものを伝えたい、クソみたいな物も悪くないけど、まずはいずれ捨てなきゃいけないものを君に放り投げよう。知ってしまえば、僕が好きだった個人的だから個性的なものは「EMO」という色分けをしなくてもそこら辺にあった。だから、2017年でもってEMOリバイバルというシーンの切り取り方はやめようかと思う。
最後の終わりに、僕は君と音楽の話がしたくて書いてる。クソったれスローなブログはまだ続けます。
Thank you for reading it.
How was your year of 2017? I think these albums partly could tell you how was mine. Something changed, something still didn’t yet.
This world have been looking cruel and dirt, there are war, school shooting, sexual harassment and death. Yeah, I’m sure everyone know how bad we feel in the days. It’s as like twiabp said “I’ll make everything look like it’s rad,” political seems to be slightly move, our life rapidtly slipp away. I will keep to write it down here that how was my year and sounds around my ears, that because I believe music can be a part of the society and have the power that kick your ass and make looking forward.
Happy Music Life.
youtube
1 note · View note
kei-comodo · 6 years
Text
2017 BEST ALBUMS OF THE YEAR(1 - 10)
果てさて、今年もふた月過ぎようというところで、そろそろ習慣化してきたベストアルバム記事です。
このブログの生存理由でもあるので、少しでもお役に立てるなら幸い。 ABC順に20枚(内1枚が去年未聴分)で今年も送りいたします。 大まかなところは12月内に固まっていたのですが、ラストの数枚を巡って熾烈な争いって感じでした。
では、今年もある音楽好きの目線から見た2017年のシーンの感想も踏まえてどうぞ。
1. Baths - Roamplasm
Romaplasm by Baths
一枚目からアレだけど、ベストアルバムの中で迷ったうちの一枚がこれ。鋼鉄のビートと此処にあらずなココロでもって浮かんでみせた2nd 『Obsidian』から4年、EPのリリース、Geotic名義での活動なんかもあったけど、死に魅せられていたような彼、Will Wiesenfeldはポップ・フィールドへと帰還した。#1 Yeoman のイントロからキラキラとクリスピーなビートに彼のファルセットの美しいヴォーカルが絡み、そのポップネスはやはり僕を魅了する。とは言え、このアルバムが1st「Cerulean」の続編的エレポップかって話ならそうじゃない。前作で印象的だった歌モノとしての作りは今回も継続。HIP HOPやプログレッシブ・ハウスのキックのようなビート・セクションは複雑に重なり合い、前へと進むその先は「Animals」や「Hall」の突き抜ける青さではなく、やはりどこか影を見つめている。ラップに近いフロウでもってシェイクスピアっぽいクラシックな悲劇を語る #3 Abscond や、初期のキラキラに近いトラックにポリゴンちっくなラブ・アフェアが乗る #5 Adam Copies も極彩色のスプラッタ・ムービーみたいで落ち着かない。それに段々染まってる僕がこうじゃないって言ったら、嘘になるんだけど。
2. BRUTUS - Burst
youtube
ベルギー・ルーベンで活動するポストハードコア・バンドのデビューフル。削岩機のようなベースに、ブッ飛ばすグルーヴ、ギラギラのケバケバしさが妖しいギターに、ヴォーカル/ドラムスのStefanie姐さんの吠えるって言葉が��ッタリの歌声。問答無用の格好良さ、戯言を封じる潔さ。アルバムとしての構成も見事で、冒頭三曲でブチかました衝動が #4 Justice De Julia II で悲壮な景色に変わる瞬間や、ごちゃ混ぜでパンクにまた走り始める曲と月9的なロマンスを感じさせる歌詞の対比がまたエモい #7 Crack/Waste に、初期7インチからの再録 #9 Horde II なんかにはこのバンドの素晴らしさが詰まってる。だけど、僕にとっての最大の魅力は疾走する曲のアンサンブルの隙間や、Stefanieが #5 Drive のStijnとPeterの二人が一瞬引いた空間で声をあげるとこに、儚くも消え去ってしまいそうな脆さを感じること。いま、この瞬間にも終わるんじゃないかっていう緊張と彼女の鈍く光るヴォーカルにふと覗く柔らかさに心臓握られた感じ。
3. Caretina Barbieri - Patterns of Consciousness
Patterns of Consciousness by caterina barbieri
ベル���ン在住の女性アーティストによる2ndフル、存在を知るのも聴くのもこのアルバムが初めてなんだけど、今シーズン随一の陶酔的なドローン/ミニマル・ミュージック。アナログ・シンセのみで構成されたサウンドの中でバロック音楽の木管みたいに響くパターンが、起き上がり、導き、たゆたい、反復、高揚する。アルバムでドローンに最も近い #2 TCCTF を除けば(この曲でも引き伸ばされて反響してるけど)、#3 Information Needed to Creat an Entire Body の鍵盤の上を駆け巡るかのようなフレーズの応酬は職人的な変奏曲のようだし、 #6 SOTRS でゆっくりと立ち昇り、聞き手を飲み込みなお膨張し続けるそのパターンも、そこでモジュラーシンセを操り、曲を生み出している彼女の存在を感じる。アルゴリズムによって反復されるメロディーに意思を感じる。最終曲 #7 Gravity that Binds で朧げに鳴りはじめ、かたちを成し、中盤で不穏な空気を切り裂き、増幅されたフレーズがそれでも同じパターンを描き、ミニマルなリズムをキープして空気へと溶けていく、この16分はちょっとなんて言うかセクシー過ぎる。
4. Daisyhead - In Case You Missed It
youtube
EMOリバイバル枠じゃ。テネシー州ナッシュビル出身の4人組。タイプでいうとBalance & Composureや、Gatesに近いオルタナ/グランジ系のサウンドにシューゲイザーやノイズポップ的浮遊感を加えたバンド。朗々と響き、とろかすギターが光る #1 Hold The Door から、タイトルトラック #2 In Case You Missed It への持ってき方がまず見事。アルバムの構成として、3曲をまとまりとして徐々に深く潜っていくカタチになってる。このアルバムを聴いて感動したのは潔いくらいに切り詰めた「君と僕」のセカイと、その中で起こる変化。1stのタイトルトラック The Smallest Light の自分にとって大切なものが君の中にしか無いというメランコリーが、今作でも同じような関係性の中で反復され、「I am alive / 僕は生きてくよ / To see why you’d stay / なんで君が居てくれたのか分かるまで(#11 Under the Opry Light)」という一曲に結ばれる様は、正直卑怯なくらい強烈だ。「Believing everything that I see on TV / テレビに映る全てを信じてみようよ / It’s hard to find hope to / そこに明かりは見えづらいけど」ってラインや、偶数曲の歌詞に透ける世界は間違いなく僕らの日常で、2017年というセカイの姿だ。最後にこのアルバムで一番印象的な言葉を書こう。「誰かのように自分を語ってもしょうがない。キレイなことばで伝えるよ。そうするべきだったんだ、君はわかってたんだ」
5. heaven in her arms - 白暈
youtube
ポストハードコア/激情のシーンを代表するバンドの7年ぶり3rd。とは言え、僕は「被覆する閉塞」までしか手元になかったのでほとんどひと昔前(ライブもBalloons解散企画以来観てない)の存在だったけど、もはやこの界隈の顔とも呼べる堂々たる佇まいで活動を続けてるのはご存知の通り。Coholとのスプリット「刻光」にも収録されてた #4 終焉の眩しさ が圧倒的なキラーチューンだし、なによりenvyのように象徴、物語的な方向じゃなく「角膜で月は歪む」の頃に見えた抽象的なまま、故に理解されえない孤独っていう表現方法が本当にそのまま純化されてるのが凄い。インタビュー、レビューは探せばいろいろ見つかると思うからあんまり僕が言うことは無いんだよね。初期のニワトリの絶叫みたいだったVo.も太さが加わったおかげで取っつきやすくなったと思うし、語りのときの少年のような細さと脆さはフカガワさんも超えてる気がする。何度聴いても「黒斑の侵食」と対をなす感情が湧く #7 幻霧 の存在は、彼らが立っている場所の証明なんだろう。「最後の言葉は残酷にも伝わる(角膜で月は歪む)」なんて叫んでた青年は、たぶん共有できる明かりを信じてる。
6. Heron - You Are Here Now
You Are Here Now by Heron
ペンシルバニア州ウォーレン出身の2015年に結成されたポストロック・バンドのデビューフル。This Will Destroy You、The Appleseed Cast、Sigur Rós、そしてピンク・フロイドを影響にあげる彼らのサウンドはアンサンブルによる素晴らしさに満ちている。柔らかなトーンのギター、緩やかに進むドラムとボトムで太さを出すベース、8分というランニングタイムを活かして、最初の展開からラストには思いがけない場所まで連れてかれる #1 Shores から、ハードロックなブリブリのリフをキメまくりでロールする #2 Ender とアルバムの掴みはバッチリだし、10分超の大曲 #4 Drop の繰り返し訪れる緊張と解放っていうカタルシスに抗えないし、メロディーと展開で堂々とこちらをねじ伏せにかかる #6 Archives から、ヒロイックな展開と最後に猛威を振るうフィードバックノイズが胸を締め付ける #7 Before The War のラストはインスト・バンドの可能性だと思う。それぞれのパートがキラー・フレーズとなるものをしっかりと持った上で、一つひとつの楽曲が「メッセージ」ありきで組み立てられているのは、EitSやMONO、Caspianなんかの偉大な先人へのリスペクトであると同時に、彼らが過ぎ去った荒野に「ここにいる」って打ち立てた旗。Postrock Will Never Die, but You Will!!
7. Jan Jelinek - Loop-Finding-Jazz-Records
Loop-Finding-Jazz-Records by Jan Jelinek
この素晴らしいアルバムが再発であることは引っかかってたんだけど、Fenneszの『Endless Summer』的な話ってことで入れます。2001年にリリースされ、当時のPitchforkで編集長のRichardsonが9.3と大満足な点数を付けてる。タイトル通りジャズのレコードからサンプリングされた素材のみで織りなすダブ・テクノ/アンビエント。 #5 Tendency や、#8 Do Dekor なんかのハウス、ディープ・テクノ的なリズムセクションが耳をくすぐられるようなクリック、グリッヂと絡み合うさまは鮮やかなほどで、そこに何重にもヴェールをかけるようなノイズが全編に漂う、囚われてしまいそうなサウンドスケープ。アルバムジャケットの中央にある画像がそうであるようにいくつかのバリエーションとしてあるMoiréのシリーズはコンセプトそのままって感じ。彼が語る「それぞれのジャンルにはそれを形作るサウンドの個性があり、ジャズのレコードにおけるそれに新しい姿を与えた」のがこの一枚。最高なのがバックに鳴り続けるノイズの豊かさで、ほとんどフィールドレコーディングで聞こえる葉のざわめきや川のせせらぎ、重なる鳴き声や場所が産み出す反響音に近い。それが人肌の……みたいな言葉はロマンチック過ぎるかな? 再発に当たっての追加トラックである #10 Poren でグリッヂ、弾けるようなクリック、キックの後ろでドローンとして彩るノイズやそこに加わるささくれたハットは僕が今年聴いた中でも群を抜いてドリーミーなサウンド。
8. Julien Baker - Turn Out The Lights
youtube
こんな所を覗く人はもうだいたいご存知でしょうが、10年代を代表するサッド・ソングライターにして、それを歌に出来る稀有なシンガー Julien Bakerの2nd。ほぼギターと歌だった前作からピアノ、ヴァイオリンが加わり、シンフォニックになったアレンジが光る #2 Appointments 〜 タイトルトラック #3 Turn Out The Lights の流れでも彼女の歌にいささかの揺るぎもない。「Oh, I know that it’s not, but I have to believe that it is / そう、きっとそうじゃないって知ってる、でも、そうだって思わなきゃ(#2 Appointments)」。「So why is it easy for everyone else? / ねぇ? なんであなたはそんな風にできるの? I’m not always like this / 私はきっとそうじゃないのに(#3 Turn Out The Light)」、「When I turn out the lights / 明かりを全部落としたら / There’s no one left / そこにはもうなにも無い」。悲劇はいつだって美しい、けど前作の Something で「何か、なにか、なにか言わなくちゃって思うのに、私の唇は震え���だけで、だから、何も、なにも、なにも言えないまま」いなくなる君を見送った彼女は、その内への言葉を僕らへと飛ばしてくる。たぶん、ライブで彼女が言った「世界は残酷だし、私の歌は楽しくないけど、(ソレが)こうして誰かに届くのはスゴい(9th Dec. ‘17 VancouverでのMC意訳)」って話のように伸ばした手に触れるモノを知ったんだろう。#9 Hurt Less の「I don’t want to be alone / ひとりで居てもしょうがない / And as long as you’re not tired yet / もしあなたもまだ大丈夫なら / Of talking, it helps to make it hurt less / もう少し話そう、少しは楽になるよ」と彼女がかつて在籍したバンド The Forristerのバンドメイト Matthewとハモる瞬間や、ラスト #11 Claws in Your Back で「I think I can love / きっともう大丈夫 / The sickness you made / 傷あとすらも愛せるから / ‘Cause I take it all back, I change my mind / こうして手に取ってしまえば、私だったモノがいて / I wanted to stay / ずっとこうして居たかった / I wanted to stay / ずっとここに居たかった、けど」の歌声の先にあるのは、きっまだ光っちゃいない、けど、彼女はそれが暗闇の中でも無くならないことに気付いたんだ。
9. Mark Guiliana Jazz Quartet - Jersey
Jersey by Mark Guiliana Jazz Quartet
NY在住のジャズ・ドラマー Mark Gulianaのリーダー作(カルテット編成)での二枚目。5年くらい前から話題になっている人で僕もそれくらいに知った。彼の代名詞とも言える無機質に過ぎる非人間的ビートと、他の楽器が様々なトーンを忍ばせるタイトルトラック #2 Jersey なんかはそれぞれのパート、全体の構成、細かく変化するメロディーなんかを追いかけるだけで快感。曲ごとにリード楽器が違ったトラック作りながらどの曲もダンス/ビート・ミュージックっぽいサウンドでこの辺りが彼のやりたいことなのかなと思ったり。特に自作ナンバーの #5 Rate のドラムソロの残響から #6 September のサックスの憂鬱なトーンのメインフレーズが流れるあたりはエモさも抜群。このエモさとアルバムのクライマックスと呼べるのが、彼が影響を公言しているデイヴィッド・ボウイのカバー #9 Where Are We Now? 。背後に控える闇に溶けてしまいそうなセンチメンタルなメロディーを彼のタムやハットのフレーズが前へと押し出す、ゆったりとした反復でもって「Where are we now?」のフレーズを繰り返すサックスと最後に現れるコーラス、歓声のようなトーン、ドラムマシーンかと思えるキックと虚無を切り裂くようなハットの応酬。「僕らは何処にいるのか? その瞬間を君なら分かるはずだ。太陽が昇り。雨が降り注ぎ。明かりが灯り。僕がここにいて。君がいる限り」。ーー彼のキャリア中、こんなアルバムが次にあるのかも分からないけど、HEROの居なくなった、Next Dayにも彼のドラムはビートを刻む。
10. Moses Sumney - Aromanticism
youtube
bandcampのおかげで出会えました。こんな記事を書かれた男のバイオに「Performer | Poor Person」とあれば僕の食指が動くのです。PVにもなった #6 Lonely World が魅せてくれるのは「愛情」というコミュニケーション・ツールが二人の人間が理解し合うのにいかに機能しないのかということ。何人に届くか分からないけど、今年僕が聴いた中で最も誠実なラブソングのアルバムだ。「And the sound of your voice / そして、あなたの声が響いても / Flows from your body /身体から流れていくようで / White as noise / 煙のように揺らぐだけ(Lonely World)」と歌い、「Don’t call it a Lover’s Quarrels / 痴話喧嘩だなんて思わないでくれ」「We cannot be lovers / 僕らは愛し合うなんてできない / Cuz I am the other / 僕がぼくでありたいかぎり / We cannot be lovers / 僕らは一つになんてなれない / Long as I’m the other / 僕らが自らを望む限り」とサウンド面でもスリリングな #4 Quarrel で投げかけながらも、Mosesの歌声はセクシーだし、時折絡まるようなフレーズには官能と無垢な白さが残る。後半、吐き出すかのようなフォークソングに聞こえる #9 Doomed #10 Indulge Me を経て、それでもこの無常観に何もできなかったと白旗を振るような #11 Self-Help Tape でもってアルバムはまた始まる。「Imagine feeling / そうだって、思ってみろよ」
例によって後半に続くンDEATH
1 note · View note
kei-comodo · 7 years
Text
Mahogany Sessions によせて
上半期も終わりですが、2016年BEST ALBUMSの記事からお察しでしょうが、2017 Best Albums so farみたいなモノを書けるほど新譜は抑えてないので、今回は僕が最近ハマってるYouTubeチャンネルをご紹介することで代えさせていただこうかと……
Mahogany Sessions 公式チャンネル
SSWや広義でポップミュージックに含まれるアーティストのアンプラグド主体の映像を週2本ほど上げているチャンネルですが、全体のセンスがすごく好み。
ポップミュージックという「この世の綺麗なところだけを救ってみせるファンタジー」と、SSWの「日々を告白」することによるコミュニケーションとしてのうた。このチャンネルの映像にはそういう非現実としてのイメージが根付いてる。
もともとそう言うのは好物なんですが、上半期数少ない新譜を買ったアーティストの中にそっち側へ思い切りハンドルを切らせた子が居たんです。
Sammy Brue - Once a Lover
youtube
基調として鳴る低音部と爪弾かれるメロディー、なにかを見てしまったような枯れと10代というまるさと甘さが同居する声。暗喩とも取れる要素が絡み合ってロマンティックだけど開かない歌詞。アルバムのプロデュースを施した���たちももちろん良いけど、彼はシンガーとしての根っこがものすごく太い。
Flo Morrissey - If You Can’t Love, This All Go Away
youtube
そこからフォークシンガー数人のビデオを経て、彼女のセッションを見つけるんだけどこれまた衝撃。ついったーでも言ったけど、子守唄を歌う母のようであり、それにぐずる子どものようでもあり、生まれて初めての痛みがなんでなのか分かってるみたいな声、を持った23歳。Pages Of Gold でのアコギとチェロのみでより表現の色を増したやつも良いんだけど、こっちは映像作品としても美しい。特に後半にメロディーと歌詞をたわむれるように紡ぐところは最高
Jacob Banks - Say Something
youtube
アメリカ・NY州結成のインディ・ポップ・ユニット A Great Big Worldのカバー。原曲自体も別れをテーマにしたシリアスな曲だけど、彼の歌声と打ちつけるようなピアノが叩き出すメロディーは愚かしいまでに繰り返し続ける祈りのよう。ナイジェリア出身UK在住の彼にはどことなくスマートさがあるんだけど、ガチで無骨な、スレッジハンマーみたいなこのセッションに布一枚くらいは噛ませてやわらげてる。
Kodaline - High Hopes
youtube
アイルランド出身の四人組、さらに音数を減らしたパリでのセッションもあるんだけど、こちらはロマンスよりもその前の苦悩に光を当てている感じ。Mogwaiの「Come On Die Young」の前半部みたいな冷たさと押し寄せる孤独。2:50からのコーラスを狼の遠吠えと評するコメントがあるけど、その群れから離れ、愛するものとの遠さを理解してるからこそみたいな闇の表現を階段に託す映像のセンス。
MUNA - I Know A Place
youtube
剥き出しの歌って信じる? 僕は信じてる。だから、ロサンゼルス結成のエレクトロ・ポップがこんな歌を歌うことに僕は感動した。原曲のプログレさの中にCharaやthe ClashみたいなR&B、パンクにソウルが眠ってるなんて! この映像の小ささは歌の美しさの証明だし、人力のオーケストラに他ならない。Katie Gavinのシンガーとしての太さと後半をロングショットで収めるこのチャンネルのセンスの良さ。
Alex Vargas - Solid Ground
youtube
このハードコアバンドやHIPHOPユニットにいそうなデンマーク出身の兄さんが溢れんばかりに官能的でソウルフルな、間を活かした一曲で魅せるわけです。絞り出すように歌われる序盤のメロディーとロマンティックで悲劇として抽象化した歌詞に上手く乗っかってエクスタシーに至る中盤からの流れが圧巻。壮大とか荘厳みたいな大きさがない代わりにものすごく深くえぐってくれる。
Charlotte OC - Darkest Hour
youtube
彼女のこの曲もソウルフルと呼べそうだけど、こちらはその一貫した「哀」の表現が素晴らしい。オリジナルのミックスにもブルーズの要素はあるんだけど、ポップの衣を剥ぎとって快にも染まれず吐き出す歌は色も言葉も変えた感情の音。色んなものの影がよぎるけど、これを歌にするというポップソングとしての綺麗さが光る。
Laura Marling - Wild Fire
youtube
姐さんと呼ばせてください、と伏せてしまいそうになる音色の豊かさ。スポークンワードっぽくもあり、ポエトリーリーディングのように叙情的で、コーラスのメロディーは甘く、言葉はリズムを持って芯を打つ。Mahoganyは映像の回し方にもセンスあるなって思うけど、これはロケーションも含めてトップクラスに良い。想像の余地は大きく、感情はストレートに。
Gabrielle Aplin - Stay
youtube
日本盤も出てるUK出身の24歳、アルバムのプロダクションが過剰とは言わないけどSSWとしての面はこっちの方が素敵だ。弦楽器によるゆらぎをもったとたん彼女の声は官能性と美しさを増す。戻らない昨日の可能性と光がその声にある。最新作の Run For Cover のセッションも素敵で、遠ざかるほどに美しい景色は僕らの周りに残ってる。
Kim Churchill - Canopy
youtube
汗臭いのも置いておこう。豪州のアメリカーナ/フォーク・シンガーによる高速ラップとも呼べそうな吐き出す歌と踊り狂うハーモニカとギラギラ光るギター。これをほぼバストショットのみで撮るという構成は濃くて重いんだけどサザンロック的なカラッとした広さを感じたりもする。ここでも畳み掛けるような曲を近距離から映すことで、炸裂するメロディー以上のものが剥き出しになってる。
Half Monn Run - Unofferable
youtube
カナダ・モントリオール出身のインディ・ロックバンド。アンプラグドやアコースティックということで間を活かすか、歌メロを抽出するようなアレンジが多いこのセッションで数少ない、グッドメロディーという大砲をぶっ放すのが、彼ら。元々のアレンジからして打楽器と弦楽器にコーラスのハーモニーというのが武器なんだけどやってることがほとんど変わらないのがいい。屋内を強調する映像のカットと合わせて、ドビュッシーとかのロマン派的な見方が一番似合う気がする。
JP Cooper - In The Silence
youtube
こんなカリブの海賊みたいな兄さんが、ザ・UKロックみたいなナイーヴで甘いメロディーを歌うわけですよ、日の差し込む薄汚れた倉庫っていう完璧なロケーションで! Mahoganyってどんな感じ? って話なら、ほんとマジこんな感じ。歌声と悲劇っていうブラックミュージックの最低要素を持ってはいるけど、どのセッションもポップミュージックという綺麗さの枠に丁寧に収めてる。それが余白を生んで、影の中に無限の階調を作り出すんだけど。
Keaton Henson - Alright
youtube
最後にこちらもAlex Vargasと同じく29歳のUKの詩人/SSWの一曲。映像のまま、より闇が濃くなってロマンスも増しまし、ある意味繊細さと一番遠い場所でグロテスクなラブソングを歌ってる。それでも詩人としての一面ゆえか歌詞で情景とリズムを束ねのぼるコーラスの光や、そこに透けるシンプルな愛情はこの闇にこそ映えると思うけど。
こんな感じで上半期BEST代わりの記事は終わりにしたいと思います。歌うというコミュニケーションについて、いつかちゃんと書けたらいいのですが、ここに挙げた歌を聴いたときに浮かぶものは会話や文章では生まれないものってのが重要なポイントなのです。
EMOについても以前話しましたが、アレの大前提も「歌」です。僕らが言葉を超えるコミュニケーション・ツールを持たない以上、そこに音とフリとを加えたものが「他人」を求めるシーンにおいて何よりも必要とされるわけです。音が国境を越えるなら、そこにかかる橋が言葉です。繋がったことが出会いになるなら、僕の記事を通してあなたに新しい出会いがあれば、と祈ります。
クソな世界に心配は山積みですが、これを持って上半期を締めます。
youtube
youtube
1 note · View note
kei-comodo · 7 years
Text
2016 BEST ALBUMS OF THE YEAR(11 - 20)
後半の10枚、今年のベスト、国内勢は一人だけです。
11. Joyce Manor - Cody
youtube
とてもとても大きな変化。これまで一瞬で燃え尽きるかのようなポップパンクが輝いていた彼らのソングライティングは陰影を増したことでインディロック的な小ワザが美味しくなり、時折のメロウなショート・チューンによるメリハリと上手く対比を強めてる。 #5 Last You Heard Of Me みたいに必殺のフレーズを反復させることで何処までも連れてってくれるし、同じくらいにセンチメンタルな #7 Over Before It Began では「Closer as close as you can」からはじまって、重ねていき「Closer than the closest thing / 一番近くよりも内側に来てくれ / But still over before it began / それでも、始まる前に消えてしまうけど」って言葉はすごくEMO。何かを広げたわけじゃなくて、このアルバムが見せたのは深さ。
12. Noam - Overdramatic
youtube
00年代のポストロック的なアプローチ、時折のエクスペリメンタルなノイズやアンビエントに接近する曲はあれど、共通するのは瞑想的/内省的なサウンド。 #3 Heartbreaking Attempt でどこかオリエンタルな展開が昇天に至る感覚は初期のMONOやOvumっぽい。約70分と長尺な曲が多いこともあって、感覚としては「侘び寂び」の境地。 #5 Process Of Decay っていうタイトルとかを見ると意図的なオリエンタリズムかなとも思うけど、 #10 Start Of Every Day の美メロで押さえつけられる感覚はこの「いま」にこそ沁みると思う。
13. Noname - Telefone
youtube
女性MCによるデビューフル。ロマンティックでセクシーで、ブラックミュージック的な官能性はあれど、穏やかーーいや、醒めてる? まるでジャケットのようにどこか虚ろ。上で述べたこともトラックについてで、彼女はラップするというよりかはポエトリーリーディング的な緩やかなフロウで漂う。キラーフレーズはあれど、それもコンクリ打ちっぱなしのデザイナーズマンションで座り込み、天井へと上る吐息の跡みたいなイメージ。堕胎する母親とその子供というテーマの #9 Bye Bye Baby はまさしくリリカル。わずか3分にも満たないトラックのアウトロで繰り返されるリリック「I’m gonna fall in love again / On a lonely road where happiness needs us」は悲しい、だからこそ素晴らしい。
14. Purl - Form Is Emptiness
youtube
スウェーデン出身のLudvig Cimbreliusによるプロジェクト、デジタルも含めれば二桁のリリースがあるんだけど、フィジカルなアルバムとしてはこれでおそらく3枚目。長尺であることを活かしたデリケートで緩やかに流れるアンビエント。曲の中にそれほど焦点を当てるような瞬間はないんだけど、わずかな変化をもって重ねられるシンセのドローンとその中で心拍音や時の流れを思わせる四つ打ちやビートが降り積もってゆく。全体的な綺麗なところをすくって見せるというポップさがあるけど、その中で瞑想の奥底までどっぷり沈む #4 Vissna や、タイトルトラック #6 Form Is Emptiness の光に吸い寄せられてくような展開が好き。
15. Roman Flugel - All The Right Noises
youtube
ジャンル的にはハウス/エレクトロニカらしいけど、Convextionに勝るとも劣らない精緻さを見せるRoman Flugelの最新アルバム。分かりやすいくらいにパーソナルな感覚のトラックが印象的。キックやリズムは曲ごとに違えど踊るのではなく、ココを現実から切り離すための曲たちが並ぶ。細かく幾重にも重ねられるキックとアンビエント的なシンセ・ドローン、様々なノイズやエレクトロニクスも加わり、リズムがブレて、ボヤけ、浮かぶ #2 The Mighty Suns なんかの序盤から、後半ではもう異次元となったフロアに #8 All The Right Noises のバウンシーなビートと共に、Fenneszが「Becs」で鳴らしていたサウンドみたいに超越的なギターが被さり、上空に消えていくところは信じられないくらい広く、見上げた先は果てしなく青い。
16. Somos - First Day Back
First Day Back by Somos
the Hotelierや前述のJoyce Manorもそうだけど、EMOというフォーマットでもインディ・ロックに接近したリリースにより評価を挙げたバンドは2016年に少なからず居たけど、その中で不思議と話題性が薄い彼らの2nd。まさかの3分以下インディ・ポップへと進化を遂げつつ、男の子のメロウさとかナイーヴさがひかる歌詞を絡める構成にはより磨きがかかった。特に #4 Problem Child の「You don’t want the label of a problem child / どうしようもないガキだなんて思われたくないだろ」と言いつつ、「Worn out one liners / 擦り切れてしまったお小言 / That you have heard before / これでもう何度目なんだか / To mollify the old timers / ジジイ共が言いたいこと / They smile and wave goodbye / 笑って、ゴール付近で手を振ってら / Nothing to say, to you or me / 君にも、僕にも届くことはなくて / Or really anyone / 誰にも響くことはなくて」なんてここまで広い言葉がEMO・シーンから出てくるとは思わなかった。#9 Alright, I’ll Wait をはじめとして歌詞がすごい、それがライミングを仄かに見せるところも良い。
17. Touché Amore - Stage Four
youtube
あんまりこのアルバムについて多くを語りたくはない。前作「Is Survived By」からVo. Jeremyに起こった変化を絡めずして言えるアルバムではないけど、サウンド、歌詞の両面でいずれこの世で最も近しいものを襲うソレに関して、あくまでも内省的なものだけど、誰にでもあるが故に普遍性を持つ。冒頭からすでに溢れそうなものが #4 Displacement で崩れ落ちるように叩きつけられたとき、その余りにも赤裸々な「痛み」は無垢で、真っ直ぐで、美しい。
18. we set sail - Feel Nothing
youtube
豪州ブリスベンで結成された五人組の3年ぶりの2nd。90s的なニュアンスと00年代のEMOっぽさという意味ではUSあたりで名前売れても良さそうなんだけど、タイトルや歌詞から漂う強烈な虚無感。2013年BESTでApricot Railを挙げた時に、アルバムのなんとも言えない風情はやっぱり風景にリンクしてるって言ったけどコレもそう。「Feel Nothing」っていうタイトルながら、気持ちを絞り出すかのように歌われる歌詞や、隙間を埋めようとするディストーション、明確な意図を持ったサンプリング、ジャケットにも通じる大きな空とその下の小さな自分の対比、そして僕は君から遠く海原を漂っている。このヘッドフォンの間にあるのは感情のオーバーフローであり、内側を焼く炎、この濃さは彼らの言うとおり「At least I made you feel something / 少なくともひっかき傷くらいは付けるさ(#3 Snails)」。
19. 別野加奈 - forget me not
作品ごとにコンセプトがあり、とっつきやすさも違うんだけど、彼女の核となっているのはアンビエントにまで接近したフォークソング。つまり、ある種の矛盾があるんだけど、歌メロかリフにほとんど近いピアノ、紡がれるように終わるということを感じさせないメロディー、シンプルな歌声。前作「海辺の花屋」は同名映画のサントラも兼ねるという立場上、ene や I swam の名曲が流れから浮いてしまってたんだけど、「夏の終わり」をテーマにアルバムの流れもドラマチックでいい感じ。冒頭を飾る英詞のタイトルトラック #1 forget me not からして彼女らしさに満ちてるけど、そこからスライドで流す線香花火ぐらい儚い #2 蜃気楼 がまた良く。波打ち際から徐々に視線をあげながら曲の中盤以降では視線の��の水平線に溶けていきそうな #5 see through sway in you と #6 宝石 というタイトル通り美しいけど、その中に押し固められた熱を感じさせるメロディーで締める。ここ数年夢中になってる、たぐいまれなる平凡さ。
例年のことですが、最後の一枚は2015年にリリースされた一枚
20. Trixie Whitely - Porta Bohemica
youtube
2年ぶりの2nd、ちょっぴりスロウになり、彼女の声の比率が上がり、あのロマンスが濃くなった感じ。#1 Faint Misery とか、 #6 Soft Spoken Words #3 Closer に象徴される漂うような妖しさと甘さ。弾き語りみたいにメロディーとグルーヴしかないけど、吐息を含んだヴォーカルは、もうそれだけでそこらのオーケストラをなぎ倒すくらい強烈なくせに、歌詞がとことん可愛い。なんていうか昼ドラ的ではあるんだけど(幸せそうな感じが遠いところとか)硬い、けど花のような自然な詩情。「As we grow older Imagine me closer to you / 私たちが年を重ねるたびに、それだけ近づけるって思わない? / This space in between us won’t separate my love from you / 二人の間の距離なんかじゃこの愛は遠ざけられない / From you / あなたから(#3 Closer)」。うん、そういうことだよね。
・最後にーー
今年の2月にバンクーバーへと移りまして、移動後数ヶ月の暇な間にちょこちょこ書き上げていたらこんな事になりました。
2017年は年明けのBEST ALBUMS更新を目指す所存です。 さて、2016年はこのブログ開設以降一番新譜の購入が少なかった年でした。分母で50枚ほどでしょうか? 一年通してオンラインミックスや公式つべチャンネルのTouchや、大きい声では言えませんがフルストリームのWiliam BasinskiとかKiasmosとかを流すという感じにシフトしたことも原因の一つだとは思いますが、2016年も相変わらず悲しかったというのもあります。相変わらずパーソナルなものばかりですし、明るいものは殆どないです。
もちろん新たな出会いや驚きもありましたが僕自身ちょっと篭りすぎてんじゃないかと、EMOリバイバル・シーンも追っていますが、Empire! Empire! (I Was A Lonely Estate)の解散も含め、おそらく僕は今はじめて終わりゆく、その変化の流れを見てる気がします。Ian Cohenは2015年のTWIABPでEMOリバイバルというムーブメントは終わったといいましたが、僕も確かに今年のリリースからはEMOシーンの2000年代頭の空気を覚えました。
それでもEvan WeissやKieth Latinenのような才能がまた表れてまた違ったシーンを生むのでしょうし、僕がいま夢中になってるSammy Brueのようなキラ星がこの先を照らすのでしょう。
ペシミズムに満ちたリストではありますが、今回選んだアルバム全ては「美しい」という一言で正直語れる気がします。もしくは尾崎豊が言ったように「生きること、それは日々を告白していくこと」に正直なだけだ、と。ドリームは頭の中でも作れますが、パーソナルというのは「誰か」あっての話ですし、だから手にとるだけでも価値がある��です。
僕の吐き出すそうしたものたちがあなたにとって価値を生むなら、それは1年に一度でもやってみるべきでしょう。
What I can tell you who still look after this super-slowpaced-review-blog, I keep listining music what I loved and followed, also I have some chances to see new stuffs.
Well, I don’t have any excuse about what happend. My year of 2016 was suck, I mean it’s first term to know how movement circled–2015 EMO revival ened up. DO you agree, or not?
I think I will listen some new talented musicians as like I’ve met E!E!, TWIABP, IIOI and Sammy Brue I've heard in this year. It’s worth to continue this blog and I hope my words put here also worth to keep your music life.
Happy Music Life
youtube
0 notes
kei-comodo · 7 years
Text
2016 BEST ALBUMS OF THE YEAR (1 - 10)
…………はたして、俺は今をいつだと思っているんだろうか?
何人覚えてる/気にしてる/気になるのかは分かりませんが、2016年のベストアルバムズDEATH!!!!
例年通りの構成でABC順に20枚(1枚は2015年未聴分から)をピックするのに何ヶ月かけるんだかってレベルでお届けいたします。バンクーバーへの移住を差っ引いても時期を失した感じの企画ですが、コレを済まさないことには僕の中で昨年の音楽を振り返れないので、あぁそう言えば、な気分でお付き合いください。変わらずにいろんなところに擦りはすれど重ならないリストです。
と、言うわけでまずは10枚。
1. american football - american football(LP2)
youtube
リバイバルという文脈には置けず、リユニオンと言うには二年目を超えたツアーは長すぎる、極め付けにコレ。まさかの2nd。Ian Cohenがこの20年で最も待ち焦がれていたEMOのレコードって言ってたけど、確かにそう。正直な話、強烈な感動があるわけじゃないけど、まだシーンとかEMOとか、そんなのよくわからない頃に聴いたあのアルバムの続きだってのは分かる。1stと比較せずに語ることも、彼らのこれまで(Owenとか、Their/They’re/Thereとか)を踏まえずに聴くこともできないから、上手く言葉にしづらいけど #1 where are we now? と歌われたら応えることはできる。You’re still hereーーそれはきっと素敵なことだ。
2. Bon Iver - 22, A Milion
youtube
昔、この人の作品の驚きはその美しい声を切り刻み、捻じ曲げてなお素朴な、素晴らしい歌っていうレビューを読んで、このアルバムの根っこにある衝動はそれじゃないかと思う。オートチューンやヴォコーダーによって「機械的」でソウルフルなヴォーカル、コーラス。天上を仰ぎながら、内にこもるようなリード曲 #4 33 “God” はギターと声だけみたいなSSWからは遠い世界かもしれないけど、それでも「他者」という壁に囲まれて、「僕」らは同じ場所にいる。でも、Justin Vernonはどこか遠く。#10 00000 Million はポップなようで、ゴスペルのように熱烈で、抱きしめられたのか、飲み込まれたのか?
3. Bracken - High Passes
High Passes by Bracken
抽象的で、映像性の高い ex-Hoodの片方、Chris Adamsによるプロジェクト Bracken の4th。ほぼ一年気づけばプレイして浸らせていただきました。アブストラクト・ヒップホップ的なビートと電子音、コーラスが線の細いヴォーカルに絡む #3 November Day や、天幕を描くかのようなシンセが気づけば星空と一体化して、その下に佇む自分を見下ろす #12 Still Here など、全体を貫くのは甘い孤独。反復の果てに沈んでいくラスト #13 Ten Years まで、想像の翼と精緻な描写のサウンドによってまた何度でも旅立てる。
4. Bruno Bavota - Out of the Blue
youtube
今年のピアノ枠。前作も後追いで聴いたけど、やっぱり垢抜けない(ほめ言葉)。音響とメロディーを行き来しながらアルバムは進む、ポスト・クラシカルってジャンルで語るなら、感傷的で美しいけど、そこに大きな悲劇みたいなものはない。移りゆき揺れ動くというシンプルな良さ。ロマンティックではあるけど、官能性の薄さが印象的な #7 Lovers を経て、アルバムの後半、似たようなフレーズと展開が続くんだけどTWDYの「Another Language」みたいな感じで、その愚直さが胸を打つ。
5. Convextion - 2845
2845 by Convextion
レトロフューチャーなジャケを含めて #1 New Horizon で描かれるものが既に圧倒的。16分間の夢想、遊泳、星々の海原。ループする通信波みたいなシンセのフレーズ、徐々に姿を見せる構造、グリッチが気づけばキックと混ざり合って、迎えるその瞬間の広大さ。Resident Advisorが完璧とまで述べたその瞬間はテクノと言うものの凄みをまたしても知った気分。その後のトラックも1mm単位の細やかさを見せながらも、途切れない快楽。Octave OneやSurgeonも新作をリリースしたけども、このアルバムほど大きなセカイを見せるものはなかった。
6. For Everest - We Are At Home In The Body
We Are At Home In The Body by For Everest
男女ツインVo. EMOバンドのデビュー・フル。以前のEP「Last of the Dogstronauts」にあった粗さが整理され、ポスト・ハードコアとインディロックの融合という王道のサウンドがひとつの物語として機能し、アルバムとして完成してる。カルチャー的なものがある限りちゃんと分かるとは言えないけど、MVにもなった #6 Autonomy からの展開が特に素晴らしい。歌詞がどうしようもなく悲しい #7 Penny Royalty から「The body is a mistake. / 私たちは失敗作 / We spend our lives undoing what was made. / 生きる為に産まれたはずなのに消えていく」と繰り返す #8 The Body と、クラッシュとかロング・グッドバイとかの話を前提とするけど #9 50/50 の「Nothing is worse than long goodbyes. / さよなら、よりも最悪なことなんて無い」っていう言葉がE! E! の2nd以降で最大の感傷をぶつけてくる。要所で光るストリングスも完璧。
7. Gates - Parallel Lives
youtube
初期の頃や前作で印象的だったトリプルギターによる轟音の代わりに、グッドメロディーという宝刀に磨きをかけた2nd。Mogwai、EitS系よりはSaxson Shoreやsonnaみたいな陽性のノイズだったり、フレーズが印象的。これまでの、例えば #10 Left Behind の様な、ギターでバーストしてなぎ払うみたいなトラックもあるんだけど、中盤を飾る #8 Fade とか、 #5 House & Home とかのグッと腰を落としてメランコリーな甘い展開を押し出してきたのが個人的にツボ。JesuとかConstantsとかが導いてくれる世界であり、とてもヘヴィなポップ・ミュージック。
8. I Love Your Lifestyle - We Go Way Back
youtube
何度も言うんだけど、やっぱり完璧に近いんじゃない? Cap'n JazzやAlgernon Cadwallader的なtwinkleyなフレーズやリフに溢れながらも、結局はナイーヴでめんどくさいヤツって感じの場所から動けないところも含めて愛おしい。随所できらめく多幸感というひかりは #2 My Yard のクソダサい歌詞をつつむし、後悔と屈折でねじれた #8 Routine ではそれでも頭上に青空を描く。彼らの「君と僕」の世界はどこかクールで空気が重い、バンド名も含めて憧れとニヒリズムが絡み合っている。だからこそ、 #3 Jazz Night で歌われる話とか、ラスト #14 Summer 03 のコーラス、「What’s waiting for me to fall down to the ground? / 次は一体ナニが僕をヘシ折りに来るんだろう? / I was always the one who knew what choises were the right for me / 僕はいつでも自分にとって『正しい』と思うことしてきたんだ / But that was before my life got beaten by anxiety / でも、ソレも僕の人生が不安に潰されるまでのことなんだ」とかが人生という甘くて苦いものを自然とアルバムに溶かしてしまっている。
9. Into It. Over It. - Standards
youtube
とどまるところを知らないこのシーンの顔役の一人、3rdアルバムにして現状最高到達点。ボウイング・ギターのハーモニクスとWeissの曲中でも最も低いBPMでドライブする #11 Anesthetic や、他のプロジェクトのエッセンスと王道マス・ポップが絡み合う #10 Who You Are ≠ Where You Are 、初期のラフさが感じられる #9 Bible Black の流れは印象的。もちろん必殺の #3 No EQ に、 #7 Adult Contempt でのEvan Weiss節(歌詞もメロディーも)だって完備。歌詞にちょっぴり甘さが増えたことや、 No EQ のびっくりするくらいの青さもあって改めて底の見えない人だなぁ、と。
10. The Jezabels - Synthia
youtube
ゴス成分とダークさを増した3rdフル、ときおりのEDMのようなビートや、空間を意識したギターやシンセなんかの飛び道具が加わり、ソリッドかつ大仰な前作と比べると華麗ではあるけどよりタイトになったと言える。Heather(Key, Pf)の子宮頸がんの告白とそれによるメンバーの引っ越し、アルバム・ツアーのキャンセル etc. と語りたいことはいっぱいあるんだけど、これは間違いなく彼らの最高傑作。いろんな側面が混ざり合い溶け合い、Vo. Maryの歌声が圧倒的な密度でもって飛び込んでくる。アルバムを通して、Heatherを中心にサウンドは輝き、拡散する、その真ん中に座りMaryを通して歌われる感情は性差とかフェミニズムとかのさらに奥の個別性(Individuality)にも踏み込んで、僕を激しく揺らす。
後半の10枚に続く
0 notes
kei-comodo · 7 years
Text
Female Vocals in EMOtional Bloom
あんまりにも更新が無いのはあんまりじゃ無いかといことで……Pt.2
以前、Twitterで呟いたEMOリバイバル・シーンを中心にした春っぽく咲く女性Vo.バンド・シリーズ。ツイートした内容にもうちょっと足して色々とご紹介します。
春は出会いと別れの季節、そんなわけでサクラチル前にどうぞ!(投げっぱなしのオチ)
・そもそもEMOシーンの女性ヴォーカルって……?
90s EMO、ポストハードコアのシーンはもう既に言われてるし、当たり前な感じもするけど白人の男の子が中心。キムの姐御とか、カオティックHCのベースとか、パンクって枠に広げればそりゃあいるんだけど、あのナードっぽい空気の、SSWみたいにギターやピアノじゃなくてベースを抱えて、ちょっぴり甘めのロマンス含みで歌っちゃうみたいなソレが kawaii(or EMO) ‼︎ って話。アルペジオ重ねたり、リフを積んでくギターと爆発、ノイズ。EMOは繊細すぎるっていうダメなトコが研ぎ澄まされた結果としてこっちを刺すわけで、そして女性ヴォーカルとガーリーな歌詞は儚さとか、大らかさとかそういうものも重ねて威力は倍の倍で無限大(ゆで理論な話)!
EMOってのはパンク/ハードコアへの素直な憧れが、捻くれちゃってそのまま出せなかったり、やれなかったり、そういうのがあの青さときらめきを産むんだって思ってるけど、10代での変化にまずぶつかるのは女の子だし、変化が大きいのも彼女たちだ。時が流れるっていう残酷さと優しさ、それは裏表じゃなくて首をかしげたら覗けるようなもの。ーーつまり、春に似ている。
そんな女性Vo. EMOバンド、個人的な3つをまず紹介しよう。
Jejune
1996年結成、解散は2000年。Jimmy Eat Worldやthe Get Up Kids、Braidなんかともスプリット出したり、ツアーしたり。Arabella Harrison(Vo, B)、 Joe Guevara(Vo, Gt)、Chris Vanacore(Dr)によるパンク/ハードコアへの憧れが滲む1st「Junk」、こっちの方がグランジ以後っぽいEMO/インディ・ロック名盤ーー2nd「This Afternoon’s Malady」、そして3rd用のデモなんかを中心とした「RIP」を解散後にリリース。ちなみにバンドはバークレー音楽学校で結成されてたりする。
Morale is Low
youtube
タイトル通りにロウなテンションからコーラス部分で爆発。男女ツインVo.を活かす掛け合いで、「I burn for you / 暖めてあげる / and drown in / そしたら、もう逃がさない」って歌っちゃうところがEMO。「You so wait / じっとしててね / Turnaround and stay / こっちを向いて、そこに居て」をメロディーに乗っけちゃうところがさすが。
Early Stars
youtube
Jimmy Eat Worldとのスプリットに「That’s Why She Hates Me」と一緒に収録された代表曲のひとつ。ロマンチック、だけどちっとも明るくない。「Face your own sky / 目の前に空が広がる / Darkness pours down from the early stars / 夜が一番星から注がれてくる / Wait for my sign / 合図するまで待って / We’ll go quietly together / 私たちはひっそりとゆきましょう」って凄いよね!? え? なんで? 「Oh, and when you sink into the ground you’ll fly」ってその前に言ってるじゃん、そーゆうことだよ。
Rainer Maria
1995年結成、2006年に解散するものの2014年に再結成したバンドのひとつになる。Caithlin De Marrais(Vo, B)、Kaia Fischer(Vo, Gt)、William Kuehn(Dr)の三人よる3rd「A Better Version of Me」までがEMOだって個人的には思ってる。リリースのほぼ全てはPolyvinylから。2nd「Look Now Look Again」のサナギから蝶へ、セカイが移り変わるその感情を閉じ込めたようなところがドキドキする。
Rise
youtube
そのアルバムの冒頭を飾る一曲。歌詞はロマンチックで孤独で力強い。「Sometimes, offer more than talking / ときどき、おしゃべりするよりちょっと多めに / Say, “I like you very much.” /『大好きだよ』って言ってね」っていう気持ちと、「for each inch cut, / 切り揃えられて飾られても / the roots grow ten / 根っこをしっかり伸ばすわ / where we can’t see them. / 誰にも見えないところで」と歌うコーラス。これに似合うのはやっぱり春だし、恋だ。
Feeling Neglected?
youtube
こっちは男女Vo.の掛け合いを活かした曲。よたよたしたメロディーがだんだんと加速するんだけどダメな方向に転がり落ちてくというか、歌詞のどうしようもなさがスゴい。コーラスが重なってるけどズレてるとことか、メロディーのエモさとか。「and I’m feeling neglected anyway / ねぇ、なんだか最近冷たいよね?」ってフレーズが何もかも振り回すんだけど何も解決してない感じ、プライスレス。
Lemuria
結成は2004年で現在も精力的にツアー中。EMOに括られる青さはあるけど、これから紹介するEMOリバイバルの枠とはまた違ってスプリットを出したKind of Like Spittingとか、Brand Newとかに近い、90sから地続きのサウンド。Jejuneがパンクで、Rainer Mariaがインディロックで、彼女らはポップ。1stフル「Get Better」を出した後に、ちょっとメンバーチェンジがあり、今はSheena Ozzella(Vo, Gt)、Alex Kerns(Vo, Dr)、Max Gregor(B)となってる。2010年からJ.Robbinsをプロデューサーに迎えて、2nd「Pebble」、3rd「The Distance Is So Big」をリリースしている。
Mechanical
youtube
イントロからもう収まりきらない90sの感触。パワーポップに駆け出すけど、後ろは振り返っちゃう。でも、止まらず。「Get Better」のラストにブチかます一撃。曲のど真ん中で「Shut up!」と重ねるくせに、最後にためらうかのようなアウトロに被さる口笛は、なんていうかもう、ごちそうさまです。
Lipsticks
youtube
ロマンスがありあまるーーギターとシンセのフワフワとしたメロディーを繋ぎ止めるAlexのドラムがハードコアです。「When you wear Lipstick, /きみが唇をなぞってるのを見るたび / I always want to kiss you, / いつもキスしたくなるんだよね」っていう歌詞はこの時点で糖分過多。で、その後のコーラスはやっぱりポップ。このアルバムは遠くなるほどに輝く季節。リリース時より今の方が良い。
・in EMOtional Bloom
パンクもポップもインディロックも、聴いて、飲み込んで、演奏し始めた彼女たち、かつてへの憧れを鳴らすバンドたちを括る便利な言葉があるーーEMOリバイバル。ここ数年でそう呼ばれるシーンは定着したって言っていい。もはや、インディロックと呼ばれるモノとなにが違うのか? 説得力のある説明はできない。語れば長くなる。だから、まずは耳を貸してくれ。彼女らが散る前に。
Football, etc
テキサス州ヒューストンで結成されたEMOリバイバル・シーンでの代表的バンド。2017年に3rd フル「Corner」をリリース。来日経験もあり。
Safety
youtube
来日の際のライブ・テイク。重たげなメロディー、ちょっとした言葉遊びの歌詞、それらを確かめるかのように演奏する姿がグッド。Lindsay Mintonのギター・フレーズや音節を延ばして歌うところにすごくEMOを感じる。歌詞がとってもピュア。「I’ll build a nest for you / 君に安らげる場所をあげる / I’ll build the best for you / 一番必要なものをあげる」。このコーラスをみんなで歌っちゃうところがシーンだと思うんだよね。
Ratboys
イリノイ州シカゴで結成されたバンド。Julia Steiner(Vo, Gt)の私小説的な歌詞とカントリーをベースにしたサウンドはキュートだがパンチは十分。
Not Again
youtube
Littele Elephantでのセッションから。一曲目のガーリーな歌詞をロールする「The Stanza」も、乾いた空気の中を走り、要所でホーンが吹く「MCMXIV」も良いんだけど、Dowsingとのスプリットに収録されたコレも素晴らしい。とつとつと語りかけるように懲りない自分を軽やかに持ち上げる、その湿り気のなさが魅力。Juliaの紡ぐような歌い方も良いんだけど、こっそりと「(It’s you, all you)」とささやく声が甘すぎて溶けそうです。
Now, Now
2003年結成、Lemuriaと同じくらいの古株。当初は"Now, Now Every Children"という名前だった。製作中らしいけど活動は控えめ。ちなみにバンド名は「ねぇ、ねぇ」とかそんな感じ。
Thread
youtube
このAudiotreeのライブセッションは一時間にも及んで、他にも彼女らの魅力あふれる曲はあるんだけど、ひと肌の歌メロとCacieとJessのコーラス・ワーク、EMOリバイバルっぽい色んなジャンルの要素、それらが絡まり、最後の「If I could go back to the start / 何度でもやり直すの / To break the pattern forming between us / 私たちが繰り返した約束は壊すの」の後、20秒くらい空を舞うような高揚感。Now, Nowの芯はこれ。
Tancred
Now, NowのJess Abbottのソロ・プロジェクトとして始まった、現在はバンド形態でツアーもしている。3rd「Out of the Garden」は遂にPolyvinylからリリース。
Sell My Head
youtube
ザラザラでドロドロ、Now, Nowのような浮かぶ感覚はなくて、晴れすぎた空の下でのしかかるフラストレーションをぶん殴る! そういうキャッチーでポップな感じ。つまり、メランコリー。「I drank you up like wine / あなたの全部を飲み干してあげる / ’Til my teeth were black and white / 私の歯がボロボロになって噛めなくなるまで / You always know just what I like / あなたもずっと分かってたでしょう? / You drank me up like wine / あなたに私の全部を飲み込んで欲しかった」って何度も繰り返すコーラスもサイコ。
Cayetana
結成は2009年、殆どのリリースを担当するTiny Enginesが「パンクそのもの」とまで言っちゃうのも分かるくらいに荒削りゆえのキラキラで、エッジの効いたメロディー。
Scott Get The Van, I’m Moving
youtube
「The hardest part of moving out, is I remember moving in / 出て行くときに一番厄介なのは、収まる場所を探すこと」なんてフレーズを連呼しながら、色んなものをぶっ壊すMVが最高なラブソング。NPR Musicのライブ映像に彼女たちが歌うのは「short songs about longing(ずっと願っている一瞬の歌)」だって書いてたけど本当にその通りだと思う。
Field Mouse
Topshelf所属のRachel Browne(Vo, Gt)とAndrew Futral(Gt)を中心としたバンド。Hop Along(ex. Algernon Cadwallader)のJoe Reinhartをプロデューサーに迎えた2nd「Episodic」を2016年にリリース。
Half-Life
youtube
アルバムのアタマでもそうだけど #1 The Mirror でドカンとやって、そこからメロウなこの曲に雪崩れ込む。確かにドリーミーなんだけど、要所でザラザラの刻まれるフレーズがバンドの魅力。近親者の不幸がこのアルバムの根底にはあるらしんだけど、様々な対比と生と死っていうモチーフは明確なのに「I have lived more lives than you」っていうコーラスはミステリアス。
And The Kids
マサチューセッツ州結成のHannah Mohen(Vo, Gt)、Taliana Katz(B)、Rebecca Lasaponaro(Dr)の三人よるメロディーとコーラスが全てというインディ・ロック。
I Can’t Tell What the Time is Telling Me
youtube
もう立ち振る舞いがインディ女子って感じのHannahの牧歌的なメロディーをグルーヴさせるリズム隊の女子力。歌詞は苦笑するくらいにガーリーで、それがRebeccaの手数の多いドラムと柔らかいコーラスがグルグルと回すとソリッドなんだけど、メリーゴーラウンドからの景色みたいにファジー。ついでに、映像の最後で彼女たちもぐるぐる回す。
・最後にーー
とまぁ、こんな感じで春っぽいバンド・シリーズ兼EMOリバイバル・シーンのバンド紹介でした。 他にもまだまだ居るんだけど、メランコリーだったりロマンチックだったり、そういうふわふわな空気と桜の樹の下には死体が……みたいな影があるバンドが個人的には春のイメージなので。言わせてもらうなら確かにKittyhawkはまだアリかもしれないけどAdeventuresとか、Save Endsだと青いけど熱いし、Long Knivesは思い出の苦さだし、Mannequine Pussyだとタイムレスにパンクだし、Thelemaはジャケからして春ではなく夜だし、といった感じで今回は彼女らでした。この流れならWaxahatcheeを置かないの? って思った人もいるかもしれませんがPS. Elliotはともかく僕、彼女はあんまりしっくりきてないので……
結構、長々と動画もたくさんで重い記事になりましたが、春ならまず、Charaを聴け
youtube
4 notes · View notes
kei-comodo · 7 years
Video
youtube
穏やかという強さ、手をつなぐという希望、うるさくないからこそドキリとするほど鮮烈
0 notes
kei-comodo · 7 years
Text
BEST Albums I’ve heard in 2016 so far
今年もあとちょっとだってのに今更中間報告。 一応、今年の八月までに聴いたアルバムからのセレクトですが、上半期謎の精神バラバラ状態というか無気力状態の期間もあったので(あとお酒とか超おいしかったので)、10枚ほどのご紹介です。というか、確かに色々と上半期はありましたがソレさっぴてもこのブログ気楽に行こうぜって始めたけど、もはや気楽というよりも怠惰な様だろ(ry ――閑話休題。
なにはともあれ、いつも通りにABC順でレッツラゴー!
1. Bracken - High Passes
youtube
ex-Hoodの片方、Chris Adamsによるプロジェクト Bracken の4th(過去作は未聴)。抽象的でありながら、絵画的な音があちこちから聞こえてきて、脳内に描かれるのは寂寞感という。ヴォーカルの声質が良いんだよなぁ。アブスクラクト・ヒップホップやニカ、宗教的な荘厳さ、ビーツ、ハウス的なやかましくないシンセなんかが意味を持ち収まったオリジナリティの塊みたいなアルバム。コンポーザーとしての彼の人間味すら感じる、ウォームグレーの世界。お気に入りはヒップホップ的なビートが刻み付けるようにハマる #2 Ghostly や #3 November Day 、ロマンチックな闇の深さ、孤独感が光る #10 How Is This A Cure?。
2. I Love Your Lifestyle - We Go Way Back
We Go Way Back by I Love Your Lifestyle
Twitterで何回か褒めたけど、また言おう。コレ、下手したら完璧に近いのでは? ってくらいにキラキラかつ捻くれで青臭く、アツいグッドメロディーの疾走。デビューフルらしい荒削りさがちっちぇえコトばっか気にしてるような歌詞と合わさると、僕らのナイーブさをあざといくらいに突くんですよ。冒頭のCapp’n Jazz系のtwinklyかつ、ロジカルで情けねェ #1 Nice Jacket. Not から、今度はキラキラでボロボロな #2 My Yard でやけくそハッピーになったら、2分以下の最高のシンガロング #3 Jazz Nights って言う流れに感動しないなら、あんたはもうEMOを聴く必要がないくらいに幸せだよ。I Love Your LIFESTYLE Yo!!
3. Into It. Over It. - Standards
youtube
Evan Weissのメインプロジェクト/EMOリバイバルの代表バンド、フルアルバムとしては3rdってことでいいのかな? 汲めど尽きなけりゃ、経てど色あせない極上のメロディーは未だ彼の脳内にあるらしい。デビューフルの「Proper」や、EMOリバイバルに対してのマイルストーンっぽさまで最近してくる2nd「Intesections」から引き続きのEvan節って感じのメロディーやフレーズが更に良くなってるように聞こえるから興奮する。似たようなところを掘り返して、更に素晴らしいものをこちらに投げてくれる彼の現状、最高到達点じゃねーかな? 12月の遂になったバンドセットでの来日では更に凄げぇもんが見れるんじゃないかと期待してます。
4. Noam - overdramatic
youtube
恐ろしいくらいロマンティックで苛烈。展開やフレーズに新しさを感じることはないけど2000′sのポストロックにあるメランコリーとか絶望とかそんな匂いが強いメロディーと、虚無に響かせるかのような展開がビシバシと刺さる。あえて言うなら、侘び寂び。抑えに抑えた激情がラスト一分で爆発する #3 Heartbreaking Attempt や、似たような展開をフレーズとメロディーのみで別の感動を押し付ける #6 Defection Of Courage に #9 Fog Of Confusion のパンチ力。そして、すべてを美メロで押さえつけるラスト #10 Start Of Every Day の何でもないという特別さの感慨は「いま」にこそ染み入る。
5. Predisian - Healthy Ways to DIe
Healthy Ways to Die by Pedestrian
カリフォルニア出身のポストロックバンドの2015年のデビュー・フル。ウィスパーヴォーカルがドリーミーな展開にのりつつ、メランコリックなパートを漂うけど、遂にはかき鳴らした轟音が空を穿つ。その膨張と収縮の連続は初期Caspianとかあの頃のthe Mylene Sheathの轟音バンドたちを思い出したり。全体としてヴォーカルの頻度よりも展開に重きが置かれていて、メインとなる曲は #1 Days #5 Unconscious #9 Antarctica なんかの6分台のEitS系ポストロックのトラックだけど、その間に抒情的なショートトラックや、 沈み込むようなギターアンサンブルを挟むことでアルバムとしての一つの世界を見せてる。彼らも推してる #5 Unconscious の「When I hold you / I hold you like I need to / I don't need to / I don't need you」からなだれ込む最終盤のカタルシスが最高なんでまずはそこから。
6. Showbread - Showbread is Showdead
Showbread is Showdead by Showbread
詳細は全然知らないけどオレゴン州ポートランド出身のポスト・ハードコア/ダンスパンク・バンドのデビューフル(?)。問答無用でまずは #1 I am Horrible at Processing Rejection の縦ノリのヴォーカルがブリブリなベースとノイジーなギターに加えて、ディスコ風なシンセを纏って闊歩するその様を聴け! 全体としてEDMというかエレクトロニック・ミュージックの様式とLa Disputeなんかのミクスチャー系ポスト・ハードコアの構成の両方取りみたいな感じ。二分未満のショートトラック #4 Harry Harlow and the Monkeys of Despair で、モダンなビートの中にいきなりピアノをバックに差し込んで昇天したり、#9 Nine Weeks, Four Days: The Fetus Develops Teeth じゃ、冒頭からいきなりゲーム・ミュージック風なファンクネスが炸裂したりと、飛び道具も完備。ラストラックの #11 Life After Life After Death で、クリーンVo. 女性Vo.を大量投入して、シンガロングもできるんだぞ! ってとこまで見せつけて感動的な展開まで作っちゃう。アルバム一枚通して色んなものを詰め込みながらも押し切ってしまうその腕は中々有望なバンドが出てきたなぁ、と。
7. Sioux Falls - Rot Forever
Rot Forever by Sioux Falls
オレゴン州ポートランドからModest MouseとかBuild To Spillとかのインディの血が、エモの自分語りに結びついた果ての一大絵巻。一時間を優に超えジャムのサイケデリアと個人の妄想が入り混じってぐちゃぐちゃの中を突き抜ける歌声。幾重にも積み重ねられるギターとベースとドラムのアンサンブルはソリッド、でも果て無く広がる。大きいのか小っちゃいのか分からない世界観とシニカルさ。その中でも白眉なのが、こじらせた歌詞を反復するメロディーと積み上げるサイケデリアに脳みその奥深くまで浸される #14 Your Name’s Not Ned 特に後半のジャムが永劫に届きそうな感じ、イイ。
8. SHUTTLE358 - CAN YOU PROVE I WAS BORN
CAN YOU PROVE I WAS BORN by SHUTTLE358
デリケートすぎる浮遊感が不安を越えて微睡をもたらすアンビエント。Dan Abramsによるユニット SHUTTLE358の11年ぶりの4th。シンセとエレクトロニクスの絡みが職人的バランスで切なくもあたたかい、サウンドスケープを描く。ジャケットの通りに甘い孤独感にほんのりと不安を散らして沈んでいける。オープニングの #1 Can you prove I was born から以降何度も登場するシンセのフレーズは押しては返し、鼓動のようで、吐息のようで、途中のゆるやかなホワイトノイズのような一面も持つトラックを抜けてのアルバム中最もメロディアスな #9 A ground without a figure と、ラストの #10 Years later でまたしてもあのフレーズが、極限まで引き延ばされて漂うとき、伸ばした手が触れられたみたいな喜びがわく。その瞬間のためにまた「僕が生きていると教えてよ」という問いかけに戻り、スタートボタンを押す。
9. TIED KNOTS - the end of the rainbow
youtube
東京出身のポスト・ハードコア・バンドのデビューフル。ATATAの奈部川さんがtwitterでつぶやいたリードトラックの #1 Loser’s Blues の一言目を今年何度も口ずさんだのはなぜだろう。「似て非なる迷言と正論 / ニセの未来にケリつけ / 今を抱き帰ろう」。意図的に英詩的な発音で歌われる言葉が今年の前半、とてもよく刺さった。EMOリバイバルの流れにも置けそうな色んなものをかみ砕いて僕らの好きな「ポスト・ハードコア」サウンドが全編を満たすけど、ロマンティックかつキャッチーな #8 Crosswalk や、歌ものハードコアとして極上の #4 T.V.Game ~ #5 Moon Night って言う流れとか痺れるなぁってこと。だけど、どこまでも日本的、90s likeだろうと、あの頃だろうがレッテル切り裂く鋭い叫び。
10. Yndi Halada - Under Summer
youtube
イングランド出身の五人組ポストロック・バンドの11年ぶりとなる2ndフル。前作の滅びゆく中にあるどうしようもない美しさ、それと似て非なる普遍であるという要素を今作には感じる。大きな特徴だったヴァイオリンに加えて、今回はハーモニーとしてのヴォーカルを軸に据えたことで、オープニングトラックの #1 Together Those Leaves は前半でギターのアルペジオ、ストリングス、ヴォーカルによるメロディを積み重ね、5分あたりを起点にして届く、コーラスによるサッドビューティフルの完成形みたいなものが、そこからまた同じだけの時間をかけて還っていくような展開が既に鳥肌モノ。そこからオリエンタルなメロディーをちら見せしたり、マーチングドラムとコーラスが穏やかなのにパワフルという #2 Golden Threads from the Sun があり、王道ポストロック的な展開の悲哀から、その後の歳月経て、老いさらばえるどうしようもなさをひたすらに暖かいメロディーで飾る #3 Helena 、成層圏まで登っていき最後にはフリーフォールで燃え尽きるみたいな #4 This Very Flight と全4曲ながら、美メロの洪水で息苦しくなるほど。TWDYの「Another Language」じゃないけど、まだ何も終わってないし、世界はいともたやすく美しくなる。
これだけではヴォリューム的にアレなので今年の上半期を支えてくれた曲たちを。
5 Songs of the my 1st half
1. Boys on Guitar - Something Warm
Boy On Guitar / Chase Huglin Split by Boy On Guitar
シューゲイズの濃霧の中で、とろかすような甘い声がエモいメロディーを歌う。
2. Genius P.J’s - SINCE
youtube
絶望のビート、慟哭のヴァイオリン、左右に中指を立てるリリック。刻め、刻め、すべて切り裂いてしまえ。
3. G-FREAK FACTORY - ダディ・ダーリン
youtube
言葉にしていいのかこのkocorono在り処は? 歌っていいのか、僕らの社会は? 数多の解釈をゆるしつつ、それを拒むラブソング。
4. the world is a beautiful place & i am no longer afraid to die - I Can Be Afraid of Anything
youtube
祝祭とためらい、僕らはいつも何かを言いそびえれる、伸ばした手を掴んでくれ、ひとりでは寂しいじゃないか。
5. 雨のマンデーズ - ハッピーエンド
youtube
さよならは月曜日に
  恋をした雨の日に
  明日はきっと晴れますように ――雨のマンデーズ公式サイトより
0 notes
kei-comodo · 8 years
Video
youtube
Let me tell you the worst news ever, I saw you is the last miracle in this century.
HAPPY END.
0 notes
kei-comodo · 8 years
Text
2015 BEST ALBUMS OF THE YEAR(11 to 20)
続きまして残り10枚もどうぞ(例によって最後は2014年未聴分からの一枚)。
11. Maritime - Magnetic Bodies/Maps of Bones
Magnetic Bodies/Maps of Bones by Maritime
前作から、えーーーーーっと何年ぶりだっけ? まったく錆びない純粋なギターロックを、the Promise Ringを越える枚数のアルバムで届けてくれた彼らの5枚目のフルアルバム。冒頭の3曲が特にいい。肯定も否定も同一線上に並べてしまう #1 Nothing Is Forgot から、どうしても所々が青臭い #3 Roaming Empire まで歌詞の時点でキラーフレーズの嵐なのに曲がグウの音も出ないほどにグッドメロディーと言う素晴らしさ。去年のFrontier(s)しかりで今の彼らをEMOに結びつけるには立場が美しすぎるのかもしれないけど、彼は「僕らはここにいる」という当り前さを、ポップパンクを土台にして描いた人生のその先は、ある意味でインディの向かう果てで、たぶんReal EstateもArcade Fireも届いていない箇所の唄だと思うんですけど、どうです?
12. Monobody - Monobody
Monobody by Monobody
衝撃のデビューフル。ジャズ・インスト・マス・エモ・ポップ? 演奏風景みてると分かる通りテクニカルでぶっ飛んだ発想があるくせに曲のそれ自体はあくまでもキャッチーである。メンバーのSteve Marek、Conor Mackeyがやってたバンド Loose Lips Sink Shipsの音楽とはまた違った感じで、可愛くポップで綺麗だけど大人しくない。あらゆる断面を切り取って腕一本とセッションのみで纏めてしまう。あぁ、踊り狂いたい。
13. mulllr - Wokers
初のフィジカルリリースとなる4thアルバム。基本路線は前作「for Minus Four Nine」と大幅な違いはないけれどもよりエレクトニカちっくになったと言うか、前回ではアブストラクトな段階に終始しつつ、音響の美しさを示していた要素のそれぞれがさらにメロディーを持ち始めたというか。コンセプトアルバムとしてのストーリーや、曲名なんかはニヒリズムを強く感じるけど、それ一筋でない辺りがまた憎いくらいに面白い。ただこれを朝の通勤BGMにすると心がヤバいかも……
14. Octave One - Burn It Down
テクノの海を泳いでたら出会いました。一昔を越える彼方から久々のフルアルバムとなる3rdアルバムをリリースした彼ら。デトロイト”techno“の第2世代として、20年越えるライブアクトとしてのDJ(又の名を真剣勝負)を経て、こちらへ落とされた最新作。テクノとハウスの壁の一つであった「ヴォーカル」を迎えても彼らのサウンドはそのヴォーカルすらビートとして、言葉とメロディーと歌メロの果てへと突き進んでいく。そもそもが #1 Eighth Wonder のイントロで、キックがメロディーと絡み最小の要素でこちらを吹っ飛ばすロマンスを生み出した瞬間や、いまや代表曲の一つ #7 New Life feat. Afrika Pratt-Ansa での歌詞がビートとキックを生む感覚は彼らを聴いて初めて知ったものだし、そのこれまでの世界を刷新するサウンドはコレがテクノかっ!? と言うレベルの衝撃でした。
15. Palehound - Dry Food
Dry Food by Palehound
EP、7インチを経てのデビューフル。僕の知る範囲ではそれほどの盛り上がりは無かったけどヴォーカル/ギターのEllen Kempnerが生むメロディーは「Bent Nail EP」の #5 I Get Clean からも分かると思うけれども(僕が彼らと出会った曲と言うことを差し引いても)、不思議な伸びやかさと多幸感がある。そしてこのアルバムの骨太さはなんだろう。コードを鳴らしてブーンで音楽? このわずか8曲30分にも満たないアルバムの素晴らしさをそんなシンプルさで纏められても困る。……かと言って、僕にはこのアルバムのメロディーの普遍さを説明できないけど、この耳に飛び込むどうしようもなさはBarsuk Redords期のBen GibbardとChris Wallaのコンビに近いレベルなんじゃないかと言うくらいに只々ギターのサウンドがメロディック。いつかそれが途絶えるとしても、「ここに美しいメロディーがある」というインディペンデントさ。それはある意味でMakeshift Sheltersが選ばなかった道の上のインディ・ロック。
16. the world is a beautiful place & I am no longer afraid to die - Harmlessness
youtube
天下のEpitaphレコードに移籍しての2ndアルバム。相も変わらず独自の道を走っていてなにより、以前ツイッターでも言ったけど #1 You Can't Live There Forever を「We think that the world is alright and that's lie.」というフレーズで締めて、このアルバムは前作のように過去や僕らを振り返るのではなく、様々な世界を描きながら駆け抜けていく。 恐らく中心にあるのは彼ららしくもあり、新機軸でもある #3 January 10th, 2014 や、タイトルが既にそれを教えてる #5 Rage Against the Dying of the Light なんかの「死」というものと対比される「罰」じゃないかなって思う。別の言い方で述べるなら「因果応報」。それがタイトルの”Harmlessness“と結びついた上でラストの大曲 #12 I Can Be Afraid of Anythingと #13 Mount Hum が、「I really did dig my own hole, and I'm climbing out / 僕は自分で自分の墓を掘る、そして這い上がるんだ」や、「Hands stained dirty, but there is water to wash them out (What we call life above the ground)  / 汚れは手にこびり付いてる、だったらこの水で漱ぎ落としたらいい(死ぬまでの命を何と呼ぼう)」と歌われると胸の奥がざわつくし、なによりアルバムは「We’re all gonna die / 僕らはみんな死ぬ」という言葉で幕を下ろす。この瞬間のアルバムが描く世界の大きさは予想をはるかに超えて、何度も再生ボタンを押させるには充分だ。何回か言ったけど、あと少なくとも9742回くらいは飽きずに聴けるくらい極まった傑作。
17. Xinlisupreme - 始発電車
youtube
紆余曲折を経て、現在は廃盤となった彼の前作「4 Bombs」以来となった流通盤。レーベルとの決別や、またしてもある日飛び込んできた #3 I Am Not Shinzo Abe にまつわるアレコレ、その新しいテイクのみが(2016/05/07という現在)残っていることなど、2005年にFat Catからではなく自身のHPにぽろっと上げた「Neinfuturer」の如く、無きに等しいプロモーションも含めて、とてもポリティカルなアルバムであることは間違いない。だけど、リリース作として聴くなら、なによりこれは「唄モノ」アルバムであって、轟音とたびたび形容される彼の思考を垣間見るかのようなサウンドはだいぶ整理され、曲中の声は明らかなメロディーを持っているし、アルバムの流れは(恐らく彼自身がヴォーカルを取る) #7 始発電車 での滔々と現実への空想を述べる歌詞へと纏まっていく。相変わらず書ききれない。でも、言っておきたいのは #3 I Am Not Shinzo Abe という曲を作れた人間は2015年に彼しかいなかったという「結果」だけ。
18. それでも世界が続くなら - 最低の昨日はきっと死なない
youtube
メジャー契約を終えて、インディーズとしてリリースされたアルバム。正直に言えばメジャー1st「僕は君に武器を渡したい」以降のリリースは曲単位では聴いたことはあってもやはりどうしてもその立場やアレコレが上手く消化できなくて遠ざけていたけど、またしても1000円(税別)なんていう値段で売られてたコレはどうしても気になって手に取った。重ねて告白しよう。コレは決して名盤じゃない。ニヒリズムと抽象と絶望的に軽い生が吐き出されてそこに転がっているアルバム。これまで必死に君と僕の世界に縋りつくことで「歌が人を救わない」という残酷さから距離をとってきたヴォーカル/ギターの篠塚将行の歌は「彼女」を振り切って「昨日」を選んでしまった。アルバムのど真ん中でこれまでこれからに致命的な傷をつける #4 ひとりぼっちしかり、削りすぎた言葉が返って普遍性に届く #2 浴槽 ラスト二曲の果てはジャケット裏の、相変わらず飾り気のない彼の言葉だ。沈み込むようにして一人ひとりが鳴らす一音いちおんは「生」のように浮かび上がり、「死」を想う歌詞と相対化される。そのあまりにパーソナルな空間に浮かび上がるのは、ヘッドホンで耳をふさいだ僕だ。
19. 長谷川健一 - Breath
youtube
あいだにカバーアルバムやカマクラ内での録音というEPなんかを経て2年ぶりとなるセルフプロデュースの3rdアルバム。前作「423」のジム・オルークがプロデュースしたサウンドとはまた違ったナチュラルさと平熱みたいな安定感。1stフルでの総集編や、前作の一生というぼんやりとしたテーマはこの人がギターを弾き、歌うだけであっさり戻ってくる。今作で印象的なのはやっぱりフリューゲルホルンやコルネットの太く甘い響きで、ちょっとアルバムタイトルにもかかって「息吹」を感じる。だけど、そうした大きいものの話よりも良い曲を書いて素敵な声で歌ってくれる彼との「歌う」というコミュニケーションが今もって続くのがうれしい。
ラスト一枚は2014年に未聴だったアルバムから
20. Family Basik - A False Dawn And Posthumous Notoriety
A False Dawn And Posthumous Notoriety by Family Basik
加藤遊、加藤りまの兄弟によるデュオのデビューフル。いつかとこれからのポップミュージック。 #1 The Last Fine Day Of My Life のイントロ、シンプルなベースと重なるようにして鳴らされるギター、揺らめくシンセ、そして甘く切ないヴォーカルと更に糖度を上げるコーラスでのハーモニー。このアルバムの全て。ものすごく革新的ではないけど、実験的なアプローチが随所にのぞきながらも、歌詞で「I see your face when you say “It's OK”」って歌っちゃうメロウさも良い。どうしたってポップなのに、どこか形容しがたい。軽やかなリズムで歌詞を紡ぎ、聴いた後にはタイトルが違った一面を見せる #5 Business Affairs や、個人的には歌詞が某知恵袋でのドクラマグラへの回答を思い起こさせる #6 Subliminal Jackson も白眉。どこか不器用で懐かしく、センチメンタルな思い出の上映、あぁ、僕らはいつもその中で深呼吸する。
・最後に――
こんなにも遅れたことをまずはお詫びします。書いては直しだったらまだいいんですが、一文字も浮かばないまま年を越して、ようやく書き始めた二月上旬にはまさか更にソコから二か月もかけるとは思っていませんでした。
さて、これが僕にとっての2015年と言うシーンです。 Kendrik Lammerも、Adelも、Courtney Barnetも、Drakeも、Tame Impalaも……もういいかな? リストにある2015年は個人的に見ればきっと、抽象と具象でした。割合で言えば3:7でしょうか、あくまでもパーソナルなものにこだわり続け、その象徴がMakeshift Shelters、それでも世界が続くならによる2枚のアルバムです。エレクトロニック・ミュージックになぜこんなにも惹かれたのかは今でもミックスを漁ったりしている身では確かなことは言えませんが、一つの目的と分かりやすい機能美が僕にはとても響くのかもしれません。抽象としてカタチを保つビートとノレるという枠を持って、初めて抽象化された感情が意味をなして、脳内をすべるんです。
去年のライブ枠で言えば、TJLA Festとenvy x mouse on the keys、BuddhistsonのライブがBESTクラスだったかと。2015年はうるさい音楽の購入数は低めでして、その分ライブで浴びまくった感じです。
抽象と具象という見方のどちらにしても、大きいものへの関心がそのままニヒリスティックな吐息に変わっちゃいそうな年であった、2015年は個人的Fuck of the Yearの「安保法案改正」にまつわるアレコレで先の見えてる結末を見ると言う希望はどうしようもない絶望みたいなレトリックをはぎ取れば、最低でした。
2016年も初頭から著名人の訃報やテロのニュースなど世界では当たり前のように人が死んでいます。それが自然みたいな話は好きじゃないので、僕はどちらかといえば岡本太郎的な新聞広告の方を支持します。音楽を社会から切り離しても個人的なものを追っていけば、その先にはやっぱり今の「日本」があるのでしょう。……もうこれ以上はメンドクサイので止めます。でも、リストの最後、Family Basikの The Last Fine Day Of My Life の中で最も響いたラインが恐らく僕の本心でしょう。
「But I want you to know I've never killed anyone / And it's a very good side of me / それでも僕はまだ誰も殺したことがなくて / そんな自分が好きだったりするんだ」
youtube
Thank you for reading it. I hope you enjoyed and it can be a way you see new music.
However, my year of 2015 was pretty conplicated, and Japan and our days seems to be getting cruel or hard. Well, do you belive the world has been better step by step? I hardly say "YEAH", but one of the my best lyrics is above it and I wanna tell you "I've never killed anyone that is very good side of me."
Happy music life 2016/05/07
4 notes · View notes
kei-comodo · 8 years
Text
2015 BEST ALBUMS OF THE YEAR(1 to 10)
もう五月じゃねぇかバカ野郎!!!!!!!! いい加減忘れられてる伸ばしに伸ばしてきたこの記事もようやく日の目をみることとなりました。何でこんなにかかったのか自分でもよく分からないんですが、まぁ、今年も1/4が過ぎようというタイミングでとにもかくにも2015年が僕にとってどういうものだったのかをお伝えできる作りにはなったんではないかと。グダグダ言うのは最後にとっておいて、やっぱり色んなリストを掠りつつも重ならない、ある種の切り口で見た2015年のシーンをどうぞ。
例年通りにABC→仮名順です。
1. And So I Watch You From Afar - Heirs
Heirs by And So I Watch You From Afar
2年ぶりの4th。前回のパーティアニマルっぷりから遂に宙へ……。ヴォーカルの比重が増したり、チャラっぽさも保ちつつ、硬質なシリアスさも持ったメタリックかつスペーシーなサウンドは磨かれるばかりです。今年の話ですが、LITEとのアジアツアー、新代田FEVERでの公演はRum Home辺りで客の何人かが我慢しきれなくなり、モッシュしながら飛び跳ねまくるという事態に。アルバムとしてはどこを取っても良いんだけど、ゴリゴリとリフを重ねつつも、飛びまわるギターサウンドが最高なタイトルトラック #9 Heirs がお気に入りです。でも、 #3 Wasps はもはや卑怯なレベルのキラーチューンでした、もちろんライブでも(以下、別の感想になるので割愛)。
2. Deafheaven - New Bermuda
New Bermuda by deafheaven
ポスト・ブラックの顔役のこちらも2年ぶりの3rd。もういろんな媒体で、色んな角度から書かれているんで、僕が言うことがどれほどあるかと言う話ですが……ないですね!!! まぁ、言えてもですよ? 攻撃性やアグレッションなパートと幽玄かつメランコリックなメロディーをよくもまぁ、がっつりとここまでカッコよく決めるなぁ、とか、今でもショウではジョージくんによるナルいあのパフォーマンスが最っ高にダサカッコいいままなんだろうなぁとか(ry
3. envy - Atheist's Cornea
https://youtu.be/
youtube
前作「Recitation」も嫌いじゃないんだけど、今作「Atheist’s Cornea」の最高っぷりはもう言葉を尽くすものじゃないですね(別名、もういい加減語るのに飽きた、と言うかネタ切れ)。これまで血肉としてきた全てをそぎ落とした果てで鳴るに加えて、今回は特に各楽曲のボトムスの鳴りが良い。envyってけっこうベースとドラムのメロディーへの絡��がニュースクール・ハードコアから始まったバンドにしてはしっかりしてると思ってるけど、 #1 群青の月夜 からしてオープニングのドラム連打で幻想から悲哀へと必殺一撃だし、かつてから話題だった #7 隔てられた二つの心 あたりに至るとこれはもはや悲壮美ではないかと……。それに今回は歌詞もいいです、というか2nd以降のenvyに求めたいたモノが全部ある、全部だ!!!
4. Fjordne - Moonlit Invocations
今年、少ないながらもエレクトロニカには相変わらず手を出しておりまして、出逢った一瞬で心に響いた数少ない一枚がこれ。 Fjordne(フィヨーネと読む)の6thアルバム。オールドなジャズ・レコードからサンプリングされた様々な音とそれに寄り添うように、時に外し、時に引き、導いては、混ざる彼が演奏するジャズ・ピアノ。ノイズからハーモニーまでを巡るエレクトロニクス。混沌としてるけどとても純粋。暗く黒く深いものを明るく照らすという矛盾のような音楽。なにより美しい、そういうメロディーの見本ってくらい美しい。
5. Foxing - Dealer
Dealer by Foxing
2015年のEMOリバイバル界隈であまりにもセンチメンタルなアルバムを作っちゃったバンドがFoxing。冷めたメロディー、内省と後悔の歌詞、感傷の塊みたいなヴォーカル。ポストロックやインディっぽさの全てを押しのけて、籠っていく。「With ticking womb of wedlock / 微睡むように結ばれた胎をけりながら / Soaking blood through a dogwood lung / ハナミズキの胸は血で埋まる / The unhinged cull of oxygen / 傷むことから遠く離れて / How have I been stuck here for so long? / どれくらいここにいただろう?」。オープニングの Weave の頭で歌われる歌詞の中のグロテスクさとメランコリックと愛への近さはこのアルバムを象徴してる。そこからキラーチューンの #3 Night Channels で何度も繰り返される「Future love, don’t fall apart / どうか、素晴らしい愛をくれ」で一つのピークを迎える。アルバム全編を通してカトリックの教えが一面にあって、そこへの距離は感じるけど、2ndフルにして腰の据わった重いアルバムを届けてくれて満足です。
6. Hauntologists - Hauntologists
youtube
匠の技が光る、ディープテクノ/ミニマルテクノ。結構色んなユニットやソロでも活動してるJay Patrick AhernとStefan Schneiderの二人によるユニットのデビューフル。細かくダンサンブルに刻まれるビートとキック、トリッキーだけどデリケートなエレクトロニクス、ここまでミニマルながら色々やられるとハウスなのかテクノなのかミニマルなのか分からなくなるけど、そんなのは問題じゃないという一言ですべてを切り捨て薄闇へと突撃していく。流れるように体感時間すらコントロールする #3 Brooklyn や、#9 Sustain の響きの気持ちよさのみで運ばれていく感覚。ジャズっぽいフレーズがふと感じたりしてそれも面白い。
7. Jlin - Dark Energy
youtube
人生初のフットワークと言うジャンルで買ったアルバム。そこで最初期から活躍する鬼才 PR Booの秘蔵っ娘であり、シーンの才女と煽りはバッチリ。畳み掛ける三連符のうねりとグルーヴ、トライバルなノリと血の臭い、暴力的ではなくグロテスクさの方が近いサウンド。それが同時にたまらない魅力。下手したらどこまでも肥大しそうなそうしたものをまとめ上げ、ぶつかりあうような踊りを求めるこの音楽。 #3 Guantanamo や、代表曲の #4 Erotic Heart における攻撃性や、ラストトラック #11 Abnormal Restrictionのオープングのサンプリングを聴いてると震える、なんて言うとマゾっぽいかな?
8. Kara's Walk Home - I don't look at the stars
I don't want to look at the stars by Kara's Walk Home
年の瀬も迫った頃、見付けて、#1 American Soccer を聴いて、おっと思い、 #9 bad feelings ;^(  のイントロが流れた瞬間にやられた。ギターロックとポップパンクの爆発部分だけを集めたかのようなサウンドが最高なら、私小説と妄想が混じり合って、ヒリヒリと吐き出さずにはいられないように歌われる歌詞も最高。ヴォーカルが下手糞? 分かる。メロディーが雑? その通り! 詰め込みまくった構成はプログレじゃなくて、行き当たりばったり? そうかもしれない、けどそういうのを気にしてEMOに憧れてるわけじゃ俺はないんだよ!! 序盤の爆発を経て、3分過ぎから定番のホーンをお供に語られるのは過ぎ去ったものではなくて、かつてこの胸にあって、いまでも奥で灯っている世界への希望だ。それは生と死すら絡めて、後半の駆け上るメロディーのらせん階段をよろめきながら無限に昇ってく、畳み掛けるようなポエトリーディングはこのシーンの重要なファクター「生活と自己の一面」を赤裸々に描く上に、皆で畳み掛ける「but at least I know that we're still breathing. / でも、少なくとも僕は知ってる。僕らはまだ生きてる」は本当にキラーフレーズ過ぎる。約一時間かけてたどり着く、EMOリバイバルのあるべき姿。P.S. ジャケのアニメっぽさはご愛嬌。
9. Levon Vincent - Levon Vincent
youtube
2015年の前半、僕を支配していたアルバムの一つ。圧倒的な高度へと上昇していくテクノ・ミュージック。抑えられたビートとキックがロマンティックなメロディーを浮かび上がらせながら、脳内はまさしく空間を飛翔する気分。 #6 Her Light Goes Through Everything が進むにつれてドラムが増えようと、#9 Anti-Corporate Musicがへヴィーなキックを纏おうと、うわ物であるシンセとストリングスがそこからセンチメンタルさだけを削りだしてしまう。シリアスではあっても辛すぎず、複雑だけれどスマートだ。四次元上平面のダンスフロアでキックはすべてを揺らす、シンセが身体を包む、メロディーは途切れない。アルバムを通して付かず離れずのパーソナルさ、それはもしかしたら、彼のことかもしれない。
10. Makeshift Shelters - Something So Personal
Something So Personal by Makeshift Shelters
2015年のEMOリバイバルを語る上で、このバンドの存在は大きい。まず、なによりアルバムタイトルが良い。「Something So Personal」というこの一枚の全てで、ポップパンクとインディロックが一人の女の子を通して、鳴る。何度くり返しアルバムをかけたことか。どこを切っても極上のポップネスと同量のどうしようもなさが混じり合い、癖のあるメロディーが微妙なインテリ感と一緒に昇華されるアルバム。隠しもしない少女性は気持ちよく、下ネタですらジャブに使って、本命のキラーフレーズが何度聞いても心に刺さる。 #2 This Song Is Definitely Not About A Boy のサビ全体でチープなリベンジポルノをぶつけるとこや、MVにもなった #3 Light Fluid の今となってはさらに鋭い「i pity the fools who fall in love / 恋をしたのねお馬鹿さん / nothing that makes you feel good can last / 永遠に続くものなんてないのに / because if things were in terms of forever / だって、それがずっと続くって思った瞬間から / they'd all lose their shine too fast / それは瞬く間に色あせてしまうのに」しかり、#10 Darkest Night なら「and the indents in my appearance / そして、私に残るいくつもの歯形が / that show my emotion, you know i don't show that very often / 私のことを語っているの。ねぇ? 分かるでしょ / to anyone / 他の誰でもなく / but you / あなただけが知ってる / but i still want to wake up by your side / ねぇ、いまだ君といる夢を見るんだ」も強烈だけど、やはり #8 Overflowing の一言が全て。「all i wanted was to feel complete / 私はなにも失いたくない」。Kara's Walk Homeがアルバムを通して、人生の行く先を語るなら、彼らは人生の一瞬を積み重ねて自分を語って見せた。“We’re breaking up because whatever.” ってことばは今でも痛いけど、彼らが吐き出したこの一枚は例えようなく素晴らしい。自ら過去の自分として切り捨てた「きみにしか聞こえない」音楽がこのアルバムにはある。
続きの10枚へ。
3 notes · View notes
kei-comodo · 8 years
Text
Rest of Great Albums I've Listened in 2015
世間はそろそろ今年のアルバムに注力しだす頃ですが、このブログはこれから年間BESTの時期です。そう言えば2015年は上半期BESTをしてなかったなーってのと、例年のごとく20枚選んだアルバム以外にも今年について話しておきたいこともあったので、こんな記事を作ってみました。2015年内に(初めて)聴いたアルバムから素晴らしかったものを15枚選んでます。年間BESTがにっちもさっちも構成が決まらないので先にこういうものを作って自分を追い込んでいくのです、なんだかんだで、色んな人のコレクションを掠っていくけどヒットはしなそうなリストができました。 では、ざっとABC順に。
1. Adventures - Supersonic Home 
youtube
EMO/ポストハードコア界隈では名の通ったメンバーも参加するバンドのデビューフル。女性Vo. 二人によるヴォーカルワークがオルタナ系のギターにのるだけでロマンチックだが、二人のVo.の温度差もまた面白い。アルバムの頭の#1 Dream-Blue-Haze ~ #2 Heavenly を聴いてダメならもういいよ言わんばかりの全力投球な構成もいい。ごちゃごちゃ言ってるけどこのバンドはかわいい、kore ga kawaii!!
2. Annabel - Having It All
youtube
3年ぶりのフルアルバム、Evan Weissプロ���ュース、リリースはTiny Enginesから。永遠の青さをたたえたメロディーとコーラスは今作でも健在。ある意味でJoie De Vivreとか、Everyone Everywhereと一緒でデビュー時から全然ブレない彼らだけど、今作の白眉はグランジっぽいリフからポストロック的なギターワークで光り輝く #3 If Only をかまし 、それを上回る壮大さの3分間アリーナロック #4 Days In Between からなだれ込むタイトルトラック #5 Having It All の「ゴールにたどり着く前に死にたくない/もっと何でもできるようになって/叶わないことなんかなくなって/でも、そうなったらお終いさ 僕らはなんでもあるんだから(Having It All)」ってキラーフレーズが最高なトコですよ。
3. Caribou - Our Love(2014)
youtube
最高に美しいシンセのうわモノに身をすくませるエモーショナルなキックとループするコーラス #1 Can’t Do Without You を聴いたのがおそらくそもそもの始まりです。ぶっといビートでもみくちゃにされるエロティックさは「セクシー」とは別次元の話です。 まぁ、このアルバムは結構色んなところで色んな人がしゃべってますんで、ね?
4. Caspian - Dust and Disquiet 
youtube
前任ベース失って以降、数多のツアーを経て、6人体制となり生み出されたアルバム。これが他のBESTに選んだアルバムに比べて劣ってるところを探す方が難しんだけど、僕がその新機軸を上手く消化して評価するにはもう少し時間が必要だと思う。ポストメタルに接近しつつ、カントリー的なヴォーカル曲も収めたどこにも収まる気配のないエネルギーを抱えたインストゥルメンタル・ロック。
5. Chinese Football - Chinese Football 
youtube
「american footballへの中国からの回答」と言うにはちょっと虚無感が薄いってのが(前にも言ってるけど)あってその文脈には置けないけど、メタリックなフレーズの使い方とか、静から動っていうポストロックな文法を見るとそういうのを通過してんだろうなぁっていうマスロック。アメフトのMike Kinsellaのヴォーカルと絡んだり離れたりするメロディーとは違った、テクいけどメロいソレは数少ないけど今年聴いた中では琴線に触れた部分。
6. The Island of Misfit Toys - I Made You Something
youtube
BWM枠。今年このレーベルから出たアルバムの豊作っぷりは感動的なぐらいでしたが、大所帯どんちゃんEMO/パンク/インディロック・バンドのフルアルバムはその中でも格別でした。今年のEMOシーンで一部でやたらと目に付いたのがスポークンワードやライミングをベースにしてるヴォーカルの存在。他にもCYLSから同じくデビューフルを出したThe Cardboard Swordsしかり、ただでさえ言葉があふれそうになるEMOの歌詞を削るのではなく(どんな手を使ってでも)詰め込むというそのヒリヒリ感は彼らの曲について回る洗礼と信仰、自己の対比にとてもリアリティを加えている。天井を突き破って鳴らされる聖歌だって誰かが言っても僕は信じる。
7. Lulacruza - Orcas
youtube
今年のアンビエント・ポップ枠。フィールドレコーディング音やドローン調だったり、フォークっぽいのギターや丸み帯びたパーカッションの上にポルトガル語のヴォーカルが載ると異境感バリバリだけど、心地よくポップであるのが最高です。NYPだし、だらだらと筆が遅いんでなんとリミックス集までリリースされてしまった。そっちはまたエレクトロニカ寄りで良いです。
8. Madegg - NEW
youtube
2年前の前作「kiko」がジャケット通り統一されたブルーだとするなら、このアルバムはグレースケールのスチームファンタジー。年末にリリースされたんでよく聴いたとは言えないけど、ダンスフロア向けの名義でリリースしたことやこれまでのライブ経験が生んだのか、ニカと言うより異形のテクノと言わんばかりのシリアスさが覗く。ビートやキック、シンセの裏で蠢くようなノイズがハッとした瞬間に美しかったりエロかったりで成長を感じますね(雑な締め)。
9. Perfect Future - Manifest(2014)
youtube
前作でWW1をやったら今作では更に遠くなり、ユダヤ教に聖書に神話まで含んだ歌詞は正直英語やその文化に近しい人以外をそのメッセージからは遠ざけてしまいそうだけど、サウンド面では更にポストハードコア色を増して、ゴリゴリと刻んだり奏でたり。歌詞のことはちょっと棚上げしてもオープニングの #1 Preamble ~ #2 A Call to Arms の爆発を聴いて上がらないヤツはいねーだろ。よりタイトになったアルバムは極めてシリアス、我が道をゆく寓意の自己表現。自らのバンド名を冠したラスト #10 Perfect Future の最終盤、もがくような叫び「We cry out, “There will be no future without perfection!  Babylon must fall tonight!”/僕らはあえぐ『不完全な未来などない! バビロンは今夜終わる』」の向こうに見える景色はなんだろう?
10. Random Rab - Awoken
ミニマルでメロディックなテクノ/ダウンテンポ。まぁ、まずは #2 Nartha を聴いて! 柔らかいギターのストロークとシンセからスムースなビートが絡み、スペーシーな展開へと移行する前半から先、その展開はかつてのシューティングのグットBGMを思い出させるような興奮。いい意味で派手じゃなく滑らか、ゲームっぽさはあるけれどオリエンタルさやストリングスでのクラシカル面も含めて身体を揺らせるには充分。かき鳴らす弦から宙の果てまで、耳元からスピーカが降らすフロアまで。
11. Rae Howell - Invisible Wilderness
youtube
今年のピアノ枠。オーストラリアのポストクラシカル/室内楽・ユニット Sunwraeの中心人物Rae Howellのピアノソロ二枚組。ジャジーな、滑らかに紡ぐ音色とそれでも抑えきれない彼女の高ぶりがざっくりと収められたDisc 1。よりアブストラクトなフレーズやピアノ、ローズピアノ、キーボードから出る音を全部使ったようなインプロが印象的なDisc 2。分かりやすいかと言えば違うけど人力の温かみがあるし、両方に収録されてても聴いて受ける印象が違うタイトルトラック Invisible Wilderness や 、 The Owl & The Eagle なんかはピアノっていう楽器だからこその面白さ。
12. Rudderless original soundtrack(2014)
youtube
今年のBEST Movieの一つ、そのサウンドトラック。劇中で印象的な扱いのヴォーカル曲以外にもあのシーンや、このシーンを彩ってたなぁっていうインスト収められた一枚。全体の構成としてみればやはりサントラであって纏まりはあるけど、ストーリーは映画任せな部分はある。でもさぁ、映画観た人間として言えば Asshole や Over Your Shoulder 、 Sing Along も聞けるなら、文句もクソもないでしょう? ちなみにこの映画についてだったら僕が付き合って語り合いますので観ましょう是非に、ぜひ!
13. smoug - Folk Remedy
今年も大変お世話になりましたなLinus Record店主も参加するポストロック・バンドの2nd。オーガニックなサウンドが反復を経ながら緩やかに上昇したり、ヴォイスサンプルと電子音を弾けさせながらカラフルにきらめいたりする楽曲は「今」を映しているわけではないけど、きっと不思議な郷愁と陶酔感で持って僕らを運んでくれる。アルバムを通しての構成もよく、中だるみもなく一気に聴かせる。 #4 Hail To You(Alternative ver.) が個人的キラーチューン過ぎた。ただ、民間療法っていうタイトルなのに中身がほとんど現代医療関連なのはなぜ?
14. Surgeon - Tresor 97-99(Reissue)
youtube
テクノの溢れんばかりのインスピレーションを体現した三枚。これがほとんど20年前ってのがまず驚き、そして感動。頭蓋を撫でるように広がる「Basictonalvocabulary」収録の #8 Waiting の蠱惑的な美しさだとか、フロアに叩きつけられる重音がこっちを飲み込む「balance」の #4 The Heath とか、果てしなく伸びていく組曲形式なトラックも備えた「Force+Form」の三枚セット。シリアスでダークなトラックばっかりだけどトライバルなビートやダビーなキックとか一音いちおんがカッコいいのが何よりも凄い。
15. Zenker Brothers - Immersion
最後もテクノ。アンビエントなオープニング Mintro や、#3 Phing で特徴的な浮遊感のあるシンセによるうわ物によって方向感覚もとろかされた脳をゆさぶるドラムの気持ちよさ。ドラムンベース程の速さはないものの、上のSurgeonのトラックと比べるとスピード感のあるビートがより広い音の空間の中を刻んでく。個人的に好きなのは #5 TSV WB や、 #8 Ebbman みたいなブレイクビーツっぽいドラムトラックにすぐ近くで反響してるような音が飛び交うちょっとシリアスで孤独感のあるトラックだったりするけど。
以上、15枚。 ちなみに母数はだいたい60枚くらい。ここから更にBEST ALBUMSで20枚(うち一枚は去年のだけど)もあるから、まぁこのブログを読めばやはり「今年はこんな音楽聴いてました!」って言えるんじゃないでしょうかね?
その記事は近日中に、ナルハヤでお届けしたい。
2 notes · View notes
kei-comodo · 9 years
Text
Rudderless ー君が生きた証によせて
Tumblr media
どこまでも漂うだけの物語 「あの頃、ペニーレインと(原題 Almost Famous)」って言葉を聞いて浮かび上がるのは、切ないような、でもあたたかい……そんな気分だ。ラストシーンで監督の分身であり、モラトリアムと希望の象徴と、なにかを失くしていくことを糧として表現の道の先を行くものの対話は眩しさがあり、哀しみがある。 このシーンの片割れであり、バンドのギタリストでもあったラッセル・ハモンドを演じていたビリー・クラダップを主演に迎えたのが「君が生きた証(原題 Rudderless)」だ。
youtube
これから話すことは、もし君がこの映画の結末を知らないのなら、あれに至るまでのシナリオを経ていないのなら、読まないことを強く勧める。予告編だけを見て読むのなんて愚の骨頂だから、今すぐこのページを閉じて、DVDかYouTubeか、なんでもいいけど、あの物語を経てきて欲しい。 Asshole
youtube
さて、この物語のキモはシナリオと劇中の歌にこめられたメタファーにある。 予告編でも感じ取れるイケイケなオヤジが、息子を学内の銃乱射という痛ましい悲劇で亡くしたのちに彼の今まで知らなかった一面であり、共通項である音楽を通じて、前を向き始めるという見方のできるシナリオで物語は進んでいく。実のところ、これだけでもそれなりに面白い。息子のやたらと内省的で感傷的な音楽は、血を分けた存在を失い、広告会社在住のエリートから呑んだくれの塗装屋でボート住まいの地域の問題児にまで身を落としたビリー・クラダップによく馴染む。 この映画の開幕で歌われる曲、「Asshole」の歌詞はコレだ。 I am an asshole / 僕はバカ野郎 And you’re kinda needy / 君はさびしがりや I said it was casual / 僕が“ゆきずりだ”と言うと And you pretended to believe me / 君は信じたフリをしたね Our glass is empty / 僕らのグラスは空っぽ At our best it was only half full / 一番いい時でも半分しかなかった I only love you when you’re leaving / 別れる時だけ君が愛しい And I’m an asshole / 僕はバカ野郎 そして、予告編でも流れ、シナリオ上でももう一人のキーキャラクター、クエンティンことアントン・イェルチンを引き込んだのが「Home」であり、その冒頭の歌詞はあまりにも繊細で可憐だ。 Well, I’m trying to get home / 家に帰り着きたいけれど But it feels like another life / まるで前世みたいに遠い Yeah, I’m trying to stay strong / 強くなりたいけれど Sometimes I realize / 時々思い知らされる That the further I go / 遠くへ行けばいくほど The more that I know / 想いは強くなる That I wanna go home / 家に帰りたいんだ この感傷的でありながら、甘さのあるメロディーを持った歌は、オープンマイクっていう飛び込みのイベントの枠を超えて、地元のパブを人で満たし、それこそ「Almost Famous(あと一歩)」くらいの人気を得てしまう。 この一見ペラペラなシナリオに大きな陰を生んでいるのが、ロックスターを目指すにはあまりにもシャイなアントンのキャラクターと上昇気流の途上で現れる一人の女の子の存在だ。 彼女、ケイト(セレーナ・ゴメス)はかつて息子のガールフレンドであり、葬儀以来の再会だけど再び出会った彼女はビリーをなじる。「Shame on you!(恥知らず!)」 Over Your Shoulder
youtube
この強いことばの裏には、この物語最大の魅力であり、どうしようもない悲劇が潜んでる。 ーービリーの息子・ジョシュが銃乱射事件の犯人であり、6人もの人間を殺めたのち(自殺か他殺かは不明だけど)死んだこと。 わかるかな? 日本にもオウムっていう実例があるし、麻原彰晃の歌が今でもYouTubeに落ちてるけど、アメリカにはチャールズ・マンソンっていうその手の超有名人がいる。彼のつくった歌もYouTubeに残ってる。なにせあのブライアン・ウィルソンと共作もした上に、ヒッピームーブメントに永遠の傷を刻んだ張本人だ。 この事実が物語に複雑な戸惑いを生む。 人殺しのつくった歌、なんて聞くとギョッとするのは僕らが「同族殺し」という邪魔者を排除しようという本能の部分があるから。でも、同時に僕らには好奇心っていうめんどくささがあって、それは他人の心というブラックボックス(それも大量殺人犯だ)を覗いてみたいという暗い欲望が起こる。 加害者の一親等っていう立場はこうなると残酷だ。 少年Aこと酒鬼薔薇聖斗の母親が手記を出したりしてるけど、例え血が繋がっても、親だって結局は一番身近な他人だから、その心の中にあるものなんて分からない。そうして距離的は同心円状にあるはずなのに僕らは加害者側を暴きたてて、コミュニティから排除する。近ければあるほど分かり合えるなんていう身勝手さがうっすらと透けて、かつての恋人や友達を追い詰める。それも確かに暴力のカタチで、「復讐の連鎖は虚しいだけ」なんていうことばは浮かぶ前に消える。その当たり前の残酷さをこの映画はさらりとミステリーとして投げつける。おまけに美しい歌も添えて。 ここに来て、僕らは放り出される。そして気づく、Rudderless(舵のない船)の意味を。 感傷は自分ではどうしようもないものへの諦めにも似た一撃だ。だからこそ、美しさが必要だ。 瑞々しく切ない音楽映画のコアが「ひとの命」という至上の価値と、「他人の心」という永遠のブラックボックスを抱えていることで重さは一瞬で想像を超える。いきなり基準点を失った僕たちへ畳み掛けるようにサクセスストーリーは崩壊する。彼らが有名になることはない、曲が世間に認められることはない、いくら歌が美しても、殺人は社会最大のタブーだ。そこに答えはない。許すなんてチャチな終わりは、戻る場所があるから言える強いことばだ。 でも、舵のない船にそっちを向く方法はない。 できるとしたら、うまく周りが運んでくれるのを待つだけ。 この映画のラストシーンは一歩違えれば気持ち悪くなるくらいに感傷的だ。 もはやどこにも行けない物語は世界の片隅で立ち止まる。 一人になったビリーは、初めて、加害者の父親として皆の前で言葉を放つ。 そして、歌う。息子の歌と言って。 Sing Along
youtube
Stuck in your confine / 閉じ込められたまま Chewin’ it over / 状況を噛みしめる Caught in your headlights / ヘッドライトに目がくらみ Stop staring / 見つめるのをやめる Don’t know what’s on my mind / 僕の頭はどうなってる? What am I thinking? / 僕は何を考えてる? Whatever I say is a lie / 僕の言うことは全部ウソ So stop staring / だからもう見ないでくれ Tread carefully / 気をつけて進んでくれ
Take a breath and count the stars / ひと休みして星を数えてごらん Let the world go round without you / 君がいなくても世界は回っていく If you’re somewhere you can hear this song / もしどこかでこの歌が聞こえたら Sing along / 一緒に歌おう Close your eyes and count to ten / 目を閉じて10まで数えてごらん Maybe love is the only answer / 愛だけが答えかもしれない I will find a way to sing your song / 僕は何とかして君の歌を届けるから So sing along / 一緒に歌おう
Help me understand the silence / 理解させてほしい 静寂の意味を We make the best we can of everything / 全力で向かい合おう すべてのことに Nothing is what it was / すべては変わってしまった Turning the light on / 明かりに照らされて Honesty changes us completely / 正直さは完全に僕らを変えてしまう Tread carefully / だから気をつけて進んで
Take a breath and count the stars / ひと休みして星を数えてごらん Let the world go round without you / 君がいなくても世界は回っていく If you’re somewhere you can hear this song / もしどこかでこの歌が聞こえたら Sing along / 一緒に歌おう
Close your eyes and count to ten / 目を閉じて10まで数えてごらん Maybe love is the only answer / 愛だけが答えかもしれない I will find a way to sing your song / 僕は何とかして君の歌を届けるから You sing along / 一緒に歌おう
What is lost can’t be replaced / 失われた物は取り換えがきかないけど What is gone is not forgotten / なくした物が忘れられることはない I wish you were here to sing along / 君と一緒に歌えたらいいのにな My son / 息子よ My son / 息子よ My son / 息子よ
これは息子を亡くした父親が、彼の遺した歌を通して彼を知っていく物語だ。
でも、同じようにあらゆる歌と僕らはそれが完成した時から離れていく。それが自分のか、他人のものであるかは関係なく。そうして残された傷を感じることを「sentimental」だと呼ぶなら好きにすればいい。過去がもはや遠くなり、取り戻せないと知らなければ僕らはソレを認められない。景色は遠くなるほど美しくなる。どこにも行けず、漂う船にのって、悼みを知るまで。そこに美しい歌が寄り添うなら最高じゃないか。
2 notes · View notes