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Nikki
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Kana .NBCN(1992.6) Illustration 絵本
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knbcn · 6 years ago
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#アイコス二スルナラキンエンシテ
大学生になってから喫煙者と接する機会が格段に増えた。父はかつてヘビー級のスモーカーだったらしいが1991年にやめた。きっかけは私が母のお腹の中に現れたからだ。産まれた後もどちらかといえば身体を動かすことの方に興味関心が傾いたせいで高校を卒業して実家を出るまで、自分は愚���身の回りに喫煙者がとても少ない環境だった。
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それもあって、だいぶ遅くに発見した自分の新たな一面がある。‘どうやら私はタバコが好きだ’という事だ。禁煙者が煙草を毛嫌いするケースが多い中で、私は控えめに言っても好きだった。正確には「煙草をすっている人を見るのが」好きだった。自分は一度も吸ったことがないので「美味しさ」とやらも「依存性」もよくわからないが、副流煙やコートに着く匂いなどの二次災害が全く気にならない程度には、喫煙者に対して寛大だった。理由はただ一つ。
色気だ。
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【自分が吐き出した煙が目にしみて少し目を細める姿】や【煙草の持ち方】【灰を落とす仕草】【口の端に咥えながらボソボソ���話す様子】などなど…鑑賞としての魅力を挙げだしたらきりがない。
煙草1本×喫煙者の数だけ出来上がっていく即席の芸術作品のようで、大袈裟に聞こえるかもしれないが本当にみていて飽きないのだ。
そして、はるか昔から愛されているこの乾燥葉を使った余韻活動は、人間の身体に何のメリットもなく、肺を溶かし、散財の原因になるのだと思うと益々艶めかしく魅力的に感じてしまう。
そんな理由から、私は喫煙者に対してどこまでも寛容で優しく、本当の意味では冷たい人間だった。
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勿論「だった。」という過去形にしているのは理由がある。そう、加熱式電子タバコが最近主流になったからだ。私が好きなあの煙草とは違い、煙が出にくい。匂いも違う。街を見渡すとみんな電子タバコだ。そのせいで、過ごしやすくなった人が大半だろう。喫煙者自体もなんらかのメリットがあるからそちらを選ぶのだろう。きっと世の中はHAPPYな方向に向いているはずだ。そんなことはわかっていながらも、私の中の喫煙者に対する態度は一変した。
まず、(愛用している方に大変申し訳ないが)おしゃぶりをしているようでみていられない。あんなに沢山の「持ち方」があったのに。あんなにたくさんの「咥え方」があったのに。今じゃどうだ。みんな揃いも揃って赤ちゃんが握りしめるように煙草を掴み、背中を丸めて口にくわえる。その一連の動きは色気など皆無。知性も美しさのかけらもない。
そして何より煙が出ない。口から出てくる煙はわずかで、煙草の先からツーっと漂う儚くて脆いあの残像や、��なそうに時に勇ましく崩れ落ちていく灰の勇姿を目で追うことさえ許してもらえない。たった数年で随分と景色が変わってしまった。なんてつまらない情景だ。今までうっとりと眺めていた対象が、見ていられずに目を背けるものまで成り下がってしまった。
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正直、それを咥えるくらいなら、毎日文句も言わずに酸素を取り込み二酸化炭素を吐き出してくれている自分の肺に、心から敬意を払っていますぐ禁煙してほしいと切に願うようになった。葉緑体を持ち合わせた全ての植物に毎朝、「今日も光合成ありがとう」と囁いてから吸ってほしいとも思う。反感を買いそうなので、もう少し好感度を意識して言えば「あなた自身の健康の為にも禁煙してほしい」と考えるようになったのだ。
残念ながら、電子タバコの売り上げに反比例して、私はどんどんまともで本当の意味で優しい方の人間に成長していく。ありがたい話だが、全くもって面白くない。技術の進化を横目に、私は全く関係のない場所から今日も嘆く。アイコスにするなら禁煙してと。私の楽しみを返してほしい。
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