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映画 『ハスラーズ Hustlers』
3 / 4 / 2020 (WED)
2008年 9月。
「リーマンショック」。
私は まさに アメリカにいた。
2008年 9月というのは 私の人生の中で 一番最高な時期と言ってもいい頃。
アメリカでの生活にも慣れ、
自分の好きなことだけに打ち込む日々。
卒業までは残り半年。
まだそこまで焦りはない。
だからこそというか、
私は アメリカにいながらにして リーマンショックに関して
ほとんど無知だった。
私は とても恵まれていたため、
留学中の生活費などは 全て両親が仕送りをしてくれていた。
現在の 私の1ヶ月分の給料にほど近い���を 2年間 毎月送ってもらっていた。
足りない分は クレジットカードを使ってもいいとまで言ってもらっていたし、実際に使ったこともあったかもしれない。
2007年 4月。
留学した時は 1ドル120円付近を彷徨っていた。
母が毎日 円相場を見て 一番いい時に学費の振り込みをしてくれたのを覚えている。
2009年 4月。
帰国する時には 1ドル99円付近を彷徨うようになっていた。
「今 留学していたら 学費が大分安かったのにね」と母が言っていた。
毎日 円相場を見て一番いい時に学費を振り込んでもらったのに
その時の 1〜2円の変動などものともしない、
20円の変動である。
日本から送ってもらう仕送り額は変わらなかったのに、
留学当初と留学終盤では 引き出す額に1.2倍の差があった。
1万円の仕送りに対して 留学当初の引出し額は約83ドル。
それが 留学終盤では 1万円の仕送りに対して 約101ドルも引き出すことができた。
1万円につき 18ドルも増えたということは、
実際の仕送り額に換算すると 数百ドル分の差額になる。
なので、私にとっての2008年9月は、
どちらかというと 良い出来事であり、
ことの重大さにやっと気づいたのは
帰国してからなのであった。
さて、いつもどおり 長い前振りがあったところで、
映画の話。
最初は とにかく 裸のお姉さんが出てくる映画なので、
ポップコーンを飲み込むタイミングに迷うほどの余裕があったのだが。。
彼女たちがいかにウォールストリートの男性たちに復讐をするかと 企み始めたあた��で 自分の勉強不足と無知さを圧倒的に突きつけられた。
アメリカに留学していた経験によって、
アメリカの格差社会についてはしっかり認識していたつもりだったけれど、
呑気に留学生をしていた自分には まだまだ 何も見えていなかったことを 強く感じた。
リーマンショック前後で 彼女たちの働き方が大きく変わってしまったこと、
これから見る方のために 詳細は控えるが、
「100ドル札 3枚ではなく、20ドル札 3枚だった」と 回想するシーンは
かなり印象的で とてもショックだった。
それにしても、
アジア人女性は アジア人女性というだけで価値が高い。
これもまた、アメリカに住んでみないと知らないことの ひとつなのかもしれない。
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Netflix 『FOLLOWERS』 【ネタバレなし】
3 / 3 / 2020 (TUE)
経験してからわかることというのはたくさんある。
私は普段 歌を歌う仕事をしている。
「仕事で歌う」というのは 「趣味で歌う」のとは 意味合いが違う。
もちろん 楽しいことには変わりがないのだが。
「仕事」の時には、必ず聞いている人がいる。
そして、成功することが前提である。
さらに 一番重要なこととして、「仕事」をしている風に見せてはいけない。
「一生懸命歌っている」「難しい歌を歌っている」「頑張って歌っている」
そう思わせたら負けの世界である。
なので いつでもみっちりと練習をするのだ。
これは なかなか伝わりづらい感覚だろうと思う。
練習していることを見せないように練習するというのは
なかなかどうして夢がない。
ディズニーランドの 昼のパレードを例にとってみる。
ディズニーキャラクターが総動員され、電飾がたくさん使われている夜のパレードに対して、
昼のパレードは ダンサーの皆様のパフォーマンスこそが 主軸となっている。
ここで私が考えてしまうことというと、
まず、ディズニーランドのダンサーになるために
彼らがどれほどの努力をしてきたのだろうか、ということ。
そして そのポジションをキープするために
今 どれほどの努力をしているのだろうか、ということ。
そして うっかり涙してしまうのである。
ダンサーの皆様はもちろん そんな素振りを見せていない。
彼らは 夢を与えている。
「あんな風にパフォーマンスしたい」と 思っている子どもたちはたくさんいるだろうし、私もそう思っている子どもだった。
大人なのに 泣いている私は 側から見たら 相当情熱的なディズニーマニアに認定されているだろう。
しかし、もしも 私が コスチュームデザインの仕事をしていたら、
そのコスチュームを見て 涙するだろうし、
私が 電球を作る仕事をしていたら、
夜のパレードに使われている電飾を見つめて涙するだろう。
そうやって、人は 自分の経験したことに対して
圧倒的な愛着を持ち 自分以外のものに 自分の経験を重ねるのだろう。
ひょっとしたら そんなことの積み重ねを 「大人になる」というのではないだろうか。
さて、今回の 『Followers』
21歳のなつめと、38歳のリミ。
両方の世界が進んでいく。
前半は 主になつめの周りの世界。
後半は 主にリミの周りの世界。
どちらも このドラマを作っていく上で大事なのだが、
私が20代前半の頃なら恐らく、なつめの周りの出来事により親近感を覚えて
「SNS」について共感したり 一歩を踏み出す活力の大事さに 感化されたりしたのかなと思う。
今の年齢になると リミの周りの出来事の方が圧倒的に身近に感じる。
女性が働き続けること、病気になること、子どもを産むこと、とか。
20代前半では 想像もしなかった世界かもしれないし、
もしかしたら こちら側の部分は 面白くないと感じたかもしれない。
自分が リミに近い年齢になったからこそ、
なつめの世界も リミの世界も 両方楽しんで見ることができた。
若い頃に見た 映画やドラマを 今の自��が見返したら また違うものが見えるかもしれない。
「大人になる」のも 悪くない。
監督:蜷川実花 出演:中谷美紀、池田エライザ、夏木マリ、板谷由夏、 コムアイ、中島美嘉、上杉柊平、 金子ノブアキ、ゆうたろう
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映画『架空OL日記』 【ネタバレなし】
3 / 2 / 2020 (Mon)
私はいわゆる「OLさん」と呼ばれるお仕事をしたことがない。
それは この作品の脚本家であり主役であるバカリズムさんにとっても もちろん同じ。
でも なんとなくわかるのだ。
この架空のOLさんたちは 存在する。
みさと銀行練馬支店に!!!
私は 一人で映画館へ行くタイプである。
それは こだわりとかそういうんじゃなくて、
単純に 映画館で映画を見る頻度が高いからなわけだが。
さて、この「映画館で映画を見る」という行為は実はかなりのギャンブルなのだ。
そもそも 映画というのは自分の目で見るまで 良し悪しがわからない。
実際、「うん、DVDまで待ってもよかったかな」と感じる映画に遭遇することもゼロではない。
ただ 私は基本的に映画が大好きなので、どんな難しい映画や重たいストーリーにも比較的 ポジティブな感想を持つようにできている。(ホラーを除く)
「映画館で映画を見る」という行為がギャンブルであるという最大の理由は
周りの環境 (観客) を選べないことにある。
例えば
映画館以外で買ったであろう ガサガサ音が鳴る何かから
さらにガサガサ音が鳴る何かを取り出し
ガサガサ音を鳴らして豪快に食べる
「物音ガサガサさん」。
彼らは わりとそこらじゅうにいる。
気になってそっちに心が持って行かれてしまうこともしばしば。
しかし、ガサガサさんのたてる物音にはいずれ終わりがくる。
「完食」というタイミングが訪れるのである。
そのタイミングにさえ到達すればそこからは問題がないので、
座席としては中の下といったところだろうか。
この時期の一番の要注意人物は他にいる。
その名も
「鼻息ピーピーさん」
である。
ピーピーさんは花粉と戦っている。
狭くなった鼻腔の隙間から一生懸命空気を取り込んでいるのだ。
しかし、おわかりいただけるだろうか?
こちら映画が終わるまでノンストップなのだ。
むしろ 突然ピーピーが止むという事態が訪れたとしたら
それこそ 映画どころではないのである。
話を戻そう。
今回の映画における「当たり」は
「笑いの感覚が近い人たちが近くにいる」
ということではないだろうか。
その点において、今日の私の座席は完璧に近かった。
最初から極端に大笑いする人がいるわけでもなく
うっかりふきだしてしまっても吹き出してしまっても 白い目で見られることはない。
映画が進むにつれてみんながだんだんだんだん 声をあげて笑うようになっていく
という絶妙な感じ。
そのうち、
「隣の席の人は こういう笑いがツボなんだな」
なんてことまでわかってくる。
顔すら見ていないのに
「この人はきっといい人なんだろうな」
なんて軽く親近感さえ覚え始める。
そして観客全員に なんとも言えぬ一体感が生まれ
最後の展開に 驚くのだ。
「もうこれ以上続きはないのか」
という寂しさと共に映画が終了し、
一緒に笑いあった観客たちは解散する。
かくいう私も映画のお供に 必ず大きなポップコーンを抱えているタイプなので
ひょっとしたら
「ポップコーンポリポリさん」として
誰かの「ハズレ」になっているのかもしれない。
映画館が好きだ。
原作:バカリズム「架空OL日記」(小学館文庫)
監督:住田 崇 脚本:バカリズム
バカリズム 夏帆 臼田あさ美 佐藤玲 山田真歩
三浦透子 シム・ウンギョン 石橋菜津美 志田未来 坂井真紀
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