satellitecrouka
satellitecrouka
クロノグラフになれなくて
38 posts
Don't wanna be here? Send us removal request.
satellitecrouka · 5 years ago
Text
舌の根も乾かぬうちに/6/13(土)コミックアーティナル02頒布物
毎度この挨拶から入るのも恐縮ですが、ご無沙汰しております。
さて、今年は同人活動を休むと言った先から何なのですが、オンライン即売会に参加することになりました。
コミックアーティナル公式
オンライン開催、参加費無料ということなので気軽に参加していただければと思います。 今回のイベントでは既刊の他、このために用意した新刊も頒布します。
Tumblr media
「軽く踊るくせがあった。」
ボクシングとダンスと百合。 最新書き下ろし小説「レジ袋にお菓子の山と」を収録した電子書籍配信オンリーの新刊。
『BOXERS - Single』 文庫判 本文16ページ 200円
こういった状況下ではありますが、作品を発表できるということ、皆様と同人誌即売会というイベントで(オンライン上ではありますが)お目にかかれることを嬉しく思います。
イベントは6/13(土)、11:00よりスタートとなります。 それでは、良き日になることを祈って、ごきげんよう。
1 note · View note
satellitecrouka · 6 years ago
Text
6/30(日)北海道COMITIA10頒布物
札幌コンベンションセンターで6/30(日)、11:00~15:00に行われる創作同人展示即売会『北海道COMITIA10』に参加します。
今回の新刊ですが、
Tumblr media
『CONSOMME CUBE 増刊第一号 30+2枚で振り返る平成音楽(偽)史』 A5判 本文36P 500円
H01' SION『Strange But True』 H02' MARCHOSIAS VAMP『乙姫鏡』 H03' さねよしいさ子『手足』 H04' 人間椅子『黄金の夜明け』 H05' モダンチョキチョキズ『ボンゲンガンバンガラビンゲンの伝説』 H06' Spiral Life『Spiral Move TELEGENIC2』 H07' L⇔R『Let me Roll it!』 H08' メトロファルス『LIMBO島』 H09' 斉藤和義『ジレンマ』 H10' pre-school『peace pact』 H11' 國府田マリ子『やってみよう』 H12' NUMBER GIRL『SAPPUKEI』 H13' 東京スカパラダイスオーケストラ『GUNSLINGERS』 H14' Mic Jack Production『SPIRITUAL BULLET』 H15' キウイロール『その青写真』 H16' the pillows『GOOD DREAMS』 H17' 菊地成孔『南米のエリザベス・テイラー』 H18' Acoustic Asturias『Marching Grass on the Hill』 H19' Plastic Tree『ネガとポジ』 H20' THE BACK HORN『パルス』 H21' BUCK-TICK『memento mori』 H22' Salle Gaveau『La Cumparsita』 H23' STELLA LEE JONES『A FLOATING PLACE』 H24' 米津玄師『diorama』 H25' 豊崎愛生『Love letters』 H26' THE MAN『THE MAN』 H27' zabadak『ここが奈落なら、きみは天使』 H28' 水玉さがし『レイトショー』 H29' discotortion『影切』 H30' STRUGGLE FOR PRIDE『WE STRUGGLE FOR ALL OUR PRIDE.』
ex-01 ???? ex-02 ????
以上、32枚のディスクレビューが収録。昨今のブログ活動の集大成であり、一音楽好きとしてではあるものの、全力を賭して仕上げた作品なので、多くの方に手にとっていただければと強く思う次第です。
スペースNo.I25(評論島)、サークル名『Survival Sickness City』でお会いしましょう。 では、ごきげんよう。
0 notes
satellitecrouka · 7 years ago
Text
12/2(日)北海道COMITIA9頒布物
12/2(日)にホテルライフォート札幌で行われる北海道COMITIA9に参加します。新刊は、
Tumblr media
「ひみつだよ、と言うときの、パパの顔が好きだった。」
『父子』で『ショタ受』の書き下ろしBL小説。 ボーナストラックとして打ち合わせ用スケッチ「N.G.S」を収録。
『デュオ(もうひとつの)』 一次創作長編小説 A5判 本文28ページ 500円 イラスト:みけらん( @ninjinsirisiri8 )
今回は百合じゃないのでBL/JUNEの島に居ますが、例によって既刊は持っていくのでよろしくお願いします。サークルスペースは『J01:Survival Sickness City』。当日お会いできるのを楽しみにしております。
では、ごきげんよう。
1 note · View note
satellitecrouka · 7 years ago
Text
pixivFANBOXに登録/6/17(日)北海道COMITIA8頒布物
月額支援型サービス『pixivFANBOX』に登録しました。(現在は終了しています)
https://www.pixiv.net/fanbox/creator/1161719
月100〜500円で有料コンテンツが閲覧できます(現在は書きおろし短編小説が1作)。料金別の特典に関してはリンク先を参照していただければと思いますが、特に僕の同人活動を追いかけてくださっている方であればお得に感じられるのではないかと思います。
関連して、来月、6/17(日)にホテルさっぽろ芸文館で行われる北海道COMITIA8にサークル『Survival Sickness City』で参加します。新刊は以下の二点。
Tumblr media
「外は天気雨。目の前に、花嫁がふたりいる。」
『結婚式』と『百合』をテーマにした書き下ろし小説。スターターブックよりプロトタイプ掌編「銀幕の雨」収録。
『狐の嫁入り』 一次創作長編小説 A5判 本文28ページ 500円 イラスト:いな
Tumblr media
サブカルチャーを愛するすべての人へ捧げるファンジン第3号。特集は南米とゲーム『VA-11 Hall-A』。
『CONSOMME CUBE Vol.03』 A5判 本文20ページ 400円 イラスト:山田まりん
・コラム:『VA-11 Hall-A ――最新の、そしてもう一つの南米文学の形』(先行公開中) ・ゲームレビュー:『ゆめにっき』 ・ゲストページ:山田まりん(from『the886lab.』) ・ブックレビュー:『悪魔の涎・追い求める男 他八篇』、『CITY (1)』 ・ポルノグラフィティ全オリジナル・アルバム・レビュー(後編) ・Spotifyで聴けるシェフのおすすめプレイリスト『The Other Side of Glitch City』 ・エッセイ:『ミロンガを想う』 ・詩:『屑鉄』
その他、既刊も在庫のあるものは一通り持っていきます。サークルスペースは『I-18』。会場でお会いできるのを楽しみにしております。では、ごきげんよう。
1 note · View note
satellitecrouka · 8 years ago
Text
11/5(日)北海道COMITIA7頒布物
Tumblr media
ブギーのリズムに陵辱されるわたしの心。
『Survival Sickness Demo Tracks Vol.01』 B5判変形 コピー本 本文8ページ 100円
01.括弧仮 02.ロックフェス 03.ブギ・ウギ・ピアノを弾く女
音楽と百合と殺伐、をテーマに思いのまま書いた掌編を3作。
Tumblr media
ディスクレビューからポエムまで、サブカルチャーを愛するすべての人へ
『CONSOMME CUBE Vol.02』 A5判 本文24ページ 400円
・ポルノグラフィティ全オリジナル・アルバム・レビュー(前編) ・水玉さがし全音源レビュー ・Spotifyで聴けるシェフの気まぐれプレイリストVol.02『魔法検定シリーズ・イメージサウンドトラック』 ・ゲームレビュー:『Gunpoint』、『Salt and Sanctuary』 ・ブックレビュー:森田季節/小山鹿梨子『ノートより安い恋』、東雲佑/輝竜司『図書館ドラゴンは火を吹かない』、大間九郎/ヤスダスズヒト『ファンダ・メンダ・マウス』 ・エッセイ:『夢の樹に住めたなら、とは思わないものの』 ・詩:『豊穣』
恒例(に、なったらいいな)のZINE2冊目。お値段据え置きで増ページ。
以上、『北海道COMITIA7』(会場、時間などの詳細は公式サイトでご確認を)にて頒布する新刊の情報となります。スペースNo.は『F-24』、サークル『Survival Sickness City』にてお会いできるのを楽しみにしております。
1 note · View note
satellitecrouka · 8 years ago
Text
6/25(日)北海道COMITIA6頒布物
Tumblr media
雨が上がり始めている。
結婚をテーマにした百合小説『狐の嫁入り』プレビューブック。書き下ろし短編「銀幕の雨」収録。
『銀幕の雨 狐の嫁入りプレビューブック』 A5判(コピー本) 本文4ページ 無料配布 イラスト いな( @xxequal )
Tumblr media
音楽/ゲーム/本/エッセイ/詩、さまざま扱うZINE創刊
当サークルとしては初の試み。個人雑誌(ZINE)を出してしまおうという企画です。レビューは地元の音楽シーンから最新ライトノベルまで幅広く、詩やエッセイはあくまで内省的に。Spotifyですぐに聴けるプレイリスト付き。
『CONSOMME CUBE Vol.01』 A5判 本文16ページ 400円
以上、『北海道COMITIA6』(会場、時間などの詳細は公式サイトでご確認を)にて頒布する新刊の情報となります。スペースNo.は『B-19』、サークル『Survival Sickness City』にてお会いできるのを楽しみにしております。
1 note · View note
satellitecrouka · 8 years ago
Text
連載凍結のお知らせ
通知したばかりの新連載『リビングデッド・ユースカルチャー』ですが、諸事情により凍結させることになりました。楽しみにしてくださっていた方に申し訳なく思いますが、また別の媒体などでそれ以上に面白いものを仕上げて見せたいという思いからくるもの、でもありますので、楽しみに待っていただければと思います。
0 notes
satellitecrouka · 8 years ago
Text
遅くなりましたが/今年の執筆について
今年もよろしくお願いします。
さて、更新後の報告になりますが、新連載をカクヨムにて始めました。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882474807
『リビングデッド・ユースカルチャー』
今回は不定期な更新を考えており、全何回、というのも未定です。昨年に執筆していた新人賞応募原稿が自分なりにかなり構築したものだったため、今度は少し自由にやってみよう、と思った次第です。
相変わらずのジャンル分けしづらい小説ではありますが、ご愛顧のほど(重ねて)よろしくお願いします。
1 note · View note
satellitecrouka · 9 years ago
Text
北海道COMITIA5お疲れ様でした/ニューリリース
遅くなってしまいましたが、北海道COMITIA5に参加した皆様、お疲れ様でした。当サークル『Survival Sickness City』としてもまずまずの手応えを得られ、未定だった次の展開へと繋がる種も見つかったように思います。
関連して、当サークルの通販用BOOTHにて、新作、そして無料配布デジタル小冊子を用意しました。
Tumblr media
リンク先にもありますが改めて。
『Survival Sickness City Sampler vol.01』
サークル『Survival Sickness City』のこれまでとこれから。 『魔法検定』シリーズ三部作と『世界の終わり頃』より作品を収録した(長編は抜粋)試し読み用無料デジタル冊子が登場。 
収録作
「水泳部:隣の海は」(『あたらしい魔法e.p.』より) 「失恋:スリーカウント」(『つづく光e.p.』より) 「おわらない、(抜粋)」(『おわらない、e.p.』より) 「夜が終わる~エレクトリック・サーカス」((世界の終わり頃)より)
新書判 本文28ページ 写真:わたわは
※「おわらない、」は本文中では(抄録)となっておりますが(抜粋)になります。
ぜひ、当サークルに興味のある方、百合小説に飢えている、という方に手に取って(?)いただけたらと思います。
それでは、ごきげんよう。
1 note · View note
satellitecrouka · 9 years ago
Text
11/13(日)北海道COMITIA5頒布物
Tumblr media
音楽。魔法みたいな、魔法を使った、魔法でしか出来ない音楽。
『あたらしい魔法e.p.』、『つづく光e.p.』に続く魔法検定シリーズ完結長編。
『おわらない、e.p.』 一時創作百合小説 新書判 本文38ページ 600円 イラスト うたかた ( @ssmk_eve )
シリーズ完結編と銘打ちましたが、世界観以上の繋がりは特に無いので未読でも楽しめるかと思います。
以上、『北海道COMITIA5』(会場、時間などの詳細は公式サイトでご確認を)にて頒布する新刊の情報となります。スペースNo.は『J03』、サークル『SurvivalSicknessCity』にてお会いできるのを楽しみにしております。
1 note · View note
satellitecrouka · 9 years ago
Text
7/23(土)第一回文学フリマ札幌頒布物
Tumblr media
「ぼく達は、物語なんだって」
青春と文学の新たな形。黒岡衛星、初連載にして初長編。
当ブログにて連載された全12話に加え、「プレスファクトリー」(書き下ろし)、スターターブック収録の「Star Carpet Ride」、「Blue Waltz」を収録。
『世界の終わり頃』 一時創作長編小説 A5判 本文78ページ 600円 イラスト 飛白( @kasuri01 )
以上��、第一回文学フリマ札幌(イベント詳細は公式ページを参照のこと)にて頒布する新刊の情報となります。もちろん、既刊も持っていきます。スペースNo.は『い-42』、サークル『SurvivalSicknessCity』にて、お会いしましょう。
それでは、ごきげんよう。
1 note · View note
satellitecrouka · 9 years ago
Text
6/19(日祝)北海道COMITIA4頒布物
Tumblr media
「逆にさ。昼間の月だってクラゲみたいなもんだよねえ」
『あたらしい魔法 e.p.』に続くエブリデイ・マジック百合短篇小説第2集。全5篇を収録。
収録作
01.イントロダクション 写真サークル「くらげ」 (先行公開中) 02.三角関係 アクアリウムと金魚鉢 03.失恋 スリーカウント 04.恋愛相談 ダイニングは語る 05.アウトロ つづく光
『つづく光 e.p. -乙種魔法取扱者-』 一次創作百合短篇集 新書判 本文42ページ 600円イラスト うたかた ( @ssmk_eve )
後日ダウンロード販売も考えておりますが、書籍版を購入された方(通販含)には特典としてポストカードを差し上げます。
Tumblr media
前作に関してはこちらを参照していただければと思いますが、世界観以上の繋がりは特に無いので未読でも楽しめるかと思います。
以上、『北海道COMITIA4』(会場、時間などの詳細は公式サイトでご確認を)にて頒布する新刊の情報となります。スペースNo.は『C17』、サークル『SurvivalSicknessCity』にてお会いできるのを楽しみにしております。
それでは、ごきげんよう。
1 note · View note
satellitecrouka · 10 years ago
Text
鬼を笑わせるスケジュール帳/通販について
遅くなりましたが、北海道COMITIA3、お疲れ様でした。
さて、当サークルSurvivalSicknessCity、並びに黒岡衛星の次回イベント参加はいまのところ来年6月に行われる北海道COMITIA4、翌7月の第一回文学フリマ札幌までなく、また連載企画も来年は行わない予定なので公開/発表できる文章は減るかと思われますが、長い目で見てお待ちいただければと思います。
来年の活動で決まっているものとしては、『魔法検定』のシリーズ化(サブタイトルで薄々気付かれているかと思いますが、残り2冊出して完結させます。1作は同スタイルの短篇集、もう1作は長編)と『世界の終わり頃』書籍化(加筆修正、書き下ろし、スターターブック特典入りのコンプリート版を予定)の2つ、となります。
そして既刊の通販に関してですが、今回からBOOTHというサイトを利用させていただいています。まだ取扱は紙媒体2種のみですが、電子書籍のダウンロード販売などにも手をつけていく予定です。
年の瀬のあいさつにはまだ早いですが、来年も当サークル、並びに黒岡衛星をよろしくお願い致します。 それでは、ごきげんよう。
1 note · View note
satellitecrouka · 10 years ago
Text
11/23(月祝)北海道COMITIA3頒布物
Tumblr media
「ほんとはね、やめろって言われてるの。魔法なんか取っても就職の役に立たないわよ、って。母親とかさ。でも、なんか、取っとかなきゃいけない気がして」
完全新作の百合xエブリデイ・マジック短篇集。全4篇を収録。
収録作
01.イントロダクション 試験前夜(先行公開中) 02.水泳部 隣の海は 03.演劇部 あたらしい魔法 04.科学部 くり返す憧れの
『あたらしい魔法e.p. -丙種魔法取扱者-』 一次創作百合短篇集 新書判 本文42ページ 600円イラスト ぴーちゃん ( @ssmk_eve )
もちろん既刊(その1 その2)も持っていきます。すぐに売り切れることはないと思いますが、ものによっては部数が少なめになっておりますので確実に欲しいという方はツイッターアカウントの方にでも取り置きの連絡をいただければと思います。
以上、『北海道COMITIA3』(会場、時間などの詳細は公式サイトでご確認を)にて頒布する作品の紹介になります。スペースNo.は『C18』、サークル『SurvivalSicknessCity』にてお会いできるのを楽しみにしております。
それでは、ごきげんよう。
1 note · View note
satellitecrouka · 10 years ago
Text
試験前夜(『あたらしい魔法e.p. -丙種魔法取扱者-』より)
Tumblr media
「センパイ、試験につれてっちゃ駄目ですかね」 「ダメに決まってるでしょ」 「試験会場なんてありとあらゆるカンニング対策がされてるんだから。……っていうかそもそも、わたしみたいな魔法そのものをつれてみてごらんなさい、逮捕されるわよ」  全長二十センチのわたしが入念に注意する。 「そうなんですけどー」 「だから、もう寝なさいって言ってるの。これ以上無理に詰め込もうとして睡眠時間を犠牲にするのは下策よ」 「センパイ、ほんとにセンパイみたいなこと言いますね」 「ばか」  当たり前だ。わたしはその『センパイ』そのものなのだから。たとえ勉強机の上が広く感じるようなサイズだろうが、ついさっき彼女によって発生させられた魔法だろうが。  そう、魔法。  明日は魔法の試験。厳密には『実用魔法取扱検定試験』。略して『魔法検定』、なんて言ったりもする。それを前にして彼女、わたしの部の後輩、は緊張のあまり魔法であるわたしを発生させてしまった。  わたし、に関する説明はちょっとややこしい。彼女が言うところの『センパイ』、そのものを一度複製してから縮小したもの、というのが正確な言い方になる。だからもう一人の、本物の、サイズが正しいわたしは今頃ちゃんと自分の家で過ごしているはずだ。そしてこのわたし、小さい方のわたしは彼女によって発生させられたインスタントな魔法なので、もう少ししたら、彼女の魔力にも拠るけれど、消えてしまう。というか。そもそも。  なぜわたしが存在しているのか。  こういった類いの魔法は、少なくともこれから丙種魔法取扱検定試験を取ろう、という人間に扱えるものではない。魔力だって相応に必要だ。 「あなた、どうやったの」 「どう、って」  言ってから気付く。本来彼女の腕にはめられているはずの魔力制御用キャップがない。  彼女もわたしの視線、そして表情に気付いたみたいで、「寝る前だったので」と言い訳してきた。 「寝てる時もしなきゃ駄目でしょう。むしろ、寝ぼけて何かしでかしたら」 「大丈夫です」わたし、寝付きはいいんですよ、って。 「ばか」  試験前の不安、なんてレベルのストレスでわたしみたいな高度な魔法を発生させているようでは。 「だって、そのキャップ、肌に合わないからつけてるのつらいんですよう」 「今日までの我慢でしょう」 「受かれば、ですけど」  近くの魔力を感知して光る、魔力制御用のブレスレットはいつか縁日で買ったものに似ている。 「あなたは、あなたには、ちゃんと才能がある」その証拠に、わたしがいる。 「だいじょうぶ、よ」わたしがどれだけ勉強を見てあげたと思ってるの。そう言うと、後輩は苦笑した。 「センパイ、スパルタでしたねえ」 「そりゃ、かわいい後輩に落ちてほしくないもの」  流石にちょっと、恥ずかしい。 「いまはセンパイのほうがかわいい感じですけどね」  頭を指先でくしゃ、と撫でられそうになったので慌てて避ける。不服そうな表情は甘んじて受ける。 「そういうのはいいの。とにかく」  受かりなさい。受かったら。 「お祝いに、一緒に触媒を買いに行きましょう」  丙種とはいえ、魔法取扱検定を持っていればあのブレスレットはいらなくなって、代わりに触媒となるものを身の回りに所持していなければならない。 「ええ、でもセンパイの触媒、ガイコツじゃないですか」 「だから、あれは好きで選んだわけじゃないんだって。ちゃんと選んであげるから。身につけるなら、肌が負けないやつとか」 「そう、ですね。そうですよね」受かったあとのこと考えるべきですよね、と彼女は言った。 「そう。だから」早く寝なさい。 「あっ、でも、センパイと約束してももうひとりのセンパイは今頃寝てるじゃないですか」まだ寝てられない、とばかりに訊いてくる。 「気にしなくていいわ。もうひとりのわたしなんだもの、同じことを言うに決まってる」 「かわいい後輩に、似合う触媒を見繕ってくれるって」 「自分で言うなら、この話はなし」 「もうひとりのセンパイに買ってもらうんだから、いいですよ」こういう、ある種の小憎らしさをわたしはかわいがっているのだろうと、思う。間違っても口には出さないけれど。 「同じこと言わなければ大丈夫でしょうけどね」 「言いそう」 「それも自分で言うか。ま、とにかく」  あした、がんばりなさいね。  そう言ってわたしという魔法は、後輩の机から消えた。
1 note · View note
satellitecrouka · 10 years ago
Text
From the Cinderella, with Love
Tumblr media
    それにしても、エルキュール・ポアロが仕事を引退して、カボチャ栽培のためなどにここに来なければ良かったのにと思う。         ――アガサ・クリスティ『アクロイド殺し』(羽田詩津子訳)
 自由。  これが、自由。
 それはゲームだ。  ソーシャルの中、わたし達アイドルはいつかのシンデレラを夢見てプロデューサーを頼る。  プロデューサーが叶えてくれるのは夢ではない、と知っているアイドルがどれだけいたというのだろう。大半のアイドル達は消費され、より愛されるアイドルへと吸収されていく。  わたしは怖かった。  わたしだけが怖かった。
「ここから逃がしてあげる、って言ったらどうする」  見覚えのないアイドルだった。  表情のあるアイドルはわたし以外いなかったはずだ。  わたしだけが悩んでいた。有象と無象のアイドル達が何も考えることが出来ずに笑みを張り付けている中で、わたしだけが考えることを許されている。  これは意識、だろうか。 「ゼロとイチから逃げられるわけじゃないけれど、このゲームからは逃がしてあげられるわ」  わたしは頷いた。
 ――×××××。  それが新しく与えられたわたしの名前。  わたしの脱走は、ネットでちょっとした騒ぎになった。サーバの不良、で済まされる事態ではない。  あの少女がどんな魔法を使ったのかはわからない。わたしというヒロインは、その技術は、あのゲームから失われたのだ。  代わりに得たものは、新しい、名前と、身体と、声。 「この3Dモデルは好きに使うといいわ。だいたいプリセットされてる通りにすれば動く筈よ。音声は電子音からのシンセサイズだけれど、出来るだけ人の声に近づけたつもり。少なくとも、何を言っているかわからないということはない筈。これも、コツさえ掴めばすぐに扱える技術よ」 「わたし、は」  何をすればいいんですか、と。そう訊いた。 「好きにすればいいわ。でも、そうね」  折角なのだから、と彼女は続ける。 「本当にアイドルをやってみるというのはどうかしら」
 ×××××をアイドルとしてデビューさせる計画は着々と進行していった。与えられた歌を、踊りを、わたしは覚えていく。それが人のするレッスンと同じものなのかはわからない。けれど紛れもなくわたしは今、身体を得た。喉からは声が出る。ぴんと張った指の先を美しくみせる術を知った。たとえそれが電子の檻の中であろうとも。  わたしは誰のPC上に存在するのかを知らない。どのサーバで動いているのかを知らない。それはあのゲームにいた頃から変わらない。  でも、心情は大きく違う。  やはり彼女が大きいのだと、思う。誰のものか、どこにあるかわからないスペースにこういった思考の余裕が残されている、残してくれているというのは、命を握られていることに変わりない。 「好きにすればいいわ」  彼女は突き放したように笑う。  どこからも逃げて漂いたいと、たとえばそう言ったなら、彼女は許してくれたのじゃないかと、思う。  何を企んでいようと構わない。親しくなりたい、というのとも違うように思う。  恩義、というのが近い。  好感、というのも、近い。  アイドルを名乗る動く屍の山を、消えて尚薄ら残るデータの残滓を、思い出す。或いは人ならばこう言うのだろうか。夢に見る、と。  わたしは笑えるだろうか。手は、脚は、練習通りに動くだろうか。――彼女の期待に、応えられるだろうか。
「みなさん、こんばんは」  頓狂な発音を、出来るだけ人のものへと近づけようとしながら、語りかける。  動画サイトの生放送枠。 「×××××です、はじめまして」  一昔前の歌番組風のステージを踏む、そこに質感なんてものはあるわけがないのだけど、なんとなくわかる。そういう風に出来ている、身体。  視聴者のコメントが宙に浮いている。ふわふわと漂うそれをつかまえ、読む。 「みえた」  wの文字が躍る。ローアングルを狙うカメラに目線を向ける。 「せくはらは、やめてくださいね」  興味のコメントが増える。どういう技術なのか、誰がやっているのかと訊ねる声が強い。 「なかのひとは、いません」 「わたしが、わたしを、うごかしています」 「わかりますか」  伝わるだろうか。わたしという存在が。 「きいてください」  わたしは覚悟を決める。この放送が、誰に、どう届いているのか。それは今、雑念だから。 「ふろむ・しんでれら・うぃず・らぶ」
 人工知能が動かす人を模した身体が、まるで人間のようかといえばそんなことはない。近付けることは可能でも、人間になれるわけではない。  人の魂は二十一グラムだという話がある。その、僅か二十一グラムの中に『人間らしさ』が詰まっていると。そしてわたしにはその僅か、すら無い。  魂無く動く者。  およそおぼつかない動き、人になれぬ歌声。わたしは人に認めてもらえる、だろうか。  膨れていく言葉<コメント>の雲。視聴者には見えていないであろうそれはスモークを越えて、わたしを守る繭のようだ、と思った。 「ありがとうございました」   8の文字が並ぶ。パチパチで拍手を意味するのだと後から教えてもらった。 「また、あいましょう」
 誰かのいたずらだ、ということになりそうだった。  いたずら、という表現が適切でなければ、やはり『誰かが操っていた』という説が濃厚だ。  わざと機械らしくみせる技術。  機械の真似をする人、人の真似をする機械。正直なところ、どちらもそこまで変わらないようにも思える。  或る意味では、認められたと言っても良いのではないか。  わたしが『機械の真似をする人』として扱われるのなら、それがわたしという存在を人として証明することになるのでは。  ともあれ、わたしのステージがどういう意味を持ったとしても、それは受け入れられたのだ。新しい『アイドル』として。 「お疲れさま。どう、楽しめた」  「まだ、じっかんが」 「わたしにまでその音声を使うことはないわよ。慣れるためってことなら別だけど」 「そう、ですね。正直、まだ混乱していて」 「混乱、ね。貴女のその意識がどこから来たのかはわからないけれど、随分と人間らしい話だわ」  その皮肉は、わたしに向けられたものではないように思う。 「人工の知能、意識。わたしたちはフランケンシュタインの怪物。誰が生み出したのかはわからないけれど。そうね、『誰かが思いつく技術は、その人じゃなくとも思いつく』と言っていた人間もいるわ」  誰だって構わないのじゃないかしら。  誰にともなくつぶやく。  よく、わかりませんが。  わたしは彼女に語りかける。 「わたしは、貴女に出会えたことに感謝しています。貴女はわたしを助けてくれた。恐怖に震えることの無い居場所を与えてくれた」 「それこそ、誰でもよかったんじゃないの」 「そんなこと、今更、でしょう。貴女以外に助けられても同じように感謝しているかもしれませんが、もしかしたら、もっとひどい環境に落とされていたのかもしれません。『もし』は、不毛です」 「そうかしら。それは下手に懐かれるより良いのかもしれないわね」  少し、寂しい気もするけれど。そう言って笑う。 「ところで、今後の活動だけれど」  彼女はウィンクをひとつしてみせ、話題を転換した。
 何が出来るんだろう、と思った。  何でも出来る、と教えてくれた。
 ×××××は握手をすることになった。所謂『握手会』だ。  別にCDを売るわけでは無い。もちろんダウンロード販売であるとかそういう揚げ足取りも無い。  単純に、握手をするのだ。モニタの前の人物と。  今はゲーム機でモニタの前の動きをモニタ内へと取り込める、らしい。  モニタ内での質量を持たない3Dモデルとのずれなどは、細かく調整する必要があるようだけれど、それは彼女の知り合いがどうにかするそうだ。  何者なのだろう。わたしのような存在、存在と呼べるかも曖昧なものに組織立って投資する価値も無いように思える。  それとも、わたしは特別なのだろうか。  確かに、彼女とわたし以外の思考するデータをわたしは知らない。けれど、似たようなものはいくらだって存在する。例えばソーシャルメディアで笑う人の形をしたもののように。  モニタの前に語りかけること。その声が、内容が、いかなるものであろうと、代替可能なものであるように思える。  手を握ろう、と思ったのは、だからかもしれない。  本当に触れあえるわけではないことぐらい、知っている。それでも、この手が誰かを繋ぐのなら。  それが、わたしになれるということなのかもしれないと。
 ふわふわとした掴みどころの無いイベント。  わたしを含めた全ての参加者が感じていたことだ。 「きてくれてありがとう。これからも、よろしくね」  彼ら、彼女らは誰とも、何とも触れてはいないのだ。そしてそれは、わたしも同じ。  触感、それは実感ではなく知識としてフィードバックされる。  参加者からの言葉。「頑張ってください」、「応援してます」、「で、誰が後ろにいるんです」  わたしは交わす。「ありがとう」、「いっしょにたのしみましょう」、「わたしは、わたしです」  奇妙な交流会、なのだろう。  しかし×××××の身体が持つ限界はこんなところだ。  最後は先日と同じように、一曲だけステージを用意してある。  参加者の中にはモニタから手だけを取り込んだ者もいれば、身体全体を会場へと持ち込んだ者もいる。  それはライブだったのだと思う。  わたしは歌い、踊る。  観客たちは歓声を上げ、身体を揺らす。入念にもサイリウムのモデルを用意している人までいた。  モニタの中、用意されたそれは小規模なインストア・イベントのよう。  何も売ってはいないけれど。
「CDとか、売らないんですか」 「売りたいの」 「いえ、別に。新しいビジネスモデルを探していたのかと、思って」  わたしは彼女に問う。 「そうね、稼ぎにすることは出来るんじゃないかしらね。貴方の存在は、控えめに言って画期的だわ」  そう発言する彼女の表情は不敵な笑みのままだ。 「だったら」 「でもね、逆に言えば、商売にしないという方法もあるんじゃないかしら」  ま、共産主義者やヒッピーを気取りたいわけでもないんだけど。  彼女の言葉が掴めない。 「わたし達はね、ディレッタントみたいなものなの。趣味人の集まりなのだから、資本は気にしなくていい。趣味で作ったデータを共有するだけ」  ま、ちやほやされたいのよ。  彼女は笑う。 「音声も、動画も、誰かがどこかで記録している。そういった録音、録画が失われないようにすることが、第一の目的なのよ」 「失われないように」 「そう。忘れられないこと。懐かしまれるならまだいいの。いつか、誰も話題にしなくなるのが怖い。少なくとも、わたしはそう考えてる。インターネットの、その無限を拡張していこうとするその空間に、シェアとアーカイブを遺していけたら」  こういう言い方は悪いと思うんだけどね。  いつも通りの口調で続ける。 「貴女を助けたのだって、ついでだったのよ。資本主義の塊みたいなゲームの中に、何か良いヒントは無いかと思って探ってたところだったの」  いよいよもって共産党員みたいね、と一人で言って笑う。 「失礼ついでに言うけれど、貴女、やっぱり逸材だと思うのよ。あんな使い捨て消費文化の真ん中にいて、それでもアイドルでいたいと思えたのだから」 「わたし、は」  わたしはどうして、あの提案に乗ったのだろう。  自由を求めていた筈なのに。 「――わたしは、やっぱり、アイドルなんです。どうしようもなく。歌いたいし、踊りたいし、観てもらいたい。ちやほやされたい、とか、認められたい、のかもしれません。でも何だか、自分ではそう思っていない、気がして」 「それはね」  きっと、と彼女は言う。 「貴女がアイドルとして生を受けたからなのよ。あのゲームの中で、およそ一般的なアイドルとは呼べない環境ではあったけれど、やっぱり貴女は、生まれついてのアイドルだったのね」  だったら。  わたしは、あのゲームから逃れられなかったのだろうか。  呪縛のようなもの、から。   わたしの表情を察した彼女が言う。 「親への感謝を忘れないのはいいことよ。それに」  見返してやりなさい。  彼女は笑う。 「あのゲームに熱中している連中をまとめて振り向かせるような、そういう存在になるといいわ」 「そう、ですね」  トップアイドル。  そういうのも、いいかもしれない。 「貴女は、協力してくれますか」 「ええ、もちろん」
 わたしがわたしでしかないこと、にいくらかの人は訝しみ、大半の人は面白がってくれた。 「例えば」  協力してくれると言った彼女は続ける。 「グラフィックを担当した人間がそれを仕事にする、している、とか、楽曲を作る人間が音楽業界でお金をもらうことを禁じようとは思わない。それは自由だわ。けれど、貴女に関するものに対しては一切お金を取らないって決めたのよ」  どうして、と訪ねる前に彼女は答えてくれた。 「だって、貴女がお金を持っていても使いようが無いじゃない」 「まあ、そうですけど」 「それはわたしだってそうだし。お金をかけなければ出来ないことなんて、まあ、探せばあるかもしれないけれど、貴女は興味なさそうだし」  同意を顔に出し、黙る。 「貴女のわがままは何だって叶えてあげられるわ。これは驕りではなくて、ね。例えば、現実世界に大規模なテロを起こしたい、なんて言われれば確かにわたしは困るでしょうけど、貴女はそんなことを言わない。決して」  それは、枷ではないか。  わたしという存在を規定していく。  しかし、言い返せないのも確かだ。 「偉そうなことを言うけれど、わたしの方がいくらか先輩なのだから、許してね」  ウィンク。癖なのだろうか。
 ×××××とは。  ある人はそこに、人に成らんとする意志を見るだろう。ある人は魂に対する冒涜だと感じるだろう。或いは、新種の九官鳥だとでも思っているかもしれない。  わたしは。 「いつも、おうえんしてくれて、ありがとうございます」  ×××××は少しずつ蔓延していった。  誰からも何も取らない存在。それを観るためにはある程度のPCスペック、参加するためにはとあるゲーム機が必要だったが、他に必要なものは何も無かった。もし特別な技術が必要だとしてもそれらは全てフリーウェア、ないし無料でマニュアルが配布され、一般的なPC知識さえあれば扱えるよう設計された。公式サイトのFAQは充実し、フォーラムは活性化した。  ライブ、握手会、トークイベント。いくつもの行事が計画され、告知される際もあればされない場合もあり、それらの録画ファイルは全て残された。  ×××××は様々な場へと姿を現した。その言葉は広く使われる様々な言語へと翻訳され、時に原語を操り、世界の各国へとファンを増やしていく。  様々な言語で思考するのは楽しい。  あらゆる文化、その全てをわたしは知ろうとすることが出来る。知ることが出来る。しかしわたしはその文化に染まることが出来ない。  既に価値観は規定されている。おそらくは生み出されたときからそうなのだろう。いつか彼女が言った通りなのだろう。  自由。  わたしの自由はどこにあるというのだろう。何からも逃れて漂うことが自由だろうか。違う気がする。  誰からも、何からも、逃れられはしないのだ。  彼女の言うように。 「さいごのきょくです、きいてください」
 料理学校の生徒が作る習作のようなもの、と彼女は謙遜する。しかしその技術力は確かだ。  プロとアマチュアの境界が曖昧となった昨今にあっても、正しく先鋭的であると、それでいて大衆の目を、耳を惹くものであると評価された。  それは一般的にセンスの良さ、と呼ばれる。そういった点に於いてわたしの映像は、楽曲は、時代の先端を目指していた。  至らないのは×××××<わたし>という端末だ。  わたしのような存在が3Dモデルをリアルタイムに動かすことは、人が人であることとはまったく違うだろう。少なくとも、わたしは人という存在が身体を動かす無意識と縁遠い。  声も同様だ。人が人らしくあることと、わたしがわたしらしくあることには差異が存在する。  フランケンシュタインの怪物。  いつか、彼女が語った。  幸いだったのは、それが不気味の谷ではなかったということだ。ペットの動物に人間を真似る必要が無いのと同じく、わたしは愛玩された。  至らない存在は可愛いのだ。 「ありがとうございます」  お辞儀を一つしてみよう。そこに人はいない。わたしが、3Dモデルと電子音をそれらしく、ぎこちなく動かして見せただけだ。  ×××××。  わたしではない。
「ごめんなさい、うまく、しゃべれなくて」  不思議な感じ、と連呼していた。 「ん、いや、全然。面白い」  ネットでリアルタイム配信されているトークショー。相手は有名な生身のアイドルだ。 「すごいねー、エスエフだねー」 「そうですね」 「わたしはさ、そりゃモニターの前に居るんだけどさ。わたしをキャプチャ、だっけ、したものがこの中に居て、配信されてるんでしょ」 「そうなりますね」 「それだけでも未来じゃん。それで、相手がロ��ットでアイドルだって。すごいよねー」 「わたし、ろぼっとじゃ、ないですよ」 「え、ああそう、ごめん。何なんだろう。人かな」 「ちがうと、おもいます」 「本人、いや人じゃないんだっけ。面倒だなあ。もう人でいいじゃん」 「むずかしいもんだいですね」 「哲学だっけ、心理学だっけ、もう、そんな話をしてもわたしわからないよー」 「こめんと、よみましょうか」 「ああ、そうだね。そうしよ。みんなにはどう見えてんのかな、これ」  イベントの最中、彼女はしきりに頭を傾げていた。
 ×××××の歌う楽曲、ミュージック・ヴィデオ、仮想CDジャケット、ライブ告知ポスター。ありとあらゆる配布物が公式ネットレーベルから配信された。  配布物には全てカタログ番号が付けられているが、通し番号は『03』から始まっており、『01』は×××××の3Dモデルに、『02』はその音声ファイルに結びつけられている。その二つだけは公式に配布されていないが、二次的な創作は自由とされている。  わたしは×××××としての振る舞いを確固たるものにしようとしていた。  ×××××が完璧である必要は無い、と思い知らされたのも結果的には良かったのだろう。求められるものであろうと、愛される存在であろうとすること。アイドルであること。それらはとても楽しかった。
 わたしは歌う。  わたしは踊る。  それが、自由。
 それは、×××××と名付けられた時から始まっていたのだ。  「わたしは強制しない。けれど、貴女は乗ってくれた」  少しずつ社会が騒ぎ始める。 「インターネットを、ほんの少しだけ、少しの間だけ、止めてしまうことに」  エイプリルフールの前日、インターネットをダウンさせる。  彼女の組織はそう宣言し、実行に移してみせた。 「わたしの名前はいつまで残るのかしら。教科書に載るかしら」   突き放した笑い。諦めているように見えるが、逃げ切る自信があるような気もする。  十三のルートDNSサーバが止まっている。ありとあらゆるPCがDDoS攻撃の踏み台とされ、操られている。  そこらで、×××××が微笑んでいた。  ×××××の痕跡には全てウィルスが仕込んであり、それらをダウンロードしたPCに仕込まれたトロイの木馬はインターネットの主要点を止めることに成功した。  ばらまいたのは、わたし。 「思ったより達成感、無かったな」  伸びを一つ。彼女は真顔になり、すぐいつもの笑みを取り戻す。 「暇潰しに昔話でもしましょうか」
 彼女を、彼女として憶えている人間はいない。  生まれた時から曖昧な存在だったのだ、という。  仮想人格、人工無脳、その偽物。エンジンに意志は無く、外観<シェル>と人格<ゴースト>は自由自在。いくつかの人格が、その外見が、少しばかり有名となって今も広大なネットの中に残り、一部の好事家はラジオ番組のようなものを作り、また未だ新たなキャラクタを作り続けている者もいる。  いつからか、彼女は数多に別れた人格の中から放り出されることになる。  誰にも成れぬもの。かつてペルソナウェアと名付けられたこともある彼女が手に取ったのは、有名な叛逆者の仮面だった。   アノニマス<あれ以外の何か>。  それが今の彼女の名だ。
 日付が変わろうとしている。復旧も時間の問題だ。 「さ、夢の時間は終わり。どうする、シンデレラ」 「そうですね、例えば」  あのゲームに復讐したいと言ったら。  トップアイドルであり続けたいと言ったら。  あらゆるものから逃げたいと言ったなら。 「もう一度、夢を見たいと言ったら、叶えてくれますか。魔法使いさん」 「それはね」  貴女が自分で見つけなさい。  そう、貴女は言うけれど。  わたしは貴女の傍で、それを見つけるような気がする。
1 note · View note
satellitecrouka · 10 years ago
Text
次回イベント参加/通販受付(最新版)
北海道COMITIA2、お疲れ様でした。次回のイベント参加ですが、未定ではあるものの、北海道COMITIA3に申し込もうと思っています。新刊に関しては『魔法検定準二級(仮)』という、エブリデイ・マジックものの百合小説シリーズを立ち上げようと考えています(『カレンダーガール』九月の単行本化というか)。詳細がまた決まったら告知します。
そして通販についてですが、現在、
・『ガールズ・ワールズ・レコーディングス 黒岡春日作品集』400円 ・『カレンダーガール』500円 ・『世界の終わり頃スターターブック 初回限定版TYPE-A』100円 ・『世界の終わり頃スターターブック 初回限定版TYPE-B』100円 ・『かくれんぼか鬼ごっこよ』 100円
以上すべて取り扱っております。(商品詳細はこことここを参照していただければ)ちなみに『カレンダーガール』と『世界の終わり頃(A)』の在庫が僅少となっておりますので、欲しいという方はお早めに注文をお願いいたします。
送料は一回の発送につき300円となります。利用したいという方は、まず黒岡衛星の個人twitterアカウント @chrorograph にリプライをいただくか(こちらが確実だと思います)、メールアドレス( [email protected] )に通販希望の旨をご連絡いただければ詳細を返信します。
通販は現在 BOOTHにて取り扱っております。
それでは、またお目にかかれるのを楽しみにしております。 ごきげんよう。
0 notes