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喉と胸の真ん中で今にも爆発しそうな 永遠と蠢いている ふかく、深く、深呼吸をして自分の体の中で波打つ心臓の音を知るとき まだ眠っているであろうそれを感じて、痛みだろうか、いつかに感じた悲しみなのか それと似通ったものだけを、記憶の中から探している
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私の生まれ育った街は、車がないと基本的に移動することができない田舎だった 毎日のように両親の運転する車に乗った 知らない歌や、ラジオの声 それらは私を眠りに誘った 目を覚ます頃には、目的地に到着していて不機嫌でいる私のことを覚えている たばこの匂いを目一杯染み込ませたエアコンの匂いと、座り倒されたシートは私を安心させた
夏が終わりかけていた、まだ暖かくて私の顔に当たる風は優しかった 何かに自分の身を任せている時、私が考えることは決まって故郷で過ごした時間、もう取り戻せない言葉 鼻の奥がつんと痛くなる その頃、既に目的地には到着していて悲しみ切ることは無かった
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