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夏なのでホテルのプールでの話を作りました。 ひと夏の恋を経験したり、しなかったり。 わたしは、宿泊しているホテルのプールに出かけた。 夏の酷暑から逃れるため、大勢が冷たいプールで涼む中、わたしはプールサイドに設けられたパラソルの影にいた。椅子に横になり、読みかけの本を読んだり、プールで泳ぐ客を眺めたりしていた。そのうち眠ってしまったようで、目が覚めたら体にタオルがかけられていた。 「誰だろう?」 不思議に思いながら、膝のあたりに置かれた紙きれに手を伸ばした。 そこには「日焼け、痛いよ」と書かれていた。 途端に、わたしの頭の中で桃色の妄想が広がった。 髪をかき上げ、爽やかな笑みをたたえるナイスガイ。陽に反射した歯がきらりと光る。 それとも……とわたしは思考を巡らせた。 プールサイドに佇むナイスガイ。儚げな眼差しで遠くを見つめ、ニヒルに笑む。 胸の内が熱くなり、わたしは鼓動を抑えきれなくなった。 ふいに目の前をナイスガイが過ぎて行く。 「ああいう人だったらいいな」 妄想から飛び出したような色男に、頬が熱くなった。しかし、すぐに桃色の思考を追い払った。 「そんなうまい話、あるわけないよね……」 突然、ある考えが降ってきて、わたしは舞い上がった。 「寝たふりをすれば、また来てくれるかもしれない。それからお近づきになって、ムフフ」 再び、わたしは椅子に横になった。体に、タオルをかけずにだ。目を閉じ、自然な寝息を心がけた。 すると、タオルのやわらかな感触が素肌に触れた。 わたしは目を開けるのと同時に、相手の腕をつかんだ。七才くらいの男の子が、驚いた顔でわたしを見た。 「ありがとう、かわいい王子さま」 わたしが微笑むと、男の子は照れたように頬を赤く染めた。
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有徳議会に参加することになった審問官。今回は再会したヴァリックと恋人関係にあるブラックウォールとの会話です。 久しぶりにゲームに入ったら、続きがあってびっくりしました。ボスを倒して終わりだと思ってたので。 審問官はエルフの魔導士です。
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「海だー泳ぐぞー」 広く、真っ青な海原を前に私は歓喜の声を上げた。 海水浴場で泳ぐ人や、楽しそうに騒ぐ人たちの間を、私は縫うようにして泳いだ。 ふいにバタ足を止め、振り返ると、人の頭が小さく見えた。 「遠くまで来ちゃったな」 引き返そうとしたとき、どこからか声が聞こえた。内容まではわからなかったが、やわらかい声質だった。 誘われるようにして、私は甘い声のするほうへ泳いだ。 砂浜へ上がり、辺りを見回すと、海水浴場とはずいぶん離れた場所だった。 少女がひとり、砂に座り込んでいた。私は立ち止まり、どこかで聞いたことのある言葉の羅列の正体を思い出そうとした。 それは人気グループの歌詞だった。 少女は歌わずに、言葉を連ねているだけだったが、私を魅了する特別なものをもっていた。 不思議に思い、私は少女に訊ねた。 「なぜ歌わないの?」 少女はたったいま、私に気づいたかのようにこちらを見上げた。 「わたしの声がきこえたのね」 「確かに、他の人には聞こえてないみたいだけど」 「死にたいと思ってる人だけがきこえるんだよ」 「思ってないよ!」 私は声を荒げた。 少女は平然として、口を開いた。 「この歌詞の意味、知ってる?」 「海でパーティをする歌でしょ」 「殺人パーティね」 少女の言葉に、私は妙に納得した。 そういえば、私はずっと胸に秘めていたのだ。 「私、人を殺したいと思ってたんだ」 「え!?」 怯えたように身を縮める彼女に、私は拳を振り下ろした。 “あなたのほうが死にたいと思ってたんじゃないの。だから自ら歌ってた……”
少女はこの場所で、生に絶望した人間を引き寄せ、次々に殺害していたのだ。しかし、いつからか少女こそが絶望に取り込まれいたのだ。 これからは、私がこの砂浜であなたを誘うだろう。
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ミミちゃんは、ゾムくんに喫茶店に呼び出された。 ミルミルミーで、ゾムくんの向かいの席に座る。 二人の間に流れる静かな沈黙が、ミミちゃんはこそばゆく感じていた。 「話があるんだが」 ふいに放たれたゾムくんの声に、ミミちゃんは恥ずかしそうに顔を上げた。 「何?」 じっと見つめられ、ミミちゃんは頬を桃色に染める。 急に、ゾムくんがムッと目に力を込めた。鋭い目つきに、ミミちゃんは彼を睨みつつけた。 ゾムくんがムムッとさらに厳しい視線を送りつけてくる。ミミちゃんは彼を睨みつけたままストローでオレンジュースを啜った。 ゾムくんの両目がカッと見開き、同時にミミちゃんが空になったグラスを、勢いよくテーブルに置いた。 「日本語で言え!!」 ミミちゃんの怒声がふたりの不穏な沈黙を引き裂いた。
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最近は毎日twitchで実況を観てますが全然飽きません。このゲームは、私の場合、するより観るほうが楽しそうです。同じことの繰り返しだけど、飽きないのが不思議です。
わたしは作業をしながら、ゲーム実況を観ていた。 12時間、配信するという。 13日の金曜日、、Dead by Daylight、、Friday the 13th、、 オンラインゲームで、ジェイソンから逃げたり撃退したりするゲームだ。 twitchでの海外配信者のテンションが高くて、叫んだり、歌っ��り、ジェイソンになって人を追いかけるときには彼になりきってセリフを言ったり、すごく賑やかな実況だった。 かなりの時間が経過し、わたしの就寝時刻が近づいてきた。 配信者の部屋に射し込んでいた自然光が照明に変わっても、彼のテンションは相変わらず高いままだった。 わたしの全身は睡魔に蝕まれ、さらには吐き気まで襲ってきていた。 わたしは配信者の絶叫を聞きながらパソコンの電源を落とし、ベッドに横になった。 いったい彼の体力はどうなってるんだと思いつつ、自意識の電源もオフにした。
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ゾムくんていうマンガのネームでつまづいてます。 アングルも絵もコマ割も大変です(^-^; わたしは机に向かい、ゾムくんのネームを考えていた。 ゾムくんとは、恋愛もののオリジナル漫画である。 アングルがうまくつかめず、ネームの絵にさえ苦戦していた。 ゾムくんの1話めは顔マンガだったため、なんとかして顔マンガから抜け出したかった。 最近は毎日こんな状態で、いっこうにネームが進まない。 この調子では、2話めは果てしなく未来に完成することだろう。 以上、現場のわたしからでした('◇')ゞ
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今年も梅雨の時期になりました。 梅雨入りしたので、雨が降り、傘をさすことが増えました。 ということで、また奇妙な話をつくりました。ホラー要素あり。
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初めての投稿です!
ユーチューブのチャンネルを作ることにした。 そうなると、しなくてならないことが多い。 今回はアイコンを描いてみることにする。 ブタがすきだから、デフォルメのブタを描こう! どんなものがいいかな。 ブタを乗りこなし、わたしは剣を振りかざす、、おおッ想像が膨らんできた。 とりあえず、液タブでブタの顔を描いてみた。 キリリとした眉が凛々しく、目が鋭い。 ちょっとリアルな目だなぁ、ダメダメ。 今度は可愛らしく描いてみよう。 乙女のような大きな目がわたしを見つめ、赤い頬紅はコメディアンを連想させた。 全然可愛く描けない、、 何度も描きなおしたが、納得のいく絵は描けなかった。 私はベッドに飛び乗って腹ばいになり、ジタバタと手足を動かす。そうして、うまくいかないストレスをすべて吐き出した。 再び机に向かい、自分に負けるわけにはいかないと、額にハチマキを締める。 “ブタLOVE”の文字が額の中央に書かれている。いまやわたしは強い決意に燃えていた。 目がうまく描けないのなら、隠してしまえばいい。わたしはブタにサングラスをかけさせた。 わたしはとても満足して、完成したブタを嬉々として眺めた。 「 おまけ 」 これからが本番だとばかりに、わたしは強く拳を握りしめた。それを液タブの中に少しずつ沈ませていく。そうして、ブタの頭を引っつかみ、液タブから引きあげた。 等身大のブタの背中にあるファスナーを開き、片足ずつ入れた。 ブタに身に包み、わたしこそがブタとなったのだ。
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