こちらでも宣伝失礼します!あたらしいネプリが出たので、よろしくお願いします🐋
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モナ・アワド『ファットガールをめぐる13の物語』(書肆侃々房)
ブックレビュー by 鈴木雀(https://twitter.com/thelustrousland)
http://www.kankanbou.com/books/kaigai/0461
わたしの、わたしたちの本だと思って買った。だけどやっぱりなんとなく、視線を気にして表紙のタイトルを隠しながら読んでしまう。そういう、生身の体で生きることの居心地悪さについて書かれた物語だった。
「13の物語」とあるように、ひとりの女の子を中心とした短編集であるが、主人公とその周りの登場人物は共通しており、一冊を通して読むことで主人公エリザベスの半生を垣間見ることができる。というより、エリザベスの身体に乗り移って、品評する男たちの視線にさらされたり、試着室で強烈な自意識に苛まれながら嫌な汗をかいたりするような、痛みを伴った体験をすることになった。命を削るようにダイエットをする主人公を見届けたあとは、脂肪とともに何か大切なものを失った、取り返しのつかない喪失感でしばらく放心してしまった。
タイトルだけでなく、帯文の「宇宙はわたしたちに冷たい。理由はわかっている。」という文章に惹かれたのは事実だ。これは冒頭の一編「宇宙にさからう時」に出てくる文だった。この中で言う「宇宙」というのは、「運命(フェイト)ペーパー」というちょっとした占いのような遊びにおいて、お告げをくれる大いなる存在のことを指している。気になる男の子に話しかけたほうがいいか、などの質問をして、それに対して宇宙がイエスかノーの紙で答えてくれる。そんな質問に対して、立て続けにノーを突きつけてきた。だから、宇宙は冷たい。
くだらないと思われるかもしれないが、その感覚はなんとなく、ある気がする。学生の時、自分をとりまく世界は本当に狭くて、「宇宙」はつまり自分の体と同じくらいの空間にしか広がっていなかった。宇宙が自分たちに冷たい理由はわかっていると言ったあと、主人公と友達のメルは、自分たちがどれだけ太っているかについて話し合う。飛躍があるように思うかもしれないが、これはきっと、何事もうまくいかないような気分になるのは、自分たちが太っているせいだと感じるからだということを言っているのだろう。「理由はわかっている」と言う通り、主人公たちにも、自分が太っていることを受け入れられない自意識に問題があることは感じられているのだ。
「Fit4U」という短編の中で、「自分の体とけんかしない」という表現がある。かつて痩せていた頃の母親についての描写である。つまり現在の自分の母親も、自分も、友達のメルも、みんな「自分の体とけんかしている」ということだ。この表し方が、個人的にとても納得がいった。自分と、自分の体がいつもけんかしている。だから例えダイエットに成功したとしても、満足することができないのだと思う。
この本の中で、なんらかの解決策が提示されることはない。主人公たちがそれぞれ自分の体について考えたことが、そのまま読者自身の現実の体に問いとして向かうだけだ。痩せれば何もかもうまくいくわけでもなく、自分の体を今のまま受け入れようというだけでもなく、少しずつ歩み寄って「自分の体とけんかしない」ことが、まず悩めるわたしたちの目指すところなのだろう。
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