Tumgik
#ミレーナ・アグス
findareading · 9 months
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それでも、おばあさんが言っていたように、わたしのおじいさんはとてもハンサムで、温泉治療の初めのころ、読書しているところをこっそり見ていると、本の方に傾けた首筋は若者のようで、潤んだ目とほほえみ、シャツの袖をまくった腕はたくましく、手はピアニストのように大きくて繊細で、そのすべてが死ぬまで懐かしく忘れられない存在でした。懐かしさというのは悲しいものだけれど、でもちょっと幸せなものでもあるのです。
— ミレーナ・アグス著/中嶋浩郎訳『祖母の手帖』(2012年11月、新潮クレスト・ブックス)
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