Tumgik
#ロリータ衣装道楽
nuzzle · 9 months
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groyanderson · 3 years
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☆プロトタイプ版☆ ひとみに映る影シーズン2 第八話「シャークの休日」
☆プロトタイプ版☆ こちらは電子書籍「ひとみに映る影 シーズン2」の 無料プロトタイプ版となります。 誤字脱字等修正前のデータになりますので、あしからずご了承下さい。
☆ここから買おう☆
(シーズン2あらすじ) 私はファッションモデルの紅一美。 旅番組ロケで訪れた島は怪物だらけ!? 霊能者達の除霊コンペとバッティングしちゃった! 実は私も霊感あるけど、知られたくないなあ…… なんて言っている場合じゃない。 諸悪の根源は恩師の仇、金剛有明団だったんだ! 憤怒の化身ワヤン不動が、今度はリゾートで炸裂する!!
pixiv版 (※内容は一緒です。)
དང་པོ་
 高々とそびえる須弥山の麓。宙にはトンビやカラスが舞い、地上では鮎や鯉が戯れに滝を登る。その平穏な滝壺のほとりで、徳川徳松少年は私達に今生の別れを告げる。 『あんたらは何も気にしないでいい。地獄行きはぼくだけだ』 「そんな」  光君はしゃがんで徳松の両肩に触れた。 「利用されてただけで。地獄など!」 『ダメだ。御戌神は沢山殺しすぎた。誰かがその業を背負って行かにゃ、地獄の閻魔さんが困っちまう』  ……野暮な事実だけど、現代に地獄や極楽へ行く人は稀だ。大昔は全ての神仏と霊が宗教という秩序のもと、亡くなった人の魂を裁いたり報うための聖域が幾つも設けられていた。けど地球全土が開拓され人口過多の現代では、そういった聖地を置ける場所も管理する神仏も足りていない。誰もが知っている程の重罪人や、誰が見ても割に合わない一生を遂げた善人だけが、狭小な聖地へ招き入れられるんだ。それが当たり前となった平成の時代に徳松が『地獄』へ赴いたとしても、事務的な獄卒にちょっと話を聞かれて追い返されるだけだろう。ただ、江戸時代からずっと本物の地獄を生き続けた彼に、私もドマルもそんな残酷な事言えるわけがなかった。 「どうしてそこまで……島の人達が、あんたに見返りを?」 『見返りなど! これは誰かがやらにゃならねえ事だから。……そりゃ本当はぼくだって辛かった。大散減が飢えたらぼくも腹ペコになって、嫌だ嫌だって思いながら人殺しを。しかも殺るのはぼくと本来無縁だった来世達が! ぼくは……何も出来なかった。ゴメンナサイって思うしか出来なかった』 「僕が地獄へ行く」 『バカこくな……』 「こいてねえ!」  光君は徳松を抱きしめた。 「何が救済だ! この世界は誰かがババ引かにゃ成り立たねぇなら、僕が地獄へ行く! そして何一つ反省しないで永遠に場所取り続けてやる! あんたみたいな人が落ちてこれねぇように!!」 『……!』  すると光君の背中に後光が差していく。ドマルは無言で跪き合掌。私は徳松の隣に寄り添い、彼の顔から影を拭った。 「徳松さん、もう誰もこの件で地獄に落ちる事はありません。あなたは許されたんです」 「『え?』」  光君は振り返り、自分の後ろに光輪ができている事に気がついた。 「こいつは……!」 ༼ 正しい心のもとに、仏様は宿られる。今のこの青年の言葉は、あなたが犯した罪を浄化するに足る力があった。そもそも、殺生の罪とは誰か一人に擦り付けられる物ではない ༽  ドマルも徳松の傍に寄る。 『そんな……けどぼくは実際、何度も人殺しを』 「徳松さん」  これは、あなただけの問題じゃないんだ。 「人が生きるためには、誰かが絶対に殺生をしなきゃいけないんです。お肉を食べるためには、農家の人に動物を屠殺して貰わなきゃいけない。家を守るためには、ときどき業者さんに虫や鼠を駆除して貰わなきゃいけない。殺した本人が悪い、自分で殺してないならセーフ、じゃないんです」 ༼ 言っておくが、僧侶やヴィーガンなら無罪とかそういう事もないからな。草木を殺した死体を着て胡座をかいている坊主だって、もちろん業を背負っている。大事なのは、自分や大切な人々が生きるために糧となった命達への謝意。『謝罪』と『感謝』の心だ ༽ 『謝意……』  光君は徳松の頭を撫で、徳松と指切りをする。 「徳松様。僕達の救済は殺生って形だったけど、誰もせにゃもっと沢山人が死んでたかもだ。僕はあんたの苦しみをずっと忘れない。あんたと一緒にしでかした事、あんたと繋がる縁、全てを忘れない。だから、どうか、安らかに」 『光』  光君の後光は強まり、草葉の陰にまで行き渡る。するとそこから一匹のザトウムシが現れた。針金のように細い体を手繰る、か弱い盲目の虫だ。徳松は子犬のような笑顔を浮かべた後、もはや誰も傷つける事なきその小さな魂を率いて何処へと去っていった。 ༼ はあ、最高かよ。エモいなあ ༽  ドマルが呟いた。口癖なのかな、それ。 「ドマルはどうするの?」 ༼ 拙僧はあなたの本尊だ。ムナルの遺志をあなたが成し遂げた時、この自我は自然とあなたに帰するだろう ༽ 「そう。じゃあ、金剛を滅ぼすまで成仏はお預けだね」 ༼ 成仏……あいつみたいな事を言うな。そもそも拙僧は邪尊だ ༽  ドマルは須弥山の風景を畳み、また私の影に沈んでいった。あの世界で逝去した徳松は、私と光君の中で永遠に生き続けるんだ。
གཉིས་པ་
「じゃじゃじゃじゃあ、埋蔵金って徳川徳松を襲った大妖怪の事だったんですか!?」  空港エントランスにタナカDの馬鹿でかい声が響く。熾烈を極めた大散減浄霊から一夜、五月五日午前九時。私達はしたたびの締めコメントを収録している。けど佳奈さんと二人きりじゃない。この場には玲蘭ちゃん、後女津親子、そして光君がいる。モノホンのみんなで予め打ち合わせした筋書きを、玲蘭ちゃんがカメラに向かって話す。 「したたびさんが歌の謎を解いて下さって、助かりました。マジムンは私達霊能者が協力して、一匹残らず退治しました。ね、斉一さん」 「え! え……ええ!」  斉一さんは『狸おじさん』のキャラを再現しようと、痛ましい笑顔を作った。 「いやぁ、大変だったんすよ。でもね、私の狸風水で! 千里が島の平和は……ぽ、ぽんぽこ、ぽーん、と……」 「た、狸おじさん? ひょっとして泣いてるんですか?」  タナカDが訝しむ。その涙は失った家族を思い出してのものか、はたまた安堵の涙か。カメラに映らない万狸ちゃんと斉三さんも、唇をぎゅっと噛んだ。 「い……いえね……俺今回、割とマジで命がけで頑張ったから……撮ってなかったなんてあんまりじゃないっすか、タナカDっ!」 「なはははは、そりゃすいませんねぇ! こっちも色々とおみまいされてまして……ぶえぇっくしょん!!」  そういえば光君が島民達に拉致されてから色々ありすぎて、私も佳奈さんもタナカDの事をすっかり忘れていた。スマホに入っていた何十件もの不在着信に気がついたのは、昨晩ホテルに戻っていた道中。二人で慌ててタナカDを迎えに行くと、彼は何故か虫肖寺の井戸の中で震えていたんだ。 「タナカさん、そっちは一体何があったんですか?」 「聞いてくれますか? 僕はねぇ、人生で一番恐ろしい思いをしたんですよぉ……」  未だ風邪気味な声でタナカDは顛末を語った。あの時島民達に襲���れたタナカDは、虫肖寺のお御堂へ拉致された。そこの住職はタナカDに、「肋骨を一本差し出せばしたたびチーム全��をこの島から無事に帰してやる」というような脅迫をする。祟りなんて半信半疑だったタナカDは千里が島を『島丸ごと治外法権のヤバいカルト宗教村』だと判断、演者の命を優先するため取引に応じる事に。ところが「肋骨は痛そうだしちょっと……」「小指の骨とかで妥協して頂けませんかねぇ?」「足の小指です」などと交渉に交渉を重ねた結果、島民達を怒らせて殺されかけてしまう。慌ててお御堂から逃げ出したがすぐに追っ手が来たため、タナカDは咄嗟に井戸を降りて身を隠した。しかし数分やり過ごして地上へ戻ろうとしたその時、地震や爆発音などあからさまに異常事態が起きておちおち井戸から出られなくなってしまったのだという。色々とツッコミどころが満載な顛末だ。 「あなた、カルト相手に演者の命を値切りしたんですか」 「悪かったですって。けどあの時は本当に怖かったんですよぉ、紅さんだって同じ立場だったら値切るでしょぉ?」 「それは暗にまた私を小心者だと言ってるんですか? この三角眉毛は??」 「一美ちゃん、ここでキレたら小心者だよ!」 「なっはっはっはっはっは!!」  なんだか腑に落ちないけど、まあタナカDが無事だったのは本当に良かった。思い返せば虫肖寺という名前は『虫の肖像という名を冠したお寺』で、さらに漢字を繋げて読むと『蛸寺』になる。つまりそこも八本足のザトウムシ怪虫、大散減を祀る場所だったんだろう。 「皆さん、もうすぐ搭乗開始が」  光君が腕時計を見て告げる。二泊三日、色々あった千里が島ともついにお別れだ。それでも、この地で出会った人達や出来事、それら全ての『ご縁』は、決して捨てるべきじゃない大事なものだと思う。 「光君」  私は化粧ポーチから青いヘアチョークを取り出し、光君に手渡した。 「引越しが落ち着いたら、連絡してね」 「モチのロンで。一美ちゃんいないと、東京で着る服など何買えばいいかわからないんだから」  光君は徳松の成仏を機に、役場の仕事を辞めて島を出る事にしたそうだ。運転免許を取ったらすぐに引っ越すらしい。今は一時のお別れだけど、またすぐに会える。 「それじゃあみんな、帰るよ」  佳奈さんがここにいる全員の手を取った。 「……東京へ帰るよ!」 「「「おー!」」」
གསུམ་པ་
 それから数週間経ち、したたびで千里が島編がオンエアされる頃。  宗教法人河童の家は、『リムジン爆発事故で教祖含め大勢の信者が亡くなった』事故で、アトムツアー社に業務上過失致死の集団訴訟を起こした。リムジンを居眠り運転をしていたアトム社員が新千里が島トンネル前のコンビニに突っ込み、そこに設置されていたプロパンガスに引火、大炎上を起こした……という筋書きだ。この捏造によって私がコンビニを焼却した件も不問になり、私は本当に河童の家さんに落とし前をつけて貰った事になる。なんだかだぶか申し訳ない気もしたけど、先日あんこう鍋さんにお会いしたら『アトムから賠償金めっちゃふんだくれたんでオッケーす、我々はただの笑いと金が大好きなぼったくりカルトですから』と一笑に付してくれた。  加賀繍さんは、玲蘭ちゃんと斉一さんが辞退した除霊賞金三億円を一切合切かっさらっていった。その資金を元手に、電話やスマホアプリで人生相談ができるサービス『みんなのぬか床』の運営を開始。それが大ヒットして、今度は星占い専用人工衛星とやらを打ち上げる計画をしているそうだ。私も興味本位で一度ビデオチャットを課金してみたら、魔耶さんと禍耶さんが相談に乗ってくれた。そういえばこのサイトには、プロフィールも名前もない謎の占い師と繋がる事がある……なんて都市伝説があったような。  後女津親子は失った斉二さんの分の戦力を補充するため、木更津のどこかにあるという聖地『狸の里』で一から修行し直すと言っていた。斉一さんは生きながら強力な妖怪の魂を持つ半妖(はんよう)という状態を目指し、万狸ちゃんと斉三さんもそれぞれ一人前の妖怪になれるよう鍛錬を欠かさないとのことだ。ちなみに万狸ちゃんは九尾の狐みたいに糸車尻尾をたくさん生やして、佳奈さんの童貞を殺す服を着た女を殺す京友禅メイド服に対抗する服を作るのが目標らしい。  玲蘭ちゃんはなんと、あの後再び千里が島に行ったそうだ。今度は沖縄から神様を大勢率いて、長年大散減によって歪んでいた島の理を正したんだという。そこまでしたのにアトムツアーから何の見返りも受け取らなかったのは、『あんな賠償やら何やらで倒産寸前の会社と今更縁を持ちたくないから』。代わりに島の魂達から感謝の印にと、ちゃんと浄化済みの大散減のエクトプラズムをたくさん授かったそうだ。これまで多くの人々が追い求めていた徳川埋蔵金は、玲蘭ちゃんが手に入れたんだ。  さて。一方私はというと、顔のかなり目立つ位置にニキビができてしまいちょっぴりヘコんでいる。しかもこんな時に限って、メッセージアプリで久しぶりに光君から連絡が来た。だぶか、これが想われニキビというやつなんだろうか。 『From:あおきち 映画の前売チケットがたまたま二枚で! ご興味など?』  ……うーん、なんてベタな誘い文句! 返信をしたら詳しく経緯を説明してくれた。  実は来週公開の『シャークの休日』というイタリア映画が、光君が以前務めていた千里が島観光課とのタイアップで『全編南地語字幕上映』という企画をやるらしい。それで光君にも、地元の元同僚さんからチケットが送られてきたそうだ。イタリア人がチャキチャキの南地語を喋ってるような字幕ってまるで想像がつかないけど、確かに面白そうだと思った。 「えーと、『来週の月曜か木曜なら木曜がいいです』……と」  実はどっちも予定は空いているけど、ニキビを治したいから遅めにして貰った。返信を終えた私は早速洗面所へ。さっきお風呂で洗顔したとはいえ、ニキビの箇所はもう一度念入りに洗ってからちゃんとスキンケアしよ……
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Fjórði
 そして一週間後、『トラップブラザーズシアター東雲(しののめ)』にて。 「あ、一美ちゃん! ごめん、お待たせを!」  平日昼間にも関わらず混雑する複合ショッピングセンターで、私は道に迷った青木光、恋人の光君をメッセージアプリ頼りに探し出した。 「あれ、キョンジャクとカンリンは?」 「それが、なくなっちゃったんだ。探してるから見つけたら教えて。そんなことより、行こう?」  この期に及んで『デートできる服を持ってない』などと言い出す恋人を助けてやるため、私は映画鑑賞の時間が近付く前にメンズファッションフロアへ向かった。まるでコーディネートの基本もなっていない男に、流行に合わせた服装を宛がう。それだけで「さすがプロは違う」と煽てられるのだ。 「一美ちゃん? ひょっとして、退屈で?」 「ううん、光君と一緒にいられて楽しいよ」  上映十五分前になり、私達は映画館に戻った。ロビーのスクリーンでは、丁度今日見る作品『シャークの休日』のトレイラーが流れていた。 『餌食である人類の世界を見てみたい……海底は人喰いザメの王国から、自由を求めるサメ姫シャークリー・シャックバーンがローマにやって来たぞ! 姫は魔法で人間に化けて新聞記者と恋仲になるけど、デート中『真実の口』に手を入れたらサメだと見破られちゃった! 魔法が解けて、ローマの人々をヤケ食いし始めるお姫様……全伊震撼の大パニックムービー誕生!』  お世辞にも興味をそそられる内容とは思えないが、私は今までしてきたように楽しそうに振る舞う。 「映画、楽しみだね」 「うん。あ、一美ちゃん、あそこに真実の口が!」  光君が嬉々として示した方向には、記念写真が撮れる真実の口のパネルがあった。彼はタイマー撮影用スタンドに自分のスマートフォンをセットした。 「ねえ、光君。作中の真実の口って、トレイラーで喋ってたよね。『サメ……ウソ……』って。これも手を入れたら喋るかな?」 「一緒に確かめてみるので。いっせー……」 「のー……」 「「せ!」」 『シタタビ……ウソ……』  その時、私はこの真実の口が何か妙な事を言ったように聞こえた。シャッター音と被って耳が錯覚を起こしただけ、だろうか。 「ごめん、もう一回手を入れてみていい?」 「モチのロンで」  二人でセンサー部分に再び手をかざす。 『シタタビ……ドッキリ!』  ヌーンヌーン、デデデデデン♪ ヌーンヌーン、デデデデデン! 突然、テレビ湘南制作『ドッキリ旅バラエティしたたび』主題歌、『童貞を殺す服を着た女を殺す服』のイントロが映画館ロビーに響き渡った。忽ちこの身体は自らの意志に逆らい跳躍し、入場口とは反対方向のエスカレーターへ飛び降りていた。先月末、ドラマ『非常勤刑事』の撮影で主演の男に「一度も見破れないのはだぶか君の才能だ」と言われた記憶が脳で想起される。 「って、サメえええぇぇえええ!?」  エスカレーター階下にはサメ帽子を被ったエキストラの大軍が群がっていた。私はコミカルに叫び、スカートスタイルにも関わらず粗暴に下りエスカレーターを駆け上がった。すると階上には、『ドッキリ』と書かれたプラカードを掲げる光君と志多田佳奈が待ち受けていた。 「ドッキリ大成功ー! 志多田佳奈のドッキリ旅バラエティ、」 「「したたびでーす!」」  悔しがってどうこうなるわけでもないはずだが、この身体はヒステリックに地団駄を踏んでいた。 「やいやいやい小心者! ハニートラップに引っかかるなんてまだまだ小心者だぞ小心者!」 「うるさい万年極悪ロリータ! そこの真実の口で実年齢をバラしてやろうか!?」 「うわぁ~、みみっちー」  しかし、これを放送するのは芸能事務所に許可されるのだろうか。私はまだ世間に正式に発表できるほど、彼と進展した関係ではないはずだ。 「あのね、佳奈さん。私と光君は今日が初デートだし、まだ事務所に何も言っていないんです。こんなのオンエアされたらこちとらたまったもんじゃないんですよ!」 「あ、社長さんには私が色つけて説明しといたから大丈夫だよ」 「勝手に何してくれちゃってるんですか!?」 「だってだって、光君の一美ちゃんへの愛は本当だよねー?」  光君は気恥しそうに真実の口へ手を入れた。 『……ホント』  よく見ると真実の口は、画角外のタナカDが裏声で喋っていたようだ。 「初デートを返せこの三角眉毛ェェ!!」 「ぬわははははは!! ごめんなさいって! ナハハハ!」 「一美ちゃんごめん、本っ当ごめん! これで堪忍を!」  光君が私に何やら縦長なフリップを差し出した。それは特大サイズに拡大印刷されたシャークの休日の前売券だ。 「『映画の世界へご招待! リアルシャークの休日』……『inローマ』ああぁ!!?」 「そ! 今回のしたたびは海外企画、イタリア編! 実は私、この映画の日本版主題歌を担当させてもらったの。そのPVを、ラブラブなお二人に撮ってきて貰いまーす!」 「え、じゃあ佳奈さんは今回行かないんですか?」 「うん。だって主題歌が入るニューアルバム、まだ収録全曲終わってないし。代わりにPVでは一美ちゃんの彼氏役が必要でしょ? だから光君を呼んだの」  そういう事だったのか。今回は光君が撮影に同行するのだ。 「ドッキリは正直ちょっと気が引けたかもけど、テレ湘さんが僕達を海外旅行に連れてってくれるんだから。ローマで本物の真実の口やったり、トレビの泉でコイン投げるなど!」  光君はさぞ嬉しそうに小躍りした。だが、それでは浅はかというものだ。 「光君、ちなみにローマで何をするか知ってるの?」 「うん。だから、映画みたいに真実の口とか……」 「そのフリップ、『inローマ』の下にやたら余白があるよね。よく見て、端がめくれるようになってる」 「え? あっ本当だ! タナカさん……」 「いいですよ、めくって」  フリップから粘着紙を剥がした光君は、前髪で表情が隠れていても解る程、顔面が蒼白した。フリップ上に現れた文章は、上の文字と繋げて読むと『映画の世界へご招待! リアルシャークの休日inローマ県オスティア・ビーチ~スキューバダイビングで人喰いザメの王国へ~』と書か��ている。 「そっちへ!?」  彼もまた、私と同様に番組に騙されていたという事だ。するとタナカDが高笑いしながら、タブレットPCで企画書を開いた。 「お二人には最初の三日間でライセンスを取得して、四日目にサメと潜って頂きます。天候とかあるので五日目は予備日にしていますが、運が良ければ真実の口にも行けるかもしれませんよぉ」 「行けるかもしれませんよぉ、じゃないですよ。何が悲しくてイタリアまで行ってサメのいる海に潜らなきゃいけないんですか!」 「あやや……あやややや……」 「しかもこんなショッピングセンターでネタバラシしたって事は、どうせここで荷物買って今から行くんでしょ? 予算一万とかで」 「さすが紅さん、よくわかってらっしゃる」 「今から!? しかも一万円で旅支度を!?」 「安心して下さい、一人一万です。うははははははは!」  私達したたびチームにとっては定石である無秩序な行動に、光君はただ困惑している。 「じゃあ光君、衣装買いに行くよ。デートに行く服がなかったなら、PVに出る服だって持ってないでしょ」 「えっでも、流石にダイビングスーツは現地じゃ?」 「サメと泳ぐだけで終わらせるわけないでしょ? だぶか海中ロケなんてさっさと終わらせて、二人で街ブラする撮れ高で佳奈さんのPV埋め尽くしてやるんだ!」 「そ、そうだ……せにゃ! 見てろよ佳奈さん!」 「ふっふっふー。そう簡単にいくかな? 衣装に予算使いすぎてだぶか後で後悔するなよっ!」 「国際モデルのこの私のプチプラコーデ力を侮らないで下さい。だぶか佳奈さん本人が出てるPVより再生数稼いでやる!」  斯くして、また私達は旅に出る事になった。『行った事のない場所にみんなで殴り込んで、無茶して、笑い合って、喧嘩して、それでも懲りずにまた旅に出る』とは佳奈さんの言葉だ。それが私にとっての日常であり、私はこのような日々がいつまでも続くと漠然と思い込んでいる。
 し か し 、 そ れ で は こ の 『 私 』 に 金 剛 の 有 明 は 訪 れ な い 。 間 も な く 時 が 来 る 、 金 剛 の 楽 園 ア ガ ル ダ が こ の 星 を 覆 い 尽 く す の だ 。
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chaukachawan · 4 years
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1ステに間に合った!
今年最後の公演…
スパンが早すぎて本番当日とは思えないですね。引退公演というわけで役者紹介ならぬ団員紹介です。もう役者紹介という概念ぶち壊してるけど、許してね。
役者紹介はみんながやってくれるはずなので、私の団員紹介はもう期ごとに行きます。
誰がどんな役かはみなさんのを読んで楽しんでね。
団員多いよ!嬉しいことだけど!書くん疲れた!
というわけで、どうぞ!!
GEO(30期)
今公演でがっつりめに絡む人その1。実は今まで意外と絡んでなかった気がするなぁ…1年の時の秋公演以来かも。30期のコミュ力お化け枠で、勧誘活動時には一人で三人分ぐらいの活躍をする。新入生ともすぐ仲良くなって指導にあたる。ゆえに、自分の稽古がおろそかになりがち。かと思いきや、気づいたら上達してることがほとんど。基本的にフットワークが軽いので、いつの間にかいなくなってて、いつの間にかいる存在。つまりは神出鬼没。よく「太陽」とか書かれている気がするが、確かに稽古場にいるのといないのとではその場の温度が違う気がする。冬場は助かるけど夏場は困る。彼はコミュ力だけで生きていける気がしている。
LUCE(30期)
最近公演に参加していないので、会えなくてさみしい。音響班としてかかわることもあったけど、正直話し足りない。彼女といると時間の流れがゆっくりになっている気がするぐらい、雰囲気が温かくてゆるっとしてる。でもスタオンとして音響班を支えてくれる有能な職人さん。聞き上手なので仕込みが暇になると私が一方的に話してたりしたけど、それもにこにこしながら聞いてくれるのでうれしみ。今度は彼女の話を聞いてみたい。後輩には「音響のお姉さん」で定着してそうだけど、当日制作を手伝ってくれる優しさが私は好き。卒公にはきっと参加してくれると思うので、今度こそいっぱいおしゃべりしたい。飲みにも行ってみたい。
え(30期)
コロナを機に熊本に帰ってしまったので、ここ最近直接は会えていない。が、zoom会議でもその存在感は薄れることがない。彼はほぼ毎公演脚本を出すという強者。一体どんな時にそんなアイデアが浮かぶのか。そしてそのアイデアをどうやってあそこまでの形に仕上げるのか…一度頭をのぞいてみたいとも思うが、多分のぞいたところで分からない気もするのでやめとこうかな。ちゃうかでの初公演の共演者その1。去年は演出補佐もやらせてもらったし、なんだかんだ仲良くなれているほうだと信じている。たとえ熊本にいようとも、遠隔で手伝えるスタッフワークは最大限協力してくれる。そんな優しさと、生まれ持った発想力が彼の魅力。
小澤祐貴(30期)
特別レアキャラというわけでもないのに、稽古場に出没するだけでその場が湧く。そして公演に参加すると、登場するだけで観客が湧く。いったいどうしたらそうなれるのか。聞いてみたいけど多分本人も分かっていない。ここまで書いてやっと気づいたけど、彼と絡んだことない気がする。共演はあるけど、まともに絡んでない…よね?第一印象はもの静かな人だったけど、初公演でその印象は打ち砕かれた。初公演でアドリブが言えて、しかもそれが最高に面白いなんて、才能に嫉妬しそう。学年がひとつ上なので今年は忙しかったはずだけど、10月公演に参加してくれてうれしい。彼とも話し足りないので、どうにか話す機会を作りたい。
樹木ききっ...♡(30期)
30期のギャグ脚本家。コメディではなくもはやギャグ。なのにちゃんと物語として成立させられるからすごい。彼女のユーモアのセンスをちょっとでいいから分けてほしい。そしてそんな面白い脚本をさらに面白くさせる演出力の持ち主でもある。しかもかわいいとか、もうずるいと思う。彼女の脚本がコロナのせいで幻となってしまったことが残念だけど、引退前に秋公演でまた彼女の脚本・演出が見れたので割と満足している。彼女は去年の秋公演以外すべての公演に参加しているので、共演率は高い。けど、がっつり絡んだことなくない?って気がした…いつか絡めるといいな。いつかわかんないけど。一度行ったけど、また2人で遊びに行こ。
岸田月穂(30期)
他劇団での活動もあって最近は忙しそう。普段のおっとりな雰囲気とは違って、やばめの役をやることが多い。ただその役がはまってしまうので、豹変するタイプの役者なんだろうな。元「制作のお姉さん」。今はメインで私が制作をやることが多いけど、何かあると頼ってしまう。頼ると快く助けてくれるので、次も頼ってしまうという繰り返し。よくないね…何度か書いた気もするけど、私はまだ彼女が怒ると怖いと信じている。けど彼女はなかなか本気で怒ることがないので、そんな姿をみることはついにできなかった、残念。彼女もまた聞き上手なので、愚痴っちゃいがち。共感しながら聞いてくれるのですっきりする。今度ご飯食べに行こ。
木下梨実(30期)
他劇団での役者と今公演の役者を兼任しつつ、いろんなお仕事もこなしている。つまりは有能。末端冷え性なのか冬場は手がやばいほど冷たい。のでたまに私の手で温めてあげる。けど、体温奪われるのでほどほどで離れるようにしている。1年の時は人間じゃない役をやりがちだったけど、最近は現代人じゃない役をやりがち。そのたびに衣装に苦労している姿を見るけど、その衣装が似合っててかわいいので今後もいっぱいそういう役をしてほしい。今回は美しいの部類。彼女も公演参加率が高いので共演率は高いが、やっぱりがっつり絡んでることはほぼない。外部の公演では絡んだけど。彼女とはおしゃべりしながらショッピングしたいな。
小林秋人(30期)
ちゃうかの座長様。今回はコロナもあって大変だったね。いろいろと変則的な1年だったけど、彼が座長でよかったなぁと感じる今日この頃。大道具としての活動がメインではあるだろうけど、彼のチラシセンスが好き。特に去年の新歓公演の本チラシはマジで好き。今後もそのセンスをどこかで役立ててほしい。外部の公演に呼ばれることの多い彼も、やはり有能。作業が大変になってくるとなぜか自分を責めるけど、そんなところもみんなに愛されて頼りにされている理由なんだと思う。入団当初は基本口角が上がっているがゆえにシリアスな役に苦労してたけど、最近振り切った役が多くて楽しそう。個人的には久しぶりにシリアスもみたい。
髙木悠(30期)
彼も他劇団での役者と今公演の役者を兼任する強者。聞いてるだけで大変そう。彼は自身の特徴ある声を生かした役をやることが多いイメージ。だからこそ、どの役もくせが強いのにはまり役で面白い。今回も間違いなくそう。知識量が多い彼の前で疑問をぼそっと口にすると、唐突に解説がかえってきてびっくりする。こないだ姿勢が悪い後輩にゆがみを直す方法を教えてて、「そんなことも知ってるの?」って心の中で思ってた。どんな話にもちゃんと返すタイプだからかダル絡みされがち。特に後輩から。なので後輩たちと謎な話で盛り上がっていることもしばしば。内容が謎すぎて入っていけないことの方が多いので、私は見て見ぬ振り…
大不自然賃夫(30期)
急に芸名を変えやがったのでいまだになれない。若干、宣伝美術さんに喧嘩を売っている気もする。が私は関係ないのでいいや。演出・演補経験が豊富な彼は、演技指導が的確で分かりやすいと評判。だけど私、あんまり演技指導してもらった記憶ないぞ、なんでや。公演参加率がめちゃ高いわけではないのに、割と劇中で絡んでる。彼と演技すると勝手にこっちも乗せられるのでやってて楽しい。入団当初コミュ障を発動していたらしい彼は、最近入ってくれた後輩に対してまだコミュ障を発動している模様。稽古場や帰り道で話すことはたまにあるけど、がっつり話すことは少ない気がする。ので、いつか彼の演劇論とか聞いてみたいな。
東崎望(30期)
30期のレアキャラ枠。新人公演で役者としてデビューして以来、���演に参加できていない。忙しいので仕方ないけどちょっとさみしい。普段は凛々しくて「お姉さん」ってイメージが強いけど、たまに突然おちゃめになるところがかわいい。だけど、普段は甘えたくなる何かを発している。そう感じるの私だけかな。お酒を飲むとなかなかに暴走する彼女。だが、私たちが知っている姿はまだ抑えめらしい。抑えなかったらどうなるのか…怖いので聞きません。公演を見に来てくれるけどじっくり話せるわけじゃないし、話し足りるはずもなく。彼女に時間の余裕ができたらおしゃべりしに行きたいなと思っている。でもお酒はほどほどでお願いします。
中戸太一(30期)
昨年引退宣言をした30期。なので書くべきか迷ったけどせっかくなので書いておこう。ちゃうかでの初公演の共演者その2。映像班というスタッフでも被っていたからか、仲良くなるのは早かった…と思う。その後も新人公演、外部の公演、とがっつり絡んでいることが多い。リスペクトしてるっていいながらも、ガンガンいじってくるという発言と行動が一致しない人。まぁいいけど。学年がひとつ上なので、29期の某先輩をいじっている様子もしばしば見かけた。実はSキャラかもしれない。知らんけど。彼は真面目な役をやることが多かった印象。なので、ギャグに振り切った突拍子もない役もみたかったなと思うけど、きっとやってくれない。
備前桃子(30期)
30期のマスコット枠。最近阪大に来る理由がないからか役者参加してくれなくてさみしい。学部が一緒なのに会わないねって思ってたけど進路真逆だから仕方ないか。先輩方から愛でられ、そのままマスコットの座をほしいままにした彼女は、ほとんど面識がなかったはずの32期に対してもなぜかすでに大人気。どういうことや。最近ちょっとレアだったというのはあるにせよ、稽古場に顔を出すだけで稽古が止まるという影響力の持ち主。そんな可愛い彼女も、振り切った役をやりがち。というかぱっと浮かぶやつ全部割と振り切ってる。スタッフワークもそつなくこなし、その愛され力でメンバーを引っ張っていく。卒業までに遊びに行きたい。
三葛麻衣(30期)
タスク背負いがちな30期。気づかないうちにいっぱい仕事を抱えている。多分彼女の「大丈夫!」は信用されていない。少なくとも私は信用していない笑。他劇団で重めのスタッフを抱えつつ、今公演の役者もやる、やっぱり強者。無理しないでね。情緒不安定な役でちゃうかデビューを果たした彼女は、前回の秋公演でも割と情緒不安定だった。私は彼女の表情豊かな演技が好き。普段も表情豊かで笑顔が素敵。その笑顔で後輩を虜にしていると思う。衣装チーフとして大活躍してきた彼女は、とうとう自分の服を手作りし始めてしまった。しかもその服がかわいいから…ずるい。女子会したいねって話してるけど、とりあえず2人で遊びに行きたい。
渡邉あみ(30期)
去年から演劇に目覚めたやつ。1年生の時はオムニ以来新人まで参加していなかったのに、昨年から参加率が急上昇。気づいたら役者としてもスタッフとしても絶大な信頼を置かれていた。一体何があったのやら。彼が公演に参加しないとスタッフに穴があいた感じがする人もいるらしい。キャパが大きいのか、割とスタッフ抱えてても平気そうな顔をしているが、実際のところは知らない。稽古場の雰囲気を明るくするとよく言われる彼もまた愛されキャラ。面白いことをすればみんなが笑い、すべったらみんなに突っ込まれる。外部の公演に呼ばれてもその魅力を遺憾なく発揮している。私個人からみれば、彼もまた30期のコミュ力お化け枠。
渡部快平(30期)
30期の高身長枠。最近、背が高いなと思っていた後輩と並んだ時に、自分の背の高さを自覚したらしい。「今更?」って感じ。舞監という立場とその身長とおしゃべりじゃないところが災いしてか、怖い印象を持たれがちな彼は、最近かわいい面が露呈しがち。本人は気づいてないかもしれない。彼とは劇中でよく絡んでる。しかも彼の胸倉をつかんだり、彼をビンタしたりと過激な絡み方が多め。去年のオムニでは演出補佐もやったし、スタッフも被ってるので割とよく話すけど、まじめな話が大半…かといって彼としょーもない話をしているのは想像できないのでどうしようもない。もう一度彼の振り切った役が見たいと思っていたりもする…
Anna(31期)
最近、役者参加率が低くて残念。多分忙しいんだと思う。でも、スタッフ仕事はしっかりやるし、公演直前の仕込みから当日の制作まで、やれることは最大限力を貸してくれる優しい子。手が空けばいつでも「何か手伝いましょうか」って言ってくれる。いつも助かってるよ。ちょっとネガティブ気味だった印象だけど、最近そうでもなくなってきた気がする。気のせいかもしれないけど、私は内心喜んでる。彼女は去年の秋公演の魔法使い役が印象的。殺陣っぽい動きに苦労してはいたようだけど、すごく楽しそうに演じてた。かっこよかったし、ハマり役だったんじゃないかなぁ。なかなか通らないけど彼女の脚本も好きなので、いつか見たい。
伊藤星乃介(31期)
陽キャをやりがちな気がする。そしてそのたびに動きが不自然なことに悩んでいる。その原因は身体が硬いから。多分。つまり、キャスパにも苦労している。今回のキャスパで、苦手らしいフリを入れちゃったけど、どうにかなってるってことは上達したのかもしれない。もしくは身体が柔らかくなった。背が高くてオシャレさんなので、衣装は自分で用意しがち。このイメージあってるのかな。彼はもちろん、去年のオムニの前世ゴリラ現世人間役が印象的。一発目からインパクト強すぎでしょ。それ以来、シリアスやったり、陽キャやったり、嫌味な男やったりと振り幅大きめ。いつか、現世ゴリラ役をやってほしいなぁと密かに思っている。
鰻白河ミニ(31期)
先輩なんだか後輩なんだかよくわからないやつ。入団した当初はびっくりしたけど、もう慣れた。最近やたらと謎な絡み方をしてくる。謎すぎて相手にする方法も、適当にあしらう方法も分からなくて困ってる。それを楽しまれてる気がするのに、若干腹が立つ。なのに憎めないやつなところが、さらに腹立つ。とは言ってるけど、つまりは羨ましいんや。彼の印象に残ってる役…は全部インパクト強いけど、強いて言うならこないだの秋公演。とりあえず面白かった…面白い役ものをより面白くするために、アドリブ入れまくるし、後輩にも要求する。そんな彼にハラハラしつつも、ワクワクする。最近台詞覚えが良くなってきた。今後も頑張って。
尾形莉奈(31期)
ミニマムで可愛い。近くにいるとヨシヨシしたくなる。やったことないけど。冬場は寒いのか、丸まってさらに小さくなってる。だから余計にかわいい。人見知りだったのか、最初は笑顔がレアだったけど、数ヶ月するとよく見れるようになった。近頃は向こうから絡んできてくれるので嬉しみ。彼女は、オムニのスナイパー役が好き。クールさの中に可愛さがあってキュンキュンする。割と素もそんな感じ。実はキャスパ得意ではなさそうな彼女。なのに、なぜか割と難しめのものに当たる。だから苦戦しがち。でも多少間違ってても可愛いから許したくなる。ってか許してしまう。舞監としても有能なんだけど、たまにはもうちょっと頼っていいんやでって思う。最近頼ってくれる。
おはようさぎ(31期)
31期のコミュ力お化け枠。スタッフも公演を重ねるごとに開拓していくので、いろんな部署で引っ張りだこ。たまに休憩しろって怒られてる。そんな体力お化けでもある。印象的な役…全部強すぎてほんとに選べないので諦めます。彼自身への影響力でいうと、多分去年の外公。いまだに稽古中などに藤原竜也が顔を出すことがある。本人には自覚がないらしいけど。彼のキャスパは勢いもキレもあって好きなんだけど、元々つけたはずのキャスパと別物になってしまうこともしばしば。多分しんみり系のキャスパは苦手。先輩後輩関係なく絡みに行って、謎の遊びを作り出している光景を最近よく目にする。ちょっとついてけないなってのが本音。
カーメン(31期)
31期の留学生枠。最近は他劇団の方もあるからか、参加率が低くて会えない。こないだ会ったときにちょっとお喋りできたので嬉しみ。ほわっとした空気感で、いるとその場を和ませてくれる癒し力の持ち主。共演経験がないうえに、スタッフもかぶってないので、仲良くなりきれなかった気がして残念…だけど、他劇団で会えるから、まだチャンスはある!と思ってる。印象的な役って言われると難しいけど、個人的にめちゃ好きだったのは去年の秋公演。女子高生役で、制服がめちゃめちゃ似合ってて可愛かったのを今でも忘れてない。しかも芯のある声をしてて、かっこいい役まで似合うところも良き。またちゃうかで役者してるとこが見たい。
国分栞(31期)
最近忙しいみたいでメイン級の役者をやる余裕はなさそう。だけど、彼女のハリのある声がとても好きなのでもっと役者が見たい…あ、無理はしないでね。今回は衣装さんとしての活躍がとんでもない。有能すぎて分身して欲しくなるときもしばしば。だけどそれを分身せずにこなしてしまう…すごすぎて言葉が出ません。彼女はオムニの役が印象的。男ばかりのむさ苦しい中に花を添える元気な女の子。普段から明るくて人懐っこい彼女の魅力が全面に出てる役で、かっこ可愛かった。自然体な演技をするので、現実にいなさそうな役も本当にいるように見えてくる。さらにキャスパも持ち前の明るさと笑顔で魅せてくれるので、いつも目が離せない。
小宮山珠里(31期)
久しぶりに公演に参加してくれたのでとても嬉しみ。彼女は興味の幅が広いようで、いろんなことに取り組んでるので常に忙しそう。詳しく何やってるかはあんまり知らないけど。それでも演技をするときは真摯に役と向き合って、役を成長させていくので、どんどん役者をやってほしい。印象的なのは、去年の外公のいじめっ子役。普段の姿��らは想像できないぐらい「嫌なやつ」感��出てて、一瞬本人を嫌いになりかけた笑。しっかり者な役をやりがちなので、アホな役とかもやってほしい。私的には、彼女も笑顔がレアな方なので、たまに笑ってくれると無性に嬉しくなる。普段しっかり者に見えるけど、意外と抜けたところも多いみたい。
島﨑愛乃(31期)
私の推し。彼女が1回生の時から可愛がっているので、もはや彼女を可愛がってるのが通常運転。オムニの時に演補と役者として関わった後輩は、可愛がりたくなるもんだと思ってる。思い出としてはオムニが強いけど、役の印象で言えば去年の秋公演。ヤンキーの彼女で床を転げ回る役。こう書くとヤバいやつだけど、実際割とヤバいやつだったと思う。それまでシリアスものが多かったので、ネタ路線になったのが新鮮だったのもあるかもしれない。最近は両方の線で重宝されているご様子。スタッフもかぶりまくってるので、大抵一緒にいる。そもそも特に用が無くても私から絡みにいくので、やっぱりほぼ一緒にいる。いつか!遊びに行こうね。
須田颯人(31期)
31期の裏ボスとかなんとか。31期を裏から操っているのは彼らしい。ちなみに表ボスは上の人。実際裏ボスかどうかはさておき、彼がいないとちゃうかの公演は打てないと言っても過言ではない。映像・大道具をメインに入ってくれていたスタオンの彼は、いつのまにか音響・映像・照明のオペをこなし、とうとう照明の仕込みまでやり出した。その実力は劇団外まで知れ渡っているようで、他劇団からもよくお声がかかる。初めて映像作ってくれた時からすげぇって思ってたけど、息抜きに映像作り出したときから、やべぇになった。彼自身が有能なだけでなく、有能な後輩まで育てていくので、部署全体が有能になる。今後の映像班が楽しみ。
津島ヨモツ(31期)
31期の名脚本家。入団以来、3脚本を上演している。私も彼女の脚本はとても好き。なぜか回を増すごとにシリアス度が高くなっているのは、気のせいではないはず。ただ、演出をするということは役者としての姿が減ってしまうのも宿命。彼女は役・脚本をしっかり掘り下げて役作りするのでとても引き込まれる。演出もしてほしいけど役者ももっとみたい。無茶だね。彼女の役で印象的なのは、10月公演。ノイズ音を音響に任せず自分で出してきた。もはや役の印象ではないかもしれないけど、役としての表情や動きをしながらノイズ音を出してるのが純粋にすごかった。そん��魅力たっぷりな彼女は、今後のちゃうかを盛り上げてくれるはず。
でぃあっ♡(31期)
今回の脚本・演出さん。初の経験なので不安いっぱい迷いいっぱいだったと思うけど、すごく丁寧に稽古をしてくれた。元々周りをよくみてるタイプの彼女は、演技指導でも視野が広い。周りの意見を柔軟に取り入れつつも、一本芯は通っていて、とても演技がしやすかった。彼女の役で印象的なのは去年の秋公演。その前の外公で急成長した彼女は、頭の狂ったYouTuberのリーダーをかっこよく演じ切った。非現実的なのに、人間味あふれるキャラクターで、ただただ好き。キャスパが苦手だという彼女は、大抵最初は「人間の動きじゃない」っていうけど、めちゃめちゃ練習して踊れるようになってくれる。一切妥協しないその強さが彼女の魅力。
トニーー板倉(31期)
最近、稽古場で代役をやりすぎて本役を見失いがち。相変わらず稽古に熱心にきてくれるのに、共演者が揃わず代役をやってることが多い。そうしていつの間にかみんなの台詞を覚えていく。脚本見ずに代役されるとちょっとびっくりするよね。そろそろ慣れたけど。彼は新人公演が印象的。ロリータ男子のインパクトを超えられるものはなかなかないと思う。可愛かったよ。高校から演技をやっていた彼は、役に色をつけるのが上手い。彼も脚本を読み込んで解釈して役作りするので、どんな役も脚本に合った、でも個性ある色に仕上がる。入団当初は「高校演劇の癖」に悩んでいた彼も、今ではその経験も生かして、ちゃうかを背負う役者の1人に。
なしもとはな(31期)
31期のお姉さんって感じ。多分その印象がついてる原因は、普段一緒にいるメンバーが妹・弟っぽいから。そのメンバーでいると大抵お姉さんしてる。でも一緒にはっちゃけてることもしばしば。その仲良し組でいる時が一番いきいきしてて可愛い。彼女は新人公演の役が印象的。共依存の女なのに、なぜかとても自然だった。それまでノーマルな人間役の多かった彼女は、ちょっとした動きにも気を配ってる気がする。だからこそ、ちょっと変わった役でも動きの中に自然さが出てくるのかな。前回の秋公演でがっつり共演して以来、会話量が格段に多くなった。それまでも音響で話してたけど、最近は脳死でどうでもいい話してることが多い。
西岡克起(31期)
31期の笑神様。どんなに真面目な役でも、どんなにかっこいい役でも、ただ出てくるだけで観客も共演者も笑わせてしまう。結果、稽古がなかなか進まないこともあるので、ある意味稽古クラッシャー。彼はオムニでのターミーネーターに勝るものはない。多分彼の笑神様伝説はここから始まった。今でもたまにデデンデンデデンって効果音が口頭でつけられる。前回の秋公演でがっつり共演してから、ちょくちょく喋るようになった。でも彼自身の出没度が高くないのであんまり話せない。周りを笑わせるだけでなく、彼自身もいつも笑っている太陽。その明るさゆえか、彼が稽古場に来ると、必ず稽古場の雰囲気が明るくなる。体力お化けでもある。
西田幸輝(31期)
ちゃうかの軟体生物。前回の秋公演でも書いたけど、とりあえず身体が柔らかい。とうとうそれをネタにする術を身につけ始めた。見慣れすぎて私はもう驚かない。今回の役でそれが生かされている気がする。ちょっとだけど。彼の役で印象的なのは、10月公演。やる気のない悪役がめっちゃハマってた。覇気のない笑い声がなぜか上手で、すごく笑った記憶がある。一般人をやることの多い彼だからこそ、ちょっと新鮮だったのもあるかもしれない。同じ一般人でも、それぞれちゃんとキャラが見える演技をするので、見ていて安心できる役者さん。身体が軟らかいからかキャスパも上手なので重宝されがち。こないだめっちゃ可愛い笑顔が見れた。
橋本悠樹(31期)
近頃、主役オファーが後をたたない。ギャグ系でもシリアス系でもこなせる彼は主役をやりがち。思い出深いのはやっぱり演補として関わったオムニの公演。だけど役として印象的なのは去年の秋公演。残虐に殺されることになる富豪役。自信満々な様子と殺される前の悲鳴のギャップがめっちゃうまくて、好き。最近、そういうヤバめな役やってないね。近いうちに見たいいな。キャスパ苦手なのに、主役だからキャスパの負担も大きいことが多く、いつも悪戦苦闘している。時々、発狂しかけている。でも、オムニの時から比べればめちゃめちゃ成長してるんやで。先輩からは可愛がられ、同期からはいじられるポジションが確立されている。
福島亜理紗(31期)
31期のレアキャラ枠。彼女もミニマムで可愛い。たまに稽古場に顔を出すと、「ありさ〜!」ってみんなに言われてる。私も言ってる。でも気づいたら帰っちゃってることが多い。悲しい。印象的な役は当然オムニのヒロイン。穏やかに見えて実は町のチャンピオンなんてややこしい役を、持ち前のアクティブさでかっこよくやり切った。豹変した後の彼女が強すぎて好き。新人公演の時の役はまたオムニとは全然違って可愛かった。あんまり役者してくれないけど、またしてね。くしゃっとする笑顔がチャームポイントな彼女は、話しかけるたびにその顔で答えてくれるので、こっちも元気をもらえる。元気だけ置いて帰っていく。そんな存在。
堀文乃(31期)
ちゃうかの看板女優。多分誰も異論はないはず。最近いろんな看板を背負い始めている気がするけど、ちゃうかのものだと思ってる笑。彼女が作るキャスパは難しいだけでなく、体力消費が著しいと話題。彼女作と聞くと、キャスパ苦手組はあたふたし、得意組は飛び跳ねる。そんな両極端な反応されがち。知らんけど。彼女は、こないだの秋公演の役が好き。自分に酔いしれたゲームマスター。怖いのにどこか惹かれるものがある役を、まるで素がそうなのかと思うぐらい普通に演じてる。彼女は演技が上手いので、どんな役も印象に残ってて、一番なんて決められなかった。なので完全に好み。演技の楽しさを全身で教えてくれる。そんな存在。
山内一輝(31期)
ちゃうかの名脇役。一癖も二癖もある役を、さらに癖を強くして演じてくる。しかも笑いの要素まで盛り込んでくる。なので、主人公より脇役で光るタイプだと思う(あくまで個人的見解です)。彼は、オムニのいかれたお医者さん役が印象的。初演技の時から、すでに癖のある役を演じている。私が好きなキャラだったのもあるけど、想像よりやばいやつに仕上がってて驚いたのを覚えてる。10月公演でがっつり絡んだけど、彼の演技はキャラクターが見えやすいので、とてもやりやすかった。小道具のお兄さんだけど、映像もかっこいいのを作っちゃう職人さん。今回のPV、アイデアの8割はこの人。きっと今後もちゃうかを面白おかしくする。
楽園うさぎ(31期)
ローカルトークになると異常に盛り上がる。高校の部活も同じなので、その話を2人で始めると周りを置いていきがち。あんまり役者をしてくれないが、その脚本に厚みを与えてくれる役者さん。もっと参加して。印象的なのはこないだの秋公演。なんでもすぐ信じちゃうアホの子を、めっちゃアホになって演じてた。彼の演技はすごく楽しそう。最近気づいたのは、キャスパがキレキレなこと。キャスパ作成組と負けず劣らずのキレの良さ。ただし間違えて覚えると修正に時間がかかるのが難点。先輩にも容赦なく切り込んでいくタイプだけど、弟っぽさがあるのでつい許してしまう。おそらく本人もそれを自覚してやってるので、手に負えない。
Martin Parle(32期)
32期の留学生枠。正直に言います。ほとんど喋ったことありません。原因は役者参加してないからってことにしとく。私のコミュ力の問題ではないはず。とりあえず背が高い。第一印象がコレ。たまにひょっこり稽古場に顔を出しては、ふらっといなくなってしまう。だからつかみどころがないイメージ。噂によると日本語がめちゃ上手だとか。それすら知らないほど話してないことが、やばいなとは思っている。映像班に入ってくれたことにめちゃ喜んだけど、まだ彼の実力は未知数のまま。ものすごい才能を秘めていると信じている。なんの根拠もないけど。スタイルが良くてかっこいいからこそ、とんでもなくアホな役とかやってほしい。
かけうどん(32期)
32期大道具枠。今公演ではチーフとして頑張ってくれている。共演経験がないので、会話量も少なめ。けど基本的に人懐っこい笑顔を振りまいてるので、話しかけやすい。さっき仕入れた情報によると、先輩とは会話が成立しにくいらしい。彼の同期が心配してた。秋公演ではボスを慕う合いの手部下を演じてた。合いの手のタイミングが絶妙な上、とあるシーンでの表情がぴったりすぎてめっちゃ笑った。彼も割と癖のある演技をするので、名脇役になってそう。先輩の謎なノリについていけるタイプなので、若干私と分かり合えない部分がありそう。クオリティにとことんこだわる職人気質なので、映像班としての今後の活躍にもめちゃ期待してる。
加美千尋(32期)
32期小道具枠。今回私が使う小道具の一部を作ってくれた人。たまに何かが当たったのか傾いてたりするけど、動きの選択肢を広げてくれるのでとても助かってる。普段はほわっとしてて穏やかな感じだけど、スタッフ作業になるとキリッとして、てきぱき動いてる。忙しそうな同期を手伝ったり、困ってる先輩を助けたりと、ある意味忙しそう。今回はとある仕掛けも動かしてるのでさらに忙しそう。小道具事情はよく知らないけど、とても仕事が早い。制作で仕事振ったら翌日には確認の連絡きてびっくりした。むしろ私の確認の方が遅かったんじゃ…みたいな。スタオンなのでまだ演技を見たことない。けど、意外といかれた役とかやってそう。
久保勇貴(32期)
32期制作枠。なので、今公演でも制作として大活躍。なぜか一番緊張する前説にのみ出演する模様。頑張って。秋公演では、執事兼ゴーストバスターを演じた。かっこよく俊敏な動きに苦戦しつつも最後はちゃんと決めてくる。かっこいい系の役しか見れてないから、いつかぶっ壊れた役とか見れないかなと密かに期待している。キャスパ得意組でもある彼は、隙あらばキャスパ踊ってる。どんどんキレが増していくので、周りもやらなきゃって気にさせられる。行動で周りを焦らせ…煽っていくタイプ。彼自身があまり知らない話題でも普通に周りと会話してる。某後輩と私のローカルトークにもなんだかんだでついてくる。そのコミュ力羨ましい。
黒川ビルディング(32期)
32期舞台美術枠。毎回芸名が変わるので、もはや誰かわからない。しかもその芸名が長いので、絶対宣美に喧嘩売ってる。今回の素敵な舞台をチーフとして作り上げた人。最高。初公演で脚本が通るという強者でありながら、役者をさせると癖が強く、さらに笑いも持っていく。秋公演では耳の遠いおじいちゃんを演じたが、声も動きも「あーいるいる!」ってなるぐらい違和感がない。なのにキャスパはキレキレで踊れちゃう。ただし彼のキャスパも元々イメージしてたものと違うことが多い。つまりキャスパも癖が強い。彼はサイコパスだという情報をいただいたが、本当は…まぁ、謎なノリを生み出せるあたりちょっと可能性ありそうだよね。
雑賀厚成(32期)
32期音響枠。で、今公演でがっつりめに絡む人その2。同期からも先輩からも可愛がられがちな彼だが、同期に1人保護者がいる。彼を甘やかしているとその人からお叱りを受ける。秋公演では、貧乏兄弟の兄を演じた。通し稽古で共演者から無茶振りを受けて、あたふたしていたのが印象的。それ以来無茶振りに応えられるよう準備していたんだとか。普段からおっとり系の彼は、動きがかっこいい系の役に苦戦しがち。つまりはキャスパにも苦戦してる。今回はその姿勢の悪さが問題視され、最近は毎日姿勢矯正から始まってる気がする。最初は声が小さかった彼も、今では安心して聞けるようになった。音響仕込み、新人まで忘れないようにね。
佐藤舞弥(32期)
32期メイク枠。秋公演から今公演にかけて、特殊なメイクの方々のために奔走している。普段からおしゃれなメイクしてるイメージなので、多分センスの塊。スタオンさんで部署かぶりも少ないからか、話す機会は少ないかな。秋公演でオペさんやってくれてた時にオペ席で話したら、超しっかりしてた。その印象は今でも変わってない。けど、お姉ちゃん気質かと思いきや意外と妹っぽくてかわいいところがあって…キュンキュンする。笑顔がとても素敵なので、彼女の周辺だけちょっと明るい感じがする。彼女もスタオンなので役者はまだ見てないけど、男を手の上で転がしてるモテモテの女の子とかやってほしい。めっちゃ可憐に演じてくれそう。
中津川つくも(32期)
32期舞台監督枠。放送部アナウンス出身で声が好きすぎる。読み合わせの時はアナウンス癖が残ってるけど、キャスト発表後の初稽古では気にならなくなってるので、めちゃ練習してるんだろうなぁ、ともはや尊敬してる。秋公演の妖魔役はかっこよすぎた。そりゃ真似したくなるよね。指先まで気を遣って演技してるので、所作のひとつひとつがとても綺麗。今後もそういうかっこいい役の需要が増えそう。ってか増えて欲しい。キャスパも得意で、キャスパやる時にテンションが上がってるのをよく見る。すごく楽しそうに踊ってくれるので、作るのも一緒に踊るのも楽しい。持ち前の人懐っこさで、すでに32期として地位を確立しつつある。
永満柊人(32期)
32期宣伝美術枠。でも私は音響班だと信じている。音響仕込み中、「分かんない!」ってなってる同期をニコニコして見てた。そんな彼はきっとSキャラ。今後、後輩をいじる立ち位置にいるかもしれない。背が高いので、音響班でとても重宝されている。が、爆音に強く耳はバカらしいので、音響チェックには向いてない。音響仕込みにいることが多いのでよく話はするけど、そもそもの出没度が低く、相対的に話してる量は少ない。話しかけると、割とテンション高めで返してくれるので実は話しやすい。普段は明るくてくしゃっと笑う彼には、いつかメンヘラな役とかやって欲しい。狂気な笑い方とか意外とうまそう(あくまで個人の見解です)。
橋本貴欣(32期)
32期橋本枠。っていっても30期に橋本はいないんだけど。ちゃうかに入ってくれた動機が「変な人と話したい」だったとか聞いたんだけど本当なんだろうか。本当だとしたらその選択は間違ってない気がする。腹式呼吸に苦戦しまくっていた彼も、毎日熱心に発声を練習してとても上手くなってる。公演内で絡まないので久しぶりに彼の演技を見ると、急成長していて驚くことがよくある。重めのキャスパをまだ踊ってないのでわからないけど、苦手組だと予想してる。キャスパ踊るよって話した時「えっ…」って言われたから。根拠はそれだけ笑。演技中も似合ってて素敵だけど、キャスパの演技パートの時に、いい顔で笑ってくれるのも個人的ツボ。
ピンキー(32期)
32期衣装枠。とても忙しそうなのに、仕事もきっちりこなす有能お姉さん。つくも同様、32期内でボス的立ち位置を築いているので、多分32期ボス枠でもある。さらにダンスが得意な彼女はキャスパ作成も任される。つまりはキャスパ作成枠も担う。秋公演では貧乏兄弟の妹を演じたが、途中で豹変した。豹変した後がかっこいいのに、たまに豹変前の可愛いところを出してくるそのセンスが好き。彼女も先輩の無茶振りに悩まされたが、それをバネにユーモアのセンスを伸ばしている。いつか無茶振りする側になりそう。普段の彼女は笑い方が楽しそうでよき。しっかり者でお姉さんキャラなのに、先輩といる時にたまに妹っぽさが出るのが可愛い。
藤丸翔(32期)
32期照明枠。秋公演の役者紹介であみに似てるのがわからないって書いたけど、最近わかってきた。サイズ感とファッションが似てる。こないだ2人ともほぼ同じ格好で来てて、同一人物じゃんってなった笑。最近寄せに行ってる気がする。いつのまにか懐に入ってくる彼は、多分コミュ力の塊。気付いたら喋っちゃってるので、ちょっと怖い。話しやすいのはいいことなんだけどね。最近会ってないので喋ってないけど、多分会ったらめっちゃ話しちゃう。照明の知恵を着実につけている。しらんけど。近いうちに役者をやるといってくれていた彼。読み合わせの時の読みがうまかったので期待している。あの笑顔でサイコパスとか怖くていいかも。
lulu(30期)
私。最近「〜しがち」って使いがち。団員紹介で制作・音響・映像の話が多めなのは、私の所属部署だから許して。引退公演の団員紹介だからお礼とか描こうかなっで思ったけどしんみりしそうなので個人にはやめといた。けど、みんな大好きだよ。ありがとう。
というわけで、団員紹介。luluでした。
これが私にとってはちゃうか最後の公演!
まだまだ予約は受け付けてますので、ぜひみにきてくださいね!来れない人も配信映像見てね。
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hanaco · 7 years
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わたくしとロリヰタ
ごきげんよう。
Hanacoです。
今日は『ロリータ』と私についてざっくりお話しようと思います。
私は幼い頃は一人っ子、母は自営の宝石商で裕福でした。
しかし母の波乗りも長くはありませんでした。
私が中学の頃、宝石は売れなくなり母はお金と周囲の信用を失いました。
残ったのは借金と悲しみだけ。
私への八つ当たりが繰り返されました。
そんな母は友人へ細々と宝石を騙し売り、地元でも妙な噂が広がっていきました。
やがで実家の九州で恋仲だった叔父さまの元へと居場所を求めるように。
私も誘われましたが...........
断りました。
しかも冷酷な言葉で、親を貶したんです。
私の母に対する信用も失っていました。
彼女は悪人となったからです。
そのとき母は鬼のような顔をして私に言いました。
『返してよ、アンタを育てたお金、返してよ』
って。
それから彼女は忽然と姿を消し、どうしているのかは定かではありません。
九州で幸せに暮らしているのか。
まだ悪人のまま生き続けているのか。
それとも
私は祖母と亡くなるまで楽しく暮らしていました。
一人暮らしをその間に何度か経験し、ロリータの衣装に目覚めたのはこの頃です。
きっかけはアパートから近かった大阪アメリカ村のゴスロリ古着のお店でした。
フリルやカラフルなお洋服がぎっしり。
かわいい そう思いました。
西洋アンティーク好きな私は、家賃3万水道費込みの物騒な1Kのアパートにそのコレクションを敷きつめて、テーブルで優雅に紅茶を嗜むのが癒しでした。
この頃、ゴシックやロココ、古いヨーロッパの歴史や文化に興味があった私には甘美なスパイスだったのです。
ですが最初、ロリータに対する私のイメージは
『こんなドレスを身体の造りが違う男性の私が着れるはずがない』
でした。
折角、買ったのにサイズが合わなかったらどうしよう。
試着なんて到底言えるものではありません。
何とかならないものか。
その時、オーダーメイドという答えにたどり着いた私は大阪にある『魔宮の宴』と遭遇することになりました。
黒ロリを基調とし、クラシカルなデザインが多く、サイズはオーダーメイド且つお値段も良心的。
私はすぐさまこちらでお召しものを注文することにしました。
あの時の胸の高鳴りは今でも覚えています。
届くまでの一ヶ月間、ロリータのコーディネートについて模索し、パニエやパンプス、ツインテールのウィッグをBodyLineで買い、実家から母が残していった化粧品を拝借して、メイクについてネットで学びました。
そして無事に衣装がやってきた時
部屋を散らかして胸を高鳴らせお召し物を着て、化粧をして、鏡を見たのです。
そこに写っていたのは
彼女でした。
そして母でした。
居なくなってからかなりの年月が経っていながら
そこに間違いなく写っているような気がしました。
『私が正しい生き方をする母になれば、悪人だった母は報われるのだろうか』
意味の判らないことを考えながら、実家にあった黒の日傘を差して大阪の町に出発しました。
コツコツとなるヒールの音、フワッと膨らんだスカートが揺れる。
『私は何者なのだろうか?』
今まで散々だった自分の波乱万丈な人生が吹っ飛んで、辛い現実から逃げる為に抱いていた『優雅な上流階級のお譲様』になった気分でした。
好きなお洋服を着れる喜び。
哀しみに溺れることを忘れられる喜び。
私はこの生き方、主義を私のアイデンティティにしたいと思いました。
それから暫く時が経って..............
祖母が去って実家に戻った私はクローゼットに閉まっていたロリータのお洋服を掘り起こすのでした。
色々と過去までも掘り起こしながら、私はこの主義をまた羽織って生きようと
そう思うのでした。
『お母さま、お母さまが私をどう思っているかは判りません、ただ私はお母さまに生んでくれた恩すら返せませんでした。私がこうして幸せを噛みしめることで、お母さまにそれが伝わるでしょうか』
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groyanderson · 5 years
Text
ひとみに映る影 第七話「紅一美に休みはない」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 段落とか誤字とか色々とグッチャグチャなのでご了承下さい。 書籍版では戦闘シーンとかゴアシーンとかマシマシで挿絵も書いたから買ってえええぇぇ!!! →→→☆ここから買おう☆←←←
(※全部内容は一緒です。) pixiv版
◆◆◆
 ただただ真っ白な空と海があった。 天地を分かつ地平線すら見えないほど白いその空間に、私、ワヤン不動という影だけが漂っていた。
 未だ点々と炎がちらつくその身体は、浅い水面に大の字に浮き、穏やかなさざ波に流されていく。 ここはどこだっけ、私はどうしていたんだっけ。 そういった疑問は水にさらされた炎と共に鎮静していった。
 遠くに誰かがいる気配がした。軋む身体を起こすと、沖縄チックな紅型模様の恐竜が佇んでいる。 濡れて重たい両足を引きずり、そこに近づくにつれて、段々と海は深くなり、かつ水が温かくなっていく。 立ったまま胸まで浸かる程深くなると、まるで露天風呂に入っているように、頭がぼーっとしてくる。
 恐竜の隣には小さな足場とベンチがあり、可愛らしい白装束を着た金髪ボブカットの女性が座っていた。 丸く神々しい後光がさしていて、顔は逆光でよく見えない。天女だろうか。 ベンチから足だけを温水に投げ出し、足湯を楽しんでいるようだ。私は水中からそれを見上げている。  (ああ…誰だっけこの人。どこかで会ったことがある気がするけど…) 挨拶するかどうか迷う。気まずい。いずれにせよ、何か声はかけよう。 ここはどこですか、とか、あなたは誰ですか、とか…  「…アガルダって、何なんですか」 いや、どうしてそうなるの。私。完全に変な人じゃん。 だめだ、頭が回らない。案の定天女は苦笑した。  「いきなり凄い事聞くよね」
 「知らないんですか?金剛楽園アガルダ」  「あんただって知らないんじゃん。 まあでも…金剛有明団(こんごうありあけだん)っていう、なんかこう、黒魔術師達の秘密カルトがあるらしいよ。 世界中から霊能者の魂を収集してて、何かにつけて金剛、金剛ってウザい喋り方するんだって。それじゃない?多分」  「ああ。それですね」  「てか、そんなの聞いてどうするの」  「滅ぼす」  「ウケる」 天女はコロコロと笑った。
 「ここは何なんですか」  「私の夢の中…それかあんたの夢かも? ま、どうでもいいんじゃない?」  「あなたも金剛の使者?」  「まさか。私だって昔、観音和尚様にはお世話になったんだよ?」  「え…」
 逆光の影をエロプティックエネルギーでどかして、私は改めて天女の顔を見た。 ああ、そっか…金髪にしたんだ。中学の時はさすがに黒髪だったよね。 髪、そうだ、髪だよ。私はその天女…いや、その祝女に問うた。
 「あのさ。どうでもいいけど…ゴムか何か持ってたりしない? さっきから髪がメチャクチャお湯に入ってるんだ」
◆◆◆
 何の脈絡もなく目覚めると朝になっていた。 私は怪人屋敷エントランスのソファで眠っていたらしい。 サイレンや話し声が騒々しい。外光が射しこむ窓越しに、救急車や数台のセダンが見える。  「一二、三!」 救急隊員さん達が、担架からストレッチャーに何かを乗せた。白い布にくるまれた、岩のような何かの塊を… そうか。ああやって外に出せているという事は、全て終わったんだ。 私達は殺人鬼を見つけて、悪霊を成仏させて…たくさんの命を救ったんだ。
 「あ…紅さん」 譲司さんがこちらに駆け寄る。  「紅さん起きましたーっ!」  <ヒトミちゃん!>「オモナ!ヒトミちゃーん!」 オリベちゃんとイナちゃんも…みんなボロボロだ。全身煤埃や擦り傷だらけの譲司さんに比べればマシだけど。 オリベちゃんに肩を借りて立ち上がると…バシン!私は超自然的な力に頬を打たれ、衝撃で尻餅をつく。  「リナ…」
 「アナタ、ワヤン不動になって、何回死んだの?」  「…」  「何人分殺されたの」 殺人被害者達の死の追体験。あの時はハイになっていて恐怖を感じなかったけど、今思い出そうとすると、身の毛もよだつ感覚が鮮明に蘇る。  「うう…数えればわかるけどさ…」  「じゃあ、二度と数えないことね。 アナタは…ちゃんと生きて帰ってきたんだから」  「え?」 宇宙人体のリナは長い腕で私を影ごと抱きしめ、子供をあやすようにぐしゃぐしゃに頭を撫でた。  「良かった…。アナタの精神がアレと相打ちにでもなったら、アタシ観音和尚に顔向け出来ないもの…」 初めて見た、いつも気丈なリナの泣き顔。彼女は涙を流しながら、人間の姿に縮んだ。 それはとても綺麗だった。美人だった。
 その後私達は警察やNICの職員さん達から聴取を受け、昼過ぎにようやく解放された。 水家曽良は表向き被疑者死亡で書類送検とされ、未だ脳細胞が活動し続けている遺体は研究対象としてドイツのNIC本部に収容されるらしい。 待ちに待ったお蕎麦屋さんに私達が到着した時、既にテレビではニュース速報が流れていた。 皆神妙な顔で画面に見入っていたが…
 ぐぎゅるるるる…
 私の腹の虫が重い沈黙を破った。慌ててトートバッグを抱きこんでも、もう遅い。  「くくく…やるなぁ、あんた…」 ジャックさんやリナの表情にじわじわと含み笑いが浮かんでくる。 普段なら恥ずかしいとか、タレントとしてはオイシイだとか思うけど、なんかもうダメだ。 ぐぎゅぅぅぅるるる…空腹と疲労と寝不足で、私はリアクションの一つも取れない。  「笑うなや。ワヤン不動様昨日飲まず食わずで、あんだけ働いてくれとったんやから。なあポメ?」  「わぅん」 譲司さんとポメちゃんの優しみ。有難い。 でも、すいません。もう限界です。糸が切れたように私はテーブルに突っ伏した。  <や、やだ、ヒトミちゃん!? ていうか何その手、ダイイングメッセージ!?> 霞む意識の中、私はお品書きを指さしていた。 最後の力を振り絞ってオリベちゃんにテレパシーを送る。  <お願い、こ、これを…注文して下さい…!>  <いや、私日本語読めないんだけど。 イナちゃん、これ(鴨南蛮)なんて書いてあるの?>  「アヒルナンバン大盛り」  「かもなんばん!!」 なんかノリツッコミしたら自力で復活できた。 代わりにリナ、萩姫様、ジャックさん、譲司さんが抱腹絶倒した。
 ようやく腹ごなしを済まし、私達は民宿に戻った。 荷物を下ろすやいなや、全員示し合わせたように脱衣所へ直行。 昨日も入った露天風呂だけど、めちゃくちゃ気持ちいい!  「あーーーー!染み入るーーーーっ!」  「本当よぉ!アナタ達バカだわ、せっかく磐梯熱海に来たのに、ちっともお風呂入らなかったんだもの!ねえ萩ちゃん」  「同感同感!イナちゃんは日本の温泉初めて?韓国の方々も温泉好きなんですってね?」  「そです、私達オンセン大好きヨ!気が清められるですねー!」  <うちの風呂もこれぐらい広かったらなぁー。そっちはどう、ジョージ?> すると衝立一枚隔てた男湯からレスポンス。  「pH結構高いなー!」  <いやダウジングしてどうすんのよ!>  「冗談冗談。あのねー!そもそも空気がめっちゃええの! 湯気で保湿されとるし肺まで癒されるわ!なあポメ?」  「あぉーん!」 ポメちゃんも上機嫌のようだ。
 私も男湯に声をかけてみる。  「ジャックさーん!うちのおんつぁどうしてますー?」 おんつぁは会津弁でバカの意。実は、プルパ型に戻った龍王剣をさっき男性陣に預けたんだ。 霊泉と名高い磐梯熱海温泉を引っ掛ければ、あれも少しはマシな性格になりそうだけど、女湯に入れるのはさすがに嫌だったから。  「おう、同じ湯船に入れたくねーからよ、言われた通り洗面器で漬けておいたぜ。 真っ黒なのは治んねえな!ハッハ…うおぉ!?」  「わぁ!」「きゃわん!」 男湯で異変!女子一同がそれぞれタオルや霊能力を身構える。  「ど…どうしたんですか?ジャックさん!」  「い、いや、その…龍王剣の中から…」  「中から…?」  「アー…剣じゃなくて、持ち手からなんだがな…あんたの和尚が馬頭観音になって出てきた」  「はぁ!?」
 そんな馬鹿な。和尚様は成仏されたはず。 まあ、既に観音菩薩になられた和尚様が『成仏』というのもおかしな話だけど…。  「ま、まさか観音和尚、お風呂入ってるの?裸!?」 リナが衝立を覗こうと飛び上がった。私は咄嗟に影手を伸ばし、阻止する。  「こらっリナ!和尚様の前でそっ、そんな破廉恥をっ!!」  「うるさいわね!いいのよアタシはインターセクシャルだから、どっちに入っても! これは美的好奇心であって猥褻な気持ちは一切ないわよ!」  「ヒゲと声以外ぜんぶ女のクセに何言ってるんだっ!やーめーなーさーいってのーっ!」  「アイタタタ、暴力反対!アナタだって本当は見たいんじゃないの?」  「んなわけあるか!!そりゃもう一度会いたいけど…っていうか小さい頃は一緒にお風呂入ってたもん!!」  「ずるい!このスキモノ!!」
 すると衝立越しにヒョコッとポメちゃんが掲げられた。 もみ合っていた私達は不意をつかれて膠着する。 ポメちゃんの口には、何の異変も起きていない龍王剣プルパが咥えられていた。  「ハーイ、ドッキリ大成功!したたびでーす!」 譲司さんが裏声で腹話術する。 私とリナも、いつもテレビでやっているリアクションを返した。  「「…ぎゃーっ!また騙されたーーっ!!」」
 そうこうしているうちに、また日が沈み始めた。 夕方五時。荷物やお土産をミニバンに詰めこみ、私達は民宿を後にする。 本当は猪苗代湖や会津方面の観光案内もしたかったけど、NIC職員のオリベちゃんや譲司さんが警察で事件の後処理をするため、私達はもう東京へ戻らなければならない。 そこでまず、萩姫様を大峯不動尊へ送りに行った。
 「あんな事があったけど、また遊びに来てね」 萩姫様はまた正装である着物に戻っている。けど、帯飾りや例のロケットランチャー型ポシェットといった小物に、オルチャンファッションの影響が残った。  「もちろん、また来るですヨ。ハギちゃんがバリとか韓国来る時も私呼んで下さいね」 そう言うイナちゃんの耳にも、萩姫様を彷彿とさせる黒い紐飾りピアスが揺れる。 通りがかりに寄ったお土産屋さんで売っていたやつだ。 私達一同と固い握手を交わし、萩姫様はお社へ消えていった。
◆◆◆
 車に戻ると、道路沿いに小さな原付屋台があった。 ポッ、ポポポポ…ガラスケース内で、ポップコーンが爆ぜている。バターの香りが漂う。 その傍らではエプロンを着たジャックさんが、フラスコ型喫煙具を吹かしていた。 彼は私達が戻ってきた事に気付くと、屋台についている顔とお揃いのマスクを被り、スイッチを入れる。 ブゥーン…屋台の顔に仕込まれたスピーカーから、電子的ノイズが漏れる。
 「アー、アー。ポップコーン、ポップコーンダヨ…ヨォ、ガキンチョ共! ポップコーンダッツッテンダロオラ!ポップ・ガイノウェルシー・ポップコーンガオデマシダゼェ!」 ボイスチェンジャー声に合わせて、屋台の顔ポップ・ガイはガコガコと顎を上下する。 何でちょっと逆ギレ気味なのかはよくわから��いけど、これが彼の定型口上文なのだろう。  「今日ハ閉店セールダ、トビッキリノポップコーンヲ食ワセテヤル。 マズハオ前ダ、紅一美!」 ガコンッポン!ポップ・ガイの顎が大きく開き、口から焼きたてのポップコーンが一粒飛び出した。 それは物理法則に反して浮遊し、私の手の中に落ちる…あっつ!  「ソラ食エ、騙サレ芸人!アッコラ、フーフースルナ!」  「だ、誰が騙され芸人ですか!…あつつ!」 ポップ・ガイにそそのかされて、私は熱々のポップコーンを口に運んだ。 …結構しょっぱい。そして胸焼けするほど油っこい。けど、麻薬的な美味しさ。 アメリカ人の肥満率が高い原因の片鱗に触れた気がする。
 ポップコーンを嚥下すると、私の足元で、影が独りでに蛇の目模様を描いた。  「これは…」 見覚えがある。安徳森さん…ファティマンドラの種に見られる模様だ。 ジャックさんはマスクを被ったまま、スイッチを切った。  「そいつはファティマの目、トルコではナザール・ボンジュウと呼ばれるシンボルだ。 邪悪な呪いや視線を跳ね返し、目が合った悪しき魂を抜き取る力がある。 あのクソの脳内地獄で、安徳森が俺達タルパを保護するためにばら蒔いてたやつだ。 あんたが本気で金剛ナントカと戦うつもりなら、持っていけ」 蛇の目模様は影に沈んでいった。 つまりジャックさんのポップコーンは、彼の命を構成する欠片だったようだ。  「ありがとうございます」 私はファティマの目という霊能力を授かった。
 ジャックさんが再びスイッチを入れる。  「次ハオ前ダゼ、ジョージ・アルマン!」 ガコンッポン!射出された新たなポップコーンは、譲司さん目がけて飛んでいった。 アルマンは、譲司さんがイスラエルに住んでいた時の旧姓だ。  「あっつ、はふっ…ん? …ポップコーン種総量に対してバターが七〇%、レッドチェダーパウダーが五%、更に米油が…って、嘘やろ!?こんなに油使うん!?」  「バッカ、この野郎!読み上げるんじゃねえ!企業秘密だぞ! 養護教諭になるなら美味いポップコーンの一つも作れねえと、ガキ共にナメられるだろ」  「せ…せやな…?けどこれ、食べさせすぎたらあかんやつや! ほどほどに振る舞わせて貰うわ、ありがと」 譲司さんが授かった魂の欠片は、ポップコーンの秘伝レシピのようだ。 いずれバリ島に遊びに行って、ご馳走になりたいな。
 お次はオリベちゃんだった。  <うわ、確かに凄くジャンクな味だわ。 これは…ああ、懐かしいなあ…!> オリベちゃんは目を煌々と輝かせて、ぼーっと中空を眺める。  「ちょっとアナタ、何が見えてるの?一人で浸ってないで教えてよ、ねーェ」 リナがオリベちゃんの眼前で手を振った。  <ごめんごめん。あまり懐かしいものだから… 私が貰ったのは、これ。テルアビブ・キッズルームの、たくさんの楽しかった思い出よ> オリベちゃんが淡い紫色に発光し、周囲がテレパシー幻影に包まれた。
 オーナメントやおもちゃで彩られたカラフルな家で、様々な脳力を持つNICの子供達が遊んでいる。 人形ジャックさんは、幽霊の女の子とアドリブで物語を話し合い、それを器用そうな男の子が絵本に綴る。 幼いオリベちゃんは、人に感情を与えるエンパス脳力者の女の子と、脳波をぶつけ合いながら睨めっこをしている。 その勝敗を判定しているのは、弱冠八歳で医師免許を持つ天才少年だ。 部屋の奥では彼らの様子を、二人の優しそうな養護教諭さんが暖かい視線で見守る。  「まあ。アナタ、子供の頃から素敵なファッションセンスしてたのね」  <もちろん!なにせテレパシー使いはシックスセンスが命だもの!>  「うふふふ」 こうしてリナと会話するオリベちゃんを見ると、彼女のキラキラした笑顔は子供の頃から変わらないものだったんだとわかる。  『出てこいよ、ジョージ。みんないるぞ』 長い髪のサイコメトラーの少年が、クローゼットの扉をノックした。 すると、中から…分厚い眼鏡をかけた小柄な男の子が、前髪で顔を隠しながら、遠慮がちに現れた。  「オモナ!ヘラガモ先生、とてもちっちゃいなカワイイ男の子だったの!」 イナちゃんが両手を頬に当てた。確かに子供の譲司さんは、精悍な今の顔からは想像がつかないほど可愛い。 というより、先程のサイコメトラーの少年…例の殺された『アッシュ兄ちゃん』の方が、大人になった譲司さんによく似ている。 この二人の少年の魂が混ざりあって、今の彼があるという話を、まさに象徴しているようだ。
 「ねぇジャック、アタシ達にはないの?」  「わう!わう!」 リナとポメちゃんがジャックさんの周りをくるくる回る。  「ア?ドーブツ共ニヤルポップコーンハネエヨ、帰ッタ帰ッタ」  「馬鹿野郎、ポップ・ガイ。宇宙人のお客様なんて上客じゃねえか。無下に扱うんじゃねえぞ」  「ショーガネー、コイツヲ食ライナ!」 器用にポップコーン機構を操作しながらマスクスイッチを切り替え、ジャックさんが腹話術を披露する。 ガコンッポポン!射出された二粒のポップコーンはそれぞれ異なる軌道を描き、リナとポメちゃん目がけて飛んだ。  「先に言っておくとな。リナ、あんたには、水家の中にいたタルパ共の情報だ。 あいつは記憶を失った後も、金剛の呪いの影響で、無意識にあらゆる霊魂を脳内地獄に吸収していた。 人間だけじゃなくて、土地神やら妖怪やら色んな奴を吸い取っていたから、見ていて退屈しなかったぜ。 タルパを作るのがあんたの本能なら、何かの役に立つかもな。だが物騒な怪物だけは作るんじゃねえぞ」  「わかってるわかってるゥ!ああっ凄いわ! ツチノコからゾンビまで…あーっ妖怪亀姫もいるじゃない!」 妖怪亀姫って…猪苗代湖を守る神様の一人じゃん。 まさか、ハゼコちゃんが暴れた時に逃げ出して、そのまま水家に魂を奪われたとか!? 私、昨晩とんでもない方を成仏させちゃったかも…リナが福島の神々を再建してくれる事を祈るばかりだ。  「ポメラー子のは夢の中で発現する。フロリダの農村の記憶だ。 何も無くてだだっ広いだけのクソ田舎だと思っていたが、犬にとっちゃ最高のドッグランになるだろうよ」  「ほんま最高やん!良かったなあ、ポメ。俺仕事さっさと済ますから、今夜は早く寝ような」 譲司さんがポメちゃんの頭を優しくなでた。ポメちゃんは黙々とポップコーンを食べている。 彼女と譲司さんが夢の中の大自然で駆け回る、微笑ましい光景が目に浮かんだ。
 「じゃあ、最後はお前か」 ジャックさんがイナちゃんを見る。でも、イナちゃんは目を逸らした。  「私いらない」  「あ?」 マスクスイッチをオン。  「バカヤロー、オ前。俺ノポップコーンガ食エネエッテカ? 安心シロ、幽体デデキテルカラ、カロリーゼロダゾ」  「いらないもん」  「アァ!?」 スイッチオフ。  「何なんだよ?」  「だって…食べたらジャックさん消えちゃう」  「!」
 ジャックさんとポップコーン屋台は、既に薄れかけていた。 自分の魂を削って私達に分け与える度に、彼は少しずつ摩耗していったんだ。 ジャックさんがマスクを脱いだ。  「あのな、俺は二十年以上前に殺されたんだ。もうとっくにいない筈の人間なんだよ。 だから、そんな事気にするな」  「ウソ。じゃあどうして、ジャックさんずっと成仏しなかった? 本当は、オリベちゃん達が見つけてくれるの待てたでしょ」  「…どうだかな」  「せかく会えたなのに、どうして消えなきゃいけない? これからオリベちゃんの子供育つを見ればいい、これからヘラガモ先生バリで頑張るを、傍で見守ればいい! どうしてあなた今消えなきゃいけない!?」 イナちゃんが握りしめた両手が、ジャックさんの胸を無情にすり抜ける。 ジャックさんは掠れた幽体でその手を優しく掴んだ。  「イナ」  「!」 そして、初めて彼女を名前で呼んだ。
 「霊魂が分解霧散する事を、仏教徒共がどうして成仏だなんて呼ぶか知ってるか? 役目を終えて砕け散った魂は、エクトプラズム粒子になって、自然界に還る。そして、新たな生命に吸収される。 宇宙の営みってやつだ。宗教やってる連中にとっちゃ、それは宇宙や仏と一つになる、尊い事なんだそうだ。 俺は既にジャック・ラーセンじゃねえ。クソ野郎に霊魂を切り貼りされた、人工のクソ怪物だ。 それでも…お前みたいなガキの笑顔に弱い性格は、生前と変わらなかったんだよなあ…」
 ジャックさんの目から涙が零れ始める。彼の霊魂が更に希薄になっていく。  「…オリベ。ジョージ。俺の事…諦めずに見つけてくれて、ありがとう。 おかげで、お前らと遊んだ記憶をまた思い出せた。 歪な関係だったけど…短い時間だったけど…クソ楽しかったよな。 …なあ、イナ。そんな顔するなよ。魂を清めるのが、お前の力なんだろ? だったら祈ってくれよ。俺が世界中に飛び散って、宇宙と一つになって、もっともっと沢山のガキ共を笑顔にできるように。 綺麗な花を咲かせる生命力になって。人間を動かすハッピーな感情になって。…最高に美味ぇポップコーンになって。 スリスリマスリ…って、祈ってくれよ。頼む…!」 ガコンッ!コロロロ…ぼろぼろに涙を零し、声をきらしながら、ジャックさんは最後のポップコーンを作った。 それはポップ・ガイの口から力無くこぼれ落ち、イナちゃんの足元を転がる。  「…頼むよ…」
 イナちゃんはしゃがみこみ、そのポップコーンをそっと拾い上げた。 それはもはや喫煙具から立ち昇る煙のように、今にも消えてしまいそうな朧な塊だった。  「スリスリマスリ。スリスリマスリ」 ポップコーンはイナちゃんの両手に優しく包み込まれ、そのまま彼女の魂に溶けた。  「…それでいい。カナヅチは今日で卒業だ。もう溺れるんじゃねえぞ」  「ウン」
 「イナ」 抱き合って、ぼろぼろに泣く二人。イナちゃんは顔を上げた。 薄れ行くジャックさんが、半魚人から人間の顔になる。 水家に似せられた髪型や背格好。ただ、彼はよりがっしりとした体格で、首が太く、彫りの深い黒い目を持つインド・ネパール系人種の男性だった。  「ジャックさん」  「…おっと、違う。これじゃねえ。これも作られた顔だったな」 魂がほぐれていくにつれ、より深層に眠っていた、彼の自意識があらわになる。 ジャックさんは、ジャック・ラーセンさんは、私達の前で初めて素顔を見せた。
 「アイゴー…!」  「な、諦めがついたか?俺みたいなチンピラにこだわってねえで、もっと良い男を見つけろよ、イナ」
 最後にそう言って、ジャック・ラーセンさんは分解霧散した。 本来の彼は…殺人鬼の言う通り、確かにちょっと魚っぽかったかも。 全身を鱗のような細かいタトゥーで覆い、オレンジ色に染めたモヒカンを側頭部に撫でつけ、ネジや釘が煩雑に飛び出した屋台やマスクと同じようにピアスまみれな… 言うなれば、ポップ・ガイのお父さんみたいな人だった。
 こうして、私達は熱海町を後にした。 リナは千貫森に帰り、タルパ仲間と共に福島のパワースポットを復興する。 オリベちゃんは水家の遺体と共にドイツへ飛び、譲司さんはバリ行きを延期して警視庁公安部に向かう。 その間、イナちゃんは私の家に泊まって待機する事に。私の次のスケジュールは…連ドラ『非常勤刑事(デカ)』のロケで福井へ行くのが、明明後日。それまでは自由だ。 そして明日は私の誕生日!やっとイナちゃんと渋谷や原宿で遊べるぞ。 私はそう思っていた…渋谷スクランブル交差点にあのロリータ服の悪魔が現れるまでは。
◆◆◆
 十一月六日、正午〇時。 ヴー、ヴー…トートバッグ内でスマホが震えた。画面には、『イナちゃん』。  「紅さん鳴ってるよ、ほら出てあげなさいよ」 ディレクター兼カメラマンのタナカDが、ファインダーを覗いたまま言う。 私は不貞腐れて電源を切った。  「二十歳になったのに、まだまだ大人げないなー。ま、ヘリコプターは機内モードってのも正解だけどね」 座席にふんぞり返ったアイドル、志多田佳���さんが言う。  「私はヘリに乗せられるだなんて聞いてないです。 どうして誕生日にこ���な所にいなきゃいけないんですか」
 ここは東京上空千メートル、小型ヘリコプターの中。 だいたい私は非常勤刑事のロケで福井に行くんじゃ…多分、それすら事務所が用意した偽スケジュールなんだろうけど。 今度、ドラマ主演の伶(れい)先輩に言いつけてやるんだから! そもそも、どうしてこんな事になったのか。それは遡ること二時間前。
 私はイナちゃんを連れて、竹下通り(たけしたどおり)でウインドウショッピングをしていた。 あそこはロリータファッションの聖地で、個人的にロリータにはあまり良い思い出がないから、普段足を踏み入れる事は無い。あくまで観光地だから連れて行くんだ。 そう思っていたけど、実際に行くと、普通に楽しかった。 猫の額ほど狭い路地に、各種ファストファッションの直営店から、煩雑なノーブランド品を売るセレクトショップまで所狭しと詰め込まれて���る。 更に中空には、死後ポップな姿を取るようになった霊魂や、人々の感情の結晶らしき可愛いモンスター、誰かが作ったマスコットタルパなどがひしめき合い、イナちゃんがそれを見て飛び跳ねながら歓喜する。 さながら多感で繁忙な思春期の女子高生の心を、そのまま結界にしたようなカオス空間だった。
 服やアクセサリーなど、両手に戦利品入り紙袋を大量に持って、私達は電車で渋谷駅へ。 (この時、やたらめったら嵩張るロングブーツを二足も買って後悔したのは、言うまでもない。) そのまま観光を続行するのは難しいため、荷物は駅中にある宅配サービスカウンターに預ける事に。 ついでにイナちゃんが、コインロッカーからスーツケースを取り出し、それもバリへ配達して貰えるように手続きしたいと言う。
 「テンピョウ書けました、お願いします」  「はい、少々お待ち下さい」 私はカウンター脇でイナちゃんが送り状を預けるのを眺めていた。 スーツケースの分と、原宿で買った荷物分。  「あと、これもお願いします」  「はい、かしこまりました」 ん、もう一枚?覗きこんでみると、そこにはこう書かれていた。
 『お届け先 ゆめみ台 志多田佳奈様 品名 紅一美 ナマモノ/コワレモノ/天地無用 お届け希望日 今日 したたび通運』
 『ヌーンヌーン、デデデデデン♪ヌーンヌーン、デデデデデン!』 天井スピーカーから阿呆丸出しなイントロが聞こえてくると同時に、私は条件反射でイナちゃんを置いて宅配カウンターから逃走していた。
 『ヌーンヌーン、デデデデデン♪ヌーンヌーン、デデッデーン!』 階段を下り外に出る。こんなところで捕まってたまるものか。
 『背後からっ絞ーめー殺す、鋼鉄入りのーリーボン♪』 出口付近にある待ち合わせスポット、モヤイ像が見えた。 …奇妙な歌を垂れ流すスピーカーと、苺の髪飾り付きツインテールが生えている。あのロリータ悪魔のシンボルが。私は血相を変えて更に走った。
 『返り血をっさーえーぎーる、黒髪ロングのカーテン♪』 私を嘲笑うアイドルポップと、ただただスマホカメラを向ける無情な喧騒。 それらはまるで、昨日までの旅を締めくくるエンディングテーマのようだ。 但し、テレビ番組ではエンディング後に次回予告が入る。
 『仕込みカミッソーリー入りの、フリフリフリルブラーウス♪』 そして次回が来たら、また過酷な旅に出なければならない。 嫌だあああぁぁ!行きたくないいぃぃ!! 私はイナちゃんと渋谷で遊んで、お誕生日ケーキを食べて、空港に見送りに行って、お家に帰ってゆっくり寝て、福井で女優をするんだああぁぁぁ!! ていうか考えてみたらイナちゃんもグルだったあああぁぁぁ!!!裏切り者おおおぉぉぉぉ!!!
  『防刃防弾仕ー様の、コルセットーもー巻ーいてる♪』 スクランブル交差点に、爆音を撒き散らすアドトラックが現れた。…天井に、なんか生えてる。  『…ご通ぅぅぅ行ぉぉぉ中の皆様あああぁぁ!!』 渋谷駅に響き渡るロリータ声。諸行無常の響きあり。 ドゴッ!…体が乱暴にすくい上げられたような浮遊感。背後を振り向くと、宅配業者制服の男達が私を神輿みたいに担ぎあげている。  「オーエス!オーエス!」  『こんにちはァー、したたび通運でーーーす!!』 私はあれよあれよとスクランブル交差点へ運ばれ…トラックに集荷された!
 『あーあー♪なんて恐るべきー、チェリー!キラー!アサシンだ!』  「何!?何!?何なんですか!!?」 男達が私に何かを背負わせ、トートバッグごとベルトで固定していく。 目の前では、いつの間にか宅配業者制服に着替えたイナちゃんが敬礼している。  「ヒトミちゃん、したたび通運空輸便だヨ!」  「え?は?は!?」
 『破壊されしーオタサーからー…』 トラック天井に運ばれる。棒とロープが生えたバルーンクッション。 ああ。空輸便って。察した。『…遺族ーのー声はー確かに届ーいたー♪』
…わたし 童貞を殺す服を着た女を殺す服を作るよ もっともっと可愛くて 殺傷力も女子力も高い服を…
 サビに差し掛かったアイドルポップが遠ざかっていく。 私は…飛んだ。逆バンジージャンプで射出されて、渋谷のど真ん中で空を舞った。 あーあ、結局また騙された。ばーかばーか。テレビ湘南に水家曽良の腐乱死体送りつけてやる。ばーかばーか。
 そして無限にも思える長い一瞬の後、私は再び渋谷の地へ…落ちず。 なんとそのまま、上空を旋回していた小型ヘリに空中で捕縛され、拉致されてしまったのだ…。
 「はーい、ドッキリ大成功!毎度おなじみ、志多田佳奈のドッキリ旅バラエティ、したたびでーす!」 放心状態の私をよそに、悪魔的極悪ロリータアイドル、志多田佳奈さんが『ドッキリ』と書かれたプラカードを掲げた。 異常が、事の顛末だ。(これは誤字じゃない。異常なんだ。)  「ちなみに今回のドッキリは視聴者公募で、ペンネーム『ビニールプール部』さんのアイデアをやらせて頂きました!ありがとうございました~!」  「何が視聴者公募ですか。あんた達全員ビニールプールに沈めてやろうか!? だいたい、どうしてイナちゃんまでグルなんですか!」  「あの子はねぇ」 タナカDが画角外から、私と佳奈さんの会話に割って入る。  「昨夜SNSに紅さんと福島観光してる写真をアップしてたから、アポを取ってみたら、あっさり快諾してくれてですね。 今日あなたが渋谷に行く事も洗いざらい教えてくれたよぉ。『カナさん一番好き日本のアイドル!』とか言ってね」 げ、そうだった!忘れてたあああぁ!! 宅配サービスカウンターに行くのも予定調和だったのかあぁぁ!!  「目的地に着いたら電話かけ直してあげなさいよ」  「目的地じゃなくて渋谷に帰して下さい」  「そう言うなよ、一美ちゃん。 今日から記念すべき新企画が始まるんだから」  「新企画?」
 佳奈さんが座席の下からフリップを取り出す。 おどろおどろしいフォントで『調査せよ!綺麗な地名の闇』と書かれたフリップを。  「じゃじゃーん!新企画、『綺麗な地名の闇』!」  「何ですか、物騒な…」  「一美ちゃんはさ、ゆめみ台って行ったことある?」  「ゆめみ台?電車の乗り換えで通った事ぐらいはありますけど」  「ゆめみ台の旧地名は知ってる?」  「知らないです」  「ジャジャン!これです」 佳奈さんがフリップ上の『ゆめみ台』と書かれたポップなシールをめくる。 するとネガポジ暗転カラーで『蛇流台』と書かれた文言が現れた。  「じ…じゃりゅうだい…」  「蛇流台a.k.a.(アスノウンアス)ゆめみ台は、元々土砂崩れが起きやすい場所だったんだって。 だから今は人が住めるように整備されて、ゆめみ台って綺麗な地名になった。 それって涙ぐましい努力の歴史だと思わない?」  「はぁ」  「そこでね!この企画では、そーいう一癖あるスポットのいい所も暗部も、体を張って紹介していけたらなーって思うの! というわけで一美ちゃん、今日はゆめみ台国立公園でロッククライミングね」  「ああはいはい…はい!?」  「大丈夫!もう蛇流台じゃなくてゆめみ台だから崩落しない!」  「それ以前の問題です!ロッククライミングなんてやった事ないですよ!? どーして突然拉致されて、挙句崖まで登らなきゃいけないんですか!? 私まだ一昨日までの疲れが抜けてないんです!!」  「え?一昨日まで何してたの?」 除霊…とはさすがに言えない。  「…徹夜で…別番組の、廃墟探索ロケ」  「あ、その企画いいね」 しまった!鬼に金棒を与えちゃった!  「い、いえ、私はクライミングがいいな!その方が健康的だし!」  「ひょっとして一美ちゃん、お化けが怖かったのかい?」  「うるさい!」 カメラ外からタナカDにチャチャを入れられた。 怖いも何も、実際は私が分解霧散させちゃったけど。 そんな事より…
 私はフリップ下部に書かれた幾つかのご当地ゆるキャラ達を見ていた。 ゆめみ台の物と思しき台形のパジャマ姿の子や、他にも鳩みたいなもの、犬みたいなものもいる。 その中に一つだけ異質な…毛虫らしきキャラクターを見て、私は戦慄を禁じ得なかった。 灰色の毛、歯茎じみた肌、潰れた目、黄ばんだ舌… 似ている。金剛倶利伽羅龍王に、あまりにも似ている。  「佳奈さん。この下に描かれたゆるキャラ達…まさか、今後これ全部まわるんですか?」  「ん?知ってるキャラがいた?」  どうやら…私に休息の時はないみたいだ。 これもイナちゃんが導いた、『気』の巡り合わせなのかもしれない。
 金剛有明団、きっとすぐ近い将来相見える事だろう。 私はトートバッグの中で、静かにプルパ龍王剣を燃やした。
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