Tumgik
#四大陸選手権
ari0921 · 3 months
Text
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和六年(2024年)6月26日(水曜日)弐
   通巻第8306号
 現代版ゾルゲ(世紀のスパイ)が釈放された???
  米国の機密情報をばらしたジュリアン・アサンジが自由の身に
*************************
 ジュリアン・アサンジは突然釈放された。司法取引に応じて自由の身となり、英国のベルマーシュ刑務所から出所した。英米は国家安全保障の基本を忘れたようだ
すぐにサイパンへ向かう飛行機に搭乗し英国から去った。ロンドンのエクアドル大使館にたてこもった期間を含めると合計十四年を孤独に過ごした。
西側の左翼ジャーナリズムは勝ち誇ったように報道した。彼を支援してきたのは国家破壊を企む左翼団体と、それに同調するメディア、脳幹が汚染された自称「ジャーナリスト」たちである。
ジュリアン・アサンジは五年間拘留されていた英国の刑務所を6月24日の朝にでた。
米国司法省との長期にわたる交渉があった。27日に米国北マリアナ諸島にあるサイパン法廷に出廷し、すでに服役を終えた期間を米国は量刑として言い渡される。つまり米国の刑務所での刑期は免除される。
暴露サイト「ウィキリークス」の創始者であるアサンジは、政府の腐敗と人権侵害に関する機密ファイルを公開したと『仲間』から賞賛されているが、国家の機密を漏洩したことは重罪ではないのか。
今年初め、オーストラリアのアンソニー・アルバニージ首相は、「米国がアサンジ氏に対する訴訟を終結させる方法を見つけられるよう希望する」と述べ、同国の議員らはアサンジの帰国を認めるよう求める動議を可決した。
ドイツのオラフ・ショルツ首相も、英国の裁判所はアサンジを米国に引き渡すべきではないと発言していた。
 アサンジの犯罪とは何か。
かれは国家安全保障の機密文書を不法に入手し、流布した、本来なら18の罪状で有罪となれば、禁錮175年の刑を受ける可能性があった。アサンジは「米国では公正な裁判を受けられない」と主張していた。
 何を漏らしたのか?
2009年に米陸軍の下級情報分析官チェルシー・マニングと共謀して国防総省の機密コンピューターシステムにハッキングし、盗みだした機密資料は膨大な量におよび、ウィキリークスによってオンラインに投稿され、西側諸国の安全保障に深刻な損害を与えた。漏洩した情報の中には、イラクとアフガニスタンで米国に情報を提供していた人物の名前も含まれていた。
 ウィキリークスは2010年から翌年にかけてイラクやアフガニスタンでの戦争に関する文書約50万点。国務省公電約25万点などをネットに漏洩した。そのなかには米軍ヘリがイラクで民間人を誤って射殺する映像も含まれていた。16年の米大統領選では、ロシアがサイバー攻撃で民主党やヒラリー・クリントン候補の陣営から入手した電子メールの内容をウィキリークスが暴露した。ロシアとの繋がりが露呈した。
 そうだ、かれは「現代版ゾルゲ」である。
 ▼アサンジはスノーデンを手下にしてロシアのエージェントだった
 当時、米司法省の国家安全保障担当トップのジョン・デマーズが述べた。
 「ウィキリークスの創設者は、伝統的な報道機関として活動したことは一度もなく、その代わりに、検討や文脈なしに機密文書のすべてを自身のウェブサイトに公開し、政府にはいかなる秘密も知る権利はないという自身の哲学を推し進めた。責任あるジャーナリストであろうとなかろうと、戦場にいる機密情報源だと知っている個人の名前を故意に公表し、彼らを最も重大な危険にさらすようなことはしないだろう」
ジョン・R・シンドラ(元国家安全保障局上級情報分析官)が書いた(『ワシントン・エギザミナー』、4月11日)
「アサンジは血に染まっている。彼は、2013年にエドワード・スノーデンがロシアに亡命する際に重要な役割を果たした。スノーデンは、100万件以上の米国国防機密文書を盗み出し、モスクワにたどり着いたCIAの契約職員だった。スノーデンは現在もモスクワに留まっている。スノーデンは10年以上にわたり、アサンジがロシアの言いなりになっているという現実を露呈した」
シンドラは続けた。
「アサンジはウラジミール・プーチンの部下であり、クレムリンのエージェントだ。米国の諜報機関は何年も前からこのことを知っていた。当時のCIA長官マイク・ポンペオは 2017年4月に率直にこう説明している。『今こそ、ウィキリークスの実態を明らかにする時だ。ウィキリークスとは、ロシアのような国家主体にしばしば支援される非国家の敵対的諜報機関である。我々の諜報機関は、ロシアの軍事情報機関であるGRUが、民主党全国委員会に対するサイバー作戦を通じて入手した米国の被害者のデータをウィキリークスで公開したと断定した。報告書は、
ロシアの主要プロパガンダ機関であるRTがウィキリークスと積極的に協力している』」。
 ▼バイデン派しょせん「口だけ番長」
 さらに続ける。「アサンジを釈放し、罪の裁きを逃れさせることは、世界中でプーチンが行った数々の攻撃的な行為に報いることになる。多くの欧米人がロシアや中国のような独裁政権の側に立つよう促すことにもなる。アサンジの奇妙な経歴は、世界的な有名人となった。欧米には、彼に倣いたいと思う不満を抱くナルシストな若者が大勢いる。複数の地域で緊張が高まり、第三次世界大戦の可能性が迫っている現況のもとにアサンジを釈放するタイミングは最悪だ」。
 アサンジを批判する西側のメディアが少ない。
 「機密情報を漏らすことで米国の安全保障を損ない、情報提供者(すでに相棒は37年の刑を受けている)を危険にさらした」とする囂々たる非難も、左翼ジャーナリズムは、「政府の不正を暴露した」と真逆の報道に興じた。
 アメリカでこの「寛大なる」司法取引に批判はあるが、激昂の声が聞かれない。
 ヒラリーは膨大な機密書類を自宅に持ち込み、自分のパソコンで捜査し、スマホにも収録していたが、バレると金槌で壊した。ところがヒラリーへの判決は「軽率な行為だが犯罪性はない」。それでいてフロリダ別邸に機密書類をもちこんだトランプだけを起訴し、おなじくガレージ一杯に機密書類を持ち込んでいたバイデンは「耄碌していた」とお咎めはなかった。FBIも司法省も腐っている。
バイデン政権は国家安全保障の基本を忘れたようだ。事件はオバマ政権時代だが、起訴したのはトランプ政権になってからだった。国家機密労演が軽犯罪並みとなれば、水面下の外交工作なども微妙に変化せざるを得なくなるのではないのか。
釈然としない結末である。
9 notes · View notes
seafood-33 · 2 years
Text
2013-02-10
Interview at 4CC in Osaka
Tumblr media Tumblr media
Brian: Yuzuru trains with Javier Fernandez, and he got a lot of support. Yuzuru got a lot of support from Javier, coming to this competition and, he's very supportive.
Tumblr media Tumblr media
Yuzuru:
After all, Salchow fell out, and I think I lost a little concentration from there.
やっぱりサルコウが抜けてしまってそこからちょっと集中が切れたかな。
This time, I really put most of my focus on the Salchow, so I didn't really catch up on the mistakes in the second half...
今回はほんとに、ほとんどfocus(集中)をサルコウに置いてたので、後半のミスについては、そこまで自分の中で追いつめてない、っていう…
On the other hand, I think it's a bit frustrating that I missed the Salchow that I was focusing on.
逆にfocusしてたサルコウを外してしまった、という点では、やっぱりちょっと悔しいかな、と。
Well, Salchow also decided to bang bang(things going strong), so don't forget that feeling.
ま、サルコウもバンバン決めてたので、その感覚はしっかりと忘れないように。
--
(Yuzuru was chased by fans the day before FS and crashed into glass door, injuring his right eyelid.)
Tumblr media Tumblr media
Source
2013 4CC ORSER FS後インタビュー
2013 4CC 羽生選手 メダリスト会見
2013四大陸フィギュアスケート選手権
羽生流血2位、ドアで…
Full list from 2011 to present
7 notes · View notes
shintani24 · 1 month
Text
2024年8月25日
広島は柏戦で勝利し(2-0)、1994年4月に記録したJ1 の1シーズンでのクラブ史上最長記録に並ぶ6連勝。8月開催のホームでのリーグ戦でも現在6連勝中で、同6戦の1試合平均得点は3点(合計18点)。夏祭り。(OptaJiro)
中野就斗選手/思い切ってスプリントした結果のゴール
……シュート場面を振り返ってください。
中野●おそらく直人くんは自分を狙ってなかったと思います。それが「自分に当たったな」と思って見たら、目の前にボールが転がっていた。確認したらフリーだったんです。あそこまで行ったら、パスじゃなくてシュートを狙おうということで、狙い通りのとこに強く打てました。決まってよかったなと思います。
……加藤陸次樹選手にボールが入ったときに行こうって感じでしたか。
中野●いや、直人くんに出た時ですね。直人くんなら高い位置までドリブルできるなと思ったから。後ろから出てくる選手には相手も(マークに)つきづらいのは、自分もCBをやっててわかっています。なので、たとえパスが出なかったとしてもスプリントしようって決めて、思い切って走った。その結果がゴールに繋がってよかったなと思います。
……長い距離を走りましたね。
中野●でも、点を取ったら全然、長い距離とは思わない感じですね。
……それまでも柏が縦に早く攻めてきたと思うんですけど。
中野●相手は高い位置に人数を多くかけてきたので、カウンターになったときに自分のとこからしっかりと湧き出ていこうって思っていた。そこを思い切ってできたのが良かったなと思います。
……マテウス サヴィオ選手との対戦はいかがでしょうか。
中野●個人で打開できる力があるので、そこは直人くんと話しながら、うまく守れたと思っています。
……攻め込まれる時間もあった中で無失点でできたっていうのはすごく大きかった。
中野●前の3枚がハードワークして追ってくれるので、コミュニケーションを取りながら守ることができた。それを継続していければいいのかなと思ってます。
……強度のある守備も、チームとしてできている
中野●タイトルを取りたいっていう思いを全員が持っている。だからこそだと思う。まだまだシーズンは続いてますし、タイトルを取るために毎試合毎試合、全力で戦っていくだけだと思っています。
……勝っているから全然疲れてないっていう言葉もありましたけど。
中野●本当に勝っていたら疲労って言葉は出てこないものですね。最近、本当に試合をやっている感じがしない(笑)。毎試合毎試合、成長できている。勝ちながら成長して、もっともっとチームのために戦っていければいいなと思ってます。
……後半アディショナルタイムにも右サイドから上がって、中島洋太朗選手からのパスはでなかったですけど、あそこも疲れはなく。
中野●そうですね。ボールを奪ったときはチャンスになると思うので、それを考えながら出て行けた。
……CBをやるようになったころは、後ろの大変さを口にしていたじゃないすか。
中野●いや、もう本当に大変で(苦笑)。ハヤトくんとショウくんの偉大さを感じています。本当にカバーしてもらってるばっかりなので。今日は点を取ってよかったなと思っています。
……できることがどんどん増えてる感じがあるのではないですか。
中野●増えていることはありますけど、まだまだ足を引っ張ってばっかりで。鉄壁の3バックって言われるように、自分がもっともっとやっていかないといけない。
……今日は日本代表の森保監督がスタジアムで見ていましたが、代表への意欲について。
中野●代表はもちろん目指してますけど、このチームで結果を残すのが一番代表に近づくもの。まずこのチームでしっかりと結果を残して、それを評価されるように、もっともっと頑張っていきたいなと思います。
松本泰志選手/オウンゴールはクロス
……今日も約12キロ、走っていましたね。
松本●本当ですか。全然、知らなかったです。
……疲れましたか。
松本●疲れました。前半の入りは相手のペースでしたけど、その後はしっかりと主導権を握りながら良い戦いができたんじゃないかなと思います。
……得点シーン、あれはクロス。
松本●そうですね。GKとDFの間に速いボール流し込もうとしたら、相手に当たって。全然、ゴールは狙っていないです(笑)。
……俺のゴールっていうの感じにはならなかった?
松本●はい。ちょっと恥ずかしかったんで、そこまで喜べなかったですね(笑)
……でも良いコンビネーションだった。
松本●ショウくんとシュンキとは常にいい関係を築けてるので、この2人を頼りながら、いい崩しができたかなって思います。走ったらあの2人はパスを出してくれるんで、信じて走って崩しました。
……ゼロトップシステムはすごくはまってると思うんだけど、気にしてる部分はありますか。
松本●僕以外の2人がストライカー気質のあるタイプなので、僕はバランス取りながらビルドアップにも関わりながらっていうのは、すごく意識してます。
……後ろに川辺駿選手がいると、パスが出てくる。
松本●そうですね。出てきますし、ハヤオくんとシオくんがいることで、僕たちも気持ちよくプレーさせてもらっている。その後ろにいる3バックがすごい安定してるので、プレスとかにもよく行けるかなと思う。
……これで6連勝。首位とは勝点2差になった。その中心に松本泰志選手がいると思う。
松本●順位とかは気にせず、目の前の試合に勝つことを意識しながら、やっていきたい。自分自身、タクムやガクくんが抜けて、責任感もより増しました。プレーでチームを引っ張っていきたいなと思います。
……開幕のときは出場時間が少なくて、非常に難しい状況もあったけれども、チャンスを逃さなかった。
松本●常に準備することの大切さは、ずっと感じてはいた。試合に出た時に、それなりのパフォーマンスを出せたのが、今の自分の結果に繋がってるかなって思います。
……ここまで来たら、タイトル。
松本●四つの大会、全部を視野に入れながら、目の前の試合を戦いたいなって思います。
ミヒャエル スキッベ監督/今日の勝利が何より
スキッベ監督●今日は柏相手ということで、本当に難しい試合でした。
相手は最初、中盤のところでボールを奪って速いカウンターを仕掛けていました。ただ飲水タイムを機に、自分たちも良い攻撃ができるようになりましたね。後半、自分たちはどんどん良くなっていったと思います。勝利に値する状況になりました。結果はこういう感じになりましたが、均衡したいい試合でした。
……飲水タイムのとき、そしてハーフタイムで、どういう声掛けをしたのでしょうか。
スキッベ監督●もう少しスペースのところを意識して(相手に)しっかりと当たりにいこうと、飲水タイムの時に言いました。中盤のところで少し間延びしているような感じがありましたが、そこはもう少し相手に当たっていくようにと言ったところ、選手たちがしっかりと対応してくれた。それができたことで、チームのパフォーマンスも上がっていきました。
……同一シーズン6連勝は30年ぶりです。
スキッベ監督●何よりも今日勝てたっていうところ、今日の勝利が一番よかったと思っています。次の試合がすぐ来るので、そこに向けてしっかりとやっていきたい。今、この瞬間の試合が大事なわけで、ここで勝点3がとれるように、しっかりとやっていくことが大事になる。
……加藤陸次樹選手の非常に粘り強いキープ、非常に利いたプレーが大きいと思っていますが、監督はどのように見ていますか。
スキッベ監督●彼の成長には非常に満足しています。そもそも今のポジションは急遽、入っているわけですよ。大橋選手が移籍し、FWの選手たちがケガをしている状況で、ムツキがCFをやっているわけですが、ゴールに背を向けたプレーにしても、ボールをキープするところに関しても、全てにおいてすごく成長したと思います。
……川辺駿選手と塩谷司選手のダブルボランチが非常に効果的だなと思っています。サイドチェンジも含めて、監督の意図するところをしっかりとやってくれている。
スキッベ監督●今日の二人はよかったと思います。ボールを捌くところ、サイドチェンジのパスもよかったし、安定したサッカーには欠かせない彼らのパフォーマンスだった。特に後半、自分たちのサッカーの中心になるようなプレーをしてくれた。今日の勝利に貢献してくれたと思います。
……町田が新潟と引き分けました。
スキッベ監督●大事なのは我々が勝ったということです。
Tumblr media
芥川賞受賞会見で記者の質問に答える「ハンチバック」の著者、市川沙央さん=2023年7月19日、東京都千代田区、諫山卓弥撮影
市川沙央さんが見つめるパラ 求められる一丁目一番地と「100点」(朝日新聞)2024年8月25日
パリ・パラリンピックが28日に開幕する。世界最大の障害者スポーツ大会は注目を集める一方で、障害によってはスポーツを始めることすら難しいという現実がある。当事者はどのように大会を見つめるのか。
重度障害者であり、小説「ハンチバック」で第169回芥川賞を受賞した作家の市川沙央さんが、書面インタビューに応じた。
遠くから見守る私、否定的な両親
 ――パラスポーツやパラリンピックの印象は。
10代の頃、テレビで障害者の体育大会を記録した白黒の映像を見たことがあります。おそらく1960年代のものだと思います。パラスポーツは、一般的には近年、特に知られるようになったのかもしれませんが、歴史と土台、必然性があって今日があるわけです。
それはオリンピック(五輪)の意義と何も変わらないですし、日本の障害者スポーツが積み上げてきた歴史を意識すること、誇りを持って評価することが、パラリンピックへの社会的な関心や機運を高めるために重要だと思います。
パラリンピックについて、私はポジティブに遠くから見守っています。ただ、正直に付け加えておくと、私の両親は否定的(五輪にも否定的ですが……)。娘のような筋疾患患者とは別の世界のことだと思っているんですよね。
障害当事者の中にも同じ理由で否定的な方は多いです。実際はボッチャのように重度の筋疾患患者が参加している競技もあるのですが。
パラリンピックにしろ五輪にしろ、関心を持つ、持たないは自由ですし、障害者だからとパラリンピックにことさら意見を持つ必要はないです。
 ――スポーツ自体との関わりは。
10代から20代まではスポーツ全般をよくテレビ観戦していました。父が学生時代に柔道の黒帯だったので、その影響もあります。五輪も柔道はいつも父の解説付きで見ています。ただ30代以降、スポーツの生中継は緊張で体調を崩すので見られなくなりました。柔道は時間が短いからいいんですけど。
 ――東京パラリンピックの開・閉会式をきっかけに、当事者をどう描くかという「障害者表象」をテーマにした大学の卒業論文を書いたそうですね。
論文は3部構成で、①近代において人種差別と障害者差別は、ダーウィニズム(※注1)を曲解した「退化」の概念による、ひとつながりのものであることを表象の検討から見る②現代における障害者表象のステレオタイプの検討③パラリンピック開・閉会式を参照しながら障害者表象の可能性を論じる、というものでした。
よく、五輪とパラリンピックを一つにするべきでは、という意見がありますが、その場合には障害者の存在感はプログラムの一部分になってしまって、東京パラリンピックの開・閉会式で見られたパワフルさや自由な開放感、爆発力は発揮できず、抑圧されたものになるだろうと思います。
だから別々でいいというわけではなく、マイノリティーが添え物になったり、極端な役割を振り当てられたりしないためには、まずは数を増やす。クリティカル・マス(※注2)の考え方にのっとって3割以上に増やす。
表象で言えば、「当事者を描くこと及び当事者が描くこと」の実例を増やしていくことで、ステレオタイプの問題は解消されていくはずだ――というのが卒論の結論です。
東京パラリンピックの開・閉会式は創造的で物語性のある素晴らしい式でした。「片翼の小さな飛行機」役を務めた和合由依さんの才能が認知される機会ともなり、人材を世に送り出すという意味でも意義のあるものだったと思います。
ストーリーにも様々な批評がありました。そうした批評が次の表象を呼ぶという発展の可能性が、ステレオタイプ解消の鍵であり、抑圧からの解放の鍵でもあります。
様々な批判点があっても
 ――著書「ハンチバック」に「軟弱を気取る文化系の皆さんが蛇蝎の如く憎むスポーツ界のほうが、よっぽどその一隅に障害者の活躍の場を用意しているじゃないですか」という一節があります。これは市川さん自身が感じていたことでしたか。
たとえば日本テレビの「24時間テレビ」には様々な立場からの批判がありますが、私はそれでも「24時間テレビ」は必要だと思っています。
市川さんは、この社会には「感動ポルノ」が有効だと感じています。また、スポーツには学びがあると考える理由、スポーツが障害者の権利のためにできることについても、インタビューの後半でつづっています。
なぜか? あまりにも民放のテレビに障害者が映らないからです。何か引っかかる特徴のあるものは、意識的にも無意識的にも、無難な絵面を求める画面から排除されます。
つい先日、民放で芥川賞発表を特集していて、168回と170回の受賞者の映像が続けざまに映ったのですが、私だけ飛ばされました。ささいなことだし、気にするほうがおかしいのかもしれません。が、「こ、これがマイクロアグレッション(※注3)か……」とも。「障害者」というトピックスの時だけクローズアップされて、一般的な紹介の時は透明化されるなら、私が「障害者の一般化」のために体を張ってきた意味がないんですけどね。
私は社会に高度な文脈理解や洗練された正しさを期待していませんし、そこまでハイレベルなことを期待するべきでもないと思います。
感動を誘う材料として障害者を利用する「感動ポルノ」を批判する人は、レベルの高い正しい表現を求めているのだと思いますが、それ以前にこの社会は、まだまだ障害者が同じ人間であることすら理解できない人が多くいる段階だと私は承知しています。そうした人々には「感動ポルノ」も依然として有効だと思いますし、パラリンピックが引き起こす感動もそうです。
パラリンピックには能力主義的な価値観の強化など、様々な批判点はありますが、障害者もスポーツをするんだというごくごく基本的なイメージとメッセージが大衆に伝わるだけで100点です。もちろん大前提として、アスリートファーストであるべきですけれども。
翻って文化系は、「大衆」よりも高度なコンテクスト(文脈)や洗練された正しさを好む人々によって構成されているはずなのに、大衆に支持されるスポーツ界よりも障害者の姿が「見え」ませんねえ、と思っていました。
天与のものでも不動のものでもない
 ――スポーツを巡る社会の言論などで気になることはありますか。
スポーツには学びがあります。スポーツのルールは恣意性と合理性と公平性のせめぎあいで成立しています。よく障害者に対して「自然界では生きていけないのを健常者のお情けで生かしてやっているのだ」と言う人がいますが、「自然界」というものが仮にあるとして、一人で置かれて生き残れるかどうかに障害者も健常者もないですよね。訓練された特殊部隊員ならともかく。
そして人間が複数人いれば社会ができてルールが作られ、弱者を保護する。それが人間の本然なんです。
弱肉強食がすべてなら格闘技も無差別級だけ見ればいいわけですが、現実はそうなっておらず、きわめてマイナーな競技でも、金メダルでも取れば盛り上がって国威発揚に活用されもします。
恣意性と合理性と公平性のバランスで成り立っている社会、その縮図としてのスポーツのルールなんです。
暴力という「実力」を規制するスポーツの「ルール」は人間の叡智とモラルの証明であり、だからこそオリンピックは平和の祭典と呼ばれる。
私は、たとえば、スポーツがトランスジェンダーの参加資格を巡ってマイノリティーとマジョリティーのいさかいの場になることは本末転倒だと思います。
ルールは天与のものでも不動でもなく、人間が繰り返し、恣意性と合理性と公平性のバランスを取って調整を重ねてきたものです。人間の実存よりもスポーツのルールが上なんてことはありえない。誰かの生き方を否定したり排除したりするために、直接関わりのない外野がスポーツを論題化するのはおかしい。
障害に応じて出場できるクラスが細分化されたパラリンピックはその点、スポーツの理想的なあり方の最先端で、優れたモデルだと思います。包摂的ですよね。
 ――スポーツが、障害者の権利のためにできることはあるのでしょうか。
一般論として健康に生きるために運動やスポーツは効果的だし、スポーツ基本法で保障された権利であることは誰でもうなずかれるでしょう。
しかし、こと障害者となると、途端にうなずいてもらえなくなって、プールや体育館の利用を断られたり、指導を断られたりします。
パラリンピックの社会的な意義の一丁目一番地は、こうした差別、障壁をなくすための予算措置や、イメージやメッセージの浸透を推進して障害者のスポーツ環境の現状を改善していくことにあります。
トップアスリートだけの話ではなく、みなさんの住まう近隣で起きている差別の話です。メディアやジャーナリズムの力にも期待しています。(構成・藤野隆晃)
注1 ダーウィニズム=生物学者チャールズ・ダーウィンによる、生存競争と自然淘汰を生物の進化の要因とする説。
注2 クリティカル・マス=グループの中で少数者の存在を無視できなくなる割合のこと。
注3 マイクロアグレッション=無自覚な偏見や無理解などが受け手にとって攻撃になり得ること。
いちかわ さおう 1979年生まれ。幼少期に全身の筋力が低下する難病「先天性ミオパチー」と診断され、14歳から人工呼吸器を使う。2023年3月、早大人間科学部通信教育課程を卒業し、卒業論文「障害者表象と現実社会の相互影響について」が小野梓記念学術賞を受ける。同年7月、デビュー作の小説「ハンチバック」が第169回芥川賞に選ばれた。
井本直歩子(元競泳五輪代表・途上国教育専門家)【視点】 市川さんがここまでスポーツのことを語る方とは存じ上げず、驚きながら記事を拝読しました。たくさんの気づきがある記事でした。
スポーツはすべての人が健康に生きるために保障された権利。それなのにスポーツそのものに隔たりを感じる人は世の中に多く、私のようにがっつりスポーツをしてきた側は、こっち側(スポーツ側)の人間、それ以外、というように自分たちで垣根を作ってしまっていることに気付かされ、はっとしました。
「暴力という『実力』を規制するスポーツの『ルール』は人間の叡智(えいち)とモラルの証明であり、だからこそオリンピックは平和の祭典と呼ばれる」
このくだりにも感動。市川さんのこの表現、かっこいいので私も真似したい。先日の斉藤幸平さんの記事コメントでも書きましたが、ここにもオリンピズムの伝道者がいた、と嬉しくなりました。社会のことを考えるために、オリンピックやパラリンピックが象徴的な議論の場になれば良いと思います。そんな視点でパラリンピックを見る動機が爆上がりしました。
平尾剛(スポーツ教育学者・元ラグビー日本代表)【視点】 オリンピックを批判するなかで、パラリンピックの方がよほど平和の祭典であることに、いつしか私は気がつきました。プレイヤーのからだに即したルールを、実に丁寧に整備する態度がみられるからです。競争原理を取り入れながらも、参加できる選手を増やす、あるいは公平性の追求から細かな規定を盛りこもうとしています。ここにあるからだで、どのようにすれば公平に競い合えるかを真剣に議論していると思うんです。
とはいえ競争原理は油断すれば暴走しますし、勝利至上主義的な性格が強まっている競技も確かにある。オリンピックに準えるような変化もまた散見される。それでもパラリンピックには、オリンピックですでに失われた意義がある。そう思ってきましたが、この部分を市川さんは次のように表現されています。
「パラリンピックの社会的な意義の一丁目一番地は、こうした差別、障壁をなくすための予算措置や、イメージやメッセージの浸透を推進して障害者のスポーツ環境の現状を改善していくことにあります。」
これは実に的を射ていると私は思います。これまで私が言語化できなかった部分を的確に表現してくれて���るように感じました。オリンピックとパラリンピックの違いと、スポーツの本質について、市川さんのこの視点を取り入れながらさらに掘り下げていきたいと思います。
杉田菜穂(俳人・大阪公立大学教授=社会政策)【視点】 障害者スポーツには、「障害者にスポーツを紹介したり、スポーツの体験をしてもらったりする」というような取り組みからはじまって、時間をかけて競技人口が増え、高いレベルで競い合う、あるいは、観戦する競技として確立に至ったという経緯がある。あるいは、「パラプレジア(下半身麻痺)」の「パラ」と「オリンピック」の「リンピック」を組み合わせた言葉が東京オリンピック(1964年)で使われ、その後しばらく経って、現在使われている「パラレル」(もう一つ)」の「パラ」と「オリンピック」の「リンピック」を組み合わせた言葉が誕生したという経緯もある。そんな経緯のなかにパラリンピックを見つめる視点を求めることもできると思う。
0 notes
kura7777 · 8 months
Text
こんにちは!
今日の桜島です。
天気は曇りですね〜
スッキリして欲しい。
フィギュアスケート四大陸選手権、千葉百音選手が女子で初優勝しました!
まだ18歳、これからが楽しみですね!
今日も一日、元気に楽しんでいきましょう!!!
Tumblr media Tumblr media
0 notes
ono-masahiro · 11 months
Text
小野 正裕 - グローバル化時代の経済見通し
歴史的観点から見るとグローバル化と経済成長 1.序言 ロンドン経済学院教授、経済史学者ニコラス・クラヴズ(Nicholas Crafts)は2004年1月、『世界経済』第27巻第1期に、歴史を振り返ると、国際所得格差は1870年以来縮小していると書きました。 外来を展望すると、発展途上国の人文発展指数も上昇します。一般的に、貿易自由化は経済成長には良いですが、資本自由化には良い制度が必要です。発展型国家は発展初期に重要な役割を果たす可能性があります。ロバート・ルーカス(Robert Lucas)は最近、世界経済のグローバル化に伴い、国家間の収入格差は21世紀に急激に縮小すると考えています。このような観点は立っていられません。経験的研究によると、悪い制度は根深いことが多く、距離は依然として国際的な収入格差の主な原因です。 経済学の文献は20世紀のグローバル化と経済成長について様々な意見があるので、本文は以下の問題を簡単に振り返えました。 グローバル化は格差をさらに広げましたか? グローバル化は経済のより迅速な成長に役立ちますか? 未来のグローバル化の世界では、国際経済格差は縮小するのでしょうか?
2.グローバル化はどのように起こるのですか? グローバル化は、国際貿易と外国投資の障害が減少した中で、商品と資本市場が世界規模で融合する過程と考えられます。 グローバル化は技術の進歩によって引き起こされ、技術の進歩によって輸送費が減少し、情報伝達が促進されたからです。政策の変化は保護主義をなくし、外国の投資ルールを緩和し、移民をより便利にするため、グローバル化にもつながります。19世紀中期以来、汽船、鉄道、電報があり、技術の進歩はグローバル化を促進してきましたが、経済政策は風雲が変わってきました。 特に、二次世界大戦の間の一時期、グローバル化は後退しており、その特徴は貿易戦争と資本規制です。長い時間をかけてこれらの介入を捻転しましたが、最終的には貿易総協定が重要な役割を果たしました。 ブレトンウッズ会議以降、ドルを計量基準とした金本位制の国際通貨体系は崩壊し、マクロ経済政策は国際資本の流動に有利になりました。 したがって、マクロ経済政策の三難選択を重視すべきです。すなわち、一つの国に最大二種類の固定為替レート、独立した通貨政策、自由な国際資本流���が可能です。世界の主要エコノミーでは、どの選択を放棄するかは時期によって異なります。典型的なのは、1914年までは通貨政策を犠牲にし、1950年代には資本流動を放棄しましたが、1971年以来固定レートを放棄したことです。 グローバル化は容易ではありませんが、この記事では関係ありません。 しかし、表1と表2は有益なレビューをしました。 グローバル化が第二次世界大戦の間にあった時期に直面した挫折は、この局面を逆転させる以前の長い間、外国資産の世界GDPに対する割合が1914年の17.4%から第二次世界大戦末の4.9%に下がり、実際、1914年の割合は1980年までに再び達成されたことを示しています。 1929年から1950年にかけて、世界貿易は9.0%から5.5%に下がり、減少幅は外国資産に比べて小さく、1950年代後半には9.0%に回復しました。 しかし、この二つの表は現代世界のグローバル化が以前の最大規模をどの程度超えているかを非常に深く示しています。
Tumblr media
3.経済学は何を予見していますか? 経済成長と発展のモデルを変えると、グローバル化が世界規模の経済成長に何を意味するのか、経済学者は大きく異なる予測をします。 最終的に、様々な相容れない論点は実証研究によって支持されなければなりません。 ルーカス(2000)は新古典マクロ経済学からの有益な参照点を提案しました。 彼は20世紀の国際所得格差は拡大していますが、この格差は21世紀に縮小すると考えています。 新古典マクロ経済学モデルによると、資本が国際的に十分に流動しているとき、世界各国は同じ技術と制度を持ち、市場にやさしい経済政策を採用しています。 資本が裕福な国から貧しい国に移動するにつれて、経済は追いつき、集まり、初期の収入レベルはその後の一人当たりの実際の収入増加と負の相関を示し、国際的な収入格差は急速に縮小します。 ルーカスは、21世紀のグローバル化した世界経済の中で、世界各国はますます歴史の教訓を取り入れ、「市場に優しくない」政策を廃止し、効果的な市場の強化に役立つ制度を取り入れ、国内の貯蓄を減らし、経済成長への知識の束縛を解消できる外資と技術を柔軟に獲得するという先見の明がますます現実に即していると述べました。 通常、資本は裕福な国から貧しい国に流れるという「ルーカスパラドックス」(Lucas,1990)は終わります。 「追いつく」行列に参加した国は、アジアの四小龍よりはるかに速いスピードで経済が成長します。 修正後のモデルは、国際所得格差が20世紀に拡大し、21世紀に急激に縮小したことを示しています。
他の理論は楽観的ではないので、ルーカス仮説は少し現実的ではないと思います。 例えば、新経済地理学派から見れば、発展は貧困から裕福に向かうのではなく、少数の優れた国です。すなわち、近年の東アジア諸国は、その恵まれた地理的位置によって急速に変化しています。(Hendersonなど、2001)。 輸送費が高額な状況では、東アジア諸国のモデルは、市場と供給業者に近いことによる集中的な優位性によって、グローバル化は分散ではなく世界の経済活動を集中させることが多いと予測されています。 地理的に悪い国にとって、グローバル化はそれらを非工業化する可能性があります。
ノズ(North,1990)が先に提唱した新制度経済学史観では、投資および/または革新的な情報を提供するためには、社会が常に一定の制度の下で動いているため、制度に束縛されることが多い経済ブロックの制度とそのインセンティブが重要であることが強調されています。 モラルハザードを抑制し、成功した事業に報いることが重要であり、先進的な経済ブロック融資に必要な深層資本市場に発展することもできます。 しかし、この伝統的な理論はまた、悪い制度は往々にして強固で、いったん生まれたら、実際には改めにくいことを強調しています。言葉で言えば、それらには経路依存があります。 財産権がはっきりせず、契約が強制的に執行できず、政府が信用できず、非略奪行為を約束しなければ、新古典経済学のキャッチアップは失敗に終わります。
経済学史上のもう一つの伝統理論であるGerschenkron理論(1962)は、市場の失効した経済ブロックが「立ち遅れからの脱却」の初期に、管理上積極的に出撃することで問題を解決し、問題を問題にしない可能性があることを強調しています。ここで議論されているのは、市場の力が弱く、法律の基礎がしっかりしていなければ、支配グループと市場間の利益均衡は資源を配置する手段として前者に傾向があるということです。 政府は金融システムの調和と安定を図る上で重要な役割を果たします。両者とも投資を損なう可能性があるからです。その深い意味は、金融規制の緩和、自由貿易、市場の力に頼るなどの他の役割に比べて、政府が幼稚産業の資本と資金援助を分配する上で果たす強力な役割が最初は有益であったことです。この学説は経済政策と制度配置の「一律」に反対し、グローバル化は経済の急速な発展を阻害すると考えています。もちろん、この論断の前提は、政府が市場の失効を効果的に解消できることです。経済離陸を実現した場合、新たな問題は、グローバル化に十分参加している資本市場への移行をどのように成功させるべきかということかもしれません。
最後に、国際貿易収益の分配を重視しなければなりません。20世紀中期、悲観的な見積もりであるいわゆるプレビシュシンガー理論は大きな道を歩み、その後の10年間で発展途上国の意思決定に大きな影響を与えました。 このような見方をしている人は、貿易条件が常に一次製品の生産者にとって不利であることを理由に、開放経済と比較的に優位な競争のメリット1を信じていません。一つの極端な状況は「経済貧困性の成長」であり、生産潜在力の成長は大量輸入によって輸出価格の低下と購買力の喪失によってはるかに相殺されます。
4.20世紀にどのような経済成長が起こりましたのか? このセクションでは、国際的な経済成長と収入格差への影響を比較します。 明らかに、maddison(2001)データベースにある購買力平価に基づいて計算された国民所得勘定科目とその一人当たりの実質GDP概念の慣用アルゴリズムが注目されます。しかし、貧困からの脱却に特に密接に関連する生活水準というより広い概念を使いたいのであれば、ここでは、収入、読み書き、寿命の面でそれぞれ達成された最高レベルと最低レベルの差を反映しました。広く使われている人文発展指数(HDI)について議論すべきです。その公式について詳しくは、国連開発計画局2001を参照してください。
1870年以来、世界実際の一人当たりGDPは、以前よりずっと速いスピードで増加しています。 820年以前、ほとんどマイナス成長でした; 1820年から1870年にかけて、毎年約0.5%増加し、1870年から1913年までの間の1.3%に上昇し、20世紀の最後の25年間の成長速度に相当します。 第二次世界大戦以降の「飛躍期」では、毎年の成長率は3%です(Maddison,2001)。 経済がかつてないほど急速に成長している中で、国によって成長速度の差が急激に拡大しているのは、主に一部の国の経済が急速に成長しているからです。 この格差を縮めるために、かかる代償(そして成長を放棄するという誤ったやり方で受ける罰)は、これまでに比べてはるかに大きい。
Pritchett(1997)が明確に指摘したように、この差は「差の最大化」と表現できます。アフリカ人とアメリカ人の大幅な収入格差を報告しました。 不況の時、新古典経済学派の理論は、条件収束についても、世界で最も貧しい国の初期収入レベルとその後の成長との反比例関係を予言していません。
Tumblr media
しかし、これは物事の全体像ではありません。 人文発展指数で経済発展を測ると、結果は大きく異なります。表4に報告されているように、アフリカ、中国、インドはOECD加盟国の人文発展指数レベルに達していませんが、西洋諸国との差は1999年に1950年より減少しました。 期待寿命に注目していると、格差論はさらに成り立たなくなります。20世紀の大きな成果の一つは、世界各地の期待寿命が驚くほど延びていることです。したがって、少なくともエイズが蔓延する前は、最も恵まれていない国でも現在の死亡率は1870年の最先進国2に相当します。 世界の予想寿命差のジニ係数は1962年の0.237から1997年の0.1L4(melchiorなど、2000)に下がりました。
Tumblr media
実際には、所得水準の絶対的な格差に注目せず、格差統計総量を重視することが、「格差最大化」の見積もりが正しいことをさらに証明しています。 このように20世紀末の面白い転換点が現れたことは、ルーカスモデルが正しいことを改めて示しています。 約1970年代初頭以来、国際所得格差のジニ係数は次第に低下しています(Melchiorなど、2000)。 より限られたいくつかの国のより長期的な数字しか計算できませんが、これらの国の収入格差が1870年から1950年までは以前より拡大していましたが、今では明らかに縮小していることを示すのに十分なようです。 詳しくは表5を参照してください。 これらの見積もりは、1つの国のすべての市民の平均収入だけを考慮しているため、大まかであることは間違いありません。 しかし、これは大きな間違いではないかもしれません。なぜなら、この分野の研究者たちは、国際所得格差の方向性は国内の格差ではなく国際間の格差によってほぼ完全に決まると考えているからです。( Sala-i-Martin,2002)。 確かに、国際所得格差が近年縮小しているという傾向は主に中国経済が急速に成長している結果でありますが、中国の最近20年間の成長を除けば、この格差は最近20%から80%のスピードで低下しています。(詳細は表5を参照)
5.歴史から見るとグローバル化は経済成長に有利ですか? 輸送費と通信費の低下により、グローバル化は加速しましたが、20世紀末には距離は依然として重要な要素です。国間の距離が大きいほど、貿易の流れ、技術の流れ、資金の流れ、資本の移動が少なくなります(Venables,2002)。 そして、市場と供給源との距離は収入レベルと密接に関連しています(ReddingとVenables,2000)。 表6と表7に報告されているように、グローバル化が始まってから、工業生産の地理的配置と輸出はGDPや人口に比べてずっと高度に集中しています(CraftsとVenables,2001)。 このように、世界経済は新古典経済学の言う通りに動いていないようです。 したがって、地理変数を成長衰退に導入した場合、それらが相対的な業績に与える影響は、政策や制度に比べてはるかに小さいです(Gallup、1999)。
Tumblr media
制度的影響要因も経済成長と収入レベルに大きな影響を与えています(HallとJones,1999; BleaneyとNishiyama、2002)。 この影響の定量分析には、外国人投資家に販売されたリスク評価に基づく調査資料を用きました。 しかし、これは理想的ではなく、分析結果を最高の制度構造を見つけたと理解してはなりません。とはいえ、資本市場を支える法律インフラの質が金融発展の深さと投資の質に重要な影響を与えていることは明らかです( CraftsとKaiser、2004)。
この考え方が正しければ、重要なのは、世界各国間の制度的影響要因の違いが依然として大きいことを指摘すべきであり、模範的に従うことができれば、各国が良いやり方を集中的に使用すべきではないことを示す兆候はないです。 これは表8を例に説明できますが、この表は法治が世界で実行されたいくつかの推定数字を報告しています。 過渡型経済ブロックのような新しい制度が整った状況では、すべての経済ブロックが厳格に法治を実行するわけではないです。 例えば、ロシアは法治の面で-0.87点しか得られなかったですが、最近、この経済ブロックは全面的な市場改革を極端に拒絶したとの評論があります(Hanson,2002)。 ダグラス・ノウスは、ロシアの経済発展が成功するには「歴史を書き換える」必要があると考えています。 この見方は冗談ですが、理不尽なことではないです。
Tumblr media
経済成長という点で、最も目に見える形で追いついてきたのは、日本、アジアの四小龍、そして経済離陸期の中国といったアジアです。これらの経済のほとんどは、一般的な(アメリカの)市場経済戦略を単純に採用したのではなく、現代世界に押し寄せたゲルヒェンクロン的な「進化国家」モデルに従って運営されました。このことは、ロドリック(1995)による韓国と台湾の投資誘致方法に関する記述や、アムスデン(1989)とウェイド(1990)による、これらの国や地域の経済がどのようにして飛躍したかを論じる際に、それぞれ「歪んだ相対価格」と「誘導された市場」を強調した記述などに反映されています。それぞれ「誘導された市場」です。東アジア諸国の経済成長戦略が「外向き」であったことは間違いませんが、ほとんどの南アジア諸国やラテンアメリカ諸国が国家主導の「内向き」の工業化であったのとは対照的に、少なくとも1990年代までは、グローバル化のプロセスに完全に関与していたとは言えません。しかし、少なくとも1990年代以前は、貿易や資本移動に対する開放性という点では、グローバリゼーションのプロセスに完全に関与していたとは言えません。 実際、これらの国々が(移行経済圏のEU加盟申請国ではなく)EU加盟を望んでいたのであれば、1990年代半ばに急速な経済成長政策を追求しないよう、現実的な措置が取られるべきだったことは間違いません。
1997年から1998年までのアジア金融危機を取り上げて、これらの経済ブロックの過去の成果が蜃気楼であることを示すべきではないです。 しかし、今回の危機(および日本のバブルの破裂)は、金融自由化とグローバル化に関与する資本市場への移行が困難であることを示しています。香港やシンガポールは厳格な法執行と十分な資本のため、韓国やタイのように金融市場の制度やルールが整っていないため、大きな打撃を受けていません。(Crafts,1999)一般的に、開放を促進する取り組みは経済をより急速に成長させていますか? ここで重要なのは、貿易自由化と資本の自由移動と異なる時期を区別することです。答えは定かではありませんが、一部の理由は開放という概念を定量化することが難しいからです4。 しかし、近年の経験から、事実状況を総合的に考えると、貿易自由化には確かに深い積極的効果があり、金融自由化はリスクが大きいだけでなく、経済成長にも大きな影響はないと結論できます。FrankelとRomer(1999)は貿易が経済成長に及ぼす影響を詳しく研究しました。 彼らのポイント試算によると、GDPに占める貿易の割合は1ポイント上昇するごとにサンプル期間(1960-85)の収入レベルとその増加を約1.5ポイント上昇させましたが、信頼区間は大きいです。しかし、ClemensとWilliamson(2001は、近年、貿易自由化と経済成長は正の相関関係にありますが、第二次世界大戦前の状況は正反対であることを強調しています。この逆説を大規模に研究することは魅力的であることは間違いないです。また、アメリカ経済は世界をリードする地位に上昇する全過程で高関税国であることを指摘すべきです。
Tumblr media
貿易自由化の効果は実態にかかっているという結論は重要ですが、現在の意思決定者が最初に重視しているのは最新の結果かもしれません。 ここではDollarとKraay(2000)が得た成果に注目してください。 彼らは貿易政策と変化中の貿易のGDPに対する比率によって、発展途上国を1980年以降の「グローバル化国家」と「非グローバル化国家」に分け、グローバル化国家の経済成長がはるかに強いことを発見しました。 詳しくは表95を参照してください。 したがって、それらの多くは典型的な自由貿易国ではなく、中国のようにワシントン合意ではなく進化型国家のモデルに従って外向型経済を実行している国も含まれていることを認めなければなりません。 確かに、20世紀の貿易条件は多くの場合、一次製品に不利ですが、プレビシュやシンガーを納得させる人が期待するほど深刻な損害ではありません。 BleaneyとGreenaway(1993)は、製品と比較して、非燃料一次製品は毎年0.6%から0.8%の速度で低下していると推定していますが、一般的な発展途上国では約3分の1の速度しか低下していません。1914年以前、輸送費は急速に下がったため、すべての国の貿易条件は実際に好転しました(HadassとWilliamson、2001)。 金融自由化と経済成長の関係はそんなに楽観的ではありません。 ここ25年の経験から、資本管理を取り消すことは銀行危機を拡大するリスクがあることがわかりました。注目すべきは、ブレトンウッズ会議システムの間、資本管理のために銀行危機(Bordoなど、2001)が発生したことがないことです。 資本口座の自由化が経済成長に及ぼす影響を大量に研究しましたが、一致した結果は得られませんでした。 しかし、強力な制度があれば、発展途上国の完全閉鎖から完全開放への取り組みが経済成長に与える積極的な影響は約1ポイントであることが明らかになりました(Edisonなど、2002)。
6.結束語 本論文では、グローバル化と経済成長の関係をめぐて、一連の論争の観点を歴史的観点から検討しました。 今回の議論は多くの点でまだ結論が出ていませんが、序言部分で提起された問題について、私の考えでこの文を終わらせたいです。
グローバル化は格差をさらに広げましたか? この質問に対する回答は主に何が「格差」と呼ばれるかによって決まります。 最近の最も面白い研究成果は、少なくともある意味で、世界の収入格差が1970年ごろに最大になり、その後の空前のグローバル化時代に少し縮小したことかもしれません。これは主にDollarとKraayが決めた二つのグローバル化国である中国とインドの経済成長が大幅に向上したことに起因しています。
2)グローバル化は経済のより急速な成長に役立ちますか? この問題に対する合理的な回答は慎重に楽観的でなければなりませんが、依然として様々な論争が続いている理論的見方があり、実証的な研究も一致していません。1950年代に構想された国家主導の工業化はもはや誰も信じていませんが、より自由な貿易は大きな助けになりました。 しかし、ここで強調しなければならないことは、制度です。特に資本市場に関する制度が経済成長に重要な影響を及ぼし、金融のグローバル化に成功する上でも重要な意義を持っていることです。 同時に、Gerschenkron理論が明らかにしたように、東アジア諸国の経験から確認されたように、制度の多様性は後から続く追っかけ型国家の経済成長において重要な役割を果たしているに違いません。
3)未来のグローバル化した世界で、国際経済格差は縮小しますか? ルーカス(2000)は、21世紀の新古典経済学の結集力が現れると固く予言しました。 彼のモデル(図1参照)をパラメータ化することが合理的であると疑うには十分な理由があるようです。このモデルは、多くの国が後からの追撃型の行列に参加し、経済成長速度が大幅に向上することを予言しており、明確には言われていませんが、世界各国は距離を隔てて遮断されないと仮定しています。新しい経済地理学派と新制度経済学史では、距離の遮断と劣悪な制度はグローバル化を遅らせると考えられています。特に心配なのは、アフリカがグローバル化から除外される可能性があることです。
0 notes
mskdeer · 2 years
Text
翠灯の盃
「聖アヴァルクの儀仗官」の設定続き。ルミリアンナ・ソニエール伯爵令嬢が儀仗官として持つ杖について。
▼杖は聖遺物
小王国時代から存在する杖。聖地を守るアスカム伯爵家に残る一番古い記録では、商業ギルドが興した同盟都市連合が王を選び小王国と名乗り始めた時に、国王たる者へ授けられたらしい。だからこそ聖なる遺物と認識されていたりする。
これらの理由から杖は、小王国時代は「王の資格を証明するもの」とされてきたが、帝政となって数十年、その存在意義は「皇帝の威光を知らしめるもの」へ変遷した。
▼本来の儀仗官
かつて儀仗官は選王者であり選帝者だった。しかしそれは王を導く者――すなわち忠臣たりえる人間を選ぶという意味。曰く、杖は「儀仗官に適する者を選び」、盃は「儀仗官の眼鏡に適う人物を判じ」、翡翠の炎は「それが王に相応しいかを決する」。
これは王や皇帝のみに引き継がれる秘密。儀仗官本人にも知らされていない。
以下、ネタバレ含む。
*
▼儀仗官の役目
儀仗官の役目は、民が望む王を見抜くこと。それすなわち、王に相応しい者を王たらしめる臣下を選ぶこと。そののち炎が最終的に王に相応しいか決める。だから儀仗官には王を選ぶ直接的な決定権はない。 とはいえ候補者を盃の炎へ導く方法を知るのも儀仗官だけ。だから実質、彼等が王を選ぶと言っても過言じゃない。
儀仗官は皇帝や皇太子の人となりを知る必要がある=彼等の側に付き観察をする。一切口を開いてはならない=見定めるだけ、候補者へのアドバイスは不要。これらを繋ぎ合わせると「綺麗な杖を持って偉い人の側に立つだけの役職」となる。 儀仗官の仕事について知るのは皇帝だけだから疎まれるよねーーという残念な立場。
▼儀仗官たる資格
王を選ぶ儀仗官は、杖によって選ばれる。だから儀仗官が普段持ち歩く杖には翡翠の炎が宿っていない。(正式に選帝者として認められれば炎を喚ぶ方法を知ることが出来る)
帝政以降、儀仗官は2~3年の周期で代替わりしている。元々みんな儀仗官の仕事は嫌いだし、指名されたとして少しの間我慢して就けば良いだろ、と思ってる節があるから。 だが、周期が短い一番の理由は「口を開かずただ皇帝の側に居ろ」という仕事に耐えられないから。口を開かないのだから意見を言える立場でもない。ただの杖持ちと蔑まれる。それらの屈辱に耐えられず辞めていく。
しかし、単なる観察者でいなければならない儀仗官には必要な仕事だ。
また、長くこの仕事を続けられること、すなわち口が堅いことを意味する。皇帝や皇太子の側に居ればいやでも国家機密が入る。儀仗官の本来の仕事を知った時、それを誰にも漏らさない保障も要る。だから口が堅いことは最低条件でもある。
▼作った者、遺した者、授けた者
杖を作った者はルシタニア・オランジェ。白き亜人オランジェ一家の長女。神話の時代を書き記した彼女の手記も聖遺物として砂漠地方に祀られていたりする。(大陸にはオランジェ四姉弟が作った四つの聖遺物がある。手記と杖はそのひとつ)
それを後世へ語り継ぐべく遺したのは四女リシェ・オランジェ。杖を創るよう助言したのも彼女。
最初の儀仗官へ杖を授けた者は青角ヨエツ。竜の眷属である。盃部分に「炎を閉じ込める永遠の氷」を頂くことからも氷を司る彼女だと分かる。
杖を与えた青角が「今こそ選王が必要」と判断した時、儀仗官の役目が解放される。
▼杖の材質
神話の時代に人間と反目し殺された「白き翼」の髭。白翼が死の間際、リシェへ託したと言われる。
一本の木材に見えるが沢山の髭を寄り集めて杖にしている。鋼よりも強く、布よりもしなやかな材質。みんな木造だと思っているが火に強い。
▼氷に宿る炎
ロスタムという若者の魂。神話の時代に黒朝リー・グレーネ朝で優秀な奴隷頭だった。彼は金目のような特別な目も、特別な魔力も持っていなかった。だが人の本性を見抜く慧眼があった。
彼は聖遺物を遺したオランジェ家長女と恋仲だったが、大陸竜と白翼の諍いを止めようとして三男に殺されてしまう。すると愛する者の死を嘆いた長女は魂を持って大陸竜へ降り立ち、精悍な魂を氷の中に閉じ込めた。私より先に死ぬなんて巡りに還してやらないん���から!という感じ。ひどい。
▼ソニエール儀仗官
ルミリアンナ・ソニエールはこれらの条件を満たした。全てに耐えて七年儀仗官を続けたことで正式な儀仗官たり得る存在だと杖が認めた。それもこれもリシャール殿下の理解、ベネディクト公爵の影からの助力があってこそだが。
儀仗官の誕生が意味することは一つ。近いうち、選帝がなされるということ。
0 notes
newsvoice420 · 2 years
Text
三浦佳生、ネーサン・チェン超え17歳8か月で最年少V…まさかの衣装忘れも「たくさんの方の力で届いた」(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース #最新ニュース
三浦佳生、ネーサン・チェン超え17歳8か月で最年少V…まさかの衣装忘れも「たくさんの方の力で届いた」(スポーツ報知) – Yahoo!ニュース – Yahoo!ニュース 三浦佳生、ネーサン・チェン超え17歳8か月で最年少V…まさかの衣装忘れも「たくさんの方の力で届いた」(スポーツ報知) – Yahoo!ニュース  Yahoo!ニュース 佐藤駿、SP6位から『銅』メダル/フィギュア  サンスポ 男子は三浦佳生がV 四大陸フィギュア  佐賀経済新聞 三浦佳生が四大陸優勝 史上最年少 – Yahoo!ニュース  Yahoo!ニュース りくりゅう、日本勢ペア初V「アップ中から楽しんだ」 日本勢初グランドスラムに王手…四大陸選手権  スポーツ報知 Google ニュースですべての記事を見る “悩み”は技術面へ 松山英樹はフェニックスで不発も「身体的には良くなった」 –…
View On WordPress
0 notes
itokawa-noe · 2 years
Text
書店と朗読会をめぐる旅をしてきた話(二日目)
 前記事「書店と朗読会をめぐる旅をしてきた話(一日目)」の続きです。
 今回は、
・自由港書店(須磨)
・朗読Bar/金魚の夢@コモンカフェ(中崎町)
 を訪ねた際のことを書きました。
―――
【自由港書店】
 2日目は神戸方面に足をのばし、須磨の自由港書店を訪ねた。
 『星々vol.1』に掲載されていた羽田繭さん(掲載時の筆名はmayさん)の書店訪問記を読み、いつかぜったいに行くと決めていたお店だ。
 羽田さんの訪問記が読める『星々vol.1』はこちら。「書店」特集号なので、ほかにもたくさんの書店訪問記やインタビューが載っています。
 須磨海浜公園駅からつづく���い道のさきにあったのは、mayさんの訪問記や店主の旦悠輔さんのツイートから思い描いていたとおりの、ちいさな灯台みたいなお店だった。
 思い描いていたとおりで、だけど開け放たれた扉から入ってくる心地よい風や店主の旦さんのやわらかなお声やまなざしは実際に足を運んではじめて知ることのできるもので、要するに、すでにファンだった自由港書店のことが、訪問をつうじてますますすきになったのだった。
 ちょっとすきすぎてうまく語れる気がしない。叶うなら実際にあの場所に行ってまるごとを味わってほしい。うーん、なんだろう。なにから書けばよいんだろう。
 ええと、まず、たたずまいが堪らなくよい。遠くからでもはためいてみえるのは、風をはらんだ帆を彷彿とさせる青い布。引き寄せられるように入り口で足をとめると、ガラスの覆いに真鍮の格子のついた小さなランプたち(マリンランプといって、船の照明として使われるものらしい)が温かな金色のひかりでもって「ようこそ」「いらっしゃい」と歓迎してくれる。木でできた床に(訪問記のなかで羽田さんが「ぎし、ぎし、と鳴る床板」が「まるで船の甲板を歩いているみたい」だと書かれていたけれど、まさにまさに!)おなじく木製の本棚、壁際につるされた大きな布は、大海原を思わせる紺碧とそのうえにひろがる空を思わせる勿忘草色のグラデーションが美しく……と、船や海や灯台のイメージで統一された店内は、ぐるりと見まわすだけで胸がときめく。
 店内のいたるところに配された大小様々の照明器具は、いずれも橙色や金色といった温かみののある色をしており、自然光との調和が心地よい。すきなだけここにいて良いよと語りかけてくれているようで、気まずい思いをすることなく心ゆくまで棚を眺めていられた。
 入り口のドアは、真冬でもおおきく開け放たれているという。その理由を旦さんから直接伺い、ちょっと泣きそうになった。
 なるべく多くの表紙がみえるような形でならべられた本たち、その顔ぶれも、もちろんこだわりぬかれている。旦さんご自身の言葉による選書基準が前述の『星々vol.1』に掲載されているので、是非とも読んでいただきたい。一部抜粋しようと試みたのだけれど、再読してあらためて、これは全体を読んではじめて自由港書店の空気が伝わる文章だと感じたので、やめておく。
 今回の旅行で訪ねた書店はいずれも「誰のために」や「なんのために」が伝わってくるお店だったが、それがひときわつよく感じられたのが自由港書店だった。
 自由港書店はお店そのものが一冊の本、あるいはひとりの人間のようだった。穏やかでおおらかで、痛みを知るひとならではの強さと優しさでもってつつみこんでくれる、そんな人柄を、あのお店はもっていた。
 会計時、旦さんが一冊一冊心をこめて本を送りだす様子を、それぞれの本を作った方々におみせしたかった。自分の本をこんなふうに大切に扱ってもらえたらどんなに嬉しいだろうと胸がいっぱいになった。というかお店ににいたあいだじゅう、私は胸がいっぱいだった。
 自分の生活圏に自由港書店があったら、きっとお守りみたいな場所になる。離れていてもなお、西の地にあのようなお店があることを思うと温かなものがこみあげてくる。夜の海の船べりから遠くの灯台をながめるような心地だ。
〈購入したもの〉
●rn press『USO4』:「嘘」というのはもう長いことずっと私のテーマのひとつだ。しかも今号では旦さんのエッセイが読めるとのこと。迷わず購入した。
●モノ・ホーミー『貝殻千話6』:大好きで集めているシリーズ。本はなるべくリアル書店で買うようにしているけれど���これは特に個人書店で買いたかった。
●ジェラルド・ダレル著、池澤夏樹訳『虫とけものと家族たち』:大昔に『夜は短し歩けよ乙女』で存在を知り、読みたいと思っていたはずなのだけれど、いつのまにか頭から消えていた作品。西の土地で再会できたのが嬉しくて手にとった。豊かな自然のなかで生活するひとたちのお話、という認識なのだけれど、合っているだろうか。だとしたら今の私の気分にも合っている。
●バーバラ・オコーナー著、中野伶奈訳『ほんとうの願いがかなうとき』:自由港書店では児童書を買いたいと思っていたので、目が合った瞬間手をのばしていた。今回の旅では「それぞれのお店で、もともと気になっていた本以外に、そのお店で出会った本を買う」と決めていた。自由港書店では、これがその一冊となった。
〈会計中に入荷されたのがうれしくて、ついその場で買い足したもの〉
●hoshiboshi『星々vol.2』
●四葩ナヲコ『羽牛の這う丘から』
 なんとなく運命めいたものを感じて購入してしまったのだけれど、冷静に考えたら、私のように放っておいてもどうせ買う人間はhoshiboshiの公式通販を利用すべきだった。その日の夜に自由港書店の店頭にならんだ『羽牛の這う丘から』はすぐに売り切れてしまったというツイートを目にし、あー愚か者め、おまえは店頭での出会いをひとつ奪ったのだ……と頭をかかえた。旦さんが「またすぐに仕入れます」といってくださって救われたけれど、これはおおいに反省するところ。
 さらに、もともとほしかったけれど品切れしていたカレンダーがこれまた会計中に再入荷されたから買い足し、友人へのお土産として一筆箋を求めたりもした結果、なかなかよい感じの物量になった。この足で海をみにゆくつもりだと話すと、旦さんは紙袋を二重にしてくれた。
 須磨の海は美しかった。私の知る鎌倉なんかの海とは澄んだ水も小石と貝殻でできた浜もまるで違って、これが瀬戸内の海……と、ぼーっと見入った。ずっとぼーっとしていたかったが、日光をあびすぎて皮膚と喉が渇いてきたので撤退した。
Tumblr media
 後日、『USO4』に旦さんが寄せらたエッセイ「私と嘘」を読んだ。
 すごくかった。読めてよかった。それしか言えない。
 「それを読んでしまったことで、私はもうお話なんか書かなくていいんじゃないかな、と思わせられる文章」というのがある。大阪に発つ前夜に読んだ草野理恵子さんのエッセイ「美しい元素」(『群像11月号』掲載)がそれだったのだけれど、旅行から帰ってきた直後に読んだ旦さんの「私と嘘」もそれで、このダブルパンチを通して「お前はもう書かんでええよ」という天かなにかの声が聞こえたような気分になり、ちょっと途方に暮れた。
 草野さんの「美しい元素」と、旦さんの「私と嘘」。長さも書かれている内容もまったく違うけれど、どちらにも並のフィクションには決して出せない凄みがある。
 おのれのうすっぺらさを思う。人生も、書くものも、ぺらっぺらだ。こんなぺらっぺらな人間がお話を書く意味とは、いったいどこにあるのだろう。そんなものがあるのだろうか。
 でもまあ意味なんてなくても、けっきょく私は書くのだった。書かないと生きてゆけない! みたいな切実さや使命感からではなく、書くことを手放したら考えることや感じることを怠って人として駄目になっちまうからという消極的かつ個人的な理由で、たぶんこのさきも、溜め息をつきつき書きつづけてしまう。
ーーー
【朗読Bar/金魚の夢】
 二日目の夜は「朗読Bar/金魚の夢」のためにコモンカフェへ。
 犬街組の北野さんが出演されると知って、それはもう聴きにいくしかないでしょうと予約していた。二泊三日の旅のなかで二日続けて北野さんの朗読を聴けたのは、運が良かった。
 開演時間を少しすぎたころ、もともと薄暗かった照明がさらに絞られ、会場は闇に閉ざされた。そわそわしながら待つことしばし、前方にぽつりと光がともる。蝋燭のあかりが、いつのまにか舞台に立っていた浴衣すがたの演者を照らしだす。
 北野さんだった。
 お目当ての演者がトップバッターで、のっけからおおいにテンションがあがる。
 空間やシチュエーションにあわせてチューニングをされたのだろう。前日の「まちのひ朗読舎」での朗読よりもお芝居の成分を強めにだされた朗読には迫力があり、息を詰めるようにして聴き入った。
(前日の「まちのひ朗読舎」にて北野さんから、コモンカフェの暗闇はよい暗闇である。「暗転板付き」は、あの暗闇から生まれた。……という旨のお話を伺ったような記憶があるのだが、前述のとおり推しの過剰摂取で頭がぽやぽやしていたので聞き違えているかもしれない。まったくの嘘っぱちかもしれない)
 北野さんが読まれた作品は「シズカの海」。アポロ十一号が月面に着陸したり大阪で万国博覧会開催されたりしていたころの記憶からはじまるお話だ。ちょうど万博記念公園を訪ねた直後だったので太陽の塔の威/異容を鮮明に思い浮かべながら聴くことができ、お得な気分になった。
 2017年に出版された『北野勇作どうぶつ図鑑(全)』によると「シズカの海」は北野さんにとって「声に出して読んだ回数がいちばん多い短篇」なのだそうだ。初出の『月の物語(異形コレクション)』が出版されたのが1998年であることからも、本当に長いあいだ向きあってこられた作品なのであろうことが伺い知れる。
 コモンカフェでの朗読を終えられたあと、北野さんは教えてくださった。会場へと向かう電車のなかで「シズカの海」の新しい解釈が浮かび、今日の朗読にはそれを落としこんだのだ――と。
 二十年以上前に執筆され、その後も朗読をつうじて長きにわたって付き合ってこられた作品に対して新しい解釈が生まれるなんて、そんなことがあるのかと、衝撃をうけた。
 そういえば、犬街ラジオのお三方、特に北野さんと谷脇さんは、御自身の作品についての質問に対して「あー、どうなんでしょうね」や「うーん、そうですねえ。そこはまあ、こうこうこういうことなのかもしれませんねえ」などといった調子の、どこか他人事っぽい感じの受け答えをされることが多い。無関心な他人事っぽさではなく、うまく子離れができている親が独立したひとりの人間としての子について語るときのような他人事っぽさだ。
 私は少し前まで、作者は自作のことをすみずみまで把握していなければならないのだと思いこんでいた。作者自身も知らないことがあって良いのだ、むしろそのほうが自由で楽しいではないかと気づかせてくれたのは、ほかでもない犬街ラジオだった。
 作者が信じ尊重して手を離した作品は、いつまでも育ちつづけるのかな。だとしたらお話を育てることと人間を育てることは似ているのかもしれないな。北野さんの朗読やお話を伺って、そんなことを考えた。北野さんがよく「小説は作者より賢い」というお話をされていることなんかも思いだしつつ。
 ほかの演目では「鹿踊りのはじまり」がすごくよかった。(ざんねんなことに演者さんのお名前を失念してしまった)
 宮沢賢治、出だしの一文でああこれはもう宮沢賢治だわ宮沢賢治以外ありえないわと完全にわかってしまい、「名前を伏せても誰が書いたかわかってしまう文章」に憧れる私は、この時点で溜め息をついていた。
「鹿踊りのはじまり」はたぶん二十年ぐらい前にいちど読んだことがある。その際は訥々と語られるのに耳を傾けるような感覚で読んだ。
 今回の朗読はうってかわって饒舌で賑やか。臆病なくせに(というかそれゆえに)好奇心旺盛な鹿という生きもののありようが方言のちからを生かした語りによって活写されていた。野原にぽつんと置かれた手ぬぐいをみたことのない生きものだと思いこんで恐れをなし、されど気になって立ち去ることもできず、おっかなびっくり近づいてゆくも、鼻先がふれたの風が吹いたのといちいちびっくりしては飛び退り、だけどまたそろりそろりと寄ってゆき……が繰り返されるさまがありありと頭に浮かび、かわいい、愛おしい、かわいい、かわいい、かわいい……と、聴いているあいだじゅう頬がゆるみっぱなしだった。
 滑稽で愛嬌のある情景が、つかのま神話のような厳かな絵へと変わり、だけどけっきょく嘉十の乱入によって台無しにされてしまうという終盤の流れも、まるごとよかった。
「書店と朗読会をめぐる旅をしてきた話(三日目)」へ続く。
0 notes
ari0921 · 1 month
Text
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和六年(2024年)8月13日(火曜日)
    通巻第8365号
 バングラ政変の黒幕に米国が関与? 『南アジアの春』?
  インドから見れば、周りのスリランカ、ミャンマー、モルジブに政変が起きた
*************************
 筆者の印象ではバングラデシュの人々はたいそう親日的である。国旗をみても、日本の国旗そっくりのデザインで、白地がみどり、日の丸は赤。小学生でもまっさきの覚える国旗だ。
 1971年の戦争でパキスタンから独立後、日本が最大の支援国だったこともある。
 そのバングラ人が日本にあきれかえった事件は、ダッカ空港日本赤軍ハイジャック事件で、凶悪犯人の出鱈目な要求を当時の福田政権は「命は地球より重い」と言って身代金にも応じ、ハイジャッカーの言いなりになったことだった。
日本には武士道があったのでは?
 2015年に筆者は関空からダッカへ向かった。飛行場で登場寸前に継体電話が鳴り、うっかり或る新聞コラムの原稿締め切りを忘れていたことを知った。原稿の督促、それも24時間以内。
機中で書き上げ、ダッカのホテルから、FAX送稿して間に合った。間一髪だった。原稿用紙を持っていないので、同行した家内に下書きの字数を数えてもらい、1200字にまとめた。強烈に思い出すのはダッカの三流ホテルからでもFAXが通じたからだ。
 機内で隣に座ったのは若いバングラデシュの男性。日本ではタイル工務店で働き、一年ぶりの里帰り、親方がボーナスを呉れたからと嬉しそうな笑顔だった。「おみやげも沢山買えた」。
 先般のバングラ政変はシェイク・ハシナ首相がインドへ逃亡し、欧米が保護していた銀行家のムハンマド・ユヌス(ノーベル平和賞。グラミー銀行創設)を暫定政権のトップの据えることで、混乱は一時的に収まった。超法規的措置だが、最大野党BNPと軍が納得したからで、軍は出来るだけ早い時期に民主手続きによる選挙を行うと宣言した。
 バングラデシュの軍隊はエリートで陸軍13万2000人、海軍1・7万、空軍が1・4万の陣容である。
 さてバングラ政変の「黒幕」は誰なのか?
 ハシナ前首相は亡命先のインドでメディアの取材に応じ、「明らかに黒幕はアメリカよ」と言っている。
 中国では? と切り返す暇を与えず、アメリカ黒幕説の理由を「セント・マーチン島をアメリカは軍事基地として租借し、ベンガル湾で睨みを利かそうとしていましたが、私が拒否し続けたからです」と説明した。ハシナは親中派である。
 セント・マーチン島はチッタゴンから南へ、ミャンマー沿いのリゾート島で、バングラの国内観光では人気もあるが、インフラが整っていないばかりかアクセスが悪く、外国人はほとんど行かない。
そもそもバングラは日本の四割しかない面積に一億八千万の人口を抱えて、世界一の稠密度をほこり、そのうえ国土の半分が湿地帯、海岸線はマングローブ、人が住める土地は限られている。
▼軍事要衝の確保を急いでいるのは中国である。
 米軍が、いくら地政学的要衝にあるとはいえ、この島を租借して空軍基地をつくるとは考えにくいのではないか。
とはいえ当該島の北にあるチッタゴンは中国がねらっているし、南のミャンマーのチャオピーはすでに中国の石油とガスのパイプラインの拠点化し、将来は港湾近代化を予定している。
筆者は、このチャオピーにも行ったことがあるが、ミャンマーの仏教原理主義過激派が70万人のロヒンギャをバングラに追いだした拠点でもある。中国が大工業団地を造ると言って土地の買い占めをしていた。
 一方、インドの心配事は何かと言えば、バングラ国内に19000人のヒンズー教徒、その安全である。バングラではヒンズー教徒への謀略事件が目立ち、8000人のインドからの留学生は政変前後に帰国した。カナダのトロント等では、ヒンズー京都を守れという集会とデモが行われている。
 バングラの政治はAI(アワミ連盟)とBNP(バングラ民族党)の対立構造で、最大野党BNPは過去二回の総選挙をボイコットした。
BNP総裁のジア元首相(殺害されたジア将軍未亡人)は自宅監禁を解かれたばかりで、これから政治力量を発揮できるか、どうか。
BNPには過激派JEI(ジャマート・エ・イスラミ)を抱えており、さらにこの分派の過激派が昨今のバングラ暴動を仕掛けたとされる。
 ハシナが去って、ラーマンミュージアムは破壊された。ハシナの邸宅は民衆が押し入り、手当たり次第に家具、備品を持ち去った。
エアコン、応接セットから扇風機、絨毯、植木鉢から家畜まで。陽気に歌を唱いながらの略奪だが、新聞も余裕を持って写真グラビアを特集したが、罪を咎める風情はまったくなかった。
 ▼バングラの産業は繊維だが女工哀史、ユニクロも撤退
 さきのグラミー銀行と組んでバングラに繊維工場、店舗を展開したのがユニクロだった。
そのグラミーユニクロは経営方式などで意見が合わず、撤退した。
 また日本が援助し、JICAが中心となって、ダッカ市内を縦断する地下鉄は部分開通していた。ところが、さきの暴動で駅や改札などが破壊され、メトロかいつの目途は立っていない。日本企業も新たな難題を抱え込んだ。
 日本に住む外国人は増えるばかりで、中国の82万人を筆頭に、二位ベトナムが57万人、三位韓国が41万人。犯罪件数もこの順番である。
 四位以下はフィリピン人が32万、ブラジル22万、ネパール18万、インドネシア15万、ミャンマー8・7万、台湾、アメリカ、タイ人とつづき、ミャンマー、ペルー、インドスリランカのあと、第十五位がバングラデシュ人の27962人(23年度末統計)。
そういえば日本のコンビニ店員は十数年前までは中国福建省閥が多かった。
いまではスリランカ、バングラ、ミャンマー勢にカザフスタン、ウズベキスタンなどの新顔。つまり他の国からの出稼ぎ組はコンビニや居酒屋より給与の高いところへ移動したのである。
5 notes · View notes
shintani24 · 4 months
Text
2024年5月17日
Tumblr media
「��界観広がった」 海洋散骨の体験クルーズに住職ら参加(毎日新聞)2024年5月17日
海に遺骨をまく「海洋散骨」について知ってもらおうと、福岡市で、寺院の住職らを対象とした海洋散骨体験クルーズが開かれた。県内外の住職ら約10人が参加し、時代の変化とともに多様化する故人の弔い方への理解を深めた。
体験クルーズは、お墓の改葬や粉骨などのサービスを提供する有限会社「縁」(鹿児島県南九州市)が開催。参加者は姪浜旅客待合所(福岡市西区)から乗船し、実際に依頼のあった3件(5人分)の委託海洋葬を見学した。散骨や献花、黙とうなどの一連の流れを学んだ後、遺骨に見立てた小麦粉が入った袋を海にまく模擬散骨も体験した。
初めて参加したという光薫寺(同市博多区)の小林信翠住職は「供養を中心に取り組んでいることは好感が持て、世界観が広がった。亡くなった人とつながることが一番大事で、そのつながり方はいろいろあっていいと思う」と充実した表情を見せた。
同社での海洋散骨は2017年は24件だったが、23年は130件と約5倍に増加している。同社社長の堤裕加里さんによると、樹木葬や海洋葬などの選択肢が増えたことに加え、墓の維持・管理ができずに「墓じまい」する人が散骨を希望するケースが増えているという。地域住民らに近い存在でもある寺院でも、海洋散骨など新しい供養の形に対する理解が乏しいのではないかと、住職らを対象に実施。遺骨に関して「相談相手が分からない」といった声もあり、お寺をハブ(結節点)とした体制の構築も目指す。堤さんは「供養の選択肢の一つをかなえるための粉骨・散骨。お客様が身近に感じられるような供養の形にしたい」と語った。
改葬10年間で2倍
厚生労働省の「衛生行政報告例」(2022年度)によると、「墓じまい」を含む改葬件数は年間15万1076件。12年度は7万9749件で、この10年間で約2倍増えた。
一部地域では禁止
国内では遺骨を砕いて埋めたりまいたりすることが刑法に違反しないかという議論があったが、法務省は1991年に「葬送のために節度をもって行われる限り、遺骨遺棄罪(刑法190条)に違反しない」との見解を示した。一方、厚生労働省は墓地埋葬法(48年制定)に散骨の規定はなく、墓地・埋葬に関する法律は関知しないという見解で、現在に至っている。
海洋散骨は、一部地域の条例では禁止されている。日本海洋散骨協会のガイドラインでは、遺骨と分からない程度(1~2ミリ)に粉末化する▽陸地から1カイリ(約1・8キロ)以上離れた海洋上のみで散骨する――ことなどを義務づけている。【日向米華】
Tumblr media
「乳酸菌飲料バブル」で窮地に追い込まれた「飲むヨーグルト」、逆襲の手立てはあるのか?(東洋経済オンライン 5月19日)
「今、明治の飲むヨーグルトは置いてないです。(乳酸菌飲料の)ピルクルに替わっちゃいましたね」――。都内スーパーの店員は淡々と話す。
明治は昨年10月、「明治ブルガリアのむヨーグルト 900g」の製造・販売を終了した。業界からは「あれほどのシェアを持っていた明治が、まさか」と驚きの声が上がった。
終売の理由について、明治は「個食化が進み、大容量品の消費量が減少しているため」と説明した。代替品として400グラムの商品を発売したが、売り上げは社内の計画値に届いていない(2023年度第3四半期決算時点)のが現状だ。
森永乳業も昨年10月、「計画に対し思うような実績が得られなかった」として「ビヒダ��� のむヨーグルト」(900グラム)の製造・販売を終了している。
市場全体を見ても、飲むヨーグルトの販売金額はこの6年間で17%も減少している。一体何が起きているのか。
■健康か味か、どっちつかずの存在に
市場縮小の背景には、乳酸菌飲料などへの需要の流出がある。
調査会社インテージによれば、乳酸菌飲料の2023年の小売店販売金額は1341億円。ヤクルト本社の「Y1000」(「ヤクルト1000」の店頭専用商品)が発売された2021年に市場が急拡大し、その後も伸びが続いた。
一方、飲むヨーグルト市場は2021年に前年比200億円超の縮小となり、その後も停滞が続く。2023年の販売金額は1443億円で、乳酸菌飲料に追い越されるのは時間の問題だ。
両市場の拡大と縮小の時期はほぼ重なっており、飲むヨーグルトの人気が乳酸菌飲料に移っている実態がうかがえる。
Tumblr media
さらに近年は、「キリン おいしい免疫ケア」など乳酸菌入りの清涼飲料水も台頭している。これらは法令上の乳酸菌飲料ではないが、小売店では飲むヨーグルトや乳酸菌飲料のすぐ隣に並ぶことも多く、飲むヨーグルトの需要を一部奪っているとみられる。
業界では「飲むヨーグルト」は替えがきくものになっている」との指摘がある。以前は健康といえばヨーグルトと考える人も多かった。飲むヨーグルトはフレーバーが豊富で、手軽に摂取できる強みがあった。
だが、機能性表示食品制度が始まり、「睡眠の質向上」や「ストレス緩和」など具体的な機能をうたう乳酸菌飲料が登場すると、人気が揺らぎはじめた。
「健康の機能を求める消費者は簡単に乳酸菌飲料へスイッチしてしまう。味を求めるならジュースを飲めばよく、ヨーグルトはどっちつかずのポジションになってしまった」(業界関係者)。
■長所が伝わらないのはなぜ?
飲むヨーグルトにもメリットはある。含まれる乳酸菌数、または酵母数は、乳酸菌飲料と同等かそれ以上だ。さらに無脂乳固形分が多いためコクがあり、乳酸菌飲料よりもタンパク質や炭水化物、ビタミンやミネラルを多く含むのが特徴だ。
だが、こうした価値はうまく消費者に伝わっていない。乳酸菌飲料と比べて原価が高く、広告宣伝の費用が限られるのが要因の一つだ。
一方、乳酸菌飲料や乳酸菌入り清涼飲料水には水分が多く含まれ、原材料費を抑えやすいうえ、機能性表示食品の場合は高単価なことも多い。収益性は高く、マーケティングにも力を入れやすい。
飲むヨーグルトとほかの飲料との違いはわかりにくく、消費者が「広告でよく見る商品を買おう」となるのは容易に想像できる。
では、飲むヨーグルトはどう反転攻勢を仕掛けるのか。メーカー各社は健康面の価値の訴求に力を入れる。
機能性表示食品や「医師の○%が奨める」などとうたう飲むヨーグルトを展開する。「食後の尿酸値の上昇を抑える」や「記憶の維持」、「注意力の維持」など目新しい機能をうたう商品も続々と登場している。乳酸菌飲料ではなかなか耳にしない機能も多く、飲むヨーグルトならではの価値を伝えるために差別化しているのだ。
また、これらの高付加価値商品は100~200グラム程度の小容量品で展開する。一般的な飲むヨーグルトより単価を高めに設定でき、容量も少ないため収益性を高められる。
明治は昨年10月、「明治プロビオヨーグルトR-1ドリンクタイプ The GOLD」を発売。同社が「強さひきだす」と表現する素材「R-1乳酸菌EPS」を従来品の2倍配合した商品だ。希望小売価格(税込み)は257円で従来品より約100円高いが、滑り出しは好調で、今年3月まで計画比10%増の売れ行きとなっている。
プロバイオ事業を担当する発酵マーケティング部の山本俊一氏は「サプリや栄養ドリンクなどを購入する層が新規で購入している。少し高くてもよいものを選ぶ人は多く、顧客獲得の余地がある」と分析する。
■「健康疲れ」で、味を重視する消費者も
市場分析を重ね、味を重視する消費者の動きに着目したのは森永乳業だ。「コロナ禍の初期に健康意識が一気に向上した反動で、一部の消費者が『健康疲れ』をしているのではないか」(ヨーグルト・デザート事業マーケティング部マネージャーを務める田中泰徳氏)。
最近はデザート系の商品が人気だ。昨年9月に森永が投入した「マミーのむヨーグルト」の販売は好調で、今年4月にはピーチ風味を投入するなど、味を重視した提案を進めている。
「今後も乳酸菌飲料の勢いに押されたままとは考えていない。機能とおいしさの両軸に力を入れ、価値をしっかり伝えていく」(田中氏)。
「乳酸菌飲料バブル」の中で人気が揺らぐ飲むヨーグルト。改めて、健康面の価値と味の良さを消費者にアピールしていくことが、復権のカギとなりそうだ。
Tumblr media
アプリでリスニングパーティー、流行の兆し テイラー・スウィフトやビリー・アイリッシュなど(ミュージックマン 5月17日)
アプリでリスニングパーティーを開催するアーティストやファンが増えている。テイラー・スウィフトの公式ファンアカウント「テイラー・ネーション」が個人向けラジオ配信アプリ「Stationhead(ステーションヘッド) 」で4月に開いた新譜の視聴会は、再生数100万回を突破。また、ビリー・アイリッシュもニューアルバムのリリース記念で、リアル会場に続き、オンラインでリスニングパーティーを催した。
Stationheadのリスニングパーティーは、同時刻に一斉に楽曲を試聴し、オンライン上でお互いに感想やメッセージ、エピソードなどをつぶやき、リアルタイムに繋がることができるもの。アーティストがファンに話しかけて「ステージ上」に招待して会話できるほか、テキストチャットや音楽再生、商品の宣伝などが可能だ。
参加できるのは、Apple MusicまたはSpotifyの有料会員。ユーザーがこれら音楽配信アプリのアカウントに接続することでライセンスの問題を回避できるほか、各プラットフォームにおけるアーティストの再生回数も増加する。
Stationheadはこれまで、一部のK-POPアーティストやそのファンコミュニティ、ニッキー・ミナージュやゼイン・マリクらが大きく活用してきた。(文:坂本 泉)
榎本編集長「邦楽アーティストもStationheadを使うようになるだろう。新しいアルバムのリリースはファンにとってライブと並ぶ一大イベントだが、デジタルの力でファンとアーティストがオンラインで同時間に集まって楽しめるようになった。ライブ配信=ライブ中継という思い込みは捨てたほうがよい」
0 notes
harimaron · 6 years
Photo
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
宇野昌磨;  四大陸フィギュアスケート選手権FS
23 notes · View notes
newsvoice420 · 2 years
Text
フィギュア四大陸選手権 「りくりゅう」三浦・木原ペア初優勝 - nhk.or.jp #最新ニュース
フィギュア四大陸選手権 「りくりゅう」三浦・木原ペア初優勝 – nhk.or.jpフィギュア四大陸選手権 「りくりゅう」三浦・木原ペア初優勝  nhk.or.jpGoogle ニュースですべての記事を見る 松山英樹は薄氷の通過から浮上も…1オン3パットのパーから停滞 – ゴルフダイジェスト・オンライン 松山英樹は薄氷の通過から浮上も…1オン3パットのパーから停滞  ゴルフダイジェスト・オンライン シェフラー暫定首位 松山英樹38位で日没順延(ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)) – Yahoo!ニュース  Yahoo!ニュース 復活を目指すJ.デイ、R.ファウラーが好位置で週末へ  ゴルフネットワーク ハドウィンが前年覇者シェフラーと首位で並ぶ 松山英樹はカットライン上で通過  ゴルフダイジェスト・オンライン 【速報】松山英樹は名物16番でバーディ…
View On WordPress
0 notes
aco-shibata · 5 years
Photo
Tumblr media
もがき苦しんだ先に叩き出した 世界歴代最高得点 いい、はにゅ(SP 111.82) . 勝利はいつだって簡単じゃなかった。けれど幾度も壁も己を超えてきたんだ。 . 強きアスリート、美しき表現者 #羽生結弦 #yuzuruhanyu . ——————————— 本人解説聞けてよかった。 おかえりなさい  . Chopin 2020 . . . . . ———————————- #4CC #四大陸 #四大陸選手権 #四大陸フィギュア #羽生くん #羽生くんおめでとう #羽生くんイラスト #羽生くんが好き #羽生結弦選手 #イラスト #figureskater #fanart #instadraw #instapaint #instadrawing #instapainting #illustagram #digitalart #digitalpainting #paint #draw #illustration #instaartist #myart #mydraw #doodle https://www.instagram.com/p/B8XerYunhCP/?igshid=k763ubod49dl
0 notes
soratenposts · 5 years
Link
0 notes
ari0921 · 9 months
Text
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和六年(2024)1月7日(日曜日)
   通巻第8083号 
 昨年のウォール街上場で新記録8兆円はエヌビディア
  中国向け半導体製造装置の輸出が不許可。株式下落
*************************
 2023年10月にエヌビディアは高度AI用半導体の中国向け輸出規制について、対象となるのはAI用半導体「A800」と「H800」が含まれるとしていた。米商務省の新規制ではゲーム用半導体「RTX4090」も禁輸対象となった。
 11月にエヌビディアは「AI用半導体は商業向けであり、中国にAI用半導体を販売することは合法、販売する予定である」と楽観的だった。
これらのAI用半導体は中国のアリババ、TikTokの親会社バイトダンス、百度(バイドゥ)などが、すでに2024年分として50億ドルを発注していた。この大商いが政治の風圧で飛ばされた。
 エヌビディアは、「画像処理半導体(GPU)を使用した先端AIコンピューティングシステムが不許可となったため、他の顧客に振り向ける必要があるのだが、(バイデン政権の政策により)米国産業の競争機会を永久に奪われる。将来の悪影響は避けられない」と不���を表明した。
 米商務省は輸出不許可理由を「当該品は最も洗練された、最も処理能力の高い半導体だからだ。こうした最先端の半導体を輸出してしまうと中国は最先端モデルの訓練が可能になる」との懸念を表明した。
 一方、米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は12月6日に人工知能(AI)向けのアクセラレーター新製品(MI300)を発表した。エヌビディアが席巻していた市場にライバル製品の登場となった。CEOのリサ・スー女史(彼女は台湾人)は「AI半導体業界は今後4年間で4000億ドルを超える」と大胆な予想を展開した。
MI300の採用を予定しているのはマイクロソフトやオラクル、メタ・プラットフォームズが含まれる。
余談だが、人工知能(AI)と「人間の知能」とが「偶会」した。AMDのリサ・スーはシリコンバレーで伝説化した才女だが、日本の将棋のチャンピオン藤井聡太がスー女史との会見を望んでいた。
「?」。じつは藤井叡王はAMDの新型パソコンを自作し、「AI将棋ソフト」によって勝負局面の解析や対局シミュレーションを行ない、勝負能力強化を図ってきたのだ。AMD製品の活用で次々とタイトルに挑戦し続けてきたわけで、2022年にはAMDのブランド広告に藤井が起用された。スー女史は来日時に、藤井の誕生日に合わせて会談を設定した。
▼なぜアメリカは台湾半導体企業を警戒するのか
日本でも波乱の一幕があった。西村産業相は「エヌビディアCEOの黄仁勲(「ジェンスン・フアン=台湾人)から、日本における研究開発拠点の設置の意向が示された」と記者会見で披露した。大規模言語モデルに加えて、ロボティクスの分野でエヌビディアはモデル開発に期待しているという。
エヌビディアが日本と組みたいのはスパコンなど日本が優位を誇る技術との連携で、とくに産業技術総合研究所との連携強化に狙いがある。産総研はエヌビディアからGPU(画像処理半導体)の供給を受けてきた。
 米大手のインテルやマイクロンはバイデン政権の意向に逆らって中国国内で半導体生産を継続している。そのうえラボを設営しており、米商務省の規制には反対の声をあげてきた。
 またTSMCはアリゾナ州に進出するものの、次世代AIは、「台湾で製造する」と言明しており、エヌビディアも先端ラボは台湾で設立するなどの動きをみせている。これらの動きは米国の神経を逆撫でしている。
 懸念する理由ははっきりしている。
 第一にハイテク情報��とくに台湾から中国へ最先端技術の機密漏洩が連続していること。中国のSMICはそもそも台湾TSMCにいた台湾人エンジニア数百人が大陸に渡って仕上げたのだ。
 第二に台湾軍人の軍事機密漏洩がつぎつぎの明るみに出たことだ。
中国は台湾総統選挙に向けてスパイ気球を1月6日までに17個も飛翔させ、武威、威嚇をしめしつつ、裏面では破壊工作に余念が無い。米国は台湾軍高官等の機密売買の実態を把握しており、このため高性能武器の台湾供与を遅らせてきた。
 第三にファーウェイのL540ノートブックがSMIC製造の半導体使用ではなく、TSMCの5ナノ半導体「Kirin 9006Cプロセッサ」だったことがカナダの研究所のモデル解体解析調査で判明した。
 ただしファーウェイのスマートフォン「Mate 60」は、中国製の7ナノ相当の半導体だった。これらは台湾人エンジニアが協力し、中国の技術的独立推進に貢献していた。
 第四に中国に工場を持つ台湾企業の従業員らの心理と背信である。また眼に見えないスパイ工作が台湾で進んでいることも米国に疑念を抱かせる。
 台湾当局は5日、暗号資産を利用して中国から資金提供を受け、選挙活動を行っていた女性候補を反浸透法違反容疑で拘束した。この女性候補は桃園から立候補した馬治薇。彼女は23年に中国の対台湾工作部門の人物から選挙に立候補して選挙関連の情報を渡す見返りに暗号通貨などで470万円を受け取った。
馬は台湾民衆党からの立候補を目論んだものの中国との関係に問題があるとして、同党は推薦せず、無所属での出馬となっていた。
 ▼中国SMICが大量生産に突入する
 2024年の世界の半導体市場を展望すると、6%以上の成長が見込まれている。とくに中国の飛躍が予測されている。
現在も世界の半導体の30%は中国が買っている。
半導体生産は80%がアジア、それも中国、台湾、韓国、日本に集中している。米国の生産は世界の10%、欧州は9%。だから欧米の焦りは並大抵ではなく、WTOが規制する政府補助金をつけて、半導体企業の誘致に余念が無い。ドイツも99億ユーロを補助して半導体企業の誘致をきめた。
 インテルはインドとイスラエル、とくに後者には250億ドルを投資し、イスラエル政府は32億ドルの補助金支出をきめた。
 TSMCはアリゾナに新工場を建設中だが、建設労働者不足と労組の反対運動のため、工期が大幅に遅れている。日本のラピダスは千歳で工場建設は予定通り、TSMCの熊本工場も建設は順調という。
 中国のSMICは24年度中に新工場を42ヶ所つくると豪語している。SMICは汎用28ナノ半導体の大量生産をはかり、EVならびにAI向けとする。
 業界がおそれるのは、いきなりの大量生産により中国のダンピング攻勢で世界の半導体市場が攪乱されかねない懼れである。
なぜなら中国は国内消費者に中国製を買えとキャンペーンを張るうえに補助金をつけるからだ。
風力発電、太陽光パネル、そして現在のEV自動車の世界への殴り込み、その遣り方、その世界市場独占への道のりを考察すれば、中国の次の一手がみえてくる。
10 notes · View notes
figureskatingbiyori · 8 years
Photo
Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media Tumblr media
Shoma Uno 2017 Four Continents Figure Skating Championships (Gangneung) SP “Fantasy for Violin and Orchestra (from Ladies in Lavender)” by Joshua Bell Choreo by Mihoko Higuchi V
294 notes · View notes