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#幸福への息吹
orange-margaret · 5 months
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poetohno · 2 months
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4 10 詩集 返答詩集 日記詩集  おまけトーク(思考の3タイプ)
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―第二章― 画家が心に描く景色
彼女は売れない画家 心に見た風景に触れるために筆を握り 想いを色に託して散りばめる
崩れ落ちる波 空に波打つ雲 雲から降り注ぐ滝 涙に暮れる雨 昇る瞬間の太陽 月夜の静けさに舞う桜 人の笑顔 手に触れた温もり
描くだけなら写真を写し取るのと変わらない 見た物をただ描きたいわけではなかった 見えないものを絵に加えたいわけでもなかった
心に感じた躍動 美しいと思わず溜息が漏れた瞬間 ささやかな幸福に満たされた思い出 放たれた想い
出来上がった作品には何の感動もなく 心が震えた瞬間はどこにもなかった
思うように描けない 苛立ち キャンバスを破り 筆を投げ捨てたこともあった
彼女は新しいキャンバスを立てかけ 新調した筆でもう一度描くのだった
何度でも 届かなくても 救いを求める指先のように
心に見た眩しさを 描きたくて 心に触れた温かさを 見てみたくて
本当に描きたかったのは 彼女が見た夢だったのかもしれない
「遙かなる風」
黄金の大地が緑に変わりゆく 見上げれば蒼い山々が連なり 風吹けば川のせせらぎが安らかに流れ 橋から見渡す景色に帰る場所が溶け込み 彼方に行き先を見る
石垣を覆う草が風に揺れる 脇を流れる小川に笹舟が流れる 人の思いを乗せて 手に込めた願いを繋ぐように
舟はどこまで行くのだろう 誰かに届くことはあるだろうか
沈まない舟はない 川を流れ続けるなら 風の彼方の川の果てまで流れていくとしたら 笹舟が見る景色はどんな世界なのだろう
草が揺れて赤いベンチが顔を覗かせる 使われなくなったバス停が残された 旅の僻地 訪れる人はいるだろうか 誰も訪れなくても 取り残されたベンチは 帰らぬ人を待つかのように 今日もまた 旅人の訪れを待っている
「とあるお店にて」
ⅴ・たとえ仕事を辞めることはできても
たとえ仕事を辞めることはできても 自分を辞めることはできない 働く時間をどんなに生活と隔てて考えようとも 生き方は 生きる限り問われ続ける
人生と仕事を分けて考えてしまったら 働いている間の自分は一体どこにいるのか どこで生きているのか
働くために生きるのではないはず 生きるために働くのでもないはず
働くことの積み重ねに 自分が自分として生きる一瞬も存在するはず
自分の願いと他人の願いとの間に 営みがある
「故郷―夢の彼方―」
1「哀しみのゆくえ」
傷と痛みは旅立ち 哀しみと虚しさは辿り着く
地平の彼方へ 行き着く先は広漠の地
思い出は残像に過ぎなくて 時を経て虚しさを積み重ねてきた
空いた隙間が 重苦しくて耐えられない
何で埋めていいのかも分からない 苦しみで埋めようとしているのかもしれない
涙をどれだけ流そうとも 心が満たされることはない
風に扇がれる木の葉のように 彷徨うしかなくても
見つけてもいない煌めき 確かに手にしたいと願う何か
探しても見つけられないから救われない どこに行っても触れられないから空しい
求めているものが何一つとして手に入らない 生きることに失望してしまう
未来を希い 世界を旅している
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kachoushi · 1 year
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各地句会報
花鳥誌 令和5年5月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和5年2月2日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
厨女も慣れたる手付き雪掻す 由季子 闇夜中裏声しきり猫の恋 喜代子 節分や内なる鬼にひそむ角 さとみ 如月の雨に煙りし寺の塔 都 風花やこの晴天の何処より 同
(順不同特���句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月4日 零の会 坊城俊樹選 特選句
暗闇坂のチャペルの春は明日あたり きみよ 長すぎるエスカレーター早春へ 久 立春の市の算盤振つてみる 要 冬帝と暗闇坂にすれ違ふ きみよ 伊達者のくさめ名残りや南部坂 眞理子 慶應の先生眠る山笑ふ いづみ 豆源の窓より立春の煙 和子 供華白く女優へ二月礼者かな 小鳥 古雛の見てゐる骨董市の空 順子 古雛のあの子の部屋へ貰はれし 久
岡田順子選 特選句
暗闇坂のチャペルの春は明日あたり きみよ 冬帝と暗闇坂にすれ違ふ 同 大銀杏八百回の立春へ 俊樹 豆源の春の売子が忽と消え 同 コート脱ぐ八咫鏡に参る美女 きみよ おはん来よ暗闇坂の春を舞ひ 俊樹 雲逝くや芽ばり柳を繰りながら 光子 立春の蓬髪となる大銀杏 俊樹 立春の皺の手に売るくわりんたう 同 公孫樹寒まだ去らずとのたまへり 軽象
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月4日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
敬􄼲な信徒にあらず寒椿 美穂 梅ふふむ野面積む端に摩天楼 睦子 黄泉比良坂毬唄とほく谺して 同 下萌や大志ふくらむ黒鞄 朝子 觔斗雲睦月の空に呼ばれたる 美穂 鼻歌に二つ目を割り寒卵 かおり 三􄼹路のマネキン春を手招きて 同 黄金の国ジパングの寒卵 愛 潮流の狂ひや鯨吼ゆる夜は 睦子 お多福の上目づかひや春の空 成子 心底の鬼知りつつの追儺かな 勝利
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月6日・7日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
潮騒を春呼ぶ音と聞いてをり かづを 水仙の香り背負うて海女帰る 同 海荒るるとも水仙の香の高し 同 坪庭の十尺灯篭日脚伸ぶ 清女 春光の中神島も丹の橋も 同 待春の心深雪に埋もりて 和子 扁額の文字読めずして春の宿 同 砂浜に貝を拾ふや雪のひま 千加江 村の春小舟ふはりと揺れてをり 同 白息に朝の公園横切れり 匠 風花や何を告げんと頰に触る 笑子 枝川やさざ波に陽の冴返る 啓子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月8日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
雪を踏む音を友とし道一人 あけみ 蠟梅の咲き鈍色の雲去りぬ みえこ 除雪車を見守る警備真夜の笛 同 雪掻きの我にエールや鳥の声 紀子 握り飯ぱりりと海苔の香を立て 裕子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月10日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
東風に振る竿は灯台より高く 美智子 月冴ゆる其処此処軋む母の家 都 幽やかな烏鷺の石音冴ゆる夜 宇太郎 老いの手に音立て笑ふ浅蜊かな 悦子 鎧着る母のコートを着る度に 佐代子 老いし身や明日なき如く雪を掻く すみ子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月11日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
朝光や寺苑に生るる蕗の薹 幸風 大屋根の雪解雫のリズム良き 秋尚 春菊の箱で積まれて旬となる 恭子 今朝晴れて丹沢颪の雪解風 亜栄子 眩しさを散らし公魚宙を舞ふ 幸子 流れゆくおもひで重く雪解川 ゆう子 年尾句碑句帳に挟む雪解音 三無 クロッカス影を短く咲き揃ふ 秋尚 あちらにも野焼く漢の影法師 白陶 公魚や釣り糸細く夜蒼し ゆう子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月13日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
犬ふぐり大地に笑みをこぼしけり 三無 春浅しワンマン列車軋む音 のりこ 蝋梅の香りに溺れ車椅子 三無 寒の海夕赤々漁終る ことこ 陽が風を連れ耀ける春の宮 貴薫 青空へ枝混み合へる濃紅梅 秋尚 土塊に春日からめて庭手入 三無 夕東風や友の消息届きけり 迪子 ひと雨のひと粒ごとに余寒あり 貴薫
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月13日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
浅春の眠りのうつつ出湯泊り 時江 老いたれば屈託もあり毛糸編む 昭子 落としたる画鋲を探す寒灯下 ミチ子 春の雪相聞歌碑の黙続く 時江 顔剃りて少し別嬪初詣 さよ子 日脚伸ぶ下校チャイムののんびりと みす枝 雪解急竹はね返る音響く 同 寒さにも噂にも耐へこれ衆生 さよ子 蕗の薹刻めば厨野の香り みす枝
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月14日 萩花鳥会
水甕の薄氷やぶり野草の芽 祐子 わが身共老いたる鬼をなほ追儺 健雄 嗚呼自由冬晴れ青く空広く 俊文 春の園散り散り走る孫四人 ゆかり 集まりて薄氷つつき子ら遊ぶ 恒雄 山々の眠り起こせし野焼きかな 明子 鬼やらひじやんけんで勝つ福の面 美惠子
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令和5年2月15日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
吹雪く日の杣道隠す道標 世詩明 恋猫の闇もろともに戦かな 千加江 鷺一羽曲線残し飛び立てり 同 はたと止む今日の吹雪の潔し 昭子 アルバムに中子師の笑み冬の蝶 淳子 寒鯉の橋下にゆらり緋を流す 笑子 雪景色途切れて暗し三国線 和子 はよしねまがつこにおくれる冬の朝 隆司 耳目塗り潰せし如く冬籠 雪 卍字ケ辻に迷ひはせぬか雪女 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月16日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
指先に一つ剥ぎたる蜜柑の香 雪 大寒に入りたる水を諾ひぬ 同 金色の南無観世音大冬木 同 産土に響くかしは手春寒し かづを 春の雷森羅万象𠮟咤して 同 玻璃越しに九頭竜よりの隙間風 同 気まぐれな風花降つてすぐ止みて やす香 寒紅や見目安らかに不帰の人 嘉和 波音が好きで飛沫好き崖水仙 みす枝 音待てるポストに寒の戻りかな 清女 女正月昔藪入り嫁の里 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月17日 さきたま花鳥会 坊城俊樹選 特選句
奥つ城に冬の遺書めく斑雪 月惑 顔隠す一夜限りの雪女郎 八草 民衆の叫びに似たる辛夷の芽 ふじほ 猫の恋昼は静かに睨み合ひ みのり 薄氷に餓鬼大将の指の穴 月惑 無人駅青女の俘虜とされしまま 良江 怒号上げ村に討ち入る雪解川 とし江 凍土を突く走り根の筋張りて 紀花 焼藷屋鎮守の森の定位置に 八草 爺の膝捨てて疾駆の恋の猫 良江
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月19日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
古玻璃の奥に設ふ古雛 久 笏も扇も失せし雛の澄まし顔 眞理子 日矢さして金縷梅の縒りほどけさう 芙佐子 梅東風やあやつり人形眠る箱 千種 春風に槻は空へ細くほそく ます江 山茱萸の花透く雲の疾さかな 要 貝殻の雛の片目閉ぢてをり 久 古雛髪のほつれも雅なる 三無 ぽつねんと裸電球雛調度 要
栗林圭魚選 特選句
紅梅の枝垂れ白髪乱さるる 炳子 梅園の幹玄々と下萌ゆる 要 濃紅梅妖しきばかりかの子の忌 眞理子 貝殻の雛の片目閉ぢてをり 久 古雛髪のほつれも雅なる 三無 老梅忌枝ぶり確と臥龍梅 眞理子 山茱萸の空の広さにほどけゆく 月惑 八橋に水恋うてをり猫柳 芙佐子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月21日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
師を背負ひ走りし人も雪籠 雪 裏庭開く枝折戸冬桜 同 天帝の性こもごもの二月かな 同 適当に返事してゐる日向ぼこ 一涓 継体の慈愛の御ん目雪の果 同 風花のはげしく風に遊ぶ日よ 洋子 薄氷を踏めば大空割れにけり みす枝 春一番古色の帽子飛ばしけり 昭上嶋子 鉤穴の古墳の型の凍てゆるむ 世詩明 人の来て障子の内に隠しけり 同 春炬燵素足の人に触れざりし 同 女正月集ふ妻らを嫁と呼ぶ 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月26日 月例会 坊城俊樹選 特選句
能舞台昏きに満ちて花を待つ 光子 バス停にシスターとゐてあたたかし 要 空に雲なくて白梅すきとほる 和子 忘れられさうな径の梅紅し 順子 靖国の残る寒さを踏む長靴 和子 孕み猫ゆつくり進む憲兵碑 幸風 石鹸玉ゆく靖国の青き空 緋路 蒼天へ春のぼりゆく大鳥居 はるか
岡田順子選 特選句
能舞台昏きに満ちて春を待つ 光子 直立の衛士へ梅が香及びけり 同 さへづりや鉄のひかりの十字架へ 同 春の日を溜め人を待つベンチかな 秋尚 春風や鳥居の中の鳥居へと 月惑 料峭や薄刃も入らぬ城の門 昌文 梅香る昼三日月のあえかなり 眞理子 春陽とは街の色して乙女らへ 俊樹
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和5年2月 九州花鳥会 坊城俊樹選 特選句
ポケットの余寒に指を揉んでをり 勝利 黒真珠肌にふれたる余寒かな 美穂 角のなき石にかくれて猫の恋 朝子 恋仲を知らん顔して猫柳 勝利 杖の手に地球の鼓動下萌ゆる 朝子 シャラシャラとタンバリン佐保姫の衣ずれ ひとみ 蛇穴を出て今生の闇を知る 喜和 鷗外のラテン語冴ゆる自伝かな 睦古賀子 砲二門転がる砦凍返る 勝利 小突かれて鳥と屋や に採りし日寒卵 志津子 春一番歳時記の序を捲らしむ 愛
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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yachch · 2 years
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新刊『光や風にさえ』試読
プロローグ アサイラムにて
 おぼえているかしら、ねえさん、裏庭にあったブランコのこと。古びたユーカリの木の枝からぶら下がっていた。嵐の晩にどこかへ飛ばされてしまって、どんなに探してもみつからずに、枯れ葉の下で朽ちて、土に還っていった。  妹の声がよみがえってきたのは、シャワールームにいるときのこと、わたしはバスタブに寄りかかってシャワーの水があたたまるのを待っていた。給湯器の調子が悪くて、適温になるまで何分もかかったから。わたしは両足を開いて床に座り、陰部にできたしこりをいじっている。クリトリスを挟むようにできたしこりは痛みこそないけれど、時間をかけ、ゆっくり成長している。  妹とは夕方に十五分くらいビデオ通話で話した。電話代だってばかにならないのに、水曜日になるとかならずかかってくる、儀式めいたもの。でも、このところの彼女は、どうにも歯切れが悪く、あたりさわりのない話題ばかり選んでいるようだ。衛星がぐるぐる回るように、迂遠な語りばかり重ねている。だからふたりの会話はいつも迷走して、着地点を見失って終わる。頻繁に話しているわりには印象に残りづらい、無意味な語りかけは、けれどもトゲのようにわたしの胸に刺さった。  かつて家族で暮らした一軒家には、たしかにユーカリの木があった。赤土にどっしり根を張り、枝という枝からボロ布のようにウスネオイデスをぶらさげていた。けれども、その枝にブランコをぶらさげたことは一度もなかったと記憶している。妹と一緒に暮らす両親すらおぼえていないと言うのなら、もうたしかめようのないことだ。火の不始末で、わたしたちの生家は祖母ごと燃えてなくなってしまったことだし。  でも、たしかめようがないからこそ、おぼえているかしら、と妹は語りかけてきたのかもしれない。記憶という本来わかちがたいものを共有したいと思い、願ったから。不幸にもその記憶はだれにも受けとめられず、宙に浮いてしまった。蓋然性を失し、空想の、あたかも物語であるかのような語りに変質していった。ただ生きているだけの、とるにたらない人間の記憶の正誤など、いちいち検証してはいられない。記憶を共有する誰かが、たしからしいと証明しないかぎりは。だから、記憶を共有できないというのは、物語と区別がつかなくなることに近しいのではないか、とわたしは思う。  眩暈が波のように押し寄せてくる。貧血からくるそれを床に伏せてじっとやり過ごす。気を取り直して、シャワーが適温になったことを手のひらでたしかめた。  バスタブに入り、半身に湯水を浴びて、肉体の痛みがどこか遠い場所に去ってくれることを期待する。湯気にかすむ天井をぼんやりながめていると、ふと、半年くらい前におなじ体験をしたのだ、ということに思い至った。あのときの彼女も、わたしに対してこのように語りかけた。Tal vez te acuerdes(おぼえているかしら)、と。耳朶に直接吹きつけられたかのように、息づかいや吐息の熱とともに、なまなましくよみがえるその声。  泡沫のように予期せず浮かび上がってきた記憶が、異なる記憶と共鳴し合い、痛みからの逃避を求めるわたしをその渦に飲みこんでいく。  ――きっかけはロドリゴだった。半年ほど前だったか、彼から電話がかかってきて、たまたまそれを受けた。テニュア審査に落ちた彼が市内の別の大学に転籍するのと、わたしが自分の研究室を閉めたのはほぼ同時期で、以来、一年半にわたって彼からの連絡を無視していた。だからわたし電話口に出ると、彼はとてもびっくりした。  彼は興奮ぎみに近況を話し、非常勤講師としてなんとか食いつないでいると言った。わたしはすでに大学を退職していたけれど、自分からは話さなかった。用件はこうだ――調査に同行してくれる日本語通訳者をさがしている。  たしかにわたしは日系三世で、日系移民の帰国事業を見越して親も桂(ケイ)なんていう日本的な名前をつけ、日本語の教育を受けさせた。でも、第一言語は彼とおなじスペイン語で、妹ほど流暢にはしゃべれない。正直にそう話すと、いいから、とロドリゴは言った。実は、日系移民の女性に会いに行くんだ。貴重な一世さ。スペイン語が通じなかったとき、ちょっと手助けしてくれるだけでも――本音をいうと、きみに会えるかもしれない、ってのがうれしくてたまらないんだ。ロドリゴの声は弾んで、涙まじりだった。すこし前だったら、不愉快になっていたかもしれない。あなたが想像したり、ときに期待したりするほど、あっというまに死ぬわけじゃないんだと嫌味を言っていたかもしれない。でも、電話に出る気になったのと同じ理由で、わたしは柄にもなく浮かれていた。病気が寛解し、経過観察になったから。血流に放たれたエクソソームが臓器を耕し、いずれはまた悪いものの芽を生やすとしても、たとえいっときでも心身をどろどろにする化学療法から離れられた。  ロドリゴは以前とかわらず、『トラタミエント』と呼ばれる処置を受けた臓器提供者たちの追跡調査を続けていると話した。くだんの日系移民の女性もそのひとりだった。長く非合法の臓器提供者として生計を立て、その最後の段階として、いまは心臓の提供先を探しているという。わたしの祖母と世代が近く、長く市内のアサイラムで暮らしているとの話で、どこかで祖母とかかわりがあったかも、と考えたことをおぼえている。昔からここに住んでいる日系人はめずらしかったので。  約束をとりつけて、数日後には彼女のもとに足を運んだ。彼女の暮らすアサイラムまでは、最寄りのバス停からけっこう距離があって、何度も階段路地をのぼったりおりたりするはめになった。歩きながら、ロドリゴは飼っているデグーの話をした。わたしは適当に相づちを打ちながら、どうしてこのあたりはこんなに臭いんだろうと考えていた。アサイラムは移民街のなかほどに位置していたが、腐った歯のようにバラックが密集して、有機物の発酵しゆく臭いが充満していた。  さんざ迷った末に目的地に到着し、受付にいたアサイラムのスタッフに彼女の所在をたずねると、あのひとならいつも中庭よ、と言われた。日陰で根を生やして、じっとしているはずよ。案内された中庭は狭く、きたならしかった。年老いた女性が地面を転がりながら煤けた肌をかきむしっていた。なにをそんなに恐れているのか、ずっと声を震わせながら怒鳴っている男性もいた。でも、大抵のひとは、死んだように目を閉じて、その場でじっとしていた。コントロールしやすいように毎日多量の鎮静剤を与えて、市街からかき集めてきた浮浪者や精神異常者を押しこめているから。公的給付金を得るためだけに運営される福祉施設のひとつ。  狭い中庭をロドリゴは歩き、すぐひとりの女性に目をつけた。大柄な彼の影にすっぽり収まってしまうくらい小柄な女性で、膝を抱えて座りながら、じっと地面の一点をみつめていた。  ――なにをみているんですか?  地面に膝をつき、ロドリゴが問いかけるが、女性はひび割れたタイルを凝視するだけで答えない。まばたきをしないので、眼球がすっかり乾いて、充血していた。目許には脂(やに)が溜まって複雑な地層をなしていたことをおぼえている。  ロドリゴがしばらく無意味な呼びかけを続けていると、屋内からスタッフが出てきて、備えつけのホースで水をまきはじめた。ロドリゴがさっと立ち上がる。彼女の隣には排水溝があって、地面の傾斜に従って水がそこに流れていった――でも、彼女はくるぶしまで水に浸かっても平然としていた。みじろぎひとつせず、修行僧のようにじっと座り続けている。  事前に渡された診断書には、彼女が多数の臓器を喪失している事実とともに、認知能力が極端に低下していることが記載されていた。くずれゆく脳では記憶が更新されず、判断力と遂行力も消失する。外界からの刺激に鈍くなっていた。  スタッフがおもむろに歩み寄ってくる。水の通りが悪くなったのか、排水溝に引っかかるものをつかんで放る。  放り投げられたものは、偶然、彼女の目先に落ちた。  すると、はだしの指の先が、ぴくりと動いた。  彼女はまぶしそうに片目をすがめると、ささやくようにこう言った。  ――あれは蘭。アングロアの根。  何年ぶりかに話したかのように、声はかすれている。  ロドリゴはかすかに身じろぎし、前のめりになると自然と傾聴の姿勢をとった。彼女はスペイン語を話しはしたがひどくなまっていたので、正確に聴き取るためには用心深く耳を澄まさねばならなかった。  ――もともとは寒いところの花……だから、低地で育てると夏越えができなかった。毎年そうだった。  それだけ言うと、また押し黙ってしまう。  ――蘭を育てたことがあるのですね。私の実家の裏庭にも、原種の蘭がたくさん咲いていましたよ。  彼女の目線の先にあるものは、たしかに植物の根のようにもみえた。腐ってカビが密集し、もとが何だったのかは判別がつかなかったけれど。  ――私の家の庭には、アロエやベゴニアがあって……それから。  意外にもしっかり会話がつながったことにおどろいていると、彼女はゆっくり顔を上げ、相手と目を合わそうとすることさえ試みた。  でも、視線の先にいたのは話しかけたロドリゴではなく、どうしてかわたしった――彼女は表情らしき表情を浮かべていた。不自然に顔をしかめるだけだったが、驚愕ともとれた。  ――おぼえているかしら?  口の端にほほ笑みをにじませ、彼女は語りかけた。分かちがたく、不可侵の記憶の一片を、わたしが受けってくれることを願いながら。  ――わたしの庭に蘭があったこと、おぼえているかしら、アングロアの、赤ん坊の花。  あとになってわたしは思う。もしかしたら、あの瞬間、彼女はみずからをとりまいていた深い暗闇をぬけだして、くずれゆく自己をほんの一片でもつかみとったのかもしれないと。  この不可解なできごとを前に、ひとつ思い出すものがある。  いつかSNSで拡散されていた、ある動画のこと。再生をはじめると、どこかの高級な養老院とおぼしき明るいホールが映る。そこでは老人たちが談笑しており、カメラのレンズはそのなかのひとり、車椅子に座った老女に近づいていく。赤子のように無垢な目で虚空を眺めていた老女は、ホールに音楽が鳴り出すやいなや、不自由な上半身を繰って、何とも生き生きと踊りはじめる。見間違いようもなく、アルゼンチン・タンゴのふりつけで。タンゴは足さばきに目がいきがちだが、軸が置かれるのは上半身だ。上半身の動きがあってこそ、複雑なステップが生まれる。だからこそ老女が上半身をよじり、そらすだけで、タンゴという共通言語をもつ者の目には自然と優雅な足どりが浮かぶ――動画の最後には、老女がかつて一世を風靡したアルゼンチン・タンゴのスターであり、現在は深刻な認知症で自分の名前すら思い出せない旨が記される。奇跡の数分間。でも、そのうつくしい再現はけっして奇跡の賜物ではないことをわたしは知っている。単に彼女が長い時間をかけて軟骨をすり減らしながら、必死にタンゴのリズムを身体に記憶させたという証左でしかない。身体記憶は、自我や認知とは異なる場所に保管されるものだから。ゆえに自分の名前を忘れても、タンゴは忘れないという不可解な状況も成立する。  だから、彼女はあの腐った根をみて、土をいじる感触、花と緑葉の香りを想起したんじゃないだろうかとわたしは想像する。身体記憶をきっかけに、ほどかけかた自己が偶然にも結び直されて、泥河に沈んでいた物語に光が当てられたのではないかと。  そうでなければ、説明できないとも思う。  ――だいじょうぶ、ちゃんとやるわ、私。あなたのためなら、心臓をあげたってかまわない。約束したものね。  ――約束って?  ロドリゴの質問に、彼女は穏やかに話した。  ――仏さまに近づけるって、あなたが言ったんじゃない、マヤ。  ――マヤって?  ――私の娘。そうでしょう?  わたしはとっさにかぶりを振る。  すると彼女は語りはじめた。  真偽不明で信憑性に欠けた、一編の長い物語について。
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voilld · 15 days
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Chiaki Kobayashi “FOCUS” 小林千秋「フォーカス」2024.9.14 Sat - 9.29 Sun
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この度VOILLDは、小林千秋の新作個展「FOCUS(フォーカス)」を開催致します。本展は2023年に開催された個展「Catch」に続く、VOILLDでは四度目の新作個展となります。 1996年に福島県に生まれ、武蔵野美術大学を卒業。グラフィックデザイナー、イラストレーターとして活動を行いながら、アーティストとしても作品の制作を行い、多彩な表現を用いて活躍の場を広げている小林千秋。パッケージや プロダクト、装丁、ロゴデザイン、Web メディアや雑誌、CDジャケット等、企業やブランドへの作品提供をはじめ、作品集の発売やオリジナルアイテムの制作など、精力的に作品を発表し続けています。 小林千秋は、何気ない日常の景色やワンシーン、日用品や食べ物などの身近なものをモチーフとし、コンピューターグラフィックを連想させるようにシンプルで美しく、単一なラインによって簡略化された、独自の表現でドローイング作品を制作しています。最小限の要素で描かれたグラフィカルなモチーフ達は、彼女がスポットを当てる事で息が吹き込まれ、日々の中のささやかな胸打つ瞬間を思い起こさせくれるようでもあるのです。 「FOCUS」と題された本展では、小林の心が反応した場面や瞬間に焦点を当てながら、日常で目にしたもの、そして目に見えない自身の内面的な心象も風景として作品に描写しています。世界に溢れる情報や出会いの中で、何に心を動かされ、何を感じるのか。見過ごしてしまいそうな小さな気づきを、自身の繊細な感覚を通して今一度見つめ直しながら作品が制作されました。描かれているモチーフは人物が登場するワンシーンをはじめ、動物、本、椅子、街角、身の回りの物などの情景です。それらは一見何気なくそこに存在しているようですが、削ぎ落とされた要素で構成されたモチーフたちは、柔らかい温度をもって描かれる曲線によって、小林がその時に感じたままの香りや空気感、対象物との距離感までもが伝わってくるかのような優しくも強い生命力を感じさせます。小林は、穏やかな日常に潜む豊かさやささやかな喜びだけでなく、静穏でない瞬間や違和感を感じる場面も受け入れながら、それらに敏感に反応し鋭敏で率直な感性によって捉え、生き生きとした線で描き出しています。彼女の作品は、ただ美しい平穏だけを表現するのではなく、内面的な心の動きと外の世界との交錯を意識的に行い表現することで、より人間らしく多層的な意味を感じることができるのです。作品を通して、観る者に自身の心の動きや周囲の世界に対して新たな視点や発見をもたらすことでしょう。 会場では、新作のドローイング作品約20点を発表いたします。前回の個展より1年の歳月を経て、一層洗練された深みを纏った最新作を、どうぞゆっくりとご堪能いただければ幸いです。皆様のご来場を、心よりお待ち申し上げております。 - - - 頭が理解したものがたくさん転がっている そこからひとつひとつ拾い上げて 心と体が追いつくのを待ってから眺める いつも通り見えるもの 昨日より新鮮に見えるもの あまり見たくなかったもの いまはまだよく見えないもの ゆっくりと焦点を合わせながら世界と自分をもう一度理解する そして言葉と形を行き来しながら適切な線で絵を描く ー小林千秋
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小林千秋|Chiaki Kobayashi イラストレーター・グラフィックデザイナー。 福島県生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒。 シンプルな線と構図を用いたイラストレーション作品を中心に、雑誌、書籍、パッケージ、プロダクトへの作品・デザイン提供など、 国内外の幅広い分野で活動を行う。 IG ・EXHIBITIONS (Selected) 2023 個展:「Catch」@VOILLD (東京) 2022 個展:「Throw」@VOILLD (東京) グループ展:「“8” VOILLD 8th Anniversary Exhibition」@VOILLD (東京) グループ展:「LIGHT」@VOILLD (東京) イベント:「Featured Projects 2023」@THE CAMPUS (東京) イベント:「WASHIDA 12th Anniversary × Chiaki Kobayashi」@WASHIDA (台湾) 2020 個展:「Tuning」@VOILLD (東京) 個展:「四角を走る run the square」@アメリカ橋ギャラリー (東京)
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Chiaki Kobayashi "FOCUS" 小林千秋「フォーカス」 会期:2024年9月14日(土)~9月29日(日) オープニングレセプション: 9月13日(金) 18:00 – 21:00 開廊時間:12:00 - 18:00 休廊日:月曜、火曜 ー 14th Sat - 29th Sun Sep. 2024 Open: 12-6pm Closed: Mon&Tue
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kotobatoki-arai · 28 days
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Invisible奇候
 窓の外は総てたわいない挿話である。熾火が時を経て蛍を遺し鮮明に刻印する思考濃度を確かめる。足を止めたときに憑かれる、いつか。術はまるでひどくおかしいのか、空穂舟はびしょうへと降下するんだって。あからさまで逆さまにしても芝居じみ、おちつかず、微睡み……類似を手繰らせ、急ぎお躾る。〈鉄条網のさきで〉ぐるりとみわたせば花托は煤けたようで拡がってゆく。ただ己の呼吸に縛られカラダをひきづってその場所へ、そのものへむかって、いつまでもなにもできずにいる  拒絶するものでしょう/これらすべては  知っていたか 〝Invisible〟  そのままの意味さ/ごらん。セピアの杜だ  ビニールの淡い色彩を持つ差傘の賑わいだけ延ばして、何処かを浮かべ帯を引く。万物故に大柄のあとにして痺れ、窄んだ水母は輝き出る、そして逃げ腰の風紋。大通りに面したテラス席に座りこみ、しばし往来に視線を預ける。死神の名をこうしてもって想像します  引っ詰める髪を雑に解いて、落日と点滅する生命ひとつずらして、口にした敗は悪びれずに。あなたは普段 壊れやすい一礼をして、未練がましい手首ばかりがわぁと泣き顔を踏む。幸せを願えずどこか不幸をさずけてしまう所があります  ~かたしなぢ仄かやあい聲や、左右によろねくこどしかできづ~ 祖は頷く波風の欠けた姿勢のみ曝し、廃線に沿って正す。頬染める夏模様ばかりが一雨きそうで。ならそうだね 入道雲を垂らした必然。――単純なわたしとは/きっぱり/ある点まで起き上がり、ようやっと続けられるあわい世界で胸に手を当て、気づけばもじょもじょしていた  荒んだ庭を眺めているのはまたあした。うん、この愁い開放の夢も、くねるものながら ザラザラとひらかれたこの翠雨よ。こんな具合 じゃ、結び、置き手紙を奏して 風鈴の訛りに隷シタガい給え。なんて実にひとつの玲瓏をいただく背景はさ 宵の花火まですこし休めると横になり、淡い雫を映してしまうよ  あまり綴られた糸は今にも千切れそうで、切なさを不意に思いだすから弱々しく惚けていて 既にしゃぶりついた白紙の静寂なり。まだ投げかけた気配がないから結局、のろのろと拙い否か応か。あぁ萬畫のような素形だと遠くを看做ミナし、ふくよかな私すら消し去るのでした。 オシマイ。なんて葬するより鮮明な首を切る?  もうすぐこれが手を握るの。だからぎゅっとよかったね、 コレが視野調和の習慣  そこまでの道のりと憶病で柔らかい棘であり、歪んだ小花が微動だにせずに、一冊の手記を携え喫茶店を訪ねたのか。その所為? と口を挟み、どこへでも翔けることが叶うようであった。とはいえ屁理屈は訪れ藍色の海のみなそこを現した、水葬に浮いている擬声と愛されることに、一斉にひぐらしと暗示して、なら。初夏はいま錆色の空に似つかわしくない香炉ひとつが与える情感であった。ほらほら、視覚は主張であり空虚とは気晴らしで。ね? いいでしょう  綺麗事はそれっきりだ。みぎわのにおいと猛言と 熱と肺腑にしみる浮雲を しぃと破片と造り込んでは、その上は短くて堪らなく愛おしい、怯えた仕草も表立つ。虚ろ目で流れ落ちる間隔 無作為に「そうかもしれないなあ」と見守るかたち。空は夜に溶け透明な動脈に従う、足は翼を持つらしい。ほぉ満ちていた、押し当てられたような痛みを伴って。然し、急がなければいけない『伝達』とはこう漂っている。均等にして微笑んでいるとき永久トワ  ――遺体を骨にする。  そう反復するのでした/くりかえし/おちつかないツクリである種は訝しむ策も蒸した柵もない。よって庭は傷ひとつない、それなら芽吹いた先にある一本道の、単にせせらぎが無垢な幾千の防波堤は。ほんとうだ、干渉を嫌い凪と破れ、黄昏に折り重なるばかり。 それでいうことなら―― 月が綺麗ですね (〝奥行の足りない暗渠に冷たく狭まるモノ〟) 雨がやみませんね。 じゃあ「どうすればいいですか。」 ぜいぜい喉を鳴らしながら、 まさに喰みだした彼岸への問いかけにすぎない (まるでつつがない、ふちでおわりはじまる プラネタリウムだろ。あの時刻表ではひかりは呼びかけに答えることなく、跳ねる硝子でのびた魚、鋭利な白樺と、雲雀の幸福はながいあいだ寝冷えしていた)  彼方はどうせひとりで眠る。再会と出発までわずかに割る。どうせ古い果肉だと思った。 ――毒があるのかも痴れない。厭に瑞々しいから/じっと眺めていて。または身を委ねて。もう!! おなじように溢した星あかりは照らされた。薄い肩を震わせ ややこしいので特別だと枯れぬ、嘘ッ……  熱い息を吐く/穏やかな寝顔の柔らかい死に包まれて挟んであり (今を、探している 誰そ彼のワタシハ 神様ではない)  悲鳴をこらえる/もっとも影がなく聞えたらしく流れ星を数えている  玄に歪んだ雲行きが溺れ向こう側が暗い (未成品の手紙を吐き戻す(  恋に熱に雨音がこもり  )死より腐蝕したひかりが旗色に切れて  )今やの飾りを打ち消すささやかな網膜が  港を認識する  、雷鳴を 掻き、毮る仕草  机上の蝋燭は強く揺らめき、闇を待つ。そう!   疎ましい箱庭除法。喉に絡む湿原を捉え深めるんだ  果たして不自由ならいっぺん尋ねる。おもいのほか、身なり背が高く奇数のランプの影はヒマワリひとり湛える境界なのだと、かこつけていった。いつも/とは/ほんとう/に目の前にぶら下がると。得るだけの季節と空間を憶えたのだ  これら揃えたこの腕はおごそかな事を興せ。たとえば星砂糖を数個入れ、ひたひたの珈琲をこぼしてみる、この口に含んで暫く呆けることは旅路への支度をすることと同じ。PCを閉じ席を立つ/けれど瞑ったまま、つまびらかにかるく押されて緑と光に透かす mama いつかのナデシコを少々足してね。あれら全てちいさく纏めつつ、車窓だけを摘み取る御者がいるらしいが。そうであったのならまるで、さし貫かれ 涙ぐんでむせて、咳き込むとひとみは光と宿していたとも射えるんだよ  つっかけの散らばる玄関などを通り抜け、腥温い風が障る。ただ受け入れた球体の彬しさは熱病の狂気におもう。それはちかちかとみれば、そこには しぶしぶ、どうしようと荒れ放題の皐月のツラがあり。いまやわらかで花を埋イける。指先が咲くからだ  まるで蝕まれる/亘りと 遮る物。閉じこもり悶々する筵そのまま 虚ろな手はない、意思の下に改めるからだばかり(いつも過去を窺え またも未来を奮う 今がまとまらず達する それはがっかりして丸まってしまうからだ。)  私はまなうらにある理想からはひじょうに、詳細は掴めないけど、空論を取り違えた屍は/口から勢いだけ流転させる心臓と蝶形のディテールを/鼓動は横たえた野アザミに押さえ/団居では白くとんで透き通る雨だれがぽろぽろ/つらぬくとともに殺されても好い。 ――時期、宵だとおもっていて  この一幕に手をかける・祈り・かがむ。それだけの縊れたゼロからやり直し、ときに流され 私はくらんでいた。まっしろな帆の尾を騒がせ胸から口許までの腐りや楔を用い、根は腐り繕うこともできず、ありがたくも引導を渡す  栓で結ってもなにも塞がらない、まほう  あのときの理由もなく傀儡もいばら その法楽  なにかわざわざ睨み付け、秘すれば花 そもそも光芒  ためいき ばらばらに髪を梳き、扇と流し込んだ水面はいつか澄みきるの だけど はかない/激しい/はなやかな。タマシイは内向きの銀河だろ  だけどこの瞳に焼き付いた奥ゆかしさを。気がつくだろ皆、遠くの尾根をこさえるあいだ。納棺師はあおいあおいそらにしろく、しろいくもを濯ぎ、すこしずつ紬いでそらに流していく彼方とは、   芙蓉――縮んだ襤褸だよと、 そよ吹いて根も葉もない偽善者だと所詮茶化すもの  だから、さぁ 2024/05/26
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yotchan-blog · 1 month
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2024/8/12 9:59:03現在のニュース
参議院選挙福岡選挙区、立憲民主党の現職いるが候補者公募…1人応募「異例だが決定手続きは凍結」([B!]読売新聞, 2024/8/12 9:57:22) 成田空港着陸のシンガポール航空機から「白煙」の通報 けが人なし(朝日新聞, 2024/8/12 9:53:55) 能動的サイバー防御、インフラ15業種に重点へ政府調整…事前同意を得て通信分析([B!]読売新聞, 2024/8/12 9:51:09) 習近平政権が打ち出した「低空経済」、実現競う地方…ドローンで配送・空飛ぶクルマ開発([B!]読売新聞, 2024/8/12 9:45:24) 分断のアメリカを旅する:「まるでジェットコースター」 ハリス氏で息吹き返す民主支持者 | 毎日新聞([B!]毎日新聞, 2024/8/12 9:42:22) 海自への接待疑惑で川崎重工社長「膿を出し切る覚悟」…副社長がメッセージ代読([B!]読売新聞, 2024/8/12 9:39:26) リードで誰よりも頂上に迫った森秋彩に会場総立ち、悔しい4位に「ロスに向かって突き進みたい」([B!]読売新聞, 2024/8/12 9:39:26) ハリス米副大統領、「地元」で初の資金集め集会 周辺では抗議活動も(朝日新聞, 2024/8/12 9:39:20) 米車労組「トランプ氏は詐欺師」 トップが批判、ハリス氏支持表明:東京新聞 TOKYO Web([B!]東京新聞, 2024/8/12 9:39:14) 「このままでは自然の使い捨て」 登山道の荒廃に歯止めかからず | 毎日新聞([B!]毎日新聞, 2024/8/12 9:37:01) バイデン氏、出馬断念後初のインタビューで理由説明 選挙戦に未練も | 毎日新聞([B!]毎日新聞, 2024/8/12 9:37:01) バイデン大統領、アメリカ大統領選挙撤退は「トランプ氏破るため」 決断を説明 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/8/12 9:36:30) 防衛関連100社に点検要請、架空取引の有無など 防衛省 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/8/12 9:36:30) イタリアのベネチア・ビエンナーレ国際美術展が描く、誰もが「外国人」の世界 ベネチア・ビエンナーレ報告(上) - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/8/12 9:36:30) 欧州経済、回復失速の兆し 賃上げ追いつかず消費不振 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/8/12 9:36:30) アフリカ原産魚、タイで猛威 食品大手は当局と対立 - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/8/12 9:36:30) 【号外】レスリング男子フリー65キロ級で清岡幸大郎が金メダル([B!]産経新聞, 2024/8/12 9:36:21) 「言葉が分からない」…船乗りに挑む陸自隊員 初の海上部隊新編へ研修急ピッチ 防衛最前線([B!]産経新聞, 2024/8/12 9:36:21) トム・クルーズが競技場の屋根から飛び降り、五輪旗をバイクで持ち去る パリ五輪閉会式([B!]産経新聞, 2024/8/12 9:36:21) JR西日本 万博入場券は「社員に3枚」ずつ配布 「契約社員は1枚」([B!]産経新聞, 2024/8/12 9:36:21) 南海トラフの想定震源域、地殻変動は観測されず…11日の関連解説情報([B!]読売新聞, 2024/8/12 9:33:34) 「20年前は想像できない盛り上がり」地方競馬、低迷期乗り越えV字回復…カギはスマホと新型コロナ([B!]読売新聞, 2024/8/12 9:33:34) 水道・橋梁、耐震化に遅れ 南海トラフ インフラの備え弱く、財源確保欠かせず - 日本経済新聞([B!]日経新聞, 2024/8/12 9:30:26) 五輪旗がパリからロサンゼルスへ、トム・クルーズさんが運搬役で登場([B!]産経新聞, 2024/8/12 9:30:22)
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legal-dream · 2 months
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風の谷
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前文的なもの 人間はもっと技術の力を使えば、自然と共に豊かに、人間らしく暮らすことができる空間を生み出せる。経済とテクノロジーが発展した今、我々は機能的な社会を作り上げることに成功したが、自然との隔たりがある社会に住むようになり、人間らしい暮らしが失われつつある。これは現在生きる我々の幸福だけの問題ではない。 これからの世代にとってのステキな未来を創るための課題でもある。 「風の谷」プロジェクトは、テクノロジーの力を使い倒し、自然と共に人間らしく豊かな暮らしを実現するための行動プロジェクトである。 同時にこれは、都市に代表される密集的な空間利用と社会構造に対して、「開疎」的なオルタナティブを提唱するものである。
「風の谷」はどんなところか よいコミュニティである以前に、よい場所である。 ただし、結果的によいコミュニティが生まれることは歓迎する。 人間が自然と共存する場所である。 ただし、そのために最新テクノロジーを使い倒す。 その土地の素材を活かした美しい場所である。 ただし、美しさはその土地土地でまったく異なる。 水の音、鳥の声、森の息吹・・・・自然を五感で感じられる場所である。 ただし、砂漠でもかまわない。 高い建物も高速道路も目に入らない。自然が主役である。 ただし、人工物の活用なくしてこの世界はつくれない。 「風の谷」はどうやってつくるか 国家や自治体に働きかけて実現させるものではない。 ただし、行政の力を利用することを否定するものではない。 「風の谷」に共感する人の力が結集して出来上がるものである。 ただし、「風の谷」への共感以外は、価値観がばらばらでいい。 既存の村を立て直すのではなく、廃村を利用してゼロからつくる。 ただし、完全な廃村である必要はない。 「風の谷」に決まった答えはない。やりながら創りだしていくもの。そのためには、行き詰ってもあきらめずにしつこくやる。 ただし、無理はしない。 「風の谷」を1つ創ることで、世界で1000の「風の谷」が生まれる可能性がある。 ただし、世界に同じ「風の谷」は存在しない。 「風の谷」が大切にする精神 自然と共に豊かに人間らしい生活を営む価値観。 ただし、「人間らしさ」は人それぞれである。 多様性を尊び、教条的でないこと。 ただし、まとまらなければならないことがある。 コミュニティとしての魅力があること。 ただし、人と交流する人も、一人で過ごしたい人も共存している。 すべての人が尊重し合うこと。 ただし、人と干渉しない尊重の仕方もある。 既存の価値観を問い直すこと。 ただし、現代社会に背を向けたヒッピー文化ではない。ロハスを広げたいわけでもない。 既得権益や過去の風習が蔓延らないこと。 ただし、積み重ねた過去や歴史の存在を尊ぶ。 さいごに 「風の谷」は観光地ではない。 ただし、観光客が来ることを拒まない。 「風の谷」は風の流れがあり、匂いや色彩の豊かさを五感で感じられる空間である。 ただし、谷がなくてもいい。
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bearbench-3bun4 · 2 months
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「虚無への供物」中井英夫 2301
第二章
30畸形な月01
牟礼田の自宅で橙二郎殺しのトリックを解明しています。
まず亜利夫が、ギニョールの殺人という方法を話しますが、久生が、異議を唱えます。 「黒死館殺人事件」の算哲の愛妻を模した自動人形(テレーズ)を殺人に使ったかもというやつを参考にしてみたらとです。
私も、異議を唱えるでしょうね。
次に、久生が去年のうちから氷沼家にはガスを用いた殺人が起こるってわかっていたといいます。
それに、牟礼田が、 ロナルド・A・ノックス(三つの栓とか)、F・W・クロフツ(シグニット号の死とか)なんかを参考にしたのかといいますが、 久生は、 アーサー・コナン・ドイルにもあるけど、それらとは全然違うといいます。
久生は、隠れるつもりなら立派に隠れられるくらいの広い空間として、ベッドの下を考えていたみたいですが、 亜利夫が既に調べていたみたいです。
久生の慌てっぷりがおかしいですね。
次に、思いついたのか、 階下で麻雀をしながら簡単に開閉できるガス孔を書斎のどこかに取り付けておいたといいます。 場所は天井の中央、大きなシャンデリアだとです。
だから、二つの栓は締まったままだったので、 最初にストーブと元栓に飛びついてそれを締めるふりをしたぼが犯人だとです。
その人物は、藍ちゃんでした。 しかも、 警察がガスの配管は調べているから、久生のいったような配管はないといいます。
久生は恥ずかしさをごまかすように藍ちゃんに詰め寄ります。
藍ちゃんは殺人の現場は、二階の一畳の板敷きの化粧室だといいます。 窓もドアも締め切り、湯沸かし器のガスを一杯に噴出させればすぐに殺すことができるとです。 湯沸かし器の具合がおかしく元栓は締めていた筈なのに、あの日は洩れてたのは犯人があらかじめ何かの細工をしたとしか思えない。 伯父さんはあそこで殺されてから書斎のベッドに運び込まれたんだと、断言します。
久生もすっかりたじろいでいますね。
藍ちゃんは、
化粧室が少し臭すぎたというところから推理した。 麻雀してた中に一人共犯者がいた。 その手引きである人間があの晩二階へ忍び込んで、 どこかに身を潜めていたそいつは台所のメーターコックの開いている最中に書斎へいった。 それから、伯父さん化粧室へ運び、湯沸かし器の焔を吹き消し全開にしてドアを閉めた。 完全に息が絶えたのをみすまして大急ぎで湯沸かし器のガスを導火用だけ残して消すと死体をまた書斎に運び返した。 ベッドに横たえ、書斎の電気ストーブを外し、書庫からガスストーブを持ってきて付け替えると、 栓を全開にして立ち去った。 共犯者を含めた皆が麻雀をしている時というアリバイも作れるだろう。
確かに、いい推理ですね。 問題はまだありそうですけど、 ただ、共犯者はどうなんでしょう? あの晩の動静表をみても、共犯者がいなければ無理ですかね。
牟礼田も、藍ちゃんの言うように、化粧室で殺されたと考えていいといいます。 ただし、書斎に出入りする方法があるという仮定での上でです。 で、その方法として、書庫側のドアの合鍵を使うといいます。
久生はやっぱりという感じで完全否定します。
確かにこれが最大の難点ですね。 まあ、合鍵では、面白くないですね。
藍ちゃんは真相が知りたいだけで、牟礼田に詰め寄りますが、 牟礼田はどうも煮えきりません。
逆に実行犯は誰なのかと、現実にそれだけのことが出来る人間がいないといいます。 共犯者なんだから正直誰でもいいような気もしますね。
藍ちゃんは、それに対して紅司の日記にあった“鴻巣玄次”だと答えます。
牟礼田は、“鴻巣玄次”が架空の人物なら氷沼家の事件全部が殺人ではなかったと納得するのか。 紅司の忌まわしい趣味の相手の“鴻巣玄次”は絶対に存在しないといいきります。 その理由の一つとして、 紅司君の背中のは、蕁麻疹の一種で特異なアレルギー体質にすぎなかったからだといいます。
十月の半ばころ、蒼司は紅司に背中に蕁麻疹が出ると打ち明け、 苦し紛れに、紅司がマゾヒストなら救われるのにといったというのです。 紅司はそれで、自分がマゾヒストだと錯覚するようになり、 風呂には鎌錠をつける、友達に頼んで電話をかけさせる、 もっともらしい日記をつけて、“鴻巣玄次”が実在するように自分に思い込ませようとしたというのです。 それで、あの日あの晩あの雰囲気の中で、 蒼司は、紅司に背中のが蕁麻疹の一種だといっても誰も理解してくれない。 むしろ鞭痕だと思い込ませて葬った方が紅司は幸福なのかもと思ったというのだ。 それで嶺田さんに事情を打ち明けてた。 これが“鴻巣玄次”という男だた。
背中の鞭痕が、蕁麻疹の一種で特異なアレルギー体質だというのが、 にわかに信じられませんけど、まあ、もっともらしいですね。
どうも牟礼田は謎の解明をしたくないような感じに見えます。 不思議ですね。
と、ここで、牟礼田が何度も、隣室へ行っていたのがテープで録音するためだとわかります。 正確性を期するための録音なんでしょうが、久生も呆れていますね。 というか、かなり唐突な感じです。 テープで録音することが何かのヒントになるのでしょうか?
と、ここまでらしいです。 えって感じです。
で、翌三月一日、 昭和女子大の大火とともに、あの“鴻巣玄次”が出現するらしいです。 これは、びっくりです。
つづく。
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reallypaleninja · 6 months
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その金は必要に応じて、おのおのに分配された。
使徒言行録4・32-35
その金は必要に応じて、おのおのに分配された。
使徒たちの宣教
4・32信じた人々の群れは心も思いも一つにし、一人として持ち物を自分のものだと言う者はなく、すべてを共有していた。33使徒たちは、大いなる力をもって主イエスの復活を証しし、皆、人々から非常に好意を持たれていた。34信者の中には、一人も貧しい人がいなかった。土地や家を持っている人が皆、それを売っては代金を持ち寄り、35使徒たちの足もとに置き、その金は必要に応じて、おのおのに分配されたからである。
答唱詩編
詩編118・1+2、16+17、22+23
きょうこそ神が造られた日、喜び歌え、この日をともに。
詩編118
118・1恵み深い神に感謝せよ。 そのあわれみは永遠。 2イスラエルよ、叫べ。 神のいつくしみは絶えることがない。
16神の右の手は高くあがり、 その右の手は力を示す。 17わたしは死なず、わたしは生きる。 神のわざを告げるために。
22家造りの捨てた石が、 隅の親石となった。 23これは神のわざ、 人の目には不思議なこと。
第二朗読
①ヨハネ5・1-6
神から生まれた人は皆、世に打ち勝つ
使徒ヨハネの手紙
愛する皆さん、5・1イエスがメシアであると信じる人は皆、神から生まれた者です。そして、生んでくださった方を愛する人は皆、その方から生まれた者をも愛します。2このことから明らかなように、わたしたちが神を愛し、その掟を守るときはいつも、神の子供たちを愛します。3神を愛するとは、神の掟を守ることです。神の掟は難しいものではありません。4神から生まれた人は皆、世に打ち勝つからです。世に打ち勝つ勝利、それはわたしたちの信仰です。5だれが世に打ち勝つか。イエスが神の子であると信じる者ではありませんか。6この方は、水と血を通って来られた方、イエス・キリストです。水だけではなく、水と血によって来られたのです。そして、〝霊〟はこのことを証しする方です。〝霊〟は真理だからです。
福音朗読
ヨハネ20・19-31
アレルヤ、アレルヤ。トマよ、あなたはわたしを見たので信じた。見ないで信じる人は幸い。アレルヤ、アレルヤ。
ヨハネによる福音
20・19その日、すなわち週の初めの日の夕方、弟子たちはユダヤ人を恐れて、自分たちのいる家の戸に鍵をかけていた。そこへ、イエスが来て真ん中に立ち、「あなたがたに平和があるように」と言われた。20そう言って、手とわき腹とをお見せになった。弟子たちは、主を見て喜んだ。21イエスは重ねて言われた。「あなたがたに平和があるように。父がわたしをお遣わしになったように、わたしもあなたがたを遣わす。」22そう言ってから、彼らに息を吹きかけて言われた。「聖霊を受けなさい。23だれの罪でも、あなたがたが赦せば、その罪は赦される。だれの罪でも、あなたがたが赦さなければ、赦されないまま残る。」
24十二人の一人でディディモと呼ばれるトマスは、イエスが来られたとき、彼らと一緒にいなかった。25そこで、ほかの弟子たちが、「わたしたちは主を見た」と言うと、トマスは言った。「あの方の手に釘の跡を見、この指を釘跡に入れてみなければ、また、この手をそのわき腹に入れてみなければ、わたしは決して信じない。」26さて八日の後、弟子たちはまた家の中におり、トマスも一緒にいた。戸にはみな鍵がかけてあったのに、イエスが来て真ん中に立ち、「あなたがたに平和があるように」と言われた。27それから、トマスに言われた。「あなたの指をここに当てて、わたしの手を見なさい。また、あなたの手を伸ばし、わたしのわき腹に入れなさい。信じない者ではなく、信じる者になりなさい。」28トマスは答えて、「わたしの主、わたしの神よ」と言った。29イエスはトマスに言われた。「わたしを見たから信じたのか。見ないのに信じる人は、幸いである。」
30このほかにも、イエスは弟子たちの前で、多くのしるしをなさったが、それはこの書物に書かれていない。31これらのことが書かれたのは、あなたがたが、イエスは神の子メシアであると信じるためであり、また、信じてイエスの名により命を受けるためである。
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lifefind-blog · 6 months
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自己紹介-2
FUKEは、2007年ごろに写真における「色彩革命」の可能性を自覚し、デジタル芸術写真のなかで個人的な感情を表現要素として使い始めました。写真の分野において、色彩は絶対的なものではなく、色彩の見え方や感じ方は、人によって異なるほうが真実だという「革命」です。油彩画の分野ではこの革命は100年以上前に起こっています。
あまり知られていませんが、チューブ絵の具の発明で、画家たちがパレットの上で色彩を作り出すことが技術的に手軽になったことが、印象派などの画家たちの個人的色彩革命のきっかけでした。
クロード・モネ、ファン・ゴッホ、エドワルド・ムンク、エゴン・シーレらは、絵画史の色彩革命の中で個人的な色彩の自由を意識し、これこそが否定的継承という属性を備えた本物の芸術だと自覚し実践しました。彼らはあの時代、絵画に強い感情や微細な感覚を付け加え始めたのです。彼らは、「こんなものは、絵画の冒涜だ」などと、しばしば言われました。彼らが作ったものは当時の常識の範囲内の普通の絵画でなく、それ以外の何かつまり 「歴史を動かす大きなうねり」だったのです。FUKEは、絵画の流れを汲む写真芸術の歴史のなかで、このことに気付き自覚的に感情や感覚を写真に持ち込み、写真の分野の側から絵画表現の境界を拡張する試みを自覚的論理的に行おうとしています。
FUKE作品を初めて目にした人々は、直感的に、普通の写真ではない、写真なのか絵なのか判定できない、画面の中で何が起こっているのかわからない、と感じることが多いようです。FUKE個展会場で過去に鑑賞者同志がそういう話をしているのを何度か聴きました。今回の抽象的な大作のシリーズは、特にわからないのではないかと思います。
1988年に東京での個展で発表した、暗室の引き伸ばし機でフィルム画像を印画紙に照射しながら、複数の筆に現像液や定着液をつけて、描画や合成をしたモノクロ作品にも同様のことを言われました。画廊を訪れた写真関係者はほぼ全員、何がどうなっているのかわからないと首をひねって帰り、彫刻や現代美術の関係者は面白がっていたそうです。「絵画と写真の境界領域」を活動拠点として作品を作り続けているためだと思います。常識的な写真の範疇を越え、否定的継承という芸術属性を備えた写真以外の何かであってほしいと願いながら制作しています。
モノクロ印画紙のFUKE作品の面白さを30年以上前に最初に見抜いてくれた飯沢さんだけは今回発表の抽象的な新作シリーズの一つを見てすぐにFUKEが何をしたかったのか解ったと言ってくれました。 2019年4月記
幸福感、多幸感の追求 FUKE芸術の一つの側面では、虹の色相を含む明るい天国のような世界観を持った、現実と天国の橋渡しをするような風景を作ります。現実の風景や植物をもとにして撮影された写真は、FUKEの絵心と芸術によって、現実から離れ、上空に舞い上がった別世界のように見えるものになります。その世界を構成する虹色は、美を追求するための手段であり、また、一つの価値観に偏らない多様な価値観をお互いに尊重し合い世界を構成していくという考えの象徴でもあります。 植物の明るい新緑は次の生への息吹です。生命活動の準備が始まったことを示しています。 それはより多くの太陽の光を受け入れる準備であり、また強すぎる光から体を守ります。緑色の意味は体を保護することです。FUKEの芸術作品においては生命感と光の世界を象徴できるようなトーンを与えます。 FUKEの風景作品の目的は、幸せに満ちた瞬間を最も美しい形で残すことです。天国の共通の感覚を持つ夢のような記憶を与えられた場所として仕上げています。FUKEは北海道の雪のシリーズを洗練させ可能な限り美しい思い出として仕上げています。 それらはすべて、2011年3月11日より前に撮影された幸せな風景の記録です。 FUKE芸術のもう一つの側面は、デジタル写真で何が可能なのかを追求し、新たなイメージ世界を発見し、それを目に見える形にしていくことです。すでに色彩遠近法・COLOR STEREO VISION、キュビズムのもう一歩先への展開、暖視・VISUAL WARMER、真珠色・IRIDESCENT、燐光・PHOSPHORESCENCE、金調・GOLDEN TONALITY、感覚反応色・SENSORY REACTION COLORS、情緒の色度・CHROMATICITY of EMOTION、絵画と写真の境界横断・Crossing the border of painting and photographyなどを発見し、作品化しています。 2018年10月記
About FUKE FUKE is Japanese artist. He makes the new type of digital art photography, using the digital technique and his painter’s mind to convey the gentle, tender feelings or sometimes strong emotion. When you see something through FUKE’s images, you will be able to feel the most beautiful side of the scenes that you never felt before. He is looking for the unknown beauties in everyday life, and adds his individual feeling and emotion into his art of digital expressions. He is one of the most progressed pioneers in this art field of the color expression in photography. Adding the individual feelings to art photography is a very new thing. The art photography before him did not contain a purpose of this color emotional expression. The color of the photography is not thought of as a subjective thing, but it is thought of as an objective thing usually, still now. This is the reason why many people are amazed by FUKE’s photo art. It is often said that FUKE’s art is not photography, but painting. Maybe it is the real art photo beyond the ordinary. FUKE began this digital color expression in 2007. It is such like the way of making colors by Edvard Munch, Egon Schiele , Vincent van Gogh and Claude Monet did. They did it in their paintings at the time when color revolution in painting arts had began in past century. They added strong emotions and feelings into their paintings and they were often told that “it is not the painting! “ at the time. Well, they were not ordinaly painters but the great artists. FUKE began to make his emotionally colored digital photos based on the history.
FUKE says like this. " I make something which speaks to us. At first, imagine to climb up a high mountain and look at the distance, think that there is oneself who obtained a large field of vision. The expressed something with the high will goes across the area. Even if it was born at a specific small place, it will be also liked by the people at other places.
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kachoushi · 28 days
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各地句会報
花鳥誌 令和6年9月号
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坊城俊樹選
栗林圭魚選 岡田順子選
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令和6年6月1日 零の会 坊城俊樹選 特選句
切り通し省線吹きし若葉風 軽象 蜘蛛の囲に閉ざす社の狐たち きみよ ことごとく夏蝶となる水飛沫 緋路 白あぢさゐ女ばかりに愛でられて 和子 黴の間の亡者に点るシャンデリア 光子 夏の子はジャングルジムに天下とる きみよ 飛鳥山生まれ育ちの蟻の列 三郎
岡田順子選 特選句
乾きたる蛇口の先は夏の雲 緋路 黒南風やおづおづ開くみくじ歌 昌文 南天の花棲み古りし街の隅 美紀 黴の間の亡者に点るシャンデリア 光子 途切れなき列車音聴く四葩かな 風頭 ががんぼ来オルガンの鳴り止みてより 緋路 葉脈の青き稲荷の額の花 小鳥
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月1日 色鳥句会 坊城俊樹選 特選句
たてがみに綺羅したゝらせ競べ馬 かおり 負馬の負けを恥ぢざる眼の涼し たかし ユーミンの曲初夏の競馬場 美穂 負馬の誰にともなく息一つ 成子 鬼瓦の鼻ふくらめる若葉風 愛 熱砂駆け鼻息荒し佐賀競馬 たかし 競べ馬シャガールの馬天を駆く 修二 薔薇園にダイヤモンドのやうに雨 愛 勝馬に寄り添ふ笑顔女騎手 久美子 楽屋口より美しき絽の裾捌き かおり バンクシー赤い風船追ふ少女 修二 萍の沈黙にある水一枚 朝子 鞍壺に託す一戦競べ馬 久美子 蟻は蛾を人は柩をかかげゆく 睦子 早苗田の水の世界を行く列車 愛 紫陽花やすこしはなれて宇宙船 睦子 ひつそりと咲くこと知らず濃紫陽花 たかし
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月3日 花鳥さざれ会 坊城俊樹選 特選句
短夜の沖に生活の灯のともり かづを 短夜や和尚偲びて尽きぬ宿 笑子 黒南風の精舎を昏め沈めをり 希子 十薬や花明りして父祖の墓地 匠 網を引く明易き浜声合はす 同 悠久の光を溜めて滴りぬ 泰俊
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月6日 うづら三日の月花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
麦の秋鳥の旋回しばし見ん 喜代子 黄金を刈り取る如き麦の秋 由季子 短夜に一夜の旅の用意せる 都 麦秋の大地を分ける鉄路かな 同 逝きし人思ひ起せる虹の橋 同
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月7日 鳥取花鳥会 岡田順子選 特選句
体内のおほかたは水田水張る 都 湯上りの鏡を閉ぢて蛍見に 美智子 麦秋の金波を運ぶ風頰に 宇太郎 春雨にすつかり濡れて泣黒子 悦子 杜深しすだまの降らす花樗 美智子 校庭に名札を付けたミニトマト 佐代子 南天咲く早世力士悼みては すみ子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月8日 枡形句会 栗林圭魚選 特選句
空晴れて植田始まる農学部 亜栄子 一村に水ゆきわたり植田かな 百合子 としあつ師偲ぶ薄暑の石仏 教子 枡形の山気を吸ひて蝸牛 三無 下闇や気づけば猫の傍に 白陶 紫陽花���青き滴を受ける句碑 三無 月光をのせて十薬母の逝く 幸子 奥信濃瀬音まじりに河鹿鳴く 美枝子 故郷は懐深く初夏の旅 教子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月10日 なかみち句会
老鶯の声高らかに姿なく 廸子 老鶯や森の静けさ澄み亘る 聰 網戸開け小さき一匹逃しけり 貴薫 書を開く網戸の風の良き加減 三無 緑陰の􄼱間の光踏み遊ぶ のりこ 緑陰や刹那休らふ盲導犬 美貴 緑陰の森歩す空気異次元へ ます江 緑陰に入れば降るもの香るもの 怜
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令和6年6月10日 武生花鳥俳句会 坊城俊樹選 特選句
風鈴を今年は出さうかと思ふ 昭子 石庭の砂紋に僧や水を打つ 時江 麦秋や己は小作小百姓 世詩明 万緑の真つ只中で友となる 三四郎 玻璃に付く守宮の目玉大きかり ただし ぬけぬけと嘘吐く男草虱 世詩明 堰音の六月の水裏返す ただし 田植済み静かな寝息一村に みす枝 一望の青田や下校チャイム鳴る 時江 野仏の一重まぶたや著莪の花 ただし サングラス外して白き歯を見せる 昭子 音もなく崩れる雲の峰一つ ただし 僧逝きて幾年寺の木下闇 英美子 緑蔭の不開の門や鐘響む 時江 菖蒲の湯頭脳ゆつくり休ませり みす枝
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月11日 萩花鳥会
久々の娘とのドライヴ花菖蒲 祐子 夢誘う伊豆の旅寝の夕河鹿 健雄 薫風に一味添へてウイスキー 俊文 能登思ふ絆の祭始まりて ゆかり 太陽の恵み包みし枇杷すゝる 吉之 夕立の雲が覆ひし我が旅程 明子 鮎解禁河原で塩焼き白むすび 美恵子
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令和6年6月11日 さくら花鳥会 岡田順子選 特選句
黒い線行つたり来たり蟻の道 紀子 内緒話浜昼顔がそつと聞き 同 初夏や日々の葛藤過ぎゆきて 光子 畳紙に包まれし物黴にほふ あけみ
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月16日 風月句会 坊城俊樹選 特選句
紫陽花のしづくを朝日移ろへる 千種 木道の谷戸田の隅に余り苗 幸風 木下闇これより先は獣道 慶月 夏草や弥生時代の息遣ひ 三無 水無月の木霊に道を迷はされ 千種 里山の道標なる立葵 ます江 濃あぢさゐ彩を増す夜半の雨 幸風 半夏生白く人声遠くせり 千種 夏蝶の白の大きく森に消ゆ 慶月 木道に釣り糸垂らす夏帽子 経彦
栗林圭魚選 特選句
鳴き交はす鴉に梅雨の森深く 要 滑り台順番を待つ夏帽子 経彦 今年竹撓ひて風の行方追ひ 三無 雨上るもりの朝やねむの花 芙佐子 紫陽花や森の匂ひに深呼吸 ます江 万緑や森に命を繋ぐ雨 亜栄子
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月17日 伊藤柏翠記念館句会 坊城俊樹選 特選句
露草に一輪挿の織部かな 雪 白鳳の野々宮廃寺跡 同 僧偲ぶ僧の手描きに絵団扇に 同 夏蝶の祈るが如し辻地蔵 同 終電の汽笛編戸を通し聞く 英美子 竹落葉散る音を聞く真昼時 同 毛虫焼く南無阿弥陀仏唱へつつ みす枝 咲いてをり咲きかけてをり七変化 かづを 白寿まで闘志抱きて更衣 清女 鷺一羽思考してをり青田中 やす香 売れ残る金魚に疲れ見えにけり 世詩明
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月19日 福井花鳥会 坊城俊樹選 特選句
青葉木菟夜を鳴かねばならぬかに 雪 五右衛門の煙管煙を吐ける山車 同 籠枕夫の遺せし油の香 清女 短夜を添ひ寝の犬に鼾きく 同 蜘蛛の囲の細きにかかるものは何 啓子 懐しき人に逢ふ夢明易し 笑子 風鈴の音とはならぬほどの揺れ 希子 短夜や星を眺めて聴く話 隆司 浴衣着て祭囃子の音に酔ふ 同 風鈴もそれぞれの色兄妹 和子 雨欲しきあぢさゐに色無かりけり 同 今夜だけ風鈴しづか話さうよ 令子 短夜や時の静かに広ごりて 千加江
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
令和6年6月21日 さきたま花鳥句会
刺身盛り紫蘇一枚の境界線 月惑 路地裏の暮色に媚びる七変化 八草 夏見舞幼き文字に磯の風 裕章 草刈りの終へて現はる地平線 紀花 麦秋の風入れカフェの読書会 康子 梅漬けの重石に亡夫の酒の瓶 恵美子 たまゆらの時をあづけて啼く河鹿 みのり 麦の秋うねる大地の広々と 彩香 地に影を一瞬黒く夏つばめ 良江
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令和6年6月21日 鯖江花鳥句会 坊城俊樹選 特選句
白鬼女の渡しと伝へ草茂る 雪 欠け初めし月に崩るる白牡丹 同 尻重な返事のいまだ梅雨に入る 同 山笑ふ声に呑まれてしまひさう 同 高層のビルに飛び込む夜這星 世詩明 夏旅に背中合せの駅の椅子 同 風遊ぶままに青田の百面相 同 極楽の風吹く寺に夕端居 ただし 朝倉の水の音する青蛙 同 音もなくむくりむくりと雲の峰 みす枝
(順不同特選句のみ掲載) ………………………………………………………………
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現象告発2023 
肉弾666勇士!今晩の出演者、川島誠と浦邊雅祥について
本日のソロサックス奏者二人のうち最初の出演者、川島誠はイタリアの哲学者ジョルジョ・アガンベンの書物に由来する“ホモ・サケル”(「剥き出しの生」の意)というレーベルを運営している。その川島が大ファンを公言し、共演を求めてやまなかったのが、リアルな「剥き出しの生」そのものの男、浦邊雅祥に他ならない。
では、ホモ・サケル、剥き出しの生ってなに?よーく見てみな、そこら中に転がっているじゃないか?「殺害が処罰されなく犠牲が禁止されている」人間の法からも神の法からも外に置かれている者…もともと例外状態を維持しようとする権力の下いたるところに姿を表すようになり排除される聖なる者…つまりは搾取され続ける者ということだよ。
あれれ「例外状態」ってよく聞いたな、ついこの前(まだ進行中か)のウイルス騒ぎの時にも…排除しても排除しても増殖して行くって…それってもしかして我々皆すべて、生きている人間すべてということ?人類皆兄弟?
鈍いねー、ようやく気がついたの?何があったかまだまだ鮮烈じゃないの…緊急事態宣言だの、接触禁止アプリだの、強制在宅リモートワークだの…まさに「例外状態」だから…宇宙からトレースされ続けて位置を特定管理されて、何処までもつけ回されて… あ、ポケモンGoなんかもすぐそこに居るかもよ!緯度、経度、座標の高さなんかもバッチリで!でも、俺が特に嫌いなのは急速に普及したスーパーなんかのセルフレジだね…最も日常的に必需品を購う場、そんなところまで客自身の身体運動そのものを動線として設計し直し「セルフで外部な」労働力として搾取するかって!しかもバッチリ監視カメラ付きで…で、その御大層な「搾取」とやらはまだまだ続いているのかって?はあ?もう一度書くが御本家アガンべンさん本人が言っているよ「権力は例外状態を維持しようとする」って。
そうだ…この冬なんかも凄かったよね、フィリピンはマニラ辺りから特殊詐欺だか連続強盗殺人だか知らんけど、日本のそこら中直接に「お宅の玄関に繋がっています!還付金のためカードを取りに来ました」ってね…で、テレビにネットは騒ぎまくるは、「犯罪人」達はSNSやらに写真上げまくって万札バラバラと「はーい、ブランド品のゴージャスなバックでーす!闇バイトいかがですか?」とかって!確かに下品極まりないことではあるが、こいつは見事に現実社会の鏡像、まるっきりの二重写しじゃないですか?これもまさしく例外状態?で、やっぱり悪いウイルスは増殖するってね…果てまで行ったらイスラム国で首チョンパ?はたまた今時大流行りのウクライナ戦争やジャニーズ騒動? 今にはじまったことじゃないが、この社会や世界、惑星そのものがまるごと収容所じゃないのかい?で、そいつはどんどんどんどん酷くなり続けているんじゃないのかい? 資本の神の楽園だけが大賑わいのうちに…そして誰もがそいつと訣別できぬうちに…
イヤー、もう本当に俺はウンザリしきっているのさ…世界と「多様性」で繋がってますとかってね…皆そのうちゴーグルレスのホログラムなんかで延々と恍惚としているんじゃないの?「差別反対!LGBTQはじめみんな“多様で同じ”人間万歳!」とかって…影では本当は無理を重ねてて、異質なやつのことを、バイキンとか、それこそウイルス扱いしたりもしながらね…けどさ、ウイルスは変異もするんだよ…善も悪も両方、排除されても排除されてもね… で、ここにこそ2つの「特異性」を持ったウイルスの集合体たる川島誠と浦邊雅祥の身体がようやくお出ましするのさ… はあ、長かったね、ここまで…
「僕には僕がいる」かつて浦邊雅祥本人はそう言い放ったが、それに加えてアルトサックスも、鉄のグリップも、さらにはそれを握る37兆の細胞分子も彼とともにい続ける。
n (未知数) × n =?…
無限の僕だ!
が、あくまでも「たった一つ」の身体存在としてだ。
晩年の川仁宏曰く「20世紀最高のアルトサックス奏者は浦邊だ!」とのことだが、今や21世紀も23年目だ。当然今世紀もそうなるに決まっているさ!ロマン派真っ盛りの19世紀に生まれてからまだたかだか200年に満たずの金管楽器…今まで誰が、何処で「様式」や「技巧」とやら(つまりはCode、規範)にとらわれず身体を使いサックスを吹いた奴がいる?ブラックやヨーロッパのフリージャズ?ああ、あれ等は「フリー」を僭称したただのジャズだ。阿部薫?ああ彼も申し訳ないが、結局はたかだかのジャズだ…浦邊雅祥は全く違うよ。ましてや「サックス奏者」ですらないよ… じゃ一体どういった御仁?
さあ、ここで皆さんの大好きな言葉を一つ出してあげるよ! 彼、浦邊雅祥こそ、 無限の僕=「器官なき身体」以外の何者でもない。 そして彼はいつでも「此処、Here」に居続け、生まれ起こり続けるだけさ。光速で振動しながら、とても陽気な光・・・・の輝きを滲み出させながらね。
アントナン・アルトー〜川仁宏〜浦邊雅祥〜そしてそれら先達を憧憬持って追う川島誠…
どうだい?19世紀末1896年から21世紀の今日2023年までのそれぞれ「たった一つ」の特異な身体存在者達と、その生の流れがすっきりと見渡せるじゃないか? いいかい、もう一度言うが間違わないでくれよ!「多様」じゃないんだよ「特異」なんだよ!ただそこに在るだけであらゆることを産出し続けるそれぞれの特異な「器官なき身体」。それこそが真の剥き出しの生、汚辱に聖別され戦い続ける変異したホモ・サケルそのものなんだよ。
皮膚の下の身体は加熱したひとつの工場である そして、外で、 病人は輝いて見える。 炸裂した そのすべての毛穴から 彼は輝き出す。
アントナン・アルトー (宇野邦一訳)
本人達は何もそんなことを考えても感じてもいないかもしれないが、電子と遺伝子に直結した「生政治」生命そのものの搾取と戦うには、そんな身体存立平面を非物質的に変異変形させ続ける細胞分子の流れとやり方もある。 いや、もうこんなにも窒息したウルトラ管理監視社会に抗うにはこの「ただ此処に居て、生まれ起こり続ける」でいながら���高速な細胞分子の奔流を放ち続ける行為、この浦邊雅祥のやり方しかないとまで私は真剣に考えている。そしてその「器官なき身体」はまるで動いていないかのように見えながらも激しく振動している身体存立平面そのもの、そこからこそ「聖なる子供」トム・ソーヤーやハックルベリー・フィンが見たような新たな地平を次々と獲得して行く。ある哲学者にならってモナド的と言っても良いけどね…SNSやリモートやらセンサーやらで人工衛星に直結し、常に監視され多様に繋がっている場合じゃなくね… Oh!浦邊の大好きなLou Reed “Satellite Of Love”とは全く話が違うけどね…
望むべきはそれぞれが一つ一つの特異点の集合たる「到来する民衆」(アガンベン、これこそモナド)そのものだ。 そして、その集う様、その来るべき民の前に存在する2つの肉弾、川島誠と浦邊雅祥を新たに繋げ、彼ら各々の身体行為を今こそ確認したく、私はこのライヴ(生)を主宰した。
だから、 肉弾666勇士 こいつは不吉だよ…6 6 6…なんせ「悪魔の数字」または「獣の数字」だからな… (あ、浦邊雅祥のアルバムにも「獣」ってのがあります)
さあさカーニヴァルが始まるぜ。陽気なカーニヴァルをおっ始めるぜ。ちょっとは愛嬌をふりまいてもやるさ。でもまちがっちゃいけない。ここは地獄なんだ。地獄のかまどを開くにゃにぎやかさと笑いというものが必要なのさ。さあ、どんどん入ってくれ地獄というのは相手を選ばないのが上品なエチケットなんだ。
間章 べガーズバンケット(貧者の宴)ライナーノーツより
この駄文をここまで読んでくださったご来場の方々、どうもありがとうございます。 どうぞ川島誠と浦邊雅祥二人の在り方そのものにお立ち合いください。
そして、最後にですが、会場内での録音、写真、動画の撮影、並びにSNSへの投稿等々はご遠慮下さい。スマホはおしまいいただけましたら幸いです。 よろしくお願い申し上げます。
2023年10月18日 Pataphysique Records 福岡林嗣
Doctor, Purifiva, Pataphysique Records, eyeliner Presents 6bodies60minutes6months vol.12 2023.10.17(TUE)18(WED)19(THU) 各日開場19:00 / 開演19:30 料金¥2000+drink 3日間通し券¥3000
10月17日(火) Bottom of Underground Rock! 出演 川口雅巳+Akira+ヴァロン 1980の皇帝ペンギンパラダイス
10月18日(水) n x n = ?… 肉弾666勇士! 出演 浦邊雅祥 (alto sax, etc)ソロ 川島誠 (alto sax, etc)ソロ
10月19日(木) Collapsing Space Rock! バラナンブ Galaxy Express 666(junne、Rohco、Risa)
各日開場19:00 / 開演19:30 料金¥2000+drink 3日間通し券¥3000
club Doctor 〒167-0043 東京都杉並区上荻1-16-10ローレルビルB-1 Phone 03-3392-1877
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ishiduca · 1 year
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演説には共通のテーマが設けられ、発言者はみな、愛の神エロスを讃美した。当然人間同士の愛も話題になるが、重点が置かれたのは、当時のギリシアで盛んに行われていた少年愛についてだった。ソクラテスを最後に全員が演説を終えた時、門の戸を激しく叩く音が聞こえた。ソクラテスの弟子アルキビヤデスが、かなり酩酊した状態で、従者と女笛吹を伴って現れたのである。彼は一同が酔っていないのに不満を示し、ワインクーラーになみなみとつがせた酒を飲み干し、ソクラテスにも同じだけ飲ませた。そして当日のテーマから外れたソクラテス讃美の演説を行った。そうこうするうちに、開け放しになっていた戸口から酔漢の群れが入り込み、無理やり全員に大酒を飲ませる騒ぎになって宴は混乱を極めた。ここはドタバタ喜劇のようで、私には演説より面白かった。 ・・・  プラトンの『シュンポシオン』が書かれたのと同じころ、軍人出身でさまざまな著述を残したクセノポンが、同じ題名の文章を発表した。文芸社から出ている船木英哲の邦訳を頼りに紹介する。宴会はアテネの富豪の息子、カリアスの家で開かれた。演説より歓談が中心の会で、余興が盛りだくさんだった。道化者、笛吹女、曲芸のできる踊子、竪琴と踊りのうまい少年が顔を出し、笛の伴奏でダンスやジャグリングを披露した。笛と竪琴の伴奏による歌もあった。この会にも出席していたソクラテスは、美少年の舞う姿に魅了され、自分も踊りを学びたいと真面目に(「ゼウスに誓って」)宣言して全員を笑わせた。最後に、ディオニュソスとアリアドネに扮した少年と少女が組になって踊った。出席者たちは、二人が演技ではなく実際に愛し合っているのを感じ取って興奮し、未婚の者たちは結婚することを誓い、既婚者たちは馬に乗って妻のもとへ去って宴が終わった。プラトンの『饗宴』は禁欲的に始まって大混乱で終わり、クセノポンの『饗宴』はお楽しみ満載ながら最後は案外まともな結末になるのが共に意外で、読後感を幸福にする。
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voilld · 1 year
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Chiaki Kobayashi "Catch" 小林千秋 「キャッチ」2023.7.22 Sat - 8.6 Sun
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この度VOILLDは、小林千秋の新作個展「Catch(キャッチ)」を開催致します。本展は2022年に開催された個展「Throw」に続く、VOILLDでは三度目の新作個展となります。 1996年に福島県に生まれ、武蔵野美術大学を卒業。グラフィックデザイナー、イラストレーターとして活動を行いながら、アーティストとしても作品の制作を行い、多彩な表現を用いて活躍の場を広げている小林千秋。Web メディアや雑誌、CDジャケット、パッケージや プロダクト、装丁等への作品提供をはじめ、作品集の発売やオリジナルアイテムの制作など、精力的に作品を発表し続けています。 小林千秋は、何気ない日常の景色やワンシーン、日用品や食べ物などの身近なものをモチーフとし、コンピューターグラフィックを連想させるようにシンプルで美しく、単一なラインによって簡略化された、独自の表現でドローイング作品を制作しています。最小限の要素で描かれたグラフィカルなモチーフ達は、彼女がスポットを当てる事で息が吹き込まれ、日々の中のささやかな胸打つ瞬間を思い起こさせくれるようでもあるのです。 「Catch (キャッチ = 受け取る)」と題された本展では、少しづつ開放的になり、行動範囲と共に意識や視野が広がってゆき、日々溢れるほど 様々な情報やものと出会う世界の中で、自分自身は何を受け取り、大切にしていくかという感覚にフォーカスを当て作品が制作されました。今回描かれているモチーフからも、湖畔や山、風に揺れる木、窓際の花器、食卓のサラダとワイン、買い物かごのりんごとジュース、旅先 の街並みやカフェ、地球を周る飛行機などといった、また少し視点の広がった彼女の日常を伺うことができます。それらはそっと静かに、それぞれの作品に存在していますが、モチーフや風景の特徴をクリアに捉え、選び抜かれた線で描かれることで、彼女の見た情景の香りや 空気感が感じられるほど強い生命力と凛とした存在感を表しています。穏やかで平穏な日常の豊かさや、その中で起こるささやかな喜びや発見の輝かしさが、彼女の率直で鋭敏な感性によって切り取られることでいっそう生き生きとし、そのかけがえなさを私たちに印象強く語りかけているのです。 会場では、新作のドローイング作品、20点を発表いたします。この1年半を経て、更なる魅力を備えた最新作を是非ご堪能いただ ければ幸いです。皆様のご来場を、心よりお待ち申し上げております。 - - - 遠い場所 近い場所 . 立ち止まってあたりを眺める . 景色は目の前から その外側の世界へゆっくりと開いてゆく . そこからかたちのない何かを受け取って なにもしないで そのままにしておく . しばらくして絵にすると、 かたちのない何かは 少し輪郭を帯びて自分の一部になっている . ー小林千秋
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小林千秋|Chiaki Kobayashi イラストレーター・グラフィックデザイナー。 福島県生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒。 シンプルな線と構図を用いたイラストレーション作品を中心に、雑誌、書籍、パッケージ、プロダクトへの作品・デザイン提供など、 国内外の幅広い分野で活動を行う。 IG ・EXHIBITIONS (Selected) 2022 個展:「Throw」@VOILLD (東京) グループ展:「“8” VOILLD 8th Anniversary Exhibition」@VOILLD (東京) グループ展:「LIGHT」@VOILLD (東京) イベント:「Featured Projects 2023」@THE CAMPUS (東京) イベント:「WASHIDA 12th Anniversary × Chiaki Kobayashi」@WASHIDA (台湾) 2020 個展:「Tuning」@VOILLD (東京) 個展:「四角を走る run the square」@アメリカ橋ギャラリー (東京)
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Chiaki Kobayashi "Catch" 小林千秋 「キャッチ」 会期:2023年7月22日(土)~8月6日(日) オープニングレセプション: 7月21日(金)18:00 – 20:00 開廊時間:12:00 - 18:00 休廊日:月曜、火曜 ー 22th Sat July. 2023 - 6th Sun Aug. Open: 12-6pm Closed: Mon&Tue
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kasayoichi · 1 year
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珠玉の友①
老いを是とせず
死を退け
希求するは涯なき生
古より万人は仙薬を追い求めて蓬莱を探し、ときに現世の果てへ消えていった―――
一、
 西に傾く陽の光が弱まり、人がまばらになった市中には濃く長い影が落ちはじめている。伸びた影の先には、天蓋を差し、白衣装に身を窶した一行と、そのうしろから運ばれる真っ赤な龕があった。鳴り続ける鉦鼓と弔いの哭泣を引き連れて干潮の浜へとむかっていく葬列を、静かに見送った。
 大清康熙暦二十一年、冬。
 冬至も過ぎたこの頃、雪こそ降らないこの国だが、陸を吹き抜ける乾いた海風はさすがに身に染みる冷た��にかわっていた。昨年までいた福州に比べればなんとも生易しい気候ではあるが、それでも四肢の末端はすっかり冷え切り、足袋が欠かせない。いつもより厚手の羽織を重ね着て悴んだ指を𠮟咤して筆を動かし、子弟たちを指導しながら漢文の組み立てなどをしていると、あっという間に昼八つ時を大きく過ぎていた。
「今度は丁越市(テイエツシ)だそうです……絶対おかしいですよ」
「まあ、多少気味は悪いが」
 夜詰めをほかの講師に引き受けてもらった己煥は、久米の大門付近で聡伴と落ち合い、ふたりで城下へむけて浮道を歩いていた。このあと城下の近くで朝明と合流し、今夜は漢籍の会読をする予定だ。 数町ほど歩けば座り仕事で冷え切った身体も暖まるだろうと思っていたが、逆に冷え切った夜風が容赦なく吹きつけ歯を鳴らしそうになる。己煥は重ね着をした袖のなかで組んだ己の腕で、辛うじて暖を取っていた。 寒空のもと、ふたりが歩く路肩の松並木のあいだ、その遠く向こうに死者を乗せた朱塗りのそれが目に入ったのはその途中のことである。
 夏以来、 城下とその先へ下った四町や港では、先の旅役にかかわった者たちには災厄が降りかかるという噂が巡っていた。来る年に清からの冊封使節を迎え入れる準備に追われる王府は完全に無視を決め込んでいたが、尾ひれがつき這うように官吏たちのあいだで話が広がる様はなんとなく不気味なものである。
「はじめはちょっとした偶然だと思ったんですけど」
 偶然、先の旅役に同行した某氏が原因不明の病に臥せった。
 偶然、先の旅役で才府を務めた者の室がお産で命を落とした。
 偶然、先の旅役で加子(水夫)務めた者が薩州へ向かう途中、大風で流された。
 そして昨晩、偶然、先の旅役で五主を務めた丁越市が知人と争った末に死亡した―――
「偶然じゃないか?」
「四人が偶然なわけないじゃないですか!四人なんて片手で数えていられるのもあと少しですよ?己煥様は他人事のようにおっしゃいますけど、私たち一緒に船に乗りましたからね!」
「葬式なんて最低でも月一はどこかの村で出ることだろう」
 聡伴は一生懸命恐怖を訴えて喚いてみたが、己煥の反応は今ひとつである。生まれた時分からたびたび生死をさまよっていたと聞くこの御仁にとっては、すべからく平等に訪れるものに対して、何をいまさら、という感じなのだろうか。
「私は帰国以来大きく体を壊したこともないし、朝明は……相変わらずだ。よほど痴情のもつれにでも巻き込まれない限り死にはしないだろう」
「そういう前振りが余計に怖いんですって!」
「―――左様、これから年の瀬にむけて冷え込みますゆえ……調子が良いなど大層なことをおっしゃっておられるとあとが怖いですよ、短命二才様?」
 九町ほど歩いた、寺の門前に続く橋の前、唐突に背後から投げかけられた言葉に、聡伴は顔をしかめて勢いよく首をうしろに回した。
 ―――短命二才、この渾名で己煥を呼ぶ者で碌な奴はいない。
「どこの者だ?」
 うっとおしく思った己煥は、ゆっくりと声のほうへ体を向きなおす。すると、己煥らよりも五、六は歳が上のようにみえる、赤帕を巻いて煙管を吹かしている男と、その脇に付き人らしき振袖の若衆がおり、こちらへ近づいてくる。少し体を横に傾けると、隣の聡伴が、赤冠の青年は某氏某家の子息・茂部之子だと耳打ちしてくれた。その家名は三十六姓のうちのひとつで、己煥にも聞き覚えがある―――同籍の士だ。
 王府に仕える士は、その出自と住まいから籍を四つに分けられている。
 朝明のような王族に縁ある家柄の者が住まうが城下、そこを下った先一帯に広がる四町には聡伴のような中級の士、さらに北側の港町には下級の士、そして四町と北の港のあいだが、己煥らが籍を置いている唐栄の村である。
「貴方より名声は劣りますが、この私も唐栄の出であり進貢使節の一員だったというのに寂しいことをおっしゃいますなぁ」
 吐き出された煙草の煙が、この男の周りを取り囲むように漂っている。
 己煥は深く息を吸い込ぬよう着物の袖で口元を抑えていたが、次第にあたりの空気も燻されたように乾き、咳き込みそうになる。
「なぁにが”使節の一員”ですか。あなたが心汚く縁を頼って船に乗り込んだことくらい周知の事実ですよ?用があろうがなかろうが失礼させていただきます」
 こんなやつと話す必要はありません、と聡伴は己煥をうながして右へ回ろうとした。
「なにか良い薬でもお召しになりましたか?」
「どういうことだ?」
 唐突な問いに、立ち去ろうとしていた己煥と聡伴はうっかり足を止めた。
 道行く人々がこちらの様子を窺いながら通り過ぎていく。士族の子弟らしき若者が路上で剣呑な雰囲気で言い合いをしているのだ。目立たないはずがない。茂部之子の傍で控えている若衆も困り顔で黙り込んでいる。
「いやぁ、不思議なこともあるものですなぁ。あれほど御身体が弱く上天妃の宮で教鞭を執られるのも稀といわれていた貴方が、今年は講解師に任じられたうえ冠船の諸事まで手伝っているというではないですか」
 来年は清から冊封使節が訪れるため王府のありとあらゆる役所がすでに大忙しであるが、海の向こうとの窓口になっている己煥ら三十六氏の官吏はいっとう多忙を極めていた。
「そこの推参な小童は私の縁故を心汚いと宣ったが、短命二才様が口にされたのはとてつもない良薬であらせられるようだ」
 なるほど、と己煥は静かにため息をつく。結局はいつものくだらない突っかかりである。一人のときは適当に口を閉ざしてその場をやり過ごすのが常だった。煙たさが治まってきた己煥は、口元から袖を離す。 この先で待たせているであろう朝明のことを思案して腕を組み直した。
「あなたにもそのうち素晴らしい効能を持った薬が見つかりますよ、多歳赤冠殿?」
「このッ……」
 ふたりを睨みながらも、無理に口の端を釣り上げ表情を取り繕う様は、なんとも品がなくみえる。あれほど分厚くとぐろを巻いていた紫煙は、今や線香ほどのか細い煙のすじとなって漂いながら、大人しく煙管に納まろうとしていた。
 年長の者をためらいなく挑発する聡伴に感心していると、なかなかあらわれない己煥たちに待ちくたびれたのか、朝明が橋を渡りこちらへ下ってくるのがみえる。己煥と聡伴が己のうしろを見やっていることに気がついた茂部之子も、つられてうしろを向いた。
「そうだそうだ。薬なら四町の市のほうが取り揃えが良い。さっさと下って行っちまえ」
 軽快な笑みを浮かべた朝明は、手首で軽く追い払うしぐさを見せる。若年にもかかわらず己より官位が高い聡伴や朝明に逆捩じを食らわされる恰好となった茂部之子は、あからさまに唇を噛みしめ吐き捨てる言葉を探していた。側に控えていた若衆は、これ以上この主人の口を開かせまいと、彼に去り際であることを小声で訴えている。
 茂部之子が動くよりも先に、朝明は己煥の上腕を軽く掴んで橋のほうへ上がるように導く。思ったより力を入れて組んでいた袖下の両腕を解くのに手間取りながら、己煥は朝明に従った。
「……災いは平等だ」
 茂部之子は取り繕ったしたり顔で言い放つ。
「家柄の良い才府も、優秀な五主も、不幸には抗えない。五本目の指を数えるのが貴方がたのうち誰か一人でなければ幸いですな」
「あなたはご自分の心配をなさったほうがよろしいですよ!そろそろ寒さが堪える御老体であらせられますしね!では失礼!」
 聡伴は今度こそ足を止めまいと、慌てて朝明と己煥を追いかける。
 橋を下った先では、大股で容赦なくひたすら前を歩く朝明に引っ張られて、足をもつれさせた己煥が待ったをかけていた。寺の門前を過ぎたあたりには馬を待たせてくれているのだろう。ここから城下へ少し上がったところに、朝明の別邸がある。
「朝明様!」
 ふたりに追いついた聡伴は、時間を取らせてしまったことを朝明に詫びるが、馬に乗りながら垂れ流すのは先程の愚痴であった。
「なんですかあいつ!己煥様が口利きで職位をもらったかのような言い方」
「それなりの位に就けば、私でなくとも下の者からの妬みや嫉妬は誰だってかっている」
 身体が弱く、これまでたいして仕事を抱えてこなかった己の名が聞こえるのが面白くない下級官吏が多いのは致し方ないことだろうと己煥は思っている。
「それでも言わせすぎだ。少しは周りを黙らせる努力をしろ」
「なんだお前まで」
「せっかく才能と実績は折り紙付きなんですから、御身体崩されてたときのことなんて気にしなくていいんですよ」
「この調子じゃあ小賢しい出世の競り合いで潰されちまうぞ。とくにお前んところは」
 同籍同士の出世争いが著しい唐栄に生まれながらも、己煥はどうも控えめで気が柔い。己と立場が逆であったほうが過ごしやすかったのではないかとすら朝明は思ってしまう。
「己の沈黙は是の証で」
「他の妄言こそが真とされるんだぞ」
 お前の将来に係ることなんだから、と朝明は念を押す。
  官吏という職は、謹厳実直に仕事をこなすだけでは立身の道は拓けないし、従順で馬鹿正直では勤めをまっとうすることはかなわない。頭だけではなく、気と口もよく回さなければ生き残れないのだ。己煥とてそれがわからないわけではないのだが。
 強く言い聞かせてくるふたりに気圧された己煥は、結局のところ、朝明しかわからない程度に頬を膨らませてふたりから目を逸らし、相変わらず黙っておくことしかできなかった。
 
「ところで朝明様、あの噂は……」
「いいか聡伴、進貢船の員数は二百余名だ。それが全員死んだら龕は出ずっぱりだぜ?」
 荼毘のさいに遺体を納めて運ぶ龕は、各村にひとつずつしかない大切な共有物だ。月に何度も葬式を出されてはたまったものではない。
「そりゃあ、まぁそうですけど……あ、お刺身美味しかったです」
 すっかり陽が落ちたころに到着した朝明の別邸でふたりに散々窘められ、供される料理に鼓を打っていても、聡伴はどうにも噂が気にかかって仕方がない。腹に流し込んだ汁物の温かさが、少しだけ気を軽くさせた。
「船旅は死に近い。船をおりてもそれの気配はなかなか離れぬだろう」
 そして、その心懸かりは吐き出されるにつれて尾ひれを纏い、村を流れ、町へ飛び、やがて大きな噂となる。
 屋敷の使用人に獲らせてきたのだという玄翁に、 己煥もありがたく一切れ、箸をつけた。 血色の良い白身は厚めに切りおろされ、ほんの少し加えた酢が身そのものの淡い味を引き立てている。
  見目のためにうっすら���残された皮がおびる青い濃淡は、薄明りのなかで鈍く光り、とても美しかった。
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