Tumgik
#漆喰壁土蔵
kohanakonohana · 2 months
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暖かくなってまいりましたので、地震で崩れた土蔵の壁を、縁側の壁崩落箇所の下地に使おうかと分別を開始。
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水簸の設備もないのでちまちまとふるって。
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出てきた石は庭に撒きましょう。
あ、土蔵の足元ちょっと固めればいいのかな。最終的に。
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さて崩落現場。
猫さまが外を眺めている窓の反対側で、織部屋の壁の外側にあたる部分。
ここは木摺下地なのかぁ、と思っていましたら…
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今日この溝の部分を剥がしていったら、あらびっくり。
中に壁があるよ?
白いよ?
おまけに割れてるね!?
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オマエのせいかー!?
…割れたからなのか、ここに明かりを引きたかったからか、どうも漆喰壁の上に木摺の枠組みをして再度漆喰が塗ってあった模様。
真ん中も4寸材が立ってるし、織部屋側からも塗り直す予定だからトータル強度はいいのかな(割れてるのが気になる)
割れの奥にほんとの芯材らしき小舞竹っぽいものも見えるので、元の壁のこちら側はそう厚くはなさそうだけど、これはいったいどうしたことか…
とりあえず下塗り開始です。
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khrbuild · 6 months
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今年もこの季節が来たか!
もうお正月の用意。
貝塚市塗装工事!
貝塚市三ツ松屋根葺き替え工事
貝塚市水間町 新築 リフォーム坂口建設
毎年1年のはじめには、
「今年も健康で無事仕事ができますように」
と思ってスタートして、気がつけば年末。
ほんま昔、おじぃ〜おばぁ~が
「歳いったら1年早いな〜」
というてるの聞いて、
あかんおばぁ~ボケてきたなと思ってたけど、
それはそれはだんだんと記憶力の低下が否めんのよね、
今年のはじめって どこの現場やっけ?
誰か今年のはじめの私覚えてないですか?
あかん、チョー・ヨンピルやんけ
「想い出迷子」w
こんなしょーもないことは、よう覚えてんやけどなw
まぁ、毎日必死にあくせく働かせていただいてるお陰と、加齢じゃないと自分に言い聞かせる日々。
といいながらも 迷子のまま今年も気がつけばもうすぐ師走。
それを毎年知らせてくれる同じ村の同級生のお母ちゃん、サツキちゃん。
「今年は麹いくつ買う?」
それを聞かれて、おっともうそんな時期か!
「2つ買ってきて」とお願いすると、後日同級生の大ちゃんが、
「明日麹を買いに行くて言うてるから、また取りに来ちゃって」
なんとものんびり水間村。
そして家に帰るとジュディーが大豆と白米を炊いて待ってくれている。
慌ててご飯を食べて 机の上を片付けると白味噌を作る準備が始まる。
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よっしゃー もうひと仕事頑張ろうか。
まずは大豆をフードプロセッサーでペースト状に。
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麹に塩を混ぜてモミモミ
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大豆とお米を入れてもみもみ
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はい 出来上がり
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これであとは蔵に入れて寝かせておけば、正月の雑煮の味噌完成。
これで鍋もできるから楽しみ楽しみ。
と、正月気分はまだ早い、あと1か月仕事も頑張らねば。
先週から始まった隣村の三ツ松村の同級生の納屋の屋根葺き替え工事。
先日同級生のおっちゃんと話してたら、これできたの昭和のはじめか大正やろなと言うてたけど、
今日はおばちゃん、税金を払い出した記録みたいなのがあってそれ見たら、
なんと明治になってたわという。
なんとも100年ですか!
すっかり屋根も瓦と土が降ろされて、お空丸見えなってますね。
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腐ってた柱と梁を撤去して、ブロックを積んで壁を作りました。
新しく柱や梁、桁を加工!
ドリルで穴開けて
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カクノミという機械で穴開けて
カクノミくんとてもすぐれもので、
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四角いケースの中にドリルが内蔵されていまして、
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電源を入れてドリルを回転させて木に押し付けていくと
なんと四角い穴が簡単にあけれるんです。
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何でも便利な物があるでしょ。
大きな丸太とかは手で掘るんですけどね
(^_^;)
とまた、味噌󠄀の話でこれ以上写真がのせれない。
(-_-;)
ちゃんと仕事してんかよってね、
ほんまはめちゃくちゃ仕事進んでんやけど、ということですぐにブログ書きますのでよろしくお願いします。
明日か明後日には続きアップしまーす
マジでw
明日寒いから腹巻きして寝てね〜。
今週もお疲れさまでした。
貝塚市 岸和田市 泉佐野市 泉大津市 和泉市 泉南市 阪南市 熊取町 忠岡町 田尻町
天然素材スイス漆喰カルクオウォール
リボス自然塗料取扱店
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groyanderson · 1 year
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☆プロトタイプ版☆ ひとみに映る影シーズン3 第一話「須弥山を破壊せよ」
☆プロトタイプ版☆ こちらは無料公開のプロトタイプ版となります。 段落とか誤字とか色々とグッチャグチャなのでご了承下さい。
→→→☆書籍版発売までは既刊二巻を要チェック!☆←←←
(シーズン3あらすじ) 謎の悪霊に襲われて身体を乗っ取られた私は、 観世音菩薩様の試練を受けて記憶を取り戻した。 私はファッションモデルの紅一美、 そして数々の悪霊と戦ってきた憤怒の戦士ワヤン不動だ! ついに宿敵、金剛有明団の本拠地を見つけた私達。 だけどそこで見たものは、悲しくて無情な物語…… 全ての笑顔を守るため、いま憤怒の炎が天を衝く!!
pixiv版 (※内容は一緒です。)
དང་པོ་
 初めに闇があった。広さのわからない闇、まるで棺桶に入れられたような、あるいはだだっ広い宇宙に放り出されたような掴みどころのない空間。そこで私は目を覚ました。というか今、自分が目を開けたのかどうかすらわからない。意識を取り戻した、という方が正しい気もする。  いや、それも違うかも? 私には過去の記憶がない。実はこの世に生を受けたばかりの赤ん���かもしれないし、あるいは記憶喪失の大人かもしれない。ただただこの、起きているのか眠っているのかすらわからない領域に漂う自我、それが私…… 『タシデレ、リンポチェ』  !? 誰かの声が聞こえた。前から? 後ろから? 意味もわからない言語。その不思議な声に気を取られた瞬間、私の目の前にはぼんやりと輝く仏像が現れていた。 『タシデレ、リンポチェ(おはようございます、猊下)』  再び声。同じ言葉が繰り返されたけど、今度は意味がはっきりとわかる。記憶が戻ったのかも……そうだ。確か、目の前にある仏像は金剛観世音菩薩(こんごうかんぜおんぼさつ)という仏様だ。いま���い出せるのはそれだけ。でも、もしさっきから聞こえているのが観音様の声なら、リンポチェ(猊下)……目上のお坊さんのこと……と呼ばれた私は一体何者だろう。 『お労しい我がリンポチェ。あなたは悪霊にお身体を奪われ、記憶を失ってしまったのです』  考えていた疑問に声が答えてくれた。奪われて……って、つまり私は悪い霊に体を乗っ取られて、生死の境を彷徨ってるお坊さん……とか、かな。だから仏様が見えてるのかも……? 『大方その通りです。ですが、あなたはただの仏僧ではありません』  ヒヤリ。右手にふと、金属的な冷たさを感じた。見ると、私はいつの間にか錆びついたグルカナイフを握っていた。 『あなたは神影(ワヤン)、衆生を守る影法師の戦士です』  へ? 『そして私は金剛観世音菩薩(こんごうかんぜおんぼさつ)。かつてはムナルという俗名で呼ばれ、リンポチェをお慕い申し上げていた弟子でございます。傷つき記憶を失われたあなたを現世に復活させるためには、恐らくこれまでの戦いを再現するのが一番手っ取り早い。ゆえに、このような試練を用意してみました』  戦士? 戦うって何と!? わけもわからず困惑していると、突然私の周りに不気味な怪物の大群が現れた! 『この幻影達を一掃して下さい。大丈夫、全てあなたが倒した事のある悪霊です。さあ、行くのです!』 「「「キシャアァァーーーッ!」」」  咆哮! 観音様が消滅して堰を切ったように怪物共が押し寄せる! そんな急に戦えなんて言われても困るんですけど!? とりあえずグルカナイフで牽制しながら後ずさりする。ただ後ろを振り返っても、そこは空間が続いているのか壁なのかすらわからない闇。このままでは一方的に取り囲まれてしまう……ええい、ままよ!  私は前へ向き直ると同時に刃渡り四〇センチのナイフを思いっきり引いた! ヴァン!! それは闇の中で一層深い漆黒の衝撃波を放ち怪物を一掃! なにこれ何か出���ぞ!? しかし息つく間もなく新たな怪物が出現。さっきまでのは鳥や虫のような小動物霊だったのが、今度は人間サイズの化けイタチだ! 「オカシ……オヤツクレ……」「オカシィィ……クワセロ……」  しかも人語を話している。ちょっと強いやつだ! 襲われる前に叩き、殴り、斬りつける! ところが怪物の猛攻に押されて次第に後ずさりしていくと、何故か段々力が入らなくなってきてしまった。 「ウジャアァァーーーッ!」  イタチに顔面を喰い破られる! 焼けるような激痛ッッ!! しかしそれがトリガーとなり、私の脳裏に戦いの記憶がフラッシュバック。そうか! こいつらはゾンビのように人の魂を喰って無尽蔵に増える、人工養殖された悪霊! それを牛耳っていた親玉は確か……いた! 群がるイタチのしんがりで薄汚く輝く、なんかめちゃくちゃキモい龍! 何て名前だか忘れたけど醜悪なソレに向かってともかく私は跳躍、イタチ共の頭をダカダカと踏みつけながらナイフを振りかぶる! どおおぉぉりゃあああぁぁーーーーーっ!!! 「ピキィェェーーーーーッ!!」  キモ龍絶叫! 同時に荒れ狂うイタチの悪霊共は全員消滅し、辺りは再び闇と静寂に包まれた。そして私が握るグルカナイフには、煌々と燃える影の炎で黒焦げになった龍が串刺しになっていた。そうだ、これは確かに私が使っていた武器、『プルパ龍王剣』。悪霊の龍を封じ込め、絶えず燃え続ける剣だ。  ふと足元を見ると、龍王剣の炎に照らされて一冊の本を見つけた。よくお経が書かれているような、長い紙を蛇腹に折って表紙と背表紙をつけた装丁のものだ。内容は横書きの細かいチベット文字で綴られている。記憶では私の母国語じゃない気がするけど、書かれている内容は自然と理解できる。
邪尊(じゃそん)教パンケチャ派 仏典 其の一
 昔、ある僧官(政治家の仏僧)が砂漠の近くで弱りきった精霊を発見した。僧官は袈裟に精霊を包み、自宅へ持ち帰って介抱する事にした。ところが精霊は彼の施しを遮った。 ༼ 我は西方の国々で『悪魔』と呼ばれる魔物。人間を堕落させる存在として忌み嫌われ、死ぬ事も消える事もできない。ただ広大な砂漠を彷徨ったいたらここに辿り着いたのだ ༽  しかし僧官はそれを聞いてもなお、悪魔を自宅へ招いた。悪魔は訝しんだが、僧官はこう答えた。 ༼ 地域が変われば、常識も変わる。砂漠の果てから来たあなたがこの国で『悪魔』かどうかはまだわからない。もしかしたら我々にとっては、人々に幸せを与える有り難い神様かもしれないではないか ༽  この言葉に悪魔はいたく感銘を受け、僧官に自らの不滅の心臓を与えた。こうして慈悲深き僧官は生きたまま仏へと転生し、悪魔を永遠の苦しみから解放したのだった。
 གཉིས་པ་
 仏典は読み終えると、闇に溶けて消えてしまった。邪尊教……? うっすらと聞き覚えがある単語だ。私の正体に関係があるのかもしれない。  再び前を向くと、そこには次の怪物が現れていた。さっき倒したイタチとよく似た怪獣だ。 「オデャッウゥアアアアアアアアアア!!!」  言葉にならない金切り声を上げる怪獣! しかし所詮は二番煎じの巨大化モンスター。私はさっきよりも冷静に居合を構えた。―邪道怪獣(じゃどうかいじゅう)アンダスキン―完全に思い出した。こいつを作ったのは人々を脅かす悪霊衆、金剛有明団(こんごうありあけだん)。私はそいつらを滅ぼすために生まれた戦士、 ༼ ワヤン不動(ふどう)だ! ༽  ズドオオォォォン!! 斬撃と共にそびえ立つ赤黒い火柱! 腹部を真っ二つに切り裂かれたアンダスキンは瞬く間に分解霧散した。無数の火花が闇に溶け切ると、そこに二冊目の仏典が現れた……。
邪尊教パンケチャ派 仏典 其の二
 即身仏となった僧官には、悪魔へ施した時と同様に、衆生のあらゆる苦しみを和らげる法力があった。そのため彼はやがて『紅の守護尊(ドマル・イダム)』という名で信仰されるようになった。  ところが時の権力者率いる邪な閣僚達が、ドマルの法力を悪用しようと企んだ。彼らは元僧官であったドマルの汚職をでっち上げ、衆生からの信仰を断った。そして信仰を失い弱体化したドマルを捕らえると、位の高い僧のみが入山できるカイラス山の岩窟に磔にした。そして下々の民に過酷な労働や税を課しては、彼らの苦しみをドマルの力で緩和して反乱を抑制し続けた。  そのような暴政が続いた結果、やがて時のダライ・ラマはドマル信仰を邪教とみなし、チベット全土で禁じる運びとなった。それでもなおドマルは裏社会において、『邪尊』と呼ばれて秘密裏に信仰され続けた。
གསུམ་པ་
 また覚えの深い単語がある。紅の守護尊(ドマル・イダム)……紅(くれない)……?  しかし、残酷な神話だ。これってドマルは何も悪くないのに、勝手にヒール扱いになっちゃったって事じゃないか。あるいは、この本自体が邪尊教目線の仏典だからヒイキめに書かれているだけかもしれないけど……。 『過去を知るのは、お辛くないですか?』  再び観音様が現れた。私が彼の顔の影を除けると、最初よりもはっきりとお顔が見えた。どこか懐かしさを覚える。 『ふふ……今、私の影を動かしましたね。神影(ワヤン)の法力を取り戻してきている』 ༼ そのワヤンっていうのが、私の名前なんですよね? でも、どうもしっくり来ないというか……私、確か日本人か何かだったと思うんですけど…… ༽ 『ああ! 素晴らしい、よく思い出しました。では、次はあなたの人間としての素性を知る番です。まだまだボスラッシュは続きますよ』  観音様がワクワクとした様子で両手を合わせた。すると彼の足元から異臭を放つ褐色の液体が湧き出で、双頭の大きな毛虫が顔を出した! 「「ンマァァーーーッビャアァーーー!」」  毛虫は二つの口から赤子めいた鳴き声を発し跳躍! フリスビーの如く回転し、液体を汚らしく撒き散らしながらこちらに迫ってきた。本能があの液体に触れるのは危険だと察知、私は腕のリーチを活かしたバク転で距離を取った。……ん? 私の腕、異様に長くない? しかも私の体、軽すぎない?? 「ワビャァァァーーッ!」  しまった! 自分の事に気を取られてた隙に毛虫は液体をジェット噴射しながら推進。咄嗟にかわそうと試みるが、何故かさっきより体の動きが鈍くなっている。すわ、飛び掛かった毛虫が私の鳩尾に直撃! ༼ うッ! ༽  くぐもった衝撃が全身を貫き、一瞬全ての呼吸活動が止まる。すかさず皮膚に付着した汚染液が毛細管現象のように全身にまわり、私の魂と意識を引き剥がし始めた。 (させるか……っ!)  失神寸前で我に返り、私は光を放つ観音様に向かって体を滑らせた。考えてみればそうか。今の私は影でできた存在、神影(ワヤン)なんだ。明るい場所の方が動き回れて、暗い所では姿を保てない! さっきアンダスキンに追い詰められた時もそうだった! ༼ 仕組みが解ればこっちのものだ! ༽  記憶に蘇る影術の数々! まずは仏像に照らされた毛虫の影を踏んづける。すると毛虫は金縛りに遭ったように硬直、これが『影踏み』の術だ! そのまま毛虫を踏んだ爪先を細い糸状に残しながら、レールを滑るように私は光源方面へ移動。中空に漂う光と影のコントラストを編み、メロン格子状のドームに変える! 毛虫捕獲完了! 次々と毛虫が湧き出る液体ごと封印できた事を確認し、ドームに龍王剣を刺突。途端吹き出す炎がドーム内で猛回転! 毛虫を吸い上げながら液体完全蒸発。サイクロン! 「「「マバァァーーーーッ!!」」」  囂々と燃えるドーム内から複数の断末魔。絶縁怪虫散減(ぜつえんかいちゅうちるべり)、撃破だ! 脱力と共にお借りしていた光が観音様へ戻っていく。 『さすがです』  観音様が微笑んだ。さっきまで仏像だったはずの彼は、いつの間にか生きた人間のように滑らかな動きを得ていた。 ༼ 散減……人間の縁を奪い、代わりに悪縁を植え付ける金剛の怪虫だった。確か、合体すると神社の鳥居くらい大きなザトウムシになるんですよね ༽ 『そこまで思い出されたのですか。ならついでに倒しちゃいましょう』  観音様が軽いノリで微笑み、彼の背後に巨大ザトウムシ―大散減(おおちるべり)―を召喚した! 片や疲労困憊の私。少しぐらい休ませてくれたって良くないですか!? 『そうやってすぐぐずるのは、あなたの悪い癖ですよ。この第二の武器、ティグク(長柄斧)を差し上げますから。さあ行くのです!』  ヒョイと投げられた物騒な斧をキャッチすると同時に大散減はドカドカと暴れだす! 「「「マギャバァァァーーーー!!!」」」  七つの脚全てについた不気味な顔から汚汁を噴出し、この虚無空間が崩壊せんばかりの地団駄を踏む大散減。ていうか観音様は私の弟子だって言ってたのに、さっきからまるで私が彼の弟子みたいじゃない! 全く、 ༼ ムナルは昔から無茶ばかりするのだから ༽ ༼ 和尚様は昔から無茶ばっかさせるんだから! ༽  ん? 今、私の中に二つの気持ちがあったような?? って、今は戦いに集中しなきゃ。龍王剣に代わり持ち替えたこのティグクという武器は、長槍の先に斧と装飾旗がついた密教法具だ。確かにかつて、これで大散減を成敗したのを覚えている。奴の脚を一本ずつ叩き折りながら、真の本体がある一本を探して…… ―救済せにゃ!― ―くすけー、マジムン(クソ食らえ、魔物め)!―  ……突然脳裏に浮かぶ人々の声。思い出した。いや、どうして今まで思い出せなかったんだ! ༼ 一緒に戦った……仲間達! ༽  足元の影が伸びる! それは私と線一つで繋がったまま、あの時共に大散減に立ち向かったみんなの姿になった! ズダガアアァァァァアン!!! 全脚同時撃破! 露わになった真の本体をブッ叩く!! ༼ 念彼観音力ィィーーーーーッ!!! ༽  ズドオオォォーーーーーン……! 一瞬にして真っ白に染まった世界に、大散減の消し炭が舞った。世界の色が落ち着いていくと、そこは先程の闇とは打って変わって美しい山間の川辺になっていた。  自分はいま生身の人間ではないと頭で理解しつつも、さすがに連戦で息絶え絶え。とりあえず川の水で顔を洗い、ついでに燃え盛っているティグクの旗を川で鎮火した。すると川の底に二冊分の仏典が転がっていた。ビッチャビチャでページめくれないじゃないか、と思いつつ拾い上げると、本は防水加工されているように水を弾いた。
邪尊教パンケチャ派 仏典 其の三
 やがて時は流れ、チベットは中国から弾圧を受ける立場になった。滅亡の危機に陥ったこの国では再び邪尊信仰が復活。しかし現代の邪尊教は、平民支配や救いを求める目的ではなく、人間によって破滅したドマルの祟りで中国人へ報復したいという反中思想から生まれたものだ。  そんな邪尊を崇める人々の中に、一人の類まれなる容姿に恵まれた小坊主がいた。彼はその美しさを買われ、強い霊能力と暗殺術を併せ持つ最強の殺し屋となるよう英才教育を受けて育った。そして彼は十歳の時、「眠り」を意味するムナルという名を授かり、監禁されたドマルから霊力を奪うためにカイラス山へ入山した。  しかし元来一般人の立ち寄らない未開の山は過酷であった。ムナルは岩窟へ向かう途中で崖から転落し、足を折ってしまう。それから数日が経ち、死を覚悟した彼は、今までどの仏典でも見た事のない仏と遭遇した。その名を金剛愛輪珠如来(こんごうあいわずにょらい)という、死者の遺体や魂に残る霊力を管理する仏だ。  愛輪珠如来はムナルの命を、その美しい体の生皮を捧げるという契約で仏に転生させた。かくしてムナルは即身仏、金剛観世音菩薩となった。  ところがムナルの心肺が停止しかけたその時、地面から無数の神経線維が生えてきた。神経線維は瀕死の肉体に入り、心臓に活力を与え、傷ついた全身を瞬く間に癒した。これによりムナルは生きたまま強大な仏の魂を持つ最強の殺し屋に仕上がった。愛輪珠如来との契りは、彼が死ぬまで一時保留となった。
邪尊教パンケチャ派 仏典 其の四
 期せずして目的を果たしたムナルだったが、この奇跡をドマルが起こしたと確信した彼は再び岩窟へ向かった。仏になった事により霊感が高まった目で最奥の大岩を見上げると、そこには確かに磔にされたドマル・イダムがいた。彼の両腕は長い年月で倍以上に伸び、足元は衆生の苦しみで絶えず炙られ、その全身は遠くの衆生の苦しみを感じ取れるよう神経線維を剥き出しにされていた。  この余りにも惨たらしい守護尊を見たムナルは考えを改めた。これまでの邪尊教のように彼を利用するのではなく、逆に信仰者ら自身がドマルに安寧を与える事こそ真の邪尊教の有り方ではないかと。  ムナルはドマルの拘束を解き、自分自身が彼の『安眠(ムナル)』となるべくカイラス山で修行をした。そして数年後、自らの魂の中に平穏で頑丈な結界を作り、そこにドマルを眠らせた。  かくして下山したムナルは、殺し屋ではなく、全く新たなる邪尊教の宗派『パンケチャ(推祈)派』の開祖となったのである。
བཞི་པ་
 壮大な仏教神話を読み終えた私の隣には、観音様……ムナル和尚様が立っていた。 ༼ 私の生い立ちをお教えしたのは初めてですね、一美(ひとみ) ༽  和尚様の声はさっきまでのテレパシーみたいな感覚ではなく、肉声としてはっきり聴こえた。  私の名前は紅一美(くれない ひとみ)。普段はテレビとかで活躍するマルチタレントで、悪霊が出るとドマルの生まれ変わりであるワヤン不動に変身して戦う。ワヤン不動は本来他者を傷つけないドマルの明王体、つまり戦闘専用フォームだ。 ༼ 私は生まれて間もない頃、金剛の悪霊に殺されそうになったのがきっかけで和尚様に弟子入りしました。だからあなたの弟子である記憶と、かつてドマルだった時あなたを弟子としていた記憶があるんだ ༽ ༼ ええ。数奇な運命です ༽ ༼ でも和尚様 ༽  仏典に一つ、どうしても気になる箇所があった。金剛愛輪珠如来……私の肉体を乗っ取った悪霊張本人。金剛有明団の、重要人物。 ༼ あなたは如来を裏切って、幼い私にドマルの『悪魔の心臓』を埋め込んだんですよね ༽  一美の心で問う。そして、ドマルの心でも。 ༼ そうまでして、何故この子の人生を歪めた? ༽  私としては、歪めたっていうのはちょっと言いすぎだと思う。正確には和尚様は、金剛有明団の悪霊によって死にかけていた私をドマルの魂で補填して、助けてくれたのだから。和尚様は悔しそうに口元をきゅっと歪めて答えてくれた。 ༼ ……如来の契約を受け入れた身の私は、長らく彼らに従っていました。しかし彼らはある目的のために人々を呪いで支配し、意図的に悪霊や災いを生み出す集団でした。いえ、わかっていながら服従していた私も同罪です ༽  後ろめたそうな言葉と共に、和尚様は私を……いや。その奥にある『拙僧の』目を、すがるように見つめる。彼が良心に咎められながらも如来から逃げなかったのは、結界内で眠る拙僧の魂を案じての事だったのだ。 ༼ ですが、如来がまだ赤子だった一美に呪いをかけた時……私はついに耐えられなくなりました。私は最も尊いリンポチェの安眠を守るために菩薩で居続けた。でもそのために、誰かの最も尊いお子様が犠牲になるのをどうして放っておけるでしょう…… ༽  声に熱がこもる。和尚様はわなわなと拳を震わせ、怒れる馬のようにカッと目を見開いた。 ༼ パンケチャ派開祖の私が! 他の人の推しを不幸にしていいわけがない! 全ての推しの笑顔を守れずして何が仏教徒ですか!? ༽  つまり、苦肉の策だったのだろう。和尚様は一美とドマル両方を守るために、二人の魂を合体させた。そしてゆくゆくは私自身が金剛から身を守れるように、私が『明王』として覚醒するための修行を施したんだ。しかし、 ༼ たわけ! ༽  拙僧はムナルを張り倒した。 ༼ あの時、拙僧がなぜあなたを生かしたかわからないのか。あのままあなたが完全成仏していたら……知識も精神も未熟なまま、身に余る力を手に入れていたら。この邪尊と同じように、外道の道具にされていたのだぞ! ༽  ドマルの心が激昂し、和尚様の首根っこを掴んで離さない。 ༼ それなのに、何の罪もない少女になぜ同じ事を繰り返した! あなたの生半可な恩情でこの子は! 物心つく前に死ぬより、ずっと残酷な修羅道を生きる事になったんだ! それだけじゃない…… ༽  そう。和尚様はあの時、私にかかった呪いの身代わりになって…… ༼ ……どうしてあなたまで死ぬ必要があったんだッ!! ༽  ドマルから力が抜け、主導権が私に戻った。私が和尚様を師と仰いだ時、彼は既に亡き人。金剛によって生皮を剥ぎ取られたミイラに宿る、正真正銘の仏様だった。優しくて、強くて、でも私が間違っている時はとても厳しくて。大好きだった和尚様。もし私と彼の立場が逆だったら、私が和尚様の師匠だったら……私もドマルと同じように怒っていただろう。 ༼ わかっています ༽  和尚様は震えたままの声で答えた。 ༼ 一美を明王に仕立て上げた私は、金剛と何も変わらない卑怯者です。ですが、それでも……それでも、一美を見殺しにできなかった。リンポチェに救って頂いた命を捨ててでも、あなたには生き延びてほしかった! だから! ༽  バキッ、ビキビキッ。滑らかな和尚様の体が隆起し、屈強な複腕が生えていく。溶岩のようなオーラが湧き出で、顔が全方位を睨みつける三面の馬へと変わる。実は仏教神話においては、あの優しさの権化ともいえる観世音菩薩にも明王フォームがあるのだ。 ༼ 行くのです、ワヤン不動。私を倒し、この安寧の極楽浄土『須弥山(しゅみせん)』を糧に現世へ舞い戻るのです! ༽  馬頭観音(ばとうかんのん)、パンケチャ・ムナル! 宿命の師弟対決がいま幕を開けた!
ལྔ་པ་
 仏教界の中心須弥山を模した結界に、今二人の明王が対峙する! 煌々と照りつける太陽と森林が複雑な影を織りなすここは、ワヤン不動にとって最高の舞台。対する馬頭観音は果たしてどんな戦いを見せるのか? ༼ もう一度言っておきます。私は暗殺者として育てられた……卑怯者です! ༽  ズゴゴゴゴゴゴ……山が揺れ、川が氾濫する。和尚様の本領である霊能力は、チベットの秘術『タルパ』。自然界に漂う霊力を練って、人工的に幽霊やポルターガイストを作り上げる力だ。この須弥山結界もいわば、全て和尚様が作った亜空間。災害起こし放題、これは確かに暗殺向きだ!  大地震の揺れに酔わないよう地面との影設置面積を狭めると、和尚様がすかさず足払いを仕掛けてくる! それを跳躍回避し、両腕のリーチを活かして檜の大木を掴む。新体操の如く樹上に逆上がり、そのまま低姿勢の和尚様に飛び降りドロップキック! しかし着地の直前和尚様が消えた!? いや、目をこらすと左手の竹林に強力な霊力反応。姿を消して移動したんだ。追いかけて…… ༼ 隙あり! ༽  バチン! 死角から顔面に全力殴打を受け、私の体は林木をへし折りながら五〇メートルほど吹っ飛ばされた。迂闊、さっきの反応はタルパで錬成されたダミーか! ༼ 現実世界のあなたは、如来に龍王剣を奪われています ༽  和尚様はさっきの戦いで私が投げ捨てた龍王剣を蹴り上げ、 ༼ なのでこれは私がお借りしますね ༽  ヒュンヒュンと回転するそれを空中でキャッチ。そのままノーモーションで私に向かって突撃! キィン! 既の所でこちらもティグクを持ち直す。 ༼ オム・アムリトドバヴァ・フム・パット! ༽ ༼ ナウマク・サマンダ・バザラダン・カン・オム・チャーヤー・ソワカ!! ༽  グルカナイフと斧が鍔迫り合いの応酬を繰り広げる! 一方が押し、また一方が押され……ふと蘇る前世の記憶。想像上の極楽である須弥山だが、この地形には覚えがある。このまま西にあと七メートル後退すると……今だ! ༼ わっ!? ༽  そこは断崖絶壁! 影で崖肌に足場を延長してカモフラージュしていた私に振りかぶった和尚様は、そのままバランスを崩して転落。しかし地面と衝突する寸前、岩場から無数のツタが生え和尚様を守った。 ༼ やはり。ここはあなたが拙僧と修行したカイラスだ ༽  それならばこちらにも手がある。長年縛りつけられていたカイラスの地脈は全て、自分の体のように理解しているからに!  ダンッ! ヴァダダダガガァァァァアアン!!! 崖の亀裂にティグクの刃を叩きつけ、そこから神経線維で熱を送り起爆! この世の全てを拒絶する絶望の目に似たエネルギーモーションが炸裂し、崩壊した岩壁から大量落石! 砂埃が舞い上がると同時に和尚様の殺意が消えた。  もちろん、彼はこの程度で撃破できるお方ではない。崖肌を滑り降りた途端、瓦礫の山が隆起して和尚様が這い上がってきた。お互いに得物を構えなおし跳躍、空中にてチャンバラ再開! ༼ 正直に言いなさい、ムナル。この子に拙僧の魂を与えたのは、本当に苦渋の決断だったのか? ༽ ༼ やはりリンポチェにはお見通しですね。ええ、私の煩悩(エゴ)ですよ。だってずっと邪尊と呼ばれていたリンポチェが、正義のために戦うヒーローになったら最高じゃないですか…… ༽  シュゴォォォォォ! 龍王剣が炎を吹き、勢いで和尚様の体はジェット後進。そのまま燃え盛る龍王剣が和尚様と一体化。背中に炎の翼が、三つの額にはナイフの如く鋭き角が生えた! 馬頭観音アリコーン!!! ༼ 推しが正義堕ちしたらばちくそエモいじゃないですかぁぁーーーーーーっ!! ༽  ヌ˝ヌ˝ヌ˝ヌ˝ヌ˝ヌ˝ヌ˝ーーーーーーーーッ!!!!! 天、地、水! 三本の角から発せられた超自然タルパ理力が螺旋を描き極太ビーム射出!! 私の影体は分解霧散するよりも早く、この亜空間と外界を隔てる壁に叩きつけられた! 空が落ち、川が干上がり、山が粉々に砕け散る!!!  暗転、赤転、白転。完全なる静寂の中で、炸裂した世界の色が鎮静。全てを放出しきった和尚様は粉々の地面に膝をつき、肩で息をする。そのまま頭を垂れると、目の前にできた彼の影が ༼ ―ッ! ༽  砂から現れし蟻地獄のように、ワヤン不動の形を取って彼の首を刈った。 དྲུག་པ་  丸く抉れた須弥山に、荒れ散らかった極楽浄土。後は和尚様の心臓をティグクで割れば、この亜空間が粒子レベルに分解霧散して私は復活する。 ༼ でも、和尚様って少し前に逝去されてましたよね? ༽  私は抱えている和尚様の首に尋ねた。 ༼ ええ。もうこの世に意識を取り戻す事はないと思っていましたよ。ですが、私の遺物……おそらく、骨かなにか……を管理している者が、どうやら私とあなたの魂を復活させたようです ༽  和尚様のご遺体は、過去に金剛の事件を処理した、NICという超常現象研究機関が管理している。恐らく愛輪珠如来に乗っ取られた私に気付いた関係者が、私の魂のかけらを探し出し和尚様の中に保護したんだろう。 ༼ となると、あなたと拙僧の関係もその機関とやらには割れているのだな ༽  ふと私の影体が分裂し、ドマルの姿になった。こうやって三人で会話することもできるのか。 ༼ ならば本格的な大事になる前に、『邪尊』の肩書からは足を洗う必要があるな ༽  ドマルは目元だけで微笑むと、何やら全神経に法力をこめ始めた。ヴンッ! 影の皮一枚で繋がっている私が失神しかけるほどの衝撃が亜空間をほとばしる。すると、土砂が積みあがってできた須弥山のほとりの小丘に…… 「Woah!?」「ぎゃあ!」「เกิดอะไรขึ้น?」  突然、数千もの霊魂が召喚された。戸惑う人々の声で結界内は急に騒然とする。いや、よく見ると全員ご存命の人々のようだ。意識だけ無理やり幽体離脱させられたのか。 ༼ ドマル何したの!? ༽ ༼ 邪尊教を信仰する全ての信者を招いた。拙僧は既にカイラスから連れ出されていたが、彼らはそれを知らぬ。それに、ムナルが間もなく二度目の涅槃に入る事も。なら引退宣言をしておかねば ༽  引退宣言て。変な所で律儀な前世様だ。とりあえず人前で首ちょんぱの和尚様はショッキングすぎるから、一旦影で体と繋ぎ合わせた。 「這裡是哪裡(ここはどこだ)?」「Est-il…… Dmar Yidam(あれは……ドマル・イダム)!?」「क्या यह एक सपना है(夢枕ってやつか)?」  信者達は各々の言語で取り乱している。私の知らない言葉であっても、この空間内で意識が共有されて概ね理解できた。それにしても、どの人種もみんなちょっとガラが悪い。仏の力を悪用するというスタンスだった昔と違い、現代の邪尊教はどうやら悪魔信仰に似た類のカルトになっているようだ。ある者は跪き、またある者は歓喜の雄叫びを上げ、またある者は恐怖で腰を抜かす。一方、当の邪尊ドマルは赤子をあやすように両手を小さく振って彼らを宥めた。 ༼ まーま、落ち着きなさい。拙僧はただ、あなた方にちょっと顔を見せたいだけだ ༽  ドマルの声は骨伝導のように全ての信者の耳に届き、彼らそれぞれの言語に翻訳された。信者達がスンと静まりかえる。私もドマルの横に並び、彼の引退会見に耳を傾けた。 ༼ ふむ。見たところ、近頃の邪尊教徒は概ね三種類に分かれるようだ。少し、アンケートを取ってもいいかな? ༽  一体何が始まるのかと、信者達は固唾を飲む。一方和尚様は突然始まった推しの生ライブステージに目をキラッキラに輝かせている。 ༼ まず、一つめ。『信仰を禁じられた邪尊を現代に蘇らせ、かつての者どものように権力を手に入れたい』と本気で思っている方よ。拙僧怒らないから、正直に手を挙げなさい ༽  重苦しい静寂が極楽浄土を包む。ドマルの眼圧に気圧されて、信者達はしばらく誰も手を挙げなかった。しかし一人、また一人とじわじわ挙手が増えていき、概ね二割の信者がこれを認めた。残酷にも、やはりその殆どはチベット人だった。 ༼ そっか、成程な。大変申し訳ないが、あなた方の願いは叶えてやれぬ。実のところ拙僧は、観世音菩薩様の計らいで長らく惰眠を貪っていたからにな ༽  目尻も口角も全く上げないまま、気さくにドマルは答えた。その口ぶりと表情のギャップにより失魂落魄した信者の何割かが、震えながらその場に崩れ落ちた。 ༼ では二つめ。『仏とか宗教とかダルいけど、邪尊ってなんかアナーキーな感じでかっけーからリスペクト対象』と思って入信した方よ ༽  この質問に対する挙手は早かった。さっき手を挙げなかった信者達の半分以上が高々と挙手している。そして何割かはメロイックサインだ。 ༼ かはは、正直でよろしい。あなた方はそれでいいんだ。拙僧からは特に何もしてやれないが、肖像権なんかないからTシャツなりタトゥーなり好きに弄ってくれ。他の宗教に迷惑はかけないようにな ༽  ドマルはさっきよりも柔らかい表情で彼らに答え、印相のように控えめなメロイックサインを作った。信者達はロックシンガーのコンサートでも見ているように嬉しそうな歓声を上げた。 ༼ では三つめ…… ༽  ドマルは目を伏せ、傷だらけの馬頭観音にちらりと視線を向ける。そして一瞬間を取り、再びまっすぐ信者達を見据えた。 ༼ 『悪玉に囚われていた仏がいつか正義堕ちしたらばちくそエモいから。あらゆる神話の中で、そういうカタルシスでなければ摂取できない物があるから』入信した方よ。いるのなら、どうか教えて欲しい ༽  ……一人。二人。十人、四十人、六百人。厳かに、じわじわとこれに挙手する信者が増えていった。その中には先程のチベット人や、アナーキストの面々も。 ༼ うそ…… ༽  想定外に同担が多い事を知った和尚様は、驚きや複雑な感情を露わにしながら穏やかな金剛観世音菩薩相に戻った。その和尚様を視線で指し、ドマルが説明する。 ༼ 彼こそがムナル和尚。そしてパンケチャ派の伝承に語られる金剛観世音菩薩様だ。彼は只今をもって現世から旅立つ。入れ替わりに、拙僧は眠りから覚めて娑婆に戻る ༽  そして次に、私の手を取った。 ༼ これは我が明王尊、ワヤン不動。これより拙僧は、娑婆に巣食うある悪霊を滅ぼすために憤怒の化身となるのだ。ま、平たく言えば…… ༽  決めポーズしろ、とドマルから影体を伝って指示が飛んできた。ええと……アドリブで! 須弥山の残り半分をぶっ飛ばす! ドーン!! 「「「うわああぁぁ!!!?」」」  信者困惑! ༼ ばか、やりすぎだ……ま平たく言えば、邪尊教解散ってコトな。よろしく ༽  なんともあっけらかんと邪尊教は解体された。でも幸い、信者達は私が須弥山を消し炭に変えたインパクトでポカンとしたまま、特に暴動とかもなく娑婆に送還された。 ༼ あ、あんなんでいいの? 引退宣言 ༽ ༼ 適当でよかろう。ま、今頃ネットでバズってるかもしれんけど ༽  ネットとか知ってるのかこの前世様。といっても私と一心同体みたいなものだもんな。一方、和尚様は感極まってアルカイックスマイルのまま失神している。 ༼ ……このまま送ってやるか。それとも、師匠に別れの挨拶とかする? ༽ ༼ ううん、大丈夫。もうとっくの昔に……金剛と初めて戦ったあの日、ちゃんと話せたから ༽ ༼ そうか ༽  今回の事は、いわば私が不覚を取ったせいで和尚様の眠りを妨げてしまったようなものだ。この戦いが終わったら、いつか私とドマルも同じ場所へ還る。それなら今改まって別れを告げる必要はないだろう。  私は改めて金剛を滅ぼす決意を抱き、人生で最も尊敬する人にティグクを振り下ろした。
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oniwastagram · 2 years
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📸足守プラザ庭園 / Ashimori Plaza Garden, Okayama ② ――岡山県指定の町並み保存地区“足守”の陣屋町の観光拠点で見られる和洋折衷な近代和風建築?と枯山水庭園。 ...... 続き。観光拠点としての機能は冒頭に書いた通りなのだけど、重厚な土蔵(=米蔵ギャラリー)に囲まれた、かなり大きなお屋敷の中に開かれた施設で。 . 非公開の主屋や米蔵ギャラリーは漆喰塗りの海鼠壁が印象的、そして主屋は2階が洋風の和洋折衷な近代和風建築っぽさがある。市の文化財にもなってないみたいだけど気になる…。 . 米蔵ギャラリーと主屋の前にサツキなどの刈込やマツが存在感ある枯山水庭園があります。足守観光の際はこちらにも立ち寄ってみて。 . 足守プラザ庭園の紹介はこちら☟ https://oniwa.garden/ashimori-plaza/ ーーーーーーーー #japanesegarden #japanesegardens #kyotogarden #zengarden #beautifulkyoto #beautifuljapan #japanesearchitecture #japanarchitecture #japanarchitect #japandesign #jardinjaponais #jardinjapones #japanischergarten #jardimjapones #bonsai #建築デザイン #庭園 #日本庭園 #枯山水 #枯山水庭園 #karesansui #庭院 #庭园 #近代建築 #近代和風建築 #岡山庭園 #アートギャラリー #古民家 #足守 #おにわさん (足守プラザ) https://www.instagram.com/p/Ce7hP0cP9xZ/?igshid=NGJjMDIxMWI=
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takumiumeki · 5 years
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昨日は、オープニングセレモニーでした。 一般公開は8/2からです。 #東北#宮城#石巻市#仙台#山形#文化財#伝統建築#古民家#蔵#土蔵#茅葺#茅屋根#瓦#瓦屋根#土壁#漆喰 #Japanese#tohoku#miyagi#sendai#sendaigram#yamagata#yamagatagram#culture#amazing (旧石巻 ハリストス正教会教会堂) https://www.instagram.com/p/B0kAGGZgRa1/?igshid=i55l7xpdiurj
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kunugihay · 3 years
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改修工事3日目 ・今日は朝から 中庭に這う井戸水用の給水管を除去すべく気合を入れ掘り進めていった。 すると 途中二股に分かれた!! 一方は予想していた方へ。一方は予想外過ぎてどうしよう。しかもコンクリートで固められている方へ走っているではないか。 おいおい。とその先どこに蛇口があるのか探すと 昔使われていた風呂場にあった。 コンクリートを削れば配管は取り除かれるが そこは慎重に。 一先ずやめておきました。 それよりも昔の風呂場&トイレ棟を綺麗にしたい欲が湧いてきてしまった! 気づけばゲンノウで土壁をたたき 剥がしていた。 使えそうな土は土嚢に移し いつかのタイミングで使おう。 みるみるうちに壁は剥がされ すっかり綺麗になりました! 風が通り とっても気持ち良い空間となりました〜 気づけば夕方。 今日予定していた草刈りや側溝の下見は後日に。 徐々に生活のスペースが確保されてきて 外生活のリズムが作れ始めてます👍 後は畑の草刈りをし テントを張れれば大体整うので そしたら母屋の解体作業に���り掛かれます。 1 襖や建具を取り除く・キッチンの棚やガステーブルを除去 2 壁を抜く 3 天井を抜く 4 床を抜く 一先ずここまでスピードを上げていこ! 書き出すとシンプルだけど やることは山ほどありそうだ😂 今日 初めて土壁の土を剥がしたんだけど 知恵や技術に関心。 そして知ったことは 意外に大きめの石も混ざっているということ。 ヨシ!明日も頑張ります。 明日は 冷蔵庫が届いたので 設置をするのと 時間があれば草刈りを。 ではまた👋🏽 #chai#チャイ#小豆島#移住#セルフビルド#セルフリノベーション#古民家#改修工事小豆島移住記録#移動式喫茶店#小豆島移住物語#土壁#左官#漆喰#ボレーセーフティ (Shozu-gun, Kagawa, Japan) https://www.instagram.com/p/CUXpVv9P4ib/?utm_medium=tumblr
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kamitoseikatsu · 4 years
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やっと左官仕事 そんな日に限って雨が降ってきました… 雨除けの養生がいちばん大変 去年の今頃、県主催の漆喰塗りワークショップをこの蔵で開催しまして そのときのノウハウが多少は活かされたでしょうか。 もう少しで玄関外壁生まれ変わります◎ #漆喰塗り#富山美容室#飛騨美容室#ドネーションサロン#土蔵リノベーション https://www.instagram.com/p/CERZGybA5Oh/?igshid=m64kb40qpgew
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hidetoshiyamada · 4 years
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要は土蔵の表面を保護する白壁、漆喰が落ちてしまったそうです。こんな狭いところでも被害があったとは。雨風の直撃はま逃れなかったんだろうか。
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sakai7677 · 5 years
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K様邸 蔵の外壁修繕工事です。
土壁が崩れている所もあったのでトタンをはり漆喰も塗り替えました。
塀も倒れかけていたのでおこして、瓦も修繕しました。
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carguytimes · 6 years
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道の駅「きららあじす」から白壁の町並みをそぞろ歩き(山口)【車中泊女子の全国縦断記】
数ある道の駅の中でも「プラスアルファが楽しめる」「目的地になる」道の駅、今回は【21世紀未来博覧会】(山口きらら博)跡地に建つ道の駅【きららあじす】です。 名称:きららあじす 住所:山口県山口市阿知須509-88 電話:0836-66-1001 駐車:普通車 91台/大型 4台/身障者 3台 物産館、お食事処、魚屋、パン屋などを併設。特産の阿知須(あじす)産かぼちゃを使用したソフトクリームやコロッケなどが人気です。 珍しいものでは、メダカ、どじょう、ヌマエビなども販売していました。 平成13年に開催された【山口きらら博】の会場だった【山口きらら博記念公園(スポーツ施設、水泳プール、月の海ビーチバレー場など)】や【山口県立きらら浜自然観察公園】までは、道の駅から約500m、徒歩圏内です。 きらら浜自然観察公園では望遠鏡や双眼鏡の無料貸し出しがあり、気軽に野鳥観察できることでも人気です。子どもから高齢者まで3世代にわたって楽しめます。 日帰り入浴は【宇部72アジススパホテル】で。阿知須温泉は、世界有数のラジウム含有量を誇る無色透明の冷鉱泉。リウマチや神経系統諸病に効くと言われています。道の駅からは約4kmです。 【白壁の町並み(阿知須居蔵造)】までは、約1.5km。駐車場が狭いので、キャンピングカーなど中型車でお越しの際は道の駅から歩いて行くことをおススメします(道の駅の方からもそう勧められました)。 旧中川家住宅【いぐらの館】は、この日は残念なことに休館日! 資料館や美術館、博物館などは月曜定休のところが多いので盲点でした。水・木曜日定休でした。 阿知須居蔵造の町並みは廻船業が栄えた江戸中期から明治初期にかけて発展しました。建物が密集しており、火事から家を守るために瓦葺の屋根、漆喰の大壁、土戸など防火機能に優れた「居蔵造り」の建物を建てたのです。 町並み保存地区ではないので新旧入り乱れてはいますが、その面影を今に残しています。昔ながらの魚屋さん、呉服屋さん、明治の特色が色濃いレンガ造りの建物や木造の電柱などなど、歴史的建造物に含蓄のある方には面白い発見がたくさんありそうです。 (松本しう周己) あわせて読みたい * キャンピングカーにおけるLPG問題・暖房をガスにするメリット・デメリット【車中泊女子のキャンピングカー生活】 * キャンピングカーにおけるLPG問題・ガスコンロと冷蔵庫をどう動かす?【車中泊女子のキャンピングカー生活】 * 道の駅おおとう桜街道から徒歩3分、「かかえのお石様」に願い事が叶うか聞いてみよう(福岡)【車中泊女子の全国縦断記】 * 車中泊旅に「ちょうどいい」クルマとは?・後編【車中泊女子のキャンピングカー生活】 * 車中泊旅に「ちょうどいい」クルマとは?・前編【車中泊女子のキャンピングカー生活】 http://dlvr.it/QQ8y29
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mayumikuwa · 7 years
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昨日の夕方、大阪帰って来ました。 これから、宝塚大学での授業です。 昨日、アップ出来なかった秋田でいろいろ見学してきたものの続きです。 秋田増田町は蔵の町と言われ、町中に蔵がそのまま残ってる美しい町です。 先日、吉永小百合さんが撮影に来てたそうです。 山からの水が豊富で、山の水分含有率が常に70〜80%と一定で、だから、美味しい果物、お米、お酒が出来るそう。 家の前には綺麗な小川のような用水路が流れ、橋を渡って家に入る。 家の中のキッチンには当たり前のように井戸がある。 水を触らせてもらいましたが、痛くなるほど、とても冷たく、綺麗な水でした。 屋敷は秋田の町屋形式で、雪の重みに耐えられるよう、幾重にも重ねられた化粧梁があり、蔵は、家の中にあります。 蔵のなかでも感動したのが、山吉肥料店さんの蔵。 漆喰の技術が信じられないぐらい美しく、人間業とは思えない。 蔵正面と土壁の開口部などが黒漆喰で仕上げられ、更に正面の土扉は磨き仕上げ。 黒と白のコントラストか美しいです。 今、こんなこと出来る職人さんいるのだろうか? 小川が流れる庭もとっても美しかったです。 いろいろ説明してくださったご主人と記念撮影してもらいました。 この町では、しきみどがある建物もあり、初めて実際に使ってるしきみどを見れてテンション上がりました。 #秋田 #蔵 #雪国の暮らし #日本の美 #自然と暮らす #桑山真弓 #art
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junkokataoka-blog · 7 years
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🌹見越しの松🌹消えゆく文化遺産 (堺市浜寺昭和町) この界隈もご多分に洩れず 近代的な建築様式のモダンな家が建っている。一方 先祖代々の家屋は松の手入れは少なくとも年2回、白壁の土蔵の漆喰、塀の手入れ、庭木の剪定等 結構維持費がかかる。 さて見越しの松を見ていると、中には艶めかしさを感じさせる事例がある。まるでお洒落な女性の前髪のようだ!
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khrbuild · 5 years
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ピカイチ!流石プロフェッショナルだぜ!ボロボロの蔵が 復活しました。貝塚市三ケ山リフォーム現場
写真は 少し前から 修復作業していた、蔵の修復前の写真!
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腰板は腐って 漆喰はめくれて 下地の土壁も落ちてしまってたのです。
腰板は張り替えて
左官屋澤くんが、
プロフェッショナルをお見せしましょう!
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こうなるのです。
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なんてことでしょう!(笑)
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ブリキ屋の親方 樋をつけてくれてます。
実は この壁の白は 漆喰ではなく、
ペンキなんです。
勿論 ペンキは一ミリ無い厚みです。
そのために 下地の モルタルが、どれだけ 美しく仕上げられてるかが 大事です。
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ほんま綺麗になりました。
いつもながら 皆さん お見事な お手前で!
夕日がはえるぜー!
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まだまだ 台風処置工事は続くんだぜー!
がんばろーー!
貝塚市 岸和田市 熊取町 泉佐野市 泉大津市 和泉市 泉南市 阪南市
天然素材スイス漆喰 カルクウォール
リボス自然健康塗料 取扱店。
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donut-st · 7 years
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スノードロップ
 ふいに目が覚めた。車窓の風景は、灰色に濁って寒々しい。山の連なりと曇天の空を見るともなしに眺め、大野進(おおの すすむ)は欠伸を堪えた。父方の実家を訪ねるのはひさしぶりである。祖父の葬儀に備え、喪服を詰めた旅行鞄を進は軽く叩いた。  エアコンの温い風が頬にあたる。進は規則的ではあるが、緩慢な列車の揺れに身を任せた。またぞろ瞼が下がる。気をとり直して携帯電話の画面から時刻を確認した。それでも眠気は去らない。  ビールの缶を空けた自分を進は内心、叱咤した。
  進は、 喉の渇きと蒸し暑さに薄く瞼を開いた。蝉の声に驚いて身を起こす。 「進くん。台所に煮ものがあるから。お父さんが戻ったら、二人で食べて」  中年の女がちゃぶ台へ皿に盛ったスイカを置いていた。伯母の八重子(やえこ)である。ノースリーブからのぞく腕には肉がつき、体全体が丸々としている。 「じゃあ帰るね。お母さんを健康センターに連れて行かないといけないのよ」  八重子は、止める間もなく座敷を離れた。スイカを掴み、進も縁側へ出る。肌を刺す日差しの中で庭の向日葵が首を垂れていた。その向こうに平屋の屋敷が見える。祖父の住まう母屋だった。  喉の渇きを覚え、スイカの実にかじりつく。冷えた実が口中で崩れ、甘い汁が舌に広がった。進は手のひらを太陽にかざす。日に焼けた子供の手だ。 「……夢だな」  進が小学校に上がる前年、彼の父親、大野浩二(おおの こうじ)は事業に失敗している。借金の取り立てを逃れ、一週間ほど祖父のもとに身を寄せていたのだ。進の母親は早々に夫を見限っていたため父親と二人である。最後に見た母親の足どりは、とても軽やかだった。 「しかし、どうして今頃?」  脱ぎ捨ててあった運動靴を履いて庭に下りる。金策に忙しいのか父親の浩二の姿はなかった。 「何をしてる?」  声に驚いてふり返った進を老人が見下ろしている。 「家の中に入ってろ」  進の祖父、隆浩(たかひろ)だった。 「あれ何?」  進の指さすさきに目をやり、老人は顔をしかめる。二人の前に間口の狭い漆喰壁の土蔵が建っていた。 「おまえには関係ない」 「でも」  このやりとりには覚えがある。 「でももクソもない! ……いいか。この中に化けものがいる。子供を食う化けものだ。だから、絶対に入るな。わかったな?」  当時も隆浩は進に土蔵の出入りを禁じていた。子供相手に癇癪を起こしている祖父は滑稽である。厳然として見えた隆浩の背は曲がり、頭髪は白かった。ただの年老いた男に過ぎない。 「クタバレ!」  遠ざかる祖父の背に罵倒を投げた。子供の時分に果たせなかった抗議を口にする。隆浩の姿が見えなくなるや否や進は土蔵の戸を引いた。呆気なく戸が開く。 「……締まってたよな?」  間尺の合わない思いで薄暗い土蔵の中に踏み入った。
 外の暑さが嘘のように涼しい。土蔵は細長い作りで奥へと広がっていた。建物の幅に比べ、天井が異様に高い。屋根の下あたりに明り取りの窓が開いていた。そのお蔭で屋内にある程度の光量が保たれている。  周囲にはダンボールや表面の退色した木製の箱が乱雑に積み重なっていた。壁際に鍬や鎌が並び、金属部分が鈍く光っている。他にゴザらしき敷物もあり、古びた植物が独特の臭気を放っていた。 「なにが化けものだ」  進はかまわず足を速める。行き止まりは目の細かい格子戸になっていた。格子の向こうは、畳を敷いた座敷である。その真ん中に竹を編んだ葛籠が置かれていた。葛籠の蓋は半ば外れ、斜めに傾いている。その隙間から白いものが長く伸びていた。  白い着物姿の女である。 「母さん!」  進は思わず格子戸を開いた。
 母親とそっくりの顔を少し傾け、女は微笑んでいる。しかし、ほどなく腹鳴が響いた。女は眉を寄せ、腹を押さえている。 「腹が減ってるの?」  進の言葉に女は頷いた。 「ああ、それは!」  言うが早いか女は進の腕に掴みかかる。そのまま手の中にあるスイカにかじりついていた。 「……それ。食いかけなんだけど」  女の白い歯が赤い果肉を砕く。汁が口からあふれるのもかまわず、喜色を浮かべて咀嚼していた。あっと言う間にあらかたを食べ終え、飲みこみ損ねたスイカの汁が唇の端から顎へ滴っている。  到底、まともな大人の女には見えなかった。 「おまえ、母さんじゃないな?」  女は口もとを乱暴に拭い、手の甲についた汁を丹念に舐めている。片方の手は、スイカを持っている進の腕を離そうとしない。 「ええ、坊ちゃん。坊ちゃんを生んだりいたしませんよ」  進は女の手を振り払った。進の手から滑り落ちたスイカの残骸に女が飛びつく。 「じゃあ、なんで母さんの姿なんだ? おまえなんだ? 爺さんの言ってた化けものか?」  後退った進に頓着せず、女は白い果皮から赤い実を歯と舌で削り取っていた。 「さあ存じません。これは、坊ちゃんのお決めになったことですから」 「俺が?」 「はい。それより坊ちゃん。今は、いつ頃でしょう? そろそろ冬ですか?」  女は、名残惜しそうに果皮だけになったスイカを足元に置く。 「いや、夏だけど」  みるみる女の眉が寄り、口が妙な具合にひん曲がった。目頭から涙が流れ始める。 「ああ、どうしよう。寝過ごした。この葛籠があんまり心地よかったものだから。秋は眠って、冬に仲間と約束があったのに」  女の話は要領を得なかった。 「もう一回、寝たら?」 「ダメです。次の冬までは持ちません。ああ、もう取り返しがつかない」  女は顔を覆い、肩を震わせている。あまりにも弱々しく、脅威があるようには思えなかった。安堵すると同時に進は面倒になる。 「そうなんだ。じゃあ、俺。もう行くよ」  女に背を向け、歩もうとするが、足が動かなかった。 「坊ちゃん、待ってください! こんなに困っているのに、あんまりじゃありませんか?」  進の足に女が、すがりついている。 「そう言われても。どうにもできないよ。離せって」 「酷い! 私は、お母さんと同じ姿なんでしょう? 薄情者! もうちょっと優しくしてくれたって、いいじゃありませんか?」 「煩い!」  進は女を怒鳴りつけた。 「優しく? あの女は、一番苦しい時に俺と親父を捨てたんだぞ!」  大声に驚いて女の手が緩む。 「……何を言ってるんだ、俺は」  進は自分の罵倒が信じられなかった。 「坊ちゃんは、お母さんをお恨みなんですか?」  覗きこんでくる女から顔を背ける。 「違う。……いや」  子供だった進は、二十歳を越えていた。今年で二十五になる。 「そうなのか?」  宿題を失念していた小学生の気分だ。進は頭を抱える。 「仕方ありません。私は葛籠に入ります。坊ちゃん、表まで運んでください」 「どうして俺が?」  葛籠の中に身を屈め、女が手を合わせていた。ハエの仕草とよく似ている。 「俺を見ろ。子供だぞ。大人を運べるわけがないだろう」 「大丈夫です。軽いから。お願い、お願い。自分じゃ外に出られないんです」  またぞろ女の目から涙が流れた。 「……わかったよ」  女は内側から葛籠の蓋を閉める。ため息を吐き、進は葛籠に手をかけた。
 葛籠は意外なほど軽かった。しかし、五才の子供には大仕事である。やがて押しても引いても動かなくなった。戸口の段差が邪魔になり、葛籠の移動を妨げている。  葛籠をそのままにして進は一端、外へ出た。瞬時に温い風がまとわりついてくる。進は、だんだん腹が立ってきた。 「もういいだろ? 自分で出ろよ」  葛籠の蓋を開く。だが、中は空だった。 「あの女、どこに行った?」  覗きこんだ進の顔に白い物体が突進してくる。液状の茶色い排泄物を頬に射出し、空へと舞い上がった。 「汚ねえ!」  綿毛に覆われた小さな羽虫である。たちまち庭木に紛れて見えなくなった。
 進は自分の顔を掌で拭う。大人の手だ。掌の液体は無色透明、臭気は感じられない。曇天から落ちてきた霙が頬に当たったらしかった。 「……夢? 夢遊病かよ」  身震いしながら辺りを見まわす。背後には改札、頭上には駅の庇が伸びていた。閑散として人影、車の気配さえない。進は尻ポケットから携帯電話をとり出した。  父方の実家の電話に出たのは若い女である。 「進さん? 私、モモです。浩二叔父さん、お父さんの姉の三番目の子供」 「ああ、八重子伯母さんの」 「はい。駅ですね? すぐに迎えに行きます」  返事をする暇もなく電話は切れた。
 雨混じりの雪片が足もとで無様な音を立てる。金属の庇に溜まった霙がせり出し、一気に滑落してきた。進は脇に置いた旅行鞄を抱え、慌てて後退する。舗装で砕け、割れた氷の礫が進の額を掠めた。 「イテッ!」  擦った掌に赤い染みがある。氷の刃は進の皮膚を切り裂いていた。進は頭が破裂しそうな怒りに襲われる。 「……なんで夢に? 出てくんなよ、クソ女! クタバレ! クソクソ!」  言葉だけでは足らず、進は霙の山を蹴り飛ばした。化粧加工のタイルが露わになる。首を垂れた白い小さな花が焼きつけられていた。その姿は、夢の中の羽虫を思わせる。 「何でだよ?」  フェイクファーのついた襟を掻き合わせ、母親は進を振りかえりもしなかった。純白のコートに包まれた背中が足早に歩み去っていく。 「ふざけんな!」  幼い日、 進が母親に伝えたかった言葉は罵倒ではなかった。だが、それは五才の子供にだけ許された我儘である。進は、とうに機会を逸していた。
 車の助手席に乗り込む。進は荷物を足元に置いた。 「梅が咲いてるのに霙だなんて嫌になっちゃいますよ」  運転席の従姉妹は二十歳になるかならずである。職業運転手のような勢いでまくし立ててきた。 「みんな心配してたんですよ。浩二叔父さんと進さんに連絡がつかないんじゃないかって」 「不義理していて面目ありません」  進は頭を掻く。 「いえいえ。進さんは、お祖父ちゃんの家に来たことあるんですよね?」 「子供の頃に一度だけ。その節は、お母さんに大変お世話になりました。たしか娘さんが」 「姉ですね。私が生まれたのは、その後です」  伯母が太って見えたのは妊娠していたからだと進は悟った。そう考えれば、目の前の彼女とも邂逅していたと言える。 「そしたら進さん。土蔵のこと覚えてます?」  従姉妹の口から出てきた言葉に進は驚いた。 「土蔵の近くにいると怒られませんでした? 絶対、中に入るなって。土蔵の中は荷物が多いし、暗いから怪我しないように注意してたんだろうけど、笑っちゃいますよね。お祖父ちゃん、いつも同じ文句で」 「いつも?」  祖父のあしらいを進は思い返す。 「はい、いつも『化けものがいる。子供を食う化けものだ』って」  従姉妹は、祖父の口調を真似、一人で吹きだしていた。祖父はあの時、ことさら進を分け隔てていたわけではなかった。ただ普段通りに振舞っていただけなのである。馬鹿馬鹿しくなり、進も笑みを漏らした。 「俺、土蔵に入ったんだ」 「本当ですか? で、いました? 化けもの」  赤信号になり、車はゆるやかに停車する。 「化けものはいなかった。変な虫がいただけ」 「虫?」  霙が伝う窓の向こうに小さな虫が飛行していた。 「この虫」  夢に出てきた女が変化した羽虫にそっくりである。 「え? ああ、雪虫ですね。珍しい。冬の初めに出てくる虫なのに」  綿毛に包まれた体がフロントガラスを横切った。 「……あの女。寝過ごしたって言ってたな」  進は声を上げて笑い出す。 「間抜けにもほどがある」  羽虫は、幼かった進と同じく孤独な夏を過ごしたのだろうか。戸惑っている従姉妹に詫びながら進は羽虫の行方を追った。  霙にかき消されていく雪虫は夢と同じに一顧だもない。
※氷砂糖さまの「同じ骨」に参加しています。
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takumiumeki · 5 years
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青空ですが、強風です➰🌀 👷完成後2ヶ月 周辺の工事も進んでいます。 #東北#東北魂#宮城#石巻市#仙台#山形#文化財#伝統建築#古民家#蔵#土蔵#茅葺#茅屋根#瓦#瓦屋根#土壁#漆喰 #Japanese#tohoku#miyagi#sendai#sendaigram#yamagata#yamagatagram#culture#amazing (Ishinomaki, Miyagi) https://www.instagram.com/p/Bs4kFlwFCNk/?utm_source=ig_tumblr_share&igshid=a3q7v84nteek
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kamitoseikatsu · 5 years
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